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特開2024-169382通気デバイス、通気デバイスの製造方法、通気方法及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169382
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】通気デバイス、通気デバイスの製造方法、通気方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20241128BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20241128BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20241128BHJP
   H04R 17/00 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
H04R1/28 310C
H04R1/10 104Z
H04R25/00 G
H04R17/00
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024083593
(22)【出願日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】63/468,277
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/638,730
(32)【優先日】2024-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】張 俊▲いー▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 文健
(72)【発明者】
【氏名】羅 烱成
(72)【発明者】
【氏名】曾 冠儒
(72)【発明者】
【氏名】ジェム ユエ リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジョージ リム
【テーマコード(参考)】
5D004
5D005
【Fターム(参考)】
5D004BB01
5D004GG00
5D005BA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】閉塞効果を排除する通気デバイス、その製造方法及びその通気方法を提供する。
【解決手段】通気デバイス100は、アンカー構造140及び薄膜110を含む。薄膜は、アンカー構造に固定され、第1の通気口及び第2の通気口を形成する。薄膜は、第1のフラップ112a、第2のフラップ112b及び第3のフラップを112c含み、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し、第1の通気口及び第2の通気口が形成されるときに、第1の体積及び第2の体積は接続される。第1のフラップは、第1の方向に向かって運動するように作動され、且つ、第2のフラップは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されて、第1の通気口を形成する。第1のフラップは、第1の方向に向かって運動するように作動され、且つ、第3のフラップは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されて、第2の通気口を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気デバイスであって、当該通気デバイスは、
アンカー構造と、
前記アンカー構造に固定されて、第1の通気口及び第2の通気口を形成するように構成される薄膜と、を含み、
前記薄膜は、第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含み、
前記薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し、前記第1の通気口及び前記第2の通気口が形成されるときに、前記第1の体積及び前記第2の体積は接続され、
前記第1のフラップは、前記第1の方向に向かって運動するように作動され、且つ、前記第2のフラップは、前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されて、前記第1の通気口を形成し、
前記第1のフラップは、前記第1の方向に向かって運動するように作動され、且つ、前記第3のフラップは、前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されて、前記第2の通気口を形成する、
通気デバイス。
【請求項2】
前記第1のフラップは、前記第2のフラップに隣接し、前記第1のフラップは、前記第3のフラップに隣接する、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項3】
前記薄膜は、前記第1のフラップ、前記第2のフラップ、及び前記第3のフラップから分離されている第4のフラップをさらに含む、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項4】
前記第1のフラップは、前記第2のフラップに隣接する第1の自由エッジ及び前記第3のフラップに隣接する第2の自由エッジを含み、前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップとの間に形成される、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項5】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第1の自由エッジは、前記第1のアンカーエッジに対向し、前記第2の自由エッジは、前記第1の自由エッジと前記第1のアンカーエッジとの間に存在する、請求項4に記載の通気デバイス。
【請求項6】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジ、及び、前記第3の自由エッジと前記第2のアンカーエッジとの間の第4の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第4の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第5の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項7】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ及び前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第3の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第6の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項8】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジ、及び、前記第3の自由エッジと前記第2のアンカーエッジとの間の第4の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第3の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第5の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項9】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジ、及び、前記第3の自由エッジと前記第2のアンカーエッジとの間の第4の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第4の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第6の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項10】
前記第1のフラップは、前記第2のフラップに隣接する自由エッジを有し、前記第2のフラップは、前記第1のフラップに隣接するエッジを有し、前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記自由エッジと前記第2のフラップの前記エッジとの間に形成され、前記第1のフラップの前記自由エッジ及び前記第2のフラップの前記エッジは、鋸刃形状のエッジである、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項11】
前記第1のフラップは、前記第3のフラップに隣接する自由エッジを有し、前記第3のフラップは、前記第1のフラップに隣接するエッジを有し、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記自由エッジと前記第3のフラップの前記エッジとの間に形成され、前記第1のフラップの前記自由エッジ及び前記第3のフラップの前記エッジは、鋸刃形状のエッジである、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項12】
当該通気デバイスは、第1のモード、第2のモード、又は第3のモードで動作させられる、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項13】
前記第1のモードにおいて、前記薄膜は、第1の場所にあるように保たれるように作動され、前記第1の場所は、当該通気デバイスが配置されるベースに対して平行である、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項14】
前記第2のモードにおいて、前記第1のフラップは、前記第1の方向に向かって運動するように作動され、前記第2のフラップ及び前記第3のフラップは、前記第1の方向とは反対の前記第2の方向に向かって運動するように作動され、それによって、前記第1の通気口及び前記第2の通気口が形成される、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項15】
前記第3のモードにおいて、前記薄膜又は前記第1のフラップに配置されているアクチュエータには電力が印加されず、前記第2のフラップ及び前記第3のフラップは、第1の場所の下に存在し、前記第1の場所は、当該通気デバイスが配置されるベースに平行である、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項16】
前記第2のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の合計のサイズは、前記第3のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の合計のサイズよりも大きく、前記第3のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の前記合計のサイズは、前記第1のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の合計のサイズよりも大きい、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項17】
当該通気デバイスは、ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されるか、又は、前記ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されるように構成され、
前記ウェアラブルサウンドデバイスは、イヤホン又は補聴器であり、
前記ウェアラブルサウンドデバイスは、音響変換を実行するように構成される音響トランスデューサを含む、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項18】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第2のアンカーエッジ及び前記第3のアンカーエッジは、前記第1のアンカーエッジに平行である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項19】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第2のアンカーエッジ及び前記第3のアンカーエッジは、前記第1のアンカーエッジに垂直である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項20】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第1のアンカーエッジ及び前記第2のアンカーエッジは、前記第3のアンカーエッジに垂直である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項21】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第1のアンカーエッジ及び前記第3のアンカーエッジは、前記第2のアンカーエッジに垂直である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項22】
デバイスであって、当該デバイスは、
アンカー構造と、
前記アンカー構造に固定されて、通気口を形成するように構成される薄膜と、を含み、
前記薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し、前記通気口が形成されるときに、前記第1の体積及び前記第2の体積は、前記通気口を介して接続され、
スリットが前記薄膜に形成され、前記スリットにより、前記通気口が形成され、
前記スリットのセグメントは、前記薄膜においてジグザグ形状になっている、
デバイス。
【請求項23】
前記スリットは、鋸刃形状のパターン、歯のパターン、台形形状のパターン、矩形形状のパターン、正弦パターン、又は多項式パターンとなっているジグザグ形状のパターンを有する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
通気デバイスの製造方法であって、当該製造方法は、
第1の層及び第2の層を含むウェハを提供するステップであって、前記第1の層は、薄膜を含む、ステップと、
前記ウェハの前記第1の層をパターニングして、複数のスリットを形成し、それによって、前記薄膜は、前記スリットによって互いに分離される第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含む、ステップと、を含み、
前記薄膜は、前記複数のスリットにより、複数の通気口を形成するように制御されるように構成され、
前記スリットは、第1のスリット及び第2のスリットを含み、前記通気口は、第1の通気口及び第2の通気口を含み、
前記第1のスリットは、前記第1のフラップと前記第2のフラップとの間に形成され、前記第2のスリットは、前記第1のフラップと前記第3のフラップとの間に形成される、
製造方法。
【請求項25】
鋸刃形状のパターン、歯のパターン、台形形状のパターン、矩形形状のパターン、多項式パターン、及び正弦パターンのうちの1つとなっているパターンを有するように、前記第1のスリット又は前記第2のスリットを形成するステップを含む、請求項21に記載の製造方法。
【請求項26】
請求項24に記載の製造方法によって製造される前記通気デバイスの中で適用される通気方法であって、
第1の方向に向かって前記第1のフラップを作動させるステップと、
前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって前記第2のフラップ及び前記第3のフラップを作動させるステップと、を含み、
前記第1の通気口は、前記第1のスリットにより、前記第1のフラップと前記第2のフラップとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第2のスリットにより、前記第1のフラップと前記第3のフラップとの間に形成される、
通気方法。
【請求項27】
通気デバイスの製造方法であって、当該製造方法は、
第1の層及び第2の層を含むウェハを提供するステップであって、前記第1の層は、薄膜を含む、ステップと、
前記ウェハの前記第1の層をパターニングして、ジグザグ形状になっているスリットを形成するステップであって、前記ジグザグ形状になっているスリットは、前記薄膜においてジグザグ形状になっており、方向に向かって延び、前記薄膜は、前記ジグザグ形状になっているスリットによって互いに分離される第1のフラップ及び第2のフラップを含む、ステップと、を含み、
前記薄膜は、通気口を形成するように制御されるように構成され、前記通気口は、前記ジグザグ形状になっているスリットにより形成される、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気デバイス(venting device)、通気デバイスの製造方法、通気方法(venting method)及びデバイスに関し、特に、閉塞効果(occlusion effect)を排除することが可能である通気デバイス、関連する製造方法、関連する通気方法及び関連するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、一般的に、音声を生成し又は音声を受信するのに、(外耳道(ear canal)に挿入する)インイヤ型の(耳の中に入れる)イヤホン(in-ear earbuds)、オンイヤ型の(on-ear)(耳の上にのせる)イヤホン(earphones)又はオーバーイヤ型の(over-ear)(耳全体を覆う)イヤホン等のウェアラブルサウンドデバイス(wearable sound devices)を使用する。磁石ベースの及び可動コイル(moving coil (MMC))ベースのマイクロスピーカは、数十年にわたって開発され、数多くのそのようなデバイスの中で広く使用されている。近年、半導体製造プロセスを利用する微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System (MEMS))音響トランスデューサ(acoustic transducers)は、ウェアラブルサウンドデバイスの中の音声生成/受信構成要素(sound producing/receiving components)となっている場合がある。
【0003】
閉塞効果(occlusion effect)は、外耳道の密閉されている体積(sealed volume of ear canal)が聴取者によって大きく知覚される音圧(loud perceived sound pressure by the listener)を引き起こすことに起因する。例えば、その閉塞効果は、聴取者が骨伝導音(bone-conducted sound)を生成する(例えば、歩く、ジョギングする、話す、食べる、音響トランスデューサに触れる等の)特定の動作を行い、(例えば、自身の外耳道の中がウェアラブルサウンドデバイスで満たされている、といったように)ウェアラブルサウンドデバイスを使用している間に発生する。閉塞効果は、加速度ベースの音圧レベル(SPL)生成(acceleration based sound pressure level (SPL) generation)(SPL∝a=dD2/dt2)と圧縮ベースの音圧レベル生成(compression based SPL generation)(SPL∝D)との間の相違により、特に、低音に対して強くなる(strong toward bass)。例えば、20[Hz]で1[μm]にすぎない変位(displacement)は、(25[mm]は、成人の外耳道の平均の長さであるが)閉塞されている外耳道(occluded ear canal)の中にSPL=1[μm]/25[mm atm]=106[dB]を生じさせるであろう。したがって、閉塞効果が発生する場合に、その聴取者は、閉塞雑音(occlusion noise)を聞き、聴取者体験の質は劣悪となる。
【0004】
従来の技術では、ウェアラブルサウンドデバイスは、外耳道とデバイスの外部環境(ambient external to the device)との間に存在する空気流チャネル(airflow channel)を有し、それによって、この空気流チャネルからその閉塞効果が引き起こす圧力を解放して、閉塞効果を抑制する(suppress the occlusion effect)ことが可能である。ところが、空気流チャネルは常に存在するので、周波数応答においては、(例えば、500[Hz]よりも小さな)より低い周波数におけるSPLは有意に低下する。例えば、伝統的なウェアラブルサウンドデバイスが典型的な115[dB]スピーカドライバを使用している場合に、20[Hz]でのSPLは、110[dB]よりもはるかに低くなる。加えて、その空気流チャネルを形成するように構成される固定の通気口のサイズがより大きい場合に、SPLの低下はより大きくなるとともに、水及びほこりの保護はより困難になるであろう。
【0005】
場合によっては、伝統的なウェアラブルサウンドデバイスは、典型的な115[dB]スピーカドライバよりもより強力なスピーカドライバを使用して、空気流チャネルの存在に起因するより低い周波数におけるSPLの損失を補償することが可能である。例えば、SPLの損失が20[dB]であると仮定すると、その空気流チャネルの存在の下で同じ115[dB]のSPLを維持するのに必要とされるスピーカドライバは、密閉されている外耳道の中で使用される場合には、135[dB]のSPLとなるであろう。一方で、低音を10倍強く出力するためには、スピーカ薄膜の移動量(speaker membrane travel)を同様に10倍増加させる必要があり、その移動量の増加は、スピーカドライバのコイル及び磁束ギャップ(magnet flux gap)の双方の高さを10倍高くする必要があるということを意味する。このようにして、強力なスピーカドライバを有する伝統的なウェアラブルサウンドデバイスを小型のサイズにするとともに軽量化することは困難である。
【0006】
したがって、従来技術を改良して、閉塞効果を抑制する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
1. 米国特許出願第17/344,983号
2. 米国特許出願公開第US 2020/0211521 A1号
3. 米国特許出願公開第US 2019/0098390 A1号
4. 米国特許出願公開第US 2013/0121509 A1号
5. 米国特許出願公開第US 2016/0176704 A1号
6. 米国特許出願公開第US 2017/0021391 A1号
7. 米国特許出願公開第US 2017/0325030 A1号
8. 米国特許出願公開第US 2020/0213770 A1号
9. 米国特許出願公開第US 2020/0178000 A1号
10. 米国特許出願公開第US 2020/0100033 A1号
11. 米国特許出願公開第US 2019/0039880 A1号
12. 米国特許出願公開第US 2012/0053393 A1号
13. 米国特許第US 8,724,200 B1号
14. 米国特許出願公開第US 2019/0349665 A1号
15. 米国特許出願公開第US 2017/0164115 A1号
16. 米国特許出願公開第US 2017/0217761 A1号
17. 米国特許出願公開第US 2007/0007858 A1号
18. 米国特許出願公開第US 2017/0201192 A1号
19. 米国特許出願公開第US 2017/0260044 A1号
20. 米国特許出願公開第US 2013/0223023 A1号
21. 米国特許出願公開第US 2015/0163599 A1号
22. 韓国特許出願公開第10-2015-0030691号
23. 中国特許出願公開第111063790号
24. 特開2020-031444号公報
25. 特開2009-512375号公報
26. 米国特許出願公開第US 2006/0131163 A1号
27. 米国特許第US 11,399,228 B2号
28. 米国特許第US 11,323,797 B2号
29. 韓国特許出願公開第10-2010-0002351号
30. 特開平11-307441号公法
31. 米国特許出願公開第US 2018/0120938 A1号
32. 米国特許出願公開第US 2014/0140558 A1号
33. 米国特許出願公開第US 5,970,998 A号
34. 米国特許出願公開第US 2011/0051985 A1号
35. 米国特許出願公開第US 2003/0029705 A1号
36. 米国特許出願公開第US 2018/0020194 A1号
37. 米国特許出願公開第US 2019/0215620 A1号
38. 米国特許出願公開第US 2020/0193973 A1号
39. 米国特許第US 10,367,540 B1号
40. 中国特許出願公開第107223346号
41. 中国特許出願公開第105009604号
42. 中国特許出願公開第104540776号
43. 韓国特許出願公開第10-2017-0139320号
44. 米国特許出願公開第US 2017/0041708 A1号
45. 国際公開第WO 2019/177324 A1号
46. 米国特許出願公開第US 2015/0237438 A1号
47. 米国特許出願公開第US 2020/0244275 A1号
48. 米国特許出願公開第US 2015/0204940 A1号
49. 中国特許出願公開第101785327号
50. 中国特許出願公開第106937193号
51. 中国特許出願公開第108702575号
52. 中国特許出願公開第110022506号
53. 中国特許出願公開第209402687号
54. 米国特許出願公開第US 2017/0040012 A1号
55. 米国特許出願公開第US 2019/0208343 A1号
56. 米国特許出願公開第US 2020/0178003 A1号
57. 米国特許出願公開第US 2016/0381464 A1号
58. 米国特許出願公開第US 2019/0181776 A1号
59. 米国特許出願公開第US 2008/0267416 A1号
60. 米国特許出願公開第US 2011/0181150 A1号
61. 米国特許出願公開第US 2020/0352788 A1号
62. 台湾特許出願公開第202203662号
63. 米国特許出願公開第US 2020/0196067 A1号
64. 米国特許出願公開第US 2018/0002168 A1号
【非特許文献】
【0008】
1. HYONSE KIM ET AL, A slim type microvalve driven by PZT films, Sensors and Actuators A: PHYSICAL, 18 January, 2005, pages 162-171, Vol. 121, Elsevier B. V., XP027806904
2. Shen Guohao et al., Structure optimization design for capacitive silicon-based MEMS microphone, Semiconductor Devices, Vol. 43, No. 12, p.912-917, China Academic Journal Electronic Publishing House.
3. HUA Qing et al., Acoustoeletric model of piezoelectric microphone with package structure, Transducer and Microsystem Technologies, 2018 Vol. 37, No. 11, p.42-44, China Academic Journal Electronic Publishing House.
4. Chen Guidong et al., Highly sensitive MEMS humidity sensor based on candle-soot nanoparticle layer, Micronanoelectronic Technology, Vol. 57, No.1, p.36-40, p.48, China Academic Journal Electronic Publishing House
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6. ZHOU Xiao-wei et al., Preliminary evaluation of predicative performance of BAHA softband in the conductive or mixed hearing loss patients, Journal of Otolaryngology and Ophthalmology of Shandong University, Vol. 29, Issue No. 2, 2015, p. 28-30, China Academic Journal Electronic Publishing House.
