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特開2024-169297リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169297
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20241128BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012943
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】202310595329.6
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522485888
【氏名又は名称】湖北万潤新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUBEI WANRUN NEW ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】汪 蘇平
(72)【発明者】
【氏名】楊 嬌嬌
(72)【発明者】
【氏名】王 順飛
(72)【発明者】
【氏名】呂 飛
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法と応用を提供する。
【解決手段】電解液添加剤は、エッチングレジスト、レジスト助剤、フィルム形成剤及び助溶剤から形成される混合物を含み、エッチングレジストと、レジスト助剤と、フィルム形成剤と、助溶剤とのモル比は、1:(0.1~1):(20~50):(0.01~0.1)である。電解液添加剤は、レジストと成膜の二重の防護作用により、極片を保護でき、良好な侵食防止効果を有するため、侵食による悪影響を低減し、電解液の分野におけるこの種の機能性添加剤の不足を補うことができ、さらに、本発明の前記電解液添加剤は、各種の従来の電解液系に普遍的に適用でき、調製プロセスが簡単で実施しやすく、応用の見通しが広い。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングレジスト、レジスト助剤、フィルム形成剤及び助溶剤から形成される混合物を含み、前記エッチングレジストと、前記レジスト助剤と、前記フィルム形成剤と、前記助溶剤とのモル比は1:(0.1~1):(20~50):(0.01~0.1)であることを特徴とするリチウムイオン電池用電解液添加剤。
【請求項2】
前記エッチングレジストと、前記レジスト助剤と、前記フィルム形成剤と、前記助溶剤とのモル比は、1:(0.1~0.4):(30~40):(0.01~0.03)であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤。
【請求項3】
前記エッチングレジストは、メタリン酸リチウム、グアノシン三リン酸リチウム、α,β-メチレンアデノシン5′-三リン酸リチウム塩又は(S)-ガンシクロビル-5′-三リン酸リチウム塩のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤。
【請求項4】
前記レジスト助剤は、テレフタルアルデヒド、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド、2-ピロールホルムアルデヒド、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド又は3-ピロールホルムアルデヒドのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤。
【請求項5】
前記フィルム形成剤は、フルオロエチレンカーボネート又はエチレンカーボネートのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤。
【請求項6】
前記助溶剤は、フルミクロラックペンチル、ペルフルオロトリプロピルアミン、 シンフルミド又はテリフルノミドのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤。
【請求項7】
まず、エッチングレジストとフィルム形成剤を不活性雰囲気下で1回目に混合するステップと、
その後、助溶剤とレジスト助剤を順次添加し、2回目に混合した後、濾過処理により前記電解液添加剤を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤の調製方法。
【請求項8】
前記1回目混合の持続時間は、1h~3hであり、前記2回目混合の持続時間は、12h~16hであることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤の調製方法。
【請求項9】
前記濾過処理用ろ過網の孔径は、150メッシュ~300メッシュであることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤の調製方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電解液添加剤又は請求項7~9のいずれか1項に記載の調製方法で調製したリチウムイオン電池用電解液添加剤を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2023年5月24日に提出された、出願番号が202310595329.6である中国特許出願の優先権を主張しており、その全ての内容を引用により本願に取り込む。
【0002】
技術分野
【0003】
本発明は、リチウムイオン電池の技術分野に関し、具体的には、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0004】
