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特開2024-169174災害支援システム、災害支援方法、支援サーバ、端末装置及びコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169174
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】災害支援システム、災害支援方法、支援サーバ、端末装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/909 20190101AFI20241128BHJP
【FI】
G06F16/909
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086423
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】515243741
【氏名又は名称】株式会社Cube Earth
(74)【代理人】
【識別番号】100117260
【弁理士】
【氏名又は名称】福永 正也
(72)【発明者】
【氏名】武田 全史
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA03
5B175FA01
5B175GA04
(57)【要約】
【課題】複数の地図データについて演算処理負荷を抑制しつつ容易に一元化し、災害情報を反映させて人命の損失を抑制することが可能な災害支援システム、災害支援方法、支援サーバ、端末装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】支援サーバが、複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を位置空間に関する情報に対応付けて取得し、固有の識別子を割り当て、識別子に対応付けられた危険地域に関する情報を端末装置へ送信する。端末装置が、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体セルとして受け付け、探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し八分割する。要支援者の位置に関する情報を取得し、最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるまで繰り返し探索する。危険地域に関する情報と、要支援者の存在する位置に関する情報とを照合する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバと、
該支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置と
で構成される災害支援システムにおいて、
前記支援サーバは、
複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する危険地域情報取得手段と、
取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる識別子割当手段と、
割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する情報送信手段と
を備え、
前記端末装置は、
要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける探索領域指定受付手段と、
指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルを八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する探索領域分割手段と、
要支援者の位置に関する情報を取得する要支援者位置情報取得手段と、
指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する要支援者存在領域確定手段と、
特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する識別子特定手段と、
前記危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する情報受信手段と、
特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する照合手段と
を備えることを特徴とする災害支援システム。
【請求項2】
前記支援サーバは、
任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段と、
設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する基準点算出手段と、
算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する識別子付与手段と、
前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する情報記憶手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の災害支援システム。
【請求項3】
前記基準点算出手段は、
設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段と、
単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段と、
算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段と、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段と、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段と、
設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段と、
前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段と、
前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段と、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段と、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段と、
設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の災害支援システム。
【請求項4】
前記支援サーバは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあり、
前記端末装置の前記探索領域指定受付手段は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付け、
前記端末装置の前記探索領域分割手段は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割し、
前記端末装置の前記要支援者存在領域確定手段は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定し、
前記端末装置の前記識別子特定手段は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定することを特徴とする請求項1に記載の災害支援システム。
【請求項5】
前記危険地域に関する情報は、過去の災害履歴に基づいて統計的に策定したハザードマップ、リアルタイムの情報から特定された危険地域に関する情報の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の災害支援システム。
【請求項6】
要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の災害支援システム。
【請求項7】
前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の災害支援システム。
【請求項8】
地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバと、
該支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置と
で構成される災害支援システムで実行することが可能な災害支援方法において、
前記支援サーバによる、
複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する第1の工程と、
取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる第2の工程と、
割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する第3の工程と
を含み、
前記端末装置による、
要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける第4の工程と、
指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルに八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する第5の工程と、
要支援者の位置に関する情報を取得する第6の工程と、
指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する第7の工程と、
特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する第8の工程と、
前記危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する第9の工程と、
特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する第10の工程と
を含むことを特徴とする災害支援方法。
【請求項9】
前記支援サーバによる、
任意の座標原点の設定を受け付ける第11の工程と、
設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する第12の工程と、
算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する第13の工程と、
前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する第14の工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の災害支援方法。
【請求項10】
前記第12の工程は、
設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する第15の工程と、
単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する第16の工程と、
算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する第17の工程と、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する第18の工程と、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する第19の工程と、
設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する第20の工程と、
前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する第21の工程と、
前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する第22の工程と、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する第23の工程と、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する第24の工程と、
設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する第25の工程と
を含むことを特徴とする請求項9に記載の災害支援方法。
【請求項11】
前記支援サーバは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあり、
前記端末装置による前記第4の工程は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付け、
前記端末装置による前記第5の工程は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割し、
前記端末装置による前記第7の工程は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定し、
前記端末装置による第8の工程は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定することを特徴とする請求項8に記載の災害支援方法。
【請求項12】
前記危険地域に関する情報は、過去の災害履歴に基づいて統計的に策定したハザードマップ、リアルタイムの情報から特定された危険地域に関する情報の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の災害支援方法。
