(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169314
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】塗布容器およびレフィルユニット
(51)【国際特許分類】
A45D 40/00 20060101AFI20241128BHJP
A45D 40/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A45D40/00 M
A45D40/04 A
A45D40/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065443
(22)【出願日】2024-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2023085907
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】久我 渉
(57)【要約】
【課題】レフィルの形状を簡易にできるとともに、レフィルの着脱を容易に行うことができる塗布容器を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る塗布容器1は、レフィル10を保持する保持部材5と、内側筒状部材4と、内側筒状部材の一部を収容する外側筒状部材3とを備える。保持部材5は、内側筒状部材4の径方向に移動可能とされるとともに、径方向の内側に移動したときにレフィル10を保持する複数の保持部9を有する。複数の保持部9は、内側筒状部材4の移動に伴って径方向に移動する。複数の保持部9は、内側筒状部材4の周方向に沿って並んでいる。複数の保持部9は、径方向の外側に移動したときに複数の保持部9の間に形成された空間Sにレフィル10を通し、径方向の内側に移動したときに空間Sに通されたレフィル10を保持する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画材を有するレフィルを保持する保持部材と、
前記保持部材を収容する内側筒状部材と、
前記内側筒状部材の一部を収容するとともに、前記内側筒状部材を前記内側筒状部材の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って移動可能に保持する外側筒状部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記内側筒状部材の径方向に移動可能とされるとともに、前記径方向の内側に移動したときに前記レフィルを保持する複数の保持部を有し、
複数の前記保持部は、前記内側筒状部材の移動に伴って前記径方向に移動し、
複数の前記保持部は、前記内側筒状部材の周方向に沿って並んでおり、
複数の前記保持部は、
前記径方向の外側に移動したときに複数の前記保持部の間に形成された空間に前記レフィルを通し、
前記径方向の内側に移動したときに前記空間に通された前記レフィルを保持する、
塗布容器。
【請求項2】
前記保持部材は、筒状を呈しており、
前記保持部材は、前記保持部材の内面に形成された螺合突起を有し、
前記保持部材の内部に収容されるとともに前記螺合突起に螺合結合する雄螺子を有し、前記外側筒状部材と同期回転可能とされたスクリュー部を備え、
前記内側筒状部材は、前記外側筒状部材に相対回転可能とされるとともに、前記保持部材と同期回転可能とされており、
前記内側筒状部材が前記外側筒状部材に対して相対回転すると、前記螺合突起および前記雄螺子の螺合作用が働いて前記スクリュー部に対して前記保持部材および前記描画材が前記軸線方向に沿って移動する、
請求項1に記載の塗布容器。
【請求項3】
複数の前記保持部は、
前記内側筒状部材が前記外側筒状部材に対して前記軸線方向の一方側に移動したときに、前記径方向の外側に移動し、
前記内側筒状部材が前記外側筒状部材に対して前記軸線方向の他方側に移動したときに、前記径方向の内側に移動する、
請求項1または請求項2に記載の塗布容器。
【請求項4】
前記外側筒状部材の内部に設けられるとともに、前記内側筒状部材を前記軸線方向の他方側に付勢するバネ部材を備える、
請求項3に記載の塗布容器。
【請求項5】
前記外側筒状部材は、
前記保持部材および前記内側筒状部材を収容する有底筒状の尾栓と、
前記尾栓を収容する外筒と、
を含む、
請求項1または請求項2に記載の塗布容器。
【請求項6】
請求項1に記載の前記レフィルと、
前記塗布容器に装着される前の前記レフィルを収容するレフィルキャップと、
を備えたレフィルユニットであって、
前記レフィルは、前記描画材を保持する保持筒を有し、
前記レフィルキャップは、前記塗布容器が進入可能な筒孔において前記保持筒を保持するとともに前記レフィルキャップの径方向に弾性変形可能とされた弾性部を有し、
前記塗布容器に前記レフィルキャップが取り付けられて前記筒孔に前記塗布容器が進入するときに、前記弾性部が前記径方向の外側に弾性変形することにより、前記保持筒に対する前記弾性部の保持が解除される、
レフィルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、描画材を有するレフィルを保持する塗布容器、およびレフィルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器本体に収容される化粧料を交換可能なレフィル中皿が記載されている。化粧料を保持するレフィル中皿は、筒状を呈する容器本体に対して着脱可能とされている。レフィル中皿は、径方向に弾性変形可能とされた係合片と、係合片とは異なる高さ位置に設けられた第1係合突起および第2係合突起とを備える。第1係合突起は、第2係合突起よりも上方に位置する。
【0003】
レフィル中皿は、第2係合突起が容器本体の繰出し機構部の一部に連結されることによって容器本体に収容および係合される。このとき、第1係合突起は外方に露出している。第1係合突起が外方からの力を受けると、係合片および第2係合突起が内側に変形することによって、容器本体に対するレフィル中皿の係合が解除される。
【0004】
容器本体からレフィル中皿を外すときには、レフィル中皿抜き取り用具が用いられる。レフィル中皿抜き取り用具は、内側面に押圧突起が形成された筒状部材である。レフィル中皿抜き取り用具は、レフィル中皿に外挿される。レフィル中皿抜き取り用具がレフィル中皿に外挿されると、係合片が内側に徐々に変形し、レフィル中皿抜き取り用具が下降する。レフィル中皿抜き取り用具が下降すると、押圧突起が第1係合突起を下方に乗り越えて第1係合突起に押圧突起が係合する。この状態でレフィル中皿抜き取り用具が引き上げられると、レフィル中皿抜き取り用具とともにレフィル中皿が容器本体から抜き取られる。
