(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169246
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】アスベスト捕集装置
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20241128BHJP
B25D 17/14 20060101ALI20241128BHJP
B28D 1/14 20060101ALI20241128BHJP
B28D 7/02 20060101ALI20241128BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E04G23/02 Z
B25D17/14
B28D1/14
B28D7/02
E04G21/16
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023095092
(22)【出願日】2023-05-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】523210906
【氏名又は名称】株式会社ディ.エス.エス
(72)【発明者】
【氏名】久我 敏則
【テーマコード(参考)】
2D058
2E174
2E176
3C069
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058DA23
2E174AA03
2E176AA01
2E176BB21
2E176BB36
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB01
3C069BC01
3C069CA07
3C069DA05
3C069DA06
3C069DA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】アスベストを含むコンクリート塗装面の有害な物質を飛散させることなく、密閉性の高いアスベストの捕集装置で、アスベスト被膜コンクリート1に削孔作業を施すことを可能にするアスベスト捕集装置を提供する。
【解決手段】本発明のアスベストの捕集装置は、削孔機のドリルの周囲に装着され、穿孔の際に飛散するアスベストを捕集するアスベスト捕集装置であって、 前記ドリルの先端側に装着される第1円筒と、当該第1円筒の先端にもう一つの小さめな突起の第2円筒を形成したアスベスト捕集部と、該アスベスト捕集部の基端側に設けられ、前記アスベスト補集部を前記ドリルの先端方向に押圧する付勢手段と前記アスベスト補集部の第1円筒より小さめな前記第2円筒の外周を覆うように装着され、柔軟性を有し、水含有可能な第1水含有可能部材を備え、前記アスベスト補集部の前記第1水含有可能部材が覆う部位には、複数の孔が形成されていることを特徴とするアスベスト捕集装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔機のドリルの周囲に装着され、穿孔の際に飛散するアスベストを捕集するアスベスト捕集装置であって、
前記ドリルの先端側に装着される第1円筒と、当該第1円筒の先端にもう一つの小さめな突起の第2円筒を形成したアスベスト捕集部と、
該アスベスト捕集部の基端側に設けられ、前記アスベスト補集部を前記ドリルの先端方向に押圧する付勢手段と
前記アスベスト補集部の第1円筒より小さめな前記第2円筒の外周を覆うように装着され、柔軟性を有し、水含有可能な第1水含有可能部材を備え、
前記アスベスト補集部の前記第1水含有可能部材が覆う部位には、複数の孔が形成されていることを特徴とするアスベスト捕集装置。
【請求項2】
前記アスベスト補集部内には、柔軟性を有し、水含有可能な第2水含有可能部材が複数配置されていることを特徴とする請求項1記載のアスベスト捕集装置。
【請求項3】
前記アスベスト補集部は、着脱性を有し、両端部に蓋状の密封可能部材が配置され、前記アスベスト補集部と前記密封可能部材とからなる補集部材カセットとして廃棄処分することを特徴とする請求項1又は、2記載のアスベスト捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベスト塗装材により、塗膜されたコンクリートに、あと施工アンカーピン打設等の作業を施すのに用いるアスベスト捕集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から建物改修工事などにおけるコンクリートは、
図1のように内装材や照明器具や機械固定に取り付けるためのあと施工アンカーピンを打ち込むことが多い。
