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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169181
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20241128BHJP
   H04N 1/48 20060101ALI20241128BHJP
   H04N 1/40 20060101ALI20241128BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N1/04 106
H04N1/04 D
H04N1/48
H04N1/40
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086430
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜田 修平
(72)【発明者】
【氏名】菊川 祥希
【テーマコード(参考)】
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA04
5C072EA04
5C072FB17
5C072FB19
5C072UA18
5C072XA01
5C077LL19
5C077MM01
5C077MP08
5C077PP23
5C077PP43
5C077PP71
5C077PQ08
5C077TT06
(57)【要約】
【課題】高精度に色情報を読み取る技術を提供する。
【解決手段】原稿を読み取る画像読取装置は、前記原稿に光を照射する光源と、前記原稿で反射した前記光を受光することで、前記原稿の複数の画素それぞれについて、画素の複数の色それぞれの輝度値をレベルで示す画像信号を出力するセンサと、を備えた読取手段と、前記センサが出力する前記画像信号に基づき前記原稿の前記複数の画素それぞれについて、前記画素の前記複数の色それぞれの輝度値を示す読取画像信号を出力する画像処理手段と、前記読取手段による前記原稿の読取条件を制御する制御手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記読取手段が複数の読取条件それぞれで前記原稿を繰り返し読み取ることで得た複数の画像信号に基づき前記読取画像信号を出力する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る画像読取装置であって、
前記原稿に光を照射する光源と、前記原稿で反射した前記光を受光することで、前記原稿の複数の画素それぞれについて、画素の複数の色それぞれの輝度値をレベルで示す画像信号を出力するセンサと、を備えた読取手段と、
前記センサが出力する前記画像信号に基づき前記原稿の前記複数の画素それぞれについて、前記画素の前記複数の色それぞれの輝度値を示す読取画像信号を出力する画像処理手段と、
前記読取手段による前記原稿の読取条件を制御する制御手段と、
を備え、
前記画像処理手段は、前記読取手段が複数の読取条件それぞれで前記原稿を繰り返し読み取ることで得た複数の画像信号に基づき前記読取画像信号を出力する、画像読取装置。
【請求項2】
前記読取条件は、前記センサが出力する前記画像信号の前記レベルを制御するための条件である、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記読取画像信号が示す第1画素の第1色の輝度値を、前記複数の画像信号それぞれにおいて前記第1画素の前記第1色の輝度値を示す前記レベルの内の飽和していない最大のレベルに基づき判定する、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取条件は、前記光源の発光輝度と、前記センサが有する受光素子の感度と、前記受光素子による前記光の蓄積時間と、の内の1つ以上で決定される条件である、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、
前記画像信号の前記レベルをデジタル値に変換する変換手段と、
前記変換手段が前記複数の画像信号それぞれの前記レベルを変換することで得た複数のデジタル値に基づき前記読取画像信号を出力する出力手段と、
を備えている、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記複数の読取条件は、前記原稿を読み取る際に前記センサが出力する前記画像信号の前記レベルを飽和させない第1読取条件と、前記センサが出力する前記画像信号の前記レベルを、前記第1読取条件で前記原稿を読み取った際の前記画像信号の前記レベルより大きくする1つ以上の第2読取条件と、を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記読取手段により基準部材を読み取った際に前記センサが出力する前記画像信号の前記レベルに基づき、或いは、前記原稿の画像データに基づき前記第1読取条件を設定する、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記読取画像信号における第1輝度値以上の輝度値を、前記第