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特開2024-169250打錠障害を改善したシタグリプチンリン酸塩無水物を含む医薬組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169250
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】打錠障害を改善したシタグリプチンリン酸塩無水物を含む医薬組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20241128BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241128BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61P3/10
A61K9/20
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023095890
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長島 彰太
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD29
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD47
4C076EE32
4C076GG12
4C076GG14
4C086AA01
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA10
4C086ZC35
(57)【要約】
【課題】 打錠障害を改善したシタグリプチンリン酸塩無水物を含む医薬組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 シタグリプチンリン酸塩無水物並びに1つ又は複数の添加剤を含む混合物を造粒する工程であって、造粒の方式が溶融造粒法であることを特徴とし、得られた造粒物に添加剤を混合する工程、得られた混合物に対し圧縮成形し、素錠を得る工程を含む、医薬品組成物の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シタグリプチンリン酸塩無水物並びに1つ又は複数の添加剤を含む混合物を造粒する工程であって、造粒の方式が溶融造粒法であることを特徴とし、
得られた造粒物に添加剤を混合する工程、
得られた混合物に対し圧縮成形し、素錠を得る工程
を含む、医薬品組成物の製造方法。
【請求項2】
シタグリプチンリン酸塩無水物並びに1つ又は複数の添加剤を含む混合物を造粒する工程であって、造粒の方式が流動層造粒法であることを特徴とし、
得られた造粒物に添加剤を混合する工程、
得られた混合物に対し、滑沢剤を他の成分と混合することなく、圧縮成型機の杵の表面及び臼の壁面にあらかじめ塗布し、外部滑沢法により圧縮成形し、素錠を得る工程
を含む、医薬品組成物の製造方法。
【請求項3】
添加剤の1つが低融点物質であり、造粒物は溶融造粒法によって製造される請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
低融点物質がモノステアリン酸グリセリンである、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
医薬組成物が錠剤である、請求項1~2のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打錠障害を改善したシタグリプチンリン酸塩無水物を含む医薬組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シタグリプチンは、化学名(2R)-4-オキソ-4-[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-アミンであり、シタグリプチンリン酸塩水和物を有効成分とする錠剤は、糖尿病用剤であることが知られており、ジャヌビア(登録商標)錠12.5mg/25mg/50mg/100mgあるいはグラクティブ(登録商標)錠12.5mg/25mg/50mg/100mgとして販売されている(非特許文献1、2)。
【0003】
効能・効果は「2型糖尿病」であり、用法・用量は、通常、成人には、シタグリプチンとして50mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg 1日1回まで増量することができる、という薬剤である。
【0004】
現在、シタグリプチンリン酸塩水和物は錠剤の剤形で日本国内の医療現場に提供されている。シタグリプチン又は其の塩を含有する製剤の処方や製造方法については、以下の特許文献1~3において開示されているが、開示している文献数が乏しいのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007-504230号公報
【特許文献2】特開2019-172672号公報
【特許文献3】特開2020-121950号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】添付文書「ジャヌビア錠12.5mg/25mg/50mg/100mg/」、2020年3月改訂(第2版)
【非特許文献2】添付文書「グラクティブ錠12.5mg/25mg/50mg/100mg/」、2020年3月改訂(第2版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、打錠障害を改善したシタグリプチンリン酸塩無水物を含む医薬組成物の製造方法の提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、シタグリプチンリン酸塩無水物と1つ又は複数の添加剤を含む固形製剤用医薬組成物であって、混合物を溶融造粒法で製造することで、打錠障害が解消されることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、シタグリプチンリン酸塩無水物を含む固形製剤用医薬組成物であって、混合物を流動層造粒法で製造し、外部滑沢法を用いて打錠することで、打錠障害が解消されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)シタグリプチンリン酸塩無水物並びに1つ又は複数の添加剤を含む混合物を造粒する工程であって、造粒の方式が溶融造粒法であることを特徴とし、
