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特開2024-169244除染用の樹脂、除染用の繊維及びその加工物
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  • 特開-除染用の樹脂、除染用の繊維及びその加工物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169244
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】除染用の樹脂、除染用の繊維及びその加工物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/10 20060101AFI20241128BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20241128BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20241128BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20241128BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20241128BHJP
   C08L 3/02 20060101ALI20241128BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20241128BHJP
   D06M 11/79 20060101ALI20241128BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20241128BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20241128BHJP
   D06M 15/507 20060101ALI20241128BHJP
   D06M 15/59 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A01N25/10
A01P1/00
A01P3/00
A01N59/16 A
C08L101/00
C08L3/02
D06M11/83
D06M11/79
D06M15/03
D06M13/224
D06M15/507
D06M15/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023094394
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】521431424
【氏名又は名称】株式会社信日康
(72)【発明者】
【氏名】宮田 善之
(72)【発明者】
【氏名】雨田 基宏
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】王小▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】雷 善翔
【テーマコード(参考)】
4H011
4J002
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA04
4H011BA01
4H011BB18
4H011BC01
4H011BC06
4H011BC08
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA07
4H011DA10
4H011DH02
4H011DH10
4J002AB052
4J002BB011
4J002CF001
4J002CF011
4J002CL001
4J002DJ017
4J002EH036
4J002EH046
4J002EH056
4J002FB077
4J002FD202
4J002FD207
4J002FD316
4J002GT00
4L031AB21
4L031AB31
4L031BA04
4L031BA19
4L033AB01
4L033AB04
4L033AC10
4L033AC15
4L033BA21
4L033CA02
4L033CA45
4L033CA55
(57)【要約】
【課題】水などの水性担体存在化、樹脂内部より有効成分を持続的に、かつ、安定した放出量で放出し、継続的な除染を行いうる手段を提供する。
【解決手段】ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びアルキド樹脂から選ばれる樹脂と、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる非イオン界面活性剤と、金属が担持されても良いシリカ化合物と、環状糖とを含有することを特徴とする除染用の樹脂を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A群から選ばれる樹脂と、B群から選ばれる非イオン界面活性剤と、金属が担持されても良いシリカ化合物と、環状糖とを含有することを特徴とする除染用の樹脂。
A群 ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂
B群 ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル
【請求項2】
金属が担持されていても良いシリカ化合物が、銀担持ゼオライトである、請求項1に記載の除染用の樹脂。
【請求項3】
環状糖がベータシクロデキストリンである、請求項1または2に記載の除染用の樹脂。
