(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169309
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】接続構造体の製造方法、及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H05K3/34 505B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050937
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2023084414
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】柄木田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】青木 和久
(72)【発明者】
【氏名】林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】奥宮 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】増渕 広和
(72)【発明者】
【氏名】柳谷 洋夢
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AC01
5E319BB05
5E319BB11
5E319BB20
5E319CC33
5E319CD25
5E319CD29
5E319GG03
(57)【要約】
【課題】半田粒子を電極上に効率的に配置させ、高い導通信頼性を得ることができる接続構造体の製造方法、及び接続構造体を提供する。
【解決手段】複数の端子列を備える表面実装部品を、端子列毎に対応する矩形部を有する膜状半田接続材料を介して配線基板に配置する配置工程と、表面実装部品を配線基板に接合させる接合工程とを有する。接合工程後の表面実装部品の端子配線基板の端子との間における半田厚みの相対標準偏差が、25%未満である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子列を備える表面実装部品を、前記端子列毎に対応する矩形部を有する膜状半田接続材料を介して配線基板に配置する配置工程と、
前記表面実装部品を前記配線基板に接合させる接合工程と
を有する接続構造体の製造方法。
【請求項2】
前記接合工程後の前記表面実装部品の端子と前記配線基板の端子との間における半田厚みの相対標準偏差が、25%未満である請求項1記載の接続構造体の製造方法。
【請求項3】
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記配置工程では、前記第1の端子列に対応する第1の膜状半田接続材料と前記第2の端子列に対応する第2の膜状半田接続材料とを配置し、前記第1の膜状半田接続材料における矩形部と前記第2の膜状半田接続材料における矩形部との間の距離を0mm以上とする請求項1又は2記載の接続構造体の製造方法。
【請求項4】
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記配置工程では、前記第1の膜状半田接続材料における矩形部の幅W、及び前記第2の膜状半田接続材料における矩形部の幅Wが、下記(1)式を満たす請求項3記載の接続構造体の製造方法。
W≦(2L+S)/2 (1)
上記(1)式において、Lは、前記第1の端子列及び前記第2の端子列における端子の長さであり、Sは、前記第1の端子列と前記第2の端子列との間の距離である。
【請求項5】
前記接合工程では、リフロー炉を用いて無荷重で前記表面実装部品を前記配線基板に接合させる請求項1又は2記載の接続構造体の製造方法。
【請求項6】
前記表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチが、0.1mm~0.4mmである請求項1又は2記載の接続構造体の製造方法。
【請求項7】
前記膜状半田接続材料における半田粒子の含有量が、前記表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチ0.1mm~0.4mmに対して、10体積%~60体積%である請求項1又は2記載の接続構造体の製造方法。
【請求項8】
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記配置工程では、前記第1の端子列に対応する第1の膜状半田接続材料と前記第2の端子列に対応する第2の膜状半田接続材料とを配置し、
前記第1の膜状半田接続材料における矩形部の前記第1の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第1の端子列の端子長さの50%以下であり、前記第2の膜状半田接続材料における矩形部の前記第2の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第2の端子列の端子長さの50%以下である請求項1又は2記載の接続構造体の製造方法。
【請求項9】
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列と、前記第1の端子列と前記第2の端子列と直交し、平行に配置された第3の端子列と第4の端子列とを備え、
前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列に対応する矩形部の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、対応する前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列の端子長さの50%以下である請求項1又は2記載の接続構造体の製造方法。
【請求項10】
複数の端子列を備える表面実装部品と、配線基板と、前記端子列毎に設けられ、前記表面実装部品と前記配線基板とを接合させ、前記端子列毎に対応する矩形部を有する膜状半田接続材料の硬化膜とを備える接続構造体。
【請求項11】
前記表面実装部品の端子と前記配線基板の端子との間における半田厚みの相対標準偏差が、25%未満である請求項10記載の接続構造体。
【請求項12】
前記表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチが、0.1mm~0.4mmである請求項10又は11記載の接続構造体。
【請求項13】
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記第1の膜状半田接続材料における矩形部の前記第1の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第1の端子列の端子長さの50%以下であり、前記第2の膜状半田接続材料における矩形部の前記第2の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第2の端子列の端子長さの50%以下である請求項10又は11記載の接続構造体。
【請求項14】
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列と、前記第1の端子列と前記第2の端子列と直交し、平行に配置された第3の端子列と第4の端子列とを備え、
前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列に対応する矩形部の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、対応する前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列の端子長さの50%以下である請求項10又は11記載の接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、例えば表面実装部品を、半田粒子を用いて接続する接続構造体の製造方法、及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
リジッド基板やフレキシブル基板への表面実装部品(SMD:Surface Mount Device)の実装は、一般的に半田ペースト若しくはフィルムを基板に印刷若しくは仮貼りし、その上に表面実装部品を搭載し、リフロー工程にて実装を行っている(例えば、特許文献1~3参照。)。
【0003】
特許文献1~3に記載された技術では、複数の端子列を備える表面実装部品を実装した場合、半田粒子の一部が端子列と端子列との間に配置され易く、半田粒子を電極(ライン)上に効率的に配置させることが困難であった。このため、隣接する端子間でショート(ブリッジ)が発生することがあり、高い導通信頼性を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-041442号公報
【特許文献2】特開2016-219808号公報
【特許文献3】国際公開第2008/023452号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本技術は、前述した課題を解決するものであり、半田粒子を電極上に効率的に移動させ、高い導通信頼性を得ることができる接続構造体の製造方法、及び接続構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を進めた結果、下記接続構造体の製造方法、及び接続構造体が上記目的を達成できることを見出し、本技術を完成した。
【0007】
[1]
複数の端子列を備える表面実装部品を、前記端子列毎に対応する矩形部を有する膜状半田接続材料を介して配線基板に配置する配置工程と、
前記表面実装部品を前記配線基板に接合させる接合工程と
を有する接続構造体の製造方法。
[2]
前記接合工程後の前記表面実装部品の端子と前記配線基板の端子との間における半田厚みの相対標準偏差が、25%未満である[1]記載の接続構造体の製造方法。
[3]
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記配置工程では、前記第1の端子列に対応する第1の膜状半田接続材料と前記第2の端子列に対応する第2の膜状半田接続材料とを配置し、前記第1の膜状半田接続材料における矩形部と前記第2の膜状半田接続材料における矩形部との間の距離を0mm以上とする[1]又は[2]記載の接続構造体の製造方法。
[4]
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記配置工程では、前記第1の膜状半田接続材料における矩形部の幅W、及び前記第2の膜状半田接続材料における矩形部の幅Wが、下記(1)式を満たす[3]記載の接続構造体の製造方法。
W≦(2L+S)/2 (1)
上記(1)式において、Lは、前記第1の端子列及び前記第2の端子列における端子の長さであり、Sは、前記第1の端子列と前記第2の端子列との間の距離である。
[5]
前記接合工程では、リフロー炉を用いて無荷重で前記表面実装部品を前記配線基板に接合させる[1]又は[2]記載の接続構造体の製造方法。
[6]
前記表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチが、0.1mm~0.4mmである[1]又は[2]記載の接続構造体の製造方法。
[7]
前記膜状半田接続材料における半田粒子の含有量が、前記表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチ0.1mm~0.4mmに対して、10体積%~60体積%である[1]又は[2]記載の接続構造体の製造方法。
[8]
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記配置工程では、前記第1の端子列に対応する第1の膜状半田接続材料と前記第2の端子列に対応する第2の膜状半田接続材料とを配置し、
前記第1の膜状半田接続材料における矩形部の前記第1の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第1の端子列の端子長さの50%以下であり、前記第2の膜状半田接続材料における矩形部の前記第2の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第2の端子列の端子長さの50%以下である[1]又は[2]記載の接続構造体の製造方法。
[9]
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列と、前記第1の端子列と前記第2の端子列と直交し、平行に配置された第3の端子列と第4の端子列とを備え、
前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列に対応する矩形部の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、対応する前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列の端子長さの50%以下である[1]又は[2]記載の接続構造体の製造方法。
[10]
複数の端子列を備える表面実装部品と、配線基板と、前記端子列毎に設けられ、前記表面実装部品と前記配線基板とを接合させ、前記端子列毎に対応する矩形部を有する膜状半田接続材料の硬化膜とを備える接続構造体。
[11]
前記表面実装部品の端子と前記配線基板の端子との間における半田厚みの相対標準偏差が、25%未満である[10]記載の接続構造体。
[12]
