(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169300
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】放射線撮像システム、放射線撮像装置、放射線発生装置、通信制御装置、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017342
(22)【出願日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2023084772
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】上野 弘人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智也
(72)【発明者】
【氏名】大栗 洋和
(72)【発明者】
【氏名】森田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小菅 麻人
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 孔明
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA03
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093FA19
4C093FA32
4C093FA45
4C093FA60
4C093FH06
(57)【要約】
【課題】 通信環境によって通信遅延が発生する場合、自動露出制御撮影機能による照射停止信号が放射線発生装置に届くまでの時間が延び、放射線発生装置での放射線の停止が遅れてしまう。
【解決手段】 放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、前記通信部による通信状態を判定する判定手段と、判定結果に対応する情報を通知する通知手段と、を備え、判定結果が通信不良である場合、前記制御手段による前記停止制御に関する警告情報を通知する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、
前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、
前記通信部による通信状態を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に対応する情報を通知する通知手段と、
を備え、
前記通知手段は、前記判定手段による判定結果が通信不良である場合、前記制御手段による前記停止制御に関する警告情報を通知する
ことを特徴とする放射線撮像システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記通信部からの情報送信における再送信頻度に基づいて前記通信状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記通信部による通信に要する時間である通信時間に関する閾値を有し、該閾値を使用して前記通信状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像システム。
【請求項4】
前記閾値が変更可能であることを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記閾値を複数有することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像システム。
【請求項6】
前記通信部は、放射線の照射前に第一の通信を複数回行い、
前記判定手段は、複数回の前記第一の通信の通信時間の統計値と前記閾値との比較に基づいて通信状態を判定することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像システム。
【請求項7】
前記通信部は、放射線の照射前に第一の通信を複数回行い、
前記判定手段は、前記第一の通信の通信時間が前記閾値を超えた回数に基づいて通信不良を判定することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像システム。
【請求項8】
前記通知手段は、前記判定手段による前記通信状態の判定結果が通信良好から通信不良に変化した場合に、前記警告情報を通知することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像システム。
【請求項9】
前記通知手段は、前記複数の閾値のうち前記判定手段が前記通信状態の判定に使用した閾値に応じて通知する前記警告情報を変更することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像システム。
【請求項10】
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と、
前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作を行うか否かを制御する制御部と、
前記検出部が放射線照射中に検出した放射線に関する情報を送信可能な通信部と、
前記通信部による通信状態を判定する判定部と、
を備え、
前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作に関する警告情報を送信する
ことを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項11】
放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置に向けて放射線を照射する放射線発生装置であって、
前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、
を備え、
前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信する
ことを特徴とする放射線発生装置。
【請求項12】
放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置と通信する通信制御装置であって、
前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、
を備え、
前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項13】
放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置から放射線画像情報を受信して処理する情報処理装置であって、
前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、
を備え、
前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、
前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、
前記通信部による通信状態を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に対応する情報を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする放射線撮像システム。
【請求項15】
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と、
前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作を行うか否かを制御する制御部と、
前記検出部が放射線照射中に検出した放射線に関する情報を送信可能な通信部と、
前記通信部による通信状態を検知する検知部と、
を備え、
前記通信部は、前記検知部による検知結果に対応する情報を送信する
ことを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項16】
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、
前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、
前記通信部からリスク指標を収集し、前記制御手段の停止制御の精度が低下するリスクを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に対応する情報を通知する通知手段と、
を備え、
前記通知手段は、前記判定手段による判定結果が不良判定である場合、前記制御手段による前記停止制御に関する警告情報を通知する
ことを特徴とする放射線撮像システム。
【請求項17】
前記判定手段は、前記通信部からの通信遅延の発生確率を示す指標と通信遅延発生時の影響度を示す指標の片方または両方に基づくリスク指標に基づいて、前記通信遅延によるリスクの大きさを判定することを特徴とする請求項16に記載の放射線撮像システム。
【請求項18】
前記通信遅延の発生確率を示す指標は、通信に要する時間が所定の閾値を超える頻度、RSSI、SN比、アクセスポイントが使用しているチャネルと同チャネルまたは隣接しているチャネルに接続されている無線通信機器の個数に関する閾値を有し、当該閾値を使用して前記通信遅延によるリスクの大きさを判定することを特徴とする請求項17に記載の放射線撮像システム。
【請求項19】
前記通信遅延発生時の影響度を示す指標は、通信に要する時間、撮影条件、撮影場所、撮影時間帯に関する閾値を有し、当該閾値を使用して前記通信遅延によるリスクの大きさを判定することを特徴とする請求項17に記載の放射線撮像システム。
【請求項20】
前記閾値が変更可能であることを特徴とする請求項18に記載の放射線撮像システム。
【請求項21】
前記判定手段は、前記閾値を複数有することを特徴とする請求項18に記載の放射線撮像システム。
【請求項22】
前記通信部は、放射線の照射前に第一の通信を複数回行い、
前記判定手段は、前記第一の通信で得られた前記通信遅延の発生確率を示す指標と前記通信遅延発生時の影響度を示す指標に基づいてリスクの大きさを判定することを特徴とする請求項18に記載の放射線撮像システム。
