(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169325
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】物品の穴のアブレーション方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/382 20140101AFI20241128BHJP
【FI】
B23K26/382
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071996
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】18/201,457
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レグラー、ホルガー ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン、スタンリー フランク
(72)【発明者】
【氏名】ホーベル、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ロマス、ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD12
4E168AD18
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB07
4E168CB22
4E168CB23
4E168DA32
4E168DA40
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA15
4E168JA01
4E168JA15
4E168JB04
(57)【要約】
【課題】多大な時間及び労力を必要とせず、しかも部品又はその上の皮膜に悪影響を与えずに、部品の多数の穴から残渣及び障害物を取り除くための方法及び装置を提供する。
【解決手段】物品(10)の1以上の穴(14)のレーザーアブレーションの方法は、アブレーション特性を確立するステップ(602)を含む。アブレーション特性は、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性又は同期機械動作特性である。作成ステップ(604)は、物品の第1の加工帯域及び第2の加工帯域について確立されたアブレーション特性に基づいて、レーザービームのレーザー経路計画を作成する。アブレーションステップ(608)は、第1のアブレーション特性で第1の加工帯域をアブレーション加工し、しかる後、第1のアブレーション特性とは異なる第2のアブレーション特性で第2の加工帯域をアブレーション加工する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(10)の1以上の穴(14)のレーザーアブレーションの方法であって、当該方法が、
アブレーション特性を確立するステップ(602)であって、前記アブレーション特性が、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性及び同期機械運動特性の少なくとも1つである、ステップ(602)と、
前記物品の第1の加工帯域及び第2の加工帯域について確立されたアブレーション特性に基づいて、レーザービームのレーザー経路計画を作成するステップ(604)と、
第1のアブレーション特性を有する第1の加工帯域をアブレーション加工し(608)、しかる後、第1のアブレーション特性とは異なる第2のアブレーション特性を有する第2の加工帯域をアブレーション加工するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記レーザー特性が、レーザーパルス幅又はパルス持続時間、レーザー周波数、レーザーパルスピークパワー、波長、平均レーザー出力、レーザービーム品質、繰返し率、パルスエネルギー、レーザースポットサイズ及び焦点距離のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザーパルス幅が、ピコ秒域又は1ピコ秒~1000ピコ秒の範囲内又は1ピコ秒~15ピコ秒の範囲内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1のレーザー特性の第1のレーザーパルス幅がピコ秒域にあり、第2のレーザー特性の第2のレーザーパルス幅がナノ秒域又はマイクロ秒域にある、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザーの動作パラメータが、約0.05mm~約0.5mmのレーザースポットサイズ直径、10kHz~10MHzの繰返し率、1~3のレーザービーム品質(M2)の1以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記平均レーザー出力が25W~250Wである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記加工帯域特性が、前記物品の第1の皮膜層(18)及び第2の皮膜層(17)の少なくとも一方である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の皮膜層(17)がトップコートであり、第2の皮膜層(18)がボンドコートである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザー(22)に対する物品(10)の移動を必要とせずに前記レーザー経路計画を変更することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザー経路計画が、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性並びに第1の加工帯域及び第2の加工帯域の少なくとも一方に対する同期機械運動特性のうちの1以上の関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レーザー経路計画が、第1のアブレーションパターンと第2のアブレーションパターンから構成され、第1のアブレーションパターンが第2のアブレーションパターンと異なる、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
