(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169202
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/165 101
B41J2/165 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086467
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏目 正尊
(72)【発明者】
【氏名】山本 なつ美
(72)【発明者】
【氏名】関 賢司
(72)【発明者】
【氏名】安形 和晃
(72)【発明者】
【氏名】新井 章文
(72)【発明者】
【氏名】角▲崎▼ 正太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 里美
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB38
2C056EB45
2C056EC24
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA13
2C056JA17
2C056JC20
2C056JC21
(57)【要約】
【課題】次の密着吸引処理の時間を短縮させつつ、キャップ内で固化して堆積してしまう液体量を軽減すること。
【解決手段】液体吐出装置は、ヘッドと、キャップと、吸引ポンプと、キャップ内に位置し、吸引ポンプの駆動により吸引力が生じる第1吸引口と、キャップ内に位置し、吸引ポンプの駆動により吸引力が生じる第2吸引口と、コントローラーと、を備え、キャップの底面に直交する方向において、第1吸引口の方が、第2吸引口に比べて、キャップの底面からの距離が長く、コントローラーは、第1吸引口からキャップ内の液体をキャップ外へ吸引する第1吸引処理と、第2吸引口からキャップ内の液体をキャップ外へ吸引する第2吸引処理と、を実行可能であること。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドのノズル面に当接可能なキャップと、
吸引ポンプと、
前記キャップ内に位置し、前記吸引ポンプの駆動により吸引力が生じる第1吸引口と、
前記キャップ内に位置し、前記吸引ポンプの駆動により吸引力が生じる第2吸引口と、
コントローラーと、を備え、
前記キャップの底面に直交する方向において、前記第1吸引口の方が、前記第2吸引口に比べて、前記底面からの距離が長く、
前記コントローラーは、
前記第1吸引口から前記キャップ内の液体を前記キャップ外へ吸引する第1吸引処理と、
前記第2吸引口から前記キャップ内の液体を前記キャップ外へ吸引する第2吸引処理と、を実行可能であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第2吸引口は、前記キャップの底面に位置していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記キャップ内には、液体を吸収可能な吸収材が設けられており、
前記第2吸引口は、前記吸収材よりも前記キャップの底面側に位置していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記キャップ内には、液体を吸収可能な吸収材が設けられており、
前記キャップの底面に直交する方向において、前記第1吸引口は、前記吸収材の前記ヘッド側の表面よりも内側に位置していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記第1吸引処理時に吸引力が生じる流路の流路内体積、及び、前記第2吸引処理時に吸引力が生じる流路の流路内体積は、前記キャップの底面から前記第1吸引口までの前記キャップ内の空間体積よりも小さいことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記ヘッドと前記キャップが密着した状態で前記吸引ポンプを用いて前記ヘッドから液体を吸引する密着吸引処理を、次に実行するまでの時間間隔を取得し、
前記時間間隔が閾値以下である場合には、前記第1吸引処理を実行し、
前記時間間隔が前記閾値よりも長い場合には、前記第2吸引処理を実行することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置であって、
吸引する液体の種類に応じて、前記閾値が異なることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラーは、吸引する液体の種類に応じて、前記第1吸引処理を実行するか、又は、前記第2吸引処理を実行するかを決定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラーは、
前記ヘッドと前記キャップが密着した状態で、前記吸引ポンプを用いて前記ヘッドから液体を吸引する密着吸引処理と、
前記ヘッドと前記キャップの間に隙間のある状態で、前記吸引ポンプを用いて前記キャップ内の液体を前記キャップ外へ吸引する空吸引処理と、を複数回繰り返すとき、
前記空吸引処理として、前記第1吸引処理を実行すること、を特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラーは、
前記ヘッドと前記キャップの間に隙間のある状態で、前記吸引ポンプを用いて前記キャップ内の液体を前記キャップ外へ吸引する空吸引処理を実行可能であり、
前記第1吸引処理を実行してから、次の前記第1吸引処理又は前記第2吸引処理が実行されずに所定の時間が経過したときには、前記空吸引処理として、前記第2吸引処理を実行することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液体吐出装置であって、
吸引する液体の種類に応じて、前記所定の時間が異なることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクを吐出するヘッドに対するクリーニングとして、吸引処理、空吸引処理、フラッシング処理及びワイピング処理などを行うインクジェットプリンタが記載されている。特許文献1に記載の吸引処理とは、キャップがヘッドのノズルを覆うように密着した状態で、吸引ポンプを駆動し、ヘッドのノズル面とキャップとの間に密閉空間を形成して、ヘッドからインクを吸引する密着吸引処理である。また、空吸引処理とは、キャップ内のインクを吸引排出し、かつヘッド内のインクを吸引しない処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人の鋭意研究の結果、密着吸引処理を実行する際に、キャップ内に液体(例えばインク)が存在している場合の方が、キャップ内に液体が存在していない場合、すなわちキャップ内の空気を吸引する場合に比べて、ヘッドとキャップの間の密閉空間が短時間で所定の負圧に達することが判明した。
しかし、キャップ内に所定量の液体が残るように、例えば、空吸引処理において、吸引ポンプの駆動時間を制御することは難しく、キャップ内に液体を安定して残すことが難しいという問題が生じた。一方、キャップ内に常に所定量の液体が残るように、キャップ内の一部の液体しか吸引排出できない構成にしてしまうと、例えば、次の密着吸引処理までの時間が長い場合に、キャップ内にて多量の液体が固化して吸引されずに、堆積してしまう問題が生じる。
