(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169222
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ダクト及びポンプユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20241128BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K7/20 G
F04D29/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086511
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 憲
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】疋田 開士
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H130
5E322
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AA13
3H130AB12
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB26
3H130AB42
3H130AB52
3H130AC01
3H130BA33A
3H130BA33G
3H130BA33J
3H130CA21
3H130CA29
3H130DG02Z
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322BC03
(57)【要約】
【課題】外部環境の影響を抑制でき、効率良く吸気可能なダクト及びポンプユニットを提供すること。
【解決手段】ベース10と、ファン21b及びファン21bに空気を導入する開口21dが形成されたファンカバー21cを含む、ベース10上に設けられるモータ21と、ベース10上のモータ21を覆うカバー16と、を備えるポンプユニット1に用いられるダクト17は、ベース10からずれて、ベース10及びカバー16の間に配置され、外部に向かって開口する第1開口部61a及びファンカバー21cの少なくとも開口21dと対向する、第1開口部61aよりも上方に配置される第2開口部61bを有し、第1開口部61a及び第2開口部61bを連続する空気の流路を形成する導風部61と、導風部61に設けられ、ベース10、カバー16又はファンカバー21cに固定される固定部62と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、ファン及び前記ファンに空気を導入する開口が形成されたファンカバーを含む、前記ベース上に設けられるモータと、前記ベース上の前記モータを覆うカバーと、を備えるポンプユニットに用いられるダクトであって、
前記ベースからずれて、前記ベース及び前記カバーの間に配置され、外部に向かって開口する第1開口部及び前記ファンカバーの少なくとも開口と対向する、前記第1開口部よりも上方に配置される第2開口部を有し、前記第1開口部及び前記第2開口部を連続する空気の流路を形成する導風部と、
前記導風部に設けられ、前記ベース、前記カバー又は前記ファンカバーに固定される固定部と、
を備えるダクト。
【請求項2】
前記第1開口部は、前記ベースよりも外側に配置され、下方に開口する、請求項1に記載のダクト。
【請求項3】
前記第2開口部は、前記ファンカバーの周囲に配置される、請求項1に記載のダクト。
【請求項4】
前記ダクトの前記第2開口部及び前記カバーの隙間が埋められる、請求項1に記載のダクト。
【請求項5】
前記導風部の一部は、前記カバーによって形成される、請求項1に記載のダクト。
【請求項6】
ベースと、
ファン及び前記ファンに空気を導入する開口が形成されたファンカバーを含む、前記ベース上に設けられるモータと、
前記ベース上の前記モータを覆うカバーと、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のダクトと、