【請求項4】
除染剤としての、シリカ化合物に担持された金属を持続的に放出することを特徴とする、請求項1~3いずれか1項に記載の除染用の樹脂。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の除染用の樹脂を加工してなる、加工物。
【請求項6】
糸であることを特徴とする、請求項5に記載の加工物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除染用の樹脂、除染用の繊維及びその加工物に関する。なお、本発明において「除染用」とは、微生物やウイルスなどを殺菌あるいは不活化し、疾病や臭気の発生を防ぐ作用を意味する。
【背景技術】
【0002】
微生物あるいはウイルスは、過剰に増殖した場合、種々の疾病の原因となったり、悪臭の発生などの環境の悪化の原因となったりする。このため、該微生物、ウイルスを除去、不活化する除染手段が種々考案されているが、十分というのには程遠い状況にある。これは
COVID対策を見ても明らかであり、アルコール、社会的距離及び換気に頼らざるを得ない状況にある(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.htmlを参照)。また、換気による病原体の低減は汚染されていないきれいな空気が供給されることが前提となった、消極的な除染方法と言える。ここで、「除染」という言葉は、生物兵器等によってバイオテロが実行された場合に、バイオテロによって拡散された病原体を除去、不活化する概念形成により生まれた言葉である(例えば、非特許文献1を参照)。このため、環境全体の病原体を減じる方法の開発が望まれていた。このような方法としては、壁面などに非揮発性除染剤を塗布するようなことが考えられるが、そのような材料は現在のところ損しないのが現状と言える。
【0003】
このような状況下、除染のための方法としては、アルコール、次亜塩素酸、二酸化塩素などの除染剤、二酸化チタンなどの光触媒が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。これらに比して、さらに除染活性の高い除染剤として、銀などの金属を担持させたゼオライトが開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。しかしながら、これらの技術では、これら除染剤をポリマーに練り込んだ場合、有効に働くのはポリマー表面に存在する除染剤のみでポリマー中の除染剤は不活性なまま保持されてしまう欠点が存した。これは銀などの被担持成分がゼオライトなどの基体に担持されて初めて除染効果を奏するためであり、基体がポリマー中より移動できない状況では、その効果は表面のみにとどまってしまうためである。
【0004】
ポリマー中の成分を継続的に放出させる手段としては、ピレスロイドのような揮散性の高い成分については、シクロデキストリン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、層状ケイ酸塩、シリカなどともにピレスロイドを使用する方法(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)などが開示されている。しかし、これらの方法では熱吸収による揮散駆動力が働かない場合には、十分なピレスロイドの揮散が得られないことが述べられている。更に、これらの技術ではピレスロイドをシクロデキストリン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、層状ケイ酸塩、シリカなどに包接させた後に樹脂に分散させることから、かかる包接体が、外側面に親水基を有していることから、樹脂中分散不良を起こすことも懸念される。更に、これらの技術を改良し、シクロデキストリンと非イオン界面活性剤の組み合わせにより、熱などの駆動力を要せずピレスロイドを揮散させる技術が考案された(例えば、特許文献7を参照)が、このような構成で、ポリマー内での可動性の殆ど無いゼオライトに担持した銀が除染活性を保ちつつ、樹脂内部より溶出することは考えにくい。
【0005】
一方、A群から選ばれる樹脂と、B群から選ばれる非イオン界面活性剤と、金属が担持されても良いシリカ化合物と、環状糖とを含有することを特徴とする除染用の樹脂が、水などの水性担体存在化、樹脂内部より有効成分を持続的に、かつ、安定した放出量で放出し、継続的な除染を行いうることは全くしられていなかった。
A群 ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂
B群 ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】瀬戸康夫;薬学雑誌 ;2009;129(1)53-69
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10‐120518号公報
【特許文献2】特開昭60‐181002号公報
【特許文献3】特開平3‐83905号公報
【特許文献4】特開2015-063494号公報
【特許文献5】特開平08-245324号公報
【特許文献6】特開2002-255702号公報
