(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169195
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】庇
(51)【国際特許分類】
E04F 10/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086456
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】高柳 岳
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA08
2E105FF03
2E105FF26
2E105FF32
2E105FF36
2E105GG01
2E105GG13
(57)【要約】
【課題】2枚の庇本体で直角なコーナーを形成する庇において、コーナーフレーム材の下面の意匠性を向上して覆うことができ、かつ、寸法調整も容易な化粧材を提供する。
【解決手段】側部を斜めに突き合わせて直角に接合される2枚の庇本体11と、前記2枚の庇本体11の間に配置されて前記2枚の庇本体11を支持するコーナーフレーム材32と、前記コーナーフレーム材32の下部に取り付けられるコーナーフレーム化粧材34と、前記コーナーフレーム化粧材34の先端部または基端部に取り付けられるコーナー端部化粧材36と、を備え、前記コーナー端部化粧材36は、前記コーナーフレーム化粧材に取り付けられた側とは反対側の端部が略V字形に形成されている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部を斜めに突き合わせて直角に接合される2枚の庇本体と、
前記2枚の庇本体の間に配置されて前記2枚の庇本体を支持するコーナーフレーム材と、
前記コーナーフレーム材の下部に取り付けられるコーナーフレーム化粧材と、
前記コーナーフレーム化粧材の先端部または基端部に取り付けられるコーナー端部化粧材と、
を備え、
前記コーナー端部化粧材は、前記コーナーフレーム化粧材に取り付けられた側とは反対側の端部が略V字形に形成されている、
庇。
【請求項2】
前記コーナー端部化粧材は、前記略V字形の端部に立ち上がり部を備え、
前記立ち上がり部は、前記コーナーフレーム化粧材の小口を塞いでいる、
請求項1に記載の庇。
【請求項3】
前記コーナー端部化粧材は、前記略V字形の端部の先端に水抜き穴を備える、
請求項1に記載の庇。
【請求項4】
前記コーナーフレーム化粧材と前記コーナー端部化粧材とを重ね合わせてビスで固定した、
請求項1に記載の庇。
【請求項5】
前記ビスを取り付けた位置よりも前方および後方には、前記コーナーフレーム化粧材と前記コーナー端部化粧材との間に水密材が配置されている、
請求項4に記載の庇。
【請求項6】
前記庇本体は、庇板と、前記庇板の先端に取り付けられる先端カバーと、を備え、
前記コーナー端部化粧材は、前記庇板と前記先端カバーとの境界の下面を覆っている、
請求項1に記載の庇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2枚の庇本体で直角なコーナーを形成する庇に関し、特に、下面に取り付けられる化粧材に特徴を有する庇に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物の壁面に沿ってコーナー部にまで幅方向に連結した複数の庇板を上記壁面に固定した支持フレーム材に支持させ、上記建物のコーナー部から上記壁面に対して斜めに突設したコーナーフレーム材にコーナー庇板を幅方向に連結して支持させ、壁面に沿う庇板とコーナー庇板とを幅方向に突合せて連結した建物用庇が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにコーナーフレーム材で庇を支持する構造において、コーナーフレーム材の下面を化粧材で覆い、意匠性を向上したい場合がある。例えば、施工性を良くするために下面側からボルトやナットを締結できるようにした場合に、そのままではボルトやナットが露出してしまうため、下面側を化粧材で覆いたい場合がある。
【0005】
ここで、コーナー部の先端はV字形(出隅形状または入隅形状)となっているため、意匠性を向上するためには、コーナーフレーム材の先端下面に取り付ける化粧材の先端形状もV字形とする必要がある。しかしながら、化粧材の先端形状をV字形とすると、施工現場で化粧材の寸法が合わない場合に調整が困難となる問題がある。すなわち、化粧材の寸法がコーナーフレーム材に対して長すぎると、化粧材を切断した上で化粧材の先端をV字形に加工しなければならず、加工が難しいうえに、細かい調整に失敗するおそれがある。反対に化粧材の寸法がコーナーフレーム材に対して短すぎると、コーナーフレーム材の先端下面を十分に覆うことができず、意匠性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、2枚の庇本体で直角なコーナーを形成する庇において、コーナーフレーム材の下面の意匠性を向上して覆うことができ、かつ、寸法調整も容易な化粧材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明は、側部を斜めに突き合わせて直角に接合される2枚の庇本体と、前記2枚の庇本体の間に配置されて前記2枚の庇本体を支持するコーナーフレーム材と、前記コーナーフレーム材の下部に取り付けられるコーナーフレーム化粧材と、前記コーナーフレーム化粧材の先端部または基端部に取り付けられるコーナー端部化粧材と、を備え、前記コーナー端部化粧材は、前記コーナーフレーム化粧材に取り付けられた側とは反対側の端部が略V字形に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記の通りであり、コーナーフレーム材の下部に取り付けられるコーナーフレーム化粧材と、コーナーフレーム化粧材の先端部または基端部に取り付けられるコーナー端部化粧材と、を備え、コーナー端部化粧材は、前記コーナーフレーム化粧材に取り付けられた側とは反対側の端部が略V字形に形成されている。このため、2つの化粧材でコーナーフレーム材の下面を見た目良く覆うことができる。また、コーナーフレーム材の下部に取り付けられる化粧材が分割されているため、容易に化粧材の寸法調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】出隅用の建物用庇を上から見た斜視図である。