【請求項13】
要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の災害支援システム。
【請求項14】
前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の災害支援方法。
【請求項15】
位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバであって、
複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する危険地域情報取得手段と、
取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる識別子割当手段と、
割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する情報送信手段と
を備えることを特徴とする支援サーバ。
【請求項16】
任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段と、
設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する基準点算出手段と、
算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する識別子付与手段と、
前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する情報記憶手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の支援サーバ。
【請求項17】
前記基準点算出手段は、
設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段と、
単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段と、
算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段と、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段と、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段と、
設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段と、
前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段と、
前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段と、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段と、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段と、
設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段と
を備えることを特徴とする請求項16に記載の支援サーバ。
【請求項18】
地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあることを特徴とする請求項15に記載の支援サーバ。
【請求項19】
前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか一項に記載の支援サーバ。
【請求項20】
地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置であって、
要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける探索領域指定受付手段と、
指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルを八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する探索領域分割手段と、
要支援者の位置に関する情報を取得する要支援者位置情報取得手段と、
指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する要支援者存在領域確定手段と、
特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する識別子特定手段と、
危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する情報受信手段と、
特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する照合手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項21】
前記支援サーバは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあり、
前記探索領域指定受付手段は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付け、
前記探索領域分割手段は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割し、
前記要支援者存在領域確定手段は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定し、
前記識別子特定手段は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定することを特徴とする請求項20に記載の端末装置。
【請求項22】
前記危険地域に関する情報は、過去の災害履歴に基づいて統計的に策定したハザードマップ、リアルタイムの情報から特定された危険地域に関する情報の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項20又は21に記載の端末装置。
【請求項23】
要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることを特徴とする請求項20又は21に記載の端末装置。
【請求項24】
前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることを特徴とする請求項20又は21に記載の端末装置。
【請求項25】
位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバで実行することが可能なコンピュータプログラムであって、
前記支援サーバを、
複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する危険地域情報取得手段、
取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる識別子割当手段、及び
割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する情報送信手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項26】
前記支援サーバを、
任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段、
設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する基準点算出手段、
算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する識別子付与手段、及び
前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する情報記憶手段
として機能させることを特徴とする請求項25に記載のコンピュータプログラム。
【請求項27】
前記基準点算出手段を、
設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段、
単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段、
算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段、
設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段、
前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段、
前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段、
算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段、
特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段、及び
設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段
として機能させることを特徴とする請求項26に記載のコンピュータプログラム。
【請求項28】
地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置で実行することが可能なコンピュータプログラムであって、
前記端末装置を、
要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける探索領域指定受付手段、
指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルを八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する探索領域分割手段、
要支援者の位置に関する情報を取得する要支援者位置情報取得手段、
指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する要支援者存在領域確定手段、
特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する識別子特定手段、
危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する情報受信手段、及び
特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する照合手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項29】
前記支援サーバは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶するようにしてあり、
前記探索領域指定受付手段を、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付ける手段として機能させ、
前記探索領域分割手段を、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割する手段として機能させ、
前記要支援者存在領域確定手段を、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定する手段として機能させ、
前記識別子特定手段を、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定する手段として機能させることを特徴とする請求項28に記載のコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データフォーマットの相違する複数の災害地図情報を、地球上の位置空間に重複することのない固有の識別子を割り当てておくことで識別子を介して一元管理し、的確な支援情報を提供することが可能な災害支援システム、災害支援方法、支援サーバ、端末装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS等の人工衛星を用いた位置情報システムが多方面で活用されている。特に昨今のスマートフォン等の携帯型端末装置の普及に伴い、位置情報を用いた多様なアプリケーションにおいても、このような位置情報システムが組み込まれているケースが多い。
【0003】
GPSを用いる場合、GPSで測定された緯度経度情報により位置を特定する。したがって、例えば災害発生時等に、救助の必要が生じた要支援者の携帯型端末装置の現在位置を知ることも可能である。しかし、どのような地域に存在するのか、災害が拡大する可能性はどうなのか等の情報は知る由もなく、何らかの支援情報の提供を受けることにより、確実な避難経路等を取得することができる。
【0004】
例えば特許文献1には、地図情報、ランドマーク情報、河川情報、洪水ハザードマップ関連情報などを用いて、地図上に危険地域を正確に表示することが可能なリアルタイムハザードマップシステムが開示されている。引用文献1では、雨量等の河川情報に基づいて洪水等による氾濫地域をリアルタイムにシミュレーションすることもでき、人命の被害を最小限にとどめることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-168179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているシステムは、災害に関する情報が一元管理されており、データフォーマットが一位であることを前提としたシステムである。しかし、実際に災害が発生した場合、現場における様々なリアルタイム情報は、様々な機関から発信されており、特に地図情報については管轄官庁によってもデータフォーマットが相違していることから、例えば地図を重ね合わせて最適な避難経路を割り出す等の作業は困難を極めるという問題点があった。
