(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169185
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ワックスソリューション液の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 13/00 20060101AFI20241128BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20241128BHJP
C08L 23/30 20060101ALI20241128BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20241128BHJP
C08K 5/04 20060101ALI20241128BHJP
C08K 5/41 20060101ALI20241128BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20241128BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B01J13/00 A
C08L91/06
C08L23/30
C08K5/17
C08K5/04
C08K5/41
C08L71/02
C08K5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086440
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000207399
【氏名又は名称】大同化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 修啓
(72)【発明者】
【氏名】池田 洸志
(72)【発明者】
【氏名】藪本 大
(72)【発明者】
【氏名】小田 和宏
【テーマコード(参考)】
4G065
4J002
【Fターム(参考)】
4G065AB01
4G065AB01X
4G065AB02
4G065AB02X
4G065AB10X
4G065AB11X
4G065AB17Y
4G065AB18X
4G065AB22Y
4G065BA03
4G065BA06
4G065BB06
4G065CA01
4G065DA02
4G065DA04
4G065DA08
4G065GA01
4J002BB211
4J002BB251
4J002CH012
4J002EG027
4J002EH018
4J002EN106
4J002EP018
4J002EV187
4J002EV257
4J002FD206
4J002FD312
4J002FD317
4J002FD318
4J002GC00
4J002HA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水ベースのワックスエマルション液よりも更にワックス粒子を小さくしたワックスソリューション液を、圧力容器、ホモミキサー式撹拌機、ホモジナイザー式撹拌機、および冷却用チラー水、などの特殊な製造装置を必要とせずに製造する方法を提供する。
【解決手段】2つの製造タンクと簡易なプロペラ式撹拌機のみを使用して実施でき、原料として、(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤、(C)アニオン系界面活性剤、(D)アルカノールアミン、(E)水、を使用したワックスソリューション液の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水ベースのワックスソリューション液の製造方法であって、2つの製造タンクと簡易なプロペラ式撹拌機のみを使用して実施できるワックスソリューション液の製造方法。
【請求項2】
原料として、(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤、(C)アニオン系界面活性剤、(D)アルカノールアミン、(E)水、を使用する請求項1に記載のワックスソリューション液の製造方法。
【請求項3】
前記ノニオン系界面活性剤が、アルコールエーテル型、ポリオキシアルキレングリコール型、脂肪酸エステル型、アルカノールアミド型、ポリエーテルアミン型、ポリオキシアルキレンアルキルアミン型、からなる群から選択される1種類または2種類以上である、請求項2に記載のワックスソリューション液の製造方法。
【請求項4】
前記アニオン系界面活性剤が、カルボン酸型、スルフォネート型、サルフェート型、からなる群から選択される1種類または2種類以上である、請求項2または3に記載のワックスソリューション液の製造方法。
【請求項5】
製造タンク1に原料の(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤、(C)アニオン系界面活性剤を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機で加熱しながら混合する工程、
製造タンク2に(D)アルカノールアミン、(E)水を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機で加熱しながら混合する工程、
製造タンク1で混合させた原料を製造タンク2へ投入する工程、
を備えるワックスソリューション液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な製造設備のみでワックスエマルション液よりも更にワックス粒子の小さいワックスソリューション液を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水ベースのワックスエマルション液の製造には、圧力容器、ホモミキサー式撹拌機、ホモジナイザー式撹拌機、および冷却用チラー水、などの特殊な製造装置が必要であるため、それら特殊な製造装置を必要としない簡易な製造方法が求められていた。
