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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169148
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】足場用踏み板
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/34 20060101AFI20241128BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E04G7/34 303B
E04G5/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086369
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】306035122
【氏名又は名称】信和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】則武 栗夫
(72)【発明者】
【氏名】青山 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】河合 賢樹
(57)【要約】
【課題】足場用踏み板と同じ階にいる作業者も、或いは下の階にいる作業者も、当該足場用踏み板のロック部材をロック位置からロック解除位置に容易に操作することができる足場用踏み板を提供する。
【解決手段】踏み板10の一対の短辺部には、支持体40に支持されたロック部材50を有する。ロック部材50は、足場を構築する水平材100の下側に迫り出したロック位置と、ロック位置から上方へ移動して、水平材100との係合が解除されるロック解除位置との間を上下動自在に配置される。ロック部材50は、上部に指で挟持される幅方向延出部52(被挟持部)を備え、幅方向延出部52が指で挟持されて上方へ持ち上げられることにより、ロック位置からロック解除位置へ上動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の長辺部と一対の短辺部とを有して長方形板上に形成された布板部と、
前記一対の短辺部の両端にそれぞれ設けられ、足場を構築する水平材に対して上方から係合する一対のフック部材と、
前記一対の短辺部に配置され、前記水平材の下側に迫り出したロック位置と、前記ロック位置から上方へ移動して、前記水平材との係合が解除されるロック解除位置との間を上下動自在に配置されたロック部材と、
前記ロック部材を前記上下動自在に支持する支持体を備える足場用踏み板であって、
前記ロック部材は、上部に指で挟持される被挟持部を備え、
前記被挟持部が指で挟持されて上方へ持ち上げられることにより、前記ロック部材が前記ロック位置から上方へ移動して前記ロック解除位置へ移動する足場用踏み板。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記上部が前記布板部の幅方向に延びる幅方向延出部にて構成されるとともに、
前記ロック位置に位置する際に、下端が前記水平材の下側に配置される下方向延出部が前記幅方向延出部の両端から下方へ延出されている請求項1に記載の足場用踏み板。
【請求項3】
前記下方向延出部の下端には、前記布板部の幅方向に延びる係止突起を有し、
前記支持体には、前記ロック部材が前記ロック解除位置に位置する際に、前記係止突起と干渉して、前記ロック解除位置からさらなる上方への移動を規制する係止部が設けられている請求項2に記載の足場用踏み板。
【請求項4】
前記ロック部材は、棒材にて形成されている請求項3に記載の足場用踏み板。
【請求項5】
前記幅方向延出部、前記下方向延出部、及び前記係止突起は、前記棒材が折り曲げられることにより形成されている請求項4に記載の足場用踏み板。
【請求項6】
前記支持体は、前記ロック部材が、前記ロック位置に位置するときに前記幅方向延出部を掛止する掛止部を有している請求項2乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の足場用踏み板。
【請求項7】
前記支持体は、前記ロック部材が前記ロック位置及び前記ロック解除位置間を移動する際に前記下方向延出部の上下動をガイドし、かつ、前記幅方向への移動を抑制するガイド部が設けられている請求項6に記載の足場用踏み板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場用踏み板に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場、或いは既存の建築物の補修時に足場が構築されている。足場は、例えば、縦材と足場用横架部材としての水平材とが連結された組立体を各階毎に高さ方向に積み上げるとともに、各階の組立体の水平材間には、足場用踏み板が水平に架設される(特許文献1参照)。