【0007】
また、緯度経度情報を用いてすべての地図情報を同期させることは理論的に可能であるが、演算処理負荷が大きく、例えば要支援者が保有する携帯型端末装置上で避難経路を導き出すことは、地域の広さによっては演算時間がかかりすぎ、実用的でない恐れがあるという問題点もあった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、データフォーマットの相違する複数の地図データについて演算処理負荷を抑制しつつ容易に一元化することができ、リアルタイムに取得した災害情報を反映させて人命の損失を抑制することが可能な支援を行う災害支援システム、災害支援方法、支援サーバ、端末装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る災害支援システムは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバと、該支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置とで構成される災害支援システムにおいて、前記支援サーバが、複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する危険地域情報取得手段と、取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる識別子割当手段と、割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する情報送信手段とを備え、前記端末装置が、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける探索領域指定受付手段と、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルを八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する探索領域分割手段と、要支援者の位置に関する情報を取得する要支援者位置情報取得手段と、指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する要支援者存在領域確定手段と、特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する識別子特定手段と、前記危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する情報受信手段と、特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する照合手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る災害支援システムは、前記支援サーバが、任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段と、設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する基準点算出手段と、算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する識別子付与手段と、前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する情報記憶手段とをさらに備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る災害支援システムは、前記基準点算出手段が、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段と、単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段と、算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段と、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段と、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段と、設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段と、前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段と、前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段と、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段と、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段と、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段とを備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る災害支援システムは、前記支援サーバが、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあり、前記端末装置の前記探索領域指定受付手段は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付け、前記端末装置の前記探索領域分割手段は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割し、前記端末装置の前記要支援者存在領域確定手段は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定し、前記端末装置の前記識別子特定手段は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る災害支援システムは、前記危険地域に関する情報が、過去の災害履歴に基づいて統計的に策定したハザードマップ、リアルタイムの情報から特定された危険地域に関する情報の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る災害支援システムは、要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る災害支援システムは、前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることが好ましい。
【0016】
次に、上記目的を達成するために本発明に係る災害支援方法は、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバと、該支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置とで構成される災害支援システムで実行することが可能な災害支援方法において、前記支援サーバによる、複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する第1の工程と、取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる第2の工程と、割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する第3の工程とを含み、前記端末装置による、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける第4の工程と、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルに八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する第5の工程と、要支援者の位置に関する情報を取得する第6の工程と、指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する第7の工程と、特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する第8の工程と、前記危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する第9の工程と、特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する第10の工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る災害支援方法は、前記支援サーバによる、任意の座標原点の設定を受け付ける第11の工程と、設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する第12の工程と、算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する第13の工程と、前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する第14の工程とをさらに含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る災害支援方法は、前記第12の工程が、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する第15の工程と、単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する第16の工程と、算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する第17の工程と、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する第18の工程と、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する第19の工程と、設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する第20の工程と、前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する第21の工程と、前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する第22の工程と、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する第23の工程と、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する第24の工程と、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する第25の工程とを含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る災害支援方法は、前記支援サーバが、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあり、前記端末装置による前記第4の工程は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付け、前記端末装置による前記第5の工程は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割し、前記端末装置による前記第7の工程は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定し、前記端末装置による第8の工程は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定することが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る災害支援方法は、前記危険地域に関する情報が、過去の災害履歴に基づいて統計的に策定したハザードマップ、リアルタイムの情報から特定された危険地域に関する情報の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る災害支援方法は、要支援者の位置に関する情報が、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る災害支援方法は、前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることが好ましい。
【0023】
次に、上記目的を達成するために本発明に係る支援サーバは、位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバであって、複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する危険地域情報取得手段と、取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる識別子割当手段と、割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る支援サーバは、任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段と、設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する基準点算出手段と、算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する識別子付与手段と、前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する情報記憶手段とをさらに備えることが好ましい。
