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特開2024-169301翼のための前縁構造ならびにその製造のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169301
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】翼のための前縁構造ならびにその製造のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/25 20210101AFI20241128BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20241128BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20241128BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241128BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241128BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20241128BHJP
   B22F 10/38 20210101ALI20241128BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20241128BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20241128BHJP
   B64C 27/473 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B22F10/25
F01D25/00 X
F02C7/00 D
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y80/00
B22F10/38
B22F1/00 R
F01D5/28
B64C27/473
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024021125
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】18/322,801
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523043898
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ダブリュー・ヤング
【テーマコード(参考)】
3G202
4K018
【Fターム(参考)】
3G202EA01
3G202EA04
4K018AA19
4K018AA21
4K018AA40
4K018BA09
4K018BA20
4K018BB04
4K018KA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、翼のための前縁構造ならびにその製造のためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】翼の保護前縁構造を製造するためのシステムおよび方法は、マンドレルと、コールドスプレー積層造形装置とを、含むシステムを含む。コールドスプレー積層造形装置は、前縁構造の内層、中間層、および外層を形成するために、マンドレルのツール面に金属粉末を堆積させるように構成されている。内層は、前縁構造の内面を形成する。外層は、前縁構造の外面を形成する。中間層は、前縁構造の厚さを形成する。前縁構造の外面が、翼の前縁の一部分および空気力学的表面の一部分を形成するように、前縁構造の内面は、翼に結合されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼(104)の前縁構造(102)を製造するためのシステム(100)であって、前記システム(100)が、
ツール表面(122)を備えるマンドレル(118)と、
コールドスプレー積層造形装置(120)であって、
前記前縁構造(102)の内層(136)を形成するために、前記マンドレル(118)の前記ツール面(122)に金属粉末(132)を堆積させることと、
前記前縁構造(102)のいくつかの中間層(224)を形成するために、前記内層(136)に前記金属粉末(132)を堆積させることと、
前記前縁構造(102)の外層(138)を形成するために、前記中間層(224)のうちの1つに前記金属粉末(132)を堆積させることと
を実施するように構成されている、コールドスプレー積層造形装置(120)と
を備え、
前記内層(136)が、前記前縁構造(102)の内面(124)を形成し、
前記外層(138)が、前記内面(124)に対向する、前記前縁構造(102)の外面(126)を形成し、
前記中間層(224)が、前記内面(124)と前記外面(126)との間で前記前縁構造(102)の厚さを形成し、
前記前縁構造(102)の前記外面(126)が、前記翼(104)の前縁(108)の一部分および空気力学的表面(152)の一部分を形成するように、前記前縁構造(102)の前記内面(124)が、前記翼(104)に結合されるように構成されている、
システム(100)。
【請求項2】
前記金属粉末(132)が、ニオブ粉末(134)を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記金属粉末(132)が、耐火性金属粉末(150)を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記コールドスプレー積層造形装置(120)が、前記内層(136)を形成するために、前記金属粉末(132)を第1の速度(146)で堆積させ、前記中間層(224)および前記外層(138)のうちの1つまたは複数を形成するために、前記金属粉末(132)を第2の速度(148)で堆積させるようにさらに構成されており、
前記第1の速度(146)が、前記第2の速度(148)より小さい、
請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記第1の速度(146)が、前記金属粉末(132)の接着レベルよりも低く、
前記第2の速度(148)が、前記金属粉末(132)の前記接着レベルよりも高い、
請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記第1の速度(146)が、前記第2の速度(148)より、約5%~約25%小さい、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記マンドレル(118)が、モノリシック構造であり、
前記ツール面(122)が、連続面である、
請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記マンドレル(118)が、第1の硬度(140)を備え、
前記金属粉末(132)が、第2の硬度(142)を備え、
前記第1の硬度(140)が、前記第2の硬度(142)よりも大きい、
請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
翼(104)の前縁構造(102)を製造するための方法(1000)であって、前記方法(1000)が、
前記前縁構造(102)の内層(136)を形成するために、マンドレル(118)のツール面(122)に金属粉末(132)をコールドスプレーするステップと、
前記前縁構造(102)のいくつかの中間層(224)を形成するために、前記内層(136)に前記金属粉末(132)をコールドスプレーするステップと、
前記前縁構造(102)の外層(138)を形成するために、前記中間層(224)のうちの1つに前記金属粉末(132)をコールドスプレーするステップと
を含み、
前記内層(136)が、前記前縁構造(102)の内面(124)を形成し、
前記外層(138)が、前記内面(124)に対向する、前記前縁構造(102)の外面(126)を形成し、
前記中間層(224)が、前記内面(124)と前記外面(126)との間で前記前縁構造(102)の厚さを形成し、
前記前縁構造(102)の前記外面(126)が、前記翼(104)の前縁(108)の一部分および空気力学的表面(152)の一部分を形成するように、前記前縁構造(102)の前記内面(124)が、前記翼(104)に結合されるように構成されている、
方法(1000)。
【請求項10】
前記金属粉末(132)が、ニオブ粉末(134)を含む、請求項9に記載の方法(1000)。
【請求項11】
前記金属粉末(132)が、ニオブ粉末(134)から本質的になる、請求項9に記載の方法(1000)。
【請求項12】
前記金属粉末(132)が、ニオブ粉末(134)からなる、請求項9に記載の方法(1000)。
【請求項13】
前記金属粉末(132)が、耐火性金属粉末(150)を含む、請求項9に記載の方法(1000)。
【請求項14】
前記内層(136)を形成するために、前記金属粉末(132)を第1の速度(146)で堆積させるステップと、
前記中間層(224)および前記外層(138)のうちの1つまたは複数を形成するために、前記金属粉末(132)を第2の速度(148)で堆積させるステップと
をさらに含み、
前記第1の速度(146)が、前記第2の速度(148)より小さい、
請求項9に記載の方法(1000)。
【請求項15】
前記第1の速度(146)が、前記金属粉末(132)の接着レベルよりも低く、
前記第2の速度(148)が、前記金属粉末(132)の前記接着レベルよりも高い、
請求項14に記載の方法(1000)。
【請求項16】
前記第1の速度(146)が、前記第2の速度(148)より、約5%~約25%小さい、請求項14に記載の方法(1000)。
【請求項17】
前記マンドレル(118)の前記ツール面(122)から前記前縁構造(102)の前記内面(124)を解放するステップをさらに含み、
前記マンドレル(118)が、モノリシック構造であり、
前記ツール面(122)が、連続面であり、
前記マンドレル(118)が、第1の硬度(140)を有し、
前記金属粉末(132)が、第2の硬度(142)を有し、
前記第1の硬度(140)が、前記第2の硬度(142)よりも大きい、
請求項9に記載の方法(1000)。
【請求項18】
翼(104)の前縁構造(102)であって、
前記翼(104)に結合されるように構成されている内面(124)と、
前記内面(124)に対向し、前記翼(104)の前縁(108)の一部分および空気力学的表面(152)の一部分を形成するように構成されている外面(126)と
を備え、
前記前縁構造(102)が、コールドスプレー積層造形プロセスを使用してマンドレル(118)のツール面(122)にニオブ粉末(134)を堆積させることによって製造される、
前縁構造(102)。
【請求項19】
前記前縁構造(102)が、
前記マンドレル(118)の前記ツール面(122)に内層(136)を形成するために、前記ニオブ粉末(134)を第1の速度(146)で堆積させることと、
