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特開2024-169338葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定するシステム、装置、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169338
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定するシステム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20241128BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20241128BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241128BHJP
【FI】
A01G7/00 603
G01N21/27 B
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024076972
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】18/323,490
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/627,504
(32)【優先日】2024-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】500425703
【氏名又は名称】ダルハウジー、ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】DALHOUSIE UNIVERSITYT
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アル-マラヒ,アーマッド アリ ファラー
(72)【発明者】
【氏名】アブクメイル,リーム
(72)【発明者】
【氏名】ピント,フェリペ カンペロ フランカ
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB10
2G059BB12
2G059CC03
2G059EE02
2G059EE12
2G059FF10
2G059HH01
2G059HH02
2G059JJ01
2G059MM01
2G059MM10
(57)【要約】
【課題】葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定するシステム、装置、及び、方法を提供する。
【解決手段】方法は、葉のスペクトルデータをメモリに記憶することと、プロセッサを使用して、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換することと、プロセッサを使用して、1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化することと、を含む。1つ以上の非線形機械学習モデルは、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価を提供するように訓練される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定する方法であって、
(a)前記葉のスペクトルデータをメモリに記憶することと、
(b)プロセッサを使用して、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに前記葉のスペクトルデータを入力することによって、前記葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換することであって、前記1つ以上の線形機械学習モデルは前記予備的な葉柄の栄養価を出力することと、
(c)前記プロセッサを使用して、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに前記予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、前記予備的な葉柄の栄養価を精緻化することであって、前記1つ以上の非線形機械学習モデルは精緻化された葉柄の栄養価を出力することと、
(d)前記精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力することと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルは、異なる植物栄養素の前記栄養素摂取特性における相互関係をモデル化するように訓練される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記記憶することより前に、分光光度計を使用して植物の葉のスペクトル測定を行い、葉のスペクトルデータを生成することを更に備える、請求項1の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、多変量回帰モデルである、請求項1の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、サポートベクター回帰(SVR)モデル、ランダムフォレスト(RF)モデル、及び、極端勾配ブースティング(XGB)モデルのうちの1つである、請求項1の方法。
【請求項6】
前記植物の葉は、ジャガイモ植物の葉である、請求項1の方法。
【請求項7】
前記精緻化された葉柄の栄養価に少なくとも部分的に基づいて植物に肥料処置を適用することを更に備える、請求項1の方法。
【請求項8】
プロセッサによって実行可能な命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、実行時に、前記プロセッサを、
植物の葉からの葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、
前記プロセッサを使用して、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに前記葉のスペクトルデータを入力することによって、前記葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換し、
前記予備的な葉柄の栄養価を備える出力を前記1つ以上の線形機械学習モデルから受信し、
前記プロセッサを使用して、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに前記予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、前記予備的な葉柄の栄養価を精緻化し、
前記精緻化された葉柄の栄養価を備える出力を前記1つ以上の非線形機械学習モデルから受信し、
前記精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力する、
ように構成する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルは、異なる植物栄養素の前記栄養素摂取特性における相互関係をモデル化するように訓練される、請求項8の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記命令は、実行時に、前記プロセッサを、分光光度計を使用して植物の葉から取られた前記スペクトルデータを受信するように構成する、請求項8の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記1つ以上の線形機械学習モデルの各々は、ラッソ回帰モデルである、請求項8の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、多変量回帰モデルである、請求項8の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、サポートベクター回帰(SVR)モデル、ランダムフォレスト(RF)モデル、及び、極端勾配ブースティング(XGB)モデルのうちの1つである、請求項8の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記命令は、実行時に、前記プロセッサを、前記精緻化された葉柄の栄養価に少なくとも部分的に基づいて植物に肥料処置を適用するように構成する、請求項8の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定するシステムであって、
植物の葉からの葉のスペクトルデータを記憶するように構成されたメモリと、
葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに前記葉のスペクトルデータを入力することによって、前記葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換し、
前記予備的な葉柄の栄養価を備える出力を前記1つ以上の線形機械学習モデルから受信し、
予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに前記予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、前記予備的な葉柄の栄養価を精緻化し、
前記精緻化された葉柄の栄養価を備える出力を前記1つ以上の非線形機械学習モデルから受信し、
前記精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力する、
ように構成されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項16】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルは、異なる植物栄養素の前記栄養素摂取特性における相互関係をモデル化するように訓練される、請求項15のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは更に、分光光度計を使用して植物の葉から取られた前記スペクトルデータを受信するように構成される、請求項15のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、多変量回帰モデルである、請求項15のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、サポートベクター回帰(SVR)モデル、ランダムフォレスト(RF)モデル、及び、極端勾配ブースティング(XGB)モデルのうちの1つである、請求項15のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは更に、前記精緻化された葉柄の栄養価に少なくとも部分的に基づいて植物に肥料処置を適用するように構成される、請求項15のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本文書は、植物葉からの葉のスペクトルデータに基づいて葉柄の栄養価を判定するシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 植物は、成長及び生命維持のために多くの栄養素を必要とする。例えば、植物は、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び硫黄(S)のような多量要素を大量に必要とし得る。植物はまた、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、ナトリウム(Na)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びホウ素(B)のような微量要素も少量必要とし得る。