前記表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチが、0.1mm~0.4mmである[10]又は[11]記載の接続構造体。
[13]
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備え、
前記第1の膜状半田接続材料における矩形部の前記第1の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第1の端子列の端子長さの50%以下であり、前記第2の膜状半田接続材料における矩形部の前記第2の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、前記第2の端子列の端子長さの50%以下である[10]又は[11]記載の接続構造体。
[14]
前記表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列と、前記第1の端子列と前記第2の端子列と直交し、平行に配置された第3の端子列と第4の端子列とを備え、
前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列に対応する矩形部の端子列に対する幅方向のはみ出し量が、対応する前記第1の端子列、前記第2の端子列、前記第3の端子列又は前記第4の端子列の端子長さの50%以下である[10]又は[11]記載の接続構造体。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、半田粒子を電極上に効率的に移動させ、高い導通信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、配線基板の平行する第1の端子列及び第2の端子列上に、それぞれ半田接続フィルムを設けた状態を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、配線基板の第1の端子列上に半田接続フィルムを設けた状態を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、配線基板の第1の端子列と表面実装部品の第1の端子列とを位置合わせした状態を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、配線基板及び表面実装部品をリフロー炉にて加熱した状態を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、配線基板の一例を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6(A)は、実施例としてのメタルマスクの一例を模式的に示す平面図であり、
図6(B)は、
図6(A)に示すメタルマスクを用いて印刷した半田ペーストフィルムの一例を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7(A)は、比較例としてのメタルマスクの一例を模式的に示す平面図であり、
図7(B)は、
図7(A)に示すメタルマスクを用いて印刷した半田ペーストフィルムの一例を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8(A)は、比較例としてのメタルマスクの一例を模式的に示す平面図であり、
図8(B)は、
図8(A)に示すメタルマスクを用いて印刷した半田ペーストフィルムの一例を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、垂直嵌合タイプのコネクタにおけるプラグとレセプタクルとの短手方向の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、コネクタのプラグと配線基板とを接続させた接続構造体の長手方向を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、コネクタのプラグと配線基板とを接続させた接続構造体の短手方向を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12(A)は、実施例1について、プリント配線板に対して半田接続フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図12(B)は、実施例1について、プリント基板上にコネクタを搭載した状態を示す写真であり、
図12(C)は、実施例1について、リフロー後の接続構造体を示すX線写真である。
【
図13】
図13(A)は、比較例1について、プリント配線板に対して半田接続フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図13(B)は、比較例1について、プリント基板上にコネクタを搭載した状態を示す写真であり、
図13(C)は、比較例1について、リフロー後の接続構造体を示すX線写真である。
【
図14】
図14は、実施例13について、リフロー後のサンプルを示す写真である。
【
図15】
図15は、比較例6について、リフロー後のサンプルを示す写真である。
【
図16】
図16は、実施例15について、リフロー後のサンプルを示すX線写真である。
【
図17】
図17は、比較例8について、リフロー後のサンプルを示すX線写真である。
【
図18】
図18(A1)は、比較例9として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図18(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図18(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図18(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【
図19】
図19(A1)は、実施例16として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図19(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図19(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図19(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【
図20】
図20(A1)は、実施例17として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図20(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図20(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図20(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【
図21】
図21(A1)は、実施例18として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図21(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図21(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図21(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【
図22】
図22(A1)は、比較例10として、レセプタクルコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図22(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図22(B)は、レセプタクルコネクタ用配線基板上にレセプタクルコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図22(C)は、実装後のレセプタクルコネクタ構造体を示すX線写真である。
【
図23】
図23(A1)は、実施例19として、レセプタクルコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図23(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図23(B)は、レセプタクルコネクタ用配線基板上にレセプタクルコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図23(C)は、実装後のレセプタクルコネクタ構造体を示すX線写真である。
【
図24】
図24(A1)は、実施例20として、レセプタクルコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図24(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図24(B)は、レセプタクルコネクタ用配線基板上にレセプタクルコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図24(C)は、実装後のレセプタクルコネクタ構造体を示すX線写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接続構造体の製造方法及び接続構造体
2.半田接続フィルム
3.第1の実施例
4.第2の実施例
5.第3の実施例
6.第4の実施例
【0011】
<1.接続構造体の製造方法及び接続構造体>
本実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、複数の端子列を備える表面実装部品を、端子列の列方向を長手方向とする矩形部を有する膜状半田接続材料を介して配線基板に配置する配置工程と、表面実装部品を配線基板に接合させる接合工程とを有する。ここで、表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備える場合、第1の端子列と第2の端子列との間に配置される第1の端子列又は第2の端子列の半田接続フィルムのはみ出し量は、第1の端子列又は第2の端子列の列方向に直交する方向の端子長さの50%以下であることが好ましい。また、表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列と、第1の端子列と第2の端子列と直交し、平行に配置された第3の端子列と第4の端子列とを備える場合、第1の端子列と第2の端子列との間に配置される第1の端子列、第2の端子列、第3の端子列又は第4の端子列の半田接続フィルムのはみ出し量は、第1の端子列、第2の端子列、第3の端子列又は第4の端子列の列方向に直交する方向の端子長さの50%以下であることが好ましい。これにより、第1の端子列と第2の端子列との間に半田粒子が凝集せずに残るのを防ぐことができる。
【0012】
本実施の形態に係る接続構造体は、複数の端子列を備える表面実装部品と、配線基板と、端子列毎に設けられ、表面実装部品と前記配線基板とを接合させ、端子列毎に端子列の列方向を長手方向とする矩形部を有する膜状半田接続材料の硬化膜とを備える。ここで、表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備える場合、第1の端子列と第2の端子列との間に配置される第1の端子列又は第2の端子列の半田接続フィルムの硬化膜のはみ出し量は、第1の端子列又は第2の端子列の列方向に直交する方向の端子長さの50%以下であることが好ましい。また、表面実装部品が、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列と、第1の端子列と第2の端子列と直交し、平行に配置された第3の端子列と第4の端子列とを備える場合、第1の端子列と第2の端子列との間に配置される第1の端子列、第2の端子列、第3の端子列又は第4の端子列の半田接続フィルムの硬化膜のはみ出し量は、第1の端子列、第2の端子列、第3の端子列又は第4の端子列の列方向に直交する方向の端子長さの50%以下であることが好ましい。これにより、第1の端子列~第4の端子列の内部に半田粒子が凝集せずに残るのを防ぐことができる。
【0013】
本実施の形態では、端子列毎に端子列の列方向を長手方向とする矩形部を有する膜状半田接続材料を設けることにより、接合工程においてセルフアライメント効果による半田粒子の端子列間の移動を制限する。これにより、所定の端子列に対して所定の矩形部内の半田粒子を凝集させることができ、高い導通信頼性を得ることができる。膜状半田接続材料は、後述するように、半田接続フィルムであっても、半田ペーストが印刷された半田ペーストフィルムであってもよい。
【0014】
また、膜状半田接続材料は、端子列に対応する矩形部以外の部分で連続していてもよい。例えば、例えば、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備えるコネクタを接続させる場合、平行する2つの矩形部の長手方向の両端を連続部で連続させた膜状半田接続材料を用いてもよい。このような膜状半田接続材料によれば、両端の連続部により、接着強度をさらに向上させることができる。
【0015】
ここで、接続構造体とは、二つの材料または部材が電気的に接続されたものをいう。また、接合とは、二つの材料または部材をつなぎ合わせることをいう。また、端子列とは、端子(電極)が所定方向に所定間隔(ピッチ)で並んだものを呼ぶ。また、端子が並んだ所定方向を端子列の列方向と呼び、列方向に直交する方向を端子列の幅方向と呼ぶ。