【0005】
レフィル中皿が容器本体に取り付けられるときには、レフィル中皿取り付け用具が用いられる。レフィル中皿取り付け用具は、先端部の内側円周に係合リブが形成された筒状部材である。レフィル中皿取り付け用具は、係合リブがレフィル中皿の外周に形成された係合溝と係合することによって、レフィル中皿を保持する。レフィル中皿取り付け用具の先端部でレフィル中皿が容器本体に押し込まれると、第2係合突起が容器本体に係合してレフィル中皿が容器本体に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したレフィル中皿は、係合片、第1係合突起、第2係合突起および係合溝を有する。よって、レフィル中皿の形状が複雑とされているので、レフィル中皿の成形において複雑な形状の金型が必要となりうる。したがって、成形を容易に行えない場合があるので、形状を簡易にすることが求められる。
【0008】
前述したレフィル中皿は、レフィル中皿抜き取り用具によって容器本体から抜き取られ、レフィル中皿取り付け用具によって容器本体に取り付けられる。このように、レフィル中皿を抜き取るときに用いられる部品がレフィル中皿を取り付けるときに用いられる部品と異なっているので、着脱を容易に行えないという問題が生じうる。
【0009】
本開示は、レフィルの形状を簡易にできるとともに、レフィルの着脱を容易に行うことができる塗布容器、およびレフィルユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る塗布容器は、(1)描画材を有するレフィルを保持する保持部材と、保持部材を収容する内側筒状部材と、内側筒状部材の一部を収容するとともに、内側筒状部材を内側筒状部材の軸線が延びる方向である軸線方向に沿って移動可能に保持する外側筒状部材と、を備える。保持部材は、内側筒状部材の径方向に移動可能とされるとともに、径方向の内側に移動したときにレフィルを保持する複数の保持部を有する。複数の保持部は、内側筒状部材の移動に伴って径方向に移動する。複数の保持部は、内側筒状部材の周方向に沿って並んでいる。複数の保持部は、径方向の外側に移動したときに複数の保持部の間に形成された空間にレフィルを通し、径方向の内側に移動したときに当該空間に通されたレフィルを保持する。
【0011】
この塗布容器は、外側筒状部材に対して内側筒状部材が移動することによって複数の保持部が開閉し、複数の保持部が径方向の外側に移動して開いたときにレフィルを着脱できるので、レフィルの着脱を容易に行うことができる。レフィルは、複数の保持部が閉じた状態で保持されるので、レフィルに係合片、係合突起および係合溝等を形成する必要はない。したがって、レフィルの形状を簡易にできるので、レフィルの成形を容易に行うことができる。
【0012】
(2)上記(1)において、保持部材は、筒状を呈していてもよい。保持部材は、保持部材の内面に形成された螺合突起を有してもよい。塗布容器は、保持部材の内部に収容されるとともに螺合突起に螺合結合する雄螺子を有し、外側筒状部材と同期回転可能とされたスクリュー部を備えてもよい。内側筒状部材は、外側筒状部材に相対回転可能とされるとともに、保持部材と同期回転可能とされていてもよい。内側筒状部材が外側筒状部材に対して相対回転すると、螺合突起および雄螺子の螺合作用が働いてスクリュー部に対して保持部材および描画材が軸線方向に沿って移動してもよい。この場合、外側筒状部材に対する内側筒状部材の相対回転によって保持部材および描画材が軸線方向に沿って移動する。よって、描画材の繰り出しおよび繰り戻しを行うことができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)において、複数の保持部は、内側筒状部材が外側筒状部材に対して軸線方向の一方側に移動したときに、径方向の外側に移動してもよく、内側筒状部材が外側筒状部材に対して軸線方向の他方側に移動したときに、径方向の内側に移動してもよい。この場合、内側筒状部材が軸線方向の一方側に移動したときに、複数の保持部を開かせて、複数の保持部の間に形成された空間にレフィルを通すことができる。そして、内側筒状部材が軸線方向の他方側に移動したときに、複数の保持部を閉じてレフィルを保持することができる。よって、内側筒状部材の軸線方向への移動に伴ってレフィルの着脱を容易に行うことができる。
【0014】
(4)上記(3)において、塗布容器は、外側筒状部材の内部に設けられるとともに、内側筒状部材を軸線方向の他方側に付勢するバネ部材を備えてもよい。この場合、内側筒状部材はバネ部材によって軸線方向の他方側に付勢されるので、外力が付与されない状態では複数の保持部は径方向の内側に移動している。例えば、手で内側筒状部材を軸線方向の一方側に移動させた状態で複数の保持部の間に形成された空間にレフィルを通し、その状態で手を離すと内側筒状部材が軸線方向の他方側に移動してレフィルが保持される。したがって、塗布容器に対するレフィルの装着を一層容易に行うことができる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、外側筒状部材は、保持部材および内側筒状部材を収容する有底筒状の尾栓と、尾栓を収容する外筒と、を含んでもよい。この場合、外側筒状部材が尾栓と外筒によって構成されていることにより、外側筒状部材の成形および組み付けを容易に行うことができる。
【0016】
(6)本開示に係るレフィルユニットは、前述したレフィルと、塗布容器に装着される前のレフィルを収容するレフィルキャップと、を備えたレフィルユニットである。レフィルは、描画材を保持する保持筒を有する。レフィルキャップは、塗布容器が進入可能な筒孔において保持筒を保持するとともにレフィルキャップの径方向に弾性変形可能とされた弾性部を有する。塗布容器にレフィルキャップが取り付けられて筒孔に塗布容器が進入するときに、弾性部が径方向の外側に弾性変形することにより、保持筒に対する弾性部の保持が解除される。
【0017】