【請求項23】
前記通知手段は、前記判定手段による前記リスクの大きさの判定結果が良好から不良に変化した場合に、前記警告情報を通知することを特徴とする請求項16に記載の放射線撮像システム。
【請求項24】
前記通知手段は、前記複数の閾値のうち前記判定手段が前記リスクの大きさの判定に使用した閾値に応じて通知する前記警告情報を変更することを特徴とする請求項18に記載の放射線撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮像システム、放射線撮像装置、放射線発生装置、通信制御装置、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線などの放射線による医療画像診断や非破壊検査に用いる放射線撮像システムとして、半導体材料によって形成された平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)を備えた放射線撮像システムがある。例えば、医療画像診断における放射線撮像システムでは、一般撮影のような静止画撮影や透視撮影のような動画撮影を行うデジタル放射線撮像システムとして用いられている。
【0003】
近年、放射線撮像システムでは多機能化が検討されている。多機能化の一機能として、照射された放射線の線量(累積線量)をモニタして当該累積線量が閾値に達した場合に放射線の照射を停止させる(例えば、放射線の照射を停止させるための照射停止信号を放射線発生装置に対して出力する)機能がある。本機能は自動露出制御(AEC:Auto Exposure Control)機能と呼ばれ、画像を形成するための画素の一部を用いて照射された放射線量を監視する方法や、別センサを内蔵して照射された放射線量を監視する方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線撮像システムの自動露出制御機能において、放射線の照射停止の精度は放射線撮像システム内の通信環境に依存する。例えば、放射線撮像システム内の通信環境が悪く、正常な通信状態に対して通信遅延が発生する場合、自動露出制御機能において照射停止信号が放射線発生装置に届くまでの時間が延び、放射線発生装置での放射線の停止が遅れてしまう。
【0006】
特許文献1に記載の放射線撮像システムでは、撮影前に通信テスト画像を転送して、画像の生成や転送に失敗するシステム状態を検知し、撮影を禁止することを可能としている。しかし、特許文献1に記載の方法では、画像転送が失敗するような通信環境を検知することは可能であるが、自動露出制御機能を用いた撮影における、放射線の照射停止指示の遅延に関しては改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決する、新たな放射線撮像システムであって、放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、前記通信部による通信状態を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に対応する情報を通知する通知手段と、を備え、前記通知手段は、前記判定手段による判定結果が通信不良である場合、前記制御手段による前記停止制御に関する警告情報を通知することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の放射線撮像装置は、放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と、前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作を行うか否かを制御する制御部と、前記検出部が放射線照射中に検出した放射線に関する情報を送信可能な通信部と、前記通信部による通信状態を判定する判定部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の放射線発生装置は、放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置に向けて放射線を照射する放射線発生装置であって、前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の通信制御装置は、放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置と通信する通信制御装置であって、前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の情報処理装置は、放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置から放射線画像情報を受信して処理する情報処理装置であって、前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の放射線撮像システムは、放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、前記通信部による通信状態を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に対応する情報を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の放射線撮像装置は、放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と、前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作を行うか否かを制御する制御部と、前記検出部が放射線照射中に検出した放射線に関する情報を送信可能な通信部と、前記通信部による通信状態を検知する検知部と、を備え、前記通信部は、前記検知部による検知結果に対応する情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、放射線撮像システムが自動露出制御機能での撮影に適さない通信環境であることを放射線技師に対して通知することで、放射線技師が自動露出制御機能での撮影をすべきか否かを判断することが可能となる。その結果、自動露出制御における通信遅延を原因とした患者の被曝量の増加を防止し、自動露出制御機能で閾値として設定された累計積算線量よりも大きい累積線量の画像が生成されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】放射線撮像システムの放射線撮像装置100のハードウエア構成例を示す図
【
図3】第1実施形態に係る放射線撮像システムの放射線撮像装置100の制御部328の構成例を示す図
【
図4】第1実施形態に係る放射線撮像システムの放射線撮像装置100がユーザに対して自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する手順を示すフローチャート
【
図5】第1実施形態に係る放射線撮像システムの放射線撮像装置100における撮影可否状態と通信状態推定手段406における通信計測実施期間と通信状態通知手段408におけるユーザへの通知可能期間の関係を示す図
【
図6】第2実施形態に係る放射線撮像システムの放射線発生装置121の構成例を示す図
【
図7】第2実施形態に係る放射線撮像システムの放射線発生装置121が通信状態に応じてユーザに対して通知する内容を変更する手順を示すフローチャート
【
図8】第3実施形態に係る放射線撮像システムの通信制御装置110の構成例を示す図
【
図9】第3実施形態に係る放射線撮像システムの通信制御装置110が通信状態推定手段を変更する手順を示すフローチャート
【
図10】第4実施形態に係る放射線撮像装置の制御部の構成を示す図
【
図11】リスクを算定する指標の組み合わせの一例を示す図
【
図12】第4実施形態に係るリスク算定手段のリスクの算定例を示す図
【
図13】第4実施形態に係る放射線撮像システムの放射線発生装置でユーザに対して自動露出撮影に適さない通信状態であることを示す通知の内容を変更する手順を示すフローチャートの図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面に基づき説明する。ただし、各実施形態に示す構成の詳細は、本文および図中に示す限りではない。なお、本明細書では、X線だけでなく、α線、β線、γ線、粒子線、宇宙線なども、放射線に含まれるものとする。
【0017】
(第1実施形態)
[システム構成]
図1は、第1実施形態に係る放射線撮像システムの構成例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、放射線撮像システムには、放射線照射による放射線撮影を行う放射線室10および、放射線室10の近傍に設置される制御室20が設けられる。
【0019】
放射線室10は、放射線撮像装置100、通信制御装置110、アクセスポイント120、放射線発生装置121、放射線源122、エントリー装置123を備える。さらに、放射線室10は、AP通信ケーブル111、放射線発生装置通信ケーブル112、センサ通信ケーブル113を備える。
【0020】
制御室20は、情報処理装置200、放射線照射スイッチ201、入力装置202、表示装置203、院内LAN204、放射線室通信ケーブル205を備える。
【0021】
放射線撮像装置100は、バッテリなどで構成される電源制御部101、近距離無線通信部102、スイッチ103、無線通信部104、有線通信部105を備える。放射線撮像装置100は、不図示の被検者を透過した放射線発生装置121の放射線源122から照射された放射線を検出して、放射線画像データを生成する。
【0022】
アクセスポイント120は、無線通信を行うアクセスポイントであり、放射線撮像装置100と放射線発生装置121および情報処理装置200が通信制御装置110を介して通信するために用いる。また、放射線撮像装置100と通信制御装置110の通信は、センサ通信ケーブル113を用いた有線通信でも可能である。本実施形態では、一例として、アクセスポイント120を用いた無線通信を使用する。
【0023】