7. Stefan Liebich et al., active occlusion cancellation with hear-through equalization for headphones, Institute of Communication Systems, 2018 IEEE international conference on acoustics, speech and signal processing. Canada
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の第1の目的は、閉塞効果を抑制することが可能である通気デバイスを提供することである。また、この通気デバイスの製造方法、関連する通気方法、及び関連するデバイスを提供する。
【0010】
本発明のある1つの実施形態は、通気デバイス(venting device)を提供し、その通気デバイスは、アンカー構造(anchor structure)及び薄膜(membrane)を含む。その薄膜は、アンカー構造に固定され(anchored on the anchor structure)、第1の通気口及び第2の通気口を形成する(form a first vent and a second vent)ように構成される。その薄膜は、第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含む。薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し(partitions a space into a first volume and a second volume)、第1の通気口及び第2の通気口を形成するときに、第1の体積及び第2の体積は接続される。第1のフラップは、第1の方向に向かって移動するように作動させられ、第2のフラップは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように作動させられて、第1の通気口を形成する。第1のフラップは、第1の方向に向かって移動するように作動させられ、第3のフラップは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように作動させられて、第2の通気口を形成する。
【0011】
本発明のある1つの実施形態は、デバイスを提供し、そのデバイスは、アンカー構造及び薄膜を含む。その薄膜は、アンカー構造に固定され、通気口を形成するように構成される。薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し、通気口を形成するときに、第1の体積及び第2の体積は、その通気口を介して接続される。薄膜にスリットが形成され、スリットにより通気口が形成される。スリットのセグメントは、薄膜の上にジグザグに形成される(A segment of the slit zigzags on the membrane)。
【0012】
本発明のある1つの実施形態は、通気デバイスの製造方法を提供する。その製造方法は、第1の層及び第2の層を含むウェハを提供する(providing a wafer including a first layer and a second layer)ステップであって、第1の層は、薄膜(membrane)を含む、ステップと、ウェハの第1の層をパターニングして(patterning the first layer of the wafer)、複数のスリットを形成し、それによって、薄膜は、スリットによって互いに分離される第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含む(includes a first flap, a second flap and a third flap separated from each other by the slits)、ステップと、を含む。薄膜は、複数のスリットにより、複数の通気口を形成するように制御されるように構成される。それらの複数のスリットは、第1のスリット及び第2のスリットを含み、通気口は、第1の通気口及び第2の通気口を含む。第1のスリットは、第1のフラップと第2のフラップとの間に形成され、第2のスリットは、第1のフラップと第3のフラップとの間に形成される。
【0013】
本発明のある1つの実施形態は、上記の通気デバイスに関連する通気方法を提供する。その通気方法は、第1の方向に向かって第1のフラップを作動させる(actuating the first flap toward a first direction)ステップと、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって第2のフラップ及び第3のフラップを作動させる(actuating the second flap and the third flap toward a second direction opposite to the first direction)ステップと、を含む。第1のスリットにより、第1のフラップと第2のフラップとの間に第1の通気口が形成され、第2のスリットにより、第1のフラップと第3のフラップとの間に第2の通気口が形成される。
【0014】
本発明のある1つの実施形態は、通気デバイスの製造方法を提供する。その製造方法は、第1の層及び第2の層を含むウェハを提供する(providing a wafer including a first layer and a second layer)ステップであって、第1の層は,膜を薄含む、ステップと、ウェハの第1の層をパターニングして、ジグザグ形状のスリットを形成する(patterning the first layer of the wafer to form a zigzagging slit)ステップであって、そのジグザグ形状のスリットは、薄膜の上にジグザグに形成され(the zigzagging slit zigzags on the membrane)、ある方向に延び、薄膜は、ジグザグ形状のスリットによって互いに分離される第1のフラップ及び第2のフラップを含む(the membrane includes a first flap and a second flap separated from each other by the zigzagging slit)。薄膜は、通気口を形成するように制御されるように構成され、ジグザグ形状のスリットにより通気口が形成される。
【0015】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、さまざまな図及び図面に図示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、間違いなく、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図2】本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイス及び筐体構造(housing structure)を図示している断面図の概略的な図である。
図3】本発明の第1の実施形態にしたがって第1のモードとなっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。
図4】本発明の第1の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。
図5】本発明の第1の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスを図示している概略的な図である。
図6】本発明の第1の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスの複数の通気口の側面図を図示している概略的な図である。
図7】本発明の第1の実施形態にしたがって第3のモードとなっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。
図8】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。
図9】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。
図10】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図11】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図12】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図13】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図14】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図15】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図16】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図17】本発明の第2の実施形態にしたがって第2のモード及び第3のモードとなっている通気デバイスの複数の通気口の側面図を図示している概略的な図である。
図18】本発明の第3の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図19】本発明の第3の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスの複数の通気口の側面図を図示している概略的な図である。
図20】本発明の第4の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図21】本発明の第5の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図22】本発明の第6の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図23】本発明の第7の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図24】本発明の第8の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者が本発明をより良好に理解できるようにするために、以下の説明において、主要な構成要素のための複数の好ましい実施形態及び典型的な材料又は範囲パラメータを詳細に説明するつもりである。複数の番号を付した要素を使用して複数の添付の図面の中で本発明のそれらの複数の好ましい実施形態を図示して、達成される内容及び効果を詳しく説明する。それらの複数の図面は単純化されている概略的な図であり、主要な構成要素の材料及びパラメータ範囲は、今日の技術に基づいて例示され、したがって、本発明と関連する構成要素及び組み合わせのみを示して、本発明の基本的な構造、実装方法又は動作方法についてより明確な説明を提供しているということに留意するべきである。それらの複数の構成要素は、実際にはより複雑であり、使用されるパラメータの範囲又は材料は、将来的な技術の進歩に伴って進化する場合がある。加えて、説明を容易にするために、それらの複数の図面に示されている複数の構成要素は、実際の数、形状、及び寸法を表していない場合があり、詳細は、設計要件にしたがって調整されてもよい。
【0018】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、"を包含する(include)"、"含む(comprise)"、及び"有する(have)"の語は、上限又は制約のない方法で使用され、したがって、"これらには限定されないが、…を包含する"を意味すると解釈されるべきである。このようにして、"包含する"、"含む"、及び/又は"有する"の語が本発明の説明の中で使用されるときに、対応する特徴、領域、ステップ、操作、及び/又は構成要素は、これらには限定されないが、対応する特徴、領域、ステップ、操作、及び/又は構成要素のうちの1つ又は複数の存在を指すであろう。
【0019】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、"A1構成要素がB1によって形成される/B1から形成される"ときに、B1は、A1構成要素の形成過程で存在するか、又は、B1は、A1構成要素の形成過程で使用され、他の特徴、領域、ステップ、操作、及び/又は構成要素のうちの1つ又は複数の存在及び使用は、A1構成要素の形成過程で除外されない。
【0020】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、"実質的に"の語は、一般的に、小さな偏差が存在してもよく又は存在しなくてもよいということを意味する。例えば、"実質的に平行である"及び"実質的に沿って"の語は、2つの構成要素の間の角度が、例えば、10度、5度、3度又は1度等のある特定のしきい値以下であってもよいということを意味する。例えば、"実質的に整列されている"の語は、2つの構成要素の間の偏差が、例えば、2[μm]又は1[μm]等のある特定の差のしきい値以下であってもよいということを意味する。例えば、"実質的に同じである"の語は、偏差が、例えば、所定の値又は範囲の10%の範囲内であるということ、或いは、所定の値又は範囲の5%、3%、2%、1%、又は0.5%の範囲内であるということを意味する。
【0021】
明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"水平方向"の語は、一般的に、水平面に平行である方向を意味し、"水平面"の語は、一般的に、図面の中での方向X及び方向Yに平行である表面を意味し(すなわち、本発明の方向X及び方向Yは、水平方向であると考えられてもよく)、"垂直方向"の語及び"上面図方向"の語は、一般的に、図面の中での方向Zに平行であり且つ水平方向に垂直である方向を意味し、方向X、方向Y、及び方向Zは、互いに垂直である。明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"上面図"の語は、一般的に、垂直方向に沿って観察する観察結果を意味する。明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"側面図"の語は、一般的に、水平方向に沿って観察する観察結果を意味する。明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"断面図"の語は、一般的に、水平方向に沿って垂直方向に沿って切断する構造を観察する観察結果を意味する。
【0022】
第1の、第2の、第3の等の語は、多様な構成要素を説明するのに使用されてもよいが、そのような構成要素は、それらの語によっては限定されない。それらの語は、明細書の中で他の構成要素からある1つの構成要素を判別するのに使用されるにすぎず、明細書が説明していない場合には、それらの語は、製造の順序には関係していない。請求項は、同じ語を使用しなくてもよく、むしろ、ある1つの要素が請求項に記載される順序に関して第1の、第2の、第3の等の語を使用してもよい。したがって、以下の明細書において、第1の構成要素は、ある請求項の中の第2の構成要素であってもよい。
【0023】
以下で説明される複数の異なる実施形態における複数の技術的特徴は、本発明の趣旨から離れることなく、他の実施形態を構成するために置き換えられ、再結合され、又は互いに混合されてもよいということに留意するべきである。
【0024】
本発明において、閉塞効果(occlusion effect)を抑制することが可能である(capable of suppressing)通気デバイス(又は、MEMS通気デバイス)は、音響装置に関連していてもよく、及び/又は、(例えば、ウェアラブルサウンドデバイス等の)音響装置の中に配置されてもよい。例えば、通気デバイスは、これらには限定されないが、(例えば、インイヤデバイス等の)ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されてもよい。
【0025】
本発明において、音響装置(acoustic apparatus)は、音響トランスデューサ(acoustic transducer)を含んでもよく、その音響トランスデューサは、音響変換(acoustic transformation)を実行するように構成され、その音響変換は、音響波(acoustic wave)へと(例えば、電気信号又は他の適切なタイプの信号等の)信号を変換してもよく、又は、(例えば、電気信号等の)他の適切なタイプの信号へと音響波を変換してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、音響トランスデューサは、これらには限定されないが、音声生成デバイス(sound producing device)、スピーカ、マイクロスピーカ、又は他の適切なデバイスであってもよく、音響波へと電気信号を変換してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、音響トランスデューサは、これらには限定されないが、音声測定デバイス(sound measuring device)、マイクロホン、又は他の適切なデバイスであってもよく、電気信号へと音響波を変換してもよい。本発明の通気デバイスの存在により、閉塞効果は抑制され、ユーザが、音響装置が提供する音響変換を良好に体験するようになるであろう。
【0026】
以下では、本発明の通気デバイスは、音響波を発生させるように構成されるウェアラブルサウンドデバイスに関連していてもよく、ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されてもよい。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスは、イヤホン又は補聴器であってもよい。以下の説明は、当業者に本発明をより良く理解させるように構成されている。
【0027】
閉塞雑音を軽減するために、米国特許第US 11,323,797号は、音響トランスデューサ又は通気デバイスを開示し、その音響トランスデューサ又は通気デバイスは、通気口を形成するように構成される第1のフラップ及び第2のフラップを含んで、それらのフラップが分離する2つの体積の圧力を平衡させる。圧力平衡(逃がし(relief))効率を改善するために、通気口に対応する音響抵抗(acoustic resistance)は、可能な限り小さくなる必要がある。音響抵抗を減少させる簡単なアプローチは、(例えば、膜設計によってフラップの長さ又は幅を増加させる、といったように)2つのフラップの寸法を増加させること、又は、(開いたモードとなっているフラップの変位を増加させることによって)通気開口部(vent opening)を拡大すること、のいずれかである。フラップの寸法を増加させると、通気デバイスのサイズが大きくなる場合があり、一方で、通気開口部を拡大すると、強い機械音響結合(strong mechanical-acoustic coupling)のために、(例えば、1[KHz]乃至10[KHz]等の)敏感なオーディオ帯域の中で厳しいノッチ効果をもたらす場合がある。上記で説明されているアプローチがもたらす効果は望ましくはない。
【0028】
本発明においては、(単純にフラップの寸法/変位を増加させるだけでない)音響抵抗を減少させる通気デバイスを開示する。
【0029】
具体的には、それらの間に第1の通気口(first vent)が形成される第1のフラップと第2のフラップに加えて、通気デバイスは、第1のフラップと第3のフラップとの間に形成される第2の通気口(second vent)の通気開口部(vent opening)を拡大する(enlarge)ように構成される第3のフラップを含んで、音響抵抗を減少させる。さらに、(直線として形成されるスリット(slit formed as straight line)である)直線形状のスリット(straight-line slit)の代わりに、薄膜の上にジグザグパターンとなるように(in a zigzagging pattern)スリットを形成して、音響抵抗を減少させてもよい。
【0030】
図1及び図2を参照すると、図1は、本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイス(venting device)を図示している上面図の概略的な図であり、図2は、本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイス及びハウジング構造(housing structure)を図示している断面図の概略的な図である。図1及び図2に示されているように、通気デバイス100は、ベースBSに配置されてもよい。ベースBSは、硬質(hard)であってもよく又は可撓性(flexible)であってもよく、ベースBSは、シリコン(silicon)、ゲルマニウム(germanium)、ガラス(glass)、プラスチック(plastic)、石英(quartz)、サファイア(sapphire)、金属(metal)、(ポリイミド(polyimide (PI))、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate (PET))等の)ポリマー(polymer)、任意の他の適切な材料又はそれらの組み合わせを含んでもよい。ある1つの例として、ベースBSは、これらには限定されないが、(銅張積層板(copper clad laminate)、CCL等の)ラミネートを含む回路基板(circuit board)、ランドグリッドアレイ(land grid array (LGA))基板(board)、又は導電性材料を含む任意の他の適切な基板であってもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、ベースBSは、基板(substrate)であってもよい。
【0031】
図2において、ベースBSは、方向X及び方向Yに平行である上表面SH(top surface SH)を有する(すなわち、ベースBSの上表面SHは、水平平面(horizontal plane)である)。図2において、ベースBSの上表面SHの法線方向は、方向Zに平行である。
【0032】
通気デバイス100は、少なくとも1つのアンカー構造(anchor structure)140及び薄膜(membrane)110を含み、その薄膜110は、そのアンカー構造140によって固定され/アンカー構造140に固定され(anchored by/on the anchor structure 140)、そのアンカー構造140は、薄膜110の外側に配置されてもよい(例えば、図5において、アンカー構造140は、薄膜110を取り囲んでもよい)。薄膜110及びアンカー構造140は、任意の適切な材料を含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、薄膜110及びアンカー構造140は、これらには限定されないが、個別に、(例えば、単結晶シリコン(single crystalline silicon)又は多結晶シリコン(poly-crystalline silicon)等の)シリコン(silicon)、(例えば、炭化ケイ素(silicon carbide)、酸化シリコン(silicon oxide)等の)シリコン化合物(silicon compound)、ゲルマニウム(germanium)、ゲルマニウム化合物(germanium compound)、ガリウム(gallium)、(例えば、窒化ガリウム(gallium nitride)又は砒化ガリウム(gallium arsenide)等の)ガリウム化合物(gallium compound)、他の適切な材料、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、薄膜110及びアンカー構造140は、同じ材料を有してもよい。
【0033】
通気デバイス100の操作において、薄膜110は、運動を有する(have a movement)ように作動されてもよく(may be actuated)、アンカー構造140は、固定され(immobilized)てもよい。すなわち、アンカー構造140は、通気デバイス100の動作の際に、薄膜110に関して固定されている端(fixed end)(又は、固定されているエッジ)となっていてもよい(may be a fixed end (or fixed edge) respecting the membrane 110)。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、薄膜110は、これらには限定されないが、上方向及び下方向に運動する(move upwards and downwards)ように作動されてもよい。本発明において、"上方向に運動する(move upwards)"及び"下方向に運動する(move downwards)"の語は、薄膜110が、実質的に方向Zに沿って運動するということを表す。さらに、"上方向"は、方向Z(すなわち、+Z方向)を指してもよく、"下方向"は、方向Zとは反対の方向(すなわち、-Z方向)を指してもよい。
【0034】
図1及び図2に示されているように、通気デバイス100の薄膜110は、少なくとも1つのスリット130を含み、薄膜110は、スリット130によって複数のフラップ112に分割され(divided)てもよく、フラップ112は、スリット130によって互いに分離され(separated from each other by the slit(s) 130)、フラップ112の数は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、図1及び図2に示されているように、薄膜110は、スリット130によって、第1のフラップ112a、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、第4のフラップ112d、第5のフラップ112e、及び第6のフラップ112fに分割されてもよい。各々のスリット130は、薄膜110の境界(boundary)及び/又はフラップ112の境界となっていてもよい。
【0035】
本発明においては、フラップ112の配列(arrangement)は、要件に基づいて設計されてもよい。図1において、フラップ112は、これらには限定されないが、(例えば、3×2アレイ等の)アレイ状に配列され(arranged)てもよい。図1において、これらには限定されないが、第1のフラップ112aは、方向Yにおいて第2のフラップ112bと隣接して(adjacent to the second flap 112b in the direction Y)いてもよく、第3のフラップ112cは、方向Yにおいて第4のフラップ112dと隣接していてもよく、第5のフラップ112eは、方向Yにおいて第6のフラップ112fと隣接していてもよく、第1のフラップ112aは、方向Xにおいて第3のフラップ112c及び第5のフラップ112eと隣接していてもよく(すなわち、第1のフラップ112aは、方向Xにおいて第3のフラップ112cと第5のフラップ112eとの間に存在する)、第2のフラップ112bは、方向Xにおいて第4のフラップ112d及び第6のフラップ112fと隣接していてもよい。
【0036】
薄膜110のフラップ112は、アンカー構造140に固定される(anchored on the anchor structure 140)少なくとも1つのアンカーエッジ(anchor edge)(又は、アンカーエンド(anchor end))と、通気デバイス100の中のいずれの構成要素にも永久的には固定されない(not permanently anchored on any component)少なくとも1つの自由エッジ(free edge)(又は、自由エンド(free end))と、を有し、各々のフラップ112のアンカーエッジ及び自由エッジは、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、図1及び図2に示されている各々のフラップ112において、フラップ112は、これらには限定されないが、1つのアンカーエッジを有し、アンカーエッジ以外のフラップ112のエッジは、自由エッジとして機能するように固定されてはいない(non-anchored to serve as free edges)。図1及び図2において、これらには限定されないが、第1のフラップ112aは、アンカー構造140に固定される第1のアンカーエッジAE1を有してもよく、第2のフラップ112bは、アンカー構造140に固定される第2のアンカーエッジAE2を有してもよく、第3のフラップ112cは、アンカー構造140に固定される第3のアンカーエッジAE3を有してもよく、第4のフラップ112dは、アンカー構造140に固定される第4のアンカーエッジAE4を有してもよく、第5のフラップ112eは、アンカー構造140に固定される第5のアンカーエッジAE5を有してもよく、第6のフラップ112fは、アンカー構造140に固定される第6のアンカーエッジAE6を有してもよく、第1のアンカーエッジAE1、第2のアンカーエッジAE2、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5及び第6のアンカーエッジAE6以外のこれらのフラップ112のエッジは、自由エッジである。
【0037】
図1において、これらには限定されないが、第1のフラップ112a、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、同じ側に固定され(anchored on the same side)、第2のフラップ112b、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、同じ側に固定され、それによって、第1のフラップ112a、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、それぞれ、方向Yにおいて、第2のフラップ112b、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fと対向していてもよい。図1において、これらには限定されないが、第1のアンカーエッジAE1、第2のアンカーエッジAE2、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5、及び第6のアンカーエッジAE6は、(例えば、方向X等の)同じ方向に平行であってもよい。
【0038】
本発明において、フラップ112の形状は、要件に基づいて設計されてもよい。フラップ112の形状は、(例えば、長方形(rectangle)等の)多角形(polygon)であってもよく、(例えば、円(circle)、楕円(oval)等の)曲面エッジを有する形状(shape having a curved edge)であってもよい。例えば、図1において、これらには限定されないが、各々のフラップ112は、長方形の形状であってもよく、それによって、各々のフラップ112は、1つのアンカーエッジ及び3つの自由エッジを含む。
【0039】
第1のフラップ112aにおいて、自由エッジFE1_1は、方向Yにおいて第1のアンカーエッジAE1と対向し、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE1_3は、自由エッジFE1_1と第1のアンカーエッジAE1との間で方向Xにおいて互いに対向している。第2のフラップ112bにおいて、自由エッジFE2_1は、方向Yにおいて第2のアンカーエッジAE2と対向し、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE2_3は、自由エッジFE2_1と第2のアンカーエッジAE2との間で方向Xにおいて互いに対向している。第3のフラップ112cにおいて、自由エッジFE3_1は、方向Yにおいて第3のアンカーエッジAE3と対向し、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE3_3は、自由エッジFE3_1と第3のアンカーエッジAE3との間で方向Xにおいて互いに対向している。第4のフラップ112dにおいて、自由エッジFE4_1は、方向Yにおいて第4のアンカーエッジAE4と対向し、自由エッジFE4_2及び自由エッジFE4_3は、自由エッジFE4_1と第4のアンカーエッジAE4との間で方向Xにおいて互いに対向している。第5のフラップ112eにおいて、自由エッジFE5_1は、方向Yにおいて第5のアンカーエッジAE5と対向し、自由エッジFE5_2及び自由エッジFE5_3は、自由エッジFE5_1と第5のアンカーエッジAE5との間で方向Xにおいて互いに対向している。第6のフラップ112fにおいて、自由エッジFE6_1は、方向Yにおいて第6のアンカーエッジAE6と対向し、自由エッジFE6_2及び自由エッジFE6_3は、自由エッジFE6_1と第6のアンカーエッジAE6との間で方向Xにおいて互いに対向している。
【0040】
本発明において、薄膜110の中に含まれるスリット130の数は、要件に基づいて調整されてもよく、スリット130は、薄膜110の任意の適切な場所(suitable position)に配置されてもよく、任意の適切な平面パターン(top-view pattern)を有する。例えば、スリット130は、直線形状のスリット(straight slit)、曲線状のスリット(curved slit)、直線形状のスリットの組み合わせ、曲線状のスリットの組み合わせ、又は直線形状のスリット及び曲線状のスリットの組み合わせであってもよい。
【0041】
図1において、スリット130は、第1のスリット131、第2のスリット132、及び第3のスリット133を含み、第1のスリット131は、第1のフラップ112aと第2のフラップ112bとの間に、第3のフラップ112cと第4のフラップ112dとの間に、及び第5のフラップ112eと第6のフラップ112fとの間に形成され、第2のスリット132は、第1のフラップ112aと第3のフラップ112cとの間に、及び第2のフラップ112bと第4のフラップ112dとの間に形成され、第3のスリット133は、第1のフラップ112aと第5のフラップ112eとの間に、及び第2のフラップ112bと第6のフラップ112fとの間に形成される。図1において、スリット130は、随意的に、第4のスリット134及び第5のスリット135を含んでもよく、第4のスリット134及び第5のスリット135は、薄膜110の周囲に形成されて、薄膜110の境界(boundaries)を定義する(例えば、第4のスリット134及び第5のスリット135は、図5に示されているアンカー構造140と薄膜110との間に形成される)。図1に示されているように、第3のフラップ112c及び第4のフラップ112dは、第2のスリット132と第4のスリット134との間に存在してもよく、第5のフラップ112e及び第6のフラップ112fは、第3のスリット133と第5のスリット135との間に存在してもよい。第1のスリット131は、これらには限定されないが、方向Xに沿って延びてもよく(may extend along the direction X)、第2のスリット132、第3のスリット133、第4のスリット134、及び第5のスリット135は、方向Yに沿って延びてもよい。
