(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169144
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】放熱構造デバイス及び電子機器
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20241128BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20241128BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F28D15/02 101H
F28D15/02 L
F28D15/02 102H
H01L23/46 B
H05K7/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086364
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 雅史
(72)【発明者】
【氏名】山木 誠
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小田 和範
(72)【発明者】
【氏名】寺内 崇之
(72)【発明者】
【氏名】武田 利彦
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA06
5E322AA10
5E322AA11
5E322DA04
5E322DB12
5F136BA02
5F136CC14
5F136CC23
5F136CC26
5F136EA12
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】デバイスの冷却効率を向上できる放熱構造デバイスを提供する。
【解決手段】本開示による放熱構造デバイスは、第1外面部と、第1外面部とは異なる位置に位置する第2外面部と、を含む電子デバイスと、第1ベイパーチャンバーと、放熱体と、を備えている。第1ベイパーチャンバーは、第1外面部に熱的に接続されている。放熱体は、第2外面部に熱的に接続されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外面部と、前記第1外面部とは異なる位置に位置する第2外面部と、を含む電子デバイスと、
前記第1外面部に熱的に接続された第1ベイパーチャンバーと、
前記第2外面部に熱的に接続された放熱体と、
を備えた、
放熱構造デバイス。
【請求項2】
前記第2外面部は、前記第1外面部とは反対側に位置している、
請求項1に記載の放熱構造デバイス。
【請求項3】
前記第1ベイパーチャンバーは、前記第1外面部から熱を受ける受熱部と、前記放熱体に熱を放出する放熱部と、を含む、
請求項1又は2に記載の放熱構造デバイス。
【請求項4】
前記放熱体は、前記第1ベイパーチャンバーに対向する第1放熱体面を含み、
前記第1放熱体面に、前記放熱部及び前記第2外面部が熱的に接続されている、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項5】
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間に介在された第1中間部を含み、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記第1中間部との間で屈曲されるとともに、前記第1中間部と前記放熱部との間で屈曲されている、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項6】
前記第1中間部は、前記受熱部に対して傾斜しているとともに、前記放熱部に対して傾斜している、
請求項5に記載の放熱構造デバイス。
【請求項7】
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間に介在された第1中間部を含み、
前記第1中間部は、曲線状の断面形状を有するように屈曲されている、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項8】
前記放熱部は、伝熱部材を介して前記放熱体に熱を放出する、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項9】
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記放熱部を含み、
前記受熱部の両側にそれぞれ、前記放熱部が位置している、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項10】
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記放熱部を含み、
複数の前記放熱部は、前記受熱部に対して第1方向に沿って位置する前記放熱部と、前記受熱部に対して前記第1方向とは異なる方向に沿って位置する他の前記放熱部と、を含んでいる、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項11】
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記受熱部を含み、
前記放熱部の両側にそれぞれ、前記受熱部が位置している、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項12】
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記受熱部を含み、
複数の前記受熱部は、前記放熱部に対して第1方向に沿って位置する前記受熱部と、前記放熱部に対して前記第1方向とは異なる方向に沿って位置する他の前記受熱部と、を含んでいる、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項13】
前記放熱体は、前記第1ベイパーチャンバーに対向する第1放熱体面と、前記第1放熱体面とは反対側に位置する第2放熱体面と、前記第1放熱体面と前記第2放熱体面との間に位置する第3放熱体面と、を含み、
前記第1放熱体面に、前記第2外面部が熱的に接続され、
前記第3放熱体面に、前記放熱部が熱的に接続されている、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項14】
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間で屈曲されている、
請求項13に記載の放熱構造デバイス。
【請求項15】
前記第1ベイパーチャンバーは、前記放熱部に対して前記受熱部とは反対側に位置する延長放熱部を含み、
前記延長放熱部は、前記第2放熱体面に熱的に接続され、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間で屈曲されるとともに、前記放熱部と前記延長放熱部との間で屈曲されている、
請求項13に記載の放熱構造デバイス。
【請求項16】
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間で屈曲され、
前記放熱部は、前記放熱体と前記電子デバイスとの間に介在され、
前記放熱部は、前記第2外面部から熱を受けるとともに前記放熱体に熱を放出する、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項17】
前記放熱体と前記電子デバイスとの間に介在された第2ベイパーチャンバーを更に備え、
前記第2ベイパーチャンバーは、前記電子デバイスに熱的に接続されるとともに、前記放熱体に熱的に接続されている、
請求項3に記載の放熱構造デバイス。
【請求項18】
前記第2ベイパーチャンバーは、前記放熱部と前記放熱体との間にも介在され、
前記放熱部は、前記第2ベイパーチャンバーを介して前記放熱体に熱的に接続されている、
請求項17に記載の放熱構造デバイス。
【請求項19】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容された、請求項1又は2に記載の放熱構造デバイスと、
を備えた、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱構造デバイス及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル端末等の電子機器には、発熱を伴う電子デバイスが用いられている。この電子デバイスの例としては、中央演算処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)及びパワー半導体等が挙げられる。モバイル端末の例としては、携帯端末及びタブレット端末等が挙げられる。
【0003】
このような電子デバイスは、ヒートパイプ等の放熱装置によって冷却されている(例えば、特許文献1参照)。近年では、電子機器の薄型化のために、放熱装置の薄型化が求められている。放熱装置として、ヒートパイプより薄くできるベイパーチャンバーの開発が進められている。ベイパーチャンバーは、封入された作動流体が電子デバイスの熱を吸収して内部で拡散することにより、電子デバイスを冷却する。
【0004】
より具体的には、ベイパーチャンバー内の作動液は、電子デバイスに近接した部分(蒸発部)で電子デバイスから熱を受ける。熱を受けた作動液は蒸発して、作動蒸気になる。その作動蒸気は、ベイパーチャンバー内に形成された蒸気流路内で、蒸発領域から離れる方向に拡散する。拡散した作動蒸気は冷却されて凝縮し、作動液になる。ベイパーチャンバー内には、毛細管構造(ウィック)としての液流路が設けられている。液流路の毛細管作用によって作動液は蒸発領域に輸送される。蒸発領域において、作動液は、再び熱を受けて蒸発する。このようにして、作動流体が、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながらベイパーチャンバー内を還流する。このことにより、電子デバイスの熱がベイパーチャンバー内で拡散されて、ベイパーチャンバーから放出されている。このようにして、電子デバイスが冷却されている。しかしながら、電子デバイスの冷却効率の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/221369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、デバイスの冷却効率を向上できる放熱構造デバイス及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本開示は、