放射線発生装置121は、放射線源122を制御し被検者に放射線を照射する(図中の矢印)。放射線発生装置121は、所定の条件に基づいて放射線を照射するように放射線源122を制御する放射線源制御部と、放射線撮像装置100からの照射の開始または停止を示す信号に応じて、放射線の発生を制御する発生制御部とを有する。なお、放射線源制御部と発生制御部はそれぞれ別体で構成された装置であってもよい。
【0024】
AP通信ケーブル111は、アクセスポイント120と通信制御装置110を接続するためのケーブルである。放射線発生装置通信ケーブル112は、放射線発生装置121と通信制御装置110を接続するためのケーブルである。
【0025】
情報処理装置200は、通信制御装置110を介して、放射線撮像装置100および放射線発生装置121と通信し、放射線撮像システムを統括制御する。
【0026】
放射線照射スイッチ201は、不図示の操作者により、放射線照射のタイミングを入力するために使用される。入力装置202は、操作者からの指示の入力を行う装置であり、キーボートやタッチパネルなどの種々の入力デバイスが用いられる。表示装置203は、画像処理された放射線画像データやGUIの表示を行う装置であり、ディスプレイなどが用いられる。院内LAN204は、院内の基幹ネットワークである。放射線室通信ケーブル205は、制御室20の情報処理装置200と放射線室10内の通信制御装置110およびエントリー装置123を接続するためのケーブルである。
【0027】
次に、放射線撮像システムの動作について説明する。
【0028】
初めに、操作者は、放射線撮像システムへ放射線撮像装置100の登録作業を行う。操作者により放射線撮像装置100のスイッチ103が押下されると、放射線撮像装置100の近距離無線通信部102とエントリー装置123の間で近距離無線通信が開始される。
【0029】
情報処理装置200は、エントリー装置123の近距離無線通信を介して、アクセスポイント120の無線接続関連情報を放射線撮像装置100に送信する。無線接続関連情報は、例えば、無線LANであれば、IEEE802.11などの通信方式、物理チャネル、SSID、暗号鍵などを含む。
【0030】
放射線撮像装置100は受信した無線LAN接続関連情報に従って、無線通信部104を設定する。当該設定により、放射線撮像装置100は、アクセスポイント120との無線通信の接続を確立する。
【0031】
次に、操作者は情報処理装置200に被検者のID、名前、生年月日などの被検者情報および被検者の撮影部位を入力する。撮影部位を入力後、操作者は被検者の姿勢および放射線撮像装置100を固定する。
【0032】
撮影準備が完了すると、操作者は放射線照射スイッチ201を押下する。放射線照射スイッチ201が押下されると、放射線源122から被検者に向かい放射線が照射される。
【0033】
放射線撮像装置100は、放射線発生装置121と無線通信を行い、放射線照射の開始や終了の制御を行う。被検者に照射された放射線は、被検者を透過して放射線撮像装置100に入射する。放射線撮像装置100は、入射した放射線を可視光に変換した後、検出部である光電変換素子で放射線画像信号として検出する。
【0034】
放射線撮像装置100は、光電変換素子を駆動して放射線画像信号を読み出し、AD変換回路でアナログ信号をデジタル信号に変換して放射線画像データを得る。得られた放射線画像情報(放射線画像データ)は、放射線撮像装置100から情報処理装置200へ無線通信により転送される。
【0035】
情報処理装置200は、受信した放射線画像データを画像処理する。情報処理装置200は、画像処理した放射線画像データに基づく放射線画像を表示装置203に表示する。情報処理装置200は、画像処理装置および表示制御装置として機能する。
【0036】
[放射線撮像装置100のハードウエア構成]
図2は、放射線撮像装置100のハードウエア構成例を示す図である。
【0037】
図2に示すように、放射線撮像装置100は、放射線を検出する検出部である放射線検出器300を有する。放射線検出器300は、照射された放射線を検出する機能を備える。放射線検出器300は、複数の行および複数の列を構成するように配列された複数の画素を有する。以下の説明では、放射線検出器300における複数の画素が配置された領域を撮像領域とする。該複数の画素は、放射線画像データの取得のための複数の撮像画素301と、放射線の照射をモニタするための検知画素311とを含む。検知画素311は自動露出制御で使用する画素である。
【0038】
撮像画素301は、放射線を電気信号に変換する第1変換素子302と、列信号線306と第1変換素子302との間に配置された第1スイッチ303とを含む。
【0039】
検知画素311は、放射線を電気信号に変換する第2変換素子312と、列信号線306と第2変換素子312との間に配置された第2スイッチ313とを含む。検知画素311は、複数の撮像画素301の一部と同一の列に配置される。
【0040】
第1変換素子302および第2変換素子312は、放射線を光に変換するシンチレータおよび光を電気信号に変換する光電変換素子とで構成される。シンチレータは、一般的には、撮像領域を覆うようにシート状に形成され、複数の画素によって共有される。あるいは、第1変換素子302および第2変換素子312は、放射線を直接に光に変換する変換素子で構成される。
【0041】
第1スイッチ303および第2スイッチ313は、例えば、非晶質シリコンまたは多結晶シリコン(好ましくは多結晶シリコン)などの半導体で活性領域が構成された薄膜トランジスタ(TFT)を含む。
【0042】
放射線撮像装置100は、複数の列信号線306および複数の駆動線304を有する。各列信号線306は、撮像領域における複数の列のうちの1つに対応する。各駆動線304は、撮像領域における複数の行のうちの1つに対応する。各駆動線304は、駆動用回路321によって駆動される。
【0043】
第1変換素子302の第1電極は、第1スイッチ303の第1主電極に接続され、第1変換素子302の第2電極は、バイアス線308に接続される。ここで、1つのバイアス線308は、列方向に延びていて、列方向に配列された複数の第1変換素子302の第2電極に共通に接続される。
【0044】
バイアス線308は、素子用電源回路326から供給されるバイアス電圧Vsを受ける。電源制御部323は、バッテリ、DCDCコンバータなどで構成される。
【0045】
1つの列を構成する複数の撮像画素301の第1スイッチ303の第2主電極は、1つの列信号線306に接続される。1つの行を構成する複数の撮像画素301の第1スイッチ303の制御電極は、1つの駆動線304に接続される。複数の列信号線306は、読出し用回路325に接続される。ここで、読出し用回路325は、複数の検知部341と、マルチプレクサ342と、アナログデジタル変換器(以降、AD変換器と呼ぶ)343とを含む。
【0046】
複数の列信号線306のそれぞれは、読出し用回路325の複数の検知部341のうち対応する検知部341に接続される。ここで、1つの列信号線306は、1つの検知部341に対応する。検知部341は、例えば、差動増幅器を含む。マルチプレクサ342は、複数の検知部341を所定の順番で選択し、選択した検知部341からの信号をAD変換器343に供給する。AD変換器343は、供給された信号をデジタル信号に変換して出力する。読出し用回路325(AD変換器343)の出力は、信号処理部327に供給され、信号処理部327によって処理される。信号処理部327は、読出し用回路325(AD変換器343)の出力に基づいて、放射線撮像装置100に対する放射線の照射を示す情報を出力する。
【0047】
検知画素311の第2変換素子312の接続形態は、撮像画素301の接続形態と同様である。検知画素311を駆動させる場合、駆動用回路321は各駆動線304で検知画素311を駆動させる。検知画素311を駆動させた場合、信号処理部327は、読出し用回路325(AD変換器343)の出力に基づいて、放射線撮像装置100に対する放射線の照射を示す情報を出力する。具体的には、信号処理部327は、例えば、放射線撮像装置100に対する放射線の照射を検知したり、放射線の照射量および/または累積照射量を演算したりする。そして演算した照射量や累積照射量は、後述のように通信部402を介して情報処理装置200や放射線発生装置121に送信される場合もある。この場合、通信部は放射線に関する情報を送信可能な通信部として機能する。
【0048】
なお、検知画素311は撮像画素301と同一の構造を有してもよい。
【0049】
制御部328は、信号処理部327からの情報や情報処理装置200からの制御コマンドに基づいて、駆動用回路321および読出し用回路325などを制御する。
【0050】
[放射線撮像装置100の制御部328の構成]
図3は、第1実施形態に係る放射線撮像装置100の制御部328の構成を示す図である。
【0051】
図3に示すように、放射線撮像装置100の制御部328は、CPU400、メモリ401、通信部402、駆動制御部403、自動露出制御部404、通信制御部405、通信状態推定手段406、通信状態判定手段407、通信状態通知手段408を備える。
【0052】
CPU400は、メモリ401をワークメモリとして、プログラム格納部の記憶媒体に格納された各種プログラムを実行し、放射線撮像装置100全体の制御を行う。詳細は後述するが、放射線の照射中に放射線を検出する、自動露出制御を行うか否かの制御も行う。メモリ401は、CPU400で扱う各種データを記憶し、読み書きするためのメモリである。通信部402は、通信制御部405を介してCPU400から制御され、無線通信部104または有線通信部105を用いて、通信制御装置110を介して放射線発生装置121や情報処理装置200と通信する。駆動制御部403は、CPU400から制御され、信号処理部327からの情報や情報処理装置200からのコマンドに基づいて、駆動用回路321および読出し用回路325などを制御する。
【0053】