を備えるポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース上に設けられたポンプ装置及び制御盤を覆うカバー内に設けられるダクト及びポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、ポンプ装置及び制御盤等の構成品をカバーで覆うポンプユニットが知られている。また、モータに設けられる冷却用のファンに外気を取り入れるために、カバーのファンに対向する側面に開口部を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、カバーに形成された、スリット状等の開口部を、カバーの外面から窪ませた面に配置し、モータのファンカバーに近接又は接触させることで、風雨の浸入を抑制するとともに、吸気効率を向上させる技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したポンプユニットでは、開口部をファンカバーに近接又は接触させることから、カバーの窪ませた面に開口部を設けても、横殴りの雨等においては、雨水がカバー内部に浸入する虞がある。また、冬場等においては、開口部に着雪することで、開口部が閉塞される虞もある。また、ファンカバーに開口部が接触する構成では、モータの振動がカバーに伝播し、騒音の要因となる虞もある。
【0005】
そこで本発明は、外部環境の影響を抑制でき、効率良く吸気可能なダクト及びポンプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ダクトは、ベースと、ファン及び前記ファンに空気を導入する開口が形成されたファンカバーを含む、前記ベース上に設けられるモータと、前記ベース上の前記モータを覆うカバーと、を備えるポンプユニットに用いられるダクトであって、前記ベースからずれて、前記ベース及び前記カバーの間に配置され、外部に向かって開口する第1開口部及び前記ファンカバーの少なくとも開口と対向する、前記第1開口部よりも上方に配置される第2開口部を有し、前記第1開口部及び前記第2開口部を連続する空気の流路を形成する導風部と、前記導風部に設けられ、前記ベース、前記カバー又は前記ファンカバーに固定される固定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、外部環境の影響を抑制でき、効率良く吸気可能なダクト及びポンプユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るポンプユニットの構成を示す斜視図。
【
図3】ポンプユニットの構成であって、一部構成を省略して示す斜視図。
【
図4】ポンプユニットの要部構成を拡大して示す斜視図。
【
図5】ポンプユニットの構成であって、一部構成を省略して示す斜視図。
【
図6】同ポンプユニットに用いられるダクトの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るダクト17を備えるポンプユニット1の構成を、
図1乃至
図7を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るポンプユニット1の構成を前方から示す斜視図であり、
図2は、ポンプユニット1の構成を後方から示す斜視図である。
図3は、ポンプユニットの構成を、カバー16の第2カバー32を省略して後方から示す斜視図である。
図4は、ポンプユニット1の構成を、後方、且つ、下方から拡大して示す斜視図である。
図5は、ポンプユニットの構成を、カバー16の第2カバー32及びダクト17を省略して後方から示す斜視図である。
図6は、ダクト17の構成を前方、且つ、上方から示す斜視図であり、
図7は、ダクト17の構成を後方、且つ、下方から示す斜視図である。
【0011】
図1乃至
図5に示すように、ポンプユニット1は、ベース10と、1以上のポンプ装置11と、吸込管12と、吐出管13と、アキュムレータ14と、制御盤15と、カバー16と、ダクト17と、を備える。また、ポンプユニット1は、逆止弁、圧力センサ、流量センサ等を有していても良い。
【0012】
ベース10は、ポンプユニット1の設置面に載置又は固定される。ベース10は、例えば、ポンプ装置11、制御盤15、カバー16及びダクト17を上面に固定支持する。例えば、ベース10は、カバー16を固定支持する支持部材10aを有していても良い。ベース10は、例えば、矩形状に形成され、上面に沿った一方向を前後方向、上面に沿って前後方向に直交する一方向を左右方向としたときに、前方側にポンプ装置11の後述するポンプ22、吸込管12、吐出管13が配置され、後方側にポンプ装置11の後述するモータ21、制御盤15及びダクト17が配置される。また、ポンプ装置11が一対設けられる場合には、一方のポンプ装置11が左右方向の右方側に、他方のポンプ装置11が左方側に配置される。