第1外面部と、前記第1外面部とは異なる位置に位置する第2外面部と、を含む電子デバイスと、
前記第1外面部に熱的に接続された第1ベイパーチャンバーと、
前記第2外面部に熱的に接続された放熱体と、
を備えた、
放熱構造デバイス、であってもよい。
【0008】
[2]本開示は、
前記第2外面部は、前記第1外面部とは反対側に位置している、
[1]に記載の放熱装置であってもよい。
【0009】
[3]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記第1外面部から熱を受ける受熱部と、前記放熱体に熱を放出する放熱部と、を含む、
[1]又は[2]に記載の放熱装置であってもよい。
【0010】
[4]本開示は、
前記放熱体は、前記第1ベイパーチャンバーに対向する第1放熱体面を含み、
前記第1放熱体面に、前記放熱部及び前記第2外面部が熱的に接続されている、
[3]に記載の放熱装置であってもよい。
【0011】
[5]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間に介在された第1中間部を含み、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記第1中間部との間で屈曲されるとともに、前記第1中間部と前記放熱部との間で屈曲されている、
[3]又は[4]に記載の放熱構造デバイスであってもよい。
【0012】
[6]本開示は、
前記第1中間部は、前記受熱部に対して傾斜しているとともに、前記放熱部に対して傾斜している、
[5]に記載の放熱構造デバイスであってもよい。
【0013】
[7]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間に介在された第1中間部を含み、
前記第1中間部は、曲線状の断面形状を有するように屈曲されている、
[3]又は[4]に記載の放熱装置であってもよい。
【0014】
[8]本開示は、
前記放熱部は、伝熱部材を介して前記放熱体に熱を放出する、
[3]又は[4]に記載の放熱装置であってもよい。
【0015】
[9]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記放熱部を含み、
前記受熱部の両側にそれぞれ、前記放熱部が位置している、
[3]~[8]のいずれかに記載の放熱装置であってもよい。
【0016】
[10]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記放熱部を含み、
複数の前記放熱部は、前記受熱部に対して第1方向に沿って位置する前記放熱部と、前記受熱部に対して前記第1方向とは異なる方向に沿って位置する他の前記放熱部と、を含んでいる、
[3]~[8]のいずれかに記載の放熱装置であってもよい。
【0017】
[11]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記受熱部を含み、
前記放熱部の両側にそれぞれ、前記受熱部が位置している、
[3]~[8]のいずれかに記載の放熱装置であってもよい。
【0018】
[12]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、複数の前記受熱部を含み、
複数の前記受熱部は、前記放熱部に対して第1方向に沿って位置する前記受熱部と、前記放熱部に対して前記第1方向とは異なる方向に沿って位置する他の前記受熱部と、を含んでいる、
[3]~[8]のいずれかに記載の放熱装置であってもよい。
【0019】
[13]本開示は、
前記放熱体は、前記第1ベイパーチャンバーに対向する第1放熱体面と、前記第1放熱体面とは反対側に位置する第2放熱体面と、前記第1放熱体面と前記第2放熱体面との間に位置する第3放熱体面と、を含み、
前記第1放熱体面に、前記第2外面部が熱的に接続され、
前記第3放熱体面に、前記放熱部が熱的に接続されている、
[3]に記載の放熱装置であってもよい。
【0020】
[14]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間で屈曲されている、
[13]に記載の放熱装置であってもよい。
【0021】
[15]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記放熱部に対して前記受熱部とは反対側に位置する延長放熱部を含み、
前記延長放熱部は、前記第2放熱体面に熱的に接続され、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間で屈曲されるとともに、前記放熱部と前記延長放熱部との間で屈曲されている、
[13]又は[14]に記載の放熱装置であってもよい。
【0022】
[16]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバーは、前記受熱部と前記放熱部との間で屈曲され、
前記放熱部は、前記放熱体と前記電子デバイスとの間に介在され、
前記放熱部は、前記第2外面部から熱を受けるとともに前記放熱体に熱を放出する、
[3]に記載の放熱装置であってもよい。
【0023】
[17]本開示は、
前記放熱体と前記電子デバイスとの間に介在された第2ベイパーチャンバーを更に備え、
前記第2ベイパーチャンバーは、前記電子デバイスに熱的に接続されるとともに、前記放熱体に熱的に接続されている、
[3]に記載の放熱装置であってもよい。
【0024】
[18]本開示は、
前記第2ベイパーチャンバーは、前記放熱部と前記放熱体との間にも介在され、
前記放熱部は、前記第2ベイパーチャンバーを介して前記放熱体に熱的に接続されている、
[17]に記載の放熱装置であってもよい。
【0025】
[19]本開示は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容された、[1]~[18]のいずれかに記載の放熱構造デバイスと、
を備えた、電子機器であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、デバイスの冷却効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施の形態による電子機器を説明する模式斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施の形態による放熱構造デバイスを示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すベイパーチャンバーを示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す本体シートの第1本体面を示す平面図である。
【
図6A】
図6Aは、第1の実施の形態によるベイパーチャンバーの製造方法における材料シート準備工程を示す断面図である。
【
図6B】
図6Bは、第1の実施の形態によるベイパーチャンバーの製造方法におけるエッチング工程を示す断面図である。
【
図6C】
図6Cは、第1の実施の形態によるベイパーチャンバーの製造方法における接合工程を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示す放熱構造デバイスの変形例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す放熱構造デバイスの他の変形例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図2に示す放熱構造デバイスの他の変形例を示す概略図である。
【
図16】
図16は、
図10に示す放熱構造デバイスの他の変形例を模式的に示す概略平面図である。
【
図17】
図17は、
図10に示す放熱構造デバイスの他の変形例を模式的に示す概略平面図である。
【
図18】
図18は、
図10に示す放熱構造デバイスの他の変形例を模式的に示す概略平面図である。
【
図24】
図24は、本開示の第2の実施の形態による放熱構造デバイスの他の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0029】
本明細書において用いる、幾何学的条件と、物理的特性と、幾何学的条件又は物理的特性の程度を特定する用語と、幾何学的条件又は物理的特性を示す数値等については、厳密な意味に縛られることなく解釈してもよい。そして、これらの幾何学的条件、物理的特性、用語、及び数値などについては、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈してもよい。幾何学的条件を特定する用語の例としては、「長さ」、「角度」、「形状」、「平行」、「直交」及び「同一」等が挙げられる。更に、図面を明瞭にするために、同様の機能を期待し得る複数の部分の形状を、規則的に記載している。しかしながら、厳密な意味に縛られることなく、当該機能を期待できる範囲内で、当該部分の形状は互いに異なっていてもよい。図面においては、部材同士の接合面などを示す境界線を、便宜上、単なる直線で示しているが、厳密な直線であることに縛られることはなく、所望の接合性能を期待できる範囲内で、当該境界線の形状は任意である。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1~
図23を用いて、本開示の第1の実施の形態による放熱構造デバイス及び電子機器について説明する。
【0031】
本実施の形態による放熱構造デバイス90は、発熱を伴う電子デバイスDと、放熱装置80(
図2参照)と、を備えている。放熱構造デバイス90は、放熱構造を有するデバイスであり、放熱装置80によって電子デバイスDの熱が放出されて電子デバイスDが冷却されるように構成されている。このような放熱装置80を備えたデバイスを、放熱構造デバイス90と称して以下説明する。
【0032】
放熱構造デバイス90は、電子機器EのハウジングHに収容される。電子機器Eの例としては、携帯端末及びタブレット端末等のモバイル端末等が挙げられる。電子デバイスDの例としては、中央演算処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)及びパワー半導体等が挙げられる。
【0033】
図1には、放熱構造デバイス90が搭載される電子機器Eが、タブレット端末である例が示されている。電子機器Eは、ハウジングHと、ハウジングH内に収容された放熱構造デバイス90と、を備えていてもよい。
