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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016933
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】汚泥処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/147 20190101AFI20240201BHJP
   C02F 11/121 20190101ALI20240201BHJP
【FI】
C02F11/147
C02F11/121 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119228
(22)【出願日】2022-07-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】399034220
【氏名又は名称】日本エイアンドエル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉田 望
(72)【発明者】
【氏名】山内 豊志
(72)【発明者】
【氏名】木村 和保
(72)【発明者】
【氏名】木下 竜太
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059AA10
4D059BE04
4D059BE08
4D059BE15
4D059BE16
4D059BE26
4D059BE38
4D059BE55
4D059BE57
4D059BE58
4D059BE59
4D059BE61
4D059BF02
4D059DA05
4D059DA17
4D059DA23
4D059DB11
4D059DB16
4D059DB18
4D059DB24
4D059EB06
4D059EB11
(57)【要約】
【課題】脱水汚泥の含水率を効率的に低下させることで脱水汚泥量を低減し、処理コストを削減することができる汚泥処理方法を提供すること
【解決手段】汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集させた後、凝集汚泥を脱水し、脱水汚泥を処理する、汚泥処理方法であって、30~58℃の汚泥に高分子凝集剤を添加する、汚泥処理方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集させた後、凝集汚泥を脱水し、脱水汚泥を処理する、汚泥処理方法であって、
30~58℃の汚泥に高分子凝集剤を添加する、汚泥処理方法。
【請求項2】
高分子凝集剤を2種類以上添加する、請求項1に記載の汚泥処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や発電所などから発生する汚泥は、脱水を経て埋め立てや焼却処理されることが一般的である。
【0003】
汚泥の最終処理までの工程としては、汚泥を高分子凝集剤で凝集し、脱水機で脱水した脱水汚泥を処理する方法が一般的であるが、脱水汚泥の含水率が高いと処理する脱水汚泥量が多くなってしまうため、処理コストの増加へつながってしまうという問題があった。汚泥を効率的に脱水するための方法が種々報告されているが、設備、運転コストの観点では、さらに低コストで効率的な方法が求められている。
【0004】
特許文献1には、汚泥を高温で保持した後に高分子凝集剤で凝集して脱水することにより、含水率の低い脱水汚泥を得ることができる汚泥の脱水方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-103952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、高温で保持する工程にコストがかかってしまう上に、脱水汚泥の含水率も依然として高いため、脱水汚泥量が多く、処理コストの削減としては不十分であった。
【0007】
本発明の目的は、脱水汚泥の含水率を効率的に低下させることで脱水汚泥量を低減し、処理コストを削減することができる、汚泥処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集させた後、凝集汚泥を脱水し、脱水汚泥を処理する、汚泥処理方法であって、30~58℃の汚泥に高分子凝集剤を添加する、汚泥処理方法を提供する。
【0009】
本発明の汚泥処理方法は、脱水汚泥の含水率をより効率的に低下させることで脱水汚泥量を低減し環境負荷を低減するとともに、処理コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、脱水汚泥の含水率を効率的に低下させることで脱水汚泥量を低減し、処理コストを削減することができる、汚泥処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態における汚泥処理方法は、汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集させた後、凝集汚泥を脱水し、脱水汚泥を処理する、汚泥処理方法であって、30~58℃の汚泥に高分子凝集剤を添加する。なお、本実施形態における汚泥処理方法は、バッチ処理にも連続処理にも適用することができる。
【0013】