【0025】
また、本発明に係る支援サーバは、前記基準点算出手段が、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段と、単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段と、算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段と、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段と、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段と、設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段と、前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段と、前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段と、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段と、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段と、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段とを備えることが好ましい。
【0026】
また、本発明に係る支援サーバは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあることが好ましい。
【0027】
また、本発明に係る支援サーバは、前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることが好ましい。
【0028】
次に、上記目的を達成するために本発明に係る端末装置は、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置であって、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける探索領域指定受付手段と、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルを八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する探索領域分割手段と、要支援者の位置に関する情報を取得する要支援者位置情報取得手段と、指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する要支援者存在領域確定手段と、特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する識別子特定手段と、危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する情報受信手段と、特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する照合手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る端末装置は、前記支援サーバが、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してあり、前記探索領域指定受付手段は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付け、前記探索領域分割手段は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割し、前記要支援者存在領域確定手段は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定し、前記識別子特定手段は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定することが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る端末装置は、前記危険地域に関する情報が、過去の災害履歴に基づいて統計的に策定したハザードマップ、リアルタイムの情報から特定された危険地域に関する情報の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0031】
また、本発明に係る端末装置は、要支援者の位置に関する情報が、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることが好ましい。
【0032】
また、本発明に係る端末装置は、前記危険地域に関する情報の一部とは、要支援者の位置に関する情報を含む所定の領域内の前記危険地域に関する情報であることが好ましい。
【0033】
次に、上記目的を達成するために本発明に係るコンピュータプログラムは、位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバで実行することが可能なコンピュータプログラムであって、前記支援サーバを、複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を前記位置空間に関する情報に対応付けて取得する危険地域情報取得手段、取得した危険地域に関する情報に、前記識別子を割り当てる識別子割当手段、及び割り当てられた識別子に対応付けられた前記危険地域に関する情報の一部又は全部を前記端末装置へ送信する情報送信手段として機能させることを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記支援サーバを、任意の座標原点の設定を受け付ける座標原点受付手段、設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する基準点算出手段、算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の前記識別子を付与する識別子付与手段、及び前記識別子に対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を記憶する情報記憶手段として機能させることが好ましい。
【0035】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記基準点算出手段を、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する緯度値算出手段、単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する緯度値累積誤差算出手段、算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する緯度値グリッド誤差算出手段、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう1三次元ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する経線方向グリッド数特定手段、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに前記座標原点からの基準緯度を順次設定する基準緯度設定手段、設定を受け付けた座標原点から前記基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、前記緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する経度値算出手段、前記緯線ごとの経度値を天体の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する経度値累積誤差算出手段、前記緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、前記緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する経度値グリッド誤差算出手段、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の1000分の1以下となるよう前記緯線ごとに1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する緯線方向グリッド数特定手段、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに、前記緯線ごとの基準経度を順次設定する基準経度設定手段、及び設定された基準緯度と基準経度とに基づいて前記座標原点から順次基準点を特定する基準点特定手段として機能させることが好ましい。
【0036】
次に、上記目的を達成するために本発明に係るコンピュータプログラムは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバとデータ通信することが可能に接続されており、前記位置空間内の指定を受け付けた探索領域に要支援者が存在するか否かを探索する端末装置で実行することが可能なコンピュータプログラムであって、前記端末装置を、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける探索領域指定受付手段、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルを八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する探索領域分割手段、要支援者の位置に関する情報を取得する要支援者位置情報取得手段、指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する要支援者存在領域確定手段、特定された最下層の立方体セルに対応付けられている前記識別子を特定する識別子特定手段、危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する情報受信手段、及び特定された識別子に対応付けられた前記位置空間に関する情報と、要支援者の存在する位置が前記危険地域に関する情報とを照合する照合手段として機能させることを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記支援サーバが、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドのうち、高さが地球表面上に位置する単位三次元グリッドに限定して単位二次元グリッドを生成し、該単位二次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶するようにしてあり、前記探索領域指定受付手段を、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付ける手段として機能させ、前記探索領域分割手段を、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、矩形領域の大きさによる複数階層に分割する手段として機能させ、前記要支援者存在領域確定手段を、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定する手段として機能させ、前記識別子特定手段を、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている前記識別子を特定する手段として機能させることが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
上記発明によれば、三次元空間を分割した単位三次元グリッドごとに付与した互いに固有の識別子を用いることで、データフォーマットの相違する複数の地図データを容易に一元化することができ、リアルタイムに取得した災害情報を反映させることで、要支援者に対して避難経路の指示等、効果的な支援を行うことで人命の損失を抑制する可能となる。また、要支援者の探索処理の演算負荷を軽減することができ、支援情報のリアルタイム化に寄与することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施の形態に係る災害支援システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る支援サーバの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る災害支援システムの支援サーバの機能ブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係る災害支援システムにおける単位三次元グリッドの概念図である。
図6】本発明の実施の形態に係る支援サーバの空間ID付与する機能を実現する機能ブロック図である。
図7】本発明の実施の形態に係る支援サーバの基準点算出部の機能ブロック図である。
図8】本発明の実施の形態に係る支援サーバの緯度値算出の説明図である。