1読取条件で前記原稿を読み取ることで得た第1画像信号に基づき判定し、前記読取画像信号における前記第1輝度値未満の輝度値を、前記1つ以上の第2読取条件で前記原稿を読み取ることで得た1つ以上の第2画像信号に基づき判定する、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1輝度値は、前記第1読取条件と、前記1つ以上の第2読取条件と、に基づき設定される、請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記1つ以上の第2読取条件は、輝度値が前記第1輝度値である前記原稿の第2画素の第2色を読み取った場合、前記センサが出力する前記1つ以上の第2画像信号において前記第2画素の前記第2色の輝度値を示す前記レベルが飽和することになる条件である、請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記1つ以上の第2読取条件は、複数の第2読取条件であり、
前記画像処理手段は、前記読取画像信号が示す第3画素の第3色の前記第1輝度値未満の輝度値を、前記複数の第2読取条件で前記原稿を読み取ることで得た複数の第2画像信号それぞれにおいて前記第3画素の前記第3色の輝度値を示す前記レベルの内の飽和していない最大のレベルに基づき判定する、請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記原稿の1回目の読み取りにおいて第1読取条件を設定し、前記読取手段が前記第1読取条件で前記原稿を読み取ることで得た第1画像信号に基づき2回目以降の読み取りを行うか否かを判定し、
前記画像処理手段は、前記制御手段が前記2回目以降の読み取りを行わないと判定した場合、前記第1画像信号を前記読取画像信号として出力する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第1画像信号の前記レベルで示される輝度値の総てが所定値以上である場合、2回目以降の読み取りを行わないと判定する、請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記所定値は、前記第1読取条件と、前記2回目以降の読み取りにおける前記読取条件と、に基づき設定される、請求項13に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記原稿の1回目の読み取りにおいて第1読取条件を設定し、前記読取手段が前記第1読取条件で前記原稿を読み取ることで得た第1画像信号に基づき2回目以降の読み取りにおける前記読取条件を設定する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記原稿の1回目の読み取りで得た第1画像信号の前記レベルで示される輝度値の最大値に基づき、前記原稿の2回目以降の読み取りそれぞれにおける前記読取条件を設定し、前記原稿の2回目以降の読み取りで得た複数の画像信号に基づき前記読取画像信号を出力する、請求項15に記載の画像読取装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記原稿の複数の領域それぞれについて、前記原稿の1回目の読み取りで得た第1画像信号の前記レベルで示される輝度値の最大値及び最小値を判定し、前記原稿の前記複数の領域それぞれについて判定した前記最大値及び前記最小値に基づき前記原稿の前記複数の領域それぞれの前記読取条件を判定し、前記原稿の2回目以降の読み取りにおいては、前記読取手段が前記原稿の前記複数の領域それぞれを読み取る際、前記複数の領域それぞれについて判定した前記読取条件を設定する、請求項15に記載の画像読取装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
基準印刷物の第1画像データに基づきシートに画像を形成してテスト印刷物を出力する画像形成装置と、
前記テスト印刷物を前記画像読取装置が読み取ることで得た第1読取画像信号と、前記基準印刷物を前記画像読取装置が読み取ることで得た第2読取画像信号と、に基づき前記画像形成装置での画像形成に使用する第2画像データを生成する処理装置と、
を含む、画像形成システム。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
色調整チャートの画像データに基づきシートに画像を形成して前記色調整チャートを出力する画像形成装置と、
