(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169299
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 516
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017101
(22)【出願日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2023-0066101
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0116184
(32)【優先日】2023-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】韓 成
(72)【発明者】
【氏名】金 省勳
(72)【発明者】
【氏名】金 美▲グム▼
(72)【発明者】
【氏名】趙 尚益
(72)【発明者】
【氏名】張 鎬勝
(72)【発明者】
【氏名】洪 奇杓
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF02
5E001AH07
5E082AB03
5E082GG12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】厚さが均一な外部電極を含み、相対的に電気的損失無く外部電極の体積を減らすことで静電容量に寄与する部分をより大きく設計する積層セラミックキャパシタを提供する。
【解決手段】積層セラミックキャパシタ1000は、第1方向で対向する第1、第2面S1、S2、第2方向で、第1、第2面を連結する第3、第4面並びに第3方向で第1、第2面を連結する第5、第6面S5、S6を含むセラミック本体110、本体内部に配置される複数の第1、第2内部電極150、160、本体外部に配置され第1内部電極に連結される第1外部電極120及び第2内部電極に連結される第2外部電極130を含む。外部電極は、第1、第2面で第1、第2内部電極に電気的に接続され、第3面~第6面のうちの少なくとも一つの面まで延長する第1、第2導電性カーボン層171、173及び前記導電性カーボン層を覆う第1、第2メッキ層180、190を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向で対向する第1面および第2面、第2方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第3面および第4面、ならびに第3方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第5面および第6面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置される複数の第1内部電極および複数の第2内部電極と、
前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第1内部電極に連結される第1外部電極と、
前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第2内部電極に連結される第2外部電極と、
を含み、
前記第1外部電極は、前記セラミック本体の前記第1面で前記複数の第1内部電極に電気的に接続され前記第3面、前記第4面、前記第5面および前記第6面のうちの少なくとも一つの面まで延長する第1導電性カーボン層と、前記第1導電性カーボン層を覆う第1メッキ層とを含み、
前記第2外部電極は、前記セラミック本体の前記第2面で前記複数の第2内部電極に電気的に接続され前記第3面、前記第4面、前記第5面および前記第6面のうちの少なくとも一つの面まで延長する第2導電性カーボン層と、前記第2導電性カーボン層を覆う第2メッキ層とを含む、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1導電性カーボン層と前記第2導電性カーボン層は、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン、およびカーボンブラックのうちの一つ以上を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1メッキ層は、
前記第1導電性カーボン層を覆う第1層、
前記第1層を覆う第2層、および
前記第2層を覆う第3層
を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第1層は銅(Cu)を含み、
前記第2層はニッケル(Ni)を含み、
前記第3層はスズ(Sn)を含む、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第2メッキ層は、
前記第2導電性カーボン層を覆う第1層、
前記第1層を覆う第2層、および
前記第2層を覆う第3層
を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1層は銅(Cu)を含み、
前記第2層はニッケル(Ni)を含み、
前記第3層はスズ(Sn)を含む、請求項5に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1導電性カーボン層の厚さは0.1μm以上20μm以下であり、
前記第2導電性カーボン層の厚さは0.1μm以上20μm以下である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1導電性カーボン層は、前記セラミック本体の前記第1面に接する部分の第1厚さ(t1)、前記第5面に接する部分の第2厚さ(t2)、および前記第6面に接する部分の第3厚さ(t3)を有し、
0<t1≦10*t2であり、0<t1≦10*t3である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記第2導電性カーボン層は、前記セラミック本体の前記第2面に接する部分の第1厚さ(t1’)、前記第5面に接する部分の第2厚さ(t2’)、および前記第6面に接する部分の第3厚さ(t3’)を有し、
0<t1’≦10*t2’であり、0<t1’≦10*t3’である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
第1方向で対向する第1面および第2面、第2方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第3面および第4面、ならびに第3方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第5面および第6面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置される複数の第1内部電極および複数の第2内部電極と、
前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第1内部電極に連結される第1外部電極と、
前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第2内部電極に連結される第2外部電極と、
を含み、
前記第1外部電極は、
前記セラミック本体の前記第1面に配置され前記複数の第1内部電極に電気的に接続される第1導電性カーボン層、および
前記セラミック本体の前記第5面に配置され前記第1面側の縁が前記第1導電性カーボン層に接する第1金属層を含み、
前記第2外部電極は、
前記セラミック本体の前記第2面に配置され前記複数の第2内部電極に電気的に接続される第2導電性カーボン層、および
前記セラミック本体の前記第5面に配置され前記第2面側の縁が前記第2導電性カーボン層に接する第2金属層を含む、積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記第1外部電極は、前記第1導電性カーボン層と前記第1金属層とを覆う第3メッキ層をさらに含み、
前記第2外部電極は、前記第2導電性カーボン層と前記第2金属層とを覆う第4メッキ層をさらに含む、請求項10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第1外部電極は、前記セラミック本体の前記第6面に配置され前記第1面側の縁が前記第1導電性カーボン層に接する第3金属層をさらに含み、
