(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169369
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】セパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/451 20210101AFI20241128BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20241128BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20241128BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20241128BHJP
H01M 50/431 20210101ALI20241128BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20241128BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241128BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/446
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/431
H01M50/403 D
H01M50/403 Z
H01M10/058
H01M50/457
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082869
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】10-2023-0067456
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ジ サン ユン
(72)【発明者】
【氏名】アン ジュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン ヒュン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021BB01
5H021BB02
5H021BB12
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE02
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
5H021HH06
5H029AJ12
5H029CJ02
5H029CJ05
5H029CJ22
5H029DJ04
5H029EJ01
5H029EJ03
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ14
(57)【要約】
【課題】本開示は、セパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。具体的には、中空型伝導性粒子を含むセパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。
【解決手段】本開示の一様態によるセパレータは、多孔性基材と、前記多孔性基材の一面または両面に位置し、無機粒子および中空型(Hollow)伝導性粒子を含む少なくとも一つのコーティング層とを含む。本開示のセパレータは、リチウムイオンの電気的孤立およびデッド(Dead)リチウムイオンの蓄積を防止することで、リチウムデンドライトの形成および成長を抑制することができる。これにより、電池の安全性を確保することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材と、
前記多孔性基材の一面上にまたは両面上に位置し、無機粒子および中空型伝導性粒子を含むコーティング層とを含む、二次電池用のセパレータ。
【請求項2】
前記コーティング層は、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面の前記中空型伝導性粒子の含有量がより多い、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型伝導性粒子の含有量が増加する勾配を有する、請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層からなる、請求項3に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記中空型伝導性粒子は、中空率が5~97%である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記中空型伝導性粒子は、平均外径が10nm~10μmである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記中空型伝導性粒子は、内部が空いている中空構造の中空コアと、金属および伝導性高分子からなる群から選択されるいずれか一つ以上の伝導性物質からなるシェル層とを含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記中空型伝導性粒子は、中空コアとシェル層との間に、中空構造を維持するための構造体物質層をさらに含む、請求項7に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記構造体物質層は、無機物および架橋された高分子から選択されるいずれか一つ以上を含む、請求項7に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記無機物は、酸化物、炭素材またはこれらの混合物であり、
前記架橋された高分子は、スチレン系、アクリル系およびフッ素系から選択されるいずれか一つ以上を含む、請求項9に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記多孔性基材と前記コーティング層との間に無機粒子層をさらに含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項12】
多孔性基材の一面上にまたは両面上に無機粒子および中空型伝導性粒子を含むコーティング組成物を塗布して、コーティング層を形成するコーティングステップと、
前記コーティング層を乾燥する乾燥ステップとを含む、二次電池用のセパレータの製造方法。
【請求項13】
前記乾燥ステップの前にまたは乾燥と同時に振動を加えるステップをさらに含む、請求項12に記載のセパレータの製造方法。
【請求項14】
前記コーティングステップの後、乾燥する前に、前記コーティング組成物が塗布されたセパレータを静置するステップをさらに含む、請求項12に記載のセパレータの製造方法。
【請求項15】
前記コーティング層は、前記コーティングステップおよび乾燥ステップの後、前記中空型伝導性粒子がコーティング層の表面に浮遊して勾配を形成するか、表面に前記中空型伝導性粒子からなる伝導性層を形成する、請求項12に記載のセパレータの製造方法。
【請求項16】
前記コーティング組成物は、固形物の含有量が10~60重量%である、請求項12に記載のセパレータの製造方法。
【請求項17】
前記コーティング組成物は、前記無機粒子100重量部に対して、前記中空型伝導性粒子を0.2~20重量部含む、請求項12に記載のセパレータの製造方法。
【請求項18】
前記乾燥は、25~100℃の熱風により行われる、請求項12に記載のセパレータの製造方法。
【請求項19】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のセパレータを含む、二次電池。
【請求項20】
正極と負極との間に請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のセパレータを位置させた後、熱、圧力または熱と圧力を印加して、前記セパレータと電極を一体化するステップを含む、二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。具体的には、中空型伝導性粒子を含むセパレータ、その製造方法およびこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、二次電池は、電気自動車などに適用するために、高容量化および大型化しており、電池の安全性の確保が非常に重要な要素になっている。
【0003】
リチウム二次電池は、負極と正極、および前記負極と正極との間にリチウムイオンの移動経路を提供する電解質とセパレータで構成される電池であり、正極と負極の両電極に対するリチウムイオンの挿入および脱離が行われる時に、酸化、還元反応によって電気エネルギーを生成する。
【0004】
しかし、数回の充放電時に、リチウムイオンの電気的孤立およびデッド(Dead)リチウムイオンの蓄積によって、不規則な針状のデンドライト(dendrite)が形成され、デンドライトの成長により、電池の内部抵抗を高めて電池の充放電効率を低下させるだけでなく、セパレータを破壊して、電池の内部短絡を引き起こし得る。
【0005】