図1に示す電子機器Eでは、ハウジングHの前面にタッチパネルディスプレイTDが設けられている。
【0034】
図2に示すように、放熱装置80は、電子デバイスDの熱を放出して電子デバイスDを冷却するための装置である。放熱装置80は、電子デバイスDに熱的に接続されており、電子機器Eの使用時に電子デバイスDで発生する熱を受ける。より具体的には、電子デバイスDの熱の一部は、後述するベイパーチャンバー30が受けて、後述する放熱体81に放出する。電子デバイスDの熱の他の一部は、放熱体81が直接的に受ける。放熱体81は、ベイパーチャンバー30から受けた熱及び電子デバイスDから直接的に受けた熱をそれぞれ外部に放出する。このようにして、電子デバイスDの熱は放出されて電子デバイスDは効果的に冷却される。電子機器Eがタブレット端末である場合、電子デバイスDは、中央演算処理装置等に相当する。電子デバイスDは、図示しない基板に実装されていてもよいが、実装されていなくてもよい。熱的に接続とは、2つの物体が直接接しているか、又は後述するTIMシート若しくは熱伝導性が良好な材料を介して接しており、互いに熱の移動が可能な状態に意図的にされていることを言う。熱伝導性が良好な材料は、熱伝導性が良好なグリース又は熱伝導性が良好な両面テープでもよい。
【0035】
次に、本実施の形態による放熱装置80についてより具体的に説明する。
図2に示すように、放熱装置80は、放熱体81と、第1ベイパーチャンバーと、を備えている。以下では、第1ベイパーチャンバーは、単にベイパーチャンバー30と称して説明する。
【0036】
ベイパーチャンバー30と放熱体81との間に電子デバイスDが介在されている。電子デバイスDは、第1デバイス外面Daと、第1デバイス外面Daとは異なる位置に位置する第2デバイス外面Dbと、を含んでいる。第2デバイス外面Dbは、第1デバイス外面Daとは反対側に位置している。
【0037】
ベイパーチャンバー30は、電子デバイスDの第1デバイス外面Daに熱的に接続されており、第1デバイス外面Daから熱を受ける。放熱体81は、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbに熱的に接続されており、第2デバイス外面Dbから熱を受ける。本実施の形態による第1デバイス外面Daは、電子デバイスDのうちのベイパーチャンバー30に対向する面であってもよい。本実施の形態による第2デバイス外面Dbは、電子デバイスDのうちの放熱体81に対向する面であってもよい。第1デバイス外面Daは、第1外面部の一例であり、第2デバイス外面Dbは、第2外面部の一例である。第1外面部は、電子デバイスDの1つの外面の全体に相当しているが、第1外面部は、電子デバイスDの1つの外面のうちの一部であってもよい。第2外面部は、電子デバイスDの1つの外面の全体に相当しているが、第2外面部は、電子デバイスDの1つの外面のうちの一部であってもよい。例えば、第1外面部及び第2外面部は、電子デバイスDの1つの外面のうちの互いに異なる部分であってもよい。
【0038】
放熱体81は、電子デバイスDの熱を放出するように構成されていてもよい。放熱体81は、ベイパーチャンバー30の放熱を促進するように構成されていてもよい。放熱体81は、ヒートシンクであってもよい。ヒートシンクは、電子デバイスDに熱的に接続したベースと、ベースから延びる複数の突起部と、を含んでいてもよい。突起部はフィンとも称される。
【0039】
電子デバイスDの第2デバイス外面Dbと放熱体81の第1放熱体面81aとの間に、TIM(Thermal Interface Material)シート70が介在されていてもよい。TIMシート70は熱伝導性が良好な材料で形成されていてもよい。しかしながら、TIMシート70の代わりに、熱伝導性が良好なグリース又は熱伝導性が良好な両面テープなどが、電子デバイスDと放熱体81との間に介在されていてもよい。この場合、電子デバイスDと放熱体81との間の隙間を小さくすることができる。このことにより、熱抵抗を小さくでき、熱をスムーズに伝えることができる。
【0040】
放熱体81は、ヒートシンクであることに限られることはない。例えば、放熱体81は、水を冷却媒体として用いた冷却装置であってもよい。あるいは、放熱体81は、金属材料で形成されたブロック状の部材であってもよい。あるいは、放熱体81は、上述したハウジングHを構成する部材であってもよい。
【0041】
放熱体81は、第1放熱体面81aと、第2放熱体面81bと、第3放熱体面81cと、を含んでいてもよい。第1放熱体面81aは、ベイパーチャンバー30に対向していてもよく、第1放熱体面81aに、ベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pが熱的に接続されていてもよい。第1放熱体面81aは、電子デバイスDに対向していてもよく、第1放熱体面81aに、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbが熱的に接続されていてもよい。第2放熱体面81bは、第1放熱体面81aとは反対側に位置していてもよい。第3放熱体面81cは、第1放熱体面81aと第2放熱体面81bとの間に位置していてもよい。第3放熱体面81cは、第1放熱体面81aに垂直であってもよく、第2放熱体面81bに垂直であってもよい。
【0042】
放熱体81は、第1受熱領域82と、第2受熱領域83と、を含んでいてもよい。第1受熱領域82は、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbから熱を受ける。第2受熱領域83は、ベイパーチャンバー30の後述する第1放熱部34Pから熱を受ける。本実施の形態においては、第1受熱領域82及び第2受熱領域83は、第1放熱体面81aに位置している。第1受熱領域82及び第2受熱領域83は、互いに異なる位置に位置していてもよい。
【0043】
次に、本実施の形態によるベイパーチャンバー30について説明する。
【0044】
ベイパーチャンバー30は、第1外面30a+と第2外面30bとを有している。第1外面30aは、電子デバイスDの第1デバイス外面Daに対向している。第1外面30aは、電子デバイスDの第1デバイス外面Daと熱的に接続されていてもよい。第2外面30bは、第1外面30aとは反対側に位置している。
【0045】
ベイパーチャンバー30は、内部に作動流体31a、31bが封入されている。ベイパーチャンバー30は、作動流体31a、31bが封入された密封空間32を有している。密封空間32内の作動流体31a、31bが相変化を繰り返すことにより、対象物を冷却するように構成されている。作動流体31a、31bの例としては、純水、エタノール、メタノール、アセトン等、及びそれらの混合液が挙げられる。
【0046】
図3及び
図4に示すように、ベイパーチャンバー30は、第1シート40と、第2シート50と、第1シート40と第2シート50との間に介在された本体シート60とを含んでいてもよい。図示された例においては、ベイパーチャンバー30は、第1シート40、本体シート60及び第2シート50が、この順番で積層されて構成されている。
【0047】
ベイパーチャンバー30は、薄い平板状に形成されていてもよい。
図3に示すように、ベイパーチャンバー30の平面形状は、矩形状であってもよい。
図3に示すように、ベイパーチャンバー30の平面形状は、X方向に長手方向を有し、Y方向に短手方向を有する長方形状であってもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、ベイパーチャンバー30の平面形状は、正方形状、円形状、楕円形状、L字形状、T字形状、U字形状等、任意の形状であってもよい。ベイパーチャンバー30を構成する上述した第1シート40、第2シート50及び本体シート60も、
図3に示すベイパーチャンバー30の平面形状と同様の平面形状を有していてもよい。
【0048】
X方向は、第1方向の一例であり、
図2及び
図3における左右方向に相当する。Y方向は、第2方向の一例であり、平面視でX方向に直交する方向である。Y方向は、
図3における上下方向に相当する。X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。Z方向は、
図2における上下方向に相当しており、ベイパーチャンバー30の厚さ方向に相当している。平面視とは、Z方向で見た状態であって、上述した第1外面30a及び第2外面30bに垂直な方向で見た状態を意味する。
【0049】
図4に示すように、第1シート40は、第1シート外面40aと第1シート内面40bとを有している。第1シート外面40aは、本体シート60とは反対側に位置している。第1シート内面40bは、第1シート外面40aとは反対側であって、本体シート60に対向している。第1シート外面40aが、上述したベイパーチャンバー30の第1外面30aを構成している。第1シート40は、全体的に平坦状に形成されていてもよい。第1シート40は全体的に一定の厚みを有していてもよい。第1シート40の厚みは、例えば6μm以上200μm以下であってもよい。
【0050】
図4に示すように、第2シート50は、第2シート内面50aと第2シート外面50bとを有している。第2シート内面50aは、本体シート60に対向している。第2シート外面50bは、第2シート内面50aとは反対側であって、本体シート60とは反対側に位置している。第2シート外面50bは、上述したベイパーチャンバー30の第2外面30bを構成している。第2シート50は、全体的に平坦状に形成されていてもよい。第2シート50は全体的に一定の厚みを有していてもよい。第2シート50の厚みは、第1シート40の厚みと同一の厚みを有していてもよく、又は異なる厚みを有していてもよい。
【0051】
図4に示すように、本体シート60は、第1本体面60aと第2本体面60bとを有している。第1本体面60aは、第1シート40に対向している。第2本体面60bは、第1本体面60aとは反対側に位置しており、第2シート50に対向している。第1本体面60aは、第1シート内面40bに接合されていてもよい。第2本体面60bは、第2シート内面50aに接合されていてもよい。接合の例としては、拡散接合及びろう付け等が挙げられる。
【0052】
図4及び
図5に示すように、本体シート60は、枠体部62と、複数のランド部63とを有していてもよい。枠体部62は、平面視で矩形枠状に形成されていてもよい。各ランド部63は、枠体部62内に位置していてもよい。各ランド部63は、X方向に延びていてもよい。各ランド部63は、平面視で細長の矩形状に形成されていてもよい。各ランド部63は、Y方向において離間して、互いに平行に位置していてもよい。図示しないが、ランド部63を枠体部62に支持する支持部が複数設けられていてもよい。