前記第2外部電極は、前記セラミック本体の前記第6面に配置され前記第2面側の縁が前記第2導電性カーボン層に接する第4金属層をさらに含む、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記第3金属層は前記第3メッキ層によって覆われ、
前記第4金属層は前記第4メッキ層によって覆われる、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記第3メッキ層は、
前記第1導電性カーボン層を覆う第1層、
前記第1層を覆う第2層、および
前記第2層を覆う第3層
を含む、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記第1層は銅(Cu)を含み、
前記第2層はニッケル(Ni)を含み、
前記第3層はスズ(Sn)を含む、請求項14に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項16】
前記第4メッキ層は、
前記第2導電性カーボン層を覆う第1層、
前記第1層を覆う第2層、および
前記第2層を覆う第3層
を含む、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項17】
前記第1層は銅(Cu)を含み、
前記第2層はニッケル(Ni)を含み、
前記第3層はスズ(Sn)を含む、請求項16に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は積層セラミックキャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を使用する電子部品としてキャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタまたはサーミスタなどがある。このようなセラミック電子部品のうちの積層セラミックキャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor、MLCC)は小型でありながら高容量が得られ実装が容易であるという長所によって多様な電子装置に使用できる。
【0003】
例えば、積層セラミックキャパシタは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、プラズマディスプレイパネル(plasma display panel、PDP)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末およびスマートフォンのような様々の電子製品の基板に装着されて電気を充電させるか放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサに使用できる。
【0004】
積層セラミックキャパシタは、セラミック本体の内部に配置される内部電極とセラミック本体の外部に配置され内部電極に連結される外部電極とを含むことができる。外部電極は、外部電極形成用ペーストにセラミック本体をディッピング(dipping)しブロッティング(blotting)して形成することができる。このような方式で外部電極を形成すると、導電性ペーストの流動学(rheology)特性のため、外部電極が形成される位置によって厚さの差ができて均一度が低下するという問題が発生することがある。さらに、このような外部電極をシード(seed)にして導電性金属をメッキする場合、メッキ液浸透による信頼性問題が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態の一側面は、厚さが均一な外部電極を含む積層セラミックキャパシタを提供しようとする。
【0006】
また、実施形態の一側面は、相対的に電気的損失無く外部電極の体積を減らすことによって静電容量に寄与する部分をより大きく設計することができる積層セラミックキャパシタを提供しようとする。
【0007】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態による積層セラミックキャパシタは、第1方向で対向する第1面および第2面、第2方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第3面および第4面、ならびに第3方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第5面および第6面を含むセラミック本体と、前記セラミック本体の内部に配置される複数の第1内部電極および複数の第2内部電極と、前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第1内部電極に連結される第1外部電極と、前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第2内部電極に連結される第2外部電極とを含み、前記第1外部電極は、前記セラミック本体の前記第1面で前記複数の第1内部電極に電気的に接続され前記第3面、前記第4面、前記第5面、および前記第6面のうちの少なくとも一つの面まで延長する第1導電性カーボン(carbon)層と、前記第1導電性カーボン層を覆う第1メッキ層とを含み、前記第2外部電極は、前記セラミック本体の前記第2面で前記複数の第2内部電極に電気的に接続され前記第3面、前記第4面、前記第5面、および前記第6面のうちの少なくとも一つの面まで延長する第2導電性カーボン層と、前記第2導電性カーボン層を覆う第2メッキ層とを含むことができる。
【0009】
また、前記第1導電性カーボン層と前記第2導電性カーボン層は、黒鉛(graphite)、グラフェン(graphene)、カーボンナノチューブ(carbon nanotube)、フラーレン(fullerene)、およびカーボンブラック(carbon black)のうちの一つ以上を含むことができる。
【0010】
また、前記第1メッキ層は、前記第1導電性カーボン層を覆う第1層、前記第1層を覆う第2層、および前記第2層を覆う第3層を含むことができる。
【0011】
また、前記第1層は銅(Cu)を含み、前記第2層はニッケル(Ni)を含み、前記第3層はスズ(Sn)を含むことができる。
【0012】
また、前記第2メッキ層は、前記第2導電性カーボン層を覆う第1層、前記第1層を覆う第2層、および前記第2層を覆う第3層を含むことができる。
【0013】
また、前記第1層は銅(Cu)を含み、前記第2層はニッケル(Ni)を含み、前記第3層はスズ(Sn)を含むことができる。
【0014】
また、前記第1導電性カーボン層の厚さは0.1μm以上20μm以下であり、前記第2導電性カーボン層の厚さは0.1μm以上20μm以下であってもよい。
【0015】
また、前記第1導電性カーボン層は、前記セラミック本体の前記第1面に接する部分の第1厚さ(t1)、前記第5面に接する部分の第2厚さ(t2)、および前記第6面に接する部分の第3厚さ(t3)を有し、0<t1≦10*t2であり0<t1≦10*t3であってもよい。
【0016】
また、前記第2導電性カーボン層は、前記セラミック本体の前記第2面に接する部分の第1厚さ(t1’)、前記第5面に接する部分の第2厚さ(t2’)、および前記第6面に接する部分の第3厚さ(t3’)を有し、0<t1’≦10*t2’であり0<t1’≦10*t3’であってもよい。
【0017】
他の実施形態による積層セラミックキャパシタは、第1方向で対向する第1面および第2面、第2方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第3面および第4面、ならびに第3方向で対向し前記第1面および前記第2面を連結する第5面および第6面を含むセラミック本体と、前記セラミック本体の内部に配置される複数の第1内部電極および複数の第2内部電極と、前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第1内部電極に連結される第1外部電極と、前記セラミック本体の外部に配置され前記複数の第2内部電極に連結される第2外部電極とを含み、前記第1外部電極は、前記セラミック本体の前記第1面に配置され前記複数の第1内部電極に電気的に接続される第1導電性カーボン(carbon)層、および前記セラミック本体の前記第5面に配置され前記第1面側の縁が前記第1導電性カーボン層に接する第1金属層を含み、前記第2外部電極は、前記セラミック本体の前記第2面に配置され前記複数の第2内部電極に電気的に接続される第2導電性カーボン層、および前記セラミック本体の前記第5面に配置され前記第2面側の縁が前記第2導電性カーボン層に接する第2金属層を含むことができる。
