IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

特開2024-169216POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム
<>
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図1
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図2
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図3
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図4
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図5
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図6
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図7
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図8
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図9
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図10
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図11
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図12
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図13
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図14
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図15
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図16
  • 特開-POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169216
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20241128BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G06Q20/20 310
G07G1/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086501
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高久 実歩
【テーマコード(参考)】
3E142
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142CA12
3E142CA17
3E142DA04
3E142EA04
3E142FA03
3E142FA08
3E142FA50
3E142GA16
3E142GA41
3E142JA03
5L020AA42
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】POSシステムとモバイル決済システムとを併用した店舗の売上を正確に把握する。
【解決手段】監視手段は、モバイル端末を介して入力されたデータを基にモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する。第1取得手段は、モバイル決済システムで決済された商取引での買上商品に係るデータを取得する。第2取得手段は、モバイル決済システムで商取引が決済された時点で算出された当該商取引の合計金額を取得する。処理手段は、第1取得手段により取得した買上商品に係るデータを基に、モバイル決済システムで決済された商取引の商品販売データを処理する。演算手段は、処理手段により処理した商品販売データを基に商取引の合計金額を算出する。出力手段は、第2取得手段により取得した合計金額と演算手段により算出された合計金額との差額を出力する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する監視手段と、
前記モバイル決済システムで決済された商取引での買上商品に係るデータを取得する第1取得手段と、
前記モバイル決済システムで商取引が決済された時点で算出された当該商取引の合計金額を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段により取得した前記買上商品に係るデータを基に、前記モバイル決済システムで決済された商取引の商品販売データを処理する処理手段と、
前記処理手段により処理した商品販売データを基に商取引の合計金額を算出する演算手段と、
前記第2取得手段により取得した合計金額と前記演算手段により算出された合計金額との差額を出力する出力手段と、
を具備する商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記処理手段により商品販売データを処理した商取引のジャーナルを記録する記録手段、
をさらに具備し、
前記出力手段は、前記ジャーナルに記録されるように前記差額を出力する、請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記第2取得手段により取得した合計金額と前記演算手段により算出された合計金額との間に差額が生じた商取引のデータを保存する保存手段、
をさらに具備し、
前記出力手段は、前記保存手段により保存した商取引のデータを基に差額を出力する、請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
商取引の商品販売データを処理する複数台のPOS端末と、
各POS端末で処理された商取引の商品販売データを基に売上を集計するPOSサーバと、
を含み、
前記複数台のPOS端末のうちいずれか1台は、
購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する監視手段、
前記モバイル決済システムで決済された商取引での買上商品に係るデータを取得する第1取得手段、
前記モバイル決済システムにて決済された時点で算出された当該商取引の合計金額を取得する第2取得手段、
前記第1取得手段により取得した前記買上商品に係るデータを基に、前記モバイル決済システムで決済された商取引の商品販売データを処理する処理手段、
前記処理手段により処理した商品販売データを基に商取引の合計金額を算出する演算手段、及び、
前記第2取得手段により取得した合計金額と前記演算手段により算出された合計金額との差額を出力する出力手段、
を有した商品販売データ処理装置として機能する、POSシステム。
【請求項5】
前記複数台のPOS端末は、前記商品販売データ処理装置として動作するか否かを決定する決定手段、
をさらに具備し、
前記商品販売データ処理装置として動作することが決定されると、前記監視手段による監視動作を開始する、請求項4記載のPOSシステム。
【請求項6】
商品販売データ処理装置のコンピュータを、
購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する監視手段、
前記モバイル決済システムで決済された商取引での買上商品に係るデータを取得する第1取得手段、
前記モバイル決済システムにて決済された時点で算出された当該商取引の合計金額を取得する第2取得手段、
前記第1取得手段により取得した前記買上商品に係るデータを基に、前記モバイル決済システムで決済された商取引の商品販売データを処理する処理手段、
前記処理手段により処理した商品販売データを基に商取引の合計金額を算出する演算手段、及び、
前記第2取得手段により取得した合計金額と前記演算手段により算出された合計金額との差額を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、POSシステム、商品販売データ処理装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、購買者がモバイル端末を自ら操作して買上商品の登録から決済までを完結するようにしたモバイル決済システムが開発され、スーパーマーケット等で既に実用化されている。店舗は、モバイル決済システムを導入することで、会計場(レジ)の混雑を緩和できる。また店舗は、会計担当の従業員を減らせるので、人件費の削減を図ることができる。その一方で、モバイル決済システムを利用したくない購買者も多い。このため、既存の決済システムであるPOS(Point Of Sales)システムを残しつつモバイル決済システムを導入する、というのが一般的である。