【特許文献7】特開2023-35859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況下為されたものであり、水などの水性担体存在化、樹脂内部より有効成分を持続的に、かつ、安定した放出量で放出し、継続的な除染を行いうる手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような状況に鑑みて、水などの水性担体存在化、樹脂内部より有効成分を持続的に、かつ、安定した放出量で放出し、継続的な除染を行いうる手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びアルキド樹脂から選ばれる樹脂と、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる非イオン界面活性剤と、金属が担持されても良いシリカ化合物と、環状糖とを含有することを特徴とする除染用の樹脂が、水などの水性担体存在化、樹脂内部より有効成分を持続的に、かつ、安定した放出量で放出し、継続的な除染を行いうることを見出し、発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
<1> A群から選ばれる樹脂と、B群から選ばれる非イオン界面活性剤と、金属が担持されても良いシリカ化合物と、環状糖とを含有することを特徴とする除染用の樹脂。
A群 ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂
B群 ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル
<2>金属が担持されていても良いシリカ化合物が、銀担持ゼオライトである、<1>に記載の除染用の樹脂。
<3>環状糖がベータシクロデキストリンである、<1>または<2>に記載の除染用の樹脂。
<4>除染剤としての、シリカ化合物に担持された金属を持続的に放出することを特徴とする、<1>~<3>いずれか1項に記載の除染用の樹脂。
<5><1>~<4>いずれか1項に記載の除染用の樹脂を加工してなる、加工物。
<6>糸であることを特徴とする、<5>に記載の加工物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水などの水性担体存在化、樹脂内部より有効成分を持続的に、かつ、安定した放出量で放出し、継続的な除染を行いうる手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例2のプレート1とプレート6を示す図である(図面代用写真)。
図2】実施例2のプレート2とプレート6を示す図である(図面代用写真)。
図3】実施例2のプレート3とプレート6を示す図である(図面代用写真)。
図4】実施例2のプレート4とプレート6を示す図である(図面代用写真)。
図5】実施例2のプレート5とプレート6を示す図である(図面代用写真)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びアルキド樹脂から選ばれる樹脂と、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる非イオン界面活性剤と、金属が担持されても良いシリカ化合物と、環状糖とを含有することを特徴とする除染用の樹脂であることを特徴とする。
【0013】
前記の樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリアルキレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、アルキド樹脂などが例示でき、ポリエチレンは高密度であっても、低密度であってもかまわない。かかる樹脂は1種類のみを使用することが好ましく、その含有量は、本発明の除染剤において、総量の80~99.997質量%が好ましく、更に好ましくは85~99.996質量%が好ましい。
【0014】
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる非イオン界面活性剤において、脂肪酸残基としては、ベヘン酸残基、ステアリン酸残基、ミリスチン酸残基、ラウリン酸残基、オレイン酸残基、イソオクタン酸残基などが好ましく例示でき、オレイン酸残基及びラウリン酸残基が特に好ましく例示できる。また、アルキル基としてはステアリル基、ラウリル基などが特に好ましく例示できる。ポリオキシエチレン基としてはオキシエチレン基の数が2~6のものが特に好ましく例示できる。ポリグリセリル基としてはデカグリセリル基、オクタグリセリル基、ヘキサグリセリル基が特に好ましく例示できる。これらの非イオン界面活性剤はただ一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。これらの好ましい配合量は、総量でポリマー全量に対して0.1~4質量%が好ましく、あり、更に好ましくは、0.002~1質量%そのうち非イオン界面活性剤は0.001~2質量%が好ましい。
【0015】
本発明のポリマーは金属が担持されても良いシリカ化合物を含有することを特徴とする。担持できる金属としては、例えば、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、銀、スズ、鉛またはカドミウムなどが好ましく例示でき、担持させる方法については、例えば、特開2009-67693号公報などに開示されているが、金属イオンを含む水溶液に、ゼオライトなどのシリカ化合物を浸漬することによりイオン交換して担持せしめることができる。このような金属が担持されても良いシリカ化合物としては、銀を担持させたものが特に好ましく、このような銀担持シリカ化合物としては市販されているものが存し、かかる市販品を購入し利用することも可能である。このような市販品としては、例えば、ゼオミック社より市販されている銀担持ゼオライトである「ゼオミック」や石塚ガラス株式会社製の銀担持ガラスである「イオンピュア」が特に好ましく例示できる。