すなわち、繰り返した充放電過程で成長するリチウム樹枝状(Li dendrite)は、電池の内部短絡の原因になって致命的な安全性の問題を引き起こし得、新たに生成されて露出するリチウム樹枝状の表面が電解液と反応して、液体電解質を速く枯渇させ、リチウムが剥離/析出する充放電過程中に発生する電極の厚さの変化によって電池の全体積の変化がひどいなどの問題がある。
【0006】
したがって、韓国公開特許公報第10-2019-0046237号は、生成されたデンドライトを吸収する金属イオン受容体をバッテリセル内に備えることで、デンドライトによる内部短絡を防止している。しかし、デンドライトを受容するための別の空間、すなわち、金属イオン受容体が占める空間によって、既存の電池に比べて、エネルギー容量が低下するというデメリットがあり、金属イオン受容体を形成するための製造方法が複雑であるという問題がある。金属イオン受容体が受容することができるデンドライトの受容量に限界があり、実質的に、二次電池の寿命を延長することができないデメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】:韓国公開特許公報第10-2019-0046237号(2019年05月07日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の一課題は、デンドライトの形成および成長を抑制して、電池の安全性を確保することができるセパレータを提供することである。
【0009】
また、電解質などによる膨潤を内部的に収容することができる能力を有する新たなセパレータを提供することを目的とする。
【0010】
また、リチウムイオンの電気的孤立およびデッド(Dead)リチウムイオンの蓄積を防止して、リチウムデンドライトの成長を抑制することができる新たなセパレータを提供することを目的とする。
【0011】
また、伝導性物質からなるシェル層を有する中空型伝導性粒子を表面に含むことで、電気的な漏電による短絡(short circuit)を防止することができ、電池の安全性をさらに向上させた新たなセパレータを提供することを目的とする。
【0012】
また、中空型伝導性粒子と無機粒子を含むコーティング組成物を製造した後、一回の塗布工程でコーティング層を形成することができ、コーティング層を形成する過程で、前記無機粒子に比べて相対的に比重が低い中空型伝導性粒子が浮遊しながらコーティング層を形成することから、別の塗布工程が必要ではなく、一回の塗布工程で製造することができる新たなセパレータを提供することを目的とする。
【0013】
また、前記中空型伝導性粒子が電解質による膨潤を内部的に収容可能なバッファーの機能をして、膨潤を抑制し、且つ電解質の溶出が抑制される役割を果たす新たなセパレータを提供することを目的とする。
【0014】
また、本開示の一様態によるセパレータを含むことで安全性が確保された二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の一様態は、多孔性基材と、前記多孔性基材の一面上にまたは両面上に位置し、無機粒子および中空型(Hollow)伝導性粒子を含むコーティング層とを含む、セパレータを提供する。前記セパレータは、二次電池の正極と負極を分離するのに用いられるセパレータであることができる。前記コーティング層は、前記多孔性基材の表面上に直接配置されることができる。もしくは、前記多孔性基材の前記表面に間接的に配置されることができるが、これは、前記多孔性基材の表面とコーティング層との間にさらなる無機粒子層が存在し得ることを意味する。前記さらなる無機粒子層は、多孔性基材とコーティング層との間にさらに含まれることができるが、中空型伝導性粒子を含まなくてもよく、従来、セラミックコーティングセパレータ(CCS)のセラミックコーティング層のように、バッテリに適するセパレータの技術分野において一般的に用いられる無機粒子で形成される層を指す。前記セパレータは、二つの表面を有する平坦な形態を有する。コーティング層が多孔性基材の両面に配置/存在する場合、コーティング層は、多孔性基材の互いに反対の面に二つの層が形成されることができる。二つの層の特性は、互いに同一であり得る。
【0016】
一様態として、前記コーティング層は、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面の前記中空型伝導性粒子の含有量がより多いことができる。前記中空型伝導性粒子の前記第1表面および前記第2表面のそれぞれの含有量は、当業者にとって公知の任意の適切な方法によって決定されることができる。本開示では、以下のような方法が適用されることができる。集束イオンビームミリング(focused ion beam milling、FIB)を適用してセパレータのコーティング層を切断し、コーティング層の断面を得る。その後、コーティング層の厚さ方向(すなわち、二番目の表面から最初の表面への方向または最初の表面から二番目の表面への方向)において、中空型伝導性粒子の分布を、例えば、SEM、EDSまたはFTIR(「フーリエ変換赤外線分光法」)を使用して決めることができる。SEMを使用する場合、切断したコーティング層の表面をスキャンしてサンプルイメージを生成し、このように得られたイメージを観察することができる。EDSとFTIRを使用すると、Al、C、Oなどの元素分析により、ポリマーで構成された中空型伝導性粒子の分布を定量的に確認することができる。
【0017】
一様態として、前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型伝導性粒子の含有量が増加する勾配を有することができる。前記「勾配」という用語は、中空型伝導性粒子の含有量が、第1表面の反対側に増加する一般的な傾向を意味し得、増加が連続的または線形的な構造であってもよく、増加が非線形的であり、選択的に、中空型伝導性粒子が断続的に所定の含有量(しかし、断続的に減少しない)を有する構造を含むことができる。
【0018】
一様態として、前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型(Hollow)伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層からなることができる。
【0019】
一様態として、前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子サブ層(inorganic particle sub-layer)と、中空伝導性粒子により形成された伝導性サブ層(conductive sub-layer)とを含むことができる。前記無機粒子サブ層は、多孔性基材と対向する第1表面に形成されることができ、中空型伝導性粒子を含む伝導性サブ層は、第1表面の反対側にある第2表面に形成されることができる。前記サブ層において、前記中空型伝導性粒子は、無機粒子サブ層の無機粒子上に浮遊することができる。本開示において、「浮遊」という用語は、コーティング組成物およびその製造用スラリーに存在し、一般的に、中空構造によって、コーティング組成物およびその製造用スラリーに存在する無機粒子よりも比重が低い中空型伝導性粒子がコーティング層の形成時に、重力にしたがってコーティング層の表面に向かって自ら配列される状況を指す。したがって、各粒子の配列は、比重が高いほど、このような粒子(無機粒子)が多孔性基材に向かう表面に沈む一方、比重が低いほど、このような粒子(中空型伝導性粒子)が多孔性基材の外側表面に向かって浮び上がる原理による。
【0020】
一様態として、前記中空型伝導性粒子は、中空率が5~97%、50~95%、60~90%、70~85%、75~85%であることができ、これに制限されるものではない。
【0021】
一様態として、前記中空型伝導性粒子は、平均外径が10nm~10μm、500nm~2μm、700nm~1200nmであることができ、これに制限されるものではない。前記平均外径(average diameter)は、二つ以上の粒子の平均直径を意味する。
【0022】
一様態として、前記中空型伝導性粒子は、内部が空いている中空構造の中空コアと、金属および伝導性高分子からなる群から選択されるいずれか一つ以上の伝導性物質からなるシェル層とを含むことができる。
【0023】
一様態として、前記中空型伝導性粒子は、中空コアとシェル層との間に、中空構造を維持するための構造体物質層をさらに含むことができる。
【0024】
一様態として、前記構造体物質層は、無機物および架橋された高分子から選択されるいずれか一つ以上を含むことができる。
【0025】
一様態として、前記無機物は、酸化物、炭素材またはこれらの混合物であり、前記架橋された高分子は、スチレン系、アクリル系およびフッ素系から選択されるいずれか一つ以上を含むことができ、これに制限されるものではない。
【0026】
一様態として、前記多孔性基材と前記コーティング層との間に無機粒子層をさらに含むことができる。ここで、前記無機粒子層は、前記コーティング層と区別されることで通常、当該分野において使用される無機粒子からなる層、すなわち、セラミック層を意味する。具体的には、例えば、無機粒子のみからなり、無機粒子の間に気孔が形成された層や、または無機粒子がバインダーによって結着し、無機粒子の間に気孔が形成された層であることができる。ここで、前記無機粒子層は、前記中空型伝導性粒子を含まないことができる。
【0027】
本開示のさらに他の様態は、多孔性基材の一面上にまたは両面上に無機粒子および中空型伝導性粒子を含むコーティング組成物を塗布して、コーティング層を形成するコーティングステップと、前記コーティング層を乾燥する乾燥ステップとを含む、セパレータの製造方法を提供する。
