(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169182
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】発光装置、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、および、移動体
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3266 20160101AFI20241128BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G09G3/3266
G09G3/20 622D
G09G3/20 622G
G09G3/20 660E
G09G3/20 670K
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086432
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】永▲崎▼ 瑞樹
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD18
5C080EE01
5C080EE19
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK02
5C080KK20
5C080KK42
5C080KK43
5C080KK47
5C380AA01
5C380AA02
5C380AA03
5C380AB06
5C380AC07
5C380AC09
5C380AC10
5C380AC11
5C380AC12
5C380AC13
5C380BD14
5C380CB12
5C380CB17
5C380CC27
5C380CC33
5C380CC39
5C380CC63
5C380CD073
5C380CF07
5C380CF09
5C380CF10
5C380CF32
5C380CF64
5C380DA32
(57)【要約】
【課題】表示品質の向上に有利な技術を提供する。
【解決手段】複数の行を構成するように配された複数の画素を備える画素アレイと、前記複数の行のうち選択された行に配された画素に映像信号を書き込むために、選択された行に書込制御信号を供給する書込制御回路と、発光を指示する発光制御信号を前記複数の行のうち選択された行に供給するための発光制御回路と、を含む発光装置であって、前記複数の行は、保持回路およびゲート回路を備える行を含み、前記保持回路は、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に前記書込制御信号が供給されたことを記憶し、前記ゲート回路は、前記ゲート回路に前記発光制御信号が供給され、かつ、前記保持回路に前記書込制御信号が供給されたことが記憶されている場合に、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に配された画素に前記発光制御信号を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行を構成するように配された複数の画素を備える画素アレイと、
前記複数の行のうち選択された行に配された画素に映像信号を書き込むために、選択された行に書込制御信号を供給する書込制御回路と、
発光を指示する発光制御信号を前記複数の行のうち選択された行に供給するための発光制御回路と、を含む発光装置であって、
前記複数の行は、保持回路およびゲート回路を備える行を含み、
前記保持回路は、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に前記書込制御信号が供給されたことを記憶し、
前記ゲート回路は、前記ゲート回路に前記発光制御信号が供給され、かつ、前記保持回路に前記書込制御信号が供給されたことが記憶されている場合に、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に配された画素に前記発光制御信号を出力することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
各フレームにおいて、前記画素アレイは、前記複数の行のうち発光状態の画素が配された行によって構成される表示領域と、前記複数の行のうち画素が非発光状態の行によって構成される非表示領域と、を含み、
所定のタイミングで、前記表示領域と前記非表示領域との位置が変更されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記書込制御回路は、前記複数の行のうち前記表示領域を構成する行に前記書込制御信号を供給することを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記書込制御回路は、前記複数の行のうち前記非表示領域を構成する行に前記書込制御信号を供給しないことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
各フレームにおいて、前記発光制御回路は、前記複数の行のうち前記表示領域を構成する行に対して、それぞれの行に応じた所定の期間にわたり前記発光制御信号を供給することを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の行のそれぞれの行に、前記保持回路および前記ゲート回路が配されていることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の行は、常に前記表示領域に含まれる第1行と、前記表示領域と前記非表示領域との間で変更される第2行と、を含み、
前記第2行に、前記保持回路および前記ゲート回路が配されていることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1行に、前記保持回路および前記ゲート回路が配されていないことを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
2フレーム目以降の各フレームにおいて前記書込制御回路が前記書込制御信号の供給を始める前に、1つ前のフレームにおいて前記複数の行のうち前記非表示領域を構成した行の前記保持回路の記憶がリセットされることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項10】
前記複数の行のうち前記表示領域を構成する行において、前記発光制御信号の供給が終了した場合に、前記保持回路の記憶がリセットされることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項11】
1フレーム目の開始の前に、前記保持回路の記憶がリセットされることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の発光装置と、前記発光装置に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項13】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示し、かつ、請求項1乃至11の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項14】
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項15】
光源と、光拡散部および光学フィルムの少なくとも一方と、を有する照明装置であって、
前記光源は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
【請求項16】
機体と、前記機体に設けられている灯具と、を有する移動体であって、
前記灯具は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、および、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置において、同じ文字や同じ画像の表示を同じ位置で長時間にわたり行った場合に、表示を行った領域の発光特性が変化してしまい、周囲との間で輝度さが生じる「焼き付き」現象が知られている。特許文献1には、焼き付きを抑制するために、文字や画像を表示させる表示領域の位置をシフトさせることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示領域をシフトさせた際に、非表示領域から表示領域に変更された画素行が映像信号を書き込む前に発光してしまうと、表示品質が低下してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、表示品質の向上に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る発光装置は、複数の行を構成するように配された複数の画素を備える画素アレイと、前記複数の行のうち選択された行に配された画素に映像信号を書き込むために、選択された行に書込制御信号を供給する書込制御回路と、発光を指示する発光制御信号を前記複数の行のうち選択された行に供給するための発光制御回路と、を含む発光装置であって、前記複数の行は、保持回路およびゲート回路を備える行を含み、前記保持回路は、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に前記書込制御信号が供給されたことを記憶し、前記ゲート回路は、前記ゲート回路に前記発光制御信号が供給され、かつ、前記保持回路に前記書込制御信号が供給されたことが記憶されている場合に、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に配された画素に前記発光制御信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示品質の向上に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1の発光装置に配された画素の構成例を示す回路図。
【
図3】
図1の発光装置の表示位置のシフトを説明する図。
【
図4】
図1の発光装置の垂直走査回路の構成例を示す図。
【
図5】
図1の発光装置に動作例を示すタイミング図。
