(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169146
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】トラフィック制御装置
(51)【国際特許分類】
H04L 47/20 20220101AFI20241128BHJP
【FI】
H04L47/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086366
(22)【出願日】2023-05-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三枝 茉由
(72)【発明者】
【氏名】太原 充啓
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030JA10
5K030LC01
5K030LC13
5K030MB09
5K030MC08
(57)【要約】
【課題】複数の端末の通信速度の合計を効率的に閾値以下に制御する
【解決手段】トラフィック制御装置は、複数の端末それぞれが行う通信の通信速度の合計である合計通信速度を監視する監視手段と、前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送されたデータ量を測定する測定手段と、前記合計通信速度が第1閾値を超えている場合、第1期間における前記データ量が第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から規制端末として選択し、前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を予め決められた速度に規制する規制制御を実行する制御手段と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末それぞれが行う通信の通信速度の合計である合計通信速度を監視する監視手段と、
前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送されたデータ量を測定する測定手段と、
前記合計通信速度が第1閾値を超えている場合、第1期間における前記データ量が第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から規制端末として選択し、前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を予め決められた速度に規制する規制制御を実行する制御手段と、
を備えている、トラフィック制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記規制制御の実行を開始した後、所定タイミングにおいて前記合計通信速度が前記第1閾値を超えているかを判定し、前記合計通信速度が前記第1閾値を超えている場合、前記第2閾値をより小さい値に更新し、前記第1期間における前記データ量が更新後の前記第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から前記規制端末として選択する、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項3】
前記所定タイミングは、周期的なタイミングである、請求項2に記載のトラフィック制御装置。
【請求項4】
前記制御手段には、規制期間があらかじめ設定されており、
前記制御手段は、前記規制期間において前記合計通信速度が前記第1閾値を超えると前記規制制御を実行する、請求項2に記載のトラフィック制御装置。
【請求項5】
前記規制期間が経過すると、前記制御手段は、前記規制制御を終了する、請求項4に記載のトラフィック制御装置。
【請求項6】
前記制御手段には、前記規制期間より時間的に早い測定開始タイミングが設定されており、
前記第1期間における前記データ量は、前記測定開始タイミングから前記規制期間の開始タイミングまでの前記データ量である、請求項4に記載のトラフィック制御装置。
【請求項7】
前記制御手段には、前記規制期間より時間的に早い測定開始タイミングが設定されており、
前記測定手段は、前記測定開始タイミングになると、前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送された前記データ量の測定を開始し、
前記第1期間における前記データ量は、前記制御手段が、前記複数の端末から前記規制端末を選択する際に前記測定手段から取得している最新の前記データ量である、請求項4に記載のトラフィック制御装置。
【請求項8】
前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を前記予め決められた速度に規制する規制手段をさらに備え、
前記監視手段は、前記複数の端末それぞれが行う前記通信の方向において、前記規制手段より下流側で前記合計通信速度を監視する、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項9】
前記予め決められた速度は、前記複数の端末それぞれに対して個別に決められた速度である、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項10】
