(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169328
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】燃料電池触媒電極の製造方法およびこれにより製造された燃料電池触媒電極
(51)【国際特許分類】
H01M 4/96 20060101AFI20241128BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20241128BHJP
H01M 4/92 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M4/96 B
H01M4/96 M
H01M4/88 C
H01M4/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073956
(22)【出願日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】10-2023-0066553
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】シン ジュ ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ スン キュ
(72)【発明者】
【氏名】リ スン チュル
(72)【発明者】
【氏名】リ ジン ファ
(72)【発明者】
【氏名】リ キュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】リ ヒョ ジュン
【テーマコード(参考)】
5H018
【Fターム(参考)】
5H018AA06
5H018AA07
5H018AS02
5H018BB06
5H018BB08
5H018BB12
5H018DD05
5H018EE03
5H018EE04
5H018EE05
5H018EE17
5H018EE18
5H018EE19
5H018HH01
5H018HH02
5H018HH05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃料電池の触媒電極、特に、正極(空気極)内で触媒反応の活性に優れ、向上した電気伝導性を示し、電極層のクラックの発生が抑制されて電極の面性状が改善した燃料電池触媒電極、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、触媒、バインダー、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーを含む触媒層を含み、前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmであり、前記触媒100重量部に対して前記カーボンナノファイバーを7.5重量部~11.5重量部含む燃料電池触媒電極、およびこれを製造する燃料電池触媒電極の製造方法を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒、バインダー、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーを含む触媒層を含み、
前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、
前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmであり、
前記触媒100重量部に対して前記カーボンナノファイバーを7.5重量部~11.5重量部含む、燃料電池触媒電極。
【請求項2】
前記触媒は、第1触媒および第2触媒を含み、
前記第1触媒は、触媒金属および触媒金属が担持された多孔性活性化炭素を含み、
前記第2触媒は、触媒金属および触媒金属が担持されたカーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項3】
前記多孔性活性化炭素は、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、活性炭、および多孔性カーボンからなる群から選択される1種以上を含む、請求項2に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項4】
前記触媒金属は、白金または白金系合金を含み、
前記白金系合金は、白金と金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上の合金である、請求項2に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項5】
前記バインダーは、イオン伝導性高分子である、請求項1に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブの平均直径は、5~100nmである、請求項1に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項7】
前記カーボンナノファイバーは、ヘリンボーンタイプのカーボンナノファイバーである、請求項1に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項8】
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が100nm~200nmである、請求項1に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項9】
前記カーボンナノファイバーは、比表面積が30~80m2/gである、請求項1に記載の燃料電池触媒電極。
【請求項10】
触媒金属を多孔性活性化炭素に担持させて第1触媒を製造するステップ(S10)と、