【
図2】出隅用の建物用庇の構成部品を示す図である。
【
図3】(a)コーナーフレーム材の断面図、(b)壁面フレーム材の断面図である。
【
図5】出隅用の交差カバーを示す図であって、(a)斜視図、(b)平面図、(c)側面図、(d)X-X線端面図である。
【
図6】変形例に係る出隅用の交差カバーを示す図であって、(a)斜視図、(b)Y-Y線端面図、(c)分解図である。
【
図7】入隅用の建物用庇を上から見た斜視図である。
【
図8】入隅用の建物用庇の構成部品を示す図である。
【
図10】入隅用の交差カバーを示す図であって、(a)斜視図、(b)平面図、(c)側面図、(d)Z-Z線端面図である。
【
図11】出隅用のコーナー端部化粧材を取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図13】出隅用のコーナー端部化粧材の(a)背面図、(b)側面図、(c)底面図、(d)正面図である。
【
図14】出隅用の建物用庇の断面図であって、(a)出幅が小さい庇の図、(b)出幅が大きい庇の図である。
【
図15】出隅用の建物用庇の先端付近の一部拡大断面図であって、(a)~(c)は、飲み込み部を備えたコーナー端部化粧材の使用例を示す図である。
【
図16】出隅用の建物用庇の先端付近の一部拡大断面図であって、(a)~(c)は、飲み込み部を備えないたコーナー端部化粧材の使用例を示す図である。
【
図18】入隅用のコーナー端部化粧材の(a)背面図、(b)側面図、(c)底面図、(d)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係る建物用庇10は、2つの壁面60が交わるコーナー部61に配置可能なものであり、
図1に示すような出隅用の庇と、
図7に示すような入隅用の庇とがある。以下、まずは出隅用の庇を例に説明する。
【0011】
建物用庇10は、
図2に示すように、庇本体11、壁面フレーム材20、壁面フレームカバー30、壁面フレーム化粧材31、コーナーフレーム材32、コーナーフレームカバー33、コーナーフレーム化粧材34、コーナー小口蓋35、コーナー端部化粧材36、コーナー先端カバー37、連結部40、交差カバー50を備えて構成されている。
【0012】
庇本体11は、複数の庇板12を並設して構成された板状の部位である。本実施形態においては、庇本体11の上面および下面が平坦になるように、複数の庇板12が互いに連結されている。この庇本体11は壁面60に沿って出幅が等しくなるように形成されており、コーナー部61においては、2つの壁面60に沿って配置された2枚の庇本体11が互いに直角に接合されている。2枚の庇本体11が互いに接合される側部は、平面視で壁面60に対して45度を成すように斜めに形成されている。このように斜めに形成された2枚の庇本体11の側部は、間にコーナーフレーム材32を挟んで突き合わされる。これにより、2枚の庇本体11が直角に連続するように接合されている。
【0013】
本実施形態に係る庇板12は、アルミニウムの中空形材から構成されている。詳しくは図示しないが、庇板12の両側面には、他の庇板12と係合する係合部が設けられており、この係合部同士が係合することで複数の庇板12が1枚の板状に連結される。
なお、壁面フレーム材20にのみ支持される庇板12は、細長長方形に形成され、全て等長である。これらの庇板12は互いに平行な両端面を有する。
【0014】
一方、コーナーフレーム材32に支持される庇板12は、基端部(壁面60側の端部)がコーナーフレーム材32に沿うように斜め(約45度)に切り欠かれている。すなわち、コーナーフレーム材32は壁面60に対して斜めに延びているため、コーナーフレーム材32に支持される庇板12の端面は、コーナーフレーム材32の角度に合せて斜めに切断加工されている。これらの庇板12の長さは、コーナーフレーム材32に支持される位置によって異なる。
【0015】
これら複数の庇板12は、壁面60に沿って並べられ、壁面60側の端部が壁面フレーム材20やコーナーフレーム材32の上に乗った状態で配置される。これにより、庇本体11の端部が壁面フレーム材20およびコーナーフレーム材32によって支持されている。
これらの庇板12は、
図3に示すように、取付ボルト13および取付ナット14によって、壁面フレーム材20またはコーナーフレーム材32に固定される。
【0016】
なお、この庇本体11の先端には、先端フレーム17および先端カバー18が取り付けられている。先端フレーム17は、並設された複数の庇板12の先端を繋ぐように取り付けられる長尺の金属製部材である。先端カバー18は、先端フレーム17を覆うように庇板12の先端に取り付けられる化粧材である。
【0017】
壁面フレーム材20は、壁面60に固定されて庇本体11を支持するための金属製部材である。本実施形態に係る壁面フレーム材20は、
図3(b)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。壁面フレーム材20は、壁面60に沿ってコーナー部61から水平方向に延びるように配置される。
【0018】
この壁面フレーム材20は、
図3(b)に示すように、平坦な裏面20bを備える。壁面フレーム材20は、この裏面20bを壁面60に当接させた状態で壁面60に固定される。また、この裏面20bの反対側の面である側面20aからは、第1突起21、第2突起22、支持片23、受片24が突出形成されている。
【0019】
第1突起21および第2突起22は、後述する連結部40の壁面側固定部41の上片41bを位置決めするための突起である。第1突起21は、先端側に行くにしたがって次第に下方に傾斜しており、先端が略J字形に屈折している。第2突起22は、第1突起21の下方において、第1突起21よりも小さく突出している。この第1突起21と第2突起22とは、下端部の高さが互いに等しくなるように設定されている。
【0020】
