(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169371
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】フローティングバルブコアを備えたバルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 5/06 20060101AFI20241128BHJP
F16K 11/087 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F16K5/06 G
F16K11/087 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083068
(22)【出願日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】202310595604.4
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202410543882X
(32)【優先日】2024-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】チョン チン
(72)【発明者】
【氏名】リウ リー
(72)【発明者】
【氏名】シア ウェイ
【テーマコード(参考)】
3H054
3H067
【Fターム(参考)】
3H054AA03
3H054BB03
3H054BB22
3H054CA03
3H054CA19
3H054CB09
3H054CD12
3H054EE01
3H054GG02
3H054GG03
3H067AA24
3H067CC45
3H067DD03
3H067DD32
3H067EA05
3H067EB16
3H067ED02
3H067FF11
3H067GG13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バルブ装置の提供。
【解決手段】ハウジングには、少なくとも2つの流体流路と、各流体流路のポートに配置されたシール部材とが内部に設けられる。バルブコアは、ハウジング内に配置され、少なくとも1つの閉鎖壁を備える。バルブコアは、ハウジング内で第1の方向に軸線の周りを回転できるように構成されており、整列した流体流路を閉鎖するために、閉鎖壁が対応する流体流路と整列できるようになっている。バルブコアは、閉鎖壁が閉鎖された流体流路でシール部材に対して密に当接するのを可能にするために、ハウジング内で第2の方向に直線運動ができるように構成されている。第2の方向は、バルブコアの閉鎖壁の仮想2等分面と角度を成し、その角度は鋭角である。閉鎖壁が流体流路と整列しているとき、閉鎖壁の仮想2等分面は、ハウジングの中心近傍の流体流路の一部の延在方向と平行である。バルブコアは、バルブコア位置同士間を円滑に回転できる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置であって、
少なくとも2つの流体流路と、各流体流路のポートに配置されたシール部材と、が内部に設けられるハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたバルブコアであって、少なくとも1つの閉鎖壁を備え、前記バルブコアは、前記閉鎖壁が対応する前記流体流路と整列して整列した前記流体通路を閉鎖できるようにするために、前記ハウジング内において第1の方向に軸線の周りを回転できるように構成されている、バルブコアと、
を備え、
前記バルブコアは、閉鎖された前記流体流路において前記閉鎖壁が前記シール部材に対し密に当接できるようにするために、前記ハウジング内において第2の方向に直線運動ができるように構成され、前記第2の方向は、前記バルブコアの前記閉鎖壁の仮想2等分面と角度をなし、前記角度は鋭角である、
ことを特徴とする、バルブ装置。
【請求項2】
前記バルブコアは、係合部を更に備え、前記係合部は、駆動部材と係合して、前記バルブコアが前記駆動部材により駆動されて前記第1の方向に前記軸線の周りを回転するのを可能にするように、かつ、前記バルブコアが流体圧力により駆動されて前記駆動部材に対し前記第2の方向に直線運動するのを可能にするように、することが可能に構成されている、ことを特徴とする、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記バルブコアの前記係合部は、ガイド溝及び突出部のうちの一方を備え、前記ガイド溝及び前記突出部は前記第2の方向に延びる、ことを特徴とする、請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記バルブ装置は、駆動部を有する前記駆動部材を更に備え、前記駆動部は、前記バルブコアが前記駆動部材と係合できるように、前記バルブコアの前記係合部と合致する形状にされている、ことを特徴とする、請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記駆動部材の前記駆動部は、前記ガイド溝及び前記突出部のうちの他方を備え、前記ガイド溝は前記突出部を受け入れるように構成され、
前記ガイド溝は、前記突出部が前記ガイド溝を駆動して前記第1の方向に前記軸線の周りを回転するのを可能にするように、又は前記ガイド溝が前記突出部を駆動して前記第1の方向に前記軸線の周りを回転するのを可能にするように、前記突出部に対して幅方向に適合され、
長手方向に関し前記ガイド溝の長さは前記突出部の長さよりも大きく、それにより、前記ガイド溝が前記流体圧力により駆動されて前記第2の方向に直線運動するのを前記突出部が妨げないように、又は、前記突出部が前記流体圧力により駆動されて前記第2の方向に直線運動するのを前記ガイド溝が妨げないように、なっている、
ことを特徴とする、請求項4に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記角度は0度から60度、好ましくは0度から45度である、ことを特徴とする、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記角度は30度から45度、又は45度から60度である、ことを特徴とする、請求項6に記載のバルブ装置。
【請求項8】
4つの流体流路を備える四方バルブ装置を備え、前記四方バルブ装置の前記バルブコアは、互いに隣接して配置された2つの閉鎖壁を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記仮想2等分面は、前記バルブコアの前記軸線に平行であり、かつ、前記閉鎖壁の中心及び前記バルブコアの中心を通過し、