本発明ではゼオライト中にゼオミックを20%含有せしめた「ゼオミックDAW502」を中心に用いている。かかる、金属を担持しても良いゼオライトにおいては、その抗菌作用は、ゼオミック等の金属担持シリカ化合物粒子と菌の直接的接触による抗菌作用によるものであること、言い換えれば、接触がなければ効果を奏さないこと(https://www.zeomic.co.jp/product/zeomic/documents/plastic.pdf)から、これまでのポリマーにおける使用においては直接病原体と接触させる面を増やす努力がなされていたが、本発明のポリマーにおいては金属担持ゼオライトの形式でポリマー内を移動すると考えられるため、接触面を増やす努力は不要であり、その含有量は0.01~5質量%、より好ましくは0.1~3質量%と低く抑えても有効に作用するため、かかる成分の添加により成形性を阻害することを避けることができる。
【0016】
本発明のポリマーは環状糖を含有することを特徴とする。かかる環状糖としては、例えば、シクロデキストリンが好ましく例示でき、中でも、β―シクロデキストリンが好ましく例示できる。かかる環状糖は、ただ一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。これらの好ましい含有量は総量で、0.01~5質量%が好ましく、更に好ましくは、0.05~3質量%である。かかる成分は前記ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる非イオン界面活性剤とともにポリマー基体を、金属を担持しても良いゼオライト中の担持された金属イオンが、担持されたのと同じ電子状態で移動する事ができる構造にせしめる作用を有する。このような構造を構築するため、本発明のポリマーは病原体除染に有効な金属イオンを水性溶媒中に持続的。かつ連続的に放出させることができる。ここで連続的とは、表面のみならずポリマー内部からも移動するために起こる現象を意味する。
【0017】
本発明の樹脂は、上記成分に加えて、通常樹脂に含有される任意の成分を含有することができる。このような成分としては、紫外線吸収剤、着色剤、抗酸化剤、可塑剤、殺虫剤などが好ましく例示できる。本発明の樹脂は、前記必須の成分と任意の成分を常法に従って処理することにより、加工のための樹脂とすることができる。例えば、単軸押出機とペレッタイザーを組み合わせ、単軸押出機にすべての成分を仕込み、混合溶融し、押し出して、切断しペレットの形にすることなどが好ましく例示できる。得られたペレットを溶融紡糸すれば繊維に加工できるし、金型を用いてブロー成形すれば、任意の形状の部品に加工することができる。マスターペレットを製造し、樹脂ペレットで希釈し、然る後に加工することも可能である。
【0018】
本発明の繊維は、前記樹脂を紡糸することにより製造できるし、紡糸した繊維を撚糸して製造しても良い。除染成分である金属で担持されていても良いシリカ化合物の放出率の異なる繊維を撚糸することにより、金属担持シリカ化合物の放出率と放出持続時間を調整することもできる。
【0019】
斯くして得られた繊維は、編んだり、紡績したりすることにより、網や布に加工することができる。このような繊維、網、布は除染作用を有する成分を持続的に、かつ、長時間放出するため感染症対策、微生物汚染予防に有用である。このような加工物としては、例えば、フィルムに加工して果実をカビより守る防カビシート、エアコンディショナー用フィルターに加工して、室内の病原体を除去するフィルターなどが好ましく例示できる。
【0020】
以下に、実施例を挙げて、さらに詳細に本発明について説明を加える。
【実施例0021】
以下に示す処方に従って処方成分を混合し、180℃で加熱、混練した後、ペレッタイザーで処理し、本発明の樹脂ペレットを得た。
【0022】
【表1】
【実施例0023】
実施例1で作成したペレットを用いて、除染作用評価のためのサンプルを表2に記載した方法で作成した。ここで、除染という言葉であるが、すでに存在する病原体等の微生物、ウイルスを積極的に殺菌、不活化し、周囲の微生物、ウイルスを排除すること意味し、新たに飛来した病原菌、ウイルスを殺菌、不活化すること、言い換えれば汚染防止とは分けて用いる。言い換えれば、従来はゼオミックは汚染防止には用いられていたが、除染には用いられていなかったと言える。
【0024】
【表2】
【0025】
サンプル1~6の除染作用を鑑別するために、日水株式会社製サブロー寒天培地に、イースト100mgを200mlの水で溶き、不織布で不溶物を除去した菌液を用意し、6枚のプレートにそれぞれ200μlの菌液を播種し、室温で24時間培養し、濁りが生じているのを確認した上でサンプルを加え24時間室温で培養した。24時間後培地の濁りを肉眼判定した。これらの写真は図1~5にしめす。また、イオン性の成分の溶出を判定するため、スマートフォンの上空10cmにERICKHILL電磁波計を置き、この間にプレートをおいた場合の電磁波m/V値を計測した。結果を表3に示す。これより、サンプル1から5は優れた除染効果を示し、それが本発明より溶出された銀イオン複合体によるものであることがわかる。また、樹脂より除染作用を有する銀イオン複合体が継続的に放出されていることもわかる。また、樹脂内部よりかかる銀イオン複合体が移動していることもわかる。
【0026】
【表3】
【実施例0027】
実施例1のペレットを加圧延展し2mmのフィルムを作成した。このものは果物の保存性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、除染フィルターなどの除染材料に応用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5