【
図6】
図1の発光装置の垂直走査回路の構成例を示す図。
【
図7】
図1の発光装置に動作例を示すタイミング図。
【
図8】
図1の発光装置の垂直走査回路の構成例を示す図。
【
図9】
図1の発光装置に動作例を示すタイミング図。
【
図10】
図1の発光装置の画素の構成例を示す断面図。
【
図11】本実施形態の発光装置を用いた画像形成装置の一例を示す図。
【
図12】本実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。
【
図13】本実施形態の発光装置を用いた光電変換装置の一例を示す図。
【
図14】本実施形態の発光装置を用いた電子機器の一例を示す図。
【
図15】本実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。
【
図16】本実施形態の発光装置を用いた照明装置の一例を示す図。
【
図17】本実施形態の発光装置を用いた移動体の一例を示す図。
【
図18】本実施形態の発光装置を用いたウェアラブルデバイスの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1~
図9を参照して、本開示の実施形態による発光装置について説明する。以下の実施形態は、いずれも本開示の一例を示すものであり、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
図1は、本実施形態の発光装置100の構成例を示す概略図である。
【0011】
発光装置100は、画素アレイ110、垂直走査回路200、信号出力回路300、制御回路400を含む。画素アレイ110は、複数の行および複数の列を構成するように2次元アレイ状に配された複数の画素101を備える。画素101のそれぞれは、
図2を用いて説明するように、発光素子や映像(輝度)信号の書き込みや発光を制御するためのトランジスタを含む。画素101には、行ごとに共通に設けられた書込制御線102、発光制御線104を介して垂直走査回路200が接続される。画素101には、さらに、列ごとに共通に設けられた映像信号線103を介して信号出力回路300が接続される。信号出力回路300は、制御回路400によって制御され、画素101に列ごとに個別の映像信号を出力する。垂直走査回路200は、制御回路400によって制御される。垂直走査回路200は、詳細は後述するが、書込制御線102を介して供給する書込制御信号WR(1)~WR(N)によって、画素アレイ110の中から映像信号を書き込む行(以下、書込行と示す場合がある。)を選択し、発光制御線104を介して供給する発光制御信号EM(1)~EM(N)によって、書込まれた映像信号に応じた輝度で発光させる行(以下、発光行と示す場合がある。)を選択する。ここで、Nは整数である。
【0012】
図2は、画素101の構成例を示す回路図である。画素101は、発光制御トランジスタ111、書込トランジスタ112、駆動トランジスタ113、発光素子114を含みうる。発光素子114には、例えば、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子や無機EL素子、半導体レーザ素子、発光ダイオード(LED)などが用いられうる。発光素子114のカソード端子は、グラウンドレベルである供給線VSSに接続されており、発光素子114のアノード端子は、駆動トランジスタ113のソース端子に接続されている。駆動トランジスタ113のドレイン端子は、発光制御トランジスタ111のソース端子に接続されており、発光制御トランジスタ111のゲート端子は、書込トランジスタ112のソース端子に接続されている。発光制御トランジスタ111のドレイン端子は、電源電位を供給する供給線VDDに接続されており、発光制御トランジスタ111のゲート端子は、発光制御線104に接続されている。書込トランジスタ112のドレイン端子は、映像信号線103に接続されており、書込トランジスタ112のゲート端子は、書込制御線102に接続されている。
【0013】
次に、画素101の動作の一例について説明する。書込制御線102がオンレベル(以下、Hレベルとする。)になることによって、書込トランジスタ112は、オン状態(導通状態)になり、駆動トランジスタ113のゲート端子が接続されているNode_Aに、映像信号線103の信号電圧が書込まれる。次に、書込制御線102がオフレベル(以下、Lレベルとする。)になることによって、書込トランジスタ112は、オフ状態(非導通状態)になり、Node_Aの容量成分に信号電圧が保持される。本実施形態において、Node_Aの容量成分として、例えば、配線間容量や駆動トランジスタ113のゲート-ソース間、ゲート-ドレイン間の寄生容量などがある。しかしながら、それに限られることはなく、Node_Aに書き込まれる信号電圧を保持するための容量素子が配されていてもよい。次いで、発光制御線104がHレベルになることによって、発光制御トランジスタ111がオン状態になり、駆動トランジスタ113のゲート端子の接続されているNode_Aに保持された電圧に応じた電流が、発光素子114に供給される。それによって、発光素子114が、Node_Aに保持された電圧に応じた輝度で発光する。
【0014】
本実施形態において、発光装置100は、
図3(a)~3(c)に示されるように、画素アレイ110のうち連続する一部の行を用いて画像や文字など(以下、単に「画像」と示す。)を表示する。N行の画素アレイ110を備える発光装置100において、例えば、(N-4)行分の画像を表示するための制御信号が制御回路400から出力されるとする。全N行のうち、所定の(N-4)行分の画素101に、映像信号の書き込みが行われ、書き込まれた映像信号に応じた輝度で画素101に配された発光素子114が発光し、画像が表示される。画像を表示する各フレームにおいて、画素アレイ110は、複数の行のうち発光状態の画素101が配された行によって構成される表示領域と、複数の行のうち画素101が非発光状態の行によって構成される非表示領域と、を含むといえる。表示領域と非表示領域との位置は、所定のタイミングで変更される。
【0015】
例えば、表示領域が画素アレイ110のうち3行目~(N-2)行目である場合が、
図3(a)に示されている。この表示領域をシフト±0行として、-2行および+2行、画像の表示領域をシフトさせた場合が、それぞれ
図3(b)、3(c)に示されている。-2行の表示領域のシフトを行った場合、画像は、1行目~(N-4)行目に表示される。一方、+2行の表示領域のシフトを行った場合、画像は5行目~N行目に表示される。つまり、
図3(a)、3(c)のように、画素アレイ110のうち画像の表示が開始される行(開始行)が、画素アレイ110のうち1行目の側(一端の側)の端部に配された行とは異なる行であってもよい。また、
図3(a)、3(b)のように、画素アレイ110のうち画像の表示を終了する行(終了行)が、画素アレイ110のうちN行目の側(他端の側)の端部に配された行とは異なる行であってもよい。このように、発光装置100が動作している間に表示領域を変更することによって、同じ画像の表示を長時間にわたり行った場合に、同じ表示を行った領域の発光特性が変化してしまう「焼き付き」現象を軽減することができる。また、発光装置100の動作中に、表示領域の行数を変更してもよい。例えば、開始行を2行目、終了行を(N-1)行目に設定した場合、表示領域の行数は(N-2)行分であり、
図3(a)~3(c)に示される表示領域からから2行分、表示領域が増えることになる。
【0016】
図4は、本実施形態に係る垂直走査回路200の構成例を示す図である。本実施形態において、全ての論理回路や論理ゲートについて正論理であるとして説明を行う。また、書込制御信号WR(m)や発光制御信号EM(m)がHレベルの場合に、画素101が備えるトランジスタや回路がオン状態になり、映像信号の書き込みや発光の動作が行われる。ここで、mは、1からNの間のいずれかの整数である。
【0017】
垂直走査回路200は、書込制御回路202、発光制御回路204、発光行ゲート回路205を含む。書込制御回路202は、画素アレイ110の複数の行のうち選択された行に配された画素101に映像信号を書き込むために、選択された行に書込制御信号WR(m)を供給する。より具体的には、書込制御回路202は、制御回路400から書込行走査制御線402を介して制御信号を受け取り、映像信号の書き込みを行う行を選択し、選択された行の書込制御線102に書込制御信号WR(m)を供給する。書込制御回路202は、例えば、シフトレジスタと論理回路を組み合わせた順序回路や、デコーダなどの論理回路で構成されうる。本実施形態において、書込制御回路202は、画素アレイ110の複数の行のうち表示領域を構成する行に書込制御信号WR(m)を供給し、非表示領域を構成する行には書込制御信号WR(m)を供給しない。つまり、非表示領域を構成する行において、画素101には、映像信号の書き込みは行われない。
【0018】
発光制御回路204は、発光を指示する発光制御信号EM(m)を画素アレイ110の複数の行のうち選択された行に供給するために配される。より具体的には、発光制御回路204は、制御回路400から発光行走査制御線404を介して制御信号を受け取り、発光させる行を選択し、選択された行に発光制御信号を供給する。ここで、後述する発光行ゲート回路205から対応する行に配された画素101に供給される発光制御信号EM(m)と区別するために、発光制御回路204から供給される発光制御信号を、発光制御中間信号EM_S(m)と示す。発光制御回路204から供給された発光制御中間信号EM_S(m)は、発光行ゲート回路205に入力される。発光制御回路204は、例えば、シフトレジスタやデコーダ、論理ゲートなどを組み合わせた順序回路で構成されうる。
【0019】
発光行ゲート回路205は、保持回路251、ゲート回路252を含む。保持回路251は、入力端子IN、出力端子OUT、リセット端子Rを備える。保持回路251の入力端子INには書込制御線102が接続されており、保持回路251を備える行に書込制御信号WR(m)が供給されたことを記憶することができる。また、保持回路251は、保持している状態に応じて、記録信号MEM(m)を出力端子OUTから出力する。例えば、本実施形態において、初期状態においてLレベルが出力され、書込制御信号WR(m)が供給されたことを記憶している場合にHレベルが出力される。保持回路251のリセット端子Rには、保持回路リセット制御線405を介してリセット信号MEM_RESが供給される。リセット信号MEM_RESがHレベルになった場合に、保持回路251は、保持している状態を初期状態にリセットする。保持回路251は、例えば、SRラッチやDフリップフロップなどの論理回路で構成されうる。