【0003】
POSシステムは、各POS端末で決済された商取引の商品販売データをPOSサーバでリアルタイムに集計するので、商品販売時点における店舗の売上をいつでも把握できるというメリットがある。しかし、POSシステムとモバイル決済システムとを併用した場合には、モバイル決済システムで決済された商取引の商品販売データがPOSサーバで集計されないため、POSシステムで店舗の売上を把握するのに時間がかかる。
【0004】
そこで、モバイル決済システムで商取引が決済される都度、買上商品に係るデータをPOS端末が取込み、そのデータを基に商取引の商品販売データをPOSサーバで集計するように構成する。このような構成により、モバイル決済システムで決済された商取引の商品販売データも略リアルタイムにPOSサーバで集計されるので、POSシステムで店舗の売上を把握できるようになる。
【0005】
しかしながら、例えばタイムサービスのような時限的な値引販売が実施された場合、モバイル決済システムで決済された時点の買上商品の価格とPOS端末がモバイル決済システムからデータを取り込んだ時点の買上商品の価格との間に差額が生じる可能性がある。差額が生じると、POSサーバで集計した商品販売データから求まる売上が必ずしも正しいものではないという可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2013-541107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、POSシステムとモバイル決済システムとを併用した店舗の売上を正確に把握することができる商品販売データ処理装置及びそのプログラムと、POSシステムとを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、商品販売データ処理装置は、監視手段と、第1取得手段と、第2取得手段と、処理手段と、演算手段と、出力手段とを備える。監視手段は、購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する。第1取得手段は、モバイル決済システムで決済された商取引での買上商品に係るデータを取得する。第2取得手段は、モバイル決済システムで商取引が決済された時点で算出された当該商取引の合計金額を取得する。処理手段は、第1取得手段により取得した買上商品に係るデータを基に、モバイル決済システムで決済された商取引の商品販売データを処理する。演算手段は、処理手段により処理した商品販売データを基に商取引の合計金額を算出する。出力手段は、第2取得手段により取得した合計金額と演算手段により算出された合計金額との差額を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、POSシステムとモバイル決済システムとを併用する店舗に構築される店舗システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、商品マスタに保存される商品レコードのデータ構造を示す模式図である。
図3図3は、値引テーブルのデータ構造を示す模式図である。
図4図4は、モバイルサーバが有する取引ファイルに記述される主要なデータを示す模式図である。
図5図5は、POS端末の要部回路構成を示すブロック図である。
図6図6は、POS端末が有する取引ファイルに記述される主要なデータを示す模式図である。
図7図7は、POS端末のプロセッサが有する主要な機能構成を示す模式図である。
図8図8は、モバイル端末と連動してモバイルサーバが実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図9図9は、POS端末のプロセッサが実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
図10図10は、POS端末と連動してモバイルサーバが実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図11図11は、図9における売上統合処理の具体的な手順を示す流れ図である。
図12図12は、図9における売上統合処理の具体的な手順を示す流れ図である。
図13図13は、第1合計金額と第2合計金額とが一致する商取引に対して電子ジャーナルに記録されたジャーナルの一例を示す図である。
図14図14は、第1合計金額と第2合計金額とが一致しない商取引に対して電子ジャーナルに記録されたジャーナルの一例を示す図である。
図15図15は、合計額不一致レポートの一例を示す図である。
図16図16は、第1合計金額と第2合計金額とが一致する商取引に対して電子ジャーナルに記録されたジャーナルの他の例を示す図である。
図17図17は、第1合計金額と第2合計金額とが一致しない商取引に対して電子ジャーナルに記録されたジャーナルの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、いくつかの実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態は、POSシステムを備えたスーパーマーケット等の店舗がモバイル決済システムを併用する場合である。そこで始めに、この種の店舗に構築される店舗システムについて説明する。
【0011】
[店舗システム(POSシステム)の説明]
図1は、POSシステム10とモバイル決済システム20とを併用する店舗に構築される店舗システムの概略構成を示す模式図である。店舗システムは、POSシステム10とモバイル決済システム20とを備える。
【0012】
POSシステム10は、複数台のPOS端末11と、POSサーバ12とを含む。POSシステム10は、複数台のPOS端末11とPOSサーバ12とを通信ネットワーク13で接続する。通信ネットワーク13は、例えばLAN(Local Area Network)である。
【0013】
POS端末11は、買上商品の登録と商取引の決済とを行うための機器である。POS端末11は、従業員が買上商品の登録から商取引の決済までを行う対面式のものであってもよいし、客である購買者が買上商品の登録から商取引の決済までを行うセルフ式のものであってもよい。あるいは、従業員が買上商品の登録を行い、購買者が商取引の決済を行う分担式のものであってもよい。
【0014】
POSシステム10は、各POS端末11で決済された商取引で登録された買上商品の商品販売データをPOSサーバ12が通信ネットワーク13を介して収集し集計することにより、商品販売時点における店舗の売上、在庫等の情報を管理する。
【0015】
POSサーバ12は、商品マスタ14と値引テーブル15とを備える。商品マスタ14は、商品毎に作成される商品レコード141(図2を参照)の集合体である。
図2は、商品レコード141のデータ構造を示す模式図である。図示するように商品レコード141は、商品コード、商品名、単価等の商品データを記述したデータレコードである。商品コードは、各商品を識別するために商品毎に設定された一意のコードである。商品名及び単価は、商品コードで識別される商品の名称と1点当たりの価格である。商品データは、値引対象フラグFxを含む。値引対象フラグFxは、商品が時限的な値引販売の対象となるか否かを識別するための1ビッドデータである。例えばタイムサービスのように設定された時間帯だけ一時的に値引される商品、または弁当、総菜、生鮮食品等のように閉店間際になると値引される商品等が時限的な値引販売の対象となる。以下では、時限的な値引販売の対象となる商品を値引対象商品と称する。本実施形態では、値引対象商品に対する値引対象フラグFxを“1”とし、その他の商品に対する値引対象フラグFxを“0”とする。
【0016】
値引テーブル15は、値引対象商品に係るデータを記述するための領域である。
図3は、値引テーブル15のデータ構造を示す模式図である。図示するように値引テーブル15は、商品コードのカラムと、開始時刻のカラムと、終了時刻のカラムと、値引額のカラムとを有する。商品コードのカラムには、値引対象商品の商品コードが記述される。開始時刻及び終了時刻のカラムには、時限的な値引販売がタイムサービスである場合には、タイムサービスの開始時刻と終了時刻が記述される。時限的な値引販売が閉店間際の値引サービスである場合には、そのサービスの開始時刻と閉店時刻又は閉店時刻以降の任意の時刻が記述される。値引額のカラムには、タイムサービスによって値引される金額、または閉店間際の値引販売によって値引される金額が記述される。なお、値引額の代わりに、割引率あるいは値引後の価格を記述してもよい。また、値引額と割引率と値引後の価格とを混在して記述してもよい。混在する場合には、当該カラムに記述されている値が値引額なのか割引率なのか値引後の価格なのかを識別するためのデータを記述するカラムを値引テーブル15に追加すればよい。
【0017】
図1の説明に戻る。
POS端末11は、商品コードの入力手段を有する。例えば各商品には、それぞれ当該商品固有の商品コードを表すバーコードが付されており、POS端末11は、このバーコードをスキャニングするためのスキャナを入力手段として備えている。POS端末11は、入力手段を介して商品コードを入力すると、その商品コードで識別される商品のデータをPOSサーバ12に問い合わせる。