触媒金属をカーボンナノチューブに担持させて第2触媒を製造するステップ(S11)と、
第1触媒、第2触媒を含む触媒、バインダー、カーボンナノファイバーを溶媒に分散および混合して触媒スラリーを製造するステップ(S20)と、
前記触媒スラリーを基材上にコーティングして触媒層を形成するステップ(S30)とを含み、
前記カーボンナノファイバーは、前記触媒100重量部に対して7.5重量部~11.5重量部の量で混合され、
前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、
前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmである、燃料電池触媒電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池触媒電極および燃料電池触媒電極の製造方法に関し、より詳細には、電解質膜直接コーティング方法により製造されたクラック発生のない燃料電池触媒電極およびクラック発生の可能性を低減することができる燃料電池触媒電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電池内において、水素、メタノールなどの燃料を電気化学的に酸化させて、燃料の化学的エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。特に、高分子電解質膜燃料電池(PEFC、Polymer Electrolyte membrane Fuel Cell)は、イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜を用いて、固体酸化物燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)などの高温運転燃料電池に比べて、低温運転が可能であり、簡易なシステムの実現が可能であり、車両および建物などの電源として使用されている。
【0003】
このような高分子電解質膜燃料電池は、負極(水素極)、正極(空気極)および水素イオン伝導性高分子電解質膜を含む膜電極接合体(MEA、Membrane Electrode Assembly)を含む。ここで、前記負極(水素極)および正極(空気極)は、それぞれ燃料の酸化反応と酸素の還元反応を起こすことができる同種または異種の貴金属触媒が、多孔性担持体の表面に均一に分散した形態で存在する。触媒は、種類に応じて電荷移動抵抗などにおいて差を示し、触媒の表面の形状から由来する比表面積、疎水性などの物性によって、水排出特性などにおいても差を示す。
【0004】
膜電極接合体の負極(水素極)および正極(空気極)には、電気伝導性を向上させるために、カーボンナノチューブを添加する方法が用いられており、カーボンナノチューブが添加される場合、電極層の強度が向上することができる。しかし、電解質膜に電極層を直接コーティングする方法に、カーボンナノチューブを添加する方法を適用する場合には、安定した構造体が形成された電極層が形成され難く、電極層の面性状においてクラックが形成されるなどの問題が発生し得る。
【0005】
したがって、電極層に発生し得るクラックを除去して、より立体的でロバスト性のある電極層を形成することができる製造方法およびこれにより製造された電極層を含む燃料電池触媒電極の開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2022-0057028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、燃料電池の触媒電極、特に、正極(空気極)内で触媒反応の活性に優れ、向上した電気伝導性を示し、電極層のクラックの発生が抑制されて、電極の面性状が改善した燃料電池触媒電極を提供することである。
【0008】
本発明の他の解決しようとする課題は、燃料電池の触媒電極、特に、正極(空気極)内で触媒反応の活性に優れ、向上した電気伝導性を示し、電極層のクラックの発生が抑制されて、電極の面性状が改善した燃料電池触媒電極の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、燃料電池触媒電極および燃料電池触媒電極の製造方法を提供する。
【0010】
[1]本発明は、触媒、バインダー、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーを含む触媒層を含み、前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmであり、前記触媒100重量部に対して前記カーボンナノファイバーを7.5重量部~11.5重量部含む燃料電池触媒電極を提供する。
【0011】
[2]本発明は、前記[1]において、前記触媒は、第1触媒および第2触媒を含み、前記第1触媒は、触媒金属および触媒金属が担持された多孔性活性化炭素を含み、前記第2触媒は、触媒金属および触媒金属が担持されたカーボンナノチューブを含む燃料電池触媒電極を提供する。
【0012】
[3]本発明は、前記[2]において、前記多孔性活性化炭素は、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、活性炭、および多孔性カーボンからなる群から選択される1種以上を含む燃料電池触媒電極。
【0013】
[4]本発明は、前記[2]または[3]において、前記触媒金属は、白金または白金系合金を含み、前記白金系合金は、白金と金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上の合金である燃料電池触媒電極を提供する。
【0014】
[5]本発明は、前記[1]~[4]のいずれか一つにおいて、前記バインダーは、イオン伝導性高分子である燃料電池触媒電極を提供する。
【0015】
[6]本発明は、前記[1]~[5]のいずれか一つにおいて、前記カーボンナノチューブの平均直径は、5~100nmである燃料電池触媒電極を提供する。