【0003】
[0003] 農業用途において、作物植物が適当量の必要な各栄養素を受け取らなければ、収穫作物の作物収量及び/又は品質が影響を受け得る。例えば、植物が十分な栄養素を受け取らなければ、作物収量及び/又は品質は低下し得る。場合によっては、栄養素の過剰な供給もまた、作物収量及び/又は品質を低下させ得る。
【0004】
[0004] 植物の栄養価状態を判定することは、作物収量及び/又は品質を向上させるために是正措置が実施されることを可能にすることができる。例えば、判定された植物の栄養価状態に基づいて、肥料の組成及び量が、1つ以上の特定の栄養素に合わせて調整され得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 以下の概要は、読者に以降のより詳細な議論を紹介するために提供される。この概要は、特許請求された発明又はまだ特許請求されていない発明を限定又は定義することを意図したものではない。1つ以上の発明が、特許請求の範囲及び図面を含む本文書のいずれかの部分に開示された要素又はプロセスステップの任意の組み合わせ又は部分的組み合わせに存在し得る。
【0006】
[0006] いくつかの態様によれば、携帯型分光光度計を使用して、作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定する方法が提供される。方法は、(a)携帯型分光光度計を使用して作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定を行い、葉のスペクトルデータを生成することと、(b)葉のスペクトルデータをメモリに記憶することと、(c)プロセッサによって、記憶された葉のスペクトルデータに基づいて葉柄の栄養価を算出することと、(d)葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果を提供することと、を備え得る。
【0007】
[0007] いくつかの態様によれば、作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するための装置が提供される。装置は、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の機械学習モデルを記憶するメモリと、そのメモリと通信可能に連結された少なくとも1つのプロセッサと、を備え得る。少なくとも1つのプロセッサは、集合的に、作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定に基づいて携帯型分光光度計によって生成された葉のスペクトルデータを受信し、葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、葉のスペクトルデータを1つ以上の機械学習モデルに入力し、葉のスペクトルデータに基づいて1つ以上の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を備える出力を受信し、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果をモバイルデバイスに提供するように構成され得る。
【0008】
[0008] いくつかの態様によれば、プロセッサによって実行可能な命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。命令は、実行時に、プロセッサを、作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定に基づいて携帯型分光光度計によって生成された葉のスペクトルデータを受信し、葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、葉のスペクトルデータを葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の機械学習モデルに入力し、葉のスペクトルデータに基づいて1つ以上の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を備える出力を受信し、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果を提供するように構成し得る。
【0009】
[0009] いくつかの態様によれば、作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するためのシステムが提供される。システムは、携帯型分光光度計と遠隔サーバとを備え得る。携帯型分光光度計は、作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定に基づいて葉のスペクトルデータを生成し、葉のスペクトルデータを遠隔サーバによる受信のためにネットワークを介して伝送するように構成され得る。遠隔サーバはプロセッサとメモリとを備えていてもよく、メモリは、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の機械学習モデルを記憶する。遠隔サーバは、葉のスペクトルデータを受信し、葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、葉のスペクトルデータを1つ以上の機械学習モデルに入力し、葉のスペクトルデータに基づいて1つ以上の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を受信し、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果をモバイルデバイスに提供するように構成され得る。
【0010】
[0010] いくつかの態様によれば、植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定する方法が提供される。方法は、(a)葉のスペクトルデータをメモリに記憶することと、(b)プロセッサを使用して、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換することであって、1つ以上の線形機械学習モデルは予備的な葉柄の栄養価を出力することと、(c)プロセッサを使用して、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化することであって、1つ以上の非線形機械学習モデルは精緻化された葉柄の栄養価を出力することと、(d)精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力することと、を備え得る。
【0011】
[0011] いくつかの態様によれば、プロセッサによって実行可能な命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。命令は、実行時に、プロセッサを、植物の葉からの葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、プロセッサを使用して、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換し、予備的な葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の線形機械学習モデルから受信し、プロセッサを使用して、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化し、精緻化された葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の非線形機械学習モデルから受信し、精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力するように構成し得る。
【0012】
[0012] いくつかの態様によれば、植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定するためのシステムが提供される。システムは、メモリとプロセッサとを備え得る。メモリは、植物の葉からの葉のスペクトルデータを記憶するように構成され得る。プロセッサは、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換し、予備的な葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の線形機械学習モデルから受信し、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化し、精緻化された葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の非線形機械学習モデルから受信し、精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013] ここに含まれる図面は、本明細書の物品、方法、及び装置の種々の例を示すためのものであり、教示されるものの範囲をいかなるようにも限定することを意図するものではない。
【0014】
図1】[0014] 一実施形態による、植物の葉であってその栄養価が判定され得るものの図である。
図2】[0015] 一実施形態による、作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するためのシステムの概略図である。
図3】[0016] 図2のシステムによって提供されモバイルデバイス上にグラフィック表示された葉柄の栄養価を示す結果の概略図である。
図4】[0017] 一実施形態による、作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するための装置の概略図である。
図5】[0018] 携帯型分光光度計を使用して作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定する例示的な方法を示すフローチャートである。
図6】[0019] 一実施形態によるジャガイモ植物の栄養素摂取特性(nutrient uptake characteristics)における相互関係を示す表である。
図7】[0020] 植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定する例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0021] 本願には多くの実施形態が記載されており、それらは例示のみを目的として提示されるものである。記載される実施形態は、いかなる意味においても限定的であることを意図されていない。本発明は、本明細書の開示から容易に明らかであるように、多くの実施形態に広く適用可能である。当業者には、本発明が、本明細書に開示される教示から逸脱することなく修正及び変更されて実施され得ることがわかるであろう。本発明の特定の特徴が、1つ以上の特定の実施形態又は図を参照して記載されるであろうが、そのような特徴は、記載に際して参照されるその1つ以上の特定の実施形態又は図における使用に限定されはしないことが理解されなければならない。
【0016】
[0022] 「ある実施形態(an embodiment)」、「実施形態(embodiment)」、「実施形態(embodiments)」、「実施形態(the embodiment)」、「実施形態(the embodiments)」、「1つ以上の実施形態」、「いくつかの実施形態」、及び「1つの実施形態」という用語は、別段の明記が無い限り、「本発明の1つ以上の(しかし全てではない)実施形態」を意味する。