【0018】
問い合わせを受けたPOSサーバ12は、POS端末11で入力された商品コードを含む商品レコード141を商品マスタ14から検出する。またPOSサーバ12は、その商品コードが値引テーブル15に記述されているか否かを確認する。そして、その商品コードが値引テーブル15に記述されていない場合には、POSサーバ12は、商品レコード141の商品データをPOS端末11に送信する。商品コードが値引テーブル15に記述されている場合には、POSサーバ12は、値引テーブル15から当該商品コードと関連付けられた開始時刻、終了時刻及び値引額のデータを取得する。そしてPOSサーバ12は、商品データとともに値引テーブル15から取得したデータをPOS端末11に送信する。以下では、値引テーブル15から取得した開始時刻、終了時刻及び値引額のデータを値引データと称する。
【0019】
POS端末11は、POSサーバ12から受信したデータを基に、商品販売データを処理する。すなわちPOS端末11は、商品データを受信した場合には、商品レコード141の単価を買上商品の価格として、商品販売データを処理する。一方、商品データとともに値引データを受信した場合には、POS端末11は、商品データの単価を値引データの値引額で値引した金額を買上商品の価格として、商品販売データを処理する。なお、値引テーブル15に割引率が記述されていた場合には、POS端末11は、商品データの単価を割引率で割り引いた金額を買上商品の価格として、商品販売データを処理する。値引テーブル15に値引後の価格が記述されていた場合には、POS端末11は、その値引後の価格を買上商品の価格として、商品販売データを処理する。
【0020】
かくしてPOS端末11は、時限的な値引販売が成立している値引対象商品については、値引後の価格で商品販売データを処理する。POS端末11は、時限的な値引販売が成立していない値引対象商品及び値引対象商品以外の商品については、商品マスタ14に設定された価格で商品販売データを処理する。
【0021】
[店舗システム(モバイル決済システム)の説明]
モバイル決済システム20は、複数台のモバイル端末21と、モバイルサーバ22とを含む。モバイル決済システム20は、複数台のモバイル端末21と、モバイルサーバ22とを、通信ネットワーク23のアクセスポイント24を介して無線で接続する。
【0022】
モバイル端末21は、タッチパネル、カメラ等の入出力デバイスと、アクセスポイント24と無線通信が可能な無線通信ユニットと、を備えた携帯型の情報端末である。例えば購買者が所有するスマートフォン、店舗から貸し出されるハンディターミナル、ショッピングカートに取り付けられたタブレット端末等がモバイル端末21となり得る。
【0023】
モバイル端末21は、売場を移動しながら買上商品を集める購買者が操作者となる。購買者は、買上商品を入手する毎にモバイル端末21を操作して、その買上商品に係るデータを入力する。例えば購買者は、モバイル端末21のカメラで買上商品のバーコードをスキャニングすることにより、買上商品の商品コードを入力する。例えば購買者は、モバイル端末21のタッチパネルを操作することにより、買上商品の商品コード、買上点数等を入力する。モバイル端末21に入力された買上商品に係るデータは無線送信され、アクセスポイント24を介してモバイルサーバ22で受信される。
【0024】
買物を終えた購買者は、会計を指示する操作をモバイル端末21に対して行う。購買者によって会計が指示されると、モバイル端末21では代金の支払い方法が選択可能となるので、購買者は希望する支払い方法を選択し、その支払い方法で代金を支払うための操作をモバイル端末21に対して行う。代金の支払い方法は、電子マネー、クレジットカード、コード決済等である。購買者により代金の支払い操作が行われると、モバイル端末21から支払いデータが無線送信される。支払いデータは、アクセスポイント24を介してモバイルサーバ22で受信される。
【0025】
モバイルサーバ22もまたPOSサーバ12と同様に、商品マスタ25と値引テーブル26とを備える。そして、商品マスタ25に保存される商品レコードは、商品マスタ14に保存される商品レコード141と一致する。値引テーブル26に記述される商品コード、開始時刻、終了時刻及び値引額のデータも値引テーブル15のデータと一致する。
【0026】
モバイルサーバ22は、モバイル端末21で入力された商品コードを含む商品レコードを商品マスタ25から検出する。またモバイルサーバ22は、その商品コードが値引テーブル26に記述されているか否かを確認する。そして、その商品コードが値引テーブル26に記述されていない場合には、モバイルサーバ22は、商品マスタ25から検出した商品レコードの単価を買上商品の価格とする。その商品コードが値引テーブル26に記述されている場合には、モバイルサーバ22は、商品マスタ25から検出した商品レコードの単価を値引テーブル26に記述されている当該商品の値引額で値引した金額を買上商品の価格とする。モバイルサーバ22は、その価格を用いて買上商品の商品販売データを処理する。なお、値引テーブル26に割引率が記述されていた場合には、商品レコードの単価を割引率で割り引いた金額を買上商品の価格とする。値引テーブル26に値引後の価格が記述されていた場合には、その値引後の価格を買上商品の価格とする。
【0027】
このようにモバイルサーバ22は、モバイル端末21から受信した買上商品に係るデータを基に、POSシステム10のPOS端末11とPOSサーバ12とで行われる商品販売データの処理と同様の処理を実行する。
【0028】
モバイルサーバ22は、複数の取引ファイル27を保存するための記憶領域を有する。取引ファイル27は、モバイル端末21を用いて買上商品の登録から商取引の決済までを行う購買者毎に作成されるデータファイルである。
【0029】
図4は、取引ファイル27に記述される主要なデータを示す模式図である。図示するように取引ファイル27には、取引番号、取引日時、1以上の商品販売データ、合計データ、支払いデータ、決済完了フラグFa、統合フラグFb等が記述される。取引番号は、モバイル端末21で決済される商取引を識別するために発番される一意の番号である。取引日時は、その商取引が行われた日付及び時刻である。時刻は、開始時刻であってもよいし、終了時刻であってもよい。
【0030】
商品販売データは、買上商品の商品コード、価格、買上点数、買上金額等のデータで構成される。商品コードは、モバイル端末21に入力された買上商品の識別コードである。価格は、モバイル端末21で入力された買上商品の商品コードに基づきモバイルサーバ22で特定される価格である。買上点数は、モバイル端末21に買上点数が入力された場合にはその点数であり、買上点数が入力されていない場合には“1”である。買上金額は、価格に買上点数を乗算して算出される金額である。
【0031】
合計データは、合計点数と合計金額のデータで構成される。合計点数は、取引ファイル27に含まれる商品販売データの買上点数の合計である。合計金額は、取引ファイル27に含まれる商品販売データの買上金額の合計である。
【0032】
支払いデータは、代金の支払い方法を識別するための支払種別と、その支払い方法による支払い金額と、を含む。モバイル端末21で決済される商取引は、会計場(レジ)を通らないので、代金の支払い方法は、クレジットカード、電子マネー、コード決済等のキャッシュレスに限定される。
【0033】
決済完了フラグFaは、当該取引ファイル27で管理される商取引の決済が完了したか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、決済が完了していないことを示す決済完了フラグFaを“0”とし、決済が完了したことを示す決済完了フラグFaを“1”とする。
【0034】
統合フラグFbは、当該取引ファイル27で管理される商取引の売上をPOSシステム10で集計される売上に統合済か否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、統合済でないことを示す統合フラグFbを“0”とし、統合済であることを示す統合フラグFbを“1”とする。
【0035】
図1の説明に戻る。
POSシステム10は、通信ネットワーク13に通信サーバ31を接続する。モバイル決済システム20は、通信ネットワーク23に通信サーバ32を接続する。通信サーバ31及び通信サーバ32は、いずれもサーバ間ネットワーク30を通じてデータ通信サービスを行うものである。このような接続により、POSシステム10におけるPOSサーバ12とモバイル決済システム20におけるモバイルサーバ22とは、相互間でデータを送受信することが可能となる。このデータ通信により、POSサーバ12が備える商品マスタ14及び値引テーブル15と、モバイルサーバ22が備える商品マスタ25及び値引テーブル26との整合性がとられる。また、モバイル決済システム20で決済された商取引のデータがPOSシステム10に取り込まれる。
【0036】
[POS端末の構成説明]
