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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169153
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086381
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 光亮
(57)【要約】
【課題】パッド間の電位差を小さくできる炭化珪素半導体装置を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有する炭化珪素基板と、前記第1主面の上に設けられる電極と、前記電極の上に設けられ、主電流が流れる第1パッドと、前記電極の上に設けられ、前記電極の電位を検出するための第2パッドと、前記第1パッドと前記第2パッドとを電気的に接続するボンディングワイヤと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有する炭化珪素基板と、
前記第1主面の上に設けられる電極と、
前記電極の上に設けられ、主電流が流れる第1パッドと、
前記電極の上に設けられ、前記電極の電位を検出するための第2パッドと、
前記第1パッドと前記第2パッドとを電気的に接続するボンディングワイヤと、
を備える、炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記第2パッドは、絶縁膜によって前記第1パッドから隔てられるように設けられる、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記ボンディングワイヤは、第1端と、前記第1端と反対の第2端と、前記第1端と前記第2端との間の中間部とを有し、
前記中間部が前記第1パッドまたは前記第2パッドに接合される、
請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記第1パッドに接合される金属板を更に備え、
前記ボンディングワイヤは、第1端と、前記第1端と反対の第2端と、前記第1端と前記第2端との間の中間部とを有し、
前記中間部が前記第2パッドまたは前記金属板に接合される、
請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有する炭化珪素基板と、
前記第1主面の上に設けられる電極と、
前記電極の上に設けられ、主電流が流れる第1パッドと、
前記電極の上に設けられ、前記電極の電位を検出するための第2パッドと、
前記第1パッドおよび前記第2パッドと接合される金属板と、
を備える、炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記第1パッドと前記第2パッドとは、一体として形成される、
請求項5に記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主電流が流れるソースパッドとは別に、ソース電位を検出するための基準電位パッドが設けられたスイッチング素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-170826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスイッチング素子では、ソースパッドと基準電位パッドとの間の抵抗に起因してソースパッドと基準電位パッドとの間に電位差が生じる。
【0005】
本開示は、パッド間の電位差を小さくできる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有する炭化珪素基板と、前記第1主面の上に設けられる電極と、前記電極の上に設けられ、主電流が流れる第1パッドと、前記電極の上に設けられ、前記電極の電位を検出するための第2パッドと、前記第1パッドと前記第2パッドとを電気的に接続するボンディングワイヤと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、パッド間の電位差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す上面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図3図3は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図4図4は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図5図5は、第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図6図6は、参考例に係る炭化珪素半導体装置を示す上面図である。
図7図7は、参考例に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図8図8は、パッド間の距離とパッド間の電位差との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有する炭化珪素基板と、前記第1主面の上に設けられる電極と、前記電極の上に設けられ、主電流が流れる第1パッドと、前記電極の上に設けられ、前記電極の電位を検出するための第2パッドと、前記第1パッドと前記第2パッドとを電気的に接続するボンディングワイヤと、を備える。この場合、電極よりも低抵抗なボンディングワイヤによって第1パッドと第2パッドとが電気的に接続されるので、第1パッドと第2パッドとの間の抵抗が低くなる。このため、第1パッドと第2パッドとの間の電位差を小さくできる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第2パッドは、絶縁膜によって前記第1パッドから隔てられるように設けられてもよい。この場合、第1パッドと第2パッドの接合位置の視認性が改善される。また、パッド内で溶融した接合材料がもう一方のパッドに流れ出すことを防ぐことができる。