【0016】
表面実装部品としては、複数の端子列を備えるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列とを備えるもの、平行に配置された第1の端子列と第2の端子列と、第1の端子列と第2の端子列と直交し、平行に配置された第3の端子列と第4の端子列とを備えるものなどが挙げられる。
【0017】
表面実装部品の具体例としては、コネクタ、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)のパッケージ、LED(Light Emitting Diode)、スイッチなどが挙げられる。例えば、コネクタとしては、短手方向の一方の外側に延びるピン(リードフレーム)が長手方向に複数の並べられた第1の端子列と、短手方向の他方の外側に延びるピン(リードフレーム)が長手方向に複数の並べられた第2の端子列を備えるSMT(Surface Mount type)タイプのものが挙げられる。また、例えば、ICパッケージとしては、矩形の対向する2辺に端子列を備えるSOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-leaded)、矩形の4辺に端子列を備えるQFP(Quad Flat Package)、QFN(Quad Flat No-leaded package)などの表面実装型リードタイプのものが挙げられる。
【0018】
配線基板としては、配線が設けられたものであれば特に限定はなく、表面実装部品を搭載できる電極が設けられた、所謂プリント配線板(PWB)として広義に定義できるものであればよく、リジット基板であっても、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)であってもよい。基材種類による基板例としては、例えば、ガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板などが挙げられる。
【0019】
表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチの上限は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下であり、端子列のピッチの下限は、好ましくは0.06mm以上、より好ましくは0.08mm以上、さらに好ましくは0.1mm以上である。
【0020】
接続構造体の端子間の半田の平均の厚み(高さ)は、配線基板及び表面実装部品の電極面積、膜状半田接続材料の半田粒子の含有量などによるが、厚みの下限は好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは40μm以上である。厚みの上限は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。これにより、熱衝撃による表面実装部品と配線基板との線膨張差のストレスに耐えることでき、高い導通信頼性を得ることができる。
【0021】
また、リフロー後の端子間の半田の厚み(高さ)の相対標準偏差(変動係数、RSD(Relative Standard deviation)は、好ましくは25%未満、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。端子間の半田の厚み(高さ)のばらつきの割合が小さいことにより、高い導通信頼性を得ることができる。また、接続構造体の端子間の半田の厚み(高さ)の標準偏差(σ)は、端子間の半田の平均の厚み(高さ)などによるが、例えば端子間の半田の平均の厚み(高さ)が5μm以上200μmの場合、好ましくは20μm以下、より好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。端子間の半田の厚みのばらつきが小さいことにより、高い導通信頼性を得ることができる。
【0022】
以下、
図1~
図4を参照して、配線基板の複数の端子列上に半田接続フィルムを設ける工程(A)、半田接続フィルム上に表面実装部品を固定する工程(B)、及び、リフロー炉を用いて、配線基板の複数の端子列と表面実装部品の複数の端子列とを接合させる工程(C)について説明する。
【0023】
[工程(A)]
図1は、配線基板の平行する第1の端子列及び第2の端子列上に、それぞれ半田接続フィルムを設けた状態を模式的に示す平面図であり、
図2は、配線基板の第1の端子列上に半田接続フィルムを設けた状態を模式的に示す断面図である。
図1及び
図2に示すように、工程(A)では、配線基板10の第1の端子列11及び第2の端子列12上にそれぞれ半田粒子20を含有し、端子列の列方向を長手方向とする矩形の第1の半田接続フィルム21及び第2の半田接続フィルム22を設ける。
【0024】
工程(A)は、第1の半田接続フィルム21及び第2の半田接続フィルム22をそれぞれ配線基板10の第1の端子列11及び第2の端子列12上に低温低圧で貼着する仮貼り工程であってもよく、第1の半田接続フィルム21及び第2の半田接続フィルム22をそれぞれ配線基板10の第1の端子列11及び第2の端子列12上にラミネートするラミネート工程であってもよい。
【0025】
第1及び第2の半田接続フィルム21、22の幅Wは、端子11a、12aの長さLの50%以上150%以下であることが好ましく、75%以上125%以下であることがより好ましい。これにより、端子列の端子上に半田粒子を凝集させ、端子列の端子上の半田高さのばらつきを小さくすることができる。
【0026】
また、第1及び第2の半田接続フィルム21、22は、第1の端子列11及び第2の端子列12の幅方向の外側端部に揃えて設けられることが好ましい。また、第1及び第2の端子列11、12との間に配置される第1又は第2の半田接続フィルムの矩形部の幅方向のはみ出し量(W-L)は、端子11a、12aの長さLの50%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。これにより、第1の端子列11と第2の端子列12との間に半田粒子20が凝集せずに残るのを防ぐことができる。
【0027】
また、第1及び第2の半田接続フィルム21、22の幅Wは、下記(1)式を満たすことが好ましい。
W≦(2L+S)/2 (1)
上記(1)式において、Lは、端子11a、12aの長さであり、Sは、第1の端子列11と第2の端子列12との間の距離である。第1の半田接続フィルム21と第2の半田接続フィルム22との間には境界があればよく、その距離(隙間)SFはゼロであってもよい。
【0028】
第1の端子列11と第2の端子列12との間の距離Sは、好ましくは10mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。第1の端子列11と第2の端子列12との間の距離Sが短い場合であっても、第1の半田接続フィルム21と第2の半田接続フィルム22との間に境界があることが好ましく、その距離(隙間)SFは、好ましくは0mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上である。第1の半田接続フィルム21と第2の半田接続フィルム22との間に境界があることにより、半田粒子の移動を制限することができ、端子列の端子上の半田高さのばらつきを小さくすることができる。
【0029】
[工程(B)]
図3は、配線基板の第1の端子列と表面実装部品の第1の端子列とを位置合わせした状態を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、工程(B)では、配線基板10の第1及び第2の端子列11、12と表面実装部品30の第1及び第2の端子列31、32とを位置合わせし、第1の半田接続フィルム21上に表面実装部品30を固定する。
【0030】
工程(B)では、例えばツールを用いて第1及び第2の端子列11、12と表面実装部品30の第1及び第2の端子列31、32とを位置合わせする。ツールは、表面実装部品を吸着する吸着機構を備えることが好ましい。また、工程(B)では、ツールにて表面実装部品30側から押圧する仮圧着であってもよい。
【0031】
[工程(C)]
図4は、配線基板及び表面実装部品をリフロー炉にて加熱した状態を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、工程(C)では、半田粒子20の融点以上に設定されたリフロー炉を用いて、配線基板10の第1及び第2の端子列11、12と表面実装部品30の第1及び第2の端子列31、32とを半田41により接合させるとともに、配線基板10と表面実装部品30とを半田接続フィルムのバインダー40により接着させる。ここで、配線基板10の第1及び第2の端子列11、12上にそれぞれ半田粒子20を含有する第1及び第2の半田接続フィルム21、22を設けているため、リフローにおいて、セルフアライメント効果による半田粒子の端子列間の移動を制限する。これにより、第1及び第2の端子列11、12に対してそれぞれ第1及び第2の半田接続フィルム21、22内の半田粒子20のみを凝集させることができる。
【0032】
リフロー炉としては、大気圧リフロー、真空リフロー、大気圧オーブン、オートクレーブ(加圧オーブン)などが挙げられ、これらの中でも、接合部に内包する気泡を排除することができる真空リフロー、オートクレーブなどを用いることが好ましい。リフロー炉は、機械的な加圧をせずに無荷重で加熱接合させることができるため、配線基板10及び表面実装部品30のダメージを抑制することができる。ここで、無荷重とは、機械的な加圧がない状態をいう。
【0033】
リフロー炉におけるピーク温度(最高到達温度)の下限は、半田粒子が溶融する温度以上であって、半田接続フィルムが硬化を始める温度以上であれば良く、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。また、リフロー炉におけるピーク温度の上限は、300℃以下、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは280℃以下である。これにより、配線基板10の第1の端子列11と表面実装部品30の第1の端子列31とが半田接合される。また、半田接続フィルムが熱硬化性バインダーを用いた場合、端子内の半田接合箇所以外は、熱硬化性バインダーにより接着される。ここで、半田接合とは、対向した電子部品のそれぞれの端子(電極)を、半田を溶融させて繋ぐことをいう。
【0034】
リフロー後の端子間の半田41の平均の厚み(高さ)Tは、配線基板及び表面実装部品の電極面積、半田接続フィルムの半田粒子の含有量などによるが、厚みの下限は好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは40μm以上である。厚みTの上限は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。これにより、熱衝撃による表面実装部品と配線基板との線膨張差のストレスに耐えることでき、高い導通信頼性を得ることができる。
【0035】
また、リフロー後の端子間の半田の厚み(高さ)の相対標準偏差(変動係数、RSD(Relative Standard deviation)は、好ましくは25%未満、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。端子間の半田の厚み(高さ)のばらつきの割合が小さいことにより、高い導通信頼性を得ることができる。また、接続構造体の端子間の半田の厚み(高さ)の標準偏差(σ)は、端子間の半田の平均の厚み(高さ)などによるが、例えば端子間の半田の平均の厚み(高さ)が5μm以上200μmの場合、好ましくは20μm以下、より好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。端子間の半田41の厚みのばらつきが小さいことにより、高い導通信頼性を得ることができる。
【0036】
上述した接続構造体の製造方法によれば、端子列毎に半田接続フィルムを設けることにより、加熱時のセルフアライメント効果による半田粒子の端子列間の移動を制限することができる。このため、所定の端子列に対して所定の半田接続フィルム内の半田粒子のみを凝集させることができ、高い導通信頼性を得ることができる。
【0037】
なお、上述した接続構造体の製造方法では、工程(C)において、リフロー炉を用いて、配線基板の複数の端子列と表面実装部品の複数の端子列とを接合させたが、これに限られるものではなく、例えば半田粒子の端子上への凝集を妨げない範囲で加熱加圧ツールを用いて接合させてもよい。
【0038】
また、半田接続フィルムは、配線基板の電極パターンに応じて形状が加工されていてもよい。例えば、半田接続フィルムは、所定の端子列に対応する略矩形の第1形状部と、第1形状部の一端と連続させ、所定の端子列の一端の電極に対応する第2形状部と、第1形状部の他端と連続させ、所定の端子列の他端の電極に対応する第3形状部とを有し、第1形状部~第3形状部とを合体させた形状であってもよい。また、例えば、半田接続フィルムは、第1の端子列に対応する略矩形の第1形状部と、第2の端子列に対応する略矩形の第2形状部と、第1形状部の一端と第2の形状部の一端とを連続させ、第1の端子列及び第2の端子列の一端の1対の電極に対応する第3形状部と、第1形状部の他端と第2の形状部の他端とを連続させ、第1の端子列及び第2の端子列の他端の1対の電極に対応する第4形状部とを有し、第1形状部~第4形状部とを合体させた形状であってもよい。
【0039】