【0003】
前記足場用踏み板は、長手方向に延出された布板部と、幅方向において離間する一対のフック部材を1組とする2組のフック部を有しているものが多い。各組のフック部は、前記組立体の水平材に掛けられる。
【0004】
特許文献1において、前記布板部の長手方向の両端部となる短辺部には、前記一対のフック部材の間に位置するように、コ字状の翼部を有するブラケットが設けられている。前記ブラケットの翼部間には、前記幅方向へ延出するピンが架設されている。
【0005】
前記ピンは、ガイド孔を有する一対のロック片が、同ガイド孔にてそれぞれ摺動自在に貫通されている。前記ガイド孔は、上下方向及び下端部が長手方向に延びる円弧状の長孔となっている。これにより、前記一対のロック片(両ロック片)は、自重により前記水平材の下方に位置する迫り出し位置と、上方の位置である前記水平材とは非干渉状態(ロック解除状態)の位置間を移動可能としている。
【0006】
また、前記両ロック片は、その下端間が連結片にて互いに連結されていることにより、一体に動作可能とされている。
前記足場用踏み板を前記組立体に取り付ける場合、前記水平材に対して前記フック部を上方から下方へ掛ける途中で、前記両ロック片が前記水平材に当たることにより自重で下がった状態から上方に移動してロック解除状態となる。
【0007】
そして、足場用踏み板の下方へのさらなる移動により前記両ロック片が上方に移動すると、前記水平材の両ロック片に対する当たりが解除される。この後は、前記両ロック片及び前記連結片は、自重により下方へ一体に移動することにより前記ロック片が迫り出し位置に位置する。このことにより、両ロック片は、前記水平材に対する前記フック部の離脱を防止するロック状態となる。
【0008】
また、足場用踏み板を、前記組立体から取り外す場合は、前記ロック状態の両ロック片を迫り出し位置から上方の非干渉状態となる位置まで作業者が移動させることにより、ロック状態を解除する。この後、足場用踏み板を、上方へ移動させることにより、水平材に対する足場用踏み板のフック部の掛止めを解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013-181313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一般的には、すでに構築されている下の階の組立体の足場用踏み板に作業者が立って、上の階用に用意された水平材に対して同じく上の階用に用意された足場用踏み板を取り付けたり、或いは取り外す場合が多い。
【0011】
これらの場合、特許文献1の足場用踏み板では、両ロック片間を連結する連結片、或いはロック片を持ち上げて、仮支持姿勢を保持することができるように、ガイド孔には、前記ピンと係合可能及び離脱可能とする凹部が設けられている。この仮支持姿勢が保持されることにより、水平材とは非干渉状態とすることができる。しかし、この状態とするためには、前述のように組立体の下の階から作業者は連結片、或いはロック片を持ち上げて行っている。
【0012】
また、作業者がいる階において、前記作業者と同じ階用に用意された水平材に対して同じ階用に用意された足場用踏み板を取り付けたり、或いは取り外したい要望もある。しかし、特許文献1では、同じ階にいる作業者は、前記両ロック片及び連結片に対して上方から触れることが難しいため、両ロック片をロック解除状態にする操作がし難い問題がある。
【0013】
本発明の目的は、足場用踏み板と同じ階にいる作業者も、或いは下の階にいる作業者も、当該足場用踏み板のロック部材をロック位置からロック解除位置に容易に操作することができる足場用踏み板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題点を解決するために、本発明の足場用踏み板は、一対の長辺部と一対の短辺部とを有して長方形板上に形成された布板部と、前記一対の短辺部の両端にそれぞれ設けられ、足場を構築する水平材に対して上方から係合する一対のフック部材と、前記一対の短辺部に配置され、前記水平材の下側に迫り出したロック位置と、前記ロック位置から上方へ移動して、前記水平材との係合が解除されるロック解除位置との間を上下動自在に配置されたロック部材と、前記ロック部材を前記上下動自在に支持する支持体を備える足場用踏み板であって、前記ロック部材は、上部に指で挟持される被挟持部を備え、前記被挟持部が指で挟持されて上方へ持ち上げられることにより、前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置へ上動するものである。
【0015】