前記バルブコアは、中空であり、かつ、少なくとも1つの開口部を備え、前記バルブコアは、前記開口部が対応する前記流体流路と整列して整列した前記流体流路を開放できるようにするために、前記ハウジング内において前記第1の方向に前記軸線の周りを回転するように構成され、
前記第2の方向は前記第1の方向に垂直である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項10】
前記ハウジングは少なくとも2つの流体接続部を備え、前記ハウジングに、前記少なくとも2つの流体接続部と流体連通する少なくとも2つの流体コネクタが設けられ、前記少なくとも2つの流体接続部及び前記少なくとも2つの流体コネクタは、前記少なくとも2つの流体流路を画定し、前記流体接続部のそれぞれに設けられた前記シール部材は、対応する前記流体コネクタから隙間を空けて離隔している、ことを特徴とする、請求項1に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、バルブ装置に関し、特にフローティングバルブコアを備えたバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
車両の熱管理中、バルブ装置は、車両の構成要素を所望の温度で動作させるために、車両のエンジン及び/又はバッテリーを加熱する循環流路を提供すると共に、エンジン及び/又はバッテリーを冷却する循環流路を提供するために、流体流路を接続又は接続解除することができる。
【発明の概要】
【0003】
開示の概要
バルブ装置は、ハウジングとバルブコアを備える。複数の流体流路がハウジング内に設けられ、バルブコアは少なくとも1つの閉鎖壁を備える。バルブコアは回転して閉鎖壁を対応する流体流路に整列させることができ、これにより、整列された流体流路は流体がそこを流れることを防ぐために閉じられる。さらに、バルブコアの閉鎖壁が対応する流体流路と整列するとき、閉鎖壁が整列した流体流路を密閉状態で係合することを可能にするために、閉鎖壁は流体流路のポートのシール部材とも密に(しっかりと)当接する。閉鎖壁と整列していない流体流路は、流体がそこを流れることを許容するために開放される。
【0004】
本発明者は、バルブ装置の作動中にバルブコアが所望の位置まで円滑に回転できないという問題があることを見出した。また、本発明者は、閉鎖壁が整列された流体流路のポートのシール部材に対し密に当接すると、閉鎖壁が流体流路に向かって移動することを観察により見出した。閉鎖壁が流体流路に向かって過度に移動すると、整列した流体流路に隣接する流体流路のポートのシール部材が閉鎖壁の回転を妨げる。これは、閉鎖壁の縁部が、隣接する流体流路のポートのシール部材から外れたり、又はシール部材の縁部と係合したりして、隣接する流体流路のポートのシール部材が押圧を受けなかったり、僅かな押圧のみを受けたりすることで変形し、バルブコア(又は閉鎖壁)の回転経路で閉鎖壁が停止し、バルブコアが円滑に回転しなくなるためである。
【0005】
上記の問題を解決するために、本開示は、ハウジングとバルブコアとを備えるバルブ装置を提供する。閉鎖壁が整列した流体流路のポートでシール部材に対して密に当接すると、閉鎖壁は流体流路に向かってそれ以上の距離を移動することはなく、これによりバルブコアが円滑に回転できるようになる。
【0006】
具体的には、本開示の1つの態様によれば、本開示は、ハウジングとバルブコアとを備えるバルブ装置を提供する。ハウジングには、内部に少なくとも2つの流体流路と、各流体流路のポートに配置されたシール部材とが設けられる。バルブコアはハウジング内に配置され、少なくとも1つの閉鎖壁を備える。バルブコアは、ハウジング内で第1の方向Xに軸線の周りを回転できるように構成されており、整列した流体流路を閉鎖するために、閉鎖壁が対応する流体流路と整列できるようになっている。バルブコアは、閉鎖壁が閉鎖された流体流路でシール部材に対し密に当接するのを可能にするために、ハウジング内で第2の方向Yに直線運動ができるように構成されている。第2の方向Yは、バルブコアの閉鎖壁の仮想2等分面と角度を成し、その角度は鋭角である。
【0007】
本開示の1つの態様によれば、バルブコアは、係合部を更に備える。係合部は、駆動部材と係合可能に構成され、バルブコアが駆動部材によって駆動されて第1の方向に軸線の周りを回転することを可能にすると共に、バルブコアが流体圧力によって駆動されて駆動部材に対して第2の方向Yに直線運動することを可能にする。
【0008】
本開示の1つの態様によれば、バルブコアの係合部は、ガイド溝及び突出部のうちの一方を備え、ガイド溝及び突出部は第2の方向に延びる。
【0009】
本開示の1つの態様によれば、バルブ装置は、駆動部を有する駆動部材を更に備える。駆動部は、バルブコアが駆動部材と係合できるように、バルブコアの係合部と合致(嵌合)する形状である。
【0010】
本開示の1つの態様によれば、駆動部材の駆動部は、ガイド溝及び突出部のうちの他方を備え、ガイド溝は突出部を受け入れるように構成される。ガイド溝は、突出部がガイド溝を駆動して第1の方向Xに軸線の周りを回転することを可能にするように、又はガイド溝が突出部を駆動して第1の方向Xに軸線の周りを回転することを可能にするように、突出部に対して幅方向に適合される。ガイド溝の長手方向の長さは、突出部の長さよりも大きく、突出部が、流体圧力によってガイド溝が駆動されて第2の方向Yに直線運動することを妨げないように、又は、ガイド溝が、流体圧力によって突出部が駆動されて第2の方向Yに直線運動することを妨げないようになっている。
【0011】
本開示の1つの態様によれば、角度は0度から60度、好ましくは0度から45度である。
【0012】
本開示の1つの態様によれば、角度は30度から45度、又は45度から60度である。
【0013】
本開示の1つの態様によれば、バルブ装置は、4つの流体流路を備える四方バルブ装置を含む。四方バルブ装置のバルブコアは、隣接して配置された2つの閉鎖壁を有する。
【0014】
本開示の1つの態様によれば、バルブコアの閉鎖壁の仮想2等分面は、バルブコアの軸線に平行であり、閉鎖壁の中心とバルブコアの中心とを通過する。バルブコアは中空であり、少なくとも1つの開口部を備える。バルブコアは、開口部が対応する流体流路と整列し、整列した流体流路を開くことができるように、ハウジング内で第1の方向Xに軸線の周りを回転できるように構成されている。第2の方向Yは、第1の方向Xに対して垂直である。