【0016】
[7]本発明は、前記[1]~[6]のいずれか一つにおいて、前記カーボンナノファイバーは、ヘリンボーンタイプのカーボンナノファイバーである燃料電池触媒電極を提供する。
【0017】
[8]本発明は、前記[1]~[7]のいずれか一つにおいて、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が100nm~200nmである燃料電池触媒電極を提供する。
【0018】
[9]本発明は、前記[1]~[8]のいずれか一つにおいて、前記カーボンナノファイバーは、比表面積が30~80m2/gである燃料電池触媒電極を提供する。
【0019】
[10]また、本発明は触媒金属を多孔性活性化炭素に担持させて第1触媒を製造するステップ(S10)と、触媒金属をカーボンナノチューブに担持させて第2触媒を製造するステップ(S11)と、第1触媒、第2触媒を含む触媒、バインダー、カーボンナノファイバーを溶媒に分散および混合して触媒スラリーを製造するステップ(S20)と、前記触媒スラリーを基材上にコーティングして触媒層を形成するステップ(S30)とを含み、前記カーボンナノファイバーは、前記触媒100重量部に対して7.5重量部~11.5重量部の量で混合され、前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmである燃料電池触媒電極の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による燃料電池触媒電極およびその製造方法は、電極層が、触媒のカーボンナノチューブの他に、カーボンナノファイバーを含み、前記カーボンナノファイバーを所定の含量範囲で含むことから、触媒電極、特に、正極(空気極)内で触媒反応の活性に優れ、向上した電気伝導性を示し、電極層のクラックの発生が抑制されて、電極の面性状が改善した燃料電池触媒電極を提供することができ、燃料電池システムの製造に有用に使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ヘリンボーンタイプのカーボンナノファイバーを例示した図である。
【
図2】実施例1で製造された電極に対するSEM写真であり、上部および左側下部に示したSEM写真は、電極の断面に対するイメージであり、右側下部に示したSEM写真は、電極触媒層の表面に対するイメージである。
【
図3】比較例1で製造された電極に対するSEM写真であり、上部および左側下部に示したSEM写真は、電極の断面に対するイメージであり、右側下部に示したSEM写真は、電極触媒層の表面に対するイメージである。
【
図4】実施例1で製造された電極触媒層の表面に対するSEM写真である。
【
図5】比較例5で製造された電極触媒層の表面に対するSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に関する理解に資するため、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定することを意図しない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有してない限り、複数の表現を含む。
【0024】
本明細書において、用語「第1」および「第2」などの数字は、構成の区分を容易にするために任意に記載した数字であって、各構成に対して特別な意味を付与するものではない。
【0025】
本明細書において、「%」は、明示的な他の表示がない限り、重量%を意味する。
【0026】
本明細書において、「比表面積」は、BET法により測定したものであり、具体的には、BEL Japan社製のBELSORP-mino IIを用いて、液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出することができる。
【0027】
本明細書で使用する用語「カーボンナノチューブ」は、カーボンナノチューブの単位体が全体または部分的にバンドル型をなすように集合して形成された二次構造物であり、前記カーボンナノチューブの単位体は、黒鉛面(graphite sheet)がナノサイズ直径のシリンダー形態を有し、sp2結合構造を有する。ここで、前記黒鉛面が巻かれる角度および構造に応じて、導体または半導体の特性を示すことができる。カーボンナノチューブの単位体は、壁をなしている結合数に応じて、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT、single-walled carbon nanotube)、ダブルウォールカーボンナノチューブ(DWCNT、double-walled carbon nanotube)およびマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT、multi-walled carbon nanotube)に分類することができる。
【0028】
本発明は、燃料電池触媒電極、具体的には、燃料電池の負極を製造するための燃料電池触媒電極の製造方法を提供する。
【0029】
本発明の一実施形態によると、前記燃料電池触媒電極は、触媒、バインダー、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーを含む触媒層を含み、前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmであり、前記触媒100重量部に対して、前記カーボンナノファイバーを7.5重量部~11重量部含む。
【0030】
本発明の一実施形態による燃料電池触媒電極において、前記触媒は、第1触媒および第2触媒を含むことができる。
【0031】