【0020】
ゲート回路252は、ゲート回路252に発光制御回路204から発光制御中間信号EM_S(m)が供給され、かつ、保持回路に書込制御信号WR(m)が供給されたことが記憶されている場合に、ゲート回路252を備える行に配された画素101に発光制御信号EM(m)を出力する。ゲート回路252は、本実施形態において、2入力のAND回路である。ゲート回路252の入力端子には、保持回路251の出力である記録信号MEM(m)と、発光制御回路204から送出された発光制御中間信号EM_S(m)と、が入力され、出力端子が発光制御線104に接続されている。ゲート回路252は、保持回路251からLレベルが出力されている場合にLレベルを出力し、保持回路251からHレベルが出力されている場合に、発光制御中間信号EM_S(m)を発光制御信号EM(m)として発光制御線104へ出力する。
【0021】
保持回路251およびゲート回路252は、画素アレイ110が備える複数の行のそれぞれの行に配されていてもよい。しかしながら、それに限られることはなく、保持回路251およびゲート回路252は、全ての行に配されていなくてもよい。例えば、
図3(a)~3(c)のような3種類の表示領域のシフトのみを行う場合、いずれの種類の表示領域のシフトを行っても、常に表示領域となる5行目から(N-4)行目には、保持回路251およびゲート回路252が配されず、発光制御回路204の出力する発光制御中間信号EM_S(m)をそのまま、発光制御信号EM(m)として発光制御線104へ出力してもよい。つまり、表示領域と非表示領域との間で変更される1行目から4行目と(N-3)行目からN行目とに、保持回路251およびゲート回路252が配されていてもよい。
【0022】
また、表示領域を指定するための開始行と終了行とを選択するための信号が、制御回路400から書込制御回路202や発光制御回路204に供給されてもよい。開始行と終了行とを選択するための信号は、例えば、制御回路400から書込行走査制御線402や発光行走査制御線404を介して書込制御回路202や発光制御回路204に供給されうる。
【0023】
図5は、本実施形態における発光装置100の動作タイミングを示す図である。
図5は、発光装置100に電源が投入され、最初の1フレーム目は、
図3(a)に示される表示領域で動作させ、次の2フレーム目は、
図3(c)の表示領域で動作させる場合のタイミング図である。
【0024】
時刻t0において、発光装置100の電源が投入され、制御回路400から保持回路251に保持回路リセット制御線405を介してリセット信号MEM_RESが供給され、すべての保持回路251がリセットされる。つまり、画像を表示する1フレーム目の開始の前に、保持回路251の記憶がリセットされる。時刻t0において、制御回路400から書込行走査制御線402、発光行走査制御線404を介してリセット信号を供給し、書込制御回路202、発光制御回路204に含まれる回路もリセットされてもよい。ここで、時刻t0は、発光装置100に電源が投入されるタイミングとしたが、それに限られることはない。例えば、時刻t0は、画素アレイ110に表示される画像が切り替わるタイミングであってもよい。また、例えば、時刻t0は、所定の時間間隔など適当なタイミングで、すべての保持回路251がリセットされるタイミングであってもよい。
【0025】
時刻t1において、垂直同期信号V_SYNCが制御回路400で生成され、1フレーム目の動作が開始される。1フレーム目の動作の開始に伴い、制御回路400からクロック信号VCLKが出力され、発光行走査制御線404を介して発光制御回路204に供給される。発光制御回路204は、クロック信号VCLKに従って発光する行を順番に選択する。また、1フレーム目の表示領域に対応して、3行目が開始行、(N-2)行目が終了行として設定される。
【0026】
次いで、時刻t2において、制御回路400から書込行走査制御線402を介して制御信号を受け取った書込制御回路202は、開始行となる3行目を書込行として選択し、書込制御信号WR(3)としてHレベルが供給される。書込制御信号WR(m)にHレベルが供給されている期間が、m行目の書込期間になる。書込制御信号WR(3)は、3行目の保持回路251に入力され、保持回路251は、3行目に書込みが行われたという情報を記憶する。それによって、記録信号MEM(3)には、Hレベルの信号が出力される。以下の説明において、書込制御信号WR(m)がHレベルの期間を、書込制御信号WR(m)が供給される期間とする。書込制御信号WR(m)がLレベルの期間は、書込制御信号WR(m)が供給されていない期間である。発光制御中間信号EM_S(m)なども同様である。
【0027】
時刻t3において、書込制御回路202は、3行目の書込行としての選択を終了するため、書込制御信号WR(3)をLレベルにする。また、新たに4行目を書込行として選択し、書込制御信号WR(4)としてHレベルが供給される。3行目と同様に、書込制御信号WR(4)は、4行目の保持回路251に入力され、保持回路251は、4行目に書込みが行われたという情報を記憶する。それによって、記録信号MEM(4)には、Hレベルの信号が出力される。4行目以降、(N-2)行目まで同様に、書込行の選択が行われ、(N-2)行目までの各行に対して、映像信号の書込みが行われる。
【0028】
また、時刻t3において、制御回路400から発光行走査制御線404を介して制御信号を受け取った発光制御回路204が、書込みを終了した3行目を発光行として選択し、発光制御中間信号EM_S(3)としてHレベルを供給する。発光制御中間信号EM_S(3)および記録信号MEM(3)がゲート回路252に入力され、記録信号MEM(3)がHレベルになっているため、ゲート回路252から、発光制御中間信号EM_S(3)が発光制御線104に発光制御信号EM(3)として出力される。発光制御信号EM(m)としてHレベルが供給されている期間が発光期間になる。発光期間において、m行目の画素101は、書き込まれた映像信号に応じた輝度で発光する。以降、(N-2)行目まで同様に、発光制御回路204内にある、クロック信号VCLKを基に動作するシフトレジスタ回路によって、発光行が順番に選択され、(N-2)行目までの各行が順次、発光期間を開始する。
【0029】
時刻t4において、発光制御中間信号EM_S(3)がLレベルになり、3行目の発光期間が終了する。4行目以降の行も、順次、発光期間が終了する。また、時刻t4では、(N-1)行目について、発光制御回路204内のシフトレジスタは、(N-1)行目の発光期間を開始するようにHレベルの信号を出力する。しかしながら、1フレーム目において(N-1)行目は表示領域外であることから、発光制御回路204内のシフトレジスタの出力は、発光制御回路204内の論理回路によってゲーティングされ、時刻t5まで、発光制御中間信号EM_S(N-1)はLレベルのままとなる。(N)行目についても同様で、時刻t5まで発光制御中間信号EM_S(N)はLレベルのままとなる。
【0030】
時刻t5までに、1フレーム目の表示領域の全行の画素101に書込制御信号WR(m)が供給され、映像信号が書き込まれる。ここで、
図5に示されるように、それぞれのフレーム期間は、表示領域の全行の画素101に書込制御信号WR(m)が供給される期間である。発光期間は、
図5に示されるように、一部の行において、1フレーム目で映像信号が書き込まれた後、2フレーム目まで継続する。
【0031】
時刻t5で垂直同期信号V_SYNCが制御回路400で生成され、また、表示領域の変更が行われ、2フレーム目の動作が開始される。2フレーム目では、表示領域のシフトに伴い、開始行は5行目、終了行は(N)行目に設定される。これによって、1フレーム目においては表示領域外であることから、発光制御回路204内のシフトレジスタの出力がゲーティングされていた(N-1)行目および(N)行目は、2フレーム目では表示領域となるため、発光制御中間信号EM_S(N-1)、EM_S(N)にHレベルが出力されてしまう。各フレームにおいて、発光制御回路204は、複数の行のうち表示領域を構成する行に対して、それぞれの行に応じた所定の期間にわたり発光制御信号として発光制御中間信号EM_S(m)を供給するためである。
【0032】
しかしながら、(N-1)行目、N行目は、時刻t0において保持回路251がリセットされた後に書込制御信号WR(N-1)、WR(N)が供給されていない。そのため、N-1行目、N行目の保持回路251は、記録信号MEM(N-1)、MEM(N)としてLレベルを出力している。これによって(N-1)行目、N行目のゲート回路252は、発光制御中間信号EM_S(N-1)、EM_S(N)を発光制御線104に出力することはなく、発光制御信号EM(N-1)は、Lレベルのままである。
【0033】
時刻t5で行われる表示領域のシフトによって、表示領域ではない行が表示領域に切り替わる際に、本実施形態のように、書込制御信号WR(m)が供給されたか否かという情報を保持、記憶する保持回路251を備えていない場合を考える。その場合に、時刻t5から、発光制御信号EM(N-1)、EM(N)として、発光制御中間信号EM_S(N-1)、EM_S(N)のHレベルが発光制御線104に出力され、画素101へ供給されてしまう。(N-1)行目、N行目の画素101は、時刻t0の電源投入後から映像信号の書き込みが行われていない。そのため、
図2に示されるNode_Aの電圧が不定のまま、発光制御信号EM(N-1)、EM(N)が供給されてしまうことになる。これによって、電源投入後から書込みが行われていない(N-1)行目、N行目が意図しない輝度で発光し、表示品質に悪影響を与える可能性がある。そこで、本実施形態のように、保持回路251およびゲート回路252を設け、映像信号の書き込みを行っていない行に発光制御信号EM(m)が供給されないようにする。それによって、画素101が意図しない輝度で発光することを防いでいる。結果として、表示品質が向上しうる。
【0034】