確立ステップ、作成ステップ及びアブレーションステップの完了後、前記物品(10)及び前記レーザー(22)の少なくとも一方を移動させて、確立ステップ、作成ステップ及びアブレーションステップを繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却穴特性が、穴(14)の寸法、前記物品(10)の材料の熱応答性、所望の冷却穴の全体3次元形状、拡散部(19)の形状、セラミック充填、金属充填、及び仕上げ、部分アブレーション及び完全に被覆された穴を含む冷却穴の熱特性のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザー経路計画を作成するステップが、第1のアブレーションパターン及び第2のアブレーションパターンを確立し、第1のアブレーションパターンが第2のアブレーションパターンと異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第1の加工帯域から第2の加工帯域に移行するときに、前記レーザー(22)及び前記物品(10)の少なくとも一方を移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、広義にはガスタービンに関するものであり、さらに具体的には、ガスタービンアセンブリの物品の穴をアブレーション加工又は清掃する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンのような回転機械は、製造及び/又はメンテナンスの一環として表面再加工及び/又は被覆を要する数多くの部品を含んでいる。これらの部品の表面再加工及び被覆は、部品内の穴又は開口が皮膜で覆われたり、塞がれてしまう状況をもたらすことが多々ある。穴は回転機械の物品その他の部品を冷却する。その結果、穴から残留物又は過剰の皮膜の形態の残渣をすべて取り除く必要がある。
【0003】
一般に、コンピュータ制御の切削装置(例えばレーザー)は、多数の穴から残渣を取り除くように構成されている。しかし、このプロセスは、部品の多種多様な複雑な輪郭表面に多数の穴を開ける必要があって、各穴毎にレーザーの移動及び再配向を要する場合には、困難で時間がかかる。
【0004】
ガスタービン部品では、被覆作業後に清掃しなければならない冷却穴が数多くあることが多いため、プロセス時間を最小限に抑制して部品のスループットを最大限にするために、穴の清掃作業をできるだけ効率的な手段で行うことが重要となる。次のプロセスステップに備えるため、切削装置又は部品自体のいずれかを物理的に移動することは、プロセスのこの段階では切削装置は通例作動しないので、プロセス全体の非効率性が増してしまうことが多い。
【0005】
そこで、実質的な時間及び労力を必要とせず、部品又はその上の皮膜に悪影響を与えずに、部品の多数の穴から残渣及び障害物を取り除くための方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
以下、本明細書に記載した様々な実施形態の幾つかの態様についての基本的な理解を図るため、本願で開示する技術的内容について簡単に要約する。この要約は、様々な実施形態を幅広くまとめたものではない。これは、特許請求の範囲に記載された発明の基本的又は本質的特徴を特定するものでも、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を定めるのに資するためのものでもない。その唯一の目的は、以下の詳細な説明の前置きとして、本発明の幾つかの技術的思想を簡潔に紹介することである。
【0007】
一実施形態では、物品の1以上の穴のレーザーアブレーション方法を提供する。本方法は、アブレーション特性を確立するための確立ステップを含む。アブレーション特性は、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性及び同期機械運動特性の少なくとも1つである。作成ステップでは、物品の第1の加工帯域及び第2の加工帯域に対して確立されたアブレーション特性に基づいて、レーザービームのレーザー経路計画を作成する。アブレーションステップは、第1のアブレーション特性で第1の加工帯域をアブレーション加工し、しかる後、第1のアブレーション特性とは異なる第2のアブレーション特性で第2の加工帯域をアブレーション加工する。
【0008】
非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって、本発明の理解を深めることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るレーザーアブレーションシステムに適合した例示的な物品を示す図。
【
図2】レーザーアブレーションシステムの実施形態の概略図。
【
図3】本願で開示するレーザーアブレーションシステム及び方法に適合した物品並びに一実施形態に係るレーザーアブレーション方法のアブレーションパターンを示す図。
【
図4】一実施形態に係る再被覆処理後の複数の冷却穴、トップコート及びボンドコートを有する物品を示す図。