前記第1触媒は、触媒金属および触媒金属が担持された多孔性活性化炭素を含むことができ、前記多孔性活性化炭素は、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、活性炭、および多孔性カーボンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0032】
本発明の一実施形態による燃料電池触媒電極において、前記第1触媒は、触媒金属が、前記多孔性活性化炭素100重量部に対して、10重量部~150重量部、30重量部~120重量部、または50重量部~100重量部担持されていることができ、前記範囲を満たす場合、担持体による電極安定性およびイオン伝導度を十分に確保し、且つ触媒反応活性を向上させる効果がさらに適切に発揮されることができる。
【0033】
前記第1触媒は、白金または白金系合金を含むことができ、前記白金系合金は、白金と金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上の合金であることができる。具体的には、前記第1触媒は、Pt-Mで表される白金系合金を含み、前記Ptは、白金であり、前記Mは、金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上であることができる。
【0034】
本発明の一実施形態による燃料電池触媒電極において、前記第2触媒は、触媒金属およびカーボンナノチューブを含むことができ、具体的には、触媒金属および触媒金属が担持されたカーボンナノチューブを含むことができる。前記第2触媒において、前記触媒金属は、前記カーボンナノチューブの側壁に付着されて担持されることができる。
【0035】
本発明の一実施形態によると、前記第2触媒は、前記触媒金属が、前記カーボンナノチューブ100重量部に対して、10重量部~150重量部、30重量部~120重量部、または50重量部~100重量部担持されることができ、前記範囲を満たす場合、担持体による電極安定性およびイオン伝導度を十分に確保し、且つ触媒反応活性を向上させる効果がさらに適切に発揮されることができる。
【0036】
前記第2触媒は、白金または白金系合金を含むことができ、前記白金系合金は、白金と金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上の合金であることができる。具体的には、前記第2触媒は、Pt-Mで表される白金系合金を含み、前記Ptは、白金であり、前記Mは、金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上であることができる。
【0037】
本発明の一実施形態によると、前記第1触媒と第2触媒は、100:5~100の重量比であることができ、具体的には、100:10~80の重量比、さらに具体的には、100:10~70の重量比を有することができる。
【0038】
本発明の一実施形態によると、第1触媒および第2触媒を同時に含むとともに、前記重量比を満たす場合、優れた触媒反応を発揮することができ、高電流領域において優れた出力を発揮することができ、優れた水排出特性を発揮することができる。
【0039】
本発明による燃料電池触媒電極の触媒層は、前記第1触媒、前記第2触媒および前記第2触媒が担持されたカーボンナノチューブの他に、カーボンナノファイバー(carbon nano fiber)をともに含む。前記カーボンナノファイバーは、前記第2触媒が担持されたカーボンナノチューブおよび第1触媒が担持されることができる前記多孔性活性化炭素に比べて、相対的にサイズが大きいという特徴を示すことができる。
【0040】
本発明の一実施形態による燃料電池触媒電極は、触媒電極内に前記カーボンナノチューブおよび多孔性活性化炭素に比べて、相対的にサイズが大きい前記カーボンナノファイバーをともに含むようにして、前記カーボンナノファイバーを中心に触媒および前記カーボンナノチューブおよび多孔性活性化炭素が電極構造を形成するようにすることで電極の結晶性とロバスト性を向上させ、電極のクラック発生を抑制することができ、クラックを除去することができる。
【0041】
前記カーボンナノファイバーは、カーボンナノチューブとは、長さにより区別することができる。前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmである。
【0042】
前記カーボンナノチューブの平均長さは、具体的には、100nm~700nmであることができ、さらに具体的には、200nm~500nmであることができる。
【0043】
また、前記カーボンナノチューブの平均直径は、5nm~100nmであることができ、具体的には、10nm~80nmであることができ、さらに具体的には、20nm~60nmであることができる。
【0044】
前記カーボンナノファイバーの平均長さは、具体的には、7μm~30μm、さらに具体的には、7μm~20μmであることができる。前記カーボンナノファイバーが前記平均長さ範囲を満たす場合、数μmの間隔で形成されることができる電極層のクラックを抑制することができ、電極層に形成され得るクラックを除去することができる。
【0045】
前記カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーの長さは、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができる。
【0046】
前記カーボンナノファイバーは、
図1に例示したようなヘリンボーンタイプのカーボンナノファイバーであることができる。
【0047】
また、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が100nm~200nmであることができ、具体的には、100nm~180nm、さらに具体的には、100nm~150nmであることができる。
【0048】
また、前記カーボンナノファイバーは、比表面積が30~80m2/gであることができ、具体的には、35~75m2/gであることができ、さらに具体的には、40~70m2/gであることができる。
