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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169362
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】気相堆積装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20241128BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/318 B
C23C16/44 J
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082532
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】202310581853.8
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310582413.4
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524155884
【氏名又は名称】中微半導体設備(上海)股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc. China
【住所又は居所原語表記】188 Taihua Road, Jinqiao Export Processing Zone (South Area), Pudong, Shanghai 201201, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 燦
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼岳俊
(72)【発明者】
【氏名】庄 宇峰
(72)【発明者】
【氏名】呂 術亮
(72)【発明者】
【氏名】董 維
(72)【発明者】
【氏名】謝 忠帥
(72)【発明者】
【氏名】李 遠
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA13
4K030DA06
4K030EA03
4K030EA11
4K030JA02
4K030JA03
4K030JA09
4K030KA41
4K030KA45
4K030LA15
5F058BA20
5F058BC09
5F058BF04
5F058BF07
5F058BF24
5F058BF30
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガス分布とクリーニング効率のバランスをとることができる、気相堆積装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】反応チャンバー100と、基板を載置するための中央領域Xとエッジ領域Yとを含み、高い位置と低い位置の間で移動可能なベースコンポーネント110と、反応チャンバーの上部にベースコンポーネントに対向して設けられており、その下面とベースコンポーネントの中央領域の上面との間に反応空間があるガススプレーヘッド101とを備え、ベースコンポーネントが高い位置に設けられる場合、ベースコンポーネントのエッジ領域とガススプレーヘッドの下面は、反応空間を取り囲む第1抽気チャネルd1を形成し、第2抽気チャネルd2は、第1抽気チャネルを取り囲んでおり、そのコンダクタンスが第1抽気チャネルのコンダクタンスよりも大きく、処理ガスは、第1抽気チャネルと第2抽気チャネルの2段の障害を通過した後に排出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相堆積装置であって、
気相堆積プロセスを実行するための反応チャンバーと、
前記反応チャンバーの底部に設けられており、基板を載置するための中央領域と前記中央領域を取り囲むエッジ領域とを含み、高い位置と低い位置の間で移動可能なベースコンポーネントと、
前記反応チャンバーの上部に前記ベースコンポーネントに対向して設けられており、様々な処理ガスを導入するために使用され、その下面と前記ベースコンポーネントの中央領域の上面との間に反応空間があるガススプレーヘッドとを備え、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に設置される場合、前記ベースコンポーネントのエッジ領域と前記ガススプレーヘッドの下面は、前記反応空間を取り囲む第1抽気チャネルを形成し、
第2抽気チャネルは、前記第1抽気チャネルを取り囲んでおり、そのコンダクタンスが前記第1抽気チャネルのコンダクタンスよりも大きく、前記処理ガスは、第1抽気チャネルと第2抽気チャネルという2段の障害を通過した後に排出され、
前記ベースコンポーネントが前記低い位置に設置される場合、前記処理ガスは、前記第2抽気チャネルの1段の障害を通過後に排出されることを特徴とする、気相堆積装置。
【請求項2】
前記ベースコンポーネントが前記高い位置にあるときの前記反応空間内の気圧は、前記ベースコンポーネントが前記低い位置にあるときの前記反応空間内の気圧よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項3】
前記高い位置及び前記低い位置は、少なくとも1つの高さ値にそれぞれ対応し、前記高い位置の最小高さ値は、前記低い位置の最大高さ値よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項4】
前記ベースコンポーネントは、基板搬送位置まで下降させることができ、前記低い位置にあるときの前記ベースコンポーネントの上面の高さは、前記基板搬送位置にあるときの前記ベースコンポーネントの上面の高さよりも高く、且つ前記第2抽気チャネルの下縁の高さよりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項5】
前記処理ガスは、プロセスガス及びパージガスを含み、前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動する場合、前記プロセスガスは、前記ガススプレーヘッドから前記反応空間に入り、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出され、前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動する場合、前記パージガスは、前記ガススプレーヘッドから前記反応空間に入り、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出されることを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項6】