【0028】
一様態として、前記乾燥ステップの前にまたは乾燥と同時に振動を加えるステップをさらに含むことができる。
【0029】
一様態として、前記コーティングステップの後、乾燥する前に、前記コーティング組成物が塗布されたセパレータを静置するステップをさらに含むことができる。
【0030】
一様態として、前記コーティング組成物は、多孔性基材のいずれか一つの面または両面上に数回塗布されることができる。このために、コーティング工程は、それぞれの表面に塗布され、塗布されたコーティングを静置し、このような最初のコーティングが乾燥された後、二番目のコーティングが適用されることができる。
【0031】
一様態として、前記コーティング層は、前記コーティングステップおよび乾燥ステップの後、前記中空型伝導性粒子がコーティング層の表面に浮遊して勾配を形成するか、表面に前記中空型伝導性粒子からなる伝導性層を形成することができる。
【0032】
一様態として、前記コーティング層は、前記コーティングステップおよび乾燥ステップの後、前記コーティング層の表面に形成された中空型伝導性粒子により形成された勾配を有することができる。前記コーティング層は、表面に形成された中空型伝導性粒子で形成された伝導性サブ層を形成することができる。このようなサブ層において、中空型伝導性粒子は、無機粒子サブ層を形成する無機粒子の上に浮遊することができる。
【0033】
一様態として、前記コーティング組成物は、固形物の含有量が10~60重量%、20~50重量%、20~40重量%であることができ、これに制限されない。
【0034】
一様態として、前記コーティング組成物は、前記無機粒子100重量部に対して、前記中空型伝導性粒子を0.2~20重量部、0.2~10重量部、0.5~10重量部、0.5~5重量部含むことができ、これに制限されない。
【0035】
一様態として、前記乾燥は、25~100℃、25~80℃、30~60℃の熱風により行われることができる。一般的に、乾燥は、これ以上感知することができる重量の変化がないときまで行われる。
【0036】
本開示のさらに他の様態は、前記一様態によるセパレータを含む二次電池を提供する。
【0037】
また、正極と負極との間に前記一様態によるセパレータを位置させた後、熱、圧力または熱と圧力を印加して、前記セパレータと電極を一体化するステップを含む、二次電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0038】
本開示の一様態によるセパレータは、中空型伝導性粒子を含有し、前記中空型伝導性粒子がセパレータの表面に存在することによって電極と当接した状態で伝導性層として作用し、リチウムイオンの電気的孤立およびデッド(Dead)リチウムイオンの蓄積を防止することで、リチウムデンドライトの形成および成長を抑制することができる。これにより、電池の安全性を確保することができる。
【0039】
また、本開示の一様態によるセパレータは、表面層に伝導性を付与することで、電気的な短絡(short circuit)を防止することができる。
【0040】
また、本開示の一様態によると、電解質などによる電池の膨潤を内部的に収容可能なバッファーの機能をして膨潤を抑制することができる新たなセパレータを提供することができる。
【0041】
また、膨潤を抑制して電極との接着力をよく維持できることから、膨潤による接着力の損失を防止することができ、電極とセパレータの積層を多く行っても、電極モジュールのアライメントがよく維持する新たなセパレータおよびこれを用いた電池を提供することができる。
【0042】
また、本開示の一様態によるセパレータの製造方法は、多孔性基材上に中空型伝導性粒子を含むコーティング層を形成するだけでも、デンドライトの形成および成長を抑制することができるセパレータを容易に製造することができる。また、耐熱性を付与するためのセラミック層を形成する無機粒子と中空型伝導性粒子を混合して塗布することができ、ここで、一回の塗布だけでも、前記無機粒子と中空型伝導性粒子の比重の差によって中空型伝導性粒子が、表面の方により多く形成されるように製造することができる。
【0043】
また、本開示の一様態によるセパレータを含む二次電池は、安全性が確保されることで、高容量および大型化が可能であり、産業上の利用可能性が非常に高い効果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】中が空いている中空コア11と伝導性物質のシェル層12からなる中空型(Hollow)伝導性粒子の一様態を図示した図である。
【
図2】中が空いている中空コア11と中空構造を形成および維持するための構造体物質層13と伝導性物質からなるシェル層12からなる中空型(Hollow)伝導性粒子の一様態を図示した図である。
【
図3】セパレータを製造する方法の一様態を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書で使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明および添付の図面において、本開示の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0046】
また、本明細書で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むことを意図することができる。
【0047】
また、本明細書において、特別な言及なしに使用された単位は、重量を基準とし、一例として、%または比の単位は、重量%または重量比を意味し、重量%は、他に定義されない限り、全組成物のいずれか一つの成分が組成物内で占める重量%を意味する。
【0048】
また、本明細書で使用される数値範囲は、下限値と上限値と、その範囲内でのすべての値、定義される範囲の形態と幅から論理的に誘導される増分、二重限定されたすべての値および互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限のすべての可能な組み合わせを含む。本開示の明細書において特別な定義がない限り、実験誤差または値の四捨五入によって発生する可能性がある数値範囲以外の値も定義された数値範囲に含まれる。
【0049】
本明細書の用語、「含む」は、「備える」、「含有する」、「有する」または「特徴とする」などの表現と等価の意味を有する開放型記載であり、さらに列挙されていない要素、材料または工程を排除しない。
【0050】
本明細書において特別な定義がない限り、ある層または部材が他の層または部材の「上に」位置しているとした時に、これは、ある層または部材が他の層または部材に接している場合だけでなく、二つの層または二つの部材の間にさらに他の層またはさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0051】
本明細書において、「中空型(Hollow)伝導性粒子」は、内部が空いており、伝導性を有する粒子を意味する。具体的には、
図1および
図2に図示されているように、中が空いている中空コア(hollow-core)11と、伝導性物質からなるシェル層(shell-layer)12で構成され、前記シェル層は、少なくとも一層以上からなることができる。また、
図2に図示されているように、中空コア11とシェル層12との間に、中空構造を形成および維持するための構造体物質層13をさらに含むことができる。
図1および
図2は、本開示の一様態による中空型伝導性粒子を具体的に例示するためのものであって、これに制限されるものではない。
【0052】
前記伝導性粒子において、「伝導性」とは、シェル層をなす伝導性物質をガラス基板またはシリコンウェハに200nm以上の厚さでコーティングした時に、さらに具体的には、厚さ200nmでコーティングした時に、表面抵抗が10000ohm/sq以下である物質を意味する。
【0053】
従来の二次電池は、繰り返した充放電時に、リチウムイオンの電気的孤立およびデッド(Dead)リチウムイオンの蓄積によって、不規則な針状のデンドライト(dendrite)が、電極の表面やセパレータの表面に突出形成され、このようなデンドライトは、電池の内部抵抗を高めて、電池の充放電効率を低下させるだけでなく、針状デンドライトがセパレータを破壊して、電池の内部短絡を引き起こし得る問題がある。
【0054】
これを解消するために、鋭意研究を重ねた結果、セパレータの表面に伝導性物質で表面コーティングされたシェル層を有し、内部が空いている中空構造の伝導性粒子を含んでコーティング層を形成することにより、リチウムデンドライトの形成を防止し、電池の体積変化を抑制することができ、電解質の分解を抑制し、電池の抵抗が上昇することを抑制することができ、電池のサイクル寿命が上昇する効果を図ることができることを見出し、本開示を完成するに至った。また、耐熱性のための無機粒子と混合してコーティング層を形成し、前記無機粒子との比重の差によって、表面層に中空構造の伝導性粒子が浮遊することから別の塗布工程を追加する必要がなく、別の伝導性コーティング層を形成する場合に比べて、セパレータの通気度の変化が少なく、リチウムイオンの伝導性に優れたセパレータを提供することができることを見出し、本開示を完成するに至った。
【0055】
具体的には、多孔性基材と、多孔性基材の一面上にまたは両面上に位置し、無機粒子および中空型(Hollow)伝導性粒子を含むコーティング層とを含むセパレータを提供することにより、前記問題を解決することができることを見出し、本開示を完成するに至った。
