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特開2024-169150燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169150
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241128BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20241128BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20241128BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20241128BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241128BHJP
【FI】
H01M8/04 H
H01M8/04 N
H01M8/0432
H01M8/04537
H01M8/04955
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086374
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】飼沼 徹
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC01
5H127DB26
5H127DB42
5H127DB47
5H127DB53
5H127DB90
5H127DC42
5H127DC46
5H127EE04
5H127EE27
(57)【要約】
【課題】電気信号が適切か否かを確認すること。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池スタックと、物理量に応じて抵抗値が変動する抵抗体と、抵抗体の第1端部と電源との間に存在する第1接続端子と、抵抗体の第1端部と第1接続端子との間に並列に設けられた第2接続端子と、第2接続端子に接続され、第2接続端子から入力される電気信号から物理量を認識する制御装置と、を備える。燃料電池システムは、抵抗体と並列接続されるスイッチと、スイッチに直列接続されるプルダウン抵抗と、を備える。抵抗体の第2端部及びプルダウン抵抗はグランドに接続されている。制御装置は、電気信号が適切かを確認する際に、スイッチをオンにした際の電圧を測定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードガスとカソードガスとの反応によって発電を行う燃料電池スタックと、
物理量に応じて抵抗値が変動する抵抗体と、
前記抵抗体の第1端部と電源との間に存在する第1部位と、
前記抵抗体の前記第1端部と前記第1部位との間に並列に設けられる第2部位と、
前記第2部位に接続され、前記第2部位から入力される電気信号から前記物理量を認識する制御装置と、を備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムは、
前記第2部位から前記制御装置を介して前記抵抗体と並列接続されるスイッチと、
前記スイッチに直列接続されるプルダウン抵抗と、を備え、
前記抵抗体の第2端部及び前記プルダウン抵抗はグランドに接続されており、
前記制御装置は、前記電気信号が適切かを確認する際に、前記スイッチをオンにした際の電圧を測定する、燃料電池システム。
【請求項2】
前記抵抗体は、温度によって前記抵抗値が変動する測温抵抗体であり、
前記制御装置が前記スイッチのオンとオフとを切り替え可能な構成である、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記カソードガスを前記燃料電池スタックに供給するカソード供給路を備え、
前記測温抵抗体は、前記カソード供給路に設けられており、
前記制御装置は、前記カソードガスの供給指令があった場合に前記電気信号が適切かを確認する、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記カソードガスを前記燃料電池スタックに供給するカソード供給路を備え、
前記測温抵抗体は、前記カソード供給路に設けられており、
前記制御装置は、
前記測温抵抗体により認識する温度が閾値を超過した場合に前記スイッチをオンし、
前記電気信号が適切ではない場合、前記燃料電池スタックの出力制限を行い、
前記電気信号が適切な場合、前記燃料電池スタックの発電を停止する、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
アノードガスとカソードガスとの反応によって発電を行う燃料電池スタックと、