図5は、POS端末11の要部回路構成を示すブロック図である。POS端末11は、プロセッサ41、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44、通信インターフェース45、キーボード46、ディスプレイ47、プリンタ48、スキャナインターフェース49、釣銭機インターフェース50及びシステム伝送路51等を備える。システム伝送路51は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路51は、プロセッサ41と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0037】
POS端末11は、プロセッサ41と、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44及び通信インターフェース45とを、システム伝送路51で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてシステム伝送路51に、キーボード46、ディスプレイ47、プリンタ48等の入出力デバイス及びスキャナインターフェース49、釣銭機インターフェース50等のデバイスインターフェースを接続し、コンピュータで制御することにより、POS端末11としての機能を実現している。なお、システム伝送路51に接続される入出力デバイスまたはデバイスインターフェースは、上記のものに限定されない。例えばカードリーダ、ポインティングデバイス等の他の入出力デバイスが接続されてもよいし、キャッシュレス決済端末のインターフェース等が接続されてもよい。
【0038】
プロセッサ41は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ41は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、POS端末11としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、複数のプロセッサコアを含み、複数の処理を並行して実行することが可能なマルチコア・プロセッサであることが好ましい。
【0039】
メインメモリ42は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ42は、プロセッサ41が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ42は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ41によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0040】
補助記憶デバイス43は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス43となり得る。補助記憶デバイス43は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ41での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス43は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0041】
時計44は、日付と時刻を計時する。プロセッサ41は、時計44によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0042】
通信インターフェース45は、通信ネットワーク13に接続されたPOSサーバ12との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0043】
キーボード46は、買上商品の登録と商取引の決済に必要な種々のキーを配置した入力デバイスである。ディスプレイ47は、登録された買上商品の品名、価格、合計金額等を表示するための表示デバイスである。プリンタ48は、レシート用紙にデータを印字して買上レシート等を発行するための印字デバイスである。スキャナインターフェース49は、バーコード、二次元コード等のコードをスキャニング可能なスキャナとのインターフェースである。釣銭機インターフェース50は、預り金の入金及び釣銭の払出しが可能な自動釣銭機とのインターフェースである。
【0044】
かかる構成のPOS端末11は、メインメモリ42における揮発性メモリ領域の一部を取引ファイル61及び不一致ファイル62の領域としている。取引ファイル61は、一取引分の商取引に係るデータを記述するためのデータファイルである。不一致ファイル62は、一以上の不一致データを保存するためのデータファイルである。不一致データについては後述する。
【0045】
図6は、POS端末11が有する取引ファイル61に記述される主要なデータを示す模式図である。図示するように取引ファイル61には、取引番号、取引日時、1以上の商品販売データ、合計データ、支払いデータ、差額フラグFc、差額B等が記述される。取引番号は、POS端末11で決済される商取引を識別するために発番される一意の番号である。取引日時は、その商取引が行われた日付及び時刻である。時刻は、開始時刻であってもよいし、終了時刻であってもよい。
【0046】
商品販売データは、買上商品の商品コード、価格、買上点数、買上金額等のデータで構成される。商品コードは、POS端末11に入力された買上商品の識別コードである。価格は、POS端末11で入力された買上商品の商品コードに基づき特定される価格である。買上点数は、POS端末11に買上点数が入力された場合にはその点数であり、買上点数が入力されていない場合には“1”である。買上金額は、価格に買上点数を乗算して算出される金額である。
【0047】
合計データは、合計点数と合計金額のデータで構成される。合計点数は、取引ファイル61に含まれる商品販売データの買上点数の合計である。合計金額は、取引ファイル61に含まれる商品販売データの買上金額の合計である。
【0048】
支払いデータは、代金の支払い方法を識別するための支払種別と、その支払い方法による支払い金額と、を含む。代金の支払い方法は、例えば現金である。代金の支払い方法は、クレジットカード、電子マネー、コード決済等のキャッシュレスであってもよい。
差額フラグFc及び差額Bについては、後述する。
【0049】
POS端末11は、補助記憶デバイス43における記憶領域の一部を電子ジャーナル63の領域としている。電子ジャーナル63は、POS端末11で決済された商取引のジャーナルデータを電子的に保存する。
【0050】
さて本実施形態では、POSシステム10を構成する複数台のPOS端末11のうちの1台を、モバイル決済システム20で決済された商取引での買上商品のデータを処理する商品販売データ処理装置とする。以下では、このPOS端末11をモバイル専用機と称する。
【0051】
複数台のPOS端末11は、いずれもモバイル専用機となり得る。すなわち各POS端末11は、モバイル専用機として動作するために、プロセッサ41が、図7に示す決定手段71、監視手段72、第1取得手段73、第2取得手段74、処理手段75、演算手段76、記録手段77、保存手段78及び出力手段79としての機能を有している。
【0052】
決定手段71は、モバイル専用機として動作するか否かを決定する機能である。POS端末11は、オプションフラグとして専用機フラグを有する。専用機フラグは、モバイル専用機として動作するか否かを決定するための1ビットデータであり、“1”又は“0”に設定される。本実施形態では、モバイル専用機として動作することを示す専用機フラグを“1”とし、モバイル専用機として動作しないことを示す専用機フラグを“0”とする。決定手段71は、専用機フラグをチェックし、“1”に設定されていた場合にモバイル専用機として動作すると決定する。
【0053】
本実施形態では、複数台のPOS端末11のうち、任意の1台のPOS端末11が有する専用機フラグを“1”として、モバイル専用機として動作させる。モバイル専用機として動作させるPOS端末11は、例えば店舗のバックヤードに設置する。その他のPOS端末11が有する専用機フラグは“0”とする。専用機フラグが“0”のPOS端末11は、店舗の会計場(レジ)に設置される。
【0054】
監視手段72、第1取得手段73、第2取得手段74、処理手段75、演算手段76、記録手段77、保存手段78及び出力手段79としての機能は、決定手段71によりモバイル専用機として動作することが決定されると有効となる。
【0055】
監視手段72は、モバイル決済システム20で商取引が決済されるのを監視する機能である。第1取得手段73は、モバイル決済システム20で決済された商取引での買上商品に係るデータを取得する機能である。第2取得手段74は、モバイル決済システム20で商取引が決済された時点で算出された当該商取引の合計金額を取得する機能である。以下では、第2取得手段74により取得した合計金額を第1合計金額と称する。
【0056】