リチウムイオン電池の長期使用プロセスでは、電解液は通常、電池部品を腐食させる。リチウム電池正極の集電体に対する電解液の腐食を低減させるために、通常使用された解決策は、電解液の濃度を調整し、電解液添加剤を添加し、又は電解液溶媒の種類を変更することである。しかし、上記技術的なルートは、いずれも比較的複雑であるため、工業生産のスケールアップには不利である。 例えば、電解液の濃度を調整すると、電池の電気化学性能が低下する可能性があり、添加剤の添加及び電解液溶媒の成分の変更は、腐食の抑制に良好な効果があるが、特定の電解液成分に対する、目的に応じる添加剤の選択又は電解液の種類の選択が必要であるため、普遍性を有しておらず、明らかに一定の技術的しきい値が存在する。
現在市販化されている電解液添加剤は、過充電保護剤、フィルム形成添加剤、 難燃剤、低温性能を改善する添加剤などを含む。しかし、極片の侵食に対する専用侵食防止添加剤は、ほとんどない。極片の寿命は、リチウム電池のサイクル性能と倍率性能に大きな影響を与えるため、リチウム電池電解液用侵食防止添加剤の開発は、重要な価値と意義がある。
【0005】
これに鑑み、特に本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1目的は、リチウムイオン電池用電解液添加剤を提供することであり、電解液による正極集電体の腐食欠陥に対して、本発明の前記電解液添加剤は、従来の電解液系に適用される場合、極片に良好な侵食防止効果を発揮させ、保護的な役割を果たすことができるため、電解液分野におけるこの機能性添加剤の不足を補うことができる。
【0007】
本発明の第2目的は、前記リチウムイオン電池用電解液添加剤の調製方法を提供することであり、この方法は、簡単な混合と濾過で実現でき、簡単で実施しやすく、工業化生産することができる。
【0008】
本発明の第3目的は、リチウムイオン電池を提供することであり、本発明の前記電解液添加剤は、極片を保護することにより、リチウムイオン電池の倍率とサイクル性能の向上を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的を実現するために、特に以下の技術的解決手段を使用する。
リチウムイオン電池用電解液添加剤であって、エッチングレジスト、レジスト助剤、フィルム形成剤及び助溶剤から形成される混合物を含み、前記エッチングレジストと、前記レジスト助剤と、前記フィルム形成剤と、前記助溶剤とのモル比は、1:(0.1~1):(20~50):(0.01~0.1)である。
【0010】
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤の調製方法は、まず、エッチングレジストとフィルム形成剤を不活性雰囲気下で1回目に混合するステップと、その後、助溶剤とレジスト助剤を順次添加し、2回目に混合した後、濾過処理により前記電解液添加剤を得るステップと、を含む。
【0011】
リチウムイオン電池であって、前記リチウムイオン電池用電解液添加剤、又は前記調製方法で調製したリチウムイオン電池用電解液添加剤を含む。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0013】
(1)本発明は、レジストと成膜の二重相乗システムを使用して、リチウム電池極片の侵食問題の解決、特にアルミニウム正極の侵食問題の解決に顕著な効果があり、同時にビスフルオロスルホニルイミド系リチウム塩の場合、アルミニウム極片に対するこれらの塩の腐食作用は、他の電解質塩よりもより強く、従来のフィルム形成剤は、侵食問題によってもたらされる適用性能の著しい低下の不足を完全に解決することは困難であり、本発明は、レジストと成膜の二重の化学作用により、極片の侵食速度を低下させ、リチウム電池の電気化学性能を向上させることができる。
【0014】
(2)従来技術における各種の電解液溶媒又は電解質塩系に対して、本発明の電解液添加剤は、いずれも一定の防護作用を果たすことができ、従来の異なる系によるフィルム形成助剤の使用方法と比較して、より強い普遍性を有し、本発明の添加剤を使用することにより、技術的しきい値を効果的に低下させ、製造及び応用のコストを低減させることができる。
【0015】
(3)本発明の電解液添加剤は、調製プロセスで複雑な化学反応を伴わず、プロセスは、主に攪拌により均一分散を実現し、プロセスプロセスで副生成物を生成せず、グリーン環境保護の要求に合致し、大規模な工業化生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態と併せて、本発明の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、当業者であれば、以下に説明する実施例は、本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではなく、本発明を説明するためにのみ使用されるものであり、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではないことを理解するであろう。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。実施例には、具体的な条件が明記されていない場合、従来の条件又は製造業者が推奨する条件に従って行う。使用される試薬又は機器には、メーカーが明記されていない場合、いずれも市場で購入できる従来の製品である。
【0017】
第1態様において、本発明の実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤を提供し、前記電解液添加剤は、エッチングレジスト、レジスト助剤、フィルム形成剤及び助溶剤で形成される混合物を含み、エッチングレジストと、レジスト助剤と、フィルム形成剤と、助溶剤とのモル比は、1:(0.1~1):(20~50):(0.01~0.1)である。
【0018】
一方、本願実施例におけるリチウムイオン電池用電解液添加剤は、エッチングレジストとフィルム形成剤の成分の配合により、相乗作用を果たし、具体的には、リチウム電池の適用シナリオで、エッチングレジスト分子中のアルデヒド基は、強い極性基であり、リチウムイオンの核生成電位を低下させることができるため、リチウムデンドライト現象の生成を低減させることができ、同時に、フィルム形成剤と極片がSEI膜を形成するプロセスにおいて、アルデヒド基とアルミニウムの空軌道との間の配位作用は、SEIと極片との間の吸着作用を強化することができるため、SEI膜全体の安定性を向上させることができ、この膜は、良好なイオンチャンネルになることができるため、リチウム電池極片の侵食問題を効果的に解決することができ、特にアルミニウム正極の侵食に大きな効果がある。他方、上記活性成分は、レジスト助剤と助溶剤の配合により調製され、リチウムイオン電池用電解液添加剤は、その中に含まれる上記成分の配合により調製され、各成分のそれぞれの作用を十分に発揮することを基本とし、対応する各成分間に相乗作用があるため、本願のリチウムイオン電池用電解液添加剤は、耐腐食作用を付与される。