このレフィルユニットは塗布容器に装着される前のレフィルを収容するレフィルキャップを有し、レフィルは描画材を保持する保持筒を有する。レフィルキャップは、塗布容器が進入可能な筒孔を有し、筒孔において保持筒を保持するとともに径方向に弾性変形可能とされた弾性部を有する。塗布容器にレフィルキャップが取り付けられ、レフィルキャップの筒孔に塗布容器が進入するときに、弾性部が径方向の外側に弾性変形して保持筒に対する保持が解除される。レフィルキャップの弾性部がレフィルの保持筒を保持することにより、レフィルキャップにレフィルを固定できるので、レフィルキャップを塞ぐ蓋等を不要にでき、部品点数の増加を抑制できる。さらに、塗布容器にレフィルキャップを取り付けてレフィルキャップの筒孔に塗布容器を進入させることにより、弾性部が保持筒に対する保持を解除して塗布容器の空間にレフィルが通される。したがって、塗布容器に対するレフィルの装着を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、レフィルの形状を簡易にできるとともに、レフィルの着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)は、実施形態に係る塗布容器を示す側面図である。
図1(b)は、
図1(a)の塗布容器からキャップを外した状態を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2の塗布容器からキャップが外されて描画材が繰り出された状態を示す断面図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態に係る塗布容器の外筒を示す側面図である。
図4(b)は、
図4(a)のB-B線断面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係る塗布容器の尾栓を示す側面図である。
図5(b)は、
図5(a)のC-C線断面図である。
【
図6】
図6(a)は、実施形態に係る塗布容器のスクリュー部を示す側面図である。
図6(b)は、
図6(a)のD-D線断面図である。
【
図7】
図7(a)は、実施形態に係る塗布容器の保持部材を示す側面図である。
図7(b)は、
図7(a)のE-E線断面図である。
【
図8】
図8(a)は、実施形態に係る塗布容器の内側筒状部材を示す側面図である。
図8(b)は、
図8(a)のF-F線断面図である。
【
図9】
図9(a)は、実施形態に係るレフィルを示す側面図である。
図9(b)は、
図9(a)のG-G線断面図である。
【
図10】
図10(a)および
図10(b)は、実施形態に係る塗布容器に対するレフィルの着脱を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る塗布容器にレフィルが取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図12】
図12は、参考例に係るレフィルユニットを示す断面図である。
【
図13】
図13(a)は、実施形態に係るレフィルユニットを示す側面図である。
図13(b)は、
図13(a)のH-H線断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係るレフィルユニットのレフィルを塗布容器に装着する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る塗布容器およびレフィルユニットの実施形態について説明する。図面の説明において同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化または誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0021】
図1(a)は、本実施形態に係る塗布容器1を示す側面図である。
図1(b)は、塗布容器1からキャップ2が外された状態を示す側面図である。例えば、塗布容器1は円柱状を呈する。塗布容器1は、外側筒状部材3と、外側筒状部材3に着脱されるキャップ2とを有する。
【0022】
塗布容器1では、キャップ2を含め、一部の部品が筒状とされており、例えば、部品が組み立てられた状態において筒状の各部品の軸線Lが延びる方向が一致する。以下では、この軸線Lが延びる方向を軸線方向Dとする。例えば、軸線方向Dは、塗布容器1の長手方向と一致する。
【0023】
本実施形態では、外側筒状部材3から見てキャップ2が設けられる方向を前、前側または前方と称し、キャップ2から見て外側筒状部材3が設けられる方向を後、後側または後方と称することがある。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜のためのものであり、部品の配置位置または方向等を限定するものではない。
【0024】
図2は、
図1(a)のA-A線断面図である。
図1(a)、
図1(b)および
図2に示されるように、塗布容器1は、外側筒状部材3の内部において軸線方向Dに沿って移動可能に保持される内側筒状部材4と、内側筒状部材4に収容されている保持部材5と、内側筒状部材4を収容するスリーブ15とを有する。
【0025】
外側筒状部材3は、内側筒状部材4の一部を収容する。内側筒状部材4は、外側筒状部材3から突出する突出部4bと、外側筒状部材3の内部に収容されている収容部4cとを有する。例えば、保持部材5は、筒状を呈する。保持部材5は、描画材Mを有するレフィル10を保持する。
【0026】
「描画材」は、例えば、塗布対象である被塗布部に塗布される塗布体を示している。塗布体は、例えば、口紅等の化粧料、パフ、スポンジ、チップ等の含浸体、ブラシ等の化粧料塗布具、または、筆などが用いられた文房具等であってもよい。本実施形態では、描画材Mが化粧料である例について説明する。
【0027】
「化粧料」は、例えば、口紅、リップスティック、リップライナー、リップグロス、アイライナー、アイブロウ、アイシャドウ、コンシーラー、または美容スティックである。「化粧料」は、柔軟性材料(例えば、半固形状、軟固形状、ゼリー状、ムース状、またはこれらを含む練り物等)を含む棒状物であってもよい。一例として、描画材Mは棒状化粧料である。「レフィル」は、交換可能な部品を示している。実施形態において、「レフィル」は、塗布容器1に対して着脱可能とされている。
【0028】
例えば、塗布容器1では、キャップ2が外された状態において、描画材Mの繰り出し、および描画材Mの繰り戻しが可能とされている。
図3は、キャップ2が外されて描画材Mが繰り出された状態を示す塗布容器1の断面図である。
図2および
図3に示されるように、保持部材5は、保持部材5の内面に形成された螺合突起5bを有する。
【0029】
塗布容器1は、外側筒状部材3と同期回転可能とされたスクリュー部6を有する。スクリュー部6は、保持部材5の内部に収容されている。スクリュー部6は、保持部材5の螺合突起5bに螺合結合する雄螺子6bを有する。内側筒状部材4は、外側筒状部材3に相対回転可能とされている。
【0030】
