(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169261
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シート給送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/64 20060101AFI20241128BHJP
B65H 3/48 20060101ALI20241128BHJP
B65H 3/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B65H3/64 A
B65H3/48 310Z
B65H3/48 320Z
B65H3/08 342C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131593
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2023086522
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 成一郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 敏之
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA17
3F343JB05
3F343JB28
3F343JD04
3F343JD27
3F343JD28
3F343KB04
3F343KB05
3F343LA03
3F343LB08
3F343LB09
3F343LB10
3F343LC08
3F343LC17
3F343MA03
3F343MA14
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】シートの分離不良を抑制可能なシート給送装置を提供する。
【解決手段】シート給送装置は、シートを支持するシート支持部と、シート支持部に支持されたシートのシート給送方向における下流端部にエアを吹き付けるエア吹付部と、エア吹付部によってエアが吹き付けられたシートのうちの最上位シートを吸引しながら給送する給送ベルトと、シート給送方向における給送ベルトの上流に配置され、最上位シートを吸引する上流吸引部と、を備える。エア吹付部は、シート支持部に支持されたシートの幅方向における一方側から、シートに対して幅方向にエアを吹き付ける第1吹付部と、シート支持部に支持されたシートに対してシート給送方向における下流から上流に向けてエアを吹き付ける第2吹付部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持するシート支持部と、
前記シート支持部に支持されたシートのシート給送方向における下流端部にエアを吹き付けるエア吹付部と、
前記エア吹付部によってエアが吹き付けられたシートのうちの最上位シートを吸引しながら給送する給送ベルトと、
前記シート給送方向における前記給送ベルトの上流に配置され、前記最上位シートを吸引する上流吸引部と、を備える、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記給送ベルトは、前記最上位シートに対向して前記最上位シートを吸引する第1吸引領域を有し、
前記上流吸引部は、前記最上位シートに対向して前記最上位シートを吸引する第2吸引領域を有し、
前記シート給送方向に直交する幅方向において、前記第2吸引領域の幅は、前記第1吸引領域の幅よりも狭い、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記給送ベルトは、負圧によって前記最上位シートを吸引する複数の孔を有し、
前記上流吸引部は、負圧によって前記最上位シートを吸引する複数の孔を有するガイド部材を有し、
前記第1吸引領域は、前記給送ベルトの前記複数の孔が設けられた領域であり、
前記第2吸引領域は、前記ガイド部材の前記複数の孔が設けられた領域である、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記第2吸引領域に設けられた前記複数の孔のそれぞれは、前記幅方向に対して前記シート給送方向に長い長孔である、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記上流吸引部は、前記第2吸引領域に設けられ、前記シート給送方向に給送されるシートに当接して従動回転する回転体を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記第2吸引領域に設けられるリブを有し、
前記リブは、前記シート給送方向に延びると共に前記シート給送方向に給送されるシートに摺動する、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記エア吹付部は、前記シート支持部に支持されたシートの前記幅方向における一方側から、シートに対して前記幅方向にエアを吹き付ける第1吹付部と、前記シート支持部に支持されたシートに対して前記シート給送方向における下流から上流に向けてエアを吹き付ける第2吹付部と、を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記幅方向において、前記シート支持部に支持されたシートの中心に対して一方側に配置され、前記最上位シートを上方から押さえる第1押さえ部と、
前記幅方向において前記中心に対して他方側に配置され、前記最上位シートを上方から押さえる第2押さえ部と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記第1押さえ部の位置に基づいて、前記シート支持部に支持される前記最上位シートの高さを検知する第1検知部と、
前記第2押さえ部の位置に基づいて、前記シート支持部に支持されるシートの有無を検知する第2検知部と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項10】
前記幅方向において、前記第2吸引領域の幅は、前記第1押さえ部と前記第2押さえ部との間の距離以下である、
ことを特徴とする請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項11】
前記第1押さえ部及び前記第2押さえ部は、前記シート給送方向において前記給送ベルトと前記ガイド部材の間に配置されている、
ことを特徴とする請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項12】
前記給送ベルト及び前記ガイド部材は、前記幅方向において前記第1押さえ部と前記第2押さえ部との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項13】
前記上流吸引部の吸引力を変更可能な制御部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項14】
前記上流吸引部は、ファンを有し、
前記制御部は、前記ファンの回転数を変更することで、前記上流吸引部の吸引力を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載のシート給送装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記上流吸引部による前記最上位シートの吸引タイミングを変更可能である、