1つ以上のプロセッサを有する装置の前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項1から9のいずれか1項に記載のトラフィック制御装置として機能させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トラフィックの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、トラフィックの制御方法を開示している。特許文献1によると、所定の監視周期でユーザ毎の通信帯域(通信速度)を監視し、通信速度の合計が閾値を超えると、通信速度の合計が閾値以下となる様に、通信速度の上位Nユーザのトラフィックを規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、トラフィックの規制対象とするユーザ数Nを固定的に設定している。したがって、大容量の通信を行っているユーザ数がN未満である場合、大容量の通信を行っていないユーザもトラフィックの規制対象になってしまう。また、トラフィックの規制対象にするユーザ数Nが固定的であるため、各ユーザの通信速度によっては、通信速度の上位Nユーザのトラフィックを規制しても、通信速度の合計を閾値以下にすることができない場合が生じ得る。
【0005】
本開示は、複数の端末の通信速度の合計を効率的に閾値以下に制御する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、トラフィック制御装置は、複数の端末それぞれが行う通信の通信速度の合計である合計通信速度を監視する監視手段と、前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送されたデータ量を測定する測定手段と、前記合計通信速度が第1閾値を超えている場合、第1期間における前記データ量が第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から規制端末として選択し、前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を予め決められた速度に規制する規制制御を実行する制御手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、複数の端末の通信速度の合計を効率的に閾値以下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】測定開始タイミング及び規制期間の例を示す図。
【
図3】幾つかの実施形態による、トラフィック制御装置の構成図。
【
図4】一実施形態による、トラフィック制御装置が実行する処理のフローチャート。
【
図5】一実施形態による、トラフィック制御装置が実行する処理の説明図。
【
図6】一実施形態による、トラフィック制御装置が実行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態を移動通信ネットワーク100に適用した場合のシステム構成を示している。移動通信ネットワーク100は、例えば、3GPP(登録商標)規格に従うネットワークである。移動通信ネットワーク100には、1つ以上の端末2が無線で接続して通信を行う。端末2は、スマートフォンやタブレット等の3GPP(登録商標)規格に準拠した無線デバイス(WD)であり、ユーザ装置(UE)とも呼ばれ得る。端末2は、移動通信ネットワーク100を介して、図示しないインターネット等のパケットデータネットワーク(PDN)上のサーバ装置等と通信することができる。
【0011】
移動通信ネットワーク100は、本実施形態によるトラフィック制御装置1を有する。例えば、端末2がPDN上のサーバ装置等と通信する場合、端末2が送受信するデータは、トラフィック制御装置1を介する様に移動通信ネットワーク100は構成される。なお、
図1においては、1つのトラフィック制御装置1のみを示しているが、移動通信ネットワーク100は、複数のトラフィック制御装置1を有し得る。移動通信ネットワーク100が複数のトラフィック制御装置1を有する場合、端末2がどのトラフィック制御装置1を介してPDN上のサーバ装置と通信するかは、例えば、端末2の位置や、端末2のユーザが移動通信ネットワーク100を利用するために締結している契約等に基づき決定され得る。トラフィック制御装置1は、例えば、3GPP(登録商標)が規定する第4世代のロングタームエボリューション(LTE)のトラフィック検出機能(TDF)を実装した装置であり得る。なお、本実施形態のトラフィック制御装置1は、第4世代のLTEのみならず、第5世代のニューレディオ(NR)や、将来の世代の移動通信ネットワークに対しても適用することができる。
【0012】
まず、実施形態の説明で使用する用語について説明する。"通信速度"は、端末2が行う通信で単位期間当たりに送信又は受信されるデータ量を示す。以下では、単位期間を1秒とする。したがって、通信速度の単位は[bit/s]である。なお、単位期間は、1秒に限定されず、他の期間であっても良い。また、"データ量"は、所定期間において端末2が行う通信によって搬送されたデータ量を示す。つまり、"データ量"は、通信速度の所定期間にわたる積分値である。例えば、期間Tに渡り端末2が通信速度Sで移動通信ネットワーク100からデータを受信した場合、受信したデータ量はT×Sである。
【0013】
トラフィック制御装置1は、上り方向のトラフィックと、下り方向のトラフィックの両方を制御できるが、上り方向のトラフィック制御と、下り方向のトラフィック制御は同様であるため、以下では、代表して下り方向のトラフィック制御について説明する。
図2は、1つのトラフィック制御装置1を介して通信を行う複数の端末2による下り方向の通信速度の合計(以下、合計通信速度)の1日の平均的な時間変化を示している。例えば、
図2は、過去数か月に渡る1日の合計通信速度の時間変化の平均値である。
図2に示す様に、合計通信速度が上昇する時間帯は、ある程度決まっている。
【0014】