自動露出制御部404は、CPU400から制御され、自動露出制御機能による線量制御動作を実行する。具体的に、自動露出制御部404は、検知画素311で関心領域に入射した放射線を検出し、検出した放射線量の積算値である累積線量を演算する。つまり、放射線照射中に放射線検出動作を行う。次に、自動露出制御部404は、演算した累積線量に基づいて、自動露出制御機能の放射線の照射停止条件を満たしたかを判定する。自動露出制御部404が放射線の照射停止条件を満たしたと判定した場合、通信部402を用いて放射線発生装置121に放射線の照射停止を通知する。つまり、自動露出制御部404は通信部と連動して、放射線の停止制御を行う制御手段として機能する。そして放射線発生装置121は、通知された放射線照射停止タイミングに基づき、放射線の照射を停止する。なお、放射線撮像装置100は放射線の検出結果として、放射線照射の停止を通知しているがこれに限らない。放射線撮像装置100が通信部402を用いて、検出結果として所定の時間毎の累積線量を情報処理装置200に送信し、情報処理装置200が当該累積線量を算出して、放射線の照射停止を放射線発生装置121に通知してもよい。この場合は、情報処理装置が放射線の停止を制御する制御手段として機能する。また、放射線撮像装置100が通信部402を用いて、検出結果として所定の時間毎の累積線量を放射線発生装置121に送信し、放射線発生装置121が当該累積線量の積算値を算出する構成であってもよい。また、放射線照射停止タイミングは操作者が情報処理装置200に入力した最大照射時間によって決定してもよい。
【0054】
通信制御部405は、CPU400から制御され、通信部402を用いて、通信制御装置110を介して放射線発生装置121や情報処理装置200と通信する。
【0055】
通信状態推定手段406は、通信制御部405から制御され、放射線撮像装置100と通信制御装置110の通信、放射線撮像装置100と放射線発生装置121の通信など、放射線撮像システム内の通信状態を推定する。通信状態の推定には、通信状態を表す指標データを用いる。指標データとしては、パケットの送受信に掛かった時間、再送信頻度、キャリアセンスの発生頻度、RSSI(Received Signal Strength Indication。受信信号強度)などであるがこれに限らず、通信遅延の発生に関わる指標であればよい。
【0056】
通信状態判定手段407は、通信制御部405から制御され、通信状態推定手段406で推定した通信状態が自動露出制御撮影に適するか否かを判定する。具体的には、通信状態推定手段406で通信状態の推定に用いた指標データに対して、通信状態判定手段407では、自動露出制御撮影に適する通信状態と自動露出制御撮影に適さない通信状態を識別する閾値を管理する。つまり閾値は、通信状態推定手段406が使用する指標に対応する閾値を管理する。例えば、通信状態推定手段406が情報送信における再送信頻度(例えばパケット送信の再送頻度)を指標にして通信状態を推定する場合、通信状態判定手段407は再送信頻度の閾値との比較に基づいて通信状態を判定する。また、通信状態推定手段406が通信部402による情報通信に要する時間、つまり通信時間を指標にして通信状態を推定する場合は、通信状態判定手段407も通信時間の閾値を使用して通信状態を判定する。そして、通信状態判定手段407は、閾値を越えた通信状態を通信不良とし、自動露出制御撮影に適さないと判断する。なお、通信状態判定手段407で用いる閾値は、情報処理装置200などの放射線撮像システム内の装置からの指示で適宜変更可能としてもよい。
【0057】
通信状態通知手段408は、通信制御部405から制御され、通信状態判定手段407で自動露出制御撮影に適さない通信状態と判定した場合に、操作者に対して自動露出制御撮影に適さない通信状態であることを判定結果として通知する。具体的には、通信部402を介して情報処理装置200に判定結果を通知し、情報処理装置200は停止制御に関する警告情報として、自動露出制御撮影に適さない旨を示すメッセージを表示装置203を介して操作者に通知する。
【0058】
[自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する手順を示すフローチャート]
図4は、第1実施形態に係る放射線撮像システムの放射線撮像装置100が操作者に対して自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する手順を示すフローチャートである。
【0059】
S501において、放射線撮像装置100の駆動制御部403は、放射線撮像装置100が撮影不可状態から撮影可能状態に遷移中の撮影待機状態、または放射線の照射を受けて撮影可能な状態であるかを判定する。放射線撮像装置100が当該状態であると判定した場合(S501;YES)、S502に進み、放射線撮像装置100が当該状態でないと判定した場合(S501;NO)、S501に戻る。なお、放射線撮像装置100の撮影不可能な状態とは、放射線の照射を受けても画像が生成できない状態、撮影可能状態に対して消費電力を低減できる状態などである。
【0060】
S502において、放射線撮像装置100の通信制御部405は、通信状態推定手段406を用いて通信状態の計測を開始する。
【0061】
S503において、放射線撮像装置100の駆動制御部403は、操作者が放射線照射スイッチ201を押下し、放射線発生装置121からの放射線の照射要求があるか否かを判定する。放射線の照射要求がなく放射線が照射されないと判定した場合(S503;YES)、S506に進み、放射線の照射要求があり放射線が照射されると判定した場合(S503;NO)、S504に進む。
【0062】
S504において、放射線撮像装置100の通信制御部405は、放射線画像への通信ノイズの発生を防止するため、通信状態推定手段406を用いた通信状態の計測を停止する。
【0063】
S505において、放射線撮像装置100の駆動制御部403および自動露出制御部404は、放射線発生装置121から照射された放射線を受けて、放射線画像の生成と、自動露出の制御とを行う。
【0064】
S506において、放射線撮像装置100の通信状態推定手段406は、S502で開始した通信状態の計測結果として、通信指標データを収集する。前述の通り、収集する通信指標データは、通信遅延の発生に関わる指標であればよく、パケットの送受信に掛かった時間、再送頻度、キャリアセンスの発生頻度、RSSIなどであるがこれに限らない。
【0065】
S507において、放射線撮像装置100の通信状態推定手段406は、収集した通信指標データに基づき放射線撮像システム内の通信状態を推定する。通信状態の推定方法として、収集した通信指標データの統計値を用いる方法や、再送やキャリアセンスの発生頻度を用いる方法などがあるがこれに限らず、通信遅延の発生確率を定義できる方法であればよい。
【0066】
S508において、放射線撮像装置100の通信状態判定手段407は、S507で推定した通信状態に基づき、自動露出制御撮影に適さない通信状態であるかを判定する。自動露出制御撮影に適さない通信状態であると判定した場合(S508;YES)、S509に進み、自動露出制御撮影に適した通信状態であると判定した場合(S508;NO)、S503に戻る。尚、このS508による通信状態の判定は、例えばS507で通信時間の統計値に基づいて通信状態を推定していれば、その統計値と閾値とを比較して通信状態を判定すれば良い。また、例えば、通信状態推定手段406で通信時間の推定を複数回行い、推定した通信時間が設定した閾値を超えた回数に基づいて通信状態を判定してもよい。
【0067】
S509において、放射線撮像装置100の通信状態判定手段407は、自動露出制御撮影に適さない通信状態と判定した際の通信指標データを記録する。
【0068】
S510において、放射線撮像装置100の通信状態通知手段408は、現在の放射線撮像システムの撮影設定で自動露出制御撮影機能が選択されているかを確認する。自動露出制御撮影機能が選択されている場合(S510;YES)、S511に進み、自動露出制御撮影機能が選択されていない場合(S510;NO)、S503に戻る。
【0069】
S511において、放射線撮像装置100の通信状態通知手段408は、通信部402を介して情報処理装置200に自動露出制御撮影に適さない通信状態であることを通知する。情報処理装置200は、表示装置203を介して、操作者に自動露出制御撮影に適さない通信状態であることを通知する。
【0070】
S512において、放射線撮像装置100の駆動制御部403は、放射線撮像装置100が放射線の照射を受けて撮影可能な状態から撮影不可能な状態(後述の検査外の状態)に戻すかを判定する。放射線撮像装置100を撮影不可能な状態に遷移する場合(S512;YES)、S513に進み、放射線撮像装置100を撮影不可能な状態に遷移しない場合(S512;NO)、S503に戻る。
【0071】
S513において、放射線撮像装置100の通信制御部405は、放射線撮像装置100を撮影不可状態に戻すため、通信状態推定手段406を用いた通信状態の計測を停止する。
【0072】
図5は、第1実施形態に係る放射線撮像システムの放射線撮像装置100における撮影可否状態と通信状態推定手段406における通信計測期間と通信状態通知手段408における操作者への通知可能期間の関係を示す図である。
図5は、自動露出制御機能を使用しない撮影を一度実施した後、自動露出制御機能を使用した撮影を一度実施する例である。
図5について、時間の経過に沿って、通信状態推定手段406における通信計測期間と通信状態通知手段408における操作者への通知可能期間の変化を
図4のフローチャートと紐付けて説明する。
【0073】
S601は、放射線撮像システムの放射線撮像装置100の撮影可否状態の遷移をS604~S612で示したものである。右に進むと時間の経過を示し、各ブロックは放射線撮像装置100の状態として、撮影不可状態(検査外の状態)、撮影待機状態、撮影可能状態、撮影状態を示す。S602は、通信状態推定手段406の通信計測期間の遷移をS613、S614で示したものである。S603は、通信状態通知手段408の通知可能期間の遷移をS615で示したものである。S616、S618は放射線画像の撮影検査を開始したタイミングを示す。S617、S619は操作者が放射線照射スイッチ201を押下したタイミングを示す。
【0074】
