(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169229
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 387
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086525
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 章
(57)【要約】
【課題】印刷情報を転送可能な領域を予め登録された許可領域に制限しない場合に比較して、登録した印刷情報による印刷を行う場合の情報漏洩の可能性を低減させることができる情報処理システム及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】情報処理システム1は、ユーザによる、印刷対象とする印刷情報、当該印刷情報の転送先となる情報処理端末30、及び当該印刷情報の情報処理端末30への転送を許可する許可領域を示す領域情報の登録を受け付ける受付部11Aと、登録した印刷情報を、登録した情報処理端末30に転送する場合、登録した領域情報が示す許可領域に情報処理端末30が存在する場合のみ、印刷情報を情報処理端末30に転送する転送部11Bと、を備える。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザによる、印刷対象とする印刷情報、当該印刷情報の転送先となる情報処理端末、及び当該印刷情報の前記情報処理端末への転送を許可する許可領域を示す領域情報の登録を受け付け、
登録した前記印刷情報を、登録した前記情報処理端末に転送する場合、登録した前記領域情報が示す許可領域に前記情報処理端末が存在する場合のみ、前記印刷情報を前記情報処理端末に転送する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記情報処理端末が前記許可領域の外に移動した場合、前記転送した前記印刷情報を削除する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記印刷情報を削除した場合、その旨を示す情報をユーザに通知する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記情報処理端末が前記許可領域の外に移動した後に前記許可領域の中へ移動した場合、前記印刷情報を前記情報処理端末に再び転送する、
請求項2又は請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記印刷情報が機密文書を示す情報である場合のみ、前記許可領域による制限を行う、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記領域情報の登録を、複数のユーザの各々別のものとして受け付ける、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記領域情報の登録を、複数のユーザが属するグループの各々別のものとして受け付ける、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記許可領域は、3次元方向に対する領域である、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項9】
ユーザによる、印刷対象とする印刷情報、当該印刷情報の転送先となる情報処理端末、及び当該印刷情報の前記情報処理端末への転送を許可する許可領域を示す領域情報の登録を受け付け、
登録した前記印刷情報を、登録した前記情報処理端末に転送する場合、登録した前記領域情報が示す許可領域に前記情報処理端末が存在する場合のみ、前記印刷情報を前記情報処理端末に転送する、
処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、どこに設置される印刷装置で実行される印刷ジョブであるかに基づき印刷ジョブを適切に管理することを目的としたシステムが開示されている。
【0003】
このシステムは、情報処理装置から印刷ジョブを受信するクラウドサービスと、前記クラウドサービスに登録される印刷装置とからなるシステムであって、前記クラウドサービスが、前記情報処理装置から受信した前記印刷ジョブに対して、当該印刷ジョブを実行する前記印刷装置が設置される位置を示す第1の位置情報を設定する第1の設定手段と、前記第1の位置情報が設定された前記印刷ジョブを保持する保持手段と、前記印刷装置から印刷ジョブリストの取得要求を受信した場合に、前記保持手段に保持される前記印刷ジョブから、前記印刷ジョブのそれぞれに対して設定されている前記第1の位置情報を用いて、前記印刷ジョブリストを生成する生成手段と、生成した前記印刷ジョブリストを前記印刷装置に対して送信する第1の送信手段と、を有し、前記印刷装置が、前記印刷ジョブリストの取得要求を前記クラウドサービスに対して送信する第2の送信手段と、前記クラウドサービスから受信した前記印刷ジョブリストを表示するよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0004】
また、特許文献2には、印刷ジョブが印刷される場所を適切に制限できるようにすることを目的とした印刷システムが開示されている。
【0005】
この印刷システムは、印刷ジョブソース端末と、スプーラ装置と、印刷装置とを備えた印刷システムにおいて、前記印刷ジョブソース端末が、印刷が許可された場所を表す印刷可能場所情報に関連付けられた場所関連印刷ジョブを前記スプーラ装置に宛てて発行する印刷ジョブ発行手段を備え、前記印刷装置が、前記印刷装置の配置場所を表す印刷装置場所情報を有した印刷ジョブ検索要求を前記スプーラ装置に宛てて発行する印刷ジョブ検索要求手段と、前記印刷装置の配置場所での印刷が許可された印刷許可印刷ジョブを実行する印刷手段とを備え、前記スプーラ装置が、前記印刷ジョブソース端末から発行された前記場所関連印刷ジョブを保存する印刷ジョブ管理手段と、前記印刷装置から発行された前記印刷ジョブ検索要求に応答して、前記印刷ジョブ検索要求の前記印刷装置場所情報および前記印刷ジョブ管理手段内の前記場所関連印刷ジョブに関連付けられた前記印刷可能場所情報に基づき、前記印刷許可印刷ジョブを前記印刷ジョブ管理手段から検索し、検索された前記印刷許可印刷ジョブを前記印刷装置へ提供する印刷ジョブ検索手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-160224号公報
【特許文献2】特開2010-92133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、印刷情報をクラウドサーバに登録し、クラウドサーバから印刷情報を予め指定されたモバイル端末等の情報処理端末に転送し、当該情報処理端末によって印刷情報を画像形成装置に送信することで、当該印刷情報による印刷を行う技術が想定される。
【0008】
この技術では、クラウドサーバにおいて実行される履歴管理や承認処理、機密処理等といった特定の処理を、クラウドサーバに接続されていない画像形成装置においても利用することができ、利便性に優れている。
【0009】
しかしながら、この技術では、指定された情報処理端末であれば印刷情報による印刷を行うことができるため、登録した印刷情報による印刷を行う場合に情報漏洩が発生する可能性がある、という問題点があった。
【0010】
本開示の目的は、印刷情報を転送可能な領域を予め登録された許可領域に制限しない場合に比較して、登録した印刷情報による印刷を行う場合の情報漏洩の可能性を低減させることができる情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理システムは、1又は複数のプロセッサを備え、前記プロセッサは、ユーザによる、印刷対象とする印刷情報、当該印刷情報の転送先となる情報処理端末、及び当該印刷情報の前記情報処理端末への転送を許可する許可領域を示す領域情報の登録を受け付け、登録した前記印刷情報を、登録した前記情報処理端末に転送する場合、登録した前記領域情報が示す許可領域に前記情報処理端末が存在する場合のみ、前記印刷情報を前記情報処理端末に転送する。
【0012】
また、第2態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサが、前記情報処理端末が前記許可領域の外に移動した場合、前記転送した前記印刷情報を削除するものである。
【0013】
また、第3態様に係る情報処理システムは、第2態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサが、前記印刷情報を削除した場合、その旨を示す情報をユーザに通知するものである。
