(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169210
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20241128BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241128BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20241128BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1368
G02F1/1339 500
G02F1/1337
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086487
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】森永 潤一
(72)【発明者】
【氏名】大上 裕之
(72)【発明者】
【氏名】吉野 光
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H192
2H290
【Fターム(参考)】
2H092GA14
2H092GA17
2H092GA26
2H092HA04
2H092JA26
2H092KA03
2H092KA04
2H092KA05
2H092KA08
2H092NA01
2H189DA07
2H189DA31
2H189DA32
2H189EA06X
2H189FA16
2H189HA16
2H189JA14
2H189LA05
2H189LA10
2H192AA24
2H192BB12
2H192BB13
2H192BB53
2H192BB66
2H192BB73
2H192BC31
2H192BC35
2H192BC42
2H192BC44
2H192CB05
2H192CB33
2H192CB34
2H192CB35
2H192CB37
2H192CB83
2H192CC55
2H192DA32
2H192EA22
2H192EA43
2H192GD12
2H192GD23
2H192JA33
2H290AA73
2H290BB44
2H290BB53
2H290BF13
2H290BF23
2H290CA12
2H290CA13
2H290CA46
(57)【要約】
【課題】FFSモードの液晶表示装置の開口率のいっそうの向上を図る。
【解決手段】液晶表示装置のアクティブマトリクス基板は、行方向に延びるゲート配線と、行方向に交差するように延びるソース配線と、フリンジ電界を生成し得る第1電極および第2電極とを有する。第1電極は、複数のスリットを有する。各画素は、行方向に画素短手方向、列方向に画素長手方向が規定される形状を有する。第1電極の各スリットは、画素短手方向に対してなす鋭角が、画素長手方向に対してなす鋭角よりも小さくなるように延びている。第1電極は、画素短手方向に対して時計回りに鋭角をなすように延びる第1スリットが形成された第1領域と、画素短手方向に対して反時計回りに鋭角をなすように延びる第2スリットが形成された第2領域とを有する。ソース配線は、平面視において、第1電極の第1領域と第2領域との境界に対応する位置で屈曲している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板の間に設けられた液晶層と、を備え、
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記アクティブマトリクス基板は、
基板と、
前記複数の画素のそれぞれに対応して設けられ、前記基板に支持された薄膜トランジスタと、
行方向に延びる複数のゲート配線と、
前記行方向に交差するように延びる複数のソース配線と、
前記液晶層に電界が印加されていないときの液晶分子の配向方位である初期配向方位を規定する配向膜と、
前記液晶分子を前記初期配向方位とは異なる方位に配向させるフリンジ電界を生成し得る第1電極および第2電極と、
を有し、
前記第1電極は、複数のスリットを有し、少なくとも1層の絶縁層を介して前記第2電極上に設けられており、
前記複数の画素のそれぞれは、前記行方向に画素短手方向が規定され、列方向に画素長手方向が規定される形状を有し、
前記第1電極の前記複数のスリットのそれぞれは、前記画素短手方向に対してなす鋭角が、前記画素長手方向に対してなす鋭角よりも小さくなるように延びており、
前記複数のスリットは、前記画素短手方向に対して時計回りに鋭角をなすように延びる複数の第1スリットと、前記画素短手方向に対して反時計回りに鋭角をなすように延びる複数の第2スリットと、を含んでおり、
前記第1電極は、前記複数の第1スリットが形成された第1領域と、前記複数の第2スリットが形成された第2領域であって、前記画素長手方向に沿って前記第1領域に隣接する第2領域とを有し、
前記複数のソース配線のそれぞれは、平面視において、前記第1電極の前記第1領域と前記第2領域との境界に対応する位置で屈曲している、液晶表示装置。
【請求項2】
前記第2電極は、前記複数の画素のそれぞれに設けられ、前記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であり、
前記第1電極は、共通電圧が印加される共通電極である、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記共通電極は、平面視において前記複数のソース配線に重なる領域に形成された複数の開口部を有する、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の開口部のそれぞれは、前記第1電極の前記第1領域と前記第2領域との境界に対応する位置で屈曲している、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記薄膜トランジスタは、半導体層、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含み、前記基板と前記半導体層との間に前記ゲート電極が配置されたボトムゲート構造を有し、
前記アクティブマトリクス基板は、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、前記薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁層とをさらに有し、
前記画素電極は、前記基板と前記ゲート絶縁層との間に設けられており、
前記画素電極と前記共通電極との間に位置する前記少なくとも1層の絶縁層は、前記ゲート絶縁層と、前記層間絶縁層とを含む、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ゲート絶縁層および前記層間絶縁層は、前記画素電極の一部を露出させる画素コンタクトホールを有し、
前記アクティブマトリクス基板は、前記共通電極と同一の透明導電膜から形成された接続電極をさらに有し、
前記薄膜トランジスタの前記ドレイン電極と、前記画素電極とは、前記画素コンタクトホールにおいて前記接続電極を介して電気的に接続されている、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1電極は、前記複数の画素のそれぞれに設けられ、前記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であり、
前記第2電極は、共通電圧が印加される共通電極である、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記アクティブマトリクス基板は、前記行方向に略平行に延びる共通配線をさらに有し、
前記共通配線は、前記共通電極に電気的に接続されている、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記共通配線は、前記複数のゲート配線と同じ導電膜から形成されている請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記共通配線は、前記第1電極の前記第1領域と前記第2領域との境界に対応する位置に配置されている、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記薄膜トランジスタは、半導体層、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含み、前記基板と前記半導体層との間に前記ゲート電極が配置されたボトムゲート構造を有し、
前記アクティブマトリクス基板は、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、前記薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁層とをさらに有し、