S616において、操作者は情報処理装置200を操作して、自動露出制御機能を使用しない撮影検査を開始する。この時、放射線撮像装置100は検査外の撮影不可状態S604から駆動準備期間の撮影待機状態S605を介して、撮影可能状態S606に遷移する。撮影待機状態S605は撮影不可状態の一部であり、放射線撮像システムにおいて放射線発生装置121の放射線の照射は許可されず、放射線撮像装置100が撮影可能状態S606に遷移したタイミングで放射線発生装置121の放射線の照射が許可される。
【0075】
通信状態推定手段406は、S613に示す通り、操作者が情報処理装置200を操作して、自動露出制御機能を使用しない撮影を開始したタイミングから通信の計測を開始する。つまり、放射線の照射前に通信の計測を開始する。これは、放射線撮像装置100が検査外の撮影不可状態S604から駆動準備期間の撮影待機状態S605に遷移するタイミングと同じである。ここまでの説明は、
図4のフローチャートにおいて、S501;YES、S502の順に進むフローに該当する。尚、S613、S614共に、この通信計測期間内において複数回の送受信によって通信の計測を行っている。
【0076】
S613の通信計測期間において、通信状態判定手段407が自動露出制御撮影に適さない通信状態であると判定した場合でも、S603に示す通り、通信状態通知手段408は操作者に自動露出制御撮影に適さない通信状態であることを通知しない。S613の通信計測期間は、S616で開始した自動露出制御機能を使用しない撮影検査の期間であるため、操作者は自動露出制御撮影に適さない通信状態の通知を必要としない。ここまでの説明は、
図4のフローチャートにおいて、S503;YES、S506、S507、S508;YES、S509、S510;NOの順に進むフローに該当する。
【0077】
S617において、操作者が放射線照射スイッチ201を押下すると、放射線撮像システムにおいて自動露出制御機能を使用しない放射線画像の撮影が開始する。この時、放射線撮像装置100は撮影可能状態S606から画像の生成および転送を実施する撮影状態S607に遷移する。本遷移と同じタイミングで、通信状態推定手段406は、通信の計測を停止する。放射線撮像装置100は、画像の生成および転送を終えると撮影状態S607から検査外の状態S608に遷移する。ここまでの説明は、
図4のフローチャートにおいて、S503;NO、S504、S505、終了の順に進むフローに該当する。なお、
図5に示す例では撮影検査が切り替わる際に検査外の状態S608を介しているが、これに限らず、画像の生成および転送を終えると撮影状態S607から次の撮影の撮影待機状態S609に遷移してもよい。
【0078】
S618において、操作者は情報処理装置200を操作して、自動露出制御機能を使用する撮影検査を開始する。この時、放射線撮像装置100は検査外の状態S608から駆動準備期間の撮影待機状態S609を介して、撮影可能状態S610に遷移する。
【0079】
通信状態推定手段406は、S614に示す通り、操作者が情報処理装置200を操作して、自動露出制御機能を使用する撮影設定を開始したタイミングから通信の計測を開始する。また、通信状態通知手段408も、S615に示す通り、同じタイミングで操作者に対して自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する期間を開始する。これは、放射線撮像装置100が検査外の状態S608から駆動準備期間の撮影待機状態S609に遷移するタイミングと同じである。ここまでの説明は、
図4のフローチャートにおいて、S501;YES、S502の順に進むフローに該当する。
【0080】
S614の通信計測期間において、通信状態判定手段407が自動露出制御撮影に適さない通信状態であると判定した場合、通信状態通知手段408は操作者に自動露出制御撮影に適さない通信状態であることを通知する。ここまでの説明は、
図4のフローチャートにおいて、S503;YES、S506、S507、S508;YES、S509、S510;YES、S511、S512;NOの順に進むフローに該当する。
【0081】
S619において、操作者が放射線照射スイッチ201を押下すると、放射線撮像システムにおいて自動露出制御機能を使用する放射線画像の撮影が開始する。この時、放射線撮像装置100は撮影可能状態S610から画像の生成および転送を実施する撮影状態S611に遷移する。本遷移と同じタイミングで、通信状態推定手段406は、通信の計測を停止し、通信状態通知手段408は、自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する期間を停止する。放射線撮像装置100は、画像の生成および転送を終えると撮影状態S611から検査外の状態S612に遷移する。ここまでの説明は、
図4のフローチャートにおいて、S503;NO、S504、S505、終了の順に進むフローに該当する。
【0082】
以上、説明したように、放射線撮像システムの放射線撮像装置100は通信状態推定手段406を使用し、放射線撮像システム内の通信環境を推定する。そして、通信状態判定手段407で自動露出制御撮影に適さない通信状態であると判定した場合、通信状態通知手段408で操作者に自動露出制御撮影に適さない通信状態であることを通知する。操作者が通信環境の状態を把握できることで、自動露出制御撮影をしない判断が可能となる。その結果、自動露出制御における通信遅延を原因とした患者の被曝量の増加を防止し、自動露出制御撮影で閾値として設定された累計積算線量よりも大きい累積線量の画像が生成されることを防止することができる。さらに、放射線撮像装置100の撮影可否状態に連動して、通信状態推定手段406で通信の計測期間の開始と停止を制御することで、放射線撮像装置100が撮影可能状態にあるときに、自動露出制御撮影に適さない通信状態を操作者に必ず通知することができる。また、放射線撮像装置100が撮影不可状態(検査外の状態)の時には、通信状態推定手段406で通信計測を停止することで、放射線撮像装置100の電力消費を抑制することができる。尚、本実施形態では、
図4のS512でNoの場合、通信状態に変化がない(自動露出制御撮影に適さない通信状態でS511を繰り返し経る場合)警告通知を繰り返すことになる。警告を繰り返し通知することが煩わしければ、通信状態の判定結果が通信良好から通信不良に変化した場合(切り替わった場合)にのみ、警告情報を通知するようにしてもよい。
【0083】
また、本実施形態において、放射線撮像装置100の通信状態推定手段406、通信状態判定手段407、通信状態通知手段408は、放射線発生装置121に搭載してもよい。また、通信状態判定手段407は、通信状態の判定に使用する複数の閾値を管理し、通信状態を複数の状態に分類する判断をしてもよい。さらに、通信状態通知手段408は、通信状態判定手段407が分類した複数の通信状態に応じて、通知内容を変更してもよい。これは、第2実施形態にて説明する。
【0084】
また、本実施形態において、放射線撮像装置100の通信状態推定手段406、通信状態判定手段407、通信状態通知手段408は、通信制御装置110に搭載してもよい。また、通信状態推定手段406は、複数の通信計測方法を管理し、放射線撮像装置100の撮影可否状態や消費電力量などに応じて、通信計測方法を変更してもよい。これは、第3実施形態にて説明する。
【0085】
以上、本発明の一実施形態を示した。
【0086】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る第2実施形態の処理を説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の図、および図中の同じ要素に関しては説明を省略する。
【0087】
[システム構成]
システム構成は
図1と同様である。
【0088】
[放射線撮像装置100のハードウエア構成]
放射線撮像装置100のハードウエア構成は
図2と同様である。
【0089】
[放射線撮像装置100の制御部328の構成]
放射線撮像装置100の制御部328の構成は、
図3から通信状態推定手段406、通信状態判定手段407、通信状態通知手段408を除外した構成である。
【0090】
[放射線発生装置121の構成]
図6は、第2実施形態に係る放射線撮像システムの放射線発生装置121の構成を示す図である。
【0091】
図6に示すように、放射線発生装置121は、CPU700、メモリ701、放射線源制御部702、放射線発生制御部703を備える。更には、通信部704、通信制御部705、通信状態推定手段706、通信状態判定手段707、通信状態閾値管理手段708、通信状態通知手段709を備える。
【0092】
CPU700は、メモリ701をワークメモリとして、プログラム格納部の記憶媒体に格納された各種プログラムを実行し、放射線発生装置121全体の制御を行う。メモリ701は、CPU700で扱う各種データを記憶し、読み書きするためのメモリである。放射線源制御部702は、CPU700から制御され、所定の条件に基づいて放射線を照射するように放射線源122を制御する。放射線発生制御部703は、CPU700から制御され、放射線撮像装置100からの照射の開始または停止を示す信号に応じて、放射線の発生を制御する。
【0093】
通信部704は、通信制御部705を介してCPU700から制御され、通信制御装置110を介して放射線撮像装置100や情報処理装置200と通信する。
【0094】
通信状態推定手段706は、通信状態推定手段406と同様の機能を持つ。通信状態推定手段706は、通信制御部705から制御され、放射線発生装置121と放射線撮像装置100の通信、放射線発生装置121と通信制御装置110の通信など、放射線撮像システム内の通信状態を推定する。
【0095】
通信状態判定手段707は、通信状態判定手段407と同様の機能を持つ。通信状態判定手段707は、通信制御部705から制御され、通信状態推定手段706で推定した通信状態が自動露出制御撮影に適するか否かを判定する。本判定において、通信状態判定手段707は、通信状態閾値管理手段708で管理する複数の閾値に基づき、通信状態推定手段706で推定した通信状態を複数の状態に分類する。
【0096】
通信状態通知手段709は、通信状態通知手段408と同様の機能を持つ。通信状態通知手段709は、通信制御部705から制御され、通信状態判定手段707で自動露出制御撮影に適さない通信状態と判定した場合に、操作者に対して自動露出制御撮影に適さない通信状態であることを通知する。本通知において、通信状態通知手段709は、通信状態判定手段707で判定した複数の通信状態に応じて、操作者に通知する内容を変更する。