を含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、前記シートに形成された前記色調整チャートを前記画像読取装置が読み取ることで得た前記読取画像信号に基づき画像形成条件を制御する、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び当該画像読取装置を含む画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿に光を照射し、原稿からの反射光をイメージセンサ等で受光することで、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取装置が知られている。イメージセンサで色を測定する場合、イメージセンサが出力した赤(R)、緑(G)、青(B)の輝度値(以下、RGB値)をCIE Lab空間の色値(以下、Lab値)に変換する。RGB値をLab値に変換するために、色変換テーブルであるルックアップテーブル(LUT)が使用される。色変換テーブルのサイズを抑えるため、色変換テーブルは、総てのRGB値ではなく、一部のRGB値について、RGB値とLab値との関係を示す様に作成される。特許文献1は、色変換テーブルに含まれないRGB値については、色変換テーブルに含まれるRGB値とLab値との関係に基づき補間計算で求めることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-64719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イメージセンサが出力するRGB値を色変換テーブルが示す情報に基づき補間計算によりLab値に変換する場合、測色精度は、色変換テーブルのサイズ、つまり、色変換テーブルが示すRGB値とLab値との対応関係の数に依存する。しかしながら、明度の低い色域の色については、イメージセンサが異なる色を同じRGB値と読み取ってしまうため、色変換テーブルのサイズを増やしても測色精度を高くすることができない。
【0005】
本発明は、高精度に色情報を読み取る技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、原稿を読み取る画像読取装置は、前記原稿に光を照射する光源と、前記原稿で反射した前記光を受光することで、前記原稿の複数の画素それぞれについて、画素の複数の色それぞれの輝度値をレベルで示す画像信号を出力するセンサと、を備えた読取手段と、前記センサが出力する前記画像信号に基づき前記原稿の前記複数の画素それぞれについて、前記画素の前記複数の色それぞれの輝度値を示す読取画像信号を出力する画像処理手段と、前記読取手段による前記原稿の読取条件を制御する制御手段と、
を備え、前記画像処理手段は、前記読取手段が複数の読取条件それぞれで前記原稿を繰り返し読み取ることで得た複数の画像信号に基づき前記読取画像信号を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、高精度に色情報を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】幾つかの実施形態による、画像形成システムの構成図。
図2】幾つかの実施形態による、画像読取装置の制御構成図。
図3】A/Dコンバータのビット数と測色精度との関係を示す図
図4】幾つかの実施形態による、画像読取装置が行う処理のフローチャート。
図5】幾つかの実施形態による、合成処理の説明図。
図6】色差の比較例を示す図。
図7】幾つかの実施形態による、画像読取装置が行う処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による画像形成システムの構成図である。画像形成システムは、画像読取装置1000と、画像形成装置2000と、を含む。まず、画像読取装置1000について説明する。原稿台ガラス101には、被測色物である原稿100が置かれる。イメージセンサ109は、図の奥行方向に沿って配列された複数の受光素子を有する。図の奥行方向は主走査方向とも呼ばれる。受光素子は、例えば、CMOSセンサやCCDセンサである。光源である白色LED103は、原稿100に光を照射する。原稿100で反射した光は、ミラー104、105及び106で反射され、赤外線(IR)カットフィルタ107及びレンズ108を介してイメージセンサ109に入射する。これにより、イメージセンサ109は、1回の走査で、原稿100の主走査方向に渡る読取結果である画像信号を画像処理部110に出力する。
【0011】
イメージセンサ109が出力する画像信号は、アナログ信号であり、赤色の輝度値(画素値)を示す第1画像信号と、緑色の輝度値(画素値)を示す第2画像信号と、青色の輝度値(画素値)を示す第3画像信号の総称である。第1画像信号は、イメージセンサ109に設けられた赤色のフィルタを介して原稿100からの光を受光する受光素子から出力される。第2画像信号は、イメージセンサ109に設けられた緑色のフィルタを介して原稿100からの光を受光する受光素子から出力される。第3画像信号は、イメージセンサ109に青色のフィルタを介して原稿100からの光を受光する受光素子から出力される。この様に、本実施形態によるイメージセンサ109は、3チャネルのセンサである。白色LED103と、ミラー104、105及び106と、IRカットフィルタ107及びレンズ108と、イメージセンサ109は、読取部を構成している。また、ミラー104、105及び106と、IRカットフィルタ107と、レンズ108は、原稿100で反射した光をイメージセンサ109に結像させる光学部材である。
【0012】