【0042】
図1において、これらのスリット130は、フラップ112のいくつかの自由エッジを定義する。第1のスリット131は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1を定義してもよい。第2のスリット132は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3、及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3を定義してもよい。第3のスリット133は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2を定義してもよい。第4のスリット134は、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2を定義してもよい。第5のスリット135は、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3を定義してもよい。
【0043】
このようにして、フラップ112の配列(arrangement)及びスリット130の配列によれば、図1において、これらには限定されないが、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、自由エッジFE1_2、及び自由エッジFE1_3は、それぞれ、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eに隣接してもよく(may be respectively adjacent to)、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、自由エッジFE2_2、及び自由エッジFE2_3は、それぞれ、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fに隣接してもよく、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び自由エッジFE3_3は、それぞれ、第4のフラップ112d及び第1のフラップ112aに隣接してもよく、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1及び自由エッジFE4_3は、それぞれ、第3のフラップ112c及び第2のフラップ112bに隣接してもよく、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1及び自由エッジFE5_2は、それぞれ、第6のフラップ112f及び第1のフラップ112aに隣接してもよく、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1及び自由エッジFE6_2は、それぞれ、第5のフラップ112e及び第2のフラップ130bに隣接してもよい。
【0044】
通気デバイス100は、アクチュエータ120を含み、そのアクチュエータ120は、薄膜110に配置され、薄膜110を作動させるように構成される。例えば、図1及び図2において、そのアクチュエータ120は、これらには限定されないが、薄膜110と接触していてもよい。図1及び図2に示されているように、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、方向Zにおいて薄膜110と完全には重なっていなくてもよい。
【0045】
図1及び図2に示されているように、アクチュエータ120は、薄膜110の複数のフラップ112に配置されている複数の作動させる部分(a plurality of actuating portions)を含んでもよい。例えば(図1に示されているように)、アクチュエータ120は、第1のフラップ112aに配置されている第1の作動させる部分120a、第2のフラップ112bに配置されている第2の作動させる部分120b、第3のフラップ112cに配置されている第3の作動させる部分120c、第4のフラップ112dに配置されている第4の作動させる部分120d、第5のフラップ112eに配置されている第5の作動させる部分120e、及び第6のフラップ112fに配置されている第6の作動させる部分120fを含む。
【0046】
アクチュエータ120は、方向Zに沿った薄膜110の運動に関して単調な電気機械変換機能(monotonic electromechanical converting function)を有する。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)、静電アクチュエータ(electrostatic actuator)、ナノスコープ静電駆動(nanoscopic-electrostatic-drive (NED))アクチュエータ、電磁アクチュエータ(electromagnetic actuator)、又は任意の他の適切なアクチュエータを含んでもよい。例えば、ある1つの実施形態において、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、圧電アクチュエータを含んでもよく、その圧電アクチュエータは、例えば、2つの電極及び(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(lead zirconate titanate)、PZT等の)圧電材料層(piezoelectric material layer)を含んでもよく、その圧電材料層は、それらの2つの電極の間に配置され、その圧電材料層は、電極が受信する(例えば、駆動電圧(driving voltages)及び/又はそれらの2つの電極の間の駆動電圧差(driving voltage difference)等の)駆動信号(driving signals)に基づいて、薄膜110を作動させてもよい。例えば、他の実施形態において、アクチュエータ120は、(例えば、平面コイル(planar coil)等の)電磁アクチュエータを含んでもよく、その電磁アクチュエータは、(例えば、駆動電流(driving current)等の)受信した駆動信号及び磁場(magnetic field)に基づいて薄膜110を作動させてもよい(すなわち、薄膜110は、電磁力(electromagnetic force)によって作動されてもよい)。例えば、さらに別の実施形態において、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、(例えば、導電性板(conducting plate)等の)静電アクチュエータ又はNEDアクチュエータを含んでもよく、それらの静電アクチュエータ又はNEDアクチュエータは、(例えば、駆動電圧等の)受信した駆動信号及び静電場(electrostatic field)に基づいて、薄膜110を作動させてもよい(すなわち、薄膜110は、静電力(electrostatic force)によって作動されてもよい)。以下では、アクチュエータ120は、例えば、圧電アクチュエータであってもよい。
【0047】
この実施形態において、通気デバイス100は、随意的に、ベースBSの上表面SHに配置されているチップを含んでもよく、そのチップは、少なくとも、薄膜110、アンカー構造140、及びアクチュエータ120を含んでもよい。そのチップの製造方法は限定されない。例えば、この実施形態において、チップは、これらには限定されないが、少なくとも1つの半導体プロセスによって形成されて、MEMSチップとなってもよく、それによって、薄膜110は、MEMS構造となってもよい。
【0048】
加えて、図2に示されているように、ベースBSと薄膜110との間にチャンバCB(chamber CB)が存在してもよい。図2に示されているように、ベースBSは、背面開口部BVT(back opening BVT)をさらに含んでもよく、チャンバCBは、その背面開口部BVTを通じて通気デバイス100の後方外側(rear outside)(すなわち、ベースBSのスペースバック(space back))に接続されてもよい。
【0049】
図2に示されているように、通気デバイス100及びベースBSは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの内側のハウジング構造HSSの中に配置される。図2において、そのハウジング構造HSSは、第1のハウジング開口部HO1(first housing opening HO1)及び第2のハウジング開口部HO2(second housing opening HO2)を有してもよく、その第1のハウジング開口部HO1は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道(ear canal)に接続されてもよく、第2のハウジング開口部HO2は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲(an ambient of the wearable sound device WSD)に接続されてもよく、薄膜110は、第1のハウジング開口部HO1と第2のハウジング開口部HO2との間に存在する。ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその周囲は、外耳道の内側に存在しなくてもよい(例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその周囲は、耳の外側の空間に直接的に接続されてもよい)ということに留意するべきである。さらに、図2において、ベースBSと薄膜110との間にチャンバCBが存在してもよいので、チャンバCBは、ベースBSの背面開口部BVT及びハウジング構造HSSの第2のハウジング開口部HO2を通じて、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその周囲に接続されてもよい。
【0050】
図2に示されているように、通気デバイス100の薄膜110は、第1の体積VL1(first volume VL1)及び第2の体積VL2(second volume VL2)へと、ハウジング構造HSSの中に形成される空間を区分化し(partitions)、その第1の体積VL1は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道に接続され、その第2の体積VL2は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲に接続される。図2において、第1の体積VL1は、ハウジング構造HSSの第1のハウジング開口部HO1に接続され、第2の体積VL2は、ハウジング構造HSSの第2のハウジング開口部HO2に接続される。このようにして、第1の体積VL1は、第1のハウジング開口部HO1を通じてウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道に接続されるように構成され、第2の体積VL2は、第2のハウジング開口部HO2を通じてウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲に接続されるように構成される。図2に示されているように、チャンバCBは、第2の体積VL2の一部となっている。
【0051】
ハウジング構造HSSは、実用的な要件に基づいて設計されてもよく、図2に示されているハウジング構造には限定されないということに留意するべきである。通気口130Tを形成するときに、第1の体積VL1及び第2の体積VL2が接続される限り、本発明の要件は満たされる。
【0052】
薄膜110の複数のフラップ112は、個別に、アクチュエータ120によって上方向及び下方向に運動する(move upwards and downwards)ように作動されてもよい。さらに、図3乃至図7を参照すると、図3は、本発明の第1の実施形態にしたがった第1のモード/閉じたモード(a first/close mode)となっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図であり、図4は、本発明の第1の実施形態にしたがった第2のモード/開いたモード(a second/open mode)となっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図であり、図5は、本発明の第1の実施形態にしたがった第2のモードとなっている通気デバイスを図示している概略的な図であり、図6は、本発明の第1の実施形態にしたがった第2のモードとなっている通気デバイスの側面図を図示している概略的な図であり、図7は、本発明の第1の実施形態にしたがった第3のモード/快適モード(a third/comfort mode)となっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。図1乃至図7に示されているフラップ112において、それらのフラップ112の対応するアンカーエッジに対向する自由エッジFE1_1、FE2_1、FE3_1、FE4_1、FE5_1、及びFE6_1は、上下運動(up-and-down movements)を実行するように構成されていてもよい。この要件に基づいて、それらの自由エッジFE1_1、FE2_1、FE3_1、FE4_1、FE5_1、及びFE6_1の上下運動の運動方向(moving directions)は、同じであってもよく又は反対であってもよく、それらの自由エッジFE1_1、FE2_1、FE3_1、FE4_1、FE5_1、及びFE6_1の上下運動の移動距離(moving distances)は、同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0053】
図1乃至図7に示されているように、薄膜110(フラップ112)は、アクチュエータ120によって上方向又は下方向に運動するように作動され/制御されてもよく、それによって、スリット130に関連する複数の通気口130Tが形成され/開放され又は閉鎖され(すなわち、薄膜110は、通気口130Tを形成し/開放し又は閉鎖するように構成される)、各々の通気口130Tは、スリット130の複数の対向する側壁(すなわち、スリット130が定義する複数の自由エッジ)の間に形成される(formed between opposite sidewalls of the slit 130)。すなわち、スリット130により(又は、そのスリット130に)通気口130Tが形成される。本発明においては、2つの異なるフラップ112の間に各々の通気口130Tが形成される。"通気口130Tが閉鎖されている/密閉されている(closed/sealed)"状態においては、空気は、スリット130の複数の対向する側壁の間の空間を通じて第1の体積VL1と第2の体積VL2との間には流れにくく、その流れにくさは、通気口130Tの音響抵抗(acoustic resistance)が大きいか又はしきい値よりも大きいということを意味する。"通気口130Tが形成される"状態においては、空気は、スリット130の2つの対向する側壁の間の空間を通じて第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れやすく、その流れやすさは、通気口130Tの音響抵抗が低いか又は他のしきい値よりも低いということを意味する。
【0054】
図1において、通気口130Tは、第1の通気口131T、第2の通気口132T、及び第3の通気口133Tを含む。第1のスリット131により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1と第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1との間に、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1との間に、及び、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1との間に、第1の通気口131Tが形成されてもよい。第2のスリット132により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2と第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3との間に、第2の通気口132Tが形成されてもよい。第3のスリット133により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3と第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2との間に、第3の通気口133Tが形成されてもよい。
【0055】
(例えば、また、閉じたモード(close mode)として知られている図2及び図3等の)第1のモードM1において通気デバイス100を動作させて、通気口130Tを一時的に閉鎖するか又はさらに一時的に密閉する(make the vents 130T temporarily closed or even temporarily sealed)ときに、第1の体積VL1は、実質的に、第2の体積VL2から切り離され、それによって、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲及びウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道は、実質的に、互いに分離される(隔離される)(separated (isolated) from each other)。反対に、(例えば、また、開いたモードとして知られている図4及び図5等の)第2のモード/開いたモードM2において通気デバイス100を動作させて、通気口130Tを一時的に形成する(make the vents 130T temporarily formed)ときに、第1の体積VL1は、通気口130Tを通じて第2の体積VL2に接続されるように構成され、それによって、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲及びウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道は、互いに接続される。このようにして、第2のモード/開いたモードM2における通気口130Tの合計のサイズは、第1のモード/閉じたモードM1における通気口130Tの合計のサイズよりもはるかに大きくなる。例えば、複数の通気口130Tの各々において、第1のモード/閉じたモードM1となっているその通気口130Tのサイズは、第2のモード/開いたモードM2となっているその通気口130Tのサイズよりもはるかに小さい。"通気口130Tのサイズ"の語は、(フラップ112の複数の自由エッジ等の)関連するスリット130の複数の対向する側壁の間の領域であり、"通気口130Tの合計のサイズ"は、通気口130Tのすべてのサイズの総和であるということに留意するべきである。
【0056】
同様に、通気開口部は、複数のフラップの複数のエッジの間の距離/偏差によって評価されてもよい。それらの複数のフラップの複数のエッジの間の距離/偏差が大きくなるほど、通気開口部は大きくなる。
【0057】
それらの間に第1の通気口131Tが形成される第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bのほかに、通気デバイス100は、第3のフラップ112cを含み、その第3のフラップ112cは、第1のフラップ112aが運動する方向とは反対の方向に向かって運動することが可能であるということに留意するべきである。図5から理解することができるように、(例えば、第1のフラップ112aが上方向に運動する間に、第3のフラップ112cは下方向に運動する、といったように)第3のフラップ112cが第1のフラップ112aが運動する方向に関して反対の方向に向かって運動するときに、第1のフラップ112a及び第3のフラップ112cが同じ方向に向かって運動する場合又は第1のフラップ112aの近くにフラップが存在しない場合と比較して、第2の通気口132Tの通気するための開口部(venting opening)は拡大される。拡大されている第2の通気口132Tのために、第2のモード/開いたモードM2において、通気デバイス100の音響抵抗を減少させることが可能であり、第1容積VL1と第2容積VL2との間の圧力平衡(pressure balancing)を達成する時間を短縮することが可能である。
【0058】
随意的に、通気デバイス100は、(例えば、また、快適モードとして知られている図7等の)第3のモードM3で動作させられ、第3のモードM3(快適モード)における通気口130Tの合計のサイズは、第1のモードM1(閉じたモード)における通気口130Tの合計のサイズよりも大きく、且つ、第2のモードM2(開いたモード)における通気口130Tの合計のサイズよりも小さい。例えば、それらの複数の通気口130Tの各々において、第3のモードM3におけるその通気口130Tのサイズは、第1のモード/閉じたモードM1におけるその通気口130Tのサイズよりも大きく、且つ、第2のモード/開いたモードM2におけるその通気口130Tのサイズよりも小さい。
【0059】
上記で説明されているモードによれば、第1のモード/閉じたモードM1(first/close mode M1)において第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる第1の空気流(first airflow)は、第2のモード/開いたモードM2(second/open mode M2)において第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる第2の空気流(second airflow)よりもはるかに小さく、第3のモード/快適モードM3(third/comfort mode M3)において第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる第3の空気流(third airflow)は、第1の空気流よりも大きく、且つ、第2の空気流よりも小さい。
【0060】
音響抵抗の観点から、通気デバイス100は、Rac,M2<Rac,M3<Rac,M1の特性を有し、Rac,M2、Rac,M3、及びRac,M1は、それぞれ、第2のモード/開いたモードM2における通気デバイス100又は通気口130Tの音響抵抗、第3のモード/快適モードM3における通気デバイス100又は通気口130Tの音響抵抗、及び、第1のモード/閉じたモードM1における通気デバイス100又は通気口130Tの音響抵抗を表す。
【0061】
図2及び図3は、第1のモード/閉じたモードM1における通気デバイス100のある1つの例を示し、図2及び図3は、例えば、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bを示す。図2及び図3に示されているように、薄膜110は、ベースBSの上表面SHに平行である又は実質的に平行である第1の場所(first position)にあるように作動され及び保たれて(actuated and maintained as a first position)、通気口130Tを閉鎖し及び密閉する(make the vents 130T closed and sealed)。例えば、図2及び図3において、スリット130の2つの対向する側壁(すなわち、同じスリット130に関連する異なるフラップ112の2つの自由エッジ)は、水平方向において部分的に又は完全に重なって(すなわち、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1は、方向Yにおいて互いに重なる)、通気口130Tを閉鎖する。薄膜110は複数のフラップ112を有するので、フラップ112のすべては、それらのフラップ112の第1の場所にあるように作動され及び保たれて、第1のモード/閉じたモードM1において通気口130Tを閉鎖する。
【0062】
図2及び図3に示されているように、薄膜110が第1の場所にあるように作動され及び保たれるので、ベースBSの上表面SHに平行である水平平面(horizontal plane)の中のスリット130の2つの対向する側壁(すなわち、同じスリット130に関連する異なるフラップ112の2つの自由エッジ)の間にギャップ130P(gap 130P)が存在し、そのギャップ130Pは、これらには限定されないが、幅方向にスリット130に沿った空間(a space widthwise along the slit 130)を指すものとし、ギャップ130の幅は、スリット130の幅に等しくてもよく又は実質的に等しくてもよい(may be equal to or substantially equal to)。スリット130の幅(ギャップ130Pの幅)は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、スリット130の幅は、これらには限定されないが、5[μm]以下であってもよく、3[μm]以下であってもよく、2[μm]以下であってもよく、又は、1[μm]乃至2[μm]の範囲であってもよい。第1のモード/閉じたモードM1における通気口130Tのサイズは、ギャップ130Pの幅と同等になる(equivalent to)ということに留意するべきである。
【0063】
ギャップ130Pの幅は、十分に小さい必要があるので、ギャップ130P(すなわち、狭いチャネル)を通る空気流は、流体力学の分野において境界層効果(boundary layer effect)として知られているように、空気流経路(airflow pathways)の壁に沿った粘性力(viscous forces)/抵抗に起因して大きく減衰される場合がある。したがって、第1のモードM1においてギャップ130Pを通って第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる空気流は、非常に小さいか又は無視することが可能である(significantly small or negligible)。言い換えると、通気デバイス100が第1のモードM1となっているときに、通気口130Tは閉じられ、さらには密閉される。
【0064】
第1のモード/閉じたモードM1の場合に、第1のモードM1においてギャップ130Pを通って第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる空気流は、非常に小さいか又は無視することが可能であるので、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザは、可聴周波数範囲の全体(whole audio frequency range)において(例えば、高性能サウンド等の)高性能の音響変換(acoustic transformation)を経験し、その音響変換は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの音響トランスデューサによって提供される。
【0065】
図4乃至図6は、第2のモード/開いたモードM2における通気デバイス100のある1つの例を示し、図4は、例えば、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bを示し、図6は、方向Yに沿った第1の通気口131Tの側面図及び方向Xに沿った第2の通気口132Tの側面図を示している。図4及び図5に示されているように、(例えば、自由エッジFE1_1等の)第1のフラップ112a、(例えば、自由エッジFE4_1等の)第4のフラップ112d、及び(例えば、自由エッジFE6_1等の)第6のフラップ112fは、第1の方向に向かって運動するように作動されてもよく、(例えば、自由エッジFE2_1等の)第2のフラップ112b、(例えば、自由エッジFE3_1等の)第3のフラップ112c、及び(例えば、自由エッジFE5_1等の)第5のフラップ112eは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されてもよく、それによって、一時的に通気口130Tを形成してもよい。すなわち、自由エッジFE1_1、FE4_1、FE6_1の第1の上下運動(first up-and-down movement)の運動方向(moving direction)は、自由エッジFE2_1、FE3_1、FE5_1の第2の上下運動(second up-and-down movement)の運動方向とは反対である。すなわち、2つの隣接するフラップ112は、第2のモードM2においては、反対の方向に向かって運動してもよい。図4及び図5に示されているように、第1の方向及び第2の方向は、方向Zに実質的に平行であってもよい。例えば、これらには限定されないが、第1の方向は、方向Zと同じ方向(すなわち、+Z方向)であってもよく、第2の方向は、方向Zとは反対の方向(すなわち、-Z方向)であってもよく、それによって、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、上方向に運動し(move upwards)、そして、それらのフラップの第1の場所よりも上に移動する(move above their first positions)ように作動されてもよく、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、下方向に運動し(move downwards)、そして、それらのフラップの第1の場所より下に移動する(move below their first positions)ように作動されてもよい。図4及び図5に示されているように、第2のモードM2におけるフラップ112の運動にしたがって、方向Zにおけるそれらのフラップの関連するスリット130の2つの対向する側壁の間に通気口130Tが一時的に形成される。第2のモードM2におけるフラップ112の運動は、通気デバイス100の通気方法となっているということに留意するべきである。
【0066】
本発明において、通気口130Tの側面形状は、(例えば、長方形等の)多角形であってもよく、曲面エッジを有する形状であってもよく、又はその他の適切な形状であってもよい。例えば、図5及び図6に示されているように、第1の通気口131Tは、これらには限定されないが、方向Zに形成されてもよく、(例えば、長方形等の)四角形形状を有してもよく、第1の通気口131Tの上側エッジは、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1から形成されてもよく、第1の通気口131Tの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、及び第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1から形成されてもよい。例えば、図5及び図6に示されているように、第2の通気口132Tは、これらには限定されないが、方向Zに形成されてもよく、(例えば、ひし形(diamond)等の)四角形形状を有してもよく、第2の通気口132Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3から形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの下側エッジは、それぞれ、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3及び第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2から形成されていてもよい。例えば、第3の通気口133Tは、これらには限定されないが、第2の通気口132Tと同様であってもよく、それによって、第3の通気口133Tは、方向Zに形成されてもよく、(例えば、ひし形等の)四角形形状有してもよく、第3の通気口133Tの4つのエッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2から形成されていてもよい。
【0067】
図6に示されているように、第2のモード/開いたモードM2においては、第1の通気口131Tのサイズは、第2の通気口132Tのサイズ及び第3の通気口133Tのサイズより大きくてもよい。このようにして、この実施形態において、これらには限定されないが、第1の通気口131Tは、主たる通気口/主要な通気口(main/primary vent)であってもよく、第2の通気口132T及び第3の通気口133Tは、副次的な通気口/補助的な通気口(side/secondary vents)であってもよい。
【0068】
一時的に通気口130Tを形成するときに、空気流は、薄膜110の2つの側面の間の圧力差に起因して第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れるように形成されてもよく、それによって、閉塞効果が引き起こす圧力を開放してもよく(すなわち、外耳道とウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲との間の圧力差は、通気口130Tを通って流れる空気流によって解放されてもよい)、その結果、閉塞効果を抑制する。さらに、通気デバイス100は、第2のモードM2において、複数の通気口130Tを形成するので、閉塞効果を抑制する効率及び効果を高めることが可能である。閉塞効果を抑制する効率及び効果は、通気口130Tのサイズ及び/又は通気口130Tの合計のサイズを増加させることによって高められてもよい。
【0069】
したがって、図3及び図4に示されているように、第1のモード/閉じたモードM1において、スリット130の2つの対向する側壁の間にギャップ130Pが存在し、第2のモード/開いたモードM2において、スリット130の2つの対向する側壁の間に通気口130Tが存在する。ギャップ130Pの幅は、十分に小さく、それによって、第1のモードM1においてギャップ130Pを通る第1の空気流は、第2のモードM2において通気口130Tを通る第2の空気流と比較して(例えば、第2の空気流の10%よりも小さい、といったように)無視することが可能である。
【0070】
図3に図示されているモードのような第1のモード/閉じたモードM1から図4に示されているモードのような第2のモード/開いたモードM2への遷移(transition)の際に、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、上方向に運動してもよく、一方で、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、下方向に運動してもよい。反対に、図4に示されている第2のモードM2から再び図3に示されている第1のモードM1へと遷移する際に、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、下方向に運動してもよく、一方で、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、上方向に運動してもよい。