なお、この第1突起21は、壁面アングル材28の取り付けに使用してもよい。壁面アングル材28は、壁面フレーム材20と協働して庇板12を支持する部材である。具体的には、壁面フレーム材20によって下面を支持された庇板12を、壁面アングル材28によって上方から押さえ込むようにすることで、壁面フレーム材20と壁面アングル材28とで庇板12を上下両側から挟み込んで支持することができる。この壁面アングル材28は、上端を第1突起21の内側に引っ掛けた状態で、下端が庇板12に固定される。なお、この壁面アングル材28は、コーナー部61を避けて取り付けられ、連結部40と干渉しないように(重ならないように)取り付けられる。このように、第1突起21を、壁面アングル材28の取付部として使用するとともに、連結部40の位置決めにも使用することで、部位を共用することができる。
【0021】
支持片23は、後述する連結部40の壁面側固定部41の下端を支持可能な部位である。この支持片23の上面で壁面側固定部41を支持することが可能であるため、第1突起21および第2突起22と、支持片23との間には、連結部40の壁面側固定部41を収容する収容凹部25が形成されている。収容凹部25は、壁面フレーム材20の長手方向全長に渡って形成されており、連結部40の壁面側固定部41を水平方向にスライド可能に保持することができる。よって、連結部40を壁面フレーム材20に固定するときに、連結部40を収容凹部25に沿って移動させながら位置決めすることができる。なお、この支持片23の上面は、先端方向にいくに従って下方に傾斜しており、入り込んだ雨水などを先端側に排出することができる。
【0022】
受片24は、庇板12の下面を支持するための部位であり、庇板12を載置できるように上面が平坦に形成されている。なお、受片24に載置した庇板12の基端は、支持片23の先端に突き当て可能となっている。庇板12の基端を支持片23に突き当てることで、庇板12の長手方向の位置決めを行うことができる。
【0023】
受片24の上に配置された庇板12は、取付ボルト13および取付ナット14を使用して固定される。すなわち、まず庇板12の上面方向から、庇板12および受片24の取付穴(図示せず)に取付ボルト13を挿入する。取付ボルト13は、庇板12と受片24とを貫通し、受片24よりも下方まで突出する。この取付ボルト13の先端に取付ナット14を締結することで、庇板12が受片24に固定される。
【0024】
壁面フレームカバー30は、壁面フレーム材20の上部を覆うように取り付けられる部材である。例えば、
図3(b)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。この壁面フレームカバー30は、上端付近に設けられた上取付部30aと、下端付近に設けられた下取付部30bと、上取付部30aと下取付部30bとをつなぐ傾斜面を形成するカバー面30cと、を備える。上取付部30aは、壁面フレーム材20の上端付近にネジなどの留具で固定される。下取付部30bは、庇板12の上面に当接される。これにより、壁面フレーム材20と庇板12との接合部の上方が、壁面フレームカバー30によって覆われている。
【0025】
壁面フレーム化粧材31は、壁面フレーム材20の下部を覆うように取り付けられる部材である。例えば、
図3(b)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。この壁面フレーム化粧材31は、壁面フレーム材20の受片24の下面に固定されており、取付ボルト13の先端や取付ナット14が下方から目視できないように覆っている。
【0026】
コーナーフレーム材32は、壁面60に対して斜め方向にコーナー部61から突出して、庇本体11を支持する金属製部材である。このコーナーフレーム材32は、2枚の庇本体11の間に配置されて、2枚の庇本体11を支持するためのものである。本実施形態に係るコーナーフレーム材32は、
図3(a)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。
【0027】
このコーナーフレーム材32は、基端部(壁面60側の端部)がコーナー部61に相対するように配置され、後述する連結部40によって壁面フレーム材20に固定されて支持されている。このコーナーフレーム材32は、
図3(a)に示すように、垂直壁部32a、横支持部32d、底面支持部32e、樋溝32fを備える。
【0028】
垂直壁部32aは、垂直方向に延びる壁部であり、その両側の側面32gは平坦面となっている。この側面32gには、後述する連結部40のコーナー側固定部46を両側から取り付け可能である。言い換えると、垂直壁部32aを挟み込むように2つのコーナー側固定部46を取り付け可能である。なお、この垂直壁部32aの頂部32bは、
図3(a)に示すように組み付け後もカバーで覆われず外部に露出している。また、この頂部32bの直下には、コーナーフレーム材32の長手方向に延びる中空部32cが形成されている。
【0029】
横支持部32dは、庇板12の下面を支持するための部位であり、垂直壁部32aに対して直交する方向に延びている。この横支持部32dの上面は、庇板12を載置できるように平坦に形成されている。横支持部32dは、垂直壁部32aの両側に設けられている。
【0030】
横支持部32dの上に配置された庇板12は、取付ボルト13および取付ナット14を使用して固定される。すなわち、まず庇板12の上面方向から、庇板12および横支持部32dの取付穴(図示せず)に取付ボルト13を挿入する。取付ボルト13は、庇板12と横支持部32dとを貫通し、横支持部32dよりも下方まで突出する。この取付ボルト13の先端に取付ナット14を締結することで、庇板12が横支持部32dに固定される。
【0031】
底面支持部32eは、後述する連結部40のコーナー側固定部46の下面(下片46c)を支持するための部位であり、垂直壁部32aに対して直交する方向に延びている。この底面支持部32eの上に連結部40を載せることで、連結部40を容易に位置決めすることができる。
【0032】
樋溝32fは、横支持部32dと底面支持部32eとの間に設けられた溝形状である。この樋溝32fは、カバー内に浸入した雨水や庇板12を伝って流れてきた雨水を外部へ排出するためのものであり、コーナーフレーム材32の長手方向全長に渡って設けられている。