前記内層(136)上の1つまたは複数の中間層(224)に前記ニオブ粉末(134)を第2の速度(148)で堆積させることと、
前記中間層(224)に外層(138)を形成するために、前記ニオブ粉末(134)を前記第2の速度(148)で堆積させることと
を実施することによって製造され、
前記第1の速度(146)が、前記第2の速度(148)よりも小さい、
請求項18に記載の前縁構造(102)。
【請求項20】
前記第1の速度(146)が、前記ニオブ粉末(134)の接着レベルよりも低く、
前記第2の速度(148)が、前記ニオブ粉末(134)の前記接着レベルよりも高い、
請求項19に記載の前縁構造(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に空気力学的構造の製造に関し、より詳細には、コールドスプレー積層造形を使用してローターブレードなどの翼の前縁構造を製造するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリコプターのローター、航空機のプロペラ、タービンローター、および他の回転する翼などの翼の前縁は、動作中に空中の異物の衝撃による摩耗、浸食、および/または損傷を受ける。したがって、チタン、鋼、ニッケル、およびそれらの合金など、耐衝撃性および耐摩耗性である材料で作られたカバーが、前縁を保護するために翼に取り付けられている。しかしながら、翼の空気力学的設計および幾何学的形状が発展するにつれて、従来の製造技術を使用して前縁のための材料カバーを製造することはますます困難になってきている。したがって、当業者は、空気力学的構造製造の分野において研究開発の努力を続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
翼の前縁構造を製造するためのシステムと、翼の前縁構造を製造するための方法と、システムを使用して、または方法に従って、製造された翼の前縁構造と、翼と、翼を製造するための方法と、の例を開示する。以下は、本開示による主題の、特許請求されるものも、されないものもある例の非網羅的なリストである。
【0004】
一例では、開示したシステムは、ツール面を含むマンドレルを含む。システムは、コールドスプレー積層造形装置を含む。コールドスプレー積層造形装置は、前縁構造の内層を形成するために、マンドレルのツール面に金属粉末を堆積させるように構成されている。コールドスプレー積層造形装置は、前縁構造の中間層を形成するために、内層に金属粉末を堆積させるように構成されている。コールドスプレー積層造形装置は、前縁構造の外層を形成するめに、中間層に金属粉末を堆積させるように構成されている。内層は、前縁構造の内面を形成する。外層は、内面に対向する前縁構造の外面と、内面と外面との間で前縁構造の厚さと、を形成する。中間層は、内面と外面との間で前縁構造の厚さを形成する。前縁構造の外面が、翼の前縁の一部分および空気力学的表面の一部分を形成するように、前縁構造の内面は、翼に結合されるように構成されている。
【0005】
一例では、本開示の方法は、(1)前縁構造の内層を形成するために、マンドレルのツール面に金属粉末をコールドスプレーするステップと、(2)前縁構造の中間層を形成するために、内層に金属粉末をコールドスプレーするステップと、(3)前縁構造の外層を形成するために、中間層に金属粉末をコールドスプレーするステップと、を含む。内層は、前縁構造の内面を形成する。外層は、内面に対向する前縁構造の外面を形成する。中間層は、内面と外面との間で前縁構造の厚さを形成する。前縁構造の外面が、翼の前縁の一部分および空気力学的表面の一部分を形成するように、前縁構造の内面は、翼に結合されるように構成されている。
【0006】
一例では、本開示の前縁構造は、翼に結合されるように構成されている内面を含む。内面に対向し、翼の前縁の一部分および空気力学的表面の一部分を形成するように構成されている外面を、前縁構造は含む。前縁構造は、コールドスプレー積層造形プロセスを使用してマンドレルのツール面にニオブ粉末を堆積させることによって製造される。
【0007】
一例では、本開示の翼は、複合体を含む。複合体は、先端部と、先端部に対向する根元部と、を含む。複合体は、根元部から先端部に向かって延伸する前縁第1の部分を含む前縁を含む。前縁に対向し、根元部から先端部まで延伸する後縁を、複合体は含む。また、複合体の前縁に結合され、前縁第1の部分から先端部まで延伸する前縁の前縁第2の部分を形成する前縁構造を、翼は含む。前縁構造は、コールドスプレー積層造形プロセスを使用してマンドレルのツール面にニオブ粉末を堆積させることによって製造される。
【0008】
一例では、本開示の方法は、(1)先端部と、先端部に対向する根元部と、根元部から先端部に向かって延伸する前縁第1の部分を含む前縁と、前縁に対向し、根元部から先端部に延伸する後縁と、を含む複合体を製造するステップと、(2)コールドスプレー積層造形プロセスを使用してマンドレルのツール面にニオブ粉末を堆積させることによって前縁構造を製造するステップと、(3)前縁第1の部分から先端部まで延伸する前縁第2の部分を形成するために、前縁構造を複合体の前縁に結合するステップと、を含む。
【0009】
本明細書に開示するシステム、方法、前縁構造、および翼の他の例は、以下の詳細な説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ローターの一例の概略斜視図である。
図2】ローターブレードの一例の一部分の概略断面図である。
図3】前縁構造を有するローターブレードの一例の概略平面図である。
図4】ローターブレードおよび前縁構造の一例の概略分解平面図である。
図5】前縁構造の一例の概略斜視図である。
図6】前縁構造の一例の概略立面図である。
図7】前縁構造の一例の概略平面図である。
図8】コールドスプレープロセスを使用して前縁構造を製造するための製造環境の一例の概略図である。
図9】コールドスプレープロセスを使用する前縁構造の製造例を示す概略図である。
図10】製造環境、翼、および前縁構造例の概略ブロック図である。
図11】コールドスプレープロセスを使用して前縁構造を製造するための方法の一例のフロー図である。
図12】前縁構造を有する翼の製造するための方法の一例のフロー図である。
図13】航空機の製造および保守点検方法の一例のフロー図である。
図14】航空機の一例の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図12を参照すると、例として、本開示は、翼104の前縁構造102を製造するためのシステム100および方法1000に関する。より詳細には、システム100および方法1000は、単一組成の蓄積材料および単一の蓄積マンドレルを利用するコールドスプレー積層造形プロセスを使用して、前縁構造102を製造することに関する。例として、本開示はまた、システム100を使用して、および/または方法1000に従って、製造される翼104の前縁構造102に関する。例として、本開示は、翼104の前縁の一部分を形成する前縁構造102を含む翼104にさらに関する。例として、本開示は、翼104を製造するための方法2000にさらに関する。
【0012】
本明細書に示す例では、翼104は、ヘリコプターまたは他の回転翼機のローターブレードを含むか、またはそれらの形態をとる。しかしながら、他の例では、翼104は、航空機のプロペラ、タービンローターブレード、ファンローターブレード、および他の回転翼を含むか、またはそれらの形態をとることができる。
【0013】
本開示は、現代の航空機の動作効率を高めるための努力において、構成部品の強度を維持しつつ、質量を低減することが望ましいことを認識している。ローターブレード、プロペラブレード、ファンブレードなど、構成要素の強度を低下させることなく、質量を低減することは、例えば繊維強化ポリマー複合材料を含む複合材料の使用によって実現されている。さらに、複合材の使用はまた、従来の材料を使用して実現できない複雑な表面形状を有する高効率の空気力学的設計を可能にした。しかしながら、ブレードの浸食および異物損傷からの保護に対して十分な強度をもたせるために、複合材料製ブレードの前縁を補強する必要がある場合がある。ローターブレード、プロペラブレード、ファンブレード、ならびに電鋳および熱機械成形などの他の翼ブレードの前縁保護をもたらすための従来の技術は、複合材料製ブレードの空気力学的形状が複雑になるにつれて、ますます困難になっている。さらに、前縁保護を製造し、取り付けるための従来の材料および技術は、最新の航空機には不十分であり得る。本開示は、独自のコールドスプレー積層造形技術を使用して前縁構造102を製造することによって、ブレードおよび他の翼の前縁保護に関する上記の問題に対処する。
【0014】
図1は、回転翼機のローター110の一例を概略的に示している。ローター110は、単一でローターブレード106とも呼ばれる複数のローターブレード106を含む。ローターブレード106は、翼104の一例である(図10)。ローターブレード106の各々は、前縁108と、後縁112と、先端部114と、根元部116と、上部空気力学的表面160と、下部空気力学的表面162と、を含む。ローターブレード106は、根元部116でハブ166に結合される。ローターマスト168は、ハブ166に結合され、ローターブレード106を方向矢印170の方向に回転させる。ローターブレード106の各々は、繊維強化ポリマー(FRP)など、複合材料172で作られる(図10)。ローターブレード106の各々は、前縁構造102を含む。前縁構造102は、単一の構造単位を形成するようにローターブレード106に結合され(例えば、接合または接着され)、それにより、ローターブレード106の前縁108の少なくとも一部分を衝撃および浸食、摩耗、ならびに/あるいは損傷から保護する。
【0015】
1つ以上の例では、前縁構造102は、ローターブレード106の前縁108の外側端部または外側部分に結合され、それらを保護する。1つ以上の例では、前縁構造102は、ローターブレード106の前縁108の外側部分および中間部分に結合され、それらを保護する。1つ以上の例では、前縁構造102は、ローターブレード106の前縁108の外側部分、中間部分、および内側部分に結合され、それらを保護する。
【0016】
一般に、前縁構造102は、動作中に、翼104(例えば、ローターブレード106)に加えられる負荷の一部分を支える。前縁構造102はまた、下にある翼構造と、翼104と前縁構造102との間の任意の接着ボンドラインと、の適合を可能にする任意のレベルの歪み能力を有する。したがって、前縁構造102を説明するために使用するとき、「強度」は、衝撃、浸食、および摩耗に対する耐性と、空気力学的負荷を支える能力と、の両方を指す。
【0017】
1つ以上の例では、前縁構造102の単一のインスタンスまたはセグメント(例えば、1つの前縁構造セグメント)は、根元部116と先端部114との間の前縁108の所望の部分を保護するために、ローターブレード106または翼104に結合される。1つ以上の例では、前縁構造102の複数のインスタンスまたはセグメント(例えば、一連の前縁構造セグメント)は、根元部116と先端部114との間の前縁108の所望の部分を保護するために、翼長方向に沿ってローターブレード106または翼104に結合される。1つ以上の例では、前縁構造セグメントの1つまたは複数を、異なる製造プロセスを使用して作ることができ、異なる材料を使用して作ることができ、および/または翼の動作環境、材料、被覆率、および厚さによって決定されるサイズおよび形状を有することができる。