【0014】
また、第4態様に係る情報処理システムは、第2態様又は第3態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサが、前記情報処理端末が前記許可領域の外に移動した後に前記許可領域の中へ移動した場合、前記印刷情報を前記情報処理端末に再び転送するものである。
【0015】
また、第5態様に係る情報処理システムは、第1態様又は第2態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサが、前記印刷情報が機密文書を示す情報である場合のみ、前記許可領域による制限を行うものである。
【0016】
また、第6態様に係る情報処理システムは、第1態様又は第2態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサが、前記領域情報の登録を、複数のユーザの各々別のものとして受け付けるものである。
【0017】
また、第7態様に係る情報処理システムは、第6態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサが、前記領域情報の登録を、複数のユーザが属するグループの各々別のものとして受け付けるものである。
【0018】
また、第8態様に係る情報処理システムは、第1態様又は第2態様に係る情報処理システムにおいて、前記許可領域が、3次元方向に対する領域であるものである。
【0019】
また、上記目的を達成するために、第9態様に係る情報処理プログラムは、ユーザによる、印刷対象とする印刷情報、当該印刷情報の転送先となる情報処理端末、及び当該印刷情報の前記情報処理端末への転送を許可する許可領域を示す領域情報の登録を受け付け、登録した前記印刷情報を、登録した前記情報処理端末に転送する場合、登録した前記領域情報が示す許可領域に前記情報処理端末が存在する場合のみ、前記印刷情報を前記情報処理端末に転送する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
第1態様及び第9態様によれば、印刷情報を転送可能な領域を予め登録された許可領域に制限しない場合に比較して、登録した印刷情報による印刷を行う場合の情報漏洩の可能性を低減させることができる。
【0021】
第2態様によれば、印刷情報を削除しない場合に比較して、情報漏洩の可能性を、より低減させることができる。
【0022】
第3態様によれば、ユーザに対して印刷情報がない旨を把握させることができる。
【0023】
第4態様によれば、印刷情報を情報処理端末に再び転送しない場合に比較して、利便性を向上させることができる。
【0024】
第5態様によれば、機密文書以外は許可領域による制限を受けないため、当該制限を行う場合に比較して、利便性を向上させることができる。
【0025】
第6態様によれば、ユーザ毎に許可領域を設定することができる。
【0026】
第7態様によれば、複数のユーザが属するグループ毎に許可領域を設定することができる。
【0027】
第8態様によれば、水平方向のみの領域を許可領域とする場合に比較して、情報漏洩の可能性を、より的確に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るクラウドサーバの電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るクライアントコンピュータの電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る情報処理端末の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る情報処理システムで行われる処理の概要を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る情報処理端末の印刷管理システムへの登録から利用開始までの流れを説明するための図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る情報処理端末を印刷管理システムへ登録する際の登録画面の一例を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る印刷ジョブの印刷管理システムへの登録を説明するための図である。
【
図9】本開示の実施形態に係るクライアントコンピュータの印刷ツールからスプール先の情報処理端末を設定する際の印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図10】本開示の実施形態に係る印刷管理システムに登録された印刷ジョブを情報処理端末にスプールするまでの流れの一例を説明するための図である。
【
図11】本開示の実施形態に係る情報処理端末にスプール中及びスプール完了後に表示する画面例を示す図である。
【
図12】本開示の実施形態に係る情報処理端末にスプールされた印刷ジョブを画像形成装置に送信するまでの流れを説明するための図である。
【
図13】本開示の実施形態に係る印刷ジョブ一覧画面の一例を示す図である。
【
図14】本開示の実施形態に係る情報処理システムにおける印刷ジョブのスプール状態の一例を示す図である。
【
図15】本開示の本実施形態に係る情報処理システムにおいて、許可領域が複数階を有する建物の各階別の領域である場合に対応する処理を説明するための図である。
【
図16】本開示の実施形態に係る情報処理システムの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】本開示の実施形態に係る許可領域情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図18】本開示の実施形態に係る登録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】本開示の実施形態に係る許可領域入力画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図20】本開示の実施形態に係るサーバ側情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】本開示の実施形態に係る端末側情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】本開示の実施形態に係る情報処理システムによる全体的な処理の流れの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
なお、本実施形態では、本開示の技術の情報処理システムとして、クラウドサーバ、画像形成装置、クライアントコンピュータ、及び情報処理端末等が各種ネットワーク等の通信回線を介して各々接続された情報処理システムを適用した場合について説明する。
【0031】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、クラウドサーバ10、クライアントコンピュータ20、情報処理端末30、及び画像形成装置50等を含んでいる。クラウドサーバ10、クライアントコンピュータ20、及び画像形成装置50は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、イントラネット等の通信回線90を介して各々接続されている。そして、クラウドサーバ10、クライアントコンピュータ20、情報処理端末30、及び画像形成装置50の各々は、通信回線90を介して各種データの送受信を相互に行うことが可能とされている。本実施形態では、クライアントコンピュータ20や情報処理端末30からクラウドサーバ10を介して画像形成装置50に対して印刷を指示することにより、画像形成装置50において印刷指示に応じた画像を形成する。
【0033】
図1では、錯綜を回避するために、クラウドサーバ10、クライアントコンピュータ20、情報処理端末30、及び画像形成装置50を各々1台のみ示しているが、これらの装置のうちの少なくとも1つが複数台とされていてもよい。また、本実施形態に係る情報処理システム1では、情報処理端末30から、通信回線90を介して印刷指示を行うことの他、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって印刷指示を行うことも可能とされている。
【0034】
クラウドサーバ10及びクライアントコンピュータ20の例としては、例えば、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。また、情報処理端末30の例としては、例えば、スマートフォン等の携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータ等の各種モバイル型の装置が挙げられる。