ことを特徴とする請求項13に記載のシート給送装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記シート支持部に支持されたシートの前記シート給送方向における長さに基づいて、前記上流吸引部の吸引力を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載のシート給送装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記シート支持部に支持されたシートの坪量に基づいて、前記上流吸引部の吸引力を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載のシート給送装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記シート支持部に支持されたシートの種類に基づいて、前記上流吸引部の吸引力を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載のシート給送装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記シート支持部の周囲の湿度に基づいて、前記上流吸引部の吸引力を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載のシート給送装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記シート支持部に支持されたシートの前記シート給送方向における長さ、坪量、種類及び前記シート支持部の周囲の湿度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記上流吸引部の吸引力を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載のシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートトレイと、シートトレイに積載されたシートをエアによって浮上させるブロワと、浮上したシートを吸着して搬送するシート搬送部と、を備えたエア給紙装置が開示されている。シート搬送部は、第1のシート吸引部と、第2のシート吸引部と、これら第1及び第2のシート吸引部を覆う搬送ベルトと、を有しており、搬送ベルトには、第1のシート吸引部及び第2のシート吸引部の吸引力により、シートが吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、印刷業界においては、オンデマンドで様々なメディアシートに印刷可能な印刷機、プリンタが求められている。メディアシートには、普通紙やコート紙等の種類の差や、坪量が小さく剛性が低い薄紙から坪量が大きく剛性が高い厚紙がある。また上記メディアシートはそのハンドリングの良さから、予め所定のサイズに切り出されているカット紙が使用されるが、そのカットされたサイズは、小さいものから大きいものまである。
【0005】
上記特許文献1に記載のようなエア給紙装置の場合、例えば長尺のシートやシート同士の密着性が高いシートを給送する際に、最上位シートと、その下位のシートと、を確実に分離する必要がある。最上位シートとその下位のシートとが密着していると、ブロアからシートの先端に送られたエアがシートの後端まで到達せずに、途中でシートの幅方向に逃げてしまうことがあり、シートの分離不良が発生する虞がある。
【0006】
本発明は、シートの分離不良を抑制可能なシート給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート給送装置において、シートを支持するシート支持部と、前記シート支持部に支持されたシートのシート給送方向における下流端部にエアを吹き付けるエア吹付部と、前記エア吹付部によってエアが吹き付けられたシートのうちの最上位シートを吸引しながら給送する給送ベルトと、前記シート給送方向における前記給送ベルトの上流に配置され、前記最上位シートを吸引する上流吸引部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、シートの分離不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
【
図3】(a)は給送ユニットを示す斜視図、(b)は分離ベルトに形成された複数の孔を示す拡大図。
【
図6】給送モジュールの制御ブロックを示すブロック図。
【
図8】第2吸引ユニット1670の吸引力と吸引タイミングを変更する制御を示すフローチャート。
【
図9】(a)は第2の実施の形態に係る給送ユニットを示す底面図、(b)はチャンバーガイドに設けられた複数の長孔を示す拡大図。
【
図10】第3の実施の形態に係る第2吸引ユニットを示す斜視図。
【
図11】第4の実施の形態に係る第2吸引ユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図を用いて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【0011】
<第1の実施の形態>
[インクジェット記録システムの概略構成]
第1の実施の形態では、画像形成システムをインクジェット記録システム1に適用した場合について説明している。
図1は、インクジェット記録システム1の概略構成の一例を示す模式図である。このインクジェット記録システム1は、反応液とインクとの2液を用いてシートにインク像を形成する記録物を製造する枚葉式のインクジェット記録システムである。
図1に示すように、インクジェット記録システム1は、給送モジュール100、プリントモジュール200、乾燥モジュール300、定着モジュール400、冷却モジュール500、反転モジュール600、排出モジュール700から構成されている。給送モジュール100から供給されるカット紙状のシートは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排出モジュール700で排出される。なお、本実施の形態におけるシートとは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHP)等のプラスチックフィルム、布などを含む。
【0012】
シート給送装置の一例である給送モジュール100は、シートを収容する3つの収納庫110a,110b,110cを有している。各収納庫110a,110b,110cは、装置正面側へ引き出し可能な構成になっている。シートは、各収納庫110a,110b,110cにおいて給送ユニット(160a,160b,160c)により1枚ずつ給送され、プリントモジュール200へ搬送される。なお、収納庫110a,110b,110cは3つであることに限定はされず、1つや2つ、あるいは4つ以上を有する構成であってもよい。
【0013】
プリントモジュール200は、不図示の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230を有している。給送モジュール100から搬送されたシートは、作像前レジ補正部によりシートの傾きや位置が補正されプリントベルトユニット220へ搬送される。記録部230は、搬送経路に対し、プリントベルトユニット220と対向する位置に配置されている。記録部230は、搬送されるシートに対して上方から記録ヘッドによりシート上に記録処理(印字)を行なって画像を形成するシート処理部である。記録ヘッドは搬送方向に沿って複数並べられている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有している。なお、色数および記録ヘッドの数は5つに限定はされない。
【0014】
インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。記録部230で印字されたシートは、プリントベルトユニット220により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスを確保しつつ搬送される。記録部230で印字されたシートは、記録部のシート搬送方向下流側に配置された不図示のインラインスキャナによりシートに形成された画像のズレや色濃度が検出される。検出結果は印刷画像の補正に利用される。
【0015】
乾燥モジュール300は、デカップリング部320、乾燥ベルトユニット330、温風吹付部340を有しており、プリントモジュール200の記録部230でシート上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートとインクの定着性を高める。プリントモジュール200の記録部230で印字されたシートは、乾燥モジュール300のシート搬送方向上流側に配置されたデカップリング部320に搬送される。デカップリング部320では、上方から風圧とベルトの摩擦でシートを搬送することができ、ベルト上のシートを弱く保持して搬送することで、インク像を形成するプリントベルトユニット220上のシートのズレを防ぐ。乾燥ベルトユニット330はベルトの下方に、温風吹付部340はベルトの上方に、ベルトを挟んで対向して配置されている。