【0013】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、前記ボンディングワイヤは、第1端と、前記第1端と反対の第2端と、前記第1端と前記第2端との間の中間部とを有し、前記中間部が前記第1パッドまたは前記第2パッドに接合されてもよい。この場合、第1パッドと第2パッドとを接続した後にボンディングワイヤを切断せずに別端子に接続できる。
【0014】
〔4〕 〔1〕または〔2〕において、前記第1パッドに接合される金属板を更に備え、前記ボンディングワイヤは、第1端と、前記第1端と反対の第2端と、前記第1端と前記第2端との間の中間部とを有し、前記中間部が前記第2パッドまたは前記金属板に接合されてもよい。この場合、電極よりも低抵抗な金属板およびボンディングワイヤによって第1パッドと第2パッドとが電気的に接続されるので、第1パッドと第2パッドとの間の抵抗が低くなる。このため、第1パッドと第2パッドとの間の電位差を小さくできる。
【0015】
〔5〕 本開示の他の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面と反対の第2主面とを有する炭化珪素基板と、前記第1主面の上に設けられる電極と、前記電極の上に設けられ、主電流が流れる第1パッドと、前記電極の上に設けられ、前記電極の電位を検出するための第2パッドと、前記第1パッドおよび前記第2パッドと接合される金属板と、を備える。この場合、電極よりも低抵抗な金属板によって第1パッドと第2パッドとが電気的に接続されるので、第1パッドと第2パッドとの間の抵抗が低くなる。このため、第1パッドと第2パッドとの間の電位差を小さくできる。
【0016】
〔6〕 〔5〕において、前記第1パッドと前記第2パッドとは、一体として形成されてもよい。この場合、第1パッドと第2パッドとがほぼ同電位となる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
図1および図2を参照し、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1について説明する。図1は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1を示す上面図である。図2は、第1実施形態に係る炭化珪素半導体装置1を示す断面図である。図2は、図1中のA-A線に沿った断面に相当する。
【0019】
炭化珪素半導体装置1は、絶縁基板10と、ソース電極パターン13と、ドレイン電極パターン14と、ゲート信号電極パターン15と、ソース信号電極パターン16とを有する。炭化珪素半導体装置1は、更に、半導体素子20と、ソース用リードフレーム31と、ゲート用リードフレーム32と、ボンディングワイヤ33とを備える。
【0020】
絶縁基板10は、上面10aと、上面10aと反対の下面10bとを有する。ソース電極パターン13、ドレイン電極パターン14、ゲート信号電極パターン15およびソース信号電極パターン16は、上面10aに設けられる。絶縁基板10の材料は、例えば窒化珪素(SiN)、酸化アルミニウム(Al)または窒化アルミニウム(AlN)である。ソース電極パターン13、ドレイン電極パターン14、ゲート信号電極パターン15およびソース信号電極パターン16の材料は、例えば銅(Cu)である。ソース電極パターン13はソース端子に接続され、ドレイン電極パターン14はドレイン端子に接続され、ゲート信号電極パターン15はゲート端子に接続され、ソース信号電極パターン16は補助ソース端子に接続される。補助ソース端子は、ソースセンス端子またはケルビンソース端子とよばれることもある。
【0021】
半導体素子20は、例えば電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。半導体素子20は、炭化珪素基板21と、ソース配線22と、ソースパッド電極23と、ドレインパッド電極24と、ゲートパッド電極25と、ソース信号パッド電極26と、パッシベーション膜27とを有する。
【0022】
炭化珪素基板21は、上面21aと、上面21aと反対の下面21bとを有する。炭化珪素基板21は、炭化珪素単結晶基板と、炭化珪素単結晶基板の上に形成された炭化珪素エピタキシャル層とを含んでいてもよい。
【0023】
ソース配線22は、上面21aに設けられる。ソース配線22の材料は、例えばAlCuである。ソースパッド電極23、ソース信号パッド電極26およびパッシベーション膜27は、ソース配線22の上に設けられる。ソース信号パッド電極26は、パッシベーション膜27によってソースパッド電極23から隔てられるように設けられる。この場合、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26の接合位置の視認性が改善される。また、パッド内で溶融した接合材料がもう一方のパッドに流れ出すことを防ぐことができる。ゲートパッド電極25は、上面21aに設けられる。ゲートパッド電極25は、パッシベーション膜27によってソースパッド電極23およびソース信号パッド電極26から隔てられるように設けられる。ドレインパッド電極24は、下面21bに設けられる。ソースパッド電極23、ドレインパッド電極24、ゲートパッド電極25およびソース信号パッド電極26は、例えばニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)および金(Au)の積層体により構成される。パッシベーション膜27は、ソースパッド電極23とゲートパッド電極25とソース信号パッド電極26とを電気的に絶縁する。パッシベーション膜27は、例えば窒化珪素(SiN)とポリイミドの積層体により構成される。
【0024】
半導体素子20は、ドレイン電極パターン14の上に設けられる。半導体素子20のドレインパッド電極24は、はんだ等の導電性接合材41によりドレイン電極パターン14に接合される。
【0025】