【0033】
コーナーフレームカバー33は、コーナーフレーム材32の上部に取り付けられ、コーナーフレーム材32と庇板12との接合部を覆う部材である。例えば、
図3(a)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。このコーナーフレームカバー33は、上端付近に設けられた上取付部33aと、下端付近に設けられた下取付部33bと、上取付部33aと下取付部33bとをつなぐ傾斜面を形成するカバー面33cと、を備える。上取付部33aは、コーナーフレーム材32の上端付近にネジなどの留具で固定される。下取付部33bは、庇板12の上面に当接される。これにより、コーナーフレーム材32と庇板12との接合部の上方が、壁面フレームカバー30によって覆われている。
【0034】
なお、本実施形態においては、コーナーフレームカバー33のカバー面33cの高さは、壁面フレームカバー30のカバー面30cと比較して低く設定されている。これは、コーナーフレーム材32の方が壁面フレーム材20よりも高さが低いため、カバー材の高さも低くなっているためである。
【0035】
コーナーフレーム化粧材34は、コーナーフレーム材32の下部を覆うように取り付けられる部材である。例えば、
図3(a)に示すような断面形状のアルミニウム製の形材である。このコーナーフレーム化粧材34は、コーナーフレーム材32の下面に固定され、取付ボルト13の先端や取付ナット14が下方から目視できないように覆っている。
【0036】
コーナー小口蓋35は、コーナーフレーム材32の先端に取り付けられる部材である。コーナー小口蓋35をコーナーフレーム材32に取り付けることで、
図1に示すように上方から見たときに庇板12と先端カバー18との間に形成される開口部を塞ぐことができる。
【0037】
コーナー端部化粧材36は、コーナーフレーム化粧材34の先端部に取り付けられる部材である。コーナー端部化粧材36をコーナーフレーム化粧材34に取り付けることで、
図12に示すように下方から見たときに庇板12と先端カバー18との間に形成される開口部を塞ぐことができる。すなわち、庇板12の上面側の先端はコーナー小口蓋35によって覆われ、下面側の先端はコーナー端部化粧材36によって覆われている。このコーナー端部化粧材36については、後ほど詳述する。
コーナー先端カバー37は、2本の先端カバー18が交差する位置に配置されるカバーであり、2本の先端カバー18を直角に接続する役割を果たしている。
【0038】
連結部40は、壁面フレーム材20の側面20aとコーナーフレーム材32の側面32gとを連結するための部材である。本実施形態に係る連結部40は、
図2に示すような平面視「く」の字形の金具である。この連結部40は、
図3に示すように、壁面フレーム材20の側面20aに当接して固定される壁面側固定部41と、コーナーフレーム材32の側面32gに当接して固定されるコーナー側固定部46と、を備える。
【0039】
壁面側固定部41は、
図3(b)に示すように、断面逆L字形に形成されており、垂直な板状の垂直片41aと、垂直片41aの上端から直角に延びる上片41bとを備える。この壁面側固定部41は、すでに説明した壁面フレーム材20の収容凹部25に収容されて、ボルトで固定される。
【0040】
コーナー側固定部46は、
図3(a)に示すように、断面コ字形に形成されており、垂直な板状の垂直片46aと、垂直片46aの上端から直角に延びる上片46bと、垂直片46aの下端から直角に延びる下片46cと、を備える。このコーナー側固定部46は、すでに説明したコーナーフレーム材32の底面支持部32eの上に配置されて、ボルトなどの留具47で固定される。
【0041】
交差カバー50は、壁面フレームカバー30とコーナーフレームカバー33とを接続する位置に配置される部材である。この交差カバー50は、
図5に示すような1枚の板状の部材であり、例えばアルミニウム等の金属製の部材である。この交差カバー50は、
図5に示すように、カバー部51を備える。
【0042】
カバー部51は、コーナー部61付近の壁面フレーム材20を覆うための部位である。本実施形態の交差カバー50は、異なる方向に延びる2つの壁面フレームカバー30にそれぞれ連続する2つのカバー部51を備えている。それぞれのカバー部51は、
図5(d)に示すように、壁面フレームカバー30とほぼ同一の断面形状を有している。この2つのカバー部51は、
図5(b)に示すように、平面視で互いに直角に交わっており、交差位置に角部55を形成している。2つのカバー部51は、角部55を通る線を中心線として互いに対称に形成されている。
【0043】
カバー部51は、平坦な傾斜面として形成されたカバー面52を備える。壁面フレームカバー30に連続するようにカバー部51を配置すると、壁面フレームカバー30の表面とカバー面52とが面一となり、統一感のある意匠を実現できる。
【0044】
なお、壁面フレームカバー30の端面に対向するカバー部51の側部からは、目地部54が突出形成されている。この目地部54は、カバー面52に対して段差を有しており、カバー面52よりもやや後方(壁面60側)に奥まった位置に形成されている。この目地部54があることで、
図4に示すように、壁面フレームカバー30に連続するように交差カバー50を配置すると、交差カバー50と壁面フレームカバー30との間に目地部54が配置され、隙間(目地)が形成される。この目地部54で形成した隙間には、コーキング剤またはシーリング材(図示せず)が充填される。
【0045】
また、カバー部51は、上端部に上縁部56を備える。この上縁部56は、
図5(b)に示すように、2つの壁面60およびコーナー部61に沿うように平面視L字形に形成されている。
【0046】
そして、上記した上縁部56からも、目地部57が突出形成されている。この目地部57は、上縁部56に対して段差を有しており、上縁部56よりもやや下方に形成されている。この目地部57があることで、交差カバー50と壁面60との間に目地部57が配置され、隙間(目地)が形成される。この目地部57で形成した隙間には、コーキング剤またはシーリング材(図示せず)が充填される。
【0047】
また、2つのカバー部51が交わる角部55には、