【0097】
[自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する手順を示すフローチャート]
図7は、第2実施形態に係る放射線撮像システムの放射線発生装置121が通信状態に応じて操作者に対して通知する内容を変更する手順を示すフローチャートである。本フローチャートでは、二つの閾値で通信状態が良好な順に、正常状態、警告状態、エラー状態の三つに分類する例を示すが、これに限らず、三つ以上の閾値を設けてもよい。このように、本実施形態では閾値を複数有する。
【0098】
S801では、S501と同様の判定をする。S801において、放射線発生装置121は、放射線撮像装置100が撮影不可状態から撮影可能状態に遷移中の撮影待機状態、または放射線の照射を受けて撮影可能な状態であるかを判定する。放射線撮像装置100が当該状態であると判定した場合(S801;YES)、S802に進み、放射線撮像装置100が当該状態でないと判定した場合(S801;NO)、S801に戻る。
【0099】
S802はS502と同様であり、放射線発生装置121の通信制御部705は、通信状態推定手段706を用いて通信状態の計測を開始する。
【0100】
S803では、S503と同様の判定をする。S803において、放射線発生装置121は、放射線の照射要求があるか否かを判定する。放射線の照射要求がなく放射線が照射されないと判定した場合(S803;YES)、S806に進み、放射線の照射要求があり放射線が照射されると判定した場合(S803;NO)、S804に進む。
【0101】
S804において、放射線発生装置121の通信制御部705は、放射線画像への通信ノイズの発生を防止するため、通信状態推定手段706を用いた通信状態の計測を停止する。
【0102】
S805~S807はS505~S507と同様である。
【0103】
S808において、放射線発生装置121の通信状態判定手段707は、通信状態閾値管理手段708で管理する第1の閾値を確認する。第1の閾値は、通信状態の正常状態とそれ以外の状態(警告状態またはエラー状態)を識別するための閾値である。
【0104】
S809において、放射線発生装置121の通信状態判定手段707は、自動露出制御撮影に適さない通信状態(警告状態またはエラー状態)であるかを判定する。通信状態判定手段707で通信状態が警告状態またはエラー状態であると判定した場合(S809;YES)、S810に進み、通信状態判定手段707で通信状態が正常状態と判定した場合(S809;NO)、S803に戻る。
【0105】
S810、S811は、S509、S510と同様である。
【0106】
S812において、放射線発生装置121の通信状態判定手段707は、通信状態閾値管理手段708で管理する第2の閾値を確認する。第2の閾値は、通信状態の警告状態とエラー状態を識別するための閾値である。
【0107】
S813において、放射線発生装置121の通信状態判定手段707は、通信状態が警告状態かエラー状態かを判定する。通信状態判定手段707で通信状態が警告状態であると判定した場合(S813;NO)、S814に進み、通信状態判定手段707で通信状態がエラー状態と判定した場合(S813;YES)、S815に進む。
【0108】
S814において、放射線発生装置121の通信状態通知手段709は、情報処理装置200に通信状態が第1の閾値を越えた警告状態であることを通知する。情報処理装置200は、表示装置203を介して、操作者に自動露出制御撮影に適さない通信状態(第一の警告状態)であることを通知する。
【0109】
S815において、放射線発生装置121の通信状態通知手段709は、情報処理装置200に通信状態が第2の閾値を越えたエラー状態であることを通知する。情報処理装置200は、表示装置203を介して、操作者に自動露出制御撮影に適さない通信状態(第二の警告状態(エラー状態であり。自動露出制御撮影を行うべきではない状態)であることを通知する。このように、本実施形態においては、通信状態の判定に使用した閾値に応じて通知する警告情報を変更する。
【0110】
S816、S817はS512、S513と同様である。
【0111】
以上、説明したように、放射線撮像システムの放射線発生装置121は通信状態推定手段706を使用し、放射線撮像システム内の通信環境を推定する。そして、通信状態判定手段707は、通信状態閾値管理手段708で管理する複数の閾値に基づき、通信状態を複数の状態に分類する。通信状態通知手段709は、通信状態判定手段707が分類した複数の通信状態に応じて、操作者に対する通信状態の通知内容を変更する。その結果、操作者は、放射線撮像システムの通知内容に応じて、通信環境の悪化状況を識別することができ、自動露出制御撮影の中止、通信環境の改善のいずれかを判断することが可能となる。また、放射線撮像システムにおいて、通信環境が最も悪い状態(第三の警告状態)では自動露出制御撮影を許可しないようにしてもよい。これによって、自動露出制御における通信遅延を原因とした患者の被曝量の増加を防止し、自動露出制御撮影で閾値として設定された累計積算線量よりも大きい累積線量の画像が生成されることを防止することができる。
【0112】
以上、本発明の一実施形態を示した。
【0113】
(第3実施形態)
以下、本発明に係る第3実施形態の処理を説明する。なお、第3実施形態において、第1および第2実施形態と同様の図、および図中の同じ要素に関しては説明を省略する。
【0114】
[システム構成]
システム構成は
図1と同様である。
【0115】
[放射線撮像装置100のハードウエア構成]
放射線撮像装置100のハードウエア構成は
図2と同様である。
【0116】
[放射線撮像装置100の制御部328の構成]
放射線撮像装置100の制御部328の構成は、
図3から通信状態推定手段406、通信状態判定手段407、通信状態通知手段408を除外した構成である。
【0117】
[通信制御装置110の構成]
図8は、第3実施形態に係る放射線撮像システムの通信制御装置110の構成を示す図である。
【0118】
図8に示すように、通信制御装置110は、CPU900、メモリ901、通信部902、通信制御部903、通信状態推定手段904、通信状態推定方法管理手段905、通信状態判定手段906、通信状態通知手段907を備える。
【0119】
CPU900は、メモリ901をワークメモリとして、プログラム格納部の記憶媒体に格納された各種プログラムを実行し、通信制御装置110全体の制御を行う。メモリ901は、CPU900で扱う各種データを記憶し、読み書きするためのメモリである。通信部902は、通信制御部903を介してCPU900から制御され、放射線撮像装置100、放射線発生装置121、情報処理装置200と通信する。
【0120】
通信状態推定手段904は、通信状態推定手段406と同様の機能を持つ。通信状態推定手段904は、通信制御部903から制御される。そして通信制御装置110と放射線撮像装置100の通信、通信制御装置110と放射線発生装置121の通信、通信制御装置110と情報処理装置200の通信など、放射線撮像システム内の通信状態を推定する。
【0121】
通信状態推定方法管理手段905は、通信状態推定手段904で使用する通信状態推定方法を管理する。通信状態推定方法管理手段905では、アルゴリズムの異なる複数の通信状態推定手段を管理する場合や、同一の通信状態推定手段において通信の時間間隔を変更する場合など、放射線撮像システム内の通信状態を推定するアルゴリズムや設定を管理する。通信状態推定方法管理手段905は、通信状態推定手段904で通信状態推定方法を変更する際に使用される。
【0122】
通信状態判定手段906は、通信状態判定手段407と同様の機能を持つ。
【0123】
通信状態通知手段907は、通信状態通知手段408と同様の機能を持つ。
【0124】
[自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する手順を示すフローチャート]
図9は、第3実施形態に係る放射線撮像システムの通信制御装置110が操作者に対して自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する手順を示すフローチャートである。本フローチャートでは、同一の通信状態推定手段において通信の時間間隔を変更する例を示すが、これに限らず、アルゴリズムの異なる通信状態推定手段に切り替えるなど、通信状態推定手段を変更すればよい。
【0125】
S1001では、S501と同様の判定をする。
【0126】
S1002において、通信制御装置110の通信制御部903は、通信状態推定手段904を用いて通信状態の計測を実施している場合、計測を停止する。
【0127】
S1003において、通信制御装置110は、放射線撮像装置100が撮影不可状態から撮影可能状態に遷移中の撮影待機状態であるかを判定する。放射線撮像装置100が撮影待機状態であると判定した場合(S1003;YES)、S1004に進み、放射線撮像装置100が撮影待機状態ではなく撮影可能状態であると判定した場合(S1003;NO)、S1005に進む。
【0128】
S1004において、通信制御装置110の通信状態推定手段904は、通信状態推定方法管理手段905を用いて、通信状態推定手段の通信の時間間隔を100ミリ秒に設定する。一方、S1005において、通信制御装置110の通信状態推定手段904は、通信状態推定方法管理手段905を用いて、通信状態推定手段の通信の時間間隔を1秒に設定する。
【0129】
S1006は、S502と同様であるが、S1006では通信状態の計測時にS1004またはS1005で設定した計測間隔で通信する。
【0130】
S1007において、通信制御装置110は、放射線撮像装置100が撮影待機状態から撮影可能状態、または撮影可能状態から撮影待機状態に状態が変化していないかを判定する。放射線撮像装置100の状態が変化していないと判定した場合(S1007;YES)、S1008に進み、放射線撮像装置100の状態が変化したと判定した場合(S1007;NO)、S1002に戻る。