上記構成により、作業者がいる階において、同じ階に位置する足場用踏み板を取り外す際は、ロック位置に位置するロック部材の被挟持部を上方から指で挟持してロック部材をロック位置から上方のロック解除位置へ上動する。これにより、ロック部材によるロックが解除されるため、作業者がいる階において、水平材に対してフック部材にて掛け止められている足場用踏み板を容易に取り外すことが可能となる。
【0016】
また、作業者がいる階において、同じ階に配置される足場用踏み板を取り付ける際は、ロック部材がロック位置に位置した状態のまま、作業者がいる階と同じ階の水平材に対して足場用踏み板のフック部材を掛止する。この際、ロック位置に位置したロック部材は、当初、前記水平材に当接(干渉)するが、この当接によりロック解除位置へ移動する途中で、前記当接が解除されると、自重で再度ロック位置へ下動する。
【0017】
これにより、ロック部材によって、足場用踏み板のフック部材と水平材との掛止めがロックされる。このようにして、作業者がいる階において、水平材に対してフック部材により足場用踏み板を容易に取り付けることが可能となる。
【0018】
なお、作業者がいる階において、その作業者が、上の階の足場用踏み板を取り外す場合、ロック位置に位置するロック部材の水平材の下側に迫り出した部位を下方から指でロック部材をロック位置からロック解除位置へ向かって上動させる。これにより、ロック部材によるロックが解除されるため、作業者がいる階において、水平材に対してフック部材にて掛け止められている上の階の足場用踏み板を容易に取り外すことが可能となる。
【0019】
また、作業者がいる階において、その作業者が、上の階の足場用踏み板を取り付ける際は、ロック部材がロック位置に位置した状態のまま、その作業者がいる階の上の階の水平材に対して足場用踏み板のフック部材を掛止する。この際、ロック位置に位置したロック部材は、当初、前記水平材に当接(干渉)するが、この当接によりロック解除位置へ上動する途中で、前記当接が解除されると、自重で再度ロック位置へ下動する。
【0020】
また、前記ロック部材は、その前記上部が前記布板部の幅方向に延びる幅方向延出部にて構成されるとともに、前記ロック位置に位置する際に、下端が前記水平材の下側に配置される下方向延出部が前記幅方向延出部の両端から下方へ延出されていることが好ましい。
【0021】
上記構成により、作業者がいる階において、足場用踏み板を取り外す際は、ロック位置に位置するロック部材の幅方向延出部を上方から指で挟持してロック部材をロック位置から上方のロック解除位置へ上動させることができる。
【0022】
また、前記下方向延出部の下端には、前記布板部の幅方向に延びる係止突起を有し、前記支持体には、前記ロック部材が前記ロック解除位置に位置する際に、前記係止突起と干渉して、前記ロック解除位置からさらなる上動を規制する係止部が設けられていてもよい。上記構成により、ロック部材をロック位置から上動させた際、係止突起が係止部と干渉することにより、ロック解除位置からさらなる上動が規制される。
【0023】
また、前記ロック部材は、棒材にて形成されていてもよい。上記構成により、ロック部材を容易に形成できる。
また、前記幅方向延出部、前記下方向延出部、及び前記係止突起は、前記棒材が折り曲げられることにより形成されていてもよい。上記構成により、ロック部材の各部位を、異なる部材にて一体連結する場合よりも、幅方向延出部、下方向延出部、及び係止突起ロック部材を容易に形成できる。
【0024】
また、前記支持体は、前記ロック部材が、前記ロック位置に位置するときに前記幅方向延出部を掛止する掛止部を有していることが好ましい。上記構成により、ロック部材は、幅方向延出部が掛止部に掛止められることにより、ロック位置に位置することができる。
【0025】
また、前記支持体は、前記ロック部材が前記ロック位置及び前記ロック解除位置間を移動する際に前記下方向延出部の上下動をガイドし、かつ、前記幅方向への移動を抑制するガイド部が設けられていることが好ましい。
【0026】
上記構成により、ガイド部は、ロック部材が前記ロック位置及び前記ロック解除位置間を移動する際に、下方向延出部の上下動をガイドし、かつ、幅方向への移動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、足場用踏み板と同じ階にいる作業者も、或いは下の階にいる作業者も、当該足場用踏み板のロック部材をロック位置からロック解除位置に容易に操作することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態の足場用踏み板の斜視図である。
図2】(a)は第1実施形態の足場用踏み板の要部拡大斜視図、(b)は、ロック部材を省略した足場用踏み板の要部拡大斜視図である。
図3】(a)~(c)は、一実施形態の足場用踏み板を水平材に掛けめ止める際の手順を示す説明図である。
図4】(a)、(b)は、一実施形態の足場用踏み板を水平材から取り外す際の手順を示す説明図である。
図5】足場用踏み板を積み重ねた状態の要部断面図である。