【0003】
また、既存のワックスエマルション液よりも更に適用範囲を広げるため、ワックスエマルション液よりもワックス粒子を小さくしたワックスソリューション液の製品化が求められていた。
【0004】
特許文献1では、ポリエチレンワックスを主原料として、高圧ホモジナイザーを使用することにより、水系ワックスエマルションを製造する方法が開示されている。
【0005】
また特許文献2では、各種ワックスを原料として、ホモミキサーによる攪拌を行いながらホモジナイザー処理し、冷水で冷却することにより、トナー用ワックスエマルションを製造する方法が開示されている。
【0006】
また特許文献3では、酸化ワックスと塩基性物質を主原料として、まず転相法による粗乳化の後、高速ホモミキサーと高圧ホモジナイザーを使用することにより、ソープフリー型ワックスエマルションを製造する方法が開示されている。
【0007】
また特許文献4では、ワックスを軟化状態にして、アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体およびこれらと共重合可能な不飽和単量体との乳化重合体の鹸化物からなる分散剤を用い、混合高圧吐出型乳化機あるいはホモジナイザーを使用することにより、ワックスエマルションを製造する方法が開示されている。
【0008】
上記の特許文献に開示されている方法は、ワックスエマルションを製造する際に、ホモミキサー式撹拌機、ホモジナイザー式撹拌機、および冷水を得るための特殊な冷却装置が必要であり、またワックスエマルション液よりワックスの粒子径が更に小さなワックスソリューション液の製造には言及していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002-69302
【特許文献2】特開2014-106474
【特許文献3】特開2003-147088
【特許文献4】特開2002-308994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
水ベースのワックスエマルション液は、化粧品基剤、フロアーポリッシュ剤、潤滑離型剤、凝集防止剤、繊維用柔軟仕上げ剤、増粘剤、など多くの工業分野で使用されているが、その製造には圧力容器、ホモミキサー式撹拌機、ホモジナイザー式撹拌機、および冷却用チラー水、などの特殊な製造装置が必要であるため、それら特殊な製造装置を必要としない簡易な製造方法が求められる。
【0011】
また、既存のワックスエマルション液よりも更に適用範囲を広げるため、ワックスエマルション液よりもワックスの粒子を小さくしたワックスソリューション液の製品化が求められる。
【0012】
既存のワックスエマルション液よりも更に適用範囲の広い水ベースのワックスソリューション液を、簡易な製造装置のみを使用して製造するためには、最適な原料の選択と最適な製造条件の構築が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明者らは、最適な原料の選択と最適な製造条件の構築を行い、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、下記に示す簡易な製造設備によるワックスソリューション液の製造方法に関するものである。
【0014】
[1]水ベースのワックスソリューション液の製造方法であって、2つの製造タンクと簡易なプロペラ式撹拌機のみを使用して実施できるワックスソリューション液の製造方法。
【0015】
[2]原料として、(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤、(C)アニオン系界面活性剤、(D)アルカノールアミン、(E)水、を使用する[1]に記載のワックスソリューション液の製造方法。
【0016】
[3]前記ノニオン系界面活性剤が、アルコールエーテル型、ポリオキシアルキレングリコール型、脂肪酸エステル型、アルカノールアミド型、ポリエーテルアミン型、ポリオキシアルキレンアルキルアミン型、からなる群から選択される1種類または2種類以上である、[2]に記載のワックスソリューション液の製造方法。
【0017】
[4]前記アニオン系界面活性剤が、カルボン酸型、スルフォネート型、サルフェート型、からなる群から選択される1種類または2種類以上である、[2]または[3]に記載のワックスソリューション液の製造方法。
【0018】
[5]製造タンク1に原料の(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤、(C)アニオン系界面活性剤を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機で加熱しながら混合する工程、
製造タンク2に原料の(D)アルカノールアミン、(E)水を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機で加熱しながら混合する工程、
製造タンク1で混合させた原料を製造タンク2へ投入する工程、
を備えるワックスソリューション液の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のワックスソリューション液製造方法によって、圧力容器、ホモミキサー式撹拌機、ホモジナイザー式撹拌機、冷却用チラー水、などの特殊な製造装置を用いることなく、簡易な製造設備でワックスソリューション液の製造が可能なため、製造設備コストと設備メンテナンスにかかるコストを低く抑えることができる。
【0020】
また本発明のワックスソリューション液製造方法によって、簡易な製造設備でワックスソリューション液の製造が可能なため、製造作業担当員にとって「危険」「きつい」「汚い」などの負担を軽減することができる。