【
図5A】
図2のレーザーアブレーションシステムのレーザー動作パラメータの一実施形態のパルス幅を示す図。
【
図5B】
図2のレーザーアブレーションシステムのレーザー動作パラメータの第2の実施形態のパルス幅を示す図。
【
図6】一実施形態に従って、
図2に示す例示的な装置などで、物品の1以上の穴を清掃するためのレーザーアブレーション方法の流れ図。
【
図7】一実施形態に係るコンピューティングシステムの例を示す図。
【
図8】一実施形態に係るレーザーアブレーションシステムの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して本方法及びシステムの例示的な実施形態について十分に説明する。幾つかの実施形態を示してあるが、すべての実施形態が示してあるわけではない。実際、本方法及びシステムは、多種多様な形態で具体化することができ、本願に記載の実施形態に限定されると解すべきではない。これらの実施形態は、本開示が法的要件を満足するように、提示される。同様の符号は同様の構成要素を示すことがある。
【0011】
本明細書で用いる「アブレーション加工」又は「アブレーション」という用語は、材料の除去をいう。これは、工具又は切削装置で材料を除去することによって達成される。本願で開示する方法及びシステムは、レーザーパルスを発振する切削装置を用いて、一連の穴から材料を除去することに関する。本願で開示する方法及びシステムは、エッジ、表面及び/又は穴からの材料のアブレーションを伴う他の方法にも適用できる。
【0012】
ここで図面を参照すると、
図1はタービンブレードの形態の物品10を示す。ただし、物品10は、ノズル、ベーン、ディフューザ、シュラウドその他の適切なガスタービン部品であってもよい。物品10の輪郭形成された外面12は、冷却穴の形態の多数の穴14を有する。穴14は、外面12上での位置に基づいて寸法及び/又は配向が異なっていてもよい。物品10の製造時及び改修時に、物品は通例表面皮膜で被覆され、物品10及びその内部の冷却チャネルの適切な機能を担保するため、完全又は部分的に閉塞した穴14から表面皮膜を取り除かなくてはならない。様々な表面皮膜及び/又は基板を外面12に追加してもよいが、穴14及び関連する冷却チャネルを適切に機能できるようにするため除去しなければならない。本開示は、広義には、物品10の一連の穴14のアブレーション加工の方法及びシステムに関する。
【0013】
図2を参照すると、レーザーアブレーションシステム全体を符号20で示す。レーザーアブレーションシステム20は、レーザー22の形態のアブレーション装置と制御システム24とを含む。レーザー22は、レーザーの物理的並進移動なしで、物品10の一群の穴における各穴14にレーザービームパルスを出力するように構成し得る。「レーザー」という用語は、レーザーハードウェアシステムとして定義され、レーザービーム発生器並びに付随するレンズ及びビームステアリング手段を含む。「レーザービーム」という用語は、レーザー又はレーザーアブレーションシステム20から発振されるビームである。換言すると、一群の穴は、レーザー22の視野内のすべての穴である。レーザーの視野15は、
図2に破線の長方形で示してある。レーザー22のステアリング機構(例えばガルバノスキャナー)は、レーザー又は物品のいずれかの物理的並進移動を必要とせずに、視野15内の各穴にレーザービームが到達できるようにする。レーザーアブレーションシステム20は、レーザー22の物理的並進移動なしで、物品10に対して様々な角度でレーザービームパルスを発振することができる単一のレーザー22を含んでいてもよい。制御システム24は、レーザー動作パラメータを含むレーザーアブレーション特性、及び/又は各群の穴に対するアブレーションパターンを確立し、レーザー特性に基づいて、一群の穴に属する穴をアブレーション加工する。以下の方法600に関して説明するような幾つかの実施形態では、制御システム24は、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性及び/又は同期機械運動特性を確立し、確立したレーザーアブレーション特性に基づいて穴をアブレーション加工する。換言すると、制御システム24は、アブレーション加工(すなわち、残渣/障害物を取り除く)すべき穴14(又は一群の穴)を決定し、かつ穴14をどのようにアブレーション加工するか(例えばレーザーパルスをどの角度に向けるか、レーザーパルスの振幅/周波数、レーザー出力、アブレーション加工した穴の特異的パターンなど)について決定するのに、確立したレーザーアブレーション特性を用いる。制御システム24は、物品10自体の材料特性を考慮し、かつ限定されるものではないが、同一又は類似の物品に対する以前のレーザーアブレーションシステム20の応用事例から学習した知識を始めとする外部知識を組み込んでもよい。最終的に、制御システム24は、物品10への損傷を最小限にするために、確立されたアブレーション特性を使用する。物品10への損傷は、限定されるものではないが、皮膜の剥落、基板の孔食その他の物理的損傷を始めとする、様々な形態で発生する。
【0014】
図3を参照すると、一実施形態では、制御システム24は、各々6つの穴を有する4つの特定の群(16a,16b,16c,16d)を識別する。
図3に示す実施形態では、第1のアブレーションパターンでは、第1の群の穴16aは左上の6つの穴14であり、第2の群の穴16bは右下の6つの穴14であり、第3の群の穴16cは左下の穴14であり、第4の群の穴16dは右上の穴14である。幾つかの実施形態では、制御システム24は、アブレーション特性を変更して、変更されたアブレーション特性に基づいて、各群の穴における個々の冷却穴14をアブレーション加工するように構成される。幾つかの実施形態では、制御システム24は、一連の複数の群の穴14を同一のアブレーション特性に従ってアブレーション加工するように構成され、アブレーション特性を変更してすべての群の穴14を再度アブレーション加工してもよい。
