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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169193
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】建物用庇
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086454
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】高柳 岳
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA00
2E105AA08
2E105BB04
2E105FF02
2E105GG01
(57)【要約】
【課題】コーナー部に配置可能な建物用庇において、部品の変形や破損を防止する。
【解決手段】2つの壁面60が交わるコーナー部61に配置可能な建物用庇10であって、壁面60に固定される壁面フレーム材20と、壁面60に対して斜め方向にコーナー部61から突出するコーナーフレーム材32と、前記壁面フレーム材20および前記コーナーフレーム材32によって端部を支持される庇本体11と、前記壁面フレーム材20の側面20aと前記コーナーフレーム材32の側面32gとを連結する連結部40と、を備えるようにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの壁面が交わるコーナー部に配置可能な建物用庇であって、
壁面に固定される壁面フレーム材と、
壁面に対して斜め方向にコーナー部から突出するコーナーフレーム材と、
前記壁面フレーム材および前記コーナーフレーム材によって端部を支持される庇本体と、
前記壁面フレーム材の側面と前記コーナーフレーム材の側面とを連結する連結部と、
を備える、
建物用庇
【請求項2】
前記庇本体は、壁面に沿って並設される複数の庇板によって構成されている、
請求項1に記載の建物用庇。
【請求項3】
前記連結部は、前記壁面フレーム材の側面に当接して固定される壁面側固定部と、前記コーナーフレーム材の側面に当接して固定されるコーナー側固定部と、が一体で形成されている、
請求項1に記載の建物用庇。
【請求項4】
前記壁面フレーム材の側面には、前記壁面側固定部をスライド可能に収容する収容凹部が形成されている、
請求項3に記載の建物用庇。
【請求項5】
前記コーナーフレーム材は、前記コーナー側固定部を両側から取り付け可能な垂直壁部と、前記コーナー側固定部の下端部を支持可能な底面支持部と、を備える、
請求項3に記載の建物用庇。
【請求項6】
前記壁面フレーム材は、前記壁面に当接する裏面に取付凹部を有し、
前記取付凹部には、前記連結部を前記壁面フレーム材に固定するための座付ボルトの座金を収容可能である、
請求項1に記載の建物用庇。
【請求項7】
壁面に固定されて前記コーナーフレーム材を吊持する吊りアームを備える、
請求項1に記載の建物用庇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの壁面が交わるコーナー部に配置可能な建物用庇に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、出隅コーナ部に沿って固設されるコーナ支持部材に固着された状態で該出隅コーナ部が向かう屋外方向に延びるアーム部材と、庇構成体の端部に位置する庇パネルと前記アーム部材の間に介装されるコーナ庇パネルユニットを備えたコーナ庇構成体が開示されている。コーナ庇パネルユニットは、前記庇パネルと平行に配置されるコーナ庇パネルにより構成され、前記アーム部材に沿う斜辺部を有するほぼ直角三角形に形成されている。コーナ庇パネルユニットの斜辺部が前記アーム部材に固着され、該コーナ庇パネルユニットの先端と前記庇パネルの先端が連結部材により連結される。これにより、コーナ庇パネルの荷重がアーム部材と庇パネルに支持されるようになっている。
【0003】
なお、コーナ庇パネルの荷重を受け止めるアーム部材は、基端から突出する固着部に1対のボルト・ナットを取り付けることで、出隅コーナ部に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-261208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1に記載の構成では、アーム部材の基端部のみが出隅コーナ部に固着されているため、負荷が1点に集中し、部品の変形や破損を引き起こすおそれがあった。特に出隅の庇は強度を必要とするため、特許文献1に記載の構成では強度不足になるおそれがあった。