【0016】
デカップリング部320から搬送されたシートは、乾燥ベルトユニット330にて吸着搬送されると同時に、温風吹付部340から熱風を受けてインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートの表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0017】
定着モジュール400は、定着ベルトユニット410を有している。定着ベルトユニット410は上ベルトユニットと下ベルトユニットとを有しており、乾燥モジュール300から搬送されたシートを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インクをシートに定着させることができる。
【0018】
冷却モジュール500は、冷却部510を複数有しており、定着モジュール400から搬送された高温のシートを冷却する。冷却部510は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートに当てることにより、シートを冷却するように構成されている。冷却部510は、搬送経路に対し上側と下側の両方に配置され、シートを両面から冷却する。
【0019】
また、冷却モジュール500は搬送経路切替部を有しており、シートを反転モジュール600に搬送する場合と、両面印刷時に使用する両面搬送経路に搬送する場合とに応じて、シートの搬送経路を切り替えることができる。両面印刷時には、シートは冷却モジュール500の下部の搬送経路に搬送される。この場合、冷却モジュール500から、定着モジュール400、乾燥モジュール300、プリントモジュール200、給送モジュール100の両面搬送経路に沿って更に搬送される。定着モジュール400の両面搬送経路には、シートの表裏を反転させる第1反転部420が設けられている。そして、再度、給送モジュール100から、プリントモジュール200の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230へ搬送され、記録部230で印字される。
【0020】
反転モジュール600は第2反転部640を有し、搬送されるシートの表裏を反転させることができ、排出されるシートの表裏向きを変更することができる。排出モジュール700は、トップトレイ720と積載部750を有し、反転モジュール600から搬送されたシートを整列積載する。
【0021】
[給送モジュール]
次に、給送モジュール100の構成について詳しく説明する。給送モジュール100が備える上述した3つの収納庫110a,110b,110cに収容されたシートは、各収納庫110a,110b,110cに対応した給送ユニット160a,160b,160cによってそれぞれ給送される。収納庫110a,110b,110c並びに給送ユニット160a,160b,160cは、それぞれ同様の構成を有しているため、以下では、収納庫110a、給送ユニット160a及びその周辺構成について詳しく説明する。なお、収納庫110a,110b,110c並びに給送ユニット160a,160b,160cは、それぞれすべて同じ構成である必要はない。例えば収納庫110a,110b,110cに収容可能なシートの最大積載枚数やシートのサイズがそれぞれ異なってもよい。
【0022】
図2に示すように、収納庫110aは、本体部1110と、本体部1110に支持されるリフタ板1140、先端ガイド1131、後端ガイド1130、第1サイドガイド1121及び第2サイドガイド1122と、を有している。シート支持部としてのリフタ板1140は、シートを支持し、リフタワイヤ1141によって吊り下げられている。そして、リフタワイヤ1141が不図示のモータによって駆動されるワイヤプーリ1142によって巻き取り又は繰り出されることによって、リフタ板1140は、シートの水平状態を維持しながら上下方向に移動可能に構成されている。
【0023】
先端ガイド1131は、リフタ板1140に積載されたシートの先端、すなわちシート給送方向D1における下流端の位置を規制する。後端ガイド1130は、リフタ板1140に積載されたシートの後端、すなわちシート給送方向D1における上流端の位置を規制する。第1サイドガイド1121及び第2サイドガイド1122は、シート給送方向D1に直交する幅方向Wに移動可能に構成されており、リフタ板1140に積載されたシートの幅方向Wにおける端部の位置を規制する。なお、収納庫110aは、給送モジュール100の筐体に対して、幅方向Wに着脱可能に構成されており、幅方向Wにおける第1サイドガイド1121側に引き出され、第2サイドガイド1122側に装着される。
【0024】
図3(a)は、給送ユニット160a及びその周辺構成を示す斜視図であり、
図3(b)は、分離ベルト1610に形成された複数の孔1610aを示す拡大図である。
図4は、給送ユニット160aを示す断面図である。給送ユニット160aは、シート束の幅方向における端面から捌きエアによってシートを浮上させ、負圧の吸引エアによって分離ベルト1610にシートを吸着し、シート束の先端から吹き付ける分離エアによってシートを1枚に分離する。そして、給送ユニット160aは、シートを分離するためのローラを使用せずに、分離ベルト1610を回転させることによってシートを1枚ずつ給送する、フルエアの給送方式を採用している。
【0025】
図3(a)及び
図4に示すように、給送ユニット160aは、捌きエアユニット170と、分離エアユニット180と、第1吸引ユニット1600と、分離ベルト1610と、第2吸引ユニット1670と、駆動ローラユニット1700と、を有している。
【0026】
図3(a)に示すように、第1吹付部としての捌きエアユニット170は、回転数の制御が可能なサイドファン1651と、サイドダクト1652と、サイドノズル1653と、サイドファンバルブ1654と、を有している。サイドファン1651には、筒状のサイドダクト1652が接続されており、サイドダクト1652の先端には、サイドノズル1653が設けられている。これらサイドダクト1652及びサイドノズル1653は、収納庫110aの後側かつシート給送方向D1における下流端部に設けられている。
【0027】
サイドファン1651から送られたエア(以下、捌きエアという)は、サイドダクト1652を通過して、サイドノズル1653から排出される。サイドダクト1652は、第2サイドガイド1122(
図2参照)に連動して、幅方向Wに移動可能に構成されている。これにより、捌きエアが排出されるサイドノズル1653は、収納庫110aに積載されたシートの先端部近傍かつ後側に配置される。
【0028】
サイドファンバルブ1654は、サイドファン1651とサイドダクト1652との間に設けられており、サイドファンバルブソレノイド1655によって開閉可能に構成されている。サイドファンバルブ1654を開閉制御することで、捌きエアの吹き付けタイミングを制御することができる。
【0029】
分離エアユニット180は、フロントファン1661と、フロントダクト1662と、フロントノズル1663と、フロントファンバルブ1664と、を有している。フロントファン1661には、筒状のフロントダクト1662が接続されており、フロントダクト1662の先端には、フロントノズル1663が設けられている。これらフロントダクト1662及びフロントノズル1663は、収納庫110aのシート給送方向D1における下流端部に設けられている。
【0030】
フロントファン1661から送られたエア(以下、分離エアという)は、フロントダクト1662を通過して、フロントノズル1663から排出される。分離エアが排出されるフロントノズル1663は、収納庫110aに積載されたシートの上方にある分離ベルト1610に向けて配置される。
【0031】
フロントファンバルブ1664は、フロントファン1661とフロントダクト1662との間に設けられており、フロントファンバルブソレノイド1665によって開閉可能に構成されている。フロントファンバルブ1664を開閉制御することで、分離エアの吹き付けタイミングを制御することができる。