【0013】
ポンプ装置11は、例えば、一対設けられる。ポンプ装置11は、例えば、横軸ポンプであるが、縦軸ポンプであってもよい。ポンプ装置11は、モータ21と、ポンプ22と、を備える。モータ21は、例えば、制御盤15に接続され、制御盤15により周波数を可変速可能に制御される。モータ21は、ポンプ22に接続され、ポンプ22を駆動する。モータ21は、ポンプ22に固定される。なお、モータ21は、例えば、ポンプ22に固定されるとともに、ベース10に支持される構成であってもよい。
【0014】
図2及び
図5に示すように、例えば、モータ21は、モータケーシング21aと、モータケーシング21a内に設けられた固定子及び回転子と、回転子に固定されたモータ軸と、を備える。また、モータ21は、モータ軸の一端に固定されたファン21bと、ファン21bを覆うファンカバー21cと、を備える。モータ軸の一端には、ポンプ22が接続され、モータ軸の他端には、ファン21bが接続される。ファン21bは、モータ軸の回転に伴って回転し、軸方向に沿って吸い込んだ空気を径方向に送風する。ファンカバー21cは、ファン21bを覆う。ファンカバー21cの、モータ21の軸方向で端面には、ファン21bへ空気を導入するための複数の開口21dが形成される。また、ファンカバー21cは、例えば、モータケーシング21aとの間に隙間を形成するとともに、ファン21bが径方向に送風した空気をモータケーシング21aの周囲に向かって案内する。
【0015】
ポンプ22は、例えば、ポンプケーシング22aと、モータ21の回転軸に接続され、ポンプケーシング内に収容されるインペラと、を備える。ポンプ22は、インペラが1枚設けられる単段ポンプであってもよく、インペラが複数設けられる多段ポンプであってもよい。ポンプケーシング22aは、ベース10にボルト等の締結部材により固定される脚部22bを有する。
【0016】
図1及び
図3に示すように、吸込管12は、ポンプケーシング22aの吸込口に接続されるか、又は、ポンプケーシング22aの吸込口を形成する。吸込管12は、例えば、他の配管を接続可能なフランジを有する。吸込管12は、例えば、ポンプケーシング22aの吸込口にそれぞれ接続された配管である。なお、吸込管12aは、二次側が分岐し、各ポンプケーシング22aの吸込口に接続される分岐管であってもよい。
【0017】
吐出管13は、ポンプケーシング22aの吐出口に接続される。吐出管13は、例えば、他の配管を接続可能なフランジを有する。吐出管13は、例えば各ポンプケーシング22aの吐出口に接続されるとともに、二次側で合流する合流管である。アキュムレータ14は、例えば、吐出管13に接続される。
【0018】
制御盤15は、例えば、表示部と、インバータと、記憶部と、制御部と、を含む電気部品を収容する。また、制御盤15は、インバータを有さず、モータ21にインバータを搭載する構成であってもよい。表示部は、ポンプ装置11の駆動状況、異常の有無等を表示可能な、ディスプレイやLED等である。インバータは、信号線を介してモータ21及び制御部に電気的に接続される。例えば、インバータは、モータ21と同数の例えば二つが設けられる。インバータは、モータ21の周波数制御を行う制御回路である。また、制御盤15は、外部端末と無線通信可能な通信部を有していても良い。
【0019】
記憶部は、例えば、ポンプ装置11を起動する起動圧力、給水時における目標圧力及び定格流量、並びに、給水を停止する停止流量等が記憶されている。また、記憶部は、給水運転時に制御部によりインバータを制御する制御プログラムや、逆止弁や各種センサの故障を検出する故障検出プログラム等の各種プログラムが記憶される。
【0020】
制御部は、例えば、圧力センサ及び流量センサで検出された圧力及び流量に基づいてインバータを制御し、吐出圧力一定又は推定末端圧力一定となるように、ポンプ装置11を制御する。
【0021】
カバー16は、ベース10上に設けられた各構成部品を覆うポンプユニット用カバーである。
図1乃至
図5に示すように、カバー16は、第1カバー31と、第2カバー32と、を備える。カバー16は、ポンプユニット1の前後方向、左右方向又は上下方向において第1カバー31及び第2カバー32の2つに分割され、第1カバー31及び第2カバー32を一体に組み付け及び分離可能、且つ、第1カバー31及び第2カバー32をスタック可能に形成される。例えば、カバー16は、第1カバー31及び第2カバー32が前後方向に分割されており、且つ、前後方向で一体に組み付け可能に形成される。カバー16は、ベース10よりも少なくとも前後方向における幅を大きくするか、又は、ベース10側の下端の一部を切欠させることで、ベース10のモータ21側の後方の一部に、ベース10との間に隙間を形成する。