そこで、本発明は、コーナー部に配置可能な建物用庇において、部品の変形や破損を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明は、2つの壁面が交わるコーナー部に配置可能な建物用庇であって、壁面に固定される壁面フレーム材と、壁面に対して斜め方向にコーナー部から突出するコーナーフレーム材と、前記壁面フレーム材および前記コーナーフレーム材によって端部を支持される庇本体と、前記壁面フレーム材の側面と前記コーナーフレーム材の側面とを連結する連結部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の通りであり、壁面フレーム材の側面とコーナーフレーム材の側面とを連結する連結部を備える。このような構成によれば、互いに斜めに接続される壁面フレーム材とコーナーフレーム材とを連結部で接続し、しかも面で固定できるため、広い範囲で負荷を分散することができる。よって、部品の一部のみに負荷がかかりにくく、部品の変形や破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)出隅用の建物用庇を上から見た斜視図、(b)出隅用の建物用庇を下から見た斜視図である。
図2】出隅用の建物用庇の構成部品を示す図である。
図3】(a)コーナーフレーム材の断面図、(b)壁面フレーム材の断面図である。
図4】出隅用の連結部の斜視図である。
図5】出隅用の連結部で壁面フレーム材とコーナーフレーム材とを連結する様子を示す図である。
図6】(a)座付きボルトの斜視図、(b)壁面フレーム材の背面に座付きボルトを取り付ける様子を示す図、(c)壁面フレーム材の背面に座付きボルトを取り付けた状態の図である。
図7】出隅用の建物用庇に吊りアームを取り付けた状態の斜視図である。
図8】出隅用の建物用庇に吊りアームを取り付けた状態の断面図である。
図9】吊りアーム用のネジプレートをコーナーフレーム材に取り付ける様子を示す図である。
図10】(a)入隅用の建物用庇を上から見た斜視図、(b)入隅用の建物用庇を下から見た斜視図である。
図11】入隅用の建物用庇の構成部品を示す図である。
図12】入隅用の連結部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る建物用庇10は、2つの壁面60が交わるコーナー部61に配置可能なものであり、図1に示すような出隅用の庇と、図10に示すような入隅用の庇とがある。以下、まずは出隅用の庇を例に説明する。
【0010】
建物用庇10は、図2に示すように、庇本体11、壁面フレーム材20、壁面フレームカバー30、壁面フレーム化粧材31、コーナーフレーム材32、コーナーフレームカバー33、コーナーフレーム化粧材34、コーナー小口蓋35、コーナー先端化粧材36、コーナー先端カバー37、連結部40を備えて構成されている。
【0011】
庇本体11は、複数の庇板12を並設して構成された板状の部位である。本実施形態においては、庇本体11の上面および下面が平坦になるように、複数の庇板12が互いに連結されている。この庇本体11は壁面60に沿って出幅が等しくなるように形成されており、コーナー部61においては、2つの壁面60に沿って配置された2枚の庇本体11が互いに直角に接合されている。2枚の庇本体11が互いに接合される側部は、平面視で壁面60に対して45度を成すように斜めに形成されている。このように斜めに形成された2枚の庇本体11の側部は、間にコーナーフレーム材32を挟んで突き合わされる。これにより、2枚の庇本体11が直角に連続するように接合されている。
【0012】
本実施形態に係る庇板12は、アルミニウムの中空形材から構成されている。詳しくは図示しないが、庇板12の両側面には、他の庇板12と係合する係合部が設けられており、この係合部同士が係合することで複数の庇板12が1枚の板状に連結される。
なお、壁面フレーム材20にのみ支持される庇板12は、細長長方形に形成され、全て等長である。これらの庇板12は互いに平行な両端面を有する。
【0013】
一方、コーナーフレーム材32に支持される庇板12は、基端部(壁面側の端部)がコーナーフレーム材32に沿うように斜め(約45度)に切り欠かれている。すなわち、コーナーフレーム材32は壁面60に対して斜めに延びているため、コーナーフレーム材32に支持される庇板12の端面は、コーナーフレーム材32の角度に合せて斜めに切断加工されている。これらの庇板12の長さは、コーナーフレーム材32に支持される位置によって異なる。
【0014】
これら複数の庇板12は、壁面60に沿って並べられ、壁面60側の端部が壁面フレーム材20やコーナーフレーム材32の上に乗った状態で配置される。これにより、庇本体11の端部が壁面フレーム材20およびコーナーフレーム材32によって支持されている。
これらの庇板12は、図3に示すように、取付ボルト13および取付ナット14によって、壁面フレーム材20またはコーナーフレーム材32に固定される。
【0015】
なお、この庇本体11の先端には、先端フレーム17および先端カバー18が取り付けられている。先端フレーム17は、並設された複数の庇板12の先端を繋ぐように取り付けられる長尺の金属製部材である。先端カバー18は、先端フレーム17を覆うように庇板12の先端に取り付けられる化粧材である。