内側筒状部材4は、保持部材5と同期回転可能とされている。内側筒状部材4が外側筒状部材3に対して相対回転すると、外側筒状部材3と同期回転可能とされたスクリュー部6に対して保持部材5が相対回転することによって螺合突起5bおよび雄螺子6bの螺合作用が働く。螺合突起5bおよび雄螺子6bの螺合作用が働くと、スクリュー部6に対して保持部材5および描画材Mが軸線方向Dに沿って移動する。
【0031】
例えば、内側筒状部材4が外側筒状部材3に対して一方向に相対回転すると、螺合突起5bおよび雄螺子6bの螺合作用が働いてスクリュー部6に対して保持部材5および描画材Mが前方に移動する。これにより、描画材Mが前方に繰り出される。また、内側筒状部材4が外側筒状部材3に対して上記一方向とは反対方向に相対回転すると、螺合突起5bおよび雄螺子6bの螺合作用が働いてスクリュー部6に対して保持部材5および描画材Mが後方に移動する。これにより、描画材Mが後方に繰り戻される。このように、塗布容器1は、外側筒状部材3に対する内側筒状部材4の相対回転によって、描画材Mの繰り出し、および繰り戻しを行う繰り出し繰り戻し機構を有する。
【0032】
本実施形態において、外側筒状部材3は、保持部材5および内側筒状部材4を収容する尾栓7と、尾栓7を収容する外筒8とによって構成されている。
図4(a)は、外筒8を示す側面図である。
図4(b)は、
図4(a)のB-B線断面図である。
図2、
図3、
図4(a)および
図4(b)に示されるように、外筒8は、段付き円筒状を呈する。
【0033】
例えば、外筒8は、ポリプロピレン(PP)によって構成されている。例えば、外筒8は円筒状を呈する。外筒8は大径部8bと小径部8cとを有し、大径部8bおよび小径部8cは軸線方向Dに沿って並んでいる。小径部8cの外径は大径部8bの外径より小さく、小径部8cの内径は大径部8bの内径より小さい。小径部8cは大径部8bの前側に位置する。外筒8は、大径部8bと小径部8cとの間に位置する段差部8jを有する。
【0034】
小径部8cは、外筒8の径方向の外側(以下では、径方向外側と称する)に突出するとともにキャップ2が係合する凸部8dを有する。例えば、キャップ2は、PPによって構成されている。キャップ2は、有底筒状(一例として有底円筒状)を呈する。キャップ2は、底部2bと、底部2bから軸線方向Dに沿って延びる側面部2cとを有する。
【0035】
側面部2cの内面には、キャップ2の周方向に沿って延びるとともに外筒8の凸部8dが係合する凹部2dが形成されている。「周方向」とは、塗布容器1の各部品が軸線Lを中心として回転する方向を示している。周方向は、回転方向とも称される。「径方向」は、周方向および軸線方向Dの双方に直交する方向である。凸部8dが凹部2dに係合することによって外筒8にキャップ2が装着される。
【0036】
大径部8bは、大径部8bの内面8fに、環状凹部8gと、外筒8の周方向に沿って並ぶとともに軸線方向Dに沿って延在する複数の凸部8hとを有する。複数の凸部8hは、環状凹部8gの後方に位置する。例えば、環状凹部8gに尾栓7が軸線方向Dに係合するとともに、凸部8hに尾栓7が回転方向に係合している。よって、外筒8および尾栓7は同期回転可能に係合している。
【0037】
図5(a)は、尾栓7を示す側面図である。
図5(b)は、
図5(a)のC-C線断面図である。
図2、
図5(a)および
図5(b)に示されるように、尾栓7は、有底筒状とされた筒状部7bと、筒状部7bから軸線方向Dに沿って突出する棒状部7cとを有する。筒状部7bは、例えば、有底円筒状を呈する。例えば、尾栓7は、PPによって構成されている。
【0038】
筒状部7bは、底部7dと、底部7dから軸線方向Dに沿って延びる側面部7fとを有する。尾栓7は、底部7dにおいて尾栓7の径方向外側に突出する鍔部7gを有する。尾栓7は、尾栓7の外面7hに、環状凸部7jと、尾栓7の周方向に沿って並ぶとともに軸線方向Dに沿って延在する複数の凸部7kとを有する。複数の凸部7kは、鍔部7gから前方に延在している。環状凸部7jは、複数の凸部7kの前方に位置する。環状凸部7jは、外筒8の環状凹部8gに軸線方向Dに係合し、凸部7kは外筒8の凸部8h(
図4(b)参照)に回転方向に係合している。
【0039】
尾栓7は、筒状部7bの鍔部7gとは反対側の端部に軸線方向Dに窪む凹部7mを有する。凹部7mは、筒状部7bの前端から後方に窪んでいる。凹部7mは、例えば、V字状を呈する。尾栓7は複数の凹部7mを有し、複数の凹部7mは尾栓7の周方向に沿って並んでいる。なお、尾栓7は、外筒8と係合可能な環状凸部7jに代えて、外筒8と螺合可能な螺子部を有していてもよい。この場合、塗布容器1を廃棄するときに、塗布容器1の部品の分解を容易に行うことができる。
【0040】
棒状部7cは、尾栓7の底部7dから筒状部7bの内部空間7pを通って筒状部7bから突出している。例えば、棒状部7cは、径方向外側に突出するとともに軸線方向Dに沿って延在する凸部7qを有する。凸部7qは、スクリュー部6に回転方向に係合している。よって、尾栓7およびスクリュー部6は同期回転可能に係合している。
【0041】
図6(a)は、スクリュー部6を示す側面図である。
図6(b)は、
図6(a)のD-D線断面図である。
図2、
図6(a)および
図6(b)に示されるように、スクリュー部6は、軸線方向Dに直交する方向に延在するとともに軸線方向Dに厚みを有するベース部6cと、ベース部6cから軸線方向Dに沿って突出する筒状部6dとを有する。例えば、スクリュー部6は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)によって構成されている。
【0042】
ベース部6cは、筒状部6dの後端において筒状部6dから拡径している。例えば、ベース部6cは板状を呈する。スクリュー部6の雄螺子6bは、筒状部6dの外面に形成されている。例えば、雄螺子6bは、筒状部6dの表面において螺旋状を呈する。スクリュー部6は、ベース部6cとは反対の端面6fから軸線方向Dに沿って延びるスリット6gと、端面6fにおいてスクリュー部6の径方向外側に突出する凸部6hとを有する。
【0043】
スクリュー部6は、筒状部6dの内部に筒孔6jを有する。筒孔6jは、ベース部6cおよび筒状部6dの内部に位置する第1内面6kと、筒状部6dおよび凸部6hの内部に位置する第2内面6mとによって画成されている。第1内面6kは第2内面6mの後方に位置しており、例えば、第1内面6kの内径は第2内面6mの内径よりも小さい。
【0044】
スクリュー部6は、筒孔6jにおいてスクリュー部6の径方向内側に突出するとともに軸線方向Dに沿って延在する凸部6pを有する。凸部6pは、第1内面6kに形成されている。筒孔6jには、尾栓7の棒状部7cが挿入される。このとき、凸部6pに棒状部7cの凸部7q(