本実施形態において、移動通信ネットワーク100のオペレータ(以下、単に"オペレータ"と表記する。)は、合計通信速度の平均的な時間変動に基づき、規制期間81を設定する。規制期間81は、合計通信速度が閾値を超えることが多い期間を含む様に設定される。さらに、オペレータは、規制期間81に対応する測定開始タイミング80を設定する。測定開始タイミング80は、規制期間81の開始タイミングより時間的に早いタイミングである。測定開始タイミング80は、例えば、規制期間81より時間的に前において合計通信速度が上昇している期間内に設定される。
図2においては、2つの規制期間81と、2つの規制期間81それぞれに対応する2つの測定開始タイミング80が設定されている。
【0015】
図3は、本実施形態によるトラフィック制御装置1の構成図である。以下の説明において"端末2"とは、移動通信ネットワーク100に接続する複数の端末2の内の
図3に示すトラフィック制御装置1を介してトラフィックを受信している端末2を意味するものとする。規制部12は、PDNから端末2に向かうトラフィックを受信して転送する。規制期間81において、規制部12は、制御部11からの指示に基づき、トラフィックの規制対象の端末2のトラフィックを規制する。監視部10は、制御部11からの指示に基づき合計通信速度を監視する。なお、監視部10は、トラフィックの方向(下り方向)において、規制部12の下流側で合計通信速度を監視する。測定部13は、制御部11からの指示に基づき、各端末2のデータ量を測定する。上述した様に、端末2のデータ量は、当該端末2への下り方向の通信速度の積分量である。なお、本実施形態の測定部13は、トラフィックの方向(下り方向)において、規制部12の下流側で各端末2のデータ量を測定する。
【0016】
制御部11は、トラフィック制御装置1の全体を制御する。制御部11には、オペレータによって、上記の測定開始タイミング80及び規制期間81を示す情報があらかじめ設定される。さらに、制御部11には、第1閾値及び第2閾値の2つの閾値と、判定期間と、を示す情報が予めオペレータによって設定される。第1閾値は、監視部10が監視する合計通信速度と比較する閾値である。規制期間81において、合計通信速度が第1閾値を超えると、制御部11は、以後、判定期間毎に、合計通信速度が第1閾値を超えているか否かを判定する。第2閾値は、測定部13が測定した各端末2のデータ量と比較する閾値である。
【0017】
図4は、本実施形態によるトラフィック制御装置1が実行する処理のフローチャートである。トラフィック制御装置1は、測定開始タイミング80になると
図4の処理を開始する。また、トラフィック制御装置1は、規制期間81の終了タイミングなると
図4の処理を終了する。
【0018】
S10において、制御部11は、測定部13に対して各端末2の測定期間に渡るデータ量の測定を指示する。本実施形態において、測定期間は、測定開始タイミング80から規制期間81の開始タイミングまでの期間である。測定部13は、測定期間で測定した各端末2のデータ量を制御部11に報告する。規制期間81になると、制御部11は、S11において、合計通信速度が第1閾値を超えるまで待機する。合計通信速度が第1閾値を超えた場合、制御部11は、S12で、測定期間におけるデータ量が第2閾値より大きい端末2をトラフィックの規制対象である規制端末に分類する。そして、制御部11は、S13において、規制端末の通信速度を所定の規制速度に制限することを規制部12に指示する。つまり、制御部11は、合計通信速度が第1閾値を超えると規制制御を開始する。
【0019】
規制部12は、制御部11からの指示に従い、S13で、規制端末へのトラフィックについては規制速度に制限する。つまり、規制部12は、PDN側から受信する規制端末へのトラフィックの通信速度が規制速度より大きくても、規制端末への通信速度が規制速度になる様にシェーピングする。規制速度は、例えば、端末2毎に異なり得る。端末2の規制速度は、例えば、端末2のユーザとの契約により予め決められた通信速度であり得る。なお、規制速度を総ての端末2で共通な速度とすることもできる。規制速度は、測定期間におけるデータ量が第2閾値より大きくなる通信速度よりは小さい速度に設定され得る。つまり、規制部12でのトラフィックの規制により、規制端末の通信速度が一般的には減少する様に規制速度は設定され得る。
【0020】
制御部11は、S14で判定期間だけ待機し、S15で、合計通信速度が第1閾値を超えているか否かを判定する。合計通信速度が第1閾値を超えていない場合、制御部11は、S14から処理を繰り返す。一方、合計通信速度が第1閾値を超えている場合、制御部11は、S16において第2閾値がより小さな値となる様に更新する。一例として、本実施形態では、第2閾値に0より大きく、かつ、1より小さい係数を乗ずることで第2閾値を更新するものとする。制御部11は、S16で第2閾値を更新すると、更新後の第2閾値に基づきS12から処理を繰り返す。
【0021】
図5は、
図4の処理の具体例を示している。なお、第2閾値については係数0.9を乗ずることで更新するものとする。また、測定期間におけるUE#1~UE#4それぞれのデータ量が1010、950、800、700であり、第2閾値の初期値が1000であるものとする。なお、
図5では、合計通信速度が初めて第1閾値を超えた際の判定(
図4のS11)を"1回目"の判定とし、その後、判定期間(
図4のS14)毎に行われる判定(
図4のS15)を2回目以降の判定としている。なお、2回目から4回目及び6回目の判定では合計通信速度が第1閾値を超えていたが、網掛で示す5回目の判定では合計通信速度が第1閾値を超えていなかったものとする。
【0022】