図4に示すようにコーナーフレームカバー33の端部を挿入する開口部53が形成されている。この開口部53は、角部55をまたがるように交差カバー50の下部を切り欠いた形状で形成されており、下方側が開口している。このため、交差カバー50をコーナーフレームカバー33の上から取り付けることができる。例えば、壁面フレームカバー30やコーナーフレームカバー33の取り付けが終わった後に、交差カバー50を上からかぶせるように取り付けることができる。
【0048】
なお、この開口部53は、コーナーフレーム材32と、コーナーフレーム材32に取り付けられた2つのコーナーフレームカバー33とをすっぽりと覆うことができる大きさで形成されている。この開口部53にコーナーフレームカバー33の端部を挿入すると、平面視において、コーナーフレームカバー33の端部は見えなくなる。このため、交差カバー50によってコーナーフレームカバー33の端部が露出しないように覆われるので、意匠性が良い。そして、上記した開口部53にも、段差部53aが形成されている。段差部53aは、開口部53の開口縁に沿って設けられ、カバー面52よりもやや後方(壁面60側)に奥まった位置に形成されている。この段差部53aは、開口部53に挿入されたコーナーフレームカバー33の上面に当接される。この段差部53aには、コーキング剤またはシーリング剤(図示せず)が充填される。これにより、水密性が増す。
【0049】
なお、上記した説明においては、交差カバー50が2つのカバー部51を備えた1つの部材であるとして説明したが、
図6に示すように、2つのカバー片58を組み合わせて交差カバー50を構成してもよい。すなわち、2つのカバー片58がそれぞれ1つのカバー部51を形成しており、この2つのカバー片58の端部を接合することで交差カバー50を構成してもよい。なお、2つのカバー片58を接合する方法としては、例えば
図6(b)に示すように、互いに重なり合う接合部58aを設け、接合部58aを介して2つのカバー片58を直角に接合するようにしてもよい。
【0050】
また、上記においては、出隅用の庇を例に挙げたが、
図7および
図8に示すような入隅用の庇の場合でも、出隅の場合と同様に交差カバー50を設けることができる。
【0051】
入隅用の交差カバー50は、例えば
図9および
図10に示すような形状とすることができる。この交差カバー50も、壁面フレームカバー30とコーナーフレームカバー33とを接続する位置に配置される部材である。入隅用の交差カバー50と出隅用の交差カバー50との違いは、2つのカバー部51で入隅を形成しているか、出隅を形成しているかの違いである。その他の入隅用の交差カバー50の基本的態様は、出隅用の交差カバー50と同様である。
【0052】
ところで、上記したように、本実施形態に係るコーナーフレーム材32の下面は、コーナーフレーム化粧材34と、コーナー端部化粧材36と、で覆われている。このように少なくとも2部材に分割された化粧材を使用することで、ぴったりの寸法でコーナーフレーム材32の下面を覆うことができる。以下、この点について詳しく説明する。
【0053】
まず、コーナーフレーム化粧材34は、
図3(a)に示すように、コーナーフレーム材32の下面に係合して取り付けられる。コーナーフレーム化粧材34は、上向きに開口した略コ字形の断面形状であり、全長に渡って同一断面形状で形成されている。コーナーフレーム化粧材34は、コーナーフレーム材32とほぼ等しい長さである。このコーナーフレーム化粧材34の長手方向の先端面は、まっすぐに切断されており、コーナーフレーム化粧材34の長手方向に対して直角となっている。一方、コーナーフレーム化粧材34の長手方向の基端面(先端面とは反対側の端面)は、
図12に示すようにコーナー部61に沿うように中央がV字形に内側に入り込んだV字形に形成されている。
【0054】
このコーナーフレーム化粧材34は、
図3(a)に示すように、略水平に配置される下板部34aと、下板部34aの両端から上方に延びる一対の側板部34bと、下板部34aの上面から上方に突出する一対の係止片34cと、を備える。一対の係止片34cの先端付近には、コーナーフレーム材32に係合する係止爪34dが形成されている。この係止爪34dがスナップフィットでコーナーフレーム材32に係合することで、コーナーフレーム化粧材34をコーナーフレーム材32に取り付けることができる。コーナーフレーム化粧材34をコーナーフレーム材32に取り付けると、下板部34aの上面がコーナーフレーム材32の下面に当接し、一対の側板部34bの上端が庇本体11に当接する。これにより、コーナーフレーム材32の下面側が完全に覆われる。
【0055】
このコーナーフレーム化粧材34の基端(壁面60側の端)は、コーナー部61の形状に合わせてV字形に形成されている。このコーナー部61の基端の小口には、底面視M字形の小口蓋が取り付けられている。
【0056】
ただし、コーナーフレーム化粧材34の先端はまっすぐに切断されているため、
図11に示すように、建物用庇10のコーナー先端形状(V字形)に完全にフィットしない。このため、コーナーフレーム化粧材34の先端に三角状の隙間が生じる。この隙間は、
図12に示すように、コーナー端部化粧材36を取り付けることによって塞がれる。
【0057】
コーナー端部化粧材36は、
図13に示すように、先端(コーナーフレーム化粧材34に取り付けられる側とは反対側の端部)が略V字形に突出して形成された部材である。このコーナー端部化粧材36は、コーナーフレーム化粧材34の下板部34aに重ねて配置される下板部36aと、コーナーフレーム化粧材34の側板部34bに重ねて配置される側板部36bと、を備える。
【0058】
下板部36aは、平面視ホームベース形に形成された板状の部位である。この下板部36aは、コーナーフレーム化粧材34の下板部34aの下面に重ねられるように、コーナーフレーム化粧材34の下板部34aとほぼ同じ幅で形成されている。この下板部36aの先端は、先窄まりのV字先端部36cを形成している。また、側板部36bは、互いに平行な1対の板状の部位であり、下板部36aの両端から垂直に立ち上がっている。この下板部36aおよび側板部36bによって、