得られた造粒物に添加剤を混合する工程、
得られた混合物に対し圧縮成形し、素錠を得る工程
を含む、医薬品組成物の製造方法、
(2)シタグリプチンリン酸塩無水物並びに1つ又は複数の添加剤を含む混合物を造粒する工程であって、造粒の方式が流動層造粒法であることを特徴とし、
得られた造粒物に添加剤を混合する工程、
得られた造粒物に対し、滑沢剤を他の成分と混合することなく、圧縮成型機の杵の表面及び臼の壁面にあらかじめ塗布し、外部滑沢法により圧縮成形し、素錠を得る工程
を含む、医薬品組成物の製造方法、
(3)添加剤の1つが低融点物質であり、造粒物は溶融造粒法によって製造される前記(1)に記載の製造方法、
(4)低融点物質がモノステアリン酸グリセリンである、前記(3)に記載の製造方法、
(5)医薬組成物が錠剤である、前記(1)~(2)のいずれかに記載の製造方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、良好な打錠適性を示し、打錠障害を改善したシタグリプチンリン酸塩無水物を含む医薬組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における「打錠障害」とは、例えば、スティッキングが挙げられる。
【0012】
スティッキングとは、医薬組成物を圧縮成形し、錠剤化する工程において、錠剤表面の一部が剥がれて、杵に付着する現象である。
【0013】
本発明における「打錠障害の改善」とは、例えばスティッキングによる錠剤表面のツヤや杵の圧縮成形部表面に付着及びくもりがないことである。打錠障害の発生については、例えば、錠剤外観及び杵の目視検査で評価する。
【0014】
本明細書におけるD90とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その90%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0015】
本明細書におけるD50とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その50%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0016】
本明細書におけるD10とは、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径をいう。原理的には、一定体積の粒子を小さいものから順に篩分けし、その10%体積に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
【0017】
以下に、本発明の打錠障害を改善したシタグリプチンリン酸塩無水物を含む医薬組成物の製造方法に関して説明する。
【0018】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物は、例えば、特許3762407号に記載された方法に従って製造され得る。
【0019】
医薬組成物中のシタグリプチンの配合量は、医薬品製剤としての用量を構成する製剤中のシタグリプチン量であれば、特に制限されない。例えば、医薬組成物全量あたり、ある態様として2~60重量%であり、ある態様として5~50重量%であり、ある態様として10~40重量%である。
【0020】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物のD90は、製造適性の観点から、ある態様として1μm以上200μm以下であり、ある態様として5μm以上150μm以下であり、ある態様として10μm以上100μm以下である。
【0021】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物のD50は、製造適性の観点から、ある態様として0.5μm以上150μm以下であり、ある態様として1μm以上100μm以下であり、ある態様として5μm以上50μm以下である。
【0022】
本発明に用いられるシタグリプチンリン酸塩無水物のD10は、製造適性の観点から、ある態様として0.1μm以上100μm以下であり、ある態様として0.2μm以上50μm以下であり、ある態様として0.5μm以上25μm以下である。
【0023】
本発明に用いられる溶融造粒法は、薬物、低融点物質、必要に応じて他の添加剤を混合し、高温で溶融させることで造粒物を得ることができる。低融点物質は、融点が低く、融解する際に粉体を付着させる機能を持つ添加剤であれば、特に制限されない。
【0024】
本発明に用いられる低融点物質としては、製薬学的に許容されるものであれば特に制限されない。特性的には、本発明に用いられる低融点物質としては、融点の上限値としては、ある態様として80℃以下、ある態様として75℃以下、ある態様として70℃以下である。下限値としては、40℃以上であり、それぞれの態様の下限値として規定することができる。具体的には、例えば、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ポリエチレングリコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、1種または2種以上の物質を含む。ある態様として、モノステアリン酸グリセリンである。
【0025】
本発明に用いられる流動層造粒法は、薬物、必要に応じて他の添加剤を混合し、結合剤を含む造粒液(水溶液)もしくは水を噴霧することで造粒物を得ることができる。
【0026】
本発明に用いられる外部滑沢法は、医薬組成物を圧縮成形する際に滑沢剤を他の成分と混合することなく、圧縮成型機の杵の表面及び臼の壁面にあらかじめ塗布し、圧縮成形することで錠剤を得ることができる。外部滑沢法は、滑沢剤を圧縮成型機の杵の表面及び臼の壁面にあらかじめ塗布する機構を持つ外部滑沢装置を使用する。
【0027】
外部滑沢法で用いられる滑沢剤としては、製薬学的に許容されるものであれば特に制限されない。具体的には、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上の添加剤を包含する。ある態様として、ステアリン酸マグネシウム及び/又はフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0028】