【0005】
本発明は、次の密着吸引処理の時間を短縮させつつ、キャップ内で固化して堆積してしまう液体量を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドのノズル面に当接可能なキャップと、
吸引ポンプと、
前記キャップ内に位置し、前記吸引ポンプの駆動により吸引力が生じる第1吸引口と、
前記キャップ内に位置し、前記吸引ポンプの駆動により吸引力が生じる第2吸引口と、
コントローラーと、を備え、
前記キャップの底面に直交する方向において、前記第1吸引口の方が、前記第2吸引口に比べて、前記底面からの距離が長く、
前記コントローラーは、
前記第1吸引口から前記キャップ内の液体を前記キャップ外へ吸引する第1吸引処理と、
前記第2吸引口から前記キャップ内の液体を前記キャップ外へ吸引する第2吸引処理と、を実行可能であることを特徴とする液体吐出装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次の密着吸引処理の時間を短縮させつつ、キャップ内で固化して堆積してしまう液体量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】供給ユニット30及びキャップユニット40の説明図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、密着吸引処理時のキャップ41内の圧力変化を示すグラフである。
【
図7】
図7Aは、第1吸引処理の説明図であり、
図7Bは、第2吸引処理の説明図である。
【
図8】第1実施形態における吸引処理のフロー図である。
【
図9】インクの種類に閾値及び所定の時間を対応付けたテーブルの説明図である。
【
図11】第2実施形態における吸引処理のフロー図である。
【
図12】第3実施形態における吸引処理のフロー図である。
【
図13】第4実施形態における吸引処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
===第1実施形態===
<液体吐出装置1の構成>
図1は、液体吐出装置1の概略説明図である。
図2は、液体吐出装置1のブロック図である。
【0011】
液体吐出装置1は、媒体M(印刷用紙、印刷フィルムなど)に液体を吐出する装置である。ここでは、液体吐出装置1は、媒体Mに画像を印刷する装置(インクジェットプリンタ)である。但し、液体吐出装置1は、ヘッド21から液体を吐出する装置であれば、媒体Mに画像を印刷する装置でなくても良い(ヘッド21から吐出される液体はインクに限られるものではない)。液体吐出装置1は、移動ユニット10(キャリッジユニット11及び搬送ユニット12)と、ヘッドユニット20と、供給ユニット30、キャップユニット40、ワイパーユニット50と、コントローラー60と、記憶部70とを有する。
【0012】
移動ユニット10は、媒体Mとヘッド21の少なくとも一方を移動させるユニットである。ここでは、移動ユニット10は、キャリッジユニット11と搬送ユニット12とを有する。キャリッジユニット11は、キャリッジ111(ヘッド21)を走査方向に移動させるユニットであり、搬送ユニット12は、媒体Mを搬送方向に搬送するユニットである。なお、移動ユニット10は、キャリッジユニット11と搬送ユニット12とを有するものに限られるものではない。例えば、移動ユニット10は、固定されている媒体Mに対してキャリッジ111(ヘッド21)を2次元方向に移動させるキャリッジユニット11で構成されていても良い。また、移動ユニット10は、固定されているヘッド21に対して媒体Mを搬送する搬送ユニット12で構成されていても良い。
【0013】
図3は、ヘッドユニット20の説明図である。
ヘッドユニット20は、媒体Mにインク(液体)を吐出するためのユニットである。本実施形態では、ヘッド21から吐出されるインクとして、光(例えば紫外線)が照射されると硬化される光硬化型インク(例えば紫外線硬化型インク)を例示する。そのため、ヘッドユニット20は、複数のヘッド21と、光照射部22とを有する。
図3では、ヘッドユニット20が有するヘッド21の数を4つとしているが、ヘッド21の数は特に限定されるものではない。
【0014】
ヘッド21は、インクを吐出する複数のノズルを有する。ここでは、ヘッド21は、2本のノズル列211を有しているが、ノズル列211の数は特に限定されるものではない。各ノズル列211では、複数のノズルが搬送方向に並んでいる。ノズルは、ヘッド21のノズル面21Aで開口しており、その開口からインクが吐出される。本実施形態では、ヘッド21のノズル面21Aと媒体Mとが上下方向に対向し、ヘッド21の下面がノズル面21Aに相当し、媒体Mはヘッド21の下方を搬送される。また、本実施形態では、ヘッド21の2本のノズル列211から吐出されるインクを、異なる種類のインク(例えば色が異なるインク)とするが、共通のインクであってもよい。
【0015】
複数のヘッド21は、走査方向に並んで配置され、キャリッジ111の下面に設けられている。但し、複数のヘッド21の並ぶ方向はこれに限られるものではない。例えば、複数のヘッド21がノズル列と平行な方向に並んで配置されていても良いし、複数のヘッド21がジグザグに配置されていても良い。
【0016】
光照射部22は、ヘッド21から吐出された光硬化型インクに光を照射する装置である。光照射部22は、ヘッド21と同様にキャリッジ111の下面に設けられており、ヘッド21と共に走査方向に移動可能に構成されている。
図3では、キャリッジ111の走査方向において、複数のヘッド21の両外側にそれぞれ光照射部22が設けられた構成を例示するが、走査方向の一方側にのみ光照射部22が設けられる構成であってもよい。但し、インクは水系インクや有機溶剤系インク等であってもよく、ヘッドユニット20は光照射部22を有さなくともよい。
【0017】
図4は、供給ユニット30及びキャップユニット40の説明図である。
供給ユニット30は、ヘッド21にインクを供給するためのユニットである。供給ユニット30は、タンク31と、供給路32と、送液ポンプ33と、ダンパー34とを有する。タンク31は、インクの供給源であり、例えばインクカートリッジによって構成される。供給路32は、タンク31からヘッド21(ノズル列211)までの間のインクの流路であり、例えばチューブによって構成される。送液ポンプ33は、タンク31からヘッド21にインクを送り出すためのポンプである。なお、送液ポンプ33は、ヘッド21内のインクの圧力を調整する機能も有する。ダンパー34は、ヘッド21内のインクの圧力変動を緩和させる部位である。ダンパー34には、圧力センサ35が設けられている。圧力センサ35の検出結果に基づいて、送液ポンプ33の駆動が制御されることになる。例えば、ノズル面21Aにおけるインクの表面(インクメニスカス)が凹状になるように、ヘッド21内のインクの圧力が大気に比べて若干低くなるように、圧力センサ35の検出結果に基づいて送液ポンプ33の駆動が制御されることになる。ここでは、ヘッド21が有する2つのノズル列211から吐出されるインクの種類が異なるため、各ノズル列211に供給ユニット30が設けられている。ただし、上記に限定されることなく、供給ユニットは、例えば、ダンパーに自己封止弁を用いた構造(インクカートリッジの水頭圧でインクを供給し、自己封止弁でヘッドの圧力を制御する構造)であってもよい。