【0018】
図2は、ローターブレード106(図1)のうちの1つの一部分の一例を概略的に示している。図2に示すローターブレード106は、翼104の一例である(図10)。ローターブレード106は、上部空気力学的表面160(例えば、負圧側または低圧側)および下部空気力学的表面162(例えば、正圧側または高圧側)などの空気力学的表面152を含む。ローターブレード106は、繊維強化ポリマー複合材料などで、例えば翼形状(例えば、翼本体)を有する複合材料172(図10)で作られる複合体174を含む。前縁構造102は、ローターブレード106の複合体174の支持面164に結合される。
【0019】
図2は、翼弦方向にほぼ一定の厚さ176を有する前縁構造102の例を示している。本開示は、翼およびブレードの設計が翼弦方向にテーパになる厚さを有することが一般的であることを認識している。さらに、厚さがテーパになる複雑さを含む前縁構造102を製造することは、コールドスプレープロセスを使用する利点である。さらに、図2に示す例では、余分な積層エラーがない。
【0020】
1つ以上の例では、支持面164は、構造基板を含むか、あるいは前縁構造102の下にある支持および取付け表面を提供するか、またはそのように機能する。例えば、支持面164は、複合材料172で作られたローターブレード106の外側モールドライン(OML)の一部分を形成する。前縁構造102を受け入れる凹所が形成されるように、支持面164は、ローターブレード106の空気力学的表面152から後退(例えば、オフセット)している。ローターブレード106の空気力学的表面152からの支持面164の凹所寸法またはオフセット寸法は、前縁構造102の、および前縁構造102をローターブレード106に接合するために使用される任意の接着剤の、厚さ176に等しい。したがって、前縁構造102がローターブレード106の支持面164に結合されることにより、前縁構造102は、ローターブレード106の前縁108の一部分を、およびローターブレード106の空気力学的表面152の一部分を、形成する。
【0021】
1つ以上の例では、前縁構造102は、例えば、界面応力および歪み環境に適合する構造接着剤を使用して、下にあるブレード構造(支持面164)に接合される。1つ以上の例では、前縁構造102は、複合材料172の硬化前にローターブレード106に接合され、ローターブレード106は、前縁構造102と適所で硬化される。1つ以上の例では、ローターブレード106が、硬化され、次いで前縁構造102が、ローターブレード106に接合される。
【0022】
1つ以上の例では、前縁構造102は、内面124と、内面124と対向する外面126と、内面124と外面126との間の厚さ176と、を含む。内面124は、前縁構造102の内側形状を形成する。内面124および支持面164が、ローターブレード106に結合された前縁構造102と密接に嵌合接触するように、前縁構造102の内面124は、支持面164の外形と相補的であるか、または実質的に一致するように構成(例えば、適切なサイズ、形状などであるように)される。1つ以上の例では、内面124は、支持面164に接着接合される。前縁構造102がローターブレード106に結合された状態で、外面126は、ローターブレード106の前縁108の一部分を、およびローターブレード106の空気力学的表面152の一部分を、形成する。例えば、前縁構造102の外面126が、ローターブレード106の空気力学的表面152から連続的に延伸する外形を有するように、前縁構造102は、厚さ176に適切な値を有するコールドスプレー積層造形を使用して製造される。
【0023】
1つ以上の例では、前縁構造102は、ヘッド部分178と、上部部分180と、下部部分182と、を含む。ヘッド部分178は、前縁構造102の前縁頂点を形成し、ローターブレード106の前縁108に沿って位置するように構成される。上部部分180は、ヘッド部分178からローターブレード106の後縁112に向かって延伸する。下部部分182は、上部部分180と対向するヘッド部分178から、ローターブレード106の後縁112に向かって延伸する。前縁構造102のヘッド部分178の外面126は、ローターブレード106の前縁108の一部を形成するように構成される。上部部分180の外面126は、ローターブレード106の上部空気力学的表面160の一部を形成するように構成される。下部部分182の外面126は、ローターブレード106の下部空気力学的表面162の一部を形成するように構成される。
【0024】
1つ以上の例では、前縁構造102の厚さ176は、翼弦方向および/または翼長方向において一定である。1つ以上の例では、前縁構造102の厚さ176は、翼弦方向および/または翼長方向において変化する。
【0025】
1つ以上の例では、前縁構造102の厚さ176は、1つまたは複数の方向において厚さテーパ分布を含む。厚さテーパ分布は、衝撃角、衝撃速度、および浸食濃度に基づいて、浸食摩耗に対して最適化された設計に対する翼弦方向および/または翼長方向の変化に基づく。さらに、厚さの変化を、質量、質量分布、構造寿命、およびボンドライン寿命について最適化する、または平衡させることができる。前縁構造102の厚さテーパ分布を変化することができる。1つ以上の例では、前縁構造102の構造前縁194から前縁構造102の構造後縁196までの厚さ176の領域は、10倍(10X)以上など、5倍(5X)より大きい比を有する。例えば、ヘッド部分178の、あるいは上部部分180および/または下部部分182の前端部の、厚さ176は、上部部分180および/または下部部分182の後端部の厚さ176の5倍より大きくすることができる。例えば、ヘッド部分178における、あるいは上部部分180および/または下部部分182の前端部の、厚さ176は、約0.1インチであり、上部部分180および/または下部部分182の後端部における厚さ176は、約0.01インチである。
【0026】
図3および図4は、ローターブレード106および前縁構造102の一例を概略的に示している。図3は、ローターブレード106に結合された前縁構造102を示している。図4は、ローターブレード106から分離された前縁構造102を示している。図3に示すように、前縁構造102(例えば、前縁構造102が取り付けられた状態で)の取付けの後、ローターブレード106の前縁108は、前縁第1の部分128と、前縁第2の部分130と、を含む。前縁第1の部分128は、ローターブレード106の根元部116の近傍(例えば、根元部において、またはその近く)から、先端部114に向かって延伸する。前縁第2の部分130は、前縁第1の部分128から先端部114の近傍(例えば、先端部において、またはその近く)まで延伸する。前縁第1の部分128は、ローターブレード106の複合体174の空気力学的表面152によって形成される。前縁第2の部分130は、前縁構造102の金属体198の空気力学的表面によって形成される。前縁第1の部分128および前縁第2の部分130は、ローターブレード106の外側モールドラインを形成するか、またはそれに沿って位置する。図4に示すように、1つ以上の例では、前縁108が、前縁第1の部分128および前縁セットバック部分184を含むか、またはそれらによって形成されるように、ローターブレード106は製造される。言い換えれば、前縁構造102の取付け前に(例えば、前縁構造102が取り付けられることなく)、ローターブレード106の前縁108は、前縁第1の部分128と、前縁セットバック部分184と、を含む。前縁第1の部分128は、ローターブレード106の外側モールドラインを形成するか、またはそれに沿って位置する。前縁セットバック部分184は、ローターブレード106の支持面164によって形成される。前縁セットバック部分184は、ローターブレード106の外側モールドライン、および前縁第1の部分128からオフセットされている。
【0027】
図5図7は、前縁構造102の一例を概略的に示している。1つ以上の例では、前縁構造102は、金属体198(図10)を含み、翼形状を有する。一般に、前縁構造102の金属体198の翼形状は、ローターブレード106の複合体174の一部分の翼形状と相補的に一致する。
【0028】
前縁構造102の金属体198は、構造第1の端部186と、構造第2の端部188と、構造上面190(例えば、上部翼表面)と、構造下面192(例えば、下部翼表面)と、構造前縁194と、構造後縁196と、を含む。構造第1の端部186は、ローターブレード106(図3)の先端部114の一部分に近接して位置するように、またはその一部分を形成するように構成される。構造第2の端部188は、前縁構造102の長手方向軸に沿って構造第1の端部186と対向し、ローターブレード106の先端部114からローターブレード106の根元部116に向かって離隔するように構成される。構造前縁194は、前縁第2の部分130(図3)など、ローターブレード106の前縁108の一部を形成するように構成される。例えば、構造前縁194は、前縁構造102の金属体198のヘッド部分178の外面126の一部によって形成される。構造後縁196は、翼弦方向において構造前縁194と対向し、構造上面190がローターブレード106の上部空気力学的表面160と連続的な空気力学的表面外形を形成し、構造下面192がローターブレード106の下部空気力学的表面162と連続的な空気力学的表面外形を形成するように、ローターブレード106の複合体174の一部分に当接するように構成される(図2)。構造上面190は、前縁構造102の金属体198の上部部分180の外面126の一部分によって形成される。構造下面192は、前縁構造102の金属体198の下部部分182の外面126の一部分によって形成される。
【0029】
様々な例では、前縁構造102の空気力学的形状は、限定しないが、前縁構造102が取り付けられる翼またはブレードの種類、前縁構造102が使用される機械(例えば、回転翼機、航空機、ファンなど)の種類、および/または前縁構造102が使用される動作条件など、1つまたは複数の要因に依存する。1つ以上の例では、コールドスプレープロセスを使用して製造された前縁構造102の金属体198は、構造前縁194の複雑な空気力学的形状および/または複雑な形状を有する。1つ以上の例では、構造第2の端部188における前縁構造102の翼弦方向寸法(例えば、翼弦幅)は、構造第1の端部186における前縁構造102の翼弦方向寸法(例えば、翼弦幅)よりも大きい(例えば、2倍大きい)。1つ以上の例では、前縁構造102は、翼弦方向にテーパを有する。1つ以上の例では、前縁構造102は、上反角形状を有するか、または正の(例えば、上方)勾配を有する上反角ブレードまたは翼と共に使用するように構成される。1つ以上の例では、前縁構造102は、下反角形状を有するか、または負の(例えば、下方)勾配を有する下反角ブレードまたは翼と共に使用するように構成される。1つ以上の例では、前縁構造102は、異なる幾何学的形状間を移行するプロファイルを含む。1つ以上の例では、前縁構造102は、翼長方向の周りに非線形ねじれを含む。1つ以上の例では、前縁構造102の厚さ176は、ヘッド部分178における、または構造前縁194に沿った、厚いセクションから、構造後縁196に向かって上部部分180および/または下部部分182に沿った薄いセクションへとテーパを形成するように変化する。1つ以上の例では、前縁構造102の金属体198は、アクセスまたは周囲切欠き200を含む。