【0018】
また、前記第1外部電極は、前記第1導電性カーボン層と前記第1金属層とを覆う第3メッキ層をさらに含み、前記第2外部電極は、前記第2導電性カーボン層と前記第2金属層とを覆う第4メッキ層をさらに含むことができる。
【0019】
また、前記第1外部電極は、前記セラミック本体の前記第6面に配置され前記第1面側の縁が前記第1導電性カーボン層に接する第3金属層をさらに含み、前記第2外部電極は、前記セラミック本体の前記第6面に配置され前記第2面側の縁が前記第2導電性カーボン層に接する第4金属層をさらに含むことができる。
【0020】
また、前記第3金属層は前記第3メッキ層によって覆われ、前記第4金属層は前記第4メッキ層によって覆われてもよい。
【0021】
また、前記第3メッキ層は、前記第1導電性カーボン層を覆う第1層、前記第1層を覆う第2層、および前記第2層を覆う第3層を含むことができる。
【0022】
また、前記第1層は銅(Cu)を含み、前記第2層はニッケル(Ni)を含み、前記第3層はスズ(Sn)を含むことができる。
【0023】
また、前記第4メッキ層は、前記第2導電性カーボン層を覆う第1層、前記第1層を覆う第2層、および前記第2層を覆う第3層を含むことができる。
【0024】
また、前記第1層は銅(Cu)を含み、前記第2層はニッケル(Ni)を含み、前記第3層はスズ(Sn)を含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
実施形態による積層セラミックキャパシタによれば、外部電極が均一な厚さで形成されて縁(edge)やコーナー(corner)部の金属電極の均一度(coverage)が改善できる。
【0026】
また、実施形態による積層セラミックキャパシタによれば、相対的に電気的損失無く外部電極の体積を減らすことによって静電容量に寄与する部分をさらに大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図である。
【
図3】
図1の積層セラミックキャパシタで内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【
図4】
図1の積層セラミックキャパシタの外部電極が形成される過程を概略的に示した図である。
【
図5】他の実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図である。
【
図7】
図5の積層セラミックキャパシタの外部電極が形成される過程を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付けた。また、添付図面において一部構成要素は誇張されるか省略されるかまたは概略的に図示され、各構成要素の大きさは実際の大きさを全て反映するものではない。
【0029】
添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が限定されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0030】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0031】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向側に“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0032】
明細書全体で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対の記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0034】
また、明細書全体で、“連結される”という時、これは二つ以上の構成要素が直接的に連結されることのみを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく電気的に連結されること、または位置や機能によって異なる名称で称されたが、一体であることを意味することができる。
【0035】
図1は一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図であり、
図2は
図1のII-II’線による断面図であり、
図3は
図1の積層セラミックキャパシタで内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【0036】
図1、
図2および
図3を参照すれば、本実施形態による積層セラミックキャパシタ1000は、セラミック本体110、第1外部電極120、第2外部電極130、複数の第1内部電極150、および複数の第2内部電極160を含む。
【0037】
まず、本実施形態を明確に説明するために方向を定義すると、図面に表示されたL軸、W軸、およびT軸はそれぞれ積層セラミックキャパシタ1000の長さ方向、幅方向、および厚さ方向を示す軸を指す。
【0038】
厚さ方向(T軸方向)は、シート(sheet)形状を有する構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよい。例えば、厚さ方向(T軸方向)は、誘電体層140が積層される方向と同一な概念として使用できる。
【0039】
長さ方向(L軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に平行な方向であって厚さ方向(T軸方向)と交差(または直交)する方向であってもよい。例えば、長さ方向(L軸方向)は、第1外部電極120と第2外部電極130が互いに対向する方向であってもよい。
【0040】
幅方向(W軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に平行な方向であって厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と同時に交差(または直交)する方向であってもよい。
【0041】
セラミック本体110は大略六面体形状に形成できるが、本実施形態はこれに限定されない。焼成(sintering)時、収縮によって、セラミック本体110は完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。例えば、セラミック本体110は大略直六面体形状であるが、角や頂点に該当する部分が丸い形状を有することができる。
【0042】
本実施形態では、説明の便宜のために、長さ方向(L軸方向)で互いに対向する面を第1面S1および第2面S2と定義し、幅方向(W軸方向)で互いに対向して第1面S1と第2面S2とを連結する面を第3面S3および第4面S4と定義し、厚さ方向(T軸方向)で互いに対向して第1面S1と第2面S2とを連結する面を第5面S5および第6面S6と定義することにする。
【0043】
したがって、第1面S1と第2面S2が対向する方向である第1方向は長さ方向(L軸方向)であり、第1方向に垂直であり互いに垂直な第2方向および第3方向はそれぞれ厚さ方向(T軸方向)および幅方向(W軸方向)または幅方向(W軸方向)および厚さ方向(T軸方向)であり得る。
【0044】