【0016】
壁面フレーム材20は、壁面60に固定されて庇本体11を支持するための金属製部材である。壁面フレーム材20は、本実施形態に係る壁面フレーム材20は、図3(b)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。壁面フレーム材20は、壁面60に沿ってコーナー部61から水平方向に延びるように配置される。
【0017】
この壁面フレーム材20は、図3(b)に示すように、平坦な裏面20bを備える。壁面フレーム材20は、この裏面20bを壁面60に当接させた状態で壁面60に固定される。また、この裏面20bの反対側の面である側面20aからは、第1突起21、第2突起22、支持片23、受片24が突出形成されている。
【0018】
第1突起21および第2突起22は、後述する連結部40の壁面側固定部41の上片41bを位置決めするための突起である。第1突起21は、先端側に行くにしたがって次第に下方に傾斜しており、先端が略J字形に屈折している。第2突起22は、第1突起21の下方において、第1突起21よりも小さく突出している。この第1突起21と第2突起22とは、下端部の高さが互いに等しくなるように設定されている。
【0019】
なお、この第1突起21は、壁面アングル材28(図11参照)の取り付けに使用してもよい。壁面アングル材28は、壁面フレーム材20と協働して庇板12を支持する部材である。具体的には、壁面フレーム材20によって下面を支持された庇板12を、壁面アングル材28によって上方から押さえ込むようにすることで、壁面フレーム材20と壁面アングル材28とで庇板12を上下両側から挟み込んで支持することができる。この壁面アングル材28は、上端を第1突起21の内側に引っ掛けた状態で、下端が庇板12に固定される。なお、この壁面アングル材28は、コーナー部61を避けて取り付けられ、連結部40と干渉しないように(重ならないように)取り付けられる。このように、第1突起21を、壁面アングル材28の取付部として使用するとともに、連結部40の位置決めにも使用することで、部位を共用することができる。
【0020】
支持片23は、後述する連結部40の壁面側固定部41の下端を支持可能な部位である。この支持片23の上面で壁面側固定部41を支持することが可能であるため、第1突起21および第2突起22と、支持片23との間には、連結部40の壁面側固定部41を収容する収容凹部25が形成されている。収容凹部25は、壁面フレーム材20の長手方向全長に渡って形成されており、連結部40の壁面側固定部41を水平方向にスライド可能に保持することができる。よって、連結部40を壁面フレーム材20に固定するときに、連結部40を収容凹部25に沿って移動させながら位置決めすることができる。なお、この支持片23の上面は、先端方向にいくに従って下方に傾斜しており、入り込んだ雨水などを先端側に排出することができる。
【0021】
受片24は、庇板12の下面を支持するための部位であり、庇板12を載置できるように上面が平坦に形成されている。なお、受片24に載置した庇板12の基端は、支持片23の先端に突き当て可能となっている。庇板12の基端を支持片23に突き当てることで、庇板12の長手方向の位置決めを行うことができる。
【0022】
受片24の上に配置された庇板12は、取付ボルト13および取付ナット14を使用して固定される。すなわち、まず庇板12の上面方向から、庇板12および受片24の取付穴(図示せず)に取付ボルト13を挿入する。取付ボルト13は、庇板12と受片24とを貫通し、受片24よりも下方まで突出する。この取付ボルト13の先端に取付ナット14を締結することで、庇板12が受片24に固定される。
【0023】
なお、この壁面フレーム材20の裏面20bには、図6(b)に示すように、取付凹部26が形成されている。この取付凹部26は、図6(a)に示すような座付ボルト42を取り付けるためのくぼみである。本実施形態に係る座付ボルト42は、矩形のプレート状の座金42aから2本のボルト部42bが垂直に突出した態様である。取付凹部26は、座金42aをすっぽりと収容可能な大きさ及び深さで形成されている。また、この取付凹部26には、2本のボルト部42bを反対面側まで突出させる貫通孔が形成されている。座付ボルト42は、この貫通孔にボルト部42bを貫通させ、取付凹部26に座金42aを収容させた状態で、ネジ43などによって壁面フレーム材20の裏面20bに固定される。このように取付凹部26に座付ボルト42を取り付けたときに、図6(c)に示すように、壁面フレーム材20の裏面20bから座金42aが突出しないようになっている。また、図5に示すように、壁面フレーム材20の側面20aから2本のボルト部42bが突出するようになっている。この2本のボルト部42bは、後述する連結部40を壁面フレーム材20に固定するために使用される。
【0024】