【0030】
1つ以上の例では、システム100を使用して、および/または方法1000に従って、製造された前縁構造102は、様々な程度の複雑さである任意の所望の幾何学的形状を含む。1つ以上の例では、前縁構造102は、約12:1など、約5:1~約20:1の長さ(例えば、構造第1の端部186から構造第2の端部188までの翼長距離)および幅(例えば、構造前縁194から構造後縁196までの翼弦距離)比を含む。1つ以上の例では、前縁構造102は、後退先端部を含み、例えば、前縁構造102の構造前縁194および/または構造後縁196は、直線状ではない。1つ以上の例では、前縁構造102は、例えば、z軸に沿って、または翼104がそれぞれ上昇および下降するフラップ方向に沿って、上反角および下反角のうちの1つを含む。1つ以上の例では、翼弦に沿った翼形状が長さにわたって、例えば厚い所から薄い所に変化する翼プロファイル移行部に、前縁構造102は対応している。1つ以上の例では、翼弦方向に沿った構造前縁194から構造後縁196までの距離が長さおよび/または翼プロファイルスケールにわたって長い所から短い所に変化する翼弦距離テーパを、前縁構造102は含む。1つ以上の例では、翼弦の角度回転が、長さにわたって変化する非線形ねじれを、前縁構造102は含む。1つ以上の例では、翼弦方向の厚さが構造前縁194から構造後縁196に変化する、および/または翼長方向の厚さが内側端部(例えば、構造第1の端部186)から外側端部(例えば、構造第2の端部188)に変化する、厚さテーパ分布を、前縁構造102は含む。1つ以上の例では、前縁構造102は、切欠き200(図6)などのいくつかの切欠き形態を含む。1つ以上の例では、前縁構造102は、所望の翼プロファイルと、他の幾何学的寸法公差と、を含むように製造される。1つ以上の例では、前縁構造102は、所望の表面仕上げ、例えば、接合のための内側金型表面での過度の堆積および/または表面効果を概ね回避する、滑らかな表面仕上げを含む。1つ以上の例では、前縁構造102は、隣接する前縁部の下に行くように意図された翼プロファイルの「パンダウン」または凹所などの他の形態を含む。
【0031】
1つ以上の例では、ローターブレード106などの翼104は、そのプロファイル移行部にわたって極めて小さい上部および下部翼半径を有する。したがって、1つ以上の例では、内面124によって形成された前縁構造102のヘッド部分178の内径は、外面126によって形成された前縁構造102のヘッド部分178の外径とは異なる。1つ以上の例では、その内径は、その外径よりも小さい。
【0032】
図8は、システム100と、システム100が前縁構造102を製造するために動作する製造環境202と、の一例を概略的に示している。図9は、システム100を使用するコールドスプレープロセスによって製造される前縁構造102の一例を概略的に示している。一般に、システム100は、マンドレル118と、本明細書ではコールドスプレー装置120とも呼ぶことがあるコールドスプレー積層造形装置120と、を含む。コールドスプレー装置120は、コールドスプレープロセスまたはコールドスプレー堆積を実施するように構成される。
【0033】
本明細書で使用する場合、「コールドスプレープロセス」または「コールドスプレー堆積」は、得られた粉末および気体混合物を音速でノズルを通して直接噴霧する前に、ヘリウムまたは他の不活性ガスなどの気体の流れの中で微細な(ミクロン)金属粉末を流動化させることを一般に含む固体プロセスを指し、それにより、加速された金属粉末は、堆積した粉末状金属材料と蓄積表面との間の界面接合を確立するために十分な力で、蓄積表面に衝突する。このようなプロセスは、基板との衝突時の気体/粉末流の温度が比較的低いため、「低温」技術と呼ばれる。本開示では、基板は、マンドレル118である。
【0034】
コールドスプレー装置120は、適切なコールドスプレープロセスを実施するように構成され、コールドスプレー装置120は、流体を使用してマンドレル118のツール面122に向かって極めて高速に金属粉末132を加速する。流体は、一般に、窒素またはヘリウムなどの気体流体である。金属粉末132の粒子がマンドレル118のツール面122に衝突すると、金属粉末132の粒子は局所的に塑性変形し、これにより、金属粉末132は、マンドレル118のツール面122に接合することができる。したがって、マンドレル118のツール面122は、前縁構造102の金属体198の内面124の形状を画定する。金属粉末132の粒子がマンドレル118に層(例えば、金属体198の内層136)を蓄積した後、金属粉末132の新規の粒子が内層136の表面上で変形し、それらは、内層136に衝突して接合し、次いで金属粉末132の新規の粒子は、以前に蓄積された層の表面で変形し、それらは、衝突して、その以前に蓄積された層に接合し、それにより、その後、いくつかの中間層224が以前の層上に蓄積され、前縁構造102の外面126を形成する外層138を形成するまで前縁構造102の金属体198の厚さ176を蓄積する。
【0035】
1つ以上の例では、塑性変形のコールドスプレープロセス、金属粉末132の粒子を約300メートル/秒~約1500メートル/秒の範囲の速度まで加速することができるプロセスによって促進される。これは、金属粉末132の粒子から所望される速度よりも一般に高い速度まで流体を加速し、次いで金属粉末132の粒子を流体流中で引っ張ることを可能にすることによって実現される。コールドスプレー装置120において金属粉末132の粒子を推進するために使用される流体の温度は、摂氏約20度(華氏68度)~摂氏約1,000度(華氏1,832度)に通常保たれる。温度は、使用される金属粉末材料が固体状態に留まり、適切な変形および接合を可能にするように選択される。温度および/または速度は、コールドスプレープロセスのために所望されるように、例えば、極めて高密度の堆積物を形成することができる速度で粉末材料を推進するために十分に速い速度に、または低密度の堆積物を形成することができる速度で粉末材料を推進するために十分に遅い速度に、気体速度を増減するように調整することができる。ほとんどの気体または流体は、金属粉末の粒子を十分に加速する可能性があるが、コールドスプレープロセスの典型的な気体は、不活性および半不活性ガス、例えば窒素およびヘリウムを含むが、当業者は、粒子を加速するために代替の流体を使用してもよい。1つ以上の例では、金属粉末132の速度は、コールドスプレープロセスで選択される気体の密度によって影響され得る。
【0036】
図8に示すように、1つ以上の例では、コールドスプレー装置120は、図9に全体的に示すように、前縁構造102の金属体198を形成するために、マンドレル118のツール面122に金属粉末132を堆積させるため、気体供給源210と、気体ヒータ212と、粉末計量デバイス214と、ノズル216と、運動制御デバイス208と、を含む。1つ以上の例では、コールドスプレー装置120は、上述したように、ツール面122に層ごとに前縁構造102の金属体198を形成するように構成される。
【0037】
1つ以上の例では、加圧気体流は、気体供給源210から気体ヒータ212に供給され、次いでノズル216に供給される。気体流は、窒素、ヘリウム、他の不活性ガス、およびそれらの組合せなどの気体222を含む。気体流は、気体供給源210から適切な圧力(例えば、約300psi~約1,000psi、例えば約400psi~約500psi、例えば約450psi)で供給される。気体ヒータ212は、得られた加熱気体流を適切な圧力および温度でノズル216に供給する前に、様々な従来の加熱技術のいずれかを使用して、気体流を適切な温度(例えば、約500°F(260℃)~約1900°F(1038℃))に加熱する。1つ以上の例では、金属粉末132は、粉末計量デバイス214から供給され、気体供給源210からの気体流と組み合わされて、ノズル216に供給される。金属粉末132の粒径は、選択された作用(例えば、増加)変形であり、その結果、良好な接着をもたらすことができる。気体流中への金属粉末132の適切な粉末供給速度(例えば、約1gm/分~約20gm/分)が使用される。粉末供給速度は、堆積物の厚さを、厚くまたは薄くするために、ならびに堆積物の微細構造および機械的特性を所望に応じて調整するために、使用することができる。1つ以上の例では、ノズル216は、気体222と金属粉末132との混合に対応するための従来の収束/発散ノズルである。1つ以上の例では、加熱された第1の気体流は、第1の入口でノズル216に導入され、第2の気体流によって推進される金属粉末132は、第2の入口でノズル216に導入され、金属粉末132は、気体222によって混合、加速、加熱され得る。得られる金属粉末132の堆積物の寸法を変化することができる。1つ以上の例では、堆積物は、約1.0mm~約2.0mmの厚さを有する。1つ以上の例では、コールドスプレー装置120は、金属粉末132の堆積物の配置および方向を制御するために、コンピュータ制御下で、ロボットアームなどの運動制御デバイス208を使用して、前縁構造102(図9)の金属体198をニアネットシェイプに蓄積するために堆積物の複数の層を塗布する。さらに、ノズルのトラバース速度はパス層ごとの厚さを制御し、例えば、トラバース速度が遅いと、パスごとに、堆積層の厚さが厚くなり、トラバース速度が速いと堆積層の厚さが薄くなる。一般に、正味の全体的な厚さは、パスの数によって制御される。一例として、パスごとに、0.003インチ~0.01インチが適切であり、正味の厚さは、約0.01インチ~約0.1インチである。
【0038】
1つ以上の例では、マンドレル118は、ストロングバック206によって支持される。1つ以上の例では、ストロングバック206は、コールドスプレー装置120に対してマンドレル118を移動させるように構成されたプラットフォーム220に結合される。一例として、プラットフォーム220は、マンドレル118の長手方向軸の周りに、および/またはコールドスプレー装置120に対して、ストロングバック206、したがってマンドレル118を選択的に回転させるように構成される。1つ以上の例では、コールドスプレー装置120は、コールドスプレープロセス中に、金属粉末132を堆積しつつ、例えばマンドレル118の長手方向軸に沿って、マンドレル118に対してコールドスプレー装置120を移動させるように構成された、ロボットアーム、オーバーヘッドガントリー、または他の自動化された動作制御デバイスなどの運動制御デバイス208に結合されるか、それらを含む。
【0039】
1つ以上の例では、マンドレル118は、ツール面122からの内面124の解放を容易にすることができるように設計され、製造され、したがって、ツール面122と、前縁構造102の金属体198の内面124(例えば、内層136)との間に位置する解放層の必要性がない、または使用がないなど、コールドスプレープロセスを使用して製造された前縁構造102の金属体198の複雑でない除去を促進する。