前記共通電極は、前記基板と前記ゲート絶縁層との間に設けられており、
前記画素電極と前記共通電極との間に位置する前記少なくとも1層の絶縁層は、前記ゲート絶縁層と、前記層間絶縁層とを含む、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記複数のスリットのそれぞれの外縁は、一対の長辺と、一対の短辺とを有し、
前記一対の短辺は、各スリットの前記画素短手方向における両端に位置しており、
前記複数のソース配線のそれぞれは、前記第1電極の前記第1領域に隣接する第1部分と、前記第1電極の前記第2領域に隣接する第2部分とを含み、
前記第1部分は、前記列方向に対して傾斜した第1方向に延びており、
前記第2部分は、前記列方向に対して傾斜し、且つ、前記第1方向とは異なる第2方向に延びており、
前記複数の第1スリットのそれぞれの外縁が有する前記一対の短辺のそれぞれは、前記第1方向に対して5°以上30°以下の角をなしており、
前記複数の第2スリットのそれぞれの外縁が有する前記一対の短辺のそれぞれは、前記第2方向に対して5°以上30°以下の角をなしている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記複数のスリットのそれぞれは、その両端近傍において屈曲している、請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記配向膜によって規定される前記初期配向方位は、前記行方向に略平行である、請求項1から13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、FFSモードで表示を行う液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレットやノートPC、スマートフォンに用いられる中小型の液晶表示装置の表示モードとして、横電界モードの一種であるフリンジフィールドスイッチング(Fringe Field Switching:FFS)モードが多く採用されている。FFSモードの液晶表示装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
FFSモードの液晶表示装置では、アクティブマトリクス基板に、フリンジ電界を生成するための一対の電極が設けられる。一対の電極のうちの一方の電極は、複数のスリットを有しており、絶縁層を介して他方の電極上に配置されている。一対の電極間に電圧を印加すると、フリンジ電界が生成され、このフリンジ電界の配向規制力により、液晶層に含まれる液晶分子の配向方向が変化する。なお、以下では、フリンジ電界を生成するための一対の電極のうち、相対的に上方、すなわち液晶層に近い側に位置する電極を「上層電極」と呼び、相対的に下方、すなわち液晶層から遠い側に位置する電極を「下層電極」と呼ぶことがある。既に説明したように、少なくとも上層電極にスリットが形成される。
【0004】
このように、FFSモードの液晶表示装置では、フリンジ電界を用いて液晶分子の配向状態が制御される。FFSモードでは、液晶分子が表示面に平行な面内で回転するので、高い視野角特性が得られる。
【0005】
また、FFSモードでは、視角方向の変化に伴う色変化(表示の色付き)を抑制するために、電圧印加時に各画素に互いに配向方位が異なる2つの液晶ドメインが形成される(以下では「デュアルドメイン配向」と称する)構成が採用されることが多い。デュアルドメイン配向を実現するための電極構造では、上層電極に、互いに異なる方向に延びる2種類のスリットが形成される。
【0006】
特許文献1には、デュアルドメイン配向を実現するための電極構造として、上層電極の2種類のスリットが、画素長手方向(ソース配線が延びる方向)に対してやや傾斜するように延びるスリット配置と、画素短手方向(ゲート配線が延びる方向)に対してやや傾斜するように延びるスリット配置とが開示されている。以下では、便宜上、前者のスリット配置を「縦向き配置」と呼び、後者のスリット配置を「横向き配置」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている横向き配置では、画素短手方向に対してやや傾斜するように延びる各スリットの両端の近傍において、ソース配線が画素長手方向に沿って延びる。このような構成において、ソース配線からスリット端までの距離や、ブラックマトリクスからスリット端までの距離をある程度以上確保することにより、表示信号が画素に保持される期間においてソース配線の電位が表示に与える悪影響や、斜め方向からの観察時に色が混ざって見える混色不良などを抑制することができる。
【0009】
しかしながら、横向き配置においてこのようにスリット端からソース配線やブラックマトリクスまでの距離をある程度以上確保した場合、画素の開口率が低下するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、FFSモードの液晶表示装置の開口率のいっそうの向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、以下の項目に記載の液晶表示装置を開示している。
【0012】
[項目1]
アクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板の間に設けられた液晶層と、を備え、
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記アクティブマトリクス基板は、
基板と、
前記複数の画素のそれぞれに対応して設けられ、前記基板に支持された薄膜トランジスタと、
行方向に延びる複数のゲート配線と、
前記行方向に交差するように延びる複数のソース配線と、
前記液晶層に電界が印加されていないときの液晶分子の配向方位である初期配向方位を規定する配向膜と、
前記液晶分子を前記初期配向方位とは異なる方位に配向させるフリンジ電界を生成し得る第1電極および第2電極と、
を有し、
前記第1電極は、複数のスリットを有し、少なくとも1層の絶縁層を介して前記第2電極上に設けられており、
前記複数の画素のそれぞれは、前記行方向に画素短手方向が規定され、列方向に画素長手方向が規定される形状を有し、
前記第1電極の前記複数のスリットのそれぞれは、前記画素短手方向に対してなす鋭角が、前記画素長手方向に対してなす鋭角よりも小さくなるように延びており、
前記複数のスリットは、前記画素短手方向に対して時計回りに鋭角をなすように延びる複数の第1スリットと、前記画素短手方向に対して反時計回りに鋭角をなすように延びる複数の第2スリットと、を含んでおり、
前記第1電極は、前記複数の第1スリットが形成された第1領域と、前記複数の第2スリットが形成された第2領域であって、前記画素長手方向に沿って前記第1領域に隣接する第2領域とを有し、
前記複数のソース配線のそれぞれは、平面視において、前記第1電極の前記第1領域と前記第2領域との境界に対応する位置で屈曲している、液晶表示装置。
【0013】
[項目2]
前記第2電極は、前記複数の画素のそれぞれに設けられ、前記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であり、
前記第1電極は、共通電圧が印加される共通電極である、項目1に記載の液晶表示装置。
【0014】
[項目3]
前記共通電極は、平面視において前記複数のソース配線に重なる領域に形成された複数の開口部を有する、項目2に記載の液晶表示装置。
【0015】
[項目4]
前記複数の開口部のそれぞれは、前記第1電極の前記第1領域と前記第2領域との境界に対応する位置で屈曲している、項目3に記載の液晶表示装置。
【0016】
[項目5]
前記薄膜トランジスタは、半導体層、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含み、前記基板と前記半導体層との間に前記ゲート電極が配置されたボトムゲート構造を有し、
前記アクティブマトリクス基板は、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、前記薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁層とをさらに有し、
前記画素電極は、前記基板と前記ゲート絶縁層との間に設けられており、
前記画素電極と前記共通電極との間に位置する前記少なくとも1層の絶縁層は、前記ゲート絶縁層と、前記層間絶縁層とを含む、項目2から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0017】
[項目6]
前記ゲート絶縁層および前記層間絶縁層は、前記画素電極の一部を露出させる画素コンタクトホールを有し、
前記アクティブマトリクス基板は、前記共通電極と同一の透明導電膜から形成された接続電極をさらに有し、
前記薄膜トランジスタの前記ドレイン電極と、前記画素電極とは、前記画素コンタクトホールにおいて前記接続電極を介して電気的に接続されている、項目5に記載の液晶表示装置。