【0131】
S1008において、通信制御装置110は、放射線発生装置121に放射線の照射要求があるか否かを確認する。
【0132】
S1009~S1019は、S503~S513と同様である。
【0133】
以上、説明したように、放射線撮像システムの通信制御装置110は通信状態推定手段904を使用し、放射線撮像システム内の通信環境を推定する。通信制御装置110の通信状態推定手段904は通信状態推定方法管理手段905を用い、放射線撮像装置100の状態に応じて通信状態推定方法を切り替える。通信状態推定手段904で通信状態推定方法を切り替えることで、放射線撮像装置100が撮影可能状態にあるときに、自動露出制御撮影に適さない通信状態を操作者に必ず通知することができる。また、通信状態推定手段904で通信状態推定方法を切り替えることで、通信状態推定のための通信による放射線撮像装置100の消費電力の増加を防止することができる。
【0134】
以上、本発明の一実施形態を示した。
【0135】
尚、上述の3つの実施形態では通信状態推定手段、通信状態判定手段、通信状態通知手段を、放射線撮像装置、放射線発生装置、通信制御装置が備える構成を例に説明したが、これに限るものでは無い。例えば、情報処理装置200が通信状態推定手段、通信状態判定手段、通信状態通知手段を備えてもよい。また、上記各実施形態では、通信状態の判定結果(閾値との比較の結果)を通知する形態で説明したが、これに限るものでは無い。例えば、通信状態の推定結果(通信状態の検知結果)のみを通知部で通知し、通信状態の良好、不良の判断は操作者の判断に委ねてもよい。この場合は、判定部(通信状態判定手段)は備えなくても良い為、装置構成(システム構成)を簡便に実現できる。
【0136】
(第4実施形態)
以下、本発明に係る第4実施形態の処理を説明する。なお、第4実施形態において、第1、第2、および第3実施形態と同様の図、および図中の同じ要素に関しては説明を省略する。
【0137】
図10は、第4実施形態に係る放射線撮像装置100の制御部328の構成を示す図である。
【0138】
図10に示すように、放射線撮像装置100の制御部328は、CPU1100、メモリ1101、通信部1102,駆動制御部1103、自動露出制御部1104、通信制御部1105、リスク算定手段1106、リスク判定手段1107、リスク通知手段1108を備える。
【0139】
CPU1100は、CPU400と同等の機能を持つ。メモリ1101は、メモリ401と同等の機能を持つ。通信部1102は、通信部402と同等の機能を持つ。駆動制御部1103は、駆動制御部403と同等の機能を持つ。自動露出制御部1104は、自動露出制御部404と同等の機能を持つ。通信制御部1105は、通信制御部405と同等の機能を持つ。
【0140】
リスク算定手段1106は、通信制御部1105から制御され、通信遅延が発生したときに放射線の停止精度が低下して被写体に与えるリスクの大きさを算定する。リスクは、通信遅延の発生確率と通信遅延が発生したときの被害の大きさに基づいて判定する。通信遅延の発生確率を示す指標データとして、パケットの送受信にかかった時間が所定の閾値を超える頻度、RSSI、SN比、同チャネルを利用している無線通信機器の個数、撮影場所、撮影時間帯などであるが、これに限らず通信遅延の発生確率に関わる指標であればよい。通信遅延が発生したときの被害の大きさを示す指標データとして、パケットの送受信にかかった時間、撮影条件、撮影部位などであるが、これに限らず通信遅延が発生したときの被害の大きさを示す指標であればよい。
図11にリスクを算定する指標の組み合わせの一例を示す。例えば、撮影条件や撮影部位に関わらず通信遅延の発生確率が高い場合(パケットの送受信にかかる時間が長く、頻度も多いなど)はリスクが高いと算定する。逆に、通信遅延の発生確率が低い場合は、通信遅延が発生したときの被害の大きさがある程度大きくてもリスクは中や低と算定する。
図11は一例に過ぎず、指標の項目や組み合わせ方、算定されるリスクは
図11の内容に限らない。また、
図12のように通信遅延の発生確率を示す指標と通信遅延が発生したときの被害の大きさを示す指標を構成する各指標に対して重み付けをした点数を設定して、その合計点をプロットしてプロットされた位置を基にリスクを算定してもよい。
【0141】
リスク判定手段1107は、通信制御部1105から制御され、リスク算定手段1106で算定結果から通知する内容を判定する。具体的には、リスク算定手段で算定した通信遅延が発生したときに生じるリスクに対して、リスク判定手段1107では、リスクに対する通知内容を識別する1つ以上の閾値を管理する。リスク判定手段1107で管理する複数の閾値に基づき、リスク算定手段1106で算定したリスクを自動露出制御への適否を示す複数の通知内容に分類する。なお、リスク判定手段1107で用いる閾値は、情報処理装置200などの放射線撮像装置システム内からの指示で適宜変更可能としてもよい。
【0142】
リスク通知手段1108は、通信制御部1105から制御され、リスク判定手段1107で分類した自動露出制御撮影への適否状態を示す内容を操作者に対して判定結果として通知する。具体的には、通信部1102を介して情報処理装置200に判定結果を通知し、情報処理装置200は停止制御に関する警告情報として、自動露出制御撮影に適さない旨を示すメッセージを表示装置203を介して操作者に通知する。本通知において、リスク通知手段1108は、リスク判定手段1107で判定した複数の自動露出制御撮影への適否状態に応じて、操作者に通知する内容を変更する。
【0143】
[自動露出制御撮影に適さない通信状態を通知する手順を示すフローチャート]
図13は、第4実施形態に係る放射線撮像システムの放射線発生装置121が通信状態に応じて操作者に対して通知する内容を変更する手順を示すフローチャートである。本フローチャートでは、二つの閾値で自動露出制御撮影において通信遅延が発生したときのリスクを良好な順に、正常状態、警告状態、エラー状態の三つに分類する例を示すが、これに限らず、三つ以上の閾値を設けてもよい。このように、本実施形態では閾値を複数有する。
【0144】
S1301では、S501と同様の判定をする。S1301において、放射線発生装置121は、放射線撮像装置100が撮影不可状態から撮影可能状態に遷移中の撮影待機状態、または放射線の照射を受けて撮影可能な状態であるかを判定する。放射線撮像装置100が当該状態であると判定した場合(1301;YES)、S1302に進み、放射線撮像装置100が当該状態でないと判定した場合(S1301;NO)、S1301に戻る。
【0145】
S1302はS502と同様であり、放射線発生装置121の通信制御部1105は、リスク算定手段1106を用いてリスクの算出を開始する。
【0146】
S1303では、S503と同様の判定をする。S1303において、放射線発生装置121は、放射線の照射要求があるか否かを判定する。放射線の照射要求がなく放射線が照射されないと判定した場合(S1303;YES)、S1306に進み、放射線の照射要求があり放射線が照射されると判定した場合(S1303;NO)、S1304に進む。
【0147】
S1304において、放射線発生装置121の通信制御部1105は、放射線画像への通信ノイズの発生を防止するため、リスク算定手段1106を用いたリスクの算定を停止する。
【0148】
S1305~S1307はS505~S507と同様である。
【0149】
S1308において、放射線発生装置121のリスク判定手段1107は、第1の閾値を確認する。第1の閾値は、リスク量が無視できる状態とそれ以外の状態(警告状態またはエラー状態)を識別するための閾値である。
【0150】
S1309において、放射線発生装置121のリスク判定手段1107は、自動露出制御撮影に適さない通信状態(警告状態またはエラー状態)であるかを判定する。リスク判定手段1107でリスクが警告状態またはエラー状態であると判定した場合(S1309;YES)、S1310に進み、リスク判定手段1107でリスクが無視できる状態と判定した場合(S1309;NO)、S1303に戻る。
【0151】
S1310、S1311は、S509、S510と同様である。
【0152】
S1312において、放射線発生装置121のリスク判定手段1107は、第2の閾値を確認する。第2の閾値は、リスクが警告状態とエラー状態を識別するための閾値である。
【0153】
S1313において、放射線発生装置121のリスク判定手段1107は、リスクが警告状態かエラー状態かを判定する。リスク判定手段1107でリスクが警告状態であると判定した場合(S1313;NO)、S1314に進み、リスク判定手段1107でリスクがエラー状態と判定した場合(S1313;YES)、S1315に進む。
【0154】
S1314において、放射線発生装置121のリスク通知手段1109は、情報処理装置200に通信状態が第1の閾値を越えた警告状態であることを通知する。情報処理装置200は、表示装置203を介して、操作者に自動露出制御撮影に適さないリスク(第一の警告状態)であることを通知する。
【0155】
S1315において、放射線発生装置121のリスク通知手段1109は、情報処理装置200にリスクが第2の閾値を越えたエラー状態であることを通知する。情報処理装置200は、表示装置203を介して、操作者に自動露出制御撮影に適さないリスク(第二の警告状態(エラー状態であり。自動露出制御撮影を行うべきではない状態)であることを通知する。このように、本実施形態においては、リスクの判定に使用した閾値に応じて通知する警告情報を変更する。
【0156】
S1316、S1317はS512、S513と同様である。
【0157】
以上、説明したように、放射線撮像システムの放射線発生装置121はリスク算定手段1106を使用し、放射線撮像システム内の通信遅延が発生したときのリスクの大きさを算定する。そして、リスク判定手段1107は、管理する複数の閾値に基づき、リスクを自動露出制御への適否を示す複数の状態に分類する。リスク通知手段1109は、リスク判定手段1107が分類した複数の適否状態に応じて、操作者に対する適否状態の通知内容を変更する。その結果、操作者は、放射線撮像システムの通知内容に応じて、リスクの悪化状況を識別することができ、自動露出制御撮影の中止、リスクの改善のいずれかを判断することが可能となる。また、放射線撮像システムにおいて、リスクが最も悪い状態(第三の警告状態)では自動露出制御撮影を許可しないようにしてもよい。これによって、自動露出制御における通信遅延を原因とした患者の被曝量の増加を撮影前に未然に防止し、自動露出制御撮影で閾値として設定された累計積算線量よりも大きい累積線量の画像が生成されることを防止することができる。