セラミック本体110の長さは、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部での長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さのうちの最大値を意味することができる。一方、セラミック本体110の長さは、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分の長さのうちの最小値を意味することができる。他方、セラミック本体110の長さは、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し長さ方向(L軸方向)と平行な複数の線分のうちの少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0045】
セラミック本体110の厚さは、セラミック本体110の幅方向(W軸方向)中央部での長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さのうちの最大値を意味することができる。一方、セラミック本体110の厚さは、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分の長さのうちの最小値を意味することができる。他方、セラミック本体110の厚さは、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し厚さ方向(T軸方向)と平行な複数の線分のうちの少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0046】
セラミック本体110の幅は、セラミック本体110の厚さ方向(T軸方向)中央部での長さ方向(L軸方向)-幅方向(W軸方向)断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さのうちの最大値を意味することができる。一方、セラミック本体110の幅は、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分の長さのうちの最小値を意味することができる。他方、セラミック本体110の幅は、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し幅方向(W軸方向)と平行な複数の線分のうちの少なくとも2個の線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0047】
セラミック本体110は、厚さ方向(T軸方向)に積層された複数の誘電体層140を含むことができる。誘電体層140の間の境界は不明確であってもよい。例えば、誘電体層140の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いなければ確認しにくい程度であり、複数の誘電体層140は一体型構造体に見えることもある。
【0048】
第1内部電極150と第2内部電極160は誘電体層140を挟んで交互に積層されてもよい。このような積層構造はセラミック本体110内で繰り返され、セラミック本体110の第5面S5と第6面S6に最も近い内部電極は第1内部電極150であってもよく第2内部電極160であってもよい。
【0049】
第1内部電極150と第2内部電極160は互いに異なる極性を有し、その間に配置された誘電体層140によって互いに電気的に絶縁できる。
【0050】
第1内部電極150および第2内部電極160は誘電体層140を挟んで互いに長さ方向(L軸方向)にずれるように配置できる。第1内部電極150の片側端部はセラミック本体110の第1面S1を通じて露出され、第2内部電極160の片側端部はセラミック本体110の第2面S2を通じて露出できる。セラミック本体110の第1面S1から露出された第1内部電極150の端部は第1外部電極120に接続できる。セラミック本体110の第2面S2から露出された第2内部電極160の端部は第2外部電極130に接続できる。
【0051】
第1内部電極150および第2内部電極160は、導電性金属を含む導電性ペーストを誘電体層140表面に印刷して形成することができる。例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法(screen printing)やグラビア印刷法(gravure printing)で誘電体層表面に印刷して内部電極を形成することができる。但し、本実施形態はこれに限定されない。
【0052】
一例として、第1内部電極150および第2内部電極160の平均厚さは大略0.1μm以上2μm以下であってもよい。
【0053】
前述のような構成により、第1外部電極120および第2外部電極130に電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極150および第2内部電極160の間に電荷が蓄積される。即ち、第1外部電極120に電気的に連結された第1内部電極150と第2外部電極130に電気的に連結された第2内部電極160の間で静電容量を得ることができる。積層セラミックキャパシタ1000の静電容量は厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに重畳する第1内部電極150と第2内部電極160の重畳した面積に比例する。
【0054】
言い換えれば、積層セラミックキャパシタ1000は、アクティブ(active)領域とマージン(margin)領域を含むことができる。アクティブ領域は第1内部電極150と第2内部電極160が厚さ方向(T軸方向)に沿って重畳する領域を指し、マージン領域はアクティブ領域とセラミック本体110の第1面S1との間の領域およびアクティブ領域とセラミック本体110の第2面S2との間の領域を指すことができる。
【0055】
積層セラミックキャパシタ1000はその長さと幅を基準にして分類される。したがって、同一な長さや幅を有する積層セラミックキャパシタでも外部電極の厚さによってセラミック本体の大きさが変わることがある。即ち、より薄い外部電極を有する積層セラミックキャパシタはより厚い外部電極を有する積層セラミックキャパシタに比べてより大きいセラミック本体を有することができる。セラミック本体がより大きいということは、前述のアクティブ領域がより大きいということを意味し、延いては静電容量がより大きいということを意味することができる。結局、積層セラミックキャパシタの外部電極が薄くなるほど静電容量が大きくなり得る。本実施形態では、積層セラミックキャパシタの外部電極を形成する時、導電性カーボン層をメッキ成長用シード層として用いることによって外部電極の厚さを薄くすることができ、それによる有利な効果を得ることができる。これについては以下でさらに詳しく説明する。
【0056】
アクティブ領域の厚さ方向(T軸方向)外側には第1カバー層143および第2カバー層145が配置されることができる。
【0057】
第1カバー層143は、セラミック本体110の第5面S5とそれに最も近い内部電極との間に配置される。第2カバー層145はセラミック本体110の第6面S6とそれに最も近い内部電極との間に配置される。
【0058】
即ち、セラミック本体110内で最上部にある内部電極の上部に第1カバー層143が配置され、最下部にある内部電極の下部に第2カバー層145が配置されることができる。第1カバー層143および第2カバー層145は誘電体層140と同一の組成を有することができる。最も上側の内部電極の外表面と最も下側の内部電極の外表面に誘電体層をそれぞれ1つ以上積層して第1カバー層143および第2カバー層145を形成することができる。
【0059】
第1カバー層143および第2カバー層145は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極150および第2内部電極160の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0060】
誘電体層140は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料はBaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これらの成分にマンガン(Mn)化合物、鉄(Fe)化合物、クロム(Cr)化合物、コバルト(Co)化合物、ニッケル(Ni)化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、誘電体層はBaTiO3にカルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3などがあるが、本発明はこれに限定されない。