【0018】
キャップユニット40は、ヘッド21のノズル面21Aを覆うためのユニットである。キャップユニット40は、キャップ41と、吸収材42と、キャップ支持体43と、バネ44と、昇降機構45と、第1吸引路46と、第2吸引路47と、第1吸引ポンプ48と、第2吸引ポンプ49とを有する。
【0019】
キャップ41は、ヘッド21のノズル面21Aを覆う部材であり、ヘッド21のノズル面21Aに当接可能な部材である。キャップ41は、それぞれのヘッド21に対して1つずつ設けられており、図示しないが、本実施形態のキャップユニット40は4つのキャップ41を有する。また、キャップ41は、ヘッド21のノズル面21A(下面)と上下方向に対向し、ヘッド21の下方に位置する。キャップ41がノズル面21Aに当接する時にキャップ41がノズルに接触しないように、キャップ41は、凹状に構成されている。言い換えると、キャップ41は、上部が開口した箱状に構成されている。キャップ41は、例えば変形可能なゴムで構成されており、ノズル面21Aに密着し易いように構成されている。キャップ41は、底部と、底部の周縁から立ち上がる壁部とを有しており、底部及び壁部によって収容部(収容空間)が構成される。収容部(キャップ41内)には、インクを吸収可能な吸収材42が設けられている。
【0020】
キャップ支持体43は、キャップ41を支持する部材である。図示しないが、複数(ここでは4つ)のキャップ41は共通のキャップ支持体43に支持されてもよいし、個別にキャップ支持体43に支持されてもよい。複数のキャップ21は、対応するヘッド21のノズル面21Aと当接可能となるように、
図3に示すヘッド21と同様に、走査方向に並んで配置されている。
【0021】
バネ44は、キャップ41とキャップ支持体43との間に配置された弾性変形可能な部材である。バネ44によって、キャップ41を所定の押圧力でノズル面21Aに押圧できる。また、仮に接触前のキャップ41がノズル面21Aに対して傾いていても、バネ44の変形によってキャップ41をノズル面21Aに密着させることができる。バネ44は、それぞれのキャップ41毎に設けられている。
【0022】
昇降機構45は、ヘッド21に対するキャップ41の上下方向の位置を変える機構である。
図4では、キャップ支持体43を上下方向に移動可能な昇降機構45を例示する。昇降機構45により、ヘッド21とキャップ41を上下方向に近接又は離間させることができる。
【0023】
第1吸引路46及び第2吸引路47は、キャップ41内(キャップ41の底部及び壁部で囲われた収容部)の流体(空気やインク等の液体)をキャップ41外へ吸引排出する流路である。キャップ41から吸い出された液体は、不図示の廃液タンクに排出されることになる。第1吸引路46は、一端がキャップ41内に位置し、他端が第1吸引ポンプ48に接続されている。よって、第1吸引路46の一端は、キャップ41内に位置し、第1吸引ポンプ48の駆動により吸引力が生じる第1吸引口46Aとなる。第2吸引路47は、一端がキャップ41内に位置し、他端が第2吸引ポンプ49に接続されている。よって、第2吸引路47の一端は、キャップ41内に位置し、第2吸引ポンプ49の駆動により吸引力が生じる第2吸引口47Aとなる。図示しないが、キャップユニット40が有する複数のキャップ41のそれぞれに、第1吸引路46と、第2吸引路47と、第1吸引ポンプ48と、第2吸引ポンプ49とが設けられている。
【0024】
第1吸引路46は、キャップ41の内部の底面41Aから上方に突出し、吸収材42に差し込まれている。但し、第1吸引口46Aは、吸収材42の上面(ヘッド21側の表面)よりも内側に位置している。一方、第2吸引路47は、キャップ41の底面41Aから突出せず、第2吸引口47Aは、キャップ41内におけるキャップ41の底面41Aに位置している、すなわち、吸収材42よりもキャップ41の底面41A側に位置している。ゆえに、キャップ41の底面41Aに直交する上下方向において、キャップ41の底面41Aから第1吸引口46Aまでの距離(h)の方が、キャップ41の底面41Aから第2吸引口47Aまでの距離(ゼロ)に比べて、長くなっている。
【0025】
なお、第1吸引路46及び第2吸引路47としては、可撓性のチューブを例示でき、第1吸引ポンプ48及び第2吸引ポンプ49としては、チューブポンプを例示できるが、これらの構成は特に限定されるものではない。また、以下では、第1吸引ポンプ48と第2吸引ポンプ49を区別なく説明するときは、吸引ポンプ48,49とも称す。
【0026】
ワイパーユニット50は、ワイパー(不図示)によって、ヘッド21のノズル面21Aを拭うワイピングを行うためのユニットである。ワイパーユニット50は、
図1に示すように、キャップユニット40の近傍に設けられている。
【0027】
コントローラー60は、液体吐出装置1の制御を司る制御部である。コントローラー60は、液体吐出装置1の各ユニット(移動ユニット10、ヘッドユニット20、供給ユニット30、キャップユニット40、ワイパーユニット50)を制御する。コントローラー60は、不図示の演算処理装置及び記憶装置を有する。演算処理装置は、例えばCPU、MPU等により構成される。記憶装置は、プログラムの実行に用いられるRAMや、プログラムを格納するROM等を有する。演算処理装置が記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより、各種処理(印刷処理や吸引処理など)が実行されることになる。
図2には、コントローラー60の機能ブロックが示されている。コントローラー60は、印刷処理部61と、吸引処理部62とを有する。
【0028】
印刷処理部61は、印刷処理を実行する。例えば、印刷処理部61は、キャリッジユニット11を駆動してヘッド21を走査方向に移動させつつヘッド21からインクを吐出する吐出動作と、搬送ユニット12を駆動して媒体Mを搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、媒体Mに画像を印刷する。
吸引処理部62は、吸引処理を実行する。以下、吸引処理について説明する。
【0029】
<密着吸引処理、及び、空吸引処理について>
図5A及び
図5Bは、密着吸引処理の説明図であり、
図5C及び
図5Dは、空吸引処理の説明図である。
吸引処理部62(コントローラー60)は、キャップユニット40を制御し、吸引処理として、密着吸引処理と、空吸引処理とを実行する。
【0030】
密着吸引処理は、ヘッド21とキャップ41が密着した状態で、吸引ポンプ48,49を用いてヘッド41(ノズル)からインクを吸引する処理である。そのために、吸引処理部62は、まず、昇降機構45を駆動して、
図5Aに示すようにヘッド21のノズル面21Aを覆うように、ノズル面21Aにキャップ41を当接させる。吸引処理部62は、キャップ41が所定の押圧力でノズル面21Aを押圧する程度まで、ヘッド21とキャップ41を密着させる。これにより、キャップ41とヘッド21のノズル面21Aとの間に密閉空間が形成される。
【0031】
次に、吸引処理部62は、吸引ポンプ48,49を駆動して、キャップ41内の密閉空間を負圧にする。キャップ41内の密閉空間が負圧になると、ノズル内のインクがキャップ41内に吸い出される。さらに、吸引ポンプ48,49が駆動することにより、キャップ41内に溜まったインクは、第1吸引口46Aや第2吸引口47Aからキャップ41外へ排出される。ノズル内のインクが十分に吸い出されると、