1回目の判定により、データ量が第2閾値である1000より大きいUE#1のみが規制端末なる。2回目の判定により、第2閾値は1000×0.9=900に更新される。したがって、データ量が第2閾値である900より大きいUE#1及びUE#2が規制端末なる。3回目の判定により、第2閾値は900×0.9=810に更新される。データ量が第2閾値である810より大きい端末2は、UE#1及びUE#2であるため、規制端末は、2回目と同様にUE#1及びUE#2となる。
【0023】
4回目の判定により、第2閾値は810×0.9=729に更新される。したがって、データ量が第2閾値である729より大きいUE#1~UE#3が規制端末になる。5回目の判定では合計通信速度が第1閾値を超えていないため、第2閾値は更新されず729のままであり、規制端末も4回目と同じUE#1~UE#3のままである。6回目の判定により、第2閾値は729×0.9=656に更新される。したがって、データ量が第2閾値である656より大きいUE#1~UE#4が規制端末になる。以後、規制期間81が完了するまで規制端末のトラフィックは規制速度に制限される。規制期間81の完了により制御部11は、規制制御を終了する。つまり、規制端末に対するトラフィックの制限を終了する。なお、規制端末は、
図4の処理を実行する度に個別に決定される。
【0024】
以上、本実施形態によると、規制期間81においては、合計通信速度が第1閾値以下となる様に規制制御を行う。なお、規制期間81においてトラフィックの規制対象とする規制端末を、測定期間で測定した各端末2のデータ量と第2閾値とを比較することで判定する。つまり、本実施形態では、規制端末の数を固定的とするのではなく、各端末2のデータ量と第2閾値とに基づき動的に決定する。さらに、規制端末のトラフィックを規制しても合計通信速度が第1閾値以下にならない場合、第2閾値が小さくなる様に更新する。これにより、規制端末の数についても、それまでのトラフィックの規制結果に基づき動的に更新される。この構成により、通信速度の合計を効率的に第1閾値以下にすることができる。
【0025】
また、規制端末を測定期間における各端末2のデータ量と第2閾値に基づき選択するため、データ量のそれほど多くない端末2が規制対象となることを抑えることができる。また、例えば、規制期間81において、トラフィックの規制を行う状態と規制を行わない状態が繰り返されると、端末2からは通信が不安定となっている様に認識される。本実施形態では、規制端末に分類された端末2については、規制期間81が終了するまでトラフィックを規制速度に制限する。したがって、通信が不安定となっている様に端末2が認識することを抑えることができる。
【0026】
なお、
図4のフローチャートでは、規制期間において合計通信速度が初めて第1閾値を超えると、以後、制御部11は、判定期間毎に合計通信速度と第1閾値を比較し、合計通信速度が第1閾値を超えていると、第2閾値を更新して規制端末を判定していた。しかしながら、規制期間の開始タイミングから判定期間毎に合計通信速度と第1閾値を比較して規制端末を判定する構成であっても良い。
【0027】
また、
図3に示す様に、本実施形態のトラフィック制御装置1において、測定部13は、規制部12の下流側で各端末2のデータ量を測定していた。しかしながら、各端末2のデータ量は、規制端末に分類されていない端末2を規制端末に分類するか否かを判定するために使用するものであり、規制端末に分類されていない端末2のデータ量は、規制部12の前後で同じであるため、規制部12の上流側で測定部13が各端末2のデータ量を測定する構成であっても良い。なお、監視部10が監視する合計通信速度は、規制制御の結果を判定するものでもあるため、監視部10は規制部12の下流側において合計通信速度を監視する。
【0028】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態において第2閾値と比較するデータ量は、測定開始タイミング80から規制期間81の開始タイミングまでの測定期間におけるデータ量であった。したがって、この測定期間におけるデータ量は少なかったが、規制期間81において大容量の通信を開始した端末2については規制対象外となる。本実施形態は、規制期間81において大容量の通信を開始した端末2についても規制対象として選択され得る様にするものである。
【0029】
図6は、本実施形態によるトラフィック制御装置1が実行する処理のフローチャートである。なお、
図6においては、
図4に示す第一実施形態の処理と同様の処理については同じ参照符号を付与してその説明については省略する。制御部11は、測定開始タイミング80になると、S20において、測定部13に対して各端末2のデータ量の測定開始を指示する。測定部13は、第一実施形態と同様に、規制期間81の開始タイミングにおいて、その時点までの各端末2のデータ量を制御部11に報告する。しかしながら、本実施形態において、測定部13は、規制期間81においても各端末2のデータ量の測定を継続し、測定した各端末2のデータ量を制御部11に繰り返し報告する。規制期間81において各端末2のデータ量を制御部11に報告する周期は、例えば、判定期間と同じや、判定期間未満とし得る。制御部11は、S12で規制端末を判定する際、測定部13から取得した各端末2の最新のデータ量を使用する。
【0030】
以上の構成により、規制期間81において大容量の通信を開始した端末2についても規制端末として選択され得る様になる。
【0031】
なお、下り方向のトラフィック制御を例にして各実施形態の説明を行ったが、トラフィック制御装置1は、下り方向のトラフィック制御と同様に、上り方向のトラフィック制御を行うこともできる。下り方向のトラフィック制御と上り方向のトラフィック制御は、互いに独立したものであり得る。この場合、下り方向のトラフィック制御では規制対象となる端末2であっても、上り方向のトラフィック制御では規制対象とならない場合が生じ得る。また、上り方向及び下り方向の内の一方の方向で規制対象となると、上り方向及び下り方向共に規制対象とする構成とすることもできる。さらに、下り方向のトラフィック制御と上り方向のトラフィック制御を一体的に行うこともできる。この場合、端末2の下り方向のデータ量と上り方向のデータ量の合計データ量を第2閾値と比較することで規制端末が選択され、規制端末に対しては下り方向と上り方向の両方のトラフィックが規制される。なお、端末2に対する上り方向の規制速度と下り方向の規制速度は異なる値であり得る。