図1のa.b.Cは、基本的な金属系アンカーピンの種類を示している。
一般に使用されている金属系アンカーピンは、その周壁先端から軸線方向に複数のスリット(切り込み)を設けた金属製の筒体と、その筒体の先端に突出させて装着したテーパー状の楔体を有している。
図2の施工方法に示すように、
このようなアンカーピンをコンクリート等に打ち込むには、予め先端にドリルキリを取り付けたドリル装置で、回転と振動打撃で打設孔を穿孔し(a工程)、続いてその打設孔の中に楔体を先にして筒体(アンカーピン)を挿入し(b工程)、振動打撃を伝える打込軸を先端に取り付けたアンカー打込装置やハンマー等でその筒体の底部を振動打撃するなどの方法がとられる(C工程)。これにより、楔体が打設孔の底面からの押圧力で筒体内に押し込まれて、筒体の周壁が拡開し、アンカーピンが打設孔内に固定され取り付け金具をナットで締め付ける方法である(d工程)。
前述a工程に示すように、アンカーピンを穿孔する際には、打設孔から削孔キリ粉が発生する。また、キリ粉は、キリ径φ12.5mm穿孔長50mmの場合、削孔時間約15秒において、温度約20℃で約15gのキリ粉が排出される。
【0003】
例えば、特許文献1においてのアスベスト除去具は、伸縮部材と、前記伸縮部材の一端に装着された支持部材と、前記支持部材に少なくとも一部が支持される枠体と、前記枠体に固着された押付部材と、手袋付きビニール袋と、を備え、前記押付部材の上に前記手袋付きビニール袋が被せられ、前記伸縮部材の長さを調節することで、前記押付部材により前記手袋付きビニール袋を作業対象面に押し付けることで密閉された作業空間を構築するアスベスト除去具が開示されている。
【0004】
また、文献2においては、アスベスト等の有害な物質を含む吹付け材を飛散させることなく除去しつつ、天井懐のコンクリートスラブに作業を施すことを可能にする天井作業装置を提供する装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3では、吹付け施工されたアスベスト層に水を散布して湿潤化させた後に、この湿潤化されたアスベスト層に冷媒を吹付けて凍結させ、該凍結させたアスベスト層を剥離して除去する、アスベスト層の除去方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実登3217245
【特許文献2】特開2008-013959
【特許文献3】特開2007-205127
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近時、建物の耐火被覆、吸音、防音材料等として従来使用されていた吹付けアスベスト等の有害性が問題となっており、アスベストの使用が厳しく規制され、アスベストに代わるロックウール等の吹付け材が施工されるようになっている。しかしながら、かかる規制を受ける前(2006年9月まで)に施工された吹付けアスベストは経年劣化によって、その粉塵が飛散し、アスベストの除去等の各種作業を行うにあたり、十分な対策をとることが求められている(アスベスト飛散防止対策)。
そこで、前記のようなあと施工アンカーピンを打設するコンクリートにおいてアスベストを含有する吹付け材が使用されている場合には、その対策が必要とされている。
【0008】
このような場合、特許文献1.2.3の作業方法では、作業場所の隔離や飛散防止対策、また、高濃度の粉塵量に応じた防塵マスク及び保護衣等を適切に使用して所定の暴露防止対策を行ったうえで、アスベスト被膜コンクリート1への大掛かりな装置で作業を行わなければならない。
そこで、アスベストを含有する建材を使用した建物等の解体等作業の増加が今後予想されることから制定された「石綿障害予防規則」において、アスベスト曝露防止対策として作業範囲をピンポイントに限定し効率的且つ安価で作業時間短縮の対処方法が求められている。
【0009】
本発明は、上記のような事情にかんがみてなされたものであり、石綿障害予防規則におけるアスベスト等の有害な物質を含む吹付け塗布材を、ドリルの先端側に装着される第1円筒と、当該第1円筒の先端にもう一つ小さめな突起の第2円筒を形成した円筒収納筒内で汚泥化し負圧隔離や特殊フィルターを使用することもなくアスベスト飛散を防ぎまた、ピンポイントでアスベスト被膜コンクリート1に削孔し作業を施すことを可能にする装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