【0061】
また、誘電体層140にはセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤のうちの一つ以上がさらに含まれてもよい。セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などであってもよい。
【0062】
一例として、誘電体層140の平均厚さは0.1μm~10μmであってもよいが、本実施形態はこれに限定されない。
【0063】
第1外部電極120および第2外部電極130は、セラミック本体110の外部に備えられる。
【0064】
第1外部電極120は、セラミック本体110の第1面S1に配置され第3面S3、第4面S4、第5面S5、および第6面S6まで延長することができる。第2外部電極130は、セラミック本体110の第2面S2に配置され第3面S3、第4面S4、第5面S5、および第6面S6まで延長することができる。他の実施形態で、第1外部電極120および第2外部電極130は、第5面S5および第6面S6のうちの少なくとも一つの面の一部まで延長することができる。
【0065】
第1外部電極120は、第1接続部121、第1バンド部123および第1角部125を含む。
【0066】
第1接続部121は、セラミック本体110の第1面S1を覆い、複数の第1内部電極150の露出された端部と接続されて電気的に連結される部分である。
【0067】
他の実施形態で、第1接続部121は、セラミック本体110の第1面S1の一部分を覆うことができる。
【0068】
第1バンド部123は、第1接続部121から延長してセラミック本体110の第3面S3、第4面S4、第5面S5、および第6面S6の少なくとも一部を覆う。第1バンド部123は、第1外部電極120がセラミック本体110にさらに強く固着されるようにすることができる。
【0069】
第1角部125は、第1接続部121と第1バンド部123とを連結する部分であってもよい。
【0070】
第2外部電極130は、第2接続部131、第2バンド部133および第2角部135をそれぞれ含む。
【0071】
第2接続部131は、セラミック本体110の第2面S2を覆い、複数の第2内部電極160の露出された端部と接続されて電気的に連結される部分である。
【0072】
他の実施形態で、第2接続部131は、セラミック本体110の第2面S2の一部分を覆うことができる。
【0073】
第2バンド部133は、第2接続部131から延長してセラミック本体110の第3面S3、第4面S4、第5面S5、および第6面S6の少なくとも一部を覆う。第2バンド部133は、第2外部電極130がセラミック本体110にさらに強く固着されるようにすることができる。
【0074】
第2角部135は、第2接続部131と第2バンド部133とを連結する部分であってもよい。
【0075】
積層セラミックキャパシタ1000の幅方向(W)中央部での長さ方向(L)-厚さ方向(T)断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、前述の断面写真に示された積層セラミックキャパシタ1000で、第1接続部121および第2接続部131は概ね厚さ方向(T軸方向)に平行な形状を有することができ、第1バンド部123および第2バンド部133は概ね長さ方向(L軸方向)に平行な形状を有することができ、第1角部125および第2角部135は曲線形状を有することができる。前述の曲線形状は、厚さ方向(T軸方向)に平行な方向から長さ方向(L軸方向)に平行な方向に(またはその反対方向に)傾きが変わる接線(tangent)を有する曲線形状であってもよい。
【0076】
第1および第2バンド部123、133と第1および第2接続部121、123に比べて、第1および第2角部125、135に応力がより集中し得る。したがって、第1および第2角部125、135が破損するか第1および第2角部125、135に亀裂が発生する場合、破損するか亀裂が発生した部分は水分が浸透する経路になることがある。このような問題を予防するためには、第1および第2角部125、135の厚さを増加させて機械的物性を強化する必要がある。本実施形態によれば、導電性カーボン層をメッキ成長用シード層として用いてメッキ層を形成することによって第1および第2角部125、135の厚さを増加させ機械的および電気的特性を向上させることができる。これについては以下でさらに詳しく説明する。
【0077】
図4は、
図1の積層セラミックキャパシタの外部電極が形成される過程を概略的に示した図である。説明の便宜上、積層セラミックキャパシタの片側の外部電極が形成される過程のみ
図4に示したが、他の側の外部電極もこれと同一の過程で形成できる。
【0078】
図1、
図2および
図4を参照すれば、第1外部電極120は第1導電性カーボン層171および第1メッキ層180を含み、第2外部電極130は第2導電性カーボン層173および第2メッキ層190を含むことができる。
【0079】
第1外部電極120は、第1導電性カーボン層171と第1導電性カーボン層171を覆う第1メッキ層180とを含むことができる。第1導電性カーボン層171はセラミック本体110に直接接触する。例えば、第1導電性カーボン層171は、セラミック本体110の第1面S1、第3面S3、第4面S4、第5面S5、および第6面S6の少なくとも一部を覆うことができる。
【0080】
第2外部電極130は、第2導電性カーボン層173と第2導電性カーボン層173を覆う第2メッキ層190とを含むことができる。第2導電性カーボン層173はセラミック本体110に直接接触する。第2導電性カーボン層173は、セラミック本体110の第2面S2、第3面S3、第4面S4、第5面S5、および第6面S6の少なくとも一部を覆うことができる。
【0081】
第1導電性カーボン層171および第2導電性カーボン層173は導電性炭素材料を含むことができる。例えば、第1導電性カーボン層171および第2導電性カーボン層173は、黒鉛(graphite)、グラフェン(graphene)、カーボンナノチューブ(carbon nanotube)、フラーレン(fullerene)、およびカーボンブラック(carbon black)のうちの一つ以上を含むことができる。
【0082】
一例として、導電性炭素材料が含まれている分散液にセラミック本体を部分的にディッピング(dipping)して溶液の希釈程度によって塗布した後170℃で10分間熱乾燥し硬化することによって固相の導電性カーボン層を大略0.05μm以上20μm以下の厚さで形成することができる。ここで、導電性炭素材料が含まれている溶液の固形物(solid contents)の含量が大略1wt%から20wt%の水準になるように希釈比率を設定することによって、そしてディッピング(dipping)し乾燥する工程の反復回数を調整することによって、導電性カーボン層の厚さを調整することができる。
【0083】
第1メッキ層180は第1導電性カーボン層171を覆い、第2メッキ層190は第2導電性カーボン層173を覆う。
【0084】
第1メッキ層180は、導電性金属を第1導電性カーボン層171に直接メッキして形成することができる。即ち、第1導電性カーボン層171はメッキ用シード(seed)層としての役割を果たすことができる。第2メッキ層190は、導電性金属を第2導電性カーボン層173に直接メッキして形成することができる。即ち、第2導電性カーボン層173はメッキ用シード層としての役割を果たすことができる。ここで、導電性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができるが、本実施形態はこれに限定されない。
【0085】
第1メッキ層180と第2メッキ層190は全て複数の層からなり得る。例えば、第1メッキ層180は、第1導電性カーボン層171を覆う第1層181、第1層181を覆う第2層183、および第2層183を覆う第3層185を含むことができる。第1層181は銅(Cu)を含むことができ、第2層183はニッケル(Ni)を含むことができ、第3層185はスズ(Sn)を含むことができるが、本実施形態はこれに限定されない。