【0049】
前記カーボンナノファイバーは、平均直径がカーボンナノチューブに比べて大きく、比表面積が小さいものであり、前記カーボンナノファイバーが前記平均直径および比表面積を満たす場合、前記第1触媒、第2触媒、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーを用いて触媒スラリーを製造するときに、触媒スラリーの物性に影響を及ぼさず、カーボンナノファイバーの使用による前記効果を発揮することができる。
【0050】
本発明の一実施形態による燃料電池触媒電極は、前記第1触媒および第2触媒を含む触媒100重量部に対して、前記カーボンナノファイバーを7.5重量部~11.5重量部、具体的には、7.5重量部、8重量部、8.5重量部、または9重量部以上、11.5重量部、11重量部、10.5重量部または10重量部以下の量で含むことができる。
【0051】
本発明による燃料電池触媒電極において、前記カーボンナノチューブおよび前記カーボンナノファイバーが前記含量を満たす場合、前記カーボンナノチューブと前記カーボンナノファイバーとの間にクロスリンク(cross-link)が形成されることができ、触媒電極の結着特性が向上することができ、電極層にクラックの発生が抑制されることができる。前記カーボンナノチューブの含量または前記ナノチューブの含量が前記範囲に比べて少ない場合、製造された電極層にクラックが発生する可能性があり、前記ナノチューブの含量が前記範囲に比べて多すぎる場合、カーボンナノチューブが絡み合い粗大粒子を形成する可能性がある。
【0052】
前記バインダーは、イオン伝導性高分子であることができ、具体的には、前記イオン伝導性高分子は、側鎖に、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの誘導体からなる群から選択されるカチオン交換基を有している高分子であることができる。
【0053】
本発明の一実施形態によると、前記イオン伝導性高分子は、フルオロ系高分子、ベンゾイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルフィド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル-エーテルケトン系高分子およびポリフェニルキノキサリン系高分子からなる群から選択される1種以上のイオン伝導性高分子であることができる。
【0054】
本発明の一実施形態によると、前記イオン伝導性高分子は、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)またはスルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体であることができる。また、アリールケトン、ポリ(2,2'-m-フェニレン)-5,5'-バイベンゾイミダゾール(poly(2,2'-m-phenylene)-5,5'-bibenzimidazole)およびポリ(2,5-ベンゾイミダゾール)のうち一つの高分子であり、側鎖に、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの誘導体からなる群から選択されるカチオン交換基が結合したイオン伝導性高分子であることができる。
【0055】
本発明の一実施形態によると、前記バインダーは、1種または2種以上の混合物であることができ、必要に応じて、非伝導性化合物をさらに含むことができ、この場合、高分子電解質膜との接着力をより向上させることができる。ここで、前記非伝導性化合物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ethylene/tetrafluoroethylene(ETFE))、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフル-4-オライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(PVdF-HFP)、ドデシルベンゼンスルホン酸およびソルビトール(Sorbitol)からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0056】
また、本発明は、前記燃料電池触媒電極の製造方法を提供する。
【0057】
本発明の燃料電池触媒電極の製造方法は、触媒金属を多孔性活性化炭素に担持させて第1触媒を製造するステップ(S10)と、触媒金属をカーボンナノチューブに担持させて第2触媒を製造するステップ(S11)と、第1触媒および第2触媒を含む触媒、バインダー、カーボンナノファイバーを溶媒に分散および混合して触媒スラリーを製造するステップ(S20)と、前記触媒スラリーを基材上にコーティングして触媒層を形成するステップ(S30)とを含み、前記カーボンナノファイバーは、前記触媒100重量部に対して7.5重量部~11.5重量部の量で混合され、前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであり、前記カーボンナノファイバーの平均長さは、7μm~50μmである。
【0058】
前記(S10)ステップは、触媒金属を多孔性活性化炭素に担持させて第1触媒を製造するステップである。
【0059】
本発明の一実施形態によると、前記触媒は、白金または白金系合金を含むことができ、前記白金系合金は、白金と金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上の合金であることができる。具体的には、前記第1触媒は、Pt-Mで表される白金系合金を含み、前記Ptは、白金であり、前記Mは、金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上であることができる。
【0060】