壁面フレームカバー30は、壁面フレーム材20の上部を覆うように取り付けられる部材である。例えば、図3(b)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。この壁面フレームカバー30は、上端付近に設けられた上取付部30aと、下端付近に設けられた下取付部30bと、上取付部30aと下取付部30bとをつなぐ傾斜面を形成するカバー面30cと、を備える。上取付部30aは、壁面フレーム材20の上端付近にネジなどの留具で固定される。下取付部30bは、庇板12の上面に当接される。これにより、壁面フレーム材20と庇板12との接合部の上方が、壁面フレームカバー30によって覆われている。
【0025】
壁面フレーム化粧材31は、壁面フレーム材20の下部を覆うように取り付けられる部材である。例えば、図3(b)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。この壁面フレーム化粧材31は、壁面フレーム材20の受片24の下面に固定されており、取付ボルト13の先端や取付ナット14が下方から目視できないように覆っている。
【0026】
コーナーフレーム材32は、壁面60に対して斜め方向にコーナー部61から突出して、庇本体11を支持する金属製部材である。このコーナーフレーム材32は、2枚の庇本体11の間に配置されて、2枚の庇本体11を支持するためのものである。本実施形態に係るコーナーフレーム材32は、図3(a)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。
【0027】
このコーナーフレーム材32は、基端部(壁面60側の端部)がコーナー部61に相対するように配置され、後述する連結部40によって壁面フレーム材20に固定されて支持されている。このコーナーフレーム材32は、図3(a)に示すように、垂直壁部32a、横支持部32d、底面支持部32e、樋溝32fを備える。
【0028】
垂直壁部32aは、垂直方向に延びる壁部であり、その両側の側面32gは平坦面となっている。この側面32gには、後述する連結部40のコーナー側固定部46を両側から取り付け可能である。言い換えると、垂直壁部32aを挟み込むように2つのコーナー側固定部46を取り付け可能である。なお、この垂直壁部32aの頂部32bは、図3(a)に示すように組み付け後もカバーで覆われず外部に露出している。また、この頂部32bの直下には、コーナーフレーム材32の長手方向に延びる中空部32cが形成されている。
【0029】
横支持部32dは、庇板12の下面を支持するための部位であり、垂直壁部32aに対して直交する方向に延びている。この横支持部32dの上面は、庇板12を載置できるように平坦に形成されている。横支持部32dは、垂直壁部32aの両側に設けられている。
【0030】
横支持部32dの上に配置された庇板12は、取付ボルト13および取付ナット14を使用して固定される。すなわち、まず庇板12の上面方向から、庇板12および横支持部32dの取付穴(図示せず)に取付ボルト13を挿入する。取付ボルト13は、庇板12と横支持部32dとを貫通し、横支持部32dよりも下方まで突出する。この取付ボルト13の先端に取付ナット14を締結することで、庇板12が横支持部32dに固定される。
【0031】
底面支持部32eは、後述する連結部40のコーナー側固定部46の下面(下片46c)を支持するための部位であり、垂直壁部32aに対して直交する方向に延びている。この底面支持部32eの上に連結部40を載せることで、連結部40を容易に位置決めすることができる。
【0032】
樋溝32fは、横支持部32dと底面支持部32eとの間に設けられた溝形状である。この樋溝32fは、カバー内に浸入した雨水や庇板12を伝って流れてきた雨水を外部へ排出するためのものであり、コーナーフレーム材32の長手方向全長に渡って設けられている。
【0033】
コーナーフレームカバー33は、コーナーフレーム材32の上部に取り付けられ、コーナーフレーム材32と庇板12との接合部を覆う部材である。例えば、図3(a)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。このコーナーフレームカバー33は、上端付近に設けられた上取付部33aと、下端付近に設けられた下取付部33bと、上取付部33aと下取付部33bとをつなぐ傾斜面を形成するカバー面33cと、を備える。上取付部33aは、コーナーフレーム材32の上端付近にネジなどの留具で固定される。下取付部33bは、庇板12の上面に当接される。これにより、コーナーフレーム材32と庇板12との接合部の上方が、壁面フレームカバー30によって覆われている。
【0034】
コーナーフレーム化粧材34は、コーナーフレーム材32の下部を覆うように取り付けられる部材である。例えば、図3(a)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。このコーナーフレーム化粧材34は、コーナーフレーム材32の下面に固定され、取付ボルト13の先端や取付ナット14が下方から目視できないように覆っている。