【0018】
[項目7]
前記第1電極は、前記複数の画素のそれぞれに設けられ、前記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であり、
前記第2電極は、共通電圧が印加される共通電極である、項目1に記載の液晶表示装置。
【0019】
[項目8]
前記アクティブマトリクス基板は、前記行方向に略平行に延びる共通配線をさらに有し、
前記共通配線は、前記共通電極に電気的に接続されている、項目7に記載の液晶表示装置。
【0020】
[項目9]
前記共通配線は、前記複数のゲート配線と同じ導電膜から形成されている項目8に記載の液晶表示装置。
【0021】
[項目10]
前記共通配線は、前記第1電極の前記第1領域と前記第2領域との境界に対応する位置に配置されている、項目8または9に記載の液晶表示装置。
【0022】
[項目11]
前記薄膜トランジスタは、半導体層、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を含み、前記基板と前記半導体層との間に前記ゲート電極が配置されたボトムゲート構造を有し、
前記アクティブマトリクス基板は、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、前記薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁層とをさらに有し、
前記共通電極は、前記基板と前記ゲート絶縁層との間に設けられており、
前記画素電極と前記共通電極との間に位置する前記少なくとも1層の絶縁層は、前記ゲート絶縁層と、前記層間絶縁層とを含む、項目7から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0023】
[項目12]
前記複数のスリットのそれぞれの外縁は、一対の長辺と、一対の短辺とを有し、
前記一対の短辺は、各スリットの前記画素短手方向における両端に位置しており、
前記複数のソース配線のそれぞれは、前記第1電極の前記第1領域に隣接する第1部分と、前記第1電極の前記第2領域に隣接する第2部分とを含み、
前記第1部分は、前記列方向に対して傾斜した第1方向に延びており、
前記第2部分は、前記列方向に対して傾斜し、且つ、前記第1方向とは異なる第2方向に延びており、
前記複数の第1スリットのそれぞれの外縁が有する前記一対の短辺のそれぞれは、前記第1方向に対して5°以上30°以下の角をなしており、
前記複数の第2スリットのそれぞれの外縁が有する前記一対の短辺のそれぞれは、前記第2方向に対して5°以上30°以下の角をなしている、項目1から11のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0024】
[項目13]
前記複数のスリットのそれぞれは、その両端近傍において屈曲している、項目12に記載の液晶表示装置。
【0025】
[項目14]
前記配向膜によって規定される前記初期配向方位は、前記行方向に略平行である、項目1から13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態によると、FFSモードの液晶表示装置の開口率のいっそうの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態による液晶表示装置100を模式的に示す平面図である。
【
図2】液晶表示装置100を模式的に示す断面図であり、
図1中の2A-2A’線に沿った断面を示している。
【
図3】画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されたときの、液晶分子31の配向状態を模式的に示す図である。
【
図4】比較例の液晶表示装置900を模式的に示す平面図である。
【
図5】液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1が、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなる様子を模式的に示す図である。
【
図6】液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1が、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなる様子を模式的に示す図である。
【
図7】液晶表示装置100を模式的に示す平面図である。
【
図8】共通電極CEのスリット15aを拡大して示す図である。
【
図9】スリット15a1の短辺ss近傍を拡大して示す図である。
【
図10】共通電極CEのスリット15aを拡大して示す図である。
【
図11A】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図11B】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図11C】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図11D】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図11E】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図11F】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図11G】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図11H】アクティブマトリクス基板10の製造工程を示す工程断面図である。
【
図12】本発明の実施形態による他の液晶表示装置200を模式的に示す平面図である。
【
図13】液晶表示装置200を模式的に示す断面図であり、
図12中の13A-13A’線に沿った断面を示している。
【
図14】画素電極PEおよび共通電極CEによって生成されるフリンジ電界FE、ソース配線13の電位による電界E、および、スリット15aの短辺ss近傍に生成されるフリンジ電界FE’の向きを説明するための図である。
【
図15】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置300を模式的に示す平面図である。
【
図16】液晶表示装置300を模式的に示す断面図であり、
図15中の16A-16A’線に沿った断面を示している。
【
図17】画素コンタクトホールCH近傍における共通電極CEおよび接続電極CoEを示す図である。
【
図18】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置400を模式的に示す平面図である。
【
図19】液晶表示装置400を模式的に示す断面図であり、
図18中の19A-19A’線に沿った断面を示している。
【
図20】画素コンタクトホールCH近傍における画素電極PEを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
[実施形態1]
図1および
図2を参照しながら、本実施形態における液晶表示装置100を説明する。
図1は、液晶表示装置100を模式的に示す平面図である。
図2は、液晶表示装置100を模式的に示す断面図であり、
図1中の2A-2A’線に沿った断面を示している。なお、
図1には、液晶層30に電界が印加されていない状態が示されている。
【0030】
液晶表示装置100は、
図2に示すように、アクティブマトリクス基板10と、アクティブマトリクス基板10に対向するように設けられた対向基板20と、アクティブマトリクス基板10と対向基板20の間に設けられた液晶層30とを備える。また、液晶表示装置100は、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する。複数の画素のそれぞれは、行方向(
図1中の左右方向)に画素短手方向DSが規定され、列方向(
図1中の上下方向)に画素長手方向DLが規定される形状を有する。液晶表示装置100は、さらに、少なくとも液晶層30を介して互いに対向する一対の偏光板41および42を備え、ノーマリブラックモードで表示を行う。
【0031】
液晶層30は、ここでは、ポジ型のネマチック液晶材料から形成されている。つまり、液晶層30に含まれる液晶分子31は、正の誘電異方性を有する。なお、液晶層30は、ネガ型のネマチック液晶材料から形成されていてもよい。つまり、液晶分子31は、負の誘電異方性を有していてもよい。
【0032】
アクティブマトリクス基板10は、基板10aと、複数の画素のそれぞれに対応して設けられた薄膜トランジスタ(TFT)11と、行方向に延びる複数のゲート配線12と、行方向に交差するように延びる複数のソース配線13と、液晶層30に接するように設けられた配向膜14と、フリンジ電界を生成し得る第1電極15および第2電極16とを有する。
【0033】