図5Bに示すように、キャップ41内の密閉空間にインクが充填されることになる。
【0032】
なお、既に説明したように、ヘッド21内のインクの圧力は大気に比べて若干低くなるように設定されている。一方、密着吸引処理時のキャップ41内の密閉空間の圧力は、ヘッド21内のインクの圧力よりも低くなる。また、密着吸引処理の際には、キャップ41がノズル面21Aを覆っており、キャップ41内の空間は、キャップ41によって大気から遮断された状態になる。このため、ヘッド21内のインクの圧力は大気に比べて若干低くなるように設定されているとともに、密着吸引処理の際にキャップ41内の密閉空間に液体が充填されていても、キャップ41がノズル面21Aを覆っている状態では、キャップ41内のインクがノズルに引き込まれることは無い。
【0033】
空吸引処理は、ヘッド21とキャップ41の間に隙間のある状態で、吸引ポンプ48,49を用いてキャップ41内のインクをキャップ41外へ吸引する処理であり、ヘッド41(ノズル)からはインクを吸引しない。密着吸引処理の直後に空吸引処理を実行することで、キャップ41内に充填されたインクを排出できる。
【0034】
吸引処理部62は、まず、昇降機構45を駆動して、
図5Cに示すようにキャップ41とヘッド21のノズル面21Aとの間に所定の隙間Cbが形成されるまで、ヘッド21からキャップ41を離間させる。所定の隙間Cbは、キャップ41内に充填されたインクが外部に漏洩しない程度に微小な隙間とする。次に、コントローラー60は、
図5Dに示すように、吸引ポンプ48,49を駆動して、キャップ41内に溜まったインクを吸い出す。キャップ41から吸引されたインクは、廃液タンクに排出される。
【0035】
吸引処理部62は、ヘッド21のクリーニング時に、上記の密着吸引処理、及び、空吸引処理を実行する。密着吸引処理により、ヘッド21のノズル内の異物(例えば、増粘インク、ゴミ、気泡等)を吸引排出できる。その結果、ノズルの吐出不良を回復でき、ノズルから適切な量のインクが吐出されるようになる。また、密着吸引処理によってキャップ41内に充填されたインクを、空吸引処理によってキャップ41外へ排出できる。
なお、ヘッド21のクリーニング処理としては、密着吸引処理と空吸引処理の他に、ワイパーユニット50を用いたワイピング処理や、ヘッド21のノズルからキャップ41に向けてインクを吐出させるフラッシング処理がある。
【0036】
その他、吸引処理部62は、
図4に示すタンク31からヘッド21までの供給路32やヘッド21内に液体を充填する時に、上記の密着吸引処理、及び、空吸引処理を実行する。例えば、液体吐出装置1の使用開始前やタンク31(インクカートリッジ)の交換時等において、供給路32やヘッド21内に液体が充填されていない状況において、密着吸引処理、及び、空吸引処理を実行することで、空気を排出しつつ、液体を充填できる。
【0037】
<第1吸引処理、及び、第2吸引処理について>
図6A及び
図6Bは、密着吸引処理時のキャップ41内の圧力変化を示すグラフである。横軸は時間(秒)を示し、縦軸はキャップ41内の圧力、すなわちキャップ41とヘッド21のノズル面21Aとの間に形成される密閉空間の圧力(kPa)を示す。
図7Aは、第1吸引処理の説明図であり、
図7Bは、第2吸引処理の説明図である。
【0038】
キャップ41内に存在するインク量以外については同じ条件(同じ装置、同じ吸引力)にて密着吸引処理を行った。その結果、
図6Aに示すように、キャップ41内が空気で満たされている状態で密着吸引処理を開始した場合に比べて、
図6Bに示すように、キャップ41内がインク(液体)で満たされている状態で密着吸引処理を開始した方が、キャップ41内が短時間で所定の負圧に達することが判明した。例えばキャップ41内が-55kPaに達するまでに、
図6Bの方が
図6Aに比べて10秒程早かった。キャップ41内が所定の負圧に達するまでの時間が早い程、ヘッド21から液体を吸い出すために要する時間も短くなる。つまり、キャップ41内にインクが多く残っている状態で密着吸引処理を開始する方が、キャップ41内に空気が多く残っている状態で開始する場合に比べて、密着吸引処理に必要な時間を短縮できることが分かった。
【0039】
そこで、本実施形態の吸引処理部62(コントローラー60)は、第1吸引処理と、第2吸引処理と、を実行可能とする。
第1吸引処理とは、
図7Aに示すように、キャップ41内の高い地点に位置する第1吸引口46A(第1吸引路46)からキャップ41内の液体をキャップ41外へ吸引する処理である。
第2吸引処理とは、
図7Bに示すように、キャップ41内の低い地点(ここでは底面41A)に位置する第2吸引口47A(第2吸引路47)からキャップ41内の液体をキャップ41外へ吸引する処理である。
【0040】
具体的には、吸引処理部62は、
図5Aから
図5Dに示すように密着吸引処理と空吸引処理をセットで実行する際に、第1吸引処理と第2吸引処理の何れで実行するかを決定する。第1吸引処理で実行すると決定した場合、吸引処理部62は、第1吸引ポンプ48を駆動し、第2吸引ポンプ49は駆動せず、第1吸引口46Aのみからインク等を吸引させる。その結果、空吸引処理では、密着吸引処理でキャップ41内に充填されたインク(
図5B参照)のうち、第1吸引口46Aよりも上方に位置するインクしかキャップ41外へ吸引されない。つまり、空吸引処理が終了した後、
図7Aに示すように、第1吸引口46Aよりも下方に位置するインクがキャップ41内に残る。
【0041】
そのため、キャップ41内にインクが残っている状態で、次の密着吸引処理を開始できる。つまり、キャップ41とヘッド21のノズル面21Aとの間に形成される密閉空間が負圧になりやすく、次の密着吸引処理時間を短縮できる。例えば、吸引処理部62は、密着吸引処理の実行前に、直前の空吸引処理が第1吸引処理で行われたか否かを確認し、第1吸引処理で行われた場合(すなわちキャップ41内にインクが残っている場合)には、そうでない場合に比べて、駆動ポンプ49,49の駆動時間を短縮するとよい。そうすることで、次の密着吸引処理時間を短縮できる。
【0042】
一方、吸引処理部62は、密着吸引処理及び空吸引処理を第2吸引処理で実行すると決定した場合、第1吸引ポンプ48は駆動せず、第2吸引ポンプ49を駆動して、第2吸引口47Aのみからインクを吸引させる。その結果、
図7Bに示すように、空吸引処理では、密着吸引処理でキャップ41内に充填されたインクの全てが、キャップ41の底面41Aの第2吸引口47Aからキャップ41外へ吸い出される。そのため、第2吸引処理を実行した場合、第1吸引処理を実行した場合に比べて、キャップ41内に残るインク量を軽減でき、時間の経過に伴って、キャップ41内で固化して吸引されずに、堆積してしまうインク量を軽減できる。本実施形態では、キャップ41内の全てのインクが排出されるので、キャップ41内でのインクの固化や堆積をより確実に防止でき、キャップ41のメンテナンスの手間を軽減できる。
【0043】
また、第1吸引処理時に吸引力が生じる流路、
図7Aの場合、第1吸引口46Aから第1吸引ポンプ48までの第1吸引路46(斜線部)の流路内体積B1は、キャップ41の底面41Aから第1吸引口46A(高さh)までのキャップ41内の空間体積Aよりも小さいことが好ましい(B1<A)。同様に、第2吸引処理時に吸引力が生じる流路、