前記ベースコンポーネントは、前記ベースコンポーネントのエッジ領域に位置するエッジリングを含み、前記第1抽気チャネルは、前記エッジリングの上面と前記ガススプレーヘッドのエッジ領域の下面との間の隙間から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項7】
前記ガススプレーヘッドのエッジ領域の下面は、前記ガススプレーヘッドの中央領域の下面よりも低いことを特徴とする、請求項6に記載の気相堆積装置。
【請求項8】
前記ガススプレーヘッドのエッジ領域の下面には、環状のボスが設けられることを特徴とする、請求項7に記載の気相堆積装置。
【請求項9】
前記エッジリングの上面は、前記ベースコンポーネントの中央領域の上面よりも高いことを特徴とする、請求項6に記載の気相堆積装置。
【請求項10】
前記エッジリングは、第1カバーリングと、前記第1カバーリングの上面に設けられた第2カバーリングとを含むことを特徴とする、請求項9に記載の気相堆積装置。
【請求項11】
前記第1カバーリングの内径は、前記基板の外径よりも小さく、前記反応チャンバーの側壁には、基板搬送口が設けられ、前記ベースコンポーネントが基板搬送位置まで下降すると、前記ベースコンポーネントの中央領域の上面は、前記基板搬送口がある水平面よりも低く、前記第1カバーリングの下面は、前記基板搬送口がある水平面よりも高いことを特徴とする、請求項10に記載の気相堆積装置。
【請求項12】
前記反応チャンバーの側壁には、抽気リングが設けられ、前記抽気リングは、環状の抽気空間を含み、前記第2抽気チャネルは、前記環状の抽気空間の吸気口を含み、前記反応空間内の処理ガスは、前記環状の抽気空間の吸気口を通って前記環状の抽気空間に入ることができ、前記環状の抽気空間の排気口は、外部抽気装置と連通することを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項13】
前記環状の抽気空間の吸気口は、前記抽気リングの内壁の円周方向に沿って均一又は不均一に分布した複数の穴であることを特徴とする、請求項12に記載の気相堆積装置。
【請求項14】
前記穴の直径は、4mmよりも大きいことを特徴とする、請求項13に記載の気相堆積装置。
【請求項15】
前記穴の数は、60よりも多いことを特徴とする、請求項13に記載の気相堆積装置。
【請求項16】
前記第1抽気チャネルの径方向幅は、30mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項17】
前記第1抽気チャネルの上面と下面の間の距離は、2mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項18】
ガス輸送パイプラインを介して前記ガススプレーヘッドと連通している、第1プロセスガス、第2プロセスガス及びパージガスをそれぞれ輸送するための第1プロセスガス源、第2プロセスガス源及びパージガス源と、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動し、前記第1プロセスガスが前記反応空間に入るように第1ステップを実行し、前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動し、前記パージガスが前記反応空間に入るように第2ステップを実行し、前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動し、前記第2プロセスガスが前記反応空間に入るように第3ステップを実行するように構成されるコントローラとをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項19】
前記高い位置は、薄膜の堆積に使用され、前記低い位置は、反応空間のクリーニング及びパージに使用されることを特徴とする、請求項1に記載の気相堆積装置。
【請求項20】
請求項1-19のいずれか1項に記載の気相堆積装置に適用される基板処理方法であって、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動するように制御するステップであって、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間に第1プロセスガスを導入し、前記ベースコンポーネント上の基板を化学的に吸着し、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動するように制御するステップであって、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間にパージガスを導入してパージを行い、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動するように制御するステップであって、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間に第2プロセスガスを導入し、前記ベースコンポーネント上の基板を化学的に反応させ、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動するように制御するステップであって、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間にパージガスを導入してパージを行い、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記基板の表面に堆積された薄膜が要件を満たすまで上記のステップを繰り返すステップとを含むことを特徴とする、基板処理方法。
【請求項21】
前記ベースコンポーネントが基板搬送位置まで下降するように制御し、処理待ち基板を前記反応チャンバーに搬入し、又は、処理された基板を前記反応チャンバーから搬出するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体機器の技術分野に関し、特に気相堆積装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造過程では、大量の微細加工を行う必要がある。通常、原子層堆積プロセス(ALD)、又は化学気相堆積プロセス(CVD)、又はプラズマ処理プロセスを採用し、反応チャンバーの原理を利用して基板を処理加工する。半導体デバイスのフィーチャサイズの日々の縮小及びデバイスの集積度の日々の向上に伴い、原子層堆積及び化学気相堆積などのプロセスが益々広く使用されている。例えば、幾つかの場合では、原子層堆積プロセスにより、ウェーハの表面に薄膜を堆積する。原子層堆積プロセスは、秩序ある自己飽和表面反応に基づく化学気相薄膜堆積技術であり、物質を基板の表面に単一原子膜の形で層ごとにめっきすることができ、様々なプロセスガスを反応チャンバーに交互にパルス状に導入し、基板の表面に気相-固相化学吸着反応を発生させることにより、薄膜が形成される。原子堆積過程では、新しい層の原子膜の化学反応は、前の層に直接関連するため、1回の反応では1層の原子だけが堆積される。
