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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169204
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】液体在庫管理システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/78 20100101AFI20241128BHJP
   G01M 3/40 20060101ALI20241128BHJP
   B67D 7/32 20100101ALI20241128BHJP
【FI】
B67D7/78 E
G01M3/40 Z
B67D7/32 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086470
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000187024
【氏名又は名称】昭和機器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前芝 信介
【テーマコード(参考)】
2G067
3E083
【Fターム(参考)】
2G067CC02
2G067CC03
2G067EE12
3E083AA03
3E083AD27
3E083AD30
3E083AJ10
(57)【要約】
【課題】液面検知装置と在庫管理データ等の分析に基づいて判定する石油在庫管理システムを連携させて運用し、お互いの欠点を補完して確実で速やかな漏えい検知と漏えい個所の特定を実現すること。
【解決手段】石油貯蔵タンク4内の液面レベル及び水面レベルを検出する磁歪式液面・水面センサー9、石油計量機17、石油運搬車28、注入量情報蓄積手段31、排出量情報蓄積手段32、増減量情報蓄積手段33、直近12時間に磁歪式液面・水面センサー9から送信される液量情報及び水量情報に基づいて、石油の漏えい又は水の混入を検知する迅速分析手段34、直近1週間に亘って各情報蓄積手段31~33に記録された情報に基づいて、石油の漏えい等を検知し異常発生箇所を特定する詳細分析手段35並びに石油貯蔵タンク状態情報を報知する石油貯蔵タンク状態報知手段36を備えている石油在庫管理システム。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体排出用配管及び液体注入用配管を有する液体貯蔵タンク内に貯蔵されている液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知し、前記液体貯蔵タンクの状態を報知する液体在庫管理システムであって、
前記液体貯蔵タンクに設置され、所定時間毎に貯蔵されている液体の液面レベル及び前記液体貯蔵タンク底部に溜まっている水の水面レベルを検出し、前記液面レベルに対応する液量情報及び前記水面レベルに対応する水量情報を送信する液面・水面センサーと、
前記液体貯蔵タンクに注入される液体の量を計量し、注入中か否かを識別するとともに、注入開始から注入終了までの時刻及び液量を記録する注入量情報蓄積手段と、
前記液体貯蔵タンクから排出される液体の量を計量し、排出中か否かを識別するとともに、排出開始から排出終了までの時刻及び液量を記録する排出量情報蓄積手段と、
前記液体貯蔵タンク内の初期液量を計測した後、所定期間経過後における前記液体貯蔵タンク内の末期液量を計測し、前記初期液量と前記所定期間中に注入及び排出された液量とから計算残液量を求め、前記計算残液量と前記末期液量との差の絶対値である増減量を計算して、計測時刻及び増減量を記録する増減量情報蓄積手段と、
直近特定期間以内に前記液面・水面センサーから送信される液量情報及び水量情報に基づいて、前記液体貯蔵タンクからの液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知し、迅速分析情報を送信する迅速分析手段と、
直近特定期間以上に亘って前記注入量情報蓄積手段に記録された注入開始から注入終了までの時刻及び液量、前記排出量情報蓄積手段に記録された排出開始から排出終了までの時刻及び液量並びに前記増減量情報蓄積手段に記録された計測時刻及び増減量に基づいて、前記液体貯蔵タンク、前記液体排出用配管及び前記液体注入用配管からの液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知するとともに異常発生箇所を特定し、詳細分析情報を送信する詳細分析手段と、
前記迅速分析手段から送信される迅速分析情報及び前記詳細分析手段から送信される詳細分析情報を受信し、受信した迅速分析情報及び詳細分析情報に基づいて、液体貯蔵タンク状態情報を報知する液体貯蔵タンク状態報知手段を備えている
ことを特徴とする液体在庫管理システム。
【請求項2】
前記迅速分析手段は、液体の排出及び注入の無い時間帯において前記液面・水面センサーから送信される安定時液量情報及び安定時水量情報に基づいて、前記液体貯蔵タンクからの液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知し、
前記増減量情報蓄積手段は、液体の排出及び注入の無い時間帯における安定時末期液量を計測し、前記計算残液量と前記安定時末期液量との差の絶対値である増減量を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体在庫管理システム。
【請求項3】
前記液体貯蔵タンク状態報知手段は、
前記迅速分析手段及び前記詳細分析手段から迅速分析情報及び詳細分析情報を受信している場合には、詳細分析情報に基づいて液体貯蔵タンク状態情報を報知し、