処理手段75は、第1取得手段73により取得した商品に係るデータを基に、モバイル決済システム20で決済された商取引の販売データを処理する機能である。処理手段75は、商取引の販売データを取引ファイル61に記述する。演算手段76は、処理手段75により処理した販売データを基に商取引の合計金額を算出する機能である。以下では、演算手段76により算出した合計金額を第2合計金額と称する。記録手段77は、処理手段75により販売データを処理した商取引のジャーナルデータを電子ジャーナル63に記録する機能である。
【0057】
保存手段78は、第2取得手段74により取得した第1合計金額と演算手段76により算出された第2合計金額との間に差額が生じた商取引に係る不一致データを不一致ファイル62に保存する機能である。不一致データは、商取引の取引番号、第1合計金額、第2合計金額及び差額を含むデータである。
【0058】
出力手段79は、第1合計金額と第2合計金額との差額を出力する機能である。出力手段79は、例えば不一致ファイル62に保存されている不一致データに基づいて、第1合計金額と第2合計金額との差額を示す合計額不一致レポート80を出力する。出力手段79は、例えば電子ジャーナル63に記録されるように第1合計金額と第2合計金額との差額を出力する。
【0059】
決定手段71、監視手段72、第1取得手段73、第2取得手段74、処理手段75、演算手段76、記録手段77、保存手段78及び出力手段79としての機能は、プロセッサ41が業務プログラムに従って実行する情報処理によって実現される。業務プログラムは、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。業務プログラムをメインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に業務プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により業務プログラムを配信して、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0060】
[店舗システムの動作説明]
図8は、購買者がモバイル端末21を操作して買上商品の登録から商取引の決済までを行う際に、そのモバイル端末21と連動してモバイルサーバ22が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。図9は、POS端末11のプロセッサ41が実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。図10は、モバイル専用機として動作するPOS端末11と連動してモバイルサーバ22が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。図11及び図12は、図9における売上統合処理の具体的な手順を示す流れ図である。以下、各流れ図を用いて説明される情報処理の手順に従い、POSシステム10及びモバイル決済システム20の主要な動作について説明する。なお、以下に説明する動作は一例である。本実施形態と同様の作用効果を奏し得るのであればその動作に係る情報処理の手順及び処理の内容は特に限定されるものではない。
【0061】
初めに、図8の流れ図に示す情報処理の手順について説明する。
モバイル端末21を操作して買上商品の登録から商取引の決済までを行う購買者は、モバイル端末21に対して買物開始を指令するための操作を行う。例えば、モバイル端末21のタッチパネルに表示された起動画面のスタートボタンにタッチする。このような操作により、モバイル端末21から起動コマンドが発信される。起動コマンドは、アクセスポイント24を中継してモバイルサーバ22に送信される。
【0062】
起動コマンドを受信したモバイルサーバ22は、図8の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。モバイルサーバ22は、ACT1として新規の取引番号を発番する。例えばモバイルサーバ22は取引番号のカウンタを備えており、起動コマンドを受信する毎にそのカウンタをカウントアップする。モバイルサーバ22は、カウントアップしたカウンタの値を取引番号として取得する。次いでモバイルサーバ22は、ACT2として取引日時を取得する。例えばモバイルサーバ22は、内蔵する時計用ICによって計時されている現在の日付及び時刻を取引日時として取得する。
【0063】
ACT1及びACT2の処理を終えたモバイルサーバ22は、ACT3へと進む。モバイルサーバ22は、ACT3として取引ファイル27を作成する。すなわちモバイルサーバ22は、ACT1の処理で取得した取引番号と、ACT2の処理で取得した取引日時とを記述した取引ファイル27を作成する。
【0064】
取引ファイル27を作成したモバイルサーバ22は、ACT4へと進む。モバイルサーバ22は、ACT4としてその取引ファイル27の決済完了フラグFa及び統合フラグFbをいずれも“0”とする。
【0065】
ACT1乃至ACT4の処理を終えると、モバイルサーバ22は、ACT5へと進む。モバイルサーバ22は、ACT5としてモバイル端末21から商品買上イベントを受信するのを待ち受ける。商品買上イベントは、モバイル端末21で買上商品に係るデータが入力されたことに応じて、モバイル端末21から発信される。商品買上イベントには、買上商品に係るデータ、すなわち商品コード、買上点数等が含まれる。
【0066】
商品買上イベントを受信すると、モバイルサーバ22は、ACT6へと進む。モバイルサーバ22は、ACT6として商品買上イベントに含まれる商品コードで商品マスタ25を検索し、その商品コードを含む商品レコードの商品名,単価,値引対象フラグFx等を含む商品データを取得する。モバイルサーバ22は、ACT7として値引対象フラグFxを調べて買上商品が値引対象商品であるか否かを確認する。モバイルサーバ22は、値引対象フラグFxが“0”の場合には、買上商品が値引対象商品ではないと判定する。モバイルサーバ22は、値引対象フラグFxが“1”の場合には、買上商品が値引対象商品であると判定する。
【0067】
買上商品が値引対象商品である場合、モバイルサーバ22は、ACT7からACT8へと進む。モバイルサーバ22は、ACT8として値引テーブル26を参照して、値引が成立するか否かを確認する。具体的にはモバイルサーバ22は、時計用ICによって計時されている現在の時刻が、買上商品の商品コードに対応して値引テーブル26に記述されている開始時刻と終了時刻との間の時間帯であるか否かを確認する。現在の時刻が開始時刻と終了時刻との間の時間帯でない場合には、モバイルサーバ22は、値引が成立しないと判定する。現在の時刻が開始時刻と終了時刻との間の時間帯である場合には、モバイルサーバ22は、値引が成立すると判定する。
【0068】
値引が成立する場合には、モバイルサーバ22は、ACT9へと進む。モバイルサーバ22は、ACT9として商品データの単価から買上商品の商品コードに対応して値引テーブル26に記述されている値引額を減じた金額を買上商品の価格として取得する。
【0069】
これに対し、値引が成立しない場合、あるいは買上商品が値引対象商品でない場合には、モバイルサーバ22は、ACT10へと進む。モバイルサーバ22は、ACT10として商品データの単価を買上商品の価格として取得する。
【0070】
ACT9又はACT10の処理を終えると、モバイルサーバ22は、ACT11へと進む。モバイルサーバ22は、ACT11として商品コード、価格、買上点数及び買上金額を含む商品販売データを作成し、その商品販売データをACT3の処理で作成した取引ファイル27に記述する。またモバイルサーバ22は、ACT12として取引ファイル27に記述されている合計データを更新する。すなわちモバイルサーバ22は、合計点数に商品販売データの買上点数を加算する。また、モバイルサーバ22は、合計金額に商品販売データの買上金額を加算する。
【0071】
その後、モバイルサーバ22は、ACT13として会計イベントを受信したか否かを確認する。会計イベントは、モバイル端末21で支払いデータが入力されたことに応じて、モバイル端末21から発信される。会計イベントには、支払いデータである支払い種別と支払い金額とが含まれる。
【0072】
会計イベントを受信していない場合、モバイルサーバ22は、ACT5に戻る。すなわちモバイルサーバ22は、商品買上イベントを待ち受ける。そして商品買上イベントを受信すると、モバイルサーバ22は、ACT6乃至ACT12の処理を前述したのと同様に実行する。このようにモバイルサーバ22は、モバイル端末21から商品買上イベントを受信する毎に、ACT6乃至ACT12の処理を繰り返し実行する。その結果、取引ファイル27には、モバイル端末21で登録された買上商品毎に商品販売データが記述される。また、各商品販売データに基づき合計データが更新される。
【0073】