【0017】
[0023] 「含む」、「備える」という用語及びこれらのバリエーションは、別段の明記が無い限り、「含むが限定されない」ことを意味する。項目の列挙は、別段の明記が無い限り、それらの項目のいずれか又は全てが相互排他的であることを示唆しない。「a」、「an」、及び「the」という用語は、別段の明記が無い限り、「1つ以上」を意味する。
【0018】
[0024] 本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、2つ以上の部品が直接的に又は間接的に(すなわち1つ以上の中間部品を介して)接合される又は協働する場合には、結合が生じる限り、それらの部品は、「連結される」、「接続される」、「付着される」、「接合される」、「固定される」、又は「締着される」と言われる。本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、2つ以上の部品が物理的接触をもって互いに接続される場合には、それらの部品は「直接連結される」、「直接接続される」、「直接付着される」、「直接接合される」、「直接固定される」、又は「直接締着される」と言われる。本明細書において使用されるとき、2つ以上の部品が互いに対して一定の配向を維持しながら一体として移動するように連結される場合には、それらの部品は「剛的に連結される」、「剛的に接続される」、「剛的に付着される」、「剛的に接合される」、「剛的に固定される」、又は「剛的に締着される」と言われる。「連結される」、「接続される」、「付着される」、「接合される」、「固定される」、及び「締着される」という用語はいずれも、2つ以上の部品が接合される手法を区別するものではない。
【0019】
[0025] また、方法ステップは、(本開示及び/又は特許請求の範囲において)ある連続順序で記載され得るが、そのような方法は代替的な順序で機能するように構成されてもよい。換言すれば、記載され得るステップの任意の順番又は順序は、必ずしも、ステップがその順序で実施されるという要件を示すとは限らない。本明細書に記載される方法のステップは、実用的な任意の順序で実施されてもよい。また、いくつかのステップが同時に実施されてもよい。
【0020】
[0026] 本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、要素のグループは、ある行為がそのグループ内の要素のうちいずれか1つによって実施されるか又はそのグループ内の2つ以上(もしくは全て)の要素によって協働的に実施される場合、その行為を「集合的に」実施すると言われる。
【0021】
[0027] 本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、特に別段の記載がない限り、第1の要素は、その第1の要素の少なくとも一部が第2の要素に受け入れられる場合、第2の要素に「受け入れられる」と言われる。
【0022】
[0028] 本明細書において、いくつかの要素は部品番号によって識別されてもよく、部品番号は、アルファベット又は下付き数字の接尾辞が後に続く基本番号からなる(例えば112a、又は1121)。本明細書において、複数の要素は、共通の基本番号を共有し接尾辞が異なる部品番号によって識別され得る(例えば112,112,及び112)。ある共通の基本番号を有する全ての要素は、接尾辞を除いた基本番号を用いて集合的又は総称的に参照され得る(例えば112)。
【0023】
[0029] 本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上向きに」、「垂直」、「高度」、「上側」、「下側」、及び類似の用語は、一般に重力と整合した(例えば重力に平行な)方向性を参照する。「遠位」、「近位」という用語及び類似の用語は、一般に重力に対して横方向(例えば垂直)である方向性を参照する。もっとも、この段落で言及される用語はいずれも、要素間のいかなる特定の位置合わせをも示唆しない。例えば、第1の要素が第2の要素よりも高い高度にある場合、第1の要素が第2の要素と垂直に整列されているかどうかにかかわらず、第1の要素は第2の要素の「垂直上方」にあると言われ得る。
【0024】
[0030] 一般に、植物の栄養価状態を判定するための植物組織試験は、破壊的であり、リアルタイムの結果を提供しない。例えば、農家は、測定のために、作物畑の植物から葉柄を収穫し得る。収穫された葉柄は、試験のために研究室に輸送されるであろう。実施される試験に応じて、多数の葉柄が破壊的に除去される必要があるかもしれない。
【0025】
[0031] 次いで、研究室が植物組織試験を行って、葉柄の栄養価を農家に提供し得る。葉柄を除去し、輸送し、試験し、結果を通知するプロセスは、完了するのに数週間かかる場合がある。この遅延は、結果に基づいて行われる任意の是正措置(例えば肥料の組成及び量を調節すること)の有効性を損なう。なぜなら、測定された植物の栄養素含有量が介在期間に変化した可能性があるからである。
【0026】
[0032] 開示されるシステム、装置、及び方法は、携帯型分光光度計を使用して、植物の栄養価状態の非破壊的且つほぼリアルタイムの判定を提供することができる。分子は、その構造に特徴的な周波数の光を吸収する。携帯型分光光度計は、探査領域(例えば植物の葉)内の様々な分子(栄養素)の存在及び濃度を示す非破壊スペクトル測定を行うために使用することができる。携帯型分光光度計は、植物の栄養価状態を判定するために使用され得る葉のスペクトルデータを(非破壊スペクトル測定に基づいて)生成することができる。試験のために植物から植物の葉又は葉柄が除去される必要はない。開示されるシステム、装置、及び方法は、試験のために使用される植物のいずれをも破壊することなしに植物の栄養価状態を提供することができる。
【0027】
[0033] また、開示されるシステム、装置、及び方法は、分析を行って、結果をほぼリアルタイムで、例えば10~20秒以内に提供することができる。これは、(判定された植物の栄養価状態に基づいて)任意の必要な是正措置が直ちに実施されることを可能にすることができる。本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、ある措置が、それが開始されたときから1分未満で実施される場合、その措置は「ほぼリアルタイム」で実施されると言われる。
【0028】
[0034] キャノピー反射率測定では、地上プラットフォーム又は空中プラットフォームを使用して、キャノピーを出る光の量と入射光の量との比を判定する。キャノピー反射率測定は、作物の栄養価状態を計算するために使用され得る。しかしながら、キャノピー反射率測定は、大気干渉及び土壌干渉を頻繁に受ける。開示されるシステム、装置、及び方法は、携帯型分光光度計を使用して植物の葉を探査することができ、地上プラットフォーム又は空中プラットフォームを使用してキャノピー反射率測定を行うことに関連する大気干渉及び/又は土壌干渉を回避する。
【0029】
[0035] ここで図1を参照すると、同図には植物10の図が示されており、その栄養価状態が、開示されるシステム、装置、又は方法を使用して判定され得る。図示される例において、植物10は、茎14と、葉18と、葉18を茎14に付着させる葉柄22と、を含む。葉18は、葉身26及び複数の葉脈30を含む。
【0030】
[0036] 葉身26の表面積は葉柄22と比較してはるかに大きくなり得、したがって、スペクトル反射率測定は葉柄22ではなく葉身26から行われ得る。よって、測定された栄養価は、葉柄の栄養価ではなく葉身に対応する栄養価を示し得る。
【0031】
[0037] 葉柄における栄養価は、植物の他の部分(例えば葉身)で測定される栄養価と同じではない。現在、そして歴史的に、農家は葉柄(具体的には、植物の上側先端から数えて4番目の葉柄)を研究室に送っており、研究室は葉柄の栄養価を返している。そのため、農家は、一般に、どのような是正措置が必要とされるかを、植物の他の部分に関連する栄養価に基づいてではなく、研究室での葉柄の栄養価に基づいて理解する。
【0032】
[0038] 開示されるシステム、装置、及び方法は、植物の葉身からスペクトル測定値を行って葉スペクトルデータを作成すると共にその葉スペクトルデータに基づいて葉柄の栄養価を算出することができる。(葉に関連する栄養価ではなく)葉柄の栄養価を提供することは、ユーザが、周知の理解されている是正措置を選択して適用することを可能にする。
【0033】
[0039] ここで図2を参照すると、同図には、一実施形態による、作物畑34の植物の葉18からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するためのシステム100の概略図が示されている。図示されるように、システム100は携帯型分光光度計104及び遠隔サーバ108を含み得る。
【0034】
[0040] 図示される例においては、携帯型分光光度計104と遠隔サーバ108とは、ネットワーク112を使用して通信可能に連結されている。ネットワーク112は、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又は別のタイプのネットワークなどの通信ネットワークを含み得る。他の例においては、携帯型分光光度計104及び遠隔サーバ108は、共通のネットワークに接続されていなくてもよく、中間デバイス及び/又は通信ネットワークを使用して通信してもよい。
【0035】
[0041] 作物畑34は、複数の植物10(例えば少なくとも500の植物)を含み得る。各植物10は、1枚以上の葉18を有し得る。植物10は、農業用途で栽培される任意の適当な植物を含み得る。例えば、植物10は、小麦、トウモロコシ、大豆、ジャガイモなどを含み得る。作物畑34は、屋外又は温室内に位置し得る。
【0036】
[0042] 携帯型分光光度計104は、携帯可能で植物10の葉の非破壊スペクトル測定を行うことができる、任意の適当な設計を有し得る。携帯型分光光度計104は、操作者が携帯型分光光度計を使用してスペクトル測定を行う間、操作者によって持ち運ばれるように、サイズ決め及び設計され得る。例えば、携帯型分光光度計104は、電池式であり得、操作者38によってバックパックに入れて持ち運ばれるように設計され得る。
【0037】
[0043] 携帯型分光光度計104内の光源は、葉への入射光を生成することができ、携帯型分光光度計104内の検出器は、植物10の葉から反射された光を測定することができる。携帯型分光光度計104は、反射スペクトル測定値に基づいて葉のスペクトルデータを生成し得る。
【0038】
[0044] いくつかの実施形態においては、携帯型分光光度計104は、スペクトル測定を行って、可視及び/又は近赤外波長範囲の葉のスペクトルデータを生成し得る。例えば、携帯型分光光度計104は、400nm~2500nmの波長範囲の葉のスペクトルデータを生成し得る。他の例においては、携帯型分光光度計104は、より小さい(例えば400nm~2000nm)又はより大きい(例えば350nm~2500nm)波長範囲の葉のスペクトルデータを生成し得る。より小さい波長範囲は、スペクトル測定のより速い完了を可能にし得、及び/又は葉柄の栄養価を算出するためにより少ない資源を必要とし得る。より大きい波長範囲は、より高い精度での葉柄の栄養価の判定及び/又はより多数の栄養素の検出を可能にし得る。波長範囲は、測定されている栄養価に基づいて手動で又は自動的に調節され得る。例えば、操作者38が手動で波長範囲を調節してもよい。他の例では、波長範囲は、例えば遠隔サーバ108によって、自動的に調節されてもよい。