図6】第2実施形態における足場用踏み板の要部斜視図である。
図7】第3実施形態における足場用踏み板の要部斜視図である。
図8】第4実施形態における足場用踏み板の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の足場用踏み板10を図1図5を参照して説明する。図1に示すように、足場用踏み板10(以下では、単に踏み板という)は、布板部20と、フック部26と、ロック部30とを備える。布板部20は、一対の長辺部21と一対の短辺部22とを有していて長方形板状をなしている。長辺部21上部及び短辺部22の上部には、メッシュ板23が固定されている。
【0030】
図1に示すようにフック部26は、各短辺部22において、布板部20の幅方向において離間する両端に対して固定された一対のフック部材26A、26Bからなる。フック部材26A、26Bは、布板部20の長手方向に延出されている。図3(a)~図3(c)に示すように各フック部26は、足場を構築する水平材100に対して、その水平材100の上方から係合できるようになっている。
【0031】
(ロック部30)
図2(a)、図2(b)に示すように、ロック部30は、短辺部22において、布板部20の幅方向の中央部に位置するように設けられている。ロック部30は、支持体40と、ロック部材50とを備えている。
【0032】
支持体40は、短辺部22に固定されたベース板部41と、ベース板部41の両側端においてコ字状に屈曲された一対の翼部42と、ベース板部41の上端及び下端においてそれぞれ屈曲された上部板43及び下部板44と、脱落防止部材45を有する。
【0033】
翼部42、上部板43及び下部板44は、布板部20の外側へ延出されている。図3(a)に示すように、下部板44は、上部板43よりも長くなるように延出されている。各翼部42と、布板部20の幅方向において、上部板43の各端部間の間隙は、後述するロック部材50の下方向延出部54がそれぞれ裕度を有して上下動可能に開けられている。
【0034】
また、一対の翼部42間には、脱落防止部としての脱落防止部材45が水平となるように架設されている。脱落防止部材45は、上部板43の先端よりも反短辺部側に位置するとともに、上部板43の高さよりも若干下方に位置するように配置されている。脱落防止部材45は、本実施形態では、棒材から形成されている。
【0035】
(ロック部材50)
ロック部材50は布板部20の幅方向に延出する幅方向延出部52と、幅方向延出部52の両端から下方へ延出する一対の下方向延出部54と、下方向延出部54の下端において、布板部20の幅方向において突出する係止突起56とを備える。両係止突起56の突出方向は、本実施形態では、相互に対向しない方向、すなわち、反対向方向である。
【0036】
一対の下方向延出部54は、前述したように各翼部42と、布板部20の幅方向における上部板43の各端部との間隙に挿通されている。前記翼部42は、ロック部材50がロック位置及びロック解除位置(後述する)間を移動する際に前記下方向延出部の上下動をガイドするとともに、前記幅方向への移動を抑制するガイド部としている。
【0037】
図2(a)に示すように、フック部材26Aに近位に位置する係止突起56は、フック部材26Aを向くように突出されている。また、フック部材26Bに近位に位置する係止突起56は、フック部材26Bを向くように突出されている。
【0038】
本実施形態では、ロック部材50は、棒材にて構成されていて、折り曲げられることにより上記各部が一体に形成されている。
図3(a)~図3(c)に示すように、幅方向延出部52は、上部板43に対して上方に位置するように配置されるとともに、ロック部材50が下動した際に、図3(c)に示すように、上部板43に対して掛止可能となっている。上部板43は、掛止部に相当する。
【0039】
図3(c)に示すように、水平材100に対してフック部26が掛けられた状態で、幅方向延出部52が上部板43に対して掛止されたとき、下方向延出部54の下端、及び係止突起56は、水平材100の下側に配置されるように形成されている。このときのロック部材50の位置をロック位置という。すなわち、ロック部材50は、ロック位置に位置するとき、水平材100の下側に迫り出す。
【0040】
また、幅方向延出部52が上部板43に対して掛け止められた状態では、幅方向延出部52の上面が、短辺部22の上面を含む仮想平面から上方へ突出しないように、幅方向延出部52の断面の大きさと上部板43の配置高さとが設定されている。さらに、下部板44は、短辺部22の下面を含む仮想平面から下方へ突出しないように配置されている。
【0041】
これにより、図5に示すように、踏み板10を相互に積み重ねた場合、下に配置される踏み板10のロック位置に位置するロック部材50が、上に位置する踏み板10の下部板44に干渉しないようにされている。
【0042】