前記詳細分析手段からは詳細分析情報を受信しておらず、前記迅速分析手段からのみ迅速分析情報を受信している場合には、迅速分析情報に基づいて液体貯蔵タンク状態情報を報知する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体在庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンスタンド等に設置されている石油貯蔵タンク(通常は地下タンク)や化学工場等に設置されている溶剤貯蔵タンク等の、液体貯蔵タンクに液体を注入する液体注入系統及び液体貯蔵タンクから液体を排出する液体排出系統における異常発生箇所を検知するために用いられる液体在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体貯蔵タンクの漏えい等を検知するため、各種の液面検知装置や在庫管理データ等の分析に基づいて判定する液体在庫管理システムが利用されている。
例えば、本出願人は、特許文献1(特開2005-351767号公報)に記載されているように、液体貯蔵タンク内の油面レベルを検出するための第1のフロートと水面レベルを検出するための第2のフロートとを備え、液面レベルの単位時間当たりの変動が所定量以上であるか否かを演算し、その演算結果と水面レベルの検出結果に基づいて、液体貯蔵タンク内に水が溜まっているか否かを正確に検知することのできる磁歪式液面計を開発している(特に、段落0008~0011、0017及び図1を参照)。
また、特許文献2(特開2016-156699号公報)には、車両に燃料を供給するサービスステーション(SS)における燃料の貯蔵システムの異常を検出する異常検知方法及び異常検知装置であって、タンクローリー車(106)から貯蔵タンク(102)への注入量、貯蔵タンク(102)内に貯蔵される燃料油の増減量、及び計量機(104)から車両への注出量等に基づいて、燃料の漏洩或いは水混入の可能性及びその発生箇所を判定する点が記載されている(特に、段落0022、0032~0044及び図1を参照)。
さらに、特許文献3(特開2013-43648号公報)には、燃料油を貯留する地下タンク(20)を備えた給油所における記録帳データと、該記録帳データを統計処理して得られた統計分析データと、燃料油の静止時の液面変動データとを記録し、記録帳データ、統計分析データ及び静止時の液面変動データの少なくとも一つが異常であることを検出したときに地下タンクに燃料油の漏洩があると判定し報知する在庫管理システムが記載されている(特に、要約、段落0022、0032~0055及び図1を参照)。
【0003】
しかし、液面検知装置は、地下貯蔵タンクの液相部のみの漏えい検知が可能なものであり、気相部や配管についての漏えいは検知することができず、在庫管理データ等の分析に基づいて判定する在庫管理システムは、地下貯蔵タンクと給油管、注油管からの漏えい検知が可能であるが、どこから漏れているかの部位を特定することができない。従来は、これらの装置やシステムが別々に運用されており、両者の連携が取れていなかった。
そして、特許文献1に記載されている発明は、液体貯蔵タンク内に水が溜まっているか否かを正確に検知するものであって、この発明で利用している磁歪式液面計を液体貯蔵タンクの漏えい等の検知に用いることに関しては何ら記載されていない。
また、特許文献2には、燃料の貯蔵システムにおける燃料の漏洩或いは水混入の可能性及びその発生箇所を判定する点が記載されているものの、油面計(108)は貯蔵タンク(102)内に貯蔵される燃料油の増減量を演算するために用いられているに過ぎない。
さらに、特許文献3は、記録帳データ、統計分析データ及び静止時の液面変動データの少なくとも一つが異常であることを検出したときに地下タンクに燃料油の漏洩があると判定し報知するが、それぞれの判定は独立しており、それらのデータを総合した判定は行われておらず、どの判定を優先して報知するかについても考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-351767号公報(特許第4149963号公報)
【特許文献2】特開2016-156699号公報(特許第6497970号公報)
【特許文献3】特開2013-43648号公報(特許第5673437号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、液面検知装置と在庫管理データ等の分析に基づいて判定する在庫管理システムを連携させて運用し、お互いの欠点を補完して確実で速やかな漏えい検知と異常発生箇所の特定を実現することである。具体的には、液体貯蔵タンク内の液量、液体計量機から車両等への液体排出量及び液体貯蔵タンクへの液体注入量を特定期間以上分析することによって、液体貯蔵タンクや配管からの漏えい等を検知し、異常発生箇所を特定できるようにするとともに、精度の高い液面・水面センサー(例えば磁歪式液面・水面センサー)を用いて液体貯蔵タンク内の液面レベル及び水面レベルを検出し、特定期間以内に液体貯蔵タンクの液相部からの漏えいや液体貯蔵タンクへの水の混入を検知することが可能な液体在庫管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための請求項1に係る発明は、液体排出用配管及び液体注入用配管を有する液体貯蔵タンク内に貯蔵されている液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知し、前記液体貯蔵タンクの状態を報知する液体在庫管理システムであって、
前記液体貯蔵タンクに設置され、所定時間毎に貯蔵されている液体の液面レベル及び前記液体貯蔵タンク底部に溜まっている水の水面レベルを検出し、前記液面レベルに対応する液量情報及び前記水面レベルに対応する水量情報を送信する液面・水面センサーと、