図7Bの場合、第2吸引口47Aから第2吸引ポンプ49までの第2吸引路47(斜線部)の流路内体積をB2は、キャップ41内の空間体積Aよりも小さいことが好ましい(B2<A)。
【0044】
空吸引処理後の第1吸引路46や第2吸引路47には空気が存在する。そのため、第1吸引路46や第2吸引路47が不要に長いと、密着吸引処理の際に、キャップ41内に残っているインクを吸引する前に、第1吸引路46や第2吸引路47内の多量の空気を吸引することになる。そこで、上記のように、流路内体積B1、B2を、キャップ41内の空間体積A(キャップ41内に残るインクと概ね同じ体積)よりも、小さくするとよい。そうすることで、第1吸引処理によってキャップ41内にインクを残したことによる、キャップ41内が負圧になりやすい効果が軽減してしまうことを抑制できる。
【0045】
図8は、第1実施形態における吸引処理のフロー図である。
図9は、インクの種類に閾値及び所定の時間を対応付けたテーブルの説明図である。
吸引処理部62は、ヘッド21のクリーニングやインク充填の為に、密着吸引処理と空吸引処理をセットで行う吸引処理の指令を受信すると(S001)、密着吸引処理を次に実行するまでの時間間隔Tを取得する(S002)。時間間隔Tは、今回の指令による吸引処理が終了してから次の密着吸引処理が実行されるまでの時間間隔である。この時間間隔Tは予測値であり、実際の時間間隔と異なるものであってもよい。例えば、ヘッド21のクリーニングが定期的に行われる場合、吸引処理部62は、クリーニングが実行される時間間隔に基づいて上記の時間間隔Tを予測できる。
【0046】
次に、吸引処理部62は、時間間隔Tに対応する閾値taを記憶部70から取得し、時間間隔Tと閾値taとを比較する(S003)。閾値taは、今回の指令による吸引処理にてヘッド21から吸引するインクの種類に応じて異なる、つまり、第1吸引処理を実行した場合にキャップ41に残るインクの種類に応じて異なる。そのため、
図9に示すように、記憶部70には、液体吐出装置1が使用するインクの種類(例:インク1~3)に応じた閾値ta(例:ta_1~ta_3)が対応付けられたテーブルが記憶されている。
【0047】
吸引処理部62は、時間間隔Tが閾値ta以下である場合には、密着吸引処理及び空吸引処理を第1吸引処理(
図7A)で実行する(S004)。時間間隔Tが閾値taよりも長い場合には、密着吸引処理及び空吸引処理を第2吸引処理(
図7B)で実行する(S005)。
【0048】
第1吸引処理を実行した場合、キャップ41内にインクが残っている状態で終了するので、次の密着吸引処理ではキャップ41内が負圧になりやすく、処理時間を短縮できる。また、次の密着吸引処理までの時間間隔Tが短い為、キャップ41内に残るインクが固化してしまうことを抑制できる。
一方、次の密着吸引処理までの時間間隔Tが長い場合には、第2吸引処理が実行され、キャップ41内にインクが残っていない状態で終了する。そのため、キャップ41内でインクが固化してしまうことを抑制できる。
【0049】
また、時間間隔Tに対応する閾値taは、例えばインクが再溶解できない程に固化するまでの時間に基づき決定するとよい。再溶解とは、固化したインクが液体と接触することにより溶解して液体化することである。再溶解性が高いインクの場合、キャップ41内で固化してもフラッシングなどにより液体化しやすいので、再溶解した際にキャップ41から吸い出せる。
【0050】
また、インクの種類によって固化し易さや再溶解性が異なる。そのため、時間間隔Tに対応する閾値taは、インクの種類に応じて異なることが望ましい。
具体的には、固化し難いインクや再溶解性が高いインクの閾値taを大きくするとよい。そうすることで、固化し易いインク等に合わせた小さい閾値taを適用する場合に比べて、第1吸引処理が実行され易く、次の密着吸引処理の時間を短縮できる。
逆に、固化し易いインクや再溶解性が低いインクの閾値taは小さくするとよい。そうすることで、次の密着吸引処理までの時間が長くなる場合には、第1吸引処理は実行されず、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうことを抑制できる。
【0051】
なお、固化し易いインクとしては、プライマーインク等を例示できる。また例えばUVインク(紫外線硬化型)は、放置による固化はし難いが、再溶解性が低い。溶剤系インクの場合は、放置によって固化するが、インクの種類によって固化し易さが異なる。また、溶剤系インクは、ある程度の再溶解性を有する。また、ヘッド21を覆うキャップ41の材質等によっても、インクが固化するまでの時間は変化する。例えば、ガスバリア性の高い材質のキャップ41であれば、キャップ41内やノズル内のインクが固化(増粘)し難くなる。
【0052】
但し、上記に限定されることなく、時間間隔Tに対応する閾値taが一定であってもよい。この場合、固化し易いインクや再溶解性の低いインクに合わせて閾値taが決定されるとよい。そうすることで、インクの種類に関係なく、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうことを抑制できる。この場合、吸引処理部62がインクの種類の情報を取得する手間等を省くことができ、処理を簡素化できる。
【0053】
その後、吸引処理部62は、第2吸引処理を実行した場合には、次の吸引処理の指令を受信するまで待機する(S006)。一方、吸引処理部62は、第1吸引処理を実行した場合には、第1吸引処理が終了してからの累積時間のカウントを開始する(S007)。また、吸引処理部62は、記憶部70に記憶されているテーブル(
図9)から、累積時間に対応する閾値である所定の時間tbを取得する。所定の時間tbは、直前の第1吸引処理にてヘッド21から吸引したインクの種類、つまり、現在キャップ41に残っているインクの種類に応じて異なる。そのため、
図9に示すように、記憶部70には、液体吐出装置1が使用するインクの種類(例:インク1~3)に応じた所定の時間tb(例:tb_1~tb_3)が対応付けられたテーブルが記憶されている。
そして、吸引処理部62は、直前の第1吸引処理を実行してから、次の吸引処理(第1吸引処理又は第2吸引処理)が実行されずに所定の時間tbが経過したときには(S008、S009)、空吸引処理として、第2吸引処理を実行する(S010)。
【0054】
時間間隔Tは予測の時間である。そのため、上記のように、吸引処理部62は、キャップ41内にインクが残る第1吸引処理が終了してから、次の吸引処理が実行されずに所定の時間tbが経過したときには、空吸引処理として第2吸引処理を実行することが好ましい。そうすることで、キャップ41内にインクが残っている状態が長時間放置され、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうことを防止できる。
【0055】
また、所定の時間tbは、インクの種類に応じて異なるとよい。具体的には、固化し難いインクや再溶解性が高いインクの所定の時間tbを長くするとよい。そうすることで、固化し易いインク等に合わせた短い所定の時間tbを適用する場合に比べて、キャップ41内にインクが残っている状態が保たれ易く、次の密着吸引処理の時間を短縮できる。
逆に、固化し易いインクや再溶解性が低いインクの所定の時間tbを短くするとよい。そうすることで、キャップ41内にインクが残っている状態が長くなった場合には、インクが吸引され、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうことを抑制できる。