【0039】
[0045] 携帯型分光光度計104は、測定される波長範囲内で離散的な波長間隔でスペクトル測定を行ってもよい。例えば、携帯型分光光度計104は、測定される波長範囲内で0.5nm波長間隔でスペクトル測定を行ってもよい。測定時に使用される波長間隔は、判定されている栄養価に基づいて手動で又は自動的に調節され得る。例えば、操作者38が手動で波長間隔を調節してもよい。他の例では、波長間隔は、例えば遠隔サーバ108によって、自動的に調節されてもよい。0.1nmから10nmに及ぶ様々な波長間隔が使用され得る。より小さい波長間隔は、より高い精度での栄養価の判定及び/又はより多数の栄養素の判定を可能にし得る。より大きい波長間隔は、栄養価のより速い判定を可能にし、及び/又は栄養価の判定のためにより少ない計算資源を必要とし得る。
【0040】
[0046] いくつかの実施形態においては、携帯型分光光度計104は、NIRS(商標)DS2500分析計又はASD(商標)FieldSpec4分光放射計であってもよい。他の実施形態においては、携帯型分光光度計104は、任意の他の適当な分光光度計であってもよい。
【0041】
[0047] 携帯型分光光度計104は、生成された葉のスペクトルデータを遠隔サーバ108による受信のために伝送するように構成され得る。図示される例においては、携帯型分光光度計104は、生成された葉のスペクトルデータを、ネットワーク112を介して遠隔サーバ108に伝送し得る。他の例においては、携帯型分光光度計104は、生成された葉のスペクトルデータを、中間デバイス、例えば操作者38のモバイルデバイス42に伝送し得る。携帯型分光光度計104は、生成された葉のスペクトルデータを、ポイントツーポイント通信又はローカルエリアネットワーク(例えばBluetooth(商標))を使用してモバイルデバイス42に伝送してもよく、モバイルデバイス42はその後、葉のスペクトルデータを、ラージエリアネットワーク/インターネットを使用して遠隔サーバ108に伝送し得る。
【0042】
[0048] モバイルデバイス42は、携帯可能で通信ネットワーク(例えば、携帯電話ネットワーク及び/又はwi-fiネットワークのような無線通信ネットワーク)を経由してデータを送受信することができる、任意の適当なデバイスであり得る。例えば、モバイルデバイス42は、無線通信機能を備えたラップトップ、タブレットデバイス、又はスマートフォンであってもよい。モバイルデバイス42は、携帯型分光光度計104と共に使用するように設計された専用のコンパニオンデバイスであってもよい。いくつかの実施形態においては、モバイルデバイス42は、携帯型分光光度計104との通信及び/又は携帯型分光光度計104から受信されたデータの分析のためのプロプライエタリソフトウェアを含む汎用デバイスであってもよい。いくつかの実施形態においては、携帯型分光光度計104及びモバイルデバイス42の機能が単一のデバイスによって提供されてもよい。
【0043】
[0049] 図示される例においては、遠隔サーバ108はプロセッサ116及びメモリ120を含む。プロセッサ116は、遠隔サーバ108の動作を制御し得る。プロセッサ116は、当業者に知られているように、システム100の構成、目的、及び要件に応じて十分な処理力を提供することができる、任意の適当なプロセッサ、コントローラ、又はデジタル信号プロセッサであり得る。例えば、プロセッサ116は、高性能汎用プロセッサであってもよい。例えば、プロセッサ116は、Intel(登録商標)プロセッサ又はAMD(登録商標)プロセッサなどの標準的なプロセッサを含み得る。あるいは、プロセッサ116は、各プロセッサが異なる専用タスクを実施するように構成された2つ以上のプロセッサを含んでいてもよい。あるいは、専用ハードウェア(例えばグラフィック処理ユニット(GPU))を使用して、プロセッサ116によって提供される機能のいくつかを提供することができる。
【0044】
[0050] メモリ120は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ、及びフラッシュメモリ(例えばソリッドステートドライブ)のうちの1つ以上を含み得る。遠隔サーバ108は、受信された葉のスペクトルデータをメモリ120に記憶し得る。例えば、遠隔サーバ108は、携帯型分光光度計104によって生成された葉のスペクトルデータを受信して、受信された葉のスペクトルデータをメモリ120に記憶し得る。
【0045】
[0051] メモリ120はまた、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された機械学習(ML)モデルも記憶し得る。機械学習モデルは、遠隔サーバ108によって生成及び訓練され得る。いくつかの実施形態においては、遠隔サーバ108は、外部デバイスによって生成された機械学習モデルを受信し得る。遠隔サーバ108は、受信された機械学習モデルを訓練して、訓練済みの機械学習モデルをメモリ120に記憶し得る。他の実施形態においては、訓練済みの機械学習モデルが外部デバイスから遠隔サーバ108によって受信されてもよい。遠隔サーバ108は、受信された訓練済みの機械学習モデルをメモリ120に記憶し得る。
【0046】
[0052] 種々の実施形態において、1つ又は複数の機械学習モデルを記憶するものとして本明細書に記載される任意の1つ以上(又は全て)のメモリ(例えばメモリ120)は、(例えば1つ又は複数の機械学習モデルを構築、訓練、及び/又は評定するための)関連するデータ前処理コードに加えて1つ又は複数の機械学習モデルを含む機械学習パイプラインを記憶し得る。
【0047】
[0053] 機械学習モデルに提供される葉のスペクトルデータの入力は、例えば、植物の葉身からスペクトル測定を行うことにより携帯型分光光度計104によって生成される葉のスペクトルデータを含み得る。機械学習モデルによって提供される葉柄の栄養価の出力は、例えば、N,P,K,Ca,Mg,S,Mn,Zn,Fe,B,Cu,Al,及びNaなどの1つ以上の栄養素について判定された葉柄の栄養価を含み得る。様々な栄養素についての葉柄の栄養価は、(総質量の)パーセンテージ値、g/kg、及び/又は百万分率(ppm)として表され得る。
【0048】
[0054] 機械学習モデルは、分析される入力データ、出力データ要件、利用可能な訓練データ、及び/又は利用可能な計算資源に基づく任意の適当な機械学習モデルであり得る。いくつかの実施形態においては、機械学習モデルは、1つ以上の単変量又は多変量の多重線形回帰(MLR)モデルから構成され得る。MLRモデルでは、ラッソ又はリッジ正則化を利用してラッソ又はリッジ回帰モデルが生成され得る。他の実施形態においては、機械学習モデルは、異なるモデル、例えば多項式回帰モデルであってもよい。他の実施形態においては、最大関連性最小冗長性(MRMR)法を通じた次元削減など、他のデータ前処理ステップも使用され得る。
【0049】
[0055] 機械学習モデルのための訓練データは、植物のスペクトル測定(例えば、葉身部分からの反射率スペクトル測定)を行い、機械学習モデルのための予測子(x)として作用する葉のスペクトルデータを生成することによって生成されてもよい。植物の対応する葉柄が除去されて研究室での組織分析に使用され得る。葉柄の研究室での組織分析の結果は、機械学習モデルの応答(y)として作用することができる。応答(y)と予測子(x)との間には相関のモデルが構築され得る。下記の式(1)は、相関係数βを使用するMLRモデルの一例を提供する。
【0050】
【数1】
【0051】
[0056] 予測子(x)の数が応答(y)の数よりも大きいと、MLRモデルの過剰適合が生じる可能性がある。MLRモデルの精度は、サブセット選択法を使用して予測子のサブセットを選択することによって向上され得る。いくつかの実施形態においては、ラッソMLRモデリングがサブセット選択法として使用されてもよい。他の実施形態においては、段階的サブセット選択又はベイズモデル平均化のような他のサブセット選択法が使用されてもよい。
【0052】
[0057] ラッソMLRモデリングは、収縮の量を制御する複雑性パラメータ(λ)を使用して、最も情報を提供する最も冗長でない予測子(波長)を識別するために用いられ得る。λの値が大きいほど、モデル内の非ゼロ係数のペナルティ化が大きくなり得、その結果、より大きい収縮が係数値に課され得る。二乗平均平方根誤差(RMSE)を最小化するλの値を選択することによって、ラッソ回帰モデルが生成され得る。選ばれたλパラメータは、予測されるターゲット変数に関して最大の説明力を有するものとして選択される、ラッソ回帰モデルを構成するであろう係数の数を決定し得る。例えば、5など様々な整数値のKを使用するK分割交差検証を用いてモデル訓練及び性能評価が行われてもよく、λの値は最小RMSEに基づいて選ばれる。下記の表1は、ジャガイモ植物から得られる葉のスペクトルデータ例について様々な要素のラッソMLRモデリングによりもたらされる数、範囲、及び最初の4つの重要な波長帯の値を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
[0058] プロセッサ116は、(例えば携帯型分光光度計104から)受信された葉のスペクトルデータ及び/又は(例えばメモリ120に)記憶された葉のスペクトルデータを、訓練済みの機械学習モデルに入力し得る。機械学習モデルは、葉のスペクトルデータに基づいて葉柄の栄養価を推定することができる。例えば、機械学習モデルは、ジャガイモ植物の葉身のスペクトル測定を行うことによって生成された葉のスペクトルデータに基づいて、N,P,K,Ca,Mg,S,Mn,Zn,Fe,B,Cu,Al,及びNaの葉柄の栄養価を推定することができる。プロセッサ116は、機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を受信し得る。
【0055】
[0059] プロセッサ116は、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果をモバイルデバイスに提供することができる。例えば、プロセッサ116は、ほぼリアルタイムの結果を操作者38のモバイルデバイス42に提供し得る。例えば、プロセッサ116は、ほぼリアルタイムの結果を、携帯型分光光度計がスペクトル測定を送信したときから1分未満(例えば0.01~30秒以内)にモバイルデバイス42に提供し得る。これは、操作者38が、作物畑の複数の植物から葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果を非破壊的に収集することを可能にし得る。
【0056】
[0060] ここで図2及び3を参照する。図3は、システム100によって提供されモバイルデバイス42上にグラフィック表示された葉柄の栄養価を示す結果の概略図を示す。モバイルデバイス42は、操作者38に対話型表示を提供するタッチスクリーンディスプレイ46を含み得る。タッチスクリーンディスプレイ46は、複数のディスプレイ部分50a~50cを提供し得る。例えば、ディスプレイ部分50aは、判定された葉柄の栄養価のグラフィック表示を提供してもよい。図示される例では、表示部分50aは、6つの栄養素について判定された葉柄の栄養価を表示する棒グラフを提供する。他の実施形態においては、ディスプレイ46は、タッチ入力を検出するように構成されなくてもよい。
【0057】
[0061] ディスプレイ部分50bは、判定された葉柄の栄養価に関する追加の情報、例えば、行われた葉のスペクトル測定の数、判定された葉柄の栄養価に関連する信頼水準などを提供してもよい。ディスプレイ部分50cは、判定された葉柄の栄養価に基づいて推奨される是正措置を提供してもよい。いくつかの例では、ディスプレイ部分50のうちの1つ以上は、葉柄の栄養価を示す結果とは無関係の他の情報を含んでいてもよい。