モータ102は、白色LED103及びミラー104を含む第1ミラーユニット137と、ミラー105及び106を含む第2ミラーユニット138を、図の左右方向に移動させる。図の左右方向は副走査方向とも呼ばれる。第1ミラーユニット137及び第2ミラーユニット138を副走査方向に移動させながら読取部による原稿100の走査を繰り返し行うことで、イメージセンサ109は、原稿100の全体の読取結果である画像信号を画像処理部110に出力する。原稿100の全体の読取結果である画像信号は、原稿100の各画素について、赤の画素値(輝度値)と、緑の画素値(輝度値)と、青の画素値(輝度値)と、を示す。画像処理部110は、イメージセンサ109からの画像信号を処理して読取画像信号を生成し、生成した読取画像信号を画像形成装置2000の画像処理部111に出力する。読取画像信号も、赤の画素値(輝度値)と、緑の画素値(輝度値)と、青の画素値(輝度値)と、を示す。画像処理部110が行う処理は、画像信号が示す赤、緑、青のアナログの画素値をデジタルの画素値(デジタル値)に変換するアナログ・デジタル変換処理を含む。白色基準板139は、白色LED103やイメージセンサ109のキャリブレーションに使用される基準部材である。
【0013】
続いて、画像形成装置2000の構成について説明する。画像形成時、感光体124~127は、図示しない帯電器により所定電位に帯電され、かつ、図の反時計回り方向に回転駆動される。半導体レーザ112~115は、画像処理部111からの出力信号に基づきレーザ光を射出する。ポリゴンミラー116~119は、半導体レーザ112~115が射出したレーザ光により感光体124~127を走査する。これにより、感光体124~127には、静電潜像が形成される。現像器120~123は、それぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)のトナーを有する。現像器120~123は、感光体124~127の静電潜像をトナーで現像することで感光体124~127にトナー像を形成する。一次転写ローラ151~154は、感光体124~127のトナー像を中間転写ベルト128に転写する。感光体124~127のトナー像を中間転写ベルト128に重ねて転写することで、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローとは異なる色を再現することができる。中間転写ベルト128は、画像形成時、図の時計回り方向に回転駆動される。これにより、中間転写ベルト128のトナー像は二次転写ローラ155の対向位置に搬送される。
【0014】
一方、カセット132~134及び手差しトレイ131の何れかから搬送路に給送されたシートは、ローラ130によって二次転写ローラ155の対向位置に送られる。二次転写ローラ155は、中間転写ベルト128のトナー像をシートに転写する。定着器136は、シートを加熱・加圧することでトナー像をシートに定着させる。トナー像の定着後、シートは、排出トレイ135に排出される。制御部170は、画像形成システムの全体を制御する。
【0015】
図2は、画像読取装置1000の制御構成を示している。制御部500のCPU401は、画像読取装置1000の動作を制御する。白色LED103は、CPU401により発光制御が行われる。駆動部403は、CPU401の指示に基づきモータ102の駆動制御を行う。モータ102は、第1ミラーユニット137及び第2ミラーユニット138を副走査方向に移動させる。CPU401は、イメージセンサ109の受光素子の蓄積時間(受光期間)と感度(ゲイン)の設定を行う。なお、第1ミラーユニット137の移動速度を一定としたまま受光素子の蓄積時間を大きくすると読取解像度が小さくなる。したがって、読取解像度を維持するには、蓄積時間に応じて第1ミラーユニット137及び第2ミラーユニット138の移動速度を変化させる。
【0016】
イメージセンサ109が出力するアナログ画像信号の電圧値等のレベルは原稿100の各画素の赤、緑及び青の輝度値に対応し、白色LED103の発光輝度(発光強度)の設定値と、イメージセンサ109の受光素子の蓄積時間及び感度の設定値と、に応じて変化する。CPU401は、白色基準板139を読み取ったときにイメージセンサ109が出力するアナログ画像信号のレベルに基づき、読取条件、つまり、白色LED103の発光輝度の設定値と、イメージセンサ109の受光素子の蓄積時間及び感度の設定値と、を決定する。
【0017】
イメージセンサ109が出力するアナログ画像信号は、A/Dコンバータ202によってデジタル画像信号に変換される。つまり、A/Dコンバータ202は、アナログ画像信号のレベルをデジタル値に変換する。アナログ画像信号及びデジタル画像信号は、原稿100の各画素について、赤、緑及び青の輝度値を示す。なお、アナログ画像信号は、そのレベルで輝度値を示す。つまり、アナログ画像信号が示す輝度値はアナログ値である。一方、デジタル画像信号が示す輝度値はデジタル値である。以下の説明においては、赤、緑及び青の3つの輝度値の組み合わせを色値とも表記する。また、アナログ画像信号及びデジタル画像信号を総称して画像信号と表記する。図3は、A/Dコンバータ202のビット数と測色精度との関係を示している。横軸はA/Dコンバータ202のビット数である。縦軸のΔEとは、L*a*b*空間上の2点の違いを、人の目の特性に合わせて数値化したものであり、小さいほど測色精度が高いことを示す。図3から明らかな様に、A/Dコンバータ202のビット数が大きいほど測色精度が高くなる。この理由は、ビット数が多いほど量子化誤差が小さくなるためである。特に明度の低い色域において、量子化誤差の影響は大きくなる。つまり、明度の低い色域では、異なる2つの色に対して同じ色値が出力されてしまうことがその他の色域より多くなり、測色精度を劣化させる原因となっている。なお、A/Dコンバータ202のビット数を増やすほどコストは上昇するため、コストと測色精度とのバランスを考えてA/Dコンバータ202のビット数は決定される。