【0086】
また、第2メッキ層190は、第2導電性カーボン層173を覆う第1層191、第1層191を覆う第2層193、および第2層193を覆う第3層195を含むことができる。第1層191は銅(Cu)を含むことができ、第2層193はニッケル(Ni)を含むことができ、第3層195はスズ(Sn)を含むことができるが、本実施形態はこれに限定されない。
【0087】
第1導電性カーボン層171の厚さおよび第2導電性カーボン層173の厚さはどちらも0.1μm以上20μm以下であってもよい。
【0088】
第1導電性カーボン層171の厚さおよび第2導電性カーボン層173の厚さは、積層セラミックキャパシタ1000の幅方向(W)中央部での長さ方向(L)-厚さ方向(T)断面(cross section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。第1導電性カーボン層171の厚さは、前述の断面写真に示されたセラミック本体110の測定位置上の同一間隔で離れた5地点で測定した第1導電性カーボン層171の厚さの算術平均値であってもよい。前述の測定位置は、セラミック本体110の第1面S1、第3面S3、第4面S4、第5面S5、第6面S6、第3面S3と第1面S1とが接する角、第4面S4と第1面S1とが接する角、第5面S5と第1面S1とが接する角、第6面S6と第1面S1とが接する角であってもよい。第2導電性カーボン層173の厚さもこれと同様の方法で測定した値であってもよい。
【0089】
第1導電性カーボン層171の厚さおよび第2導電性カーボン層173の厚さが全て0.1μm未満であれば、第1および第2メッキ層180、190が安定的に形成されにくい。即ち、部分的な核形成(nucleation)のみが起こり全体的に連続的なメッキ層が形成されないことがある。例えば、第1導電性カーボン層171の厚さおよび第2導電性カーボン層173の厚さが全て0.1μm未満であれば、銅(Cu)を含む第1層181、191が導電性カーボン層171、173に十分に形成されないことがある。
【0090】
第1導電性カーボン層171の厚さまたは第2導電性カーボン層173の厚さが20μmを超過すれば、第1外部電極120または第2外部電極130の厚さが過度に厚くなって本実施形態による厚さ減少効果を期待しにくい。
【0091】
セラミック本体110の第1面S1上の第1導電性カーボン層171の厚さ(t1)は、セラミック本体110の第5面S5上の第1導電性カーボン層171の厚さ(t2)の10倍以下であってもよく、セラミック本体110の第1面S1上の第1導電性カーボン層171の厚さ(t1)は、セラミック本体110の第6面S6上の第1導電性カーボン層171の厚さ(t3)の10倍以下であってもよい。
【0092】
言い換えれば、0<t1≦10*t2であり0<t1≦10*t3であってもよい。
【0093】
これと同様に、セラミック本体110の第2面S2上の第2導電性カーボン層173の厚さ(t1’)は、セラミック本体110の第5面S5上の第2導電性カーボン層173の厚さ(t2’)の10倍以下であってもよく、セラミック本体110の第2面S2上の第2導電性カーボン層173の厚さ(t1’)は、セラミック本体110の第6面S6上の第2導電性カーボン層173の厚さ(t3’)の10倍以下であってもよい。
【0094】
言い換えれば、0<t1’≦10*t2’であり0<t1’≦10*t3’であってもよい。
【0095】
即ち、セラミック本体110の第1面S1に配置された第1導電性カーボン層171は第5面S5または第6面S6に配置された第1導電性カーボン層171より厚くてもよいが、その厚さの比(t1/t2またはt1/t3)は10を超えないものであってもよい。これと同様に、セラミック本体110の第2面S2に配置された第2導電性カーボン層173は第5面S5または第6面S6に配置された第2導電性カーボン層173より厚くてもよいが、その厚さの比(t1’/t2’またはt1’/t3’)は10を超えないものであってもよい。
【0096】
積層セラミックキャパシタ1000がその長さと幅を基準にして分類されるので、セラミック本体110の第1面S1に配置される第1導電性カーボン層171および第1メッキ層180と第2面S2に配置される第2導電性カーボン層173および第2メッキ層190の厚さを増加させるには限界があることがある。この点を考慮する時、セラミック本体110の第1面S1および第2面S2に配置された導電性カーボン層171、173と第5面S5(または第6面S6)に配置された導電性カーボン層171、173の厚さの比(t1/t2またはt1/t3)が10を超えるということは、セラミック本体110の第5面S5または第6面S6に配置された導電性カーボン層171、173の絶対的な厚さが非常に薄いということを意味することができる。セラミック本体110の第5面S5または第6面S6に配置された導電性カーボン層171、173が過度に薄ければメッキ層180、190が均一に形成されにくい。特に、その場合、セラミック本体110の第5面S5または第6面S6が第1面S1および第2面S2と接する角領域にメッキ層が十分に形成されないことがある。
【0097】
本実施形態のように、導電性カーボン層をメッキ成長用シード層として使用してメッキ層を形成すると、外部電極を均一な厚さで形成できる。即ち、外部電極の接続部、バンド部および角部間の厚さ偏差が減少し、積層セラミックキャパシタの形状が改善されて長さ方向(L軸方向)の設計自由度が増加し得る。
【0098】
また、本実施形態によれば、外部電極のバンド部にも導電性カーボン層が配置されることができる。これにより水分が積層セラミックキャパシタの内部に浸透することが防止されるので、耐湿特性が保障され寿命が延長され得る。さらに、積層セラミックキャパシタを基板に実装した後曲げ発生によるクラック(flex crack)に対する抵抗性が増加し得る。
【0099】
本実施形態とは異なり、外部電極形成用ペーストにセラミック本体をディッピング(dipping)しブロッティング(blotting)して外部電極を形成する場合、セラミック本体の厚さ方向(T軸方向)中央部の外部電極の厚さは厚い反面、厚さ方向(T軸方向)両端の外部電極の厚さは薄い問題が発生することがある。即ち、外部電極が均一な厚さで形成されないことがあるので、前述の多様な問題が発生することがある。
【0100】
図5は他の実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図であり、
図6は
図5のVI-VI’線による断面図である。
図7は、
図5の積層セラミックキャパシタの外部電極が形成される過程を概略的に示した図である。説明の便宜上、積層セラミックキャパシタの片側の外部電極が形成される過程のみ
図7に示したが、他の側の外部電極もこれと同一の過程で形成できる。
【0101】
図5、
図6および
図7を参照すれば、積層セラミックキャパシタ2000は、セラミック本体110、第1外部電極1120、第2外部電極1130、複数の第1内部電極150および複数の第2内部電極160を含む。
【0102】
第1外部電極1120は、セラミック本体110の第1面S1に配置され第5面S5および第6面S6まで延長することができる。即ち、第1外部電極1120は、セラミック本体110の第1面S1、第5面S5、および第6面S6に配置されることができる。但し、本実施形態はこれに限定されないので、第1外部電極1120はセラミック本体110の第1面S1と第5面S5に配置されるか、第1面S1と第6面S6に配置されてもよい。第1外部電極1120はセラミック本体110の第3面S3と第4面S4には配置されない。
【0103】
第2外部電極1130は、セラミック本体110の第2面S2に配置され第5面S5および第6面S6まで延長することができる。即ち、第2外部電極1130は、セラミック本体110の第2面S2、第5面S5、および第6面S6に配置されることができる。但し、本実施形態はこれに限定されないので、第2外部電極1130はセラミック本体110の第2面S2と第5面S5に配置されるか、第2面S2と第6面S6に配置されてもよい。第2外部電極1130はセラミック本体110の第3面S3と第4面S4には配置されない。