モバイルサーバ22は、会計イベントを受信すると、ACT14へと進む。モバイルサーバ22は、ACT14としてその会計イベントに含まれる支払いデータを取引ファイル27に記述する。またモバイルサーバ22は、ACT15としてキャッシュレス決済処理を実行する。キャッシュレス決済処理は、例えば、支払いデータの支払い種別がクレジットカードの場合には、クレジットカードの信用取引に係る処理である。例えば、支払いデータの支払い種別が電子マネーの場合には、電子マネーの残高から支払い金額を減額する処理である。例えば、支払いデータの支払い種別がコード決済の場合には、コードで特定される支払い可能額から支払い金額を減額する処理である。このようなキャッシュレス決済処理は周知の処理であるので、詳細な説明は省略する。
【0074】
キャッシュレス決済処理を終えたモバイルサーバ22は、ACT16へと進む。モバイルサーバ22は、ACT16として取引ファイル27の決済完了フラグFaを“1”に切り替える。
【0075】
以上で、モバイルサーバ22は、モバイル端末21から起動コマンドを受信した際の情報処理を終了する。モバイルサーバ22は、他のモバイル端末21から起動コマンドを受信した場合も、ACT1乃至ACT16の処理を前述したのと同様に実行する。そして、1つのモバイル端末21に係る情報処理が終了する前に、他のモバイル端末21から起動コマンドを受信した場合には、モバイルサーバ22は、ACT1乃至ACT16の処理を並行して実行する。
【0076】
次に、図9の流れ図に示す情報処理の手順について説明する。
各POS端末11のプロセッサ41は、電源が投入されて起動すると、図9の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。先ずプロセッサ41は、ACT21としてオプションチェックを行う。オプションチェックは、補助記憶デバイス43に設定されたオプションフラグをチェックする処理である。オプションフラグは、前述した専用機フラグを含む。プロセッサ41は、ACT42として専用機フラグが“1”であるか否かを確認する。
【0077】
専用機フラグが“1”でない場合には、当該POS端末11は、モバイル専用機として動作しない設定になっている。この場合、プロセッサ41は、ACT23へと進む。プロセッサ41は、ACT23としてオペレータによるサインオンを待ち受ける。サインオンがあると、プロセッサ41は、ACT24へと進む。プロセッサ41は、ACT24として通常のPOS端末11としての処理を実行する。この処理は、周知の処理であるので、ここでの説明は省略する。
【0078】
一方、専用機フラグが“1”である場合には、当該POS端末11は、モバイル専用機として動作する設定になっている。この場合、プロセッサ41は、ACT25へと進む。プロセッサ41は、ACT25として自動サインオンを実行する。例えばプロセッサ41は、予め用意されたサインオンコードが入力されたものと仮定して、ACT26へと進む。プロセッサ41は、ACT26として売上統合モードを開始する。
【0079】
売上統合モードを開始したプロセッサ41は、ACT27へと進む。プロセッサ41は、ACT27として決済完了取引の問合せコマンドを送信するように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から決済完了取引の問合せコマンドが送信される。決済完了取引の問合せコマンドは、サーバ間ネットワーク30を介して通信サーバ31から通信サーバ32へと送信され、さらにモバイルサーバ22へと送信される。
【0080】
決済完了取引の問合せコマンドを受信したモバイルサーバ22においては、図10の流れ図に示す手順の情報処理が実行される。その結果、モバイルサーバ22から問合せ元のPOS端末11に対して、取引応答又は取引無し応答が返信される。
【0081】
プロセッサ41は、取引応答を受信した場合には、ACT29へと進む。プロセッサ41は、図11及び図12の流れ図に示す手順の売上統合処理を実行する。これに対し、取引無し応答を受信した場合には、プロセッサ41は、売上統合処理を実行しない。
【0082】
取引応答に従い売上統合処理を実行するか、取引無し応答を受信したプロセッサ41は、ACT30へと進む。プロセッサ41は、ACT30として売上統合モードが終了したか否かを確認する。売上統合モードは、例えば閉店時刻以降の所定の時刻になると、終了する。
【0083】
売上統合モードか終了していない場合、プロセッサ41は、ACT27へと戻る。そしてプロセッサ41は、ACT27乃至ACT30の処理を前述したのと同様に実行する。このようにプロセッサ41は、売上統合モードを開始してから終了するまでの間、ACT27乃至ACT30の処理を繰り返し実行する。すなわちプロセッサ41は、周期的に決済完了の問合せコマンドを送信し、取引応答を受信した場合に限り売上統合処理を実行する。この周期は、情報処理の速度によるが、好ましくは数秒間隔、若しくは数十秒間隔である。
【0084】
ここに、プロセッサ41は、ACT21及びACT22の処理により決定手段71としての機能を実現する。またプロセッサ41は、ACT27及びACT28の処理により監視手段72としての機能を実現する。
【0085】
次に、図10の流れ図に示す情報処理の手順について説明する。
モバイルサーバ22は、ACT41として決済完了取引の問合せコマンドを待ち受けている。問合せコマンドを受信すると、モバイルサーバ22は、ACT42へと進む。モバイルサーバ22は、ACT42として取引番号が小さい順に取引ファイル27を検索して、決済完了フラグFaと統合フラグFbを調べる。あるいはモバイルサーバ22は、ACT42として取引番号が大きい順に取引ファイル27を検索して、決済完了フラグFaと統合フラグFbを調べる。
【0086】
決済完了フラグFaが“0”の取引ファイル27は、まだ決済を完了していない商取引のものである。決済完了フラグFaが“1”の取引ファイル27は、モバイル端末21の操作により決済を完了した商取引のものである。統合フラグFbが“0”の取引ファイル27は、売上統合処理を終えていないものである。統合フラグFbが“1”の取引ファイル27は、売上統合処理を既に終えたものである。
【0087】
モバイルサーバ22は、ACT43として決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル27であるか否かを確認する。決済完了フラグFaが“0”の取引ファイル27の場合、若しくは統合フラグFbが“1”の取引ファイル27の場合には、モバイルサーバ22は、ACT44へと進む。モバイルサーバ22は、ACT44として取引ファイル27の検索を終了したか否かを確認する。取引ファイル27の検索を終了していない場合、モバイルサーバ22は、ACT42へと戻る。モバイルサーバ22は、次の取引ファイル27を検索して、決済完了フラグFaと統合フラグFbを調べる。
【0088】
モバイルサーバ22は、決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル27を検出すると、ACT45へと進む。モバイルサーバ22は、ACT45としてその取引ファイル27の統合フラグFbを“1”に書き換える。次いでモバイルサーバ22は、ACT46としてその取引ファイル27を取得する。そしてモバイルサーバ22は、ACT47として取引応答を送信する。取引応答には、ACT46の処理で取得した取引ファイル27のデータが含まれる。取引応答は、問合せコマンド送信元のPOS端末11、すなわちモバイル専用機として動作するPOS端末11で受信される。
【0089】
一方、決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル27を検出することなく取引ファイル27の検索を終了した場合には、モバイルサーバ22は、ACT48へと進む。モバイルサーバ22は、ACT48として取引無し応答を送信する。取引無し応答もまた、問合せコマンド送信元のPOS端末11、すなわちモバイル専用機として動作するPOS端末11で受信される。
取引無応答又は取引応答を送信したモバイルサーバ22は、図10に示した手順の情報処理を終了する。
【0090】
このようにモバイルサーバ22は、決済完了取引の問合せコマンドを受信する毎に、ACT42乃至ACT48の処理を実行する。その結果、決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル27が検出されると、その取引ファイル27のデータを含む取引応答が、モバイルサーバ22からモバイル専用機として動作するPOS端末11に送信される。POS端末11に送信された取引ファイル27は、統合フラグFbが“1”となるので、以後、送信されることはない。
【0091】
取引応答を受信したPOS端末11のプロセッサ41は、前述したように売上統合処理を実行する。そこで次に、売上統合処理の具体的な手順について、図11及び図12を用いて説明する。
【0092】
売上統合処理に入ると、プロセッサ41は、図11のACT51として加算メモリMaを“0”にクリアする。加算メモリMaは、メインメモリ42における揮発性メモリ領域の一部である。またプロセッサ41は、ACT52として取引番号を記憶する。例えばPOS端末11は取引番号のカウンタを備えており、売上統合処理に入る毎にそのカウンタをカウントアップする。プロセッサ41は、カウントアップしたカウンタの値を取引番号として取引ファイル61に記述する。なお、取引ファイル61は、売上統合処理が開始される前にクリアされている。次いでプロセッサ41は、ACT53として取引日時を記憶する。プロセッサ41は、取引応答に含まれる取引ファイル27から取引日時を取得し、その取引日時を取引ファイル61に記述する。