また、踏み板10を相互に積み重ねた場合、上に位置する踏み板10側のロック部材50は、ロック位置に位置することにより、その下方向延出部54の下端が、下に位置する踏み板10の短辺部22の上面を含む仮想平面から下方へ進入する。しかし、図5に示すように、下方向延出部54の下端が進入した空間域は、下に位置する踏み板10に関する干渉する部位がないため、踏み板10同士を重ねる障害がないようにされている。
【0043】
また、図3(a)に示すように、ロック位置にロック部材50が位置している際、幅方向延出部52の上方には障害物がないため、幅方向延出部52は、上方からの作業者の指による挟持が可能となっている。幅方向延出部52は、被挟持部に相当する。
【0044】
図3(c)に示すように、下部板44の先端縁は、下方向延出部54の短辺部22側の面を摺接自在に支持するよう形成されている。この結果、下部板44の先端縁にて、ロック部材50がロック位置に位置する際に、下方向延出部54の下端、及び係止突起56が、水平材100の下側に迫り出すことを担保する。
【0045】
このように、下方向延出部54の下端、及び係止突起56が水平材100の下側に迫り出した状態で踏み板10が上動すると、下方向延出部54の下端、及び係止突起56が前記水平材100に対して干渉するようにしている。
【0046】
図2(a)及び図2(b)に示すように、翼部42の先端面において、下部から中央部には、下部から中央部へ行くほど切り込み量が多くなる横V字状の切り込みにより、上方を向く摺接部46及び下方を向くストッパ47が形成されている。ストッパ47は、係止部に相当する。
【0047】
ロック部材50の係止突起56は、前記ロック位置から上動する際に、下部板44の先端縁を通過した後、摺接部46を摺接するようにされている。
また、図4(a)に示すように、ストッパ47は、摺接部46を上方へ摺動してきた係止突起56を係止するようにされている。係止突起56が係止突起56を係止した際の、ロック部材50の位置は、ロック解除位置に相当する。このロック解除位置にロック部材50が位置すると、図4(a)に示すように、フック部26が掛けられていた水平材100の下方空間は、下方向延出部54の下端及び係止突起56が退出することにより、開放される。すなわち、この状態で踏み板10が上動しても、下方向延出部54の下端、及び係止突起56が前記水平材100に対して干渉しないようにしている。
【0048】
脱落防止部としての脱落防止部材45は、ロック部材50がロック位置とロック解除位置間を上下動する際に、下方向延出部54の反短辺部側の面に摺接することにより、ロック部材50の支持体40からの脱落を防止するようにしている。
【0049】
(第1実施形態の作用)
上記のように構成された踏み板10の作用について説明する。
作業者がいる階と同じ階に、足場用踏み板を取り付ける場合、及び、作業者がいる階において、その作業者が、上の階の足場用踏み板を取り付ける場合は、取り付けられる踏み板10のロック部30の作動は、同様である。以下では、ロック部30の作動を中心に説明する。
【0050】
<取り付けの場合>
ロック部材50が自重で下がったロック位置にある踏み板10を水平材100に設置する際、作業者は、図3(a)に示すように、水平材100に対して上方からフック部26(フック部材26A、26B)を水平材100に引っ掛ける。この際、ロック位置に位置したロック部材50の下方向延出部54の下端、及び係止突起56は迫り出している。
【0051】
このため、当初、図3(a)に示すように下方向延出部54の下端、及び係止突起56は、水平材100に当接(干渉)する。この後、さらに踏み板10を下動すると、この当接によりロック部材50がロック解除位置へ上動する。すなわち、係止突起56が下部板44よりも下方に位置する場合は、下方向延出部54が下部板44の先端縁を摺動する。
【0052】
なお、本実施形態では、下方向延出部54が下部板44の先端縁を摺動している際に、下方向延出部54の下端、及び係止突起56は、水平材100との当接(干渉)が解除されるように下部板44と下方向延出部54との大きさ等が形成されている。
【0053】
そして、図3(b)に示すように前記当接が解除されると、ロック部材50は自重で再度ロック位置へ下動する(図3(c)参照)。
これにより、ロック部材50の下方向延出部54の下端、及び係止突起56は、水平材100の下側に迫り出すことにより、踏み板10のフック部材26A、26Bと水平材100との掛止めがロックされる。このようにして、水平材100に対してフック部材26A、26Bにて掛け止められている踏み板10を容易に取り付けることが可能となるとともに、容易にロックできる。
【0054】
<取り外しの場合>