前記液体貯蔵タンクに注入される液体の量を計量し、注入中か否かを識別するとともに、注入開始から注入終了までの時刻及び液量を記録する注入量情報蓄積手段と、
前記液体貯蔵タンクから排出される液体の量を計量し、排出中か否かを識別するとともに、排出開始から排出終了までの時刻及び液量を記録する排出量情報蓄積手段と、
前記液体貯蔵タンク内の初期液量を計測した後、所定期間経過後における前記液体貯蔵タンク内の末期液量を計測し、前記初期液量と前記所定期間中に注入及び排出された液量とから計算残液量を求め、前記計算残液量と前記末期液量との差の絶対値である増減量を計算して、計測時刻及び増減量を記録する増減量情報蓄積手段と、
直近特定期間以内に前記液面・水面センサーから送信される液量情報及び水量情報に基づいて、前記液体貯蔵タンクからの液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知し、迅速分析情報を送信する迅速分析手段と、
直近特定期間以上に亘って前記注入量情報蓄積手段に記録された注入開始から注入終了までの時刻及び液量、前記排出量情報蓄積手段に記録された排出開始から排出終了までの時刻及び液量並びに前記増減量情報蓄積手段に記録された計測時刻及び増減量に基づいて、前記液体貯蔵タンク、前記液体排出用配管及び前記液体注入用配管からの液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知するとともに異常発生箇所を特定し、詳細分析情報を送信する詳細分析手段と、
前記迅速分析手段から送信される迅速分析情報及び前記詳細分析手段から送信される詳細分析情報を受信し、受信した迅速分析情報及び詳細分析情報に基づいて、液体貯蔵タンク状態情報を報知する液体貯蔵タンク状態報知手段を備えていることを特徴としている。
【0007】
上記の課題を解決するための請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の液体在庫管理システムにおいて、
前記迅速分析手段は、液体の排出及び注入の無い時間帯において前記液面・水面センサーから送信される安定時液量情報及び安定時水量情報に基づいて、前記液体貯蔵タンクからの液体の漏えい又は前記液体貯蔵タンクへの水の混入を検知し、
前記増減量情報蓄積手段は、液体の排出及び注入の無い時間帯における安定時末期液量を計測し、前記計算残液量と前記安定時末期液量との差の絶対値である増減量を計算することを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決するための請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の液体在庫管理システムにおいて、
前記液体貯蔵タンク状態報知手段は、
前記迅速分析手段及び前記詳細分析手段から迅速分析情報及び詳細分析情報を受信している場合には、詳細分析情報に基づいて液体貯蔵タンク状態情報を報知し、
前記詳細分析手段からは詳細分析情報を受信しておらず、前記迅速分析手段からのみ迅速分析情報を受信している場合には、迅速分析情報に基づいて液体貯蔵タンク状態情報を報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1又は2に係る発明によれば、液面検知装置と在庫管理データ等の分析に基づいて判定する液体在庫管理システムを連携させて運用し、お互いの欠点を補完して確実で速やかな漏えい検知と漏えい個所の特定を実現することができる。
具体的には、液体貯蔵タンク内の液量及び水量を検出することで、特定期間以内(通常は1日以内)に液体貯蔵タンクの液相部からの漏えいや液体貯蔵タンクへの水の混入を検知することができ、さらに、液体貯蔵タンク内の液量、液体計量機からの液体排出量及び液体貯蔵タンクへの液体注入量を特定期間以上(通常は2日以上)分析することによって、液体貯蔵タンクや配管からの漏えい等を検知して異常発生箇所を特定できる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明による効果に加え、詳細分析手段から詳細分析情報を受信していないときにおいても、迅速分析情報に基づいて液体貯蔵タンク状態情報を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に係る石油在庫管理システムのブロック図。
図2】実施例1の迅速分析手段34における処理手順のフローチャート。
図3】実施例1の注入量情報蓄積手段31における処理手順のフローチャート。
図4】実施例1の排出量情報蓄積手段32における処理手順のフローチャート。
図5】実施例1の増減量情報蓄積手段33における処理手順のフローチャート。
図6】実施例1の詳細分析手段35における処理手順のフローチャート。
図7】実施例2の水位監視手段における処理手順のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例0013】
図1は、実施例1に係る石油在庫管理システムのブロック図である。
図1に示すように、実施例1に係る石油在庫管理システムは次の構成を備えている。
(1)石油排出用配管1(「サクション配管」ともいう。)、石油注入用配管2及び通気用配管3を有する石油貯蔵タンク4。
そして、石油排出用配管1は点検用の分岐端部を閉鎖する蓋5を有しており、石油注入用配管2の端部には口金6が設けてあり、通気用配管3は点検用の分岐端部を閉鎖する蓋7を有するとともに、外部に延びる端部には通気口8が設けてある。
【0014】
(2)所定時間毎(例えば1秒毎)に貯蔵されている石油の液面レベル及び石油貯蔵タンク4の底部に溜まっている水の水面レベルを検出し、液面レベルに対応する液量情報及び水面レベルに対応する水量情報を送信する磁歪式液面・水面センサー9。