【0056】
すなわち、従来の多孔性基材および多孔性基材の一面上にまたは両面上に形成される無機物粒子が互いに連結され、無機物粒子の連結によって気孔が形成されるセラミック層(以下、「コーティング層」とも言う)を有するセパレータにおいて、前記セラミック層に無機物粒子とともに中空型伝導性粒子を含んで製造することにより、前記問題を解決することができることを見出し、本開示を完成するに至った。
【0057】
前記中空型伝導性粒子は、内部が空いている構造であることから、前記無機粒子に比べて相対的に比重が低くて表面に浮遊することができる。これにより、別の伝導性コーティング層を形成する必要がなく、前記無機粒子と混合して同時に塗布してコーティング層を形成することにより、自然に、表面層に浮遊した中空型伝導性粒子によって伝導性を付与することができる。
【0058】
このように、コーティング層に、中空型伝導性粒子を含むことで、前記中空型伝導性粒子の中空構造により無機粒子に比べて低い比重を有することから、コーティング層の形成時に、コーティング層の表面の方に中空型伝導性粒子が容易に誘導されることができる。これにより、伝導性コーティング層を別に形成する必要がないため、より少量の伝導性物質、すなわち、より少量の中空型伝導性粒子を含んでも、伝導性を発揮することができる。
【0059】
また、電解質などによって膨潤が発生する場合、前記コーティング層で内部的に収容して、外部的に膨潤が発生することを予防できる効果を提供することができる新たな概念のセパレータを提供することができる。また、本開示の一様態によるセパレータを含む二次電池は、充放電時に、抵抗の上昇またはサイクル寿命の低下など、様々な問題を防止することができ、電極とセパレータとの離隔が防止され、電極とセパレータの離隔による抵抗の上昇も防止することができ、電池の膨張現象を防止することができる。
【0060】
すなわち、前記中空型伝導性粒子を含むコーティング層を有する場合、セパレータと電極にリチウムイオンデンドライトが形成されることを防止することができ、抵抗の上昇を抑制することができ、電解質などによる膨潤を内部的に収容して、外部的に膨潤しない効果を有する新たなセパレータを提供することができる。前記コーティング層の中空型伝導性粒子は、コーティング層に均一に分布することもできるが、中空型伝導性粒子と無機粒子との比重の差によって、中空型伝導性粒子が電極と接する表面により多く分布することにより、電極から出るリチウムイオンの電気的孤立およびデッドリチウムイオンの蓄積をさらによく防止することができ、デンドライトの形成および成長をより効果的に防止することもできる。
【0061】
また、前記セパレータは、電解質による膨潤を抑制して、電極との接着力の損失を最小化するため、すなわち、膨潤による接着力の損失を防止することから、電極とセパレータの積層を多く行っても、電極モジュールのアライメント(alignment)がよく維持される新たなセパレータおよびこれを用いた電池を提供する。また、膨潤の抑制と溶出の抑制により、電極性能の向上を図ることができる。
【0062】
また、コーティング層内の前記中空型伝導性粒子と無機粒子との比重の差によって、電極と接する表面に、比重または密度が低い中空型伝導性粒子が集中して位置する可能性があり、これにより、伝導性を示す中空型伝導性粒子の含有量を最小化することができる。これにより、伝導性コーティング層を別に形成する場合に比べて、伝導性粒子の含有量を最小化することができ、電池性能の低下問題を防止することができることは言うまでもない。
【0063】
本開示の一様態によるセパレータは、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面における前記中空型伝導性粒子の含有量がより多いことができる。
【0064】
また、前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型伝導性粒子の含有量が増加する勾配を有することができる。
【0065】
また、前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型(Hollow)伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層からなることができる。すなわち、
図3に図示されているように、前記中空型伝導性粒子が浮遊して、前記無機粒子からなる層とは別の層を形成することができる。
【0066】
前記コーティング層において、中空型伝導性粒子が、無機粒子に比べて比重が低いことにより、コーティング層は、多孔性基材から遠くなるほど、中空型伝導性粒子の濃度が増加する勾配を有することができる。このようなセパレータは、上述のように、コーティング層の表面に伝導性物質が集中して位置することから、伝導性物質の投入量に対して高い伝導性を有することができる。
【0067】
本開示において、セパレータは、単一の前記コーティング層を含むことができるが、これとは異なり、多数個の前記コーティング層が積層されてもよく、この場合、複数の積層により、各層ごとに無機粒子に対する中空型伝導性粒子の含有量を異ならせて、電極と接着する表面に中空型伝導性粒子の含有量を増加させることで伝導性をより向上させることもできる。
【0068】
すなわち、前記コーティング層が単層構造である場合、中空型伝導性粒子と無機粒子の比重の差によって、前記中空型伝導性粒子と無機粒子が混合されたスラリーを多孔性基材の表面にコーティングし、乾燥する過程で、自然に、中空型伝導性粒子が表面に浮上して濃度勾配を有するか、別の伝導性層をなすようにすることができる。または、前記スラリーをコーティングした後、前記中空型伝導性粒子が表面に十分に浮上し、無機粒子が多孔性基材の方に沈むように、所定時間そのまま維持する過程を導入し、このときに静置する時間を調節することにより、意図的に中空型伝導性粒子の濃度勾配が形成されるようにすることができる。すなわち、前記コーティング層において、多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面から第2表面に行くほど、連続して中空型伝導性粒子の濃度が増加するようにするか、または静置する時間を調節することにより、第2表面により多くの中空型伝導性粒子が分布するように調節することができる。または第2表面に中空型伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層を形成するようにすることができる。また、コーティング層が、互いに異なるコーティング組成を有することができる。例えば、コーティング組成物は、用いられる無機粒子および/または中空型伝導性粒子が異なることができる。もしくは、用いられる無機粒子および/または中空型伝導性粒子の量が互いに異なることができる。コーティング層に含まれる(すなわち、コーティング層を形成する)それぞれのコーティング層(第1、第2、N番目)は、その製造方法に応じて、層の各表面が、中空型伝導性粒子の異なる濃度を有することから、互いに区分されることができる。例えば、第1層の第1表面は、第1層の第2表面よりも中空伝導性粒子の濃度(量)がさらに小さいことができる。第2層の第3表面は、第1層の第2表面よりも中空伝導性粒子の濃度(量)がさらに小さいことができる。したがって、第1コーティング層は、第2コーティング層と区分されることができる。これは、N個のコーティング層が同様に適用されることができる。
【0069】
また、前記コーティング層は、少なくとも一層以上が積層された多層構造であることができる。
【0070】
一例として、無機粒子と中空型伝導性粒子の含有量を変更して、中空型伝導性粒子の含有量が相違する複数個の層に形成した多層構造であることができる。詳細には、コーティング層は、中空型伝導性粒子の濃度が相違するn(n≧2の自然数)個の層に区分された構造であることができる。具体的には、nは、2~5であることができる。
【0071】
前記コーティング層は、多孔性基材と接する第1表面と、前記第1表面の反対の面である第2表面を含み、第1含有量の中空型伝導性粒子を含有する第1コーティング層と、前記第2表面に接する第3表面と前記第3表面の反対の面である第4表面を含み、第2含有量の中空型伝導性粒子を含有する第2コーティング層と、第n含有量の中空型伝導性粒子を含有する第nコーティング層を含むことができる。例えば、コーティング層が二つの層に区分される時に、第1含有量の中空型伝導性粒子を含有する第1コーティング層と、第2含有量の中空型伝導性粒子を含有する第2コーティング層とに区分することができる。また、それぞれのコーティング層は、互いに直接接してなることができる。
【0072】
本開示において、前記セパレータは、多孔性構造であることから、気孔が形成され、気孔度(porosity)を有することができる。セパレータに形成された気孔のサイズおよび気孔度は、多孔性基材の気孔度およびコーティング層の厚さに応じて適宜調節されることができる。一例として、セパレータに形成された気孔の平均サイズ、すなわち、気孔の平均直径は、0.001~10μmであることができ、気孔度は、10~70%であることができる。
【0073】