図9】本発明の実施の形態に係る支援サーバの経度値算出の説明図である。
図10】本発明の実施の形態に係る支援サーバの基準点の特定方法の説明図である。
図11】本発明の実施の形態に係る支援サーバの基準点で定まる三次元ブロックの例示図である。
図12】本発明の実施の形態に係る支援サーバの基準点特定処理の手順を示すフローチャートである。
図13】本発明の実施の形態に係る支援サーバの基準点特定処理の手順を示すフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態に係る支援サーバの危険地域に関する情報への空間IDの割り当て処理の概念を示すイメージ図である。
図15】本発明の実施の形態に係る支援サーバの危険地域に関する情報への空間IDの割り当て処理の概念を示すイメージ図である。
図16】本発明の実施の形態に係る支援サーバのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図17】本発明の実施の形態に係る端末装置の機能ブロック図である。
図18】本発明の実施の形態に係る端末装置での探索領域分割処理のイメージ図である。
図19】本発明の実施の形態に係る端末装置で生成された探索ツリーを用いた探索処理の説明図である。
図20】本発明の実施の形態に係る端末装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図21】本発明の他の実施の形態に係る端末装置の機能ブロック図である。
図22】本発明の他の実施の形態に係る端末装置での探索領域分割処理のイメージ図である。
図23】本発明の他の実施の形態に係る端末装置で生成された探索ツリーの例示図である。
図24】本発明の他の実施の形態に係る端末装置で生成された探索ツリーを用いた探索処理の説明図である。
図25】本発明の他の実施の形態に係る端末装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態に係る災害支援システムについて、図面に基づいて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0041】
また、本発明は多くの異なる態様にて実施することが可能であり、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるべきものではない。実施の形態を通じて同じ要素には同一の符号を付している。
【0042】
以下の実施の形態では、コンピュータシステムにコンピュータプログラムを導入した情報処理装置について説明するが、当業者であれば明らかな通り、本発明はその一部をコンピュータで実行することが可能なコンピュータプログラムとして実施することができる。したがって、本発明は、データフォーマットの相違する複数の地図データについて演算処理負荷を抑制しつつ容易に一元化することができ、リアルタイムに取得した災害情報を反映させて人命の損失を抑制することが可能な支援を行う災害支援システムというハードウェアとしての実施の形態、ソフトウェアとしての実施の形態、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせの実施の形態をとることができる。コンピュータプログラムは、ハードディスク、DVD、CD、光記憶装置、磁気記憶装置等の任意のコンピュータで読み取ることが可能な記録媒体に記録することができる。
【0043】
本発明の実施の形態によれば、三次元空間を分割した単位三次元グリッドごとに付与した互いに固有の識別子を用いることで、データフォーマットの相違する複数の地図データを容易に一元化することができ、リアルタイムに取得した災害情報を反映させることで、要支援者に対して避難経路の指示等、効果的な支援を行うことで人命の損失を抑制する可能となる。また、要支援者の探索処理の演算負荷を軽減することができ、支援情報のリアルタイム化に寄与することも可能となる。
【0044】
図1は、本発明の実施の形態に係る災害支援システムの構成を模式的に示すブロック図である。本実施の形態に係る災害支援システムは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子を、位置空間に関する情報とともに記憶してある支援サーバ1と、インターネット等のネットワーク網2を介して支援サーバ1にデータ通信することが可能に接続されている一又は複数の端末装置3とで構成されている。ここで、「位置空間に関する情報」とは、位置空間を形成する8つの頂点の座標値(緯度、経度、高さ)だけでなく、その位置空間に対応付けられている各種の災害に関する情報、例えば該位置空間に洪水が発生している場合には浸水地域か否かに関する情報(浸水高さ、歩行可能か否か等に関する情報)等を含む広い概念である。端末装置3は、要支援者が保持して移動しているスマートフォン等の携帯型端末装置、タブレット等を含む広い概念である。
【0045】
図2は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施の形態に係る支援サーバ1は、少なくともCPU(中央演算装置)11、メモリ12、記憶装置13、I/Oインタフェース14、ビデオインタフェース15、可搬型ディスクドライブ16、通信インタフェース17及び上述したハードウェアを接続する内部バス18で構成されている。
【0046】
CPU11は、内部バス18を介して支援サーバ1の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置13に記憶されているコンピュータプログラム100に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ12は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0047】
記憶装置13は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置13に記憶されたコンピュータプログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD-ROM、USBメモリ、SDカード等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ16によりダウンロードされ、実行時には記憶装置13からメモリ12へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース17を介して接続されている外部コンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0048】
記憶装置13は、災害情報記憶部131及び識別子記憶部132を備える。災害情報記憶部131は、通信インタフェース17を介して外部の様々な機関から災害に関する情報を地図情報や座標情報とともにリアルタイム的に取得し、記憶しておく。具体的には、識別子(空間ID)に対応付けられた洪水や津波による浸水予想深さ、地震による倒壊可能性等の属性情報を記憶する。
【0049】
もちろん、特に限定されるものではなく、空間IDに対応付けられた実際に災害が発生している地域情報、避難勧告が出されている地域情報、これらの取得した情報に基づいて算出された要支援者の救援優先順位情報等も記憶しても良い。また、リアルタイム的情報以外に、統計的な災害可能性に関する情報、例えばハザードマップに関する情報なども災害情報記憶部131に事前に記憶する。
【0050】
識別子記憶部132は、付与された識別子(空間ID)と対応付けて、位置空間を示す8個の頂点の座標値(緯度、経度、高さ)及び位置空間に関する情報を記憶する。これにより、毎回識別子をキー情報として検索処理を実行することなく必要な情報を取得することができ、頻繁に使用される識別子については、検索処理のレスポンスの向上が見込まれる。
【0051】
通信インタフェース17は内部バス18に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網3に接続されることにより、外部コンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。
【0052】
I/Oインタフェース14は、キーボード、マウス等の入力装置21と接続され、データの入力を受け付ける。ビデオインタフェース15は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置22と接続されている。
【0053】
図3は、本発明の実施の形態に係る端末装置3の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る端末装置3は、スマートフォン等の携帯型の端末装置を想定している。端末装置3は、少なくともCPU(中央演算装置)31、メモリ32、記憶装置33、入力部34、通信インタフェース35、表示部36及び上述したハードウェアを接続する内部バス37で構成されている。
【0054】
CPU31は、内部バス37を介して端末装置3の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置33に記憶されたコンピュータプログラム110に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ32は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム110の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム110の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0055】
記憶装置33は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM、あるいは着脱可能な外部メモリ等で構成されている。記憶装置33に記憶されたコンピュータプログラム110は、通信インタフェース35を介して接続されている外部コンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであり、実行時には記憶装置43からメモリ42へ展開して実行される。
【0056】
通信インタフェース35は内部バス37に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網2に接続されることにより、支援サーバ1等とデータ通信を行うことが可能となっている。
【0057】
要支援者は、液晶ディスプレイ等の表示部36に表示されているハザードマップや災害状況のリアルタイム情報等に自分の位置を表示させ、どう避難すればよいのか考えることができる。また、入力部34を介して到達目標点を入力することにより、最善の経路を表示部36に表示できるようにしても良い。もちろん、表示部36がタッチディスプレイで構成され、入力部34と兼用となっていても良い。
【0058】
斯かる構成の災害支援システムの機能について、図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る災害支援システムの支援サーバ1の機能ブロック図である。図4に示すように、本実施の形態に係る支援サーバ1の危険地域情報取得部401は、複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を位置空間に関する情報に対応付けて取得する。
【0059】
ここで重要なことは、危険地域に関する情報を収集する団体や機関ごとにデータフォーマットが相違する点である。例えば高さ位置を固定した二次元情報である地図情報について、同じ地域及び内容を表す地図情報であっても、地図情報として表示するデータフォーマットは、使用するソフトウェアによって相違することが多い。もちろん、緯度・経度情報を介して異なるデータフォーマットの地図情報を統合化することは可能であるが、領域が広くなればなるほど必要な計算機資源が膨大となり、演算処理負荷が過大となる。三次元空間で同様の処理を行う場合には、さらに演算処理負荷が増大する。
【0060】
そこで、識別子割当部402は、取得した危険地域に関する情報に、識別子として空間IDを割り当てる。空間IDは、地球上の位置空間を分割した単位三次元グリッドごとに対応付けた識別子であり、位置空間に関する情報とともに支援サーバ1の識別子記憶部131に記憶してある。
【0061】
ここで、本実施の形態における単位三次元グリッドの概念について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る災害支援システムにおける単位三次元グリッドの概念図である。
【0062】
図5において、単位三次元グリッドとは、地球上に位置する8頂点で構成される任意の直方体として定義される。具体的には、例えば単位三次元グリッド中の任意の頂点(lat , lng , ht)、そして緯度方向の辺の長さδlat 、経度方向の辺の長さδlng 、高さ方向の辺の長さδhtで単位三次元グリッドの位置と大きさを特定している。本実施の形態では、緯度方向の辺の長さδlat 、経度方向の辺の長さδlng 、高さ方向の辺の長さδhtをそれぞれl(m)としている。
【0063】
なお、平面上の単位グリッドと同様に単位三次元グリッドごとに、空間上の誤差は生じている。なぜなら、単位三次元グリッドの頂点は直方体の頂点であるのに対して、空間上の座標は球面上の座標だからである。そこで、本実施の形態では、単位三次元グリッドと球面の上部の空間とのスケール差に着目し、単位三次元グリッドの集合体である三次元ブロックごとに誤差を有効桁数の範囲内で吸収するよう工夫することにより、地球上の位置空間を互いに重複することなく分割できるようにするとともに、重複しない固有の識別子(空間ID)を付与している。