図13に示すように、コーナー端部化粧材36の内側は、コ字形の断面形状となっている。このコ字形の断面形状は、コーナーフレーム化粧材34の表面のコ字形に沿うように形成されている。これによりコーナー端部化粧材36は、コーナーフレーム化粧材34の下からかぶせるように取り付け可能であり、コーナーフレーム化粧材34の長手方向に沿って所定の範囲(側板部36bの長さを最大とした範囲)でスライドさせることができる。なお、下板部36aには、コーナー端部化粧材36をコーナーフレーム化粧材34に取り付けるためのビス穴36iが貫通形成されている。
【0059】
下板部36aのV字先端部36cには、V字形の先端縁に沿って立ち上がり部36dが設けられている。この立ち上がり部36dは、下板部36aの前端縁から垂直に立ち上がっている。この立ち上がり部36dは、V字先端部36cの2つの辺に対応して2つ設けられており、2つの立ち上がり部36dが先端において直角に接合されている。なお、本実施形態に係るコーナー端部化粧材36は、板材を曲げ加工することで下板部36aおよび側板部36bを形成した後、2つの立ち上がり部36dを溶接して形成されている。具体的には、立ち上がり部36dの下部が下板部36aの先端縁に溶接され、立ち上がり部36dの側部が側板部36bの前端縁に溶接され、更に、2つの立ち上がり部36dを突き当てたところが溶接されている。このため、2つの側板部36bと2つの立ち上がり部36dとによって連続する壁が形成されている。この立ち上がり部36dを設けることで、コーナーフレーム化粧材34の小口を塞ぐことができる。なお、本実施形態は溶接によって2つの側板部36bと2つの立ち上がり部36dとの間を溶接によって連続する壁を形成したが、連続する壁が形成できればよいので、これに限らない。例えば、曲げ加工で壁を形成したり、接着剤や摩擦攪拌接合などで壁を取り付けたりしてもよい。
【0060】
このコーナー端部化粧材36は、
図12に示すように、下板部36aに設けられたビス穴36iに挿入したビス36jによってコーナーフレーム化粧材34に取り付けられる。このとき、コーナーフレーム化粧材34にはビス36j用の穴は開けられていないので、任意の位置にビス36jを打ち込むことができる。よって、コーナーフレーム化粧材34の長手方向に沿ってコーナー端部化粧材36をスライドさせながら最適な位置を探り、その位置で両者を固定することができる。このとき、このコーナー端部化粧材36は、基端(V字先端部36cとは反対側の端部)がコーナーフレーム化粧材34の先端部と重なるように取り付けられる。
【0061】
このようにコーナー端部化粧材36をコーナーフレーム化粧材34に取り付けると、
図12に示すように、コーナーフレーム化粧材34の先端に形成された三角状の隙間をV字先端部36cが塞ぎ、すっきりとした意匠を実現できる。
【0062】
このコーナー端部化粧材36は、異なる大きさの建物用庇10で共用することも可能である。すなわち、
図14に示すように、庇の長さが異なる場合でも、コーナーフレーム化粧材34の長さを変えるだけで対応可能である。また、コーナーフレーム化粧材34の先端はまっすぐに切断すればよいので、施工現場でコーナーフレーム化粧材34の長さを調節することも容易である。
【0063】
ところで、本実施形態に係るコーナー端部化粧材36は、下板部36aの周囲を側板部36bと立ち上がり部36dとで囲んでいるため、内部で雨水を受けられるようになっている。そして、コーナー端部化粧材36の略V字形の端部の先端には、水抜き穴36hが形成されている。水抜き穴36hは、下板部36aの先端を切り欠いて形成されている。この水抜き穴36hを設けることで、内部に溜まった雨水を排水することができる。
【0064】
なお、下板部36aにはビス穴36iが設けられているため、水抜き穴36hではなくビス穴36iから水漏れが起きる可能性がある。このため、水漏れ対策として水密材36kを配置している。具体的には、
図13に示すように、下板部36aおよび側板部36bの内側にテープ状の水密材36kを貼り付けている。この水密材36kは、ビス穴36iよりも前方の位置と後方の位置との二カ所に配置されており、コーナーフレーム化粧材34とコーナー端部化粧材36との間に挟み込まれるようになっている。これによりビス穴36iの周囲に水が流れることを防止し、ビス穴36iからの水漏れを防止している。本実施形態においては両面テープで取り付けられる水密材36kを使用しているため、予めコーナー端部化粧材36の内面に水密材36kを配置することができ、作業性が良い。しかしながら、水密材36kはこのようなテープ状のものに限らず、シーリングやコーキングなどを使用してもよい。
【0065】
また、本実施形態に係るコーナー端部化粧材36は、
図13(b)に示すように、側板部36bの先端に直角な切欠き36fが形成されており、これにより垂直な段差36gが形成されている。そして、立ち上がり部36dは、段差36gよりも先端側の側板部36bと同じ高さに設定されている。すなわち、切り欠き36gの前後で側板部36bの高さが異なっており、そのうちの低い方の側板部36bと同じ高さで立ち上がり部36dが形成されている。これにより、コーナー端部化粧材36の先端に、壁が一段低く設定された飲み込み部36eが設けられている。
飲み込み部36eは、
図15に示すように、先端カバー18の後端を飲み込むように先端方向に突出する部位である。
【0066】
図15(a)に示す例では、雨樋18aを備えた先端カバー18が庇板12の先端に取り付けられている。この先端カバー18は、後端方向に突出する突出片18bを備えている。突出片18bの先端は、斜め後方に延びる斜部18cを形成しており、斜部18cの先端が庇板12の下面に相対するように配置されている。このような場合において、飲み込み部36eは、上下方向に見て斜部18cにオーバーラップする位置に配置される。これにより、コーナー端部化粧材36は、庇板12と先端カバー18との境界E(すなわち先端カバー18の後端位置)の下面を覆うようになっている。よって、庇板12と先端カバー18との境界Eから滴った水滴をコーナー端部化粧材36で受けることができる。
【0067】
また、