物理量に応じて抵抗値が変動する抵抗体と、
前記抵抗体の第1端部と電源との間に存在する第1部位と、
前記抵抗体の前記第1端部と前記第1部位との間に並列に設けられる第2部位と、
前記第2部位に接続され、前記第2部位から入力される電気信号から前記物理量を認識する制御装置と、を備えた燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記第2部位から前記制御装置を介して前記抵抗体と並列接続されるスイッチと、
前記スイッチに直列接続されるプルダウン抵抗と、を備え、
前記抵抗体の第2端部及び前記プルダウン抵抗はグランドに接続されており、
前記制御装置は、前記電気信号が適切かを確認する際に、前記スイッチをオンにした際の電圧を測定する、燃料電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、センサを備える。センサは、例えば、物理量に応じて抵抗値が変動する抵抗体を備える。特許文献1に開示の燃料電池システムは、センサである温度センサと、制御装置と、を備える。温度センサは、燃料電池スタックに供給されるカソードガスの温度を測定する。制御装置は、温度センサから入力される電気信号から温度を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-162731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
断線を原因として温度センサと制御装置とが電気的に接続されなくなった場合、制御装置に入力される電気信号が適切ではなくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する燃料電池システムは、アノードガスとカソードガスとの反応によって発電を行う燃料電池スタックと、物理量に応じて抵抗値が変動する抵抗体と、前記抵抗体の第1端部と電源との間に存在する第1部位と、前記抵抗体の前記第1端部と前記第1部位との間に並列に設けられる第2部位と、前記第2部位に接続され、前記第2部位から入力される電気信号から前記物理量を認識する制御装置と、を備えた燃料電池システムであって、前記燃料電池システムは、前記第2部位から前記制御装置を介して前記抵抗体と並列接続されるスイッチと、前記スイッチに直列接続されるプルダウン抵抗と、を備え、前記抵抗体の第2端部及び前記プルダウン抵抗はグランドに接続されており、前記制御装置は、前記電気信号が適切かを確認する際に、前記スイッチをオンにした際の電圧を測定する。
【0006】
制御装置は、電気信号が適切かを確認する際に、スイッチをオンする。これにより、抵抗体とプルダウン抵抗とが並列接続される。断線が生じているか否かによって電気信号の電圧値が変化するため、制御装置は、電気信号が適切かを確認することができる。
【0007】
上記燃料電池システムについて、前記抵抗体は、温度によって前記抵抗値が変動する測温抵抗体であり、前記制御装置が前記スイッチのオンとオフとを切り替え可能な構成であってもよい。
【0008】
上記燃料電池システムについて、前記カソードガスを前記燃料電池スタックに供給するカソード供給路を備え、前記測温抵抗体は、前記カソード供給路に設けられており、前記制御装置は、前記カソードガスの供給指令があった場合に前記電気信号が適切かを確認してもよい。
【0009】
上記燃料電池システムについて、前記カソードガスを前記燃料電池スタックに供給するカソード供給路を備え、前記測温抵抗体は、前記カソード供給路に設けられており、前記制御装置は、前記測温抵抗体により認識する温度が閾値を超過した場合に前記スイッチをオンし、前記電気信号が適切ではない場合、前記燃料電池スタックの出力制限を行い、前記電気信号が適切な場合、前記燃料電池スタックの発電を停止してもよい。
【0010】
上記課題を解決する燃料電池システムの制御方法は、アノードガスとカソードガスとの反応によって発電を行う燃料電池スタックと、物理量に応じて抵抗値が変動する抵抗体と、前記抵抗体の第1端部と電源との間に存在する第1部位と、前記抵抗体の前記第1端部と前記第1部位との間に並列に設けられる第2部位と、前記第2部位に接続され、前記第2部位から入力される電気信号から前記物理量を認識する制御装置と、を備えた燃料電池システムの制御方法であって、前記燃料電池システムは、前記第2部位から前記制御装置を介して前記抵抗体と並列接続されるスイッチと、前記スイッチに直列接続されるプルダウン抵抗と、を備え、前記抵抗体の第2端部及び前記プルダウン抵抗はグランドに接続されており、前記制御装置は、前記電気信号が適切かを確認する際に、前記スイッチをオンにした際の電圧を測定する。
【0011】