【0022】
第1カバー31は、対向する一対の第1側壁41、一対の第1側壁41と連続する第2側壁42、並びに、一対の第1側壁41及び第2側壁42と連続する第1天壁43を有する。第1カバー31は、第2側壁42がカバー16の前壁を形成し、後方及び下方が開口する。第1カバー31は、例えば、ベース10の前方側に配置される。また、第1カバー31は、第2カバー32と締結部材で締結するための第1フランジ44を有する。
【0023】
一対の第1側壁41は、カバー16の左右の側壁の一部を形成する。一対の第1側壁41は、前後方向に沿って形成される。または、一対の第1側壁41は、後方側から第2側壁42に向かって左右方向の幅が漸次狭くなるように傾斜していてもよい。また、一対の第1側壁41は、第1側壁41の延設方向に沿うか又は前後方向に沿って延びる複数の凹部(第1凹部)41aを有する。
【0024】
凹部41aは、例えば、第1側壁41の前方側の縁部から前後方向(前方側)に延びるとともに、第1カバー31の内方に向かって所定の曲率半径で湾曲して窪む。具体例として、凹部41aは、半円筒状又は略半円柱状の窪み、即ち、前後方向に延びる断面形状が略半円状の窪みである。
【0025】
第2側壁42は、カバー16の前壁を形成する。第2側壁42には、例えば、左右側に開口し、吸込管12が対向する一対の第1開口42aと、中央側に開口し、吐出管13が対向する1つの第2開口42bと、が形成される。例えば、第1開口42a及び第2開口42bは、吸込管12及び吐出管13に接続される配管が配置可能な形状に形成される。また、例えば、
図1に示すように、第2側壁42は、第2開口42bよりも大きな第3開口42cを有し、この第3開口42cを閉塞する、第2開口42bが形成されたパネル42dを有する構成であってもよい。
【0026】
第1天壁43は、カバー16の天壁の一部を形成する。第1天壁43は、例えば、第1天壁43の延設方向に沿うか又は前後方向に沿って延びる複数の凹部(第1凹部)43a、及び、第1天壁43の第2側壁42とは反対側の縁部に形成された軒部43bと、を備える。また、第1天壁43は、例えば、後方側が第2側壁42側よりも高く、後方側から第2側壁42に向かって漸次傾斜する。
【0027】
凹部43aは、例えば、第1天壁43の後方側の縁部から前後方向(前方側)に延びるとともに、第1カバー31の内方に向かって所定の曲率半径で湾曲して窪む。具体例として、凹部43aは、半円筒状又は略半円柱状の窪み、即ち、前後方向に延びる断面形状が略半円状の窪みである。
【0028】
軒部43bは、第2カバー32の後述する第2天壁53と、隙間を空けて対向する。軒部43bは、例えば、第1フランジ44よりも第2カバー32側に延びる。軒部43bは、例えば、第1天壁43の縁部に沿った方向において、間欠的に複数形成されていても良く、連続的に一体に形成されていてもよい。本実施形態において、軒部43bは、
図1及び
図2に示すように、第1天壁43に設けられる複数の凹部43aと前後方向で対向する位置が間欠する、即ち、複数の凹部43aと前後方向で対向する位置に設けらず、部分的に間欠する形状で複数形成される。
【0029】
第1フランジ44は、一対の第1側壁41及び/又は第1天壁43の縁部に形成される。本実施形態において、第1フランジ44は、一対の第1側壁41及び第1天壁43の縁部に形成される。第1フランジ44は、例えば、一対の第1側壁41に形成された複数の凹部41a及び第1天壁43に形成された複数の凹部43aの端部に形成された部位に、締結部材を挿入するか、又は、締結部材が螺合する孔44aが形成される。
【0030】
第2カバー32は、第1カバー31と、ボルトやナット等の締結部材等により結合される。第2カバー32は、対向する一対の第3側壁51、一対の第3側壁51と連続する第4側壁52、並びに、一対の第3側壁51及び第4側壁52と連続する第2天壁53を有する。第2カバー32は、第4側壁52がカバー16の後壁を形成し、前方及び下方が開口する。第2カバー32は、例えば、ベース10の後方側に配置される。また、第2カバー32は、第1カバー31と締結部材で締結するための第2フランジ54を有する。第2カバー32は、例えば、ベース10上に配置される主用な電気部品、例えばモータ21及び制御盤15を覆う。また、第2カバー32は、ダクト17を覆う。