図5(a)参照)が回転方向に係合する。
【0045】
前述したように、雄螺子6bには、保持部材5の螺合突起5bが螺合結合する。
図7(a)は、保持部材5を示す側面図である。
図7(b)は、
図7(a)のE-E線断面図である。
図2、
図7(a)および
図7(b)に示されるように、保持部材5は、筒状部5cと、筒状部5cの軸線方向Dの端部に位置する複数の保持部9とを有する。例えば、保持部材5は、PBTによって構成されている。
【0046】
保持部9は、径方向に移動可能とされている。複数の保持部9は、径方向の内側に移動したときにレフィル10を保持する。複数の保持部9は、保持部材5の周方向に沿って並んでいる。一例として、保持部9の数は4である。例えば、保持部9は、径方向に厚みを有する板状を呈する。保持部9は、筒状部5cの前端から前方に突出している。筒状部5cは筒状部5cの外面5fにおいて保持部材5の径方向内側に窪む環状凹部5hを有し、環状凹部5hから複数の保持部9が軸線方向Dに沿って突出している。
【0047】
例えば、保持部9は、径方向の外側に突出する突出部9bと、薄板部9cと、薄板部9cよりも径方向の厚さが厚い厚板部9dとを有する。保持部9は、外面9hに、軸線方向Dに沿って延びる溝9jを有する。溝9jは、厚板部9dに形成されている。例えば、保持部9の溝9jが形成された部分の厚さは、保持部9の薄板部9cの厚さと同一である。
【0048】
保持部9は、内面9fに凸部9gを有する。凸部9gは、保持部9の周方向に沿って延在している。例えば、凸部9gは、保持部9の周方向の一端から保持部9の周方向の他端まで延在している。凸部9gは、保持部9が径方向内側に移動したときにレフィル10に軸線方向Dに係合する。
【0049】
筒状部5cは、スクリュー部6が挿入される筒孔5dを有する。螺合突起5bは、筒孔5dにおいて保持部材5の径方向内側に突出している。螺合突起5bは、保持部材5の軸線方向Dの中央から見て保持部9とは反対側に位置する。筒状部5cは、筒状部5cの外面5fから径方向外側に突出するとともに軸線方向Dに沿って延在する凸部5gを有する。保持部材5は複数の凸部5gを有し、複数の凸部5gは保持部材5の周方向に沿って並んでいる。凸部5gは、内側筒状部材4に回転方向に係合している。よって、保持部材5および内側筒状部材4は同期回転可能に係合している。
【0050】
図8(a)は、内側筒状部材4を示す側面図である。
図8(b)は、
図8(a)のF-F線断面図である。
図2、
図3、
図8(a)および
図8(b)に示されるように、内側筒状部材4は、円筒状を呈する。例えば、内側筒状部材4は、PBTによって構成されている。内側筒状部材4は、内面4gに、径方向外側に窪む凹部4hを有する。凹部4hは軸線方向Dに沿って延在している。凹部4hには、保持部材5の凸部5g(
図7(a)参照)が回転方向に係合する。よって、内側筒状部材4および保持部材5は、同期回転可能に係合している。
【0051】
内側筒状部材4は、径方向外側に突出する鍔部4dを有する。鍔部4dは、後方に突出する突部4fを有する。鍔部4dは複数の突部4fを有し、複数の突部4fは内側筒状部材4の周方向に沿って並んでいる。内側筒状部材4は、外側筒状部材3の内部において軸線方向Dに沿って移動可能とされている。内側筒状部材4が軸線方向Dに沿って移動するとき、鍔部4dは外筒8の段差部8jと尾栓7の凹部7mとの間を移動する。
【0052】
内側筒状部材4は、内面4gに、保持部9の溝9j(
図7(a)参照)に入り込む凸部4kを有する。凸部4kは、径方向内側に突出している。例えば、凸部4kは、内側筒状部材4の前端から後方に延在している。内側筒状部材4は複数の凸部4kを有し、複数の凸部4kは内側筒状部材4の周方向に沿って並んでいる。
【0053】
保持部材5に対して内側筒状部材4が前方に移動すると、凸部4kが溝9jにおいて前進して保持部9が径方向内側に移動する。このとき、複数の保持部9が径方向内側に閉じられる。保持部材5に対して内側筒状部材4が後方に移動すると、凸部4kが溝9jにおいて後方に移動して保持部9が径方向外側に移動する。より具体的には、凸部4kが溝9jにおいて後方に移動して突出部9bを付勢することにより、保持部9が径方向外側に移動する。このとき、複数の保持部9が径方向外側に開かれる。
【0054】
塗布容器1は、尾栓7の内部に設けられるとともに内側筒状部材4を付勢するバネ部材14を有する。例えば、バネ部材14は、SUS(Steel Use Stainless)によって構成されている。バネ部材14は、例えば、圧縮コイルばねである。バネ部材14は、スクリュー部6のベース部6cと内側筒状部材4との間に介在している。バネ部材14は、内側筒状部材4を前方に付勢している。
【0055】
例えば、塗布容器1は、内側筒状部材4を収容するスリーブ15を有する。スリーブ15は、筒状を呈する。例えば、スリーブ15は金属によって構成されている。スリーブ15は、内側筒状部材4と外筒8との間に介在する。スリーブ15は、内側筒状部材4における外筒8から突出する部分を保護するために設けられる。スリーブ15は、スリーブ15の軸線方向Dの一端にフランジ部15bを有し、フランジ部15bは内側筒状部材4の鍔部4dに接触している。スリーブ15は、内側筒状部材4に固定されており、内側筒状部材4とともに移動する。なお、スリーブ15は、内側筒状部材4に固定されていなくてもよく、スリーブ15の径方向内側に内側筒状部材4に対して径方向に係合可能な突起を有していてもよい。この場合、塗布容器1を廃棄するときに、塗布容器1の部品の分解を容易に行うことができる。
【0056】
次に、塗布容器1に着脱されるレフィル10について説明する。
図9(a)は、レフィル10を示す側面図である。
図9(b)は、
図9(a)のG-G線断面図である。
図9(a)および
図9(b)に示されるように、レフィル10は、塗布容器1に装着される前にはレフィルキャップ11に収容されている。
【0057】
レフィルキャップ11は、有底筒状を呈する。例えば、レフィルキャップ11は、後方に向かうにしたがって徐々に拡径している。しかしながら、レフィルキャップ11の形状は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。レフィルキャップ11は、レフィル10を収容する収容空間11bを有する。
【0058】
収容空間11bには、レフィルキャップ11の径方向内側に突出するとともに軸線方向Dに沿って延在するリブ11cが形成されている。レフィルキャップ11は、レフィル10が通る開口11fを有する。開口11fの内径は、スリーブ15の外径と略同一である。したがって、開口11fにスリーブ15の外面を嵌め込むことが可能とされている。
