(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169381
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】プリント回路基板組立体
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241128BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H05K3/34 501D
H05K1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083493
(22)【出願日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】23175182
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデリン・アルブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ヴィース
【テーマコード(参考)】
5E319
5E338
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AC20
5E319GG11
5E338AA01
5E338BB13
5E338BB75
5E338EE01
(57)【要約】
【課題】電気的安定性が更に改善された上述のタイプのプリント回路基板組立体を提供する。
【解決手段】プリント回路基板(PCB)20と、PCB20の搭載部においてPCB20に搭載された電子コンポーネント30とを備え、電子コンポーネント30がPCB20の対応する接続位置22にはんだ付けするための複数の電気接続用の端子32;32’を含み、搭載部がPCB20に搭載された電子コンポーネント30に対向した開口24を含み、端子のうちの少なくとも1つの32’が接続されておらず、開口24が少なくとも1つの接続されていない端子32’に対向したPCB20の領域内に延びている、プリント回路基板(PCB)組立体10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(PCB)(20)と、
前記PCB(20)の搭載部において前記PCB(20)に搭載された電子コンポーネント(30)であって、前記電子コンポーネント(30)が、前記PCB(20)の対応する接続位置(22)にはんだ付けするための複数の電気接続用の端子(32;32’)を含み、前記搭載部が、前記PCB(20)に搭載された前記電子コンポーネント(30)に対向した開口(24)を含む、前記電子コンポーネント(30)と、
を備え、
前記端子のうちの少なくとも1つが、接続されておらず、前記開口(24)が、前記少なくとも1つの接続されていない前記端子(32’)に対向した前記PCB(20)の領域内に広がった、
プリント回路基板(PCB)組立体(10)。
【請求項2】
電気接続用の前記端子(32;32’;32’’;32’’’)が、長方形の4つの辺に沿って配置されており、第1の接続されていない端子(32’)が、前記長方形の2つの互いに反対側にある辺(34)の間の中心線上に位置し、第2の接続されていない端子および第3の接続されていない端子(32’’;32’’’)が、前記中心線に直交した方向において互いに反対側に位置し、前記開口(24)が、前記第1の接続されていない端子、前記第2の接続されていない端子、および前記第3の接続されていない端子(32’;32’’;32’’’)にそれぞれ遠位において対向した、近位において連続した第1の枝部、第2の枝部、および第3の枝部(24’;24’’;24’’’)を備える、
請求項1に記載のプリント回路基板組立体。
【請求項3】
前記第2の接続されていない端子および前記第3の接続されていない端子(32’’;32’’’)の各々が、前記長方形の角に近接して配置されている、
請求項2に記載のプリント回路基板組立体。
【請求項4】
前記2つの互いに反対側にある辺の各々が、前記2つの互いに反対側にある辺の各々に沿って等距離で配置された3つの端子(32;32’;32’’;32’’’)を含み、前記2つの互いに反対側にある辺に直交する方向に延びた残りの辺の各々が、前記残りの辺の長さの中間に位置する1つの前記端子を含む、
請求項2および請求項3のいずれか一項に記載のプリント回路基板組立体。
【請求項5】
前記電子コンポーネント(30)が、電子測定センサーのための基準電圧を供給するための電圧源である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプリント回路基板組立体。
【請求項6】
前記電子測定センサーが、ロードセンサーである、
請求項5に記載のプリント回路基板組立体。
【請求項7】
前記電子コンポーネント(30)が、表面搭載技術(SMT)コンポーネントである、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプリント回路基板組立体。
【請求項8】