【0031】
一対の第3側壁51は、カバー16の左右の側壁の一部を形成する。即ち、一対の第3側壁51は、一対の第1側壁41とともに、カバー16の左右方向の一対の側壁を形成する。一対の第3側壁51は、前後方向に沿って形成される。または、一対の第3側壁51は、前方から第4側壁52に向かって左右方向の幅が漸次狭くなるように傾斜していてもよい。また、一対の第3側壁51は、第3側壁51の延設方向に沿うか又は前後方向に沿って延びる複数の凹部(第2凹部)51aを有する。
【0032】
凹部51aは、例えば、第3側壁51の後方側の縁部から前後方向(後方側)に延びるとともに、第2カバー32の内方に向かって所定の曲率半径で湾曲して窪む。具体例として、凹部51aは、半円筒状又は略半円柱状の窪み、即ち、前後方向に延びる断面形状が略半円状の窪みである。また、第3側壁51の凹部51aは、第1側壁41の凹部41aよりも、曲率半径が大きい。即ち、第3側壁51の凹部51aは、第1側壁41の凹部41aに配置可能に、凹部51aの外周面の曲率半径が、第1側壁41の凹部41aの内周面の曲率半径と同じか、又は、大きい。
【0033】
第4側壁52は、カバー16の前後方向で後壁を形成する。第4側壁52には、例えば、制御盤15の表示部を視認可能な窓部52aを有する。例えば、窓部52aは、透明な樹脂材料により形成される。また、第4側壁52の下端には、空気を導入する1以上の第4開口52bが形成される。例えば、第4開口52bは、モータ21の下方に配置される。
【0034】
第2天壁53は、カバー16の天壁の一部を形成する。即ち、第2天壁53は、第1天壁43とともにカバー16の上部の天壁を形成する。第2天壁53は、例えば、第2天壁53の延設方向に沿うか又は前後方向に沿って延びる複数の凹部(第2凹部)53a、及び、第2天壁53の第4側壁52とは反対側の縁部に形成された突起53bと、を備える。また、第2天壁53は、例えば、前方側が第4側壁52側よりも高く、前方側から第4側壁52に向かって漸次傾斜する。第2天壁53は、第1カバー31及び第2カバー32を組み合わせたときに、第1天壁43よりも下方に位置し、第1天壁43との間に隙間を形成する。即ち、第1天壁43及び第2天壁53は、端部同士が上下方向で隙間を空けて重なる。
【0035】
凹部53aは、例えば、第2天壁53の前方側の縁部から前後方向(後方側)に延びるとともに、第1カバー31の内方に向かって所定の曲率半径で湾曲して窪む。具体例として、凹部53aは、半円筒状又は略半円柱状の窪み、即ち、前後方向に延びる断面形状が略半円状の窪みである。また、第2天壁53の凹部53aは、第1天壁43の凹部43aよりも、曲率半径が大きい。即ち、第2天壁53の凹部53aは、第1天壁43の凹部43aに配置可能に、凹部53aの外周面の曲率半径が、第1天壁43の凹部43aの内周面の曲率半径と同じか、又は、大きい。
【0036】
なお、第1側壁41、第1天壁43、第3側壁51及び第2天壁53に形成される凹部41a、43a、51a、53aは、一方向(例えば、前後方向又は各壁41、43、51、53の延設方向)に長く形成される。例えば、凹部41a、43a、51a、53aは、第1側壁41、第1天壁43、第3側壁51及び第2天壁53の前後方向の両端に渡って形成されるが、第1側壁41、第1天壁43、第3側壁51及び第2天壁53の第1カバー31及び第2カバー32の重なる側の端部から、他方の端部に向かって一方向の中途部まで設けられる構成であってもよい。また、凹部41a、43a、51a、53aは、形成される各壁41、43、51、53が傾斜する場合においては、傾斜に合わせて深さが漸次変化する形状であってもよい。
【0037】
図2に示すように、突起53bは、第2天壁53の縁部に一体に形成され、軒部43bと対向して設けられる。突起53bは、第2天壁53の縁部から上方に向かって板状に延びる。突起53bは、軒部43bの基端と対向し、軒部43bと所定の隙間を形成する高さに形成される。即ち、軒部43bの下面及び突起53bの上端の上面との間に、排気口を構成する隙間が形成される。例えば、突起53bは、第2フランジ54に隣接して複数設けられる。
【0038】