【0058】
[0062] ここで図4を参照すると、同図には、作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するための装置200の概略図が示されている。いくつかの実施形態においては、装置200は、サーバデバイス(例えば図2に示される遠隔サーバ108)として実装され得る。他の実施形態においては、装置200は、任意の他の適当なハードウェアコンポーネントを使用して実装され得る。例えば、装置200は、モバイルデバイス42(図2及び3)として実装されてもよく、携帯型分光光度計104(図2)と一体化されてもよく、又は携帯型分光光度計104(図2)と共に使用可能なコンパニオン装置として実装されてもよい。
【0059】
[0063] 図4に図示される実施形態例については、装置200は、メモリ208、アプリケーション212、出力デバイス216、ディスプレイデバイス220、二次記憶デバイス224、プロセッサ228、入力デバイス232、及び通信デバイス236を含む。メモリ208、アプリケーション212、出力デバイス216、ディスプレイデバイス220、二次記憶デバイス224、プロセッサ228、入力デバイス232、及び通信デバイス236のうちの1つ以上(又は全て)は、有線及び/又は無線で通信可能に連結され得る。
【0060】
[0064] いくつかの実施形態においては、装置200は、メモリ208、アプリケーション212、出力デバイス216、ディスプレイデバイス220、二次記憶デバイス224、プロセッサ228、入力デバイス232、及び通信デバイス236のうちのいずれか1つ以上を複数含む。いくつかの実施形態においては、装置200は、アプリケーション212、二次記憶デバイス224、ネットワーク接続、入力デバイス232、出力デバイス216、ディスプレイデバイス220、及び通信デバイス236のうちの1つ以上を含まない。
【0061】
[0065] 少なくとも1つの実施形態においては、装置200は、インターネットへ又はプライベートネットワークへの有線又は無線接続など、ネットワーク204との接続を含む。場合によっては、ネットワーク204は、他のタイプのコンピュータネットワーク又は電気通信ネットワークを含む。装置200は、ネットワーク204を経由して、作物畑(例えば図2の作物畑34)の植物(例えばジャガイモ植物)の葉の非破壊スペクトル測定に基づき携帯型分光光度計(例えば図2の携帯型分光光度計104)によって生成された葉のスペクトルデータを受信し得る。
【0062】
[0066] いくつかの実施形態においては、装置200は、葉のスペクトルデータを、携帯型分光光度計から有線又は無線で直接的に受信してもよい。他の実施形態においては、装置200は、携帯型分光光度計によって生成された葉のスペクトルデータを、中間デバイス(例えば図2のモバイルデバイス42)から受信してもよい。
【0063】
[0067] メモリ208は、ランダムアクセスメモリ(RAM)と読み出し専用メモリ(ROM)とのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態においては、メモリ208は、プロセッサ228によって実行される1つ以上のアプリケーション212を記憶する。アプリケーション212は、本明細書に記載される機能及び方法のための処理を実施するためのコンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアモジュールに対応する。
【0064】
[0068] メモリ208は、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された機械学習モデルを記憶し得る。機械学習モデルは、装置200によって生成及び訓練され得る。いくつかの実施形態においては、装置200は、生成済みの機械学習モデルを外部デバイスから(例えばネットワーク204を経由して)受信し得ると共に、受信された機械学習モデルを訓練し得る。いくつかの実施形態においては、装置200は、訓練済みの機械学習モデルを外部デバイスから(例えばネットワーク204を経由して)受信して、その訓練済みの機械学習モデルをメモリ208に記憶し得る。機械学習モデルは、任意の適切なモデル、例えばラッソ回帰モデルであってもよい。
【0065】
[0069] いくつかの実施形態においては、メモリ208は、受信された葉のスペクトルデータ、判定された葉柄の栄養価、及び/又は葉柄の栄養価から導出された結果(例えば葉柄の栄養価のグラフィック表現)も記憶し得る。記憶されたデータは、履歴データ分析のためにユーザによって検索され得る。
【0066】
[0070] 二次記憶デバイス224は、プロセッサ(例えばプロセッサ228)によって実行可能な命令を含む任意の適当な非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。例えば、二次記憶デバイス224は、ハードドライブ、フロッピードライブ、CDドライブ、DVDドライブ、Blu-rayドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、又は他のタイプの不揮発性データ記憶装置を含むことができる。プロセッサ228は、二次記憶デバイス224に含まれる命令を実行して本明細書に記載される機能及び方法のための処理を実施し得る。
【0067】
[0071] いくつかの実施形態においては、装置200は、ネットワーク204又は別のネットワークなどのネットワーク上でアクセス可能な、クラウドストレージなどの遠隔記憶デバイスに情報を記憶する。いくつかの実施形態においては、装置200は、情報を、メモリ208及び二次記憶デバイス224など複数の記憶デバイスにわたって分散して記憶する(すなわち、複数の記憶デバイスの各々が情報の一部を記憶し、複数の記憶デバイスが集合的に情報の全てを記憶する)。したがって、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、記憶デバイスにデータを記憶することは、そのデータをローカル記憶デバイスに記憶すること、そのデータを遠隔記憶デバイスに記憶すること、又はそのデータを各々がローカル又は遠隔であり得る複数の記憶デバイスにわたって分散して記憶することを意味する。
【0068】
[0072] 入力デバイス232は、装置200に情報を入力するための任意のデバイスを含むことができる。例えば、入力デバイス232は、キーボード、キーパッド、カーソルデバイス、タッチスクリーン、カメラ、又はマイクロフォンであり得る。入力デバイス232はまた、外部デバイスへの有線及び無線接続を行うための入力ポート及び無線機(wireless radios)(例えばBluetooth(登録商標)又は802.11x)も含むことができる。
【0069】
[0073] ディスプレイデバイス220は、視覚情報を提示するための任意のタイプのデバイスを含むことができる。例えば、ディスプレイデバイス220は、コンピュータモニタ、フラットスクリーンディスプレイ、プロジェクタ、又はディスプレイパネルであり得る。
【0070】
[0074] 出力デバイス216は、例えばプリンタなど、情報のハードコピーを提示するための任意のタイプのデバイスを含むことができる。出力デバイス216は、例えばスピーカなど、他のタイプの出力デバイスも含むことができる。少なくとも1つの実施形態においては、出力デバイス216は、外部デバイスへの有線及び無線接続を行うための出力ポート及び無線機(例えばBluetooth(登録商標)又は802.11x)のうち1つ以上を含む。
【0071】
[0075] 通信デバイス236は、アナログ及び/又はデジタル入力を受信すると共にアナログ及び/又はデジタル出力を提供するのに適した任意の設計を有することができる。いくつかの実施形態においては、通信デバイス236は、アナログ信号用及びデジタル信号用の別々のモジュールを含み得る。
【0072】
[0076] プロセッサ228は、アプリケーション、コンピュータ可読命令、又はプログラムを実行することができる任意のデバイスであり得る。アプリケーション、コンピュータ可読命令、又はプログラムは、メモリ208にもしくは二次記憶デバイス224に記憶されてもよく、又は、例えばネットワーク204を通じてアクセス可能な遠隔記憶装置から受信されてもよい。プロセッサ228は、高性能汎用プロセッサ、標準プロセッサ(例えばIntel(登録商標)プロセッサ又はAMD(登録商標)プロセッサ)、専用ハードウェア(例えばGPU)、又はプロセッサ228によって提供される機能を集合的に実施する複数の処理デバイスであってもよい。
【0073】
[0077] プロセッサ228は、葉のスペクトルデータ(例えばメモリ208に記憶された葉のスペクトルデータ)を、訓練済みの機械学習モデル(例えばメモリ208に記憶された訓練済みの機械学習モデル)に入力し得る。機械学習モデルは、葉のスペクトルデータに基づいて葉柄の栄養価を判定することができる。プロセッサ228は、機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を含む出力を機械学習モデルから受信し得る。
【0074】
[0078] いくつかの実施形態においては、プロセッサ228は、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果をモバイルデバイス(例えば図2のモバイルデバイス42)に提供することができる。葉柄の栄養価は、モバイルデバイス上にグラフィック表示されてもよい。他の実施形態においては、プロセッサ228は結果をディスプレイデバイス220に提供してもよく、葉柄の栄養価はディスプレイデバイス220上にグラフィック表示されてもよい。
【0075】
[0079] 図4は、装置200の例示的なハードウェア概要を図示している。代替的な実施形態においては、装置200は、より少ない、追加の、又は異なるコンポーネントを含む。加えて、装置200の一実装形態の態様がメモリに記憶されるものとして記載されているが、当業者は、これらの態様が、ハードディスク、フロッピーディスク、CD、もしくはDVDを含む二次記憶デバイス、インターネットもしくは他のネットワークからの搬送波、又は他の形態のRAMもしくはROMなど、他のタイプのコンピュータプログラム製品又はコンピュータ可読媒体にも記憶され得るか又はそれらから読み取られ得ることを理解するであろう。例えば、装置200は、プロセッサ228による実行時に本明細書に記載される1つ又は複数の方法を実施するようにプロセッサ228を構成するコンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0076】
[0080] ここで図5を参照すると、同図には、携帯型分光光度計を使用して作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定する例示的な方法300を示すフローチャートが示されている。方法300は、例えばシステム100(図2)又は装置200(図4)を使用して実施されてもよく、以下では図2及び4も参照される。
【0077】
[0081] 方法300は、作物畑において携帯型分光光度計を持ち運んでいる間に実施され得る。例えば、携帯型分光光度計104は、作物畑34において人又は車両に持ち運ばれ得る。
【0078】
[0082] 308において、葉のスペクトルデータを生成するために、持ち運ばれる分光光度計を使用して、作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定が行われ得る。例えば、携帯型分光光度計104を使用して、ジャガイモ植物の葉の非破壊スペクトル測定が行われてもよい。携帯型分光光度計104は、スペクトル測定に基づいて葉のスペクトルデータを生成することができる。