【0021】
また本発明のワックスソリューション液製造方法では、調達が容易な原料を選択しているため原料調達に関する不安が少なく、製品供給が滞るという不具合を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のワックスソリューション液の製造方法は、2つの製造タンクと簡易なプロペラ式撹拌機のみを使用する。ここで、簡易なプロペラ式撹拌機とは、ホモミキサー式やホモジナイザー式のような特殊な撹拌機ではなく、また特殊な形状の羽を使用することの無いプロペラ式撹拌機を意味する。製造タンク1は原料を加熱溶解させるために使用し、製造タンク2は製造タンク1で加熱溶解した原料を水と混合させるために使用する。そのため製造タンク1から製造タンク2へ原料を送るための配管の設置が必要になる。
【0024】
2つの製造タンクには、原料を均一に溶解させるため、それぞれ簡易なプロペラ式撹拌機を設置する。
【0025】
製造タンク1には、原料を加熱溶解させるための加熱装置を設置し、製造タンク2には、原料を加熱溶解させるための加熱装置と、製品を冷却するために工業用水を使用する冷却管などの簡易な冷却装置を設置する。
【0026】
まず製造タンク1に原料である、(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤、(C)アニオン系界面活性剤、を投入し、130℃~150℃に加熱しながら簡易なプロペラ式撹拌機を用いて攪拌し溶解させる。(製造タンク1での工程)
【0027】
製造タンク1での工程と同時に製造タンク2に原料である、(D)アルカノールアミン、(E)水、を投入し、80℃~90℃に加熱しながら簡易なプロペラ式撹拌機を用いて攪拌し溶解させる。(製造タンク2での工程)
【0028】
製造タンク1および2に投入した原料が均一溶解した後、製造タンク1の原料を製造タンク2に投入する。この時、製造タンク2は攪拌を続けておく。またこの時、製造タンク2の原料が大きく発泡する際は、原料である消泡剤を添加することができる。
【0029】
製造タンク1の原料を製造タンク2に投入し、製造タンク2の液が均一になった後、通常の工業用水を使用した冷却管による冷却を開始する。
【0030】
冷却により液温が50℃以下になった後、原料の(E)水、を添加し、液の容量を調整して製品とする。
【0031】
(A)酸化ポリエチレンワックスとしては、酸化タイプ、酸変性タイプ、と称されるタイプを使用することができる。例えば、ハイワックスシリーズ(三井化学株式会社)、NPS(登録商標)シリーズ(日本精蝋株式会社)、サンワックス(登録商標)シリーズ(三洋化成工業株式会社)、A-Cシリーズ(Honeywell International, Inc.)、などがあげられる。
【0032】
本発明のワックスソリューション液の(A)酸化ポリエチレンワックスの含有量は、ワックスソリューション液の合計質量を100質量%とした場合、好ましくは1~30質量%、より好ましくは10~20質量%である。
【0033】
(A)酸化ポリエチレンワックスの含有量が1質量%未満である場合、ワックスソリューション液としての効果が充分に発揮されない可能性があり、また30質量%を超えると、ソリューション液としての安定性の確保が困難になるおそれがある。
【0034】
(B)ノニオン系界面活性剤としては、アルコールエーテル型、ポリオキシアルキレングリコール型、脂肪酸エステル型、アルカノールアミド型、ポリエーテルアミン型、ポリオキシアルキレンアルキルアミン型、などを使用することができる。
【0035】
例えばアルコールエーテル型の市販品としては、ノイゲン(登録商標)(第一工業製薬株式会社)、ブラウノン(登録商標)(青木油脂工業株式会社)、ポリオキシアルキレングリコール型の市販品としては、エパン(登録商標)(第一工業製薬株式会社)、プロノン(登録商標)(日油株式会社)、ニューポール(登録商標)(三洋化成工業株式会社)、脂肪酸エステル型の市販品としては、ノニオン(日油株式会社)、イオネット(登録商標)(三洋化成工業株式会社)、アルカノールアミド型の市販品としては、スタホーム(登録商標)(日油株式会社)、タケサーフ(登録商標)(竹本油脂株式会社)、ポリオキシアルキレンアルキルアミン型の市販品としては、ブラウノン(登録商標)(青木油脂工業株式会社)、ピュアミール(登録商標)(三洋化成工業株式会社)、などがあげられる。
【0036】
本発明のワックスソリューション液の(B)ノニオン系界面活性剤の含有量は、ワックスソリューション液の合計質量を100質量%とした場合、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
【0037】
(B)ノニオン系界面活性剤の含有量が0.5質量%未満である場合、ポリエチレンワックスをソリューション化する効果が充分に発揮されない可能性があり、また10質量%を超えると、発泡が大きくなるなど二次的な不具合をまねくことが考えられ、ワックスソリューション液の作成が困難になるおそれがある。
【0038】
(C)アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸型、スルフォネート型、サルフェート型、などを使用することができる。
【0039】
例えばカルボン酸型の市販品としてはビューライト(登録商標)(三洋化成工業株式会社)、ノンサール(登録商標)(日油株式会社)、スルフォネート型の市販品としては、タケサーフ(登録商標)(竹本油脂株式会社)、スルホール(登録商標)(株式会社MORESCO)、サルフェート型の市販品としてはサンデット(登録商標)(三洋化成工業株式会社)、などがあげられる。
【0040】
本発明のワックスソリューション液の(C)アニオン系界面活性剤の含有量は、ワックスソリューション液の合計質量を100質量%とした場合、好ましくは1~20質量%、より好ましくは1~10質量%である。