本開示の一様態によるセパレータは、気体透過度が、500sec/100cc以下、400sec/100cc以下、300sec/100cc以下、200sec/100cc以下または100sec/100cc以下であることができる。前記気体透過度は、Toyoseiki社製のDensometerを用いて、ASTM D 726規格に準じて測定される。また、下記式によるガーレー透過度の変化量ΔGが、50sec/100cc以下、45sec/100cc以下、40sec/100cc以下、35sec/100cc以下または30sec/100cc以下であることができる。
【0074】
ΔG=G1-G2
【0075】
前記式中、G1は、多孔性基材の両面にコーティング層を形成したセパレータのガーレー透過度であり、G2は、多孔性基材自体のガーレー透過度である。ガーレー透過度は、Toyoseiki社製のDensometerを用いて、ASTM D 726規格に準じて測定したものであり、単位は、sec/100ccである。
【0076】
また、熱収縮率が、150℃で、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下であることができる。また、170℃で、熱収縮率が、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下であることができる。
【0077】
また、本開示の一様態によるセパレータは、容量維持率が、平均60サイクル以上、65サイクル以上、68サイクル以上、70サイクル以上、75サイクル以上、80サイクル以上、85サイクル以上であることができ、例えば、60~95サイクル、65~90サイクルであることができる。
【0078】
また、本開示の一様態によるセパレータは、表面抵抗が、1×107Ω/sq以下、1×106Ω/sq以下、1×105Ω/sq以下、1×104Ω/sq以下、1×102Ω/sq以上、1×103Ω/sq以上であることができ、前記記載の範囲内の任意の値であることができる。例えば、1×102Ω/sq以上1×107Ω/sq以下、1×102Ω/sq以上1×106Ω/sq以下、1×102Ω/sq以上1×105Ω/sq以下、1×102Ω/sq以上1×104Ω/sq以下であることができる。前記セパレータの表面抵抗は、25±5℃の温度および30±5%の相対湿度の条件下で、4探針プローブ(Four-Point Probe)方式を活用して、コーティング層の表面抵抗を測定したものであり、印加電圧は、5Vで行う。
【0079】
[多孔性基材]
一例として、セパレータの多孔性基材は、従来、セパレータの基材として使用されているものであれば、限定されない。具体的には、高分子素材のフィルム、シート、不織布および織物であることができる。具体的には、前記多孔性基材は、ポリオレフィン系樹脂で製造した多孔性基材を含むことができる。前記ポリオレフィン系樹脂は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの共重合体からなる群から選択される1種以上であることができるが、これに限定されない。
【0080】
前記多孔性基材の厚さは、特に限定されないが、1~100μm、または5~60μm、または5~40μm、または5~20μm、または5~10μmの範囲であることができる。前記多孔性基材は、多孔性フィルムの形態であることができる。
【0081】
前記多孔性基材に形成される気孔は、リチウムイオンのスムーズな移動が可能なサイズであれば、限定されないが、平均直径が0.01~20μm、または0.05~5μm、または0.05~1μmであるものが、リチウムイオンのスムーズな移動および電解液の含浸において、有利であることができる。また、特に限定されないが、気孔度は、5~95%、または30~60%であることができる。前記気孔度は、サンプルをAcm×Bcmの長方形(厚さTμm)に裁断し、質量を測定して、同じ体積の樹脂の重量とセパレータの重量(Mg)の比率により、以下の式により計算されることができる。気孔度(%)=100×{1-M×10000/(A×B×T×ρ)}式中、ρ(g/cm2)は、樹脂の密度である。
【0082】
[コーティング層]
一例として、前記コーティング層は、多孔性基材の一面上にまたは両面上に形成され、無機粒子および中空型伝導性粒子が互いに連結されて気孔が形成される多孔性構造の層であることができる。または、無機粒子が互いに連結されて気孔が形成される無機粒子層と、前記無機粒子層上に中空型伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層が形成された積層構造であることができる。前記コーティング層は、多孔性基材に直接接して形成されることができる。または、前記多孔性基材とコーティング層との間に、通常、セパレータにおいて使用される他の層、具体的には、無機粒子の間に気孔が形成された無機粒子層を別にさらに備えることができ、これに制限されるものではない。
【0083】
コーティング層は、上述のように、中空型伝導性粒子が電極と接触する表面に集中して位置することにより、従来のセパレータが有する問題点を解決することができる。
【0084】
前記コーティング層の厚さは、特に限定しないが、例えば、多孔性基材の一面に形成されるコーティング層の厚さが、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、3μm以上、または5μm以上であることができ、例えば、0.1~10μm、0.2~5μm、0.2~3μmであることができるが、これに限定するものではない。また、前記コーティング層は、前記中空型伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層を含むことができ、前記伝導性層の厚さは、制限されないが、0.01~20μmであることができる。前記伝導性層の厚さは、使用される中空型伝導性粒子の含有量を調節することで調節されることができ、これに制限されるものではない。
【0085】
一例として、前記セパレータの多孔性基材:コーティング層の厚さの比は、本開示の目的を達成することができれば、限定されないが、1:0.01~1、または1:0.05~0.5であることができる。このような範囲で、優れた電池安定性、膨潤の抑制、電池性能の向上および伝導性を確保することができて好ましいが、これに限定するものではない。一例として、前記コーティング層は、多孔性基材の各面に対して、各面の全面積のうち90%以上に形成されることができ、95%以上、微細欠陥が発生する場合を除き、多孔性基材の各面の全面積のうち100%に形成されることができる。
【0086】
前記コーティング層は、上述の無機粒子および中空型伝導性粒子の他に、通常知られているその他の添加剤をさらに含むことができる。例えば、分散剤、滑剤、消泡剤または増粘剤などが挙げられ、その含有量は、通常使用する含有量程度であることができる。
【0087】
また、前記コーティング層は、必要に応じて、前記無機粒子の間に結合を付与し、電極に対する接着性を付与するための観点で、接着性樹脂をさらに含むことができる。前記接着性樹脂は、水系バインダーまたは粒子型バインダーであることができ、通常、当該分野で使用されるものであれば、制限されない。また、前記接着性樹脂は、中空型伝導性粒子が浮遊することを妨害しないように、従来使用する量よりも著しく少ない量が使用されることができる。このような従来の接着性樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、アクリル系重合体、スチレン系重合体、ビニルアルコール系重合体、ビニルピロリドン系重合体およびフッ素系重合体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。
【0088】
例えば、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリレート、アクリル酸-メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテート-ポリビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンおよびポリクロロトリフルオロエチレンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物、もしくはこれらの共重合体であることができるが、これに制限されるものではない。
【0089】
前記接着性樹脂および添加剤を適切に最小量でさらに含んで使用することができるが、非限定的な一例として、無機粒子100重量部に対して、接着性樹脂0.1~5重量部および添加剤0.1~3重量部を含むことができる。これは一例示であって、これに限定されない。
【0090】
前記コーティング層に含まれる無機粒子は、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属カーボネート、金属水和物および金属炭窒化物などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上であることができる。例えば、ベーマイト(Boehmite)、Ga2O3、SiC、SiC2、石英(Quartz)、NiSi、Ag、Au、Cu、Ag-Ni、ZnS、Al2O3、TiO2、CeO2、MgO、NiO、Y2O3、CaO、SrTiO3、SnO2、ZnO、およびZrO2などから選択される一つ以上であることができるが、電気化学的に不安定で、電池の性能に大きな影響を与えないものであれば、必ずしもこれに限定されない。
【0091】