【0079】
[0083] 312において、葉のスペクトルデータはメモリに記憶され得る。いくつかの実施形態においては、生成された葉のスペクトルデータは、ネットワークを経由して遠隔サーバに送信され、遠隔サーバのメモリ内に記憶され得る。例えば、携帯型分光光度計104は、生成された葉のスペクトルデータを、ネットワーク112を経由して遠隔サーバ108に送信してもよく、遠隔サーバ108は葉のスペクトルデータをメモリ120に記憶してもよい。
【0080】
[0084] 他の実施形態においては、生成された葉のスペクトルデータはモバイルデバイスに送信されてもよく、モバイルデバイスは葉のスペクトルデータをネットワークを経由して遠隔サーバに送信してもよい。葉のスペクトルデータは、遠隔サーバのメモリに記憶され得る。例えば、携帯型分光光度計104は生成された葉のスペクトルデータをモバイルデバイス42に送信してもよく、モバイルデバイス42は、葉のスペクトルデータを、ネットワーク112を経由して遠隔サーバ108に送信してもよい。遠隔サーバ108は、葉のスペクトルデータをメモリ120に記憶し得る。
【0081】
[0085] 316において、プロセッサは、記憶された葉のスペクトルデータに基づいて葉柄の栄養価を算出し得る。プロセッサは、葉のスペクトルデータを、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された機械学習モデルに入力することによって、葉柄の栄養価を算出し得る。これに応答して、機械学習モデルは、葉柄の栄養価をプロセッサに出力し得る。例えば、プロセッサ116(又はプロセッサ228)は、葉のスペクトルデータを、メモリ120(又はメモリ208)に記憶された訓練済みの機械学習モデルに入力し得る。機械学習モデルは、ラッソ回帰モデルであってもよい。
【0082】
[0086] 320において、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果が提供され得る。いくつかの実施形態においては、ほぼリアルタイムの結果は、葉柄の栄養価をモバイルデバイスに送信することによって提供され得る。葉柄の栄養価は、その後、モバイルデバイス上にグラフィック表示され得る。例えば、遠隔サーバ108又は装置200は、葉柄の栄養価をモバイルデバイス42に送信することによって、ほぼリアルタイムの結果を提供してもよい。モバイルデバイス42は、葉柄の栄養価をグラフィック表示し得る。
【0083】
[0087] いくつかの実施形態においては、方法300は、測定される追加の葉があれば、308に進み得る。例えば、方法300は、10分以内に作物畑の少なくとも5枚の他の植物の葉について、308から320をループしてもよい。これは、短期間で複数の葉からの非破壊スペクトル測定に対応する葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果が得られることを可能にし得る。これは、ひいては、測定された植物の栄養素含有量が変化する時間を有するよりも前に、農場が(例えば肥料の組成及び/又は量を調節することによって)戻ってきた葉柄の栄養価に同時に反応することを可能にするであろう。これは是正措置の有効性を向上させ得、それによって、作物の収量及び/又は量が向上され得る。
【0084】
[0088] 他の実施形態においては、葉のスペクトルデータを機械学習で処理することは、葉柄の栄養価のより正確な推定値(本明細書では「精緻化された葉柄の栄養価」と称される)を提供するために、2層のアプローチに従い得る。第1のML層は、1つ以上の第1の機械学習モデル(例えば、図1~5を参照して上述した機械学習モデルの1つ以上の独立したインスタンス)を含み得る。第2のML層は、1つ以上の第2の機械学習モデルを含み得る。第1層の1つ又は複数の第1の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価は、統計的により正確な値(すなわち、葉柄が従来の方法に従って除去され研究室で破壊的に測定された場合に得られたであろう葉柄の1つ以上の栄養素の実際の値により近い1つ以上の葉柄の栄養素の値)を作成するように精緻化され得る。これらの実施形態においては、第1層の1つ又は複数の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価は、予備的な葉柄の栄養価と称され得る。
【0085】
[0089] 第1層の1つ又は複数の機械学習モデルは、前述の方法で訓練され、記憶され得る。いくつかの実施形態においては、最も説明的な特徴の小さいサブセット(すなわち、収集された葉のスペクトルデータの特定の波長又は波長間隔に関係する強度値)のみが、1つ又は複数の第1の機械学習モデルに入力される。これにより、データセットが多数の特徴を含むという問題(すなわち、特徴空間の高次元性)に対処する。これらの特徴を第1層の1つ又は複数の機械学習モデルに供給する前に、第1層の1つ又は複数の機械学習モデルに入力される特徴のサブセットを抽出するために、各ターゲット変数について独立して特徴削減ステップ(例えば、最小冗長性最大関連性(MRMR)特徴選択)が実施されてもよい。特徴を事前選択することにより、ほとんどの栄養素の推定性能を向上させることができる。モデル正則化ステップ、例えば上記で説明されたラッソ回帰モデルも実施されてもよく、これはモデルの予測能力に有意に寄与するとは考えられない任意の特徴を除去する。
【0086】
[0090] メモリ120(又はメモリ208)は、第1層の1つ又は複数の機械学習モデルによって出力された予備的な葉柄の栄養価に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された第2層の1つ又は複数の機械学習モデルを記憶し得る。第2層の1つ又は複数の機械学習モデルは、遠隔サーバ108によって生成され、訓練され得る。いくつかの実施形態においては、遠隔サーバ108は、外部デバイスによって生成された第2層の1つ又は複数の機械学習モデルを受信し得る。遠隔サーバ108は、受信された第2層の1つ又は複数の機械学習モデルを訓練して、訓練済みの第2層の1つ又は複数の機械学習モデルをメモリ120(又はメモリ208)に記憶し得る。他の実施形態においては、訓練済みの第2層の1つ又は複数の機械学習モデルは、遠隔サーバ108によって外部デバイスから受信され得る。遠隔サーバ108は、受信された訓練済みの第2層の1つ又は複数の機械学習モデルをメモリ120(又はメモリ208)に記憶し得る。
【0087】
[0091] 第2層の1つ又は複数の機械学習モデルは、分析される入力データ、出力データ要件、利用可能な訓練データ、及び/又は利用可能な計算資源に基づいて任意の適当なタイプの機械学習モデルで構成され得る。いくつかの実施形態においては、第2層で使用される1つ又は複数の第2の機械学習モデルのうちの1つ以上(又は全て)は、サポートベクター回帰(SVR)、ランダムフォレスト(RF)、又は極端勾配ブースティング(XGB)などであるがこれらに限定されない非線形重回帰モデルであってもよい。
【0088】
[0092] 上述のように、第1層の1つ又は複数の第1の機械学習モデルは、葉のスペクトルデータと研究室で測定された葉柄の栄養価との一致するセットを含むデータのセットを使用して訓練され得る。これは、第1層の1つ又は複数の機械学習モデルが葉のスペクトルデータ値と個々の葉柄の栄養価との間の関係を確立することを可能にする。
【0089】
[0093] 一般に、植物の栄養素濃度間の複雑な関係により、反射率に対して異なる波長で重複する影響がある。植物のある種は、様々な栄養素を摂取する、ある傾向を有するであろう(すなわち、種には特定の栄養素摂取特性がある)。ある栄養素の摂取は、他の栄養素の摂取によって影響を及ぼされることになる。例えば、植物の1つの種について、その植物は、ある栄養素「x」を摂取するとき、栄養素「y」も摂取する傾向がある(すなわち、栄養素「x」と栄養素「y」との間には正の相関がある)。しかし、その植物は、栄養素「x」を摂取するとき、栄養素「z」の摂取を低減させる傾向もある(すなわち、栄養素「x」と栄養素「z」との間には負の相関がある)。例えば、カリウム(K)及びマグネシウム(Mg)は、植物摂取の競合カチオンとしてのそれらの拮抗作用で知られている。
【0090】
[0094] したがって、所与の植物種について栄養素間の相互連結に基づいて葉のスペクトルデータから判定された予備的な葉柄の栄養価を精緻化することは、より統計的に正確な結果を提供し得る。
【0091】
[0095] 第2層の1つ又は複数の第2の機械学習モデルの非線形性は、1つ又は複数のモデルがこれらの栄養素摂取特性と潜在的に相関する結果とを同時に考慮することを可能にする。第2層の1つ又は複数の第2の機械学習モデルは、多数の様々な葉柄の栄養価を含むデータのセットを使用して訓練され得る。第2層の1つ又は複数の第2の機械学習モデルは、このデータを処理して、所与の植物種について様々な栄養素間の摂取関係を確立し得る。重要なことには、異なる植物の種の栄養素摂取特性は異なるであろう。
【0092】
[0096] 図6は、ジャガイモ植物の種の栄養素摂取特性の一例を実証する表400を示す。図6に見られるように、例えば、ジャガイモ植物の窒素(N)の摂取は、リン(P)の摂取を促進する傾向がある(正の値0.83で示される)。しかしながら、ジャガイモ植物は、窒素を摂取するとき、ホウ素(B)の摂取を低減させる傾向もある(負の値-0.66で示される)。換言すれば、窒素の摂取とリンの摂取との間には正の相関があるが、窒素の摂取とホウ素の摂取との間には負の相関がある。図6に示されるように、予想される各葉柄栄養素間の相関関係が決定され得る。様々な栄養素の摂取の間の相関を考慮することは、精緻化された葉柄の栄養価が、葉のスペクトルデータが入力された第1層の1つ又は複数の第1の機械学習モデルから出力された予備的な葉柄の栄養価よりも、統計的により正確になることを可能にする。
【0093】
[0097] 様々な栄養素の摂取における正及び負の相関の理由は多岐にわたる。以下は、ジャガイモ植物の1つ以上の種に当てはまり得るいくつかの例を説明する。NとPとの間の正の関係は、N固定が植物摂取のための土壌中のP利用可能性に依存し得るためであるかもしれない。カルシウム(Ca)とPとの間の反作用効果は、栄養素を吸収する根の近傍における、より溶解性の低いリン酸カルシウムの沈殿によって引き起こされ得る。KとMgとは、植物摂取の競合カチオンであり得る。CaとMgとは、土壌中の安定なpHを維持することに相乗的な寄与を有し得る。Nは、Nの割合の増加がMgの割合の追加によって低減され得るので、Mgと負に連動し得る。BはPとは負の相関を有するが、Bの利用可能性はCaの存在によって正の影響を受ける。Kの植物摂取は、葉面積の発達及び光合成におけるその役割について、Nに起因し得る。硫酸塩としてのK適用の形態は、硫黄(S)の同化分配に繋がり得る。例えば、あるK肥料はカリウムをKSOとして含み、したがってカリウムの適用は硫黄を伴う。(例えば肥料による地面への)K供給の増加は、典型的には植物によるK摂取の増加をもたらし、これは葉におけるマンガン(Mn)の濃度を減少させ得る。(例えば肥料による地面への)Sの供給増加は、典型的には植物によるS摂取の増加をもたらし、これはK及びPの摂取を向上させ得る。高用量のKは、鉄(Fe)毒性に対する耐性が向上するので、Feの摂取を減少させ得る。根から葉へのCaの転流は銅(Cu)の存在下では妨害され得るので、CuとCaとの間には反作用がある。
【0094】