【0064】
次に、本実施の形態に係る支援サーバ1における、単位三次元グリッドごとに付与する空間IDについて説明する。図6は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の空間ID付与する機能を実現する機能ブロック図である。
【0065】
図6において、支援サーバ1の座標原点受付部101は、任意の座標原点の設定、例えば(緯度0度、経度0度)を座標原点として設定を受け付ける。座標原点が共通でありさえすれば、本発明では位置空間を識別する識別子である空間IDを共通化することができる。したがって、座標原点を標準化することで、空間IDに対して緯度、経度、あるいは高さも含めて一義的に特定することができる。
【0066】
基準点算出部102は、設定を受け付けた座標原点に基づいて、緯線方向及び経線方向に三次元ブロックを配置した場合に誤差が所定範囲に収束するブロック数から定まる基準点を算出する。具体的には、以下の手順で基準点を算出する。図7は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の基準点算出部102の機能ブロック図である。
【0067】
図7において、緯度値算出部701は、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する。ここで、単位三次元グリッドとは、一定の辺の長さl(m)を有する直方体空間を意味しており、単位三次元グリッド間の緯度値とは、単位三次元グリッドの底面における上辺と下辺との間の緯度の差分を意味している。
【0068】
本実施の形態では、単位三次元グリッドの底面をl(m)四方の正方形と仮定した場合、四捨五入の関数Round(a,b)を用いて1(m)当たりの緯度値を(式1)で算出する。なお、関数Round(a、b)は、aの値を小数点以下の桁数bで四捨五入する関数を意味する。
【0069】
【数1】
【0070】
(式1)において、Rは、有効桁数、言い換えれば許容誤差の桁数を、θは、経線に沿った1(m)当たりの緯度値を、それぞれ示している。図8は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の緯度値算出の説明図である。
【0071】
地球を球体と仮定した場合に、球体の中心点Oから経線上の任意の点を仰ぐ仰角を緯度値θとしている。通常、緯度は、赤道線(緯線)LO0 を基準として緯線LOi への仰角として求めるが、(式1)では、経線LA0 の経線長をLp (m)として1(m)当たりの緯度値θを求めている。
【0072】
図7に戻って、緯度値累積誤差算出部702は、単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する。単位三次元グリッド間の緯度値には、当然のことながら誤差が含まれるので、経線LA0 に沿って天体一周分の誤差を累積して累積誤差を算出している。累積誤差Elat は、(式2)に示すように算出される。
【0073】
【数2】
【0074】
(式2)において、nθは、経線に沿って配置される単位三次元グリッドの個数を意味しており、単位三次元グリッドの一辺の長さlに応じて変化する。(式2)の但し書きの式により整数化した値である。
【0075】
緯度値グリッド誤差算出部703は、算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差Elat (g)を算出する。具体的には、累積誤差Elat を経線に沿って配置される単位三次元グリッドの個数nθで除算し、(式3)のように求めることができる。
【0076】
【数3】
【0077】
経線方向グリッド数特定部704は、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差Elat (g)に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲内、例えば1000分の1(10-3)以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数Nを特定する。有効桁数がRである場合の1ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数Nは、(式4)で求めることができる。なお、(式4)において、‘0.5’は補正値であり、演算処理の発散を未然に回避している。また、(式4)は、算出される単位三次元グリッド数の範囲で最大の整数Nを求めることを意味している。
【0078】
【数4】
【0079】
基準緯度設定部705は、特定された単位三次元グリッド数Nで定まる1ブロックごとに座標原点からの基準緯度を順次設定する。すなわち、N個の単位三次元グリッド数でブロックを特定し、ブロック単位で基準緯度を順次設定する。つまり、基準緯度θi (i=0、1、2、3、4、・・・、Round(nθ/N、0))は、(式5)で求めることができる。
【0080】
【数5】
【0081】
経度値算出部706は、設定を受け付けた座標原点から基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値φi を(式6)のように算出する。つまり、地球等の天体は球体であるので、緯線の長さは緯度に応じて相違する。そこで、座標原点から基準緯度ごとに緯線長を算出し、それぞれの緯線長に基づいて経度値をそれぞれ算出する。
【0082】
【数6】
【0083】
図9は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の経度値算出の説明図である。図9に示すように、経度値φは、赤道線(緯線)LO0 に対しては座標原点を通る経線LA0 から経度値を求める対象となる経線LAi までの角度φとして求める。ただし、地球を球体と仮定した場合、緯線は緯度値に応じて緯線長が相違する。したがって、赤道線LO0 上で経度値φ0 を求めるのと同様に、基準緯度ごとに定まる緯線LOi 上で経度値φi を求めれば良い。この作業を基準緯度ごとに定まるすべての緯線について行う。
【0084】
図7に戻って、経度値累積誤差算出部707は、緯線ごとの経度値を地球の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する。経度値には、当然のことながら誤差が含まれるので、それぞれ経度値φi を求めた緯線LOi に沿って地球一周分の誤差を累積して累積誤差を算出している。累積誤差Elng_i は、(式7)に示すように算出される。
【0085】
【数7】
【0086】
(式7)において、nφ_iは、それぞれの緯線に沿って配置される単位三次元グリッドの個数を意味しており、単位三次元グリッドの一辺の長さlに応じて変化する。(式7)の但し書きの式により整数化した値である。
【0087】
経度値グリッド誤差算出部708は、緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差Elng_i (g)を算出する。具体的には、累積誤差Elng_i を経線に沿って配置される単位三次元グリッドの個数nφ_iで除算し、(式8)のように求めることができる。
【0088】
【数8】
【0089】
緯線方向グリッド数特定部709は、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差Elng_i (g)に基づいて、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲内、例えば1000分の1(10-3)以下となるよう緯線ごとに1ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数Ni を特定する。有効桁数がRである場合の1ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数Ni は、(式9)で求めることができる。なお、(式9)において、‘0.5’は補正値であり、演算処理の発散を未然に回避している。また、(式9)は、算出される単位三次元グリッド数の範囲で最大の整数Ni を緯線ごとに求めることを意味している。
【0090】
【数9】
【0091】
基準経度設定部710は、特定された単位三次元グリッド数Ni で定まる1ブロックごとに座標原点からの基準経度を順次設定する。すなわち、Ni 個の単位三次元グリッド数で三次元ブロックを特定し、三次元ブロック単位で基準経度を順次設定する。つまり、基準経度φj (i=0、1、2、3、4、・・・、Round(nθ/N、0)、j=0、1、2、3、4、・・・、Round(nφ_i/Nφ_i、0))は、(式10)で求めることができる。
【0092】
【数10】
【0093】
基準点特定部711は、設定された基準緯度と基準経度に基づいて座標原点から順次基準点を特定する。図10は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の基準点の特定方法の説明図である。図10は、説明を簡単にするために二次元平面での基準点の特定方法を示している。
【0094】
図10に示すように、座標原点Pの座標値を(θ0 、φ0 )とすると、経線方向には(式5)に示す緯度値θが三次元ブロック単位で変化する点が基準点となる。例えば経度値φ0 上の基準点は、座標原点から順に(θ1 、φ0 )、(θ2 、φ0 )、・・・となる。
【0095】
一方、緯線方向には(式10)に示す経度値φが三次元ブロック単位で変化する点が基準点となる。例えば経度値φ0 上の基準点は、座標原点から順に(θ0 、φ1 )、(θ0 、φ2 )、・・・となる。
【0096】
基準点特定部711は、平面上で特定された基準点それぞれに対して、単位高さとして上述した方法で算出した基準緯度又は基準経度に相当する天体表面上での距離だけ離れた点を、高さ方向における基準点として設定する。図11は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の基準点で定まる三次元ブロックの例示図である。
【0097】
図11に示すように、基準緯度に対応する長さ91と基準経度に対応する長さ92とで、座標原点Oを基準として地球上の地面に基準点が設定されている。基準点を頂点とした四角形の上方に基準緯度に対応する長さ91又は基準経度に対応する長さ92と同じ高さに新たな基準点を設定する。高さ方向に順次基準点を設定していき、8頂点で囲まれた直方領域を三次元ブロック93として定義する。
【0098】
三次元ブロック93内に、一辺l(m)の正方領域である単位三次元グリッド94を配置することにより、単位三次元グリッド94に位置ごとに識別子を付与することができる。すなわち、識別子付与部113は、三次元空間における位置空間に対して単位三次元グリッドごとに固有の識別子を付与することができ、地球上の位置空間すべてに対して、固有の識別子を付与することが可能となる。
【0099】
図12及び図13は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の基準点特定処理の手順を示すフローチャートである。まず図12において、本実施の形態に係る支援サーバ1のCPU11は、任意の座標原点の設定、例えば(緯度0度、経度0度)を座標原点として設定を受け付けておく。座標原点が共通でありさえすれば、本発明では位置空間を識別する識別子である空間IDを共通化することができる。したがって、座標原点を標準化することで、空間IDに対して緯度、経度、あるいは高さも含めて一義的に特定することができる。
【0100】
CPU11は、設定を受け付けた座標原点を通過する経線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、分割された単位三次元グリッド間の緯度値を算出する(ステップS1201)。CPU11は、単位三次元グリッド間の緯度値を天体の経線方向に一周分累積した場合の累積誤差を算出する(ステップS1202)。
【0101】
CPU11は、算出された累積誤差に基づいて1単位三次元グリッド当たりの誤差Elat (g)を算出し(ステップS1203)、1ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲外、例えば1000分の1(10-3)以下となるよう1ブロックの経線方向に含まれる単位三次元グリッド数Nを特定する(ステップS1204)。累積誤差の有効桁数の範囲を外れるよう1三次元ブロック当たりの単位三次元グリッド数Nを特定しているので、生じている1三次元ブロック当たりの基準誤差は生じていないとみなすことができる。
【0102】
CPU11は、特定された単位三次元グリッド数Nで定まる1ブロックごとに座標原点からの基準緯度を順次設定する(ステップS1205)。具体的には、N個の単位三次元グリッド数で1三次元ブロックが構成されるので、座標原点からブロックごとに基準緯度を順次設定することで、三次元ブロックごとの経線方向の基準点を設定することができる。
【0103】
図13において、CPU11は、設定を受け付けた座標原点から基準緯度ごとの緯線を単位三次元グリッドの一辺の長さで分割し、単位三次元グリッド間の緯線ごとに分割された単位三次元グリッド間の経度値を算出する(ステップS1301)。つまり、地球は球体であるので、緯線の長さは緯度に応じて相違する。そこで、座標原点から基準緯度ごとに緯線長を算出し、それぞれの緯線長に基づいて経度値をそれぞれ算出する。
【0104】
CPU11は、緯線ごとの経度値を地球の緯線方向に一周分累積した場合の累積誤差を、緯線ごとに算出する(ステップS1302)。CPU11は、緯線ごとに算出された累積誤差に基づいて、緯線ごとに1単位三次元グリッド当たりの誤差を算出する(ステップS1303)。