【0059】
レフィル10は、例えば、描画材Mと、描画材Mを保持する保持筒12とを備える。保持筒12は、突出部12bと、筒状部12cとを有する。突出部12bは、筒状部12cから離隔するにしたがって縮径する筒状を呈する。
【0060】
保持筒12は、化粧料である描画材Mが保持筒12の後方から充填されることで、突出部12bによって描画材Mを保持する。例えば、保持筒12は、保持筒12の外面12dに環状凹部12fを有する。レフィルキャップ11の内部において、保持筒12に保持された描画材Mとレフィルキャップ11の内面11dとの間には隙間が形成されている。すなわち、レフィルキャップ11の内部において、保持筒12に保持された描画材Mは内面11dに接触していない。
【0061】
次に、塗布容器1にレフィル10を装着する方法について
図10(a)、
図10(b)および
図11を参照しながら説明する。
図10(a)および
図10(b)では、より分かりやすくするためにレフィルキャップ11の内部の構成を実線で描いている。まず、
図10(a)に示されるように、レフィル10が収容されているレフィルキャップ11の開口11fを上に向け、開口11fに塗布容器1のスリーブ15を上から挿入する。その後、
図10(b)に示されるように、レフィルキャップ11を上に向けるとともに塗布容器1の外側筒状部材3(外筒8)を下に向ける。このとき、レフィルキャップ11の内部においてレフィル10が下方に移動する。そして、外側筒状部材3に対してスリーブ15(内側筒状部材4)を下方に移動させる。
【0062】
図10(b)および
図11に示されるように、外側筒状部材3に対して指等で内側筒状部材4を下方(軸線方向Dの一方側、
図11では右側)に移動させると、複数の保持部9が径方向外側に移動し、複数の保持部9の間に形成された空間Sにレフィル10が通される。そして、指等を内側筒状部材4から放すとバネ部材14の付勢力によって内側筒状部材4が上方(軸線方向Dの他方側、
図11では左側)に移動する。
【0063】
内側筒状部材4が上方に移動すると、複数の保持部9が径方向内側に移動し、空間Sに通されたレフィル10を複数の保持部9が保持する。このとき、保持部9の凸部9gが保持筒12の環状凹部12fに入り込むことによって、複数の保持部9にレフィル10が軸線方向Dに係合する。以上の工程を経て塗布容器1に対するレフィル10の装着が完了する。
【0064】
塗布容器1からレフィル10を外す方法について説明する。外側筒状部材3に対して指等で内側筒状部材4を下方(軸線方向Dの一方側、
図11では右側)に移動させて複数の保持部9を開いた状態とする。この状態で空間Sからレフィル10を出すことによって、塗布容器1からレフィル10を外すことが可能となる。以上、本実施形態に係る塗布容器1では、内側筒状部材4を軸線方向Dに沿って移動させることにより、レフィル10の着脱を容易に行うことができる。
【0065】
次に、本実施形態に係る塗布容器1から得られる作用効果についてより詳細に説明する。塗布容器1は、保持部材5と、保持部材5を収容する内側筒状部材4と、内側筒状部材4の一部を収容する外側筒状部材3とを有し、保持部材5は描画材Mを有するレフィル10を保持する複数の保持部9を有する。内側筒状部材4は軸線方向Dに沿って移動可能とされており、複数の保持部9は内側筒状部材4の移動に伴って径方向に移動する。複数の保持部9が径方向の外側に移動したときに複数の保持部9の間に形成された空間Sにレフィル10が通され、複数の保持部9が径方向の内側に移動したときにレフィル10が保持される。したがって、外側筒状部材3に対して内側筒状部材4が移動することによって複数の保持部9が開閉し、複数の保持部9が径方向の外側に移動して開いたときにレフィル10を着脱できるので、レフィル10の着脱を容易に行うことができる。レフィル10は、複数の保持部9が閉じた状態で保持されるので、レフィル10に係合片および係合突起等を形成する必要はない。したがって、レフィル10の形状を簡易にできるので、レフィル10の成形を容易に行うことができる。
【0066】
本実施形態において、保持部材5は、筒状を呈する。保持部材5は、保持部材5の内面に形成された螺合突起5bを有する。塗布容器1は、保持部材5の内部に収容されるとともに螺合突起5bに螺合結合する雄螺子6bを有し、外側筒状部材3と同期回転可能とされたスクリュー部6を備える。内側筒状部材4は、外側筒状部材3に相対回転可能とされるとともに、保持部材5と同期回転可能とされている。内側筒状部材4が外側筒状部材3に対して相対回転すると、螺合突起5bおよび雄螺子6bの螺合作用が働いてスクリュー部6に対して保持部材5および描画材Mが軸線方向Dに沿って移動する。したがって、外側筒状部材3に対する内側筒状部材4の相対回転によって保持部材5および描画材Mが軸線方向Dに沿って移動する。よって、描画材Mの繰り出しおよび繰り戻しを行うことができる。
【0067】
本実施形態において、複数の保持部9は、内側筒状部材4が外側筒状部材3に対して軸線方向Dの一方側に移動したときに、径方向の外側に移動し、内側筒状部材4が外側筒状部材3に対して軸線方向Dの他方側に移動したときに、径方向の内側に移動する。よって、内側筒状部材4が軸線方向Dの一方側に移動したときに、複数の保持部9が開いて、複数の保持部9の間に形成された空間Sにレフィルを通すことができる。そして、内側筒状部材4が軸線方向Dの他方側に移動したときに、複数の保持部9を閉じてレフィル10を保持することができる。よって、内側筒状部材4の軸線方向Dへの移動に伴ってレフィル10の着脱を容易に行うことができる。
【0068】
本実施形態において、塗布容器1は、外側筒状部材3の内部に設けられるとともに、内側筒状部材4を軸線方向Dの他方側に付勢するバネ部材14を備える。この場合、内側筒状部材4はバネ部材14によって軸線方向Dの他方側に付勢されるので、外力が付与されない状態では複数の保持部9は径方向の内側に移動している。例えば、手で内側筒状部材4を軸線方向Dの一方側に移動させた状態で複数の保持部9の間に形成された空間Sにレフィル10を通し、その状態で手を離すと内側筒状部材4が軸線方向Dの他方側に移動してレフィル10が保持される。したがって、塗布容器1に対するレフィル10の装着を一層容易に行うことができる。
【0069】
本実施形態において、外側筒状部材3は、保持部材5および内側筒状部材4を収容する有底筒状の尾栓7と、尾栓7を収容する外筒8と、を含む。したがって、外側筒状部材3が尾栓7と外筒8によって構成されていることにより、外側筒状部材3の成形および組み付けを容易に行うことができる。