【0015】
図4は、冷却穴14が配置された物品12の一部を示す。物品12は、冷却穴14を有する基板13から構成される。冷却穴14は拡散部19を含んでいてもよい。物品を被覆又は再被覆した後、穴14及び拡散部19をボンドコート17及びトップコート18が塞いでしまうおそれがある。一例として、ボンドコート17はMCrAlY合金であってもよく、トップコートはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)セラミックであってもよい。ボンドコート17とトップコート18は共に遮熱コーティング(TBC)を形成する。物品が適切に機能できるようにするため、穴14及び拡散部19から、残留物又は余分な皮膜の形態のすべての残渣及び障害物を取り除かなくてはならない。
【0016】
図3に戻ると、第1のアブレーションパターンを用いてトップコート18をアブレーション加工し、第2のアブレーションパターンを用いてトップコート18の下のボンドコート17をアブレーション加工してもよい。第2のアブレーションパターンは、第1のアブレーションパターンと異なっていてもよい。例えば、第2のアブレーションパターンは、各列の左から右に順に穴14aをアブレーション加工し、すべての穴14aのアブレーション加工が完了したら、レーザーで各列の穴14bをアブレーション加工する。こうした穴の「スキップ」によって、次のアブレーションパスの前に局所的基板及び穴領域を冷却することができる。こうして、基板に対する不要な熱損傷が最小限に抑えられる。追加の例として、第1のアブレーションパターンで用いるレーザー出力は、基板13に悪影響を与えずに近傍の穴をアブレーション加工できるように、低くしてもよい。第2のアブレーションパターンで用いるレーザー出力を高めてもよいが、基板の損傷を避けるための十分な冷却時間を確保するために、アブレーション加工される各穴は、以前にアブレーション加工された穴から離間していなければならない。
【0017】
レーザーアブレーション特性は、アブレーション加工すべき特定の領域に基づいて変更してもよい。例えば、第1のレーザーアブレーション特性を穴14(
図4参照)の領域のアブレーション加工に使用し、第2のレーザーアブレーション特性を拡散部19上の領域のアブレーション加工に使用してもよい。一例にすぎないが、第1のレーザーパルス幅を穴14上の領域のアブレーション加工に使用し、第2のレーザーパルス幅(第1のパルス幅とは異なる)を拡散部19のアブレーション加工に使用してもよい。特定のレーザー特性は、基板13及び近くの皮膜17及び18への熱損傷を低減するために選択される。
【0018】
図5A及び
図5Bを参照すると、レーザー特性は、レーザーパルス幅30(又はパルス幅)、レーザー周波数、レーザーパルスピークパワー、波長、平均レーザー出力、レーザービーム品質、繰返し率、パルスエネルギー、出力ピークパワー、レーザースポットサイズ、エネルギー密度及び焦点距離のようなレーザー動作パラメータを含む。幾つかの実施形態では、例えば、レーザー動作パラメータの例は、約25W~約250Wの平均レーザー出力、3未満又は1~3又は1~2のレーザービーム品質(M
2)、約10kHz~約10MHzの繰返し率、約0.05mm~約0.5mmのレーザースポットサイズ、約15ピコ秒未満のパルス幅/長の1以上である。レーザースポットサイズは、焦点面でのレーザービームの最小直径として定義される。制御システム24は、残存材料及び基板13を保護しながら、物品10からの余分な材料の除去を最大限にするため、レーザーアブレーション特性を制御することができる。レーザー22は、オン構成32で高いピークパワーの短いレーザーパルス幅30を送るように構成され、第1の加工帯域及び第2の加工帯域をアブレーション加工するステップは、レーザーがオフ構成34にある時間を最小限にする。「短い」という用語は、フェムト秒又はピコ秒域にあるレーザーパルスとして定義される。レーザー22がオフ構成34にある時間を最小限にすると、物品10のスループットが格段に向上し、迅速で効率的な残渣/障害物の除去がもたらされる。
【0019】
幾つかの実施形態では、制御システム24は、物品10への損傷を最小限にするために、物品10の材料熱容量を評価するように構成された冷却穴特性を確立する。冷却穴特性としては、穴14の寸法、物品10の材料の熱応答、所望の冷却穴14の全体的な3次元形状、セラミック充填、金属充填、及び/又は仕上げ、部分アブレーション及び完全に被覆された穴を含む冷却穴の熱特性が挙げられる。また、制御システム24は、レーザー22に起因する損傷を最小限にするために、物品10の外面12に追加された表面皮膜及び/又は基板の材料特性を評価してもよい。物品10への損傷を防止するために特性を変化させる制御システム24の一例は、アブレーションパターンが、一群の穴の第1の穴14を熱閾値までアブレーション加工し、次いで第1の穴14の冷却中に一群の穴の第2の穴14をアブレーション加工するように指令するときである。幾つかの実施形態では、複数の異なる群から材料を一度に効率的に除去し、物品10への熱的影響を最小限にするために、各群から特定の穴14を標的とする。換言すると、
図3を具体的に参照すると、一実施形態では、制御システム24は、複数の(及び異なる)アブレーションパターンを用いて、穴をアブレーション加工する。例えば、第1のアブレーションパターンで、群16aの順次隣接する穴をアブレーション加工し、次いで第2の群16bの行にスキップする。第2のアブレーションパターンは、第1のアブレーションパターンの完了後に使用してもよく、第2のアブレーションパターンは、基板13への不都合な熱影響を最小限にするために、1つおきに穴をアブレーション加工するか、或いは穴アブレーション加工の間に2、3又は4つの穴をスキップしてもよい。