【0071】
加えて、第1のモードM1から第2のモードM2への遷移の際に、又は、第2のモードM2から再び第1のモードM1へと遷移する際に、自由エッジFE1_1(また、自由エッジFE4_1及び自由エッジFE6_1)は、方向Zにおいて第1の変位Uz_a(first displacement Uz_a)を有するように作動されてもよく、自由エッジFE2_1(また、自由エッジFE3_1及び自由エッジFE5_1)は、方向Zにおいて第2の変位Uz_b(second displacement Uz_b)を有するように作動されてもよい。第1のモードM1から第2のモードM2への遷移の際に、第1の変位Uz_a及び第2の変位Uz_bの総和(sum)は、薄膜110の厚さ(thickness)よりも大きくてもよい。
【0072】
ある1つの実施形態において、第1の変位Uz_a及び第2の変位Uz_bは、距離がほぼ等しくてもよい(may be of substantially equal in distance)が、方向が反対であってもよい。第1の変位Uz_a及び第2の変位Uz_bは、(一時的に)対称となってもよい。自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1の運動(また、自由エッジFE4_1及び自由エッジFE3_1の運動、及び、自由エッジFE6_1及び自由エッジFE5_1の運動)は、縦方向にほぼ等しい(substantially equal length wise)が、任意の時間的な期間にわたって方向が反対となる(opposite in direction over any period of time)。すなわち、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bに関して、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bが、(図3に示されているように)第1のモードM1となるそれらのフラップの第1の場所にあるように保たれる場合に、薄膜110が、第2のモードM2へと変化するように作動されるとき、又は、(例えば、第1のモードM1から第2のモードM2への遷移等の)第1のモードM1と第2のモードM2との間での遷移の状態となるように作動されるときは、第1の場所を基準とする第1のフラップ112aの移動距離(a moving distance of the first flap 112a respecting its first position)は、(図4に示されているように)第1の場所を基準とする第2のフラップ112bの移動距離と等しくてもよい。
【0073】
第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、第1の方向に向かって運動するように作動されるので、第1の空気運動(first air movement)が発生させられ、第1の空気運動の方向は、第1の方向に関連する。第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されるので、第2の空気運動(second air movement)が発生させられ、第2の空気運動の方向は、第2の方向に関連する。第1の空気運動及び第2の空気運動は、それぞれ、反対方向に関連してもよいので、フラップ112が、同時に、通気口130Tを形成し/閉鎖するように作動されるときに、第1の空気運動の少なくとも一部及び第2の空気運動の少なくとも一部は、互いに打ち消しあう(cancel each other)場合がある。
【0074】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、自由エッジFE1_1、自由エッジFE4_1、及び自由エッジFE6_1の運動と自由エッジFE2_1、自由エッジFE3_1、及び自由エッジFE5_1の運動とは、それぞれ、対称であるので、フラップ112が、同時に、通気口130Tを形成し及び閉鎖するときに、第1の空気運動の全体及び第2の空気運動の全体は、実質的に、互いに打ち消しあう場合がある。すなわち、通気口130Tの形成及び閉鎖に起因して発生させられる第1の空気運動及び第2の空気運動を含む正味の空気運動は、実質的に0となる。結果として、その正味の空気運動は、通気口130Tの形成動作及び/又は閉鎖動作の際に、実質的に0となるので、通気口130Tの動作は、通気デバイス100のユーザに知覚可能な音響的な擾乱(acoustic disturbance)を発生させず、通気口130Tの形成動作及び/又は閉鎖動作は"隠された(concealed)"と言われる。
【0075】
図7は、第3のモード/快適モードM3における通気デバイス100のある1つの例を示し、図7は、例えば、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bを示す。図7に示されているように、薄膜110は、下方に湾曲し(bends downwards)、第1の場所の下方にある(すなわち、薄膜110は、下方に垂れ下がっている(hangs downwards))。すなわち、フラップ112は、下方に湾曲し、且つ、第1の場所の下方にあり、それによって、自由エッジFE1_1、自由エッジFE2_1、自由エッジFE3_1、自由エッジFE4_1、自由エッジFE5_1、及び自由エッジFE6_1は、第3のモードM3において、ベースBSに向かって運動し/湾曲してもよい。
【0076】
図3図4、及び図7に示されているように、第3のモード/快適モードM3(図7)における通気口130Tのサイズは、第1のモード/閉じたモードM1(図3)における通気口130Tのサイズ(すなわち、ギャップ130Pの幅)よりも大きく、第2のモード/開いたモードM2(図4)における通気口130Tのサイズよりも小さい。すなわち、通気口130Tは、第3のモードM3においてわずかに開いている。"通気口130Tがわずかに開いている"状態では、スリット130の2つの対向する側壁の間の空間を通って第1の体積VL1と第2の体積VL2との間で少量の空気漏れが発生する場合がある。
【0077】
例えば、図7において、スリット130の2つの対向する側壁(すなわち、同じスリット130に関連する異なるフラップ112の2つの自由エッジ)は、部分的又は完全に、水平方向において互いに重なり合う(すなわち、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE1_2は、方向Yにおいて互いに重なり合う)。
【0078】
第1のモードM1又は第2のモードM2から第3のモード/快適モードM3への遷移の際に、フラップ112のすべて又はフラップ112のうちの一部は、下方向に運動して、フラップ112のすべてがそれらのフラップの第1の場所よりも下になるようにしてもよい。第3のモードM3から第1のモードM1又は第2のモードM2への遷移の際に、フラップ112のすべて又はフラップ112のうちの一部は、上方向に運動して、フラップ112のすべてがそれらのフラップの望ましい場所に到達するようにしてもよい。
【0079】
さらに、図3図4、及び図7に示されているように、第1のモードM1、第2のモードM2、第3のモードM3、及び2つのモードの間の遷移において、自由エッジFE1_1、自由エッジFE2_1、自由エッジFE3_1、自由エッジFE4_1、自由エッジFE5_1及び、自由エッジFE6_1は、通気デバイス100の中のいかなる他の構成要素とも物理的に接触しない。
【0080】
本発明の通気デバイス100及び音響変換を実行するように構成される音響トランスデューサを含むウェアラブルサウンドデバイスWSDに関して、その音響トランスデューサの周波数応答の低周波数ロールオフ(low frequency roll-off (LFRO))コーナー周波数(corner frequency)は、通気デバイス100のモードによって影響を受ける。LFROコーナー周波数は、通気口130Tの全体のサイズが増加するのに伴って増加する。したがって、第1のモードM1及び第3のモード/快適モードM3におけるLFROコーナー周波数は低く、第1のモードM1における低周波数のSPL低下及び第3のモードM3における低周波数のSPL低下は、はっきりとはわからず(not evident)、第2のモードM2におけるLFROコーナー周波数は、第1のモードM1及び第3のモードM3におけるLFROコーナー周波数よりも有意に高く、第2のモードM2における低周波数のSPL低下は、はっきりとしている(evident)。通気口130Tは、第3のモードM3においてわずかに開いているので、第3のモードM3におけるLFROコーナー周波数は、第1のモードM1におけるLFROコーナー周波数よりもわずかに高いということに留意するべきである。
【0081】
音響トランスデューサの周波数応答によれば、通気デバイス100の第1のモード/閉じたモードM1は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザが、全体的な可聴周波数範囲において(in whole audio frequency range)(高性能サウンド等の)高性能の音響変換(acoustic transformation with high performance)を体験するようにし、通気デバイス100の第2のモード/開いたモードM2は、閉塞効果を抑制し、通気デバイス100の第3のモード/快適モードM3は、第1のモードM1と第2のモードM2との間の効果が快適モードとして機能するようにさせる。
【0082】
アクチュエータ120は、少なくとも1つの適切な駆動信号を受信して、薄膜110を作動させ、そして、薄膜110がその薄膜110の場所を保ち又は変更するようにさせ、それにより、通気デバイス100のモードが保たれるようにさせ又は変更されるようにさせてもよい。図3図4、及び図7に示されているように、通気デバイス100は、アクチュエータ120が受信する駆動信号に基づいて、第1のモードM1、第2のモードM2、又は第3のモードM3に切り替えられてもよく、それによって、通気口130Tの各々のサイズは、アクチュエータ120に印加される駆動信号にしたがって調整される。薄膜110が複数のフラップ112に分割される場合には、アクチュエータ120の作動させる部分(actuating portions)は、同じ駆動信号を受信してもよく又は異なる駆動信号を受信してもよい。例えば、アクチュエータ120が圧電アクチュエータであるときに、駆動信号は、駆動電圧及び/又は2つの電極の間の駆動電圧差であってもよく、薄膜110の変位及び駆動信号は、線形の関係を有してもよい。
【0083】
以下の記載は、駆動信号を説明し、それらの駆動信号は、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120a及び第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bに印加される。第4のフラップ112dに配置される第4の作動させる部分120d及び第6のフラップ112fに配置される第6の作動させる部分120fに印加される駆動信号は、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aに印加される駆動信号と同じであってもよく、第3のフラップ112cに配置される第3の作動させる部分120c及び第5のフラップ112eに配置される第5の作動させる部分120eに印加される駆動信号は、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bに印加される駆動信号と同じであってもよく、したがって、これらの部分については重複して説明されない。
【0084】
図3に示されているように、第1のモード/閉じたモードM1において、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aは、駆動信号DV1_1を受信し、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bは、駆動信号DV2_1を受信する。第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bは、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1にしたがって、第1の場所へと移動し又は第1の場所にあるように保たれて、通気口130Tを閉塞し又は密閉する(close or seal)。駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、要件に基づいて設計されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、これらには限定されないが、駆動信号DV1_1は、第1のしきい値を有する定電圧であってもよく、駆動信号DV2_1は、第2のしきい値を有する定電圧であってもよく、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、同じであってもよく又は実質的に同じであってもよい(すなわち、第1のしきい値は、第2のしきい値と同じであるか又は実質的に同じである)。例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、これらには限定されないが、15[V]であってもよい。
【0085】
図4に示されているように、第2のモード/開いたモードM2において、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aは、駆動信号DV1_2を受信し、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bは、駆動信号DV2_2を受信する。駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2にしたがって、自由エッジFE1_1は、第1の場所の上方向に運動し、自由エッジFE2_1は、第1の場所の下方向に運動して、通気口130Tを形成する。駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2は、要件に基づいて設計されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、駆動信号DV1_2は、第1のしきい値よりも大きな定電圧であってもよく、駆動信号DV2_2は、第2のしきい値よりも小さな定電圧であってもよく、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2は、異なっていてもよく、第2のモードM2における通気口130Tのサイズは、駆動信号DV1_2と駆動信号DV2_2との間の差に関連している。例えば、これらには限定されないが、駆動信号DV1_2は、30[V]であってもよく、駆動信号DV2_2は、0[V]であってもよい。
【0086】
加えて、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2の設計に起因して、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1の運動は、第1の位置に対して一時的に対称となる。例えば、これらには限定されないが、駆動信号DV1_2と第1のしきい値との間の差は、駆動信号DV2_2と第2のしきい値との間の差と同じであってもよい。
【0087】
図7に示されているように、第3のモード/快適モードM3において、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aは、駆動信号DV1_3を受信し、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bは、駆動信号DV2_3を受信する。駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3にしたがって、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1は、第1の場所よりも下方向に運動し、それによって、通気口130Tは、わずかに開放する。駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、要件に基づいて設計されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、これらには限定されないが、駆動信号DV1_3は、第1のしきい値よりも小さな定電圧であってもよく、駆動信号DV2_3は、第2のしきい値よりも小さな定電圧であってもよく、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、同じであってもよく又は実質的に同じであってもよい。例えば、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、これらには限定されないが、0[V]又は接地電圧であってもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の作動させる部分120a及び第2の作動させる部分120bは、これらには限定されないが、浮動していてもよい(may be floating)。
【0088】
これらのモードにおける駆動信号にしたがって、通気デバイス100は、第3のモード/快適モードM3において消費電力が最も低い。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第3のモードM3においては、アクチュエータ120には電圧は印加されない(すなわち、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、0[V]又は接地電圧であるか、或いは、アクチュエータ120は、浮動している(floating))。場合によっては、これらには限定されないが、通気デバイス100の電力消費を減少させるために、通気デバイス100は、通常、(例えば、快適モード等の)第3のモードM3となっていてもよく、必要である場合には、通気デバイス100は、第1のモード/閉じたモードM1又は第2のモード/開いたモードM2へと変更されてもよい(例えば、通気デバイス100は、高性能の音響変換のために第1のモードM1へと変更されてもよく、通気デバイス100は、閉塞効果を抑制するために第2のモードM2へと変更されてもよい)。
【0089】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の作動させる部分120aに印加される駆動信号及び第2の作動させる部分120bに印加される駆動信号は、接地電圧に対して単極性であってもよい(may be unipolar with respect to the ground voltage)。例えば、上記で言及されている駆動信号DV1_1、駆動信号DV1_2、駆動信号DV1_3、駆動信号DV2_1、駆動信号DV2_2、及び駆動信号DV2_3によれば、第1の作動させる部分120aに印加される駆動信号及び第2の作動させる部分120bに印加される駆動信号は、これらには限定されないが、0[V]から30[V]の範囲となっていてもよい。
【0090】
本発明においては、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、アクチュエータ120の絶縁破壊電圧(breakdown voltage)を超えず、これらには限定されないが、通気デバイス100の動作を安定させ、又は、通気デバイス100の歪みをより小さくする。
【0091】
図8を参照すると、図8は、本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。図8に示されているように、ウェアラブルサウンドデバイスWSDは、検知デバイス(sensing device)150及びその検知デバイス150に電気的に接続されるコントローラ(controller)160、音響トランスデューサ(acoustic transducer)及び(例えば、通気デバイス100のアクチュエータ120等の)通気デバイス100をさらに含んでもよい。図8において、構成要素SEDは、音響トランスデューサ及び通気デバイス100を含んで、図8を単純且つ明確にする。
【0092】
検知デバイス150は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの外側の任意の必要となる要因を検知し、そして、それに対応して、検知結果を生成する、ように構成されてもよい。例えば、検知デバイス150は、これらには限定されないが、赤外線(IR)検知方法、光学検知方法、音響検知方法、超音響波検知方法、容量性検知方法、又は他の適切な検知方法を使用して、任意の必要となる要因を検知してもよい。
【0093】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気口130Tが形成されるか否かは、検知結果(sensing result)にしたがって決定される。通気口130Tは、検知結果が示す検知されている量が、第1の極性を有するある特定のしきい値と交差するときに形成され、通気口130Tは、検知されている量が、第1の極性とは反対の第2の極性を有するその特定のしきい値と交差するときに閉鎖される。例えば、これらには限定されないが、第1の極性は、小さな値から大きな値への極性であってもよく、第2の極性は、大きな値から小さな値への極性であってもよく、それによって、通気口130Tは、検知されている量が、その特定のしきい値よりも小さな値からその特定のしきい値よりも大きな値へと変化するときに形成され、通気口130Tは、検知されている量が、その特定のしきい値よりも大きい値からその特定のしきい値よりも小さな値へと変化するときに閉鎖される。
【0094】
さらに、複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知結果が示す検知されている量に単調に関連していてもよい(may be monotonically related to the sensed quantity)。すなわち、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている量が増加し又は減少するのに伴って増加し又は減少する。
【0095】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、動きセンサ(motion sensor)を含んでもよく、その動きセンサは、ユーザの身体運動(body motion)及び/又はウェアラブルサウンドデバイスWSDの動きを検出するように構成される。例えば、検知デバイス150は、歩行、ジョギング、会話、食事等の閉塞効果を引き起こす身体運動を検出してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知結果が示す検知されている量は、ユーザの身体運動及び/又はウェアラブルサウンドデバイスWSDの動きを表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている運動に相関付けられる(correlated to the motion sensed)。例えば、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、運動が増加するのに伴って増加する。
【0096】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、近接センサ(proximity sensor)を含んでもよく、その近接センサは、対象物(object)と近接センサとの間の距離を検知するように構成される。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知結果が示す検知されている量は、その対象物とその近接センサとの間の距離を表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている距離に相関付けられる。例えば、通気口130Tは、この距離があらかじめ定められている距離よりも小さいときに形成され、この距離が減少するのに伴って、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は増加する。例えば、ユーザが通気口130Tを形成することを望む場合に、そのユーザは、(例えば、手等の)任意の適切な対象物を使用して、ウェアラブルサウンドデバイスWSDに接近してもよく、その結果、近接センサがこの対象物を検知するようにさせて、それ対応して、その検知結果を生成し、それにより、通気口130Tを形成してもよい。
【0097】
加えて、それらのタップし又はタッチする運動は、また、閉塞効果を引き起こす場合があるので、近接センサは、さらに、ユーザが通気デバイス100を有するウェアラブルサウンドデバイスWSDを(予測可能に(predictably))タップし又はタッチするということを検出するための機能を有してもよい。
【0098】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、力センサ(force sensor)を含んでもよく、その力センサは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその力センサに加えられる力を検知するように構成され、検知結果が示す検知されている量は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDを押す力を表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている力に相関付けられる。
【0099】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、光センサ(light sensor)を含んでもよく、その光センサは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周辺光を検知するように構成され、検知結果が示す検知されている量は、光センサが検知する周辺光の輝度(luminance)を表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている周辺光の輝度に相関付けられる。
【0100】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイスは、随意的に、マイクロフォン等の音響センサ(acoustic sensor)を含んでもよく、その音響センサは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの外側の音を検知するように構成される。例えば、検知結果が示す検知されている量は、これらには限定されないが、その音響センサが検知する音のSPLを表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、音響センサが検知する音に相関付けられる。
【0101】
コントローラ160は、音響トランスデューサ及び通気デバイス100に印加される駆動信号を生成して、音響変換を実行するように音響トランスデューサを制御するとともに、通気デバイス100のモードを制御するように構成される。
【0102】
コントローラ160は、要件に基づいて設計されてもよく、コントローラ160は、任意の適切な構成要素を含んでもよい。例えば、図8において、コントローラ160は、アナログディジタル変換器(analog-to-digital converter (ADC))162、ディジタル信号処理(digital signal processing (DSP))ユニット164、ディジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter (DAC))166、任意の他の適切な構成要素、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、コントローラ160は、これらには限定されないが、集積回路であってもよい。
【0103】
コントローラ160は、通気デバイス100のアクチュエータ120に印加される(例えば、上記で言及されている駆動信号DV1_1、駆動信号DV1_2、駆動信号DV1_3、駆動信号DV2_1、駆動信号DV2_2、及び駆動信号DV2_3等の)駆動信号を生成して、通気デバイス100のモード及び通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)を制御する。このようにして、コントローラ160は、通気デバイス100を制御して、閉塞効果を抑制するために通気口130Tを形成するか、又は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザに全体的な可聴周波数範囲において高い性能の音響変換を体験させるために、通気口130Tを閉鎖する。
【0104】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気デバイス100のアクチュエータ120に印加される駆動信号は、これらには限定されないが、検知結果にしたがって生成されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気口130Tのサイズは、検知結果が示す検知されている量に単調に関連してもよい(may be monotonically related to)ので、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、検知結果が示す検知されている量と単調な関係を有してもよい(may have a monotonic relationship)。
【0105】
検知デバイス150が動きセンサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、動きが増加するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。同様に、検知デバイス150が近接センサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、距離が減少する又は距離がしきい値を下回る値まで減少するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。同様に、検知デバイス150が力センサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、力が増加するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。同様に、検知デバイス150が光センサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、周辺光の輝度が減少するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。
【0106】
図9を参照して、図9は、本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。図9に示されているウェアラブルサウンドデバイスWSDは、(例えば、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2等の)複数の音響トランスデューサ(a plurality of acoustic transducers)を含んでもよく、それらの複数の音響トランスデューサは、音響変換を実行するように構成される。すなわち、音響波(acoustic waves)は、それらの音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2によって発生させられ、通気デバイス100は、閉塞効果を抑制するために、通気口130Tを形成し又は閉鎖するように作動されるように構成される。図9に示されているように、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2が発生させる音響波は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBC(front chamber FBC)からウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道(ear canal)へと伝搬してもよい。
【0107】
各々の音響トランスデューサが発生させる音響波の周波数範囲は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、音響トランスデューサのある1つの実施形態は、これらには限定されないが、(例えば、20[Hz]乃至20[kHz]の)人間の可聴周波数範囲(human audible frequency range)をカバーする周波数範囲を有する音響波を発生させてもよい。例えば、音響トランスデューサの他の実施形態は、これらには限定されないが、ある特定の周波数よりも高い周波数を有する音響波を発生させてもよく、それによって、この音響トランスデューサは、高周波数サウンドユニット(high frequency sound unit)(高音再生用のスピーカ(tweeter))であってもよい。例えば、音響トランスデューサの他の実施形態は、これらには限定されないが、ある特定の周波数よりも低い周波数を有する音響波を発生させてもよく、それによって、この音響トランスデューサは、低周波数サウンドユニット(low frequency sound unit)(低音再生用のスピーカ(woofer))であってもよい。その特定の周波数は、これらには限定されないが、(例えば、1.44[kHz]等の)800[Hz]乃至4[kHz]の範囲にある値であってもよいということに留意するべきである。高周波数サウンドユニット及び低周波数サウンドユニットの詳細は、この出願人が出願している米国特許出願第17/153,849を参照してもよいが、簡潔にするためにここでは説明されない。
【0108】
音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2は、同じであってもよく又は異なっていてもよい。例えば、これらには限定されないが、音響トランスデューサSPK1は、高周波数サウンドユニット(高音再生用のスピーカ(tweeter))であってもよく、音響トランスデューサSPK2は、低周波数サウンドユニット(低音再生用のスピーカ(woofer))であってもよい。
【0109】