また、前述と同様、隣接する端子列に対応する形状部間の距離(隙間)は、好ましくは0mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上である。隣接する端子列に対応する形状部間に境界があることにより、半田粒子の移動を制限することができ、端子列の端子上の半田高さのばらつきを小さくすることができる。このような形状の半田接続フィルムは、打ち抜き加工、切り込み(スリット)加工などによって得ることができる。
【0040】
[変形例]
上述した接続構造体の製造方法では、工程(A)において、端子列上に半田接続フィルムを設けることとしたが、これに限られるものではなく、例えば、メタルマスク(ステンシル)を用いて半田ペーストを印刷し、端子列上に半田ペーストフィルムを設けてもよい。半田ペーストとしては、例えば後述する半田接続フィルムのバインダーの配合から高分子成分を除き、粘度を低下させたものが挙げられる。
【0041】
以下、
図5~
図8を参照して、メタルマスクを用いた半田ペーストの印刷について説明する。
図5は、配線基板の一例を模式的に示す平面図である。
図5に示すように、配線基板50は、複数の端子51a、51b、51c、51dが所定間隔で並んだ第1の端子列51と、複数の端子52a、52b、52c、52dが所定間隔で並んだ第2の端子列52とを備える。第1の端子列51の列方向と第2の端子列52の列方向とは平行であり、第1の端子列51と第2の端子列52との間の距離は、前述と同様、好ましくは10mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
【0042】
図6(A)は、実施例としてのメタルマスクの一例を模式的に示す平面図であり、
図6(B)は、
図6(A)に示すメタルマスクを用いて印刷した半田ペーストフィルムの一例を模式的に示す平面図である。
図6(A)に示すメタルマスク53は、第1の端子列51に対応する第1の開口部54と、第2の端子列52に対応する第2の開口部55とを備える。
【0043】
半田ペーストの印刷方法は、メタルマスク53の下に配線基板50上を位置合わせしてセットし、メタルマスク53の上からスキージを下方に押し付けながら移動させ、メタルマスク53の開口部から半田ペーストを所定の箇所に塗付し、セットしていた配線基板50を離す。これにより、配線基板50にメタルマスク53の開口部と同じ形状の半田ペーストフィルムを転写させることができる。
【0044】
図6(B)に示すように、配線基板50には、第1の開口部54と同形状の第1の半田ペーストフィルム56が第1の端子列51上に設けられ、第2の開口部55と同形状の第2の半田ペーストフィルム57が第2の端子列52上に設けられ、第1の半田ペーストフィルム56と第2の半田ペーストフィルム57との間には空隙が設けられる。これにより、加熱時のセルフアライメント効果による半田粒子の端子列間の移動を制限することができるため、所定の端子列に対して所定の半田接続フィルム内の半田粒子のみを凝集させることができ、高い導通信頼性を得ることができる。
【0045】
また、配線基板50に印刷された半田ペーストフィルムの厚みは、後述する半田接続フィルムと同様、その下限は、半田粒子の平均粒径に対して好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。また、厚みの上限は、半田粒子の平均粒径に対して好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。半田ペーストフィルムの厚みに対する半田粒子の平均粒径の比が大きい場合、メタルマスクを用いた印刷の難易度が高くなる虞がある。
【0046】
ここで、半田ペーストフィルムの厚みとは、バインダー樹脂層のみの厚みであり、粒子径は含まない。フィルム状の半田ペーストの厚みは、1μm以下、好ましくは0.1μm以下を測定できる公知のマイクロメータやデジタルシックネスゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ:MDE-25M、最小表示量0.0001mm)を用いて測定することができる。フィルム厚みは、10箇所以上を測定し、平均して求めればよい。
【0047】
図7(A)は、比較例としてのメタルマスクの一例を模式的に示す平面図であり、
図7(B)は、
図7(A)に示すメタルマスクを用いて印刷した半田ペーストフィルムの一例を模式的に示す平面図である。
図7(A)に示すメタルマスク58は、第1の端子列51及び第2の端子列52の両者に対応する開口部59を備える。
【0048】
配線基板50にメタルマスク58の開口部と同じ形状の半田ペーストフィルムを転写させた場合、
図7(B)に示すように、配線基板50には、開口部59と同形状の半田ペーストフィルム60が第1の端子列51上及び第2の端子列52上に設けられる。この場合、加熱時に半田粒子が端子列間を移動し、半田粒子が不均一に分布してしまうため、上下端子間の半田の厚み(高さ)のばらつきの割合が大きくなり、高い導通信頼性を得ることが困難となる。
【0049】
図8(A)は、比較例としてのメタルマスクの一例を模式的に示す平面図であり、
図8(B)は、
図8(A)に示すメタルマスクを用いて印刷した半田ペーストフィルムの一例を模式的に示す平面図である。
図8(A)に示すメタルマスク61は、第1の端子列51の端子にそれぞれ対応する開口部62a、62b、62c、62dと、第2の端子列52の端子にそれぞれ対応する開口部63a、63b、63c、63dとを備える。
【0050】
配線基板50にメタルマスク61の開口部と同じ形状の半田ペーストフィルムを転写させた場合、
図8(B)に示すように、配線基板50には、開口部62a、62b、62c、62d、63a、63b、63c、63dと同形状の半田ペーストフィルム64a、64b、64c、64d、65a、65b、65c、65dがそれぞれ第1の端子列51の端子51a、51b、51c、51d上及び第2の端子列52の端子52a、52b、52c、52d上に設けられる。この場合、ファインパターン化に伴いメタルマスクの開口部が小さくなると、半田ペーストが開口部に残ってしまい、例えば、
図8(B)に示す端子52bのように、半田ペーストが配線基板50に転写されない事態が発生してしまう。
【0051】
[コネクタ実装体]
以下では、表面実装部品の具体例として、垂直嵌合タイプのコネクタを用いたコネクタ実装体について詳細に説明する。コネクタは、嵌合部を有する主に樹脂成型品であり、例えば、樹脂成形物に電極が複数長手方向に突き出ているもの(所謂、ムカデ型のコネクタ)であっても、突き出ていないもの(フリップチップ型のコネクタ)であってよい。
【0052】
図9は、垂直嵌合タイプのコネクタにおけるプラグとレセプタクルとの短手方向の一例を示す断面図である。
図9示すコネクタの一例は、レセプタクル端子71A、71Bが絶縁樹脂により固定されたレセプタクル70と、プラグ端子81A、81Bが絶縁樹脂により固定されたプラグ80から構成される。また、レセプタクル70の長手方向には、レセプタクル端子71A、71Bが、所定のピッチで形成され、プラグ80の長手方向には、プラグ端子81A、81Bが、所定のピッチで形成される。
【0053】
図10は、コネクタのプラグと配線基板とを接続させた接続構造体の長手方向を模式的に示す断面図であり、
図11は、コネクタのプラグと配線基板とを接続させた接続構造体の短手方向を模式的に示す断面図である。すなわち、
図10に示す長手方向の断面は、
図11に示す短手方向の断面に対して垂直方向のY断面であり、
図11に示す短手方向の断面は、
図10に示す長手方向の断面に対して垂直方向のX断面である。
【0054】
図10及び
図11に示すように、コネクタ実装体は、第1の端子列としてのプラグ端子81Aと、第2の端子列としてのプラグ端子81Bを有するプラグ80と、プラグ端子81A、81Bに対応する基板端子91A、91Bを有する配線基板90と、プラグ端子81A、81Bと基板端子91A、91Bとを半田101により接合した接着層100とを備える。
【0055】
プラグ80は、プラグ端子81A、81Bと、プラグ端子81A、81Bに連続する導電金属が折り曲げられた接続ピン82A、82Bと、プラグ端子81A、81B及び接続ピン82A、82Bを固定する絶縁樹脂83とを備える。
【0056】
絶縁樹脂83は、例えばポリアミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)などからなり、例えば樹脂成形により、プラグ端子81A、81B及び接続ピン82A、82Bを固定する。また、プラグ端子81A、81Bの端部には、それぞれリードが形成され、プラグ端子81A、81Bは、表面実装型のリードアレイを構成する。
【0057】
プラグ端子81A、81B及び基板端子91A、91Bにおける隣接端子間距離(スペース間距離)の最小値の上限は、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下である。また、プラグ端子81A、81B及び基板端子91A、91Bにおける隣接端子間の距離の最小値の下限は、好ましくは50μm以上、より好ましくは60μm以上、さらに好ましくは70μm以上である。また、プラグ端子81A、81Bの表面は、金メッキされていることが好ましい。
【0058】
配線基板90は、基材上にプラグ端子81A、81Bに対応する基板端子91A、91Bを備える。配線基板70は、所謂プリント配線板(PWB)として広義に定義できるものであればよく、リジット基板であっても、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)であってもよい。基材種類による基板例としては、例えば、ガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板などが挙げられる。また、基板端子91A、91Bの表面は、金メッキされていることが好ましい。
【0059】
接着層100は、プラグ端子81A、81Bと基板端子91A、91Bとを接合する半田101と、バインダー硬化物102とを備える。接着層80は、後述する半田接続フィルムが硬化したものであり、プラグ端子81A、81Bと基板端子91A、91Bとを半田81により接合するとともに、プラグ80と配線基板90との間の半田接続フィルムのバインダーが硬化したものである。
【0060】
<2.半田接続フィルム>
本実施の形態に係る半田接続フィルムは、バインダーと、半田粒子と、フラックス化合物とを含有する。半田接続フィルムの形状がフィルムであることにより、半田粒子の量を均一化することができるだけでなく、取り扱い易いので作業効率を高くすることができる。
【0061】
半田接続フィルムの厚みの下限は、半田粒子の平均粒径に対して好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。また、半田接続フィルムの厚みの上限は、半田粒子の平均粒径に対して好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。半田接続フィルムの厚みに対する半田粒子の平均粒径の比が大きい場合、半田接続フィルムの取り扱い性の難易度が高くなる虞がある。ここで、半田接続フィルムの厚みとは、バインダー樹脂層のみの厚みであり、粒子径は含まない。
【0062】
半田接続フィルムフィルムの厚みは、1μm以下、好ましくは0.1μm以下を測定できる公知のマイクロメータやデジタルシックネスゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ:MDE-25M、最小表示量0.0001mm)を用いて測定することができる。フィルム厚みは、10箇所以上を測定し、平均して求めればよい。但し、粒子径よりもフィルム厚みが薄い場合には、接触式の厚み測定器は適さないので、レーザー変位計(例えば、株式会社キーエンス、分光干渉変位タイプSI-Tシリーズなど)を用いることが好ましい。
【0063】
半田接続フィルムのバインダーは、熱硬化性であっても、熱可塑性であってもよいが、リフロー工程による温度制御により溶融・硬化可能な熱硬化性であることが好ましい。以下では、熱硬化性バインダー(絶縁性バインダー)について説明する。
【0064】
[熱硬化型バインダー]
熱硬化性バインダーは、半田粒子の融点よりも高い発熱ピーク温度を有することが好ましく、また、半田粒子の融点よりも低い最低溶融粘度到達温度を有することが好ましい。これにより、加熱により熱硬化性バインダーを溶融さえ、半田粒子を端子上に凝集させた後、熱硬化性バインダーを硬化させることができる。ここで、発熱ピーク温度及び最低溶融粘度到達温度は、例えば回転式レオメーター(サーモフィッシャー社製)を用い、測定圧力1N温度範囲30~200℃、昇温速度10℃/分、測定周波数1Hz、測定プレート直径8mmの条件で測定することができる。
【0065】
熱硬化型バインダーとしては、(メタ)アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合型樹脂組成物などが挙げられる。また、公知の粘着剤組成物を用いてもよい。なお、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリルモノマー、及びメタクリルモノマーのいずれも含む意味である。
【0066】
以下では、具体例として、固形エポキシ樹脂と、液状エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを含有する熱重合型樹脂組成物を例に挙げて説明する。
【0067】