【0104】
第1外部電極1120は第1導電性カーボン層1171、第1金属層1210、第3金属層1230、および第3メッキ層1180を含むことができる。
【0105】
第1導電性カーボン層1171は、セラミック本体110の第1面S1に配置される。第1導電性カーボン層1171はセラミック本体110の第1面S1から他の面まで延長しない。即ち、第1導電性カーボン層1171はセラミック本体110の第3面S3、第4面S4、第5面S5、および第6面S6には配置されない。
【0106】
第1導電性カーボン層1171は複数の第1内部電極150の片側端部に連結できる。
【0107】
第1金属層1210はセラミック本体110の第5面S5に配置され、第3金属層1230はセラミック本体110の第6面S6に配置される。
【0108】
第1金属層1210は、セラミック本体110の第5面S5の中央部から第1面S1方向に離隔した地点で第5面S5の一部分を覆うことができる。例えば、第1金属層1210は、セラミック本体110の第5面S5の第1面S1側の縁、第3面S3側の縁、および第4面S4側の縁に接し第5面S5の一部分を覆うことができる。
【0109】
第3金属層1230は、セラミック本体110の第6面S6の中央部から第1面S1方向に離隔した地点で第6面S6の一部分を覆うことができる。例えば、第3金属層1230はセラミック本体110の第6面S6の第1面S1側の縁、第3面S3側の縁、および第4面S4側の縁に接し第6面S6の一部分を覆うことができる。
【0110】
第1金属層1210および第3金属層1230は例えば以下のような方法で形成できる。
【0111】
表面に内部電極が形成されたセラミックグリーンシート(ceramic green sheet)を互いに重ねてシート積層体を形成した後、シート積層体の表面に導電性ペーストを印刷して金属パターンを形成する。例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)合金または銅(Cu)合金を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法(screen printing)やグラビア印刷法(gravure printing)でシート積層体の表面に印刷して金属パターンを形成することができる。但し、本実施形態はこれに限定されない。金属パターンが形成されたシート積層体を切断(dicing)してグリーンチップ(green chip)を製造する。この切断過程で金属パターンは切断されてそれぞれ第1金属層と第3金属層になり得る。
【0112】
第1金属層1210の第1面S1側の縁は第1導電性カーボン層1171に接していてもよい。ここで、第1金属層1210と第1導電性カーボン層1171は連続した界面を有することができる。したがって、第1金属層1210と第1導電性カーボン層1171との間でセラミック本体110の表面が露出されないことになる。
【0113】
第1金属層1210と第1導電性カーボン層1171との界面はセラミック本体110の第1面S1と第5面S5との間の第1角部1125に存在し得るが、これに限定されない。例えば、第1金属層1210と第1導電性カーボン層1171の境界は第1角部1125と第5面S5との界面上にあり得る。但し、第1導電性カーボン層1171がセラミック本体110の第1面S1に配置されるので、第1金属層1210と第1導電性カーボン層1171との界面はセラミック本体110の第1面S1に形成されない。
【0114】
第3金属層1230の第1面S1側の縁は第1導電性カーボン層1171に接していてもよい。ここで、第3金属層1230と第1導電性カーボン層1171は連続した界面を有することができる。したがって、第3金属層1230と第1導電性カーボン層1171との間でセラミック本体110の表面が露出されないことになる。
【0115】
第3金属層1230と第1導電性カーボン層1171との界面はセラミック本体110の第1面S1と第6面S6との間の第3角部1127に存在し得るが、これに限定されない。例えば、第3金属層1230と第1導電性カーボン層1171との界面は第3角部1127と第6面S6との界面上にあり得る。但し、第1導電性カーボン層1171がセラミック本体110の第1面S1に配置されるので、第3金属層1230と第1導電性カーボン層1171との界面はセラミック本体110の第1面S1に形成されない。
【0116】
第1導電性カーボン層1171、第1金属層1210および第3金属層1230は第3メッキ層1180によって覆われてもよい。即ち、セラミック本体110の第1面S1上の第1導電性カーボン層1171、第5面S5上の第1金属層1210および第6面S6上の第3金属層1230が第3メッキ層1180によって一度に覆われてもよい。
【0117】
第3メッキ層1180は導電性金属を第1導電性カーボン層1171、第1金属層1210および第3金属層1230上に直接メッキして形成できる。即ち、第1導電性カーボン層1171、第1金属層1210および第3金属層1230はメッキ用シード(seed)層としての役割を果たすことができる。ここで、導電性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができるが、本実施形態はこれに限定されない。
【0118】
第3メッキ層1180は複数の層からなり得る。例えば、第3メッキ層1180は第1導電性カーボン層1171、第1金属層1210および第3金属層1230を全て覆う第1層1181、第1層1181を覆う第2層1183、および第2層1183を覆う第3層1185を含むことができる。
【0119】
第1層1181は銅(Cu)を含むことができ、第2層1183はニッケル(Ni)を含むことができ、第3層1185はスズ(Sn)を含むことができるが、本実施形態はこれに限定されない。
【0120】
第2外部電極1130は、第2導電性カーボン層1173、第2金属層1220、第4金属層1240、および第4メッキ層1190を含むことができる。第2外部電極1130はその位置を除けばその構造および構成要素は第1外部電極1120の構造および構成要素と同一なので、第2外部電極1130に対する重複する説明は省略する。
【0121】
図7を参照すれば、金属パターンが印刷されたシート積層体を切断してグリーンチップを製造し、グリーンチップを焼成することによってセラミック本体110の第5面S5(および/または第6面S6)に第1金属層1210(および/または第3金属層1230)を形成した後、セラミック本体110の第1面S1(および第2面S2)に第1導電性カーボン層1171(および第2導電性カーボン層1173)を形成することができる。一例として、導電性炭素材料が含まれている分散液にセラミック本体を部分的にディッピング(dipping)して溶液の希釈程度によって塗布した後170℃で10分間熱乾燥し硬化することによって固相の導電性カーボン層を大略0.05μm以上20μm以下の厚さで形成することができる。ここで、導電性炭素材料が含まれている溶液の固形物(solid contents)の含量が大略1wt%から20wt%の水準になるように希釈比率を設定することによって、そしてディッピング(dipping)し乾燥する工程の反復回数を調整することによって、導電性カーボン層の厚さを調整することができる。その次に、導電性金属を第1導電性カーボン層1171、第1金属層1210および第3金属層1230に直接メッキして第3メッキ層1180を形成することができる。例えば、銅(Cu)を電解メッキして第3メッキ層1180を形成することができる。ここで、第1導電性カーボン層1171、第1金属層1210および第3金属層1230はメッキ用シード(seed)層としての役割を果たすことができる。第1導電性カーボン層1171はセラミック本体110の第1面S1に配置され、第1金属層1210は第5面S5に配置され、第3金属層1230は第6面S6に配置されるので、セラミック本体110の第3面S3と第4面S4には第3メッキ層1180が形成されない。結局、第1外部電極1120および第2外部電極1130はセラミック本体110の第3面S3と第4面S4には配置されない。
【0122】