図9に示されているウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBC(front chamber FBC)は、通気デバイス100が配置されている(図2に示されている)ハウジング構造HSSの中の第1の体積VL1に接続されてもよい。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBCは、ハウジング構造HSSの中の第1の体積VL1に直接的に接続されてもよく、又は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道を通ってハウジング構造HSSの中の第1の体積VL1に接続されてもよい。また、図9に示されているウェアラブルサウンドデバイスWSDのバックチャンバBBC(back chamber BBC)は、通気デバイス100が配置されている(図2に示されている)ハウジング構造HSSの中の第2の体積VL2に接続されてもよい。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのバックチャンバBBCは、ハウジング構造HSSの中の第2の体積VL2に直接的に接続されてもよく、又は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲を通じてハウジング構造HSSの中の第2の体積VL2に接続されてもよい。
【0110】
検知デバイス150は、(例えば、マイクロフォン等の)音響センサを含んでもよく、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBC及び/又はバックチャンバBBCの中に配置されてもよく、検知デバイス150は、閉塞イベント(occlusion event)を検出するように構成される。
【0111】
通気デバイス100、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2、及び、検知デバイス150は、コントローラ160に電気的に接続されてもよい。コントローラ160は、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2に音響駆動信号(acoustic driving signals)を印加してもよく、それによって、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2が発生させる音響波は、音響駆動信号に対応していてもよい。コントローラ160は、通気デバイス100に、検知デバイス150の検知結果に基づく駆動信号を印加して、通気口130Tを形成し又は閉鎖してもよい。例えば、コントローラ160は、これらには限定されないが、デバイスコントローラ168a及びデバイスドライバ168bを含んでもよい。例えば、デバイスコントローラ168aは、これらには限定されないが、検知デバイス150が生成する検知結果にしたがって、アクチュエータ120の複数の作動させる部分に印加される又は印加されるべき電圧を決定してもよい。
【0112】
以下の記載において、通気デバイス100の製造の方法の詳細が、さらに例示的に説明されるであろう。以下の製造方法においては、通気デバイス100のアクチュエータ120は、これらには限定されないが、例えば、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)を含んでもよいということに留意するべきである。通気デバイス100のアクチュエータ120は、任意の適切なタイプのアクチュエータを含んでもよい。
【0113】
以下の製造方法においては、形成プロセス(forming process)は、原子層蒸着(atomic layer deposition (ALD))プロセス、化学気相成長(chemical vapor deposition (CVD))プロセス、及び、他の適切なプロセス、又は、それらの組み合わせを含んでもよい。パターニングプロセス(patterning process)は、フォトリソグラフィ(photolithography)、エッチングプロセス(etching process)、他の適切なプロセス、又は、それらの組み合わせを含んでもよい。
【0114】
図10乃至図15を参照すると、図10乃至図15は、本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。この実施形態において、通気デバイス100は、これらには限定されないが、MEMSチップとなるように、少なくとも1つの半導体プロセスによって製造されてもよい。図10に示されているように、ウェハWF(wafer WF)が提供され、そのウェハWFは、第1の層WL1(first layer WL1)及び第2の層WL2(second layer WL2)を含んでもよく、ウェハWFは、随意的に、第1の層WL1と第2の層WL2との間に絶縁層WL3(insulating layer WL3)を含んでもよい。
【0115】
第1の層WL1、絶縁層WL3、及び第2の層WL2は、個々に、任意の適切な材料を含んでもよく、それによって、ウェハWFは、任意の適切なタイプとなっていてもよい。例えば、第1の層WL1及び第2の層WL2は、個々に、(例えば、単結晶シリコン(single crystalline silicon)又は多結晶シリコン(poly-crystalline silicon)等の)シリコン(silicon)、(例えば、炭化ケイ素(silicon carbide)、酸化シリコン(silicon oxide)等の)シリコン化合物(silicon compound)、ゲルマニウム(germanium)、ゲルマニウム化合物(germanium compound)、ガリウム(gallium)、(例えば、窒化ガリウム(gallium nitride)又は砒化ガリウム(gallium arsenide)等の)ガリウム化合物(gallium compound)、他の適切な材料、又は、それらの組み合わせを含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の層WL1は、これらには限定されないが、単結晶シリコンを含んでもよく、それによって、ウェハWFは、シリコンオンインシュレータ(silicon on insulator (SOI))ウェハであってもよい。例えば、絶縁層WL3は、これらには限定されないが、(例えば、二酸化シリコン(silicon dioxide)等の)酸化シリコン等の酸化物を含んでもよい。第1の層WL1、絶縁層WL3、及び第2の層WL2の厚さ(thicknesses)は、要件に基づいて個々に調整されてもよい。
【0116】
図10において、補償酸化物層CPS(compensation oxide layer CPS)は、随意的に、ウェハWFの上側に形成されてもよく、その上側(upper side)は、第2の層WL2と対向する第1の層WL1の上表面WL1aよりも上に存在し、それによって、第1の層WL1は、補償酸化物層CPSと第2の層WL2との間に存在する。補償酸化物層CPSの中に含まれる酸化物の材料及び補償酸化物層CPSの厚さは、要件に基づいて設計されてもよい。
【0117】
図10において、第1の導電層CT1(first conductive layer CT1)及び作動材料AM(actuating material AM)は、順番に、(第1の層WL1の上の)ウェハWFの上側に形成されてもよく、それによって、第1の導電層CT1は、作動材料AMと第1の層WL1との間に存在してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の導電層CT1は、作動材料AMと接触していてもよい。
【0118】
第1の導電層CT1は、任意の適切な導電材料を含んでもよく、作動材料AMは、任意の適切な材料を含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、これらには限定されないが、第1の導電層CT1は、金属を含んでもよく、作動材料AMは、圧電材料を含んでもよい。例えば、圧電材料は、これらには限定されないが、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)材料を含んでもよい。さらに、第1の導電層CT1及び作動材料AMの厚さは、要件に基づいて個々に調整されてもよい。
【0119】
その次に、図10において、順番に、作動材料AM、第1の導電層CT1、及び補償酸化物層CPSをパターニングしてもよい。
【0120】
図11に示されているように、分離絶縁層SIL(separating insulating layer SIL)は、作動材料AMの上に形成されてもよく、そして、パターニングされてもよい。その分離絶縁層SILの厚さ及びその分離絶縁層SILの材料は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、分離絶縁層SILの材料は、これらには限定されないが、酸化物(oxide)であってもよい。
【0121】
図11に示されているように、第2の導電層CT2(second conductive layer CT2)は、作動材料AM及び分離絶縁層SILの上に形成されてもよく、そして、その次に、第2の導電層CT2は、パターニングされてもよい。第2の導電層CT2の厚さ及び第2の導電層CT2の材料は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、第2の導電層CT2は、これらには限定されないが、金属を含んでもよい。例えば、第2の導電層CT2は、作動材料AMと接触してもよい。
【0122】
作動材料AM、第1の導電層CT1、及び第2の導電層CT2は、アクチュエータ120を構成するように、通気デバイス100のアクチュエータ120の中の複数の下位層(sub-layers)となっていてもよく、そのアクチュエータ120は、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)を含み、その圧電アクチュエータは、2つの電極及びを2つの電極の間の作動材料AMを含む。
【0123】
図11において、分離絶縁層SILは、第2の導電層CT2の少なくとも一部から第1の導電層CT1の少なくとも一部を分離するように構成されてもよい。
【0124】
図12に示されているように、ウェハWFの第1の層WL1は、パターニングされて、トレンチラインTL(trench line TL)を形成してもよい。図12において、そのトレンチラインTLは、第1の層WL1を取り除いた部分となっている。すなわち、そのトレンチラインTLは、第1の層WL1の2つの部分の間に存在する。
【0125】
図13に示されているように、ウェハWFは、基板SB(substrate SB)及び接着層AL(adhering layer AL)の上に配置され、その接着層ALは、基板SBとウェハWFの第1の層WL1との間に接着される。図13において、アクチュエータ120は、ウェハWFと基板SBとの間に存在する。このステップのために、ウェハWFの第1の層WL1及びウェハWFの上側の構造(すなわち、ウェハWFの上表面WL1aよりも上方の構造)は、後続のステップの中で保護されてもよい。
【0126】
図14に示されているように、ウェハWFの第2の層WL2は、パターニングされて、そのパターニングされた第2の層WL2にアンカー構造140(anchor structure 140)を形成させ、アンカー構造140が固定する薄膜110を第1の層WL1に形成させてもよい。詳細には、ウェハWFの第2の層WL2は、第1の部分及び第2の部分を有してもよく、第2の層WL2の第1の部分は取り除かれてもよく、第2の層WL2の第2の部分はアンカー構造140を形成してもよい。第2の層WL2の第1の部分は取り除かれるので、第1の層WL1は、薄膜110を形成し、薄膜110は、方向Zにおいて、第2の層WL2の取り除く第1の部分に対応する。例えば、第2の層WL2の第1の部分は、これらには限定されないが、深反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching (DRIE))プロセスによって取り除かれてもよい。薄膜110のフラップ112は、ウエハWFの第1の層WL1をパターニングしてトレンチラインTLを形成するときに決定されるということに留意するべきである。
【0127】
随意的に、図14において、これらには限定されないが、ウエハWFの絶縁層WL3が存在するので、ウエハWFの第2の層WL2をパターニングした後に、また、第2の層WL2の第1の部分に対応する絶縁層WL3の一部を取り除いて、第1の層WL1に薄膜110を形成させてもよい。
【0128】
さらに、図14において、第2の層WL2の第2の部分、第2の層WL2の第2の部分と重なる絶縁層WL3の部分、及び、第2の層WL2の第2の部分と重なる第1の層WL1の部分を組み合わせて、アンカー構造140として機能するようにしてもよい。
【0129】
図15に示されているように、適切なプロセスによって、基板SB及び接着層AL(adhering layer AL)を取り除いて、通気デバイス100の製造を完了する。例えば、これらには限定されないが、剥離プロセス(peel-off process)によって、基板SB及び接着層ALを除去してもよい。
【0130】
図15において、第2の層WL2の第1の部分を取り除いて、第1の層WL1の中に含まれる薄膜110を形成するので、トレンチラインTLのために、スリット130は、薄膜110の中に形成され、薄膜110を貫く。スリット130はトレンチラインTLにより形成されるので、トレンチラインTLの幅は、スリット130の要件に基づいて設計されてもよい。例えば、トレンチラインTLの幅は、これらには限定されないが、5[μm]以下であってもよく、3[μm]以下であってもよく、2[μm]以下であってもよく、又は、1[μm]乃至2[μm]の範囲の中にあってもよく、スリット130を望ましい幅としてもよい。
【0131】
本発明の通気デバイス、ウェアラブルサウンドデバイス、及び通気デバイスの製造方法は、上記の実施形態には限定されない。以下において、本発明の他の実施形態を説明する。以下の記載においては、比較を容易にするため、同じ構成要素には同じ符号を付して説明する。以下の説明は、それらの複数の実施形態の各々の間の相違点に関し、反復される部分は、重複して説明されない。
【0132】
図16及び図17を参照すると、図16は、本発明の第2の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している平面図の概略的な図であり、図17は、本発明の第2の実施形態にしたがって第2のモード/開いたモード及び第3のモード/快適モードとなっている通気デバイスの通気口の側面図の概略的な図であり、図17は、方向Yに沿った第1の通気口131Tの側面図を示すとともに、方向Xに沿った第2の通気口132Tの側面図を示す。図16に示されているように、この実施形態と第1の実施形態との間の相違点は、通気デバイス200のフラップ112の配列である。図16において、薄膜110は、これらには限定されないが、4つのフラップ112が2×2のアレイに配列されている。
【0133】
図16において、第1のアンカーエッジAE1(first anchor edge AE1)及び第4のアンカーエッジAE4(fourth anchor edge AE4)は、方向Xに平行であってもよく、第2のアンカーエッジAE2(second anchor edge AE2)及び第3のアンカーエッジAE3(third anchor edge AE3)は、方向Yに平行であってもよい(すなわち、第2のアンカーエッジAE2及び第3のアンカーエッジAE3は、第1のアンカーエッジAE1及び第4のアンカーエッジAE4に対して垂直であってもよい)。第1のフラップ112aにおいて、自由エッジFE1_1は、方向Yにおいて第1のアンカーエッジAE1とは反対にあり、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE1_3は、自由エッジFE1_1と第1のアンカーエッジAE1との間で方向Xにおいて互いに対向している。第2のフラップ112bにおいて、自由エッジFE2_1は、方向Xにおいて第2のアンカーエッジAE2とは反対にあり、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE2_3は、自由エッジFE2_1と第2のアンカーエッジAE2との間で方向Yにおいて互いに対向している。第3のフラップ112cにおいて、自由エッジFE3_1は、方向Xにおいて第3のアンカーエッジAE3とは反対にあり、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE3_3は、自由エッジFE3_1と第3のアンカーエッジAE3との間で方向Yにおいて互いに対向している。第4のフラップ112dにおいて、自由エッジFE4_1は、方向Yにおいて第4のアンカーエッジAE4とは反対にあり、自由エッジFE4_2及び自由エッジFE4_3は、自由エッジFE4_1と第4のアンカーエッジAE4との間で方向Xにおいて互いに対向している。
【0134】
図16において、第1のスリット131は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2、及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1を定義してもよく、第2のスリット132は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3を定義してもよい。さらに、スリット130は、随意的に、薄膜110の周囲に形成される第3のスリット133、第4のスリット134、第5のスリット135、及び第6のスリット136を含んで、薄膜110の境界を定義してもよく、第3のスリット133は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3を定義してもよく、第4のスリット134は、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2を定義してもよく、第5のスリット135は、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3を定義してもよく、第6のスリット136は、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2を定義してもよい。
【0135】
このようにして、フラップ112の配列及びスリット130の配列によれば、図16において、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1及び自由エッジFE1_2は、それぞれ、第2のフラップ112b及び第3のフラップ112cに隣接し、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1及び自由エッジFE2_3は、それぞれ、第4のフラップ112d及び第1のフラップ112aに隣接し、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び自由エッジFE3_2は、それぞれ、第1のフラップ112a及び第4のフラップ112dに隣接し、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1及び自由エッジFE4_3は、それぞれ、第3のフラップ112c及び第2のフラップ112bに隣接する。
【0136】
第1の通気口131Tは、第1のスリット131により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1と第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3との間に、及び、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1との間に形成されてもよい。第2の通気口132Tは、第2のスリット132により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2と第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3との間に形成されてもよい。
【0137】
この実施形態の通気デバイス200のモード操作は、上記で言及されている第1の実施形態のモード操作と同じであり、反復される部分は重複しては説明されない。
【0138】
図16及び図17に示されているように、通気口130Tの側面形状は、上記で言及されている第1の実施形態とは異なる。例えば、図16及び図17に示されているように、(隣り合う2つのフラップ112が反対方向に向かって運動する)第2のモード/開いたモードM2において、これらには限定されないが、第1の通気口130Tは、五角形形状を有するように方向Zに形成され、第1の通気口131Tの上側エッジ(upper edge)は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されてもよく、第1の通気口131Tの2つの下側エッジ(lower edges)は、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2から形成されてもよい。例えば、図16及び図17に示されているように、第2のモード/開いたモードM2において、これらには限定されないが、第2の通気口132Tは、五角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3から形成されてもよく、第2の通気口132Tの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1から形成されてもよい。
【0139】
例えば、図16及び図17に示されているように、これらには限定されないが、(フラップ112のすべてが下に曲がる)第3のモード/快適モードM3において、第1の通気口132Tは、2つの三角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第1の通気口131Tの上側エッジは、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2から形成されてもよく、第1の通気口131Tの下側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されてもよい。例えば、図16及び図17に示されているように、これらには限定されないが、第3のモードM3において、第2の通気口132Tは、2つの三角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3から形成されてもよく、第2の通気口132Tの下側エッジは、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1から形成されてもよい。
【0140】
図18及び図19を参照して、図18は、本発明の第3の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図であり、図19は、本発明の第3の実施形態にしたがって第2のモード/開いたモードとなっている通気デバイスの通気口の側面図を図示している概略的な図であり、図19は、方向Yに沿った第1の通気口131Tの側面図を示すとともに、方向Xに沿った第2の通気口132Tの側面図を示す。図18に示されているように、この実施形態と第1の実施形態との間の相違点は、通気デバイス300のフラップ112の配列である。
【0141】
図18において、第1のアンカーエッジAE1及び第2のアンカーエッジAE2は、方向Xに平行であってもよく、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5、及び第6のアンカーエッジAE6は、方向Yに平行であってもよい(すなわち、第1のアンカーエッジAE1及び第2のアンカーエッジAE2は、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5に対して垂直であってもよい)。第1のフラップ112aにおいて、自由エッジFE1_1は、方向Yにおいて第1のアンカーエッジAE1と対向し、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE1_3は、自由エッジFE1_1と第1のアンカーエッジAE1との間で方向Xにおいて互いに対向する。第2のフラップ112bにおいて、自由エッジFE2_1は、方向Yにおいて第2のアンカーエッジAE2と対向し、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE2_3は、自由エッジFE2_1と第2のアンカーエッジAE2との間で方向Xにおいて互いに対向する。第3のフラップ112cにおいて、自由エッジFE3_1は、方向Xにおいて第3のアンカーエッジAE3と対向し、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE3_3は、自由エッジFE3_1と第3のアンカーエッジAE3との間で方向Yにおいて互いに対向する。第4のフラップ112dにおいて、自由エッジFE4_1は、方向Xにおいて第4のアンカーエッジAE4と対向し、自由エッジFE4_2及び自由エッジFE4_3は、自由エッジFE4_1と第4のアンカーエッジAE4との間で方向Yにおいて互いに対向する。第5のフラップ112eにおいて、自由エッジFE5_1は、方向Xにおいて第5のアンカーエッジAE5と対向し、自由エッジFE5_2及び自由エッジFE5_3は、自由エッジFE5_1と第5のアンカーエッジAE5との間で方向Yにおいて互いに対向する。第6のフラップ112fにおいて、自由エッジFE6_1は、方向Xにおいて第6のアンカーエッジAE6と対向し、自由エッジFE6_2及び自由エッジFE6_3は、自由エッジFE6_1と第6のアンカーエッジAE6との間で方向Yにおいて互いに対向する。
【0142】
第1のスリット131は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3を定義してもよい。第2のスリット132は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1を定義してもよい。第3のスリット133は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1を定義してもよい。さらに、スリット130は、随意的に、薄膜110の周囲に形成される第4のスリット134、第5のスリット135、第6のスリット136、及び第7のスリット137を含んで、薄膜110の境界を定義してもよく、第4のスリット134は、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3を定義してもよく、第5のスリット135は、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3を定義してもよく、第6のスリット136は、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2を定義してもよく、第7のスリット137は、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2を定義してもよい。
【0143】
このようにして、フラップ112の配列及びスリット130の配列によれば、図18において、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、自由エッジFE1_2、及び自由エッジFE1_3は、それぞれ、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eに隣接してもよく、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、自由エッジFE2_2、及び自由エッジFE2_3は、それぞれ、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fに隣接してもよく、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び自由エッジFE3_2は、それぞれ、第1のフラップ112a及び第4のフラップ112dに隣接してもよく、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1及び自由エッジFE4_2は、それぞれ、第2のフラップ112b及び第3のフラップ112cに隣接してもよく、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1及び自由エッジFE5_3は、それぞれ、第1のフラップ112a及び第6のフラップ112fに隣接してもよく、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1及び自由エッジFE6_3は、それぞれ、第2のフラップ112b及び第5のフラップ112eにそれぞれ隣接してもよい。
【0144】
第1の通気口131Tは、第1のスリット131により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1と第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1との間に、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2との間に、及び、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3との間に形成されてもよい。第2の通気口132Tは、第2のスリット132により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2と第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1との間に形成されてもよい。第3の通気口133Tは、第3のスリット133により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3と第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1との間に形成されてもよい。
【0145】
この実施形態の通気デバイス300のモード操作は、上記で言及されている第1の実施形態のモード操作と同じであってもよく、したがって、反復する部分は、重複しては説明されない。
【0146】
図18及び図19に示されているように、通気口130Tの側面形状は、上記で言及されている第1の実施形態とは異なる。例えば、図18及び図19に示されているように、これらには限定されないが、(2つの隣接するフラップ112が反対の方向に向かって運動する)第2のモード/開いたモードM2において、第1の通気口131Tは、六角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第1の通気口131Tの3つの上側エッジ(upper edges)は、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3から形成されてもよく、第1の通気口131Tの3つの下側エッジ(lower edges)は、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2、及び第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3から形成されていてもよい。例えば、図18及び図19に示されているように、これらには限定されないが、第2のモードM2において、第2の通気口132Tは、六角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1から形成されてもよい。例えば、これらには限定されないが、第2のモードM2において、第3の通気口133Tは、第2の通気口132Tと同様であってもよく、それによって、第3の通気口133Tは、六角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第3の通気口133Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1から形成されてもよく、第3の通気口133Tの2つの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3及び第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1から形成されてもよい。
【0147】
例えば、(フラップ112のすべてが下に曲がる)第3のモード/快適モードM3において、第2の通気口132Tは、これらには限定されないが、(図17に示されている第3のモードM3における第2の通気口132Tと同様に)2つの三角形を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2から形成されてもよく、第2の通気口132Tの下側エッジは、それぞれ、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されていてもよい。例えば、第3のモードM3において、第3の通気口133Tは、これらには限定されないが、(図17に示されている第3のモードM3における第2の通気口132Tと同様に)2つの三角形を有するように方向Zに形成されてもよく、第3の通気口133Tの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3及び第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3から形成されてもよく、第3の通気口133Tの下側エッジは、それぞれ、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1及び第5のフラップ112eの自由エッジFE6_1から形成されてもよい。
【0148】
図20を参照して、図20は、本発明の第4の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。図20に示されているように、この実施形態と第1の実施形態との間の相違点は、通気デバイス400の第1のスリット131の設計である。図20において、第1のスリット131は、鋸刃形状のスリット(saw-shaped slit)/ジグザグ形状のスリット(zigzagging slit)であり、それによって、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジであり、自由エッジFE3_1及び自由エッジFE4_1は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジであり、自由エッジFE5_1及び自由エッジFE6_1は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジである。
【0149】