【0053】
図4及び
図5に示すように、枠体部62と各ランド部63との間、及び隣り合う2つのランド部63の間には、蒸気流路65が設けられていてもよい。蒸気流路65は、主として、作動流体の蒸気である作動蒸気31aが通る流路である。蒸気流路65に、作動流体の液体である作動液31bも通ってもよい。
図4に示すように、蒸気流路65は、本体シート60を第1本体面60aから第2本体面60bまで貫通していてもよい。
図5に示すように、蒸気流路65は、主として、X方向に延びていてもよい。蒸気流路65は、作動蒸気31aが通るように比較的大きな流路断面積を有している。蒸気流路65の幅(最小幅)は、例えば400μm以上1600μm以下であってもよい。
図4に示すように、蒸気流路65の断面形状は、輪郭線が内側に張り出すように形成された砂時計状であってもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、蒸気流路65の断面形状は、矩形状、台形状又は樽形状等、任意の形状であってもよい。このような蒸気流路65は、上述した密封空間32の一部を構成している。
【0054】
図4及び
図5に示すように、本体シート60の各ランド部63における第1本体面60aに、液流路66が設けられていてもよい。この場合、本体シート60は、ウィックシートとも称される。液流路66は、主として、作動液31bが通る少なくとも1つの溝66aを含んでいる。溝66aに、作動蒸気31aが通ってもよい。溝66aは、X方向に延びていてもよい。この場合、Y方向に延びる図示しない溝で、各溝66aが連通していてもよく、蒸気流路65に連通していてもよい。このようにして溝66aは、上述した蒸気流路65に連通していてもよい。
【0055】
液流路66は、作動液31bを輸送するための毛細管構造(ウィック)として構成されている。溝66aは、作動液31bが毛細管作用によって流れるように、蒸気流路65よりも小さな流路断面積を有している。溝66aの幅は、例えば5μm以上150μm以下であってもよい。溝66aの深さは、例えば3μm以上150μm以下であってもよい。
【0056】
各ランド部63の第2本体面60bに液流路66は設けられていなくてもよい。しかしながら、各ランド部63の第2本体面60bに液流路66が設けられていてもよい。液流路66は、第1本体面60a及び第2本体面60bの両方に設けられていてもよいが、いずれか一方に設けられて他方に設けられていなくてもよい。このような液流路66は、上述した密封空間32の一部を構成している。
【0057】
本体シート60の厚みは、例えば50μm以上400μm以下であってもよい。また、ベイパーチャンバー30全体としての厚みは、例えば100μm以上1000μm以下であってもよい。
【0058】
第1シート40、第2シート50及び本体シート60は、熱伝導性が高い材料で構成されていてもよい。第1シート40、第2シート50及び本体シート60は、例えば銅又は銅合金等の金属材料で構成されていてもよい。
【0059】
ベイパーチャンバー30の構成は、上述した構成に限られることはなく、任意である。
【0060】
例えば、上述したベイパーチャンバー30の液流路66は、流路としての溝66aを含むことに限られることはない。例えば、液流路66は、図示しないウィック部材で構成されていてもよい。ウィック部材は、毛細管作用を発揮する部材であれば、金属メッシュ、多孔質焼結体、不織布等により形成されていてもよい。ウィック部材が金属メッシュで形成される場合、銅線又はステンレス線を、平織、綾織、平畳織又は綾畳織等の形状にして、金属メッシュを形成してもよい。ウィック部材は、蒸気流路65に位置していてもよい。
【0061】
例えば、第1シート40と第2シート50との間に、1つの本体シート60が位置していることに限られることはない。例えば、第1シート40と第2シート50との間に、2つ以上の本体シート60が位置していてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30は、第1シート40と第2シート50を含めて、4層以上で構成されていてもよい。蒸気流路65及び液流路66の構成は任意である。2つ以上の本体シート60の構成は同一でもよく互いに異なっていてもよい。
【0062】
例えば、第1シート40と第2シート50との間に本体シート60が位置していることに限られることはない。例えば、第1シート40と第2シート50との間に本体シート60が位置していなくてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30は、2層構成を有していてもよい。この場合、蒸気流路65及び液流路66は、いずれか一方のシートに形成されていてもよく、両方のシートに形成されていてもよい。蒸気流路65がいずれか一方のシートに形成される場合、液流路66は、同じシートに形成されていてもよく、他方のシートに形成されていてもよい。
【0063】
後述するようにベイパーチャンバー30を屈曲させる場合、ベイパーチャンバー30は、第1シート40と第2シート50と1つ又は複数の本体シート60の3層以上の構成を有していてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30を容易に屈曲できる。
【0064】
図2に示すように、本実施の形態によるベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと、第1放熱部34Pと、第1中間部35Pと、を含んでいてもよい。
図2に示す矢印は、熱の流れを示している。他の図面でも同様である。
【0065】
第1受熱部33Pは、電子デバイスDの第1デバイス外面Daから熱を受ける。第1受熱部33Pは、電子デバイスDの第1デバイス外面Daに熱的に接続されていてもよい。電子デバイスDの第1デバイス外面Daと第1受熱部33Pの第1外面30aとの間に、上述したTIMシート70が介在されていてもよい。第1受熱部33Pは、放熱体81に離間して対向していてもよい。第1受熱部33Pは、電子デバイスDからの熱を受けることにより作動液31bが蒸発する部分であってもよい。第1受熱部33Pは、Y方向で見たときに、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0066】
第1放熱部34Pは、平面視において第1受熱部33Pとは異なる位置に位置している。第1放熱部34Pは、X方向において第1受熱部33Pの一側に位置していてもよい。第1放熱部34Pは、第1中間部35Pに対して第1受熱部33Pとは反対側に位置していてもよい。
【0067】
第1放熱部34Pは、放熱体81に熱を放出してもよい。第1放熱部34Pは、放熱体81の後述する第1放熱体面81aに熱的に接続されていてもよい。第1放熱部34Pは、第1放熱体面81aに位置する第2受熱領域83に熱を放出してもよい。第1放熱部34Pの第1外面30aと第1放熱体面81aとの間に、上述したTIMシート70が介在されていてもよい。第1放熱部34Pは、作動蒸気31aが熱を放出して凝縮し、作動液31bが生成される部分であってもよい。第1放熱部34Pは、Y方向で見たときに、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0068】
第1中間部35Pは、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間に介在されている。第1中間部35Pは、直線状の断面形状を有していてもよい。Y方向で見たときに、第1中間部35Pは、第1受熱部33Pに対して垂直に形成されていてもよく、第1放熱部34Pに対して垂直に形成されていてもよい。第1中間部35Pは、Z方向に延びていてもよい。第1中間部35Pは、作動蒸気31aの一部が熱を放出して凝縮し、作動液31bが生成される部分であってもよい。
【0069】
Y方向で見たときに、ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されていてもよい。ベイパーチャンバー30を構成する後述の第1シート40、第2シート50及び本体シート60が屈曲されていてもよい。
図2に示す例では、ベイパーチャンバー30は、2つの異なる位置で屈曲されている。本実施の形態によるベイパーチャンバー30は、Y方向で見たときに、第1受熱部33Pと第1中間部35Pとの間で屈曲されているとともに、第1中間部35Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されている。ベイパーチャンバー30は、各々の位置で直角に屈曲されていてもよい。
【0070】
Y方向で見たときに、第1シート40、第2シート50及び本体シート60は、第1受熱部33Pから第1放熱部34Pにわたって形成されていてもよい。より具体的には、各シート40、50、60は、第1受熱部33Pから第1中間部35Pを通って第1放熱部34Pに延びていてもよい。上述した本体シート60のランド部63、蒸気流路65及び液流路66は、第1受熱部33Pから第1中間部35Pを通って第1放熱部34Pに延びていてもよい。
【0071】
次に、このような構成からなる本実施の形態によるベイパーチャンバー30の製造方法について説明する。
【0072】
まず、準備工程として、第1シート40、第2シート50及び本体シート60を準備する。準備工程は、本体シート60を作製する工程を含んでいてもよい。本体シート60を作製する工程は、金属材料シートMを準備する材料シート準備工程と、金属材料シートMをエッチングするエッチング工程と、を含んでいてもよい。
【0073】
材料シート準備工程においては、
図6Aに示すように、第1材料面Maと第2材料面Mbとを有する平板状の金属材料シートMを準備する。金属材料シートMとしては、所望の厚みを有する圧延材を用いてもよい。
【0074】
エッチング工程においては、
図6Bに示すように、金属材料シートMを、第1材料面Ma及び第2材料面Mbからエッチングして、蒸気流路65及び液流路66を形成する。エッチング工程において、まず、金属材料シートMの第1材料面Ma及び第2材料面Mbに、フォトリソグラフィー技術によって、パターン状のレジスト膜(図示せず)を形成してもよい。そして、パターン状のレジスト膜の開口を介して、金属材料シートMの第1材料面Ma及び第2材料面Mbをエッチングしてもよい。エッチング液としては、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、あるいは塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いてもよい。
