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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169213
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241128BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086497
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 恒毅
(72)【発明者】
【氏名】葛巻 淳彦
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA03
5H770DA44
5H770GA01
5H770GA17
5H770HA03X
5H770HA06X
5H770LA02X
(57)【要約】
【課題】短絡を効果的に検知することができる電力変換装置に関する。
【解決手段】実施形態によれば、電力変換装置は、スイッチング素子と、温度センサと、閾値演算器と、ゲートドライブ回路と、を備える。スイッチング素子は、直流電圧が供給される直流入力端子に接続する。温度センサは、前記スイッチング素子の温度を測定する。閾値演算器は、前記温度に基づいて短絡を検知するための短絡電圧閾値を供給する。ゲートドライブ回路は、前記スイッチング素子に生じる電圧が前記短絡電圧閾値を超えると、前記スイッチング素子をオフにする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧が供給される直流入力端子に接続するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の温度を測定する温度センサと、
前記温度に基づいて短絡を検知するための短絡電圧閾値を供給する閾値演算器と、
前記スイッチング素子に生じる電圧が前記短絡電圧閾値を超えると、前記スイッチング素子をオフにするゲートドライブ回路と、
を備える電力変換装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子に生じる前記電圧が前記短絡電圧閾値を超えると短絡を検知したことを示す短絡検知信号を出力する比較器を備え、
前記ゲートドライブ回路は、前記比較器が前記短絡検知信号を出力すると、前記スイッチング素子をオフにする、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記比較器は、アナログコンパレータである、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記閾値演算器は、前記温度センサから前記温度を示すアナログ信号に基づいて前記短絡検知信号を前記比較器に供給するアナログ回路である、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記温度センサからの、前記温度を示すアナログ信号を、前記温度を示すデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、
前記閾値演算器からの、前記短絡電圧閾値を示すデジタル信号を前記短絡電圧閾値としてのアナログ信号に変換し、前記比較器に供給するデジタルアナログ変換器と、
を備え、
前記閾値演算器は、前記アナログデジタル変換器からのデジタル信号に基づいて前記短絡電圧閾値を示すデジタル信号を前記デジタルアナログ変換器に供給するデジタル回路である、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記短絡電圧閾値に上限値及び下限値を設定するリミッタを備える、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記温度センサは、サーミスタ又は白金測温抵抗体から構成される、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記ゲートドライブ回路は、前記スイッチング素子をオンオフ制御することで前記直流電圧を交流電圧に変換する、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置には、電気線などからの直流電圧を交流電圧に変換するものがある。そのような電力変換装置は、直流電圧に接続するスイッチング素子をオンオフ制御することで交流電圧を出力する。
【0003】
また、電力変換装置は、スイッチング素子に流れる電流が所定の閾値(短絡電流閾値)を超えると直流電圧の両端が短絡したと判定してスイッチング素子をオフにする。たとえば、電力変換装置は、スイッチング素子に生じる電圧が短絡電流閾値に対応する所定の電圧に達すると、直流電圧の両端が短絡したと判定する。
【0004】