【0003】
気相堆積装置は、何度もアップグレードされ、性能が大幅に向上したが、薄膜の堆積の均一性には、依然として多くの課題があり、特に、基板のサイズの日々の増大に伴い、既存の気相堆積装置は、薄膜の均一性要件を満たすことが困難になる。薄膜堆積過程では、抽気コンダクタンスという制御条件などの様々なプロセス条件が、基板の表面への薄膜の堆積の均一性に影響を与える。抽気コンダクタンスを増加させるとクリーニング効率が向上するが、反応チャンバー内のプロセスガスの分布が不均一になり、基板の表面に堆積された薄膜の厚さが不均一になり、基板の製造の歩留まりが低くなり、抽気コンダクタンスを減らすとプロセスガスの分布がより均一になるが、クリーニング効率が低くなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、抽気コンダクタンスを変化させ、ガス分布とクリーニング効率のバランスをとることができる、気相堆積装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的解決手段によって実現される。
【0006】
気相堆積装置は、
気相堆積プロセスを実行するための反応チャンバーと、
前記反応チャンバーの底部に設けられており、基板を載置するための中央領域と前記中央領域を取り囲むエッジ領域とを含み、高い位置と低い位置の間で移動可能なベースコンポーネントと、
前記反応チャンバーの上部に前記ベースコンポーネントに対向して設けられており、様々な処理ガスを導入するために使用され、その下面と前記ベースコンポーネントの中央領域の上面との間に反応空間があるガススプレーヘッドとを備え、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に設置される場合、前記ベースコンポーネントのエッジ領域と前記ガススプレーヘッドの下面は、前記反応空間を取り囲む第1抽気チャネルを形成し、
第2抽気チャネルは、前記第1抽気チャネルを取り囲んでおり、そのコンダクタンスは前記第1抽気チャネルのコンダクタンスよりも大きく、前記処理ガスは、前記第1抽気チャネルと前記第2抽気チャネルという2段の障害を通過した後に排出され、
前記ベースコンポーネントが前記低い位置に設置される場合、前記処理ガスは、前記第2抽気チャネルの1段の障害を通過後に排出される。
【0007】
任意選択で、前記ベースコンポーネントが前記高い位置にあるときの前記反応空間内の気圧は、前記ベースコンポーネントが前記低い位置にあるときの前記反応空間内の気圧よりも大きい。
【0008】
任意選択で、前記高い位置及び前記低い位置は、少なくとも1つの高さ値にそれぞれ対応し、前記高い位置の最小高さ値は、前記低い位置の最大高さ値よりも大きい。
【0009】
任意選択で、前記ベースコンポーネントは、基板搬送位置まで下降させることができ、前記低い位置にあるときの前記ベースコンポーネントの上面の高さは、前記フ基板搬送位置にあるときの前記ベースコンポーネントの上面の高さよりも高く、前記第2抽気チャネルの下縁の高さよりも低い。
【0010】
任意選択で、前記処理ガスは、プロセスガス及びパージガスを含み、前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動する場合、前記プロセスガスは、前記ガススプレーヘッドから前記反応空間に入り、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出され、前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動する場合、前記パージガスは、前記ガススプレーヘッドから前記反応空間に入り、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出される。
【0011】
任意選択で、前記ベースコンポーネントは、前記ベースコンポーネントのエッジ領域に位置するエッジリングを含み、前記第1抽気チャネルは、前記エッジリングの上面と前記ガススプレーヘッドのエッジ領域の下面との間の隙間から構成される。
【0012】
任意選択で、前記ガススプレーヘッドのエッジ領域の下面は、前記ガススプレーヘッドの中央領域の下面よりも低い。
【0013】
任意選択で、前記ガススプレーヘッドのエッジ領域の下面には、環状のボスが設けられる。
【0014】
任意選択で、前記エッジリングの上面は、前記ベースコンポーネントの中央領域の上面よりも高い。
【0015】
任意選択で、前記エッジリングは、第1カバーリングと、前記第1カバーリングの上面に設けられた第2カバーリングとを含む。
【0016】
任意選択で、前記第1カバーリングの内径は、前記基板の外径よりも小さく、前記反応チャンバーの側壁には、基板搬送口が設けられ、前記ベースコンポーネントが基板搬送位置まで下降すると、前記ベースコンポーネントの中央領域の上面は、前記基板搬送口がある水平面よりも低く、前記第1カバーリングの下面は、前記基板搬送口がある水平面よりも高い。
【0017】
任意選択で、前記反応チャンバーの側壁には、抽気リングが設けられ、前記抽気リングは、環状の抽気空間を含み、前記第2抽気チャネルは、前記環状の抽気空間の吸気口を含み、前記反応空間内の処理ガスは、前記環状の抽気空間の吸気口を通って前記環状の抽気空間に入ることができ、前記環状の抽気空間の排気口は、外部抽気装置と連通する。
【0018】
任意選択で、前記環状の抽気空間の吸気口は、前記抽気リングの内壁の円周方向に沿って均一又は不均一に分布した複数の穴である。
【0019】
任意選択で、前記穴の直径は、4mmよりも大きい。
【0020】
任意選択で、前記穴の数は、60よりも多い。
【0021】
任意選択で、前記第1抽気チャネルの径方向幅は、30mm以上である。
【0022】
任意選択で、前記第1抽気チャネルの上面と下面の間の距離は、2mm以下である。
【0023】
任意選択で、前記気相堆積装置は、
ガス輸送パイプラインを介して前記ガススプレーヘッドと連通している、第1プロセスガス、第2プロセスガス及びパージガスをそれぞれ輸送するための第1プロセスガス源、第2プロセスガス源及びパージガス源と、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動し、前記第1プロセスガスが前記反応空間に入るように第1ステップを実行し、前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動し、前記パージガスが前記反応空間に入るように第2ステップを実行し、前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動し、前記第2プロセスガスが前記反応空間に入るように第3ステップを実行するように構成されるコントローラとをさらに備える。