【0056】
但し、上記に限定されることなく、所定の時間tbが一定であってもよい。この場合、固化し易いインクや再溶解性の低いインクに合わせて所定の時間tbが決定されるとよい。そうすることで、インクの種類に関係なく、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうことを抑制できる。この場合、吸引処理部62がインクの種類の情報を取得する手間等を省くことができ、処理を簡素化できる。また、閾値taと所定の時間tbは同じ値であってもよい。或いは、閾値taと所定の時間tbを共通の値として、記憶部70がどちらか一つだけを記憶する形態でもよい。
【0057】
<キャップユニット40の変形例>
図10A及び
図10Bは、キャップユニット40の変形例の説明図である。変形例では第1吸引路46と第2吸引路47に対して共通する1つの吸引ポンプ83が設けられている。この場合、
図4のキャップユニット40に比べて、吸引ポンプの数を減らすことができる。
【0058】
図10Aに示すキャップユニット40は、第1吸引路46の一端に設けられた第1バルブ81と、第2吸引路47の一端に設けられた第2バルブ82と、共通の吸引ポンプ83から第1バルブ81及び第2バルブ82に向かって分岐した共通流路84とを有する。
【0059】
図10Aにおいて第1吸引処理を実行する場合、吸引処理部62は、第1バルブ81を開き、第2バルブ82を閉じ、共通の吸引ポンプ83を駆動する。そうすることで、第1吸引路46と共通流路84に吸引力が生じ、キャップ41内の高い位置の第1吸引口46Aにのみ吸引力が発生する。よって、キャップ41内にインクを残すことができる。
【0060】
一方、第2吸引処理を実行する場合、吸引処理部62は、第1バルブ81を閉じ、第2バルブ82を開き、共通の吸引ポンプ83を駆動する。そうすることで、第2吸引路47と共通流路84に吸引力が生じ、キャップ41内の低い位置(ここでは底面41A)の第2吸引口47Aにのみ吸引力が発生する。よって、キャップ41内のインクの大部分(ここでは全て)を吸引できる。
【0061】
また、
図10Bに示すキャップユニット40は、第2吸引路47の一端にバルブ85が設けられるだけであり、第1吸引路46が途中で分岐し、一方が共通の吸引ポンプ83に接続され、他方がバルブ85に接続されている。
【0062】
図10Bにおいて第1吸引処理を実行する場合、吸引処理部62は、バルブ85を閉じ、共通の吸引ポンプ83を駆動する。そうすることで、第1吸引路46に吸引力が生じ、キャップ41内の高い位置の第1吸引口46Aにのみ吸引力が発生する。よって、キャップ41内にインクを残すことができる。
【0063】
一方、第2吸引処理を実行する場合、吸引処理部62は、バルブ85を開き、共通の吸引ポンプ83を駆動する。この場合、第1吸引路46及び第2吸引路47の両方に吸引力が生じ、第1吸引口46A及び第2吸引口47Aの両方に吸引力が発生する。この場合であっても、空吸引処理時にはキャップ41内のインクの大部分(ここでは全て)を吸引できる。
【0064】
つまり、第1吸引処理では、第2吸引口47Aからは吸引せずに、第1吸引口46Aのみからキャップ41内のインクを吸引できれば良く、そうすることで、キャップ41内にインクを残すことができる。第2吸引処理では、少なくとも第2吸引口46Aからキャップ41内のインクを吸引できれば良く、そうすることで、キャップ41内のインクの大部分(ここでは全て)を吸い出すことができる。
【0065】
===第2実施形態===
図11は、第2実施形態における吸引処理のフロー図である。
第2実施形態では、吸引処理の指令を受けた後の処理が第1実施形態と異なり、主に異なる部分について説明する。
【0066】
吸引処理部62は、吸引処理(密着吸引処理及び空吸引処理)の指令を受信すると(S101)、密着吸引処理によりヘッド41から吸引するインクの種類を取得する。吸引処理部62は、吸引するインクが、固化し難いインクであったり、再溶解性が高いインクであったりする場合には(S102)、密着吸引処理及び空吸引処理を第1吸引処理で実行する(S103)。吸引処理部62は、吸引するインクが、固化し易いインクであったり、再溶解性が低いインクであったりする場合には(S102)、密着吸引処理及び空吸引処理を第2吸引処理で実行する(S104)。
【0067】
具体的には、液体吐出装置1が使用するインクの種類毎に、各インクの特性に基づき、第1吸引処理又は第2吸引処理が対応付けられたテーブル(不図示)を、記憶部70に記憶させておくとよい。吸引処理部62は、そのテーブルを参照することで、第1吸引処理と第2吸引処理の何れを実行するのかを決定できる。
【0068】
このように第2実施形態では、吸引処理部62は、吸引するインクの種類に応じて、第1吸引処理を実行するか、又は、第2吸引処理を実行するかを決定する。そうすることで、固化し難いインクや再溶解性が高いインク等を吸引する場合には、第1吸引処理を実行でき、キャプ41内にインクが残った状態で次の密着吸引処理が実行されやすく、吸引時間を短縮できる。また、キャップ41内にインクが残っていても、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうおそれが少ない。一方、固化し易いインクや再溶解性が低いインク等を吸引する場合には、第2吸引処理を実行することで、キャップ41内でインクが固化して吸引できずに堆積してしまうことを防止できる。
【0069】
その後の処理については、第1実施形態と同様である。簡単に説明すると、吸引処理部62は、第2吸引処理を実行した後は、次の吸引処理の指令を受信するまで待機する(S105)。一方、吸引処理部62は、第1吸引処理を実行した後は、第1吸引処理が終了してからの累積時間のカウントを開始し(S106)、直前の第1吸引処理を実行してから、次の吸引処理(第1吸引処理又は第2吸引処理)が実行されずに所定の時間tbが経過したときには(S107、S108)、空吸引処理として第2吸引処理を実行する(S109)。そうすることで、キャップ41内にインクが残っている状態が長時間放置され、キャップ41内でインクが固化し、堆積してしまうことを防止できる。
【0070】
また、所定の時間tbは、直前の第1吸引処理にてヘッド21から吸引したインクの種類(現在キャップ41に残っているインクの種類)に応じて異ならせると良い。そうすることで、各インクの特性に応じて、次の密着吸引処理の時間を短縮できる確率を高めつつ、キャップ41内でインクが固化して、堆積してしまうことを防止できる。但し、第2実施形態では、第1吸引処理が実行されたインクは元々固化し難い特性や再溶解性の高い特性を有するため、所定の時間tbを一定にしてもよい。
【0071】
===第3実施形態===
図12は、第3実施形態における吸引処理のフローを示す図である。
第3実施形態では、吸引処理の指令を受けた後の処理が第1実施形態と異なり、主に異なる部分について説明する。
【0072】
吸引処理部62は、吸引処理(密着吸引処理及び空吸引処理)の指令を受信すると(S201)、密着吸引処理及び空吸引処理を第1吸引処理で実行する(S202)。その後、吸引処理部62は、第1吸引処理が終了してからの累積時間のカウントを開始し(S203)、直前の第1吸引処理を実行してから、次の吸引処理(第1吸引処理又は第2吸引処理)が実行されずに所定の時間tbが経過したときには(S204、S205)、空吸引処理として、第2吸引処理を実行する(S206)。