制御装置は、電気信号が適切かを確認する際に、スイッチをオンする。これにより、抵抗体とプルダウン抵抗とが並列接続される。断線が生じているか否かによって電気信号の電圧値が変化するため、制御装置は、電気信号が適切かを確認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電気信号が適切か否かを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は燃料電池システムの概略構成図である。
図2図2は電子制御ユニット及び抵抗体を示す回路図である。
図3図3は第1確認制御を示すフローチャートである。
図4図4は第2確認制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両10は、負荷11と、電力変換部12と、燃料電池システム20と、を備える。車両10は、例えば、産業車両、農業機械、又は乗用車である。産業車両は、例えば、フォークリフト又はトーイングトラクタである。
【0015】
負荷11は、電力によって駆動する装置である。負荷11は、例えば、電力によって駆動する電動機である。この電動機の駆動によって車両10は走行する。
電力変換部12は、入力された電力を変換して出力する。電力変換部12は、例えば、DC/DCコンバータである。電力変換部12から出力された電力は負荷11に供給される。これにより負荷11は駆動する。
【0016】
<燃料電池システム>
燃料電池システム20は、燃料電池スタック21を備える。燃料電池スタック21は、例えば、固体高分子形燃料電池である。燃料電池スタック21は、複数の燃料電池セル22を備える。燃料電池セル22は、アノードガスが供給されるアノード極と、カソードガスが供給されるカソード極と、アノード極とカソード極との間に配置されている電解質膜と、を備える。燃料電池セル22は、セパレータによって挟まれている。
【0017】
燃料電池スタック21は、カソード流路23と、アノード流路26と、を備える。カソード流路23には、カソードガスが流れる。カソード流路23は、例えば、カソード極に向かい合うセパレータに設けられている。アノード流路26には、アノードガスが流れる。アノード流路26は、例えば、アノード極に向かい合うセパレータに設けられている。カソード流路23は、流入口24と、流出口25と、を備える。カソードガスは、流入口24からカソード流路23に流入し、流出口25から流出する。アノード流路26は、流入口27と、流出口28と、を備える。アノードガスは、流入口27からアノード流路26に流入し、流出口28から流出する。燃料電池スタック21は、アノードガスとカソードガスとの反応によって発電を行う。カソードガスは、酸化剤ガスである。酸化剤ガスは、例えば、空気中の酸素である。アノードガスは、燃料ガスである。燃料ガスは、例えば、水素ガスである。
【0018】
燃料電池システム20は、カソード系30を備える。カソード系30は、カソードガス吸入口31と、電動圧縮機32と、インタークーラ33と、カソード供給路34と、カソード排出路37と、第1封止弁40と、第2封止弁41と、を備える。
【0019】
カソードガス吸入口31は、燃料電池システム20にカソードガスを吸入するための吸入口である。カソードガスとして空気中の酸素を用いる場合、カソードガス吸入口31は大気に開放されていてもよい。カソードガス吸入口31は、カソードガスを貯蔵するガスボンベに接続されていてもよい。
【0020】
電動圧縮機32は、電動モータによって駆動する。電動圧縮機32は、燃料電池スタック21にカソードガスを供給する。詳細には、電動圧縮機32は、カソードガス吸入口31から供給されるカソードガスを圧縮して燃料電池スタック21に供給する。電動圧縮機32から燃料電池スタック21に供給されたカソードガスは、カソード流路23を流れる。
【0021】
インタークーラ33には、電動圧縮機32から吐出されたカソードガスが供給される。インタークーラ33は、電動圧縮機32から供給されたカソードガスを冷却する。燃料電池スタック21に供給されるカソードガスは、インタークーラ33によって冷却された後のカソードガスである。
【0022】
カソード供給路34は、電動圧縮機32とカソード流路23とを接続している。詳細にいえば、カソード供給路34は、電動圧縮機32とカソード流路23の流入口24とを接続している。カソード供給路34は、第1供給路35と、第2供給路36と、を含む。第1供給路35は、電動圧縮機32とインタークーラ33とを接続している。第2供給路36は、インタークーラ33とカソード流路23とを接続している。カソード供給路34は、カソードガスを燃料電池スタック21に供給する。
【0023】
第1封止弁40は、第2供給路36に設けられている。第1封止弁40は、例えば、開度が調整可能な電磁弁である。