【0075】
次に、仮止め工程として、第1シート40、本体シート60及び第2シート50を仮止めする。例えば、各シート40、50、60は、スポット溶接あるいはレーザ溶接で仮止めされてもよい。
【0076】
続いて、接合工程として、
図6Cに示すように、第1シート40、本体シート60及び第2シート50を、互いに接合する。例えば、各シート40、50、60は、拡散接合により互いに接合されてもよい。
【0077】
次に、注入工程として、図示しない注入部から密封空間32に作動液31bを注入する。
【0078】
次に、封止工程として、注入部を閉塞して密封空間32を封止する。
【0079】
その後、屈曲工程として、ベイパーチャンバー30が屈曲される。より具体的には、Y方向で見たときに、第1受熱部33Pと第1中間部35Pとの間で、ベイパーチャンバー30が屈曲されるとともに、第1中間部35Pと第1放熱部34Pとの間で、ベイパーチャンバー30が屈曲される。
【0080】
これにより、
図4~
図6に示すようなベイパーチャンバー30を得ることができる。屈曲工程は、封止工程の後に行われることに限られることはなく、例えば、接合工程と注入工程との間に行われてもよい。
【0081】
次に、本実施の形態による放熱構造デバイス90の製造方法について説明する。
【0082】
まず、放熱体81に電子デバイスDが貼り付けられる。電子デバイスDは、TIMシート70を介在させて放熱体81に貼り付けられる。このことにより、電子デバイスDが、放熱体81に熱的に接続される。
【0083】
次に、電子デバイスDに、ベイパーチャンバー30が貼り付けられる。ベイパーチャンバー30の第1受熱部33Pは、TIMシート70を介在させて電子デバイスDに貼り付けられる。このことにより、ベイパーチャンバー30の第1受熱部33Pが電子デバイスDに熱的に接続される。ベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pは、TIMシート70を介在させて放熱体81に貼り付けられる。このことにより、ベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pが放熱体81に熱的に接続される。
【0084】
以上のようにして、本実施の形態による放熱構造デバイス90が得られる。
【0085】
次に、ベイパーチャンバー30を含む放熱構造デバイス90の動作方法、すなわち、電子デバイスDの冷却方法について説明する。
【0086】
上述のようにして得られた放熱構造デバイス90は、モバイル端末等のハウジングH内に設置される。電子デバイスDが発熱すると、ベイパーチャンバー30の第1受熱部33Pに位置する作動液31bが、電子デバイスDの第1デバイス外面Daから熱を受ける。受けた熱は潜熱として吸収されて作動液31bが蒸発し、作動蒸気31aが生成される。ベイパーチャンバー30内で生成された作動蒸気31aは、
図5に示す実線矢印で示されているように、蒸気流路65を通って第1放熱部34Pに向かって拡散する。
【0087】
ベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pにおいて、作動蒸気31aは、主として放熱体81の第1放熱体面81aに熱を放出して冷却される。第2シート50が作動蒸気31aから受けた熱は、ベイパーチャンバー30の周囲に放出される。
【0088】
作動蒸気31aは、第1放熱部34Pにおいて熱を放出する。このことにより、作動蒸気31aは凝縮し、作動液31bが生成される。一方、第1受熱部33Pでは作動液31bが蒸発し続けている。このため、第1放熱部34Pで凝縮した作動液31bは、第1受熱部33Pに輸送される。より具体的には、
図5に示す破線矢印に示すように、作動液31bは、液流路66の溝66aの毛細管作用により、第1受熱部33Pに輸送される。
【0089】
第1受熱部33Pに達した作動液31bは、電子デバイスDから再び熱を受けて蒸発する。そして、作動蒸気31aは、蒸気流路65内で拡散する。このようにして、作動流体31a、31bが、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながら密封空間32内を還流する。このことにより、電子デバイスDの熱は、蒸気流路65内の作動蒸気31aの拡散によって輸送されて、放出される。
【0090】
このようにして、本実施の形態によるベイパーチャンバー30が電子デバイスDの熱を放出して、電子デバイスDを冷却する。
【0091】
一方、電子デバイスDの熱の一部は、放熱体81の第1放熱体面81aに放出される。放熱体81が電子デバイスD及びベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pから受けた熱は、放熱体81の内部を移動し、放熱体81の外部に放出される。例えば、放熱体81は、周囲の外気に熱を放出してもよく、周囲に存在する構造物に熱を放出してもよい。
【0092】
このようにして、本実施の形態による放熱装置80が電子デバイスDの熱を放出して、電子デバイスDを冷却する。
【0093】
このように本実施の形態によれば、電子デバイスDの第1デバイス外面Daにベイパーチャンバー30が熱的に接続されるとともに、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbにベイパーチャンバー30が熱的に接続されている。このことにより、電子デバイスDの熱を、ベイパーチャンバー30で吸収できるとともに放熱体81で吸収できる。ベイパーチャンバー30で吸収された熱は、放熱体81に放出できる。放熱体81は、ベイパーチャンバー30及び電子デバイスDから受けた熱を外部に放出できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0094】
本実施の形態によれば、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbが、第1デバイス外面Daとは反対側に位置している。このことにより、互いに反対側に位置する第1デバイス外面Da及び第2デバイス外面Dbから電子デバイスDの熱を吸収できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0095】
本実施の形態によれば、ベイパーチャンバー30は、電子デバイスDの第1デバイス外面Daから熱を受ける第1受熱部33Pと、放熱体81に熱を放出する第1放熱部34Pと、を含んでいる。このことにより、ベイパーチャンバー30は、電子デバイスDの熱を第1受熱部33Pから吸収して第1放熱部34Pに放出できる。
【0096】
本実施の形態によれば、放熱体81は、ベイパーチャンバー30に対向する第1放熱体面81aを含み、第1放熱体面81aに、ベイパーチャンバー30の第1放熱部34P及び電子デバイスDの第2デバイス外面Dbが熱的に接続されている。このことにより、第1放熱体面81aにおいて、放熱体81は、電子デバイスDからの熱を受けることができるとともに、ベイパーチャンバー30からの熱を受けることができる。このため、第1放熱体面81aで受けた熱を、第1放熱体面81a以外の面から外部に放出でき、放熱面積を増大できる。この結果、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0097】
本実施の形態によれば、ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと第1中間部35Pとの間で屈曲されるとともに、第1中間部35Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されている。このことにより、ベイパーチャンバー30の第1受熱部33Pを電子デバイスDの第1デバイス外面Daに熱的に接続できるとともに、第1放熱部34Pを放熱体81に熱的に接続できる。このため、電子デバイスDの第1デバイス外面Daから受けた熱を放熱体81に放出するための放熱構造デバイス90の構成を簡素化できる。
【0098】
第1変形例について説明する。
【0099】
上述した本実施の形態においては、ベイパーチャンバー30の第1中間部35Pが、第1受熱部33Pに対して垂直に形成されているとともに第1放熱部34Pに対して垂直に形成されている例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図7に示すように、第1中間部35Pは、第1受熱部33Pに対して傾斜しているとともに、第1放熱部34Pに対して傾斜していてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30を滑らかに屈曲でき、蒸気流路65の流路抵抗を低減できる。このため、電子デバイスDの熱を容易に拡散でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。第2受熱領域83を第1受熱領域82から離すことができ、第2受熱領域83が受けた熱が第1受熱領域82に伝わることを抑制できる。
図7に示すように、第1中間部35Pと第1放熱体面81aとの間の角度θが90度よりも小さくなっていてもよい。
図7においては、便宜上、TIMシート70は省略している。以降の図面においても同様である。
【0100】
第2変形例について説明する。
【0101】
上述した本実施の形態においては、ベイパーチャンバー30の第1中間部35Pが、直線状の断面形状を有している例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図8に示すように、ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されていてもよい。ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間に介在された第1中間部35Pを含んでいてもよい。第1中間部35Pは、Y方向で見たときに、曲線状の断面形状を有するように屈曲されていてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30を滑らかに屈曲でき、蒸気流路65の流路抵抗を低減できる。このため、電子デバイスDの熱を容易に拡散でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0102】