本発明の医薬組成物には、必要に応じて、医薬品添加物を配合することができる。具体的には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、流動化剤、コーティング剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤等が挙げられる。滑沢剤については、外部滑沢法で用いられる滑沢剤を外部滑沢法以外でも必要に応じて配合できる。
【0029】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、トレハロース、無水リン酸水素カルシウム、D-ソルビトール、乳糖、白糖、デンプン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン等が挙げられる。
【0030】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルファ化デンプン、等が挙げられる。
【0031】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0032】
滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0033】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0034】
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、タルク等が挙げられる。
【0035】
コーティング剤としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0036】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0037】
発泡剤としては、例えば、重層等が挙げられる。
【0038】
甘味剤としては、例えば、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0039】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等が挙げられる。
【0040】
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号等が挙げられる。
【0041】
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸又はその塩類、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0042】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0043】
配合量は、本発明の所望の効果の達成に影響を与えない量であれば特に制限されない。
【0044】
本発明の医薬組成物は、錠剤を含む。錠剤には、素錠及びフィルムコーティング錠を含む。錠剤は、口腔内崩壊性錠剤であってもよい。本発明の医薬組成物は、所定の方法で得た造粒物を用い、通常の錠剤製造方法により製造することが可能である。より具体的には、例えば、シタグリプチンリン酸塩無水物、賦形剤を流動層造粒乾燥機に投入して、流動させながら加熱し、結合剤を水に溶解させた溶液を所定量噴霧し、乾燥を行い造粒物を得る。シタグリプチンリン酸塩無水物、賦形剤及び結合剤を流動層造粒乾燥機に投入して、流動させながら加熱し、精製水を所定量噴霧し、乾燥を行い造粒物を得ることもできる。造粒物を整粒機で整粒し、得られる整粒物に、崩壊剤、滑沢剤、必要に応じてその他の添加剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。得られた打錠用末を外部滑沢装置を用いて滑沢剤を噴霧しながら打錠機で製錠し、素錠を得る。
【0045】
またある態様では、シタグリプチンリン酸塩無水物、低融点物質、必要に応じてその他の添加剤を流動層造粒乾燥機に投入して、流動させながら加熱し、低融点物質を溶融させ、低融点物質の融点以上に達してから、十分量造粒させて造粒物を得る。造粒物を整粒機で整粒し、得られる整粒物に、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、必要に応じてその他の添加剤を添加し、混合することで打錠用末が得られる。得られた打錠用末を打錠機で製錠し、素錠を得る。製錠の際に、外部滑沢装置を用いて滑沢剤を噴霧しながら打錠してもよい。
【0046】
必要に応じて、素錠にフィルムコーティング液を噴霧し、フィルムコーティングを行う。
【実施例0047】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
実施例1~2、比較例1~3の医薬組成物(錠剤)を以下の通り製造した。各検体における製剤処方を表1及び表2に示す。
【実施例0049】
シタグリプチンリン酸塩無水物155.1g、D-マンニトール(ロケットジャパン(株)製;ペアリトール(登録商標)50C)189.9g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株)製;LH-21)42.5gを流動層造粒機((株)パウレック製;MP-01)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製;HPC-L)12.5gを水250gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、造粒物を得た。造粒物を目開き710μmの篩で篩過して整粒物を得た。整粒物320g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学工業(株)製;ND-200)10g、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS PHARMA製;PRUV(登録商標))10gを混合して調製した打錠用末を、ロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)及び外部滑沢装置(菊水製作所製;ELS-P1)を用いてステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製:ステアリン酸マグネシウム(植物性))を臼杵表面に噴霧しながら打錠し、錠剤質量85mg、9.0×3.7mmの異形の錠剤を得た。