図20に示されているように、スリット130のジグザグ形状のパターンは、鋸刃形状のパターンであってもよく、それによって、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジは、(例えば、直線形状のエッジ、曲線形状のエッジ等の)少なくとも1つの適切なサブエッジ(sub-edge)を有する複数のユニットを含む。例えば、それらのユニットは、これらには限定されないが、直線形状のベベルエッジ(straight bevel edges)である2つの接続されるサブエッジを有してもよい。
【0150】
それらの自由エッジは、(第1のスリット131が鋸刃形状のスリットである)鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジであるので、第1の通気口131Tの長さは、強化されて(the length of the first vent 131T is enhanced)、第1の通気口131Tを通過する空気流を増加させ(enhance the airflow)、第1の通気口131Tの音響抵抗を減少させる。
【0151】
この実施形態の通気デバイス400の製造方法において、トレンチラインTLは、(例えば、図12に示されているステップにおいて)鋸刃形状又はジグザグ形状となるように形成されて、関連するスリット130が鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなるようにさせる。例えば、この実施形態において、第1のスリット131に対応するトレンチラインTLは、鋸刃形状となるように形成されて、第1のスリット131が鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなるようにさせる。
【0152】
図21を参照して、図21は、本発明の第5の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している平面図の概略的な図である。図21に示されているように、この実施形態と第4の実施形態との間の相違点は、通気デバイス500の他のスリット130の設計である。第2のスリット132は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっており、それによって、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE3_3は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなり、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE4_3は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。第3のスリット133は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっており、それによって、自由エッジFE1_3及び自由エッジFE5_2は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなり、自由エッジFE2_3及び自由エッジFE6_2は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。
【0153】
随意的に、第4のスリット134は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっていてもよく、それによって、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE4_2は、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。随意的に、第5のスリット135は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっていてもよく、それによって、自由エッジFE5_3及び自由エッジFE6_3は、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。
【0154】
したがって、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジの数が増加するので、通気口130Tの長さはさらに強化されて(the lengths of the vents 130T are further enhanced)、通気口130Tを通過する空気流を増加させ(enhance the airflow)、通気口130Tの音響抵抗を減少させる。
【0155】
図22を参照して、図22は、本発明の第6の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している平面図の概略的な図である。図22に示されているように、この実施形態と第4の実施形態との間の相違点は、通気デバイス600の鋸刃形状のエッジの複数の単位の設計である。図22において、スリット130のジグザグ形状のパターンは、これらには限定されないが、台形形状のパターンであってもよく、それによって、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジの単位は、3つの接続されているサブエッジ(sub-edges)を有し、2つのサブエッジは、直線形状のベベルエッジ(straight bevel edges)であってもよく、2つの直線形状のベベルエッジの間に接続される1つのサブエッジは、直線形状の水平エッジ(straight horizontal edge)であってもよい。
【0156】
上記によれば、少なくとも1つの鋸刃形状のスリットは、上記で言及されている通気デバイス100、200、300のうちの1つの中で使用されて、変形の実施形態を形成してもよく、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリット130の数は、要件に基づいて設計されてもよく、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットの単位は、要件に基づいて設計されてもよい。
【0157】
ジグザグ形状のスリットは、鋸刃形状となっている又は鋸刃形状のパターンを有することには限定されないということに留意するべきである。薄膜に形成されるスリットは、(図22の)台形形状のパターン、(図23の)矩形形状のパターン、(図24の)正弦パターン、(図24と同様の)多項式パターン、歯のパターン、又は他の適切なパターンを有してもよく、それらのパターンは、すべて、本発明の範囲の中にある。多項式パターンは、スリットのセグメントが(実質的に)多項式関数に一致するように、スリットを形成するように薄膜をパターン化するということを意味する。
【0158】
より一般的には、薄膜に形成されるスリットのセグメントが、その薄膜においてジグザグ形状となっている(それによって、その薄膜に形成される通気口に対応する音響抵抗が、直線形状のスリットと比較して減少する)限り、そのスリットは、本発明の範囲の中にある。さらに、スリット130は、ある方向に向かって延びていると考えられてもよい。例えば、第1のスリット131は、方向Xに向かって延びていると考えられてもよく、第2のスリット132は、方向Yに向かって延びていると考えられてもよい。図21乃至図24に示されている第1のスリット131及び第2のスリット132は、薄膜110においてジグザグ形状になっており、且つ、(それぞれ)方向X及び方向Yに向かって延びていると考えられてもよい。本発明において、ジグザグ形状のパターンを有するスリットのセグメントは、(1) スリットのセグメントが直線形状のパターンを含まない、又は、(2) スリットの方向が(空間領域/次元において)どれだけ頻繁に変更されるかにかかわらず、スリットのセグメントが、前後に方向を変更する/変化させる、ということを指してもよい。
【0159】
要約すると、本発明は、第1のフラップの運動に対して反対方向に向かって運動する第3のフラップを利用して、第2の通気口の通気開口部を広げ、その結果、音響抵抗を減少させる。さらに、本発明は、ジグザグ形状のスリットを利用して、スリット長を長くし、その結果、音響抵抗を減少させる。
【0160】
当業者は、本発明の教示を維持しながら、デバイス及び方法の数多くの修正及び変更を行うことが可能であるということを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付されている特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気デバイスであって、当該通気デバイスは、
アンカー構造と、
前記アンカー構造に固定されて、第1の通気口及び第2の通気口を形成するように構成される薄膜と、を含み、
前記薄膜は、第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含み、
前記薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し、前記第1の通気口及び前記第2の通気口が形成されるときに、前記第1の体積及び前記第2の体積は接続され、
前記第1のフラップは、第1の方向に向かって運動するように作動され、且つ、前記第2のフラップは、前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されて、前記第1の通気口を形成し、
前記第1のフラップは、前記第1の方向に向かって運動するように作動され、且つ、前記第3のフラップは、前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されて、前記第2の通気口を形成する、
通気デバイス。
【請求項2】
前記第1のフラップは、前記第2のフラップに隣接し、前記第1のフラップは、前記第3のフラップに隣接する、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項3】
前記薄膜は、前記第1のフラップ、前記第2のフラップ、及び前記第3のフラップから分離されている第4のフラップをさらに含む、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項4】
前記第1のフラップは、前記第2のフラップに隣接する第1の自由エッジ及び前記第3のフラップに隣接する第2の自由エッジを含み、前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップとの間に形成される、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項5】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第1の自由エッジは、前記第1のアンカーエッジに対向し、前記第2の自由エッジは、前記第1の自由エッジと前記第1のアンカーエッジとの間に存在する、請求項4に記載の通気デバイス。
【請求項6】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジ、及び、前記第3の自由エッジと前記第2のアンカーエッジとの間の第4の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第4の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第5の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項7】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ及び前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第3の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第6の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項8】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジ、及び、前記第3の自由エッジと前記第2のアンカーエッジとの間の第4の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第3の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第5の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項9】
前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジに対向する第3の自由エッジ、及び、前記第3の自由エッジと前記第2のアンカーエッジとの間の第4の自由エッジを含み、
前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジ、前記第3のアンカーエッジに対向する第5の自由エッジ、及び、前記第5の自由エッジと前記第3のアンカーエッジとの間の第6の自由エッジを含み、
前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記第1の自由エッジと前記第2のフラップの前記第4の自由エッジとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記第2の自由エッジと前記第3のフラップの前記第6の自由エッジとの間に形成される、請求項5に記載の通気デバイス。
【請求項10】
前記第1のフラップは、前記第2のフラップに隣接する自由エッジを有し、前記第2のフラップは、前記第1のフラップに隣接するエッジを有し、前記第1の通気口は、前記第1のフラップの前記自由エッジと前記第2のフラップの前記エッジとの間に形成され、前記第1のフラップの前記自由エッジ及び前記第2のフラップの前記エッジは、鋸刃形状のエッジである、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項11】
前記第1のフラップは、前記第3のフラップに隣接する自由エッジを有し、前記第3のフラップは、前記第1のフラップに隣接するエッジを有し、前記第2の通気口は、前記第1のフラップの前記自由エッジと前記第3のフラップの前記エッジとの間に形成され、前記第1のフラップの前記自由エッジ及び前記第3のフラップの前記エッジは、鋸刃形状のエッジである、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項12】
当該通気デバイスは、第1のモード、第2のモード、又は第3のモードで動作させられる、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項13】
前記第1のモードにおいて、前記薄膜は、第1の場所にあるように保たれるように作動され、前記第1の場所は、当該通気デバイスが配置されるベースに対して平行である、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項14】
前記第2のモードにおいて、前記第1のフラップは、前記第1の方向に向かって運動するように作動され、前記第2のフラップ及び前記第3のフラップは、前記第1の方向とは反対の前記第2の方向に向かって運動するように作動され、それによって、前記第1の通気口及び前記第2の通気口が形成される、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項15】
前記第3のモードにおいて、前記薄膜又は前記第1のフラップに配置されているアクチュエータには電力が印加されず、前記第2のフラップ及び前記第3のフラップは、第1の場所の下に存在し、前記第1の場所は、当該通気デバイスが配置されるベースに平行である、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項16】
前記第2のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の合計のサイズは、前記第3のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の合計のサイズよりも大きく、前記第3のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の前記合計のサイズは、前記第1のモードにおける前記第1の通気口及び前記第2の通気口の合計のサイズよりも大きい、請求項12に記載の通気デバイス。
【請求項17】
当該通気デバイスは、ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されるか、又は、前記ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されるように構成され、
前記ウェアラブルサウンドデバイスは、イヤホン又は補聴器であり、
前記ウェアラブルサウンドデバイスは、音響変換を実行するように構成される音響トランスデューサを含む、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項18】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第2のアンカーエッジ及び前記第3のアンカーエッジは、前記第1のアンカーエッジに平行である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項19】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第2のアンカーエッジ及び前記第3のアンカーエッジは、前記第1のアンカーエッジに垂直である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項20】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第1のアンカーエッジ及び前記第2のアンカーエッジは、前記第3のアンカーエッジに垂直である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項21】
前記第1のフラップは、第1のアンカーエッジを含み、前記第2のフラップは、第2のアンカーエッジを含み、前記第3のフラップは、第3のアンカーエッジを含み、
前記第1のアンカーエッジ、前記第2のアンカーエッジ、及び前記第3のアンカーエッジは、前記アンカー構造に固定され、
前記第1のアンカーエッジ及び前記第3のアンカーエッジは、前記第2のアンカーエッジに垂直である、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項22】
デバイスであって、当該デバイスは、
アンカー構造と、
前記アンカー構造に固定されて、通気口を形成するように構成される薄膜と、を含み、
前記薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し、前記通気口が形成されるときに、前記第1の体積及び前記第2の体積は、前記通気口を介して接続され、
スリットが前記薄膜に形成され、前記スリットにより、前記通気口が形成され、
前記スリットのセグメントは、前記薄膜においてジグザグ形状になっている、
デバイス。
【請求項23】
前記スリットは、鋸刃形状のパターン、歯のパターン、台形形状のパターン、矩形形状のパターン、正弦パターン、又は多項式パターンとなっているジグザグ形状のパターンを有する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
通気デバイスの製造方法であって、当該製造方法は、
第1の層及び第2の層を含むウェハを提供するステップであって、前記第1の層は、薄膜を含む、ステップと、
前記ウェハの前記第1の層をパターニングして、複数のスリットを形成し、それによって、前記薄膜は、前記スリットによって互いに分離される第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含む、ステップと、を含み、
前記薄膜は、前記複数のスリットにより、複数の通気口を形成するように制御されるように構成され、
前記スリットは、第1のスリット及び第2のスリットを含み、前記通気口は、第1の通気口及び第2の通気口を含み、
前記第1のスリットは、前記第1のフラップと前記第2のフラップとの間に形成され、前記第2のスリットは、前記第1のフラップと前記第3のフラップとの間に形成される、
製造方法。
【請求項25】
鋸刃形状のパターン、歯のパターン、台形形状のパターン、矩形形状のパターン、多項式パターン、及び正弦パターンのうちの1つとなっているパターンを有するように、前記第1のスリット又は前記第2のスリットを形成するステップを含む、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
請求項24に記載の製造方法によって製造される前記通気デバイスの中で適用される通気方法であって、
第1の方向に向かって前記第1のフラップを作動させるステップと、
前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって前記第2のフラップ及び前記第3のフラップを作動させるステップと、を含み、
前記第1の通気口は、前記第1のスリットにより、前記第1のフラップと前記第2のフラップとの間に形成され、前記第2の通気口は、前記第2のスリットにより、前記第1のフラップと前記第3のフラップとの間に形成される、
通気方法。
【請求項27】
通気デバイスの製造方法であって、当該製造方法は、
第1の層及び第2の層を含むウェハを提供するステップであって、前記第1の層は、薄膜を含む、ステップと、
前記ウェハの前記第1の層をパターニングして、ジグザグ形状になっているスリットを形成するステップであって、前記ジグザグ形状になっているスリットは、前記薄膜においてジグザグ形状になっており、方向に向かって延び、前記薄膜は、前記ジグザグ形状になっているスリットによって互いに分離される第1のフラップ及び第2のフラップを含む、ステップと、を含み、
前記薄膜は、通気口を形成するように制御されるように構成され、前記通気口は、前記ジグザグ形状になっているスリットにより形成される、
製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気デバイス(venting device)、通気デバイスの製造方法、通気方法(venting method)及びデバイスに関し、特に、閉塞効果(occlusion effect)を排除することが可能である通気デバイス、関連する製造方法、関連する通気方法及び関連するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、一般的に、音声を生成し又は音声を受信するのに、(外耳道(ear canal)に挿入する)インイヤ型の(耳の中に入れる)イヤホン(in-ear earbuds)、オンイヤ型の(on-ear)(耳の上にのせる)イヤホン(earphones)又はオーバーイヤ型の(over-ear)(耳全体を覆う)イヤホン等のウェアラブルサウンドデバイス(wearable sound devices)を使用する。磁石ベースの及び可動コイル(moving coil (MMC))ベースのマイクロスピーカは、数十年にわたって開発され、数多くのそのようなデバイスの中で広く使用されている。近年、半導体製造プロセスを利用する微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System (MEMS))音響トランスデューサ(acoustic transducers)は、ウェアラブルサウンドデバイスの中の音声生成/受信構成要素(sound producing/receiving components)となっている場合がある。
【0003】
閉塞効果(occlusion effect)は、外耳道の密閉されている体積(sealed volume of ear canal)が聴取者によって大きく知覚される音圧(loud perceived sound pressure by the listener)を引き起こすことに起因する。例えば、その閉塞効果は、聴取者が骨伝導音(bone-conducted sound)を生成する(例えば、歩く、ジョギングする、話す、食べる、音響トランスデューサに触れる等の)特定の動作を行い、(例えば、自身の外耳道の中がウェアラブルサウンドデバイスで満たされている、といったように)ウェアラブルサウンドデバイスを使用している間に発生する。閉塞効果は、加速度ベースの音圧レベル(SPL)生成(acceleration based sound pressure level (SPL) generation)(SPL∝a=dD2/dt2)と圧縮ベースの音圧レベル生成(compression based SPL generation)(SPL∝D)との間の相違により、特に、低音に対して強くなる(strong toward bass)。例えば、20[Hz]で1[μm]にすぎない変位(displacement)は、(25[mm]は、成人の外耳道の平均の長さであるが)閉塞されている外耳道(occluded ear canal)の中にSPL=1[μm]/25[mm atm]=106[dB]を生じさせるであろう。したがって、閉塞効果が発生する場合に、その聴取者は、閉塞雑音(occlusion noise)を聞き、聴取者体験の質は劣悪となる。
【0004】
従来の技術では、ウェアラブルサウンドデバイスは、外耳道とデバイスの外部環境(ambient external to the device)との間に存在する空気流チャネル(airflow channel)を有し、それによって、この空気流チャネルからその閉塞効果が引き起こす圧力を解放して、閉塞効果を抑制する(suppress the occlusion effect)ことが可能である。ところが、空気流チャネルは常に存在するので、周波数応答においては、(例えば、500[Hz]よりも小さな)より低い周波数におけるSPLは有意に低下する。例えば、伝統的なウェアラブルサウンドデバイスが典型的な115[dB]スピーカドライバを使用している場合に、20[Hz]でのSPLは、110[dB]よりもはるかに低くなる。加えて、その空気流チャネルを形成するように構成される固定の通気口のサイズがより大きい場合に、SPLの低下はより大きくなるとともに、水及びほこりの保護はより困難になるであろう。
【0005】
場合によっては、伝統的なウェアラブルサウンドデバイスは、典型的な115[dB]スピーカドライバよりもより強力なスピーカドライバを使用して、空気流チャネルの存在に起因するより低い周波数におけるSPLの損失を補償することが可能である。例えば、SPLの損失が20[dB]であると仮定すると、その空気流チャネルの存在の下で同じ115[dB]のSPLを維持するのに必要とされるスピーカドライバは、密閉されている外耳道の中で使用される場合には、135[dB]のSPLとなるであろう。一方で、低音を10倍強く出力するためには、スピーカ薄膜の移動量(speaker membrane travel)を同様に10倍増加させる必要があり、その移動量の増加は、スピーカドライバのコイル及び磁束ギャップ(magnet flux gap)の双方の高さを10倍高くする必要があるということを意味する。このようにして、強力なスピーカドライバを有する伝統的なウェアラブルサウンドデバイスを小型のサイズにするとともに軽量化することは困難である。
【0006】
したがって、従来技術を改良して、閉塞効果を抑制する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
1. 米国特許出願第17/344,983号
2. 米国特許出願公開第US 2020/0211521 A1号
3. 米国特許出願公開第US 2019/0098390 A1号
4. 米国特許出願公開第US 2013/0121509 A1号
5. 米国特許出願公開第US 2016/0176704 A1号
6. 米国特許出願公開第US 2017/0021391 A1号
7. 米国特許出願公開第US 2017/0325030 A1号
8. 米国特許出願公開第US 2020/0213770 A1号
9. 米国特許出願公開第US 2020/0178000 A1号
10. 米国特許出願公開第US 2020/0100033 A1号
11. 米国特許出願公開第US 2019/0039880 A1号
12. 米国特許出願公開第US 2012/0053393 A1号
13. 米国特許第US 8,724,200 B1号
14. 米国特許出願公開第US 2019/0349665 A1号
15. 米国特許出願公開第US 2017/0164115 A1号
16. 米国特許出願公開第US 2017/0217761 A1号
17. 米国特許出願公開第US 2007/0007858 A1号
18. 米国特許出願公開第US 2017/0201192 A1号
19. 米国特許出願公開第US 2017/0260044 A1号
20. 米国特許出願公開第US 2013/0223023 A1号
21. 米国特許出願公開第US 2015/0163599 A1号
22. 韓国特許出願公開第10-2015-0030691号
23. 中国特許出願公開第111063790号
24. 特開2020-031444号公報
25. 特開2009-512375号公報
26. 米国特許出願公開第US 2006/0131163 A1号
27. 米国特許第US 11,399,228 B2号
28. 米国特許第US 11,323,797 B2号
29. 韓国特許出願公開第10-2010-0002351号
30. 特開平11-307441号公報
31. 米国特許出願公開第US 2018/0120938 A1号
32. 米国特許出願公開第US 2014/0140558 A1号
33. 米国特許出願公開第US 5,970,998 A号
34. 米国特許出願公開第US 2011/0051985 A1号
35. 米国特許出願公開第US 2003/0029705 A1号
36. 米国特許出願公開第US 2018/0020194 A1号
37. 米国特許出願公開第US 2019/0215620 A1号
38. 米国特許出願公開第US 2020/0193973 A1号
39. 米国特許第US 10,367,540 B1号
40. 中国特許出願公開第107223346号
41. 中国特許出願公開第105009604号
42. 中国特許出願公開第104540776号
43. 韓国特許出願公開第10-2017-0139320号
44. 米国特許出願公開第US 2017/0041708 A1号
45. 国際公開第WO 2019/177324 A1号
46. 米国特許出願公開第US 2015/0237438 A1号
47. 米国特許出願公開第US 2020/0244275 A1号
48. 米国特許出願公開第US 2015/0204940 A1号
49. 中国特許出願公開第101785327号
50. 中国特許出願公開第106937193号
51. 中国特許出願公開第108702575号
52. 中国特許出願公開第110022506号
53. 中国特許出願公開第209402687号
54. 米国特許出願公開第US 2017/0040012 A1号
55. 米国特許出願公開第US 2019/0208343 A1号
56. 米国特許出願公開第US 2020/0178003 A1号
57. 米国特許出願公開第US 2016/0381464 A1号
58. 米国特許出願公開第US 2019/0181776 A1号
59. 米国特許出願公開第US 2008/0267416 A1号
60. 米国特許出願公開第US 2011/0181150 A1号
61. 米国特許出願公開第US 2020/0352788 A1号
62. 台湾特許出願公開第202203662号
63. 米国特許出願公開第US 2020/0196067 A1号
64. 米国特許出願公開第US 2018/0002168 A1号
【非特許文献】
【0008】
1. HYONSE KIM ET AL, A slim type microvalve driven by PZT films, Sensors and Actuators A: PHYSICAL, 18 January, 2005, pages 162-171, Vol. 121, Elsevier B. V., XP027806904
2. Shen Guohao et al., Structure optimization design for capacitive silicon-based MEMS microphone, Semiconductor Devices, Vol. 43, No. 12, p.912-917, China Academic Journal Electronic Publishing House.
3. HUA Qing et al., Acoustoeletric model of piezoelectric microphone with package structure, Transducer and Microsystem Technologies, 2018 Vol. 37, No. 11, p.42-44, China Academic Journal Electronic Publishing House.
4. Chen Guidong et al., Highly sensitive MEMS humidity sensor based on candle-soot nanoparticle layer, Micronanoelectronic Technology, Vol. 57, No.1, p.36-40, p.48, China Academic Journal Electronic Publishing House
5. Wang Zhicheng, Stylish structure and innovative features of new generation speakers, Household Electric Appliances, Issue 12, 2003, p.38-40, China Academic Journal Electronic Publishing House
6. ZHOU Xiao-wei et al., Preliminary evaluation of predicative performance of BAHA softband in the conductive or mixed hearing loss patients, Journal of Otolaryngology and Ophthalmology of Shandong University, Vol. 29, Issue No. 2, 2015, p. 28-30, China Academic Journal Electronic Publishing House.