前記無機粒子は、多孔性基材の耐久性および耐熱性を増進する目的を達成する限り、形状が特に限定されない。具体的には、無機粒子は、球形、角形および無定形からなる群から選択されるいずれか一つ以上の形状を有することができる。
【0092】
また、無機粒子のサイズは、上述の目的を達成する限り、制限されず、具体的には、無機粒子のサイズ、すなわち、平均直径は、0.001~100μm、具体的には0.01~50μm、さらに具体的には0.01~10μmであることができる。前記範囲で、上述のセパレータの気孔度を有することができて好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0093】
前記コーティング層に使用する中空型伝導性粒子は、
図1および
図2に図示されているように、内部に中空が形成されて、無機粒子より低い密度と浮力を有することができる。前記中空型伝導性粒子の中空率は、上述の目的、すなわち、無機粒子より低い密度を形成する目的を達成するものであれば、特に限定されない。一例として、中空型伝導性粒子の中空率は、5~97%、10~97%、15~97%、20~97%、または50~95%であることができるが、これに限定されるものではない。前記中空率は、中空型伝導性粒子の外径および内径から以下の式により計算することができる。前記外径および内径は、平均粒径を意味し、SEMなどを用いて測定することができる。中空率(%)=内径/外径×100、前記外径は、中空型伝導性粒子の平均粒径、すなわち、平均外径を意味し、前記内径は、SEM、TEMなどを用いて、シェル層の厚さを測定することにより、前記平均粒径からシェル層の厚さを減算した値で計算される。また、前記中空型伝導性粒子の中空形態が不均一な中空粒子の場合、粉末密度測定法などを用いて測定した密度(見かけ密度)と理論密度の相関関係で中空率を計算することができる。この場合、中空率(%)=(1-見かけ密度/理論密度)×100で計算されることができる。前記多孔性基材の厚さまたは多孔性フィルムの厚さは、Mitutoyo社製の厚さ測定器を用いて測定されることができる。また、シェル層、コア層の厚さ、または中空粒子の直径は、SEMまたはTEMといった電子顕微鏡を用いて測定されることができる。
【0094】
前記中空型伝導性粒子は、コーティング層に伝導性を付与して、リチウムイオンの電気的孤立およびデッドリチウムイオンの蓄積を防止する役割をする。
図1に図示されているように、中が空いている中空コア11と接着性物質からなるシェル層12で構成され、前記シェル層は、少なくとも一層以上からなることができる。また、
図2に図示されているように、中空コア11とシェル層12との間に、中空コアが中空構造を形成および維持するための構造体物質層13をさらに含むことができる。
【0095】
前記中空型伝導性粒子のシェル層は、伝導性を有する物質であれば、制限なく使用可能である。例えば、金属および伝導性高分子からなる群から選択されるいずれか一つ以上の伝導性物質からなることができる。前記金属は、例えば、金属ナノ粒子からなることができる。すなわち、金属または伝導性高分子からなるシェル層が形成され、内部が空いている中空構造を有するものであれば、制限なく使用可能である。
【0096】
前記中空型伝導性粒子は、表面抵抗が10000Ω/sq以下であり、且つ内部が空いている中空型であれば、特に限定しない。
【0097】
前記中空型伝導性粒子の製造方法の一例としては、“Uniform hollow conductive polymer microspheres synthesized with the sulfonated polystyrene template”,July 2005,Materials Chemistry and Physics 92(1):164-171に記載のように、ポリスチレンミクロスフェアをスルホン化(sulfonation)し、スルホン化したポリスチレン(sulfonated PS)を製造し、アニリンとピロールなどの伝導性物質を酸化重合してシェル層を形成した後、内部のスルホン化したポリスチレンを溶解して除去することで製造することができる。
【0098】
また、前記中空型伝導性粒子の製造方法は、韓国公開特許公報第10-2020-0138213号(公開日:2020年12月9日、日本ゼオン)などで製造する方法により中空型高分子粒子を製造した後、その表面に伝導性金属ナノ粒子またはマイクロ粒子を分散したバインダースラリー組成物や、伝導性高分子樹脂溶液組成物で表面コーティングした後、乾燥して、製造するなどの様々な方法があり、以下では、これを省略する。
【0099】
また、前記構造体物質層は、中空コアの中が空いている構造を維持するための材料であれば、制限なく使用可能である。具体的には、例えば、SiO2、Al2O3、ZnO、TiO2、SnO2、カーボン、ポリスチレン、ポリアクリレートおよびPVDFなどから選択されることができるが、これに制限されるものではない。
【0100】
前記中空型伝導性粒子のサイズは、上述の目的を達成する限り、制限されず、中空型伝導性粒子のサイズ、すなわち、平均外径は、10nm~10μm、または50nm~5μm、または0.1~5μm、または0.2~2μmであることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0101】
コーティング層は、単一構造の中空型伝導性粒子または二重層や三重層のような複数のシェル層を有する内部が空いている中空型も含むことができる。
【0102】
中空型伝導性粒子のシェル層の厚さは、上述の中空率を満たすものであれば、特に限定されない。具体的には、中空型伝導性粒子の平均外径Rに対して、前記シェル層の厚さは、0.0001R~0.8R、詳細には0.001R~0.5R、または0.2R以内であることができるが、これに限定されない。
【0103】
前記コーティング層は、前記中空型伝導性粒子の含有量に比べて無機粒子をさらに多く含むことができる。前記中空型伝導性粒子の含有量は、伝導性および接着性を発現することができる程度の少量が使用されることができ、一例として、無機粒子100重量部に対して、中空型伝導性粒子を0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上、0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、0.9重量部以上、1.0重量部以上含むことができ、20重量部以下、19重量部以下、18重量部以下、17重量部以下、16重量部以下、15重量部以下含むことができ、これらの範囲で使用されることができる。例えば、0.1~20重量部、0.2~20重量部、1~20重量部、1~15重量部、1~10重量部、1~8重量部、または1~5重量部含まれることができ、これに制限されるものではないが、前記範囲でも、十分な伝導性および電極接着力を発揮することができる。その他に、必要に応じて、前記無機粒子100重量部に対して、非中空型の高分子バインダー0.1~5重量部、添加剤0.1~5重量部をさらに含むことができ、これに制限されるものではない。
【0104】
前記コーティング層は、前記無機粒子と中空型伝導性粒子を互いに連結して固定し、また前記コーティング層と多孔性基材層との接着を付与するバインダーをさらに含んでもよいことは言うまでもない。
【0105】
前記バインダーとしては、特に制限されるものではないが、例えば、アクリル系重合体、スチレン系重合体、エステル系、アミド系、イミド系、アミドイミド系、ビニルアルコール系重合体、ビニルピロリドン系重合体およびフッ素系重合体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。
【0106】
具体的には、前記バインダーは、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリレート、ポリアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸-メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテート-ポリビニルアルコール共重合体ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンおよびポリクロロトリフルオロエチレンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができるが、これに制限されるものではない。
【0107】
前記バインダーの含有量は、特に制限されないが、非限定的な一例として、無機粒子100重量部に対して、バインダー0.1~10重量部、添加剤0.1~5重量部を含むことができる。
【0108】
[セパレータの製造方法]
以下、セパレータの製造方法について詳細に説明する。
【0109】
本開示において、セパレータの製造方法は、多孔性基材の一面上にまたは両面上に無機粒子および中空型伝導性粒子を含むコーティング組成物を塗布して、コーティング層を形成するコーティングステップと、前記コーティング層を乾燥する乾燥ステップとを含む。
【0110】
一様態として、
図3に図示されているように、多孔性基材100の一面に、前記無機粒子20および中空型伝導性粒子10を含むコーティング組成物を塗布した後、乾燥することで、コーティング層200の表面、すなわち、前記多孔性基材と接しない表面に前記中空型伝導性粒子の含有量がより多く存在するように製造されることができる。または、実質的に、前記中空型伝導性粒子が表面に誘導されて伝導性層を形成することができる。