本実施形態における汚泥としては、液体中に粒子状の固体が分散した分散液や泥状物であり、下水処理場、工場、発電所等から排出される油分、界面活性剤、合成ゴム、合成樹脂、染色排水、皮革製造排水、塗料排水などを含む有機汚泥や、土木工事現場、浄水場、工場等から排出される砂や金属成分などを含む無機汚泥が例示される。界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン性乳化剤や、ポリオキシエチレンラウリルエーテルのようなノニオン性乳化剤が挙げられる。合成ゴムとしては、例えば、スチレン・ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン系ゴムなどのジエン系ゴムやアクリルゴムなどが挙げられる。
【0014】
本実施形態における高分子凝集剤としては、一般的な高分子凝集剤を用いることができ、例えば、アクリルアマイド(共)重合体などのポリアクリルアマイド系凝集剤、ポリスチレンスルホン酸などのスチレン系凝集剤などから選ばれる、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系のものを用いることができる。その他、キトサン系の高分子凝集剤や、アルギン酸系の高分子凝集剤を用いることもできる。それらの中でも、性能やコストなどの点から、ポリアクリルアマイド系高分子凝集剤が好ましい。
【0015】
本実施形態においては、高分子凝集剤を2種類以上添加することが好ましい。高分子凝集剤を2種類以上添加することにより、脱水性が向上、脱水汚泥の含水率が低下し、脱水汚泥量が低減する傾向にある。
【0016】
高分子凝集剤の添加量は、汚泥に対して100~1000ppmであることが好ましく、150~800ppmであることがより好ましく、200~600ppmであることがさらに好ましい。100ppm未満であると、汚泥の凝集が十分に行えず、脱水汚泥の含水率が高くなり、脱水汚泥量が多くなる傾向にある。1000ppmを超えると、脱水性が低下、脱水汚泥の含水率が高くなり、脱水汚泥量が多くなる傾向にある。
【0017】
本実施形態においては、30~58℃の汚泥に高分子凝集剤を添加する。30℃未満であると、脱水性が低下、脱水汚泥の含水率が高くなり、脱水汚泥量が多くなる。また58℃を超えると、コストが大きくなる上に、脱水性が低下、脱水汚泥の含水率が高くなり、脱水汚泥量が多くなる。好ましくは33~55℃であり、より好ましくは35~50℃である。
【0018】
高分子凝集剤を添加する方法は、例えば、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法、パワーフィード方法を採用することができる。中でも、連続添加方法を用いることが好ましい。
【0019】
本実施形態においては、汚泥の凝集に従来公知の凝集装置を使用することができる。凝集槽は一つでも複数でも良いが、複数が好ましい。
【0020】
本発明の効果を損なわない範囲で、汚泥に前処理を行うことが好ましい。前処理を行うことにより、脱水性が向上、脱水汚泥の含水率が低下し、脱水汚泥量が低減する傾向にある。
【0021】
前処理の方法としては、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、消石灰等の公知の無機凝集剤や上述の高分子凝集剤を用いることにより、あらかじめ汚泥を微小に凝集させる方法等が挙げられる。
【0022】
本実施形態においては、高分子凝集剤によって凝集させた後、その凝集汚泥を脱水する。凝集汚泥の脱水には従来公知の方法を用いることができ、織布又は不織布を用いたフィルター、遠心分離機、ロータリープレスフィルター、バグフィルター、スクリュープレス、フィルタープレス、ベルトプレス等の従来公知の脱水装置を使用することができる。
【0023】
本実施形態においては、凝集汚泥を脱水した後、その脱水汚泥を処理する。脱水汚泥の処理には、従来公知の方法、装置を用いることができる。
【実施例0024】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特段の断りが無い限り、%や部は質量を基準とする。
【0025】
(実施例1)
界面活性剤、合成ゴムを含む汚泥を第1凝集槽へ移し、熱源を加え32℃に加熱後、ポリアクリルアマイド系高分子凝集剤Aを汚泥に対して200ppm添加し、滞留させた。さらに、32℃の状態で第2凝集槽へ移し、ポリアクリルアマイド系高分子凝集剤Bを汚泥に対して200ppm添加し、滞留させ、凝集汚泥を得た。その後、凝集汚泥をスクリュープレスで圧搾し、脱水汚泥を得た。
【0026】
(実施例2~4)
汚泥の温度を表1記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして脱水汚泥を得た。
【0027】
(実施例5)
界面活性剤、合成ゴムを含む汚泥を第1凝集槽へ移し、熱源を加え51℃に加熱後、ポリアクリルアマイド系高分子凝集剤Aを400ppm添加し、滞留させ、凝集汚泥を得た。その後、凝集汚泥をスクリュープレスで圧搾し、脱水汚泥を得た。
【0028】
(比較例1、2)
汚泥の温度を表1記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして脱水汚泥を得た。
【0029】
<脱水汚泥量の評価>
同等量の汚泥に対して実施例1~5及び比較例1、2の条件で実施した場合の脱水汚泥の質量を測定し、比較例1に対する実施例1~5及び比較例2の質量の割合を表1に示した。
【0030】
【表1】
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集させた後、凝集汚泥を脱水し、脱水汚泥を処理する、汚泥処理方法において
汚泥は界面活性剤、合成ゴムを含む汚泥であり、
高分子凝集剤はポリアクリルアマイド系高分子凝集剤であり、
30~58℃の汚泥に高分子凝集剤を添加する、汚泥処理方法。
【請求項2】
高分子凝集剤を2種類以上添加する、請求項1に記載の汚泥処理方法。