【0015】
本開示の1つの態様によれば、ハウジングは、少なくとも2つの流体接続部を備え、少なくとも2つの流体接続部と流体連通する少なくとも2つの流体コネクタが設けられる。少なくとも2つの流体接続部と少なくとも2つの流体コネクタは、少なくとも2つの流体流路を画定する。流体接続部のそれぞれに設けられたシール部材は、対応する流体コネクタから隙間Sを空けて離隔している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本開示の第1の実施形態によるバルブ装置の斜視図である。
【
図2A】
図1Aに示すバルブ装置の一部(駆動部材及びバルブコアを含む)の斜視図である。
【
図2C】
図1Aに示すバルブ装置の駆動部材を底側から見た斜視図である。
【
図2E】
図1Aに示すバルブ装置のバルブコアの斜視図である。
【
図3B】第1のバルブコア位置にあるときの、
図3Aに示すバルブ装置のバルブコアの、断面線A-Aに沿った断面図である。
【
図3C】第1のバルブコア位置にあるときの、別の実施形態によるバルブ装置のバルブコアの、断面線A-Aに沿った断面図である。
【
図3D】第2のバルブコア位置にあるときの、
図3Aに示すバルブ装置のバルブコアの、断面線A-Aに沿った断面図である。
【
図4A】本開示の第2の実施形態によるバルブ装置の斜視図である。
【
図4B】
図4Aに示す第1の実施形態によるバルブコアの頂面図である。
【
図4C】
図4Aに示す第2の実施形態によるバルブコアの頂面図である。
【
図5B】第1のバルブコア位置にあるときの、
図4Aに示すバルブ装置のバルブコアの、断面線A-Aに沿った断面図である。
【
図5C】第2のバルブコア位置にあるときの、
図4Aに示すバルブ装置のバルブコアの、断面線A-Aに沿った断面図である。
【
図5D】第3のバルブコア位置にあるときの、
図4Aに示すバルブ装置のバルブコアの、断面線A-Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態の詳細な説明
本開示の様々な具体的な実施形態を、本明細書の一部を構成する図面を参照して以下に説明する。本開示において、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」及び「右」等の方向を示す用語が、本開示の様々な例における構造部品及び要素を説明するために使用されるが、これらの用語は、本明細書において、説明を容易にするためにのみ使用され、図面に示されるような例示的な向きに基づいて決定されることを理解されたい。本開示において開示される実施形態における配置は、様々な方向であり得るので、方向を示すこれらの用語は、例示に過ぎず、限定として考慮されるべきではない。
【0018】
図1Aは、本開示の第1の実施形態によるバルブ装置100の斜視図であり、
図1Bは、バルブ装置100の構成要素及び構成要素間の関係を明確に示す、
図1Aに示すバルブ装置100の分解図である。
【0019】
図1Aに示すように、バルブ装置100は、動力源101とハウジング109とを備える。バルブコア107がハウジング109内に配置されている(
図1B参照)。ハウジング109は、3つの中空の流体接続部1091と、3つの流体接続部1091にそれぞれ接続する3つの流体コネクタ108とを備える。3つの流体接続部1091及び3つの流体コネクタ108は、3つの流体流路1081A、1081B、1081Cを画定する。流体流路1081A、1081B、1081Cは、まとめて流体流路1081と呼ぶことができる。バルブ装置100は、三方バルブ装置と呼ぶことができる。他の実施形態において、バルブ装置100は他の適切な数の流体流路を備える。
【0020】
図1Bに示すように、バルブ装置100は、軸受102、シャフトシール103、バルブカバー104、駆動部材105及びシール部材106を更に備える。シール部材106は、ハウジング109の流体流路1081A、1081B、1081Cのうち、ハウジング109の中心付近のポート、例えば、ハウジング109の中心付近の流体接続部1091の一部に配置されている。シール部材106はリング状であり、例えば、PTFEリングである。各シール部材106は、第1のシールリング110によって、ハウジング109の中心付近のハウジング109の対応する流体接続部1091に密閉状態で接続される。各流体コネクタ108は、第2のシールリング111によって、ハウジング109の中心から離れたハウジング109の対応する流体接続部1091に密閉状態で接続される。各シール部材106は、対応する流体コネクタ108から隙間S(
図3B参照)だけ離隔している。
【0021】
バルブコア107は、ハウジング109内に配置されている。バルブコア107は、ハウジング109内で回転して、ハウジング109内の対応する流体流路1081A、1081B、1081Cを開閉することができ、それによって流体流路1081A、1081B、1081Cの間で流体の流動を実現する。バルブコア107は中空であり、3つの開口部1072と1つの閉鎖壁1073とを備える。バルブコア107は、ハウジング109内で第1の方向Xに軸線1076の周りを回転できるように構成されており、閉鎖壁1073が1つの流体流路1081A、1081B又は1081Cと整列して、整列した流体流路を閉塞することを可能にするとともに、開口部1072がハウジング109内の他の流体流路と整列して整列した流体流路を開放することを可能にする。流体流路を閉じるとき、流体は、流体流路からバルブコア107に流れること、又はバルブコア107から流体流路に流れることを妨げられる。流体流路を開くとき、流体は、流体流路からバルブコア107に流れるか、又はバルブコア107から流体流路に流れることができる。バルブコア107はまた、閉鎖壁1073が、閉鎖された流体流路1081A、1081B又は1081Cのポートにおいてシール部材106(例えば、流体接続部1091に配置される)に対し密に当接するように、ハウジング109内において第2の方向Yに直線運動をすることができるように構成される。一実施形態において、第2の方向Yは、第1の方向Xに対して垂直である。バルブコア107は、回転している最中に直線運動を行うことができる。バルブコア107は、回転を終了した後、バルブコア107がシール部材106に加えるシール圧力を増加させ、それによってバルブコア107が閉鎖された流体流路を確実に密閉するために、直線運動を更に行うことができる。他の実施形態において、バルブコア107は、他の適切な数の開口部及び閉鎖壁を備える。