【0093】
ACT51乃至ACT53の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT54へと進む。プロセッサ41は、ACT54として取引応答に含まれる取引ファイル27から1つの商品販売データを取得する。そしてプロセッサ41は、ACT55としてその商品販売データの買上金額を加算メモリMaに加算する。
【0094】
またプロセッサ41は、ACT56としてその商品販売データから商品コードと買上点数とを検出する。そしてプロセッサ41は、ACT57として商品データ要求コマンドを送信するように通信インターフェース45を制御する。この制御により、POS端末11から商品データ要求コマンドが送信される。商品データ要求コマンドは、通信ネットワーク13を介してPOSサーバ12へと送信される。商品データ要求コマンドには、商品販売データから検出した商品コードが含まれる。
【0095】
商品データ要求コマンドを受信したPOSサーバ12は、商品データ要求コマンドに含まれる商品コードで商品マスタ14を検索する。そしてPOSサーバ12は、当該商品コードを含む商品レコードを商品マスタ14から取得する。またPOSサーバ12は、当該商品コードで値引テーブル15を検索する。そして当該商品コードが値引テーブル15に記述されている場合には、POSサーバ12は、その商品コードに対応した開始時刻、終了時刻及び値引額の値引データを取得する。
【0096】
POSサーバ12は、商品マスタ14から取得した商品レコードの商品データを商品データ要求コマンド送信元のPOS端末11へと送信する。またPOSサーバ12は、値引テーブル15から値引データを取得した場合には、その値引データも商品データ要求コマンド送信元のPOS端末11へと送信する。
【0097】
商品データ要求コマンドを送信したPOS端末11のプロセッサ41は、ACT58としてPOSサーバ12からデータを受信するのを待ち受けている。POSサーバ12から商品データを受信すると、プロセッサ41は、ACT59へと進む。プロセッサ41は、ACT59として受信した商品データの値引対象フラグFxを調べて買上商品が値引対象商品であるか否かを確認する。プロセッサ41は、値引対象フラグFxが“0”の場合には、買上商品が値引対象商品ではないと判定する。プロセッサ41は、値引対象フラグFxが“1”の場合には、買上商品が値引対象商品であると判定する。
【0098】
買上商品が値引対象商品である場合、プロセッサ41は、ACT59からACT60へと進む。プロセッサ41は、ACT60として値引が成立するか否かを確認する。値引対象フラグFxが“1”に設定された商品データを受信した場合、その商品データの商品コードを含む値引データをPOSサーバ12から受信している。プロセッサ41は、時計用ICによって計時されている現在の時刻が、値引データの開始時刻と終了時刻との間の時間帯であるか否かを確認する。現在の時刻が開始時刻と終了時刻との間の時間帯でない場合には、プロセッサ41は、値引が成立しないと判定する。現在の時刻が開始時刻と終了時刻との間の時間帯である場合には、プロセッサ41は、値引が成立すると判定する。
【0099】
値引が成立する場合には、プロセッサ41は、ACT61へと進む。プロセッサ41は、ACT61として商品データの単価から値引データの値引額を減じた金額を買上商品の価格として取得する。これに対し、値引が成立しない場合、あるいは買上商品が値引対象商品でない場合には、プロセッサ41は、ACT62へと進む。プロセッサ41は、ACT62として商品データの単価を買上商品の価格として取得する。
【0100】
ACT61又はACT62の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT63へと進む。プロセッサ41は、ACT63として商品コード、価格、買上点数及び買上金額を含む商品販売データを作成し、その商品販売データを取引ファイル61に記述する。またプロセッサ41は、ACT64として取引ファイル61に記述されている合計データを更新する。すなわちプロセッサ41は、合計点数に商品販売データの買上点数を加算する。また、プロセッサ41は、合計金額に商品販売データの買上金額を加算する。
【0101】
ACT63及びACT64の処理を終えたプロセッサ41は、ACT65へと進む。プロセッサ41は、ACT65として次の商品販売データが取引ファイル27に含まれているか否かを確認する。次の商品販売データが取引ファイル27に含まれている場合、プロセッサ41は、ACT54に戻る。そしてプロセッサ41は、ACT54乃至ACT64の処理を前述したのと同様に実行する。
【0102】
こうして、取引ファイル27に含まれる全ての商品販売データについてACT54乃至ACT64の処理を実行し終えると、プロセッサ41は、図12のACT71へと進む。プロセッサ41は、ACT71として取引ファイル27から支払いデータを取得し、その支払いデータを取引ファイル61に記述する。
【0103】
次いでプロセッサ41は、ACT72として加算メモリMaの金額、つまりは第1合計金額と、取引ファイル61に記憶された合計データの合計金額、つまりは第2合計金額とを比較する。その結果、第1合計金額と第2合計金額とが一致する場合には、プロセッサ41は、ACT73へと進む。プロセッサ41は、ACT73として取引ファイル61の差額フラグFcを“0”とする。またプロセッサ41は、ACT74として取引ファイル61の差額Bを“0”とする。
【0104】
これに対し、第1合計金額と第2合計金額とが一致しない場合には、プロセッサ41は、ACT75へと進む。プロセッサ41は、ACT75として取引ファイル61の差額フラグFcを“1”とする。またプロセッサ41は、ACT76として取引ファイル61の差額Bを第1合計金額から第2合計金額を減じた金額とする。したがって、第1合計金額よりも第2合計金額の方が大きい場合には差額Bは正となる。第1合計金額よりも第2合計金額の方が小さい場合には差額Bは負となる。なお、差額Bは、第2金額から第1金額を減じた金額としてもよい。その場合には、第1合計金額よりも第2合計金額の方が大きい場合には差額Bは負となる。第1合計金額よりも第2合計金額の方が小さい場合には差額Bは正となる。
【0105】
このように、差額フラグFcは、第1合計金額と第2合計金額とが一致するか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、第1合計金額と第2合計金額とが一致する場合の差額フラグFcを“0”とし、一致しない場合の差額フラグFcを“1”とする。また、差額Bは、第1合計金額と第2合計金額との差額である。
【0106】
ACT74又はACT76の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT77へと進む。プロセッサ41は、ACT77として取引ファイル61をPOSサーバ12に送信するように通信インターフェース45を制御する。この制御により、取引ファイル61のデータがPOSサーバ12に送信される。POSサーバ12では、取引ファイル61に含まれる商品販売データ等を基に店舗の売上が集計される。
【0107】
プロセッサ41は、ACT78として取引ファイル61のデータを基に電子ジャーナル63に対してジャーナルを記録する。ジャーナルは、取引番号、取引日時、商品販売データ、合計データ及び支払いデータを含む。
【0108】
ACT77及びACT78の処理を終えたプロセッサ41は、ACT79へと進む。プロセッサ41は、ACT79として取引ファイル61に含まれる差額フラグFcを調べる。差額フラグFcが“0”の場合、プロセッサ41は、売上統合処理を終了する。
【0109】
これに対し、差額フラグFcが“1”の場合には、プロセッサ41は、ACT79からACT80へと進む。プロセッサ41は、ACT80として不一致データを作成し、不一致ファイル62に保存する。すなわちプロセッサ41は、取引ファイル61に記述されている取引番号、合計データの第2合計金額及び差額Bと、加算メモリMaの第1合計金額とを含む不一致データを不一致ファイル62に保存する。またプロセッサ41は、ACT81として不一致メッセージを取得する。不一致メッセージは、第1合計金額と第2合計金額との間に差額が生じた原因を説明するメッセージである。不一致メッセージは、例えば補助記憶デバイス43に記憶されている。プロセッサ41は、ACT82として電子ジャーナル63に対して差額Bと不一致メッセージとをジャーナルに記録する。以上で、モバイル専用機として動作するPOS端末11のプロセッサ41は、売上統合処理を終了する。
【0110】