カソード排出路37は、カソード排ガスが流れる通路である。カソード排ガスは、燃料電池スタック21から排出されるカソードガスであって、生成水を含んだカソードガスである。生成水とは、燃料電池スタック21での発電によって生成される水である。
【0024】
第2封止弁41は、カソード排出路37に設けられている。第2封止弁41は、例えば、開度が調整可能な電磁弁である。
燃料電池システム20は、アノード系60を備える。アノード系60は、タンク61と、アノードガス供給部62と、供給路63と、循環路64と、気液分離器65と、循環ポンプ66と、排気排水弁67と、を備える。
【0025】
タンク61は、アノードガスを貯留している。
アノードガス供給部62には、タンク61からアノードガスが供給される。アノードガス供給部62は、燃料電池スタック21に供給されるアノードガスの量を調整するための部材である。燃料電池スタック21に供給されるアノードガスの量は、アノードガス供給部62を制御することで調整可能である。アノードガス供給部62は、例えば、インジェクタなどの電磁弁である。
【0026】
供給路63は、アノードガス供給部62と、アノード流路26と、を接続している。詳細にいえば、供給路63は、アノードガス供給部62と、アノード流路26の流入口27と、を接続している。アノードガス供給部62から噴射されたアノードガスは、供給路63を通じて燃料電池スタック21に供給される。
【0027】
循環路64は、アノード流路26と、供給路63と、を接続している。詳細にいえば、循環路64は、アノード流路26の流出口28と、供給路63と、を接続している。循環路64には、アノード排ガスが流れる。アノード排ガスは、未反応のアノードガスと、生成水と、を含む。循環路64は、アノード排ガスに含まれる未反応のアノードガスを供給路63に戻すための通路である。
【0028】
気液分離器65は、循環路64に設けられている。気液分離器65は、アノード排ガスをアノードガスと、生成水と、に分離する。アノード排ガスから分離された生成水は、気液分離器65に貯留される。
【0029】
循環ポンプ66は、循環路64に設けられている。循環ポンプ66は、気液分離器65によってアノード排ガスから分離されたアノードガスを供給路63に供給する。これにより、アノードガスが循環する。
【0030】
排気排水弁67は、気液分離器65に接続されている。排気排水弁67は、開状態と閉状態に切り替えられる。排気排水弁67が開状態になると、気液分離器65から生成水が排出される。排気排水弁67が閉状態になると、気液分離器65から生成水を排出できなくなる。即ち、排気排水弁67が閉状態の場合、気液分離器65に生成水が貯留されていく。排気排水弁67は、気液分離器65に貯留される生成水の量が閾値を上回った場合に閉状態から開状態に切り替えられてもよい。排気排水弁67は、所定の時間間隔毎に閉状態から開状態に切り替えられてもよい。
【0031】
燃料電池システム20は、冷却系70を備える。冷却系70は、冷媒循環路72と、熱交換器73と、ファン74と、冷媒ポンプ75と、を備える。
冷媒循環路72は、燃料電池スタック21と熱交換器73とを接続している。熱交換器73は、例えば、ラジエータである。冷媒循環路72には、冷媒が循環する。冷媒は、例えば、水、不凍液、又は空気である。
【0032】
ファン74は、熱交換器73に向けて送風を行う。ファン74からの送風によって熱交換器73の内部の冷媒は冷却される。
冷媒ポンプ75は、冷媒循環路72に冷媒を循環させる。熱交換器73で冷却された冷媒が冷媒循環路72によって燃料電池スタック21に供給されることで、燃料電池スタック21は冷却される。
【0033】
燃料電池システム20は、第1温度センサ81を備える。第1温度センサ81は、カソード供給路34に設けられている。本実施形態において、第1温度センサ81は、第2供給路36に設けられている。第1温度センサ81は、燃料電池スタック21に供給されるカソードガスの温度を検出するために設けられている。
【0034】
燃料電池システム20は、第2温度センサ82を備える。第2温度センサ82は、冷媒循環路72に設けられている。第2温度センサ82は、冷媒の温度を検出するために設けられている。
【0035】
図2に示すように、第1温度センサ81は、物理量に応じて抵抗値が変動する抵抗体83を備える。抵抗体83は、温度によって抵抗値が変動する測温抵抗体である。温度は、物理量の一例である。抵抗体83は、例えば、サーミスタである。抵抗体83は、カソード供給路34に設けられている。
【0036】