固形エポキシ樹脂は、常温で固形であり、分子内に1つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等であってもよい。これらの中でも、低溶融粘度である結晶性のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。市場で入手可能な結晶性のビスフェノールA型エポキシ樹脂の具体例としては、ガードナー・ホルト法の粘度が40~55Pである三菱ケミカル(株)の商品名「YL6810」(結晶性BPA型エポキシ樹脂)等を挙げることができる。また、固形エポキシ樹脂は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるフェノキシ樹脂であってもよい。フェノキシ樹脂としては、例えば日鉄ケミカル&マテリアル社製「YP-50」等が挙げられる。これにより、フィルム形状を維持することができる。なお、常温とは、JIS Z 8703で規定する20℃±15℃(5℃~35℃)の範囲である。
【0068】
液状エポキシ樹脂は、常温で液状であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル等であってもよく、ウレタン変性のエポキシ樹脂であっても構わない。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば三菱ケミカル社製「YL983U」等が挙げられ、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテルとしては、例えば三菱ケミカル社製「YX8000」等が挙げられる。
【0069】
液状エポキシ樹脂の配合量は、固形エポキシ樹脂100質量部に対し、好ましくは160質量部以下、より好ましくは140質量部以下、さらに好ましくは120質量部以下である。液状エポキシ樹脂の配合量が多くなると、フィルム形状を維持することが困難となる。また、液状エポキシ樹脂の配合量が多くなると、熱硬化後の硬化物性が一般的に高架橋密度による高弾性となるため、ストレス緩和能力が小さくなる。
【0070】
エポキシ樹脂硬化剤は、熱で硬化が開始する熱硬化剤であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アミン、イミダゾール等のアニオン系硬化剤、スルホニウム塩等のカチオン系硬化剤が挙げられる。また、硬化剤は、フィルム化させる際に使用される溶剤に対して耐性が得られるようにマイクロカプセル化されていてもよい。アニオン系硬化剤としては、例えば四国化成社製「2P4MHZ-PW」等のイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤が挙げられる。
【0071】
[半田粒子]
半田粒子は、例えばJIS Z 3282-1999に規定されている、Sn-Pb系、Pb-Sn-Sb系、Sn-Sb系、Sn-Pb-Bi系、Bi-Sn系、Sn-Cu系、Sn-Pb-Cu系、Sn-In系、Sn-Ag系、Sn-Pb-Ag系、Pb-Ag系などから、電極材料や接続条件などに応じて適宜選択することができる。これらの中でも、半田粒子は、Sn-Bi-Cu合金、Sn-Bi-Ag合金、Sn-Bi合金、Sn-Pb-Bi合金、及びSn-In合金からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。半田粒子の具体例としては、Sn59.9Bi40Cu0.1、Sn30Bi0.5Cu、Sn30Bi、Sn40Bi、Sn50Bi、Sn58Bi、Sn40Bi0.1Cu、Sn43Pb14Bi、Sn20Inなどが挙げられる。これにより、優れた接続信頼性を得ることができる。
【0072】
半田粒子の融点の下限は、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上。半田粒子の融点の上限は、250℃以下でもよく、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。また、半田粒子は、表面を活性化させる目的でフラックス化合物が直接表面に結合されていても構わない。表面を活性化させることで電極部との金属結合を促進することができる。
【0073】
半田粒子の平均粒径は、表面実装部品の端子列及び配線基板の端子列における端子間距離(スペース間距離)の最小値の0.5倍以下であることが好ましく、0.3倍以下であることがより好ましく、0.2倍以下であることがさらに好ましい。このようなスペース間距離及び半田粒子の平均粒径との関係より、リフロー炉を用いて、表面実装部品の端子列と配線基板の端子列とを接合させることができる。半田粒子の平均粒径が表面実装部品の端子列及び配線基板の端子列における端子間距離の最小値の0.5倍より大きくなると、ショートが発生する可能性が高くなる。
【0074】
半田粒子の平均粒径の下限は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、半田粒子の平均粒径の上限は、50μm以下であってもよく、30μm以下、好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。これにより、良好な半田接合状態を得ることができ、高い信頼性を得ることができる。
【0075】
平均粒径は、金属顕微鏡、光学顕微鏡、SEM(Scanning Electron Microscope)等の電子顕微鏡などを用いた観察画像において、例えばN=20以上、好ましくはN=50以上、さらに好ましくはN=200以上で測定した粒子の長軸径の平均値であり、粒子が球形の場合は、粒子の直径の平均値である。また、観察画像を公知の画像解析ソフト(「WinROOF」:三谷商事(株)、「A像くん(登録商標)」:旭化成エンジニアリング株式会社など)を用いて計測された測定値、画像型粒度分布測定装置(例として、FPIA-3000(マルバーン社))を用いて測定した測定値(N=1000以上)であってもよい。観察画像や画像型粒度分布測定装置から求めた平均粒径は、粒子の最大長の平均値とすることができる。なお、半田接続フィルムを作製する際には、簡易的にレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における頻度の累積が50%になる粒径(D50)、算術平均径(体積基準であることが好ましい)などのメーカー値を用いてもよい。
【0076】
半田粒子は、バインダー中に分散されていることが好ましく、半田粒子はランダム配置であっても、一定の規則で配置されていてもよい。また、半田粒子は、複数個が凝集した凝集体であってもよい。
【0077】
半田接続フィルムにおける半田粒子の含有量は、表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチに基づいて適宜決定することができ、例えば、表面実装部品及び配線基板の端子列のピッチ0.1mm~0.4mmに対して、10体積%~60体積%であることが好ましい。例えばピッチが0.4mmの場合20体積%~58体積%、ピッチが0.35mmの場合20体積%~58体積%、ピッチが0.2mmの場合20体積%~48体積%、ピッチが0.15mmの場合15体積%~48体積%、ピッチが0.1mmの場合10体積%~38体積%であることが好ましい。半田粒子の含有量が少なすぎると優れた導通性、放熱性、及び接着性が得られなくなり、含有量が多すぎると異方性が損なわれ易くなり、優れた導通信頼性が得られ難くなる。
【0078】
[フラックス化合物]
フラックス化合物は、電極表面の異物や酸化膜を取り除いたり、電極表面の酸化を防止したり、溶融半田の表面張力を低下させたりする。フラックス化合物としては、例えば、レブリン酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等のカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、酸化膜の除去に優れるグルタル酸を用いることが好ましい。
【0079】
[他の添加剤]
半田接続フィルムには、上述したバインダー、半田粒子及びフラックス化合物に加えて、本技術の効果を損なわない範囲で、従来、接着剤として使われている種々の添加剤を配合することができる。添加剤の粒子径は、半田粒子の平均粒子径よりも小さいことが望ましいが、電極間接合を阻害しない大きさであれば特に限定はない。
【0080】
前述の半田接続フィルムは、例えば、絶縁性バインダー、半田粒子及びフラックス化合物を溶剤中で混合し、この混合物を、バーコーターにより、剥離処理フィルム上に所定厚みとなるように塗布した後、乾燥させて溶媒を揮発させることにより得ることができる。また、混合物をバーコーターにより剥離処理フィルム上に塗布した後、加圧により所定厚みとしてもよい。また、半田粒子の分散性を高くするために、溶媒を含んだ状態で高シェアをかけることが好ましい。例えば、公知のバッチ式遊星攪拌装置を用いることができる。また、半田接続フィルムの残溶剤量は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。
【0081】
本実施の形態に係る半田接続フィルムによれば、フラックス化合物による酸化膜除去が適度に抑制され、半田が適度に残り易くなるため、半田残存面積を適度な範囲とすることができる。また、半田残存面積が適度な範囲であることにより、耐透湿性能及び機械的強度が向上し、接合強度の低下及び抵抗値の上昇を抑制することができる。
【実施例0082】
<3.第1の実施例>
第1の実施例では、半田接続フィルムの一形態として半田粒子を含有する異方性導電フィルムを作製した。そして、異方性導電フィルムを用いて第1の端子列と第2の端子列とを備える基板上にコネクタを搭載し、リフロー後の接続構造体について、ブリッジ発生、導通抵抗、半田残り、及び半田高さについて評価した。
【0083】
[異方性導電フィルムの作製]
フェノキシ樹脂(YP-50、日鉄ケミカル&マテリアル(株))を45質量部、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル(YX8000、三菱ケミカル(株))を10質量部、結晶性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810、三菱ケミカル(株))を45質量部、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(2P4MHZ-PW(2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール)、四国化成工業(株))を10質量部、及びグルタル酸(1,3-プロパンジカルボン酸、東京化成(株))を8質量部配合し、バインダーを作製した。バインダー118質量部に対し、平均粒子径20μmの半田粒子(Sn59.9Bi40Cu0.1)を所定量配合し、所定厚みの異方性導電フィルムを作製した。
【0084】
[接続構造体の作製]
基板として、プリント配線板〔第1の端子列と第2の端子列とを備え、第1の端子列と第2の端子列との間が0.8mmである。第1の端子列及び第2の端子列は0.35mmピッチ(ライン/スペース=0.18/0.17mm、端子長さ0.8mm)、ガラスエポキシ基材厚み1.5mm、銅パターン厚み18μm、表面OSP処理〕を準備した。
【0085】
コネクタとして、プラグコネクタ(ヒロセ製BM23FR0.6-20DP、片側10ピン(両側20ピン)、0.35mmP、ライン/スペース=0.12/0.23mm、端子表面Auメッキ)及び、レセプタクルコネクタ(ヒロセ製BM23FR0.6-20DS、片側10ピン(両側20ピン)、0.35mmP、ライン/スペース=0.12/0.23mm、端子表面Auメッキ)を準備した。
【0086】
基板の端子上に、異方性導電フィルムを所定の大きさにカットして、45℃、1MPa、1秒間の条件で仮圧着を行い、異方性導電フィルムを基板の端子上に仮貼りした。続いて、異方性導電フィルム上に、コネクタ(プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタ)を配置し、下記リフロー条件にてリフローを行い、接続構造体を作製した。
リフロー条件:150℃~260℃-100sec、ピークトップ260℃設定
【0087】
[ブリッジ発生の評価]
リフロー後の接続構造体について、デジタルマルチメーターを用いて隣接端子間に電圧20Vを印加した時の絶縁抵抗値を測定した。106Ω以下を半田のブリッジ発生としてカウントした。
【0088】
[導通抵抗の評価]
リフロー後の接続構造体について、デジタルマルチメーターを用いて、4端子法にてDC10mAを流した時の接続構造体の導通抵抗値を測定し、抵抗値の最大値により評価した。A~Cの評価基準は下記の通りとした。
A:抵抗値の最大値が50mΩ以下
B:抵抗値の最大値が50mΩ超90mΩ以下
C:抵抗値の最大値が90mΩ超
【0089】
[半田残りの評価]
リフロー後の接続構造体について、X線撮影装置を用いてX線写真を撮影し、端子以外に存在する半田残りの有無を判別した。
【0090】
[半田高さの評価]
リフロー後の接続構造体について、第1の電子部品の端子と第2の部品のピンとの断面を電子顕微鏡で観察し、半田の高さ(厚み)を測定し、平均値、標準偏差σ、及び相対標準偏差(RSD、Relative Standard Deviation)を算出した。
【0091】
<実施例1>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.8mmになるようにカットした。
【0092】
図12(A)は、実施例1について、プリント配線板に対して異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図12(B)は、実施例1について、プリント基板上にコネクタを搭載した状態を示す写真であり、