ここにプロセッサ41は、ACT54の処理により、第1取得手段73としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT55の処理により、第2取得手段74としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT56乃至ACT63の処理により、処理手段75としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT64処理により、演算手段76としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT78の処理により、記録手段77としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT80の処理により、保存手段78としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT82の処理により、出力手段79としての機能を実現する。
【0111】
[ジャーナルの説明]
図13は、第1合計金額(600円)と第2合計金額(600円)とが一致し、差額が“0”の商取引に対して電子ジャーナル63に記録されたジャーナル81の一例を示している。一方、図14は、第1合計金額(600円)と第2合計金額(580円)とが一致せず差額が-20円の商取引に対して電子ジャーナル63に記録されジャーナル82を示している。ジャーナル81の商取引とジャーナル82の商取引とは買上商品が一致している。そして買上商品CCCは、タイムサービスの対象商品である。
【0112】
ジャーナル81の商取引がモバイル決済システム20で決済された時刻と、この商取引の取引ファイル27をモバイル専用機として動作するPOS端末11が取り込んだ時刻は、いずれもタイムサービスの時間帯ではない。したがって、モバイル決済システム20で商取引が決済された時点で算出された当該商取引の合計金額つまりは第1合計金額と、POS端末11で算出した当該商取引の合計金額つまりは第2合計金額の間に差額は生じていない。
【0113】
なお、ジャーナル81の商取引がモバイル決済システム20で決済された時刻と、この商取引の取引ファイル27をモバイル専用機として動作するPOS端末11が取り込んだ時刻とがいずれもタイムサービスの時間帯であった場合においても、第1合計金額と第2合計金額との間に差額は生じない。その結果、ジャーナル81の記録内容は、商品CCCの価格が280円となり、合計金額が580円となり、支払額も580円となる。それ以外は、図13に示すものと変わらない。
【0114】
一方、ジャーナル82の商取引がモバイル決済システム20で決済された時刻は、タイムサービスの開始時刻前であり、この商取引の取引ファイル27をモバイル専用機として動作するPOS端末11が取り込んだ時刻はタイムサービスの開始時刻後である。したがって、商品CCCの商品販売データが、モバイル決済システム20では値引前の価格300円で処理されているのに対し、POS端末11では値引後の価格280円で処理されている。その結果、第1合計金額が600円に対して第2合計金額が580円となり、-20円の差額が生じる。よって、電子ジャーナル63には、ジャーナル82に差額-20円が記録される。また、第1合計金額と第2合計金額との間に差額が生じた原因を説明する不一致メッセージ、例えば「差額は、システム連携エラーによるもの」が出力される。
【0115】
なお、ジャーナル82の商取引がモバイル決済システム20で決済された時刻がタイムサービスの終了時刻前であり、この商取引の取引ファイル27をモバイル専用機として動作するPOS端末11が取り込んだ時刻がタイムサービスの終了時刻後であった場合も、第1合計金額と第2合計金額との間に差額が生じる。その結果、ジャーナル82の記録内容は、商品CCCの価格が300円となり、合計金額が600円となり、支払額が580円となる。また、差額は+20円となる。それ以外は、図14に示すものと変わらない。
【0116】
[不一致レポートの説明]
モバイル専用機として動作するPOS端末11は、第1合計金額と第2合計金額との間に差額が生じると、不一致データを生成して不一致ファイル62に保存する機能を有している。またPOS端末11は、不一致ファイル62に保存した不一致データに基づいて合計額不一致レポート80を出力する出力手段79としての機能を有している。合計額不一致レポート80は、例えばPOS端末11の点検業務で発行可能な点検レポートの一種として、あるいは精算業務で発行可能な精算レポートの一種として、プリンタ48によりレシート用紙に印刷されて発行される。
【0117】
図15は、合計額不一致レポート80の一例である。合計額不一致レポート80は、取引番号“123456”の商取引と、取引番号“234567”の商取引に対して差額が生じたことを示している。また、その差額は、取引番号“123456”の商取引においては-20円であり、取引番号“234567”の商取引においては+20円であることが、合計額不一致レポート80からわかる。
【0118】
[作用効果の説明]
以上詳述したように、POSシステム10とモバイル決済システム20とを併用した店舗において、POS端末11のうちの1台をモバイル専用機として動作させることにより、モバイル決済システム20で商取引が決済される都度、その商取引の商品販売データをPOSサーバ12で集計することができる。その結果、モバイル決済システム20で決済された商取引の商品販売データも略リアルタイムにPOSサーバ12で集計することができる。
【0119】
しかも、例えばタイムサービスのような時限的な値引販売が実施された場合に、モバイル決済システム20で決済された時点の買上商品の価格とPOS端末11がモバイル決済システム20からデータを取り込んだ時点の買上商品の価格との間に差額が生じる可能性があるが、その場合には、その差額がジャーナルとして電子ジャーナル63に記録される。また、その差額を示す合計額不一致レポート80を発行可能である。したがって、その差額を考慮することで、POSシステム10とモバイル決済システム20とを併用した店舗の売上を正確に把握できるようになる。
【0120】
[他の実施形態]
図16は、第1合計金額と第2合計金額とが一致する商取引に対して電子ジャーナルに記録されたジャーナル83の他の例を示している。図16に示すように、第1合計金額と第2合計金額とが一致した場合も、差額として0円をジャーナル83に記録してもよい。そうすることにより、差額が生じた商取引と生じていない商取引とを容易に特定することができる。
【0121】
図17は、第1合計金額と第2合計金額とが一致しない商取引に対して電子ジャーナルに記録されたジャーナル84の他の例を示している。図17に示すように、第1合計金額と第2合計金額とが一致しない場合には、差額が生じた商品の商品名に識別マークとして例えば星印を付してもよい。そうすることにより、どの商品に起因して差額か生じたのかを容易に判別することができる。
【0122】
前記実施形態では、POSサーバ12とモバイルサーバ22とがそれぞれ商品マスタと値引テーブルを備える場合を例示した。この点に関しては、例えばクラウド上に商品マスタと値引テーブルを記憶し、POSサーバ12及びモバイルサーバ22が、サーバ間ネットワーク30を介してクラウドにアクセスして、商品マスタと値引テーブルから必要なデータを取り込むようにしてもよい。また、POSシステム10における値引テーブル15については、各POS端末11がそれぞれ記憶し、値引テーブル15を参照して、値引対象商品の価格を決定してもよい。
【0123】
前記実施形態では、不一致データを、商取引の取引番号、第1合計金額、第2合計金額及び差額を含むデータとした。不一致データは、さらにモバイル決済システムで商取引が決済された時点の第1価格と、処理手段により商品販売データを処理した時点の第2価格とが異なる商品の商品コード、第1価格、第2価格等を含めてもよい。そうすることにより、合計額不一致レポート80によって不一致の原因となった商品を特定することができる。
【0124】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
10…POSシステム、11…POS端末、12…POSサーバ、13,23…通信ネットワーク、14,25…商品マスタ、15,26…値引テーブル、20…モバイル決済システム、21…モバイル端末、22…モバイルサーバ、24…アクセスポイント、27,61…取引ファイル、30…サーバ間ネットワーク、31,32…通信サーバ、41…プロセッサ、42…メインメモリ、43…補助記憶デバイス、44…時計、45…通信インターフェース、46…キーボード、47…ディスプレイ、48…プリンタ、49…スキャナインターフェース、50…釣銭機インターフェース、51…システム伝送路、62…不一致ファイル、63…電子ジャーナル、71…決定手段、72…監視手段、73…第1取得手段、74…第2取得手段、75…処理手段、76…演算手段、77…記録手段、78…保存手段、79…出力手段、80…不一致レポート、81~84…ジャーナル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17