そして、磁歪式液面・水面センサー9は、石油貯蔵タンク4の上方に設置される検出部10、検出部10の下部から石油貯蔵タンク4の底部まで延びるリードパイプ11(金属管)、検出部10からリードパイプ11の下端部まで延びる磁歪線12、磁歪線12の上端部に設けてある振動検出コイル13、リードパイプ11の外側を上下にスライド可能で磁石を内蔵している上部フロート14及び下部フロート15、検出した液面レベル及び水面レベルに対応する液量情報及び水量情報を送信するレベル情報送信部16を有している。
なお、磁歪式液面・水面センサー9によれば、磁歪線12に供給されるパルス電流と磁石による磁界との相互作用により磁歪線12に発生するねじれ歪の超音波振動パルスの発生位置に応じて、パルス電流を供給してから振動検出コイル13によって受信パルスが得られるまでの経過時間が変化するところ、上部フロート14の比重を貯蔵されている石油より小さく、下部フロート15の比重を貯蔵されている石油より大きく水より小さくすると、上部フロート14及び下部フロート15に内蔵されている磁石の高さは、それぞれ液面レベル及び水面レベルに応じた高さになるので、上記の経過時間を計測することによって正確な液面レベル及び水面レベルを計測することができ、液面レベル及び水面レベルに対応する液量情報及び水量情報を随時取得することができる。
【0015】
(3)石油貯蔵タンク4内に貯蔵されている石油を汲み上げて、車両や石油容器等へ石油を排出することができ、排出した石油の量を計量した上で排出終了後に石油排出量情報を送信する石油計量機17。
そして、石油計量機17の内部には石油排出用配管1の一端部に接続されるポンプ18が設けられ、側面には給油ノズル19に接続された給油ホース20が引き出されており、給油時には給油ノズル19から排出した石油の量を計量して前面に設けられている表示部21に排出した石油量等を表示するとともに、給油が終了して給油ノズル19をノズル掛け22に戻すと石油排出量情報を送信するようになっている。
また、石油排出用配管1の他端部(石油貯蔵タンク4内)には、タンク内の石油を汲み上げる際に水等が混入しないようにするため、除水器23が設けてある。
【0016】
(4)石油排出用配管1の一部及び蓋5、通気用配管3の上部、蓋7及び通気口8並びに磁歪式液面・水面センサー9の上部(リードパイプ11の上部、磁歪線12の上部、振動検出コイル13及びレベル情報送信部16)を収容するマンホール24。
そして、マンホール24の開口部には着脱可能な鉄蓋25が設けてある。
(5)石油積載用タンク26、石油積載用タンク26内の石油を石油貯蔵タンク4に注入するための石油注入用ホース27を有するタンクローリー等の石油運搬車28。
なお、石油注入用ホース27の端部には接続具29が設けてあり、接続具29は石油注入用配管2端部の口金6に対して容易に脱着することができるので、石油積載用タンク26から石油を漏らすことなく石油貯蔵タンク4に注入することができる。
(6)クレジットカード等を読み取るカードリーダ、データ入力用のキーボード、データ等を表示する表示装置、伝票等を印字するプリンター、これらを制御する制御装置等で構成され、石油計量機17からの給油要求信号を受信して給油許可信号を出力した後、石油計量機17から送信される石油排出量情報に基づいて清算処理や売上げ管理を行うとともに、磁歪式液面・水面センサー9のレベル情報送信部16から送信される液量情報及び水量情報並びに石油運搬車28の計量送信手段から送信される石油注入量情報を受信して、タンク残量や石油運搬車28からの注入量等の管理を行うPOS端末30。
【0017】
(7)磁歪式液面・水面センサー9のレベル情報送信部16から送信される液量情報及び水量情報に基づいて、注入中であるか否かを示す注入中フラグFiを作成し、石油貯蔵タンク4への石油の注入開始及び注入終了を判定し、注入メモリに注入開始時刻、注入開始時の液量、注入終了時刻及び注入終了時の液量を記録する注入量情報蓄積手段31。
(8)石油計量機17から送信される排出開始信号、排出終了信号及び排出量SDに基づいて、排出中であるか否かを示す排出中フラグFdを作成し、排出開始時刻、排出終了時刻及び排出量SDを記録する排出量情報蓄積手段32。
(9)磁歪式液面・水面センサー9のレベル情報送信部16から送信される液量情報及び水量情報に基づいて、石油貯蔵タンク4内の初期液量を計測した後、所定期間経過後における石油貯蔵タンク4内の末期液量を計測し、注入メモリに記録された注入開始時刻、注入開始時の液量、注入終了時刻及び注入終了時の液量並びに排出メモリに記録された排出開始時刻、排出終了時刻及び排出量SDに基づいて、初期液量と所定期間中に注入及び排出された液量とから計算残液量を求め、計算残液量と末期液量との差の絶対値である増減量を計算し増減量メモリに計測時刻及び増減量を記録する増減量情報蓄積手段33。
【0018】
(10)直近特定期間以内(例えば12時間)において、情報取得間隔Ta毎(例えば10分毎)に受信した液量情報及び水量情報に基づいて、石油貯蔵タンク4からの石油の漏えい又は石油貯蔵タンク4への水の混入を検知し、石油の漏えいの有無及び水の混入の有無に関する迅速分析情報を送信する迅速分析手段34。
(11)直近特定期間以上(例えば1週間)に亘って注入量情報蓄積手段31に記録された注入開始から注入終了までの時刻及び液量、排出量情報蓄積手段32に記録された排出開始から排出終了までの時刻及び液量並びに増減量情報蓄積手段33に記録された計測時刻及び増減量に基づいて、石油貯蔵タンク4、石油排出用配管1及び石油注入用配管2からの石油の漏えい又は石油貯蔵タンク4への水の混入を検知するとともに、異常発生箇所が石油貯蔵タンク4、石油排出用配管1及び石油注入用配管2のいずれであるか特定し、石油の漏えいの有無、水の混入の有無及び異常発生箇所に関する詳細分析情報を送信する詳細分析手段35。なお、詳細分析手段35は、ガソリンスタンド等から離れた分析センター等に設置されており、時刻、液量及び増減量等の情報は、適宜の通信回線(図1ではインターネット回線)を介して受信している。