【0019】
好ましい実施形態として、エッチングレジストと、レジスト助剤と、フィルム形成剤と、助溶剤とのモル比は、1:(0.1~0.4):(30~40):(0.01~0.03)である。
【0020】
好ましい実施形態として、エッチングレジストは、メタリン酸リチウム、グアノシン三リン酸リチウム、α,β-メチレンアデノシン5′-三リン酸リチウム塩又は(S)-ガンシクロビル-5′-三リン酸リチウム塩のうちの少なくとも1種を含む。上記エッチングレジストは、化学構造から環状基とアルデヒド基を含み、ここで、アルデヒド基は、極性基であり、アルミニウムの空軌道と配位作用を形成することができると同時に、さらにエッチングレジストと極片との間の吸着作用を強化することができるため、レジスト効果を向上させることができる。同時に、エッチングレジストをエステル系又はスルホン系の電解液溶媒に溶解した後、電離してリン酸イオンを得、それは、アルミニウム製極片と良好な吸着作用を形成できるため、アルミニウム正極に対する防護効果が優れている。
【0021】
好ましい実施形態として、レジスト助剤は、テレフタルアルデヒド、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド、2-ピロールホルムアルデヒド、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド又は3-ピロールホルムアルデヒドのうちの少なくとも1種を含む。レジスト助剤は、共役π結合構造を有する高分子を選択するため、電解液の電気伝導率をある程度向上させることができ、それにより電気化学性能を改善するという目的を実現することができる。
【0022】
好ましい実施形態として、フィルム形成剤は、フルオロエチレンカーボネート又はエチレンカーボネートのうちの少なくとも1種を含む。フィルム形成剤としてフルオロエチレンカーボネート又はエチレンカーボネートを選択し、それとアルミニウム極片との間にSEI膜を形成することができるため、極片を防護するという目的を実現することができる。
【0023】
好ましい実施形態として、助溶剤は、フルミクロラックペンチル、ペルフルオロトリプロピルアミン、 シンフルミド又はテリフルノミドのうちの少なくとも1種を含む。電解液中のエッチングレジストの溶解度は、低く、助溶剤を添加することで、エッチングレジストの溶解度を効果的に向上させることができ、溶解度が向上するにつれて、上記技術的効果も向上する。
【0024】
好ましい実施形態として、エッチングレジスト、レジスト助剤、フィルム形成剤又は助溶剤について、2つの成分を独立して選択する場合、2つの成分のモル比は、1:1であり、例えば、エッチングレジストについて、メタリン酸リチウムとグアノシン三リン酸リチウムの2成分の組み合わせを使用する場合、メタリン酸リチウムとグアノシン三リン酸リチウムとのモル比は、1:1である。
【0025】
第2態様において、本発明の実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤の調製方法を提供し、前記調製方法は、まず、エッチングレジストとフィルム形成剤を不活性雰囲気下で1回目に混合し、その後、助溶剤とレジスト助剤を順次添加し、2回目に混合した後、濾過処理により前記電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0026】
本発明の実施例では、電解液添加剤は、調製プロセスで、複雑な化学反応を伴わず、プロセスは、主に、攪拌により均一分散を実現し、プロセスプロセスで副生成物を生成せず、グリーン環境保護の要求に合致し、大規模な工業生産に適している。
【0027】
好ましい実施形態として、1回目混合の持続時間は、1h~3hであり、前記2回目混合の持続時間は、12h~16hである。
【0028】
より好ましい実施形態として、1回目混合と2回目混合は、いずれも機械攪拌により行われ、ここで、1回目混合の持続時間は、1、1.2、1.5、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3(単位:h)を含むがこれらに限定されず、2回目混合の持続時間は、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16(単位:h)を含むがこれらに限定されない。
【0029】
好ましい実施形態として、不活性雰囲気は、窒素、ヘリウム、ネオン又はアルゴンの環境を含むがこれらに限定されない。
【0030】
好ましい実施形態として、濾過処理用ろ過網の孔径は、150メッシュ~300メッシュであり、より好ましい実施形態として、濾過処理用ろ過網の孔径は、200メッシュである。
好ましい実施形態として、濾過処理は、独立して2~4回行われる。
【0031】
第3態様において、本発明の実施例は、上記リチウムイオン電池用電解液添加剤又は上記調製方法で得られたリチウムイオン電池用電解液添加剤を含むリチウムイオン電池を提供する。
【0032】
上記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、良好な耐腐食性を有し、且つ本発明で提供されるリチウムイオン電池における電解液が上記リチウムイオン電池用電解液添加剤を含むため、本発明が提供する電池も良好な電気化学性能を有するため、電池の倍率とサイクル性能を向上させることができる。
【0033】
好ましい実施形態として、電解液添加剤の使用量は、リチウムイオン電池における電解液の全質量の0.5%~1.5%である。
【0034】
好ましい実施形態として、リチウムイオン電池の正極は、アルミニウム集電体であり、別の好ましい実施形態として、リチウムイオン電池における電解液のリチウム塩は、ビスフルオロスルホニルイミド塩である。