前記多孔性活性化炭素は、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、活性炭、および多孔性カーボンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0061】
前記(S11)ステップは、触媒金属をカーボンナノチューブに担持させて第2触媒を製造するステップである。
【0062】
本発明の一実施形態によると、前記第2触媒は、白金または白金系合金を含むことができ、前記白金系合金は、白金と金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上の合金であることができる。具体的には、前記第1触媒は、Pt-Mで表される白金系合金を含み、前記Ptは、白金であり、前記Mは、金、銀、銅、パラジウム、スズ、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、およびバナジウムから選択される1種以上であることができる。
【0063】
前記カーボンナノチューブの平均長さは、100nm~1μmであることができ、具体的には、100nm~700nmであることができ、さらに具体的には、200nm~500nmであることができる。
【0064】
また、前記カーボンナノチューブの平均直径は、5~100nmであることができ、具体的には、10nm~80nmであることができ、さらに具体的には、20nm~60nmであることができる。
【0065】
前記ステップ(S20)は、第1触媒、第2触媒、バインダー、カーボンナノファイバーを溶媒に分散および混合して触媒スラリーを製造するステップである。
【0066】
本発明の一実施形態において、前記ステップ(S20)では、前記ステップ(S10)で製造された第1触媒、前記ステップ(S11)で製造された第2触媒、バインダーおよびカーボンナノファイバーを溶媒に分散および混合して触媒スラリーを製造する。
【0067】
本発明の一実施形態による燃料電池触媒電極の製造方法において、前記溶媒に分散および混合する第2触媒の使用量は、前記第2触媒が含むカーボンナノチューブの含量に応じて決定されることができる。
【0068】
本発明の一実施形態によると、前記バインダーは、イオン伝導性高分子であることができる。具体的な例として、前記イオン伝導性高分子は、側鎖に、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの誘導体からなる群から選択されるカチオン交換基を有している高分子であることができる。
【0069】
本発明の一実施形態によると、前記イオン伝導性高分子は、フルオロ系高分子、ベンゾイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルフィド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル-エーテルケトン系高分子およびポリフェニルキノキサリン系高分子からなる群から選択される1種以上のイオン伝導性高分子であることができる。
【0070】
本発明の一実施形態によると、前記イオン伝導性高分子は、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)またはスルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体であることができる。また、アリールケトン、ポリ(2,2'-m-フェニレン)-5,5'-バイベンゾイミダゾール(poly(2,2'-m-phenylene)-5,5'-bibenzimidazole)およびポリ(2,5-ベンゾイミダゾール)のうち一つの高分子であり、側鎖に、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの誘導体からなる群から選択されるカチオン交換基が結合したイオン伝導性高分子であることができる。
【0071】
本発明の一実施形態によると、前記バインダーは、1種または2種以上の混合物であることができ、必要に応じて、非伝導性化合物をさらに含むことができ、この場合、高分子電解質膜との接着力をより向上させることができる。ここで、前記非伝導性化合物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ethylene/tetrafluoroethylene(ETFE))、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフル-4-オライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(PVdF-HFP)、ドデシルベンゼンスルホン酸およびソルビトール(Sorbitol)からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0072】
本発明の一実施形態によると、前記溶媒は、前記触媒スラリーを製造するにあたり、第1触媒、第2触媒、バインダーおよびカーボンナノファイバーを混合および分散させるための分散剤であることができる。具体的な例として、前記溶媒は、水系溶媒または有機系溶媒であることができる。前記水系溶媒は、水、アルコールまたはこれらの混合物を含むことができる。前記アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコールなどの第一級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリオールからなる群から選択される1種以上であることができる。また、前記有機系溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0073】