図3の施工前のアスベスト捕集装置断面図に示すように、上記の目的を達成するため、アスベストの吹付け材により被覆されたアスベスト被膜コンクリート1に対し、ドリルの先端側に装着される第1円筒と、当該第1円筒の先端にもう1つの小さめな突起の第2円筒を形成した汚泥収納筒2は、筒先方外周部2bに水分を含ませるスポンジカバー3を具し また、水分を浸透させるための浸透孔2dが施されさらに、水分を含ませた吸水スポンジ片3bを筒内部2Cに内蔵し汚泥収納筒2を収納筒鞘管4で嵌合して弾性バネ5で押圧し、アスベスト被膜コンクリート1の削孔範囲をスポンジカバー先端部3aでピンポイントで包囲し、水分を含ませたスポンジカバーにて湿潤化して、アスベスト含有キリ粉を筒内部2Cに汚泥化し捕集することを特徴としている。
【0011】
また、
図3に示すように本発明の汚泥収納筒2は、
筒内部2Cにキリ粉の流出防止措置として逆流防止鍔2hを具し、吸水スポンジ片3bを内蔵し、筒後方部2eは、収納筒鞘管4に嵌合しカートリッジとなっている。
【0012】
図7は、別実施例で示すように、汚泥収納筒2においてキャップ2xを有し削孔後アスベスト含有キリ粉をカートリッジ内で密封し簡易な廃棄処分を可能とした汚泥収納筒2である。
また、a.bは、多様な形態の汚泥収納筒2を示している。
【0013】
前述の形態により、削孔ドリル11の回転・打撃・振動の動力において削孔し20℃で排出されるキリ粉を水を含ませたスポンジカバー3を押圧することにより、水分が浸透穴2dを通りキリ粉を筒内部2Cにて汚泥化させる。
また、筒内部2Cにおける水を含ませた吸水スポンジ片3bにて、よりいっそう効果的に削孔キリ粉を汚泥化し、キリ粉を筒内部2Cに捕集することできる構造である。
【0014】
また、
図6のe.fに示すように、筒内部2Cで捕集した汚泥キリ粉は、最寄りの水を貯めた専用の廃棄物処分袋内で洗浄して廃棄処分するか
もしくは、汚泥を捕集した汚泥収納筒2をカートリッジとし一緒に廃棄処分することができ装置本体外へのアスベストの飛散防止を条例に基づいて安全に処置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
図4の施工中のアスベスト捕集装置断面図において
削孔キリ10は、汚泥収納筒2の筒内部2Cに挿通されて、汚泥収納筒2の筒後方外周部2eに嵌合した収納筒鞘管4を介した弾性バネ5において、スポンジカバー先端部3aとアスベスト被膜コンクリート1を汚泥収納筒2の筒先端部2aで押圧しアスベスト被膜コンクリート1とスポンジカバー先端部3aを同時に削孔している図を示している。アスベスト被膜コンクリート1におけるアンカーピンの削孔動力手段は、回転数1,100回転/分と振動打撃16,500打撃/分削孔径12.5mm削孔深さ50mm削孔時間15秒において削孔すると削孔キリからは、熱約20℃を帯びた15gのキリ粉を排出する。その結果、水を含ませたスポンジカバー3を押圧することにより
汚泥収納筒2の筒先方外周部2bに数個の浸透孔2dが施されているため
水を含ませたスポンジカバー3から浸透孔2dを通じて水分が筒内部2Cに浸透する。さらに、筒内部2Cにおいて柔軟性を有し水を含有させた吸水スポンジ片3aを複数個内蔵することにより削孔キリ粉を確実に汚泥化し筒内部2Cに集納することができる。その結果、アスベスト被膜コンクリート1に対する削孔作業をピンポイントで
削孔可能にするとともに、アスベストキリ粉を汚泥化し装置本体外へのアスベストの飛散防止を確実に処置することを特徴としている。
また、前記の構成により、作業の影響範囲を局部的なものにとどめて、大がかりな養生設備等を不要とし、時間短縮と経費削減を可能にしたものである。
【0016】
これにより、アスベスト被膜材を含む粉塵を確実に集納して汚泥化し、高性能フィルターに依存することなく、外部に漏れることを防ぎ回収することが可能である。
また、回収し汚泥化したアスベスト含有キリ粉やスポンジカバー3は、最寄りの廃棄物処分袋に水を貯めたバケツ中で洗浄
図6のe汚泥収納筒2や汚水とともに回収するfか、もしくは、
図7に示すように捕集部は、着脱性を有し両端部にキャップ2xを施し密封可能な汚泥収納筒2をカートリッジ化とし、単独で非飛散性アスベスト廃棄物として取り扱い廃棄処分することを可能にしたものである。また、スポンジカバー3は廃棄物処分袋に入れて回収する。
【0017】
また、本装置において前記作業手段は、コンクリートにアンカーピンの打設孔を穿孔するコンクリートドリルであることを特徴としているが、事前調査で行うアスベストの採取手段としての装置としても可能である。
また、この作業手段は、コンクリートに穿設されたアンカーピンの打設孔においてのキリ粉や粉塵飛散の防止装置であってコンクリートキリ口径の変化において汚泥化収納筒の種類に対応した汎用性がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】 a.b.Cは、アンカーピンの種類である。
【