【0073】
このように第3実施形態では、吸引処理部62は、全ての吸引処理(密着吸引処理及び空吸引処理)を第1吸引処理で実行する。そのため、次の密着吸引処理までの時間間隔Tやインクの種類の情報を取得したり、第1吸引処理と第2吸引処理の何れを実行するか判断したりする工程が無く、処理が簡素化する。また、所定の時間tbが経過した後は、第2吸引処理にてキャップ41内のインクが吸い出される。よって、キャップ41内にインクが残っている状態が長時間放置され、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうことを防止できる。
【0074】
また、所定の時間tbは、直前の第1吸引処理にてヘッド21から吸引したインクの種類(現在キャップ41に残っているインクの種類)に応じて異ならせることが好ましい。そうすることで、各インクの特性に応じて、次の密着吸引処理の時間を短縮できる確率を高めつつ、キャップ41内でインクが固化して、堆積してしまうことを防止できる。但し上記に限らず、所定の時間tbは一定であってもよい。
【0075】
===第4実施形態===
図13は、第4実施形態における吸引処理のフローを示す図である。
第4実施形態では、吸引処理の指令を受けた後の処理が第1実施形態と異なり、主に異なる部分について説明する。
【0076】
吸引処理部62は、吸引処理(密着吸引処理及び空吸引処理)の指令を受信すると(S301)、同じキャップ41において密着吸引処理と空吸引処理とが複数回繰り返されるか否かを確認する(S302)。密着吸引処理と空吸引処理とが複数回繰り返されるとは、間に印刷処理が行われずに(キャップユニット50が位置するホームポジションからヘッドユニット20が離れずに)、密着吸引処理と空吸引処理のセット処理が複数回繰り返されることである。この場合、吸引処理部62は、第1吸引処理を実行する(S304)。そうでない場合には、吸引処理部62は、第1吸引処理又は第2吸引処理の何れかを実行する(S303)。例えば第1実施形態から第3実施形態の処理を実行してもよい。
【0077】
また、密着吸引処理と空吸引処理とが複数回繰り返される処理として、ヘッド21にインクを充填する為に行われる吸引処理を例示できる。例えば、ヘッド21が複数のノズル列(ここでは2列)を有する場合、最初のノズル列にインクを充填する為の吸引処理が行われた後、次のノズル列にインクを充填する為の吸引処理が行われる。この場合、最初のノズル列の充填が終了した時点でキャップ41内にインクが残っていれば、次のノズル列にインクを充填する為の密着吸引処理の処理時間を短縮できる。
【0078】
そのため、密着吸引処理と空吸引処理とを複数回繰り返すとき、空吸引処理を第1吸引処理で実行することが好ましい。そうすることで、短い間隔で繰り返し行われる密着吸引処理の処理時間を短縮できる。また、キャップ41内にインクを残しても、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまう問題も生じ難い。
【0079】
第1吸引処理を実行した後は、第1実施形態と同様である。吸引処理部62は、第1吸引処理が終了してからの累積時間のカウントを開始し(S306)、直前の第1吸引処理を実行してから、次の吸引処理(第1吸引処理又は第2吸引処理)が実行されずに所定の時間tbが経過したときには(S307、S308)、空吸引処理として第2吸引処理を実行する(S309)。そうすることで、キャップ41内にインクが残っている状態が長時間放置され、キャップ41内でインクが固化し、堆積してしまうことを防止できる。
【0080】
また、所定の時間tbは、直前の第1吸引処理にてヘッド21から吸引したインクの種類(現在キャップ41に残っているインクの種類)に応じて異ならせると良い。そうすることで、各インクの特性に応じて、次の密着吸引処理の時間を短縮できる確率を高めつつ、キャップ41内でインクが固化して、堆積してしまうことを防止できる。但し、上記に限らず、所定の時間tbは一定であってもよい。
【0081】
また、上記処理フローに限らず、例えば、密着吸引処理と空吸引処理の繰り返し処理のうち、最後の空吸引処理以外は第1吸引処理で実行し、最後の空吸引処理は第2吸引処理を実行してもよい。そうすることで、短い間隔で繰り返し行われる密着吸引処理の処理時間を短縮できる。また、最後の空吸引処理が終了してから次の密着吸引処理が実行されるまでの時間が長くとも、キャップ41内でインクが固化して堆積してしまうことを防止できる。
【0082】
===小括===
(態様1)態様1の液体吐出装置は、液体を吐出するヘッド21と、ヘッド21のノズル面に当接可能なキャップ41と、吸引ポンプ48,49と、キャップ41内に位置し、吸引ポンプ48,49の駆動により吸引力が生じる第1吸引口46Aと、キャップ41内に位置し、吸引ポンプ48,49の駆動により吸引力が生じる第2吸引口47Aと、コントローラー60と、を備え、キャップ41の底面に直交する方向において、第1吸引口46Aの方が、第2吸引口47Aに比べて、キャップ41底面からの距離が長く、コントローラー60は、第1吸引口46Aからキャップ41内の液体をキャップ41外へ吸引する第1吸引処理と、第2吸引口47Aからキャップ41内の液体をキャップ41外へ吸引する第2吸引処理と、を実行可能である。
【0083】
態様1によれば、第1吸引処理が実行された場合、第1吸引口よりも下方の液体は、キャップ41外に排出されず、キャップ41内に液体を残すことができる。よって、次の密着吸引処理の時間を短縮できる。また、吸引ポンプ48,49の駆動時間を制御する等してキャップ41内の液体を残す場合に比べて、所定量の液体をキャップ41内に安定的に容易に残すことができる。一方、第2吸引処理が実行された場合、キャップ41内に残る液体量を軽減でき、次の密着吸引処理までの時間が長い場合に、キャップ41内で固化して堆積する液体量を軽減できる。
【0084】
(態様2)態様1に記載の液体吐出装置1であって、第2吸引口47Aは、キャップ41の底面に位置している。
態様2によれば、第2吸引処理によってキャップ41内の全ての液体をキャップ41外へ排出でき、次の密着吸引処理までの時間が長い場合にも、キャップ41内で液体が固化して堆積してしまうことを抑制できる。
【0085】
(態様3)態様1又は態様2に記載の液体吐出装置1であって、キャップ41内には、液体を吸収可能な吸収材42が設けられており、第2吸引口47Aは、吸収材42よりもキャップ41の底面側に位置している。
態様3によれば、第2吸引処理によって、吸収材42が吸収した液体をキャップ41外へ排出でき、次の密着吸引処理までの時間が長い場合にも、キャップ41内で液体が固化して堆積してしまうことを抑制できる。この場合、第2吸引口47Aはキャップ41の底面に位置してもよいし、吸収材42よりも下方に位置していれば、キャップ41の底面から突出してもよい。
【0086】
(態様4)態様1から態様3の何れかに記載の液体吐出装置1であって、キャップ41内には、液体を吸収可能な吸収材42が設けられており、キャップ41の底面に直交する方向において、第1吸引口46Aは、吸収材42のヘッド21側の表面よりも内側に位置している。