しかし、スイッチング素子の電流と電圧との関係は、スイッチング素子の温度によって変化する。そのため、従来、電力変換装置は、スイッチング素子の温度によって短絡を適切に検知できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-14402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するため、短絡を効果的に検知することができる電力変換装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、電力変換装置は、スイッチング素子と、温度センサと、閾値演算器と、ゲートドライブ回路と、を備える。スイッチング素子は、直流電圧が供給される直流入力端子に接続する。温度センサは、前記スイッチング素子の温度を測定する。閾値演算器は、前記温度に基づいて短絡を検知するための短絡電圧閾値を供給する。ゲートドライブ回路は、前記スイッチング素子に生じる電圧が前記短絡電圧閾値を超えると、前記スイッチング素子をオフにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るインバータの構成例を示す回路図である。
図2図2は、第2の実施形態に係るインバータの構成例を示す回路図である。
図3図3は、第3の実施形態に係るインバータの構成例を示す回路図である。
図4図4は、第4の実施形態に係るインバータの構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
実施形態に係るインバータ(電力変換装置)は、電気線などからの直流電圧を交流電圧に変換する。インバータは、直流電圧に接続するスイッチング素子をオンオフ制御することで直流電圧を交流電圧に変換する。
【0010】
また、インバータは、スイッチング素子に流れる電流が所定の閾値(短絡電流閾値)に達すると、直流電圧の両端が短絡したものと判定する。インバータは、直流電圧の両端が短絡したと判定すると、スイッチング素子をオフにする。即ち、インバータは、短絡を解消する。
【0011】
たとえば、インバータは、線路を走行する列車などに用いられる。インバータは、交流モータなどに交流電圧を供給する。
【0012】
図1は、実施形態に係るインバータ101の構成例を示す。インバータ101は、直流入力端子1並びに2、スイッチング素子3a並びに3b、交流出力端子4、ゲートドライブ回路5a並びに5b、温度センサ6、ダイオード7、分圧抵抗器8a並びに8b、バッファ回路9、閾値演算器10及び比較器11などを備える。
【0013】
なお、インバータ101は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、インバータ101から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0014】
直流入力端子1は、直流電圧を入力する端子である。直流入力端子1は、直流電圧の正極に接続する。たとえば、直流入力端子1は、直流電圧を供給する電気線などに接続する。
直流入力端子1は、スイッチング素子3aのドレインに接続する。
【0015】
直流入力端子2は、直流電圧を入力する端子である。直流入力端子2は、直流電圧の負極に接続する。たとえば、直流入力端子2は、帰線などに接続する。
【0016】
スイッチング素子3aのゲートは、ゲートドライブ回路5aに接続する。即ち、スイッチング素子3aは、ゲートドライブ回路5aからの制御に従ってオンオフ制御される。
【0017】
また、スイッチング素子3aのソースは、交流出力端子4に接続する。また、スイッチング素子3aのソースは、スイッチング素子3bのドレインに接続する。たとえば、スイッチング素子3aは、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)である。
【0018】
ゲートドライブ回路5aは、スイッチング素子3aをオンオフ制御する。ゲートドライブ回路5aがスイッチング素子3aを所定の周期でオンオフ制御することで、直流電圧を交流電圧に変換する。
【0019】
スイッチング素子3bのゲートは、ゲートドライブ回路5bに接続する。即ち、スイッチング素子3bは、ゲートドライブ回路5bからの制御に従ってオンオフ制御される。
【0020】
また、スイッチング素子3bのソースは、直流入力端子2に接続する。
たとえば、スイッチング素子3bは、MOSFETである。
【0021】
ゲートドライブ回路5bは、ゲートドライブ回路5aと反対の位相でスイッチング素子3bをオンオフ制御する。ゲートドライブ回路5bがスイッチング素子3bを所定の周期でオンオフ制御することで、直流電圧を交流電圧に変換する。
【0022】
また、ゲートドライブ回路5bは、直流入力端子1及び2が短絡すると、スイッチング素子3bをオフにする。ゲートドライブ回路5bが短絡の発生によりスイッチング素子3bをオフにする動作例については、後に詳述する。
【0023】