【0158】
以上、本発明の一実施形態を示した。
【0159】
尚、上述の実施形態ではリスク算定手段、リスク判定手段、リスク通知手段を、放射線撮像装置が備える構成を例に説明したが、これに限るものでは無い。例えば、放射線発生装置または通信制御装置が、リスク算定手段、リスク判定手段、リスク通知手段を備えてもよい。また、上記実施形態では、リスクの判定結果(閾値との比較の結果)を通知する形態で説明したが、これに限るものでは無い。例えば、リスクの算定結果のみを通知部で通知し、自動露出制御撮影への適、不適の判断は操作者の判断に委ねてもよい。この場合は、判定部(リスク判定手段)は備えなくても良い為、装置構成(システム構成)を簡便に実現できる。
【0160】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウエア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を経由してシステム或いは装置に供給する。そしてそのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPUなど)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、上述した実施形態の機能を実現するハードウエアによる処理も同様である。
【0161】
本明細書の開示は、以下の放射線撮像システム、放射線撮像装置、放射線発生装置、通信制御装置、および情報処理装置を含む。
【0162】
(項目1)
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、前記通信部による通信状態を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に対応する情報を通知する通知手段と、を備え、前記通知手段は、前記判定手段による判定結果が通信不良である場合、前記制御手段による前記停止制御に関する警告情報を通知することを特徴とする放射線撮像システム。
【0163】
(項目2)
前記判定手段は、前記通信部からの情報送信における再送信頻度に基づいて前記通信状態を判定することを特徴とする項目1に記載の放射線撮像システム。
【0164】
(項目3)
前記判定手段は、前記通信部による通信に要する時間である通信時間に関する閾値を有し、該閾値を使用して前記通信状態を判定することを特徴とする項目1に記載の放射線撮像システム。
【0165】
(項目4)
前記閾値が変更可能であることを特徴とする項目3に記載の放射線撮像システム。
【0166】
(項目5)
前記判定手段は、前記閾値を複数有することを特徴とする項目3または項目4に記載の放射線撮像システム。
【0167】
(項目6)
前記通信部は、放射線の照射前に第一の通信を複数回行い、前記判定手段は、複数回の前記第一の通信の通信時間の統計値と前記閾値との比較に基づいて通信状態を判定することを特徴とする項目3から5のいずれか1項目に記載の放射線撮像システム。
【0168】
(項目7)
前記通信部は、放射線の照射前に第一の通信を複数回行い、前記判定手段は、前記第一の通信の通信時間が前記閾値を超えた回数に基づいて通信不良を判定することを特徴とする項目3から5のいずれか1項目に記載の放射線撮像システム。
【0169】
(項目8)
前記通知手段は、前記判定手段による前記通信状態の判定結果が通信良好から通信不良に変化した場合に、前記警告情報を通知することを特徴とする項目1から5のいずれか1項目に記載の放射線撮像システム。
【0170】
(項目9)
前記通知手段は、前記複数の閾値のうち前記判定手段が前記通信状態の判定に使用した閾値に応じて通知する前記警告情報を変更することを特徴とする項目3から5のいずれか1項目に記載の放射線撮像システム。
【0171】
(項目10)
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と、前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作を行うか否かを制御する制御部と、前記検出部が放射線照射中に検出した放射線に関する情報を送信可能な通信部と、前記通信部による通信状態を判定する判定部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする放射線撮像装置。
【0172】
(項目11)
放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置に向けて放射線を照射する放射線発生装置であって、前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする放射線発生装置。
【0173】
(項目12)
放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置と通信する通信制御装置であって、前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする通信制御装置。
【0174】
(項目13)
放射線照射中に照射された放射線を検出する動作を行い、検出した放射線に関する情報を送信可能な放射線撮像装置から放射線画像情報を受信して処理する情報処理装置であって、前記放射線撮像装置の通信状態を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に対応する情報を送信可能な通信部と、を備え、前記通信部は、前記判定部による判定結果が通信不良である場合、前記放射線撮像装置による放射線照射中に照射された放射線を検出する動作に関する警告情報を送信することを特徴とする情報処理装置。
【0175】
(項目14)
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、前記通信部による通信状態を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に対応する情報を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする放射線撮像システム。
【0176】
(項目15)
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と、前記検出部が放射線照射中に放射線を検出する動作を行うか否かを制御する制御部と、前記検出部が放射線照射中に検出した放射線に関する情報を送信可能な通信部と、前記通信部による通信状態を検知する検知部と、を備え、前記通信部は、前記検知部による検知結果に対応する情報を送信することを特徴とする放射線撮像装置。
【0177】
(項目16)
放射線発生装置から照射された放射線を検出する検出部と該検出部で検出された放射線に関する情報を送信可能な通信部とを備える放射線撮像装置と、
前記通信部から送信された情報に基づいて前記放射線発生装置から照射される放射線を停止制御する制御手段と、
前記通信部からリスク指標を収集し、前記制御手段の停止制御の精度が低下するリスクを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に対応する情報を通知する通知手段と、
を備え、
前記通知手段は、前記判定手段による判定結果が不良判定である場合、前記制御手段による前記停止制御に関する警告情報を通知する
ことを特徴とする放射線撮像システム。
【0178】
(項目17)
前記判定手段は、前記通信部からの通信遅延の発生確率を示す指標と通信遅延発生時の影響度を示す指標の片方または両方に基づくリスク指標に基づいて、前記通信遅延によるリスクの大きさを判定することを特徴とする項目16に記載の放射線撮像システム。
【0179】
(項目18)
前記通信遅延の発生確率を示す指標は、通信に要する時間が所定の閾値を超える頻度、RSSI、SN比、アクセスポイントが使用しているチャネルと同チャネルまたは隣接しているチャネルに接続されている無線通信機器の個数に関する閾値を有し、当該閾値を使用して前記通信遅延によるリスクの大きさを判定することを特徴とする項目17に記載の放射線撮像システム。
【0180】
(項目19)
前記通信遅延発生時の影響度を示す指標は、通信に要する時間、撮影条件、撮影場所、撮影時間帯に関する閾値を有し、当該閾値を使用して前記通信遅延によるリスクの大きさを判定することを特徴とする項目17に記載の放射線撮像システム。
【0181】
(項目20)
前記閾値が変更可能であることを特徴とする項目18から19のいずれか1項に記載の放射線撮像システム。
【0182】
(項目21)
前記判定手段は、前記閾値を複数有することを特徴とする項目18から19のいずれか1項に記載の放射線撮像システム。
【0183】
(項目22)
前記通信部は、放射線の照射前に第一の通信を複数回行い、
前記判定手段は、前記第一の通信で得られた前記通信遅延の発生確率を示す指標と前記通信遅延発生時の影響度を示す指標に基づいてリスクの大きさを判定することを特徴とする項目18から21のいずれか1項に記載の放射線撮像システム。
【0184】
(項目23)
前記通知手段は、前記判定手段による前記リスクの大きさの判定結果が良好から不良に変化した場合に、前記警告情報を通知することを特徴とする項目16から21のいずれか1項に記載の放射線撮像システム。
【0185】
(項目24)
前記通知手段は、前記複数の閾値のうち前記判定手段が前記リスクの大きさの判定に使用した閾値に応じて通知する前記警告情報を変更することを特徴とする項目18から21のいずれか1項に記載の放射線撮像システム。
【符号の説明】
【0186】
100 放射線撮像装置
104 無線通信部
105 有線通信部
110 通信制御装置
121 放射線発生装置
122 放射線源
200 情報処理装置
203 表示装置
300 放射線検出器
327 信号処理部
328 制御部