【0105】
CPU11は、算出された1単位三次元グリッド当たりの誤差に基づいて、緯線ごとに、1三次元ブロック当たりの基準誤差が累積誤差の有効桁数の範囲内、例えば1000分の1(10-3)以下となるよう1三次元ブロックの緯線方向に含まれる単位三次元グリッド数を特定する(ステップS1304)。
【0106】
CPU11は、特定された単位三次元グリッド数で定まる1三次元ブロックごとに座標原点からの基準経度を順次設定する(ステップS1305)。具体的には、緯線ごとにNi 個の単位三次元グリッド数で1三次元ブロックが構成されるので、座標原点及び座標原点を通る経線と各緯線との交点から三次元ブロックごとに、緯線ごとの基準経度を順次設定することで、三次元ブロックごとの緯線方向の基準点を緯線ごとに設定することができる。
【0107】
CPU11は、設定された基準緯度と基準経度とに基づいて座標原点から順次基準点を特定する(ステップS1306)。
【0108】
図6に戻って、識別子付与部103は、算出した基準点を8頂点とした三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドごとに固有の識別子を付与する。図11における三次元ブロック93を構成する単位三次元グリッド94ごとにそれぞれ互いに異なる識別子、例えば空間IDを付与する。
【0109】
このように基準点を特定することで、座標原点が標準化されていれば、基準点も必ず同一となる。したがって、例えばどの団体や機関で作成された地図情報であっても、基準点自体を容易に統一することができ、共通の識別子を付与することができるので、複雑な緯度・経度計算をすることなく、空間IDにより容易に統合することが可能となる。
【0110】
もちろん、空間IDの付与方法は上述したものに限定されるものではない。しかし、上述の方法では、球面上の三次元空間内に、漏れなく、重複することなく、そして誤差なく単位三次元グリッドを構成することができるので、地球上のあらゆる位置空間に対して固有の空間IDを付与することができるというメリットがある。
【0111】
情報記憶部104は、識別子である空間IDに対応付けて、少なくとも8頂点の座標情報を含む位置空間に関する情報を、記憶装置13の識別子記憶部132に記憶する。これにより、空間IDがわかれば、対応する単位三次元グリッドの位置が即座に判明するとともに、様々な災害に関する付随的情報も同時に入手することが可能となる。
【0112】
図4に戻って、識別子割当部402は、取得した危険地域に関する情報に空間IDを割り当てる。図14及び図15は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1の危険地域に関する情報への空間IDの割り当て処理の概念を示すイメージ図である。
【0113】
図14は、三次元空間を示す立体図情報に基づいて、立体図情報を立方体で位置空間を区切った単位立方体セルに分割して空間IDを割り当てる場合の一例を示している。図14(a)に示すように、ハザードマップのように統計的情報に基づく危険領域1401と、リアルタイム的に取得した災害発生状況等を示す危険領域1402とを三次元空間情報として取得している。
【0114】
そして、図14(b)に示すような単位立方体セル1403を、取得した危険領域1401、1402を包括するように割り当てる。具体的には、高さ方向に単位立方体セルごとにレイヤー化し、レイヤーごとに危険領域1401、1402を定義しなおす。
【0115】
すなわち、図15(a)に示すように、レイヤーごとに、二次元情報として統計的情報に基づく危険領域1401と、リアルタイム的に取得した災害発生状況等を示す危険領域1402とを特定する。
【0116】
次に、図15(b)に示すように、単位立方体セル1403に相当する矩形領域を危険領域1401、1402を包含するように配置し、図15(c)に示すように、それぞれの単位立方体セルに対応する空間IDとして危険領域1401、1402を定義しなおす。これにより、空間IDから危険領域1401、1402に含まれるか否かを判断することが可能となる。
【0117】
図4に戻って、情報送信部403は、割り当てられた識別子(空間ID)に対応付けられた危険地域に関する情報の一部又は全部を端末装置3へ送信する。危険地域に関する情報をすべて端末装置3へ送信する場合には、ハザードマップ情報等の統計的情報については事前に送信しておくことが好ましい。データ量が大きいので通信時間も相応かかることが想定されるからである。その後は、リアルタイムで更新された情報の更新部分のみを送信することで、通信レスポンスの影響を最小限にとどめることができる。
【0118】
ただ、端末装置3側の記憶容量の問題もある。したがって、例えば端末装置2から現在の位置情報又は端末装置2を所有している要支援者の住所等を取得し、その周囲の一定領域の危険地域に関する情報のみ送信しても良い。これにより、通信負荷の増大を防ぐとともに、端末装置3の演算処理負荷を軽減してレスポンスの向上が見込まれる。
【0119】
なお、危険地域に関する情報としては、統計的に事前にまとめられている情報とリアルタイム的に収集されている情報との2種類が想定される。例えば統計的な情報としては、ハザードマップ情報のように災害が想定される地域に関する情報が記憶される。より具体的には、例えば空間IDに紐づけられた洪水や津波の浸水地域及び浸水予想深さに関する情報、空間IDに紐づけられた地震による倒壊可能性等の属性情報が考えられる。
【0120】
また、リアルタイム的に収集される情報としては、実際に災害が発生している地域に関する情報が記憶される。より具体的には、例えば空間IDに紐づけられた浸水、倒壊、停電、火災等の属性情報等が考えられる。
【0121】
また、避難勧告が出されている地域に関する情報も含めても良い。より具体的には、空間IDに紐づけられた避難指示、避難勧告等の属性情報が考えられる。
【0122】
さらに、これらの情報を基礎として算出することが可能な判断指標値、例えば空間IDごとの危険の度合いを示す指標(危険度)や、危険度に応じた要支援者の救助優先順位等も記憶しておいても良い。これらの情報により一人でも多くの要支援者の命を救うことが可能になる。
【0123】
図16は、本発明の実施の形態に係る支援サーバ1のCPU11の処理手順を示すフローチャートである。図16において、支援サーバ1のCPU11は、複数の異なるデータフォーマットで構成された危険地域に関する情報を位置空間に関する情報に対応付けて取得する(ステップS1601)。
【0124】
CPU11は、取得した危険地域に関する情報に、識別子として空間IDを割り当てる(ステップS1602)。これにより、危険地域に関する情報がデータフォーマットが異なる複数の三次元空間情報であっても、空間IDを媒介として容易に一元化することができる。
【0125】
CPU11は、割り当てられた識別子(空間ID)に対応付けられた危険地域に関する情報の一部又は全部を端末装置3へ送信する(S1603)。端末装置3は、送信されてきた危険地域に関する情報を受信し、端末装置3を使用している要支援者が危険地域内にいるか否かを容易に判断することができ、あるいは避難経路を確認することができるようになる。
【0126】
図17は、本発明の実施の形態に係る端末装置3の機能ブロック図である。図17において、探索領域指定受付部1701は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体で位置空間を区切った立方体セルとして受け付ける。
【0127】
探索領域分割部1702は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルに八分割して、立方体セルの大きさによる複数階層に分割する。図18は、本発明の実施の形態に係る端末装置3での探索領域分割処理のイメージ図である。
【0128】
まず図18(a)に示すように、探索領域として指定を受け付けた立方体セルの座標を(0、0、100、100、0、100)とする。ここで、図18における立方体セルの座標とは、立方体セルの左下の緯度、経度、右上の緯度、経度、最低高さ、最高高さの6つの数値で表している。
【0129】
次に、図18(b)に示すように、指定を受け付けた立方体セルを八分割する。均等に八分割するので、レイヤー1を(50、100)とすると、レイヤー1に含まれる4つの立方体セルの座標は、それぞれ最低高さ、最高高さを省略して(0、50、50、100)、(50、50、100、100)、(0、0、50、50)、(50、0、100、50)となり、レイヤー2を(0、50)とすると、レイヤー2に含まれる4つの立方体セルの座標は、それぞれ最低高さ、最高高さを省略して(0、50、50、100)、(50、50、100、100)、(0、0、50、50)、(50、0、100、50)となる。ここで、分割された立方体セルが一定の大きさに収まっているか否かを判断する。ここで、「一定の大きさ」とは、分割された立方体セルに含まれる単位三次元グリッドの個数、言い換えれば空間IDの個数が100個以下である大きさを意味している。空間IDの個数が100個以下であれば、演算処理時間を大きく削減することができるからである。
【0130】
一定の大きさに収まっていない場合に、図18(c)に示すように、さらにそれぞれの立方体セルを八分割する。斯かる分割処理を、分割された立方体セルが一定の大きさに収まるまで繰り返す。図18(c)では、例えばレイヤー1を(75、100)とすると、レイヤー1に含まれる16個の立方体セルの座標は、それぞれ最低高さ、最高高さを省略して左下から順に(0、25、25、50)、(25、25、50、50)、(0、0、25、25)、(25、0、50、25)、・・・となる。以下、レイヤー2(50、75)、レイヤー3(25、50)、レイヤー4(0、25)についても同様となる。
【0131】
立方体セルを順次分割することで、探索領域に三次元空間のツリー構造を有する探索ツリーを生成することができる。図19は、本発明の実施の形態に係る端末装置3で生成された探索ツリーの例示図である。
【0132】
図19における〇印で囲まれた数字は、それぞれ図17における〇印で囲まれた数字の立方体セルに対応している。すなわち探索ツリーの最上位の立方体セルの座標は、レイヤー1(50、100)の(0、0、100、100)であり、次の階層の立方体セルの座標はレイヤー1(50、100)、レイヤー2(0、50)それぞれについて、(0、50、0、100)、(50、50、100、100)、(0、0、50、50)、(50、0、100、50)となる。図19の例の最下層である第3階層の右下の立方体セルの座標はレイヤー4(0、25)の(75、0、100、25)となり、要支援者の存在位置と考えられる座標を用いた探索処理の最後の立方体セルとなる。
【0133】
図17に戻って、要支援者位置情報取得部1703は、要支援者の位置に関する情報を取得する。要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることが好ましい。いずれも要支援者が存在する可能性が高いからである。
【0134】
要支援者の現在の位置に関する情報は、端末装置3のGPS機能等を用いて、リアルタイムに取得することが可能である。ただし、GPS機能が使用不可能な状況では対応できないので、要支援者が存在する可能性が高い住所を含む居住地の位置に関する情報を用いても良い。要支援者の探索処理では、両方を用いても良いし、いずれか1つを用いても良い。
【0135】
要支援者存在領域確定部1704は、指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する。
【0136】
図19の探索ツリーを用いて探索処理のイメージを説明する。まず、要支援者の存在する位置に関する座標を(80、5、80)とする。次に、最上位階層であるレイヤー1(75、100)の立方体セルの座標(0、0、100、100)に、要支援者の座標(80、5、80)が含まれるか否かを判断する。この例では含まれていることが明らかなので、探索処理は下位の階層へと移行する。
【0137】
次の下位の階層の立方体セルの座標はレイヤー1についてのみ探索すれば良い。そこで、順次(0、50、0、100)、(50、50、100、100)、(0、0、50、50)、(50、0、100、50)を探索して、要支援者の座標(80、5、80)が含まれるか否かを判断し、存在しなければ次の立方体セルの座標に含まれるか否かを判断し、存在している場合にはその立方体セルの下位の階層へと探索処理は順次移行する。
【0138】
この例では、第2階層のレイヤー1(50、100)の立方体セルの座標(50、0、100、50)に含まれることが明らかなので、次の下位の階層の立方体セルを同様に順次探索する。ここもレイヤー1(50、100)についてのみ探索すればよく、最終的に座標(75、0、100、25)に含まれているので、最下層の立方体セルに要支援者が存在することになる。図18の例では、最下層である第3階層のレイヤー1(75,100)の立方体セル(75、0、100、25)に要支援者が存在すると考えられる。
【0139】
通常、単なる座標を用いた探索処理の場合、要支援者の座標で立方体セルを総なめして存在するか否かを探索する。それに対して立方体セルを分割して探索ツリーとしているので、不要な立方体セルに対する探索処理の実行を省略することができる。したがって、立方体セルの階層が深くなればなるほど探索時間短縮効果は大きくなる。
【0140】
図17に戻って、識別子特定部1705は、特定された最下層の立方体セルに対応付けられている識別子を特定する。通常は、特定された最下層の立方体セル内に複数の単位三次元ブロックが存在するので、それらを特定する。
【0141】