【0035】
コーナー小口蓋35は、コーナーフレーム材32の先端に取り付けられる部材である。コーナー小口蓋35をコーナーフレーム材32に取り付けることで、図1(a)に示すように上方から見たときに庇板12と先端カバー18との間に形成される開口部を塞ぐことができる。
【0036】
コーナー先端化粧材36は、コーナーフレーム化粧材34の先端部に取り付けられる部材である。コーナー先端化粧材36をコーナーフレーム化粧材34に取り付けることで、図1(b)に示すように下方から見たときに庇板12と先端カバー18との間に形成される内部空間の開口部を塞ぐことができる。すなわち、庇板12の上面側の先端はコーナー小口蓋35によって覆われ、下面側の先端はコーナー先端化粧材36によって覆われている。
コーナー先端カバー37は、2本の先端カバー18が交差する位置に配置されるカバーであり、2本の先端カバー18を直角に接続する役割を果たしている。
【0037】
連結部40は、壁面フレーム材20の側面20aとコーナーフレーム材32の側面32gとを連結するための部材である。本実施形態に係る連結部40は、図4に示すような平面視「く」の字形の金具であり、壁面フレーム材20の側面20aに当接して固定される壁面側固定部41と、コーナーフレーム材32の側面32gに当接して固定されるコーナー側固定部46と、が一体で形成されている。
【0038】
壁面側固定部41は、図3(b)、図4図5に示すように、断面逆L字形に形成されており、垂直な板状の垂直片41aと、垂直片41aの上端から直角に延びる上片41bとを備える。また、垂直片41aには、座付ボルト42のボルト部42bを貫通させるための長穴41cが形成されている。この壁面側固定部41は、すでに説明したように壁面フレーム材20の収容凹部25にスライド可能に配置される。このため、施工の際には、[0]ボルト部42bを挿入した長穴41cの範囲で連結部40をスライドさせながら取り付け位置を調節することができる。
【0039】
コーナー側固定部46は、図3(a)、図4図5に示すように、断面コ字形に形成されており、垂直な板状の垂直片46aと、垂直片46aの上端から直角に延びる上片46bと、垂直片46aの下端から直角に延びる下片46cと、を備える。また、垂直片46aには、取付穴46dが貫通形成されている。このコーナー側固定部46は、すでに説明したようにコーナーフレーム材32の底面支持部32eの上をスライド可能である。このため、施工の際にスライドさせながら取り付け位置を調節することができる。
【0040】
この連結部40を壁面フレーム材20の側面20aに固定する場合には、長穴41cに2本のボルト部42bが挿入されるように、壁面側固定部41を壁面フレーム材20の側面20aに当接させる。そして、壁面側固定部41をスライドさせて位置を決めたら、ボルト部42bの先端にナット45を締結する。
【0041】
このように座付ボルト42を使用することで、壁面側固定部41を壁面60に直接固定する必要がない。すなわち、コーナー付近の壁面60は割れやすいなどの理由で直接固定が困難であるが、このような場合でも壁面側固定部41を壁面60に沿って固定することができる。また、予め突出した状態のボルト部42bを使用すればよいため、壁面側固定部41の取り付けも容易である。また、座付ボルト42の座金42aが取付凹部26に嵌め込まれているため、ナット45の締結時に座付ボルト42が供回りすることもない。また、壁面側固定部41の長穴41cに2本のボルト部42bが挿入されているため、ナット45の締結時に連結部40の回転やがたつきも生じにくい。なお、本実施形態の座付ボルト42は2本のボルト部42bを備えているが、ボルト部42bは1本や3本以上の複数本でもよい。また、座付ボルト42は取付凹部26に嵌め込んで固定できればよいため、座付ボルト42の固定方法はネジ43に限定されない。例えば、リベットや接着剤で座付ボルト42を取付凹部26に固定してもよい。
【0042】
また、連結部40をコーナーフレーム材32の側面32gに固定する場合には、コーナーフレーム材32の両側面32gにコーナー側固定部46を当接させ、2つのコーナー側固定部46とコーナーフレーム材32(垂直壁部32a)とを同時に貫通するようにボルトなどの留具47を取り付ける。これにより。コーナーフレーム材32の両側に一度に連結部40を固定することができる。
【0043】
なお、コーナー側固定部46は、下片46cを底面支持部32eの上に載置して固定されるので、施工しやすい。また、固定が安定させることができる。また、コーナー側固定部46は断面コ字形であるため、断面I字形や断面L字形にした場合よりも強度を高めることができる。また、コーナー側固定部46の下片46cの先端に庇板12の基端が突き当てられるようにすれば、コーナー側固定部46によって庇板12の長手方向の位置決めを行うことができる。
【0044】