基板10aは、透明で、絶縁性を有する。基板10aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0034】
TFT11は、基板10aに支持されている。TFT11は、半導体層11a、ゲート電極11g、ソース電極11sおよびドレイン電極11dを含む。
【0035】
ゲート電極11gは、基板10a上に形成されている。ゲート電極11gを覆うようにゲート絶縁層17が形成されており、半導体層11aは、ゲート絶縁層17上に形成されている。半導体層11aは、ゲート絶縁層17を介してゲート電極11gに対向するチャネル領域11acと、チャネル領域11acの両側に位置するソース領域11asおよびドレイン領域11adとを含む。
【0036】
ソース電極11sおよびドレイン電極11dは、半導体層11aおよびゲート絶縁層17上に形成されている。ソース電極11sは、半導体層11aのソース領域11asに電気的に接続されており、ドレイン電極11dは、半導体層11aのドレイン領域11adに電気的に接続されている。図示している例では、ソース電極11sの下面の一部がソース領域11asの上面に接しており、そのことによって、ソース電極11sがソース領域11asに電気的に接続されている。また、ドレイン電極11dの下面の一部がドレイン領域11adの上面に接しており、そのことによって、ドレイン電極11dがドレイン領域11adに電気的に接続されている。
【0037】
例示しているTFT11では、ゲート電極11gは、半導体層11aの下方、つまり、基板10aと半導体層11aとの間に配置されている。このように、TFT11は、ボトムゲート構造を有する。
【0038】
各ゲート配線12は、対応するTFT11のゲート電極11gに電気的に接続されており、TFT11にゲート信号(走査信号)を供給する。図示している例では、各ゲート配線12と、対応するTFT11のゲート電極11gとは一体に形成されている。
【0039】
各ソース配線13は、対応するTFT11のソース電極11sに電気的に接続されており、TFT11にソース信号(表示信号)を供給する。図示している例では、各ソース配線13と、対応するTFT11のソース電極11sとは一体に形成されている。
【0040】
配向膜14は、液晶層30に電界が印加されていないときの液晶分子31の配向方位である初期配向方位Diを規定する。
図1に示すように、液晶層30がポジ型のネマチック液晶材料から形成されている場合の初期配向方位Diは、行方向に略平行である(つまり液晶分子31の長軸はゲート配線12が延びる方向と略一致している)。配向膜14は、主として液晶分子31の配向方位を規定する水平配向膜として機能する。なお、液晶層30がネガ型のネマチック液晶材料で形成されている場合の初期初期配向方位Diは、列方向に略平行である(つまり液晶分子31の長軸はソース配線13が延びる方向と略一致している)。
【0041】
第1電極15および第2電極16によって生成されるフリンジ電界は、液晶分子31を初期配向方位Diとは異なる方位に配向させる。第1電極15および第2電極16は、その一方が画素電極PEであり、他方が共通電極CEである。本実施形態では、第1電極15が共通電極CEであり、第2電極16が画素電極PEである。
【0042】
画素電極PE(第2電極16)は、複数の画素のそれぞれに設けられており、TFT11に(より具体的にはTFT11のドレイン電極11dに)電気的に接続されている。図示している例では、画素電極PEは、ゲート絶縁層17およびドレイン電極11d上に形成されており、画素電極PEの下面の一部がドレイン電極11dの上面に接していることにより、ドレイン電極11dに電気的に接続されている。また、図示している例では、画素電極PEは、べた電極(スリットなどが設けられていない電極)である。画素電極PEは、透明な導電材料(例えばITOやIZO(登録商標))から形成されている。なお、ここでは、画素電極PEの下面の一部がドレイン電極11dの上面に接する構成を例示したが、画素電極PEの上面の一部がドレイン電極11dの下面に接する構成を採用してもよい。
【0043】
共通電極CE(第1電極15)は、複数の画素に共通に設けられ、例えば表示領域を囲むように配置された共通電圧配線に電気的に接続されている。この共通電圧配線を介して、共通電極CE(第1電極15)に共通電圧が印加される。図示している例では、TFT11および画素電極PEを覆うように層間絶縁層18が形成されており、層間絶縁層18上に共通電極CEが形成されている。つまり、共通電極CEは、層間絶縁層18を介して画素電極PE上に設けられている。共通電極CEは、透明な導電材料(例えばITOやIZO(登録商標))から形成されている。
【0044】
共通電極CE(第1電極15)は、複数のスリット15aを有する。共通電極CEのスリット15aの配置については、後に詳述する。
【0045】
対向基板20は、基板20aと、基板20aに支持された遮光層21およびカラーフィルタ層22と、液晶層30に接するように設けられた配向膜24とを有する。
【0046】
基板20aは、透明で、絶縁性を有する。基板20aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0047】
遮光層21は、ブラックマトリクスとも呼ばれる。
図1には、遮光層21の形状(外縁21a)が点線で示されている。遮光層21は、例えば、感光性を有する黒色樹脂材料から形成される。
【0048】
カラーフィルタ層22は、典型的には、赤カラーフィルタ22R、緑カラーフィルタ22Gおよび青カラーフィルタ22Bを含む。赤カラーフィルタ22R、緑カラーフィルタ22Gおよび青カラーフィルタ22Bは、例えば、感光性を有する着色樹脂材料から形成される。
【0049】
図示している例では、カラーフィルタ層22を覆うようにオーバーコート層(平坦化層)23が設けられており、配向膜24は、オーバーコート層23上に形成されている。
【0050】
配向膜24によって規定される液晶分子31の配向方位は、配向膜14によって規定される液晶分子31の配向方位(初期配向方位Di)と平行または反平行である。配向膜24も、配向膜14と同様、主として液晶分子31の配向方位を規定する水平配向膜として機能する。
【0051】
配向膜14および24によって規定される液晶分子31のプレチルト角は、典型的には2°以下に設定されている。なお、液晶分子31のプレチルト角は、0.1°以上3.0°以下であることが好ましい。配向膜14および24は、有機材料から形成されていてもよいし、無機材料から形成されていてもよい。また、配向膜14および24に施される配向処理は、光配向処理でもよいし、ラビング処理でもよい。
【0052】
液晶層30の厚さは、柱状スペーサ27によって規定される。図示している例では、柱状スペーサ27は、オーバーコート層23上に形成されている。柱状スペーサ27は、例えば感光性を有する樹脂材料から形成され得る。
【0053】
一対の偏光板41および42は、クロスニコルに配置されている。一対の偏光板41および42の一方の透過軸は、初期配向方位Diに略平行であり、他方の透過軸は、初期配向方位Diに略直交する。なお、
図2には、アクティブマトリクス基板10および対向基板20の液晶層30とは反対側に偏光板41および42が設けられているが、偏光板41および42の配置はこれに限定されるものではない。
【0054】
ここで、共通電極CE(第1電極15)の複数のスリット15aの配置を説明する。
【0055】
複数のスリット15aのそれぞれは、
図1に示すように、画素短手方向DSに対してなす鋭角が、画素長手方向DLに対してなす鋭角よりも小さくなるように延びている。つまり、各スリット15aは、画素短手方向DSに対してやや傾斜するように延びており、共通電極CEにおけるスリット15aの配置は、「横向き配置」である。
【0056】
複数のスリット15aは、画素短手方向DSに対して時計回りに鋭角θ1をなすように延びる複数の第1スリット15a1と、画素短手方向DSに対して反時計回りに鋭角θ2をなすように延びる複数の第2スリット15a2とを含んでいる。図示している例では、第1スリット15a1は画素の下半分に配置されており、第2スリット15a2は画素の上半分に配置されている。つまり、共通電極CEは、各画素において、第1スリット15a1が形成された第1領域R1と、第2スリット15a2が形成された第2領域R2とを有する。第2領域R2は、画素長手方向DLに沿って第1領域R1に隣接している。以下では、第1領域R1を「第1スリット形成領域」と呼び、第2領域R2を「第2スリット形成領域」と呼ぶことがある。
【0057】
第1スリット15a1が画素短手方向DSとなす鋭角θ
1、および、第2スリット15a2が画素短手方向DSとなす鋭角θ
2は、典型的には略同一であり、例えば3°以上20°以下である。また、各スリット15aの幅は、例えば2μm以上8μm以下であり、隣接するスリット15a同士の間隔は、例えば1μm以上7μm以下である。また、スリット15aの個数は、