【0070】
上記では、描画材Mを保持する保持筒12を有するレフィル10、および塗布容器1に装着される前のレフィル10を収容するレフィルキャップ11について説明した。以下では、レフィルユニットについて説明する。レフィルユニットは、レフィル10と、レフィルキャップ11とは異なるレフィルキャップとを有する。後述するレフィルユニット(レフィル10およびレフィルキャップ)の一部の構成は、前述したレフィル10およびレフィルキャップ11の一部の構成と同一である。よって、以下では、前述したレフィル10およびレフィルキャップ11の説明と重複する説明を適宜省略する。
【0071】
図12は、参考例に係るレフィルユニット50を示す断面図である。
図12に示されるように、レフィルユニット50は、レフィル10と、レフィル10を収容するレフィルキャップ51と、レフィルキャップ51を塞ぐ蓋52とを備える。レフィルキャップ51は、塗布容器1に装着される前のレフィル10を収容する。レフィルキャップ51は、有底筒状を呈する。レフィルキャップ51は、レフィルキャップ51の軸線方向Xに沿って延びる筒状部51bと、筒状部51bの軸線方向Xの一端に位置する底部51cとを有する。レフィルキャップ51は、筒状部51bにおける底部51cとは反対側の端部に位置する開口51hを有する。
【0072】
レフィルキャップ51は、筒状部51bの内部にレフィル10が収容される収容空間51dを有する。前述したように、レフィル10の保持筒12は、描画材Mを保持する突出部12bと、筒状部12cと、保持筒12の外面12dに形成された環状凹部12fとを有する。さらに、保持筒12は、保持筒12において保持筒12の径方向の外側に拡径する拡径部12gと、拡径部12gおよび環状凹部12fの間に位置する段差部12hとを有する。拡径部12gは、突出部12bと段差部12hとの間に形成されている。
【0073】
収容空間51dは、レフィル10の描画材Mが入り込む第1収容空間51fと、レフィル10の保持筒12が入り込む第2収容空間51gとを含む。開口51h、第2収容空間51g、第1収容空間51f、および底部51cは、この順で軸線方向Xに沿って並んでいる。
【0074】
第1収容空間51fはレフィルキャップ51の第1内面51jによって画成されており、第2収容空間51gはレフィルキャップ51の第2内面51kによって画成されている。第1内面51jの内径は、第2内面51kの内径よりも小さい。レフィルキャップ51は、第1内面51jと第2内面51kとの間に段差51pを有する。
【0075】
蓋52は、有底筒状を呈する。蓋52は、蓋52の軸線方向Xの一端に位置する底部52bと、底部52bから軸線方向Xに延びる外筒部52cと、軸線方向Xに沿って見たときに外筒部52cの内側に位置する内筒部52dとを有する。外筒部52cの内径は、レフィルキャップ51の筒状部51bの外径と同程度である。よって、筒状部51bに外筒部52cを装着することが可能である。
【0076】
レフィルキャップ51の内部において、レフィル10の描画材Mが第1収容空間51fに入り込むとともに保持筒12の拡径部12gが段差51pに接触する。レフィルキャップ51に蓋52が装着されるときに、筒状部12cの拡径部12gとは反対側の端部に内筒部52dが接触する。
【0077】
レフィルユニット50において、塗布容器1にレフィル10を装着するときには、レフィルキャップ51から蓋52を外す。その後、レフィルキャップ51の開口51hを上に向けるとともに塗布容器1のスリーブ15を下に向けて(
図10(a)参照)、開口51hに塗布容器1のスリーブ15を上から挿入し、前述したレフィルキャップ11の場合と同様の操作を行う。
【0078】
以上のように構成されたレフィルユニット50では、蓋52が必要であるとともに、レフィルキャップ51の内部において描画材Mががたつくことがある。蓋52を外した後に、レフィル10が落下する可能性がある。さらに、塗布容器1にレフィル10を装着するときには、レフィルキャップ51の開口51hを上に向けて塗布容器1のスリーブ15を下に向けなければならないため、レフィル10の装着性において改善の余地がある。
【0079】
図13(a)は、実施形態に係るレフィルユニット20を示す側面図である。
図13(b)は、
図13(a)のH-H線断面図である。レフィルユニット20は、前述したレフィルユニット50の問題を解決している。
図13(a)および
図13(b)に示されるように、レフィルユニット20は、レフィル10と、レフィル10を収容するレフィルキャップ21とを備える。
【0080】
レフィルキャップ21は、有底筒状を呈する。レフィルキャップ21は、レフィルキャップ21の軸線方向Yに延びる筒状部21bと、筒状部21bの軸線方向Yの一端に位置する底部21cと、筒状部21bにおける底部21cとは反対側の端部に位置する開口21dとを有する。レフィルキャップ21は、筒状部21bの内部にレフィル10が収容される収容空間21fを有する。
【0081】
収容空間21fは、レフィル10の描画材Mが入り込む描画材収容空間21gと、塗布容器1(例えばスリーブ15)が進入可能な筒孔21hとを含む。開口21d、筒孔21h、描画材収容空間21g、および底部21cは、この順で軸線方向Yに沿って並んでいる。
【0082】
筒孔21hは、保持筒12が位置する第1筒孔21jと、第1筒孔21jおよび開口21dの間に位置する第2筒孔21kとを含む。第1筒孔21jはレフィルキャップ21の第1内面21pによって画成されており、第2筒孔21kはレフィルキャップ21の第2内面21qによって画成されている。第1内面21pの内径は、第2内面21qの内径よりも小さい。
【0083】
レフィルキャップ21は、塗布容器1へのレフィル10の装着時に塗布容器1が接触する傾斜面21rを内部に有する。傾斜面21rは、第1内面21pと第2内面21qとの間に形成されており、第2内面21qから第1内面21pに向かうにしたがって徐々にレフィルキャップ21の内径が小さくなるように軸線方向Yに対して傾斜している。
【0084】
レフィルキャップ21は、筒孔21hにおいて保持筒12を保持する弾性部22を有する。例えば、レフィルキャップ21は、複数の弾性部22を有する。一例として、レフィルキャップ21は、レフィルキャップ21の径方向に沿って並ぶ2つの弾性部22を有する。弾性部22の径方向の内側の面には、前述した傾斜面21rが形成されている。
【0085】
弾性部22は、レフィルキャップ21の径方向に弾性変形可能とされている。弾性部22は、軸線方向Yに延びる一対の第1スリット22bと、一対の第1スリット22bの軸線方向Yの端部間においてレフィルキャップ21の周方向に延びる第2スリット22cとの間に形成されている。