【0022】
バルブコア107は、駆動部材105によって第1の方向Xに軸線1076の周りを回転するように駆動され、流体圧力によって駆動部材105に対して第2の方向Yに直線運動をするように駆動される。駆動部材105は、第1の端部1053及び第2の端部1054を備える。動力源101は、駆動部材105の第1の端部1053に接続し、駆動部材105を回転駆動するように構成されている。一実施形態において、動力源101は、電気モータを含むアクチュエータである。軸受102は、駆動部材105を支持するように構成されている。駆動部材105は、バルブコア107と係合し、バルブコア107を第1の方向Xに軸線1076の周りを回転するように駆動し、バルブコア107が、その中を流れる流体によって生じる流体圧力によって駆動部材105に対して第2の方向Yに直線運動するように駆動されるように構成されている。バルブコア107が所望のバルブコア位置まで回転すると、駆動部材105は移動を停止し、この瞬間、バルブコア107内に流入した流体は、バルブコア107を駆動部材105に対して第2の方向Yに直線運動させ、流体接続部1091内でシール部材106に対し密に当接するように駆動する。駆動部材105の第2の端部1054は、駆動部1051を備え、係合部1071は、バルブコア107の頂面等に配置される。駆動部1051は、係合部1071と合致するように形成されている。一実施形態において、駆動部材105の駆動部1051は、ガイド溝及び突出部のうちの一方を備え、バルブコア107の係合部1071は、ガイド溝及び突出部のうちの他方を備え、ガイド溝は、突出部を受け入れるように構成されている。ガイド溝及び突出部は、第2の方向Yに延びている。一実施形態において、ガイド溝及び突出部の長手方向は、第2の方向Yに平行である。
【0023】
一実施形態において、バルブコア107は実質的に中空の球状体であり、バルブコア107の開口部1072は、球状体から一部を切り出した後に形成された開口部である。バルブコア107の外面は実質的に球面である。別の実施形態において、バルブコア107は実質的に中空の円筒であり、バルブコア107の開口部1072は円筒の側壁の開口部である。バルブコア107の外面は、円筒の側壁の外面である。中空のバルブコア107は、所望の形状の内面を備える。一実施形態において、内面は機械加工又は金型脱型が容易な方法で形成される。
【0024】
上述したように、本開示では、バルブコア107と駆動部材105は別個の設計であり、バルブコア107は駆動部材105に対して可動であり、フローティング設計であるため、バルブコア107と駆動部材105は、機械加工、製造及び組立における要求が少ない。シール部材106はPTFEリングであり、形状が単純で低コストである。本開示によれば、シール部材106は、流体流路1081と整列した閉鎖壁1073の内面に作用する流体圧力の作用下で圧縮されて密閉を達成し、流体圧力は閉鎖壁1073にのみ作用するので、バルブコア107を他のバルブコア位置に回転させる際に動力源101に要求されるトルクは小さい。さらに、漏れは作動寿命の影響を受けやすいものではない。例えば、流体流路1081と整列した閉鎖壁1073に作用する流体圧力は、作動寿命が長くなる前後で同じであり、シール部材106の弾性及び閉鎖壁1073の摩耗に依存しないため、作動寿命が長くなっても漏れは増加しない。
【0025】
さらに、本開示において、バルブコア107の係合部1071が延びる第2の方向Yは、バルブコア107の閉鎖壁1073の仮想2等分面Vと角度Φを成す(
図2F並びに
図3B及び
図3C参照)。閉鎖壁1073の仮想2等分面Vは、バルブコア107の第1の方向Xにおいて軸線1076に平行であり、閉鎖壁1073の中心とバルブコア107の中心とを通る。角度Φは、鋭角であり、例えば、0度から45度(60度を含む)、0度から45度(45度を含む)、0度から30度(30度を含む)、30度から45度(30度及び45度を含む)、又は45度から60度(45度及び60度を含む)である。閉鎖壁1073が流体流路1081A、1081B又は1081Cと整列されるとき、閉鎖壁1073の仮想2等分面Vは、整列された流体流路の延在方向に平行であり、例えば、少なくとも閉鎖壁1073近傍の流体流路の一部の延在方向に平行である。この実施形態において、バルブコア107が、流体が複数の流体流路1081A、1081B、1081Cの間を流れることを可能にする或る特定のバルブコア位置にあるとき、バルブコア107に流入する流体によって生じる圧力流体は、バルブコア107を、封止壁1073の仮想2等分面Vに対して角度を成して第2の方向Yに2つのシール部材106に向かって移動するように動作させ、これにより、閉鎖壁1073は、それに整列したシール部材106に対し密に当接することができるだけでなく、それに隣接するシール部材106に対しても密に当接することができる。したがって、この状態の閉鎖壁1073は、それと整列した流体流路108を閉鎖することができ、また、バルブコア107が、その後の動作において他のバルブコア位置まで円滑に回転することを容易にすることができる(
図3B及び
図3C参照)。
【0026】
バルブカバー104は、ハウジング109の上部の開口部1092を覆うように構成されている。バルブカバー104は、第3のシールリング112によってハウジング109に密閉状態で接続されている。バルブカバー104は、ハウジング109の上部の開口部1092と整列し、これと連通する開口部1021を備える。駆動部材105は、バルブカバー104の開口部1092及びハウジング109の開口部1021を通過し、ハウジング109内に延びてハウジング109内のバルブコア107と係合することができ、例えば、駆動部材105の駆動部1051がバルブコア107の係合部1071と係合する。シャフトシール103は、駆動部材105とバルブカバー104の開口部1092との間に配置され、駆動部材105とバルブカバー104とが互いに密閉状態で係合できるようにしている。他の実施形態において、バルブ装置100は他の適切な構造を備える。
【0027】
他の実施形態において、バルブ装置100はバルブコア107を手動で回転駆動し、バルブ装置100は動力源101を備えていない。一実施形態において、操作者は、工具を用いて駆動部材105を回転するように動作させ、これによりバルブコア107をバルブコア位置まで回転するように駆動して、複数の流体流路の接続及び接続解除を達成する。
【0028】
図2Aは、
図1Aに示すバルブ装置100の一部(駆動部材105及びバルブコア107を含む)の斜視図であり、