【0035】
一方、本実施形態では、画像形成装置50として、画像印刷機能、画像読取機能、及び画像送信機能等を有するデジタル複合機を適用している。但し、この形態に限るものではなく、画像印刷機能のみを有する画像形成装置や、画像印刷機能及び画像読取機能のみを有する画像形成装置等の他の画像形成装置を画像形成装置50として適用する形態としてもよい。
【0036】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係るクラウドサーバ10の構成を説明する。
図2は、本実施形態に係るクラウドサーバ10の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
図2に示すように、本実施形態に係るクラウドサーバ10は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボード及びマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、及び通信I/F部18はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0038】
本実施形態に係る記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、サーバ側情報処理プログラム13Aが記憶されている。サーバ側情報処理プログラム13Aは、当該プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16に接続され、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの上記プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。CPU11は、サーバ側情報処理プログラム13Aを記憶部13から適宜読み出してメモリ12に展開し、当該プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0039】
また、記憶部13には、許可領域情報データベース13Bが記憶されている。なお、許可領域情報データベース13Bについては、詳細を後述する。
【0040】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係るクライアントコンピュータ20の構成を説明する。
図3は、本実施形態に係るクライアントコンピュータ20の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、本実施形態に係るクライアントコンピュータ20は、プロセッサとしてのCPU21、一時記憶領域としてのメモリ22、不揮発性の記憶部23、キーボード及びマウス等の入力部24、液晶ディスプレイ等の表示部25、媒体読み書き装置(R/W)26、及び通信I/F部28を備えている。CPU21、メモリ22、記憶部23、入力部24、表示部25、媒体読み書き装置26、及び通信I/F部28はバスB2を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置26は、記録媒体27に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体27への情報の書き込みを行う。
【0042】
本実施形態に係る記憶部23はHDD、SSD、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部23には、登録処理プログラム23Aが記憶されている。登録処理プログラム23Aは、当該プログラム23Aが書き込まれた記録媒体27が媒体読み書き装置26に接続され、媒体読み書き装置26が記録媒体27からの上記プログラム23Aの読み出しを行うことで、記憶部23へ記憶(インストール)される。CPU21は、登録処理プログラム23Aを記憶部23から適宜読み出してメモリ22に展開し、当該プログラム23Aが有するプロセスを順次実行する。
【0043】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理端末30の構成を説明する。
図4は、本実施形態に係る情報処理端末30の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
図4に示すように、本実施形態に係る情報処理端末30は、プロセッサとしてのCPU31、一時記憶領域としてのメモリ32、不揮発性の記憶部33、タッチパネルや各種スイッチ等の入力部34、液晶ディスプレイ等の表示部35、媒体読み書き装置(R/W)36、通信I/F部38、及び位置検出部39を備えている。CPU31、メモリ32、記憶部33、入力部34、表示部35、媒体読み書き装置36、通信I/F部38、及び位置検出部39はバスB3を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置36は、記録媒体37に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体37への情報の書き込みを行う。
【0045】
本実施形態に係る記憶部33はHDD、SSD、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部33には、端末側情報処理プログラム33Aが記憶されている。端末側情報処理プログラム33Aは、当該プログラム33Aが書き込まれた記録媒体37が媒体読み書き装置36に接続され、媒体読み書き装置36が記録媒体37からの上記プログラム33Aの読み出しを行うことで、記憶部33へ記憶(インストール)される。CPU31は、端末側情報処理プログラム33Aを記憶部33から適宜読み出してメモリ32に展開し、当該プログラム33Aが有するプロセスを順次実行する。
【0046】
また、本実施形態に係る位置検出部39は、GPS(Global Positioning System)を利用して情報処理端末30の水平方向に対する位置を検出すると共に、Pinnacle/MBS(Metropolitan Beacon System)を利用して情報処理端末30の高さ方向の位置を検出する。但し、この形態に限るものではなく、GPSが高さ方向の位置も検出することができるものであれば、当該GPSのみを利用して情報処理端末30の3次元方向に対する位置を検出するものを位置検出部39として適用する形態としてもよい。
【0047】
ところで、本実施形態に係る情報処理システム1では、クラウドサーバ10が、印刷ジョブに対して予め定められた特定の処理を行って画像形成装置50による印刷を行う印刷管理システムをクラウドサービスとして提供する。特定の処理の一例としては、印刷ジョブの履歴を管理する履歴管理処理、印刷ジョブに対する承認を行う承認処理、及び印刷ジョブにおける機密部分に対してマスク処理等を行う機密処理等がある。印刷管理システムは、例えば、クラウドサーバ10が、クライアントコンピュータ20から印刷ジョブを受け付けて、受け付けた印刷ジョブに対して承認処理を行ってから承認後の印刷ジョブを画像形成装置50に送信する。これにより、承認された印刷ジョブのみによる印刷が画像形成装置50で行われる。なお、ここでいう印刷ジョブとは、指示者による一回の指示によって実行される印刷動作の処理単位を意味する。
【0048】
しかしながら、情報処理システム1に接続されていない、又は接続することが許可されていない画像形成装置50による印刷を行う場合、情報処理システム1が提供する特定の処理を利用することができなくなってしまう。
【0049】
そこで、本実施形態に係る情報処理システム1では、印刷対象とする印刷情報を含む印刷ジョブを受け付け、受け付けた印刷ジョブに含まれる印刷情報に対して予め定められた特定の処理を実行し、特定の処理の実行後の印刷情報を含む印刷ジョブを、画像形成装置50に直接送信するのではなく、予め登録された情報処理端末30に送信する処理を行う。
【0050】
具体的には、
図5に示すように、クライアントコンピュータ20又は情報処理端末30から印刷ジョブを、情報処理端末30を宛先にしてクラウド上の印刷管理システム80に送信する。なお、
図5は、本実施形態に係る情報処理システム1で行われる処理の概要を示す図である。
【0051】
印刷管理システム80では、印刷ジョブを受け付けると、特定の処理として、履歴を管理するためにジョブログを保存し、印刷に対する承認処理を行う。なお、承認処理は、例えば、予め登録されたクライアントコンピュータ20に対して、印刷ジョブの印刷に対する承認を依頼し、承認結果を受信することにより行う。
【0052】