態様4によれば、第1吸引処理が実行された場合に、キャップ41内に残る液体の位置が吸収材42の表面よりも下がる。このように第1吸引処理後にキャップ42に残す液体量を適度に抑えることで、ヘッド21のノズル面21Aが液体で汚れてしまうことを抑制できる。例えば、フラッシング処理時にキャップ41に向けて液体が吐出された際に、キャップ41内の液体が跳ね返り、ヘッド21のノズル面21Aが汚れてしまうことを抑制できる。
なお、上記実施形態では、キャップ41内に吸収材42が設けられている形態を例示したが、態様3や態様4とは異なり、キャップ41内に吸収材42が設けられていなくともよい。
【0087】
(態様5)態様1から態様4の何れかに記載の液体吐出装置1であって、第1吸引処理時に吸引力が生じる流路の流路内体積B1、及び、第2吸引処理時に吸引力が生じる流路の流路内体積B2は、キャップ41の底面から第1吸引口46Aまでのキャップ41内の空間体積Aよりも小さい。
態様5によれば、第1吸引口46A又は第2吸引口47Aから吸引ポンプ48,49までの流路の流路内体積B1,B2が、キャップ41内の空間体積A以上であり、流路が不要に長い場合に比べて、次の密着吸引処理時に吸引する流路内の空気量を小さくできる。よって、第1吸引処理によってキャップ41内に液体を残したことによる、キャップ41内が負圧になりやすい効果が軽減してしまうことを抑制できる。
【0088】
(態様6)態様1から態様5の何れかに記載の液体吐出装置1であって、ヘッド21とキャップ41が密着した状態で吸引ポンプ48,49を用いてヘッド21から液体を吸引する密着吸引処理を、次に実行するまでの時間間隔Tを取得し、時間間隔Tが閾値ta以下である場合には、第1吸引処理を実行し、時間間隔Tが閾値taよりも長い場合には、第2吸引処理を実行する。
態様6によれば、時間間隔Tが短い場合には、第1吸引処理によりキャップ41内に液体を残して、次の密着吸引処理の処理時間を短縮させつつ、キャップ41内の液体が固化して堆積してしまうことを抑制できる。
【0089】
(態様7)態様6に記載の液体吐出装置1であって、吸引する液体の種類に応じて、閾値taが異なる。
態様7によれば、例えば固化し難い液体や再溶解が高い液体に対応する閾値taを大きくすることで、キャップ41内に液体が残っている状態が保たれやすく、次の密着吸引処理の時間を短縮できる。上記とは異なる液体に対応する閾値taを小さくすることで、キャップ41内で液体が固化して堆積してしまうことを抑制できる。
【0090】
(態様8)態様1から態様5の何れかに記載の液体吐出装置1であって、コントローラー60は、吸引する液体の種類に応じて、第1吸引処理を実行するか、又は、第2吸引処理を実行するかを決定する。
態様8によれば、例えば固化し難い液体や再溶解が高い液体を吸引する場合には、第1吸引処理を実行することで、次の密着吸引処理の時間を短縮させつつ、キャップ41内で液体が固化して堆積してしまうことを抑制できる。
【0091】
(態様9)態様1から態様5の何れかに記載の液体吐出装置1であって、コントローラー60は、ヘッド21とキャップ41が密着した状態で、吸引ポンプ48,49を用いてヘッド21から液体を吸引する密着吸引処理と、ヘッド21とキャップ41の間に隙間のある状態で、吸引ポンプ48,49を用いてキャップ41内の液体をキャップ41外へ吸引する空吸引処理と、を複数回繰り返すとき、空吸引処理として、第1吸引処理を実行する。
態様9によれば、繰り返し実行される密着吸引処理の時間を短縮でき、また、キャップ41内に残っている液体が固化する前に次の密着吸引処理が行われるため、キャップ41内で液体が堆積してしまうことを抑制できる。
【0092】
(態様10)態様1から態様9の何れに記載の液体吐出装置1であって、コントローラー60は、ヘッド21とキャップ41の間に隙間のある状態で、吸引ポンプ48、49を用いてキャップ41内の液体をキャップ41外へ吸引する空吸引処理を実行可能であり、第1吸引処理を実行してから、次の第1吸引処理又は第2吸引処理が実行されずに所定の時間tbが経過したときには、空吸引処理として、第2吸引処理を実行する。
態様10によれば、キャップ41内に液体が残った状態が長時間放置されてしまうことを防止でき、キャップ41内で液体が固化して堆積してしまうことを防止できる。
【0093】
但し、上記に限定されない。例えば印刷ジョブの実行中にヘッド21のクリーニングの為に第1吸引処理を実行した場合、1つの印刷ジョブが終了したタイミングや、待機している印刷ジョブが無くなったタイミングで、コントローラー60が空吸引処理を第2吸引処理で実行してもよい。また、例えば、液体吐出装置1の電源が切断されるタイミングで、コントローラー60が空吸引処理を第2吸引処理で実行してもよい。
【0094】
(態様11)態様10に記載の液体吐出装置1であって、吸引する液体の種類に応じて、所定の時間tbが異なる。
態様11によれば、例えば固化し難い液体や再溶解が高い液体に対応する所定の時間tbを長くすることで、キャップ41内に液体が残っている状態が保たれやすく、次の密着吸引処理の時間を短縮できる。上記とは異なる液体に対応する所定の時間tbを短くすることで、キャップ41内で液体が固化して堆積してしまうことを抑制できる。
【0095】
===その他の実施形態===
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0096】
上記の実施形態では、密着吸引処理と空吸引処理とがセットで行われる場合を例示し、密着吸引処理と空吸引処理を同じ吸引処理(第1吸引処理又は第2吸引処理)で実行するとしたが、これに限らない。例えば、キャップ41に液体を残す場合であっても、密着吸引処理は第2吸引処理で実行し(第2吸引口47Aのみから吸引したり、第1吸引口46Aと第2吸引口47Aの両方から吸引したりし)、空吸引処理は第1吸引処理で実行してもよい。
【0097】
また、密着吸引処理と空吸引処理がセットで行われるに限らない。例えば、ヘッド21のクリーニングの為にフラッシング処理が行われ、密着吸引処理を行わずともキャップ41内に液体が溜まる場合がある。その場合には空吸引処理のみを実行してもよく、その場合にも、コントローラー60は単独の空吸引処理を第1吸引処理又は第2吸引処理で実行できる。
【0098】
また、密着吸引処理にてキャップ41内に液体が充填される前に、密着吸引処理が終了してもよく、その場合、キャップ41から液体が溢れないため、密着吸引処理の後に空吸引処理が実行されなくてもよい。その場合にも、コントローラー60は単独の密着吸引処理を第1吸引処理又は第2吸引処理で実行でき、第1吸引処理では、第2吸引処理に比して、キャップ41内に残る液体量を多くできる。
【符号の説明】
【0099】
1 液体吐出装置、10 移動ユニット、
11 キャリッジユニット、111 キャリッジ、
12 搬送ユニット、
20 ヘッドユニット、21 ヘッド、21A ノズル面、
22 光照射装置、
30 供給ユニット、31 タンク、
32 供給路、33 送液ポンプ、
34 ダンパー、35 圧力センサ、
40 キャップユニット、
41 キャップ、42 吸収材、
43 キャップ支持体、44 バネ、
45 昇降機構、
46 第1吸引路、46A 第1吸引口、
47 第2吸引路、47A 第2吸引口、
48 第1吸引ポンプ、49 第2吸引ポンプ、
50 ワイパーユニット、
60 コントローラー、61 印刷処理部、
62 吸引処理部、
70 記憶部、
81 第1バルブ、82 第2バルブ、
83 吸引ポンプ、84 共通流路、85 バルブ、
M 媒体