【実施例0035】
実施例1
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部、テレフタルアルデヒド15.6部及びフルミクロラックペンチル4.9部から形成される混合物を含む。
【0036】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート3700部に添加し、2h攪拌した後、テレフタルアルデヒド15.6部、フルミクロラックペンチル4.9部を順次添加し、12h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0037】
実施例2
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート4930部、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部及びフルミクロラックペンチル10部から形成される混合物を含む。
【0038】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート4930部に添加し、2h攪拌した後、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部、フルミクロラックペンチル10部を順次添加し、12h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0039】
実施例3
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド62.5部及びフルミクロラックペンチル15部から形成される混合物を含む。
【0040】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート3700部に添加し、1h攪拌した後、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド62.5部、フルミクロラックペンチル15部を順次添加し、14h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0041】
実施例4
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、α,β-メチレンアデノシン5′-三リン酸リチウム塩100部、フルオロエチレンカーボネート615部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド33部及びペルフルオロトリプロピルアミン6部から形成される混合物を含む。
【0042】
前記調製方法は、Ar雰囲気中、α,β-メチレンアデノシン5′-三リン酸リチウム塩100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート615部に添加し、3h攪拌した後、2-ピロールホルムアルデヒド33部、ペルフルオロトリプロピルアミン6部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0043】
実施例5
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、α,β-メチレンアデノシン5′-三リン酸リチウム塩100部、フルオロエチレンカーボネート615部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド33部及びペルフルオロトリプロピルアミン6部から形成される混合物を含む。
【0044】
前記調製方法は、Ar雰囲気中、グアノシン三リン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート800部に添加し、4h攪拌した後、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド50部、ペルフルオロトリプロピルアミン12部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0045】
実施例6
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート4320部、2-ピロールホルムアルデヒド45部及びペルフルオロトリプロピルアミン10部から形成される混合物を含む。
【0046】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート4320部に添加し、3h攪拌した後、2-ピロールホルムアルデヒド45部、ペルフルオロトリプロピルアミン10部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0047】
実施例7
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部、2-ピロールホルムアルデヒド22部、テレフタルアルデヒド31部及びペルフルオロトリプロピルアミン18部から形成される混合物を含む。
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート3700部に添加し、3h攪拌した後、2-ピロールホルムアルデヒド22部、テレフタルアルデヒド31部、ペルフルオロトリプロピルアミン18部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0048】
実施例8
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部及びペルフルオロトリプロピルアミン18部から形成される混合物を含む。
【0049】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート3700部に添加し、2h攪拌した後、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部、ペルフルオロトリプロピルアミン18部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0050】