続いて、印刷管理システム80は、クライアントコンピュータ20又は情報処理端末30で指定された宛先の情報処理端末30に特定の処理後の印刷ジョブを送信して、印刷ジョブを情報処理端末30にスプールする。なお、ここでいうスプールとは、印刷情報を画像形成装置50に直接送信するのではなく、一時的に別の場所に一旦記憶することを意味する。
【0053】
そして、情報処理端末30から近距離無線通信を用いて、スプールした印刷ジョブを画像形成装置50に送信することにより、特定の処理後の印刷ジョブによる印刷を画像形成装置50に対して実行させる。これにより、情報処理システム1に接続されていない、又は接続することが認められていない画像形成装置50であっても、情報処理システム1が提供する特定の処理を利用して印刷が行われる。なお、本実施形態では、情報処理端末30から近距離無線通信により画像形成装置50に印刷ジョブを送信するものとして説明するが、近距離無線通信に限定されるものではなく、通信回線90を介して送信してもよいし、直接、有線で接続して送信してもよい。
【0054】
ここで、情報処理端末30に印刷ジョブをスプールして画像形成装置50により印刷を行う基本的な方法について具体的に説明する。
【0055】
まず、情報処理端末30の印刷管理システム80への登録から利用開始までの流れについて説明する。
図6は、情報処理端末30の印刷管理システム80への登録から利用開始までの流れを説明するための図である。
【0056】
本実施形態に係る情報処理システム1では、クライアントコンピュータ20又はユーザ70が用いる情報処理端末30からウェブブラウザを介して、クラウド上の印刷管理システム80にログインし、当該ユーザ70が用いる情報処理端末30を登録する。
【0057】
この情報処理端末30の登録では、当該情報処理端末30を一意に特定できる情報、例えば、UDID(Unique Device Identifier)、シリアル番号、IMEI(International Mobile Equipment Identity)番号、MACアドレス(Media Access Control address)等の登録を行う。
【0058】
また、情報処理端末30に対応するアプリケーション(以下、「対応アプリケーション」という。)をインストールし、印刷管理システム80にログインする。これにより、登録された情報処理端末30に対して印刷ジョブをスプールできる状態となる。
【0059】
情報処理端末30を登録する際には、例えば、
図7に示す登録画面25Aをウェブブラウザで表示し、情報処理端末30の登録を受け付ける。
図7は、情報処理端末30を印刷管理システム80へ登録する際の登録画面25Aの一例を示す図である。
【0060】
図7に示す登録画面25Aの例では、情報処理端末30の名称として、「XXXPhone」が入力され、UDIDとして、「ABCDEFGH-XXXXXXXXXX]が入力された例を示す。
図7の登録ボタンを指定することで、情報処理端末30が印刷管理システム80に登録される。一方、
図7のキャンセルボタンを指定することで、情報処理端末30の登録がキャンセルされる。
【0061】
次に、印刷ジョブの印刷管理システム80への登録について説明する。
図8は、印刷ジョブの印刷管理システム80への登録を説明するための図である。
【0062】
本実施形態に係る情報処理システム1では、クラウド印刷に対応したプリンタドライバやウェブUI(User Interface)等の印刷ツールを利用して印刷ジョブの登録を行う。
【0063】
具体的には、プリンタドライバやウェブUI等の印刷ツールの印刷設定画面を表示する際に、印刷管理システム80にログインしたユーザ70に対応するスプール先の情報処理端末30の一覧を印刷管理システム80からダウンロードすることにより取得する。
【0064】
ユーザ70は、情報処理端末30の一覧の中からスプール先の情報処理端末30を指定して印刷ジョブの登録(以下、「ジョブ登録」ともいう。)を行う。スプール先の情報処理端末30の指定は、ユーザ70の全ての情報処理端末30、又はユーザ70が指定した情報処理端末30の何れかを選択できるものとする。
【0065】
図9は、クライアントコンピュータ20の印刷ツールからスプール先の情報処理端末30を設定する際の印刷設定画面25Bの一例を示す図である。
【0066】
図9に示す印刷設定画面25Bでは、ファイル名が「提案資料.pdf」、部数が「1」、カラーモードが「フルカラー」、両面印刷が「片面」との印刷設定が行われている例を示す。また、
図9に示す印刷設定画面25Bでは、承認者へのコメントとして「○△□プロジェクトの提案資料をY拠点で印刷します。」が入力された例を示す。さらに、
図9に示す印刷設定画面25Bでは、スプール先の情報処理端末30の設定が有効とされ、「この利用者の指定した情報処理端末」が選択され、指定する情報処理端末30として「XXXPhone」が選択されている例を示す。
図9のジョブ登録ボタンを指定することで、この印刷ジョブが印刷管理システム80に登録される。一方、キャンセルボタンを指定することで、この印刷ジョブの登録がキャンセルされる。
【0067】
次に、印刷管理システム80に登録された印刷ジョブを情報処理端末30にスプールするまでの流れについて説明する。
図10は、印刷管理システム80に登録された印刷ジョブを情報処理端末30にスプールするまでの流れの一例を説明するための図である。なお、以下では、特定の処理として、履歴管理処理、承認処理、及び対応する印刷ジョブの有効期限を設定する有効期限設定を行う例を説明する。
【0068】
印刷管理システム80に印刷ジョブが登録されると、クラウド上の印刷管理システム80でジョブログの保存、承認依頼を行って承認を得る印刷承認、及び印刷ジョブの有効期限の設定が行われてから情報処理端末30に印刷ジョブがスプールされる。詳細には、
図10に示すように、印刷管理システム80は、ジョブログを保存し、承認印刷が有効な場合は承認処理を行う。即ち、印刷管理システム80は、ユーザ70の上司等が用いるクライアントコンピュータ20に対して承認依頼を送信し、印刷ジョブに対する承認結果を受信する。承認結果を受信して印刷ジョブが承認されると、印刷管理システム80は、印刷ジョブの有効期限を設定する。有効期限の設定では、例えば、予め定められた期限を設定する。予め定められた期限としては、承認印刷の期間や、デフォルトの期間等を予め設定しておき、予め設定した期間から期限を導出することにより有効期限を設定する。
【0069】
また、全ての処理が完了した後に、ジョブ登録時に指定したスプール先の情報処理端末30に印刷ジョブをスプールする。
図10に示す例では、ユーザ70が指定する情報処理端末30に送信する場合として情報処理端末A(XXXXPhone)にスプールする例と、ユーザ70の全ての情報処理端末30に送信する場合として情報処理端末A(XXXXPhone)及び情報処理端末B(YYYYPhone)にスプールする例を示す。
【0070】
スプールされる印刷ジョブの構成は、「印刷情報」と「印刷情報の属性情報」とを含み、これらをまとめて「印刷ジョブ」と称するものとする。また、属性情報とは、印刷情報とは別に管理される印刷設定情報や、印刷ジョブの有効期限を含む情報である。
【0071】
印刷ジョブのスプールは、クラウド側からプッシュ方式で情報処理端末30に送信する形態としてもよいし、ユーザ70の任意のタイミングで、プル方式で情報処理端末30が受信する形態を採ってもよい。
【0072】
また、他の拠点や訪問先で情報処理端末30から印刷するシーンでは、出力先が自社の画像形成装置50ではない場合もある。このため、画像形成装置50の種類に依存せず印刷できるよう、印刷ジョブの形式を予め定められた共通形式に変換して情報処理端末30にスプールする。この際の共通形式としては、pdf(Portable Document Format)やMopria等を例示することができ、これらの各社共通のフォーマットに変換して情報処理端末30にスプールする。
【0073】
図11は、情報処理端末30に対して印刷ジョブをスプールしている最中に表示する進捗画面35A及び当該スプールの完了後に表示するスプール完了画面35Bの画面例を示す図である。
【0074】
情報処理端末30に印刷ジョブをスプールする際には、一例として
図11に示す進捗画面35Aのように、スプール中の進捗状況を表示する。
図11に示す進捗画面35Aの例では、「提案資料.pdf」の印刷ジョブがスプール中で、65%のスプールが終了している例を示す。また、スプールが完了すると、スプール完了画面35Bを表示する。
図11のスプール完了画面35Bの例では、「提案資料.pdf」の印刷ジョブのスプールが完了し、すぐに印刷できることを表示した例を示す。
【0075】
続いて、情報処理端末30にスプールされた印刷ジョブを画像形成装置50に送信するまでの流れを説明する。