作業者がいる階において、同じ階の踏み板10を水平材100から取り外す場合、作業者はロック位置に位置するロック部材50の幅方向延出部52を上方から指で挟持してロック部材50をロック位置から上方のロック解除位置まで上動する(図4(a)参照)。すなわち、ロック部材50の係止突起56が、ストッパ47に係止するまで幅方向延出部52を指で挟持した状態でロック部材50を持ち上げて上動させる。
【0055】
これにより、図4(a)に示すように、ロック部材50によるロックが解除される。このため、作業者がいる階において、水平材100に対してフック部材26A、26Bにて掛け止められている踏み板10を図4(b)に示すように持ち上げることにより、水平材100から容易に取り外すことができる。
【0056】
なお、作業者がいる階において、その作業者が、上の階の踏み板10を取り外す場合、水平材100の下側に迫り出した下方向延出部54の下端、または係止突起56を下方から指でロック部材50をロック位置からロック解除位置へ向かって上動させる。
【0057】
これにより、ロック部材50によるロックが解除されるため、水平材100に対してフック部材にて掛け止められている上の階の踏み板10を容易に取り外すことができる。
本実施形態では、下記の特徴を有する。
【0058】
(1)本実施形態の踏み板10は、ロック部材50の上部に設けられた幅方向延出部52が指で挟持される被挟持部としている。このことにより、幅方向延出部52が指で挟持されて上方へ持ち上げられることにより、ロック部材50がロック位置からロック解除位置へ上動する。
【0059】
この結果、踏み板と同じ階にいる作業者が、前記踏み板を取り外す際は、足場用踏み板を容易に取り外すことができる。
また、ロック位置に位置するロック部材の水平材の下側に迫り出した部位を下方から指でロック部材をロック位置からロック解除位置へ向かって上動させることにより、ロック部材によるロックが解除される。このため、作業者がいる階において、水平材に対してフック部材にて掛け止められている上の階の足場用踏み板を容易に取り外すことができる。
【0060】
(2)本実施形態では、ロック部材50は、上部が布板部の幅方向に延びる幅方向延出部52にて構成される。また、ロック位置に位置する際に、下端が水平材100の下側に配置される下方向延出部54が幅方向延出部52の両端から下方へ延出されている。
【0061】
この結果、作業者がいる階において、同じ階の踏み板を取り外す際は、ロック位置に位置するロック部材の幅方向延出部を上方から指で挟持してロック部材をロック位置から上方のロック解除位置へ上動させることができる。
【0062】
(3)本実施形態では、下方向延出部54の下端には、布板部20の幅方向に延びる係止突起56を有する。また、支持体40には、ロック部材50がロック解除位置に位置する際に、係止突起56と干渉して、ロック解除位置からさらなる上動を規制するストッパ47(係止部)が設けられている。
【0063】
この結果、作業者がいる階において、踏み板を取り外す際は、ロック位置に位置するロック部材50の幅方向延出部52を上方から指で挟持してロック部材50をロック位置から上方のロック解除位置へ上動させることができる。
【0064】
(4)本実施形態では、ロック部材50は、棒材にて形成されている。この結果、ロック部材50は、特許文献1とは異なり、長孔等を形成することなく容易に形成できる。
(5)本実施形態では、幅方向延出部52、下方向延出部54、及び係止突起56は、棒材が折り曲げられることにより形成されている。この結果、ロック部材50の各部位を、異なる部材にて一体連結する場合よりも、幅方向延出部、下方向延出部、及び係止突起ロック部材を容易に形成できる。
【0065】
(6)本実施形態では、支持体40は、ロック部材50が、ロック位置に位置するときに幅方向延出部52を掛止する上部板43(掛止部)を有している。この結果、ロック部材50は、幅方向延出部52が上部板43(掛止部)に掛止められることにより、ロック位置に位置することができる。
【0066】
(7)本実施形態では、支持体40は、ロック部材50がロック位置及びロック解除位置間を移動する際に下方向延出部54の上下動をガイドし、かつ、幅方向への移動を抑制する翼部42(ガイド部)が設けられている。
【0067】
この結果、翼部42(ガイド部)は、ロック部材50がロック位置及びロック解除位置間を移動する際に、下方向延出部54の上下動をガイドし、かつ、幅方向への移動を抑制することができる。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。
第2実施形態の踏み板10では、図6に示すように、第1実施形態の支持体40に設けられた脱落防止部材45を省略する代わりに、各翼部42の先端上部には相互に対向するように屈曲した脱落防止部としての脱落防止片42aが設けられている。
【0069】
脱落防止片42aは、ロック部材50がロック位置とロック解除位置間を上下動する際に、下方向延出部54の反短辺部側の面に摺接することにより、ロック部材50の支持体40からの脱落を防止するようにしている。