【0040】
1つ以上の例では、マンドレル118はモノリシック構造である。モノリシック構造であるマンドレル118は、連続的なツール面122をもたらす。ツール面122が連続面であることにより、マンドレル118からの前縁構造102の解放を妨げる可能性がある、金属粉末132がツール面122の継ぎ目または不連続部内で衝突、変形、および接合する可能性が、排除される。また、コールドスプレープロセスを使用してマンドレル118に一体のモノリシック構造として前縁構造102を製造することにより、複数のツールおよび複数の堆積物を組み合わせて正味の堆積物を生成するときの継ぎ目の不連続性が、排除される。前縁保護の継ぎ目は、構造を弱め、浸食および損傷に耐えるための重大な欠陥を作り出す。
【0041】
1つ以上の例では、マンドレル118は、第1の硬度140を有する材料を含むか、またはそれから作られる。一例として、マンドレル118は、硬化鋼材を使用して製造することができる。金属粉末132の粒子は、第2の硬度142を含む。1つ以上の例では、第1の硬度140は、第2の硬度142よりも大きい。例えば、金属粉末132の粒子が、衝突したときに、ツール面122を変形または侵食しないように、第1の硬度140は、第2の硬度142よりも十分に大きい。したがって、コールドスプレープロセスを使用して製造された、前縁構造102の金属体198の内層136は、ツール面122にそれほど強く接合しない傾向があり、それにより、マンドレル118からの前縁構造102の解放を可能にする。
【0042】
1つ以上の例では、コールドスプレー装置120は、ツール面122からの内面124の解放を容易にし得るように選択的に制御され、したがって、例えば、ツール面122と、前縁構造102の金属体198の内面124(例えば、内層136)との間に位置する解放層の必要性がない、または使用がないなど、コールドスプレープロセスを使用して製造される前縁構造102の金属体198の複雑でない除去を促進にする。
【0043】
1つ以上の例では、コールドスプレープロセスを使用して製造された、前縁構造102の金属体198の少なくとも内層136が、ツール面122にそれほど強く接着または接合しない傾向となるように、ツール面122にスプレーまたは堆積される金属粉末132の速度は、コールドスプレープロセス全体にわたって選択的に制御および/または調整され、それにより、マンドレル118からの前縁構造102の容易な解放を可能にする。1つ以上の例では、少なくとも内層136、および任意選択で、中間層224のうちの1つまたは複数は、金属粉末132の接着レベルよりも低い(例えば、約5%~25%間未満の)速度で金属粉末132を堆積させることによって形成される。内層136、および任意選択で、中間層224のうちの1つまたは複数の形成後、中間層224の残りの部分および外層138は、金属粉末132の接着レベル以上の速度で金属粉末132を堆積させることで形成される。
【0044】
1つ以上の例では、金属粉末132の接着または接着レベルは、コールドスプレーと基板との間の恒久的な接着、解放前のコールドスプレーとマンドレルとの間の一時的な接着、および/または材料強度、延性、靭性、耐食性などにつながる粒子と粒子層(例えば、凝集)との間の接着レベルを指す。
【0045】
1つ以上の例では、金属粉末132の粒径および/または粒子形状は、接着に影響を及ぼすように選択および/または制御される。金属粉末132の粒径および/または粒子形状は、キャリアガス内の流速に基づいて衝突速度に間接的に関連付けられる。しかしながら、他の例では、キャリアガスは、例えば、異なる気体密度を使用すること、気体温度を変更すること、および/または気体圧力を変更することによって、粒子速度を制御するために最も直接的に使用される。
【0046】
1つ以上の例では、他のプロセスパラメータを、選択、修正、および/または制御して、結果的に、金属粉末132の接着レベルを制御することができる。そのようなパラメータの例には、コールドスプレー装置120と共に使用されるノズルの種類、ノズル-マンドレル/部品表面間距離(例えば、スタンドオフ距離)、ノズル角度、ノズル形状、ノズル運動、ならびに/あるいは粉末プルームのサイズおよび結果として生じる堆積物の制御が含まれる。
【0047】
1つ以上の例では、前縁構造102は、コールドスプレー装置120を使用する熱および摩耗に耐える比較的軽量で強固な金属材料を含むか、またはそのような金属材料で作られる。1つ以上の例では、前縁構造102の金属体198は、単一の(例えば、一成分)金属材料204で作られる。1つ以上の例では、前縁構造102は、ニオブ144で作られる(例えば、ニオブ144は、一成分金属材料204である)。1つ以上の例では、前縁構造102は、タングステン、モリブデン、タンタル、レニウム、および合金またはそれらの組合せなど、別の種類の耐火性金属154で作られる。
【0048】
他の例では、コールドスプレープロセスは、非金属粉末を使用する。一例として、コールドスプレープロセスを使用して前縁構造102を製造するためにコールドスプレー装置120によって使用される粉末材料は、セラミック粉末である。一例として、コールドスプレープロセスを使用して前縁構造102を製造するためにコールドスプレー装置120によって使用される粉末材料は、セラミック金属粉末(サーメットと呼ばれる)である。
【0049】
1つ以上の例では、前縁構造102は、コールドスプレープロセスを使用して金属粉末132から製造される。1つ以上の例では、金属粉末132は、ニオブ粉末134である。1つ以上の例では、金属粉末132は、別の適切な種類の耐火性金属粉末150である。ニオブ粉末134は、従来のコールドスプレー粉末材料を超えるいくつかの特有の利点をもたらす。一例として、ニオブ粉末は、高い溶融温度を有し、比較的柔らかく、それにより、コールドスプレーによる良好な固化(例えば、変形および接合)を促進する。圧密後、ニオブ部品は、比較的高い靱性を有する。さらに、前縁構造102を製造するための単一構成要素の蓄積材料としてニオブ粉末134を使用することにより、コールドスプレー製造において一般的であり得る材料不適合性の問題が、排除される。
【0050】
1つ以上の例では、ニオブ144は、前縁構造102の金属体198を構成する層の圧密堆積物に形成される能力のために好ましい材料である。ニオブ粉末134は、比較的柔らかいものであり、熱処理(例えば、コールドスプレーの前に)などの粉末処理を使用して、あるいは粒子形状および/またはサイズ分布を調整して、さらに精製することができる。ニオブコールドスプレーは、粒子と堆積層との間の高い凝集性を有する、および低い多孔性/固有の欠陥を有する、良好に固化された緻密な堆積物を形成する。ニオブは、翼の前縁保護の必要性を満たすために、薄いまたは厚い堆積物を実現することができる。一旦コールドスプレーされると、ニオブは、高い耐侵食性をもたらし、これは、低い耐侵食性、急速な損傷開始および伝播をもたらす、欠陥の存在、不十分な粒子間、および層間の凝集/接着のせいで、実質的に硬い(例えば、チタン、ニッケル、鋼などおよびそれらの合金)材料を含む他のほとんどの材料では、実現することができない。さらに、溶射など、様々な粒子スプレー方法が、極めて硬いおよび/またはセラミック型粒子には必要である。高い硬度の材料はまた、前縁保護システムの低い歪み能力を、および外側前縁と内側構造との間のボンドライン(または結合部)における歪み不整合を、もたらす。堆積物の低疲労強度、低い降伏強度または降伏強度なし、低延性破壊性、高浸食速度、および急速な破壊メカニズムももたらす。柔らかい材料は、高い歪み、および歪み整合をもたらし得るが、堆積物の静的および疲労強度は低く、浸食性能は従来の材料解決策のそれを下回る。
【0051】
本開示は、二次金属基板上でのニオブコールドスプレー製造部品とニオブコーティングとの間の違いは、ニオブコールドスプレー製造部品が、複雑な形状でははるかに困難である二次金属基板の仕上げおよび製造の必要性を排除することを認識する。ニオブコールドスプレー製造部品の利点は、基板の疲労強度不足を、残留応力歪みを、コーティングと基板との間の接着限界を、回避することを含む。本開示はまた、従来の形態が柔らかすぎて、本明細書に開示した前縁保護構造などの独立型構成要素に貢献しないので、ニオブは独立型構成要素での使用が考慮されなかったことを認識する。粉末形態での使用は、伝統的に粉末冶金を使用して焼結され、同様に結果は柔らかい。ニオブは、溶融を極めて困難にする極めて高い融点を有し、合金元素および結合剤の使用は、その浸食特性および機械的特性を低下させる。コーティングのコールドスプレー(および修復)は、一般に、寸法および形状の歪み(主に基板への影響による)に起因して、部品、特に比較的薄いシェル付き部品を作ることが極めて困難であるように見える残留応力によっても課題を受ける。基板とは別に噴霧されたまま、および後熱処理された特性を評価した後にのみ、堆積物をその特性および形状安定性について適切に評価することができる。
【0052】
図1図9、特に図10を概して参照すると、システム100が、コールドスプレープロセスを使用して、ローターブレード106などの翼104のための前縁構造102を製造する製造環境202の一例を概略的に示している。以下は、本開示によるシステム100の例のリストである。一例に記載した要素、形態、および/または構成要素のいくつかは、他の例に記載した他の形態を含む必要なく、様々な方法で他の例と組み合わせることができるが、そのような1つまたは複数の組合せは、本明細書では例によって明示的に記載していない。
【0053】
1つ以上の例では、システム100は、マンドレル118を含む。マンドレル118は、ツール面122を含む。システム100は、コールドスプレー積層造形装置120を含む。コールドスプレー積層造形装置120は、前縁構造102の内層136を形成するために、マンドレル118のツール面122に金属粉末132を堆積させるように構成されている。コールドスプレー積層造形装置120は、前縁構造102の中間層224を形成するために、内層136に金属粉末132を堆積させるように構成されている。コールドスプレー積層造形装置120は、前縁構造102の外層138を形成するために、中間層224に金属粉末132を堆積させるように構成されている。内層136は、前縁構造102の内面124を形成する。外層138は、内面124に対向する前縁構造102の外面126を形成する。中間層224は、内面124と外面126との間で前縁構造102の厚さを形成する。前縁構造102の外面126が、翼104の前縁108の一部分および空気力学的表面152の一部分を形成するように、前縁構造102の内面124は、翼104に結合されるように構成されている。本明細書で上述したように、マンドレル118およびコールドスプレー装置120の使用は、従来技術と比較して、翼およびローターブレードの前縁のための保護を製造する独自の有利な手段を提供する。
【0054】
1つ以上の例では、金属粉末132は、ニオブ粉末134を含む。1つ以上の例では、金属粉末132は、ニオブ粉末134から本質的になる。1つ以上の例では、金属粉末132は、ニオブ粉末134からなる。1つ以上の例では、金属粉末132は、耐火性金属粉末150を含む。本明細書で上述したように、例えば、前縁構造102を製造するためのコールドスプレープロセスの主要な、または唯一の構成材料としてニオブ粉末134を使用することは、従来のコールドスプレー材料を超える固有の利点を提供する。