【0020】
物品10での一連の穴14の修復のためのレーザーアブレーションの方法600の例示的な実施形態を
図6の流れ図に示す。
図1~
図5を参照すると、方法600は、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性及び/又は同期機械運動特性を確立するステップ602、物品10の第1の加工帯域及び第2の加工帯域に対して確立された特性に基づいて、レーザーのためのレーザー経路計画(例えばアブレーションパターン)を作成するステップ604、レーザー22から照射されるレーザービームの位置及び/又は物品10の位置を相対的に制御するための同期ルーチンを実行するステップ606、第1の加工帯域をアブレーション加工するステップ608及び/又は第2の加工帯域をアブレーション加工するステップ610を含む。なお、第1の加工帯域及び第2の加工帯域をアブレーション加工するステップ608,610は、連続作業であってもよい。換言すると、レーザー22は連続的な周波数でパルス発振するが、2以上の加工帯域で連続して作用する。第1の加工帯域及び第2の加工帯域は、各々、1個の穴14にあってもよく、2つの別個の穴14であってもよく、穴14とそれに不随する拡散部19であってもよく、或いは各々すべての群の穴14を含んでいてもよく、或いは上述の通り、異なる行又は列の一群の穴であってもよい。アブレーション加工を連続的に実施することで、アセンブリ内の開始動作と停止動作がなくなるが、開始動作と停止動作はアセンブリの部品が最も摩耗を蓄積する期間である。
【0021】
方法600は、適宜、物品10及び/又はレーザー22を初期位置から後続位置へ及びその逆に移動するステップ612、及び物品10のアブレーション加工ステップ608,610及び移動ステップ612を繰り返すステップを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、方法は、1以上の加工帯域をアブレーション加工するステップ608,610で、レーザー22及び/又は物品10を移動させることを含む。確立されたアブレーション特性は、上述の通り、制御システム24によって変更することができ、方法600は、レーザー22の移動を必要とせずに、変更されたアブレーション特性に従ってレーザー経路計画604を作成する。例えば、ステップ604で、第1のアブレーションパターンを使用してもよく、ステップ606~610、614に方法を進め、次いでステップ614で第2のアブレーションパターン(第1のアブレーションパターンとは異なる)を選択した後、第2のアブレーションパターンをステップ604~610で又はステップ610だけで使用する。レーザーアブレーション特性は、ステップ608とステップ610の間で変更してもよく、第1の加工帯域のアブレーション加工の際に第1のレーザーアブレーション特性を使用し、第2の加工帯域のアブレーション加工の際に異なる第2のレーザーアブレーション特性を使用する。
【0022】
レーザー経路計画は、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性並びに第1の加工帯域及び少なくとも1つの第2の加工帯域に関する物品10に対する同期機械運動特性の関数である。レーザー経路計画は、多数の後続の加工帯域と多数の後続の位置に適合する。レーザー経路計画は、レーザー22の動作のための適切又は効率的な時間スケールを決定するために、レーザー22の能力を評価してもよい。
【0023】
方法600は、限定されるものではないが、レーザー22及び/又は物品10の線形及び回転加速度、レーザー22及び/又は物品10の線形及び回転速度、再現性及び精度、並びに加工帯域及び有効加工帯域に関する追加の特性(例えばレーザー入力、視野、最小及び/又は最大加工距離、最小及び/又は最大有効加工距離、スポットサイズのばらつき、エネルギー効率)を始めとする特性を考慮することによって、レーザー及び/又は物品10の相対的な運動を同期させる。同期機械運動特性は、限定されるものではないが、レーザー22及び/又は物品10の全体的及び局所的な位置同期、加速及び/又は減速通知の形態の運動及びレーザーデータを含んでおり、物品及び/又はレーザーの運動に対する制御システムの待ち時間を含む。方法600は、穴14及び/又は拡散部19から残渣又は障害物を効率的に除去するため、レーザー22と物品10の間の動的な関係を考慮に入れる。同期機械運動特性は、レジストレーション穴の又は他の装置のゼロイングを必要とせずに、レーザー22及び物品10の位置の追跡及び監視を可能にする。ただし、方法600の実施中及び/又は完了後に、レジストレーション穴又はレーザー22のゼロイングを組み込むことは、本願で開示する発明から逸脱しない。
【0024】
幾つかの実施形態では、レーザー経路計画を作成するステップ604は、基板に対する熱損傷の低減によって、非至適加工帯域でのアブレーションが可能となるように、低熱伝導率帯域での冷却穴14のアブレーションを目標とする。レーザー経路計画604を作成するステップ604は、冷却穴の内外への移行部を滑らかにするため、冷却穴の端が不規則な箇所のアブレーションを目標としてもよい。幾つかの実施形態では、レーザー経路計画は、既知のデータ領域及び困難なアブレーション帯域及び層を標的とし、それらの領域、帯域及び/又は層はレーザー送達システム20のピーク有効アブレーション帯域にある。幾つかの実施形態では、レーザー経路計画を作成するステップは、物品10の移動時に物品10を横断して移動する加工帯域に関して最適化されたレーザー経路を確立する。レーザー経路計画は、レーザー22で各穴14をアブレーション加工しているときに生じる残渣雲を考慮してもよく、物品10への損傷を低減又は解消するために残渣雲を最小限又は制御してもよい。