【0024】
任意選択で、前記高い位置は、薄膜の堆積に使用され、前記低い位置は、反応空間のクリーニング及びパージに使用される。
【0025】
上記のいずれか1項に記載の気相堆積装置に適用される基板処理方法は、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動するように制御するステップであて、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間に第1プロセスガスを導入し、前記ベースコンポーネント上の基板を化学的に吸着させ、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動するように制御するステップであって、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間にパージガスを導入してパージを行い、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動するように制御するステップであって、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間に第2プロセスガスを導入し、前記ベースコンポーネント上の基板を化学的に反応させ、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動するように制御するステップであって、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間にパージガスを導入してパージを行い、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出されるステップと、
前記基板の表面に堆積された薄膜が要件を満たすまで上記のステップを繰り返すステップとを含む。
【0026】
任意選択で、前記基板処理方法は、
前記ベースコンポーネントが基板搬送位置まで下降するように制御し、処理待ち基板を前記反応チャンバーに搬入し、又は、処理された基板を前記反応チャンバーから搬出するステップをさらに含む。
【0027】
従来技術と比べて、本発明は、少なくとも次の利点の一つを有する。
【0028】
本発明によって提供される気相堆積装置は、前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動する場合、前記反応チャンバーには、2段の抽気チャネルがあり、第1段が第1抽気チャネルであり、第2段が第2抽気チャネルであり、第2抽気チャネルのコンダクタンスが第1抽気チャネルのコンダクタンスよりも大きい。前記第1抽気チャネルが反応空間に隣接し、且つコンダクタンスが小さいため、前記反応空間内は抽気流束が小さく、前記反応空間内にプロセスガスを迅速且つ均一に分布させることができ、それによって基板表面の薄膜の均一性がより高くなる。前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動する場合、前記基板のエッジ領域の上面と前記ガススプレーヘッドの下面の間の距離が大きく、反応空間内のガスの流出に対して基本的に影響を与えない。従って、前記第1抽気チャネルは無くなる、または無視することができ、前記反応空間では、前記第2抽気チャネルのみによって抽気されるため、抽気流束が大きい。これにより、ガスを迅速に排出し、パージガスのクリーニング効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下で説明に必要な図面を簡単に紹介する。但し、以下に説明される図面は、本発明の1つの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【0030】
図1】本発明の一実施例によって提供される高い位置にあるときの気相堆積装置の断面構造図である。
図2】本発明の一実施例によって提供される低い位置にあるときの気相堆積装置の断面構造図である。
図3】本発明の一実施例によって提供される基板搬送位置にあるときの気相堆積装置の断面構造図である。
図4】本発明の一実施例によって提供される高い位置にあるときの気相堆積装置の別の断面構造図である。
図5a】本発明の別の実施例によって提供される高い位置にあるときの気相堆積装置の断面構造図である。
図5b】本発明の別の実施例によって提供される低い位置にあるときの気相堆積装置の断面構造図である。
図5c】本発明の別の実施例によって提供される基板搬送位置にあるときの気相堆積装置の断面構造図である。
図6】本発明の一実施例によって提供される基板処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に図面と具体的な実施形態を組み合わせて、本発明によって提供される解決手段をさらに詳しく説明する。本発明の利点及び特徴は、以下の説明からより明らかになる。なお、当該図面は、非常に簡略化された形態を示すものであり、且つ不正確な比率を使用しており、本発明の実施形態の目的を容易かつ明確に補助的に説明するためのものである。即ち、本発明の目的、特徴及び利点をより明確かつ容易に理解するために、添付の図面を参照する。なお、本明細書の添付の図面に示される構造、比率、サイズ等は、本技術に精通した者が理解し読みやすいように、本明細書に開示された内容と組み合わせて用いているだけであり、本発明で実施される条件を限定するためのものではない。従って、技術的に実質的意義がない、いかなる構造的変更、比率関係の変更又はサイズの調整も、本発明が奏する効果及び目的に影響を与えず、本発明で開示される技術内容の範囲内に含まれるものである。
【0032】
薄膜堆積プロセスでは、プロセス条件である抽気コンダクタンスは、非常に重要である。図1及び図2に示すように、本実施例で提供される気相堆積装置は、気相堆積プロセスを実行するための反応チャンバー100を備え、前記反応チャンバー100の底部には、上下に移動可能なベースコンポーネント110が設けられている。前記ベースコンポーネント110の上面は、基板(図示せず)を載置するための中央領域Xと、前記中央領域Xを取り囲むエッジ領域Yとで構成され、前記中央領域Xの上面には、1つ又は複数の基板を置くことができる。前記反応チャンバー100の上部には、様々な処理ガスを導入し、基板を加工処理するためのガススプレーヘッド101が設けられる。前記ベースコンポーネント110は、前記ガススプレーヘッド101に対向して設けられ、前記ガススプレーヘッド101の下面と前記ベースコンポーネント110の中央領域Xの上面との間には反応空間があり、様々な処理ガスは、前記ガススプレーヘッド101を通って前記反応空間に交互に導入されてもよい。プロセスにおける反応の必要性に応じて、前記処理ガスの種類が変わると、前記ベースコンポーネント110の上面の高さを高い位置と低い位置との間で切り替えることができ、それによって反応空間のサイズ及び反応空間の排気口のサイズが変わる。前記ベースコンポーネント110が高い位置に移動する場合、そのエッジ領域Yの上面と前記ガススプレーヘッド101の下面は、前記反応空間を取り囲む第1抽気チャネルd1を形成する。