実施例9
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、(S)-ガンシクロビル-5′-三リン酸リチウム塩100部、フルオロエチレンカーボネート600部、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド42部、3-ピロールホルムアルデヒド22部及びペルフルオロトリプロピルアミン18部から形成される混合物を含む。
【0051】
前記調製方法は、N2雰囲気中、(S)-ガンシクロビル-5′-三リン酸リチウム塩100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート600部に添加し、1h攪拌した後、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド42部、3-ピロールホルムアルデヒド22部、ペルフルオロトリプロピルアミン18部を順次添加し、15h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0052】
実施例10
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート4320部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド42部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部及びフルミクロラックペンチル5部から形成される混合物を含む。
【0053】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート4320部に添加し、1h攪拌した後、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド42部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部、フルミクロラックペンチル5部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0054】
実施例11
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド44部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部及びシンフルミド7.2部から形成される混合物を含む。
【0055】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート3700部に添加し、1h攪拌した後、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド44部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部、シンフルミド7.2部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0056】
実施例12
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド44部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部及びテリフルノミド9.4部から形成される混合物を含む。
【0057】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート3700部に添加し、1h攪拌した後、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド44部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部、テリフルノミド9.4部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0058】
実施例13
本実施例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-アミノベンズアルデヒド44部、1-メチル-2-ピロールホルムアルデヒド25部及びテリフルノミド9.4部から形成される混合物を含む。
【0059】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、エチレンカーボネート3600部に添加し、1h攪拌した後、2-ピロールホルムアルデヒド44部、ペルフルオロトリプロピルアミン9.8部を順次添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0060】
対比例1
本対比例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、フルオロエチレンカーボネート3700部及びテレフタルアルデヒド15.6から形成される混合物を含む。
【0061】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート3700部に添加し、2h攪拌した後、テレフタルアルデヒド15.6部を添加し、12h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0062】
対比例2
本対比例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、ジメチルカーボネート4930部、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部及びフルミクロラックペンチル10部から形成される混合物を含む。
【0063】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、ジメチルカーボネート4930部に添加し、2h攪拌した後、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部、フルミクロラックペンチル10部を順次添加し、12h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0064】