前記開口(24;24’;24’’;24’’’)が、めっきされている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプリント回路基板組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、プリント回路基板(PCB)と、PCBの搭載部においてPCBに搭載された電子コンポーネントとを備え、電子コンポーネントが、PCBの対応する接続位置にはんだ付けするための複数の電気接続用の端子を含み、搭載部が、PCBに搭載された電子コンポーネントに対向した開口を含む、プリント回路基板(PCB)組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]上述のタイプのプリント回路基板組立体において、プリント回路基板(PCB)は、例えば環境中の湿気といった湿気、および/または、例えば電子コンポーネントから放散された熱といった熱の吸収により膨張する傾向がある。この膨張の挙動は概して電子コンポーネントの膨張の挙動とは異なるので、および、電子コンポーネントはPCBにおける接続位置に固定するようにはんだ付けされた、電子コンポーネントの電気接続用の端子を含むので、機械的応力がコンポーネントの接続端子に発生し得、以て、コンポーネントの電気的特性の不安定さをもたらし得る。これは、特に、特にロードセルといった電子測定センサーのための電圧基準として機能するコンポーネントに対して望ましくない。
【0003】
[0003]この問題を軽減するために、PCB内への放熱を減らすために、従来技術の提案では搭載部における開口が提供されている。しかし、この開口の提供により実現される改善が十分でない用途が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]従って、電気的安定性が更に改善された上述のタイプのプリント回路基板組立体を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明によると、前述のタイプのプリント回路基板組立体によりこの目的が実現され、端子のうちの少なくとも1つが接続されておらず、開口が、少なくとも1つの接続されていない端子に対向したPCBの領域内に広がっている。
【0006】
[0006]プリント回路基板(PCB)に搭載するために設計された電子コンポーネントは、通常、列における隣接した端子間に短い距離しか伴わない直線的な列状に配置された電子コンポーネントの電気接続用の端子を含む。本発明者らは、PCBの対応する接続位置間に延びたPCBの搭載部における分離スロットの提供により、熱および/または湿気にさらされた結果としてのPCBおよびコンポーネントの異なる膨張を理由とした端子における応力が理論的に低減され得ることを認識した。しかし、PCBの隣接した接続位置間の距離はコンポーネントの対向する接続端子間の距離と同じ程度に短いので、これは事実上実現可能ではなく、この短い距離は、利用可能なPCBに機器をリンクさせることができる状態でスロットを切ることを可能にしない。同時に、本発明者らは、多くの用途では、電子コンポーネントの1つまたは複数の接続端子がその接続端子に対する電気的な機能を割り当てられていないので、電気的な機能の観点からPCBの対応する接続位置にこれらの端子をはんだ付けする必要性はないと考えた。本発明によると、電気的な機能をもたない端子のうちの少なくとも1つが、PCBの対応する接続位置にはんだ付けされず、PCBの開口が、少なくとも1つの接続されていない端子に対向したPCBの領域内に広がるように構成されている。この手法により、開口は、PCBにおいて2番目に最も近い接続位置間の全幅にわたって広がり得、したがって、利用可能なPCB機械加工ツールを使用して簡単に機械加工され得る。
【0007】
[0007]プリント回路基板組立体の有益な実施形態では、電気接続用の端子が長方形の4つの辺に沿って配置され、第1の接続されていない端子が長方形の2つの互いに反対側にある辺間の中心線上に位置し、第2の接続されていない端子および第3の接続されていない端子が中心線に直交した方向において互いに反対側に位置し、開口が、それぞれ、第1の、第2の、および第3の接続されていない端子に遠位において対向した、第1の、第2の、および第3の近位において連続した枝部を備える。特に第1の、第2の、および第3の枝部の各々は、それぞれ、第1の、第2の、および第3の直線的な中心線に沿って、中心線に直交する方向に一定の幅をもって延び得る。第1の、第2の、および第3の枝部の遠位端部は、それぞれ、長方形に対向するPCBのエリアを越えて外向きに広がり得る。第1の枝部の第1の中心線は、長方形の互いに反対側にある辺間の中心線に一致し得、第2の、および第3の中心線は、ただ1つの交差点において交差し得る。更に、長方形の互いに反対側にある辺と第2の、および第3の直線的な中心線との間の中心線間の角度は、それぞれ同じであり得る。この手法により、これらの角度が実質的に90°であるとき、第1の、第2の、および第3の直線的な中心線はTの形状をもつ。これらの角度が90°未満であるとき、第1の、第2の、および第3の直線的な中心線はYの形状をもつ。
【0008】
[0008]好適な実施形態では、第2の接続されていない端子および第3の接続されていない端子の各々が、長方形の角に近接して配置され得る。更に、2つの互いに反対側にある辺の各々は、辺に沿って等距離で配置された3つの端子を含み得、その2つの互いに反対側にある辺に直交する方向に延びた残りの辺の各々は、その残りの辺の長さの中間に位置する1つの端子を含む。
【0009】
[0009]本発明の別の一態様によると、電子コンポーネントは、電子測定センサーのための基準電圧を供給するための電圧源である。特に、測定センサーは、ロードセンサーである。簡略的に電圧基準と呼ばれる基準電圧を供給するための電圧源は、特にロードセンサーまたはロードセルといった測定センサーのパフォーマンスにおいて重要な役割を果たす。これらの電圧基準は、精度基準を設定する。本発明により開口を構成することが、電圧基準の安定性を大幅に高め、以て、より高い精度をもたらす。