(12)迅速分析手段34から送信される迅速分析情報及び詳細分析手段35から送信される詳細分析情報を受信し、受信した迅速分析情報及び詳細分析情報に基づいて、石油貯蔵タンク状態情報を報知する石油貯蔵タンク状態報知手段36。
【0019】
図2は、実施例1の迅速分析手段34における処理手順のフローチャートである。
その処理は、以下の手順1~11によって石油貯蔵タンク4内の液量及び水量に異常があるかないかを判定記録する。以下、各手順について説明する。
【0020】
(手順1)<条件設定>
情報取得間隔Ta(分):例えば10分、大量で突発的に発生する石油の漏えい等を検知するための短期液量変動許容値LVS(リットル/10分):例えば2リットル/10分、微少な石油の漏えい等を検知するための長期液量変動許容値LVL(リットル/時):例えば0.38リットル/時、微少な水の漏えい等を検知するための長期水量変動許容値WVL(リットル/時):例えば0.38リットル/時及びタンク容量に応じて微少な石油又は水の漏えい等を検知するために必要な情報取得回数J(回):例えば7回(7回目の情報取得は1回目の情報取得から1時間経過後となる)を設定し、手順2に進む。
(手順2)カウンタ値nをリセットし、初期値を1とした後、手順3に進む。
(手順3)<Ta経過毎の情報取得並びに注入中フラグ及び排出中フラグの取得>
情報取得間隔Taが経過する度に、n回目の時刻情報Tn、液量LVn及び水量WVn並びに石油の注入中及び排出中にそれぞれONとなる注入中フラグFi及び排出中フラグFdを取得した後、手順4に進む。
なお、注入中フラグFi及び排出中フラグFdは、主として詳細分析手段35で利用される情報を蓄積するための注入量情報蓄積手段31及び排出量情報蓄積手段32において作成されるものであるが、その詳細については後述する。
(手順4)手順3で取得した注入中フラグFi又は排出中フラグFdがONとなっているか否かに応じて、石油が注入中でなく排出中でもないかを判定し、Yesであれば手順5に進み、No(注入中又は排出中)であれば手順2に戻る。
【0021】
(手順5)短期液量変化量LASnを次の式1を演算して算出し、手順6に進む。
LASn=|LVn-LVn-1|・・・・・(式1)
(手順6)短期液量変化量LASnが短期液量変動許容値LVS以上であれば短期液量異常と判定して手順7に進み、短期液量変動許容値LVS未満であれば短期液量正常と判定して手順7に進む。
(手順7)カウンタ値nがJに達していれば手順8に進み、達していなければn=n+1とした上で手順3に戻る。
(手順8)長期液量変化量LALnを次の式2を演算して算出し、長期水量変化量WALnを次の式3を演算して算出し、手順9に進む。
LALn=|LVn-LV|・・・・・(式2)
WALn=|WVn-WV|・・・・・(式3)
(手順9)長期液量変化量LALnが長期液量変動許容値LVL以上であれば液量異常と判定して手順10に進み、長期液量変動許容値LVL未満であれば液量正常と判定して手順10に進む。
(手順10)長期水量変化量WALnが長期水量変動許容値WVL以上であれば水量異常と判定して手順11に進み、長期水量変動許容値WVL未満であれば水量正常と判定して手順11に進む。
(手順11)短期液量変化量LASn、長期液量変化量LALn及び長期水量変化量WALnを、液量・水量メモリに記録して手順2に戻る。
【0022】
図3は、実施例1の注入量情報蓄積手段31における処理手順のフローチャートである。
その処理は、以下の手順I1~I11によって石油貯蔵タンク4への石油の注入開始及び注入終了を判定し、注入開始時刻及び注入開始時の液量(注入前液量DS)並びに注入終了時刻及び注入終了時の液量(注入後液量DE)を記録する。以下、各手順について説明する。
【0023】
(手順I1)<条件設定>
情報取得間隔Tb(秒):例えば10秒、磁歪式液面・水面センサー9で計測した液量を10秒間隔で確認し、タンクへの注入開始を判定するための注入開始判定値PDS(リットル/10秒):例えば100リットル/10秒及びタンクへの注入終了を判定するための注入終了判定値PDE(リットル/10秒):例えば50リットル/10秒を設定し、手順I2に進む。
(手順I2)カウンタ値n及び注入中フラグFiをリセットし、nを1、FiをOFFとした後、手順I3に進む。
(手順I3)<Tb経過毎の情報取得>
情報取得間隔Tbが経過する度に、n回目の時刻情報Tn、n回目の液量情報Pnを取得する。
(手順I4)注入中フラグFiがOFFかONかに応じて、Fi=OFFであれば手順I5に進み、Fi=ONであれば手順I9に進む。
【0024】
(手順I5)n回目の液量情報Pnからn-1回目の液量情報Pn-1を引いた値の絶対値が注入開始判定値PDS以上か否か、すなわち|Pn-Pn-1|≧PDSであるか否かを判定し、Noであれば手順I6に進んでn=n+1とした上で手順I3に戻る。また、Yesであれば手順I7に進んで注入中フラグFiをONとした上で手順I8に進む。
(手順I8)手順I3で取得したn-1回目の時刻情報Tn-1及び液量情報Pn-1を、それぞれ注入開始時刻Tis及び注入前液量DSとして注入メモリに記録し、手順I6に進んでn=n+1とした上で手順I3に戻る。
(手順I9)n回目の液量情報Pnからn-1回目の液量情報Pn-1を引いた値の絶対値が注入終了判定値PDE以下か否か、すなわち|Pn-Pn-1|≦PDEであるか否かを判定し、Noであれば手順I6に進んでn=n+1とした上で手順I3に戻る。また、Yesであれば手順I10に進んで終了タイマーを起動し、タイムアップまで待機した後、手順I11に進む。