時刻t6において、制御回路400から書込行走査制御線402を介して制御信号を受け取った書込制御回路202は、(N-1)行目を書込行として選択し、(N-1)行目の保持回路251は、記録信号MEM(N-1)にHレベルの信号を出力する。同様に時刻t7において、N行目の保持回路251は、記録信号MEM(N)にHレベルの信号を出力する。また、時刻t7では、Hレベルの発光制御中間信号EM_S(N-1)と、Hレベルの記録信号MEM(N-1)がゲート回路252に入力される。それによって、発光制御中間信号EM_S(N-1)のHレベルが、発光制御信号EM(N-1)として(N-1)行目の画素101に出力される。時刻t8では、同様にN行目に発光制御中間信号EM_S(N)のHレベルが、発光制御信号EM(N)としてN行目の画素101に出力される。
【0035】
本実施形態は、一例であり、例えば、制御回路400から供給される信号と、発光制御中間信号EM_S(m)と、をゲート回路252内で論理演算した結果を、発光制御信号EM(m)として画素101に出力してもよい。また、発光制御信号EM(m)や書込制御信号WR(m)は1種類でなくてもよい。また、保持回路251が、行への書込みの履歴を記憶するために用いる信号は、書込制御信号WR(m)と同等の別の信号でもよい。また、各行において、書き込みや発光を行う際に、発光制御信号EM(m)や書込制御信号WR(m)がHレベルで固定される必要はなく、Lレベルとなるタイミングがあってもよい。また、全ての回路が正論理で動作する必要はなく、一部または全ての回路が負論理であってもよい。
【0036】
図6は、垂直走査回路200の構成例であり、
図4を用いて説明した垂直走査回路200の変形例である。以下、
図4と同様であってもよい構成については説明を適宜省略し、異なる点を中心に説明する。
図6に示される発光行ゲート回路205には、各行にリセットゲート回路253が設けられている。上述と同様に、常に表示領域となる行には、保持回路251、ゲート回路252、リセットゲート回路253が配されていなくてもよい。
【0037】
リセットゲート回路253は、発光制御回路204から供給される領域選択信号R_SEL_B(m)に応じて、制御回路400から出力されたリセット信号MEM_RESを、保持回路251へ供給するか否かをゲーティングする機能を持つ回路である。リセットゲート回路253は、例えば、2入力のAND回路で実現できる。発光制御回路204は、m行目がそのフレームにおいて表示領域内の行であれば領域選択信号R_SEL_B(m)にLレベルを、そうでなければHレベルを出力する。リセットゲート回路253は、領域選択信号R_SEL_B(m)からHレベルが入力された場合は、入力されているリセット信号MEM_RESを出力し、Lレベルが入力された場合は、MEM_RESを出力せず、出力はLレベルで固定されたままとなる。
【0038】
図7は、
図6に示される垂直走査回路200を備える発光装置100の動作タイミングを示す図である。
図7は、発光装置100に電源が投入され、最初の1フレーム目において
図3(a)に示される表示領域、2フレーム目において
図3(c)に示される表示領域、3フレーム目において
図3(a)に示される表示領域、4フレーム目において
図3(c)に示される表示領域で、それぞれ動作させた場合の駆動波形である。駆動波形や動作について、
図5と同じ構成については説明を適宜省略する。
【0039】
時刻t0において、発光装置100の電源が投入される。このとき、初期状態として、領域選択信号R_SEL_B(m)は、全てHレベルであるとする。また、リセット信号であるリセット信号MEM_RESがHレベルとなり、1フレーム目が開始される時刻t1までにLレベルとなる。このとき、領域選択信号R_SEL_B(m)は全てHレベルなのでリセット信号MEM_RESによって、すべての行の保持回路251の記憶がリセットされる。
【0040】
時刻t1において、垂直同期信号V_SYNCが制御回路400にて生成され、1フレーム目の動作が開始される。以降、時刻t2までの動作は、
図5に示される動作と同様である。
【0041】
時刻t2において、リセット信号MEM_RESがHレベルとなる。このとき1フレーム目において、表示領域となっていない1、2行目と(N-1)、N行目の領域選択信号R_SEL_B(m)のみがHレベルとなる。そのため、1、2行目と(N-1)、N行目の保持回路251がリセットされる。
【0042】
次いで、時刻t3で、リセット信号MEM_RESがLレベルになり、保持回路251のリセットが終了する。また、表示領域の変更が行われ、2フレーム目の動作が開始される。
【0043】
時刻t4において、リセット信号MEM_RESがHレベルとなる。2フレーム目において表示領域ではない1~4行目の保持回路251がリセットされる。そのため、1フレーム目から書込制御信号WR(m)が供給されたことを記憶していた、3行目と4行目の保持回路251がリセットされ、記録信号MEM(3)、MEM(4)がLレベルになる。
【0044】
次いで、時刻t5では、表示領域の変更がおこなわれ、表示領域ではなくなった(N-1)、N行目について、発光制御回路204内のシフトレジスタの出力は、発光制御回路204内の論理回路によってゲーティングされる。そのため、発光制御中間信号EM_S(N-1)、EM_S(N)がLレベルになる。それによって、表示領域ではなくなった(N-1)、N行目の発光期間は、本来の発光期間の長さよりも短くなってしまう。しかしながら、それ以外の行について、発光期間が短くなることはない。時刻t5以降、時刻t6までは1フレーム目と同様の動作が行われる。
【0045】
時刻t6において、リセット信号MEM_RESがHレベルとなる。このとき、発光行として選択されていない1、2行目と(N-1)、N行目との保持回路251がリセットされる。そのため、2フレーム目から書込制御信号WR(m)が供給されたことを記憶していた、(N-1)、N行目の保持回路251がリセットされ、記録信号MEM(N-1)、MEM(N)がLレベルとなる。時刻t6以降、時刻t7までは2フレーム目と同様の動作が行われる。
【0046】
ここで、次のフレームとの間で表示領域の変更がない場合、リセット信号MEM_RESを入力しなくてもよい。例えば、4フレーム目と時刻t8から始まる5フレーム目とで表示領域に変更がない場合には、時刻t7ではリセット信号MEM_RESをHレベルにしなくてもよい。
【0047】
本実施形態において、2フレーム目以降の各フレームにおいて、書込制御回路202が書込制御信号WR(m)の供給を始める前に、1つ前のフレームにおいて画素アレイ110の複数の行のうち非表示領域を構成した行の保持回路251の記憶がリセットされる。それによって、電源投入後に1回だけ表示領域を変える場合だけでなく、発光装置100の駆動中に何度も表示領域を変えた場合であっても、非表示領域から表示領域に変更された行が意図しない輝度で発光することを防ぐことができる。
【0048】
図8は、垂直走査回路200の構成例であり、
図4を用いて説明した垂直走査回路200の変形例である。以下、
図4と同様であってもよい構成については説明を適宜省略し、異なる点を中心に説明する。
図8に示される発光行ゲート回路205には、保持回路251ではなく、トリガリセット付きの保持回路254が配されている。上述と同様に、常に表示領域となる行には、保持回路254およびゲート回路252が配されていなくてもよい。
【0049】
保持回路254は、保持回路251の機能に加えて、トリガリセット端子TRに入力される発光制御信号EM(m)がHレベルからLレベルに遷移することをトリガとし、保持、記憶している状態を初期状態にリセットする機能を持つ。本実施形態において、保持回路254のトリガリセット端子TRには、発光制御信号EM(m)が入力されており、TR端子に入力される発光制御信号EM(m)がHレベルからLレベルに遷移したとき、つまり発光期間が終了したときにも、保持回路254のリセットを行うとする。
【0050】
図9は、
図8に示される垂直走査回路200を備える発光装置100の動作タイミングを示す図である。
図9は、
図7に示される動作と同様に発光装置100に電源が投入され、最初の1フレーム目において
図3(a)に示される表示領域、2フレーム目において
図3(c)に示される表示領域、3フレーム目において
図3(a)の表示領域で、それぞれ動作させた場合の駆動波形である。駆動波形や動作について、
図7と同じ構成については説明を適宜省略する。
【0051】
時刻t0において、発光装置100の電源が投入される。このとき、リセット信号MEM_RESはHレベルとなり、1フレーム目が開始する時刻t1までにLレベルになる。それによって、1フレーム目の開始の前に、保持回路254のそれぞれの記憶がリセットされる。時刻t1で垂直同期信号V_SYNCが制御回路400にて生成され、1フレーム目の動作が開始される。
【0052】
時刻t2において、1フレーム目の開始行である3行目において、発光制御信号EM(3)がHレベルからLレベルに遷移し、発光期間が終了する。また3行目の保持回路254は、発光制御信号EM(3)がHレベルからLレベルに遷移したことをトリガとし、1フレーム目に書込制御信号WR(3)が供給されたことを示す記憶がリセットされ、記録信号MEM(3)はLレベルになる。また、時刻t2において、上述の各実施形態では、終了行以降で表示領域外となっている行の発光制御回路204内のシフトレジスタの出力は、論理回路によってゲーティングされ、発光制御中間信号EM_S(N-1)がLレベルのままとなっていると説明したが、本実施例においては、シフトレジスタの出力をそのまま発光制御中間信号EM_S(N-1)として出力する。つまり、時刻t2において、発光制御中間信号EM_S(N-1)としてHレベルが出力される。ここで、(N-1)行目は、時刻t0からのリセット動作の後から映像信号の書き込みが行われていないため、記録信号MEM(N-1)はLレベルとなっている。そのため、発光制御中間信号EM_S(N-1)はHレベルとなっているが、ゲート回路252の出力である発光制御信号EM(N-1)はLレベルのままとなる。つまり、発光制御信号EM(N-1)は、ゲート回路252から(N-1)行目の画素には出力されない。
【0053】