第2フランジ54は、一対の第3側壁51及び/又は第2天壁53の縁部に形成される。本実施形態において、第2フランジ54は、一対の第3側壁51及び第2天壁53の縁部に形成される。第2フランジ54は、例えば、一対の第3側壁51に形成された複数の凹部51a及び第2天壁53に形成された複数の凹部53aの端部に形成された部位に、締結部材を挿入するか、又は、締結部材が螺合する孔54aが形成される。第2フランジ54は、第1フランジ44と対向し、そして当接可能に形成され、第2フランジ54の各孔54aが、第1フランジ44の各孔44aと対向する。
【0039】
このように構成されたポンプユニット1のカバー16は、第1カバー31の内面形状を、第2カバー32の外面形状と同じか、又は、第2カバー32の外面形状よりも大きい形状とした。また、第1カバー31の第1フランジ44は、第2カバー32の第2フランジ54と当接可能に形成される。これにより、第1カバー31は、第2カバー32と、第1フランジ44及び第2フランジ54が当接し、孔44a、54aが対向した状態で、締結部材により結合可能に形成される。
【0040】
また、カバー16は、少なくとも、ポンプユニット1の背面側となる第2カバー32の第4側壁52側は、ポンプユニット1のベース10の背面側の縁部よりも、外方に配置される。即ち、カバー16のモータ21のファンカバー21c側の下方は、ベース10との間に隙間が形成される。
【0041】
また、第1カバー31は、後方の開口、即ち、一対の第1側壁41及び第1天壁43により形成される開口から、第2カバー32を、第2カバー32の第4側壁52側から挿入可能に形成される。そして、第1カバー31の凹部41a、43aと第2カバー32の凹部51a、53aとが、各凹部41a、43a、51a、53aの延設方向と直交する方向で係合する。
【0042】
これにより、ベース10上にカバー16を装着する場合において、第1カバー31及び第2カバー32をスライド移動して組み付ける場合には、各凹部41a、43a、51a、53aがスライド移動を案内する。また、ベース10上にカバー16を装着する場合において、上方から第1カバー31を第2カバー32に被せる場合には、第1側壁41の凹部41aが、第3側壁51と当接すると、凹部41aの湾曲する内面により、第1側壁41及び第3側壁51が左右方向(カバー16の内方及び外方)へ押圧するため第1カバー31及び第2カバー32を組み付けやすくなる。
【0043】
図3及び
図4に示すように、ダクト17は、例えば、ベース10に固定される。ダクト17は、ポンプユニット1の外部の空気をファンカバー21cの開口21dへ案内する。例えば、ダクト17は、第2カバー32と離間する。ダクト17は、例えば、モータ21と同数設けられる。本実施形態において、モータ21が2台であることから、ダクト17は、二つ設けられる。ダクト17は、例えば、ポンプユニット1の外部の空気をファンカバー21cへと案内する導風部61と、ダクト17をベース10、カバー16又はファンカバー21cに固定する固定部62と、を備える。ダクト17は、金属材料又は樹脂材料で形成される。
【0044】
導風部61は、例えば、カバー16の下方であって、ベース10及びカバー16の間に配置される第1開口部61aと、第1開口部61aよりも上方に配置され、ファンカバー21cの開口21dと対向する第2開口部61bと、が形成された筒状に形成される。導風部61は、第1開口部61a及び第2開口部61bを連続する、少なくとも一部が上下方向に延びる空気の流路を形成する。ここで、ファンカバー21cの開口21dと対向する第2開口部61bとは、ファンカバー21cの開口21dと対向配置されるか、又は、開口21dを含むファンカバー21cが配置されることを意味する。
【0045】
第1開口部61aは、ベース10からずれて、ベース10及びカバー16の間に配置される。第1開口部61aは、ポンプユニット1の外部に向かって開口する。第2開口部61bは、ファンカバー21cの少なくとも開口21dと対向する。第2開口部61bは、例えば、ファンカバー21cの外周部を配置可能に、ファンカバー21cの外周形状と同じか、又は、ファンカバー21cの外周形状よりも若干大きく形成される。
【0046】
ここで、第2開口部61b及びファンカバー21cとの間の隙間は、例えばクッション材またはシール材などで埋められる。この構成により、第1開口部61aから第2開口部61bを経由して導入された外気の、カバー16の内側空間への漏出を減らすことができる。すなわち,導入された外気のほとんどが、ファンカバー21cの開口21dへ導入される。また、この構成により、第2開口部61bおよびファンカバー21cとの間の隙間からカバー16の内部の暖かい空気の導入を防止することでき、冷却効率を向上させることができる。
【0047】