【0025】
レーザー経路計画は、あるアブレーション効率を生成させるためプラズマが形成される時間よりも短い時間スケールで動作させることができる。このアブレーション効率は、アブレーション閾値の上下で評価及び維持できる。幾つかの実施形態では、レーザー経路計画は、フェムト秒又はピコ秒時間領域の時間スケールで動作する。フェムト秒時間領域は1フェムト秒~1000フェムト秒と定義される。ピコ秒時間領域は1ピコ秒~1000ピコ秒として定義される。ナノ秒時間領域は1ナノ秒~1000ナノ秒として定義される。マイクロ秒時間領域は1マイクロ秒~1000マイクロ秒として定義される。
【0026】
図7は、制御システム24の例示的な実施形態によりコンピュータシステム700の例を示す。本願に記載のコンピューティングシステム700は、様々な部品を含んでおり、レーザー22の制御システム24に関して以下で説明するコンピューティングシステム700の1以上のコンピューティングデバイス702と共に様々な機能を実行することができる。
【0027】
図7に示すように、コンピューティングシステム700は、1以上のコンピューティングデバイス702を含むことができる。1以上のコンピューティングデバイス702は、1以上のプロセッサ704及び1以上のメモリデバイス706を含むことができる。1以上のプロセッサ704は、適切な処理デバイス、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、論理デバイス及び/又は他の適切な処理デバイスを含むことができる。1以上のメモリデバイス706は、限定されるものではないが、非一時的なコンピュータ可読メディア、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ及び/又は他のメモリデバイスを始めとする、1以上のコンピュータ可読メディアを含むことができる。
【0028】
1以上のメモリデバイス706は、1以上のプロセッサ704によって実行し得るコンピュータ可読命令708を始めとして、1以上のプロセッサ704によってアクセス可能な情報を記憶することができる。命令708は、1以上のプロセッサ704によって実行されると、1以上のプロセッサ704に、動作(例えば本願に記載の動作)を実行させる一組の命令とすることができる。例えば、本願で提供する方法は、コンピューティングシステム700によって全体的又は部分的に実行し得る。命令708は、任意の適切なプログラミング言語で記載されたソフトウェアであってもよいし、ハードウェアに実装することもできる。付加的及び/又は代替的に、命令708は、1以上のプロセッサ上の論理的及び/又は仮想的に分離されたスレッドで実行することができる。1以上のメモリデバイス706は、1以上のプロセッサ704によってアクセス可能なデータ710をさらに記憶することができる。例えば、データ710としては、モデル、データベース、機械運動同期データなどを挙げることができる。
【0029】
コンピューティングデバイス702は、例えば、レーザーシステム20の他の部品との(例えばネットワークを介した)通信に使用されるネットワーク(又は通信)インターフェース712を含んでいてもよい。ネットワークインターフェース712は、例えば、送信器、受信器、ポート、アンテナ及び/又は他の適切な部品を始めとして、1以上のネットワークとインターフェースするための任意の適切な部品を含むことができる。
【0030】
ここで説明する技術は、コンピュータベースシステム、並びにコンピュータベースシステムによって実行されるアクション及びコンピュータベースシステムとの間で送受信される情報を参照する。当業者には明らかであろうが、コンピュータベースシステムに固有の柔軟性によって、コンポーネント間でのタスク及び機能の多種多様な可能な構成、組合せ及び分割が可能となる。例えば、本願に記載のプロセスは、単一のコンピューティングデバイス又は協働して動作する複数のコンピューティングデバイスを用いて実施することができる。データベース、メモリ、命令及びアプリケーションは、単一のシステムに実装することもできるし、複数のシステムに分散させることもできる。分散コンポーネントは直接に又は並列に動作できる。
【0031】
図8は、一実施形態に従って機械の運動を同期させるのに使用されるシステム800を示す。アブレーションすべき物品10にレーザー22が照射される。ガルバノスキャナーミラー820で、レーザービーム830を所望のパターンで又は物品10上の所望の位置に移動させる。ガルバノスキャナーミラーは、スキャナーコントローラ810によって制御される。レーザー22は、コンピューティングシステム700からオン/オフ信号を受信するコリメータレンズ及び拡散板のようなビーム整形光学系を含んでいてもよい。カメラ840は、ビームスプリッター850を介して視野842内の物品10の画像を検出する。このカメラは、独立した画像取得及び画像転送が行えるインターラインセンサー、CCD又はCMOSチップで画像を取得する。ただし、通常のビデオカメラ又はハイスピードカメラのような他の種類のカメラも使用できる。画像取得の開始は、コンピューティングシステム700内の同期制御ルーチンによって制御される。画像取得後、画像はトラッキングシステム860に転送され、トラッキングシステム860は、物品10上の目標加工帯域を決定する。次いで、アブレーションレーザービーム830を物品10上の所期の位置に導くためにスキャナーミラー820を移動させる角度へと変換された測定座標(x/y/z)がスキャナーコントローラ810に供給される。