燃料電池スタック21は、電子制御ユニット90を備える。電子制御ユニット90は、制御装置91を備える。制御装置91は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)である。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置91は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置91は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0037】
制御装置91は、燃料電池システム20の制御を行う。例えば、制御装置91は、燃料電池スタック21の出力の目標値を設定するとともに、燃料電池スタック21の出力が目標値に追従するようにアノードガス及びカソードガスの供給量を制御する。
【0038】
電子制御ユニット90は、第1部位としての第1接続端子92と、第2部位としての第2接続端子93と、抵抗素子94と、を備える。抵抗素子94には、電源95が接続されている。第1接続端子92には、抵抗素子94を介して電源95が接続されている。
【0039】
電子制御ユニット90は、フィルタ96を備える。フィルタ96は、第2接続端子93と制御装置91との間に設けられている。フィルタ96は、フィルタ用抵抗素子97と、コンデンサ98と、を備える。フィルタ用抵抗素子97は、第2接続端子93に直列接続されている。フィルタ用抵抗素子97は、制御装置91に接続されている。コンデンサ98は、フィルタ用抵抗素子97と制御装置91との間の箇所とグランドとを接続している。
【0040】
第1接続端子92は、抵抗体83の第1端部に接続されている。第1接続端子92は、抵抗体83の第1端部と電源95との間に存在する。第2接続端子93は、抵抗体83の第1端部に接続されている。第2接続端子93は、抵抗体83の第1端部と第1接続端子92との間に並列に設けられる。第1接続端子92と第2接続端子93とは短絡されている。抵抗体83の第2端部は、グランドに接続されている。
【0041】
電子制御ユニット90は、第2接続端子93から制御装置91を介して抵抗体83と並列接続されたスイッチ99を備える。本実施形態において、制御装置91がスイッチ99を備える。スイッチ99は、制御装置91によってオンとオフとが切り替えられる。制御装置91がスイッチ99のオンとオフとを切り替え可能な構成である。
【0042】
電子制御ユニット90は、スイッチ99に直列接続されるプルダウン抵抗100を備える。プルダウン抵抗100は、グランドに接続されている。本実施形態において、制御装置91がプルダウン抵抗100を備える。スイッチ99及びプルダウン抵抗100は、制御装置91が内蔵している。
【0043】
制御装置91は、第2接続端子93から入力される電気信号から温度を認識する。第2接続端子93から制御装置91に入力される電気信号は、電源95から加わる電圧を抵抗素子94と抵抗体83とで分圧した電圧値である。温度に応じて抵抗体83の抵抗値が変動することで、制御装置91に入力される電圧値も変化する。制御装置91は、電圧値から温度を認識することができる。
【0044】
制御装置91は、第2接続端子93から入力される電気信号によって温度を認識するため、電気信号が適切ではない場合、正しい温度を認識できない場合がある。電気信号が適切ではない場合は、例えば、第1接続端子92と抵抗体83とを接続する配線に断線が生じた場合、又は第2接続端子93と抵抗体83とを接続する配線に断線が生じた場合である。
【0045】
<燃料電池システムの制御方法>
制御装置91は、電気信号が適切かを確認するための制御を行う。電気信号が適切かを確認するための制御は、上記した断線が生じたかを確認するための制御である。制御装置91は、第1確認制御及び第2確認制御を行う。第1確認制御は、燃料電池スタック21の発電前に電気信号が適切かを確認するための制御である。第2確認制御は、燃料電池スタック21の発電中に電気信号が適切かを確認するための制御である。以下、電気信号が適切かを確認するために、制御装置91が行う燃料電池システム20の制御方法について説明を行う。
【0046】
<第1確認制御>
第1確認制御について説明する。
図3に示すように、ステップS1において、制御装置91は、供給指令が有るか否かを判定する。供給指令は、カソードガスを燃料電池スタック21に供給する際に出力される。供給指令は、例えば、燃料電池スタック21を発電停止状態から発電状態に遷移させる際に出力される。ステップS1の判定結果が否定の場合、制御装置91は、第1確認制御を終了する。ステップS1の判定結果が肯定の場合、制御装置91は、ステップS2の処理を行う。
【0047】
ステップS2において、制御装置91は、スイッチ99をオンする。制御装置91は、カソードガスの供給指令があった場合に電気信号が適切かを確認する。この際に、制御装置91は、スイッチ99をオンする。