図12(C)は、実施例1について、リフロー後の接続構造体を示すX線写真である。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅0.8mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅0.8mmの空隙を設け、コネクタを実装した。
【0093】
表1に示すように、実施例1の接続構造体は、ブリッジの発生はなく、導通抵抗の評価はAであり、
図12(C)に示すX線写真のように半田残りも無かった。また、半田高さの平均値は51μm、標準偏差は6μm、相対標準偏差は12%であった。
【0094】
<実施例2>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製した以外は、実施例1と同様に接続構造体を作製した。表1に示すように、実施例2の接続構造体は、ブリッジの発生はなく、導通抵抗の評価はAであり、半田残りも無かった。また、半田高さの平均値は60μm、標準偏差は7μm、相対標準偏差は12%であった。
【0095】
<実施例3>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を1040質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製した以外は、実施例1と同様に接続構造体を作製した。表1に示すように、実施例3の接続構造体は、ブリッジの発生はなく、導通抵抗の評価はAであり、半田残りも無かった。また、半田高さの平均値は71μm、標準偏差は8μm、相対標準偏差は11%であった。
【0096】
<比較例1>
バインダー118質量部に対し半田粒子を300質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製、幅が2.4mmになるようにカットした。
【0097】
図13(A)は、比較例1について、プリント配線板に対して異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図13(B)は、比較例1について、プリント基板上にコネクタを搭載した状態を示す写真であり、
図13(C)は、比較例1について、リフロー後の接続構造体を示すX線写真である。第1の端子列と第2の端子列とを含む全面に幅2.4mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、コネクタを実装した。
【0098】
表1に示すように、比較例1の接続構造体は、ブリッジの発生はなく、導通抵抗の評価はBであり、
図13(C)に示すX線写真のように半田残りが有った。また、半田高さの平均値は48μm、標準偏差は17μm、相対標準偏差は35%であった。
【0099】
<比較例2>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製した以外は、比較例1と同様に接続構造体を作製した。表1に示すように、比較例2の接続構造体は、ブリッジの発生が有り(3ch)、導通抵抗の評価はCであり、半田残りが有った。また、半田高さの平均値は74μm、標準偏差は21μm、相対標準偏差は28%であった。
【0100】
<比較例3>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み30μmの異方性導電フィルムを作製した以外は、比較例1と同様に接続構造体を作製した。表1に示すように、比較例3の接続構造体は、ブリッジの発生が無く、導通抵抗の評価はBであり、半田残りが有った。また、半田高さの平均値は59μm、標準偏差は23μm、相対標準偏差は39%であった。
【0101】
<比較例4>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製した以外は、比較例1と同様に接続構造体を作製した。表1に示すように、比較例4の接続構造体は、ブリッジの発生が有り(2ch)、導通抵抗の評価はCであり、半田残りが有った。また、半田高さの平均値は87μm、標準偏差は25μm、相対標準偏差は29%であった。
【0102】
【0103】
比較例1~4は、第1の端子列と第2の端子列とを含む全面に異方性導電フィルムを仮貼りしたため、第1の端子列と第2の端子列との間に半田残りが生じ、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が高かった。これは、第1の端子列と第2の端子列との間で半田粒子の移動が起こり、半田粒子の端子への凝集が効率的ではないためだと考えられる。
【0104】
一方、実施例1~3は、第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ異方性導電フィルムを仮貼りしたため、第1の端子列と第2の端子列との間に半田残りが生じず、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が低かった。これは、第1の端子列と第2の端子列との間で半田粒子の移動が起こらず、半田粒子の端子への凝集が効率的であったためだと考えられる。
【0105】
<4.第2の実施例>
第2の実施例では、異方性導電フィルムを第1の端子列と第2の端子列とを備える基板上に仮貼りしてリフローを行い、ブリッジ発生、及び半田高さについて評価した。
【0106】
基板として、プリント配線板〔第1の端子列と第2の端子列とを備え、第1の端子列と第2の端子列との間が0.8mmである。第1の端子列及び第2の端子列は0.35mmピッチ(ライン/スペース=0.18/0.17mm、端子長さ0.8mm)、ガラスエポキシ基材厚み1.5mm、銅パターン厚み18μm、表面OSP処理〕を準備した。
【0107】
基板の端子上に、異方性導電フィルムを所定の大きさにカットして、45℃、1MPa、1秒間の条件で仮圧着を行い、異方性導電フィルムを基板の端子上に仮貼りし、下記リフロー条件にてリフローを行い、サンプルを作製した。
リフロー条件:150℃~260℃-100sec、ピークトップ260℃設定
【0108】
[ブリッジ発生の評価]
リフロー後のサンプルについて、デジタルマルチメーターを用いて隣接端子間に電圧20Vを印加した時の絶縁抵抗値を測定した。106Ω以下を半田のブリッジ発生としてカウントし、ブリッジ発生がなかった場合を「OK」と評価し、ブリッジ発生があった場合を「NG」と評価した。
【0109】
[半田高さの評価]
リフロー後のサンプルの配線上の半田高さ(厚み)について、3D測定レーザー顕微鏡(オリンパス社製、LEXT OLS5000)を用いて測定し、平均値、標準偏差σ、及び相対標準偏差(RSD、Relative Standard Deviation)を算出した。
【0110】
[異方性導電フィルムの作製]
フェノキシ樹脂(YP-50、日鉄ケミカル&マテリアル(株))を45質量部、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル(YX8000、三菱ケミカル(株))を10質量部、結晶性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810、三菱ケミカル(株))を45質量部、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(2P4MHZ-PW(2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール)、四国化成工業(株))を10質量部、及びグルタル酸(1,3-プロパンジカルボン酸、東京化成(株))を8質量部配合し、バインダーを作製した。バインダー118質量部に対し、平均粒子径20μmの半田粒子(Sn59.9Bi40Cu0.1)を所定量配合し、所定厚みの異方性導電フィルムを作製した。
【0111】
<実施例4>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が1.2mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅1.2mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅0mmの空隙を設けた。表2に示すように、実施例4のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は58.8μm、標準偏差は8.4μm、相対標準偏差は14%であった。
【0112】
<実施例5>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が1.0mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅1.0mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅0.4mmの空隙を設けた。表2に示すように、実施例5のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は56.8μm、標準偏差は5.8μm、相対標準偏差は10%であった。
【0113】
<実施例6>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.8mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅0.8mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅0.8mmの空隙を設けた。表2に示すように、実施例6のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は44.3μm、標準偏差は5.3μm、相対標準偏差は14%であった。
【0114】
<実施例7>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.6mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅0.6mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅1.2mmの空隙を設けた。表2に示すように、実施例7のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は42.8μm、標準偏差は3.8μm、相対標準偏差は9%であった。
【0115】
<実施例8>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.4mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅0.4mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅1.6mmの空隙を設けた。表2に示すように、実施例8のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は42.2μm、標準偏差は8.5μm、相対標準偏差は20%であった。
【0116】
<比較例5>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を460質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が2.4mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とを含む全面に幅2.4mmの異方性導電フィルムを仮貼りした。表2に示すように、比較例5のサンプルは、ブリッジ発生の評価はNG、半田高さの平均値は57.0μm、標準偏差は14.0μm、相対標準偏差は25%であった。
【0117】
【0118】
比較例5は、第1の端子列と第2の端子列とを含む全面に異方性導電フィルムを仮貼りしたため、ブリッジが発生し、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が高かった。これは、第1の端子列と第2の端子列との間で半田粒子の移動が起こり、半田粒子の端子への凝集が効率的ではないためだと考えられる。
【0119】
一方、実施例4~8は、第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ異方性導電フィルムを仮貼りしたため、ブリッジが発生せず、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が低かった。また、実施例5~7は、第1及び第2の端子列との間にそれぞれ配置される第1及び第2の異方性導電フィルムの幅方向の矩形部のはみ出し量が25%以下であることにより、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差をさらに低くすることができた。これは、半田粒子の端子への凝集が効率的であったためだと考えられる。
【0120】
<実施例9>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が1.2mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅1.2mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅0mmの空隙を設けた。表3に示すように、実施例9のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は67.5μm、標準偏差は9.7μm、相対標準偏差は14%であった。