同期制御ルーチンからの同期信号の受信後、レーザはアブレーションレーザーパルスを物品10に当てる。画像取得、画像処理、レーザー位置制御及びレーザー発振のタイミング関係は、同期機械運動特性を得るためのコンピュータシステム700内の同期制御ルーチンによって制御される。トラッキングシステム860は、アブレーションプロセス中に物品10が移動したとしても、処理中の視野及び標的群の穴を追跡する。例えば、物品10をアブレーション中に移動又は回転させてもよく、物品10上の全ての所望の穴又は加工帯域についてアブレーションプロセスを中断せずに進行できる。或いは、レーザー22をアブレーションプロセス中に移動させてもよいし、或いはレーザーと物品の両方をアブレーションプロセス中に移動させてもよく、トラッキングシステムは、レーザーが常にアブレーションの正確な穴を標的とするように担保する。
【0032】
本願で開示した例示的な実施形態についての説明は、要約書に記載したものを含めて、開示された実施形態を開示された正確な形態に限定するものでも、網羅的なものでもなければ、開示した実施形態を開示した形態のままに限定するものでもない。例示のため特定の実施形態及び実施例を記載してきたが、当業者には、様々な修正が可能であって、かかる実施形態及び実施例の範囲内とみなされることが明らかであろう。例えば、様々な実施形態における部品、構成要素、ステップ及び態様を組合せて、本明細書及び図面に記載されていない別の実施形態で用いるのに適したものとすることができる。このように、本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱せずに、上述の発明に変更を加えることができることから、本願明細書及び図面に記載された技術的内容はすべて本発明の思想を例示するための例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0033】
この観点から、本願で開示する技術的内容について、様々な実施形態及び適用できる場合には対応する図面に関連して説明してきたが、他の同様の実施形態を用いることもできるし、開示した技術的内容から逸脱せずに同一の、類似の、代替的又は置換的機能を果たすために、記載された実施形態に修正及び追加を加えることができる。したがって、本願で開示する技術的内容は、本明細書に記載したいかなる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲及び技術的範囲で解釈すべきである。例えば、本発明の「一実施形態」という場合、記載された特徴を備える追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈すべきではない。
【0034】
特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」、「上」、「下」、「底部」及び「頂部」のような用語は符号にすぎず、その目的物に数的又は位置的要件を課すものではない。「実質的」、「概略」及び「約」という用語は、部品又はアセンブリの機能目的を達成するのに適した理想的な所望条件に対して、合理的に達成できる製造及び組立て公差内にある条件を示す。さらに、特許請求の範囲の限定は、機能的記載では記載されておらず、特許請求の範囲の限定が構造についての記載を伴わずに機能に関する記載に続いて「手段」という用語を明示的に用いていない限り、そのように解釈すべきではない。
【0035】
以上の記載は、本願で開示する技術的内容の例示的なシステム及び方法の具体例を包含する。いうまでもなく、本願で構成成分又は方法のすべての組合せを説明しつくすことはできない。当業者には明らかであろうが、特許請求の範囲に記載されたされた技術的内容について数多くの追加の組合せ及び置換が可能である。さらに、発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面において「含む」、「有する」、「もつ」などの用語が用いられている場合、これらの用語は、「含む」及び「備える」という用語の解釈と同様に内包的なものである。換言すると、別途明示されていない限り、特定の性質を有する1以上の構成要素を「備える」、「含む」又は「有する」実施形態は、その性質をもたない追加の構成要素を含んでいてもよい。本明細書及び図面で用いられる不定冠詞は、別途記載されているか前後関係から単数形を示していることが明らかでない限り、「1以上」を意味する。
【0036】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、当業者が本発明を実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【0037】
本発明の追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
[実施態様1]
物品の1以上の穴のレーザーアブレーションの方法であって、当該方法が、アブレーション特性を確立するステップであって、アブレーション特性が、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性及び同期機械運動特性の少なくとも1つである、ステップと、物品の第1の加工帯域及び第2の加工帯域について確立されたアブレーション特性に基づいて、レーザービームのレーザー経路計画を作成するステップと、第1のアブレーション特性で第1の加工帯域をアブレーション加工し、しかる後、第1のアブレーション特性とは異なる第2のアブレーション特性で第2の加工帯域をアブレーション加工するステップとを含む方法。
[実施態様2]