第3変形例について説明する。
【0103】
上述した本実施の形態においては、ベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pが、放熱体81の第1放熱体面81aに位置する第2受熱領域83に熱を放出する例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図9に示すように、放熱装置80は、伝熱部材85を含んでいてもよい。伝熱部材85を介して、第1放熱部34Pは、第2受熱領域83に熱を放出してもよい。より具体的には、第1放熱部34Pと第1放熱体面81aとの間に伝熱部材85が介在され、第1放熱部34Pは、伝熱部材85を介して第1放熱体面81aに熱的に接続されていてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30を屈曲させることを不要にできる。このことにより、蒸気流路65が屈曲することを回避でき、蒸気流路65の流路抵抗を低減できる。更に、ベイパーチャンバー30の製造コストを低減できる。
【0104】
伝熱部材85は、ベイパーチャンバー30の熱を放熱体81に放出するように、熱伝導性が良好な材料で構成されていてもよい。伝熱部材85は、例えば金属材料で構成されていてもよい。金属材料の例としては、鉄、ニッケル、アルミニウム、金、銅、銀などが挙げられる。伝熱部材85は、例えば炭素材料で構成されていてもよい。炭素材料としては、グラファイトなどが挙げられる。伝熱部材85の厚みは、電子デバイスDの厚みに応じて設定されていてもよい。
【0105】
図9に示すように、第1放熱部34Pの第1外面30aと伝熱部材85との間に、TIMシート70(
図2参照)が介在されていてもよい。ベイパーチャンバー30は、屈曲されていなくてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pから第1放熱部34Pにわたって平坦状に形成されていてもよい。なお、ベイパーチャンバー30は、伝熱部材85の代わりにTIMシート70を介在させて、放熱体81に熱的に接続されていてもよい。この場合、複数枚のTIMシート70を介在させてベイパーチャンバー30と放熱体81とが熱的に接続されていてもよい。
【0106】
第4変形例について説明する。
【0107】
上述した本実施の形態においては、ベイパーチャンバー30が、1つの第1受熱部33Pと、1つの第1放熱部34Pと、を含んでいる例について説明した。この例は、
図10に示すように、第1放熱部34Pが、X方向において第1受熱部33Pの一側に位置しており、第1受熱部33P及び第1放熱部34PがX方向に沿って位置している例である。
図10において、破線は熱源である電子デバイスDを示し、二点鎖線は、ベイパーチャンバー30の接続面37を示している。接続面37は、第1外面30aのうちの第1放熱部34Pが放熱体81の第1放熱体面81aに熱的に接続している部分である。接続面37が第1放熱体面81aに熱的に接続しているとは、第1放熱部34Pが第1放熱体面81aに直接接触している場合を含む他、両者の間に伝熱部材85等の他の部材が介在されている場合も含む。放熱体81は、ベイパーチャンバー30と重なっていてもよい。
図10に示す例においては、放熱体81が、ベイパーチャンバー30と同様な平面形状を有している。
【0108】
しかしながら、本開示は、ベイパーチャンバー30が、1つの第1受熱部33Pと、1つの第1放熱部34Pと、を含んでいることに限られることはない。例えば、ベイパーチャンバー30は、1つの第1受熱部33Pと、複数の第1放熱部34Pと、を含んでいてもよい。
【0109】
例えば、
図11に示すように、ベイパーチャンバー30が2つの第1放熱部34Pを含んでいてもよい。各第1放熱部34Pは、第1受熱部33Pに対してX方向に沿って位置していてもよい。第1放熱部34Pは、X方向において第1受熱部33Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。X方向において、2つの第1放熱部34Pの間に第1受熱部33Pが介在されていてもよい。
図11に示す例によれば、ベイパーチャンバー30の放熱面積を増大できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
図11に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視で直線状に形成されていてもよい。放熱体81は、ベイパーチャンバー30と重なっていてもよい。
図11に示す例では、放熱体81は、ベイパーチャンバー30と同様な平面形状を有している。後述する
図12~
図14においても、放熱体81が、ベイパーチャンバー30と同様な平面形状を有している例が示されている。
【0110】
あるいは、複数の第1放熱部34Pは、第1受熱部33Pに対してX方向に沿って位置する第1放熱部34Pと、第1受熱部33Pに対してX方向とは異なる方向に沿って位置する他の第1放熱部34Pと、を含んでいてもよい。
【0111】
例えば、
図12に示すように、ベイパーチャンバー30が3つの第1放熱部34Pを含んでいてもよい。2つの第1放熱部34Pは、第1受熱部33Pに対してX方向に沿って位置していてもよい。他の1つの第1放熱部34Pは、第1受熱部33Pに対してX方向とは異なる方向に沿って位置していてもよい。
図12に示す例においては、2つの第1放熱部34Pは、X方向において第1受熱部33Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。他の1つの第1放熱部34Pは、Y方向において第1受熱部33Pとは異なる位置に位置していてもよい。
図12に示す例によれば、ベイパーチャンバー30の放熱面積を増大できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
図12に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視でT字状に形成されている。
図12に示す例では、第1受熱部33Pに対してX方向に沿う第1放熱部34Pの個数は1つであってもよい。この場合、ベイパーチャンバー30は、平面視でL字状に形成されていてもよい。
【0112】
例えば、
図13に示すように、ベイパーチャンバー30が4つの第1放熱部34Pを含んでいてもよい。2つの第1放熱部34Pは、第1受熱部33Pに対してX方向に沿って位置していてもよい。他の2つの第1放熱部34Pは、第1受熱部33Pに対してX方向とは異なる方向に沿って位置していてもよい。
図13に示す例においては、2つの第1放熱部34Pは、X方向において第1受熱部33Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。他の2つの第1放熱部34Pは、Y方向において第1受熱部33Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。
図13に示す例によれば、ベイパーチャンバー30の放熱面積を増大できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
図13に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視で十字状に形成されていてもよい。
【0113】
例えば、
図14に示すように、ベイパーチャンバー30が8つの第1放熱部34Pを含んでいてもよい。
図14に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視で放射状に形成されている。2つの第1放熱部34Pは、X方向において第1受熱部33Pの両側にそれぞれ位置し、他の2つの第1放熱部34Pは、Y方向において第1受熱部33Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。残り4つの第1放熱部34Pは、X方向及びY方向に対して45°の角度をなす方向において、第1受熱部33Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。
【0114】
第5変形例について説明する。
【0115】
上述した本実施の形態においては、ベイパーチャンバー30が、1つの第1受熱部33Pと、1つの第1放熱部34Pを含んでいる例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、ベイパーチャンバー30は、複数の第1受熱部33Pと、1つの第1放熱部34Pと、を含んでいてもよい。
【0116】
例えば、
図15に示すように、ベイパーチャンバー30が2つの第1受熱部33Pを含んでいてもよい。各第1受熱部33Pは、第1放熱部34Pに対してX方向に沿って位置していてもよい。第1受熱部33Pは、X方向において第1放熱部34Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。X方向において、2つの第1受熱部33Pの間に第1放熱部34Pが介在されていてもよい。
図15に示す例によれば、1つのベイパーチャンバー30で2つの電子デバイスDを冷却でき、放熱構造デバイス90の製造コストを低減できる。
図15に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視で直線状に形成されていてもよい。放熱体81は、ベイパーチャンバー30と重なっていてもよい。
図15に示す例では、放熱体81は、ベイパーチャンバー30と同様な平面形状を有している。後述する
図16~
図18においても、放熱体81が、ベイパーチャンバー30と同様な平面形状を有している例が示されている。
【0117】
あるいは、複数の第1受熱部33Pは、第1放熱部34Pに対してX方向に沿って位置する第1受熱部33Pと、第1放熱部34Pに対してX方向とは異なる方向に沿って位置する他の第1受熱部33Pと、を含んでいてもよい。
【0118】
例えば、
図16に示すように、ベイパーチャンバー30が3つの第1受熱部33Pを含んでいてもよい。2つの第1受熱部33Pは、第1放熱部34Pに対してX方向に沿って位置していてもよい。他の第1受熱部33Pは、第1放熱部34Pに対してX方向とは異なる方向に沿って位置していてよい。
図16に示す例においては、2つの第1受熱部33Pは、X方向において第1放熱部34Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。他の1つの第1受熱部33Pは、Y方向において第1放熱部34Pとは異なる位置に位置していてもよい。