【0048】
次に、ステップS3において、制御装置91は、断線が生じているか否かを判定する。制御装置91は、第2接続端子93から入力される電気信号の電圧値が0[V]又は0[V]の近傍値に維持されるか否かを判定する。即ち、制御装置91は、スイッチ99をオンにした際の電圧を測定するとともに、断線が生じているかの判定を行う。
【0049】
第1接続端子92と抵抗体83とを接続する配線に断線が生じた場合、電源95からの電圧が加わらなくなるため、制御装置91に入力される電気信号の電圧値が0[V]又は0[V]の近傍値に維持される。第2接続端子93と抵抗体83とを接続する配線に断線が生じた場合、プルダウン抵抗100によって制御装置91に入力される電気信号の電圧値が0[V]又は0[V]の近傍値に維持される。
【0050】
第1接続端子92と抵抗体83とを接続する配線、及び第2接続端子93と抵抗体83とを接続する配線のいずれにも断線が生じていない場合、抵抗体83とプルダウン抵抗100との合成抵抗に応じた電圧値が制御装置91に入力される。このため、制御装置91は、入力される電気信号の電圧値が0[V]又は0[V]の近傍値に維持された場合には、断線が生じていると判定することができる。制御装置91は、入力される電気信号の電圧値が0[V]又は0[V]の近傍値に維持されていない場合、断線が生じていないと判定する。制御装置91は、入力される電気信号の電圧値が0[V]又は0[V]の近傍値に維持されている場合、断線が生じていると判定する。断線が生じていない場合、電気信号は適切である。断線が生じている場合、電気信号は適切ではない。
【0051】
ステップS3の判定結果が肯定の場合、制御装置91は、ステップS4の処理を行う。
ステップS4において、制御装置91は、断線が生じていることを通知する。通知は、例えば、ブザーによって警告音を発することで行われてもよい。通知は、警告灯を点灯、あるいは点滅させることで行われてもよい。通知は、表示部に警告表示をすることで行われてもよい。通知は、通信装置を用いて行われてもよい。例えば、通信装置は、車両10を管理するコンピュータに対して断線が生じたことの通知を行ってもよい。
【0052】
次に、ステップS5において、制御装置91は、出力制限を行う。例えば、制御装置91は、燃料電池スタック21の出力の目標値に上限を設定することによって出力制限を行ってもよい。
【0053】
ステップS3の判定結果が否定の場合、制御装置91は、ステップS6の処理を行う。
ステップS6において、制御装置91は、スイッチ99をオフにする。そして、制御装置91は、カソードガスの供給を開始する。従って、断線が生じているか否かは、供給指令の出力後、カソードガスが供給される前に判定される。
【0054】
次に、ステップS7において、制御装置91は、燃料電池スタック21の発電を開始する。この場合、燃料電池スタック21の出力が制限されていない状態で燃料電池スタック21の発電が行われる。
【0055】
<第2確認制御>
第2確認制御について説明する。
図4に示すように、ステップS11において、制御装置91は、温度異常を検知したか否かを判定する。温度異常は、抵抗体83によって認識できる温度が予め定められた閾値を超過していることである。カソードガスの温度が過剰に高いと、燃料電池スタック21の故障、又は劣化の原因となる。このため、燃料電池スタック21に供給されるカソードガスには、予め許容できる温度が設定されている。許容できる温度の上限値が閾値である。ステップS11の判定結果が否定の場合、制御装置91は、第2確認制御を終了する。ステップS11の判定結果が肯定の場合、制御装置91は、ステップS12の処理を行う。
【0056】
ステップS12の処理は、ステップS2の処理と同一の処理である。制御装置91は、抵抗体83により認識する温度が閾値を超過した場合に、スイッチ99をオンする。
次に、制御装置91は、ステップS13の判定を行う。ステップS13の判定は、ステップS3の判定と同一の判定である。ステップS13の判定結果が肯定の場合、制御装置91は、ステップS14の処理を行う。ステップS14の処理は、ステップS4と同一の処理である。
【0057】
次に、制御装置91は、ステップS15の処理を行う。ステップS15の処理は、ステップS5と同一の処理である。制御装置91は、電気信号が適切ではない場合、燃料電池スタック21の出力制限を行う。
【0058】
ステップS13の判定結果が否定の場合、制御装置91は、ステップS16の処理を行う。
ステップS16において、制御装置91は、温度異常を通知する。通知は、断線が生じた場合に行われる通知と同様に、ブザー、警告灯、表示部又は通信装置を用いて行われればよい。
【0059】