7. Stefan Liebich et al., active occlusion cancellation with hear-through equalization for headphones, Institute of Communication Systems, 2018 IEEE international conference on acoustics, speech and signal processing. Canada
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の第1の目的は、閉塞効果を抑制することが可能である通気デバイスを提供することである。また、この通気デバイスの製造方法、関連する通気方法、及び関連するデバイスを提供する。
【0010】
本発明のある1つの実施形態は、通気デバイス(venting device)を提供し、その通気デバイスは、アンカー構造(anchor structure)及び薄膜(membrane)を含む。その薄膜は、アンカー構造に固定され(anchored on the anchor structure)、第1の通気口及び第2の通気口を形成する(form a first vent and a second vent)ように構成される。その薄膜は、第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含む。薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し(partitions a space into a first volume and a second volume)、第1の通気口及び第2の通気口を形成するときに、第1の体積及び第2の体積は接続される。第1のフラップは、第1の方向に向かって移動するように作動させられ、第2のフラップは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように作動させられて、第1の通気口を形成する。第1のフラップは、第1の方向に向かって移動するように作動させられ、第3のフラップは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように作動させられて、第2の通気口を形成する。
【0011】
本発明のある1つの実施形態は、デバイスを提供し、そのデバイスは、アンカー構造及び薄膜を含む。その薄膜は、アンカー構造に固定され、通気口を形成するように構成される。薄膜は、第1の体積及び第2の体積へと空間を区分化し、通気口を形成するときに、第1の体積及び第2の体積は、その通気口を介して接続される。薄膜にスリットが形成され、スリットにより通気口が形成される。スリットのセグメントは、薄膜の上にジグザグに形成される(A segment of the slit zigzags on the membrane)。
【0012】
本発明のある1つの実施形態は、通気デバイスの製造方法を提供する。その製造方法は、第1の層及び第2の層を含むウェハを提供する(providing a wafer including a first layer and a second layer)ステップであって、第1の層は、薄膜(membrane)を含む、ステップと、ウェハの第1の層をパターニングして(patterning the first layer of the wafer)、複数のスリットを形成し、それによって、薄膜は、スリットによって互いに分離される第1のフラップ、第2のフラップ、及び第3のフラップを含む(includes a first flap, a second flap and a third flap separated from each other by the slits)、ステップと、を含む。薄膜は、複数のスリットにより、複数の通気口を形成するように制御されるように構成される。それらの複数のスリットは、第1のスリット及び第2のスリットを含み、通気口は、第1の通気口及び第2の通気口を含む。第1のスリットは、第1のフラップと第2のフラップとの間に形成され、第2のスリットは、第1のフラップと第3のフラップとの間に形成される。
【0013】
本発明のある1つの実施形態は、上記の通気デバイスに関連する通気方法を提供する。その通気方法は、第1の方向に向かって第1のフラップを作動させる(actuating the first flap toward a first direction)ステップと、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって第2のフラップ及び第3のフラップを作動させる(actuating the second flap and the third flap toward a second direction opposite to the first direction)ステップと、を含む。第1のスリットにより、第1のフラップと第2のフラップとの間に第1の通気口が形成され、第2のスリットにより、第1のフラップと第3のフラップとの間に第2の通気口が形成される。
【0014】
本発明のある1つの実施形態は、通気デバイスの製造方法を提供する。その製造方法は、第1の層及び第2の層を含むウェハを提供する(providing a wafer including a first layer and a second layer)ステップであって、第1の層は,膜を薄含む、ステップと、ウェハの第1の層をパターニングして、ジグザグ形状のスリットを形成する(patterning the first layer of the wafer to form a zigzagging slit)ステップであって、そのジグザグ形状のスリットは、薄膜の上にジグザグに形成され(the zigzagging slit zigzags on the membrane)、ある方向に延び、薄膜は、ジグザグ形状のスリットによって互いに分離される第1のフラップ及び第2のフラップを含む(the membrane includes a first flap and a second flap separated from each other by the zigzagging slit)。薄膜は、通気口を形成するように制御されるように構成され、ジグザグ形状のスリットにより通気口が形成される。
【0015】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、さまざまな図及び図面に図示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、間違いなく、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図2】本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイス及び筐体構造(housing structure)を図示している断面図の概略的な図である。
図3】本発明の第1の実施形態にしたがって第1のモードとなっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。
図4】本発明の第1の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。
図5】本発明の第1の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスを図示している概略的な図である。
図6】本発明の第1の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスの複数の通気口の側面図を図示している概略的な図である。
図7】本発明の第1の実施形態にしたがって第3のモードとなっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。
図8】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。
図9】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。
図10】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図11】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図12】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図13】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図14】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図15】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図16】本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。
図17】本発明の第2の実施形態にしたがって第2のモード及び第3のモードとなっている通気デバイスの複数の通気口の側面図を図示している概略的な図である。
図18】本発明の第3の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図19】本発明の第3の実施形態にしたがって第2のモードとなっている通気デバイスの複数の通気口の側面図を図示している概略的な図である。
図20】本発明の第4の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図21】本発明の第5の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図22】本発明の第6の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図23】本発明の第7の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
図24】本発明の第8の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者が本発明をより良好に理解できるようにするために、以下の説明において、主要な構成要素のための複数の好ましい実施形態及び典型的な材料又は範囲パラメータを詳細に説明するつもりである。複数の番号を付した要素を使用して複数の添付の図面の中で本発明のそれらの複数の好ましい実施形態を図示して、達成される内容及び効果を詳しく説明する。それらの複数の図面は単純化されている概略的な図であり、主要な構成要素の材料及びパラメータ範囲は、今日の技術に基づいて例示され、したがって、本発明と関連する構成要素及び組み合わせのみを示して、本発明の基本的な構造、実装方法又は動作方法についてより明確な説明を提供しているということに留意するべきである。それらの複数の構成要素は、実際にはより複雑であり、使用されるパラメータの範囲又は材料は、将来的な技術の進歩に伴って進化する場合がある。加えて、説明を容易にするために、それらの複数の図面に示されている複数の構成要素は、実際の数、形状、及び寸法を表していない場合があり、詳細は、設計要件にしたがって調整されてもよい。
【0018】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、"を包含する(include)"、"含む(comprise)"、及び"有する(have)"の語は、上限又は制約のない方法で使用され、したがって、"これらには限定されないが、…を包含する"を意味すると解釈されるべきである。このようにして、"包含する"、"含む"、及び/又は"有する"の語が本発明の説明の中で使用されるときに、対応する特徴、領域、ステップ、操作、及び/又は構成要素は、これらには限定されないが、対応する特徴、領域、ステップ、操作、及び/又は構成要素のうちの1つ又は複数の存在を指すであろう。
【0019】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、"A1構成要素がB1によって形成される/B1から形成される"ときに、B1は、A1構成要素の形成過程で存在するか、又は、B1は、A1構成要素の形成過程で使用され、他の特徴、領域、ステップ、操作、及び/又は構成要素のうちの1つ又は複数の存在及び使用は、A1構成要素の形成過程で除外されない。
【0020】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、"実質的に"の語は、一般的に、小さな偏差が存在してもよく又は存在しなくてもよいということを意味する。例えば、"実質的に平行である"及び"実質的に沿って"の語は、2つの構成要素の間の角度が、例えば、10度、5度、3度又は1度等のある特定のしきい値以下であってもよいということを意味する。例えば、"実質的に整列されている"の語は、2つの構成要素の間の偏差が、例えば、2[μm]又は1[μm]等のある特定の差のしきい値以下であってもよいということを意味する。例えば、"実質的に同じである"の語は、偏差が、例えば、所定の値又は範囲の10%の範囲内であるということ、或いは、所定の値又は範囲の5%、3%、2%、1%、又は0.5%の範囲内であるということを意味する。
【0021】
明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"水平方向"の語は、一般的に、水平面に平行である方向を意味し、"水平面"の語は、一般的に、図面の中での方向X及び方向Yに平行である表面を意味し(すなわち、本発明の方向X及び方向Yは、水平方向であると考えられてもよく)、"垂直方向"の語及び"上面図方向"の語は、一般的に、図面の中での方向Zに平行であり且つ水平方向に垂直である方向を意味し、方向X、方向Y、及び方向Zは、互いに垂直である。明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"上面図"の語は、一般的に、垂直方向に沿って観察される観察結果を意味する。明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"側面図"の語は、一般的に、水平方向に沿って観察される観察結果を意味する。明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、"断面図"の語は、一般的に、垂直方向に沿って切断される構造が水平方向に沿って観察されるということを意味する。
【0022】
第1の、第2の、第3の等の語は、多様な構成要素を説明するのに使用されてもよいが、そのような構成要素は、それらの語によっては限定されない。それらの語は、明細書の中で他の構成要素からある1つの構成要素を判別するのに使用されるにすぎず、明細書が説明していない場合には、それらの語は、製造の順序には関係していない。請求項は、同じ語を使用しなくてもよく、むしろ、ある1つの要素が請求項に記載される順序に関して第1の、第2の、第3の等の語を使用してもよい。したがって、以下の明細書において、第1の構成要素は、ある請求項の中の第2の構成要素であってもよい。
【0023】
以下で説明される複数の異なる実施形態における複数の技術的特徴は、本発明の趣旨から離れることなく、他の実施形態を構成するために置き換えられ、再結合され、又は互いに混合されてもよいということに留意するべきである。
【0024】
本発明において、閉塞効果(occlusion effect)を抑制することが可能である(capable of suppressing)通気デバイス(又は、MEMS通気デバイス)は、音響装置に関連していてもよく、及び/又は、(例えば、ウェアラブルサウンドデバイス等の)音響装置の中に配置されてもよい。例えば、通気デバイスは、これらには限定されないが、(例えば、インイヤデバイス等の)ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されてもよい。
【0025】
本発明において、音響装置(acoustic apparatus)は、音響トランスデューサ(acoustic transducer)を含んでもよく、その音響トランスデューサは、音響変換(acoustic transformation)を実行するように構成され、その音響変換は、音響波(acoustic wave)へと(例えば、電気信号又は他の適切なタイプの信号等の)信号を変換してもよく、又は、(例えば、電気信号等の)他の適切なタイプの信号へと音響波を変換してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、音響トランスデューサは、これらには限定されないが、音声生成デバイス(sound producing device)、スピーカ、マイクロスピーカ、又は他の適切なデバイスであってもよく、音響波へと電気信号を変換してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、音響トランスデューサは、これらには限定されないが、音声測定デバイス(sound measuring device)、マイクロホン、又は他の適切なデバイスであってもよく、電気信号へと音響波を変換してもよい。本発明の通気デバイスの存在により、閉塞効果は抑制され、ユーザが、音響装置が提供する音響変換を良好に体験するようになるであろう。
【0026】
以下では、本発明の通気デバイスは、音響波を発生させるように構成されるウェアラブルサウンドデバイスに関連していてもよく、ウェアラブルサウンドデバイスの中に配置されてもよい。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスは、イヤホン又は補聴器であってもよい。以下の説明は、当業者に本発明をより良く理解させるように構成されている。
【0027】
閉塞雑音を軽減するために、米国特許第US 11,323,797号は、音響トランスデューサ又は通気デバイスを開示し、その音響トランスデューサ又は通気デバイスは、通気口を形成するように構成される第1のフラップ及び第2のフラップを含んで、それらのフラップが分離する2つの体積の圧力を平衡させる。圧力平衡(逃がし(relief))効率を改善するために、通気口に対応する音響抵抗(acoustic resistance)は、可能な限り小さくなる必要がある。音響抵抗を減少させる簡単なアプローチは、(例えば、膜設計によってフラップの長さ又は幅を増加させる、といったように)2つのフラップの寸法を増加させること、又は、(開いたモードとなっているフラップの変位を増加させることによって)通気開口部(vent opening)を拡大すること、のいずれかである。フラップの寸法を増加させると、通気デバイスのサイズが大きくなる場合があり、一方で、通気開口部を拡大すると、強い機械音響結合(strong mechanical-acoustic coupling)のために、(例えば、1[KHz]乃至10[KHz]等の)敏感なオーディオ帯域の中で厳しいノッチ効果をもたらす場合がある。上記で説明されているアプローチがもたらす効果は望ましくはない。
【0028】
本発明においては、(単純にフラップの寸法/変位を増加させるだけでない)音響抵抗を減少させる通気デバイスを開示する。
【0029】
具体的には、それらの間に第1の通気口(first vent)が形成される第1のフラップと第2のフラップに加えて、通気デバイスは、第1のフラップと第3のフラップとの間に形成される第2の通気口(second vent)の通気開口部(vent opening)を拡大する(enlarge)ように構成される第3のフラップを含んで、音響抵抗を減少させる。さらに、(直線として形成されるスリット(slit formed as straight line)である)直線形状のスリット(straight-line slit)の代わりに、薄膜の上にジグザグパターンとなるように(in a zigzagging pattern)スリットを形成して、音響抵抗を減少させてもよい。
【0030】
図1及び図2を参照すると、図1は、本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイス(venting device)を図示している上面図の概略的な図であり、図2は、本発明の第1の実施形態にしたがった通気デバイス及びハウジング構造(housing structure)を図示している断面図の概略的な図である。図1及び図2に示されているように、通気デバイス100は、ベースBSに配置されてもよい。ベースBSは、硬質(hard)であってもよく又は可撓性(flexible)であってもよく、ベースBSは、シリコン(silicon)、ゲルマニウム(germanium)、ガラス(glass)、プラスチック(plastic)、石英(quartz)、サファイア(sapphire)、金属(metal)、(ポリイミド(polyimide (PI))、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate (PET))等の)ポリマー(polymer)、任意の他の適切な材料又はそれらの組み合わせを含んでもよい。ある1つの例として、ベースBSは、これらには限定されないが、(銅張積層板(copper clad laminate)、CCL等の)ラミネートを含む回路基板(circuit board)、ランドグリッドアレイ(land grid array (LGA))基板(board)、又は導電性材料を含む任意の他の適切な基板であってもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、ベースBSは、基板(substrate)であってもよい。
【0031】
図2において、ベースBSは、方向X及び方向Yに平行である上表面SH(top surface SH)を有する(すなわち、ベースBSの上表面SHは、水平平面(horizontal plane)である)。図2において、ベースBSの上表面SHの法線方向は、方向Zに平行である。
【0032】
通気デバイス100は、少なくとも1つのアンカー構造(anchor structure)140及び薄膜(membrane)110を含み、その薄膜110は、そのアンカー構造140によって固定され/アンカー構造140に固定され(anchored by/on the anchor structure 140)、そのアンカー構造140は、薄膜110の外側に配置されてもよい(例えば、図5において、アンカー構造140は、薄膜110を取り囲んでもよい)。薄膜110及びアンカー構造140は、任意の適切な材料を含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、薄膜110及びアンカー構造140は、これらには限定されないが、個別に、(例えば、単結晶シリコン(single crystalline silicon)又は多結晶シリコン(poly-crystalline silicon)等の)シリコン(silicon)、(例えば、炭化ケイ素(silicon carbide)、酸化シリコン(silicon oxide)等の)シリコン化合物(silicon compound)、ゲルマニウム(germanium)、ゲルマニウム化合物(germanium compound)、ガリウム(gallium)、(例えば、窒化ガリウム(gallium nitride)又は砒化ガリウム(gallium arsenide)等の)ガリウム化合物(gallium compound)、他の適切な材料、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、薄膜110及びアンカー構造140は、同じ材料を有してもよい。
【0033】
通気デバイス100の操作において、薄膜110は、運動を有する(have a movement)ように作動されてもよく(may be actuated)、アンカー構造140は、固定され(immobilized)てもよい。すなわち、アンカー構造140は、通気デバイス100の動作の際に、薄膜110に関して固定されている端(fixed end)(又は、固定されているエッジ)となっていてもよい(may be a fixed end (or fixed edge) respecting the membrane 110)。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、薄膜110は、これらには限定されないが、上方向及び下方向に運動する(move upwards and downwards)ように作動されてもよい。本発明において、"上方向に運動する(move upwards)"及び"下方向に運動する(move downwards)"の語は、薄膜110が、実質的に方向Zに沿って運動するということを表す。さらに、"上方向"は、方向Z(すなわち、+Z方向)を指してもよく、"下方向"は、方向Zとは反対の方向(すなわち、-Z方向)を指してもよい。
【0034】
図1及び図2に示されているように、通気デバイス100の薄膜110は、少なくとも1つのスリット130を含み、薄膜110は、スリット130によって複数のフラップ112に分割され(divided)てもよく、フラップ112は、スリット130によって互いに分離され(separated from each other by the slit(s) 130)、フラップ112の数は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、図1及び図2に示されているように、薄膜110は、スリット130によって、第1のフラップ112a、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、第4のフラップ112d、第5のフラップ112e、及び第6のフラップ112fに分割されてもよい。各々のスリット130は、薄膜110の境界(boundary)及び/又はフラップ112の境界となっていてもよい。
【0035】
本発明においては、フラップ112の配列(arrangement)は、要件に基づいて設計されてもよい。図1において、フラップ112は、これらには限定されないが、(例えば、3×2アレイ等の)アレイ状に配列され(arranged)てもよい。図1において、これらには限定されないが、第1のフラップ112aは、方向Yにおいて第2のフラップ112bと隣接して(adjacent to the second flap 112b in the direction Y)いてもよく、第3のフラップ112cは、方向Yにおいて第4のフラップ112dと隣接していてもよく、第5のフラップ112eは、方向Yにおいて第6のフラップ112fと隣接していてもよく、第1のフラップ112aは、方向Xにおいて第3のフラップ112c及び第5のフラップ112eと隣接していてもよく(すなわち、第1のフラップ112aは、方向Xにおいて第3のフラップ112cと第5のフラップ112eとの間に存在する)、第2のフラップ112bは、方向Xにおいて第4のフラップ112d及び第6のフラップ112fと隣接していてもよい。
【0036】
薄膜110のフラップ112は、アンカー構造140に固定される(anchored on the anchor structure 140)少なくとも1つのアンカーエッジ(anchor edge)(又は、アンカーエンド(anchor end))と、通気デバイス100の中のいずれの構成要素にも永久的には固定されない(not permanently anchored on any component)少なくとも1つの自由エッジ(free edge)(又は、自由エンド(free end))と、を有し、各々のフラップ112のアンカーエッジ及び自由エッジは、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、図1及び図2に示されている各々のフラップ112において、フラップ112は、これらには限定されないが、1つのアンカーエッジを有し、アンカーエッジ以外のフラップ112のエッジは、自由エッジとして機能するように固定されてはいない(non-anchored to serve as free edges)。図1及び図2において、これらには限定されないが、第1のフラップ112aは、アンカー構造140に固定される第1のアンカーエッジAE1を有してもよく、第2のフラップ112bは、アンカー構造140に固定される第2のアンカーエッジAE2を有してもよく、第3のフラップ112cは、アンカー構造140に固定される第3のアンカーエッジAE3を有してもよく、第4のフラップ112dは、アンカー構造140に固定される第4のアンカーエッジAE4を有してもよく、第5のフラップ112eは、アンカー構造140に固定される第5のアンカーエッジAE5を有してもよく、第6のフラップ112fは、アンカー構造140に固定される第6のアンカーエッジAE6を有してもよく、第1のアンカーエッジAE1、第2のアンカーエッジAE2、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5及び第6のアンカーエッジAE6以外のこれらのフラップ112のエッジは、自由エッジである。
【0037】
図1において、これらには限定されないが、第1のフラップ112a、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、同じ側に固定され(anchored on the same side)、第2のフラップ112b、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、同じ側に固定され、それによって、第1のフラップ112a、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、それぞれ、方向Yにおいて、第2のフラップ112b、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fと対向していてもよい。図1において、これらには限定されないが、第1のアンカーエッジAE1、第2のアンカーエッジAE2、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5、及び第6のアンカーエッジAE6は、(例えば、方向X等の)同じ方向に平行であってもよい。
【0038】
本発明において、フラップ112の形状は、要件に基づいて設計されてもよい。フラップ112の形状は、(例えば、長方形(rectangle)等の)多角形(polygon)であってもよく、(例えば、円(circle)、楕円(oval)等の)曲面エッジを有する形状(shape having a curved edge)であってもよい。例えば、図1において、これらには限定されないが、各々のフラップ112は、長方形の形状であってもよく、それによって、各々のフラップ112は、1つのアンカーエッジ及び3つの自由エッジを含む。
【0039】
第1のフラップ112aにおいて、自由エッジFE1_1は、方向Yにおいて第1のアンカーエッジAE1と対向し、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE1_3は、自由エッジFE1_1と第1のアンカーエッジAE1との間で方向Xにおいて互いに対向している。第2のフラップ112bにおいて、自由エッジFE2_1は、方向Yにおいて第2のアンカーエッジAE2と対向し、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE2_3は、自由エッジFE2_1と第2のアンカーエッジAE2との間で方向Xにおいて互いに対向している。第3のフラップ112cにおいて、自由エッジFE3_1は、方向Yにおいて第3のアンカーエッジAE3と対向し、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE3_3は、自由エッジFE3_1と第3のアンカーエッジAE3との間で方向Xにおいて互いに対向している。第4のフラップ112dにおいて、自由エッジFE4_1は、方向Yにおいて第4のアンカーエッジAE4と対向し、自由エッジFE4_2及び自由エッジFE4_3は、自由エッジFE4_1と第4のアンカーエッジAE4との間で方向Xにおいて互いに対向している。第5のフラップ112eにおいて、自由エッジFE5_1は、方向Yにおいて第5のアンカーエッジAE5と対向し、自由エッジFE5_2及び自由エッジFE5_3は、自由エッジFE5_1と第5のアンカーエッジAE5との間で方向Xにおいて互いに対向している。第6のフラップ112fにおいて、自由エッジFE6_1は、方向Yにおいて第6のアンカーエッジAE6と対向し、自由エッジFE6_2及び自由エッジFE6_3は、自由エッジFE6_1と第6のアンカーエッジAE6との間で方向Xにおいて互いに対向している。
【0040】
本発明において、薄膜110の中に含まれるスリット130の数は、要件に基づいて調整されてもよく、スリット130は、薄膜110の任意の適切な場所(suitable position)に配置されてもよく、任意の適切な平面パターン(top-view pattern)を有する。例えば、スリット130は、直線形状のスリット(straight slit)、曲線状のスリット(curved slit)、直線形状のスリットの組み合わせ、曲線状のスリットの組み合わせ、又は直線形状のスリット及び曲線状のスリットの組み合わせであってもよい。
【0041】
図1において、スリット130は、第1のスリット131、第2のスリット132、及び第3のスリット133を含み、第1のスリット131は、第1のフラップ112aと第2のフラップ112bとの間に、第3のフラップ112cと第4のフラップ112dとの間に、及び第5のフラップ112eと第6のフラップ112fとの間に形成され、第2のスリット132は、第1のフラップ112aと第3のフラップ112cとの間に、及び第2のフラップ112bと第4のフラップ112dとの間に形成され、第3のスリット133は、第1のフラップ112aと第5のフラップ112eとの間に、及び第2のフラップ112bと第6のフラップ112fとの間に形成される。図1において、スリット130は、随意的に、第4のスリット134及び第5のスリット135を含んでもよく、第4のスリット134及び第5のスリット135は、薄膜110の周囲に形成されて、薄膜110の境界(boundaries)を定義する(例えば、第4のスリット134及び第5のスリット135は、図5に示されているアンカー構造140と薄膜110との間に形成される)。図1に示されているように、第3のフラップ112c及び第4のフラップ112dは、第2のスリット132と第4のスリット134との間に存在してもよく、第5のフラップ112e及び第6のフラップ112fは、第3のスリット133と第5のスリット135との間に存在してもよい。第1のスリット131は、これらには限定されないが、方向Xに沿って延びてもよく(may extend along the direction X)、第2のスリット132、第3のスリット133、第4のスリット134、及び第5のスリット135は、方向Yに沿って延びてもよい。
【0042】
図1において、これらのスリット130は、フラップ112のいくつかの自由エッジを定義する。第1のスリット131は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1を定義してもよい。第2のスリット132は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3、及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3を定義してもよい。第3のスリット133は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2を定義してもよい。第4のスリット134は、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2を定義してもよい。第5のスリット135は、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3を定義してもよい。
【0043】
このようにして、フラップ112の配列(arrangement)及びスリット130の配列によれば、図1において、これらには限定されないが、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、自由エッジFE1_2、及び自由エッジFE1_3は、それぞれ、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eに隣接してもよく(may be respectively adjacent to)、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、自由エッジFE2_2、及び自由エッジFE2_3は、それぞれ、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fに隣接してもよく、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び自由エッジFE3_3は、それぞれ、第4のフラップ112d及び第1のフラップ112aに隣接してもよく、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1及び自由エッジFE4_3は、それぞれ、第3のフラップ112c及び第2のフラップ112bに隣接してもよく、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1及び自由エッジFE5_2は、それぞれ、第6のフラップ112f及び第1のフラップ112aに隣接してもよく、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1及び自由エッジFE6_2は、それぞれ、第5のフラップ112e及び第2のフラップ130bに隣接してもよい。