【0055】
1つ以上の例では、コールドスプレー積層造形装置120は、少なくとも内層136を形成するために、金属粉末132を第1の速度146で堆積させるように構成されている。コールドスプレー積層造形装置120は、中間層224および外層138のうちの1つまたは複数を形成するために、金属粉末132を第2の速度148で堆積させるように構成されている。第1の速度146は、第2の速度148よりも小さい。本明細書で上述したように、コールドスプレープロセスにおける異なる点での金属粉末132(例えば、ニオブ粉末134)の堆積速度を選択的に制御することにより、製造プロセスの完了時にマンドレル118から前縁構造102を容易に分離することが可能になる。
【0056】
1つ以上の例では、第1の速度146は、金属粉末132の接着レベルよりも低い。1つ以上の例では、第2の速度148は、金属粉末132の接着レベル以上である。1つ以上の例では、第1の速度146は、第2の速度148または接着レベルよりも少なくとも5%小さい。1つ以上の例では、第1の速度146は、第2の速度148または接着レベルよりも少なくとも10%小さい。1つ以上の例では、第1の速度146は、第2の速度148または接着レベルよりも少なくとも15%小さい。1つ以上の例では、第1の速度146は、第2の速度148または接着レベルよりも少なくとも20%小さい。1つ以上の例では、第1の速度146は、第2の速度148または接着レベルよりも少なくとも25%小さい。
【0057】
1つ以上の例では、接着の閾値は、粒子の50%が接着すると見なされ、所与の材料のこの速度は、臨界速度と呼ばれ、「1」の臨界速度比でもある。ニオブの臨界速度は、585m/sである。速度スケールの上部端部は、基板/マンドレルの浸食の開始であり、回避されるべきである。強度のため、および欠陥の低減のために、統合された品質蓄積に典型的なものは、約1.5またはわずかに高い。臨界速度よりも低い割合は、接着する粒子の数を減少させ、接着強度を低下させる。硬質表面への堆積の場合、これは、接着に必要な速度に影響を及ぼし、それを高く推進する変数である。柔らかいマンドレルに対して1.2で機能する可能性があるものは、硬いマンドレルに対しては容易に剥離する。マンドレルへの接着レベルでは、1~1.5の間の臨界速度比が望ましい。例えば、1.4において、解放を容易にするために接着を制限しつつ、蓄積全体の間に接着間のバランスが達成される。下げすぎると、接合パス層は、早期に剥離し、これは、後続の蓄積層が塗布された後にも起こり得る。これを上げすぎると、分離するために界面で必要とされる力または印加エネルギーの量が増加する。マンドレルの幾何学的形状および正味の部品の厚さも接着のバランスに影響を及ぼし、部品およびツールの設計固有である。
【0058】
1つ以上の例では、コールドスプレープロセスによって形成された前縁構造102の金属体198の様々な層は、様々な密度(例えば、堆積物密度)を有することができる。一例として、内層136は、第1の密度を有する。1つまたは複数の中間層224は、第2の密度を有する。外層138は、第3の密度を有する。1つ以上の例では、第1の密度、第2の密度、および第3の密度は異なる。1つ以上の例では、第2の密度は、第1の密度よりも大きく、第3の密度は、第2の密度よりも大きい。例えば、内層136は、最も密度が小さく、中間層224の各々の次の層は、密度が大きく、外層138は、最も密度が大きい。1つ以上の例では、堆積物の密度は、比率が小さくなるにつれて粒子速度に関係する。一般に、密度を、衝突角によっても制御することができる。例えば、小さい角度(例えば、45度未満)でスプレーするとき、空隙は増加するはずである。表面品質への悪影響は、後続の蓄積層によって修正および統合される。
【0059】
1つ以上の例では、コールドスプレープロセスによって形成された前縁構造102の金属体198の様々な層は、様々な表面領域(例えば、堆積物表面領域)を有することができる。一例として、内層136は、第1の表面領域を含む。1つまたは複数の中間層224は、第2の表面領域を含む。外層138は、第3の表面領域を含む。1つ以上の例では、第1の表面領域、第2の表面領域、および第3の表面領域は、異なる。1つ以上の例では、第2の表面領域は、第1の表領域よりも小さく、第3の表面領域は、第2の表面領域よりも小さい。例えば、内層136が、最も大きい表面領域を有し、その後の中間層224の各々は、表面領域が小さくなり、外層138が、最も小さい表面領域を有する。
【0060】
1つ以上の例では、前縁構造102の内面124は、マンドレル118のツール面122から解放可能である。1つ以上の例では、マンドレル118はモノリシック構造である。ツール面122は、連続面である。1つ以上の例では、マンドレル118は、第1の硬度140を有する。金属粉末132は、第2の硬度142を有する。第1の硬度140は、第2の硬度142よりも大きい。本明細書で上述したように、マンドレル118の材料および/または表面特性を選択することにより、製造プロセスの完了時にマンドレル118から前縁構造102を容易に分離することが可能になる。
【0061】
図1図9、特に図10を概して参照すると、コールドスプレープロセスを使用して製造されたローターブレード106などの翼104の前縁構造102の一例を概略的に示している。以下は、本開示による前縁構造102の例のリストである。一例に記載した要素、形態、および/または構成要素のいくつかは、他の例に記載した他の形態を含む必要なく、様々な方法で他の例と組み合わせることができるが、そのような1つまたは複数の組合せは、本明細書では例によって明示的に記載していない。
【0062】
1つ以上の例では、前縁構造102は、翼104に結合されるように構成される内面124を含む。前縁構造102は、内面124に対向し、翼104の前縁108の一部分および空気力学的表面152の一部分を形成するように構成される外面126を含む。前縁構造102は、コールドスプレー積層造形プロセスを使用してマンドレル118のツール面122にニオブ粉末134を堆積させることによって製造される。
【0063】
1つ以上の例では、前縁構造102は、マンドレル118のツール面122に少なくとも内層136を形成するために、ニオブ粉末134を第1の速度146で堆積させることによって製造される。前縁構造102は、内層136に中間層224と、中間層224に外層138と、のうちの1つまたは複数を形成するために、ニオブ粉末134を第2の速度148で堆積させることによってさらに製造される。第1の速度146は、第2の速度148よりも小さい。
【0064】
1つ以上の例では、第1の速度146は、金属粉末132の接着レベルよりも低い。第2の速度148は、金属粉末132の接着レベル以上である。1つ以上の例では、第1の速度146は、第2の速度148または接着レベルよりも少なくとも20%小さい。
【0065】
図1図9、特に図10を概して参照すると、コールドスプレープロセスを使用して製造された、前縁構造102を含むローターブレード106などの翼104の一例を概略的に示している。以下は、本開示による翼104の例のリストである。一例に記載した要素、形態、および/または構成要素のいくつかは、他の例に記載した他の形態を含む必要なく、様々な方法で他の例と組み合わせることができるが、そのような1つまたは複数の組合せは、本明細書では例によって明示的に記載していない。
【0066】
1つ以上の例では、翼104は、複合体174を含む。複合体174は、先端部114と、先端部114と対向する根元部116と、を含む。複合体174は、前縁108を含む。前縁108は、根元部116から先端部114に向かって延伸する前縁第1の部分128を含む。前縁108に対向し、根元部116から先端部114まで延伸する後縁112を、複合体174は含む。翼104は、複合体174の前縁108に結合された前縁構造102を含む。前縁構造102は、前縁第1の部分128から先端部114まで延伸する前縁第2の部分130を形成する。前縁構造102は、コールドスプレー積層造形プロセスを使用してマンドレル118のツール面122にニオブ粉末134を堆積させることによって製造される。
【0067】
図1図10および特に図11を概して参照すると、コールドスプレープロセスを使用して前縁構造102を製造するための方法1000の一例を示している。1つ以上の例では、方法1000は、システム100(図10)を使用して実施される。以下は、本開示による方法1000の例のリストである。一例に記載した要素、ステップ、および/または動作のいくつかは、それらの他の例に記載した他のステップを含む必要なく、様々な方法で他の例と組み合わせることができるが、そのような1つまたは複数の組合せは、本明細書では例によって明示的に記載していない。
【0068】
1つ以上の例では、方法1000は、前縁構造102の内層136を形成するために、マンドレル118のツール面122に金属粉末132(例えば、金属粉末132の最初の部分または第1の部分)をコールドスプレーするステップ(ブロック1002)を含む。方法1000は、前縁構造102の中間層224を形成するために、内層136に金属粉末132(例えば、金属粉末132の後続部分または第2の部分)をコールドスプレーするステップ(ブロック1004)を含む。方法1000は、前縁構造102の外層138を形成するために、中間層224(例えば、中間層224のうちの最も外側の層)に金属粉末132(例えば、金属粉末132の後続部分または第3の部分)をコールドスプレーするステップ(ブロック1006)を含む。これらの例では、内層136は、前縁構造102の内面124を形成する。外層138は、内面124に対向する前縁構造102の外面126を形成する。中間層224は、内面124と外面126との間で前縁構造102の厚さを形成する。前縁構造102の外面126が、翼104の前縁108の一部分および空気力学的表面152の一部分を形成するように、前縁構造102の内面124は、翼104に結合されるように構成されている。
【0069】
1つ以上の例では、方法1000によれば、金属粉末132は、ニオブ粉末134を含む。1つ以上の例では、方法1000によれば、金属粉末132は、ニオブ粉末134から本質的になる。1つ以上の例では、方法1000によれば、金属粉末132はニオブ粉末134からなる。1つ以上の例では、方法1000によれば、金属粉末132は、耐火性金属粉末150を含む。
【0070】
1つ以上の例では、方法1000は、少なくとも内層136を形成するために、金属粉末132(例えば、金属粉末132の第1の部分)を第1の速度146で堆積させるステップ(ブロック1008)を含む。方法1000は、中間層224のうちの1つまたは複数を形成するために、金属粉末132(例えば、金属粉末132の第2の部分)を第2の速度148で堆積させ、外層138を形成するために、金属粉末132(例えば、金属粉末132の第3の部分)を第2の速度148で堆積させるステップ(ブロック1010)を含む。これらの例では、第1の速度146は、第2の速度148よりも小さい。
【0071】