【0070】
本実施形態では、支持体40は、ベース板部41と、脱落防止片42aを有する翼部42と、上部板43と、下部板44からなる。このような構成としても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0071】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。
第3実施形態の踏み板10では、図7に示すように、第1実施形態の構成中、支持体40、及びロック部材50の構成が変更されている。具体的には、各翼部42が、上部翼部42Aと下部翼部42Bとに分割されているとともに、両下部翼部42B間は、両上部翼部42間よりも近接して配置される。そして、両上部翼部42A間には、脱落防止部材45が架設されるとともに、各下部翼部42Bの先端面には、摺接部46及びストッパ47が形成される。
【0072】
また、ロック部材50の各下方向延出部54は、それぞれ上部翼部42Aと下部翼部42B間に上下動自在に配置される。また、ロック部材50の係止突起56は、第1実施形態とは異なり、布板部20の幅方向において相互に対向するように下方向延出部54の下端から突出される。
【0073】
この係止突起56は、ロック部材50が上下動する際に、下部翼部42Bの摺接部46及を摺動するとともに、ストッパ47に係止することにより、ロック部材50のロック解除位置を規定するようにされている。
【0074】
また、両下部翼部42Bの下部側面には、それぞれ突起48が突設されている。突起48は、ロック部材50がロック位置に位置している際、及びロック位置から上動して、係止突起56が摺接部46に摺接を開始するまでの間、下方向延出部54の下面を支えるようにしている。本実施形態では、支持体40は、ベース板部41と、上部翼部42Aと下部翼部42Bを含む翼部42と、上部板43と、下部板44と、前記突起48からなる。このような構成としても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0075】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。
本実施形態の踏み板10では、図8に示すように第1実施形態の上部板43、及び脱落防止部材45を省略する代わりに一対の脱落防止部材45Aを各翼部42に対して布板部20の幅方向において、互いに相反するように反対向きに突出して配置されている。
【0076】
また、第3実施形態で説明した突起48を、図8に示すように、各翼部42の下部側面にそれぞれ形成する。
そして、ロック部材50は、第3実施形態と同様の係止突起56を有するとともに幅方向延出部52が一対の翼部42を跨ぐ長さを有するように形成されている。そして、下方向延出部54は、脱落防止部材45Aと短辺部22間、及び脱落防止部材45Aと突起48との間に上下動自在に配置する。なお、第1実施形態では、上部板43を掛止部としていたが、本実施形態では、翼部42の上面を掛止部としている。本実施形態では、支持体40は、ベース板部41と、翼部42と、下部板44と、脱落防止部材45Aと前記突起48からなる。このような構成としても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0077】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
本実施形態及び以下の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
・前記実施形態では、短辺部22において、布板部20の幅方向の中央部にロック部30を設けているが、これに限定されるものではなく、短辺部22において、水平材100と対向する端面であれば、いずれの位置に配置してもよい。
【0079】
・前記実施形態では、ロック部材50を棒材にて形成したが、棒材に限定するものではなく、例えば板状の金属材にて構成してもよい。
・前記実施形態では、ロック部材50の幅方向延出部52、下方向延出部54、係止突起56を折り曲げることにより形成したが、それぞれの部を互いに溶接等により連結して構成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…踏み板
20…布板部
21…長辺部
22…短辺部
23…メッシュ板
26…フック部
26A、26B…フック部材
30…ロック部
40…支持体
41…ベース板部
42…翼部(ガイド部)
42A…上部翼部
42B…下部翼部
43…上部板(掛止部)
44…下部板
45…脱落防止部材
46…摺接部
47…ストッパ
48…突起
50…ロック部材
52…幅方向延出部(被挟持部)
54…下方向延出部
56…係止突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8