また、壁面側固定部41は、断面逆L字形に形成されており、コーナー側固定部46のような下片46cを備えていない。これは、壁面フレーム材20の支持片23の上面が排水目的でやや斜めに傾いているためである。しかしながら、壁面フレーム材20には収容凹部25が形成されているため、コーナー側固定部46のような下片46cがなくても、壁面側固定部41を容易に位置決めすることができる。
【0045】
また、壁面側固定部41を壁面フレーム材20に固定することで、自動的にコーナー側固定部46の角度が決定する。そして、コーナー側固定部46に沿ってコーナーフレーム材32を取り付けることで、壁面フレーム材20とコーナーフレーム材32とを予め定めた所定の角度で接続することができる。すなわち、連結部40を使用して壁面フレーム材20とコーナーフレーム材32とを連結することで、斜めに突出するコーナーフレーム材32の角度を正確に決めることができる。角度が正確に決まることで、庇板12が収まらないといった問題を防止することができる。
【0046】
なお、上記した実施形態においては説明していないが、コーナーフレーム材32の側面32gに、コーナー側固定部46をスライド可能に収容する収容凹部を形成してもよい。例えば、コーナー側固定部46の上片46bを位置決めするための突起(第2突起22と同様の突起)を設け、この突起と底面支持部32eとの間に略コ字形の収容凹部を形成してもよい。このようにすれば、コーナー側固定部46の位置決めが更に容易となる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る建物用庇10は、壁面フレーム材20の側面20aとコーナーフレーム材32の側面32gとを連結する連結部40を備える。このような構成によれば、互いに斜めに接続される壁面フレーム材20とコーナーフレーム材32とを連結部40で接続し、しかも面で固定できるため、広い範囲で負荷を分散することができる。よって、部品の一部のみに負荷がかかりにくく、部品の変形や破損を防止できる。
なお、上記した実施形態では、連結部40を1部品で形成したが、これに限らず、複数の部品を組み合わせて連結部40を構成してもよい。
【0048】
また、出隅コーナーに大型の建物用庇10を取り付ける場合など、強度が必要な場合には、図7図8に示すように、吊りアーム50で建物用庇10を支持してもよい。具体的には、吊りアーム50を壁面60(コーナー部61)に固定し、この吊りアーム50の先端にコーナーフレーム材32を固定して、コーナーフレーム材32を吊持するようにしてもよい。
【0049】
吊りアーム50をコーナーフレーム材32に取り付ける方法としては、例えば図9に示すようなネジプレート51を使用してもよい。具体的には、コーナーフレーム材32の中空部32cにネジプレート51を挿入し、このネジプレート51を利用して吊りアーム50の先端と接続するようにしてもよい。なお、吊りアーム50は、庇本体11が壁面60から突出する長さによって、吊りアーム50の本数を変更してもよい。すなわち、図9に示すように、吊りアーム50を壁面60(コーナー部61)に対して上下に固定することで強度を増すことができる。
【0050】
また、上記説明では出隅に使用する建物用庇10について説明したが、図10および図11に示すような入隅であっても同様の構成とすることができる。なお、入隅の場合は図12に示すような連結部40を使用すればよい。この入隅の連結部40と出隅の連結部40との違いは、壁面側固定部41とコーナー側固定部46のなす角である。出隅の連結部40においては、壁面側固定部41とコーナー側固定部46とが鈍角をなすが、入隅の連結部40においては、壁面側固定部41とコーナー側固定部46とが鋭角をなすように構成される。
【符号の説明】
【0051】
10 建物用庇
11 庇本体
12 庇板
13 取付ボルト
14 取付ナット
17 先端フレーム
18 先端カバー
20 壁面フレーム材
20a 側面
20b 裏面
21 第1突起
22 第2突起
23 支持片
24 受片
25 収容凹部
26 取付凹部
28 壁面アングル材
30 壁面フレームカバー
30a 上取付部
30b 下取付部
30c カバー面
31 壁面フレーム化粧材
32 コーナーフレーム材
32a 垂直壁部
32b 頂部
32c 中空部
32d 横支持部
32e 底面支持部
32f 樋溝
32g 側面
33 コーナーフレームカバー
33a 上取付部
33b 下取付部
33c カバー面
34 コーナーフレーム化粧材
35 コーナー小口蓋
36 コーナー先端化粧材
37 コーナー先端カバー
40 連結部
41 壁面側固定部
41a 垂直片
41b 上片
41c 長穴
42 座付ボルト
42a 座金
42b ボルト部
43 ネジ
45 ナット
46 コーナー側固定部
46a 垂直片
46b 上片
46c 下片
46d 取付穴
47 留具
50 吊りアーム
51 ネジプレート
54 交差カバー
60 壁面
61 コーナー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12