【0086】
一対の第1スリット22b、および第2スリット22cは、コの字状とされている。弾性部22は、一対の第1スリット22b、および第2スリット22cの間に形成されていることによってレフィルキャップ21の径方向に弾性変形する。一対の第1スリット22bは、レフィルキャップ21の周方向に沿って並んでいる。第2スリット22cは、一対の第1スリット22bにおける開口21dとは反対側の端部に位置する。弾性部22は、レフィルキャップ21の径方向の内側に突出する凸部22dを有する。凸部22dが保持筒12に当接することによって、レフィルキャップ21の内部においてレフィル10が保持される。
【0087】
レフィルユニット20において、塗布容器1にレフィル10を装着する方法について
図14および
図15を参照しながら説明する。
図14は、レフィルユニット20および塗布容器1を示す側面図である。
図15は、
図14のI-I線断面図である。
図14および
図15に示されるように、まず、塗布容器1のスリーブ15を上に向けて、レフィルユニット20のレフィルキャップ21をスリーブ15に載せる。そして、レフィルキャップ21をスリーブ15に挿入して押し込むことによって、レフィルキャップ21とともにスリーブ15(内側筒状部材4)が押し下がり、レフィル10が装着される。以上の工程を経て塗布容器1に対するレフィル10の装着が完了する。
【0088】
以上、本実施形態に係るレフィルユニット20は塗布容器1に装着される前のレフィル10を収容するレフィルキャップ21を有し、レフィル10は描画材Mを保持する保持筒12を有する。レフィルキャップ21は、塗布容器1が進入可能な筒孔21hを有し、筒孔21hにおいて保持筒12を保持するとともに径方向に弾性変形可能とされた弾性部22を有する。塗布容器1にレフィルキャップ21が取り付けられ、レフィルキャップ21の筒孔21hに塗布容器1が進入するときに、弾性部22が径方向の外側に弾性変形して保持筒12に対する保持が解除される。レフィルキャップ21の弾性部22がレフィル10の保持筒12を保持することにより、レフィルキャップ21にレフィル10を固定できるので、レフィルキャップ21を塞ぐ蓋52(
図12参照)等を不要にでき、部品点数の増加を抑制できる。
【0089】
レフィルユニット20では、塗布容器1に装着される前において弾性部22がレフィル10を保持しているので、レフィル10の落下、および汚れの発生を抑制できる。さらに、塗布容器1にレフィルキャップ21を取り付けてレフィルキャップ21の筒孔21hに塗布容器1を進入させることにより、弾性部22が保持筒12に対する保持を解除して塗布容器1の空間Sにレフィル10が通される。塗布容器1にレフィル10を装着するときに、レフィルキャップ21の開口21dを上に向けたり、塗布容器1のスリーブ15を下に向けたりする必要がない。したがって、塗布容器1に対するレフィル10の装着を容易に行うことができる。
【0090】
以上、本開示に係る塗布容器およびレフィルユニットの実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更されたものであってもよい。すなわち、本開示に係る塗布容器およびレフィルユニットの各部の形状、大きさ、材料、数および配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0091】
例えば、前述した実施形態では、尾栓7および外筒8を含む外側筒状部材3を備える塗布容器1について説明した。しかしながら、塗布容器は、尾栓7および外筒8が一体とされた外側筒状部材を備えていてもよい。例えば、尾栓7および外筒8は3Dプリンタによって一体として成形されてもよい。
【0092】
前述した実施形態では、外側筒状部材3に対する内側筒状部材4の相対回転によって描画材Mの繰り出し、および繰り戻しを行う繰り出し繰り戻し機構を備える塗布容器1について説明した。しかしながら、塗布容器は、繰り出し繰り戻し機構を有しないものであってもよい。例えば、塗布容器は、繰り出し繰り戻し機構に代えて、ノック式等の機械的な押出機構を備えたものであってもよいし、スクイーズ式の押出機構を備えたものであってもよい。前述した実施形態では、化粧料である描画材Mを備えるレフィル10について説明した。しかしながら、描画材は、化粧料以外のものであってもよい。例えば、描画材は、クレヨン等の筆記用具に用いられる芯材であってもよい。このように、本開示に係る塗布容器は、化粧料に限られず、筆記用具または文房具等、種々の描画材に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…塗布容器、2…キャップ、2b…底部、2c…側面部、2d…凹部、3…外側筒状部材、4…内側筒状部材、4b…突出部、4c…収容部、4d…鍔部、4f…突部、4g…内面、4h…凹部、4k…凸部、5…保持部材、5b…螺合突起、5c…筒状部、5d…筒孔、5f…外面、5g…凸部、5h…環状凹部、6…スクリュー部、6b…雄螺子、6c…ベース部、6d…筒状部、6f…端面、6g…スリット、6h…凸部、6j…筒孔、6k…第1内面、6m…第2内面、6p…凸部、7…尾栓、7b…筒状部、7c…棒状部、7d…底部、7f…側面部、7g…鍔部、7h…外面、7j…環状凸部、7k…凸部、7m…凹部、7p…内部空間、7q…凸部、8…外筒、8b…大径部、8c…小径部、8d…凸部、8f…内面、8g…環状凹部、8h…凸部、8j…段差部、9…保持部、9b…突出部、9c…薄板部、9d…厚板部、9f…内面、9g…凸部、9h…外面、9j…溝、10…レフィル、11…レフィルキャップ、11b…収容空間、11c…リブ、11d…内面、11f…開口、12…保持筒、12b…突出部、12c…筒状部、12d…外面、12f…環状凹部、12g…拡径部、12h…段差部、14…バネ部材、15…スリーブ、15b…フランジ部、20…レフィルユニット、21…レフィルキャップ、21b…筒状部、21c…底部、21d…開口、21f…収容空間、21g…描画材収容空間、21h…筒孔、21j…第1筒孔、21k…第2筒孔、21p…第1内面、21q…第2内面、21r…傾斜面、22…弾性部、22b…第1スリット、22c…第2スリット、22d…凸部、50…レフィルユニット、51…レフィルキャップ、51b…筒状部、51c…底部、51d…収容空間、51f…第1収容空間、51g…第2収容空間、51h…開口、51j…第1内面、51k…第2内面、51p…段差、52…蓋、52b…底部、52c…外筒部、52d…内筒部、D…軸線方向、L…軸線、M…描画材、S…空間。