図15(b)および(c)に示す例では、先端カバー18の突出片18bの先端は、垂直上方に延びる垂直部18dを形成しており、垂直部18dの先端が庇板12の下面に相対するように配置されている。このような場合において、飲み込み部36eは、上下方向に見て垂直部18dにオーバーラップする位置に配置される。これにより、コーナー端部化粧材36は、庇板12と先端カバー18との境界E(すなわち先端カバー18の後端位置)の下面を覆うようになっている。よって、庇板12と先端カバー18との境界Eから滴った水滴をコーナー端部化粧材36で受けることができる。
【0068】
なお、この飲み込み部36eは必ずしも設けなくてもよい。すなわち、
図16に示すように飲み込み部36eを設けずにコーナー端部化粧材36を形成してもよい。この場合、コーナー端部化粧材36の先端が、先端カバー18の後端に突き当てられるようにしてもよい。
【0069】
なお、上記した実施形態では、出隅の建物用庇10について説明したが、入隅の建物用庇10の場合は、
図17および
図18に示すようなコーナー端部化粧材36を使用すればよい。
【0070】
入隅用のコーナー端部化粧材36は、
図18に示すように、先端コーナーフレーム化粧材34に取り付けられる側とは反対側の端部が略V字形に窪んで形成された部材である。このコーナー端部化粧材36は、コーナーフレーム化粧材34の下板部34aに重ねて配置される下板部36aと、コーナーフレーム化粧材34の側板部34bに重ねて配置される側板部36bと、を備える。
【0071】
下板部36aは、平面視略矢羽根形(長方形の一辺を変形させた凹五角形)に形成された板状の部位である。この下板部36aは、コーナーフレーム化粧材34の下板部34aの下面に重ねられるように、コーナーフレーム化粧材34の下板部34aとほぼ同じ幅で形成されている。この下板部36aの先端は、中央がV字形に内側に入り込んだV字先端部36cを形成している。また、側板部36bは、互いに平行な1対の板状の部位であり、下板部36aの両端から垂直に立ち上がっている。この下板部36aおよび側板部36bによって、
図18に示すように、コーナー端部化粧材36の内側は、コ字形の断面形状となっている。このコ字形の断面形状は、コーナーフレーム化粧材34の表面のコ字形に沿うように形成されている。これによりコーナー端部化粧材36は、コーナーフレーム化粧材34の下からかぶせるように取り付け可能であり、コーナーフレーム化粧材34の長手方向に沿って所定の範囲(側板部36bの長さを最大とした範囲)でスライドさせることができる。なお、下板部36aには、コーナー端部化粧材36をコーナーフレーム化粧材34に取り付けるためのビス穴36iが貫通形成されている。
【0072】
下板部36aのV字先端部36cには、V字形の先端縁に沿って立ち上がり部36dが設けられている。この立ち上がり部36dは、下板部36aの前端縁から垂直に立ち上がっている。この立ち上がり部36dは、V字先端部36cの2つの辺に対応して2つ設けられており、2つの立ち上がり部36dが先端において直角に接合されている。なお、本実施形態に係るコーナー端部化粧材36は、板材を曲げ加工することで下板部36aおよび側板部36bを形成した後、2つの立ち上がり部36dを溶接して形成されている。具体的には、立ち上がり部36dの下部が下板部36aの先端縁に溶接され、立ち上がり部36dの側部が側板部36bの前端縁に溶接され、更に、2つの立ち上がり部36dを突き当てたところが溶接されている。このため、2つの側板部36bと2つの立ち上がり部36dとによって連続する壁が形成されている。この立ち上がり部36dを設けることで、コーナーフレーム化粧材34の小口を塞ぐことができる。なお、本実施形態は溶接によって2つの側板部36bと2つの立ち上がり部36dとの間を溶接によって連続する壁を形成したが、連続する壁が形成できればよいので、これに限らない。例えば、曲げ加工で壁を形成したり、接着剤や摩擦攪拌接合などで壁を取り付けたりしてもよい。
【0073】
このコーナー端部化粧材36は、
図17に示すように、下板部36aに設けられたビス穴36iに挿入したビス36jによってコーナーフレーム化粧材34に取り付けられる。このとき、コーナーフレーム化粧材34にはビス36j用の穴は開けられていないので、任意の位置にビス36jを打ち込むことができる。よって、コーナーフレーム化粧材34の長手方向に沿ってコーナー端部化粧材36をスライドさせながら最適な位置を探り、その位置で両者を固定することができる。このとき、このコーナー端部化粧材36は、基端(V字先端部36cとは反対側の端部)がコーナーフレーム化粧材34の先端部と重なるように取り付けられる。
【0074】
このようにコーナー端部化粧材36をコーナーフレーム化粧材34に取り付けると、
図17に示すように、コーナーフレーム化粧材34の先端に形成された凹五角形状の隙間をV字先端部36cが塞ぎ、すっきりとした意匠を実現できる。
【0075】
ところで、本実施形態に係るコーナー端部化粧材36は、下板部36aの周囲を側板部36bと立ち上がり部36dとで囲んでいるため、内部で雨水を受けられるようになっている。そして、コーナー端部化粧材36の略V字形の端部の先端には、水抜き穴36hが形成されている。水抜き穴36hは、下板部36aの先端(V字形の両側の端部)を切り欠いて形成されている。この水抜き穴36hを設けることで、内部に溜まった雨水を排水することができる。
【0076】
なお、下板部36aにはビス穴36iが設けられているため、水抜き穴36hではなくビス穴36iから水漏れが起きる可能性がある。このため、水漏れ対策として水密材36kを配置している。具体的には、
図18に示すように、下板部36aおよび側板部36bの内側にテープ状の水密材36kを貼り付けている。この水密材36kは、ビス穴36iよりも前方の位置と後方の位置との二カ所に配置されており、コーナーフレーム化粧材34とコーナー端部化粧材36との間に挟み込まれるようになっている。これによりビス穴36iの周囲に水が流れることを防止し、ビス穴36iからの水漏れを防止している。本実施形態においては両面テープで取り付けられる水密材36kを使用しているため、予めコーナー端部化粧材36の内面に水密材36kを配置することができ、作業性が良い。しかしながら、水密材36kはこのようなテープ状のものに限らず、シーリングやコーキングなどを使用してもよい。
【0077】