【0032】
上述した捌きエアユニット170及び分離エアユニット180は、リフタ板1140に支持されたシートのシート給送方向D1における下流端部にエアを吹き付けるエア吹付部800を構成している。
【0033】
第1吸引ユニット1600は、第1吸引ファン1601と、第1吸引チャンバー1602と、第1吸引ファンバルブ1603と、を有している。第1吸引チャンバー1602は、第1吸引ファン1601に接続されており、内部に空間を有している。また、第1吸引チャンバー1602は、収納庫110aに積載されたシートに対向する位置に開口1602aを有しており、開口1602aは、第1吸引チャンバー1602の内部空間に連通している。第1吸引ファン1601は、第1吸引チャンバー1602の内部空間に負圧を発生させることができる。
【0034】
第1吸引ファンバルブ1603は、第1吸引ファン1601と第1吸引チャンバー1602との間に設けられており、第1吸引ファンバルブソレノイド1605によって開閉可能に構成されている。第1吸引ファン1601が駆動した状態で第1吸引ファンバルブ1603が開かれることで、第1吸引チャンバー1602内は負圧になる。
【0035】
第1吸引チャンバー1602の周囲には、
図4に示すように、分離ベルト1610が配置されており、給送ベルトとしての分離ベルト1610は、ベルト駆動ローラ1612及びベルト従動ローラ1613に巻回されている。そして、ベルト駆動ローラ1612がベルト駆動モータ1614(
図6参照)によって駆動されることで、分離ベルト1610が回転し、ベルト従動ローラ1613は、分離ベルト1610に従動回転する。
【0036】
分離ベルト1610には、
図3(b)に示すように、円形の複数の孔1610aが設けられており、分離ベルト1610の下面側に位置する円形の複数の孔1610aは、第1吸引チャンバー1602の開口1602aに連通している。このため、第1吸引チャンバー1602の内部空間が負圧になると、開口1602a及び分離ベルト1610の複数の孔1610aを介して、分離ベルト1610の周囲のエアを第1吸引チャンバー1602内に向けて吸引することが可能となる。分離ベルト1610の下面の近くにシートがある場合には、分離ベルト1610に該シートが吸着される。複数の孔1610aは、シート給送方向D1における上流側のエッジ部1610bを有している。エッジ部1610bは、分離ベルト1610の移動方向であるシート給送方向D1に交差するように延びている。シートが吸着された状態で分離ベルト1610が駆動されると、分離ベルト1610は、複数の孔1610aのエッジ部1610bでシートを噛み込むことでシートを搬送する。これにより、分離ベルト1610は、シートを確実に搬送することができる。
【0037】
駆動ローラユニット1700は、
図4に示すように、分離ベルト1610のシート給送方向D1における下流に配置されており、駆動ローラ1710と、従動ローラ1720と、を有している。駆動ローラ1710は、不図示のモータによって駆動され、従動ローラ1720は、駆動ローラ1710に従動回転する。分離ベルト1610によって吸引しながら給送されたシートSは、駆動ローラユニット1700によって搬送される。
【0038】
上流吸引部としての第2吸引ユニット1670は、
図3(a)及び
図4に示すように、シート給送方向D1において分離ベルト1610の上流に配置されている。第2吸引ユニット1670は、第2吸引ファン1671と、第2吸引チャンバー1672と、第2吸引ファンバルブ1674と、を有している。第2吸引チャンバー1672は、第2吸引ファン1671に接続されており、内部に空間を有している。また、第2吸引チャンバー1672は、収納庫110aに積載されたシートに対向する位置に開口1672aを有しており、開口1672aは、第2吸引チャンバー1672の内部空間に連通している。ファンとしての第2吸引ファン1671は、第2吸引チャンバー1672の内部空間に負圧を発生させることができる。
【0039】
第2吸引ファンバルブ1674は、第2吸引ファン1671と第2吸引チャンバー1672との間に設けられており、第2吸引ファンバルブソレノイド1675によって開閉可能に構成されている。第2吸引ファン1671が駆動した状態で第2吸引ファンバルブ1674が開かれることで、第2吸引チャンバー1672内は負圧になる。
【0040】
第2吸引チャンバー1672には、開口1672aを覆うようにチャンバーガイド1676が取り付けられており、ガイド部材としてのチャンバーガイド1676には、円形の複数の孔1676aが設けられている。チャンバーガイド1676の複数の孔1676aは、第2吸引チャンバー1672の開口1672aに連通している。このため、第2吸引チャンバー1672の内部空間が負圧になると、開口1672a及びチャンバーガイド1676の複数の孔1676aを介して、チャンバーガイド1676の周囲のエアを第2吸引チャンバー1672内に向けて吸引することが可能となる。チャンバーガイド1676の下面の近くにシートがある場合には、チャンバーガイド1676に向けてシートが浮上する。
【0041】
また、シート給送方向D1において分離ベルト1610とチャンバーガイド1676との間には、シート検知センサ1620及びシート検知フラグ1620aと、シート有無検知センサ1621及びシート有無検知フラグ1621aと、配置されている。
【0042】
図5は、給送ユニット160aをシート給送方向D1における上流側から見た図である。
図5において、搬送中心1622は、収納庫110aから給送されるシートSの幅方向Wにおける中心であり、かつシートSが搬送される搬送路の幅方向Wにおける中心である。また、搬送中心1622は、第1サイドガイド1121と第2サイドガイド1122の幅方向Wにおける中央部である。
【0043】
図5に示すように、シート検知センサ1620及びシート検知フラグ1620aは、幅方向Wにおいて搬送中心1622の一方側に配置されている。シート有無検知センサ1621及びシート有無検知フラグ1621aは、幅方向Wにおいて搬送中心1622の他方側に配置されている。第1押さえ部としてのシート検知フラグ1620aは、リフタ板1140に積載されたシートSの最上位シートに向かって垂れ下がっており、シート給送時には、最上位シートの表面に接触する。
【0044】
第1検知部としてのシート検知センサ1620は、シート検知フラグ1620aの位置に基づいて、リフタ板1140に支持される最上位シートの高さを検知する。シート検知フラグ1620aはリフタ板1140上の最上位シートに接触することで、非検知位置から検知位置に回動する。シート検知フラグ1620aが検知位置に位置した状態では、シート検知センサ1620は検知状態(オン)となる。また、リフタ板1140上のシートがなくなっても、リフタ板1140が所定の高さにあれば、シート検知フラグ1620aはリフタ板1140に接触することで、検知位置に保持される。このため、シート検知センサ1620は、検知状態(オン)が維持される。
【0045】
また、第2押さえ部としてのシート有無検知フラグ1621aは、リフタ板1140に積載されたシートSの最上位シートに向かって垂れ下がっており、シート給送時には、最上位シートの表面に接触する。第2検知部としてのシート有無検知センサ1621は、シート有無検知フラグ1621aの位置に基づいて、リフタ板1140に支持されるシートの有無を検知する。シート有無検知フラグ1621aは、リフタ板1140上の最上位シートに接触することで、非検知位置から検知位置に回動する。シート有無検知フラグ1621aが検知位置に位置した状態では、シート有無検知センサ1621は検知状態(オン)となる。また、リフタ板1140上のシートがなくなり、リフタ板1140が所定の高さにある場合、シート有無検知フラグ1621aは、リフタ板1140に形成された開口に落ち込むことで、検知位置から被検知位置に回動する。このため、シート有無検知センサ1621は、非検知状態(オフ)となる。
【0046】
シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aは、給送ユニット160aによって搬送可能な最小サイズのシートの後端近傍に対応する位置に配置される。また、シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aは、幅方向Wにおいて、搬送中心1622に対して略対称に配置されている。
【0047】
シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aには、おもりが仕込まれており、最上位シートとその下位のシートとの間に分離エアが流れ込んでも、容易に浮上しないように構成されている。
【0048】
また、
図3(a)に示すように、分離ベルト1610は、シートを吸引可能な複数の孔1610aが設けられた第1吸引領域AR1を有しており、チャンバーガイド1676も、シートを吸引可能な複数の孔1676aが設けられた第2吸引領域AR2を有している。第1吸引領域AR1及び第2吸引領域AR2は、リフタ板1140に積載された最上位シートに対向している。幅方向Wにおいて、シート検知フラグ1620aとシート有無検知フラグ1621aとの間の距離L3は、第1吸引領域AR1の幅L1及び第2吸引領域AR2の幅L2よりも広い。このため、シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aがシートの吸引を妨げることはない。また、幅方向Wにおいて、第2吸引領域AR2の幅L2は、幅L1よりも狭く、かつ距離L3以下である。
【0049】
[制御ブロック]
図6は、給送モジュール100の制御ブロックを示すブロック図である。給送モジュール100は、給送されるシートに関する情報であるシート情報1820を入力可能なメディア操作部1800と、制御部1801と、を有している。なお、メディア操作部1800及び制御部1801は、給送モジュール100に限らず、インクジェット記録システム1内のいずれの場所に配置されてもよい。
【0050】
メディア操作部1800は、物理ボタンや液晶パネル等から構成される。シート情報1820は、シートサイズ1820aと、シートの単位面積当たりの重量であるシート坪量1820bと、プレーン紙、コート紙、合成紙及びPETシート等のシートの種別であるシート種類1820cと、等を含む。制御部1801は、CPU1802、ROM1803及びRAM1804を有している。ROM1803には、各種のプログラムが格納されており、CPU1802は、これらのプログラムを読みだして実行する。RAM1804は、CPU1802の作業領域として使用される。
【0051】
制御部1801には、環境センサ1623、シート検知センサ1620及びシート有無検知センサ1621が接続されている。環境センサ1623(
図3(a)参照)は、収納庫110a内の湿度、すなわちリフタ板1140の周囲の湿度である周辺湿度1820dを検知することができる。なお、環境センサ1623は、周辺湿度1820dのみではなく、周辺温度等を検知してもよい。
【0052】
シート情報1820及び周辺湿度1820dによって、給送されるシートの分離に必要な時間、分離のしやすさ等の推測が可能である。このため、制御部1801は、シート情報1820及び周辺湿度1820dに基づいて、最適なシートの給送条件1004を設定する。給送条件1004は、シートの給送間隔と、給送速度と、サイドファン1651、フロントファン、第1吸引ファン1601及び第2吸引ファン1671の回転数と、を含む。
【0053】
例えば、坪量やサイズが大きいシートは、1枚当たりのシートの重量が重いため、各ファンの回転数を高速にすると好適である。一方で、坪量やサイズが小さいシートは、1枚当たりのシートの重量が軽いため、各ファンの回転数を高速にすると、シートがバタつき、搬送不良や斜行の原因となる。このため、坪量やサイズが小さいシートは、各ファンの回転数を低速にすると好適である。また、シート同士が密着しやすい種類のシートは、特に高湿環境においては、各ファンの回転数を高速にしたり、給送間隔を広げたりすることで、安定してシートを分離給送することができる。
【0054】
制御部1801は、設定した給送条件1004に基づいて、サイドファン1651、サイドファンバルブソレノイド1655、フロントファン1661、フロントファンバルブソレノイド1665、第1吸引ファン1601、第1吸引ファンバルブソレノイド1605、第2吸引ファン1671、第2吸引ファンバルブソレノイド1675及びベルト駆動モータ1614を制御する。
【0055】
[給送動作]
次に、給送モジュール100による給送動作について説明する。
図7は、給送動作を示すフローチャートである。制御部1801は、給送条件1004を設定した後、給送動作を開始する。
【0056】
制御部1801は、まず給送準備動作として、サイドファン1651、フロントファン1661、第1吸引ファン1601及び第2吸引ファン1671を、給送条件1004に基づいた回転数で回転させる。この時、サイドファンバルブソレノイド1655、フロントファンバルブソレノイド1665、第1吸引ファンバルブソレノイド1605及び第2吸引ファンバルブソレノイド1675は、閉じられている。
【0057】
各ファンが所定の回転数に達すると、制御部1801から給送開始信号が送られ、給送動作が開始される。
図7に示すように、まず制御部1801は、サイドファンバルブソレノイド1655をオンすることで、サイドファンバルブ1654を開く(ステップS1)。すると、サイドファン1651によって発生した捌きエアが、サイドノズル1653からリフタ板1140に積載されたシート束の内の最上位シートを含む複数枚に吹き付けられる。捌きエアは、シートの先端部かつ側端部に対して、幅方向Wにおける一方側から、幅方向Wに吹き付けられる。この捌きエアによって、シート束の最上部かつ先端側端部が浮上する。
【0058】
次に、制御部1801は、第1吸引ファンバルブソレノイド1605をオンすることで、第1吸引ファンバルブ1603を開く(ステップS2)。これにより、第1吸引チャンバー1602の内部空間が負圧になる。すると、第1吸引チャンバー1602の周囲に配置された分離ベルト1610の複数の孔1610aからエアが吸引され、捌きエアで浮上した最上位シートが分離ベルト1610に吸い付けられる。
【0059】
また、ステップS2とほぼ同じタイミングで、制御部1801は、フロントファンバルブソレノイド1665をオンすることで、フロントファンバルブ1664を開く(ステップS3)。これにより、フロントファン1661によって発生した分離エアが、フロントノズル1663からリフタ板1140に積載されたシート束の内の最上位シートを含む複数枚に吹き付けられる。分離エアは、シートの先端部に対して、シート給送方向D1における下流から上流に向けて吹き付けられる。
【0060】
そして、最上位シートが分離ベルト1610に吸い付けられた状態では、分離エアは、最上位シートとその下位(直下)のシート(以下、下位シートとする)との間に吹き込み、最上位シートと下位シート同士を分離させる。ここで、最上位シートと下位シートを確実に分離して最上位シートのみを給送するためには、最上位シートの先端から後端まで分離エアを流す必要がある。
【0061】
最上位シートの先端部は、分離ベルト1610に吸引されている一方で、下位シートは、捌きエアによって浮上する力が無くなると、重力で落下する。すると、最上位シートと下位シートの間に隙間が開き、該隙間に分離エアが吹き込めば、最上位シートの先端から後端まで分離エアが流れやすくなる。また、フロントノズル1663の幅方向Wにおける幅は、第1吸引領域AR1の幅L1と略同一となっている。このため第1吸引領域AR1に吸引された最上位シートの下面に向けて、効率よく分離エアを流すことができる。
【0062】
第1吸引領域AR1がシート搬送領域の幅方向Wにおける略中央に配置されている一方で、シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aは、幅方向Wにおいて第1吸引領域AR1の外側に配置されている。そして、シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aは、最上位シートを上方から押さえつけている。このため、第1吸引領域AR1の直下を流れた分離エアは、シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aによって最上位シートと下位シートとの間でトンネル状に形成された空間を通過する。分離エアが通過する空間がシート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aによって幅方向Wにおいて制限されたことで、分離エアは、よりシート給送方向D1における上流側に届きやすくなる。