【0121】
<実施例10>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が1.0mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅1.0mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅0.4mmの空隙を設けた。表3に示すように、実施例10のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は66.0μm、標準偏差は7.9μm、相対標準偏差は12%であった。
【0122】
<実施例11>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.8mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅0.8mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅0.8mmの空隙を設けた。表3に示すように、実施例11のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は50.5μm、標準偏差は6.4μm、相対標準偏差は13%であった。
【0123】
<実施例12>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.6mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅0.6mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅1.2mmの空隙を設けた。表3に示すように、実施例12のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は48.4μm、標準偏差は4.7μm、相対標準偏差は10%であった。
【0124】
<実施例13>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.4mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ幅0.4mmの異方性導電フィルムを仮貼りし、第1の端子列と第2の端子列との間に幅1.6mmの空隙を設けた。表3に示すように、実施例13のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は49.0μm、標準偏差は8.1μm、相対標準偏差は17%であった。
【0125】
図14は、実施例13について、リフロー後のサンプルを示す写真である。
図14に示す写真から、空隙部分に半田残りがなく、ブリッジ発生のない半田接合部が形成されていることが分かる。また、異方性導電フィルムを貼り付けた端子の一部に半田接合部が形成されていることが分かる。
【0126】
<比較例6>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を690質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が2.4mmになるようにカットした。第1の端子列と第2の端子列とを含む全面に幅2.4mmの異方性導電フィルムを仮貼りした。表3に示すように、比較例6のサンプルは、ブリッジ発生の評価はNG、半田高さの平均値は88.2μm、標準偏差は28.5μm、相対標準偏差は32%であった。
【0127】
図15は、比較例6について、リフロー後のサンプルを示す写真である。
図15に示す写真から、ブリッジ発生のある半田接合部が形成されていることが分かる。また、異方性導電フィルムを貼り付けた端子の全部に半田接合部が形成されていることが分かる。
【0128】
【0129】
比較例6は、第1の端子列と第2の端子列とを含む全面に異方性導電フィルムを仮貼りしたため、ブリッジが発生し、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が高かった。これは、第1の端子列と第2の端子列との間で半田粒子の移動が起こり、半田粒子の端子への凝集が効率的ではないためだと考えられる。
【0130】
一方、実施例9~13は、第1の端子列と第2の端子列とにそれぞれ異方性導電フィルムを仮貼りしたため、ブリッジが発生せず、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が低かった。また、実施例10~21は、第1及び第2の端子列との間にそれぞれ配置される第1及び第2の異方性導電フィルムの幅方向の矩形部のはみ出し量が25%以下であることにより、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差をさらに低くすることができた。これは、半田粒子の端子への凝集が効率的であったためだと考えられる。
【0131】
<5.第3の実施例>
第3の実施例では、異方性導電フィルムを第1の端子列~第4の端子列を備える基板上に仮貼りしてリフローを行い、ブリッジ発生、及び半田高さについて評価した。
【0132】
基板として、プリント配線板〔第1の端子列~第4の端子列が矩形状に配置されて外側に配線され、矩形内部には端子がない。第1の端子列~第4の端子列はそれぞれ0.2mmピッチ(ライン/スペース=0.1/0.1mm、端子長さ0.6mm)、40ピン(8mm)、ガラスエポキシ基材厚み1.5mm、銅パターン厚み18μm、表面OSP処理〕を準備した。
【0133】
基板の端子上に、異方性導電フィルムを所定の大きさにカットして、45℃、1MPa、1秒間の条件で仮圧着を行い、異方性導電フィルムを基板の端子上に仮貼りし、下記リフロー条件にてリフローを行い、サンプルを作製した。
リフロー条件:150℃~260℃-100sec、ピークトップ260℃設定
【0134】
[ブリッジ発生の評価]
リフロー後のサンプルについて、デジタルマルチメーターを用いて隣接端子間に電圧20Vを印加した時の絶縁抵抗値を測定した。106Ω以下を半田のブリッジ発生としてカウントし、ブリッジ発生がなかった場合を「OK」と評価し、ブリッジ発生があった場合を「NG」と評価した。
【0135】
[半田高さの評価]
リフロー後のサンプルの配線上の半田高さ(厚み)について、3D測定レーザー顕微鏡(オリンパス社製、LEXT OLS5000)を用いて測定し、平均値、標準偏差σ、及び相対標準偏差(RSD、Relative Standard Deviation)を算出した。
【0136】
[異方性導電フィルムの作製]
フェノキシ樹脂(YP-50、日鉄ケミカル&マテリアル(株))を45質量部、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル(YX8000、三菱ケミカル(株))を10質量部、結晶性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810、三菱ケミカル(株))を45質量部、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(2P4MHZ-PW(2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール)、四国化成工業(株))を10質量部、及びグルタル酸(1,3-プロパンジカルボン酸、東京化成(株))を8質量部配合し、バインダーを作製した。バインダー118質量部に対し、平均粒子径20μmの半田粒子(Sn59.9Bi40Cu0.1)を所定量配合し、所定厚みの異方性導電フィルムを作製した。
【0137】
<実施例14>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を204質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.6mm、長さ8mmになるようにカットした。第1の端子列~第4の端子列にそれぞれ幅0.6mmの異方性導電フィルムを仮貼りした。表4に示すように、実施例14のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は24.5μm、標準偏差は4.0μm、相対標準偏差は17%であった。
【0138】
<比較例7>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を204質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が9.2mm、長さが9.2mmになるようにカットした。第1の端子列~第4の端子列を含む全面に9.2mm×9.2mmの異方性導電フィルムを仮貼りした。表4に示すように、比較例7のサンプルは、ブリッジ発生の評価はNG、半田高さの平均値は17.7μm、標準偏差は6.0μm、相対標準偏差は34%であった。
【0139】
<実施例15>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を225質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が0.6mm、長さ8mmになるようにカットした。第1の端子列~第4の端子列にそれぞれ幅0.6mmの異方性導電フィルムを仮貼りした。表4に示すように、実施例15のサンプルは、ブリッジ発生の評価はOK、半田高さの平均値は26.3μm、標準偏差は4.4μm、相対標準偏差は17%であった。
【0140】
図16は、実施例15について、リフロー後のサンプルを示すX線写真である。
図16に示す写真から、空隙部分に半田残りがなく、ブリッジ発生のない半田接合部が形成されていることが分かる。
【0141】
<比較例8>
バインダー118質量部に対し、半田粒子を225質量部配合し、厚み40μmの異方性導電フィルムを作製し、幅が9.2mm、長さが9.2mmになるようにカットした。第1の端子列~第4の端子列を含む全面に9.2mm×9.2mmの異方性導電フィルムを仮貼りした。表4に示すように、比較例8のサンプルは、ブリッジ発生の評価はNG、半田高さの平均値は28.1μm、標準偏差は16.1μm、相対標準偏差は57%であった。
【0142】
図17は、比較例8について、リフロー後のサンプルを示すX線写真である。
図17に示す写真から、空隙部分に半田残りがあり、ブリッジ発生のある半田接合部が形成されていることが分かる。
【0143】
【0144】
比較例7、8は、第1の端子列~第4の端子列を含む全面に異方性導電フィルムを仮貼りしたため、ブリッジが発生し、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が高かった。これは、第1の端子列と第2の端子列との間で半田粒子の移動が起こり、半田粒子の端子への凝集が効率的ではないためだと考えられる。
【0145】
一方、実施例14、15は、第1の端子列~第4の端子列にそれぞれ異方性導電フィルムを仮貼りしたため、ブリッジが発生せず、半田高さの標準偏差及び相対標準偏差が低かった。
【0146】
<6.第4の実施例>
第4の実施例では、所定形状の異方性導電フィルムを用いて接続構造体を作製し、X線写真により端子部分以外に半田粒子が存在する半田残りを観察し、評価した。
【0147】
[異方性導電フィルムの作製]
フェノキシ樹脂(YP-50、日鉄ケミカル&マテリアル(株))を45質量部、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル(YX8000、三菱ケミカル(株))を10質量部、結晶性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810、三菱ケミカル(株))を45質量部、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(2P4MHZ-PW(2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール)、四国化成工業(株))を10質量部、及びグルタル酸(1,3-プロパンジカルボン酸、東京化成(株))を8質量部配合し、バインダーを作製した。バインダー118質量部に対し、平均粒子径20μmの半田粒子(Sn59.9Bi40Cu0.1)を300質量部配合し(28Vol%)、厚み30μmの異方性導電フィルムを作製した。
【0148】
[接続構造体の作製]
(プラグコネクタ構造体)
基板として、プラグコネクタ用配線基板〔第1の端子列と第2の端子列とが平行に形成され、第1の端子列及び第2の端子列の両端部に、第1の端子列と第2の端子列との間隔よりも小さい間隔で一対の電極が形成されている。第1の端子列と第2の端子列との間隔は0.8mmである。第1の端子列及び第2の端子列は0.35mmピッチ(ライン/スペース=0.18/0.17mm、端子長さ0.8mm)、ガラスエポキシ基材厚み1.5mm、銅パターン厚み18μm、表面OSP処理〕を準備した。
【0149】
コネクタとして、プラグコネクタ(端子列片側10ピン(両側20ピン)、0.35mmP、ライン/スペース=0.12/0.23mm、片側両端2ピン+1ピン、端子表面Auメッキ)を準備した。
【0150】
(レセプタクルコネクタ構造体)