図2Bは、
図2Aの右側面図であり、
図2Cは、
図1Aに示すバルブ装置100の駆動部材105を底側から見た斜視図であり、
図2Dは、
図2Cの頂面図であり、
図2Eは、
図1Aに示すバルブ装置100のバルブコア107の斜視図であり、
図2Fは、
図2Eの上面図であり、駆動部材105とバルブコア107の具体的な構造とその間の協働関係を示すものである。
【0029】
図2A及び
図2Bに示すように、駆動部材105の底部(第2の端部1054)にある駆動部1051は、バルブコア107の頂部にある係合部1071と係合して、駆動部材105の回転により、バルブコア107をその回転軸線1076の周りを第1の方向Xに回転駆動することができ、バルブコア107は駆動部材105に対して第2の方向Yに相対移動することができる。
図2C及び
図2Dに示すように、駆動部材105の第2の端部1054には、立方体の形状の突出部である駆動部1051が設けられる。駆動部1051は、表面1052(底面)と、2つの対向する長辺面1055とを備える。
図2E及び
図2Fに示すように、バルブコア107の係合部1071は、バルブコア107の頂部に位置する。係合部1071は、立方体形状の駆動部1051を受け入れる、駆動部1051と合致する形状の、凹部等の、帯状のガイド溝である。ガイド溝は、底面1074と2つの対向する側面1075とを備える。バルブコア107は、3つの開口部1072と1つの閉鎖壁1073とを備える。3つの開口部1072は実質的に同じ大きさであり、そのうちの2つは互いに対向して配置され、残りの1つは閉鎖壁1073に対向して配置される。バルブコア107は実質的に球状体である。閉鎖壁1073の外面は、球状体の球面の一部である。一実施形態において、開口部1072は、球状体から一部を切り出すことによって側壁に形成された貫通孔であり、係合部1071は、球状体から一部を切り出すことによって形成された凹部である。ガイド溝及び突出部は、閉鎖壁1073の仮想2等分面Vと角度Φを形成する第2の方向Yに延びている。本実施形態で示す角度Φは45度である。
【0030】
駆動部材105の突出部は、突出部がガイド溝を駆動して第1の方向Xに軸線1076の周りを回転できるように、すなわち、バルブコア107を駆動して第1の方向Xに軸線1076の周りを回転させるように、バルブコア107のガイド溝に幅方向に適合されている。バルブコア107のガイド溝の長手方向の長さは、駆動部材105の突出部の長さよりも大きく、駆動部材105の突出部が、バルブコア107のガイド溝が流体圧力によって駆動されて第2の方向Yに直線運動することを妨げないようになっている。
【0031】
他の実施形態において、駆動部材105の駆動部1051はガイド溝であり、バルブコア107の係合部1071は突出部である。ガイド溝及び突出部は、上述したガイド溝及び突出部と実質的に同じ構造を有し、実質的に同じ機能を果たす。例えば、駆動部材105のガイド溝は、ガイド溝が突出部を駆動して第1の方向Xに軸線1076の周りを回転できるように、すなわち、バルブコア107を駆動して第1の方向Xに軸線1076の周りを回転させるように、バルブコア107の突出部に幅方向に適合されている。駆動部材105のガイド溝の長手方向の長さは、バルブコア107の突出部の長さよりも大きく、駆動部材105のガイド溝が、バルブコア107の突出部が流体圧力によって駆動されて第2の方向Yに直線運動することを妨げないようになっている。
【0032】
図3Aは、
図1Aに示すバルブ装置100の背面図であり、
図3Bは、第1のバルブコア位置にあるときの、
図3Aに示すバルブ装置100の、バルブコア107の断面線A-Aに沿った断面図であり、
図3Cは、第1のバルブコア位置にあるときの、別の実施形態によるバルブ装置100のバルブコア107の、断面線A-Aに沿った断面図であり、
図3Dは、第2のバルブコア位置にあるときの、バルブ装置100のバルブコア107の断面線A-Aに沿った断面図である。
【0033】
図3Bに示すように、バルブ装置100は、3つの流体コネクタ108A、108B、108Cを備え、これらはそれぞれ、3つのシール部材106A、106B、106Cと軸方向に整列すると共に、3つのシール部材106A、106B、106Cから長手方向に隙間Sだけ離隔している(破線円で示す拡大図を参照)。シール部材106A、106B、106Cをまとめてシール部材106と呼ぶことができる。流体コネクタ108A、108B、108Cは、T字状に配置されている。この実施形態において、流体コネクタ108A、108Bは直線状であり、流体コネクタ108Cは流体コネクタ108A、108Bに対して垂直である。流体コネクタ108A、108B、108C及びシール部材106A、106B、106Cは、それぞれ内部で流体流路1081A、1081B、1081Cを形成する。各流体コネクタ108A、108B、108Cは、フランジ1082、近位端部1083、及び遠位端部1084を備える。ハウジング109の各接続部1091は、端部1093及び内面1094を備える。流体コネクタ108A、108B、108Cのフランジ1082は、ハウジング109の接続部1091の端部1093に、例えば溶接によって固定的に接続される。流体コネクタ108A、108B、108Cの近位端部1083は、第2のシールリング111によって、ハウジング109の内面1094に密閉状態で接続されている。シール部材106は、第1のシールリング110によってハウジング109の内面1094に密閉状態で接続される。流体コネクタ108A、108B、108Cの遠位端部1084は、バルブ装置100が流体の流動を達成するために適用環境において適用されることを可能にするために、適用環境において流体管継手に接続されるように構成される。適用環境には、車両の熱管理システム等が含まれる。
【0034】
図3Bに示すように、バルブコア107は、バルブ装置100が第1の流動状態になるように第1のバルブコア位置まで回転する。第1のバルブコア位置において、バルブコア107の2つの開口部1072は、それぞれ流体流路1081A、1081Bと整列し、バルブコア107の閉鎖壁1073は、流体流路1081Cと整列する。バルブ装置100が第1の流動状態にあるとき、流体は、流体流路1081Aから流入し、流体流路1081Aと整列した開口部1072、バルブコア107の内部、及び流体流路1081Bと整列した開口部1072を順次流れ、流体流路1081Bから流出することができる(矢印で示すように)。シール部材106Cは、閉鎖壁1073に密に当接して閉鎖壁1073と密閉状態で係合し、これによって流体が流体流路1081Cに流入することを防止する。