図12は、情報処理端末30にスプールされた印刷ジョブを画像形成装置50に送信するまでの流れを説明するための図である。
【0076】
情報処理端末30の対応アプリケーションを起動し、
図12に示すように、接続先の画像形成装置50のIPアドレス(Internet Protocol Address)を取得して設定し、印刷ジョブを画像形成装置50に送信する。
【0077】
画像形成装置50に接続するための情報は、ユーザ70が手入力で設定してもよいし、画像形成装置50に設置されているNFC(Near Field Communication)タッチやQR(Quick Response)コードを読み取って設定してもよい。
【0078】
印刷ジョブの送信は、ユーザ70の操作により実行する。情報処理端末30の対応アプリケーションには、例えば、
図13に示すように、スプールされている印刷ジョブを一覧表示する印刷ジョブ一覧画面35Cを表示し、ユーザ70は、印刷したい印刷ジョブを選択した後に、送信ボタンを指定することで、当該印刷ジョブを画像形成装置50に送信する。
図13は、スプールされている印刷ジョブを一覧表示する印刷ジョブ一覧画面35Cの一例を示す図である。
図13に示す例では、表示されている印刷ジョブのうち、「提案資料.pdf」及び「XX社調査資料.pdf」の2つの印刷ジョブが選択され、他の印刷ジョブである「報告書.docx」等の印刷ジョブが未選択とされている例を示す。
【0079】
情報処理端末30の対応アプリケーションは、スプール済の印刷ジョブの属性情報から有効期限を定期的にチェックし、画像形成装置50に送信したか否かを問わず有効期限を経過していることを検出したら当該印刷ジョブを削除する。
【0080】
以上が本実施形態に係る情報処理システム1の基本的な処理の流れであるが、本実施形態に係る情報処理システム1は、印刷管理システム80(クラウドサーバ10)から情報処理端末30への印刷ジョブのスプールを行うことができる領域を予め定められた許可領域に制限するものとされている。
図14には、本実施形態に係る情報処理システム1における印刷ジョブのスプール状態の一例を示す図が示されている。
【0081】
即ち、一例として
図14に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1では、クライアントコンピュータ20や情報処理端末30から印刷管理システム80に対して印刷ジョブがアップロードされることは上述した通りである。しかしながら、本実施形態に係る情報処理システム1では、印刷管理システム80から印刷ジョブをスプールさせることができる情報処理端末30が、予め定められた許可領域内に存在する情報処理端末30に制限される。これにより、無条件に印刷ジョブを情報処理端末30にスプールさせる場合に比較して、当該印刷ジョブに関する情報漏洩の可能性を著しく低減させることができる。
【0082】
図14に示す例では、許可領域の外部に存在するためにスプールの対象とされていなかった情報処理端末30が許可領域Aに移動したことでスプールが実行される場合が例示されている。
【0083】
この場合、この情報処理端末30が許可領域Aから一時的に許可領域Aの外部に移動して再度許可領域Aに戻る場合には、許可領域Aの外部に出た時点でスプールされた印刷ジョブが削除され、当該印刷ジョブによる画像形成装置50での印刷を行うことができなくなる。しかしながら、この場合、この情報処理端末30が許可領域Aに戻った時点で印刷ジョブが再度スプールされ、当該印刷ジョブによる印刷が可能となる。
【0084】
同様に、この情報処理端末30が許可領域Aの外部に移動して許可領域Bに向かう場合には、画像形成装置50による印刷が一時的にできなくなるが、許可領域Bに到着した時点で再度印刷ジョブがスプールされるため、当該印刷ジョブによる印刷が可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る情報処理システム1では、対象となる許可領域として、水平方向に対する領域のみならず、高さ方向に対する領域も適用することができるものとされている。このため、本実施形態に係る位置検出部39は、上述したように、情報処理端末30の水平方向に対する位置のみならず、情報処理端末30の高さ方向の位置も検出することができるものとされている。
【0086】
これにより、一例として
図15に示すように、例えば、複数階を有するビルにおいて、ある階(
図15に示す例では、1階のコンビニエンスストア)に設けられた画像形成装置50では印刷できないようにし、他の階(
図15に示す例では、4階の社内)に設けられた画像形成装置50では印刷可能とすることもできる。
図15は、本実施形態に係る情報処理システム1において、許可領域が複数階を有する建物の各階別の領域である場合に対応する処理を説明するための図である。
【0087】
次に、
図16を参照して、以上のような許可領域によるスプールの制限を行う場合における、本実施形態に係る情報処理システム1の機能的な構成について説明する。
図16は、本実施形態に係る情報処理システム1の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0088】
図16に示すように、本実施形態に係るクラウドサーバ10は受付部11A及び転送部11Bを含み、クライアントコンピュータ20は登録部21Aを含み、情報処理端末30は削除部31A及び通知部31Bを含む。クラウドサーバ10のCPU11がサーバ側情報処理プログラム13Aを実行することで、受付部11A及び転送部11Bとして機能する。また、クライアントコンピュータ20のCPU21が登録処理プログラム23Aを実行することで、登録部21Aとして機能する。更に、情報処理端末30のCPU31が端末側情報処理プログラム33Aを実行することで、削除部31A及び通知部31Bとして機能する。
【0089】
本実施形態に係る受付部11Aは、ユーザによる、印刷対象とする印刷情報、当該印刷情報の転送先となる情報処理端末30、及び当該印刷情報の情報処理端末30への転送(即ちスプール)を許可する許可領域を示す領域情報の登録を受け付ける。そして、本実施形態に係る転送部11Bは、登録した印刷情報を、登録した情報処理端末30に転送する場合、登録した領域情報が示す許可領域に情報処理端末30が存在する場合のみ、印刷情報を当該情報処理端末30に転送(スプール)する。
【0090】
一方、本実施形態に係る削除部31Aは、情報処理端末30が許可領域の外に移動した場合、転送した印刷情報を削除する。また、本実施形態に係る通知部31Bは、印刷情報を削除した場合、その旨を示す情報をユーザに通知する。
【0091】
また、本実施形態に係る転送部11Bは、情報処理端末30が許可領域の外に移動した後に許可領域の中へ移動した場合、印刷情報を情報処理端末30に再び転送する。なお、
図14を参照して例示したように、この際の移動前の許可領域と、移動後の許可領域は、同一の許可領域であってもよいし、異なる許可領域であってもよい。
【0092】
ここで、本実施形態に係る転送部11Bは、印刷情報が機密文書を示す情報である場合のみ、許可領域による制限を行う。また、本実施形態に係る受付部11Aは、領域情報の登録を、複数のユーザの各々別のものとして受け付ける。このように、本実施形態では、領域情報の受付を、ユーザ毎に行う形態としているが、これに限るものではない。例えば、複数人が属するグループの各々別のものとして領域情報を受け付ける形態としてもよい。この場合、当該グループとしては、同一の会社に所属する人のグループ、事業所毎の所属する人のグループ、部門毎の所属する人のグループ等を例示することができる。
【0093】
なお、本実施形態に係る情報処理システム1では、印刷情報が機密文書を示す情報であるか否かを示す情報(以下、「機密指定情報」という。)が、対応する属性情報に含まれている場合について説明するが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0094】
また、上述したように、本実施形態に係る情報処理システム1では、許可領域として、水平方向のみならず、高さ方向も含めた3次元方向に対する領域を適用しているが、これに限るものではない。例えば、水平方向及び高さ方向のうちの何れか一方のみに対する領域のみを許可領域として適用する形態としてもよい。
【0095】
次に、
図17を参照して、本実施形態に係る許可領域情報データベース13Bについて説明する。
図17は、本実施形態に係る許可領域情報データベース13Bの構成の一例を示す模式図である。
【0096】
本実施形態に係る許可領域情報データベース13Bは、上述した領域情報が登録されるデータベースであり、一例として
図17に示すように、ユーザID(Identification)、及び許可領域の各情報が関連付けられて記憶される。