本実施形態では第1外部電極1120がセラミック本体110の第3面S3と第4面S4には配置されないので、セラミック本体110の幅をそれだけ増加させることができる。セラミック本体110の幅が増加すれば、静電容量に影響を与える内部電極の幅もそれだけ増加させることができるので、積層セラミックキャパシタの容量を増加させることができる。
【0123】
以下では発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載された実施例は発明を具体的に例示するか説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が限定されてはならない。
【実施例0124】
[製造例:積層セラミックキャパシタの製造]
(実施例)
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。
【0125】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を用いて誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0126】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重畳するようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0127】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で350℃、66時間維持して脱バインダーを行い、1165℃で焼成してセラミック本体を製造する。
【0128】
その次に、カーボンブラック(carbon black)が10wt%分散した導電性炭素材料分散液にセラミック本体を部分的に1分間ディッピング(dipping)し170℃で10分間熱乾燥することによって大略3μm厚さの導電性カーボン層を形成する。
【0129】
その次に、導電性カーボン層をシード層にして銅(Cu)電解メッキを行って銅(Cu)メッキ層を形成する。
【0130】
その後、ニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを行い、160℃で1時間熱処理して、積層セラミックキャパシタを製造する。
【0131】
(比較例)
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。
【0132】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を用いて誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0133】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重畳するようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0134】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で350℃、66時間維持して脱バインダーを行い、1165℃で焼成してセラミック本体を製造する。
【0135】
その次に、ガラスフリット(glass frit)と銅(Cu)を含むスラリーにセラミック本体をディッピング(dipping)しブロッティング(blotting)して大略40μm以下の厚さで塗布し熱乾燥した後、820℃で60分間焼結して金属層を形成する。
【0136】
その後、ニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを行って、積層セラミックキャパシタを製造する。
【0137】
[実験例:積層セラミックキャパシタの性能]
実施例および比較例で製造された積層セラミックキャパシタの外部電極の厚さ、耐湿性、静電容量(C、capacitance)および損失係数(Df、dissipation factor)を測定する。
【0138】
1)外部電極の厚さ測定方法
製造された積層セラミックキャパシタ各5つをエポキシモールドに実装し、L軸方向およびT軸方向面をW軸方向に沿って約1/2程度深さで研磨しダイヤモンドペースト(diamond paste)で仕上げて断面サンプルを準備する。
【0139】
準備された断面サンプルで、第1または第2外部電極とセラミック本体の界面からメッキ層方向に70μm程度で第1または第2電極が全て見える位置を、金属光学顕微鏡(OM、Metallurgical Optical Microscope)で、Bright Fieldモード、分析倍率500倍で測定する。
【0140】
2)耐湿性測定方法
40チャンネル(channel)の耐湿特性専用PCBボードにステンシルマスク(stencil mask)を用いてソルダクリーム(solder cream)をパターニングする。その後、最高温度260℃でリフロー(reflow)工程を行って準備された試片をPCBボードに実装する。準備されたPCBボードを電位差および電流を測定することができるスロット(slot)に装着して温度85℃、湿度85%RHのチャンバー(chamber)に投入する。その後、16Vの電位差を試片両端に印加して1時間ずつ2回のステップ(step)で絶縁抵抗(IR、insulation resistance)が低下する水準を確認して耐湿性を測定する。
【0141】
3)静電容量および損失係数測定方法
製造された積層セラミックキャパシタの静電容量および損失係数はKeysight 4268A LCRメーターで別途のエイジング時間(aging time)無く500mV、120Hzの入力電圧条件で測定する。
【0142】
実施例および比較例で製造された積層セラミックキャパシタの外部電極の厚さ、耐湿性、静電容量(C、capacitance)および損失係数(Df、dissipation factor)を測定した結果を表1に示す。
【0143】
【0144】
表1を参照すれば、実施例で製造された積層セラミックキャパシタの接続部での外部電極の厚さは最大12.3μmであり、バンド部での外部電極の厚さは最大10.1μmであり、角部での外部電極の厚さは最大7.2μmであるのを確認することができる。反面、比較例で銅(Cu)ペースト(paste)を基盤に製造された積層セラミックキャパシタの接続部での外部電極の厚さは最大43.08μmであり、バンド部での外部電極の厚さは最大29.05μmであり、角部での外部電極の厚さは最大4.68μmであるのを確認することができる。このように、実施例で製造された積層セラミックキャパシタの接続部、バンド部および角部での外部電極のそれぞれの厚さは、比較例で製造された積層セラミックキャパシタの接続部、バンド部および角部での外部電極のそれぞれの厚さより小さい。また、実施例で製造された積層セラミックキャパシタの接続部、バンド部および角部での外部電極の厚さは、比較例で製造された積層セラミックキャパシタの接続部、バンド部および角部での外部電極の厚さに比べて相対的に偏差が小さい。
【0145】
要するに、実施例で製造された積層セラミックキャパシタの外部電極は、比較例で製造された積層セラミックキャパシタの外部電極に比べて均一で薄い厚さを有する。
【0146】
また、実施例で製造された積層セラミックキャパシタの静電容量(C)と損失係数(Df)は、比較例で製造された積層セラミックキャパシタの静電容量(C)と損失係数(Df)と類似の水準であるのを確認することができる。
【0147】
したがって、積層セラミックキャパシタの大きさが同一である場合、実施例によれば、外部電極をさらに薄くすることができ、内部電極と誘電体層など静電容量に寄与する部分の体積をさらに大きくすることができる。即ち、実施例によれば、相対的に電気的損失無く外部電極の体積を減らすことによって静電容量に寄与する部分をさらに大きくすることができる。
【0148】
一方、実施例で製造された積層セラミックキャパシタの耐湿性は良好であり比較例で製造された積層セラミックキャパシタの耐湿性と同等である。これは、実施例で導電性カーボン層が湿気浸透の通路として作用しないということを示す。
【0149】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。