【0033】
具体的には、前記処理ガスが変わる場合、前記ベースコンポーネント110のエッジ領域Yの上面と前記ガススプレーヘッド101の下面との間の距離を変え、それによって前記反応空間内の前記処理ガスの流出速度を変え、実際のニーズに応じて均一性と排気効率の間の傾向を調整することができる。前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に移動する場合、エッジ領域Yの上面が前記ガススプレーヘッド101の下面に近いため、前記反応空間内のガスの排出に対する抵抗が生じる。即ち、エッジ領域Yの上面と前記ガススプレーヘッド101の下面は、前記第1抽気チャネルd1を形成し、処理ガスが前記第1抽気チャネルから排出される際のコンダクタンスが生成される。前記気相堆積装置は、前記第1抽気チャネルd1を取り囲む第2抽気チャネルd2をさらに備え、前記第2抽気チャネルd2の口径を抽気圧力に合わせることにより、前記処理ガスが前記第2抽気チャネルd2を通る時のコンダクタンスが生成される。前記第2抽気チャネルd2のコンダクタンスは、前記第1抽気チャネルd1のコンダクタンスよりも大きく、前記処理ガスは、前記第1抽気チャネルd1と前記第2抽気チャネルd2という2段の障害を通過した後に排出される。
【0034】
図1及び図2から分かるように、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に移動する場合、前記反応チャンバー100は、2段の抽気チャネルを有する。第1段が第1抽気チャネルd1であり、第2段が第2抽気チャネルd2であり、前記第2抽気チャネルd2のコンダクタンスは前記第1抽気チャネルd1のコンダクタンスよりも大きい。前記第1抽気チャネルd1は、前記反応空間に隣接し、コンダクタンスが小さいため、前記反応空間内は抽気流束が小さく、前記反応空間内にプロセスガスを迅速かつ均一に分布させることができ、これにより、基板の表面の薄膜の均一性がより高くなる。前記ベースコンポーネント110が前記低い位置に移動する場合、前記ベースコンポーネント110のエッジ領域の上面と前記ガススプレーヘッド101の下面の間の距離が大きく、前記反応空間内のガスの流出に対して基本的に影響を与えない。従って、前記第1抽気チャネルd1は無くなる、または、無視することができ、前記反応空間では、前記第2抽気チャネルd2のみによって抽気され。即ち、前記処理ガスは、前記第2抽気チャネルd2の1段の障害を通過した後に排出されるため、抽気流束が大きい。このため、ガスを迅速に排出し、パージガスのクリーニング効率を向上させることができる。幾つかの実施例では、前記ベースコンポーネント110が前記低い位置に移動する場合、前記ベースコンポーネント110のエッジ領域Yの上面の高さは、処理ガスの抽出に対する前記ガススプレーヘッド101及び前記ベースコンポーネント110のエッジ領域Yの影響を低減させるために、前記第2抽気チャネルd2の高さd2よりも低い(即ち、前記第2抽気チャネルd2の吸気口の下縁の高さよりも低い)。
【0035】
前記処理ガスは、プロセスガス(原料ガスTiCl、反応活性ガスNHなど)とパージガス(Nなど)とを含む。前記気相堆積装置に対して、前記高い位置は、薄膜の堆積に使用され、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に移動する場合、前記反応チャンバー100での前記プロセスガスの流れ方向が図1の点線の矢印で示され、前記プロセスガスは、前記ガススプレーヘッド101から前記反応空間に入る。即ち、前記第1抽気チャネルd1を通ってすぐにすべてが排出されないため、前記反応空間内に滞留効果が生じる。これにより、ガスの分布がより均一になり、基板の表面の薄膜の均一性が向上する。反応過程で前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルd1を通った後に前記第2抽気チャネルd2から排出される必要があるが、前記低い位置は、反応空間のクリーニング及びパージに使用され、前記ベースコンポーネント110が前記低い位置に移動する場合、前記反応チャンバー100での前記パージガスの流れ方向が図2の点線の矢印で示され、前記パージガスは、前記ガススプレーヘッド101から前記反応チャンバー100に入る。このとき、前記反応空間内のガスは、抽気流束が小さい第1抽気チャネルd1を通ることなく、抽気流束が大きい第2抽気チャネルd2から直接排出される。これにより、クリーニング効率が向上し、クリーニングを迅速に完了させて後のステップを実行することができる。また、前記第2抽気チャネルd2は、同様に、前記反応チャンバー内のガスに前記第1抽気チャネルd1よりも小さい滞留効果を発生させ、前記反応空間内の部材の表面の前のステップでの処理ガスをより完全にパージすることができ、クリーニング効果がより高い。
【0036】
1つの実施形態では、前記気相堆積装置は、前記ベースコンポーネント110が上下に移動するように自動的に制御し、前記プロセスガス又はパージガスを導入するように協働的に制御するためのコントローラをさらに備えることができる。前記ベースコンポーネント110は、ベースプラットフォーム111を含み、前記ベースプラットフォーム111の中央領域は、基板を載置するために使用され、前記ベースプラットフォーム111は、モータドライバなどの第1昇降駆動機構113に接続されてもよく、前記第1昇降駆動機構113は、前記ベースコンポーネント110を駆動して上下に移動させる。プロセスガスを導入する必要がある場合、前記コントローラは、前記ベースコントローラ110を駆動して前記高い位置に移動させるように前記第1昇降駆動機構113を制御し、前記ガススプレーヘッド101から前記反応チャンバー100に導入するように前記プロセスガスを制御する。パージガスを導入する必要がある場合、前記コントローラは、前記ベースコントローラ110を駆動して前記低い位置に移動させるように前記第1昇降駆動機構113を制御し、前記ガススプレーヘッド101から前記反応チャンバー100に導入するように前記パージガスを制御する。
【0037】