【0097】
上記ユーザIDは、情報処理システム1のユーザを個別に識別するために、ユーザの各々毎に異なるものとして予め割り振られた情報である。また、上記許可領域は、上述した領域情報そのものを示す情報であり、
図17に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1では、ユーザ毎に複数の情報が登録可能とされている。
【0098】
なお、
図17に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1では、領域情報として、必要に応じて対象とする建物の名称及び対象とする階数を示す情報を含み得る、住所を示す情報を適用しているが、これに限るものではない。例えば、許可領域を緯度、経度、及び高度を用いて示す情報を領域情報として適用する形態としてもよい。ここで、許可領域を緯度及び経度を用いて示す場合の形態例としては、許可領域の外郭線の位置を緯度及び経度で表す形態を適用してもよい。また、許可領域を緯度及び経度を用いて示す場合の形態例として、許可領域として平面視円形状の領域を適用し、当該円形状の領域の中心位置を緯度及び経度で表し、かつ、当該円形状の領域の半径又は直径を示す情報を含めることで、許可領域を表す形態としてもよい。
【0099】
次に、
図18~
図22を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1における、印刷ジョブの情報処理端末30へのスプールの実行を許可領域のみに制限することに関する作用を説明する。
【0100】
まず、
図18及び
図19を参照して、上述した許可領域を示す領域情報を許可領域情報データベース13Bに登録するための登録処理を実行する場合のクライアントコンピュータ20の作用を説明する。
図18は、本実施形態に係る登録処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図18に示す登録処理は、クライアントコンピュータ20の管理者(本実施形態では、ユーザ70の上司)により、登録処理の実行を指示する旨が入力された場合に、クライアントコンピュータ20のCPU21が登録処理プログラム23Aを実行することで実行される。
【0101】
図18のステップ100で、CPU21は、予め定められた構成とされた許可領域入力画面を表示するように表示部25を制御する。ステップ102で、CPU21は、予め定められた情報が入力されるまで待機する。
図19には、本実施形態に係る許可領域入力画面の一例が示されている。
【0102】
図19に示すように、本実施形態に係る許可領域入力画面では、登録されている情報処理端末30のユーザ70の各々に関して許可領域の入力を促すメッセージが表示される。また、本実施形態に係る許可領域入力画面では、ユーザ70の各々の許可領域を入力するための許可領域入力領域25Cが表示される。
【0103】
図19に示す許可領域入力画面が表示されると、管理者は、自身が許可領域を設定したいユーザ70に対応する許可領域入力領域25Cに対して当該許可領域を、入力部24を介して入力する。そして、管理者は、全ての所望の許可領域の入力が終了すると、終了ボタン25Xを、入力部24を介して指定する。管理者によって終了ボタン25Xが指定されると、ステップ102が肯定判定となってステップ104に移行する。
【0104】
ステップ104で、CPU21は、許可領域入力画面において管理者により入力された全ての許可領域を示す領域情報を、許可領域情報データベース13Bの対応する記憶領域に記憶(登録)し、その後に登録処理を終了する。
【0105】
この登録処理により、一例として
図17に示す許可領域情報データベース13Bが構築されることになる。
【0106】
次に、
図20を参照して、主として登録された印刷ジョブを情報処理端末30に転送(スプール)させる処理を行うサーバ側情報処理を実行する場合のクラウドサーバ10の作用を説明する。
図20は、本実施形態に係るサーバ側情報処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図20に示すサーバ側情報処理は、予め定められた時間(本実施形態では、10秒)毎に、クラウドサーバ10のCPU11がサーバ側情報処理プログラム13Aを実行することで実行される。
【0107】
図20のステップ200で、CPU11は、登録されている印刷ジョブから何れか1つの印刷ジョブ(以下、「対象ジョブ」という。)を読み出す。ステップ202で、CPU11は、読み出した対象ジョブの属性情報を抽出し、当該属性情報を、当該対象ジョブの送信対象とする情報処理端末30に送信する。この際、CPU11は、対象ジョブの送信対象とする情報処理端末30のユーザ70に対応する領域情報を許可領域情報データベース13Bから読み出し、属性情報に含めて当該情報処理端末30に送信する。
【0108】
属性情報を受信すると情報処理端末30は、後述する端末側情報処理により、受信した属性情報に対応する印刷情報の送信を指示する情報(以下、「送信指示情報」という。)か、又は当該印刷情報の転送(スプール)が受け入れられない旨を示す情報(以下、「転送不可情報」という。)をクラウドサーバ10に送信する。
【0109】
そこで、ステップ204で、CPU11は、属性情報を送信した情報処理端末30から送信指示情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ206に移行する。
【0110】
ステップ206で、CPU21は、読み出した対象ジョブにおける印刷情報を、送信指示情報の送信元である情報処理端末30に送信し、その後にステップ216に移行する。
【0111】
一方、ステップ204において否定判定となった場合はステップ208に移行し、CPU21は、属性情報を送信した情報処理端末30から転送不可情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ210に移行する。
【0112】
ステップ210で、CPU21は、送信した属性情報に対応する印刷情報の送信を、当該属性情報に含まれる有効期限までを限度として保留する処理を実行し、その後にステップ216に移行する。ステップ210の処理によって情報処理端末30への送信が保留された印刷情報は、対応する情報処理端末30から再転送の指示が受信された場合にクラウドサーバ10によって当該情報処理端末30に送信する。
【0113】
一方、ステップ208において否定判定となった場合はステップ212に移行し、CPU21は、属性情報を送信した情報処理端末30との間で通信エラーが発生しているか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合はステップ204に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ214に移行して、予め定められた時間(本実施形態では、10秒間)が経過するまで待機した後にステップ204に戻る。
【0114】
ステップ216で、CPU21は、登録されている全ての印刷ジョブについてステップ200~ステップ214の処理が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ200に戻る一方、肯定判定となった場合はサーバ側情報処理を終了する。
【0115】
なお、ステップ200~ステップ216の処理を繰り返し実行する場合に、CPU21は、それまでに対象としなかった印刷ジョブを対象ジョブとして適用するようにする。
【0116】
次に、
図21を参照して、主として印刷ジョブのスプールを行う端末側情報処理を実行する場合の情報処理端末30の作用を説明する。
図21は、本実施形態に係る端末側情報処理の一例を示すフローチャートである。
図21に示す端末側情報処理は、クラウドサーバ10から上述した属性情報を受信した場合に、情報処理端末30のCPU31が端末側情報処理プログラム33Aを実行することで実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、受信した属性情報に対応する1つの印刷ジョブのみに関する処理について説明する。
【0117】
図21のステップ300で、CPU31は、位置検出部39から自身の3次元方向に対する位置を示す位置情報を取得する。ステップ302で、CPU31は、取得した位置情報が示す自身の水平方向に対する位置が、受信した属性情報に含まれる領域情報が示す、水平方向に対する許可領域に位置しているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ304に移行する。ステップ302の判定により、自身が水平方向に対する許可領域内に位置しているか否かを判定することができる。
【0118】