レーザー特性が、レーザーパルス幅又はパルス持続時間、レーザー周波数、レーザーパルスピークパワー、波長、平均レーザー出力、レーザービーム品質、繰返し率、パルスエネルギー、レーザースポットサイズ及び焦点距離のうちの少なくとも1つである、実施態様項1に記載の方法。
[実施態様3]
レーザーパルス幅が、ピコ秒域又は1ピコ秒~1000ピコ秒の範囲内にある、実施態様項1又は実施態様項2に記載の方法。
[実施態様4]
レーザーパルス幅が、1ピコ秒~15ピコ秒の範囲内にある、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様5]
第1のレーザー特性の第1のレーザーパルス幅がピコ秒域であり、第2のレーザー特性の第2のレーザーパルス幅がナノ秒域又はマイクロ秒域にある、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様6]
レーザーの動作パラメータが、約0.05mm~約0.5mmのレーザースポットサイズ直径、10kHz~10MHzの繰返し率、1~3のレーザービーム品質(M2)の1以上である、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様7]
平均レーザー出力が25W~250Wの範囲内にある、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様8]
加工帯域特性が、物品の第1の皮膜層及び第2の皮膜層の少なくとも一方である、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様9]
第1の皮膜層がトップコートであり、第2の皮膜層がボンドコートである、実施態様項1乃至実施態様項8のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様10]
レーザーに対する物品の移動を必要とせずにレーザー経路計画を変更することをさらに含む、実施態様項1乃至実施態様項9のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様11]
レーザー経路計画が、レーザー特性、加工帯域特性、冷却穴特性並びに第1の加工帯域及び第2の加工帯域の少なくとも一方に対する同期機械運動特性のうちの1以上の関数である、実施態様項1乃至実施態様項10のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様12]
レーザー経路計画が、第1のアブレーションパターンと第2のアブレーションパターンとから構成され、第1のアブレーションパターンが第2のアブレーションパターンと異なる、実施態様項1乃至実施態様項11のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様13]
確立ステップ、作成ステップ及びアブレーションステップの完了後、物品及びレーザーの少なくとも一方を移動させて、確立ステップ、作成ステップ及びアブレーションステップを繰り返す、実施態様項1乃至実施態様項12のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様14]
冷却穴特性が、穴の寸法、物品の材料の熱応答、所望の冷却穴の全体的な3次元形状、拡散部の形状、セラミック充填、金属充填、及び仕上げ、部分アブレーション及び完全に被覆された穴を含む冷却穴の熱特性のうちの少なくとも1つを含む、実施態様項1乃至実施態様項13のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様15]
同期機械運動特性が、線形及び回転加速度、線形及び回転速度、並びに視野のうちの少なくとも一方を含む、実施態様項1乃至実施態様項14のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様16]
レーザー経路計画が、物品の1以上の穴又は基板への有害な熱影響を最小化又は低減する、実施態様項1乃至実施態様項15のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様17]
レーザー特性が、レーザー光によって生成したアブレーション生成物に起因するレーザー光減衰を最小化又は低減する、実施態様項1乃至実施態様項16のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様18]
レーザー経路計画を作成するステップが、第1のアブレーションパターン及び第2のアブレーションパターンを確立し、第1のアブレーションパターンが第2のアブレーションパターンと異なる、実施態様項1乃至実施態様項17のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様19]
第1の加工帯域から第2の加工帯域に移行するときに、レーザー及び物品の少なくとも一方を移動させることをさらに含む、実施態様項1乃至実施態様項18のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様20]
レーザーが、オン構成でレーザービームパルスを送り、かつオフ構成ではレーザービームパルスを送らないように構成され、レーザーがオフ構成にある時間が最小化又は低減するように構成される、実施態様項1乃至実施態様項19のいずれか1項に記載の方法。
【符号の説明】
【0038】
10 物品
12 物品の外面
14 穴
20 レーザーアブレーションシステム
22 レーザー
24 制御システム
30 レーザーパルス幅
32 オン構成
34 オフ構成
810 スキャナーコントローラ
820 ガルバノスキャナーミラー
830 レーザービーム
840 カメラ
842 視野
850 ビームスプリッター
860 トラッキングシステム
【外国語明細書】