【0035】
バルブコア107の係合部1071(例えば、ガイド溝)は、第2の方向Yに延びている。バルブコア107は、第2の方向Yに直線運動をすることができる。第2の方向Yは、バルブコア107の閉鎖壁1073の仮想2等分面Vと角度Φを成す。角度Φは鋭角である。本実施形態に示す角度Φは45度である。この実施形態において、流体がバルブコア107に流入するとき、流入する流体によって発生する圧力の作用下で、バルブコア107は、バルブコア107の閉鎖壁1073がシール部材106Cに対し密に当接するだけでなく、それに隣接するシール部材106A、106Bに対しても密に当接するように、すなわち、それぞれシール部材106A、106Bのポート106A1、106B1に対し当接するように、第2の方向Yにおいて流体コネクタ108B、108Cの両方に向かって移動する。バルブコア107の閉鎖壁1073は、シール部材106A、106B、106Cと接触しており、バルブコア107が必要に応じて他のバルブコア位置まで円滑に回転できるようになっている。
【0036】
バルブコア107の係合部1071が沿って延びる第2の方向Yが、バルブコア107の閉鎖壁1073の仮想2等分面Vに平行である場合、バルブコア107は、流体圧力の作用下で、閉鎖壁1073の仮想2等分面Vに平行な第2の方向Yに、1つの流体コネクタ108Cに向かって移動する。したがって、閉鎖壁1073が流体コネクタ108Cに向かって過度に移動し、それに隣接するシール部材106A、106Bから剥離したり、それに隣接するシール部材106A、106Bの縁部に接触したりし易くなり、これにより、容易にバルブコア107が次のバルブコア位置まで円滑に回転できなくすることになり易い。
図3Bに示すように、シール部材106、406は、それぞれ流体コネクタ108A、108B、108Cから隙間Sだけ離隔している。バルブコア107の閉鎖壁1073が流体圧力によって押されてシール部材106Cに押し付けられると、シール部材106Cが変形して閉鎖壁1073をシールする。シール部材106Cは流体コネクタ108Cから隙間Sだけ離隔しており、シール部材106Cはハウジング109に非固定的に接続されている(すなわち、シールリングによって密閉状態で接続されている)ため、流体圧力の作用下で、シール部材106Cは流体コネクタ108Cに向かって移動し、そしてシール部材106Cに対し密に当接している閉鎖壁1073も流体コネクタ108Cに向かって移動する。シール部材106Cの変形及びシール部材106Cと流体コネクタ108Cとの間の隙間Sによって、閉鎖壁1073は、流体圧力によって流体コネクタ108Cに向かって過度に移動するように駆動され易く、したがって、閉鎖壁1073が、容易にそれに隣接するシール部材106A、106Bから剥離するか、又はそれに隣接するシール部材106A、106Bの縁部に接触するようになり易い。この離脱又は縁部との接触により、隣接するシール部材106A、106Bは押圧を受けないか、又は僅かな押圧のみを受けるため、シール部材106A、106Bが変形して閉鎖壁1073をバルブコア107の回転経路で停止させ、これによりバルブコア107が円滑に回転できなくなる。
【0037】
バルブコア107が円滑に回転できないという上記問題は、バルブコア107の閉鎖壁1073が、それに隣接するシール部材106A、106Bとの小さな接触領域を有する状態において特に顕著である。バルブコア107の閉鎖壁1073が、それに隣接するシール部材106A、106Bとの小さな接触領域を有することは、バルブコア107が、より小さな内径を有する流体流路1081に使用される場合、バルブコア107の開口部1072が、流体流路1081の内径よりも小さくなるように構成される場合、及び他の好適な用途において生じることがある。本開示では、バルブコア107が直線運動を行う第2の方向Yが、鋭角である角度Φ、例えば、0度から45度を成すように構成されているため、上記課題を解決して、バルブコア107が次のバルブコア位置まで円滑に回転することができる。
【0038】
図3Cは、バルブコア107の閉鎖壁1073が、それに隣接するシール部材106A、106Bとの小さな接触領域を有することを示す。この実施形態において、バルブコア107の円滑な回転を効果的に確保することができる。
図3Cに示す構造は、
図3Bに示す構造と同じであり、相違点は、
図3Cにおいて、バルブコア107の閉鎖壁1073が、それに隣接するシール部材106A、106Bとの小さな接触領域を有することにある。
【0039】
図3Cに示すように、流体がバルブコア107に流入すると、流入した流体によって発生する圧力の作用下で、バルブコア107は、その係合部1071の延在方向Yにおいて、流体コネクタ108B、108Cの両方に向かって移動する。流体圧力によって作動されるバルブコア107の移動は、バルブコア107の閉鎖壁1073がそれに隣接するシール部材106A、106Bとの小さな接触領域を有するとき、2つの方向、すなわち、流体コネクタ108B、108Cに向かう方向に向けられ、バルブコア107の閉鎖壁1073は、シール部材106Cに対し密に当接できるだけでなく、それに隣接するシール部材106A、106Bに対しても密に当接することができ、すなわち、シール部材106A、106Bの部分106A1、106B1に対してそれぞれ密に当接することができる(破線円で示す拡大図を参照)。バルブコア107の閉鎖壁1073は、バルブコア107が必要なときに他のバルブコア位置まで円滑に回転できるように、シール部材106A、106B、106Cと接触している。バルブコア107の閉鎖壁1073は、閉鎖壁1073が流体コネクタ108Cに向かって過度に移動して、それに隣接するシール部材106A、106Bから容易に剥離したり、それに隣接するシール部材106A、106Bの縁部に接触したりして、バルブコア107が他のバルブコア位置まで円滑に回転できなくなることがないように、流体コネクタ108B、108Cの両方に向かって移動する。
【0040】
図3Dに示すように、バルブコア107は、バルブ装置100が第2の流動状態になるように第2のバルブコア位置まで回転する。第2のバルブコア位置では、バルブコア107の2つの開口部1072はそれぞれ流体流路1081A、1081Cと整列し、バルブコア107の閉鎖壁1073は流体流路1081Bと整列する。バルブ装置100が第2の流動状態にあるとき、流体は、流体流路1081Aから流入し、流体流路1081Aと整列した開口部1072、バルブコア107の内部、及び流体流路1081Cと整列した開口部1072を順次流れ、流体流路1081Cから流出することができる(矢印で示すように)。シール部材106Bは、閉鎖壁1073に対し密に当接して、閉鎖壁1073と密閉状態で係合し、それによって流体が流体流路1081Bに流入することを防止する。