次いで、時刻t3において、時刻t2の3行目と同様に、4行目の保持回路254は、発光制御信号EM(4)がHレベルからLレベルに遷移したことをトリガとし、1フレーム目に書込制御信号WR(4)が供給されたことを示す記憶がリセットされ、記録信号MEM(4)はLレベルになる。また、時刻t3において、N行目についても、時刻t2の(N-1)行目と同様に、発光制御中間信号EM_S(N)としてHレベルが出力されるが、記録信号MEM(N)はLレベルであるため発光制御信号EM(N)はLレベルのままである。
【0054】
ここで、
図9に示される動作において、一例として、時刻t2に発光制御信号EM(3)の遷移と発光制御信号EM(N-1)の遷移とが、時刻t3に発光制御信号EM(4)の遷移と発光制御信号EM(N)の遷移とが、同時に発生している。しかしながら、これらの遷移が同時である必要はない。以降、時刻t5までの間に、(N-2)行目までの各行の発光期間が順次終了し、各行の保持回路254も、発光期間が終了したときに順次リセットされる。つまり、表示領域を構成する行において、発光制御信号EM(m)の供給が終了した場合に、保持回路254の記憶がリセットされる。
【0055】
時刻t4において、2フレーム目の動作が開始され、開始行である5行目から、順次、書込制御信号WR(m)が供給され、次いで、発光制御信号EM(m)が供給される。時刻t6において、3フレーム目の動作が開始し、開始行である3行目から、順次、書込制御信号WR(m)が供給され、次いで、発光制御信号EM(m)が供給される。
【0056】
図9に示されるように、各行の保持回路254のリセットを、各行の発光期間の終了時に行うことによって、表示領域の変更に伴う誤発光を防ぐことができる。さらに、
図7に示されるように、表示領域から非表示領域に変更された行の発光期間の長さが、本来の発光期間の長さよりも短くなってしまうことがなくなる。本実施形態の説明では、発光制御信号EM(m)を用いて保持回路254のリセットを行っていたが、同様のタイミングで適当な信号を保持回路254に供給してもよい。
【0057】
ここで、本実施形態の発光装置100を画像形成装置、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体、および、ウェアラブルデバイスに適用した応用例について
図10(a)、10(b)~
図18(a)、18(b)を用いて説明する。上述のように、発光装置100の画素アレイ110に配された画素101には発光素子114として、例えば、有機EL素子などの有機発光素子が配されているとして説明する。まず、上述の発光装置100のうち画素アレイ110に配される各構成の詳細を示した後に、応用例を説明する。
【0058】
有機発光素子の構成
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第1電極、有機化合物層、第2電極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズなどが設けられていてもよい。カラーフィルタを設ける場合には、保護層とカラーフィルタとの間に平坦化層が設けられていてもよい。平坦化層は、アクリル樹脂などを用いて構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
【0059】
基板
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属などが挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線パターンなどが備わり、その上に絶縁層が備わっていてもよい。絶縁層は、第1電極と基板との間に配線パターンが形成可能なように、コンタクトホールが形成可能で、かつ、接続しない配線パターンとの絶縁が確保できれば、材料は問わない。例えば、絶縁層には、ポリイミドなどの樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどが用いられてもよい。
【0060】
電極
電極として、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極とであってもよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
【0061】
陽極の構成材料として、仕事関数が大きい材料が選択されてもよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステンなどの金属単体やこれらを含む混合物、あるいは、これらを組み合わせた合金、また、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウムなどの金属酸化物が使用できる。また、陽極の構成材料として、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマも使用できる。
【0062】
これらの電極物質は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は1層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0063】
電極を反射電極として用いる場合には、例えば、クロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、またはこれらの合金、これらを積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、電極として透明電極を用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0064】
一方、陰極の構成材料として、仕事関数が小さな材料が選択されてもよい。例えば、リチウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、マンガン、銀、鉛、クロムなどの金属単体やこれらを含む混合物が挙げられる。あるいは、これら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えば、マグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀などが使用できる。酸化錫インジウム(ITO)などの金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用してもよい。また、陰極は、1層構成でもよく、多層構成でもよい。陰極として、銀が用いられてもよく、銀の凝集を低減するため、銀合金としてもよい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1などであってもよい。
【0065】
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流または交流スパッタリング法などを用いると、形成される膜のカバレッジがよく、陰極の抵抗が小さくなりうる。
【0066】
画素分離層
画素分離層は、化学気相堆積(CVD)法を用いて形成された窒化シリコン(SiN)や酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO)などの所謂シリコン酸化物で形成されてもよい。有機化合物層の面内方向の抵抗を上げるために、有機化合物層の膜厚、特に正孔輸送層は、画素分離層の側壁において薄く成膜されてもよい。具体的には、画素分離層の側壁のテーパー角や画素分離層の膜厚を大きくし、蒸着時のケラレを増加させることによって、側壁の有機加工物層の膜厚を薄く成膜することができる。
【0067】
一方で、画素分離層は、その上に形成される保護層に空隙が形成されない程度に、画素分離層の側壁テーパー角や画素分離層の膜厚が調整されうる。保護層に空隙が形成されないことによって、保護層に欠陥が発生することを低減できる。保護層の欠陥の発生が低減されるため、ダークスポットの発生や、第2電極の導通不良の発生などの信頼性低下が低減されうる。
【0068】
本実施形態によれば、画素分離層の側壁のテーパー角が急峻でなくとも、隣接画素への電荷漏れを効果的に抑制することが可能になる。本検討の結果、テーパー角が60度以上かつ90度以下の範囲であれば十分低減できることが分かった。画素分離層の膜厚は10nm以上から150nm以下であってもよい。また、画素分離層を有さない画素電極のみで構成されていても同様の効果が得られる。ただし、この場合の画素電極の膜厚は、有機層の半分以下するか、画素電極端部を60°未満の順テーパーにすることによって、有機発光素子の短絡が低減できる。
【0069】
また、第1電極を陰極、第2電極を陽極とした場合についても電子輸送性材料および電荷輸送層、および、電荷輸送層上に発光層を形成することで高色域と低電圧駆動が可能になる。
【0070】
有機化合物層
有機化合物層は、単層で形成されてもよいし、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などと呼ばれてもよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子や無機化合物を含んでいてもよい。有機化合物層は、例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛などを有してよい。有機化合物層は、第1電極と第2電極との間に配されていてもよく、第1電極および第2電極に接して配されていてもよい。
【0071】
保護層
陰極の上に、保護層が設けられてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水分などの浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態として、陰極上に窒化シリコンなどのパッシベーション層を設け、有機化合物層に対する水分などの浸入を低減してもよい。例えば、陰極を形成後に真空を破らずに別のチャンバに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化シリコンを形成することで、保護層としてもよい。CVD法を用いた保護層の成膜の後に、原子層堆積(ALD)法を用いた保護層が設けられてもよい。ALD法による保護層の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどであってもよい。ALD法で形成した保護層の上に、さらにCVD法で窒化シリコンを形成してよい。ALD法で形成した保護層は、CVD法で形成した保護層よりも小さい膜厚であってもよい。具体的には、ALD法で形成した保護層の膜厚は、CVD法で形成した保護層の膜厚の50%以下、さらには、10%以下であってもよい。