【0111】
一例として、前記多孔性基材と対向する面を第1表面とし、前記第1表面の反対の面を第2表面としたときに、第1表面に比べて、第2表面に前記中空型伝導性粒子の含有量がより多いことができる。
【0112】
一例として、前記コーティング層は、前記第1表面から第2表面に行くほど、前記中空型伝導性粒子の含有量が増加する勾配を有するように製造されることができる。または、前記コーティング層は、無機粒子を含む無機粒子層と前記無機粒子層の上部に中空型(Hollow)伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層からなることができる。
【0113】
一様態として、前記乾燥ステップの前に、人為的に、中空型伝導性粒子と無機粒子の比重の差による勾配または別の伝導性層の形成を誘導するために、所定時間静置するか、振動を付与するか、または、前記両方を同時にまたはそれぞれ連続して付与した後、乾燥してもよい。すなわち、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置してから乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置してから振動を付与した後、乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置しながら同時に振動を付与した後、乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、所定時間静置してから振動とともに乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、振動を付与した後、乾燥してもよい。または、コーティング組成物を塗布した後、振動とともに乾燥してもよい。一様態として、前記所定時間静置する時に、時間を調節して、中空型伝導性粒子の勾配を調節するか、中空型(Hollow)伝導性粒子が浮遊して形成された伝導性層を形成することができる。
【0114】
一様態として、前記コーティング層が前記多孔性基材の両面に形成される場合は、一面にコーティング層を形成した後、また、他の面にコーティング層を形成することができる。両面に同時にコーティングすることも可能であるが、本開示において目的とするように、中空型伝導性粒子が表面に誘導されるようにする面では、それぞれ塗布することが好ましい。
【0115】
上記のように、中空型伝導性粒子が、比重の差によって空気面(多孔性基材に接触する面の反対の面)に移行して乾燥することで、伝導性および接着性を有する中空型伝導性粒子が表面に多く存在するようになり、中空型伝導性粒子の含有量を少ない量で使用しても、表面抵抗をさらに下げて、デンドライトの成長を抑制することができる。
【0116】
このようなセパレータの製造方法は、多孔性基材上に、前記中空型伝導性粒子を含むコーティング層を形成するだけでも、電極との接着力が向上し、また、デンドライトの発生を抑制し、膨張に対する抵抗性に優れた効果を有するセパレータを容易に製造することができる。
【0117】
前記製造方法において、多孔性基材、無機粒子および中空型伝導性粒子および製造されたセパレータに関する説明は上述のとおりであり、以下、具体的な説明は省略し、各ステップについてさらに説明する。
【0118】
前記コーティング組成物は、無機粒子および中空型伝導性粒子が溶媒に分散したスラリー状のものであることができる。その他にも、前記コーティング組成物は、必要に応じて、接着性樹脂をさらに含んでもよく、また、通常、該当分野において使用される添加剤がさらに含まれてもよい。
【0119】
前記溶媒は、固形物である無機粒子および中空型伝導性粒子を分散することができるものであれば、特に限定されない。一例として、溶媒は、水、エタノール、メタノール、プロパノールなどの低級アルコール、ジメチルホルムアミド、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチレンクロライド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの溶媒またはこれらの混合物を使用することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0120】
前記スラリー状のコーティング組成物内の固形物の含有量は、塗布が容易であり、乾燥時に上述の無機粒子および中空型伝導性粒子の密度の差による層分離現象を誘導することができるように、適宜調節されることができる。具体的には、コーティング組成物内の固形物の含有量は、10~60重量%、または20~50重量%であることができるが、これに限定されない。前記固形物は、無機粒子および中空型伝導性粒子を含み、その他にも、必要に応じて、接着性樹脂をさらに含むことができる。一例として、前記固形物の含有量は、無機粒子100重量部に対して、中空型伝導性粒子を0.1~20重量部、0.1~15重量部、0.1~10重量部、0.1~8重量部、0.1~5重量部または0.1~2重量部含むことができる。その他に、必要に応じて、前記無機粒子100重量部に対して、接着性樹脂0.1~5重量部、添加剤0.1~5重量部をさらに含むことができ、これに制限されるものではない。
【0121】
また、前記コーティング組成物は、塗布性や電池性能を大幅に低下させない範囲で添加剤をさらに含むことができる。具体的には、例えば、添加剤としては、分散剤、滑剤、消泡剤または増粘剤などが使用されることができ、これに制限されるものではなく、これについては前記で説明したため、追加の説明を省略する。
【0122】
前記コーティング組成物を多孔性基材の一面または両面にコーティングするコーティング方法は、制限されるものではなく、具体的には、例えば、バーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング(flow coating)、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの通常のコーティング方法であることができる。
【0123】
前記乾燥ステップにおいて、乾燥手段は、溶媒が90%以上除去可能なものであれば、特に限定されない。乾燥温度は、溶媒に応じて変更可能であるが、例えば、20~200℃であることができ、溶媒の急激な蒸発によって表面の構造が変化しないか、または、中空型伝導性粒子が溶融し崩壊しない限り、これを限定しない。具体的な例として、25℃~100℃の熱風で乾燥することができ、乾燥時間は、制限しないが、例えば、5秒~300秒であることができる。また、赤外線、近赤外線、ヒートロールおよびこれらのハイブリッド形態の乾燥方法でも可能である。前記範囲で中空型伝導性粒子の浮遊がスムーズに行われて、より上部領域、伝導性層または第nコーティング層に中空型伝導性粒子がより多量位置することができる。
【0124】
一実施態様において、前記乾燥ステップは、乾燥する前に、振動や人為的な静置時間を付与することができ、または、これらの混合手段により中空型伝導性粒子の濃度勾配を付与してもよい。
【0125】
前記振動がさらに加えられる時に、無機粒子と中空型伝導性粒子との比重の差による中空型伝導性粒子の浮遊現象がよりスムーズに行われることができる。振動は、コーティング組成物に振動を加えることができる方法であれば、特に限定されない。振動は、一例として、超音波などのように、エネルギーを印加して、コーティング組成物に直接振動を印加することができる。これとは異なり、多孔性基材にモータなどによる物理的振動を印加して、コーティング組成物に振動を加えることができる。
【0126】
一実施態様において、乾燥ステップの前に、中空型伝導性粒子の勾配が十分になされるように静置するステップをさらに有することができる。具体的には、前記コーティング組成物を多孔性基材上に塗布した後、30秒~1時間程度静置して、コーティング層の表面に中空型伝導性粒子が十分に浮遊するようにすることができる。静置温度は、0~50℃、好ましくは、常温(25℃±5)で静置することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0127】
[二次電池]
以下、二次電池について詳細に説明する。
【0128】
本開示において、二次電池は、上述のセパレータを含むものであり、具体的には、負極および正極、両電極の間に、上述のセパレータが介在されて結合した構造であることができる。
【0129】
詳細には、正極および負極としては、二次電池の正極および負極として使用する通常の物質であれば、制限しない。
【0130】
上述のセパレータを含む二次電池は、リチウムデンドライトの形成が抑制され、電池の寿命が増加することができ、充放電時に、電極とセパレータの離隔が防止されることができる。これにより、電極とセパレータの離隔による抵抗の上昇またはサイクル寿命の低下など、様々な問題を解決することができ、高容量および大型化が可能であり、実質的に、産業上の利用可能性が非常に高いことができる。また、高表面電気伝導度にもかかわらず、比較的伝導性物質が少なく含有されており、セパレータの表面のみに存在することから、電気伝導性物質による内部短絡や電池の性能低下の問題を防止することができる。
【0131】