さらに、図1から図4に示すように、前記ベースコントローラ110が前記高い位置に移動する場合、前記第1抽気チャネルd1の上面と下面の間に第1距離h1があり、反応空間で滞留効果を生じさせるために、前記第1距離h1は、2mm以下であってもよい。第1距離h1が大きすぎると、前記プロセスガスが前記反応空間から速く逃げてしまい、基板の表面に均一に拡散する効果を奏することができない。
【0038】
図1及び図4に示すように、前記ベースコンポーネント110は、前記ベースコンポーネント110のエッジ領域Yにあるエッジリング112を含み、前記エッジリング112は、前記ベースコンポーネント110のベースプラットフォーム111のエッジを覆い、前記ベースプラットフォーム111のエッジへの堆積物を回避し、前記ベースプラットフォーム111のメンテナンスコストを削減するために使用される。本実施例では、前記第1抽気チャネルd1は、前記エッジリング112の上面と前記ガススプレーヘッド101のエッジ領域の下面との間の隙間から構成される。即ち、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に上昇する場合、前記エッジリング112の上面と前記ガススプレーヘッド101のエッジ領域の下面が相互に近づき、両者の間に前記第1抽気チャネルd1が形成される。
【0039】
前記反応空間が処理ガスを収容するための十分な容積を有することを確保するために、一実施形態では、図4に示すように、前記エッジリング112の上面を前記ベースコンポーネント110の中央領域Xの上面よりも高くすることができる。これにより、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に上昇する場合、前記エッジリング112の上面と前記ガススプレーヘッド101の下面との間の距離が小さく、それによって上記第1距離h1の要件を満たす。別の実施形態では、図1に示すように、前記ガススプレーヘッド101のエッジ領域の下面を前記ガススプレーヘッド101の中央領域の下面よりも低くすることもできる。即ち、前記ガススプレーヘッド101のエッジ領域の下面に環状のボス1011を設けることもでき、これにより、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に上昇する場合、前記ガススプレーヘッド101の環状のボス1011の下面と前記ベースコンポーネント110のエッジ領域Yの上面との間の距離が小さく、それによって上記第1距離h1の要件を満たす。
【0040】
別の気相堆積装置では、図5a、図5b及び図5cに示すように、前記エッジリング112は、第1カバーリング1121と、前記第1カバーリング1121の上面に設けられた第2カバーリング1122とを含み、これにより、2つのカバーリングは、別々に容易に交換でき、メンテナンスが容易である。前記第1カバーリング1121の内径が前記基板の外径よりも小さいため、前記第1カバーリング1121は、処理過程での前記基板の反りなどの欠陥を回避するために、基板(図示せず)の上面に押圧されてもよい。図5a及び図5bは、ベースコンポーネント110が高い位置及び低い位置にあるときに、基板の上面のエッジ領域に押圧された前記第1カバーリング1121の構造図を概略的に示している。図5aに示すように、ベースコンポーネント110が高い位置にあるとき、前記第2カバーリング1122の上面と前記ガススプレーヘッド101の下面との間の距離が小さく、それによって上記第1距離h1の要件を満たし、前記第2カバーリング1122と前記ガススプレーヘッド101の下面との間の隙間は、第1抽気チャネルd1を形成する。
【0041】
前記反応チャンバー100の側壁には、基板搬送口1031が設けられ、前記ベースコンポーネント110が前記基板搬送口1031の位置(即ち基板搬送位置)まで下降すると、図5cに示すように、前記ベースコンポーネント110の中央領域Xは、前記基板搬送口1031がある水平面よりも低く、前記第1カバーリング1121の下面は、前記基板搬送口1031がある水平面よりも高い。任意選択で、前記反応チャンバー100の側壁上の、前記基板搬送口1031の上方の位置にカバーリング支持部材1032を設けることができる。前記ベースコンポーネント110の下降過程では、前記エッジリング112は、前記カバーリング支持部材1032によって支持され、前記ベースコンポーネント110のベースプラットフォーム111は、前記基板搬送口1031の位置まで下降し続け、処理待ち基板を反応チャンバー100内に搬入して前記ベースプラットフォーム111の上面に置く。前記ベースプラットフォーム111の上昇過程では、前記エッジリング112は、前記基板の上面のエッジ領域に押圧され、それと共に上昇し続けることができる。
【0042】
さらに、前記第1抽気チャネルd1の径方向幅は、30mm以上であってもよい。前記第1抽気チャネルd1の上下の高さが小さい場合、径方向の幅が大きいことと相俟って、「細くて長い」前記第1抽気チャネルd1が形成されるため、前記反応空間によって形成された滞留効果がより高くなり、それによって基板の表面の薄膜の均一性がさらに向上する。
【0043】
以上のことから分かるように、本実施例の気相堆積装置は、プロセスガスを導入するときに前記ベースコンポーネント110を高い位置にするため、前記ベースコンポーネント110のエッジ領域Yの上面と前記ガススプレーヘッド101の下面が相互に近づいて前記第1抽気チャネルd1を形成する。前記第1抽気チャネルd1においては、抽気流束が小さいため、基板の表面の薄膜の均一性をよりよく向上させることができる。従って、本実施例では、前記第2抽気チャネルd2は、既存の気相堆積装置の抽気流束より大きく設計されてもよく、例えば、図2及び図5bに示すように、前記第2抽気チャネルd2の上面と下面の間に第2距離h2があり、前記第2距離h2は、4mm以上である。
【0044】
本実施例では、前記反応チャンバー100の側壁には、前記反応チャンバー100内のガス、即ち反応廃棄物を前記反応チャンバー100の外に排出するための抽気リング120が設けられる。図1に示すように、前記抽気リング120は、前記ガススプレーヘッド101と前記反応チャンバー100の側壁との間に設けられ、環状の抽気空間Aを有し、前記第2抽気チャネルd2は、前記環状の抽気空間Aの吸気口を含み、前記反応空間内の処理ガスは、前記環状の抽気空間Aの吸気口を通って前記環状の抽気空間Aに入ることができ、前記環状の抽気空間Aの排気口は、外部抽気装置と連通する。前記環状の抽気空間Aのコンダクタンスは、主に前記吸気口のコンダクタンスに依存する。これにより、前記外部抽気装置は、前記第2抽気チャネルd2を介して前記反応空間内の処理ガスを前記環状の抽気空間Aに抽気し、前記排気口からチャンバの外に排出することができる。任意選択で、前記環状の抽気空間Aの吸気口は、前記抽気リング120の内壁の円周方向に沿って均一又は不均一に分布した複数の穴であり、例えば、前記穴の数は、60よりも多く、前記穴の直径は、4mm以上であり、これにより、抽気過程でガスの分布の均一性を維持し、迅速かつ均一な抽気の目的を達成することができる。幾つかの実施例では、実際のニーズに応じて、前記抽気リング120の内壁の円周方向に、不均一に分布した複数の穴を設けてガスの流れを調整することもできる。