なお、上記した例では、コーナーフレーム化粧材34の先端部にコーナー端部化粧材36を取り付けたが、これに代えてコーナーフレーム化粧材34の基端部(先端部とは反対側の端部)にコーナー端部化粧材36を取り付けてもよい。この場合、コーナーフレーム化粧材34の基端部をまっすぐに切断し、このまっすぐな基端部に、コーナー形状に合ったコーナー端部化粧材36を取り付ければよい。具体的には、
図11に示すように出隅の庇には、
図18に示すような平面視凹五角形のコーナー端部化粧材36を取り付けることができる。また、
図17に示すように入隅の庇には、
図13に示すような平面視ホームベース形のコーナー端部化粧材36を取り付けることができる。なお、コーナーフレーム化粧材34は長手方向の一方の端面が、まっすぐに切断され、他方の端面が、中央がV字形に内側に入り込んだV字形または先窄まりのV字形に形成されている。このコーナーフレーム化粧材34を出隅の先端部または入隅の基端部にコーナー端部化粧材36を取り付けるときは、同じコーナーフレーム化粧材34が使用できる。また、コーナーフレーム化粧材34を出隅の基端部または入隅の先端部にコーナー端部化粧材36を取り付けるときは、同じコーナーフレーム化粧材34が使用できる。このように、共用の部材を使用することができる。
【0078】
また、コーナーフレーム化粧材34の両端部にコーナー端部化粧材36を取り付けることも可能である。この場合、コーナーフレーム化粧材34の両端部をまっすぐに切断し、このまっすぐな両端部にそれぞれコーナー端部化粧材36を取り付ければよい。具体的には、
図11に示すように出隅の庇には、先端部に
図13に示すような平面視ホームベース形のコーナー端部化粧材36を取り付け、基端部に
図18に示すような平面視凹五角形のコーナー端部化粧材36を取り付けることができる。また、
図17に示すように入隅の庇には、先端部に
図18に示すような平面視凹五角形のコーナー端部化粧材36を取り付け、基端部に
図13に示すような平面視ホームベース形のコーナー端部化粧材36を取り付けることができる。 なお、コーナーフレーム化粧材34の基端部にコーナー端部化粧材36を取り付けた場合において、コーナー端部化粧材36に飲み込み部36eを設けてもよい。そして、庇板12と壁面フレーム化粧材31との境界の下面を飲み込み部36eで覆うようにしてもよい。このようにすれば、庇板12と壁面フレーム化粧材31との境界から滴った水滴をコーナー端部化粧材36で受けることができるので、隙間から水滴が滴ることを防止でき、排水時の見た目を良くすることができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、コーナーフレーム材32の下部に取り付けられるコーナーフレーム化粧材34と、コーナーフレーム化粧材34の先端部または基端部に取り付けられるコーナー端部化粧材36と、を備え、コーナー端部化粧材36は、コーナーフレーム化粧材34に取り付けられた側とは反対側の端部が略V字形に形成されている。このため、2つの化粧材でコーナーフレーム材32の下面の意匠性を向上して覆うことができる。また、コーナーフレーム材32の下部に取り付けられる化粧材が分割されているため、容易に化粧材の寸法調整を行うことができる。具体的には、コーナーフレーム化粧材34の端部を切断したり、コーナー端部化粧材36の取り付け位置を微調整したりすることで、先端を略V字形に加工するなどの複雑な作業をせずに、施工現場で寸法の調整を行うことができる。
【0080】
また、コーナー端部化粧材36は、略V字形の端部に立ち上がり部36dを備え、立ち上がり部36dは、コーナーフレーム化粧材34の小口を塞いでいる。このような構成によれば、コーナー端部化粧材36が小口カバーの機能を果たすので、意匠性を高めることができる。
【0081】
また、コーナー端部化粧材36は、略V字形の端部に水抜き穴36hを備える。このため、決まった位置から排水ができるので、排水時の排水経路を一律にすることができる。
【0082】
また、コーナーフレーム化粧材34とコーナー端部化粧材36とを重ね合わせてビス36jで固定しているので、ビス36jの取り付け位置を変えるだけで化粧材の長さを容易に微調整することができる。
【0083】
また、ビス36jを取り付けた位置よりも前方および後方には、コーナーフレーム化粧材34とコーナー端部化粧材36との間に水密材36kが配置されている。これにより、ビス穴36iからの水漏れを防止できる。
【0084】
なお、
図15に示すように、コーナー端部化粧材36で庇板12と先端カバー18との境界の下面を覆うようにすれば、隙間から水が漏れだすのを防止できるので、排水時の排水経路を一律にすることができる。
【符号の説明】
【0085】
10 建物用庇
11 庇本体
12 庇板
13 取付ボルト
14 取付ナット
17 先端フレーム
18 先端カバー
18a 雨樋
18b 突出片
18c 斜部
18d 垂直部
20 壁面フレーム材
20a 側面
20b 裏面
21 第1突起
22 第2突起
23 支持片
24 受片
25 収容凹部
28 壁面アングル材
30 壁面フレームカバー
30a 上取付部
30b 下取付部
30c カバー面
31 壁面フレーム化粧材
32 コーナーフレーム材
32a 垂直壁部
32b 頂部
32c 中空部
32d 横支持部
32e 底面支持部
32f 樋溝
32g 側面
33 コーナーフレームカバー
33a 上取付部
33b 下取付部
33c カバー面
34 コーナーフレーム化粧材
34a 下板部
34b 側板部
34c 係止片
34d 係止爪
35 コーナー小口蓋
36 コーナー端部化粧材
36a 下板部
36b 側板部
36c V字先端部
36d 立ち上がり部
36e 飲み込み部
36f 切欠き
36g 段差
36h 水抜き穴
36i ビス穴
36j ビス
36k 水密材
37 コーナー先端カバー
40 連結部
41 壁面側固定部
41a 垂直片
41b 上片
46 コーナー側固定部
46a 垂直片
46b 上片
46c 下片
47 留具
50 交差カバー
51 カバー部
52 カバー面
53 開口部
53a 段差部
54 目地部
55 角部
56 上縁部
57 目地部
58 カバー片
58a 接合部
60 壁面
61 コーナー部
E 境界