【実施例0050】
シタグリプチンリン酸塩無水物155.1g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業(株)製;アドソリダー(登録商標)101)0.9g、モノステアリン酸グリセリン(理研ビタミン(株)製;リケマール(登録商標) S-100P)15.5gを流動層造粒機((株)パウレック製;MP-01)に投入し、給気温度90℃設定にて流動させながら加熱し、モノステアリン酸グリセリンを溶融させ、造粒した。造粒後十分に冷却し、造粒品を得た。この造粒品を目開き100μmのメッシュスクリーンをセットした整粒機((株)ダルトン製;P-04S)で整粒し、整粒品を得た。整粒品68.6g、D-マンニトール(メルク(株)製;パーテック(登録商標)M100)59g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株)製;LH-11)25.6g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学工業(株)製;ND-200)5g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製;HPC-SSL-SFP)6.8g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業(株)製;アドソリダー(登録商標)101)1.6g、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS PHARMA製;PRUV(登録商標))3.4gを混合して調製した打錠末をロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量85mg、9.0×3.7mmの異形の錠剤を得た。
【0051】
<比較例1>
シタグリプチンリン酸塩無水物155.1g、D-マンニトール(ロケットジャパン(株)製;ペアリトール(登録商標)50C)189.9g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株)製;LH-21)42.5gを流動層造粒機((株)パウレック製;MP-01)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製;HPC-L)12.5gを水250gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、造粒物を得た。造粒物を目開き710μmの篩で篩過して整粒物を得た。整粒物320g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学工業(株)製;ND-200)10g、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS PHARMA製;PRUV(登録商標))10gを混合して調製した打錠用末をロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量85mg、9.0×3.7mmの異形の錠剤を得た。
【0052】
<比較例2>
シタグリプチンリン酸塩無水物31.02g、無水リン酸水素カルシウム(富士化学工業(株)製;フジカリン(登録商標)SG)31.03g、軽質無水ケイ酸(EVONIK製;AEROSIL(登録商標)200)1g、結晶セルロース(旭化成(株)製;セオラス(登録商標)UF-702)31.95g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学工業(株)製;ND-200)3g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製;ステアリン酸マグネシウム(軽質))2gを混合して調製した打錠用末をロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量100mg、φ6.0mmの円形の錠剤を得た。
【0053】
<比較例3>
シタグリプチンリン酸塩無水物31.02g、無水リン酸水素カルシウム(富士化学工業(株)製;フジカリンSG)31.03g、軽質無水ケイ酸(EVONIK製;AEROSIL(登録商標)200)1g、結晶セルロース(旭化成(株)製;セオラス(登録商標)UF-702)31.95g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学工業(株)製;ND-200)3g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製;ステアリン酸マグネシウム(軽質))2gを混合して調製した打錠用末をロータリー打錠機(菊水製作所製;VEL5)及び外部滑沢装置(菊水製作所製;ELS-P1)を用いてステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製:ステアリン酸マグネシウム(植物性))を臼杵表面に噴霧しながら打錠し、錠剤質量100mg、φ6.0mmの円形の錠剤を得た。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
≪試験例1:スティッキングの評価≫
比較例及び実施例の打錠終了後の杵及び素錠外観を目視にて確認し、スティッキングの有無を確認した。具体的には、打錠後の錠剤表面のツヤの有無及び、杵の圧縮成形部表面の付着及びくもりの有無について確認した。評価結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
打錠後の錠剤表面及び杵の圧縮成形部表面の付着及びくもりの有無について確認した結果、比較例1(流動層造粒法のみ)、比較例2(直接打錠法のみ)及び比較例3(外部滑沢装置を使用した直接打錠法)ではスティッキングが確認されたが、実施例1(外部滑沢装置を使用した流動層造粒法)及び実施例2(溶融造粒法)においてはスティッキングが改善された。