なお、本実施形態に係る情報処理システム1では、上述したように、領域情報が示す許可領域として住所を示す情報を適用している一方、位置検出部39によって得られる水平方向の位置情報は緯度及び経度を示す情報である。このため、CPU31は、当該緯度及び経度により示される位置の住所を特定し、当該住所が許可領域の住所に合致するか否かを判定することで、ステップ302による判定を行う。
【0119】
ステップ304で、CPU31は、上記領域情報が示す許可領域に建物の階数を示す情報が含まれているか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ308に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ306に移行する。
【0120】
ステップ306で、CPU31は、取得した位置情報が示す高さ方向の位置が、上記建物の階数に相当する高さとなっているか否かを判定することで、自身が高さ方向に対しても許可領域内に位置しているか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ324に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ308に移行する。
【0121】
ステップ308で、CPU31は、上述した送信指示情報をクラウドサーバ10に送信する。この送信指示情報を受信すると、クラウドサーバ10は、上述したように、送信した属性情報に対応する印刷情報を情報処理端末30に送信する。そこで、ステップ310で、CPU31は、クラウドサーバ10から送信された印刷情報を受信する。
【0122】
ステップ312で、CPU31は、受信した属性情報と印刷情報とを用いて印刷ジョブ(以下、「処理対象ジョブ」という。)を作成して記憶部33に記憶する。そして、CPU31は、処理対象ジョブを自身の情報処理端末30により、画像形成装置50による印刷の対象としてユーザ70が選択できるようにする処理(以下、「選択可能化処理」という。)を実行する。
【0123】
本実施形態では、選択可能化処理として、一例として
図13に示す印刷ジョブ一覧画面35Cにおいて処理対象ジョブをグレイアウトしない処理を行っているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0124】
ステップ314で、CPU31は、ステップ300の処理と同様に位置情報を取得する。ステップ316で、CPU31は、取得した位置情報を用いて、ステップ302及びステップ306の処理において自身の情報処理端末30が存在すると判定した許可領域(以下、「処理対象領域」という。)の外に移動したか否かを判定する。そして、CPU31は、この判定において否定判定となった場合はステップ314に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ318に移行する。
【0125】
このステップ314~ステップ316の処理により、CPU31は、自身の情報処理端末30が処理対象領域の外部に移動するまで待機することとなり、この間、ユーザ70は、処理対象ジョブを用いた画像形成装置50による印刷を行うことができる。
【0126】
ステップ318で、CPU31は、受信した属性情報における機密指定情報を参照することで、処理対象ジョブに含まれる印刷情報が機密文書を示すものであるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ320に移行する。ステップ320で、CPU31は、処理対象ジョブを自身の情報処理端末30により、画像形成装置50による印刷の対象としてユーザ70が選択できないようにする処理(以下、「選択不可能化処理」という。)を実行し、その後に端末側情報処理を終了する。
【0127】
本実施形態では、選択不可能化処理として、一例として
図13に示す印刷ジョブ一覧画面35Cにおいて処理対象ジョブをグレイアウトする処理を行っているが、これに限るものでないことも言うまでもない。
【0128】
また、ステップ318において肯定判定となった場合はステップ322に移行し、CPU31は、処理対象ジョブを記憶部33から削除すると共に、処理対象ジョブを削除した旨を示す情報をユーザ70に通知し、その後に端末側情報処理を終了する。なお、本実施形態では、ステップ322によるユーザ70に対する通知として、情報処理端末30の表示部35による表示による通知を適用しているが、これに限るものではない。例えば、図示しない音声再生装置による音声による通知や、画像形成装置50による印刷による通知を、上記ユーザ70に対する通知として適用する形態としてもよい。
【0129】
一方、ステップ302において否定判定となった場合、自身の情報処理端末30が許可領域の外部に位置していると見なしてステップ324に移行する。ステップ324で、CPU31は、受信した属性情報における機密指定情報を参照することで、当該属性情報に対応する印刷情報が機密文書を示すものであるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ326に移行する。
【0130】
ステップ326で、CPU31は、上述した送信指示情報をクラウドサーバ10に送信する。この送信指示情報を受信すると、クラウドサーバ10は、上述したように、送信した属性情報に対応する印刷情報を情報処理端末30に送信する。そこで、ステップ328で、CPU31は、クラウドサーバ10から送信された印刷情報を受信する。
【0131】
ステップ330で、CPU31は、ステップ312の処理と同様に、受信した属性情報と印刷情報とを用いて処理対象ジョブを作成して記憶部33に記憶する。そして、CPU31は、ステップ320の処理と同様に、処理対象ジョブを選択不可能とする選択不可能化処理を実行する。
【0132】
ステップ332で、CPU31は、ステップ300の処理と同様に位置情報を取得する。ステップ334で、CPU31は、取得した位置情報を用いて、ステップ302~ステップ306の処理と同様に、自身の情報処理端末30が何れかの許可領域の内部に移動したか否かを判定する。そして、CPU31は、この判定において否定判定となった場合はステップ332に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ336に移行する。
【0133】
このステップ332~ステップ334の処理により、CPU31は、自身の情報処理端末30が許可領域の外部から許可領域の内部に移動するまで待機することとなる。
【0134】
ステップ336で、CPU31は、ステップ312と同様に、処理対象ジョブを選択可能とする選択可能化処理を実行し、その後に端末側情報処理を終了する。
【0135】
一方、ステップ324において肯定判定となった場合は、受信した属性情報に対応する印刷情報が機密文書を示すものであると見なしてステップ338に移行する。ステップ338で、CPU31は、上述した転送不可情報をクラウドサーバ10に送信する。
【0136】
ステップ340で、CPU31は、ステップ300の処理と同様に位置情報を取得する。ステップ342で、CPU31は、取得した位置情報を用いて、ステップ302~ステップ306の処理と同様の処理により、自身の情報処理端末30が何れかの許可領域の内部に移動したか否かを判定する。そして、CPU31は、この判定において否定判定となった場合はステップ340に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ344に移行する。
【0137】
ステップ344で、CPU31は、クラウドサーバ10に対して印刷情報の再転送の指示を送信し、その後の端末側情報処理を終了する。
【0138】
ステップ340~ステップ344の処理により、CPU31は、自身の情報処理端末30が許可領域の外部から許可領域の内部に移動するまで待機した後、処理対象ジョブを作成するべく、印刷情報の再転送をクラウドサーバ10に指示する。この結果、クラウドサーバ10から当該印刷情報が受信されるため、CPU31は、受信した属性情報及び印刷情報を用いて印刷ジョブを作成して記憶部33に登録し、当該印刷ジョブを用いた画像形成装置50による印刷が実行可能となる。
【0139】
図22には、本実施形態に係る情報処理システム1による全体的な処理の流れの一例が模式的に示されている。なお、
図22では、便宜上、クライアントコンピュータ20を「PC」と表記し、情報処理端末30を「スマホ」と表記している。
【0140】