【0018】
図2に戻り、シェーディング制御部406は、A/Dコンバータ202が出力するデジタル画像信号が示す各色の輝度値に対してシェーディング補正を実行する。シェーディング補正とは、白色LEDの光量の不均一性やイメージセンサ109の受光素子の感度ばらつきを抑制する処理である。具体的には、白色基準板139を読み取ったときの画像信号が示す値(出力値)と目標値とを比較することでシェーディング係数を求める。CPU401は、このシェーディング係数に基づきシェーディング補正を実行する。バックアップメモリ404は、不揮発性メモリであり、シェーディング補正に必要な各種データを記憶している。RAM405は、シェーディング補正の際のデータの一時記憶に用いられる。
【0019】
本実施形態では、1つの原稿100を、異なる読取条件で複数回だけ繰り返して読み取る。画像処理部110は、複数回の読み取りで得た複数の画像信号に基づき、1つの読取画像信号を生成する。画像合成処理部407は、原稿100の複数回の読み取りで得られた複数の画像信号の合成処理を行う。RAM408は、画像信号の合成において画像信号を一時的に格納するために使用される。合成処理の詳細については後述する。読取回数は、2回以上とすることができるが、以下では、読取回数が2回である場合の読取処理について説明する。
【0020】
図4は、画像読取装置1000が実行する処理のフローチャートである。S10で、CPU401は、1回目の読取条件#1を設定する。読取条件#1は、アナログ画像信号のレベルが飽和しない様に、事前に設定した読取条件である。読取条件#1は、白色基準板139を読み取った際のアナログ画像信号のレベル(輝度値に対応)や、デジタル画像信号が示すデジタル値(輝度値)に基づき決定され得る。なお、アナログ画像信号が飽和するとは、イメージセンサ109の受光素子が飽和して、当該受光素子からのアナログ画像信号のレベルが最大値となっていることを意味する。例えば、白色LED103の発光輝度の設定値や、イメージセンサ109の受光素子の蓄積時間や、その感度の設定値が大きすぎると、受光素子が飽和し得る。なお、本実施形態では、A/Dコンバータ202に入力可能なアナログ画像信号のレベルの最大値は、イメージセンサ109が出力するアナログ画像信号のレベルの最大値以上であるものとする。S11で、CPU401は、読取条件#1で原稿100を読み取り、S12で、読取条件#1で読み取ったデジタル画像信号#1をRAM408に格納する。読取条件#1により、画像読取装置1000は、原稿100の各画素の色値を取得することができる。なお、読取条件#1で原稿100を読み取ることでイメージセンサ109が出力するアナログ画像信号#1のレベルは飽和していない。
【0021】
S13で、CPU401は、2回目の読取条件#2を設定する。読取条件#2は、イメージセンサ109が出力するアナログ画像信号のレベルを読取条件#1でのレベルより高くする条件であり、以下の何れかとなる。
1.白色LED103の発光輝度を1回目より大きくする。
2.イメージセンサ109の受光素子の蓄積時間を1回目より大きくする。
3.イメージセンサ109の受光素子の感度を1回目より大きくする。
4.1~3の組み合わせ。
なお、読取条件#2は、予め決められた条件であり得る。
【0022】
S14で、CPU401は、読取条件#2で原稿100を読み取りデジタル画像信号#2を取得する。読取条件#2は、イメージセンサ109が出力するアナログ画像信号のレベルを読取条件#1でのレベルより高くするものである。したがって、読取条件#2では、明度の低くない原稿100の領域の色の輝度値を示すアナログ画像信号のレベルは飽和し得る。しかしながら、明度の低い領域の色については、A/Dコンバータ202での量子化誤差等が小さくなる。したがって、明度の低い領域の色については、SN比が改善されて色分解性能が向上する。なお、2回目の読み取りにおいては、1回目の読み取り時と同じシェーディング係数を用いる。S15で、画像合成処理部407は、画像信号#1と画像信号#2とに基づき読取画像信号を生成する合成処理を行う。S16で、画像合成処理部407は、原稿100の読取結果として、読取画像信号を画像形成装置2000に出力する。
【0023】