なお、スイッチング素子3a及び3bは、IGBT(insulated gate bipolar transistor)又はパワートランジスタなどであってもよい。スイッチング素子3a及び10bの構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0024】
交流出力端子4は、インバータ101が生成する交流電圧を出力する端子である。たとえば、交流出力端子4は、交流モータなどの負荷に接続する。
【0025】
スイッチング素子3aのソースとスイッチング素子3bのドレインとは、ダイオード7のアノードに接続する。ダイオード7のカソードは、分圧抵抗器8aの一端に接続する。
【0026】
分圧抵抗器8aの他端は、分圧抵抗器8bの一端に接続する。分圧抵抗器8bの他端は、直流入力端子2に接続する。
【0027】
また、分圧抵抗器8aの他端は、バッファ回路9の入力端に接続する。バッファ回路9の出力端は、比較器11に接続する。
【0028】
温度センサ6は、スイッチング素子3bの温度を測定するセンサである。温度センサ6は、閾値演算器10に接続する。温度センサ6は、温度を示すアナログ信号を閾値演算器10に供給する。
たとえば、温度センサ6は、温度によって抵抗が変化するサーミスタ又は白金測温抵抗体などから構成される。なお、温度センサ6の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0029】
閾値演算器10は、比較器11に接続する。閾値演算器10は、スイッチング素子3bの温度に基づいて所定の電圧(短絡電圧閾値)を比較器11に供給する。閾値演算器10は、測定された温度において短絡電流閾値に対応する短絡電圧閾値を比較器11に供給する。即ち、閾値演算器10は、測定された温度においてスイッチング素子3bに流れる電流が短絡電流閾値に達した場合にスイッチング素子3bに生じる電圧(短絡電圧閾値)を比較器11に供給する。
【0030】
また、同じ電流がスイッチング素子3bに流れる場合であっても、温度が上昇するほど、スイッチング素子3bに生じる電圧は、上昇する。従って、閾値演算器10は、温度が高いほど高い短絡電圧閾値を比較器11に供給する。
【0031】
閾値演算器10は、温度センサ6から供給されるアナログ信号に対して所定の演算を行って短絡電圧閾値を出力するアナログ回路である。
【0032】
比較器11は、バッファ回路9から供給される電圧と閾値演算器10から供給される短絡電圧閾値とを比較する。比較器11は、バッファ回路9から供給される電圧が短絡電流閾値を超える場合、短絡が発生したことを示す短絡検知信号12を出力する。比較器11は、ゲートドライブ回路5bに短絡検知信号12を供給する。たとえば、比較器11は、アナログコンパレータである。
【0033】
次に、インバータ101の動作例について説明する。
まず、直流入力端子1及び2が短絡していない場合における動作例について説明する。
【0034】
ゲートドライブ回路5aは、所定の周期でスイッチング素子3aのゲートをオンにする。即ち、ゲートドライブ回路5aは、所定の周期でスイッチング素子3aをオンオフ制御する。
【0035】
また、ゲートドライブ回路5bは、ゲートドライブ回路5aと反対の位相でスイッチング素子3bのゲートをオンにする。即ち、ゲートドライブ回路5aは、スイッチング素子3aのオンオフ制御と逆の位相でスイッチング素子3aをオンオフ制御する。
【0036】
ゲートドライブ回路5a及び5bのオンオフ制御により、交流出力端子5は、交流電圧を出力する。
【0037】
また、スイッチング素子3bがオンである間において、ダイオード7には、スイッチング素子3bに生じた電圧が入力される。入力された電圧は、分圧抵抗器8a及び8bにより分圧される。分圧された電圧は、バッファ回路9を介して比較器11に入力される。即ち、比較器11は、スイッチング素子3bに生じた電圧(分圧後の電圧)を入力する。
【0038】
また、閾値演算器10は、温度センサ6が測定した温度に基づいて短絡電圧閾値を比較器11に供給し続ける。
【0039】
次に、直流入力端子1及び2が短絡した場合における動作例について説明する。たとえば、スイッチング素子3aの故障などにより短絡が発生したものとする。
【0040】
短絡が発生すると、スイッチング素子3bがオンである間においてスイッチング素子3bに流れる電流が増加する。スイッチング素子3bに流れる電流が増加すると、スイッチング素子3bに生じる電圧も増加する。
【0041】
前述の通り、比較器11は、スイッチング素子3bに生じた電圧(バッファ回路9からの電圧)を入力する。比較器11は、スイッチング素子3bに生じた電圧と閾値演算器10からの短絡電圧閾値とを比較する。比較器11は、スイッチング素子3bに生じた電圧
が短絡電圧閾値に達すると、短絡検知信号12をゲートドライブ回路5bに供給する。
【0042】