ソース用リードフレーム31は、ソース電極パターン13とソースパッド電極23とを電気的に接続する。ソース用リードフレーム31は、はんだ等の導電性接合材42によりソースパッド電極23に接合される。ソース用リードフレーム31の材料は、例えば銅(Cu)、銅合金である。ソース用リードフレーム31の代わりに、ボンディングワイヤが用いられてもよい。
【0026】
ゲート用リードフレーム32は、ゲート信号電極パターン15とゲートパッド電極25とを電気的に接続する。ゲート用リードフレーム32は、はんだ等の導電性接合材によりゲートパッド電極25に接合される。ゲート用リードフレーム32の材料は、例えば銅、銅合金である。ゲート用リードフレーム32の代わりに、ボンディングワイヤが用いられてもよい。
【0027】
ボンディングワイヤ33は、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ33は、ソース配線22よりも低抵抗である。このため、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間の抵抗が低くなる。これにより、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間の電位差を小さくできる。その結果、半導体素子20内におけるゲート・ソース間電圧の均一性を高めることができる。ボンディングワイヤ33の材料は、例えばアルミニウム(Al)である。
【0028】
ボンディングワイヤ33は、第1端33aと、第1端と反対の第2端33bと、第1端33aと第2端33bとの間の中間部33cとを有する。第1端33aはソースパッド電極23に接続され、中間部33cはソース信号パッド電極26に接続される。この場合、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを接続した後にボンディングワイヤ33を切断せずに第2端33bをソース信号電極パターン16に接続できる。
【0029】
ボンディングワイヤ33は、第1端33aがソース信号パッド電極26に接続され、中間部33cがソースパッド電極23に接続されてもよい。この場合、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを接続した後にボンディングワイヤ33を切断せずに第2端33bを別端子に接続できる。ボンディングワイヤ33は、第1端33aがソースパッド電極23に接続され、第2端33bがソース信号パッド電極26に接続されてもよい。
【0030】
(第2実施形態)
図3を参照し、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置2について説明する。図3は、第2実施形態に係る炭化珪素半導体装置2を示す断面図である。図3は、図1中のA-A線に沿った断面に相当する。
【0031】
炭化珪素半導体装置2は、主にボンディングワイヤ33の第1端33aがソース信号パッド電極26に接続され、中間部33cがソース用リードフレーム31に接続される構成において、炭化珪素半導体装置1と異なる。他の構成については、炭化珪素半導体装置1と同様である。以下、炭化珪素半導体装置1と異なる構成を中心に説明する。
【0032】
図3に示されるように、炭化珪素半導体装置2においては、ボンディングワイヤ33の第1端33aがソース信号パッド電極26に接続され、中間部33cがソース用リードフレーム31の上面に接続される。ソース用リードフレーム31およびボンディングワイヤ33は、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを電気的に接続する。ソース用リードフレーム31およびボンディングワイヤ33は、ソース配線22よりも低抵抗である。このため、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間の抵抗が低くなる。これにより、ソースパッド電極23おソース信号パッド電極26との間の電位差を小さくできる。その結果、半導体素子20内におけるゲート・ソース間電圧の均一性を高めることができる。
【0033】
図3に示されるように、炭化珪素半導体装置2においては、第1端33aがソース信号パッド電極26に接続され、中間部33cがソース用リードフレーム31に接続される。この場合、ソース信号パッド電極26とソース用リードフレーム31とを接続した後にボンディングワイヤ33を切断せずに第2端33bを別端子に接続できる。
【0034】
ボンディングワイヤ33は、第1端33aがソース用リードフレーム31に接続され、中間部33cがソース信号パッド電極26に接続されてもよい。この場合、ソース信号パッド電極26とソース用リードフレーム31とを接続した後にボンディングワイヤ33を切断せずに第2端33bをソース信号電極パターン16に接続できる。ボンディングワイヤ33は、第1端33aがソース信号パッド電極26に接続され、第2端33bがソース用リードフレーム31に接続されてもよい。
【0035】
(第3実施形態)
図4を参照し、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置3について説明する。図4は、第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置3を示す断面図である。図4は、図1中のA-A線に沿った断面に相当する。
【0036】
炭化珪素半導体装置3は、主にソース用リードフレーム31がソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを電気的に接続する構成において、炭化珪素半導体装置1と異なる。他の構成については、炭化珪素半導体装置1と同様である。以下、炭化珪素半導体装置1と異なる構成を中心に説明する。
【0037】
図4に示されるように、炭化珪素半導体装置3においては、ソース用リードフレーム31が、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを電気的に接続する。ソース用リードフレーム31は、ソース配線22よりも低抵抗である。このため、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間の抵抗が低くなる。これにより、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間の電位差を小さくできる。その結果、半導体素子20内におけるゲート・ソース間電圧の均一性を高めることができる。