【0072】
カラーフィルタ
保護層の上にカラーフィルタが設けられていてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、カラーフィルタが形成された基板と有機発光素子を設けた基板とが貼り合わされてもよい。また、例えば、上述した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されていてもよい。
【0073】
平坦化層
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層が配されていてもよい。平坦化層は、平坦化層よりも下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよい。凹凸の低減を考慮し、平坦化層に、高分子の有機化合物が用いられてもよい。
【0074】
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよい。その場合に、それぞれの平坦化層の構成材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂などが、平坦化層の材料として挙げられる。
【0075】
マイクロレンズ
有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズなどの光学部材を有していてもよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などで構成されうる。マイクロレンズは、有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてもよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
【0076】
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
【0077】
マイクロレンズは凸部を有する第1面と、第1面と反対の第2面を有する。第2面が第1面よりも機能層(発光層)側に配されうる。このような構成を取るためには、発光装置上にマイクロレンズを形成する必要がある。機能層が有機層の場合には、マイクロレンズの製造工程において高温になるプロセスは避けてもよい。また、第2面が第1面よりも機能層側に配されている構成を取る場合には、有機層を構成する有機化合物のガラス転移温度がすべて100℃以上であってもよく、例えば、130℃以上であることが適している。
【0078】
対向基板
平坦化層の上に、対向基板が配されていてもよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってもよい。対向基板は、前述の基板を第1基板とした場合、第2基板であってよい。
【0079】
有機層
本開示の実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成されてもよい。
【0080】
本開示の実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマなどのドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法など)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
【0081】
ここで真空蒸着法や溶液塗布法などによって層を形成すると、結晶化などが起こり難く、経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダ樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0082】
上記バインダ樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
また、これらバインダ樹脂は、ホモポリマまたは共重合体として1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を併用してもよい。
【0084】
画素回路
発光装置は、発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第1発光素子、第2発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
【0085】
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。
【0086】
画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。
【0087】
画素回路を構成するトランジスタは、第1発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
【0088】
画素
有機発光装置は、複数の画素を有する。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
【0089】
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が発光する。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μmなどであってよい。
【0090】
副画素間の間隔は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
【0091】
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えば、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形などの四角形、六角形などである。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
【0092】
本開示の実施形態に係る有機発光素子の用途
本開示の実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置などの用途がある。
【0093】
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカードなどからの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
【0094】
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0095】
次に、図面を参照しながらさらに説明を行う。
図10(a)は、上述の画素アレイ110の構成要素である画素の一例である。画素は、副画素810(画素101)を有している。副画素はその発光により、810R、810G、810Bに分けられている。発光色は、発光層から発光される波長で区別されても、副画素から出射する光がカラーフィルタなどによって、選択的透過または色変換が行われてもよい。それぞれの副画素は、層間絶縁層801の上に第1電極である反射電極802、反射電極802の端を覆う絶縁層803、第1電極と絶縁層とを覆う有機化合物層804、第2電極である透明電極805、保護層806、カラーフィルタ807を有している。
【0096】
層間絶縁層801は、その下層または内部にトランジスタ、容量素子を配されていてもよい。トランジスタと第1電極とは不図示のコンタクトホールなどを介して電気的に接続されていてもよい。
【0097】
絶縁層803は、バンク、画素分離膜とも呼ばれうる。絶縁層803は、第1電極の端を覆っており、第1電極を囲って配されている。第1電極のうち絶縁層803の配されていない部分が、有機化合物層804と接し、発光領域となる。
【0098】
有機化合物層804は、正孔注入層841、正孔輸送層842、第一発光層843、第二発光層844、電子輸送層845を有する。
【0099】
第2電極は、透明電極であっても、反射電極であっても、半透過電極であってもよい。
【0100】
保護層806は、有機化合物層に水分が浸透することを低減する。保護層は、一層のように図示されているが、複数層であってよい。層ごとに無機化合物層、有機化合物層があってよい。
【0101】
カラーフィルタ807は、その色により807R、807G、807Bに分けられる。カラーフィルタは、不図示の平坦化膜上に形成されてよい。また、カラーフィルタ上に不図示の樹脂保護層が配されていてもよい。また、カラーフィルタは、保護層806上に形成されてよい。また、カラーフィルタは、ガラス基板などの対向基板上に設けられた後に、貼り合わせられてもよい。
【0102】
図10(b)の表示装置800(上述の発光装置100に対応する)は、有機発光素子826とトランジスタの一例としてTFT818とが記載されている。ガラス、シリコンなどの基板811とその上部に絶縁層812とが設けられている。絶縁層の上には、TFT818などの能動素子が配されており、能動素子のゲート電極813、ゲート絶縁膜814、半導体層815が配置されている。TFT818は、他にも半導体層815とドレイン電極816とソース電極817とで構成されている。TFT818の上部には絶縁膜819が設けられている。絶縁膜に設けられたコンタクトホール820を介して有機発光素子826を構成する陽極821とソース電極817とが接続されている。
【0103】
有機発光素子826に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、
図10(b)に示される態様に限られるものではない。つまり、陽極または陰極のうちいずれか一方とTFTソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
【0104】
図10(b)の表示装置800では有機化合物層を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層822は、複数層であってもよい。陰極823の上には有機発光素子の劣化を低減するための第1保護層824や第2保護層825が設けられている。
【0105】
図10(b)の表示装置800ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