【0041】
他の実施形態において、ユーザの異なるニーズに応じて他の適切なバルブコア位置及び流体の流動状態を設定することができる。
【0042】
図4Aは、本開示の第2の実施形態によるバルブ装置400の斜視図であり、
図4Bは、
図4Aに示す第1の実施形態によるバルブコア407の頂面図であり、
図4Cは、
図4Aに示す第2の実施形態によるバルブコア407の頂面図である。
【0043】
図4Aに示すように、バルブ装置400は4つの流体流路を備える。バルブ装置400は、四方バルブ装置と呼ぶことができる。
図4Aのバルブ装置400の構造は、
図1Aに示すバルブ装置100の構造と同様であり、本明細書では同じ構造については説明を繰り返さない。バルブ装置400は、ハウジング409を備え、このハウジングは、4つの流体接続部4091と、4つの流体流路4081A、4081B、4081C、4081Dを画定する4つの流体コネクタ408A、408B、408C、408Dとを有する。流体コネクタ408A、408B、408C、408Dをまとめて流体コネクタ408と呼ぶことができ、流体流路4081A、4081B、4081C、4081Dをまとめて流体流路4081と呼ぶことができる。流体コネクタ408A、408B、408C、408Dは十字形に配置され、隣接する流体コネクタは互いに垂直である。流体コネクタ408A、408B、408C、408Dは、それぞれ流体接続部4091に接続されている。バルブ装置400は、4つの流体接続部4091にそれぞれ配置され、流体コネクタ408A、408B、408C、408D、及びバルブコア407と整列されたシール部材406A、406B、406C、406Dを更に備える(
図5Bから
図5D参照)。シール部材406A、406B、406C、406Dをまとめてシール部材406と呼ぶことができる。バルブ装置400は、駆動部材(図示せず)を回転駆動し、これによりバルブコア407をバルブコア位置まで回転駆動するように構成された動力源401を更に備える。バルブコア407は、駆動部材によって回転軸線を第1の方向Xに回転させるように駆動され、流体圧力によって第2の方向Yに直線運動をするように駆動されるように構成されている。第2の方向Yは第1の方向Xに対して垂直である。
【0044】
図4B及び
図4Cに示すように、バルブ装置400のバルブコア407は、2つの開口部4072と1つの閉鎖壁4073とを備える。閉鎖壁4073は、対称に配置された第1の閉鎖壁4074と第2の閉鎖壁4075とから構成される複合閉鎖壁である。一実施形態において、第1の閉鎖壁4074と第2の閉鎖壁4075は一体的に形成されている。第1の閉鎖壁4074は、流体が流体流路を通って流れることを防止するために、流体流路の1つと整列するように構成されている。第2の閉鎖壁4075は、流体が流体流路を通って流れることを防止するために、流体流路の1つと整列するように構成されている。係合部4071は、バルブコア407の頂部に設けられる。バルブコア407の係合部4071が延びる第2の方向Yは、第1の閉鎖壁4074の仮想2等分面V1と第1の角度Φ1を成し、第2の閉鎖壁4075の仮想2等分面V2と第2の角度Φ2を成す。第1の角度Φ1と第2の角度Φ2は鋭角である。第1の閉鎖壁4074の仮想2等分面V1は、第1の方向Xにおいて回転軸線に平行であり、第1の閉鎖壁4074の中心とバルブコア407の中心とを通過する。第2の閉鎖壁4075の仮想2等分面V2は、第1の方向Xにおいて回転軸線に平行であり、第2の閉鎖壁4075の中心とバルブコア407の中心とを通過する。一実施形態において、第1の閉鎖壁4074及び第2の閉鎖壁4075は、第1の閉鎖壁4074及び第2の閉鎖壁4075がそれぞれ流体流路と整列するとき、第1の閉鎖壁4074の仮想2等分面V1及び第2の閉鎖壁4075の仮想2等分面V2が、それぞれ、整列した流体流路(又はハウジングの中心付近の流体流路の部分)の延在方向に平行であるような、重なり部分を含む。
【0045】
一実施形態において、第1の角度Φ1と第2の角度Φ2の和は90度である。一実施形態において、第1の角度Φ1は0度から45度(45度を含む)であり、第2の角度Φ2は45度から90度(45度を含む)である。一実施形態において、第1の角度Φ1は0度から30度(30度を含む)であり、第2の角度Φ2は60度から90度(60度を含む)である。一実施形態において、第1の角度Φ1は0度から60度(60度を含む)であり、第2の角度Φ2は30度から90度(30度を含む)である。一実施形態において、第1の角度Φ1は45度から60度であり、第2の角度Φ2は30度から45度である。別の実施形態において、第1の角度Φ1は30度から45度であり、第2の角度Φ2は45度から60度である。
図4Bに示すように、第1の角度Φ1と第2の角度Φ2は共に45度である。
図4Cに示すように、第1の角度Φ1は60度であり、第2の角度Φ2は30度である。
【0046】
図5Aは、
図4Aに示すバルブ装置400の背面図であり、
図5Bは、第1のバルブコア位置にあるときの
図4Aに示すバルブ装置400のバルブコア407の断面線A-Aに沿った断面図であり、
図5Cは、第2のバルブコア位置にあるときの
図4Aに示すバルブ装置400のバルブコア407の断面線A-Aに沿った断面図であり、
図5Dは、第3のバルブコア位置にあるときの
図4Aに示されたバルブ装置400のバルブコア407の断面線A-Aに沿った断面図である。
【0047】
図5Bに示すように、流体コネクタ408A、408B、408C、408D及びシール部材406A、406B、406C、406Dは、それぞれ内部で4つの流体流路4081A、4081B、4081C、4081Dを形成する。バルブコア407は、バルブ装置400が第1の流動状態になるように第1のバルブコア位置まで回転する。第1のバルブコア位置において、バルブコア407の2つの開口部4072はそれぞれ流体流路4081B、4081Cと整列し、バルブコア407の閉鎖壁4073のうちの第1の閉鎖壁4074及び第2の閉鎖壁4075はそれぞれ流体流路4081A、4081Dと整列する。バルブ装置400が第1の流動状態にあるとき、流体は、流体流路4081Bから流入し、流体流路4081Bと整列した開口部4072、バルブコア407の内部、及び流体流路4081Cと整列した開口部4072を順次流れ、流体流路4081Cから流出することができる(矢印で示すように)。シール部材406Aは、第1の閉鎖壁4074と密閉状態で係合するように第1の閉鎖壁4074に対し密に当接し、それによって流体が流体流路4081Aに流入することを防止する。シール部材406Dは、第2の閉鎖壁4075と密閉状態で係合するように第2の閉鎖壁4075に対し密に当接し、それによって流体が流体流路4081Dに流入することを防止する。