【0032】
また、トラフィック制御装置1が移動通信ネットワーク100の装置であるものとして各実施形態の説明を行ったが、本実施形態によるトラフィック制御装置1は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)のネットワーク等、任意の種別のネットワークで使用され得る。
【0033】
本開示によるトラフィック制御装置1は、例えば、相互に通信可能な複数の装置により実現され得る。また、本開示によるトラフィック制御装置1は、1つ以上のプロセッサを有する装置の当該1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置を上記実施形態で説明したトラフィック制御装置1として機能させるコンピュータプログラムにより実現され得る。コンピュータプログラムは、1つ以上のプロセッサが実行可能なプログラム命令を含み得る。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0034】
以上の構成により、複数の端末の通信速度の合計を効率的に閾値以下に制御するができる。したがって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0035】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10:監視部、11:制御部、13:測定部
【手続補正書】
【提出日】2023-12-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末それぞれが行う通信の通信速度の合計である合計通信速度を監視する監視手段と、
前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送されたデータ量を測定する測定手段と、
前記合計通信速度が第1閾値を超えている場合、第1期間において前記通信で搬送された前記データ量が第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から規制端末として選択し、前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を予め決められた速度に規制する規制制御を実行する制御手段と、
を備えている、トラフィック制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記規制制御の実行を開始した後、所定タイミングにおいて前記合計通信速度が前記第1閾値を超えているかを判定し、前記合計通信速度が前記第1閾値を超えている場合、前記第2閾値をより小さい値に更新し、前記第1期間における前記データ量が更新後の前記第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から前記規制端末として選択する、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項3】
前記所定タイミングは、周期的なタイミングである、請求項2に記載のトラフィック制御装置。
【請求項4】
前記制御手段には、規制期間があらかじめ設定されており、
前記制御手段は、前記規制期間において前記合計通信速度が前記第1閾値を超えると前記規制制御を実行する、請求項2に記載のトラフィック制御装置。
【請求項5】
前記規制期間が経過すると、前記制御手段は、前記規制制御を終了する、請求項4に記載のトラフィック制御装置。
【請求項6】
前記制御手段には、前記規制期間より時間的に早い測定開始タイミングが設定されており、
前記第1期間における前記データ量は、前記測定開始タイミングから前記規制期間の開始タイミングまでの前記データ量である、請求項4に記載のトラフィック制御装置。
【請求項7】
前記制御手段には、前記規制期間より時間的に早い測定開始タイミングが設定されており、
前記測定手段は、前記測定開始タイミングになると、前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送された前記データ量の測定を開始し、
前記第1期間における前記データ量は、前記制御手段が、前記複数の端末から前記規制端末を選択する際に前記測定手段から取得している最新の前記データ量である、請求項4に記載のトラフィック制御装置。
【請求項8】
前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を前記予め決められた速度に規制する規制手段をさらに備え、
前記監視手段は、前記複数の端末それぞれが行う前記通信の方向において、前記規制手段より下流側で前記合計通信速度を監視する、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項9】
前記予め決められた速度は、前記複数の端末それぞれに対して個別に決められた速度である、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項10】