以下、実施例および比較例に基づいて、本開示をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本開示をより詳細に説明するための一つの例示であって、本開示が下記の実施例および比較例によって制限されるものではない。
【0132】
以下、物性は、次のように測定した。
【0133】
1)電極の製造
正極の製造:正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)92重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)4重量%、結合剤としてポリビニリデンフルオライド(PVDF)4重量%を溶剤であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して、正極混合物スラリーを製造した。製造されたスラリーを厚さ30μmのアルミニウム(Al)薄膜に塗布し、120℃の温度で乾燥した後、ロールプレス(roll-press)して、厚さ140μmの正極を製造した。
【0134】
負極の製造:厚さ20μmのリチウム箔(Lithium foil)を厚さ8μmの銅(Cu)薄膜の両面にロールプレス(roll-press)圧着して、厚さ48μmの負極を製造した。
【0135】
2)気体透過度
気体透過度は、JIS P8117に準じて、Toyoseiki社製のGurley type densometerを用いて測定した。測定された値は、厚さ値に補正し、厚さに応じて差がない値に換算して使用した。
【0136】
3)ガーレー透過度の変化量
ガーレー透過度の変化量ΔGは、下記のように計算する。
【0137】
ΔG=G1-G2
【0138】
前記式中、G1は、多孔性基材の両面にコーティング層を形成したセパレータのガーレー透過度であり、G2は、多孔性基材自体のガーレー透過度である。ガーレー透過度は、Toyoseiki社製のDensometerを用いて、ASTM D 726規格に準じて測定したものであり、単位は、sec/100ccである。
【0139】
4)熱収縮率
10cm×10cmのセパレータを、それぞれ、130℃、150℃および170℃で1時間放置した後、面積の減少率を測定し、下記式によって熱収縮率を計算した。
【0140】
熱収縮率(%)=((加熱前の長さ-加熱後の長さ)/加熱前の長さ)×100
【0141】
5)電池性能および電池変形率
正極と負極との間に製造されたセパレータを使用して、積層(Stacking)方式でパウチ型電池を組み立て、組み立てられた各電池に、1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)が溶解されたエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)=3:5:2(体積比)である電解液を注入して、リチウム二次電池を製造した。これにより、容量2000mAhのパウチ型リチウムイオン二次電池を製造した。前記リチウム二次電池の抵抗(DC-IR)評価は、0.25C、0.5C、1.0C、1.5C、2.0C、2.5Cで10秒間放電および充電特性を評価するJ-pulse(Japan Electric Vehicle Association Standards、JEVS D 713)方法を用いた。上記の方法で電池3個の平均インピーダンスを計算して、初期抵抗の値およびその標準偏差を計算した。初期抵抗の相対的比較値の場合、コーティングされていない多孔性基材(比較例2)の初期抵抗に対して増加した値を意味する。
【0142】
Relative comparison with Ref.(%)=((Impedance-Impedance基材)/Impedance基材)×100
【0143】
サイクル容量維持(Capacity Retention)の場合、2.7V(Constant Current)から4.3V(Constant Current Constant Voltage)で、最初のサイクル(Cycle)は0.1C、二回目のサイクル(Cycle)は0.2Cで充/放電した後、三回目のサイクル(Cycle)の後からは0.5Cで充/放電を行い、電池の容量維持率が50%以下に下がるまでのサイクル(Cycle)数を測定した。
【0144】
6)平均粒径および平均外径
ISO 13320-1規格に準じて、粒度分析装置であるMicrotrac社製のS3500を用いて、平均粒径(D50)、D10およびD90を測定した。
【0145】
7)伝導性
25±5℃の温度および30±5%の相対湿度の条件下で、4探針プローブ(Four-Point Probe)方式を活用して、コーティング層の表面抵抗を測定した。印加電圧は、5Vで行った。
【0146】
[実施例1]
水に、平均粒径300nmのベーマイト(γ-AlO(OH))100重量部に対して、ポリアクリルアミド(Polyacrylamide)(Mw150,000g/mol、Sigma Aldrich)3重量部を投入し、分散剤(BYK-2018)をベーマイトに対して0.7重量部添加し、攪拌して、固形分30wt%の均一な水系スラリーを製造した。これに、“Uniform hollow conductive polymer microspheres synthesized with the sulfonated polystyrene template”July 2005,Materials Chemistry and Physics 92(1):164-171に記載の実験方法で製造した平均外径1μm、中空率80%のポリアニリン中空粒子を、ベーマイトに対して1重量部を投入し、さらに水を投入して、最終固形分25wt%のスラリー組成物を製造した。
【0147】
厚さ9μmのポリオレフィン微多孔膜(ENPASS、SKイノベーション、平均気孔径:40nm)の両面に前記製造されたスラリー組成物を10m/minの速度でコーティングし、45℃の熱風で乾燥した。乾燥は、これ以上の重量の減少がない時間の間に行った。その後、巻き取りを行った。乾燥の後、両面コーティング層の厚さは、それぞれ、3.0μmであった。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセルの物性を評価して表2に記載した。
【0148】
製造されたセパレータをSEM(走査電子顕微鏡)に付着されたEnergy Dispersive Spectrometer(EDS)を用いて観察した結果、中空粒子が表面に浮遊して伝導性層を形成したことを確認することができた。
【0149】
[実施例2]
実施例1で、前記スラリー組成物を0.2m×0.2mサイズのガラス板に固定されたポリオレフィン微多孔膜の一面にバーコーティングを用いて塗布した後、3分間静置し、ガラス板に超音波振動を加えた後、45℃の熱風で、これ以上の重量の減少がない時間の間に乾燥したことを両面で2回繰り返した以外は、同様に実施した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセルの物性を評価して表2に記載した。
【0150】
製造されたセパレータをSEM(走査電子顕微鏡)に付着されたEDSを用いて観察した結果、中空粒子が表面に浮遊して伝導性層を形成したことを確認することができた。また、実施例1に比べて、より多くの中空粒子が表面に浮遊していることを確認することができた。
【0151】
[実施例3]
実施例1で、中空粒子をベーマイトに対して2重量部投入した以外は、同様に実施した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセル物性を評価して表2に記載した。
【0152】
[実施例4]
実施例1で、中空粒子をベーマイトに対して5重量部投入した以外は、同様に実施した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセル物性を評価して表2に記載した。
【0153】
[比較例1]
実施例1で、中空粒子を使用していない以外は、同様にスラリーを製造し、同じ方法でセパレータを製造した。製造されたセパレータの物性を評価して表1に記載し、製造されたセパレータを用いてセル物性を評価して表2に記載した。
【0154】
[比較例2]
前記実施例1で使用されたポリオレフィン微多孔膜(ENPASS、SKイノベーション、平均気孔径:40nm)の物性を評価して下記表1に示した。すなわち、コーティング層を形成せず、ポリオレフィン微多孔膜自体の物性を測定して表1に記載し、これを用いたセルの物性を測定して表2に記載した。
【0155】
【0156】
【0157】
以上のように、本開示では、特定された事項と、限定された実施例および比較例を挙げて説明しているが、これは、本開示のより全般的な理解に役立つために提供されたものであって、本開示は、上記の実施例に限定されるものではなく、本開示が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0158】
したがって、本開示の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等もしくは等価的な変形があるすべてのものなどは、本開示の思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0159】
10 中空型伝導性粒子
20 無機粒子
11 中空コア(hollow-core)
12 シェル層(shell-layer)
13 構造体物質層
100 多孔性基材
200 コーティング層