【0106】
また、
図10(b)の表示装置800に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物などの非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0107】
図10(b)の表示装置800に含まれるトランジスタは、シリコン基板などの基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、シリコン基板などの基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
【0108】
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTによって発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。ここで、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、シリコン基板などの基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、シリコン基板上に有機発光素子を設けてもよい。
【0109】
図11(a)~11(c)は、本実施形態の発光装置100を用いた画像形成装置の一例を表す模式図である。
図11(a)に示される画像形成装置926は、感光体927、露光光源928、現像部931、帯電部930、転写器932、搬送部933(
図11(a)の構成において、搬送ローラー)、定着器935を含む。
【0110】
露光光源928から光929が照射され、感光体927の表面に静電潜像が形成される。この露光光源928に、発光装置100が適用できる。現像部931は、現像剤としてトナーなどを含み、露光された感光体927に現像剤を付与する現像器として機能しうる。帯電部930は、感光体927を帯電させる。転写器932は、現像された画像を記録媒体934に転写する。搬送部933は、記録媒体934を搬送する。記録媒体934は、例えば、紙やフィルムなどでありうる。定着器935は、記録媒体に形成された画像を定着させる。
【0111】
図11(b)および
図11(c)には、露光光源928に発光部936が長尺状の基板に長手方向に沿って複数配置されている様子を示す模式図である。この発光部936に、発光装置100が適用されうる。つまり、画素アレイ110に配された複数の画素101が、基板の長手方向に沿って配される。方向937は、感光体927の軸に平行な方向である。この列方向は、感光体927が回転する際の軸の方向と同じである。この方向937は、感光体927の長軸方向と呼ぶこともできる。
【0112】
図11(b)は、発光部936を感光体927の長軸方向に沿って配置した形態である。
図11(c)は、
図11(b)に示される発光部936の配置の変形例であり、第1列と第2列とのそれぞれにおいて発光部936が列方向に交互に配置されている形態である。第1列と第2列とでは、行方向に異なる位置に発光部936が配置されている。第1列には、複数の発光部936が間隔をあけて配され、第2列には、第1列の発光部936同士の間隙に対応する位置に発光部936が配される。また、行方向にも、複数の発光部936が間隔をあけて配されている。
図11(c)に示される発光部936の配置は、例えば、格子状に配置されている状態、千鳥格子に配置されている状態、あるいは、市松模様と言い換えることもできる。
【0113】
図12は、本実施形態の発光装置100を用いた表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008を有していてもよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタなどの能動素子が配される。バッテリー1008は、表示装置1000が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、この位置に設ける必要はない。表示パネル1005に、発光装置100が適用できる。表示パネル1005として機能する発光装置100の画素アレイ110に配された画素101は、回路基板1007に配されたトランジスタなどの能動素子と接続され動作する。
【0114】
図12に示される表示装置1000は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光し電気信号に光電変換する撮像素子とを有する光電変換装置(撮像装置とも呼ばれうる。)の表示部に用いられてもよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してもよい。また、表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってもよい。
【0115】
図13は、本実施形態の発光装置100を用いた光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。光電変換装置1100は、撮像装置とも呼ばれうる。表示部であるビューファインダ1101や背面ディスプレイ1102に、本実施形態の発光装置100が適用できる。この場合、発光装置100の画素アレイ110は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示などを表示してもよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性などであってよい。
【0116】
撮像に適するタイミングはわずかな時間である場合が多いため、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、有機EL素子などの有機発光材料を用いた発光素子を含む画素101が画素アレイ110に配される発光装置100が、ビューファインダ1101や背面ディスプレイ1102に用いられてもよい。有機発光材料は応答速度が速いためである。有機発光材料を用いた発光装置100は、表示速度が求められる、これらの装置に、液晶表示装置よりも適している。
【0117】
光電変換装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、光学部を通過した光を受光する筐体1104内に収容されている光電変換素子(不図示)に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0118】
発光装置100は、電子機器の表示部に適用されてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【0119】
図14は、本実施形態の発光装置100を用いた電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1202は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する携帯機器は通信機器ということもできる。表示部1201に、本実施形態の発光装置100が適用できる。
【0120】
図15(a)、15(b)は、本実施形態の発光装置100を用いた表示装置の一例を表す模式図である。
図15(a)は、テレビモニタやPCモニタなどの表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302に、本実施形態の発光装置100が適用できる。表示装置1300は、額縁1301と表示部1302とを支える土台1303を有していてもよい。土台1303は、
図15(a)の形態に限られない。例えば、額縁1301の下辺が土台1303を兼ねていてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0121】
図15(b)は、本実施形態の発光装置100を用いた表示装置の他の一例を表す模式図である。
図15(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第1表示部1311、第2表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第1表示部1311と第2表示部1312とに、本実施形態の発光装置100が適用できる。第1表示部1311と第2表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第1表示部1311と第2表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第1表示部1311と第2表示部1312とは、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第1表示部と第2表示部とで1つの画像を表示してもよい。
【0122】
図16は、本実施形態の発光装置100を用いた照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有していてもよい。光源1402に、本実施形態の発光装置100が適用できる。光学フィルム1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップなど、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。照明装置1400は、光学フィルム1404と光拡散部1405との両方を有していてもよいし、何れか一方のみを有していてもよい。
【0123】
照明装置1400は例えば室内を照明する装置である。照明装置1400は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置1400は、光源1402として機能する発光装置100に接続される電源回路を有していてもよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。また、照明装置1400は、カラーフィルタを有してもよい。また、照明装置1400は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコンなどが挙げられる。
【0124】