【0048】
図5Bに示すように、係合部4071(破線の枠で示す)が延びる第2の方向Yは、第1の閉鎖壁4074の仮想2等分面V1と角度Φ1を成し、第2の閉鎖壁4075の仮想2等分面V2と角度Φ2を成す。したがって、流体がバルブコア407に流入すると、流体圧力の作用下で、バルブコア407は、流体が流体コネクタ408A、408Dを通って流れることを防止するために、バルブコア407の第1の閉鎖壁4074がシール部材406Aに対し密に当接する一方、第2の閉鎖壁4075がシール部材406Dに対し密に当接するように、第2の方向Yに流体コネクタ408A、408Dに向かって移動する。係合部4071のこの配置により、バルブコア407の第2の方向Yへの移動は、同時に、流体が2つの流体コネクタ408A、408Dを通って流れることを防止することができる。加えて、この移動はまた、バルブコア407の閉鎖壁4073を、シール部材406A、406Dに対し密に当接するだけでなく、それに隣接するシール部材406C、406Bに対しても密に当接し、例えば、シール部材406C、406Bの部分406C1、406B1に対し密に当接し、したがって、バルブコア407は、必要なときに他のバルブコア位置まで円滑に回転することができる。本開示によれば、1つの流体コネクタ(流体コネクタ408A又は408D)のみに向かって移動する際に、バルブコア407が過度に移動して、閉鎖壁4073がそれに隣接するシール部材406C、406Bから剥離し、さらにバルブコア407が次のバルブコア位置まで円滑に回転できなくなることを防止することができる。
【0049】
図5Cに示すように、バルブコア407は、バルブ装置400が第2の流動状態になるように第2のバルブコア位置まで回転する。第2のバルブコア位置において、バルブコア407の2つの開口部4072はそれぞれ流体流路4081B、4081Dと整列し、バルブコア407の閉鎖壁4073のうちの第1の閉鎖壁4074及び第2の閉鎖壁4075はそれぞれ流体流路4081C、4081Aと整列する。バルブ装置400が第2の流動状態にあるとき、流体は、流体流路4081Dから流入し、流体流路4081Dと整列した開口部4072、バルブコア407の内部、及び流体流路4081Bと整列した開口部4072を順次流れ、流体流路4081Bから流出することができる(矢印で示すように)。シール部材406Cは、第1の閉鎖壁4074と密閉状態で係合するように第1の閉鎖壁4074に対し密に当接し、それによって流体が流体流路4081Cに流入することを防止する。シール部材406Aは、第2の閉鎖壁4075と密閉状態で係合するように、第2の閉鎖壁4075に対し密に当接し、それによって流体が流体流路4081Aに流れ込むことを防止する。
【0050】
流体圧力の作用下で、閉鎖壁4073は、流体が流体コネクタ408A、408Cを通って流れることを防止するために、第2の方向Yに流体コネクタ408A、408Cに向かって移動し、閉鎖壁4073は、バルブコア407が他のバルブコア位置まで円滑に回転することを可能にするために、シール部材406A、406B、406C、406Dと接触する。
【0051】
図5Dに示すように、バルブコア407は、バルブ装置400が第3の流動状態になるように第3のバルブコア位置まで回転する。第3のバルブコア位置において、バルブコア407の一方の開口部4072は、流体流路4081A、4081Dと部分的に整列し、バルブコア407の他方の開口部4072は、流体流路4081B、4081Dと部分的に整列し、バルブコア407の閉鎖壁4073は、流体流路4081Cと整列し、流体流路4081A、4081Bと部分的に整列する。バルブ装置400が第2の流動状態にあるとき、流体は、流体流路4081Dから流入し、流体流路4081Dと整列した開口部4072、バルブコア407の内部、及び流体流路4081Aと整列した開口部4072を順次流れ、流体流路4081Aから流出することができ(矢印で示すように)、また、流体は、流体流路4081Dから流入し、流体流路4081Dと整列した開口部4072、バルブコア407の内側、及び流体流路4081Bと整列した開口部4072を順次流れ、流体流路4081Bから流出することができる(矢印で示すように)。シール部材406Cは、閉鎖壁4073に対して密に当接して閉鎖壁4073と密閉状態で係合し、それによって流体が流体流路4081Cに流入することを防止する。他の実施形態において、ユーザの異なるニーズに応じて他の適切なバルブコア位置及び流体の流動状態を設定することができる。
【0052】
流体圧力の作用下で、閉鎖壁4073は、流体が流体コネクタ408Cを通って流れることを防止するために、第2の方向Yに流体コネクタ408Cに向かって移動し、閉鎖壁4073は、バルブコア407が他のバルブコア位置まで円滑に回転することを可能にするために、シール部材406A、406B、406Cに対して密に当接する。
【0053】
本開示のバルブ装置は、例えば、二方バルブ装置、五方バルブ装置等、様々なタイプの通路を有するバルブ装置にも適用可能であることに留意すべきである。
【0054】
本開示は、上記で概説された実施形態の例を参照して説明されるが、現在知られているか若しくは予想されるか、又は間もなく予想される様々な代替形態、修正形態、変形形態、改良形態、及び/又は実質的な均等物が、少なくとも当業者には明らかであり得る。さらに、本明細書に記載される技術的効果及び/又は技術的課題は、限定ではなく例示であり、したがって、本明細書の開示は、他の技術的問題を解決するために使用されてもよく、他の技術的効果を有してもよく、及び/又は他の技術的問題を解決してもよい。したがって、上述の本開示の実施形態の例は、限定ではなく例示であることが意図される。本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。したがって、本開示は、全ての知られている又は以前に開示された代替形態、修正形態、変形形態、改良形態、及び/又は実質的な均等物を包含することが意図される。
【外国語明細書】