1つ以上のプロセッサを有する装置の前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項1から9のいずれか1項に記載のトラフィック制御装置として機能させる、コンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様によると、トラフィック制御装置は、複数の端末それぞれが行う通信の通信速度の合計である合計通信速度を監視する監視手段と、前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送されたデータ量を測定する測定手段と、前記合計通信速度が第1閾値を超えている場合、第1期間において前記通信で搬送された前記データ量が第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から規制端末として選択し、前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を予め決められた速度に規制する規制制御を実行する制御手段と、を備えている。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末それぞれが行う通信の通信速度の合計である合計通信速度を監視する監視手段と、
前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送されたデータ量を測定する測定手段と、
前記合計通信速度が第1閾値を超えている場合、第1期間において前記通信で搬送された前記データ量が第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から規制端末として選択し、前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を予め決められた速度に規制する規制制御を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記規制制御の実行を開始した後、所定タイミングにおいて前記合計通信速度が前記第1閾値を超えているかを判定し、前記合計通信速度が前記第1閾値を超えている場合、前記第2閾値をより小さい値に更新し、前記第1期間における前記データ量が更新後の前記第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から前記規制端末として選択する、トラフィック制御装置。
【請求項2】
前記所定タイミングは、周期的なタイミングである、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項3】
前記制御手段には、規制期間があらかじめ設定されており、
前記制御手段は、前記規制期間において前記合計通信速度が前記第1閾値を超えると前記規制制御を実行する、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項4】
前記規制期間が経過すると、前記制御手段は、前記規制制御を終了する、請求項3に記載のトラフィック制御装置。
【請求項5】
前記制御手段には、前記規制期間より時間的に早い測定開始タイミングが設定されており、
前記第1期間における前記データ量は、前記測定開始タイミングから前記規制期間の開始タイミングまでの前記データ量である、請求項3に記載のトラフィック制御装置。
【請求項6】
前記制御手段には、前記規制期間より時間的に早い測定開始タイミングが設定されており、
前記測定手段は、前記測定開始タイミングになると、前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送された前記データ量の測定を開始し、
前記第1期間における前記データ量は、前記制御手段が、前記複数の端末から前記規制端末を選択する際に前記測定手段から取得している最新の前記データ量である、請求項3に記載のトラフィック制御装置。
【請求項7】
前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を前記予め決められた速度に規制する規制手段をさらに備え、
前記監視手段は、前記複数の端末それぞれが行う前記通信の方向において、前記規制手段より下流側で前記合計通信速度を監視する、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項8】
前記予め決められた速度は、前記複数の端末それぞれに対して個別に決められた速度である、請求項1に記載のトラフィック制御装置。
【請求項9】
1つ以上のプロセッサを有する装置の前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項1から8のいずれか1項に記載のトラフィック制御装置として機能させる、コンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様によると、トラフィック制御装置は、複数の端末それぞれが行う通信の通信速度の合計である合計通信速度を監視する監視手段と、前記複数の端末それぞれが行う前記通信で搬送されたデータ量を測定する測定手段と、前記合計通信速度が第1閾値を超えている場合、第1期間において前記通信で搬送された前記データ量が第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から規制端末として選択し、前記規制端末が行う前記通信の前記通信速度を予め決められた速度に規制する規制制御を実行する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記規制制御の実行を開始した後、所定タイミングにおいて前記合計通信速度が前記第1閾値を超えているかを判定し、前記合計通信速度が前記第1閾値を超えている場合、前記第2閾値をより小さい値に更新し、前記第1期間における前記データ量が更新後の前記第2閾値より大きい端末を前記複数の端末から前記規制端末として選択する。