1つ以上の例では、方法1000によれば、第1の速度146は、金属粉末132の接着レベルよりも低い。第2の速度148は、金属粉末132の接着レベル以上である。
【0072】
1つ以上の例では、方法1000によれば、第1の速度146は、第2の速度148より少なくとも5%小さい。1つ以上の例では、方法1000によれば、第1の速度146は、第2の速度148より少なくとも10%小さい。1つ以上の例では、方法1000によれば、第1の速度146は、第2の速度148より少なくとも15%小さい。1つ以上の例では、方法1000によれば、第1の速度146は、第2の速度148より少なくとも20%小さい。1つ以上の例では、方法1000によれば、第1の速度146は、第2の速度148より少なくとも25%小さい。
【0073】
1つ以上の例では、方法1000は、マンドレル118のツール面122から前縁構造102の内面124を解放するステップ(ブロック1012)を含む。マンドレル118の解放は、中間解放層または溶融層を必要とせずに実施することができる。
【0074】
1つ以上の例では、前縁構造102は、所望の材料特性に基づいて製造後熱処理を受けることができる。
【0075】
1つ以上の例では、方法1000は、マンドレル118を形成するステップ(ブロック1014)を含む。マンドレル118がモノリシック構造であり、ツール面122が連続面であるように、マンドレル118は、(例えば、製造(fabricate)、製造(manufacture)、機械加工などで)形成される。
【0076】
1つ以上の例では、方法1000によれば、マンドレル118は、第1の硬度140を有する。金属粉末132は、第2の硬度142を有する。第1の硬度140は、第2の硬度142よりも大きい。
【0077】
1つ以上の例では、方法1000は、損傷部分156を修復し、最初に製造された外面126と少なくともほぼ同じ形状を有する修復部分158を形成するために、コールドスプレー積層造形プロセスを使用して前縁構造102の外面126に金属粉末132を堆積させることによって、前縁構造102の損傷部分156を修復するステップ(ブロック1016)を含む。
【0078】
図1図10、特に図12を概して参照すると、翼104を製造するための方法2000の一例を示している。以下は、本開示による方法2000の例のリストである。一例に記載した要素、ステップ、および/または動作のいくつかは、それらの他の例に記載した他のステップを含む必要なく、様々な方法で他の例と組み合わせることができるが、そのような1つまたは複数の組合せは、本明細書では例によって明示的に記載していない。
【0079】
1つ以上の例では、方法2000は、翼104の複合体174を製造するステップ(ブロック2002)を含む。複合体174は、先端部114と、先端部114と対向する根元部116と、を含む。複合体174は、前縁108を含む。前縁108は、根元部116から先端部114に向かって延伸する前縁第1の部分128を含む。前縁108に対向し、根元部116から先端部114まで延伸する後縁112を、複合体174は含む。方法2000は、コールドスプレー積層造形プロセスを使用してマンドレル118のツール面122にニオブ粉末134を堆積させることによって前縁構造102を製造するステップ(ブロック2004)を含む。方法2000は、前縁第1の部分128から先端部114まで延伸する前縁108の前縁第2の部分130を形成するために、前縁構造102を複合体174の前縁108に結合するステップ(ブロック2006)を含む。
【0080】
したがって、コールドスプレープロセスを使用してニオブ粉末134から前縁構造102を製造するためのシステム100および方法1000の例は、従来の前縁保護を超えるいくつかの固有の利点をもたらす。例として、ニオブ粉末134の使用、マンドレル118の材料硬度および表面特性、コールドスプレープロセス全体にわたるコールドスプレー装置120の動作パラメータ、またはそれらの組合せは、製造完了後のマンドレル118からの前縁構造102の容易な除去を促進する。例えば、前縁構造102は、熱および/または機械的エネルギーなどのエネルギーを、前縁構造102および/またはマンドレル118に加えることによって、マンドレル118のツール面122から分離し、除去することができる。別の例として、コールドスプレープロセスはまた、複雑な空気力学的形状を有する前縁構造102の製造を可能にする。さらに別の例として、コールドスプレープロセスにおけるニオブ粉末134の使用は、内部応力および歪みを低減または排除し、それは、熱ベースの製造技術を通常もたらし、製造中および製造後に前縁構造102の冶金的特性を劣化または変化させない。さらに別の例として、コールドスプレープロセスは、前縁構造102をニアネットシェイプで製造することを可能にし、それにより、材料入力、材料廃棄、および全体的な製造時間を低減する。さらに、コールドスプレープロセスを使用してニオブ粉末134からマンドレル118に前縁構造102を製造することによって、前縁構造102は、製造後熱処理プロセスを引き続き可能にしつつ、改善された強度特性から利益を得て、前縁構造102の材料特性をさらに改善する。
【0081】
さらに、前縁構造102の例は、システム100を使用した、および/または方法1000に従った、製造から生じる、前縁構造102の内側モールドラインを有利に画定する内面124を含む。本開示は、他のコールドスプレー製造技術によって必要とされる薄い解放層が無視できず、ツール面に、および結果として生じる接合のためのコールドスプレー堆積物の部品内側モールドライン表面に、著しい寸法オフセット誤差をもたらすことを認識している。さらに、解放層は、汚染または金属間合金(例えば、亜鉛ニオブ)などの欠陥を、溶融剥離層とコールドスプレー堆積物との間に導入する傾向があり、望ましくない機械的特性、および接合要件によるこれらの混合効果で粗い表面テクスチャを引き起こす。また、コールドスプレー堆積物の後熱処理は、高温真空炉内に存在することができない低融点放出層材料または残留汚染物質(例えば、溶融可能な解放層に固有のもの)の存在による問題がある。
【0082】
ここで図13および図14を参照すると、本明細書に記載のシステム100、方法1000、前縁構造102、翼104、および方法2000の例は、図13のフロー図に示すような航空機の製造および保守点検方法1100に、および図14に概略的に示すような航空機1200に、関連するか、またはその文脈で使用することができる。一例として、航空機1200および/または航空機の製造および保守点検方法1100は、システム100を使用して、および/または方法1000に従って、製造された、前縁構造102を含む、1つまたは複数のローターブレード106、プロペラブレード、ファンブレードなどのような、1つまたは複数の翼104を含んでもよい。
【0083】
図14を参照すると、航空機1200の一例を示している。1つ以上の例では、航空機1200は、前縁構造102を有する翼104のうちの1つまたは複数を含む。例として、航空機1200は、複数のローターブレード106を含む回転翼機、複数のプロペラブレードを含む航空機、または複数のファンブレードを含むジェット機である。一般に、航空機1200は、内部1206を有する機体1202を含む。航空機1200はまた、複数の機上システム1204(高レベルシステム)を含む。航空機1200の機上システム1204の例は、推進システム1208を含む。推進システム1208は、翼104のうちの1つまたは複数を含む。機上システム1204の他の例は、油圧システム1212、電気システム1210、および環境システム1214を含む。他の例では、機上システム1204はまた、航空機1200の機体1202に結合された1つまたは複数の制御システムを含む。さらに他の例では、機上システム1204はまた、限定しないが、通信システム、アビオニクスシステム、ソフトウェア配信システム、ネットワーク通信システム、乗客情報/娯楽システム、案内システム、レーダーシステム、兵器システムなど、1つまたは複数の他のシステムを含む。
【0084】
図13を参照すると、航空機1200の生産前の間、製造および保守点検方法1100は、航空機1200の仕様および設計(ブロック1102)、ならびに材料調達(ブロック1104)を含む。航空機1200の製造中、構成要素および部分組立品の製造(ブロック1106)と、航空機1200のシステム統合(ブロック1108)とが行われる。その後、航空機1200は、認証および搬送(ブロック1110)を経て、就航中(ブロック1112)となる。定期的な整備および保守点検(ブロック1114)は、航空機1200の1つまたは複数のシステムの修正、再構成、改装などを含む。
【0085】
図13に示す製造および保守点検方法1100のプロセスの各々を、システムインテグレータ、第3者、および/または運用者(例えば、取引先)によって実施または達成してもよい。この説明の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の宇宙船製造業者および主要システムの下請業者を含んでもよく、第3者は、限定しないが、任意の数のベンダ、下請業者、およびサプライヤを含んでもよく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織などであってもよい。
【0086】
本明細書に示し、説明するシステム100、方法1000、前縁構造102、翼104、および方法2000の例は、図13に示すフロー図に示す製造および保守点検方法1100のいずれか、または複数の段階中に採用され得る。一例では、システム100を使用して、および/または方法1000に従って、前縁構造102を製造し、方法2000に従って、前縁構造102を有する翼104を製造することは、構成要素および部分組立品の製造(ブロック1106)の、ならびに/あるいはシステム統合(ブロック1108)の、一部を形成してもよい。さらに、システム100を使用して、および/または方法1000に従って、前縁構造102を製造し、方法2000に従って、前縁構造102を有する翼104を製造することは、航空機1200の就航中に準備される構成要素または部分組立品と同様の方法で実施してもよい(ブロック1112)。また、システム100を使用して、および/または方法1000に従って、前縁構造102を製造し、方法2000に従って、前縁構造102を有する翼104を製造することは、システム統合(ブロック1108)、ならびに認証および搬送(ブロック1110)中にしてもよい。同様に、システム100を使用して、および/または方法1000に従って、前縁構造102を製造または修復することは、例えば、限定しないが、航空機1200の就航中(ブロック1112)、ならびに整備および保守点検中(ブロック1114)に利用されてもよい。
【0087】
前述の詳細な説明は、本開示によって説明する具体例を示す添付の図面を参照する。異なる構造および動作を有する他の例が、本開示の範囲から逸脱することはない。同様の参照符号は、異なる図面において同じ形態、要素、または構成要素を指すことができる。本開示全体を通して、複数の項目のいずれかを個別に項目と呼ぶ場合があり、複数の項目をまとめて項目と呼ぶ場合があり、同様の参照符号で呼ぶ場合がある。さらに、本明細書で使用する場合、「1つの(a)」、または「1つの(an)」という語に先行する形態、要素、構成要素、またはステップは、そのような除外を明示的に記載していない限り、複数の形態、要素、構成要素、またはステップを除外しないものとして理解されるべきである。