図17は、本実施形態の発光装置100を用いた車両用の灯具の一例であるテールランプを有する自動車の模式図である。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作などを行った際に、テールランプ1501を点灯する形態であってもよい。本実施形態の発光装置100は、車両用の灯具としてヘッドランプに用いられてもよい。自動車は移動体の一例であり、移動体は船舶やドローン、航空機、鉄道車両、産業用ロボットなどであってもよい。移動体は、機体とそれに設けられた灯具を有してよい。灯具は機体の現在位置を知らせるものであってもよい。
【0125】
テールランプ1501に、本実施形態の発光装置100が適用できる。テールランプ1501は、テールランプ1501として機能する発光装置100を保護する保護部材を有してよい。保護部材は、ある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネートなどで構成されてもよい。また、保護部材は、ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体などを混ぜてよい。
【0126】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してもよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓であってもよいし、ヘッドアップディスプレイなど透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイに、本実施形態の発光装置100が用いられてもよい。この場合、発光装置100が有する電極などの構成材料は透明な部材で構成される。
【0127】
図18(a)、18(b)を参照して、本実施形態の発光装置100のさらなる適用例について説明する。発光装置100は、例えば、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な発光装置とを有する。
【0128】
図18(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、本実施形態の発光装置100が設けられている。
【0129】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る発光装置100に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と発光装置100の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0130】
図18(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、発光装置100が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、発光装置100からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および発光装置100に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および発光装置100の動作を制御する。制御装置1612は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0131】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0132】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザの視線が検出される。
【0133】
本開示の実施形態に係る発光装置100は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザの視線情報に基づいて表示画像を制御してよい。
【0134】
具体的には、発光装置100は、視線情報に基づいて、ユーザが注視する第1視界領域と、第1視界領域以外の第2視界領域とを決定する。第1視界領域、第2視界領域は、発光装置100の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。発光装置100の表示領域において、第1視界領域の表示解像度を第2視界領域の表示解像度よりも高く制御してもよい。つまり、第2視界領域の解像度を第1視界領域よりも低くしてよい。
【0135】
また、表示領域は、第1表示領域、第1表示領域とは異なる第2表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第1表示領域および第2表示領域から優先度が高い領域が決定される。第1表示領域、第2表示領域は、発光装置100の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0136】
なお、第1視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、発光装置100が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、発光装置100に伝えられる。
【0137】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0138】
本明細書の開示は、以下の発光装置、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、および、移動体を含む。
【0139】
(項目1)
複数の行を構成するように配された複数の画素を備える画素アレイと、
前記複数の行のうち選択された行に配された画素に映像信号を書き込むために、選択された行に書込制御信号を供給する書込制御回路と、
発光を指示する発光制御信号を前記複数の行のうち選択された行に供給するための発光制御回路と、を含む発光装置であって、
前記複数の行は、保持回路およびゲート回路を備える行を含み、
前記保持回路は、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に前記書込制御信号が供給されたことを記憶し、
前記ゲート回路は、前記ゲート回路に前記発光制御信号が供給され、かつ、前記保持回路に前記書込制御信号が供給されたことが記憶されている場合に、前記保持回路および前記ゲート回路を備える行に配された画素に前記発光制御信号を出力することを特徴とする発光装置。
【0140】
(項目2)
各フレームにおいて、前記画素アレイは、前記複数の行のうち発光状態の画素が配された行によって構成される表示領域と、前記複数の行のうち画素が非発光状態の行によって構成される非表示領域と、を含み、
所定のタイミングで、前記表示領域と前記非表示領域との位置が変更されることを特徴とする項目1に記載の発光装置。
【0141】
(項目3)
前記書込制御回路は、前記複数の行のうち前記表示領域を構成する行に前記書込制御信号を供給することを特徴とする項目2に記載の発光装置。
【0142】
(項目4)
前記書込制御回路は、前記複数の行のうち前記非表示領域を構成する行に前記書込制御信号を供給しないことを特徴とする項目2または3に記載の発光装置。
【0143】
(項目5)
各フレームにおいて、前記発光制御回路は、前記複数の行のうち前記表示領域を構成する行に対して、それぞれの行に応じた所定の期間にわたり前記発光制御信号を供給することを特徴とする項目2乃至4の何れか1項目に記載の発光装置。
【0144】
(項目6)
前記複数の行のそれぞれの行に、前記保持回路および前記ゲート回路が配されていることを特徴とする項目2乃至5の何れか1項目に記載の発光装置。
【0145】
(項目7)
前記複数の行は、常に前記表示領域に含まれる第1行と、前記表示領域と前記非表示領域との間で変更される第2行と、を含み、
前記第2行に、前記保持回路および前記ゲート回路が配されていることを特徴とする項目2乃至5の何れか1項目に記載の発光装置。
【0146】
(項目8)
前記第1行に、前記保持回路および前記ゲート回路が配されていないことを特徴とする項目7に記載の発光装置。
【0147】
(項目9)
2フレーム目以降の各フレームにおいて前記書込制御回路が前記書込制御信号の供給を始める前に、1つ前のフレームにおいて前記複数の行のうち前記非表示領域を構成した行の前記保持回路の記憶がリセットされることを特徴とする項目6乃至8の何れか1項目に記載の発光装置。
【0148】
(項目10)
前記複数の行のうち前記表示領域を構成する行において、前記発光制御信号の供給が終了した場合に、前記保持回路の記憶がリセットされることを特徴とする項目6乃至8の何れか1項に記載の発光装置。
【0149】
(項目11)
1フレーム目の開始の前に、前記保持回路の記憶がリセットされることを特徴とする項目1乃至10の何れか1項目に記載の発光装置。
【0150】
(項目12)
項目1乃至11の何れか1項目に記載の発光装置と、前記発光装置に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする表示装置。
【0151】
(項目13)
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示し、かつ、項目1乃至11の何れか1項目に記載の発光装置を有することを特徴とする光電変換装置。
【0152】
(項目14)
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、項目1乃至11の何れか1項目に記載の発光装置を有することを特徴とする電子機器。
【0153】
(項目15)
光源と、光拡散部および光学フィルムの少なくとも一方と、を有する照明装置であって、
前記光源は、項目1乃至11の何れか1項目に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
【0154】
(項目16)
機体と、前記機体に設けられている灯具と、を有する移動体であって、
前記灯具は、項目1乃至11の何れか1項目に記載の発光装置を有することを特徴とする移動体。
【0155】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0156】
100:発光装置、101:画素、110:画素アレイ、202:書込制御回路、204:発光制御回路、251,254:保持回路、252:ゲート回路