図22に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1では、クライアントコンピュータ20又は情報処理端末30によって印刷ジョブがクラウドサーバ10に登録される。そして、上述した登録処理によって予め登録された許可領域(上記実施形態では、ユーザ毎の許可領域)に情報処理端末30が存在する場合は、対応する印刷ジョブが当該情報処理端末30にスプールされる一方、情報処理端末30が許可領域の外部に存在する場合は、印刷情報の受領を当該情報処理端末30が拒否する。
【0141】
一方、情報処理端末30が許可領域の内部から外部に移動した場合には、スプールした印刷ジョブを削除することで、当該印刷ジョブに関する情報の外部への情報漏洩の可能性を低減するようにしている。
【0142】
なお、上記実施形態では、許可領域を示す領域情報を、印刷ジョブの属性情報に含めて情報処理端末30に送信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、属性情報を受信した情報処理端末30が自身のユーザ70に関する領域情報を許可領域情報データベース13Bから読み出すことで取得する形態としてもよい。
【0143】
また、上記実施形態では、情報処理端末30により、自身の位置が許可領域内に位置するか否かを自ら判定することで印刷情報の受信を行うか否かを決定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、クラウドサーバ10が情報処理端末30から位置情報を取得し、当該位置情報を用いて情報処理端末30が許可領域内に位置するか否かを判定することで、情報処理端末30への印刷情報の送信を行うか否かを決定する形態としてもよい。
【0144】
また、上記実施形態では、許可領域情報データベース13Bをクラウドサーバ10に登録した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、クライアントコンピュータ20、情報処理端末30、及び画像形成装置50や、クラウドサーバ10からアクセス可能な他の装置に許可領域情報データベース13Bを登録する形態としてもよい。
【0145】
また、上記実施形態では言及しなかったが、情報処理端末30が許可領域の外部に存在する時点では印刷情報の一部のみを転送し、当該情報処理端末30が許可領域の内部に移動した時点で当該印刷情報の残りを転送する形態としてもよい。この形態によれば、情報処理端末30が許可領域の外部に位置する時点で印刷情報の一部を当該情報処理端末30に転送することができる。このため、情報処理端末30が許可領域に移動した後に全ての印刷情報を転送する場合に比較して、当該印刷情報の情報処理端末30への転送時間を短縮することができる。
【0146】
以上、実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0147】
また、上記実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0148】
また、上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU等)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0149】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0150】
また、本実施形態における「システム」は、一例として、複数の装置によって構成されたものとして記載したが、単一の装置によって構成されたものであってもよい。
【0151】
更に、上記実施形態では、各種処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各種処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0152】
その他、上記実施形態で説明したクラウドサーバ10、クライアントコンピュータ20、情報処理端末30、及び画像形成装置50の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0153】
また、上記実施形態で説明した各種処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0154】
(付記)
(((1)))
1又は複数のプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザによる、印刷対象とする印刷情報、当該印刷情報の転送先となる情報処理端末、及び当該印刷情報の前記情報処理端末への転送を許可する許可領域を示す領域情報の登録を受け付け、
登録した前記印刷情報を、登録した前記情報処理端末に転送する場合、登録した前記領域情報が示す許可領域に前記情報処理端末が存在する場合のみ、前記印刷情報を前記情報処理端末に転送する、
情報処理システム。
(((2)))
前記プロセッサは、
前記情報処理端末が前記許可領域の外に移動した場合、前記転送した前記印刷情報を削除する、
(((1)))に記載の情報処理システム。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記印刷情報を削除した場合、その旨を示す情報をユーザに通知する、
(((2)))に記載の情報処理システム。
(((4)))
前記プロセッサは、
前記情報処理端末が前記許可領域の外に移動した後に前記許可領域の中へ移動した場合、前記印刷情報を前記情報処理端末に再び転送する、
(((2)))又は(((3)))に記載の情報処理システム。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記印刷情報が機密文書を示す情報である場合のみ、前記許可領域による制限を行う、
(((1)))から(((4)))の何れか1項に記載の情報処理システム。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記領域情報の登録を、複数のユーザの各々別のものとして受け付ける、
(((1)))から(((5)))の何れか1項に記載の情報処理システム。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記領域情報の登録を、複数のユーザが属するグループの各々別のものとして受け付ける、
(((6)))に記載の情報処理システム。
(((8)))
前記許可領域は、3次元方向に対する領域である、
(((1)))から(((7)))の何れか1項に記載の情報処理システム。
【0155】
(((1)))に係る情報処理システムによれば、印刷情報を転送可能な領域を予め登録された許可領域に制限しない場合に比較して、登録した印刷情報による印刷を行う場合の情報漏洩の可能性を低減させることができる。
(((2)))に係る情報処理システムによれば、印刷情報を削除しない場合に比較して、情報漏洩の可能性を、より低減させることができる。
(((3)))に係る情報処理システムによれば、ユーザに対して印刷情報がない旨を把握させることができる。
(((4)))に係る情報処理システムによれば、印刷情報を情報処理端末に再び転送しない場合に比較して、利便性を向上させることができる。
(((5)))に係る情報処理システムによれば、機密文書以外は許可領域による制限を受けないため、当該制限を行う場合に比較して、利便性を向上させることができる。
(((6)))に係る情報処理システムによれば、ユーザ毎に許可領域を設定することができる。
(((7)))に係る情報処理システムによれば、複数のユーザが属するグループ毎に許可領域を設定することができる。
(((8)))に係る情報処理システムによれば、水平方向のみの領域を許可領域とする場合に比較して、情報漏洩の可能性を、より的確に低減させることができる。
【符号の説明】
【0156】
1 情報処理システム
10 クラウドサーバ
11 CPU
11A 受付部
11B 転送部
12 メモリ
13 記憶部
13A サーバ側情報処理プログラム
13B 許可領域情報データベース
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
20 クライアントコンピュータ
21 CPU
21A 登録部
22 メモリ
23 記憶部
23A 登録処理プログラム
24 入力部
25 表示部
25A 登録画面
25B 印刷設定画面
25C 許可領域入力領域
25X 終了ボタン
26 媒体読み書き装置
27 記録媒体
28 通信I/F部
30 情報処理端末
31 CPU
31A 削除部
31B 通知部
32 メモリ
33 記憶部
33A 端末側情報処理プログラム
34 入力部
35 表示部
35A 進捗画面
35B スプール完了画面
35C 印刷ジョブ一覧画面
36 媒体読み書き装置
37 記録媒体
38 通信I/F部
39 位置検出部
50 画像形成装置
70 ユーザ
80 印刷管理システム
90 通信回線