【0063】
また、本実施の形態では、上述したように、第1吸引領域AR1の幅L1、第2吸引領域AR2の幅L2、距離L3の関係は、L3>L1≧L2となっている。このため、分離エアが通過する最上位シートと下位シートとの間の風路は、シート給送方向D1における下流から上流に向かって先細りする傾向となっている。そして、第2吸引領域AR2からさらに上流の領域でも分離エアが広がらずに、最上位シートの後端まで分離エアがより届きやすくなっている。さらに、シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aによって最上位シートの吸引が妨げられることがない構成になっている。なお、第1吸引領域AR1の幅L1、第2吸引領域AR2の幅L2、距離L3の関係は、L3>L1≧L2に限らず、どのように設定されても第2吸引領域AR2によるシートの吸引の効果を得ることができる。
【0064】
更に、制御部1801は、後述する条件に基づいて、第2吸引ファンバルブソレノイド1675をオンすることで、第2吸引ファンバルブ1674を開く(ステップS4)。これにより、第2吸引チャンバー1672の内部空間が負圧になる。すると、チャンバーガイド1676の複数の孔1676aからエアが吸引され、複数の孔1676aに対応する位置において最上位シートの浮上が補助される。これにより、分離エアが最上位シートの先端から後端、すなわちシート給送方向D1における下流端から上流端まで流れ、最上位シートと下位シートの分離性を向上できる。第2吸引チャンバー1672の負圧は、最上位シートの浮上を補助することが主目的であり、チャンバーガイド1676に最上位シートが必ずしも吸着しなくてもよい。なお、ステップS4は、後述する条件によっては省いてもよい。例えば、短尺のシートや密着性の低いシートを給送する場合には、第2吸引ファンバルブ1674を閉じたままにしてもよく、第2吸引ファン1671を停止させたままにしてもよい。
【0065】
そして、制御部1801は、サイドファンバルブソレノイド1655をオフすることで、サイドファンバルブ1654を閉じる(ステップS5)。また、制御部1801は、第2吸引ファンバルブソレノイド1675をオフすることで、第2吸引ファンバルブ1674を閉じる(ステップS6)。これは、一度、分離エアが最上位シートの先端から後端まで流れたら、捌きエアや第2吸引チャンバー1672の負圧によるシートの浮上は不要になるためである。捌きエアを停止すると共に第2吸引チャンバー1672の負圧を解除することで、最上位シートを給送する際の搬送抵抗を低減すると共に、斜行等の搬送不良を抑制することができる。なお、チャンバーガイド1676の表面は、摩擦抵抗が小さい材質で構成されており、最上位シートとの間の搬送抵抗が小さくなるように構成されている。
【0066】
次に、制御部1801は、ベルト駆動ローラ1612を駆動することで、分離ベルト1610を回転させる(ステップS7)。この時、分離ベルト1610に吸引された最上位シートは、その先端が先端ガイド1131の上方に位置しているため、先端ガイド1131が最上位シートの給送を阻害することはない。
【0067】
次に、制御部1801は、最上位シートが駆動ローラユニット1700の駆動ローラ1710に到達したか否かを判断する(ステップS8)。最上位シートが駆動ローラ1710に到達したと判断された場合(ステップS8:Yes)、制御部1801は、フロントファンバルブソレノイド1665及び第1吸引ファンバルブソレノイド1605をオフする(ステップS9,S10)。これにより、フロントファンバルブ1664及び第1吸引ファンバルブ1604が閉じられ、分離エアが停止すると共に、分離ベルト1610への最上位シートの吸着が解除される。
【0068】
分離ベルト1610は、第1吸引ファンバルブ1604が閉じられた後も回転を続け、最上位シートの後端が収納庫110aから抜けると、制御部1801はベルト駆動ローラ1612を停止させる(ステップS11)。第1吸引ファンバルブ1604が閉じられた後、第1吸引チャンバー1602内の残圧で最上位シートが分離ベルト1610に吸着されたとしても、分離ベルト1610は回転を続けているため、搬送抵抗を抑制することができる。その後、ジョブで指定された枚数のシートの給送が完了するか、収納庫110a内のシートが空になるまで、ステップS1~S11の動作が繰り返される。
【0069】
[第2吸引ユニットの吸引力の設定]
次に、第2吸引ユニット1670の吸引力の設定をする流れについて、
図8に示すフローチャートを用いて説明する。制御部1801は、メディア操作部1800又は外部コンピュータから入力されたシート情報1820と、環境センサ1623によって検知された周辺湿度1820dと、に基づいて、第2吸引ユニット1670の吸引力や吸引タイミングを変更可能である。なお、以下では、第2吸引ユニット1670の吸引力と吸引タイミングを変更する制御について説明するが、吸引力と吸引タイミングのいずれか一方のみを変更してもよい。
【0070】
第2吸引ユニット1670の吸引力や吸引タイミングを変更する制御の一例として、
図8のフローチャートに沿って説明する。
図8に示すように、制御部1801は、シートサイズ1820aがA3サイズ以上か否かを判断する(ステップS21)。シートサイズ1820aがA3サイズ未満であると判断された場合(ステップS21:No)、制御部1801は、ステップS31~S33に進む。
【0071】
また、シートサイズ1820aがA3サイズ以上であると判断された場合(ステップS21:Yes)、制御部1801は、周辺湿度1820dが60%以上か否かを判断する(ステップS22)。周辺湿度1820dが60%未満であると判断された場合(ステップS22:No)、制御部1801は、ステップS31~S33に進む。
【0072】
周辺湿度1820dが60%以上であると判断された場合(ステップS22:Yes)、制御部1801は、シート坪量1820bが200g/m2以上か否かを判断する(ステップS23)。シート坪量1820bが200g/m2以上であると判断された場合(ステップS23:Yes)、制御部1801は、シート種類1820cがコートシートか否かを判断する(ステップS24)。シート種類1820cがコートシートであると判断された場合(ステップS24:Yes)、ステップS41~S43に進む。シート種類1820cがコートシートではないと判断された場合(ステップS24:No)、ステップS51~S53に進む。
【0073】
また、ステップS23において、シート坪量1820bが200g/m2未満であると判断された場合(ステップS23:No)、ステップS61~S63に進む。本実施の形態では、第2吸引ユニット1670の吸引力や吸引タイミングが、4パターンに分けて制御される。
【0074】
ステップS31~S33は、第2吸引ユニット1670による最上位シートの吸引が必要でない場合である。この場合、制御部1801は、第2吸引ユニット1670の吸引力を0、すなわち第2吸引ファン1671の回転数を0rpmに設定する(ステップS31,S32)。そして、制御部1801は、第2吸引ファンバルブソレノイド1675のオン/オフを行わない(ステップS33)。このように、シートサイズ1820aがA3サイズ未満または周辺湿度1820dが60%未満である場合には、第2吸引ユニット1670を使用しない。これは、シートが短尺である場合には、最上位シートの後端部を浮上させるために第2吸引ユニット1670は不要であり、また周辺湿度1820dが60%未満の場合には、シート同士の密着性が低いためである。
【0075】