【0045】
前記ガススプレーヘッド101は、外部のガス源に接続されており、プロセスガス又はパージガスをガス源から前記反応チャンバー100内に均一に注入し、基板の上方の処理領域で薄膜堆積プロセス又はパージを実行し、薄膜堆積プロセスの正常な実行を確保するために使用される。前記ガス源は、第1プロセスガス源131、第2プロセスガス源132及びパージガス源133を含み、前記第1プロセスガス源131、前記第2プロセスガス源132及び前記パージガス源133は、ガス輸送パイプラインを介して前記ガススプレーヘッド101と連通している。ガス輸送パイプラインは、第1プロセスガス、第2プロセスガス及びパージガスをガススプレーヘッドにそれぞれ輸送するための分離された複数本のパイプラインであってもよいし、第1プロセスガス、第2プロセスガス及びパージガスを混合してからガススプレーヘッドに輸送するための多方向マニホールドであってもよい。本実施例では、前記ガススプレーヘッド101は、第1ガス輸送パイプラインを介して第1プロセスガス源131に接続され、第2ガス輸送パイプラインを介して第2プロセスガス源132に接続され、第3ガス輸送パイプラインを介してパージガス源133に接続され、第1プロセスガス、第2プロセスガス及びパージガスを含む処理ガスを前記反応空間にそれぞれ輸送する。本実施例で説明される気相堆積装置のコントローラは、処理ガスが変わるときに、前記ベースコンポーネント110の高さ位置を切り替える。例えば、前記ベースコンポーネント110を前記高い位置に移動して、前記第1プロセスガスが前記反応空間に入るように第1ステップを実行し、前記ベースコンポーネント110を前記低い位置に移動して、前記パージガスが前記反応空間に入るように第2ステップを実行し、前記ベースコンポーネント110を前記高い位置に移動し、前記第2プロセスガスが前記反応空間に入るように第3ステップを実行するように構成される。
【0046】
他の幾つかの実施例では、前記高い位置は、少なくとも1つの高さ値を含むことができ、前記低い位置は、少なくとも1つの高さ値を含むこともでき、前記高い位置の最小高さ値は、前記低い位置の最大高さ値よりも大きい。即ち、毎回高い位置に切り替えられる前記ベースコンポーネント110の位置は、第1抽気チャネルd1を形成するために十分である限り、変えることができ、これにより、異なるプロセスガスに応じて、それに対応する適切な滞留時間を形成することができる。同様に、毎回低い位置に切り替えられる前記ベースコンポーネント110の位置は、前記反応空間のガスの排出に対する抵抗が生じない限り、変えることができる。
【0047】
具体的には、前記第1ガス輸送パイプラインと前記第1プロセスガス源131及び前記ガススプレーヘッド101との接続部には、それぞれ第1ガスチャージバルブと第1ガス輸送バルブとが設けられ、前記第2ガス輸送パイプラインと前記第2プロセスガス源132及び前記ガススプレーヘッド101との接続部には、それぞれ第2ガスチャージバルブと第2ガス輸送バルブとが設けられ、前記第3ガス輸送パイプラインと前記パージガス源133及び前記ガススプレーヘッド101との接続部には、それぞれ第3ガスチャージバルブと第3ガス輸送バルブとが設けられる。前記コントローラは、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に移動するように制御し、前記第1ガスチャージバルブと前記第1ガス輸送バルブがオンになるように制御して、前記第1プロセスガスが前記反応空間に入るように制御する、第1ステップを実行する。第1ステップが実行された後、前記第1ガスチャージバルブと前記第1ガス輸送バルブがオフになるように制御し、前記ベースコンポーネント110が前記低い位置に移動するように制御し、前記第3ガスチャージバルブと前記第3ガス輸送バルブがオンになるように制御して、前記パージガスが前記反応空間に入るように制御する、第2ステップを実行する。第2ステップが実行された後、前記第3ガスチャージバルブと前記第3ガス輸送バルブがオフになるように制御し、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置に移動するように制御し、前記第2ガスチャージバルブと前記第2ガス輸送バルブがオンになるように制御して、前記第2プロセスガスが前記反応空間に入るように制御する、第3ステップを実行するように構成される。任意選択で、前記第1プロセスガスを導入する前記第1ステップを実行し、前記パージガスを導入する前記第2ステップを実行する期間に、前記第2プロセスガスが前記第2ガス輸送パイプラインで供給されるように、前記第2ガスチャージバルブをオンにし、前記第2ガス輸送バルブをオフに制御することができる。これにより、前記第2プロセスガスを導入する前記第3ステップを実行するとき、前記第2ガス輸送バルブがオンになるように制御した後、前記反応空間内に導入される第2プロセスガスの流量が大きいため、前記反応空間内でより高い滞留効果を形成し、基板の表面の薄膜の均一性を向上させることができる。
【0048】
ベースコンポーネント110が高い位置にあるときの反応空間の容積がベースコンポーネント110が低い位置にあるときの反応空間の容積より小さいため、ベースコンポーネント110が高い位置にあるときの反応空間の気圧は、ベースコンポーネント110が低い位置にあるときの反応空間の気圧よりも大きい。従って、ベースコンポーネント110が高い位置にある場合、ガスは、反応空間内で迅速に拡散することができ、ガスの分布の均一性が向上する。ベースコンポーネント110が低い位置にあるとき、抽気の障害が小さく、ガスを急速に排出することができる。従って、本実施例の技術的解決手段は、同じプロセスの異なるステップでベースコンポーネント110に対する高い位置と低位置の切り替えを実現することに加えて、異なるプロセスでニーズに応じて高い位置と低い位置の切り替えを実行することもでき、例えば、反応チャンバー内でのプロセスガスの分布の均一性要件が高い場合、ベースコンポーネント110を高い位置に設けることができ、反応チャンバーでのプロセスガスの置換速度要件が高い場合、ベースコンポーネント110を低い位置に設けることができる。
【0049】