図1で例示しているものに限定されない。
【0058】
図3は、画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されたときの、液晶分子31の配向状態を模式的に示す図である。画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されると、液晶層30にフリンジ電界FEが生成される。平面視における(表示面法線方向から見たときの)フリンジ電界FEの方向は、共通電極CEのスリット15aが延びる方向に対して直交する方向である。ここで、液晶層30がポジ型のネマチック液晶材料から形成されている場合、液晶分子31には、液晶分子31の長軸がこの方向に近付くように配向方向を変化させるトルクが作用する。そのため、画素の下半分(共通電極CEの第1スリット形成領域R1)では、液晶分子31は反時計回りに回転し、画素の上半分(共通電極CEの第2スリット形成領域R2)では、液晶分子31は時計回りに回転する。このように、画素電極PEおよび共通電極CEによって生成されるフリンジ電界FEは、液晶分子31を初期配向方位Diとは異なる方位に配向させる。
【0059】
本実施形態の液晶表示装置100では、各ソース配線13は、行方向に交差するように延びているが、一直線状ではない。以下、ソース配線13の構成をより具体的に説明する。
【0060】
ソース配線13は、
図1に示すように、平面視において(つまり表示面法線方向から見たとき)、共通電極CEの第1領域R1と第2領域R2との境界BDに対応する位置で屈曲している。ここで、第1領域R1と第2領域R2との境界BDとは、第1領域R1の第1スリット15a1のうちもっとも第2領域R2に近い位置に配置される第1スリット15a1からの距離と、第2領域R2の第2スリット15a2のうちもっとも第1領域R1に近い位置に配置される第2スリット15a2からの距離と、が略等しい位置となる仮想線をいう。ソース配線13は、この仮想線上、または、この仮想線の延長線上で屈曲している。ソース配線13の第1スリット領域R1に隣接する部分(以下「第1部分」と呼ぶ)13aは、列方向に対して傾斜した(つまり画素長手方向DLに対しても傾斜した)第1方向D1に延びている。これに対し、ソース配線13の第2スリット領域R2に隣接する部分(以下「第2部分」と呼ぶ)13bは、列方向に対して傾斜し(つまり画素長手方向DLに対しても傾斜し)、且つ、第1方向D1とは異なる第2方向D2に延びている。
【0061】
図示している例では、ソース配線13の第1部分13aは、画素長手方向DLに対して反時計回りに鋭角θ3をなすように延びており、ソース配線13の第2部分13bは、画素長手方向DLに対して時計回りに鋭角θ4をなすように延びている。ソース配線13の第1部分13aが画素長手方向DLとなす鋭角θ3、および、ソース配線13の第2部分13bが画素長手方向DLとなす鋭角θ4は、典型的には略同一であり、例えば3°以上20°以下である。
【0062】
本実施形態の液晶表示装置100では、ソース配線13がこのような構成を有していることにより、開口率のいっそうの向上を図ることができる。以下、この理由を、
図4に示す比較例の液晶表示装置900と比較して説明する。
【0063】
比較例の液晶表示装置900は、ソース配線13が、共通電極CEの第1領域R1と第2領域R2との境界BDに対応する位置で屈曲しておらず、一直線状である点において、液晶表示装置100と異なっている。
【0064】
既に説明したように、ソース配線13からスリット15aの端までの距離x1、x1’(それぞれ
図1、
図4参照)や、遮光層(ブラックマトリクス)21からスリット端までの距離x2、x2’(それぞれ
図1、
図4参照)をある程度以上確保することにより、ソース信号が画素に保持される期間においてソース配線13の電位が表示に与える悪影響や、斜め方向からの観察時に色が混ざって見える混色不良などを抑制することができる。
【0065】
本実施形態の液晶表示装置100と、比較例の液晶表示装置900とで、同じ画素サイズで同じ配置ルール(つまりx1=x1’、x2=x2’)を採用した場合、以下に説明する理由から、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1は、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなる。そのため、本実施形態の液晶表示装置100では、比較例の液晶表示装置900よりも、表示に寄与する領域が大きくなり、透過率が高くなる3。つまり、本実施形態の液晶表示装置100では、開口率のいっそうの向上を図ることができる。
【0066】
以下、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1が、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなる理由を説明する。
【0067】
ソース配線13の傾斜角(鋭角θ3、θ4)がそれほど大きくない場合、隣接するソース配線13間の距離は、本実施形態の液晶表示装置100と、比較例の液晶表示装置900とで同等であり、スリット15aの長さは、ソース配線13が延びる方向と直交するようにスリット15aが配置されている場合(つまりソース配線13が延びる方向とスリット15aが延びる方向とが直交関係にある場合)にもっとも小さくなる。本実施形態の液晶表示装置100では、比較例の液晶表示装置900と比較して、ソース配線13が延びる方向とスリット15aが延びる方向とが直交関係からいっそう遠ざかるので、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1は、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなる。
【0068】
図5は、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1が、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなる様子を模式的に示す図である。
図5中、実線SLは、比較例の液晶表示装置900におけるソース配線13に対応しており、屈曲した点線DoLは、本実施形態の液晶表示装置100におけるソース配線13に対応している。また、
図5中の角θ
Aは、ソース配線13の傾斜角(鋭角θ
3、θ
4)に対応し、角θ
Bは、スリット15aの傾斜角(鋭角θ
1、θ
2)に対応している。
【0069】
比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2が実線矢印SAの長さで表されるとすると、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1は、実線矢印SAの長さに、点線矢印DAの長さを足したものとなる。つまり、本実施形態の液晶表示装置100では、点線矢印DAの分だけスリット15aが長くなる。
【0070】
図6も、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1が、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなる様子を模式的に示す図である。
図6中、比較例の液晶表示装置900におけるソース配線13は実線で示されており、本実施形態の液晶表示装置100におけるソース配線13は点線で示されている。また、
図6では、ソース配線13からスリット15aの端までの距離x(
図1中の距離x1、
図4中の距離x1’に対応)が示されている。
【0071】
図6からも、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さL1が、比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さL2よりも大きくなることがわかる。ここで、ソース配線13の幅をw、画素短手方向DSにおける画素ピッチをpとし、本実施形態の液晶表示装置100におけるスリット15aの長さおよび比較例の液晶表示装置900におけるスリット15aの長さを両方ともLと表記すると、スリット15aの長さLは、下記式で表される。
L={p-(w+2x)/cosθ
A}×{cosθ
A/cos(θ
A+θ
B)}
【0072】
実際に想定される設計の範囲(例えばθA、θBがそれぞれ3°~20°)内では、画素ピッチpが極端に小さい場合や、ソース配線13の幅wが極端に大きい場合、ソース配線13からスリット15aの端までの距離xが極端に大きい場合でなければ、スリット15aの長さLは、ソース配線13の傾斜角θAやスリット15aの傾斜角θBが大きいほど大きくなる。
【0073】
ここで、
図7を参照しながら、画素電極PEの形状を説明する。