図3】 アスベスト捕集装置の構造を示す施工前断面図である。
【
図4】 アスベスト捕集装置の構造を示す施工中断面図である。
【
図5】 アスベスト捕集装置の機械的スライド図である。
【
図6】 アスベスト捕集装置における作業工程である。
【
図7】 アスベスト捕集装置の収納筒のカートリッジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明について詳述する
図5例示の形態において、
アスベスト捕集部となる汚泥収納筒2は、第1円筒体の先端に突出させたもう一つの小さめな第2円筒が形成されており、小さめな第2円筒の筒先方外周部2bには、小径数個の浸透孔2dが形成されている。また、この汚泥収納筒2の筒先方外周部2bは、水を含有させるスポンジカバー3を具した構造となりまた、筒内部2Cには、捕集したキリ粉汚泥が逆流しないように逆流防止鍔2hを具し また、柔軟性を有し含水された吸水スポンジ片3bを複数個内蔵し また、筒後方部2eは、汚泥収納筒2を嵌合する収納筒鞘管4を配置し また、その収納筒鞘管4の鞘管後方部4bの内部にオイルシール2fとベアリング8を嵌合し弾性バネ5で押圧する付勢手段である。
【0020】
また、汚泥収納筒2は、筒先端部2aが開放されてスポンジカバー先端3aを押圧する鍔2gを具している。
また、筒後方端部2iは、収納筒鞘管4の鞘管中央内部4Cで鞘管後方部4bの内径を小さくして段差を設け中央で係留する形態としている。
【0021】
また、収納筒鞘管4の鞘管前方部4aの内径は、汚泥収納筒2の筒後方部2eの外径より大きく汚泥収納筒2が嵌合できる形態としている。
【0022】
また、オイルシール2fは、汚泥の排出スラッジの侵入を阻止するため 外径は、鞘管後方部4bの内径より小さく また、内径は、削孔キリ10より大きく また、削孔キリ10の歯が抜け落ちない内径として、オイルシール2fを鞘管後方部4bの内部に嵌合している。
【0023】
また、汚泥収納筒2は、単独のカートリッジの形態をなしておりカートリッジの材料は、成型し易いプラスチック製品のポリエチレンテレフタレートや丈夫な紙類が好ましく形は、作業用途に応じた容器が望ましい。
【0024】
また、アスベスト捕集部をドリルの先端方向に押圧する弾性バネ5は、汚泥収納筒2の筒先端部鍔2gを介してスポンジカバー先端部3aをアスベスト被膜コンクリート1に押し当てる作用を有し、収納筒鞘管4の鞘管後方部4bの内部に嵌合され ベアリング8と座金6の間に係止しドリル機器11の先端部で押圧弾性ゴム9を介して弾性バネ5を押圧している。
また、弾性バネ5の回転をスムーズにするビアリング8が収納筒鞘管4の後方内部4bに嵌合している。これにより弾性バネ5が収納筒鞘管4と供回りしないようにスムーズに駆動できるようになされている。
【0025】
また、アスベスト捕集部の第1円筒より小さめな第2円筒の外周を覆うスポンジカバー3は、吸水性が良く取替え可能とした形態で、削孔前は、スポンジカバー先端部3aが汚泥収納筒2の筒先端部2aを覆い収納筒2から給水スポンジ片3aや水分が漏れ出ない形態としスポンジカバーに水を含ませた後、押圧しキリ10でスポンジカバー先端部3aを削りその後アスベスト被膜コンクリート1を削孔する。また、アスベスト被膜コンクリート1の試料採取の場合は、スポンジカバー先端部3aを開放して削孔することができる。また、削孔を開始するにあたり、柔らかく強度のあるスポンジで、削孔からキリ粉が流出しないようにした形態であることが望ましい。また、筒内部2Cの吸水スポンジ片3aは、吸水性があり汚泥化を妨げない大きさで複数個にすることが望ましい。
【0026】
図3において削孔キリ10は、外力によって軸芯方向前方へ押さえられて回転、打撃、振動運動し、それに伴って弾性バネ5が 前方に収縮し筒先端部鍔2gでスポンジカバー先端部3aを押圧しアスベスト被膜コンクリート表面1に押し当てる。
スポンジカバー先端部3aを削りその後、アスベスト被膜コンクリート1が削孔開始されると、アスベスト含有の削孔キリ粉が、スポンジカバー3に含有された水分と給水スポンジ片3bにより、筒内部2Cで汚泥化され捕集される。
また、この外力が解除されると汚泥収納筒2は弾性バネ4の緩伸により伸張して弾性バネ部材の長さが復元される形態となっている。
【0027】
図7に示すように、アスベスト捕集部である汚泥収納筒2の容器形態は、アスベスト被膜コンクリートに作業を施すことが可能なキリ径の範囲をスポンジカバー3で区画し、作業に必要なキリ粉の排出質量の3倍以上の質量を確保できる形の汚泥収納筒2であることが好ましい。
【0028】
また、削孔ドリル11の動力である回転・打撃・振動の影響で、弾性バネ4が摺動するので、スポンジカバー3は、弾性を有するゴム材や、多孔質スポンジ等が好ましくまた、常時取替え可能とすることが好ましい。