ステップS41~S44は、第2吸引ユニット1670による最上位シートの吸引が最も必要な場合である。この場合、制御部1801は、第2吸引ユニット1670の吸引力を大にする(ステップS41)。具体的には、制御部1801は、第2吸引ファン1671の回転数を10000rpmに設定する(ステップS42)。そして、制御部1801は、第2吸引ファンバルブソレノイド1675のオンタイミングを普通より早くし、オフタイミングを普通より遅くする(ステップS43)。これにより、第2吸引ユニット1670の吸引力を大きくすると共に、吸引時間を長くすることができる。
【0076】
ステップS51~54は、第2吸引ユニット1670による最上位シートの吸引がステップS41~S43の場合の次に必要な場合である。この場合、制御部1801は、第2吸引ユニット1670の吸引力を中にする(ステップS51)。具体的には、制御部1801は、第2吸引ファン1671の回転数を6000rpmに設定する(ステップS52)。そして、制御部1801は、第2吸引ファンバルブソレノイド1675のオン/オフタイミングを普通に設定する(ステップS53)。
【0077】
ステップS61~64は、第2吸引ユニット1670による最上位シートの吸引がステップS51~S53の場合の次に必要な場合である。この場合、制御部1801は、第2吸引ユニット1670の吸引力を小にする(ステップS61)。具体的には、制御部1801は、第2吸引ファン1671の回転数を3000rpmに設定する(ステップS62)。そして、制御部1801は、第2吸引ファンバルブソレノイド1675のオンタイミングを普通より遅くし、オフタイミングを普通より早くする(ステップS63)。
【0078】
このように、シートサイズ1820a(特にシートの長さ)が大きいほど、周辺湿度1820dが高いほど、シート坪量1820bが大きいほど、コートシートであるほど、第2吸引ユニット1670による最上位シートの吸引がより必要になる。
【0079】
以上のように、本実施の形態では、シート給送方向D1において分離ベルト1610の上流に、第2吸引ユニット1670を設けた。これにより、第2吸引ユニット1670は、特にB3サイズ等の長尺のシートや坪量の大きいシートの後端側の浮上を補助することができ、分離エアを最上位シートの先端から後端まで抜けるようにすることができる。よって、シートのサイズ、坪量、種類及び周辺湿度等に依らず、安定してシートを分離しながら搬送することができ、シートの分離不良を抑制することができる。
【0080】
また、シート情報1820及び周辺湿度1820dに基づいて、第2吸引ユニット1670の吸引力を変更することができるので、第2吸引ユニット1670によって吸引されて浮上する最上位シートの浮上量のバラツキを抑えることができる。このため、給送するシートのサイズ、坪量、種類及び周辺湿度等に依らず、より安定してシートを分離しながら搬送することができる。より具体的には、長尺で重いシートやシート同士の密着性が高くなるシート種類や周辺環境については、第2吸引ユニット1670の吸引力を強めることで、より確実に最上位シートを下位シートから分離することができる。また、短尺で軽いシートやシート同士の密着性が低くなるシート種類や周辺環境については、第2吸引ユニット1670の吸引力を弱める(吸引しない場合を含む)ことで、シートの搬送抵抗を低減して斜行等の搬送不良を抑制することができる。
【0081】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態のチャンバーガイド1676に設けられた複数の孔を、長孔形状に構成したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0082】
図9(a)は、第2の実施の形態に係る給送ユニット260aを示す底面図であり、
図9(b)は、チャンバーガイド2676に設けられた複数の長孔2676aを示す拡大図である。
図9(a)に示すように、本実施の形態に係る給送ユニット260aは、分離ベルト1610と、第1吸引ユニット1600と、第2吸引ユニット2670と、を有している。なお、
図9(a)では不図示だが、給送ユニット260aは、第1の実施の形態と同様に、捌きエアユニット170と、分離エアユニット180と、駆動ローラユニット1700と、を有している。
【0083】
上流吸引部としての第2吸引ユニット2670は、第2吸引ファン1671(
図3(a)参照)と、第2吸引チャンバー2672と、第2吸引ファンバルブ1674(
図3(a)参照)と、を有している。第2吸引チャンバー2672は、第2吸引ファン1671に接続されており、内部に空間を有している。
【0084】
第2吸引チャンバー2672には、第2吸引チャンバー2672の開口2672aを覆うようにチャンバーガイド2676が取り付けられており、ガイド部材としてのチャンバーガイド2676には、複数の長孔2676aが設けられている。各長孔2676aは、幅方向Wに対して、シート給送方向D1に長い。チャンバーガイド2676の複数の長孔2676aは、第2吸引チャンバー2672の開口2672aに連通している。このため、第2吸引チャンバー2672の内部空間が負圧になると、開口2672a及びチャンバーガイド2676の複数の長孔2676aを介して、チャンバーガイド2676の周囲のエアを第2吸引チャンバー2672内に向けて吸引することが可能となる。チャンバーガイド2676の下面の近くにシートがある場合には、チャンバーガイド2676に向けてシートが浮上する。なお、本実施の形態においても、第1吸引領域AR1の幅L1、第2吸引領域AR2の幅L2、距離L3の関係は、L3>L1≧L2となっている。
【0085】
本実施の形態の給送ユニット260aによる給送準備動作及び給送動作は、
図7で説明した第1の実施の形態のものと同様である。ここで、
図7のステップS6において第2吸引ファンバルブ1674を閉じた直後には、第2吸引チャンバー2672の負圧が残り、シートがチャンバーガイド2676に吸着されたままの状態で搬送されることがある。分離ベルト1610は、上述したように、円形の複数の孔1610aのエッジ部1610b(
図3(b)参照)でシートを噛み込むことでシートの搬送力を発生させている。しかし、チャンバーガイド2676に吸着されたままシートが搬送されると、
図9(a)(b)に示すように、チャンバーガイド2676に設けられた長孔2676aのエッジ部2676bにシートが摺動してシートの搬送抵抗が大きくなる。エッジ部2676bは、長孔2676aのシート給送方向D1における下流端部の縁であり、シート給送方向D1に交差するように延びている。
【0086】
本実施の形態では、チャンバーガイド2676にシート給送方向D1に延びる長孔を設けているため、複数の円形の孔1676aを設けた第1の実施の形態に比して、搬送抵抗を小さくすることができる。これは、複数の長孔2676aのエッジ部2676bは、第1の実施の形態の円形の孔1676aのエッジ部に比して少ないためである。
【0087】
更に、複数の長孔2676aのエッジ部2676bは、シート給送方向D1における位置が互いに同じであるため、エッジ部2676bに起因してシートに作用する搬送抵抗が幅方向Wにおいて均一になりやすい。このため、シートの斜行等の搬送不良を低減できる。なお、チャンバーガイド2676の表面は、摩擦抵抗が小さい材質で構成されており、最上位シートとの間の搬送抵抗が小さくなるように構成されている。
【0088】
<第3の実施の形態>
次いで、本発明の第3の実施の形態について説明するが、第3の実施の形態は、第2の実施の形態のチャンバーガイド2676に複数の従動ローラ1680を設けたものである。このため、第2の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0089】
図10は、第3の実施の形態に係る上流吸引部としての第2吸引ユニット3670を示す斜視図である。第2吸引ユニット3670は、
図10に示すように、シート給送方向D1に給送されるシートに当接して従動回転する回転体としての複数の従動ローラ1680を有している。これら複数の従動ローラ1680は、第2吸引領域AR2に設けられており、その外形の一部が、チャンバーガイド2676の複数の長孔2676aから突出するように配置されている。
【0090】