具体例として、導風部61は、第1壁部71、一対の第2壁部72、第3壁部73及び第4壁部74を備える矩形筒状に形成される。
【0048】
第1壁部71は、ファンカバー21c側に配置される。第1壁部71は、例えば、ベース10上にダクト17が固定された姿勢で、重力方向及びモータ21の並び方向に沿って延びる平板状に形成される。第1壁部71には、ファンカバー21cと対向する領域が、ファンカバー21cの周方向の外形状と同形状、又は、ファンカバー21cと若干の隙間を形成可能にファンカバー21cの周方向の外形状よりも若干大きく、且つ、略同形状の切欠71aが形成される。
【0049】
一対の第2壁部72は、第1壁部71のモータ21の並び方向の両端にそれぞれ一体に形成される。一対の第2壁部72は、例えば、ベース10上にダクト17が固定された姿勢で、重力方向及びモータ21の軸方向に延びる平板状に形成される。第3壁部73は、一対の第2壁部72の上端に一体に形成される。第3壁部73は、例えば、ベース10上にダクト17が固定された姿勢で、重力方向及びモータ21の軸方向に延びる平板状に形成される。また、第3壁部73は、例えば、第1壁部71側の端部に設けられ、重力方向に延びる、ファンカバー21cと当接する当接部73aを有する。
【0050】
具体例として、第1壁部71及び第4壁部74の対向方向において、第3壁部73の幅は、第2壁部72の幅よりも小さい。また、第3壁部73は、一対の第2壁部72の第4壁部74側に一体に形成されることで、第3壁部73の当接部73aが、一対の第2壁部72の第1壁部71側の端部よりも中央側(第4壁部74側)に配置される。
【0051】
第4壁部74は、一対の第2壁部72及び第3壁部73の第1壁部71とは反対側の端部に一体に形成される。
【0052】
このような導風部61は、第1壁部71、一対の第2壁部72及び第4壁部74の下端によって、第1開口部61aが形成され、そして、第1壁部71の切欠71aによって、第2開口部61bが形成される。第1開口部61aは、矩形の開口であり、ベース10及び第2カバー32の間に形成される隙間に配置され、下方、即ち、ベース10を設置する設置面から離間して、設置面に向かって開口する。例えば、第1開口部61aは、ベース10の上面と同じ高さ位置に配置される。
【0053】
固定部62は、ベース10に、ボルト等の締結部材によって固定される。固定部62は、例えば、第1壁部71の下端に一体に形成される。固定部62は、第1壁部71の下端から、第4壁部74とは反対側に延びる平板状に形成される。固定部62は、例えば、ベース10に固定されたときに、導風部61の第1開口部61aを、ベース10よりも外側に配置する形状に形成される。
【0054】
このように構成されたダクト17を備えるポンプユニット1によれば、ダクト17の第1開口部61aを、導風部61の第2開口部61bよりも下方であって、且つ、ベース10及びカバー16の間の隙間に配置し、ポンプユニット1の外部に向かって開口させた。これにより、ダクト17は、雨水がダクト17に浸入することや着雪を防止できるとともに、カバー16内部の空気を極力吸わない構成であり、外気を効率良く吸うことが可能となる。
【0055】
また、第1開口部61aが下方、即ち、ベース10の設置面に向かって配置されることから、強風時等における横殴りの雨水であっても、ダクト17内に浸入することを防止できる。また、ダクト17は、導風部61の下方に第1開口部61aを設け、上方にファンカバー21cが配置される第2開口部61bを設ける構成としたことから、空気の流路は、上方に向かう流路となる。よって、ダクト17内に雨水が浸入したとしても、ファンカバー21cに移動することを防止できる。即ち、ダクト17は、降雨又は降雪等の外部環境の影響を抑制でき、効率良く外部の空気を吸い込むことができる。
【0056】
また、ダクト17は、第2開口部61b及びファンカバー21cの間に隙間を形成する構成とすることで、この隙間からカバー16内の空気を吸い込むことができるため、積雪等により第1開口部61aが閉塞された場合であっても、カバー16内の空気を循環させることができる。また、ダクト17は、第2開口部61b及びファンカバー21cの間の隙間の開口面積を第1開口部61aの開口面積よりも小さくすることで、極力外部の空気を吸気可能となる。
【0057】
また、カバー16を第1カバー31及び第2カバー32により構成したことで、ダクト17の着脱やメンテナンスは、第2カバー32を取り外すことで行うことができる。このため、ダクト17を後付けしたり、季節によって着脱したりすることも容易となる。