[0098] ここで図7を参照すると、同図には、植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定する例示的な方法500を示すフローチャートが示されている。方法500は、例えばシステム100(図2)又は装置200(図4)を使用して実施されてもよく、以下では図2及び4も参照される。
【0095】
[0099] 方法500は、作物畑において携帯型分光光度計を持ち運んでいる間に実施され得る。例えば、携帯型分光光度計104は、作物畑34において人又は車両に持ち運ばれ得る。方法500は、携帯型でない分光光度計を含め、任意の他の適当な分光光度計を使用して実施されてもよい。
【0096】
[0100] 方法500は、任意選択的にステップ504を含み得る。504において、葉のスペクトルデータを生成するために、分光光度計(例えば携帯型分光光度計104)を使用して植物の葉のスペクトル測定が行われ得る。例えば、ジャガイモ植物の葉のスペクトル測定が行われてもよい。
【0097】
[0101] 506において、葉のスペクトルデータはメモリに記憶され得る。いくつかの実施形態においては、生成された葉のスペクトルデータは、ネットワークを経由して遠隔サーバに送信され、遠隔サーバのメモリ内に記憶され得る。例えば、携帯型分光光度計104は、生成された葉のスペクトルデータを、ネットワーク112を経由して遠隔サーバ108に送信してもよく、遠隔サーバ108は葉のスペクトルデータをメモリ120に記憶してもよい。
【0098】
[0102] 他の実施形態においては、生成された葉のスペクトルデータはモバイルデバイスに送信されてもよく、モバイルデバイスは葉のスペクトルデータをネットワークを経由して遠隔サーバに送信してもよい。葉のスペクトルデータは、遠隔サーバのメモリに記憶され得る。例えば、携帯型分光光度計104は生成された葉のスペクトルデータをモバイルデバイス42に送信してもよく、モバイルデバイス42は、葉のスペクトルデータを、ネットワーク112を経由して遠隔サーバ108に送信してもよい。遠隔サーバ108は、葉のスペクトルデータをメモリ120に記憶し得る。
【0099】
[0103] 508において、プロセッサは、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換し得る。プロセッサは、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを変換し得る。これに応答して、1つ又は複数の線形機械学習モデルは、予備的な葉柄の栄養価をプロセッサに出力し得る。例えば、プロセッサ116(又はプロセッサ228)は、葉のスペクトルデータを、メモリ120(又はメモリ208)に記憶された1つ以上の訓練済みの線形機械学習モデルに入力し得る。1つ又は複数の線形機械学習モデルのうちの1つ以上(又は全て)は、ラッソ回帰モデルであってもよい。
【0100】
[0104] 510において、プロセッサは、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化し得る。これに応答して、1つ又は複数の非線形機械学習モデルは、精緻化された葉柄の栄養価をプロセッサに出力し得る。例えば、プロセッサ116(又はプロセッサ228)は、予備的な葉柄の栄養価を、メモリ120(又はメモリ208)に記憶された1つ又は複数の訓練済みの非線形機械学習モデルに入力し得る。1つ又は複数の非線形機械学習モデルのうちの1つ以上(又は全て)は、多変量回帰モデルであってもよい。
【0101】
[0105] 512において、精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートが出力され得る。植物栄養素レポートは、精緻化された葉柄の栄養価のリスト、表、チャート、グラフィック表現、任意のタイプの視覚化(例えばインフォグラフィック、マップなど)、又はアニメーションを含むがこれらに限定されない任意の適当な形式を有し得る。いくつかの実施形態においては、植物栄養素レポートは、精緻化された葉柄の栄養価をモバイルデバイスに送信することによって出力され得る。例えば、遠隔サーバ108又は装置200は、精緻化された葉柄の栄養価をモバイルデバイス42に送信することによって、ほぼリアルタイムの結果(例えばステップ506の完了から1分未満)を提供してもよい。モバイルデバイス42は、葉柄の栄養価をグラフィック表示し得る。
【0102】
[0106] いくつかの実施形態においては、方法500は、測定される追加の葉があれば、ステップ504又は506に進み得る。例えば、方法500は、およそ1時間以内に作物畑の少なくとも5枚の他の植物の葉について、504及び/又は506から512をループしてもよい。これは、短期間で複数の葉からのスペクトル測定に対応する精緻化された葉柄の栄養価を示す結果が得られることを可能にし得る。これは、ひいては、測定された植物の栄養素含有量が変化する時間を有するよりも前に、農場が(例えば肥料の組成及び/又は量を調節することによって)戻ってきた精緻化された葉柄の栄養価に同時に反応することを可能にするであろう。これは是正措置の有効性を向上させ得、それによって、作物の収量及び/又は量が向上され得る。
【0103】
[0107] 514において、(例えば測定された植物を含む及び/又は測定された植物の近傍の)作物に、任意選択的に処置が適用され得る。処置は、液体及び/又は固体(例えば粒状)肥料を作物に適用する(例えば噴霧する又は散布する)ことを含み得る。処置は、ステップ512の精緻化された栄養価に少なくとも部分的に基づいて(例えばプロセッサ116又は228によって)決定されてもよい。処置は、人間の操作者の制御下で、及び/又は電子自動化によって指示されるように(例えばプロセッサ116又は228によって指示されるように)適用されてもよい。
【0104】
[0108] 線形及び非線形機械学習モデルを含む、本明細書に記載された2層アプローチは、栄養素予測の正確度を実質的に高めることができる。特に、Zn、Fe、及びAlの推定は、1層アプローチにおいて1つ又は複数の線形機械学習モデルのみを使用することと比較して、実質的により正確である。
【0105】
[0109] 上記の記載は実施形態の例を提示するものであるが、記載された実施形態のいくつかの特徴及び/又は機能は、記載された実施形態の精神及び動作の原理から逸脱することなく修正可能であることがわかるであろう。したがって、上記で記載されたものは本発明を説明すること及び非制限的であることを意図されており、当業者には、本明細書に添付された特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく他の変形及び修正がなされ得ることが理解されるであろう。特許請求の範囲は、好適な実施形態及び例によって限定されるべきものではなく、明細書全体と一致した最も広い解釈を与えられなければならない。
【0106】
項目
項目1:携帯型分光光度計を使用して、作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定する方法であって、(a)携帯型分光光度計を使用して作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定を行い、葉のスペクトルデータを生成することと、(b)葉のスペクトルデータをメモリに記憶することと、(c)プロセッサによって、記憶された葉のスペクトルデータに基づいて葉柄の栄養価を算出することと、(d)葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果を提供することと、を備える、方法。
項目2:前述の提供することは、葉柄の栄養価をモバイルデバイスに送信することを備える、項目1の方法。
項目3:前述の提供することは更に、葉柄の栄養価をモバイルデバイス上でグラフィック表示することを備える、項目1又は2の方法。
項目4:前述の記憶することは、葉のスペクトルデータをネットワークを経由して遠隔サーバに送信することを備え、遠隔サーバはメモリ及びプロセッサを備える、項目1から3の方法。
項目5:前述の記憶することは、モバイルデバイスが葉のスペクトルデータを受信すること及びモバイルデバイスが葉のスペクトルデータをネットワークを経由して遠隔サーバに送信することを備え、遠隔サーバはメモリ及びプロセッサを備える、項目1から4の方法。
項目6:前述の提供することは、葉柄の栄養価を遠隔サーバからモバイルデバイスに送信すること及び葉柄の栄養価をモバイルデバイス上でグラフィック表示することを備える、項目1から5の方法。
項目7:10分以内に作物畑の少なくとも5枚の他の植物の葉についてステップ(a)から(d)を繰り返すことを更に備える、項目1から6の方法。
項目8:植物はジャガイモ植物である、項目1から7の方法。
項目9:前述の算出することは、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することを備えており、1つ以上の機械学習モデルは葉柄の栄養価を出力する、項目1から8の方法。
項目10:1つ以上の機械学習モデルの各々はラッソ回帰モデルである、項目1から9の方法。
項目11:作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するための装置であって、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の機械学習モデルを記憶するメモリと、メモリと通信可能に連結された少なくとも1つのプロセッサと、を備えており、少なくとも1つのプロセッサは、集合的に、作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定に基づいて携帯型分光光度計によって生成された葉のスペクトルデータを受信し、葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、葉のスペクトルデータを1つ以上の機械学習モデルに入力し、葉のスペクトルデータに基づいて1つ以上の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を備える出力を受信し、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果をモバイルデバイスに提供するように構成される、装置。
項目12:葉柄の栄養価はモバイルデバイス上にグラフィック表示される、項目11の装置。
項目13:携帯型分光光度計によって生成された葉のスペクトルデータは、ネットワークを経由してモバイルデバイスから受信される、項目11又は12の装置。
項目14:植物はジャガイモ植物である、項目11から13の装置。
項目15:1つ以上の機械学習モデルの各々はラッソ回帰モデルである、項目11から14の装置。
項目16:メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ、及びフラッシュメモリのうちの1つ以上を備える、項目11から15の装置。
項目17:プロセッサによって実行可能な命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、実行時に、プロセッサを、作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定に基づいて携帯型分光光度計によって生成された葉のスペクトルデータを受信し、葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、葉のスペクトルデータを葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の機械学習モデルに入力し、葉のスペクトルデータに基づいて1つ以上の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を備える出力を受信し、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果を提供するように構成する、非一時的コンピュータ可読媒体。