本発明の一実施形態によると、前記第1触媒と第2触媒は、100:5~100の重量比で前記溶媒に分散されることができ、具体的には、100:10~80の重量比、さらに具体的には、100:10~70の重量比で前記溶媒に分散されることができる。
【0074】
本発明の一実施形態によると、第1触媒および第2触媒を同時に含むとともに、前記重量比を満たす場合、優れた触媒反応を発揮することができ、高電流領域において優れた出力を発揮することができ、優れた水排出特性を発揮することができる。
【0075】
前記(S30)ステップは、触媒スラリーを基材上にコーティングして触媒層を形成するステップである。
【0076】
前記(S30)ステップでは、前記触媒スラリーを基材上にコーティングまたは転写して触媒層が形成された電極を製造するステップであり、燃料電池触媒電極を取得するためのステップである。
【0077】
本発明の一実施形態による燃料電池触媒電極の製造方法において、前記(S30)ステップは、触媒スラリーに含まれた溶媒を乾燥させるための乾燥ステップまたは揮発させるための熱処理ステップを含んで実施されることができる。
【0078】
本発明の一実施形態によると、前記基材は、前記触媒スラリーから燃料電池触媒電極を製造するための支持層であり、燃料電池触媒電極に使用されることができる基材であれば、特に制限なく利用可能である。また、前記基材は、場合に応じて、高分子電解質膜自体であることができる。
【0079】
本発明による燃料電池触媒電極の製造方法は、前記触媒スラリーを製造するステップ(S20)にあたり、前記カーボンナノファイバーが、前記触媒100重量部に対して、前記含量を満たすように使用されることができ、これを満たす場合、前記第2触媒に含まれたカーボンナノチューブとカーボンナノファイバーとの間にクロスリンク(cross-link)が形成されることができ、触媒電極の結着特性が向上することができ、電極層にクラックの発生が抑制されることができる。前記カーボンナノファイバーの含量が前記範囲に比べて少ない場合、製造された電極層にクラックが発生する可能性があり、前記カーボンナノファイバーの含量が前記範囲に比べて多すぎる場合、カーボンナノファイバーが絡み合い粗大粒子を形成する可能性がある。
【0080】
前記燃料電池触媒電極は、優れた触媒反応を発揮することができ、高電流領域において優れた出力を発揮することができ、電極層にクラックを含むか使用時にクラックが形成されず、優れた寿命特性を発揮することができる。
【0081】
また、本発明は、高分子電解質膜を含む膜電極接合体を提供する。前記膜電極接合体は、負極と、正極と、負極と正極との間に介在された高分子電解質膜とを含み、前記正極は、本発明による燃料電池触媒電極であることができる。
【0082】
本発明の一実施形態によると、前記膜電極接合体は、水素ガスなどの燃料と酸素を含む空気の電気化学触媒反応が行われる電極および水素イオンの伝達が行われる高分子電解質膜の接合体であることができ、負極、正極および負極と正極との間に介在された高分子電解質膜が互いに接着されていることができる。
【0083】
本発明の一実施形態によると、前記膜電極接合体は、反応ガスを供給する負極(燃料極または水素極)および正極(酸素極または空気極)の一面にガス拡散層が導入されていることができる。具体的な例として、負極および正極それぞれの一面に導入されたガス拡散層の間に前記膜電極接合体が介在されていることができる。
【0084】
本発明の一実施形態によると、前記膜電極接合体は、反応ガスを供給する負極(燃料極または水素極)および正極(酸素極または空気極)の他の一面に触媒層が導入されていることができる。具体的な例として、負極および正極それぞれの一面に導入された触媒層の間に前記高分子電解質膜が介在されていることができる。
【0085】
本発明の一実施形態によると、前記膜電極接合体は、負極/高分子電解質膜/正極、ガス拡散層/負極/高分子電解質膜/正極、負極/高分子電解質膜/正極/ガス拡散層、ガス拡散層/負極/高分子電解質膜/正極/ガス拡散層、負極/触媒層/高分子電解質膜/正極、負極/高分子電解質膜/触媒層/正極、負極/触媒層/高分子電解質膜/触媒層/正極、ガス拡散層/触媒層/負極/高分子電解質膜/正極、ガス拡散層/負極/高分子電解質膜/触媒層/正極、ガス拡散層/触媒層/負極/高分子電解質膜/触媒層/正極、負極/高分子電解質膜/触媒層/正極/ガス拡散層、負極/触媒層/高分子電解質膜/正極/ガス拡散層、負極/触媒層/高分子電解質膜/触媒層/正極/ガス拡散層、およびガス拡散層/触媒層/負極/高分子電解質膜/触媒層/正極/ガス拡散層からなる群から選択される1種の積層構成を有する積層体であることができる。
【0086】
本発明の一実施形態によると、前記負極は、上記で記載した燃料電池触媒電極であることができ、これにより、前記触媒層は、上記で記載した燃料電池触媒電極の触媒層であることができる。
【0087】
本発明の一実施形態によると、前記正極の触媒層は、触媒金属および触媒金属が担持された導電材を含むことができる。前記正極の触媒は、酸素の還元反応を促進する金属を含むことができ、具体的な例として、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウムおよびこれらの合金などであることができる。また、前記導電材は、活性化炭素であることができる。また、前記正極の触媒層は、バインダーとして、前記燃料電池触媒電極のバインダーと同じイオン伝導性高分子を含むことができる。
【0088】
本発明の一実施形態によると、前記高分子電解質膜は、イオン伝導性高分子であることができ、上記で記載した燃料電池触媒電極のバインダーと同じイオン伝導性高分子であることができる。さらに他の例として、前記イオン伝導性高分子は、スルホン酸基を含むイオン伝導性高分子であることができる。
【0089】
本発明の一実施形態によると、スルホン酸基を含むイオン伝導性高分子は、フッ素系高分子、炭化水素系高分子および部分フッ素系高分子からなる群から選択される1種以上の高分子がスルホン化されていてもよく、この場合、水素イオン伝導性および反応ガス遮断性に優れる効果がある。