次に、ステップS17において、制御装置91は、燃料電池システム20を停止する。これにより、燃料電池スタック21の発電が停止する。制御装置91は、電気信号が適切な場合、燃料電池スタック21の発電を停止する。
【0060】
[本実施形態の作用]
制御装置91は、電気信号が適切かを確認する際に、スイッチ99をオンする。スイッチ99をオンすることによって、抵抗体83とプルダウン抵抗100とが並列接続される。これにより、制御装置91は、断線が生じたか否かを判定することができる。仮に、抵抗体83とプルダウン抵抗100とを並列接続しない場合、第2接続端子93と抵抗体83とを接続する配線に断線が生じた場合、第2接続端子93が抵抗体83にもプルダウン抵抗100にも接続されていない状態になる。この場合、第2接続端子93の電位が不安定な状態になり、制御装置91に入力される電気信号の電圧値が不定になる。このため、抵抗体83とプルダウン抵抗100とを並列接続しない場合、第2接続端子93と抵抗体83とを接続する配線に断線が生じたことの判定を行うことができない。本実施形態のように、電気信号が適切かを確認する際に、スイッチ99をオンして抵抗体83とプルダウン抵抗100とを並列接続することで、第2接続端子93と抵抗体83とを接続する配線に断線が生じたことの判定を行うことができる。また、電気信号が適切かを確認しない場合には、スイッチ99をオフしておくことで、抵抗体83の抵抗値に応じた温度を制御装置91が認識することができる。
【0061】
[本実施形態の効果]
(1)制御装置91は、電気信号が適切かを確認する際に、スイッチ99をオンする。断線が生じているか否かによって電気信号の電圧値が変化するため、電気信号が適切かを確認することができる。
【0062】
(2)制御装置91がスイッチ99を備える。即ち、制御装置91が内蔵しているスイッチ99を用いている。制御装置91が備えるスイッチ99とは別にスイッチを設ける場合に比べて、部品点数を少なくすることができる。
【0063】
(3)抵抗体83は、カソード供給路34に設けられている。制御装置91は、カソードガスの供給指令があった場合に電気信号が適切かを確認する。供給指令があった場合に電気信号が適切かを確認することで、制御装置91が正しい温度を認識できないことを原因として温度が過剰に高いカソードガスが燃料電池スタック21に供給されることを抑制できる。これにより、温度が過剰に高いカソードガスが燃料電池スタック21に供給されることを原因として、燃料電池スタック21が故障、又は劣化することを抑制できる。
【0064】
(4)抵抗体83は、カソード供給路34に設けられている。制御装置91は、抵抗体83により認識する温度が閾値を超過した場合にスイッチ99をオンする。そして、制御装置91は、電気信号が適切ではない場合、燃料電池スタック21の出力制限を行う。電気信号が適切ではない場合、断線によって温度が閾値を超過したと考えられる。この場合、カソードガスの実際の温度は閾値未満と推測できるため、燃料電池スタック21の出力制限を行った状態で発電を継続する。これにより、燃料電池スタック21の稼働時間を延長できる。実施形態のように、車両10が備える燃料電池システム20の場合、退避走行する時間を確保できる。
【0065】
制御装置91は、電気信号が適切な場合、燃料電池スタック21の発電を停止する。電気信号が適切な場合、カソードガスの温度が実際に閾値を超過している。この場合、燃料電池スタック21の発電を停止することで、温度が閾値を超えたカソードガスが燃料電池スタック21に供給されることを原因として、燃料電池スタック21が故障、又は劣化することを抑制できる。
【0066】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
○制御装置91は、第1確認制御及び第2確認制御のうちのいずれか1つのみを行ってもよい。
○抵抗体83は、物理量に応じて抵抗値が変動するものであればよい。
【0068】
○スイッチ99、及びプルダウン抵抗100は、制御装置91の外部に設けられたものであってもよい。
○第1確認制御、及び第2確認制御で断線を確認する対象となる抵抗体は、燃料電池スタック21に設けられる抵抗体であればよい。例えば、制御装置91は、第2温度センサ82が備える抵抗体を対象として第1確認制御、及び第2確認制御を行ってもよい。
【0069】
○燃料電池システム20は、定置式であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
20…燃料電池システム、21…燃料電池スタック、34…カソード供給路、83…抵抗体、91…制御装置、92…第1部位である第1接続端子、93…第2部位である第2接続端子、94…抵抗素子、95…電源、99…スイッチ、100…プルダウン抵抗。
図1
図2
図3
図4