続いて、図4のS15における合成処理について説明する。図5は、合成処理の説明図である。以下では、図5(A)に示す様に、1回目の読み取りで、イメージセンサ109がある画素の色値として赤、緑及び青のレベルが(R,G,B)=(2.61V,0.107V,1.19V)のアナログ画像信号#1を出力したものとする。なお、図5(A)に示す様に、アナログ画像信号#1に生じるノイズの最大電圧を0.02Vとする。また、A/Dコンバータ202が10ビットであり、入力電圧(レベル)の最大値が3.3Vであるものとする。したがって、A/Dコンバータ202は、入力電圧が3.3Vの場合、デジタル値として1023を出力する。また、アナログ画像信号のレベルの最大値も3.3Vとする。したがって、アナログ画像信号のレベルが飽和している場合、A/Dコンバータ202は、デジタル値として1023を出力する。なお、図5の各表のSN比は、信号レベルをノイズレベルで割った値を示している。図5(B)は、図5(A)のアナログ画像信号#1が入力されたときにA/Dコンバータ202が出力するデジタル画像信号#1のデジタル値(輝度値)を示している。(R,G,B)=(810,33,369)であり、SN比は(135,5.5,61.5)となる。合成処理を行わない場合、図5(B)に示す値が、読取画像信号として画像形成装置2000に出力される。
【0024】
例えば、読取条件#2として、読取条件#1に対して受光素子の蓄積時間を2倍にし、受光素子の感度を4倍にした条件を設定したものとする。つまり、読取条件#1おけるアナログ画像信号#1の8倍のレベルを出力する様に読取条件#2を設定したものとする。図5(C)は、この場合に、A/Dコンバータ202が出力するデジタル画像信号#2のデジタル値を示している。図5(C)に示す様に、Rのデジタル値及びBのデジタル値は、アナログ画像信号#2のレベルが飽和していることを示す1023となる。一方、Gの輝度値を示すアナログ画像信号のレベルは0.107V×8=0.856Vとなるため、Gのデジタル値は、アナログ画像信号#2のレベルが飽和していないことを示す266となる。なお、ノイズ電圧は変化しないため、ノイズのデジタル値は6である。したがって、GのSN比は、1回目の5.5から凡そ43.33に向上する。
【0025】
2回目の読み取りでは、イメージセンサ109からのアナログ画像信号#2のレベルが1回目の8倍となる。したがって、1回目の読み取りにおけるデジタル値が128以上であった画素の色の輝度値を示すアナログ画像信号#2のレベルは飽和する。一方、1回目の読み取りにおけるデジタル値が127以下であっ画素の色の輝度値を示すアナログ画像信号#2のレベルは飽和せず、レベルが高くなることで輝度値の読取精度が向上する。画像合成処理部407は、1回目の読取結果のデジタル値が128以上であったものについては1回目のデジタル値を使用し、1回目の読取結果のデジタル値が127以下であったものについては2回目のデジタル値を使用することで、読取画像信号を生成する。なお、1回目のデジタル値については、2回目のデジタル値にレベルを合わせるため、その値を8倍にする。したがって、読取画像信号のデジタル値は、図5(D)に示す様に(R,G,B)=(6480,266,2952)となり、SN比は(135,44.33,61.5)となる。なお、読取画像信号は、13ビットのデータとする。
【0026】
図6は、10ビットのA/Dコンバータ202を使用して合成処理を行った場合と、10~13ビットのA/Dコンバータ202を使用して合成処理を行わなかった場合の測色精度を比較した表である。測色精度を評価する際のチャートは、JapanColor指定のISO-12642-2(1617色)を使用した。図6より、A/Dコンバータ202のビット数が同じ10ビットの場合には、合成処理を行うことで読取精度が向上していることが分かる。これは、上述した様に、明度の低い色については、アナログ画像信号のレベルを増加させる読取条件で原稿100を読み取ったことに基づく。また、合成処理により、10ビットのA/Dコンバータ202であっても、合成処理を行わずに12ビットのA/Dコンバータ202を使用する場合より最大ΔEが向上し、11ビットのA/Dコンバータ202を使用する場合より平均ΔEが向上する。この様に、異なる読取条件で読み取った複数の画像信号の合成処理を行うことで、測色精度を向上させることができる。なお、本実施形態では、A/Dコンバータ202のビット数を10ビットとしたが、A/Dコンバータ202のビット数は10ビットに限定されない。
【0027】
なお、読取回数が2回以上である場合、1回目の読み取りで使用する読取条件と、2回目以降の各読み取りで使用する読取条件を設定する。2回目以降の各読み取りで使用する読取条件は異なる。画像処理部110は、読取画像信号における第1輝度値以上の輝度値を、1回目の読み取りで得たアナログ画像信号#1のレベルから得られたデジタル値に基づき判定する。一方、画像処理部110は、読取画像信号における第1輝度値未満の輝度値を、2回目以降の各読み取りで得た各アナログ画像信号#2のレベルから得られたデジタル値に基づき判定する。第1輝度値は、各読取条件に基づき判定され得る。
【0028】
例えば、読取回数を3回とし、2回目及び3回目の読取条件を、1回目の読取条件に対してアナログ画像信号のレベルを4倍及び16倍にする様に設定したものとする。また、以下の説明においては、画像読取信号の"輝度値"を1回目の読み取りで得られた輝度値で示すものとする。この場合、1回目の読み取りで輝度値が256以上であった画素の色については、2回目の読み取りではアナログ画像信号のレベルが飽和して読み取れない。また、1回目の読み取りで輝度値が64以上であった画素の色については、3回目の読み取りではアナログ画像信号のレベルが飽和して読み取れない。つまり、1回目の読み取りで輝度値が256以上の画素の色については、1回目の読み取りのみで読み取れることになる。したがって、この場合、第1輝度値は256に設定される。つまり、画像処理部110は、読取画像信号における256以上の輝度値を、1回目の読み取りで得たアナログ画像信号のレベルから得られたデジタル値に基づき判定する。一方、画像処理部110は、読取画像信号における256未満の輝度値を、2回目以降の各読み取りで得た各アナログ画像信号のレベルから得られたデジタル値に基づき判定する。