【0090】
本発明の一実施形態によると、前記スルホン化フッ素系高分子は、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)およびスルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0091】
本発明の一実施形態によると、前記スルホン化炭化水素系高分子は、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリホスファゲン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルベンゾイミダゾール、スルホン化ポリアリレンエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリスタイレン、スルホン化ポリイミダゾール、スルホン化ポリエーテルケトンケトンおよびスルホン化ポリアリールエーテルベンゾイミダゾールからなる群から選択される1種以上であることができる。
【0092】
本発明の一実施形態によると、前記スルホン化部分フッ素系高分子は、スルホン化ポリ(アリレンエーテルスルホン-コ-ビニリデンプロライド)、スルホン化トリフルオロスチレン-グラフト-ポリ(テトラフルオロエチレン)およびスチレン-グラフトスルホン化ポリビニリデンフルオライドからなる群から選択される1種以上であることができる。
【0093】
本発明の一実施形態によると、前記膜電極接合体は、負極;正極;負極と正極との間に介在された高分子電解質膜を互いに密着させた状態で熱圧着などの圧着によって製造されることができる。また、前記膜電極接合体は、高分子電解質膜の一面、または両面に負極と正極の触媒層を形成するための触媒層スラリーを直接塗布および乾燥して製造されることができる。
【0094】
本発明の一実施形態によると、前記ガス拡散層は、微細気孔層(Micro-Porous Layer、MPL)と、マクロ気孔支持体(Macro-Porous Substrate)の二重層構造で構成されることができる。前記微細気孔層は、アセチレンブラックカーボン(Acetylene Black Carbon)、ブラックパールカーボン(Black Pearls Carbon)などの炭素粉末とポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)系の疎水性物質(Hydrophobic Agent)を混合して製造した後、用途に応じて、マクロ気孔支持体の一面または両面に塗布されることができる。前記マクロ気孔支持体は、炭素繊維およびポリテトラフルオロエチレン系の疎水性物質で構成されることができ、具体的な例として、炭素繊維クロス(Cloth)、炭素繊維フェルト(Felt)および炭素繊維ペーパー(Paper)型などの炭素繊維が使用されることができる。
【0095】
また、本発明は前記膜電極接合体を含む燃料電池を提供する。前記燃料電池は、スタック、燃料供給部および酸化剤供給部を含むことができる。
【0096】
本発明の一実施形態によると、前記スタックは、前記膜電極接合体を一つまたは二つ以上含むことができ、膜電極接合体が二つ以上含まれる場合には、これらの間に介在されるバイポーラプレートを含むことができる。前記バイポーラプレートは、外部から供給された燃料および酸化剤を膜電極接合体に伝達するとともに、負極および正極を直列に連結する伝導体の役割をする。
【0097】
本発明の一実施形態によると、前記燃料供給部は、燃料を前記スタックに供給することができ、燃料を貯蔵する燃料タンクおよび燃料タンクに貯蔵された燃料をスタックに供給するポンプを含むことができる。前記燃料としては、ガスまたは液体状態の水素または炭化水素燃料が使用されることができ、炭化水素燃料の例としては、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール、または天然ガスであることができる。
【0098】
本発明の一実施形態によると、前記酸化剤供給部は、酸化剤を前記スタックに供給することができる。前記酸化剤としては、空気が代表的に使用されることができ、酸素または空気をポンプで注入して使用することができる。
【0099】
本発明の一実施形態によると、前記燃料電池は、高分子電解質膜燃料電池、直接液体燃料電池、直接メタノール燃料電池、直接ギ酸燃料電池、直接エタノール燃料電池、または直接ジメチルエーテル燃料電池などであることができる。
【0100】
また、前記燃料電池は、建物発電用燃料電池であることができる。
【0101】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【実施例0102】
50重量%Pt/C触媒(Pt:Cの重量比1:1、Tanaka Kikinzoku Kogyo KK)およびPt-CNT触媒を85:15の重量比で含む触媒、および前記触媒100重量部に対して、アスペクト比90、平均長さ10μmのカーボンナノファイバー10重量部を混合して触媒組成物を準備した。
【0103】
ジプロピレングリコールと水を1:1の重量比で混合した溶媒100重量部に、前記触媒組成物13.6重量部およびバインダーとしてアイオノマー(AsahiKasei社製)4.1重量部を投入した後、3-ロールミルを用いて均一に分散および混合して触媒スラリーを製造した。
【0104】
前記製造された触媒スラリーをフッ化ポリイミド(Fluorinated Polyimide、FPI、FM2社製)フィルム上に0.05mg/cm2でコーティングし、乾燥オーブンを用いて、60℃で2時間乾燥させて燃料電池触媒電極を製造した。
前記実施例1で触媒組成物に混合されるカーボンナノファイバーとしてアスペクト比45、長さ7μmであるカーボンナノファイバーを使用した以外は、前記実施例1と同様の方法で燃料電池触媒電極を製造した。