図16に示す例によれば、1つのベイパーチャンバー30で3つの電子デバイスDを冷却でき、放熱構造デバイス90の製造コストを低減できる。
図16に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視でT字状に形成されていてもよい。
図16に示す例では、第1受熱部33Pに対してX方向に沿う第1受熱部33Pの個数は1つであってもよい。この場合、ベイパーチャンバー30は、平面視でL字状に形成されていてもよい。
【0119】
例えば、
図17に示すように、ベイパーチャンバー30が4つの第1受熱部33Pを含んでいてもよい。2つの第1受熱部33Pは、第1放熱部34Pに対してX方向に沿って位置していてもよい。他の2つの第1放熱部34Pは、第1放熱部34Pに対してX方向とは異なる方向に沿って位置していてもよい。
図17に示す例においては、2つの第1受熱部33Pは、X方向において第1放熱部34Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。他の2つの第1受熱部33Pは、Y方向において第1放熱部34Pとは異なる位置に位置していてもよい。
図17に示す例によれば、1つのベイパーチャンバー30で4つの電子デバイスDを冷却でき、放熱構造デバイス90の製造コストを低減できる。
図17に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視で十字状に形成されていてもよい。
【0120】
例えば、
図18に示すように、ベイパーチャンバー30が8つの第1受熱部33Pを含んでいてもよい。
図18に示す例では、ベイパーチャンバー30は、平面視で放射状に形成されている。2つの第1受熱部33Pは、X方向において第1放熱部34Pの両側にそれぞれ位置し、他の2つの第1受熱部33Pは、Y方向において第1放熱部34Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。残りの4つの第1受熱部33Pは、X方向及びY方向に対して45°の角度をなす方向において、第1放熱部34Pの両側にそれぞれ位置していてもよい。
【0121】
第6変形例について説明する。
【0122】
上述した本実施の形態においては、ベイパーチャンバー30が、1つの第1受熱部33Pと、1つの第1放熱部34Pを含んでいる例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図19及び
図20に示すように、ベイパーチャンバー30は、1つの第1受熱部33Pと、4つの第1放熱部34Pと、を含んでいてもよい。平面視においては、4つの第1放熱部34Pは、上述した
図13に示す例と同様に位置していてもよい。放熱体81は、ベイパーチャンバー30と重なっていてもよい。
図20に示す例では、放熱体81は、ベイパーチャンバー30と同様な平面形状を有している。
【0123】
図19及び
図20に示すように、ベイパーチャンバー30は、4つの第1中間部35Pを含んでいてもよい。各第1中間部35Pは、第1受熱部33Pと対応する第1放熱部34Pとの間に介在されていてもよい。ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと各第1中間部35Pとの間で屈曲されるとともに、各第1中間部35Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されている。各第1中間部35Pは、第1受熱部33Pに対して垂直に形成されていてもよく、対応する第1放熱部34Pに対して垂直に形成されていてもよい。各第1中間部35Pは、直線状の断面形状を有していてもよい。各第1中間部35Pは、第1受熱部33Pに対して同じ方向に屈曲されていてもよく、電子デバイスDを囲んでいてもよい。このことにより、第1受熱部33Pと4つの第1中間部35Pとにより、電子デバイスDを収容する収容空間36が形成されていてもよい。
【0124】
4つの第1放熱部34Pは、放熱体81の第1放熱体面81aに熱的に接続されていてもよい。放熱体81は、4つの第2受熱領域83を含んでいてもよい。各第2受熱領域83は、対応する第1放熱部34Pから熱を受ける。
図19及び
図20に示す例において、ベイパーチャンバー30を構成するシート40、50、60のいずれかが純銅、銅合金、アルミニウム若しくはステンレス鋼等の金属材料、又はセラミックスで構成されている場合、ベイパーチャンバー30は電磁波を防ぐシールドケースの役割を有することができる。この場合、電子デバイスDを電磁波から防ぐことができる。
【0125】
第7変形例について説明する。
【0126】
上述した本実施の形態においては、放熱体81の第1放熱体面81aに、ベイパーチャンバー30の第1放熱部34P及び電子デバイスDの第2デバイス外面Dbが位置している例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図21に示すように、第1放熱体面81aに電子デバイスDの第2デバイス外面Dbが位置し、第3放熱体面81cにベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pが位置していてもよい。第1放熱体面81aの面積が小さいことにより、第1放熱部34Pを熱的に接続するためのスペースを第1放熱体面81aに確保できない場合であっても、第1放熱部34Pから第3放熱体面81cに熱を放出できる。言い換えると、放熱体81のコンパクト化及び軽量化を図ることができる。電子デバイスD及び放熱体81の周辺スペースが少ない場合であっても、ベイパーチャンバー30は第3放熱体面81cに熱を放出でき、放熱構造デバイス90の構成を簡素化できる。
【0127】
図21に示す例においては、第1放熱部34Pから熱を受ける第2受熱領域83は、第3放熱体面81cに位置していてもよい。
【0128】
図21に示すベイパーチャンバー30は、第1中間部35Pを含んでいなくてもよい。ベイパーチャンバー30は、Y方向で見たときに、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されていてもよい。第1放熱部34Pは、第1受熱部33Pに対して垂直に形成されていてもよい。
【0129】
第8変形例について説明する。
【0130】
上述した第7変形例においては、例えば、
図22に示すように、ベイパーチャンバー30が、延長放熱部38Pを含んでいてもよい。延長放熱部38Pは、第1放熱部34Pに対して第1受熱部33Pとは反対側に位置している。延長放熱部38Pは、第2放熱体面81bに熱的に接続されていてもよい。延長放熱部38Pは、放熱体81の第2放熱体面81bに熱を放出してもよい。第1放熱体面81aの面積が小さいことにより、第1放熱部34Pを熱的に接続するためのスペースを第1放熱体面81aに確保できない場合であっても、第1放熱部34Pから第3放熱体面81cに熱を放出できる。更に、延長放熱部38Pから第2放熱体面81bに熱を放出できる。このため、放熱体81のより一層のコンパクト化及びより一層の軽量化を図ることができる。電子デバイスD及び放熱体81の周辺スペースが少ない場合であっても、ベイパーチャンバー30は第2放熱体面81b及び第3放熱体面81cに熱を放出でき、放熱構造デバイス90の構成を簡素化できる。
【0131】
図22に示す例においては、放熱体81は、延長放熱部38Pから熱を受ける第3受熱領域84を含んでいてもよい。第3受熱領域84は、第2放熱体面81bに位置していてもよい。
【0132】
図22に示すベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されるとともに、第1放熱部34Pと延長放熱部38Pの間で屈曲されていてもよい。延長放熱部38Pは、第1受熱部33Pに対向していてもよく、第1放熱部34Pに対して垂直に形成されていてもよい。
【0133】
第9変形例について説明する。
【0134】
上述した本実施の形態においては、ベイパーチャンバー30の第1放熱部34Pが、平面視において第1受熱部33Pとは異なる位置に位置している例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図23に示すように、第1放熱部34Pは、放熱体81と電子デバイスDの第2デバイス外面Dbとの間に介在されていてもよい。この場合、第1放熱部34Pは、平面視において、第1受熱部33Pと重なっていてもよく、電子デバイスDと重なっていてもよい。
【0135】
より具体的には、
図23に示すように、ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されていてもよい。ベイパーチャンバー30は、第1受熱部33Pと第1放熱部34Pとの間に介在された第1中間部35Pを含んでいてもよい。第1中間部35Pは、Y方向で見たときに、曲線状の断面形状を有するように屈曲されていてもよい。
【0136】
第1放熱部34Pは、放熱体81の第1放熱体面81aと電子デバイスDの第2デバイス外面Dbとの間に介在されていてもよい。第1放熱部34Pは、第2デバイス外面Dbから熱を受けるとともに、熱を第1放熱体面81aに放出する。放熱体81の第1受熱領域82及び第2受熱領域83は、第1放熱体面81aに位置して一体に形成されていてもよい。第1受熱領域82及び第2受熱領域83は、第1放熱体面81aにおいて同じ位置に位置していてもよい。第1受熱領域82及び第2受熱領域83は、第1放熱部34Pを介して第2デバイス外面Dbから熱を受ける。
【0137】
電子デバイスDと第1放熱部34Pとの間にTIMシート70(
図2参照)が介在されていてもよく、第1放熱部34Pと第1放熱体面81aとの間にTIMシート70が介在されていてもよい。
【0138】
図23に示す例においては、第1受熱部33Pにおいて、電子デバイスDからの熱を受けることにより作動液31bが蒸発して作動蒸気31aが生成される。作動蒸気31aは、第1放熱部34Pに向かって拡散する。第1放熱部34Pにおいて、作動蒸気31aが熱を放出して凝縮し、作動液31bが生成され、作動液31bの一部は、第1受熱部33Pに輸送される。第1放熱部34Pにおいても、電子デバイスDからの熱を受けて作動液31bが蒸発して作動蒸気31aが生成される。第1放熱部34P内で、作動流体31a、31bが相変化を繰り返しながら還流してもよい。
【0139】