項目18:携帯型分光光度計によって生成された葉のスペクトルデータは、ネットワークを経由してモバイルデバイスから受信される、項目17の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目19:植物はジャガイモ植物である、項目17又は18の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目20:1つ以上の機械学習モデルの各々はラッソ回帰モデルである、項目17から19の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目21:メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ、及びフラッシュメモリのうちの1つ以上を備える、項目17から20の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目22:作物畑の植物の葉からほぼリアルタイムで葉柄の栄養価を非破壊的に判定するためのシステムであって、作物畑の植物の葉の非破壊スペクトル測定に基づいて葉のスペクトルデータを生成し、葉のスペクトルデータを遠隔サーバによる受信のためにネットワークを介して伝送するように構成された携帯型分光光度計を備えており、遠隔サーバはプロセッサ及びメモリを備え、メモリは葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の機械学習モデルを記憶し、遠隔サーバは、葉のスペクトルデータを受信し、葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、葉のスペクトルデータを1つ以上の機械学習モデルに入力し、葉のスペクトルデータに基づいて1つ以上の機械学習モデルによって判定された葉柄の栄養価を受信し、葉柄の栄養価を示すほぼリアルタイムの結果をモバイルデバイスに提供するように構成される、システム。
項目23:葉柄の栄養価はモバイルデバイス上にグラフィック表示される、項目22のシステム。
項目24:携帯型分光光度計は葉のスペクトルデータをモバイルデバイスに伝送するように構成され、モバイルデバイスは葉のスペクトルデータを遠隔サーバに伝送する、項目22又は23のシステム。
項目25:植物はジャガイモ植物である、項目22から24のシステム。
項目26:1つ以上の機械学習モデルの各々はラッソ回帰モデルである、項目22から25のシステム。
項目27:メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ、及びフラッシュメモリのうちの1つ以上を備える、項目22から26のシステム。
項目28:植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定する方法であって、(a)葉のスペクトルデータをメモリに記憶することと、(b)プロセッサを使用して、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換することであって、1つ以上の線形機械学習モデルは予備的な葉柄の栄養価を出力することと、(c)プロセッサを使用して、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化することであって、1つ以上の非線形機械学習モデルは精緻化された葉柄の栄養価を出力することと、(d)精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力することと、を備える、方法。
項目29:1つ以上の非線形機械学習モデルは、異なる植物栄養素の栄養素摂取特性における相互関係をモデル化するように訓練される、項目28の方法。
項目30:前述の記憶することより前に、分光光度計を使用して植物の葉のスペクトル測定を行い、葉のスペクトルデータを生成することを更に備える、項目28又は29の方法。
項目31:1つ以上の線形機械学習モデルの各々はラッソ回帰モデルである、項目28から30の方法。
項目32:1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は多変量回帰モデルである、項目28から31の方法。
項目33:1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、サポートベクター回帰(SVR)モデル、ランダムフォレスト(RF)モデル、及び極端勾配ブースティング(XGB)モデルのうちの1つである、項目28から32の方法。
項目34:前述の出力することは、精緻化された葉柄の栄養価をモバイルデバイスに送信することを備える、項目28から33の方法。
項目35:前述の出力することは更に、精緻化された葉柄の栄養価をモバイルデバイス上でグラフィック表示することを備える、項目28から34の方法。
項目36:前述の記憶することは、葉のスペクトルデータをネットワークを経由して遠隔サーバに送信することを備え、遠隔サーバはメモリ及びプロセッサを備える、項目28から35の方法。
項目37:前述の記憶することは、モバイルデバイスが葉のスペクトルデータを受信すること及びモバイルデバイスが葉のスペクトルデータをネットワークを経由して遠隔サーバに送信することを備え、遠隔サーバはメモリ及びプロセッサを備える、項目28から36の方法。
項目38:前述の出力することは、精緻化された葉柄の栄養価を遠隔サーバからモバイルデバイスに送信すること及び精緻化された葉柄の栄養価をモバイルデバイス上でグラフィック表示することを備える、項目28から37の方法。
項目39:植物の葉はジャガイモ植物の葉である、項目28から38の方法。
項目40:精緻化された葉柄の栄養価に少なくとも部分的に基づいて植物に肥料処置を適用することを更に備える、項目28から39の方法。
項目41:プロセッサによって実行可能な命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、実行時に、プロセッサを、植物の葉からの葉のスペクトルデータをメモリに記憶し、プロセッサを使用して、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換し、予備的な葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の線形機械学習モデルから受信し、プロセッサを使用して、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化し、精緻化された葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の非線形機械学習モデルから受信し、精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力するように構成する、非一時的コンピュータ可読媒体。
項目42:1つ以上の非線形機械学習モデルは、異なる植物栄養素の栄養素摂取特性における相互関係をモデル化するように訓練される、項目41の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目43:命令は、実行時に、プロセッサを、分光光度計を使用して植物の葉から取られたスペクトルデータを受信するように構成する、項目41又は42の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目44:1つ以上の線形機械学習モデルの各々はラッソ回帰モデルである、項目41から43の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目45:1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は多変量回帰モデルである、項目41から44の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目46:1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、サポートベクター回帰(SVR)モデル、ランダムフォレスト(RF)モデル、及び極端勾配ブースティング(XGB)モデルのうちの1つである、項目41から45の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目47:前述の出力することは、精緻化された葉柄の栄養価をモバイルデバイスに送信することを備える、項目41から46の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目48:命令は、実行時に、プロセッサを、精緻化された葉柄の栄養価に少なくとも部分的に基づいて植物に肥料処置を適用するように構成する、項目41から47の非一時的コンピュータ可読媒体。
項目49:植物の葉からの葉のスペクトルデータに基づいて精緻化された葉柄の栄養価を判定するシステムであって、植物の葉からの葉のスペクトルデータを記憶するように構成されたメモリと、葉のスペクトルデータの入力に基づいて葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の線形機械学習モデルに葉のスペクトルデータを入力することによって、葉のスペクトルデータを予備的な葉柄の栄養価に変換し、予備的な葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の線形機械学習モデルから受信し、予備的な葉柄の栄養価の入力に基づいて精緻化された葉柄の栄養価の出力を提供するように訓練された1つ以上の非線形機械学習モデルに予備的な葉柄の栄養価を入力することによって、予備的な葉柄の栄養価を精緻化し、精緻化された葉柄の栄養価を備える出力を1つ以上の非線形機械学習モデルから受信し、精緻化された葉柄の栄養価を示す植物栄養素レポートを出力するように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
項目50:1つ以上の非線形機械学習モデルは、異なる植物栄養素の栄養素摂取特性における相互関係をモデル化するように訓練される、項目49のシステム。
項目51:プロセッサは更に、分光光度計を使用して植物の葉から取られたスペクトルデータを受信するように構成される、項目49又は50のシステム。
項目52:1つ以上の線形機械学習モデルの各々はラッソ回帰モデルである、項目49から51のシステム。
項目53:1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は多変量回帰モデルである、項目49から52のシステム。
項目54:1つ以上の非線形機械学習モデルの各々は、サポートベクター回帰(SVR)モデル、ランダムフォレスト(RF)モデル、及び極端勾配ブースティング(XGB)モデルのうちの1つである、項目49から53のシステム。
項目55:前述の出力することは、精緻化された葉柄の栄養価をモバイルデバイスに送信することを備える、項目49から54のシステム。
項目56:プロセッサは更に、精緻化された葉柄の栄養価に少なくとも部分的に基づいて植物に肥料処置を適用するように構成される、項目49から55のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】