【0041】
(C)アニオン系界面活性剤の含有量が1質量%未満である場合、ポリエチレンワックスをソリューション化する効果が充分に発揮されない可能性があり、また20質量%を超えると、ワックスソリューション液の安定性を確保することが困難になり、原液の分離や原液の濁りが生じるおそれがある。
【0042】
(D)アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N -メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、2-(ブチルアミノ)エタノ ールアミン、2-((1-メチルプロピル)アミノ)エタノール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、などを使用することができる。
【0043】
本発明のワックスソリューション液の(D)アルカノールアミンの含有量は、ワックスソリューション液が設定したpHになる量とする。
【0044】
(E)水としては、工業用水、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水等を使用することができる。
【0045】
本発明のワックスソリューション液の(E)水の含有量は、ワックスソリューション液の合計質量を100質量%とした場合、性能の面と液安定性の面を考慮し、好ましくは50~90質量%、より好ましくは60~80質量%である。
【0046】
本発明のワックスソリューション液には、上記成分に加えて必要に応じ防腐剤、消泡剤などの添加剤を添加しても良い。
【実施例0047】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
また作製された実施例がワックスエマルション液ではなく、ワックスソリューション液であるとする判断は、液に透明性があり、液を通して背後の物や模様が確認できることとし、その時の液の平均粒子径の目安は0.1μm以下と考えられる。
【0049】
本発明のワックスソリューション液についての実施例は、表1に示す各成分を配合し、実験室規模で以下の手順で作製した。
【0050】
容器1に(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤a、(C)アニオン系界面活性剤、を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機を用いて130℃~150℃に加熱しながら撹拌し完全に溶解させる。
【0051】
容器2に(D)アルカノールアミンであるトリエタノールアミン、(E)水、を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機を用いて80℃~90℃に加熱しながら完全に溶解させる。
【0052】
容器1および容器2に投入した原料が所定の温度で均一溶解した後、容器1の原料を容器2に少しずつ投入する。この時、製造タンク2は攪拌を続けておく。
【0053】
容器2の液が均一になったあと、冷却を開始し、液温が50℃以下になった後、原料の(E)水、を添加し、液の容量を調整する。
実施例とは別のノニオン系界面活性剤aを配合した比較例1、界面活性剤の配合量を変えた比較例2、市販のワックスエマルション液MGP 055(丸芳化学製)を比較例3とした。
【0054】
[製造方法]
本発明のワックスソリューション液を製品として製造する際は、
図1に示す設備を使用し、以下の手順で行った。
【0055】
製造タンク1(容量600L)に(A)酸化ポリエチレンワックス、(B)ノニオン系界面活性剤、(C)アニオン系界面活性剤、を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機(株式会社島崎製作所製、1.5KW、360rpm、プロペラ200φmm)を用いて130℃~150℃で撹拌し完全に溶解させる。その際、加熱は製造タンク1に設置した蒸気加熱配管によって行う。
【0056】
製造タンク1での工程と同時に、製造タンク2(容量1,200L)に(D)アルカノールアミンであるトリエタノールアミン、(E)水、を投入し、簡易なプロペラ式撹拌機(株式会社佐竹化学機械工業製、3.7KW、360rpm、プロペラ350φmm)を用いて80℃~90℃で撹拌し完全に溶解させる。その際、加熱は製造タンク2に設置した蒸気加熱配管によって行う。
【0057】
製造タンク1および2に投入した原料が所定の温度で均一溶解した後、製造タンク1の原料を製造タンク2に投入する。この時、製造タンク2は攪拌を続けておく。またこの時、製造タンク2の原料が大きく発泡する際は、原料である消泡剤を添加することができる。
【0058】
製造タンク1の原料を製造タンク2に投入し、製造タンク2の液が均一になった後、通常の工業用水を使用した冷却管による冷却を開始する。その際、加熱は停止する。
【0059】
液温が50℃以下になった後、原料の(E)水、を添加し、液の容量を調整して製品とする。
【0060】
【表1】
液安定性:液の分離が無く、一部成分の浮上や沈降が無い場合は「○」とし、一部成分の浮上や沈降が有る場合は「×」とする。
外観:液を通した背後の模様がはっきり確認できる場合は「透明」とし、確認できるがはっきりとしない場合は「半透明」、確認できない場合は「白濁」とする。
既存のワックスエマルション液は、化粧品基剤、フロアーポリッシュ剤、機械しゅう動面潤滑剤、機械部品表面保護剤、凝集防止剤、繊維用柔軟仕上げ剤、増粘剤、など多くの工業分野で利用されているが、本発明のワックスソリューション液は外観が透明であることから、添加する製品に対しワックスの性能を付与しつつ、外観への影響を低く抑えることができるため、既存のワックスエマルション液の利用範囲よりも更に広い範囲での利用可能性がある。