図7に示すように、画素電極PEは、共通電極CEの第1領域R1と第2領域R2との境界BDに対応する位置で屈曲している。画素電極PEの外縁のうち、画素短手方向DSにおける両端に対応する2つの部分16aをそれぞれ画素電極PEの「長辺」と呼ぶとすると、これら一対の長辺16aは、それぞれ、ソース配線13の第1部分13aに隣接して第1部分13aが延びる方向と同じ方向に延びる部分16a1と、ソース配線13の第2部分13bに隣接して第2部分13bが延びる方向と同じ方向に延びる部分16a2とを含んでいる。
【0074】
続いて、本実施形態の液晶表示装置100の好ましい構成を説明する。
【0075】
図示している例では、柱状スペーサ27は、平面視においてTFT11のチャネル領域11acに重なるように配置されている。柱状スペーサ27がこのように配置されていることにより、遮光層21のうちのTFT11のチャネル領域11acを遮光するための部分(以下では「TFT遮光部」と呼ぶ)が、柱状スペーサ27の周囲の配向乱れ(あるいは柱状スペーサ27による配向膜14の削れに起因する輝点)を遮光するための部分を兼ねることができる。そのため、開口率の低下を抑制することができる。また、TFT遮光部は、画素のうち、表示への寄与が少ない部分、すなわち、スリット15aが形成されていない部分(図示している例では画素の左上および左下の部分)に重なっていることが好ましい。なお、図示している例では、ソース配線13は、第1スリット形成領域R1と第2スリット形成領域R2との境界BDに対応する位置だけでなく、ソース配線13とゲート配線12との交差部近傍においても屈曲している。TFT11の位置の調整のために、このような構成を採用してもよい。
【0076】
また、ここでは、配向膜14および24によって規定される初期配向方位は、行方向に略平行である(つまりゲート配線12が延びる方向と略一致している)。これにより、ラビング処理等の配向処理に起因する柱状スペーサ27の周囲(ラビング処理の際に柱状スペーサ27の陰になる部分であって、配向膜24による配向規制力が弱い部分)の配向不良をゲート配線12や遮光層21で遮光することができ、コントラスト比を高く維持することができる。
【0077】
なお、ソース配線13の延びる方向とそれに隣接するスリット15aの延びる方向とが略平行な領域が存在すると、その領域では配向不良が生じやすい。本実施形態では、ソース配線13の延びる方向とそれに隣接するスリット15aの延びる方向とが略平行な領域が実質的に存在しないので、そのような配向不良の発生が抑制される。
【0078】
図8は、共通電極CEのスリット15aを拡大して示す図である。各スリット15aは、略四角形状(図示している例では略平行四辺形状)であり、各スリット15aの外縁は、一対の長辺lsと、一対の短辺ssとを有する。一対の短辺ssは、各スリット15aの画素短手方向DSにおける両端に位置している。
【0079】
各第1スリット15a1の一対の短辺ssのそれぞれは、第1方向D1(ソース配線13の第1部分13aが延びる方向)に対してやや傾斜しており、より具体的には、5°以上30°以下の角をなしている。また、各第2スリット15a2の一対の短辺ssのそれぞれは、第2方向D2(ソース配線13の第2部分13bが延びる方向)に対してやや傾斜しており、より具体的には、5°以上30°以下の角をなしている。すなわち、各第1スリット15a1の一対の短辺ssのそれぞれと、各第2スリット15a2の一対の短辺ssのそれぞれは、画素電極PEの長辺16a(部分16a1、16a2)に対して傾斜している。このような構成により、第1スリット15a1の短辺ssが第1方向D1に平行である場合や、第2スリット15a2の短辺ssが第2方向D1に平行である場合に比べ、スリット15aの短辺ss近傍に生成されるフリンジ電界により液晶分子31の回転する向きが、スリット15aによる本来のフリンジ電界FEにより液晶分子31の回転する向き(
図3参照)に近い領域が大きくなるため、画素の外周近傍に生じる暗部を縮小することができる。
【0080】
図9に、スリット15a1の短辺ss近傍を拡大して示す。スリット15a1の短辺ssは、設計上は直線状であっても、
図9に示すように、製造上の不可避の理由によって丸まってしまう(つまりパターンがなまってしまう)ことがあり得る。
【0081】
第1スリット15a1の短辺ssが、第1方向D1に対してやや傾斜するように設計されている場合、たとえ丸まったとしても、短辺ssの第2領域R2側の端e1からソース配線13までの距離d1よりも、短辺ssの第2領域R2とは反対側の端e2からソース配線13までの距離d2の方が大きい。また、第2スリット15a2の短辺ssが、第2方向D2に対してやや傾斜するように設計されている場合、たとえ丸まったとしても、短辺ssの第1領域R1側の端e3からソース配線13までの距離d3よりも、短辺ssの第1領域R1とは反対側の端e4からソース配線13までの距離d4の方が大きい。
【0082】
図10は、共通電極CE(第1電極15)のスリット15aの構成の他の例を示す図である。
図10に示す例では、
図8に示した例と同様に、各第1スリット15a1の一対の短辺ssのそれぞれは、第1方向D1に対してやや傾斜して(5°以上30°以下の角をなして)おり、各第2スリット15a2の一対の短辺ssのそれぞれは、第2方向D2に対してやや傾斜して(5°以上30°以下の角をなして)いるので、画素の外周近傍に生じる暗部を縮小することができる。
【0083】
また、
図10に示す例では、各スリット15aは、その両端近傍において屈曲している。より具体的には、各スリット15aの両端部15aeは、画素短手方向DSに対して、他の部分よりも大きな角度で(つまり第1スリット15a1の両端部15aeは鋭角θ
1よりも大きな角度で、第2スリット15a2の両端部15aeは鋭角θ
2よりも大きな角度で)傾斜している。スリット15aに、このような構成が採用されることにより、暗部を縮小する効果をいっそう高くすることができる。
【0084】
[液晶表示装置の製造方法]
液晶表示装置100の製造方法を説明する。対向基板20の製造および液晶層30の形成は、公知の種々の方法により行うことができるので、ここではその説明を省略し、以下では、
図11Aから
図11Hを参照しながら、アクティブマトリクス基板10の製造方法を説明する。
【0085】
まず、
図11Aに示すように、基板10a上にゲート電極11gを形成する。このとき、ゲート配線12も形成される。例えば、基板10a上にスパッタ法により導電膜を堆積し、この導電膜をフォトリソグラフィプロセスでパターニングすることによって、ゲート電極11gおよびゲート配線12を形成することができる。
【0086】
次に、
図11Bに示すように、ゲート電極11gおよびゲート配線12を覆うようにゲート絶縁層17を形成する。ゲート絶縁層17は、例えばCVD法により形成することができる。ゲート絶縁層17は、例えば、下層として窒化シリコン(SiNx)層、上層として酸化シリコン(SiO
2)層を含む積層構造を有していてもよい。
【0087】
続いて、
図11Cに示すように、ゲート絶縁層17上に、半導体層11aを形成する。例えば、ゲート絶縁層17上に半導体膜を堆積し、この半導体膜をフォトリソグラフィプロセスでパターニングすることによって、半導体層11aを形成することができる。半導体層の材料として、例えば、酸化物半導体を好適に用いることができるが、勿論これに限定されるものではない。
【0088】
その後、
図11Dに示すように、ソース電極11s、ドレイン電極11dおよびソース配線13を形成する。例えば、半導体層11aおよびゲート絶縁層17上に導電膜を堆積し、この導電膜をフォトリソグラフィプロセスでパターニングすることによって、ソース電極11s、ドレイン電極11dおよびソース配線13を形成することができる。
【0089】
次に、
図11Eに示すように、画素電極PE(第2電極16)を形成する。例えば、透明導電膜を堆積し、この透明導電膜をフォトリソグラフィプロセスでパターニングすることによって、画素電極PEを形成することができる。透明導電膜の材料としては、例えばITOを用いることができる。
【0090】
続いて、
図11Fに示すように、TFT11、ソース配線13および画素電極PEを覆うように層間絶縁層18を形成する。層間絶縁層18は、例えばCVD法を用いて無機絶縁材料を堆積することによって形成することができる。層間絶縁層18は、例えば、下層として酸化シリコン(SiO
2)層、上層として窒化シリコン(SiNx)層を含む積層構造を有していてもよい。
【0091】
その後、層間絶縁層18に対してフォトリソグラフィプロセスでパターニングを行うことにより、層間絶縁層18の所定の位置にコンタクトホールを形成する。本実施形態では、表示領域内にはコンタクトホールは形成されない。
【0092】
次に、
図11Gに示すように、層間絶縁層18上に共通電極CE(第1電極15)を形成する。例えば、層間絶縁層18上に透明導電膜を堆積し、この透明導電膜をフォトリソグラフィプロセスでパターニングすることによって、複数のスリット15aを有する共通電極CEを形成することができる。透明導電膜の材料としては、例えばITOを用いることができる。