【0010】
[0010]好ましい実施形態において、電子コンポーネントは、表面搭載技術(SMT)コンポーネントである。この場合において、PCBの接続位置および電子コンポーネントの接続端子は、好ましくは、はんだ付けパッドの形態をとる。代替的に、本発明は貫通孔技術(THT)にも適用可能であり、電気コンポーネントの硬質ピンがPCBに形成された導電孔内にはんだ付けされる。
【0011】
[0011]本発明の更なる態様によると、開口はめっきされる。めっきは、PCBの厚さ方向において開口の少なくとも縁部をカバーし、以て、湿気の侵入を防ぐ封止を形成する。適切なめっき材料は、銅および/または金を含む。
【0012】
[0012]以下で、本発明の例示的な実施形態が図面を参照しながら説明される。これらの図面は以下のことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】プリント回路基板に搭載された電子コンポーネントを含むプリント回路基板の上側の平面図である。
【
図2】
図1に示す側の反対側にあるプリント回路基板の下側の平面図である。
【
図3】
図1および
図2におけるX-X線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0013]プリント回路基板組立体10は、プリント回路基板(PCB)20と、PCB20の搭載部においてPCB20に搭載された電子コンポーネント30とを備える。
図1から
図3は、プリント回路基板組立体10の対応する詳細を示す。電子コンポーネント30は、濃く黒い線として表された長方形として、PCB20の上側を示す
図1に概略的に示されている。反対側の下側を示す
図2では、下側から視認不能な長方形の部分が破線として示される。
【0015】
[0014]示される実施形態において、電子コンポーネント30は、PCB20の上側に対向した電子コンポーネント30の下側に位置する8つの正方形の接続端子32、32’、32’’、および32’’’を備える。長方形の2つの辺34の各々が、それぞれ、辺34に沿って等距離で配置された接続端子32、32’’、および32’’’のうちの3つを含む。残りの2つの接続端子の各々が、互いに反対側にある辺34、34に直交して延びた長方形の他の2辺に沿う方向の中間に配置されている。
【0016】
[0015]PCB20は、太い黒いラインとして
図2に示されているPCB20に形成されたY字形開口24を含む。
図1では、電子コンポーネント30によりカバーされた部分は、破線として示されている。
図1および
図2から理解され得るように、開口24は、長方形の互いに反対側にある辺34に平行に延びた長方形の中心線に一致した直線的な中心線に沿って延びた第1の枝部24’と、第1の枝部24’の直線的な中心線に対して同じ角度で延びた直線的な中心線を各々が含む第2の枝部24’’および第3の枝部24’’’とにより構成されている。第1の枝部24’、第2の枝部24’’、および第3の枝部24’’’の各々は、その各々の中心線に直交した方向に一定の幅をもつ。第1の枝部24’、第2の枝部24’’、および第3の枝部24’’’は、それらの近位端において連結されている。それらの遠位端は、長方形の内部を越えて長方形の外部に突出している。
【0017】
[0016]
図1および
図2は、PCB20の長方形の接続位置22を更に示す。接続位置22のうちの2つは、第1の枝部24’の右側に位置する電子コンポーネント30の接続端子に対向しており、およびはんだ付けされており、更に接続位置22のうちの2つは、第1の枝部24’の左側に位置する2つの接続端子に対向しており、およびはんだ付けされている。加えて、PCB20の更なる接続位置が、第2の枝部24’’と第3の枝部24’’’との間に位置する電子コンポーネント30の接続端子に対向しており、およびはんだ付けされている。対照的に、第1の枝部24’、第2の枝部24’’、および第3の枝部24’’’にそれぞれ対向している接続端子32’、32’’、および32’’’は、接続されていない。
【0018】
[0017]これは、
図1における最も下の接続端子32’および接続端子32’の最も近傍にあるものに対して、
図3に更に詳細に示されている。
図3の断面図は、PCB20の対向する接続位置22にはんだ50により接続された電子コンポーネント30の左辺34および右辺34に位置する2つの接続端子32を示す。対照的に、2つの接続端子32間の中間に位置する接続端子32’は、開口24の第1の枝部24’に自由な状態でさらされており、接続されていない。
【0019】
[0018]PCB20の厚さ方向にPCB20の上側と下側との間に延びた開口24の縁部は、太線として示されている。これは水分の侵入を防ぐようにPCBを封止する例えば銅および/または金といった適切な材料を使用しためっきを概略的に示すものである。このコーティングは、PCB20の上側と下側とに隣接した領域にわたって更に広がっていてもよい。
【符号の説明】
【0020】
[0019]
10 プリント回路基板組立体
20 プリント回路基板(PCB)
22 接続位置
24 開口
24’;24’’;24’’’ 枝部
30 電子コンポーネント
32;32’;32’’;32’’’ 接続端子
34 長方形の辺
50 はんだ付け
【外国語明細書】