ゲートドライブ回路5bは、比較器11から短絡検知信号12を受信すると、スイッチング素子3bのゲートをオフにする。即ち、ゲートドライブ回路5bは、スイッチング素子3bをオフにすることで短絡を解消する。
【0043】
なお、インバータ101は、スイッチング素子3aに生じた電圧を比較器11に供給してもよい。この場合、ゲートドライブ回路5aは、比較器11が短絡検知信号12を出力するとスイッチング素子3aをオフにする。
また、インバータ101は、複数の相を有するものであってもよい。
【0044】
以上のように構成されたインバータは、スイッチング素子に生じる電圧を測定する。また、インバータは、スイッチング素子に温度に応じた短絡電圧閾値を設定する。インバータは、スイッチング素子に生じる電圧が短絡電圧閾値に達するとスイッチング素子をオフにする。その結果、インバータは、スイッチング素子の温度が変化しても、適切に短絡を検知してスイッチング素子をオフにすることができる。
【0045】
また、インバータは、比較器としてアナログコンパレータを用いる。その結果、インバータは、バッファ回路と比較器との間にアナログデジタル変換器を備えなくともよい。よって、インバータは、アナログデジタル変換器が信号を変換するための遅延を生じることなく短絡を検知することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係るインバータは、デジタル回路から構成される閾値演算器を備える点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図2は、第2の実施形態に係るインバータ102の構成例を示す。インバータ101は、直流入力端子1並びに2、スイッチング素子3a並びに3b、交流出力端子4、ゲートドライブ回路5a並びに5b、温度センサ6、ダイオード7、分圧抵抗器8a並びに8b、バッファ回路9、比較器11、アナログデジタル変換器21、閾値演算器22及びデジタルアナログ変換器23などを備える。
【0047】
アナログデジタル変換器21は、温度センサ6及び閾値演算器22に接続する。アナログデジタル変換器21は、温度センサ6からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。即ち、アナログデジタル変換器21は、温度センサ6が測定した温度を示すデジタル信号を生成する。
アナログデジタル変換器21は、生成されたデジタル信号を閾値演算器22に供給する。
【0048】
閾値演算器22は、デジタルアナログ変換器23に接続する。
閾値演算器22は、アナログデジタル変換器21からのデジタル信号に基づいて短絡電圧閾値を示すデジタル信号を生成するデジタル回路である。たとえば、閾値演算器22は、内部メモリなどに格納されているプログラムを実行することで短絡電圧閾値を算出する。
【0049】
閾値演算器22は、所定のアルゴリズムに従って、スイッチング素子3bの温度から短絡電圧閾値を算出する。たとえば、閾値演算器22は、所定の関数にスイッチング素子3bの温度を代入して短絡電圧閾値を算出する。
【0050】
また、閾値演算器22は、温度と短絡電圧閾値とを対応付けたテーブルを備えるものであってもよい。閾値演算器22は、当該テーブルを参照してスイッチング素子3bの温度に対応する短絡電圧閾値を取得してもよい。
【0051】
閾値演算器22が短絡電圧閾値を取得する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
閾値演算器22は、生成されたデジタル信号をデジタルアナログ変換器23に供給する。
【0052】
デジタルアナログ変換器23は、比較器11に接続する。
デジタルアナログ変換器23は、閾値演算器22からのデジタル信号をアナログ信号に変換する。即ち、デジタルアナログ変換器23は、アナログ信号として短絡電圧閾値を生成する。
デジタルアナログ変換器23は、生成されたアナログ信号(短絡電圧閾値)を比較器11に供給する。
【0053】
なお、アナログデジタル変換器21と閾値演算器22とは、一体的に形成されるものであってもよい。また、閾値演算器22とデジタルアナログ変換器23とは、一体的に形成されるものであってもよい。
【0054】
以上のように構成されたインバータは、デジタル回路である閾値演算器を用いて短絡電圧閾値を取得する。その結果、インバータは、より複雑なアルゴリズムを用いてスイッチング素子の温度から短絡電圧閾値を取得することができる。よって、インバータは、より効果的に短絡を検知することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るインバータについて説明する。
第3の実施形態に係るインバータは、短絡電圧閾値に上限値及び下限値を設定する点で第1の実施形態と異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図3は、第3の実施形態に係るインバータ103の構成例を示す。インバータ103は、直流入力端子1並びに2、スイッチング素子3a並びに3b、交流出力端子4、ゲートドライブ回路5a並びに5b、温度センサ6、ダイオード7、分圧抵抗器8a並びに8b、バッファ回路9、閾値演算器10、比較器11及びリミッタ24などを備える。