(手順I11)手順I3で取得したn回目の時刻情報Tn及び液量情報Pnを、それぞれ注入終了時刻Tie及び注入後液量DEとして注入メモリに記録し、手順I2に戻る。
【0025】
図4は、実施例1の排出量情報蓄積手段32における処理手順のフローチャートである。
その処理は、以下の手順D1~D11によって石油貯蔵タンク4からの石油の排出開始及び排出終了を判定し、排出開始時刻Tds並びに排出終了時刻Tde及び排出量SDを記録する。以下、各手順について説明する。
【0026】
(手順D1)<条件設定>
情報取得間隔Tc(秒):例えば1秒を設定し、手順D2に進む。
(手順D2)カウンタ値n及び排出中フラグFdをリセットし、n=1、排出中フラグFdをOFFとした後、手順D3に進む。
(手順D3)<Tc経過毎の情報取得>
情報取得間隔Tcが経過する度に、n回目の時刻情報Tnを取得し、手順D4に進む。
(手順D4)排出中フラグFdがOFFかONかに応じて、FdがOFFであれば手順D5に進み、FdがONであれば手順D9に進む。
【0027】
(手順D5)石油計量機17から排出開始信号を受信しているか判定し、受信していなければ手順D6に進んでn=n+1とした上で手順D3に戻る。また、受信していれば手順D7に進んで排出中フラグFdをONとした上で手順D8に進む。
(手順D8)手順D3で取得したn回目の時刻情報Tnを排出開始時刻Tdsとして排出メモリに記録し、手順D6に戻ってn=n+1とした上で手順D3に戻る。
(手順D9)石油計量機17から排出終了信号を受信しているか判定し、受信していなければ手順D6に戻ってn=n+1とした上で手順D3に戻る。また、受信していれば手順D10に進んで石油計量機17から排出量SDの情報を取得し、手順D11に進む。
(手順D11)手順D3で取得したn回目の時刻情報Tnを排出終了時刻Tdeとし、手順D10で取得した排出量SDとともに排出メモリに記録して手順D2に戻る。
【0028】
そして、注入量情報蓄積手段31における処理の手順I8及び手順I11において注入メモリに記録された注入開始時刻Tis、注入前液量DS、注入終了時刻Tie及び注入後液量DE並びに排出量情報蓄積手段における処理の手順D8及び手順D11において排出メモリに記録された排出開始時刻Tds、排出終了時刻Tde及び排出量SDに基づいて、注入開始時刻Tisから注入終了時刻Tieの間に排出された排出量SDの総和である累積排出量SAを算出し、注入時増減量DVAを次の式4を演算して算出し、注入メモリに注入開始時刻Tis、注入終了時刻Tie及び注入時増減量DVAを対応付けて記録する。
DVA=DE-DS+SA・・・・・(式4)
【0029】
図5は、実施例1の増減量情報蓄積手段33における処理手順のフローチャートである。
その処理は、以下の手順Z1~Z11によって設定された情報取得間隔Tdに到達する度に各種情報を取得し、計算残液量LVCと実液量LVとの差の絶対値である増減量AIDを計算し、増減量メモリに情報取得時刻Teとともに増減量AIDを記録する。以下、各手順について説明する。
【0030】
(手順Z1)<条件設定>
情報取得間隔Td(時間):例えば4時間を設定し、手順Z2に進む。
(手順Z2)情報取得用タイマーをリセットし、手順Z3に進む。
(手順Z3)<初期情報の取得>
情報取得用タイマーをリセットした時点における初期時刻情報T0及び初期液量情報LV0を取得し、手順Z4に進む。
(手順Z4)情報取得用タイマーが情報取得間隔Tdに到達したか判定し、到達していなければ手順Z4を繰り返し、到達していれば手順Z5に進む。
(手順Z5)注入量情報蓄積手段31及び排出量情報蓄積手段32において作成される注入中フラグFi及び排出中フラグFdを取得しているか否かに応じて、石油が注入中でなく排出中でもないかを判定し、No(注入中又は排出中)であれば手順Z5を繰り返し、Yesであれば手順Z6に進む。
【0031】
(手順Z6)<各種情報の取得>
情報取得用タイマーがタイムアップし、石油が注入中でなく排出中でもなくなった時点における末期時刻情報Te及び末期液量情報LVeを取得する。また、注入メモリに記録された情報に基づいて情報取得間隔Tdにおける石油の累積注入量DVCを算出するとともに、排出メモリに記録された情報に基づいて情報取得間隔Tdにおける石油の累積排出量SVCを算出し、手順Z7に進む。
(手順Z7)<計算残液量の算出>
計算残液量LVCを次の式5を演算して算出し、手順Z8に進む。
LVC=LV0+DVC-SVC・・・・・(式5)
(手順Z8)<増減量の算出>
増減量AIDを次の式6を演算して算出し、手順Z9に進む。
AID=|LVe-LVC|・・・・・・・(式6)
(手順Z9)手順Z3及び手順Z6~Z8で取得又は算出した初期時刻T0、末期時刻Te、末期液量LVe、累積注入量DVC、累積排出量SVC、計算残液量LVC及び増減量AIDを増減量メモリに記録して手順Z2に戻り、次期情報取得間隔の処理を行う。
【0032】
図6は、実施例1の詳細分析手段35における処理手順のフローチャートである。
その処理は任意のタイミングでスタートし、以下の手順A~Lによって、設定された分析間隔Rpに到達した時点で、直近の分析データ日数d日分の各種のデータを取得して各種増減量、液量及び水量に異常があるかないかを判定し、それらの判定結果に基づいて総合判定を行い、石油貯蔵タンク4や配管等における異常発生箇所を特定して処理を終了する。以下、各手順について説明する。
【0033】
(手順A)<条件設定>