【0058】
また、ダクト17は、固定部62によりベース10に固定される構成とし、第2カバー32と離間する構成とすることで、ファンカバー21cからダクト17に振動が伝達されても、ダクト17から第2カバー32に振動が伝達することを防止できることから、カバー16が振動して騒音が大きくなることを抑制できる。
【0059】
上述したように実施形態に係るポンプユニット1及びダクト17によれば、外部環境の影響を抑制でき、効率良く吸気可能となる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、導風部61は、第1壁部71、一対の第2壁部72、第3壁部73及び第4壁部74を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、導風部61は、第4壁部74を有さずに、一対の第2壁部72及び第3壁部73をカバー16の第2カバー32の内面、具体例として、第2カバー32の第4側壁52の内面に当接させることで、第2カバー32の一部に導風部61の一部を構成させてもよい。
【0061】
また、固定部62は、ベース10に加え、又は、ベース10に変えて、ファンカバー21c及び/又は第2カバー32に固定できる構成としてもよい。また、ダクト17は、固定部62と固定部62を固定する対象であるベース10、ファンカバー21c及び/又は第2カバー32の間に、振動を減衰できる部材を介在させる構成であってもよい。また、同様に、ダクト17は、第2開口部61bとファンカバー21cとの間に、振動を減衰できる部材を介在させる構成であってもよい。また、ダクト17を形成する材料が、振動を減衰できる材料で形成されていてもよい。即ち、ダクト17は、他の部材へのモータ21の振動の伝播を抑制できる部材を有するか、又は、他の部材へのモータ21の振動の伝播を抑制できる材料で形成されていてもよい。
【0062】
また、上述した例では、モータ21が2台であることから、ダクト17は、二つ設けられる例を説明したがこれに限定されない。例えば、ダクト17は、一つの部材とし、モータ21と同じ数の空気の流路、第1開口部61a及び第2開口部61bを有する構成としてもよい。
【0063】
また、ダクト17は、第1開口部61aから第2開口部61bへの流路を上方に移動する流路としたことから、第1開口部61aは、下方(設置面)に向かって開口するのではなく、側方に向かって開口する形状としてもよい。但し、着雪を考慮すると、第1開口部61aは、下方に向かって開口することが好ましい。
【0064】
また、上述した例では、第1カバー31及び第2カバー32は、締結部材により結合する構成を説明したがこれに限定されず、第1カバー31及び第2カバー32が嵌合することで係合する構成としてもよい。また、カバー16は、第1カバー31及び第2カバー32を有する構成としたがこれに限定されず、一つの部品によって形成される構成としてもよい。
【0065】
また、上述した例では、第2カバー32は、第4側壁52の下端に空気を導入する1以上の第4開口52bが形成される構成を説明したがこれに限定されない。即ち、ダクト17は、ベース10及び第2カバー32の間から効率良く外気を吸い込むことが可能であるため、第4側壁52は、第4開口52bを有さない構成であってもよい。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0067】
1…ポンプユニット、10…ベース、10a…支持部材、11…ポンプ装置、12…吸込管、12a…吸込管、13…吐出管、14…アキュムレータ、15…制御盤、16…カバー、17…ダクト、21…モータ、21a…モータケーシング、21b…ファン、21c…ファンカバー、21d…開口、22…ポンプ、22a…ポンプケーシング、22b…脚部、31…第1カバー、32…第2カバー、41…第1側壁、41a…凹部(第1凹部)、42…第2側壁、42a…第1開口、42b…第2開口、42c…第3開口、42d…パネル、43…第1天壁、43a…凹部(第1凹部)、43b…軒部、44…第1フランジ、44a…孔、51…第3側壁、51a…凹部(第2凹部)、52…第4側壁、52a…窓部、52b…第4開口、53…第2天壁、53a…凹部(第2凹部)、53b…突起、54…第2フランジ、54a…孔、61…導風部、61a…第1開口部、61b…第2開口部、62…固定部、71…第1壁部、71a…切欠、72…第2壁部、73…第3壁部、73a…当接部、74…第4壁部。