【0088】
本開示による主題の例示的で非網羅的な例は、必ずしも特許請求されているわけではないが、上記で提供している。本明細書における「例」への言及は、例に関連して記載した1つまたは複数の形態、構造、要素、構成要素、特性、および/または動作ステップが、本開示による主題の少なくとも1つの態様、実施形態、および/または実装態様に含まれることを意味する。したがって、本開示全体を通して、「一例」、「別の例」、「1つ以上の例」の語句、および同様の文言は、必ずしもそうである必要はないが、同じ例を指すことができる。さらに、任意の1つの例を特徴付ける主題は、必ずしもそうである必要はないが、任意の他の例を特徴付ける主題を含むことができる。また、任意の1つの例を特徴付ける主題は、必ずしもそうである必要はないが、任意の他の例を特徴付ける主題と組み合わせることができる。
【0089】
本明細書で使用される場合、指定された機能を実施する「ように構成されている」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、さらなる変更後に指定された機能を実施する可能性を単に有するのではなく、改変なしに指定された機能を実際に実施することが可能である。言い換えれば、指定された機能を実施する「ように構成されている」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、指定された機能を実施する目的で具体的に選択され、作成され、実施され、利用され、プログラムされ、および/または設計される。本明細書で使用される場合、「ように構成されている」とは、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアがさらなる変更なしに指定された機能を実施することを可能にするシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアの既存の特性を表す。本開示の目的のために、特定の機能を実施する「ように構成されている」ものとして説明されたシステム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、追加的または代替的に、その機能を実施する「ように適合された」および/または「ように動作する」ものとして説明されてもよい。
【0090】
特に明記しない限り、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、これらの用語が参照する項目に順序、配置、または階層の要件を課すことを意図しない。さらに、例えば、「第2の」項目への参照は、例えば、「第1の」もしくはより小さい番号の項目、および/または、例えば、「第3の」もしくはより大きい番号の項目の存在を必要とするものでも排除するものではない。
【0091】
本明細書で使用される場合、「の少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用される場合、列挙された項目のうちの1つまたは複数の異なる組合せが使用されてもよく、リスト内の各項目のうちの1つのみが必要であってもよいことを意味する。例えば、「項目A、項目B、および項目Cの少なくとも1つ」は、非限定的に、項目A、または項目Aおよび項目Bを含んでもよい。この例はまた、項目A、項目B、および項目C、または項目Bおよび項目Cを含んでもよい。他の例では、「の少なくとも1つ」は、例えば、非限定的に、項目Aのうちの2個、項目Bのうちの1個、および項目Cの10個でも、項目Bの4個と項目Cの7個でも、他の適切な組合せであってもよい。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語および「/」記号は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。
【0092】
本開示の目的のために、「接続された」、「接続する」という用語、および同様の用語は、接合、リンク、固定、取付け、接続、通信、または他の方法で(例えば、機械的に、電気的、流体的、光学的、電磁的に)互いに関連する2つ以上の要素を指す。様々な例において、要素は直接的または間接的に関連付けられ得る。一例として、要素Aは、要素Bに直接関連付けられ得る。別の例として、要素Aは、例えば、別の要素Cを介して、要素Bに間接的に関連付けられ得る。開示した様々な要素間のすべての関連が必ずしも表されているわけではないことが理解されよう。したがって、図に示されたもの以外の結合も存在し得る。
【0093】
本明細書で使用する場合、「ほぼ」という用語は、依然として所望の機能を実施するか、または所望の結果を達成する、記載の条件に近いが正確ではない条件を指すか、または表す。一例として、「ほぼ」という用語は、記載の条件の10%以内の条件など、許容可能な所定の許容範囲または精度内にある条件を指す。しかしながら、「ほぼ」という用語は、正確に記載の条件である条件を排除するものではない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、所望の機能を実施するか、または所望の結果を達成する、本質的に記載された条件である条件を指す。
【0094】
上記の図1図10、および図14は、機能要素、形態、またはその構成要素を表すことができ、必ずしも特定の構造を意味するものではない。したがって、例示された構造に対して、修正、追加、および/または省略が行われてもよい。加えて、当業者は、上記の図1図10、および図14に説明および図示しているすべての要素、形態、および/または構成要素が、すべての例に含まれる必要はなく、本明細書に説明のすべての要素、形態、および/または構成要素が必ずしも各例示的な例に示されているわけではないことを理解するであろう。したがって、図1図10、および図14に説明および図示している要素、形態、ならびに/あるいは構成要素のいくつかは、そのような1つまたは複数の組合せを本明細書に明示的に示していない場合でも、図1図10、および図14に説明および図示している他の形態、ならびに/あるいは付随する開示を含む必要なしに、様々な方法で組み合わせられてもよい。同様に、提示された例に限定されない追加の形態は、本明細書に示され説明された形態の一部または全部と組み合わせられてもよい。特に明記しない限り、上記の図1図10、および図14に示している例の概略図は、例示的な例に関する構造上の制限を意味するものではない。むしろ、1つの例示的な構造が示されているが、構造は、適切な場合に修正され得ることが理解されるべきである。したがって、例示された構造に対して、修正、追加、および/または省略が行われてもよい。さらに、同様の、または少なくとも実質的に同様の目的を果たす要素、形態、および/または構成要素は、図1図10、および図14の各々において同様の番号でラベル付けされ、そのような要素、形態、および/または構成要素は、図1図10、および図14の各々を参照して本明細書で詳細に説明しない場合がある。同様に、図1図10、および図14の各々では、すべての要素、形態、および/または構成要素にラベル付けされているわけではなく、これらに関連する参照符号は、本明細書では一貫性を保つために利用されることがある。
【0095】
上記の図11図13において、ブロックは、動作、ステップ、および/またはその一部分を表してもよく、様々なブロックを接続する線は、動作またはその一部分の特定の順序または依存関係を意味するものではない。様々な開示された動作間のすべての依存性が必ずしも表されているわけではないことが理解されよう。図11図13および本明細書に記載の開示された方法の動作を説明する付随する開示は、動作が実施されるシーケンスを必ず決定するものと解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順序が示されているが、動作のシーケンスは適切な場合に修正され得ることを理解されたい。したがって、図示された動作に対して修正、追加、および/または省略が行われてもよく、ある動作は異なる順序で実施されても、同時に実施されてもよい。加えて、説明したすべての動作が必ずしも実施される必要はないことを、当業者は理解するであろう。
【0096】
さらに、本明細書全体を通して、本明細書で使用される形態、利点、または同様の文言への言及は、本明細書に開示される例で実現され得るすべての形態および利点が任意の単一の例であるべきであるか、またはその中にあることを意味するものではない。むしろ、形態および利点を指す文言は、例に関連して説明された特定の形態、利点、または特性が少なくとも1つの例に含まれることを意味すると理解される。したがって、本開示全体で使用される形態、利点、および同様の文言の説明は、必ずしもそうではないが、同じ例を指す場合がある。
【0097】
1つの例の記載した形態、利点、および特性を、1つまたは複数の他の例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。関連技術の当業者は、本明細書に記載の例が、特定の例の1つまたは複数の特定の形態または利点なしで実施され得ることを認識するであろう。他の例では、すべての例に存在するとは限らない特定の例で、追加の形態および利点が認識される場合がある。さらに、システム100、方法1000、前縁構造102、翼104、および方法2000の様々な例を示し、説明しているが、本明細書を読むと当業者は修正を思いつく場合がある。本出願は、そのような修正を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0098】
100 システム
102 前縁構造
104 翼
106 ローターブレード
108 前縁
110 ローター
112 後縁
114 先端部
116 根元部
118 マンドレル
120 コールドスプレー積層造形装置
122 ツール面
124 内面
126 外面
128 前縁第1の部分
130 前縁第2の部分
132 金属粉末
134 ニオブ粉末
136 内層
138 外層
140 第1の硬度
142 第2の硬度
144 ニオブ
146 第1の速度
148 第2の速度
150 耐火性金属粉末
152 空気力学的表面
154 耐火性金属
156 損傷部分
158 修復部分
160 上部空気力学的表面
162 下部空気力学的表面
164 支持面
166 ハブ
168 ローターマスト
170 方向矢印
172 複合材料
174 複合体
176 厚さ
178 ヘッド部分
180 上部部分
182 下部部分
184 前縁セットバック部分
186 構造第1の端部
188 構造第2の端部
190 構造上面
192 構造下面
194 構造前縁
196 構造後縁
198 金属体
200 アクセスまたは周囲切欠き
202 製造環境
204 一成分金属材料
206 ストロングバック
208 運動制御デバイス
210 気体供給源
212 気体ヒータ
214 粉末計量デバイス
216 ノズル
220 プラットフォーム
222 気体
224 中間層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】