対比例3
本対比例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、メタリン酸リチウム100部、ジメチルカーボネート4930部、6-(2-チエニル)-2-ピリジルアルデヒド44部及びフルミクロラックペンチル10部から形成される混合物を含む。
【0065】
前記調製方法は、N2雰囲気中、メタリン酸リチウム100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート4930部に添加し、2h攪拌した後、フルミクロラックペンチル10部を添加し、12h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0066】
対比例4
本対比例は、リチウムイオン電池用電解液添加剤及びその調製方法を提供する。
前記リチウムイオン電池用電解液添加剤は、重量部で、α,β-メチレンアデノシン5′-三リン酸リチウム塩100部、フルオロエチレンカーボネート615部及び2-ピロールホルムアルデヒド33部から形成される混合物を含む。
【0067】
前記調製方法は、Ar雰囲気中、α,β-メチレンアデノシン5′-三リン酸リチウム塩100部を秤量し、フルオロエチレンカーボネート615部に添加し、3h攪拌した後、2-ピロールホルムアルデヒド33部を添加し、16h攪拌し続け、攪拌終了後、200メッシュのろ過網で3回濾過して電解液添加剤を得るステップ01を含む。
【0068】
試験例
本試験例は、それぞれ実施例1~13及び対比例1~5で調製した侵食防止添加剤を機能添加剤成分としてリチウム電池を製造し、その電気化学性能を試験し、リチウム電池の製造及び試験方法は、GB/T 42260-2022『リン酸鉄リチウム電気化学性能試験のサイクル寿命試験方法』及びGB/T 42161-2022『リン酸鉄リチウム電気化学性能試験の初回放電比容量及び初回充放電効率試験方法』を参照する。
【0069】
具体的なプロセス:一部の材料を前処理した後、正極片の製造、負極片の製造、セパレータの準備、電池の組み立て、電池の容量選別及び電池の試験のステップを順次行って、最終的な試験データを得る。具体的には:使用したリン酸鉄リチウム正極材料は、湖北万潤社製であり、黒鉛負極は、寧波杉杉社製であり、他の材料は、いずれも標準要件を満たし、リチウム片は、天津中能社製であり、導電性炭素材料は、科晶社製の導電性spであり、電解液は、基礎電解液 (Base)が濃度1.0mol/LのLiPF6溶液(溶媒は、体積比が 1:1:1 のエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC) 及びエチルメチルカーボネート(EMC)である)であり、広東燭光新能源科技有限公司から購入したものである。
【0070】
初回放電比容量と初回充放電効率の試験方法は、製造した試験電池を恒温箱に入れ、温度を(23±2) ℃に制御し、1h~2h静置した後、イオン電池電気化学性能試験機で試験することである。充放電制度は、充電制限電圧について、0.1C倍率で、3.75 Vまで定電流充電し、その後、定電圧充電し、定電圧充電遮断電流は、0.05 Cであり、放電終止電圧について、0.1C倍率で、2.0 Vまで定電流放電することである。
【0071】
サイクル寿命試験条件は、化成と容量選別を行った後の試験電池について、リチウムイオン電池電気化学性能試験機を使用してサイクル寿命試験を行うことである。充放電の電圧制限は、充電制限電圧について、3.6~3.7Vまで定電流定電圧充電し、一定充電遮断電流は、0.02 C~0.05 Cであり、放電終止電圧について、2.0V~2.5Vであることであり、充放電制度は、GB/T18287の規定に従って1C/1Cを使用して、それぞれ (23±2) ℃、(55±2)℃の周囲温度で充放電サイクルを行うことである。
【0072】
上記各試験データは、以下の表1に示すとおりである(ここで、使用量は、電解液の全質量に占める実施例又は対比例で調製した添加剤のパーセントを表す)。
【0073】
【表1】
【0074】
適切な使用量の侵食防止添加剤を使用する条件下で、リチウム電池の電気化学性能は、添加剤の使用量が増加するにつれて向上すると同時に、適切な添加量の下で、実施例で調製された添加剤は、電解液による極片への侵食を目的に応じて緩和し、性能を向上させる効果を実現することができる。
【0075】
対比例1、4では、助溶剤成分が添加されておらず、助溶剤が不足している場合、有効成分の溶解度が著しく低下し、良好な侵食防止効果を実現することは困難である。対比例2では、フルオロエチレンカーボネートの代わりにジメチルカーボネートを使用し、ジメチルカーボネートは、他の材料への溶解度が良好であるが、フルオロエチレンカーボネートの分子構造中のF原子は、その電子吸収効果が高電位条件下で電極の表面を還元/不動態化し、安定なSEI膜を形成することができ、ジメチルカーボネートは、上記作用を有していないため、その全体的な効果は、実施例よりもはるかに少ない。対比例3では、レジスト助剤が添加されておらず、エッチングレジストとレジスト助剤との間の複合作用は、侵食防止効果にとって非常に重要であるため、エッチングレジストが不足している場合、その全体的な効果は、明らかに実施例よりもはるかに少ない。
【0076】
具体的な実施例を使用して本発明を説明したが、上記各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためにのみ使用され、それらを限定するものではないことに留意されたい。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、前述の各実施例に記載された技術的解決手段を修正したり、その中の技術的特徴の一部又は全部を同等置換したりすることができることを理解すべきであり、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させなく、したがって、添付の特許請求の範囲には、本発明に属するこれらすべての置換及び修正が含まれることを意味する。