【0093】
その後、
図11Hに示すように、共通電極CEを覆うように全面に配向膜14を形成することにより、アクティブマトリクス基板10が得られる。
【0094】
[実施形態2]
図12および
図13を参照しながら、本実施形態における液晶表示装置200を説明する。
図12は、液晶表示装置200を模式的に示す平面図である。
図13は、液晶表示装置200を模式的に示す断面図であり、
図12中の13A-13A’線に沿った断面を示している。以下では、液晶表示装置200が実施形態1の液晶表示装置100と異なる点を中心に説明を行う。
【0095】
液晶表示装置200は、共通電極CE(第1電極15)が、平面視において複数のソース配線13に重なる領域に形成された複数の開口部15bを有する点において、実施形態1の液晶表示装置100と異なっている。
【0096】
複数の開口部15bのそれぞれは、各画素のTFT11近傍以外の領域において、ソース配線13の第1部分13aおよび第2部分13bに重なるように延びている(つまり第1領域R1と第2領域R2との境界BDに対応する位置で屈曲する形状である)。複数の開口部15bは、画素長手方向DLに沿って、およそTFT11の大きさに対応する間隔を空けて並んで配置されており、ソース配線13は、TFT11近傍以外では、共通電極CEに重なっていない。
【0097】
本実施形態の液晶表示装置200では、共通電極CEが上述したような開口部15bを有しているので、ソース配線13と共通電極CEの間に形成される容量が低減される。従って、ソース配線13の負荷を小さくできる。そのため、充電性能が高まって信号遅延が改善され、表示品位が向上する。
【0098】
なお、画素長手方向DLに並ぶ複数の画素、または、画素長手方向DLに並ぶすべての画素において、開口部15bが連続するように設けられた場合、ソース配線13と共通電極CEとの間に形成される容量はさらに低減されるが、表示領域内で位置ごとに共通電極CEの共通電圧が異なることで表示不良が生じるおそれがある。そのため、開口部15bを連続させないことが好ましい場合がある。また、開口部15bの、画素長手方向DLにおいて互いに対向する辺の周囲においては、ソース配線13の電位によって生成される電界の影響によって、液晶分子31が意図しない方向に配向して表示品位が低下するおそれがある。そのため、開口部15bの、画素長手方向DLにおいて互いに対向する辺、すなわち、開口部15bが形成されない領域は、表示への寄与がより小さい領域に位置することが好ましい。本実施形態では、TFT11近傍、すなわち、柱状スペーサ27やTFT11のチャネル領域11acに対応して配置された遮光膜と重畳するように、開口部15bが形成されない領域が位置しており、表示品位を維持しつつ、共通電圧のばらつきが大きくなることが抑制される。
【0099】
なお、共通電極CEが上述したような開口部15bを有している場合、ソース配線13が共通電極CEによって電気的に遮蔽されなくなるので、表示信号が画素に保持される期間においてソース配線13の電位によって生成される電界の影響によって、液晶分子31が意図しない方向に配向して表示品位が低下するおそれがある。しかしながら、本実施形態では、
図14に示すように、ソース配線13の電位による電界Eの向きは、画素電極PEおよび共通電極CEによって生成されるフリンジ電界FEの向きと略直交している(スリット15aの短辺ss近傍に生成されるフリンジ電界FE’の向きと略平行であるともいえる)ので、ソース配線13の電位に起因する表示品位の低下(光漏れ)が抑制される。
【0100】
なお、既に説明したように、ソース配線13の延びる方向とそれに隣接するスリット15aの延びる方向とが略平行な領域が存在すると、その領域では配向不良が生じやすく、そのような配向不良は、ソース配線13が共通電極CEによって電気的に遮蔽されない構成において、顕著になりやすい。しかしながら、本実施形態では、ソース配線13の延びる方向とそれに隣接するスリット15aの延びる方向とが略平行な領域が実質的に存在しないので、そのような配向不良の発生が抑制される。
【0101】
また、本実施形態においても、第1スリット15a1の短辺ssが第1方向D1に対してやや傾斜しており(より具体的には5°以上30°以下の角をなしており)、第2スリット15a2の短辺ssが第2方向D2に対してやや傾斜している(より具体的には5°以上30°以下の角をなしている)。これにより、ソース配線13が共通電極CEによって電気的に遮蔽されない場合でも、スリット15a1の短辺ss近傍において液晶分子31の配向がソース配線13の電位の影響を受けにくくなる。
【0102】
本実施形態の液晶表示装置200のアクティブマトリクス基板10は、実施形態1の液晶表示装置100のアクティブマトリクス基板10と同様にして製造され得る。ただし、共通電極CEを形成するために透明導電膜をパターニングする際、スリット15aだけでなく開口部15bも形成される。
【0103】
[実施形態3]
図15および
図16を参照しながら、本実施形態における液晶表示装置300を説明する。
図15は、液晶表示装置300を模式的に示す平面図である。
図16は、液晶表示装置300を模式的に示す断面図であり、
図15中の16A-16A’線に沿った断面を示している。以下では、液晶表示装置300が実施形態2の液晶表示装置200と異なる点を中心に説明を行う。
【0104】
液晶表示装置300は、画素電極PE(第2電極16)が、基板10aとゲート絶縁層17との間に設けられている(つまり画素電極PEが最下層に配置されている)点において、実施形態2の液晶表示装置200と異なっている。画素電極PEが基板10aとゲート絶縁層17との間に設けられているので、画素電極PEと共通電極CEとの間には、ゲート絶縁層17と、層間絶縁層18とが位置している。
【0105】
ゲート絶縁層17および層間絶縁層18は、画素電極PEの一部を露出させる画素コンタクトホールCHを有する。アクティブマトリクス基板10は、共通電極CEと同一の透明導電膜から形成された接続電極CoEをさらに有しており、TFT11のドレイン電極11dと、画素電極PEとは、画素コンタクトホールCHにおいて接続電極CoEを介して電気的に接続されている。
【0106】
図17は、画素コンタクトホールCH近傍における共通電極CEおよび接続電極CoEを示す図である。共通電極CEと接続電極CoEとは、電気的に分離されている必要があるので、
図17に示すように、共通電極CEと接続電極CoEとの間には所定の間隙が存在している。
【0107】
本実施形態の液晶表示装置300では、画素電極PEと共通電極CEとの間に、ゲート絶縁層17と層間絶縁層18とが位置しているので、画素電極PEと共通電極CEとの電極間距離を大きくすることが容易であり、実施形態2の液晶表示装置200に比べて画素容量を小さくすることができる。そのため、画素への充電を十分に行うことが容易となり、表示品位の向上を図ることができる。また、TFT11のサイズを縮小することが可能となるので、開口率の向上を図ることもできる。
【0108】
本実施形態の液晶表示装置300のアクティブマトリクス基板10は、実施形態2の液晶表示装置200のアクティブマトリクス基板10とほぼ同様にして製造され得る。ただし、画素電極PEを形成する工程は、ゲート電極11g等を形成する工程と、ゲート絶縁層17を形成する工程との間に行われる。また、層間絶縁層18の形成後にコンタクトホールを形成する工程において、表示領域内に画素コンタクトホールCHが形成され、共通電極CEを形成する工程において、接続電極CoEも形成される。なお、画素電極PEを形成する工程を、ゲート電極11g等を形成する工程の前に行ってもよい。さらに、ゲート電極11gおよびゲート配線12を形成するための導電膜と、画素電極PEを形成するための透明導電膜のパターニングを、ハーフトーンマスクを用いて一括して行ってもよい。この場合、ゲート電極11gおよびゲート配線12は、下層側が画素電極PEを形成するための透明導電膜と同じ導電膜で形成された積層構造となる。これにより、製造プロセスを短縮してコストの低減を図ることができる。
【0109】
[実施形態4]
図18および
図19を参照しながら、本実施形態における液晶表示装置400を説明する。
図18は、液晶表示装置400を模式的に示す平面図である。
図19は、液晶表示装置400を模式的に示す断面図であり、
図18中の19A-19A’線に沿った断面を示している。以下では、液晶表示装置400が実施形態1の液晶表示装置100と異なる点を中心に説明を行う。
【0110】
液晶表示装置400は、第1電極15が画素電極PEであり、第2電極16が共通電極CEである点、つまり、画素電極PEが少なくとも1層の絶縁層を介して共通電極CE上に設けられている点、および、画素電極PEが複数のスリット15aを有する点において、実施形態1の液晶表示装置100と異なっている。
【0111】