分析間隔Rp(時間):例えば24時間、分析データ日数d(日):例えば10日、増減量許容値As(%):例えば、各増減量AIDの取得期間における累積排出量の1%、長期液量変化許容値Ls(リットル/時):例えば、各増減量AIDの取得期間における平均値が0.38リットル/時、長期水量変化許容値Ws(リットル/時):例えば0.38リットル/時及び注入時増減量許容値Ds(%):例えば、各増減量AIDの取得期間における累積排出量の2%を設定し、手順Bに進む。
(手順B)データ取得用タイマーをリセットし、手順Cに進む。
(手順C)データ取得用タイマーが分析間隔Rpに到達したか判定し、到達していなければ手順Cを繰り返し、到達していれば手順Dに進む。
(手順D)<直近d日間のデータ取得>
増減量メモリから直近d日間の増減量AIDと、各増減量AIDの取得期間における液量・水量メモリに記録されている長期液量変化量LALn及び長期水量変化量WALnと、注入メモリに記録されている注入時増減量DVAと、排出メモリに記録されている排出開始時刻Tds、排出終了時刻Tde及び排出量SDを取得し、手順Eに進む。
【0034】
(手順E)各増減量AIDの取得期間における増減量AIDと、同期間における排出量SDの総和との比率が、増減量許容値As以上であれば増減量AIDに異常ありと判定して手順Fに進み、As未満であれば増減量AIDに異常なしと判定して手順Fに進む。
(手順F)各増減量AIDの取得期間における長期液量変化量LALnの平均値が、長期液量変化許容値Ls以上であれば長期液量変化量LALnに異常ありと判定して手順Gに進み、Ls未満であれば長期液量変化量LALnに異常なしと判定して手順Gに進む。
(手順G)各増減量AIDの取得期間における長期水量変化量WALnの平均値が、長期水量変化許容値Ws以上であれば長期水量変化量WALnに異常ありと判定して手順Hに進み、Ws未満であれば長期水量変化量WALnに異常なしと判定して手順Hに進む。
(手順H)各増減量AIDの取得期間における注入時増減量DVAの平均値と、同期間における排出量SDの総和との比率が、注入時増減量許容値Ds以上であれば注入時増減量DVAに異常ありと判定して手順Iに進み、Ds未満であれば注入時増減量DVAに異常なしと判定して手順Iに進む。
【0035】
(手順I)直近d日間の全増減量AIDの取得期間について、手順E~Hの判定が終了したら、増減量AID、長期液量変化量LALn、長期水量変化量WALn及び注入時増減量DVAについての判定結果を判定結果メモリに記録して手順Jに進む。
(手順J)手順Iで判定結果メモリに記録された全判定結果に基づいて総合判定を行い、異常発生箇所として石油注入用配管2、石油貯蔵タンク4及び石油計量機17等を特定して処理を終了する。
以下に、総合判定における判定例について説明する。
(判定例1)AID、LALn及びWALnは異常なし、DVAのみに異常がある場合は、石油注入用配管2の異常と判定する。
(判定例2)AID、LALn及びDVAは異常なし、WALnのみに異常がある場合は、石油貯蔵タンク4の異常と判定する。
(判定例3)LALn、WALn及びDVAは異常なし、AIDのみに異常がある場合は、石油計量機17の異常と判定する。
【0036】
上記のとおり、実施例1の迅速分析手段34は、手順3~6によって情報取得間隔Taが経過する度に短期液量異常の有無を判定し、手順7~10によってJ回目の情報を取得する度に液量異常及び水量異常の有無を判定し、いずれかの異常有りと判定した時点及び処理を終了し液量・水量メモリに判定結果を記録した時点で石油貯蔵タンク状態報知手段36に迅速分析情報を送信する。
また、実施例1の詳細分析手段35は、手順E~Hに記載したとおり、各増減量AIDの取得期間における増減量AID、長期液量変化量LALn、長期水量変化量WALn及び注入時増減量DVAの異常有無を判定し、手順I及びJに記載したとおり、全ての判定結果を判定結果メモリに記録するとともに、全判定結果に基づいて総合判定を行い、異常発生箇所として石油注入用配管2、石油貯蔵タンク4及び石油計量機17等を特定して詳細分析情報が作成され、石油貯蔵タンク状態報知手段36に迅速分析情報を送信する。
そして、迅速分析手段34から送信される迅速分析情報及び詳細分析手段35から送信される詳細分析情報を受信した石油貯蔵タンク状態報知手段36は、迅速分析情報及び詳細分析情報の両方を受信している場合には、詳細分析情報に基づいて石油貯蔵タンク状態情報を報知し、迅速分析情報のみを受信している場合には、迅速分析情報に基づいて石油貯蔵タンク状態情報を報知する。報知の態様としては画面上に文字で表示するが、文字に加えて図で異常箇所を表示しても良いし、さらに音声による報知を加えても良い。
【実施例0037】
実施例2は実施例1の全構成を有するとともに、水位監視手段を追加したものであり、図7は実施例2の水位監視手段における処理手順のフローチャートである。
その処理は、以下の手順W1~W6によって設定された情報取得間隔Tcに到達する度に水位の情報等を取得し、水位異常有りと判定して液量・水量メモリに水位判定結果を記録した時点及び水位判定結果を記録し処理を終了した時点で、石油貯蔵タンク状態報知手段36に水位異常有り又は無しの情報を送信する。以下、各手順について説明する。
そして、水位監視手段以外の構成は、実施例1と同じなので説明は省略する。
【0038】
(手順W1)<条件設定>
情報取得間隔Tc(秒):例えば1秒、石油貯蔵タンク4内における水分の蓄積による水位の上昇を検知するための水位異常判定値WLs(mm):例えば35mmを設定し、手順W2に進む。
(手順W2)<Tc経過毎の情報取得>
情報取得間隔Tcが経過する度に、水位WL、注入中フラグFi及び排出中フラグFdを取得した後、手順W3に進む。
(手順W3)手順2で取得した注入中フラグFi又は排出中フラグFdがONとなっているか否かに応じて、石油が注入中でなく排出中でもないかを判定し、Yesであれば手順W4に進み、No(注入中又は排出中)であれば手順W2に戻る。