図23に示す例によれば、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbから受ける熱を、第1放熱体面81aに沿うように拡散できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。また、1つのベイパーチャンバー30で、電子デバイスDの第1デバイス外面Da及び第2デバイス外面Dbの両方から熱を受けることができる。このため、電子デバイスDから放熱体81への熱の放出量を増大でき、電子デバイスDの冷却効率をより一層向上できる。
【0140】
図23に示す例においては、ベイパーチャンバー30の第1中間部35Pは、曲線状の断面形状を有するように屈曲されている。しかしながら、第1中間部35Pは、直線状の断面形状を有していてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30は、Y方向で見たときに、第1受熱部33Pと第1中間部35Pとの間で屈曲されるとともに、第1中間部35Pと第1放熱部34Pとの間で屈曲されてもよい。例えば、第1中間部35PはZ方向に延びていてもよく、第1放熱部34Pに対して垂直に形成されていてもよい。この場合、ベイパーチャンバー30と放熱体81とが接する面積を増大できる。このことにより、第1放熱部34Pの面積を増大でき、第1放熱部34Pから放熱体81への熱の放出量を増大できる。このため、電子デバイスDの冷却効率をより一層向上できる。
【0141】
(第2の実施の形態)
次に、
図24及び
図25を用いて、本開示の第2の実施の形態による放熱構造デバイス及び電子機器について説明する。
【0142】
図24及び
図25に示す第2の実施の形態においては、放熱体と電子デバイスの第2外面部との間に第2ベイパーチャンバーが介在されている点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図23に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図24及び
図25において、
図1~
図23に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0143】
図24に示すように、本実施の形態による放熱構造デバイス90の放熱装置80は、放熱体81と、第1ベイパーチャンバー30Pと、第2ベイパーチャンバー30Qと、を含んでいてもよい。
【0144】
第1ベイパーチャンバー30Pは、第1の実施の形態によるベイパーチャンバー30と同様に構成されていてもよい。
図24に示す例では、
図7に示すベイパーチャンバー30と同様の形状を有している第1ベイパーチャンバー30Pが示されているが、第1ベイパーチャンバー30Pの形状は任意である。第1ベイパーチャンバー30Pの第1放熱部34Pは、放熱体81の第2受熱領域83に熱を放出する。第1放熱部34Pは、第1放熱体面81aに熱的に接続されていてもよい。第1放熱部34Pと第1放熱体面81aとの間に第2ベイパーチャンバー30Qが介在されていなくてもよい。
【0145】
第2ベイパーチャンバー30Qは、放熱体81と電子デバイスDの第2デバイス外面Dbとの間に介在されていてもよい。第2ベイパーチャンバー30Qは、第1ベイパーチャンバー30Pと同様に構成されていてもよい。このため、第2ベイパーチャンバー30Qの詳細構成についての説明は省略する。第2ベイパーチャンバー30Qの第1外面30aは、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbに対向するとともに第1ベイパーチャンバー30Pの第1外面30aに対向していてもよい。この場合、第2ベイパーチャンバー30Qの第2外面30bは、放熱体81の第1放熱体面81aに対向していてもよい。
図24に示す例とは異なり、第2ベイパーチャンバー30Qの第1外面30aが第1放熱体面81aに対向してもよく、第2外面30bが電子デバイスDの第2デバイス外面Dbに対向していてもよい。
【0146】
第2ベイパーチャンバー30Qは、第2受熱部33Qと、第2放熱部34Qと、を含んでいてもよい。
【0147】
第2受熱部33Qは、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbから熱を受ける。第2受熱部33Qは、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbに熱的に接続されていてもよい。電子デバイスDの第2デバイス外面Dbと第2受熱部33Qの第1外面30aとの間に、上述したTIMシート70(
図2参照)が介在されていてもよい。第2受熱部33Qは、第1ベイパーチャンバー30Pの第1受熱部33Pに対して離間して対向していてもよい。第2受熱部33Qは、電子デバイスDからの熱を受けることにより作動液31bが蒸発する部分であってもよい。
【0148】
第2受熱部33Qは、放熱体81に熱を放出してもよい。第2受熱部33Qは、放熱体81の第1放熱体面81aに熱的に接続されていてもよい。第2受熱部33Qの第2外面30bと第1放熱体面81aとの間に、上述したTIMシート70(
図2参照)が介在されていてもよい。第2受熱部33Qは、作動蒸気31aが熱を放出して凝縮し、作動液31bが生成される部分であってもよい。本実施の形態による第2受熱部33Qは、電子デバイスDから熱を受けるだけでなく、放熱体81に熱を放出する機能を有していてもよい。
【0149】
第2放熱部34Qは、第2受熱部33Qとは異なる位置に位置している。第2放熱部34Qは、X方向において第2受熱部33Qの一側に位置していてもよい。
【0150】
本実施の形態による第2ベイパーチャンバー30Qは、2つの第2放熱部34Qを含んでいてもよい。第2受熱部33Q及び各第2放熱部34Qは、X方向に沿って位置していてもよい。第2放熱部34Qは、X方向において第2受熱部33Qの両側にそれぞれ位置していてもよい。2つの第2放熱部34Qの間に、第2受熱部33Qが介在されていてもよい。第2ベイパーチャンバー30Qは、平坦状に形成されていてもよい。放熱体81の第1受熱領域82は、第2ベイパーチャンバー30Qを介して電子デバイスDの第2デバイス外面Dbから熱を受ける。
【0151】
図24に示す例においては、第2ベイパーチャンバー30Qの第2受熱部33Qが電子デバイスDの第2デバイス外面Dbから熱を受けることにより作動液31bが蒸発して作動蒸気31aが生成される。作動蒸気31aは、第2放熱部34Qに向かって拡散する。第2放熱部34Qにおいて、作動蒸気31aが熱を放出して凝縮し、作動液31bが生成される。作動液31bは第2受熱部33Qに輸送される。第2受熱部33Qにおいて、作動蒸気31aの一部は、放熱体81に熱を放出して凝縮し、作動液31bが生成される。作動流体31a、31bの一部は、第2受熱部33Qにおいて相変化を繰り返しながら還流してもよい。
【0152】
本実施の形態によれば、第2ベイパーチャンバー30Qは、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbから受ける熱を、第1放熱体面81aに沿うように拡散できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。また、放熱体81は、電子デバイスDの第1デバイス外面Da及び第2デバイス外面Dbの両方から熱を受けることができる。このため、電子デバイスDから放熱体81への熱の放出量を増大でき、電子デバイスDの冷却効率をより一層向上できる。
【0153】
第10変形例について説明する。
【0154】
上述した本実施の形態においては、第1ベイパーチャンバー30Pの第1放熱部34Pと放熱体81の第1放熱体面81aとの間に、第2ベイパーチャンバー30Qが介在されていない例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図25に示すように、第1放熱部34Pと第1放熱体面81aとの間に、第2ベイパーチャンバー30Qの第2放熱部34Qが介在されていてもよい。第2ベイパーチャンバー30Qは、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbに対向する位置から第1放熱部34Pに対向する位置まで延びていてもよい。
【0155】
第1ベイパーチャンバー30Pの第1放熱部34Pと第2ベイパーチャンバー30Qの第2放熱部34Qとの間に、上述したTIMシート70(
図2参照)が介在されていてもよい。第2放熱部34Qの第2外面30bと第1放熱体面81aとの間に、TIMシート70が介在されていてもよい。
【0156】
図25に示す例においては、第1ベイパーチャンバー30Pの第1放熱部34Pは、第2ベイパーチャンバー30Qの第2放熱部34Qに熱を放出する。第2放熱部34Qは、第1放熱部34Pから熱を受けるとともに、放熱体81の第2受熱領域83に熱を放出する。より具体的には、第2放熱部34Qにおいて、第1放熱部34Pからの熱を受けて作動液31bが蒸発して作動蒸気31aが生成される。第2放熱部34Qにおいて、作動蒸気31aが放熱体81に熱を放出して凝縮し、作動液31bが生成される。作動流体31a、31bの一部は、第2放熱部34Qにおいて相変化を繰り返しながら還流してもよい。このようにして、第1ベイパーチャンバー30Pの第1放熱部34Pは、第2ベイパーチャンバー30Qの第2放熱部34Qを介して放熱体81に熱を放出してもよい。
【0157】
図25に示す例によれば、電子デバイスDの第2デバイス外面Dbから受ける熱を、第2ベイパーチャンバー30Qにおいて第1放熱体面81aに沿うように拡散できる。第1ベイパーチャンバー30Pの第1放熱部34Pから受ける熱を、第2ベイパーチャンバー30Qにおいて第1放熱体面81aに沿うように拡散できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0158】
本開示は上記各実施の形態及び各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。各実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0159】
30 ベイパーチャンバー
30P 第1ベイパーチャンバー
30Q 第2ベイパーチャンバー
31a 作動蒸気
31b 作動液
33P 第1受熱部
34P 第1放熱部
35P 第1中間部
38P 延長放熱部
80 放熱装置
81 放熱体
81a 第1放熱体面
81b 第2放熱体面
81c 第3放熱体面
85 伝熱部材
90 放熱構造デバイス
D 電子デバイス
Da 第1デバイス外面
Db 第2デバイス外面