【0029】
なお、2回目の読み取りで読み取れる輝度値の範囲は、1回目の読み取りでの輝度値で0~255である。また、3回目の読み取りでは読み取れる輝度値の範囲は、1回目の読み取りでの輝度値で0~63である。つまり、1回目の読み取りでの輝度値が64~255の範囲内である画素の色については3回目の読み取りではアナログ画像信号のレベルが飽和して読み取れない。したがって、画像処理部110は、読取画像信号における64~255の範囲内の輝度値を、2回目の読み取りで得たアナログ画像信号のレベルから得られたデジタル値に基づき判定する。一方、1回目の読み取りでの輝度値が0~63の範囲内である画素の色については2回目及び3回目の両方においてアナログ画像信号のレベルは飽和しない。この場合、画像処理部110は、1回目の読み取りでの輝度値が0~63の範囲内の画素の色については、2回目及び3回目のアナログ画像信号のレベルの最大値、つまり、3回目のアナログ画像信号のレベルに基づき判定する。
【0030】
なお、本実施形態においては、1回目の読み取りでの読取条件#1については、原稿100を読み取った際にアナログ画像信号のレベルを飽和させない様に設定していた。しかしながら、複数回の読み取りのどの回において読取条件#1を適用するかは任意であり、1回目の読み取りに読取条件#1を適用することに本実施形態は限定されない。
【0031】
より一般的に、画像読取装置1000がN回(Nは2以上の整数)の読み取りを行うものとする。1回目~N回目の読取条件#1~読取条件#Nはそれぞれ異なる。つまり、読取条件#1~読取条件#Nそれぞれで原稿100を読み取った際にイメージセンサ109が出力するアナログ画像信号のレベルは異なる。なお、N個の読取条件の内の1つの読取条件については、原稿100を読み取った際にイメージセンサ109が出力するアナログ画像信号のレベルを飽和させない様に設定する。以下では、読取条件#1が、原稿100を読み取った際にイメージセンサ109の総ての出力レベルを飽和させない条件であるものとする。
【0032】
画像合成処理部407は、各読取条件#1~#Nに基づいて、読取条件#1で取得するデジタル画像信号#1の輝度値を、範囲#1~範囲#Nにグループ化する。ここで、範囲#n(nは1~Nまでの整数)内の輝度値は連続しており、読取条件#nに関連付けられる。なお、読取条件#nに関連付ける範囲#nは、読取条件#nで原稿100を読み取っても画像信号が飽和しない輝度値のみを含む。例えば、上記の3回の読み取り例においては、1回目~3回目の読取条件#1~読取条件#3に関連付けられる範囲#1~範囲#3は、それぞれ、輝度値が256~1023の範囲、64~256の範囲、及び、0~63の範囲である。画像合成処理部407は、読取条件#1で取得したデジタル画像信号#1が示す1つの画素の1つの色の輝度値が第n範囲に含まれる場合、読取画像信号が示す当該画素の当該色の輝度値については、読取条件#nで取得したデジタル画像信号#nが示す当該画素の当該色の輝度値を使用する。これにより、画像合成処理部407は、読取画像信号を生成する。なお、読取画像信号を生成する際、画像合成処理部407は、デジタル画像信号#1~デジタル画像信号#Nの解像度(デジタル値を示すビット数)を一致させる。
【0033】
本実施形態で述べた合成処理により、画像読取装置1000の色分離性能が向上するため、原稿100の色情報を精度良く読み取ることができるようになる。画像読取装置1000が出力した読取画像信号から原稿100の色情報を正確に得ることができるため、画像形成装置2000が出力する印刷物の色味を原稿100に近づけることができる。
【0034】
画像読取装置1000が原稿100の色情報を精度良く読み取ることができるほど、画像形成装置2000が出力する印刷物を原稿100の色味に近づけることができる。例えば、色見本(基準印刷物)の画像データ(原稿データ)がある場合には、色見本合わせと呼ばれるシステム技術を用いることで、より高精度に画像形成装置2000が出力する印刷物の色味を基準印刷物に近づけることができる。具体的には、まず、原稿データに基づき画像形成装置2000にシートへの画像形成を行わせ、これによりテスト印刷物を出力する。このテスト印刷物と、色見本である基準印刷物の両方を画像読取装置1000で読み取り、2つの読取画像信号の差分に基づき画像形成装置2000において基準印刷物に対応する印刷物を生成するために用いる印刷用データを作成し、当該印刷用データに基づき印刷物を出力する。この構成により、印刷物の色味を基準印刷物の色味に近づけることができる。
【0035】