情報受信部1706は、危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する。照合部1707は、特定された識別子である空間IDと、受信した危険地域に関する情報とを照合する。これにより、要支援者が存在すると考えられる空間IDで示される位置空間が、危険地域に存在するか否かを容易に判断することができる。
【0142】
探索領域の分割のメッシュによって、要支援者が危険領域のどのあたりに存在するか探索する制度も調整できる。すなわち、分割された立方体セルの大きさが単位三次元ブロックと同一程度である場合には、割り当てられる空間IDの個数が少なく、位置が高度も含めて正確に割り出すことができる。また、単位三次元ブロック100個程度の場合であっても、短時間で危険領域に存在するか否かを判断することができ、避難の緊急度等を早期に判断することができ、要支援者が自力で脱出する可能性を高めることも可能となる。
【0143】
図20は、本発明の実施の形態に係る端末装置3のCPU31の処理手順を示すフローチャートである。図20において、端末装置3のCPU31は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を立方体セルとして受け付ける(ステップS2001)。
【0144】
CPU31は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し立方体セルに八分割して、複数階層に分割する(ステップS2002)。CPU31は、要支援者の位置に関する情報を取得する(ステップS2003)。要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることが好ましい。いずれも要支援者が存在する可能性が高いからである。
【0145】
CPU31は、指定を受け付けた最上位階層である立方体セルから順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された8つの立方体セルにおいて、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の立方体セルを特定する(ステップS2004)。
【0146】
CPU31は、特定された最下層の立方体セルに対応付けられている識別子である空間IDを特定する(ステップS2005)。通常は、特定された最下層の立方体セル内に複数の単位三次元ブロックが存在するので、複数の空間IDが特定される。
【0147】
CPU31は、支援サーバ1から危険地域に関する情報の一部又は全部を受信し(ステップS2006)、特定された複数の識別子である空間IDと、受信した危険地域に関する情報とを照合する(ステップS2007)。これにより、要支援者が危険地域に存在するか否かを容易に判断することができる。
【0148】
なお、端末装置3は、上述した三次元空間における処理だけではなく、例えば高さ方向の特定のレイヤーにおいて二次元化した二次元平面、例えば地図情報上であっても同様の処理を行うことができる。図21は、本発明の他の実施の形態に係る端末装置3の機能ブロック図である。図21において、探索領域指定受付部2101は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付ける。
【0149】
探索領域分割部2102は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、複数階層に分割する。図22は、本発明の他の実施の形態に係る端末装置3での探索領域分割処理のイメージ図である。
【0150】
まず図22(a)に示すように、探索領域として指定を受け付けた矩形領域の座標を(0、0、100、100)とする。ここで、図22における矩形領域の座標とは、矩形領域の左下の緯度経度及び右上の緯度経度の4つの数値で表している。
【0151】
次に、図22(b)に示すように、指定を受け付けた矩形領域を四分割する。均等に四分割するので、それぞれの矩形領域の座標は、どれぞれ(0、50、0、100)、(50、50、100、100)、(0、0、50、50)、(50、0、100、50)となる。ここで、分割された矩形領域が一定の大きさに収まっているか否かを判断する。ここで、「一定の大きさ」とは、分割された矩形領域に含まれる単位三次元グリッド(ここでは説明を簡単にするために二次元表示)の個数、言い換えれば空間IDの個数が100個以下である大きさを意味している。空間IDの個数が100個以下であれば、演算処理時間を大きく削減することができるからである。
【0152】
一定の大きさに収まっていない場合に、図22(c)に示すように、さらにそれぞれの矩形領域を四分割する。斯かる分割処理を、分割された矩形領域が一定の大きさに収まるまで繰り返す。
【0153】
矩形領域を順次分割することで、探索領域に二次元領域のツリー構造を有する探索ツリーを生成することができる。図23は、本発明の他の実施の形態に係る端末装置3で生成された探索ツリーの例示図である。
【0154】
図23における〇印で囲まれた数字は、それぞれ図22における〇印で囲まれた数字の矩形領域に対応している。すなわち探索ツリーの最上位の矩形領域の座標は(0、0、100、100)であり、次の階層の矩形領域の座標は(0、50、0、100)、(50、50、100、100)、(0、0、50、50)、(50、0、100、50)となる。図23の例の最下層である第3階層の右下の矩形領域の座標は(75、0、100、25)となり、要支援者の存在位置と考えられる座標を用いた探索処理の最後の矩形領域となる。
【0155】
図21に戻って、要支援者位置情報取得部2103は、要支援者の位置に関する情報を取得する。要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることが好ましい。いずれも要支援者が存在する可能性が高いからである。
【0156】
要支援者の現在の位置に関する情報は、端末装置3のGPS機能等を用いて、リアルタイムに取得することが可能である。ただし、GPS機能が使用不可能な状況では対応できないので、要支援者が存在する可能性が高い住所を含む居住地の位置に関する情報を用いても良い。要支援者の探索処理では、両方を用いても良いし、いずれか1つを用いても良い。
【0157】
要支援者存在領域確定部2104は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定する。
【0158】
図24は、本発明の他の実施の形態に係る端末装置3で生成された探索ツリーを用いた探索処理の説明図である。図24の探索ツリーは図23の例と同一である。
【0159】
まず、要支援者の存在する位置に関する座標を(80、5)とする。次に、最上位階層である矩形領域の座標(0、0、100、100)に、要支援者の座標(80、5)が含まれるか否かを判断する。この例では含まれていることが明らかなので、探索処理は下位の階層へと移行する。
【0160】
次の下位の階層の矩形領域の座標は(0、50、0、100)、(50、50、100、100)、(0、0、50、50)、(50、0、100、50)であるので、座標(0、50、0、100)から順に要支援者の座標(80、5)が含まれるか否かを判断し、存在しなければ次の矩形領域の座標に含まれるか否かを判断し、存在している場合にはその矩形領域の下位の階層へと探索処理は順次移行する。
【0161】
この例では、矩形領域の座標(50、0、100、50)に含まれることが明らかなので、次の下位の階層の矩形領域の座標は(50、25、75、50)、(75、25、100、50)、(50、0、75、25)(75、0、100、25)となる。同様に座標(50、25、75、50)から順に要支援者の座標(80、5)が含まれるか否かを判断し、存在しなければ次の矩形領域の座標に含まれるか否かを判断し、存在している場合には最下層であることからその矩形領域に要支援者が存在することになる。図18の例では、最下層である第3階層の右下の矩形領域(75、0、100、25)に要支援者が存在すると考えられる。
【0162】
通常、単なる座標を用いた探索処理の場合、要支援者の座標で矩形領域を総なめして存在するか否かを探索する。それに対して矩形領域を分割して探索ツリーとしているので、不要な矩形領域に対する探索処理の実行を省略することができる。したがって、矩形領域の階層が深くなればなるほど探索時間短縮効果は大きくなる。
【0163】
図21に戻って、識別子特定部2105は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている識別子を特定する。通常は、特定された最下層の矩形領域内に複数の単位三次元ブロック(この実施例の場合は二次元ブロック)が存在するので、それらを特定する。
【0164】
情報受信部2106は、危険地域に関する情報の一部又は全部を受信する。照合部2107は、特定された識別子である空間IDと、受信した危険地域に関する情報とを照合する。これにより、要支援者が存在すると考えられる空間IDで示される位置空間が、危険地域に存在するか否かを容易に判断することができる。
【0165】
探索領域の分割のメッシュによって、要支援者が危険領域のどのあたりに存在するか探索する制度も調整できる。すなわち、分割された探索領域の大きさが単位三次元ブロックと同一程度である場合には、割り当てられる空間IDの個数が少なく、位置が高度も含めて正確に割り出すことができる。また、単位三次元ブロック100個程度の場合であっても、短時間で危険領域に存在するか否かを判断することができ、避難の緊急度等を早期に判断することができ、要支援者が自力で脱出する可能性を高めることも可能となる。
【0166】
図25は、本発明の他の実施の形態に係る端末装置3のCPU31の処理手順を示すフローチャートである。図25において、端末装置3のCPU31は、要支援者の存在を探索する探索領域の指定を矩形領域として受け付ける(ステップS2501)。
【0167】
CPU31は、指定を受け付けた探索領域を所定の大きさになるまで繰り返し矩形領域に四分割して、複数階層に分割する(ステップS2502)。CPU31は、要支援者の位置に関する情報を取得する(ステップS2503)。要支援者の位置に関する情報は、少なくとも要支援者の現在の位置に関する情報又は要支援者の住所を含む居住地の位置に関する情報のいずれか1つであることが好ましい。いずれも要支援者が存在する可能性が高いからである。
【0168】
CPU31は、指定を受け付けた最上位階層である矩形領域から順に、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、含まれると判断した場合には一階層下の分割された4つの矩形領域において、取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断し、繰り返し取得した要支援者の位置に関する情報が含まれるか否かを判断していくことで、要支援者の位置に関する情報が含まれる最下層の矩形領域を特定する(ステップS2504)。
【0169】
CPU31は、特定された最下層の矩形領域に対応付けられている識別子である空間IDを特定する(ステップS2505)。通常は、特定された最下層の矩形領域内に複数の単位三次元ブロック(この実施例の場合は二次元ブロック)が存在するので、複数の空間IDが特定される。
【0170】
CPU31は、支援サーバ1から危険地域に関する情報の一部又は全部を受信し(ステップS2506)、特定された複数の識別子である空間IDと、受信した危険地域に関する情報とを照合する(ステップS2507)。これにより、要支援者が危険地域に存在するか否かを容易に判断することができる。
【0171】
以上のように本実施の形態によれば、三次元空間内において三次元ブロックを構成する単位三次元グリッドに付与される識別子の共通化を図ることができ、識別子をキー情報として単位三次元グリッドに対応付けて記憶されている、ドローン等の移動体により随時計測された物理量に基づいて、三次元空間内の任意の位置における単位三次元グリッドにおける物理量を推定するので、三次元座標値に基づいて単位三次元グリッド間の位置関係を逐次演算処理する必要がなく、すべての単位三次元グリッドにおける物理量を演算処理負荷を増大させることなく推定することができ、目視可能なようにハイライト表示等をすることも可能となる。
【0172】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。例えば三次元の位置空間に対して固有の識別子を付与しているが、高さ情報を除いた二次元座標(緯度経度情報)で特定された位置空間に対して固有の識別子を付与しても良い。
【0173】
また、端末装置3についても、スマーフォン等の要支援者が所持する携帯型端末装置に限定されるものではなく、例えば防災ボランティアが所持する携帯型端末装置、あるいは危機管理対策本部に設置されているコンピュータであっても良い。前者は、二次災害の予防に貢献でき、後者は救助人員の配置や把握を円滑に行うための出張所等の効果的な分散に役立てることが可能となる。
【符号の説明】
【0174】
1 情報処理装置
2 ネットワーク網
3 端末装置
11、31 CPU
12、32 メモリ
13、33 記憶装置
14 I/Oインタフェース
15 ビデオインタフェース
16 可搬型ディスクドライブ
17、35 通信インタフェース
18、37 内部バス
34 入力部
36 表示部
90 可搬型記録媒体
100 コンピュータプログラム
図1
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図3
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