【0039】
(手順W4)水位WLが水位異常判定値WLs以上であれば水位異常と判定して手順W5に進み、WLs未満であれば水位正常と判定して手順W5に進む。
(手順W5)手順W4で水位異常有りと判定した場合には、液量・水量メモリに水位異常有りという判定結果を記録するとともに石油貯蔵タンク状態報知手段36に水位異常有りの情報を送信した後、手順W2に戻る。また、手順W4で水位正常と判定した場合には、液量・水量メモリに水位正常という判定結果を記録するとともに石油貯蔵タンク状態報知手段36に水位正常の情報を送信した後、手順W2に戻る。
そして、水位監視手段から水位異常有りの情報を受信した石油貯蔵タンク状態報知手段36は、直ちに石油貯蔵タンク4内における水位が上昇していることを報知する。
そのため、実施例2に係る石油在庫管理システムによれば、長期水量変動許容値WVLを下回る量で、石油貯蔵タンク4内に徐々に蓄積する水分による水位の上昇を常時検知するので、ガソリンスタンド等のスタッフに対して、そのような水位の上昇による石油貯蔵タンク4内の水位異常を迅速に報知することができる。
【0040】
実施例1及び2に係る石油在庫管理システムに関する変形例を列記する。
(変形例1)実施例1及び2は、石油在庫管理システムであったが、石油に限らず化学工場等で利用される溶剤等の在庫管理システムとしても良い。そのため、名称は液体在庫管理システムとし、特許請求の範囲では各構成の「石油」を「液体」に変更してある。
(変形例2)実施例1及び2においては、石油貯蔵タンク4は通気用配管3を有していたが、通気用配管3に代えて石油貯蔵タンク4の上面に通気用穴を設けても良い。
(変形例3)実施例1及び2においては、磁歪式液面・水面センサー9を用いたが、精度の高い液面・水面センサーであれば磁歪式液面・水面センサーでなくても良い。
(変形例4)実施例1及び2においては、ガソリンスタンド等に迅速分析手段34及び石油貯蔵タンク状態報知手段36が設置され、ガソリンスタンド等から離れた分析センター等に詳細分析手段35が設置されていたが、迅速分析手段34、詳細分析手段35及び石油貯蔵タンク状態報知手段36を、全てガソリンスタンド等に設置して一体型としても良く、迅速分析手段34及び詳細分析手段35を分析センター等に設置し、石油貯蔵タンク状態報知手段36をガソリンスタンド等に設置しても良い。
【0041】
(変形例5)実施例1及び2の注入量情報蓄積手段31においては、手順I5及びI7で|Pn-Pn-1|≧PDSであれば注入中フラグFiをONとし、手順I9~I11及びI2で|Pn-Pn-1|≦PDEであれば注入中フラグFiをOFFとしたが、石油運搬車27から注入開始信号を送信し、同信号を受信していれば注入中フラグFiをONとし、受信していなければ注入中フラグFiをOFFとしても良い。
(変形例6)実施例1及び2の注入量情報蓄積手段31においては、手順I8で注入前液量DSを注入メモリに記録し、手順I11で注入後液量DEを注入メモリに記録したが、石油運搬車27から注入量を送信し、注入前液量DS及び注入後液量DEに代えて、送信された注入量を注入メモリに記録しても良い。
【0042】
(変形例7)実施例1及び2の排出量情報蓄積手段32においては、手順D5及びD7で石油計量機17から排出開始信号を受信しているか判定し、受信していれば手順D7に進んで排出中フラグFdをONとし、手順D8で排出開始時刻Tdsを排出メモリに記録し、手順D9~D11及びD2で石油計量機17から排出終了信号を受信しているか判定し、同信号を受信していれば排出終了時刻Tdeとともに排出量SDを排出メモリに記録し、排出中フラグFdをOFFとしたが、手順D1で排出開始判定値SDSと排出終了判定値SDEを設定し、手順D3でn回目の時刻情報Tnを取得するとともに、n回目の液量情報Pnを取得し、手順D5で|Pn-Pn-1|≧SDSであるか否かを判定し、Yesであれば手順D7に進んで排出中フラグFiをONとし、手順D8で排出開始時刻Tdsとともに排出開始前液量を排出メモリに記録し、手順D9で|Pn-Pn-1|≦SDEであれば手順D11で排出終了時刻Tdeとともに排出後液量を排出メモリに記録し、手順D2で排出中フラグFdをOFFとしても良い。
【0043】
(変形例8)実施例1及び2の詳細分析手段35は、判定結果メモリに記録された全判定結果に基づいて総合判定を行い、異常発生箇所として石油注入用配管2、石油貯蔵タンク4及び石油計量機17等を特定したが、石油注入系統、石油貯蔵タンク及び石油排出系統のいずれが異常発生箇所かを報知しても良い。また、逆に複数ある石油計量機別に排出量を計測したり、配車される石油運搬車別に注入量を計測したりして、どの石油計量機や石油運搬車が原因かを特定しても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 石油排出用配管 2 石油注入用配管 3 通気用配管
4 石油貯蔵タンク 5 蓋 6 口金 7 蓋
8 通気口 9 磁歪式液面・水面センサー 10 検出部
11 リードパイプ 12 磁歪線 13 振動検出コイル
14 上部フロート 15 下部フロート 16 レベル情報送信部
17 石油計量機 18 ポンプ 19 給油ノズル
20 給油ホース 21 表示部 22 ノズル掛け 23 除水器
24 マンホール 25 鉄蓋 26 石油積載用タンク
27 石油注入用ホース 28 石油運搬車 29 接続具
30 POS端末 31 注入量情報蓄積手段 32 排出量情報蓄積手段
33 増減量情報蓄積手段 34 迅速分析手段
35 詳細分析手段 36 石油貯蔵タンク状態報知手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7