この様に、本実施形態による画像形成システムは、色見本合わせシステムとして利用され得る。なお、2つの読取画像信号の差分に基づき画像形成装置2000での印刷に用いる印刷用データを作成する画像処理は、例えば、画像形成装置2000の制御部170又は画像処理部111が行い得る。さらに、当該画像処理は、画像読取装置1000の画像処理部110が行い得る。さらに、当該画像処理は、画像形成装置2000及び画像読取装置1000と通信可能に接続された画像処理装置が行い得る。この場合、画像形成システムは、画像形成装置2000と、画像読取装置1000と、画像処理装置と、を含み得る。
【0036】
また、本実施形態による画像読取装置1000を含む画像形成システムは、色調整技術に適用することができる。画像形成装置2000は、個体差、経時変化、環境変化により印刷物の色味が変化する。この色味の変化を抑える技術が色調整技術である。画像形成装置2000で印刷物を出力する前に、色調整チャートの画像データに基づき画像形成装置2000に画像形成を行わせ、これにより、色調整チャートが形成されたシートを画像形成装置2000に出力させる。この色調整チャートが形成されたシートを画像読取装置1000で読み取ることで、画像読取装置1000は、色調整チャートの読取結果である読取画像信号(読取データ)を出力する。読取データに基づいて、画像データから印刷物として出力されるまでの画像形成装置2000のプリンタプロファイルを把握することができる。そして、把握したプリンタプロファイルに基づき、画像形成装置2000の画像形成条件を調整することで、或いは、画像読取装置1000が画像形成装置2000に出力する画像データを、把握したプリンタプロファイルに戻づき変換をすることで、印刷物の色味を原稿100の色味に近づけることができる。
【0037】
なお、読取データに基づく画像形成装置2000の画像形成条件の調整は、画像形成装置2000が行い得る。さらに、読取データに基づく、画像形成装置2000に出力する画像データの変換は、画像読取装置1000が行い得る。
【0038】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、1回目の読取結果に基づき、2回目以降の読み取りの必要性を判定し、必要と判定した場合に、2回目以降の読み取りと、合成処理を行う。一方、2回目以降の読み取りが必要ではないと判定した場合、1回目の読取結果を読取画像信号として出力する。
【0039】
図7は、本実施形態によるフローチャートである。S20において、CPU401は、図4のS10~S12の処理を実行する。これにより、読取条件#1で読み取った画像信号#1がRAM408に格納される。S21において、1回目の読取結果が示す総ての輝度値(デジタル値)が所定値以上であるかを判定する。所定値は、1回目の読取条件と、2回目以降の読み取りで使用する読取条件と、に基づき決定される。例えば、第一実施形態で説明した様に、読取条件#1に対して出力を8倍にする読取条件#2を2回目に使用する場合、所定値は128になる。これは、読取条件#2で読み取っても総ての輝度値が飽和するからである。1回目の読取結果が示す輝度値の総てが所定値以上である場合、CPU401は、S16で、1回目の読取結果を読取画像信号として画像合成処理部407に出力させる。一方、1回目の読取結果が示す輝度値に所定値未満のものがある場合、CPU401及び画像合成処理部407は、S22において、図4のS13~S15を実行し、S16で読取画像信号を出力する。以上の構成により、不要な原稿100の読み取りが行われることを防ぐことができる。
【0040】
<その他>
また、1回目の読取結果の輝度値の最大値を判定し、この最大値に基づき読取条件を設定して、2回目と3回目の読み取りを行い、2回目と3回目の読取結果に基づき合成処理を行う構成とすることができる。なお、2回目と3回目の読取条件は異なり、どちらかはアナログ画像信号を飽和させない範囲で輝度値の最大値を可能な限り大きくする条件である。1回目の読取結果の輝度値の最大値に基づき読取条件を設定することで、より色分解性能の高い読取画像信号を生成することができる。また、1回目の読取結果に基づき原稿100の複数の領域それぞれに対する読取条件を個別に決定することでさらに色分解性能の向上が可能となる。具体的には、1回目の読取結果に基づき、複数の領域それぞれについて輝度値の最大値、最小値を求め、最大値及び最小値に応じて領域に対する最適な読取条件を決定する。そして、領域を読み取る際には、当該領域に対して決定した読取条件を使用する。そして、領域毎の合成処理を行い、各領域の合成結果に基づき読取画像信号を生成する。また、原稿100の画像データがある場合は、1回目の読取結果を使用するのではなく、原稿100の画像データを用いて、アナログ画像信号を飽和させない読取条件の設定や、領域の設定を行う構成とすることもできる。
【0041】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0042】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0043】
137:白色LED、109:イメージセンサ、110:画像処理部、500:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7