【0038】
図4に示されるように、炭化珪素半導体装置3においては、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とが一体として形成される。第3実施形態に係る炭化珪素半導体装置3においては、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とが分割されていない。この場合、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とがほぼ同電位となる。すなわち、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間の電位差を小さくできる。
【0039】
ソース用リードフレーム31は、ソースパッド電極23(ソース信号パッド電極26)とソース電極パターン13およびソース信号電極パターン16とを電気的に接続する。ソース用リードフレーム31は、はんだ等の導電性接合材42によりソースパッド電極23(ソース信号パッド電極26)に接合される。
【0040】
(第4実施形態)
図5を参照し、第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置4について説明する。図5は、第4実施形態に係る炭化珪素半導体装置4を示す断面図である。図5は、図1中のA-A線に沿った断面に相当する。
【0041】
炭化珪素半導体装置4は、主にボンディングワイヤ35によりソース信号電極パターン16とソース用リードフレーム31とが接続される構成において、炭化珪素半導体装置3と異なる。他の構成については、炭化珪素半導体装置3と同様である。以下、炭化珪素半導体装置3と異なる構成を中心に説明する。
【0042】
図5に示されるように、炭化珪素半導体装置4においては、ボンディングワイヤ35によりソース信号電極パターン16とソース用リードフレーム31とが接続される。
【0043】
(参考例)
図6から図8を参照し、参考例に係る炭化珪素半導体装置9について説明する。図6は、参考例に係る炭化珪素半導体装置9を示す上面図である。図7は、参考例に係る炭化珪素半導体装置9を示す断面図である。図7は、図6中のB-B線に沿った断面に相当する。
【0044】
炭化珪素半導体装置9は、主にボンディングワイヤ33がソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを接続しない構成において、炭化珪素半導体装置1と異なる。他の構成については、炭化珪素半導体装置1と同様である。以下、炭化珪素半導体装置1と異なる構成を中心に説明する。
【0045】
図6および図7に示されるように、炭化珪素半導体装置9においては、ボンディングワイヤ33がソースパッド電極23とソース信号パッド電極26とを接続しない。ボンディングワイヤ33は、第1端33aがソース信号パッド電極26に接続され、第2端33bがソース信号電極パターン16に接続される。この場合、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間には、ソース配線22に起因した配線抵抗Rが存在する。配線抵抗Rは、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間のパッド間の距離Lが長くなると大きくなる。
【0046】
半導体素子20が動作すると、電流はドレインパッド電極24から炭化珪素基板21を通ってソース配線22に縦方向に流れた後に、ソースパッド電極23およびソース信号パッド電極26に流れる。このとき、ソース配線22の配線抵抗Rに起因して、ソースパッド電極23とソース信号パッド電極26との間に電位差ΔVが生じる。
【0047】
図7に示されるように、ソースパッド電極23側を流れる電流をI1とし、ソース信号パッド電極26側を流れる電流をI2とし、ソース信号パッド電極26側においてゲート・ソース間に電圧V1を供給する場合を考える。この場合、ソースパッド電極23側においては、ゲート・ソース間に電圧V1+ΔV(ただし、ΔV=I2×R)が供給される。このように、半導体素子20内におけるゲート・ソース間電圧が不均一位になる。特に、半導体素子20の短絡動作時には、電流I1、I2が大きくなるため、電位差ΔVが大きくなる。
【0048】
図8は、パッド間の距離Lとパッド間の電位差ΔVとの関係を示す図である。図8は、半導体素子20の温度が25℃または175℃の場合において、半導体素子20の短絡動作時のパッド間の距離Lとパッド間の電位差ΔVとの関係を示す。図8では、電流I1+I2が70A/mmの場合を示す。図8において、横軸はパッド間の距離L[mm]を示し、縦軸はパッド間の電位差ΔV[V]を示す。
【0049】
図8に示されるように、半導体素子20の温度が高くなるほどパッド間の電位差ΔVが大きくなり、パッド間の距離Lが長くなるほどパッド間の電位差ΔVが大きくなることが分かる。
【0050】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3、4、9 炭化珪素半導体装置
10 絶縁基板
10a 上面
10b 下面
13 ソース電極パターン
14 ドレイン電極パターン
15 ゲート信号電極パターン
16 ソース信号電極パターン
20 半導体素子
21 炭化珪素基板
21a 上面
21b 下面
22 ソース配線
23 ソースパッド電極
24 ドレインパッド電極
25 ゲートパッド電極
26 ソース信号パッド電極
27 パッシベーション膜
31 ソース用リードフレーム
32 ゲート用リードフレーム
33 ボンディングワイヤ
33a 第1端
33b 第2端
33c 中間部
35 ボンディングワイヤ
41、42 導電性接合材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8