【0029】
図3における削孔キリ10には、キリ先径が12.5mmのものが使用されており、この先端部が、汚泥収納筒2に挿通されており削孔ドリル11の基端部には、適宜の駆動手段が備えられている。駆動手段には、例えば、適宜のモータ等が好ましく、電動ドリルのドリルをコンクリートドリルに差し替えて用いてもよい。なお、削孔キリ10のキリ先径は、アンカーピンを打ち込んで吊り下げようとする機器によって適宜選択されるものであり、12.5mmに限らず、汚泥収納筒2と収納鞘管4の口径を変え どのような径のキリ先を有する削孔キリ10を用いてもよい。
【0030】
また、削孔ドリル11のキリ10が挿通した弾性バネ5の周囲部には、筒状の伸縮自在の安全カバー7を備えることにより削孔ドリル11の駆動に伴う弾性バネ5における衝撃や振動を緩和し手を保護する。
【0031】
次に、アスベスト捕集装置における削孔キリ10を 削孔ドリル11に装填する順序を説明する。
削孔キリ10は、ワンタッチで固定されるSDSプラスシャンクに対応したものに限定され削孔キリ10の固定される軸後方端を収納筒鞘管4→オイルシール2f→ベアリング8→弾性バネ5→弾性バネ固定座金6→押圧弾性ゴム9と挿入し削孔ドリル11へ装着する。次に、削孔キリ10の歯先方端を汚泥収納筒2→スポンジカバー先端部3aへと挿入する。
【0032】
このように、本願発明のアスベスト捕集装置は、作業手段として、アスベストキリ粉の汚泥収納筒2を備えることで、ピンポイントでアスベスト被膜コンクリート1を削孔でき、削孔時に発生するアスベストを含んだキリ粉塵を飛散させることなく汚泥化し回収することが可能となる。
【0033】
次に、
図6におけるアスベスト捕集装置によって行う作業の施工方法について説明する。
a 事前に、容器12にアスベスト専用廃棄袋13を受け入れ その中に水を貯めて準備しておき アスベスト被膜コンクリート1に対し、施工前の調査等に基づいてアンカーピンの打設位置の確認を行い、アスベスト被膜コンクリート1に墨出しを行ったのち、水分をスポンジカバー3に含ませる。
b 削孔キリ10を挿通した汚泥収納筒2をアスベスト被膜コンクリート1に押し当て削孔準備をする。
C 削孔を開始する。
d アスベスト含有キリ粉を収納筒内部2Cで汚泥化させる。
e 適正削孔長まで削孔を完了したら汚泥収納筒2をアスベスト被膜コンクリート1から引き抜き水を入れたアスベスト専用廃棄袋13内でアスベストキリ粉汚泥や汚泥収納筒3を洗浄する。また、作業途中で一度引き抜きスポンジカバー3や汚泥収納筒2を洗浄するとより良い効果がある。
以上の施工手順に基づいて作業を繰り返し
f 作業完了後、アスベスト専用廃棄袋の口元を結束バンドで封止して所定の場所に格納する。
【符号の説明】
【0034】
1 アスベスト被膜コンクリート
2 汚泥収納筒
2a 筒先端部
2g筒先端部鍔
2b 筒先方外周部
2c 筒内部
2d 浸透孔
2e 筒後方外周部
2f オイルシール
2h 逆流防止鍔
2i筒後端部
2x キャップ
3 スポンジカバー
3aスポンジカバー先端部
3b給水スポンジ片
4 収納筒鞘管
4a 鞘管前方部
4b 鞘管後方部
4c 鞘管中央内部
5 弾性バネ
6 弾性バネ固定座金
7 安全カバー
8 ベアリング
9 押圧弾性ゴム
10 削孔キリ
11 削孔ドリル
12 容器
13 アスベスト専用廃棄袋
14 削孔穴
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔機ドリルの周囲に装着され、穿孔の際に飛散するアスベストを捕集するアスベスト捕集装置であって、
前記ドリルの先端側に装着される第1円筒と、当該第1円筒の先端にもう一つの小さめな突起の第2円筒を形成したアスベスト捕集部と、
該アスベスト捕集部の基端側に設けられ、前記アスベスト捕集部を前記ドリルの先端方向に押圧する付勢手段と
前記アスベスト捕集部の第1円筒より小さめな前記第2円筒の外周を覆うように装着され、柔軟性を有し、水含有可能な第1水含有可能部材を備え、
前記アスベスト捕集部の前記第1水含有可能部材が覆う部位には、複数の孔が形成されていることを特徴とするアスベスト捕集装置。
【請求項2】
前記アスベスト捕集部内には、柔軟性を有し、水含有可能な第2水含有可能部材が複数配置されていることを特徴とする請求項1記載のアスベスト捕集装置。
【請求項3】
前記アスベスト捕集部は、削孔機のドリルに対して着脱性を有し、
両端部に蓋状の密封可能部材が配置され、前記アスベスト捕集部と前記密封可能部材とからなる捕集部材カセットとして廃棄処分することを特徴とする請求項1又は、2記載のアスベスト捕集装置。