基板として、レセプタクルコネクタ用配線基板〔第1の端子列と第2の端子列とが平行に形成され、第1の端子列及び第2の端子列の両端部に、第1の端子列と第2の端子列との間を跨ぐ電極が形成されている。第1の端子列と第2の端子列との間隔は0.8mmである。第1の端子列及び第2の端子列は0.35mmピッチ(ライン/スペース=0.18/0.17mm、端子長さ0.8mm)、ガラスエポキシ基材厚み1.5mm、銅パターン厚み18μm、表面OSP処理〕を準備した。
【0151】
コネクタとして、レセプタクルコネクタ(片側10ピン(両側20ピン)、0.35mmP、ライン/スペース=0.12/0.23mm、片側両端2ピン+1ピン、端子表面Auメッキ)を準備した。
【0152】
基板の端子上に、異方性導電フィルムを所定形状にカットして、45℃、1MPa、1秒間の条件で仮圧着を行い、異方性導電フィルムを基板の端子上に仮貼りした。続いて、所定形状の異方性導電フィルム上に、コネクタ(プラグコネクタ又はレセプタクルコネクタ)を配置し、下記リフロー条件にてリフローを行い、接続構造体を作製した。
【0153】
リフロー条件:150℃~250℃-100sec、ピークトップ250℃設定、昇温速度3.0℃/秒
【0154】
図18(A1)は、比較例9として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図18(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図18(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図18(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【0155】
図18(A1)~
図18(C)に示すように、比較例9では、第1の端子列と第2の端子列と両端の1対の電極とを含む全面に矩形の異方性導電フィルムを仮貼りし、プラグコネクタを実装させた。
図18(A1)及び
図18(A2)に示すように、第1の端子列と第2の端子列との間に空隙がない異方性導電フィルムを用いた結果、
図18(C)に示すX線写真において、第1の端子列と第2の端子列との間に半田残りが観察され、また、端子幅よりも大きいブリッジ発生のある半田接合部が観察された。
【0156】
図19(A1)は、実施例16として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図19(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図19(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図19(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【0157】
図19(A1)~
図19(C)に示すように、実施例16では、第1の端子列に対応する略矩形の第1形状部161と、第2の端子列に対応する略矩形の第2形状部162と、第1形状部の一端と第2の形状部162の一端とを連続させ、プラグコネクタの長手方向の一端を接着させる第3形状部163と、第1形状部の他端と第2の形状部の他端とを連続させ、プラグコネクタの長手方向の他端を接着させる第4形状部164とを有する異方性導電フィルムを仮貼りし、プラグコネクタを実装させた。
【0158】
図19(A1)及び
図19(A2)に示すように、第1の端子列と第2の端子列との間に空隙がある異方性導電フィルムを用いた結果、比較例9に比べて半田残りが飛躍的に改善され、
図19(C)に示すX線写真において、ほとんど半田残りが観察されなかった。
【0159】
図20(A1)は、実施例17として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図20(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図20(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図20(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【0160】
図20(A1)~
図20(C)に示すように、実施例17では、第1の端子列に対応する略矩形の第1形状部171と、第1形状部171の長手方向の一端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の一端を接着させる第2形状部172と、第1形状部171の長手方向の他端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の他端を接着させる第3形状部173とを有する第1の異方性導電フィルムを仮貼りし、また、第2の端子列に対応する略矩形の第4形状部174と、第4形状部174の長手方向の一端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の一端を接着させる第5形状部175と、第4形状部174の長手方向の他端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の他端を接着させる第6形状部176とを有する第2の異方性導電フィルムを仮貼りし、プラグコネクタを実装させた。第1の異方性導電フィルム及び第2の異方性導電フィルムを仮貼りした状態において、第1形状部171~第3形状部173と第4形状部174~第6形状部176との距離は略同じである。
【0161】
図20(A1)及び
図20(A2)に示すように、プラグコネクタの長手方向の両端を接着させる形状の第1の異方性導電フィルム及び第2の異方性導電フィルムを用い、第1の異方性導電フィルムと第2の異方性導電フィルムとの間に空隙を設けた結果、
図20(C)に示すX線写真において、ほとんど半田残りが観察されず、特に、プラグコネクタの長手方向の両端部における半田残りを改善することができた。
【0162】
図21(A1)は、実施例18として、プラグコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図21(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図21(B)は、プラグコネクタ用配線基板上にプラグコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図21(C)は、実装後のプラグコネクタ構造体を示すX線写真である。
【0163】
図21(A1)~
図21(C)に示すように、実施例18では、第1の端子列に対応する略矩形の第1形状部181と、第1形状部181の長手方向の一端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の一端を接着させる第2形状部182と、第1形状部181の長手方向の他端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の他端を接着させる第3形状部183とを有する第1の異方性導電フィルムを仮貼りし、また、第2の端子列に対応する略矩形の第4形状部184と、第4形状部184の長手方向の一端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の一端を接着させる第5形状部185と、第4形状部184の他端と連続させ、プラグコネクタの長手方向の他端を接着させる第6形状部186とを有する第2の異方性導電フィルムを仮貼りし、プラグコネクタを実装させた。第1の異方性導電フィルム及び第2の異方性導電フィルムを仮貼りした状態において、第1形状部181と第4形状部184との距離は、第2形状部182と第5形状部185との間の距離及び第3形状部183と第6形状部186との間の距離よりも大きい。
【0164】
図21(A1)及び
図21(A2)に示すように、プラグコネクタの長手方向の両端を接着させる形状の第1の異方性導電フィルム及び第2の異方性導電フィルムを用い、第1形状部181と第4形状部184との間の空隙の距離を実施例17よりも大きくした結果、
図21(C)に示すX線写真において、ほとんど半田残りが観察されず、特に、第1の端子列及び第2の端子列における半田残りを改善することができた。
【0165】
図22(A1)は、比較例10として、レセプタクルコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図22(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図22(B)は、レセプタクルコネクタ用配線基板上にレセプタクルコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図22(C)は、実装後のレセプタクルコネクタ構造体を示すX線写真である。
【0166】
図22(A1)~
図22(C)に示すように、比較例10では、レセプタクルコネクタの長手方向の両端を含む全面に矩形の異方性導電フィルムを仮貼りし、レセプタクルコネクタを実装させた。
図22(A1)及び
図22(A2)に示すように、第1の端子列と第2の端子列との間に空隙がない異方性導電フィルムを用いた結果、
図22(C)に示すX線写真において、第1の端子列と第2の端子列との間に半田残りが観察され、また、端子幅よりも大きいブリッジ発生のある半田接合部が観察された。
【0167】
図23(A1)は、実施例19として、レセプタクルコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図23(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図23(B)は、レセプタクルコネクタ用配線基板上にレセプタクルコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図23(C)は、実装後のレセプタクルコネクタ構造体を示すX線写真である。
【0168】
図23(A1)~
図23(C)に示すように、実施例19では、レセプタクルコネクタの長手方向の両端を含む矩形の中心に、第1の端子列と第2の端子列との距離よりも大きい幅を有し、レセプタクルコネクタの端子列部の長さを有する矩形の空隙部を設けた異方性導電フィルムを仮貼りし、レセプタクルコネクタを実装させた。
【0169】
図23(A1)及び
図23(A2)に示すように、第1の端子列と第2の端子列との間に空隙がある異方性導電フィルムを用いた結果、比較例10に比べて半田残りが飛躍的に改善され、
図23(C)に示すX線写真において、ほとんど半田残りが観察されなかった。
【0170】
図24(A1)は、実施例20として、レセプタクルコネクタ用配線基板に対して所定形状の異方性導電フィルムを仮貼りした状態を示す写真であり、
図24(A2)は、異方性導電フィルムの形状を模式的に示す平面図であり、
図24(B)は、レセプタクルコネクタ用配線基板上にレセプタクルコネクタをリフロー実装した状態を示す写真であり、
図24(C)は、実装後のレセプタクルコネクタ構造体を示すX線写真である。
【0171】
図24(A1)~
図24(C)に示すように、実施例20では、第1の端子列に対応する略矩形の第1形状部201と、第1形状部201の長手方向の一端と連続させ、レセプタクルコネクタの長手方向の一端を接着させる第2形状部202と、第1形状部201の長手方向の他端と連続させ、レセプタクルコネクタの長手方向の他端を接着させる第3形状部203とを有する第1の異方性導電フィルムを仮貼りし、また、第2の端子列に対応する略矩形の第4形状部204と、第4形状部204の長手方向の一端と連続させ、レセプタクルコネクタの長手方向の一端を接着させる第5形状部205と、第4形状部204の他端と連続させ、レセプタクルコネクタの長手方向の他端を接着させる第6形状部206とを有する第2の異方性導電フィルムを仮貼りし、レセプタクルコネクタを実装させた。第1の異方性導電フィルム及び第2の異方性導電フィルムを仮貼りした状態において、第1形状部201と第4形状部204との距離は、第2形状部202と第5形状部205との間の距離及び第3形状部203と第6形状部206との間の距離よりも大きい。
【0172】
図24(A1)及び
図24(A2)に示すように、レセプタクルコネクタの長手方向の両端を接着させる形状の第1の異方性導電フィルム及び第2の異方性導電フィルムを用い、第1の異方性導電フィルムと第2の異方性導電フィルムとの間に空隙を設けた結果、
図24(C)に示すX線写真において、ほとんど半田残りが観察されず、特に、レセプタクルコネクタの長手方向の両端部における半田残りを改善することができた。
10 配線基板、11 第1の端子列、11a 端子、12 第2の端子列、12a 端子、20 半田粒子、 21 第1の半田接続フィルム、22 第2の半田接続フィルム、 30 表面実装部品、31 第1の端子列、32 第2の端子列、40 バインダー、41 半田、 50 配線基板、51 第1の端子列、51a~51d 端子、52 第2の端子列、52a~52d 端子、53 メタルマスク、54 第1の開口部、55 第2の開口部、556 第1の半田ペーストフィルム、57 第2の半田ペーストフィルム、58 メタルマスク、59 開口部、60 半田ペーストフィルム、61 メタルマスク、62a~62d 開口部、63a~63d 開口部、64a~64d 半田ペーストフィルム、65a~65d 半田ペーストフィルム 70 レセプタクル、71A,71B レセプタクル端子、80 プラグ、81A,81B プラグ端子、82A,82B 接続ピン、83 絶縁樹脂、90 配線基板、91A,91B 基板端子、100 接着層、101 半田、102 バインダー硬化物