上述したように、基板の処理が完了した後、前記ベースコンポーネント110は、基板搬送位置まで下降することができる。図3及び図5cに示すように、前記基板搬送位置は、処理された基板を前記基板搬送口1031を通って前記反応チャンバー100から搬出し、処理待ち基板を搬入するように、前記側壁に設けられた基板搬送口1031の位置に対応する。これに基づき、前記低い位置にあるときの前記ベースコンポーネント110の上面の高さを前記基板搬送位置にあるときの前記ベースコンポーネント110の上面の高さよりも高く設定することができる。即ち、図2図3及び図5b、図5cに示すように、前記低い位置は、前記基板搬送位置よりも高く、これにより、前記ベースコンポーネント110が前記高い位置で第1ステップ又は第3ステップを実行した後、前記ベースコンポーネント110をより低い基板搬送位置まで下降させることなく、前記ベースコンポーネント110を前記高い位置と前記基板搬送位置との間の低い位置まで下降させることにより、パージガスを導入して前記反応チャンバー100のクリーニングステップを実行することができる。これにより、前記反応チャンバー100の基板の処理効率を向上させることができる。
【0050】
同じ発明概念に基づいて、本実施例は、上記気相堆積装置によって実現される基板処理方法をさらに提供する。図6に示すように、前記方法は、以下のステップを含む。
【0051】
S1、前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動するように制御し、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間に第1プロセスガスを導入し、前記ベースコンポーネント上の基板を化学的に吸着させ、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出される。
【0052】
第1抽気チャネルが設けられるため、反応空間は、圧縮されて小さくなり、第1プロセスガスは、反応空間を迅速に満たすことができる。前記第1プロセスガスは、反応空間内の各領域の基板に対する均一な処理を達成するために、数秒又は1秒未満の時間内で反応空間を均一に満たすことができる。
【0053】
S2、前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動するように制御し、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間にパージガスを導入してパージを行い、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出される。
【0054】
これにより、反応空間が引き伸ばされて拡大し、反応空間のエッジの拡大により、第1抽気チャネルは、ガス流に対する障害作用を失い、反応空間内のパージガスは、流れが有利な第2抽気チャネルを利用し、パージガスと前のステップのプロセスガスを最も速く排出し、プロセス要件を満たすレベルのクリーニングを達成することができる。ベースコンポーネントが低い位置に移動することにより、クリーニング要件を達成するパージを数秒で完了することができ、幾つかの実施例では、1秒未満の時間範囲でパージ過程を完了することができる。
【0055】
S3、前記ベースコンポーネントが前記高い位置に移動するように制御し、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間に第2プロセスガスを導入し、前記ベースコンポーネント上の基板を化学的に反応させ、前記反応空間内のガスは、前記第1抽気チャネルを通って前記第2抽気チャネルから排出される。
【0056】
これにより、反応空間が再び適切なサイズに圧縮され、第2プロセスガスは、反応空間を迅速に満たすことができ、2段の抽気チャネルにより、前記第2プロセスガスは、前記反応空間に十分な時間留まることができ、前記反応空間の各領域での均一な分布が最大化される。これにより、反応に関与するステップ2のガスの濃度及び分布は、プロセス要件を迅速に満たす。
【0057】
S4、前記ベースコンポーネントが前記低い位置に移動するように制御し、前記ガススプレーヘッドは、前記反応空間にパージガスを導入してパージを行い、前記反応空間内のガスは、前記第2抽気チャネルから排出される。
【0058】
前記基板の表面に堆積された薄膜が要件を満たすまで上記のステップS1~S4を繰り返す。
【0059】
また、前記基板処理方法は、前記ベースコンポーネントが基板搬送位置まで下降するように制御し、処理待ち基板を前記反応チャンバーに搬入し、又は、処理された基板を前記反応チャンバーから搬出するステップをさらに含む。
【0060】
本実施例で設けられたベースコンポーネントは、高い位置、低い位置及び基板搬送位置の間で切り替えることができ、ベースコンポーネントが高い位置にある場合、反応チャンバーに薄膜成長プロセスガスが導入され、第1抽出チャネルが設けられるため、反応空間のサイズが縮小され、薄膜成長プロセスガスは、反応空間全体を迅速かつ均一に満たすことができ、それによって基板の各領域に対して均一処理を実行する。ベースコンポーネントが低い位置にある場合、反応チャンバーにパージガスが導入され、ベースコンポーネントの位置が下降するため、ガススプレーヘッドの下面とベースコンポーネントのエッジ領域の間の距離が大きくなり、パージガスに対してより多くの障害を引き起こさず、第2抽気チャネルのコンダクタンスが大きいため、パージガスは、前の薄膜成長プロセスガスを迅速にクリーニングした後、反応チャンバーから迅速に排出される。本実施例に係る気相堆積装置は薄膜成長プロセスガスとパージガスの導入を数秒で周期的に切り替える必要があるため、本実施例で開示される技術的解決手段は、反応空間を薄膜成長プロセスガスで迅速に満たして基板の均一性を向上させるだけでなく、パージガスの排出時間を短縮し、それによって処理効率を大幅に向上させることができる。基板の処理が完了した後、ベースコンポーネントは、基板搬送位置まで下降し続け、基板の搬入及び搬出を実現する。
【0061】
なお、本明細書において、第一及び第二などの用語は、1つのエンティティ又は操作と別のエンティティ及び操作を区別するためのものだけであり、必ずしもこれらのエンティティ又は操作の間にいかなるこのような実際の関係又は順番が存在することを要求又は示唆するものではない。そして、用語「含む」、「備える」又はその他のいかなる変形も、非排他的に含まれるものであり、一連の要素を含む過程、方法、物品又は装置は、これらの要素だけでなく、明確に示されない他の要素を含み、又はこのような過程、方法、物品又は装置に固有な要素をさらに含む。更なる制限がない場合、「1つ......を含む」という言葉によって限定された要素は、前記要素を含む過程、方法、物品又は装置に別の同じ要素がさらに存在することを排除するものではない。
【0062】
本発明の内容を上記の好ましい実施例を通じて詳細に説明したが、上記の説明が本発明を限定するものとみなされるべきではない。本発明は、上記の説明に限定されるものではない。当業者は、上述した内容を読んだ後、本発明に対する様々な変更及び置換を想到できる。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
【外国語明細書】