このため、シートがチャンバーガイド2676に吸引された際、シートは従動ローラ1680に押し付けられる。そして、第2吸引チャンバー2672に残圧があっても、シートがシート給送方向D1に搬送されると従動ローラ1680が搬送されるシートに対して従動回転するため、搬送抵抗が小さくなる。
【0091】
<第4の実施の形態>
次いで、本発明の第4の実施の形態について説明するが、第4の実施の形態は、第2の実施の形態のチャンバーガイド2676に複数のリブ1690を設けたものである。このため、第2の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0092】
図11は、第4の実施の形態に係る上流吸引部としての第2吸引ユニット4670を示す斜視図である。第2吸引ユニット4670は、
図11に示すように、シート給送方向D1に延び、かつ搬送されるシートに摺動可能な複数のリブ1690を有している。リブ1690は、シート給送方向D1の長さに対して、幅方向Wにおける幅が短い。これら複数のリブ1690は、第2吸引領域AR2に設けられており、ガイド部材としてのチャンバーガイド3676の複数の長孔2676aと幅方向Wにおいて交互に設けられている。
【0093】
このため、シートがチャンバーガイド3676に吸引された際、シートは複数のリブ1690の先端に押し付けられる。そして、第2吸引チャンバー3672に残圧があっても、シート給送方向D1に搬送されるシートが複数のリブ1690に対して摺動するため、搬送抵抗が小さくなる。
【0094】
<その他の実施形態>
なお、既述のいずれの実施の形態においても、分離エアをシートの後端まで流すための補助手段として、1つの第2吸引チャンバー1672,2672を備える第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670を配置したが、これに限定されない。例えば、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の他に、吸引ユニットをさらに追加して、複数の吸引ユニットでシートの浮上を補助するようにすれば、さらに大きなサイズのシートにも対応可能となる。また、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670をシート給送方向D1に移動可能に構成し、給送するシートの属性や、湿度環境によって、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670をシート給送方向D1に移動してもよい。
【0095】
また、既述のいずれの実施の形態においても、捌きエアユニット170と分離エアユニット180を別々に構成し、捌きエアと分離エアによって最上位シートと下位シートとを分離していたが、これに限定されない。例えば、捌きエアユニット170を省略し、分離エアユニット180及び分離ベルト1610によって最上位シートと下位シートとを分離してもよい。
【0096】
また、既述のいずれの実施の形態においても、分離ベルト1610を駆動する前に、サイドファンバルブ1654及び第2吸引ファンバルブ1674を閉じた(ステップS5,S6)が、これに限定されない。例えば、サイドファンバルブ1654及び第2吸引ファンバルブ1674を閉じる代わりに、サイドファン1651及び第2吸引ファン1671の回転数を弱くしたり、サイドファン1651及び第2吸引ファン1671を駆動停止したりしてもよい。また、分離ベルト1610を駆動する際に、サイドファンバルブ1654及び第2吸引ファンバルブ1674を開いたままにしてもよい。
【0097】
また、既述のいずれの実施の形態においても、シート検知フラグ1620a及びシート有無検知フラグ1621aによって、分離エアが通過する風路を形成したが、これに限定されない。例えば、各センサフラグとは別に、最上位シートを上方から押さえための押さえ部を設けてもよい。
【0098】
また、既述のいずれの実施の形態においても、シート情報1820や周辺湿度1820dに基づいて、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力や吸引タイミングを、4パターンに分けて制御したが、これに限定されない。例えば、シート情報1820や周辺湿度1820dに拘わらず、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力や吸引タイミングを一定にしてもよい。また、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力や吸引タイミングを、2~3パターンや5パターン以上に分けて制御してもよい。
【0099】
また、既述のいずれの実施の形態においても、リフタ板1140に支持されたシートのサイズ(シート給送方向D1における長さ)、坪量、種類及び周辺湿度に基づいて、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力を変更したが、これに限定されない。例えば、シートのサイズ(シート給送方向D1における長さ)、坪量、種類及び周辺湿度の内の任意の1つ又は任意の条件を組み合わせて、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力を変更してもよい。すなわち、シートのサイズ(シート給送方向D1における長さ)、坪量、種類及び周辺湿度の少なくともいずれか1つに基づいて、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力を変更してもよい。
【0100】
また、既述のいずれの実施の形態においても、給送モジュール100とプリントモジュール200とが別々に構成されていたが、これらが一体に形成された画像形成装置に本発明を適用してもよい。なお、画像形成装置とは、プリンタ、複写機、ファクシミリ、及び複合機を含み、外部PCから入力された画像情報や原稿から読取った画像情報に基づいて、記録媒体として用いられるシートに画像を形成する装置を指すものとする。また、画像形成装置は、画像形成機能を有する本体に加えて、オプションフィーダ、画像読取装置、シート処理装置等の付属機器が連結される場合があるが、このような付属機器が連結されたシステム全体も画像形成装置の一種である。
【0101】
また、既述のいずれの実施の形態においても、シート給送装置の一例として給送モジュール100を用いて説明したが、これに限定されない。例えば、給送モジュール100及びプリントモジュール200をシート給送装置としてもよく、インクジェット記録システム1の全体をシート給送装置としてもよい。また、インクジェット記録システム1の内の、給送モジュール100を含む任意のモジュールを組み合わせてシート給送装置としてもよい。この時、シート給送装置の第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力を制御する制御部1801は、シート給送装置内のどこに配置されてもよい。例えば、インクジェット記録システム1の全体をシート給送装置としたとき、プリントモジュール200に配置された制御部1801によって、第2吸引ユニット1670,2670,3670,4670の吸引力を制御してもよい。
【0102】
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0103】
170:第1吹付部(捌きエアユニット)/180:第2吹付部(分離エアユニット)/800:エア吹付部/100:シート給送装置(給送モジュール)/1140:シート支持部(リフタ板)/1610:給送ベルト(分離ベルト)/1610a:複数の孔/1620:第1検知部(シート検知センサ)/1620a:第1押さえ部(シート検知フラグ)/1621:第2検知部(シート有無検知センサ)/1621a:第2押さえ部(シート有無検知フラグ)/1670,2670,3670,4670:上流吸引部(第2吸引ユニット)/1671:ファン(第2吸引ファン)/1676,2676,3676:ガイド部材(チャンバーガイド)/1676a:複数の孔/1680:回転体(従動ローラ)/1690:リブ/1801:制御部/2676a:長孔/AR1:第1吸引領域/AR2:第2吸着領域/D1:シート給送方向/L1,L2:幅/L3:距離/W:幅方向