共通電極CEは、基板10aとゲート絶縁層17との間に設けられている(つまり共通電極CEは最下層に配置されている)。そのため、画素電極PEと共通電極CEとの間には、ゲート絶縁層17と、層間絶縁層18とが位置している。
【0112】
図示している例では、共通電極CEは、画素ごとに形成されており、表示領域内の複数の共通電極CEは、一体的に形成されてはいない。アクティブマトリクス基板10は、行方向に略平行に延びる複数の共通配線19を有しており、複数の共通配線19のそれぞれは、各画素行に配列された複数の画素の共通電極CEに電気的に接続されている。すなわち、各画素行の複数の共通電極CEは、共通配線19を介して互いに電気的に接続されており、各画素の共通電極CEは、対応する共通配線19から共通電圧を供給される。共通配線19は、ゲート配線12と同じ導電膜から(つまりゲート配線12と同層に)形成され得る。このような構成により、実施形態1の液晶表示装置100に比べて、ソース配線13と共通電極CEの間に形成される容量が低減される。なお、画素電極PEは、各画素において、第1スリット15a1が形成された第1領域R1と、第2スリット15a2が形成された第2領域R2とを有し、共通配線19は、画素電極PEの第1領域R1と第2領域R2との境界BDに対応する位置に配置される。
【0113】
層間絶縁層18は、TFT11のドレイン電極11dの一部を露出させる画素コンタクトホールCHを有する。
図20は、画素コンタクトホールCH近傍における画素電極PEを示す図である。TFT11のドレイン電極11dと、画素電極PEとは、画素コンタクトホールCHにおいて電気的に接続されている。
【0114】
本実施形態の液晶表示装置400では、画素電極PEと共通電極CEとの間に、ゲート絶縁層17と層間絶縁層18とが位置しているので、画素電極PEと共通電極CEとの電極間距離を大きくすることが容易であり、実施形態1の液晶表示装置100に比べて画素容量を小さくすることができる。そのため、画素への充電を十分に行うことが容易となり、表示品位の向上を図ることができる。また、TFT11のサイズを縮小することが可能となるので、開口率の向上を図ることもできる。
【0115】
本実施形態の液晶表示装置400のアクティブマトリクス基板10は、実施形態1の液晶表示装置100のアクティブマトリクス基板10とほぼ同様にして製造され得る。ただし、共通電極CEを形成する工程は、ゲート電極11g等を形成する工程とゲート絶縁層17を形成する工程との間に行われ、画素電極PEを形成する工程は、層間絶縁層18にコンタクトホールを形成する工程の後に行われる。また、ゲート電極11g等を形成する工程において、共通配線19も形成され、層間絶縁層18にコンタクトホールを形成する工程では、表示領域内に画素コンタクトホールCHも形成される。なお、共通電極CEを形成する工程を、ゲート電極11g等を形成する工程の前に行ってもよい。さらに、ゲート電極11gおよびゲート配線12を形成するための導電膜と、共通電極CEを形成するための透明導電膜のパターニングを、ハーフトーンマスクを用いて一括して行ってもよい。この場合、ゲート電極11g、ゲート配線12および共通配線19は、下層側が共通電極CEを形成するための透明導電膜と同じ導電膜で形成された積層構造となり、各画素行の複数の共通電極CEは、共通電極CEを形成するための透明導電膜から一体的に形成されることになる。これにより、製造プロセスを短縮してコストの低減を図ることができる。
【0116】
なお、共通配線19は省略されてもよい。共通配線19が省略される場合は、共通電極CEと一体に形成され、隣接する共通電極CE同士を接続する接続部を、例えばソース配線13の下方に設ければよい。例示したように共通配線19を設ける場合は、比較的電気抵抗率の低い材料から共通配線19を形成することにより、共通電位の安定化による表示品位の向上を図ることができる。
【0117】
[酸化物半導体TFT]
各画素に設けられるTFT11として、例えば、酸化物半導体TFTを好適に用いることができる。酸化物半導体TFTでは、活性層の材料として、酸化物半導体が用いられる。つまり、酸化物半導体TFTは、活性層として酸化物半導体層を含む。酸化物半導体は、近年、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わる活性層材料として注目されている材料である。
【0118】
酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体層は、多結晶シリコン層よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
【0119】
さらに、酸化物半導体TFTは、オフリーク特性に優れているので、画像の書き換え頻度を低下させて表示を行う駆動方式を利用することもできる。例えば、静止画表示時などには、1秒に1回の頻度で画像データを書き換えるように動作させることができる。このような駆動方式は、休止駆動または低周波駆動などと呼ばれ、液晶表示装置の消費電力を大幅に削減することが可能である。
【0120】
休止駆動を採用し、画像の書き換えが行われない期間にタッチ検出を行うことにより、駆動回路からのノイズによるタッチ操作の感度の低下を抑制でき、S/N比(信号対雑音比)を例えば従来の約10倍にすることができる。
【0121】
また、酸化物半導体TFTは、TFTサイズの小型化にも有利であるので、画素Pごとにメモリ回路が設けられる構成(「MIP(Memory In Pixels)」と呼ばれる)も好適に実現することができる。MIPの具体的な構成は公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0122】
酸化物半導体TFTの活性層(酸化物半導体層)に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0123】
酸化物半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する酸化物半導体層は、アモルファス酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよいし、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、積層構造を有する酸化物半導体層は、複数のアモルファス酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップと、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップとが異なっていてもよい。
【0124】
アモルファス酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0125】
酸化物半導体層は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層11は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0126】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0127】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0128】
酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn2O3-SnO2-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層11は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の実施形態によると、FFSモードの液晶表示装置の開口率のいっそうの向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0130】
10 アクティブマトリクス基板
10a 基板
11 TFT
11a 半導体層
11g ゲート電極
11s ソース電極
11d ドレイン電極
12 ゲート配線
13 ソース配線
13a 第1部分
13b 第2部分
14 配向膜
15 第1電極
15a スリット
15a1 第1スリット
15a2 第2スリット
15ae スリットの端部
15b 開口部
16 第2電極
17 ゲート絶縁層
18 層間絶縁層
20 対向基板
20a 基板
21 遮光層
22 カラーフィルタ層
22R 赤カラーフィルタ
22G 緑カラーフィルタ
22B 青カラーフィルタ
23 オーバーコート層
24 配向膜
27 柱状スペーサ
30 液晶層
31 液晶分子
41、42 偏光板
100、200、300、400 液晶表示装置
PE 画素電極
CE 共通電極
CoE 接続電極
R1 第1領域
R2 第2領域
BD 第1領域と第2領域との境界
CH 画素コンタクトホール
DS 画素短手方向
DL 画素長手方向
D1 第1方向
D2 第2方向
ss スリットの短辺
ls スリットの長辺