【0056】
閾値演算器10は、リミッタ24に接続する。閾値演算器10は、短絡電圧閾値(アナログ信号)をリミッタ24に供給する。
【0057】
リミッタ24は、比較器11に接続する。
リミッタ24は、短絡電圧閾値に上限値及び下限値を設定する。
【0058】
リミッタ24は、閾値演算器10からの短絡電圧閾値が上限値と下限値との間に収まっている場合、閾値演算器10からの短絡電圧閾値を比較器11に供給する。
リミッタ24は、閾値演算器10からの短絡電圧閾値が上限値より大きい場合、短絡電圧閾値として上限値を比較器11に供給する。
【0059】
リミッタ24は、閾値演算器10からの短絡電圧閾値が下限値より小さい場合、短絡電圧閾値として下限値を比較器11に供給する。
たとえば、リミッタ24は、アナログ回路である。
【0060】
なお、リミッタ24は、上限値又は下限値の何れかを設定するものであってもよい。
また、リミッタ24は、上限値を設定する回路と下限値を設定する回路とから構成されるものであってもよい。
また、閾値演算器10とリミッタ24とは、一体的に形成されるものであってもよい。
【0061】
以上のように構成されたインバータは、短絡電圧閾値に上限値及び下限値を設定する。その結果、インバータは、温度センサの故障により異常値が閾値演算器に供給された場合、又は、閾値演算器の故障により異常な短絡電圧閾値を比較器に供給された場合などにおいても短絡を検知することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態に係るインバータは、短絡電圧閾値に上限値及び下限値を設定する点で第2の実施形態と異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0062】
図4は、第4の実施形態に係るインバータ104の構成例を示す。インバータ104は、直流入力端子1並びに2、スイッチング素子3a並びに3b、交流出力端子4、ゲートドライブ回路5a並びに5b、温度センサ6、ダイオード7、分圧抵抗器8a並びに8b、バッファ回路9、比較器11、アナログデジタル変換器21、閾値演算器22、デジタルアナログ変換器23及びリミッタ25などを備える。
【0063】
閾値演算器22は、リミッタ25に接続する。閾値演算器22は、短絡電圧閾値を示すデジタル信号をリミッタ25に供給する。
【0064】
リミッタ25は、デジタルアナログ変換器23に接続する。
リミッタ25は、デジタル回路である。
リミッタ25は、短絡電圧閾値に上限値及び下限値を設定する。
【0065】
リミッタ25は、閾値演算器10からのデジタル信号が示す短絡電圧閾値が上限値と下限値との間に収まっている場合、閾値演算器10からのデジタル信号をデジタルアナログ変換器23に供給する。
リミッタ25は、閾値演算器10からのデジタル信号が示す短絡電圧閾値が上限値より大きい場合、短絡電圧閾値として上限値を示すデジタル信号をデジタルアナログ変換器23に供給する。
【0066】
リミッタ25は、閾値演算器10からのデジタル信号が示す短絡電圧閾値が下限値より小さい場合、短絡電圧閾値として下限値を示すデジタル信号をデジタルアナログ変換器23に供給する。
【0067】
なお、リミッタ25は、上限値又は下限値の何れかを設定するものであってもよい。
また、リミッタ25は、上限値を設定する回路と下限値を設定する回路とから構成されるものであってもよい。
また、閾値演算器22とリミッタ25とは、一体的に形成されるものであってもよい。
【0068】
以上のように構成されたインバータは、デジタル回路である閾値演算器を用いた場合において短絡電圧閾値に上限値及び下限値を設定することができる。
【0069】
本実施形態に係るプログラムは、電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記憶媒体に記憶された状態で譲渡されてもよい。記憶媒体は、非一時的な有形の媒体である。記憶媒体は、コンピュータ可読媒体である。記憶媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…直流入力端子、2…直流入力端子、3a…スイッチング素子、3b…スイッチング素子、4…交流出力端子、5…交流出力端子、5a…ゲートドライブ回路、5b…ゲートドライブ回路、6…温度センサ、7…ダイオード、8a…分圧抵抗器、8b…分圧抵抗器、9…バッファ回路、10…閾値演算器、10b…スイッチング素子、11…比較器、12…短絡検知信号、21…アナログデジタル変換器、22…閾値演算器、23…デジタルアナログ変換器、24…リミッタ、25…リミッタ、101…インバータ、102…インバータ、103…インバータ、104…インバータ。
図1
図2
図3
図4