【0044】
通気デバイス100は、アクチュエータ120を含み、そのアクチュエータ120は、薄膜110に配置され、薄膜110を作動させるように構成される。例えば、図1及び図2において、そのアクチュエータ120は、これらには限定されないが、薄膜110と接触していてもよい。図1及び図2に示されているように、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、方向Zにおいて薄膜110と完全には重なっていなくてもよい。
【0045】
図1及び図2に示されているように、アクチュエータ120は、薄膜110の複数のフラップ112に配置されている複数の作動させる部分(a plurality of actuating portions)を含んでもよい。例えば(図1に示されているように)、アクチュエータ120は、第1のフラップ112aに配置されている第1の作動させる部分120a、第2のフラップ112bに配置されている第2の作動させる部分120b、第3のフラップ112cに配置されている第3の作動させる部分120c、第4のフラップ112dに配置されている第4の作動させる部分120d、第5のフラップ112eに配置されている第5の作動させる部分120e、及び第6のフラップ112fに配置されている第6の作動させる部分120fを含む。
【0046】
アクチュエータ120は、方向Zに沿った薄膜110の運動に関して単調な電気機械変換機能(monotonic electromechanical converting function)を有する。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)、静電アクチュエータ(electrostatic actuator)、ナノスコープ静電駆動(nanoscopic-electrostatic-drive (NED))アクチュエータ、電磁アクチュエータ(electromagnetic actuator)、又は任意の他の適切なアクチュエータを含んでもよい。例えば、ある1つの実施形態において、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、圧電アクチュエータを含んでもよく、その圧電アクチュエータは、例えば、2つの電極及び(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(lead zirconate titanate)、PZT等の)圧電材料層(piezoelectric material layer)を含んでもよく、その圧電材料層は、それらの2つの電極の間に配置され、その圧電材料層は、電極が受信する(例えば、駆動電圧(driving voltages)及び/又はそれらの2つの電極の間の駆動電圧差(driving voltage difference)等の)駆動信号(driving signals)に基づいて、薄膜110を作動させてもよい。例えば、他の実施形態において、アクチュエータ120は、(例えば、平面コイル(planar coil)等の)電磁アクチュエータを含んでもよく、その電磁アクチュエータは、(例えば、駆動電流(driving current)等の)受信した駆動信号及び磁場(magnetic field)に基づいて薄膜110を作動させてもよい(すなわち、薄膜110は、電磁力(electromagnetic force)によって作動されてもよい)。例えば、さらに別の実施形態において、アクチュエータ120は、これらには限定されないが、(例えば、導電性板(conducting plate)等の)静電アクチュエータ又はNEDアクチュエータを含んでもよく、それらの静電アクチュエータ又はNEDアクチュエータは、(例えば、駆動電圧等の)受信した駆動信号及び静電場(electrostatic field)に基づいて、薄膜110を作動させてもよい(すなわち、薄膜110は、静電力(electrostatic force)によって作動されてもよい)。以下では、アクチュエータ120は、例えば、圧電アクチュエータであってもよい。
【0047】
この実施形態において、通気デバイス100は、随意的に、ベースBSの上表面SHに配置されているチップを含んでもよく、そのチップは、少なくとも、薄膜110、アンカー構造140、及びアクチュエータ120を含んでもよい。そのチップの製造方法は限定されない。例えば、この実施形態において、チップは、これらには限定されないが、少なくとも1つの半導体プロセスによって形成されて、MEMSチップとなってもよく、それによって、薄膜110は、MEMS構造となってもよい。
【0048】
加えて、図2に示されているように、ベースBSと薄膜110との間にチャンバCB(chamber CB)が存在してもよい。図2に示されているように、ベースBSは、背面開口部BVT(back opening BVT)をさらに含んでもよく、チャンバCBは、その背面開口部BVTを通じて通気デバイス100の後方外側(rear outside)(すなわち、ベースBSのスペースバック(space back))に接続されてもよい。
【0049】
図2に示されているように、通気デバイス100及びベースBSは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの内側のハウジング構造HSSの中に配置される。図2において、そのハウジング構造HSSは、第1のハウジング開口部HO1(first housing opening HO1)及び第2のハウジング開口部HO2(second housing opening HO2)を有してもよく、その第1のハウジング開口部HO1は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道(ear canal)に接続されてもよく、第2のハウジング開口部HO2は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲(an ambient of the wearable sound device WSD)に接続されてもよく、薄膜110は、第1のハウジング開口部HO1と第2のハウジング開口部HO2との間に存在する。ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその周囲は、外耳道の内側に存在しなくてもよい(例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその周囲は、耳の外側の空間に直接的に接続されてもよい)ということに留意するべきである。さらに、図2において、ベースBSと薄膜110との間にチャンバCBが存在してもよいので、チャンバCBは、ベースBSの背面開口部BVT及びハウジング構造HSSの第2のハウジング開口部HO2を通じて、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその周囲に接続されてもよい。
【0050】
図2に示されているように、通気デバイス100の薄膜110は、第1の体積VL1(first volume VL1)及び第2の体積VL2(second volume VL2)へと、ハウジング構造HSSの中に形成される空間を区分化し(partitions)、その第1の体積VL1は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道に接続され、その第2の体積VL2は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲に接続される。図2において、第1の体積VL1は、ハウジング構造HSSの第1のハウジング開口部HO1に接続され、第2の体積VL2は、ハウジング構造HSSの第2のハウジング開口部HO2に接続される。このようにして、第1の体積VL1は、第1のハウジング開口部HO1を通じてウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道に接続されるように構成され、第2の体積VL2は、第2のハウジング開口部HO2を通じてウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲に接続されるように構成される。図2に示されているように、チャンバCBは、第2の体積VL2の一部となっている。
【0051】
ハウジング構造HSSは、実用的な要件に基づいて設計されてもよく、図2に示されているハウジング構造には限定されないということに留意するべきである。通気口130Tを形成するときに、第1の体積VL1及び第2の体積VL2が接続される限り、本発明の要件は満たされる。
【0052】
薄膜110の複数のフラップ112は、個別に、アクチュエータ120によって上方向及び下方向に運動する(move upwards and downwards)ように作動されてもよい。さらに、図3乃至図7を参照すると、図3は、本発明の第1の実施形態にしたがった第1のモード/閉じたモード(a first/close mode)となっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図であり、図4は、本発明の第1の実施形態にしたがった第2のモード/開いたモード(a second/open mode)となっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図であり、図5は、本発明の第1の実施形態にしたがった第2のモードとなっている通気デバイスを図示している概略的な図であり、図6は、本発明の第1の実施形態にしたがった第2のモードとなっている通気デバイスの側面図を図示している概略的な図であり、図7は、本発明の第1の実施形態にしたがった第3のモード/快適モード(a third/comfort mode)となっている通気デバイスを図示している断面図の概略的な図である。図1乃至図7に示されているフラップ112において、それらのフラップ112の対応するアンカーエッジに対向する自由エッジFE1_1、FE2_1、FE3_1、FE4_1、FE5_1、及びFE6_1は、上下運動(up-and-down movements)を実行するように構成されていてもよい。この要件に基づいて、それらの自由エッジFE1_1、FE2_1、FE3_1、FE4_1、FE5_1、及びFE6_1の上下運動の運動方向(moving directions)は、同じであってもよく又は反対であってもよく、それらの自由エッジFE1_1、FE2_1、FE3_1、FE4_1、FE5_1、及びFE6_1の上下運動の移動距離(moving distances)は、同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0053】
図1乃至図7に示されているように、薄膜110(フラップ112)は、アクチュエータ120によって上方向又は下方向に運動するように作動され/制御されてもよく、それによって、スリット130に関連する複数の通気口130Tが形成され/開放され又は閉鎖され(すなわち、薄膜110は、通気口130Tを形成し/開放し又は閉鎖するように構成される)、各々の通気口130Tは、スリット130の複数の対向する側壁(すなわち、スリット130が定義する複数の自由エッジ)の間に形成される(formed between opposite sidewalls of the slit 130)。すなわち、スリット130により(又は、そのスリット130に)通気口130Tが形成される。本発明においては、2つの異なるフラップ112の間に各々の通気口130Tが形成される。"通気口130Tが閉鎖されている/密閉されている(closed/sealed)"状態においては、空気は、スリット130の複数の対向する側壁の間の空間を通じて第1の体積VL1と第2の体積VL2との間には流れにくく、その流れにくさは、通気口130Tの音響抵抗(acoustic resistance)が大きいか又はしきい値よりも大きいということを意味する。"通気口130Tが形成される"状態においては、空気は、スリット130の2つの対向する側壁の間の空間を通じて第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れやすく、その流れやすさは、通気口130Tの音響抵抗が低いか又は他のしきい値よりも低いということを意味する。
【0054】
図1において、通気口130Tは、第1の通気口131T、第2の通気口132T、及び第3の通気口133Tを含む。第1のスリット131により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1と第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1との間に、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1との間に、及び、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1との間に、第1の通気口131Tが形成されてもよい。第2のスリット132により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2と第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3との間に、第2の通気口132Tが形成されてもよい。第3のスリット133により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3と第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2との間に、第3の通気口133Tが形成されてもよい。
【0055】
(例えば、また、閉じたモード(close mode)として知られている図2及び図3等の)第1のモードM1において通気デバイス100を動作させて、通気口130Tを一時的に閉鎖するか又はさらに一時的に密閉する(make the vents 130T temporarily closed or even temporarily sealed)ときに、第1の体積VL1は、実質的に、第2の体積VL2から切り離され、それによって、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲及びウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道は、実質的に、互いに分離される(隔離される)(separated (isolated) from each other)。反対に、(例えば、また、開いたモードとして知られている図4及び図5等の)第2のモード/開いたモードM2において通気デバイス100を動作させて、通気口130Tを一時的に形成する(make the vents 130T temporarily formed)ときに、第1の体積VL1は、通気口130Tを通じて第2の体積VL2に接続されるように構成され、それによって、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲及びウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道は、互いに接続される。このようにして、第2のモード/開いたモードM2における通気口130Tの合計のサイズは、第1のモード/閉じたモードM1における通気口130Tの合計のサイズよりもはるかに大きくなる。例えば、複数の通気口130Tの各々において、第1のモード/閉じたモードM1となっているその通気口130Tのサイズは、第2のモード/開いたモードM2となっているその通気口130Tのサイズよりもはるかに小さい。"通気口130Tのサイズ"の語は、(フラップ112の複数の自由エッジ等の)関連するスリット130の複数の対向する側壁の間の領域であり、"通気口130Tの合計のサイズ"は、通気口130Tのすべてのサイズの総和であるということに留意するべきである。
【0056】
同様に、通気開口部は、複数のフラップの複数のエッジの間の距離/偏差によって評価されてもよい。それらの複数のフラップの複数のエッジの間の距離/偏差が大きくなるほど、通気開口部は大きくなる。
【0057】
それらの間に第1の通気口131Tが形成される第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bのほかに、通気デバイス100は、第3のフラップ112cを含み、その第3のフラップ112cは、第1のフラップ112aが運動する方向とは反対の方向に向かって運動することが可能であるということに留意するべきである。図5から理解することができるように、(例えば、第1のフラップ112aが上方向に運動する間に、第3のフラップ112cは下方向に運動する、といったように)第3のフラップ112cが第1のフラップ112aが運動する方向に関して反対の方向に向かって運動するときに、第1のフラップ112a及び第3のフラップ112cが同じ方向に向かって運動する場合又は第1のフラップ112aの近くにフラップが存在しない場合と比較して、第2の通気口132Tの通気するための開口部(venting opening)は拡大される。拡大されている第2の通気口132Tのために、第2のモード/開いたモードM2において、通気デバイス100の音響抵抗を減少させることが可能であり、第1の体積VL1と第2の体積VL2との間の圧力平衡(pressure balancing)を達成する時間を短縮することが可能である。
【0058】
随意的に、通気デバイス100は、(例えば、また、快適モードとして知られている図7等の)第3のモードM3で動作させられ、第3のモードM3(快適モード)における通気口130Tの合計のサイズは、第1のモードM1(閉じたモード)における通気口130Tの合計のサイズよりも大きく、且つ、第2のモードM2(開いたモード)における通気口130Tの合計のサイズよりも小さい。例えば、それらの複数の通気口130Tの各々において、第3のモードM3におけるその通気口130Tのサイズは、第1のモード/閉じたモードM1におけるその通気口130Tのサイズよりも大きく、且つ、第2のモード/開いたモードM2におけるその通気口130Tのサイズよりも小さい。
【0059】
上記で説明されているモードによれば、第1のモード/閉じたモードM1(first/close mode M1)において第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる第1の空気流(first airflow)は、第2のモード/開いたモードM2(second/open mode M2)において第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる第2の空気流(second airflow)よりもはるかに小さく、第3のモード/快適モードM3(third/comfort mode M3)において第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる第3の空気流(third airflow)は、第1の空気流よりも大きく、且つ、第2の空気流よりも小さい。
【0060】
音響抵抗の観点から、通気デバイス100は、Rac,M2<Rac,M3<Rac,M1の特性を有し、Rac,M2、Rac,M3、及びRac,M1は、それぞれ、第2のモード/開いたモードM2における通気デバイス100又は通気口130Tの音響抵抗、第3のモード/快適モードM3における通気デバイス100又は通気口130Tの音響抵抗、及び、第1のモード/閉じたモードM1における通気デバイス100又は通気口130Tの音響抵抗を表す。
【0061】
図2及び図3は、第1のモード/閉じたモードM1における通気デバイス100のある1つの例を示し、図2及び図3は、例えば、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bを示す。図2及び図3に示されているように、薄膜110は、ベースBSの上表面SHに平行である又は実質的に平行である第1の場所(first position)にあるように作動され及び保たれて(actuated and maintained as a first position)、通気口130Tを閉鎖し及び密閉する(make the vents 130T closed and sealed)。例えば、図2及び図3において、スリット130の2つの対向する側壁(すなわち、同じスリット130に関連する異なるフラップ112の2つの自由エッジ)は、水平方向において部分的に又は完全に重なって(すなわち、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1は、方向Yにおいて互いに重なる)、通気口130Tを閉鎖する。薄膜110は複数のフラップ112を有するので、フラップ112のすべては、それらのフラップ112の第1の場所にあるように作動され及び保たれて、第1のモード/閉じたモードM1において通気口130Tを閉鎖する。
【0062】
図2及び図3に示されているように、薄膜110が第1の場所にあるように作動され及び保たれるので、ベースBSの上表面SHに平行である水平平面(horizontal plane)の中のスリット130の2つの対向する側壁(すなわち、同じスリット130に関連する異なるフラップ112の2つの自由エッジ)の間にギャップ130P(gap 130P)が存在し、そのギャップ130Pは、これらには限定されないが、幅方向にスリット130に沿った空間(a space widthwise along the slit 130)を指すものとし、ギャップ130の幅は、スリット130の幅に等しくてもよく又は実質的に等しくてもよい(may be equal to or substantially equal to)。スリット130の幅(ギャップ130Pの幅)は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、スリット130の幅は、これらには限定されないが、5[μm]以下であってもよく、3[μm]以下であってもよく、2[μm]以下であってもよく、又は、1[μm]乃至2[μm]の範囲であってもよい。第1のモード/閉じたモードM1における通気口130Tのサイズは、ギャップ130Pの幅と同等になる(equivalent to)ということに留意するべきである。
【0063】
ギャップ130Pの幅は、十分に小さい必要があるので、ギャップ130P(すなわち、狭いチャネル)を通る空気流は、流体力学の分野において境界層効果(boundary layer effect)として知られているように、空気流経路(airflow pathways)の壁に沿った粘性力(viscous forces)/抵抗に起因して大きく減衰される場合がある。したがって、第1のモードM1においてギャップ130Pを通って第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる空気流は、非常に小さいか又は無視することが可能である(significantly small or negligible)。言い換えると、通気デバイス100が第1のモードM1となっているときに、通気口130Tは閉じられ、さらには密閉される。
【0064】
第1のモード/閉じたモードM1の場合に、第1のモードM1においてギャップ130Pを通って第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れる空気流は、非常に小さいか又は無視することが可能であるので、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザは、可聴周波数範囲の全体(whole audio frequency range)において(例えば、高性能サウンド等の)高性能の音響変換(acoustic transformation)を経験し、その音響変換は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの音響トランスデューサによって提供される。
【0065】
図4乃至図6は、第2のモード/開いたモードM2における通気デバイス100のある1つの例を示し、図4は、例えば、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bを示し、図6は、方向Yに沿った第1の通気口131Tの側面図及び方向Xに沿った第2の通気口132Tの側面図を示している。図4及び図5に示されているように、(例えば、自由エッジFE1_1等の)第1のフラップ112a、(例えば、自由エッジFE4_1等の)第4のフラップ112d、及び(例えば、自由エッジFE6_1等の)第6のフラップ112fは、第1の方向に向かって運動するように作動されてもよく、(例えば、自由エッジFE2_1等の)第2のフラップ112b、(例えば、自由エッジFE3_1等の)第3のフラップ112c、及び(例えば、自由エッジFE5_1等の)第5のフラップ112eは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されてもよく、それによって、一時的に通気口130Tを形成してもよい。すなわち、自由エッジFE1_1、FE4_1、FE6_1の第1の上下運動(first up-and-down movement)の運動方向(moving direction)は、自由エッジFE2_1、FE3_1、FE5_1の第2の上下運動(second up-and-down movement)の運動方向とは反対である。すなわち、2つの隣接するフラップ112は、第2のモードM2においては、反対の方向に向かって運動してもよい。図4及び図5に示されているように、第1の方向及び第2の方向は、方向Zに実質的に平行であってもよい。例えば、これらには限定されないが、第1の方向は、方向Zと同じ方向(すなわち、+Z方向)であってもよく、第2の方向は、方向Zとは反対の方向(すなわち、-Z方向)であってもよく、それによって、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、上方向に運動し(move upwards)、そして、それらのフラップの第1の場所よりも上に移動する(move above their first positions)ように作動されてもよく、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、下方向に運動し(move downwards)、そして、それらのフラップの第1の場所より下に移動する(move below their first positions)ように作動されてもよい。図4及び図5に示されているように、第2のモードM2におけるフラップ112の運動にしたがって、方向Zにおけるそれらのフラップの関連するスリット130の2つの対向する側壁の間に通気口130Tが一時的に形成される。第2のモードM2におけるフラップ112の運動は、通気デバイス100の通気方法となっているということに留意するべきである。
【0066】
本発明において、通気口130Tの側面形状は、(例えば、長方形等の)多角形であってもよく、曲面エッジを有する形状であってもよく、又はその他の適切な形状であってもよい。例えば、図5及び図6に示されているように、第1の通気口131Tは、これらには限定されないが、方向Zに形成されてもよく、(例えば、長方形等の)四角形形状を有してもよく、第1の通気口131Tの上側エッジは、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1から形成されてもよく、第1の通気口131Tの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、及び第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1から形成されてもよい。例えば、図5及び図6に示されているように、第2の通気口132Tは、これらには限定されないが、方向Zに形成されてもよく、(例えば、ひし形(diamond)等の)四角形形状を有してもよく、第2の通気口132Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3から形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの下側エッジは、それぞれ、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3及び第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2から形成されていてもよい。例えば、第3の通気口133Tは、これらには限定されないが、第2の通気口132Tと同様であってもよく、それによって、第3の通気口133Tは、方向Zに形成されてもよく、(例えば、ひし形等の)四角形形状を有してもよく、第3の通気口133Tの4つのエッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2から形成されていてもよい。
【0067】
図6に示されているように、第2のモード/開いたモードM2においては、第1の通気口131Tのサイズは、第2の通気口132Tのサイズ及び第3の通気口133Tのサイズより大きくてもよい。このようにして、この実施形態において、これらには限定されないが、第1の通気口131Tは、主たる通気口/主要な通気口(main/primary vent)であってもよく、第2の通気口132T及び第3の通気口133Tは、副次的な通気口/補助的な通気口(side/secondary vents)であってもよい。
【0068】
一時的に通気口130Tを形成するときに、空気流は、薄膜110の2つの側面の間の圧力差に起因して第1の体積VL1と第2の体積VL2との間を流れるように形成されてもよく、それによって、閉塞効果が引き起こす圧力を開放してもよく(すなわち、外耳道とウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲との間の圧力差は、通気口130Tを通って流れる空気流によって解放されてもよい)、その結果、閉塞効果を抑制する。さらに、通気デバイス100は、第2のモードM2において、複数の通気口130Tを形成するので、閉塞効果を抑制する効率及び効果を高めることが可能である。閉塞効果を抑制する効率及び効果は、通気口130Tのサイズ及び/又は通気口130Tの合計のサイズを増加させることによって高められてもよい。
【0069】
したがって、図3及び図4に示されているように、第1のモード/閉じたモードM1において、スリット130の2つの対向する側壁の間にギャップ130Pが存在し、第2のモード/開いたモードM2において、スリット130の2つの対向する側壁の間に通気口130Tが存在する。ギャップ130Pの幅は、十分に小さく、それによって、第1のモードM1においてギャップ130Pを通る第1の空気流は、第2のモードM2において通気口130Tを通る第2の空気流と比較して(例えば、第2の空気流の10%よりも小さい、といったように)無視することが可能である。
【0070】
図3に図示されているモードのような第1のモード/閉じたモードM1から図4に示されているモードのような第2のモード/開いたモードM2への遷移(transition)の際に、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、上方向に運動してもよく、一方で、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、下方向に運動してもよい。反対に、図4に示されている第2のモードM2から再び図3に示されている第1のモードM1へと遷移する際に、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、下方向に運動してもよく、一方で、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、上方向に運動してもよい。
【0071】
加えて、第1のモードM1から第2のモードM2への遷移の際に、又は、第2のモードM2から再び第1のモードM1へと遷移する際に、自由エッジFE1_1(また、自由エッジFE4_1及び自由エッジFE6_1)は、方向Zにおいて第1の変位Uz_a(first displacement Uz_a)を有するように作動されてもよく、自由エッジFE2_1(また、自由エッジFE3_1及び自由エッジFE5_1)は、方向Zにおいて第2の変位Uz_b(second displacement Uz_b)を有するように作動されてもよい。第1のモードM1から第2のモードM2への遷移の際に、第1の変位Uz_a及び第2の変位Uz_bの総和(sum)は、薄膜110の厚さ(thickness)よりも大きくてもよい。
【0072】
ある1つの実施形態において、第1の変位Uz_a及び第2の変位Uz_bは、距離がほぼ等しくてもよい(may be of substantially equal in distance)が、方向が反対であってもよい。第1の変位Uz_a及び第2の変位Uz_bは、(一時的に)対称となってもよい。自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1の運動(また、自由エッジFE4_1及び自由エッジFE3_1の運動、及び、自由エッジFE6_1及び自由エッジFE5_1の運動)は、縦方向にほぼ等しい(substantially equal length wise)が、任意の時間的な期間にわたって方向が反対となる(opposite in direction over any period of time)。すなわち、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bに関して、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bが、(図3に示されているように)第1のモードM1となるそれらのフラップの第1の場所にあるように保たれる場合に、薄膜110が、第2のモードM2へと変化するように作動されるとき、又は、(例えば、第1のモードM1から第2のモードM2への遷移等の)第1のモードM1と第2のモードM2との間での遷移の状態となるように作動されるときは、第1の場所を基準とする第1のフラップ112aの移動距離(a moving distance of the first flap 112a respecting its first position)は、(図4に示されているように)第1の場所を基準とする第2のフラップ112bの移動距離と等しくてもよい。
【0073】
第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fは、第1の方向に向かって運動するように作動されるので、第1の空気運動(first air movement)が発生させられ、第1の空気運動の方向は、第1の方向に関連する。第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eは、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって運動するように作動されるので、第2の空気運動(second air movement)が発生させられ、第2の空気運動の方向は、第2の方向に関連する。第1の空気運動及び第2の空気運動は、それぞれ、反対方向に関連してもよいので、フラップ112が、同時に、通気口130Tを形成し/閉鎖するように作動されるときに、第1の空気運動の少なくとも一部及び第2の空気運動の少なくとも一部は、互いに打ち消しあう(cancel each other)場合がある。
【0074】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、自由エッジFE1_1、自由エッジFE4_1、及び自由エッジFE6_1の運動と自由エッジFE2_1、自由エッジFE3_1、及び自由エッジFE5_1の運動とは、それぞれ、対称であるので、フラップ112が、同時に、通気口130Tを形成し及び閉鎖するときに、第1の空気運動の全体及び第2の空気運動の全体は、実質的に、互いに打ち消しあう場合がある。すなわち、通気口130Tの形成及び閉鎖に起因して発生させられる第1の空気運動及び第2の空気運動を含む正味の空気運動は、実質的に0となる。結果として、その正味の空気運動は、通気口130Tの形成動作及び/又は閉鎖動作の際に、実質的に0となるので、通気口130Tの動作は、通気デバイス100のユーザに知覚可能な音響的な擾乱(acoustic disturbance)を発生させず、通気口130Tの形成動作及び/又は閉鎖動作は"隠された(concealed)"と言われる。
【0075】
図7は、第3のモード/快適モードM3における通気デバイス100のある1つの例を示し、図7は、例えば、第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bを示す。図7に示されているように、薄膜110は、下方に湾曲し(bends downwards)、第1の場所の下方にある(すなわち、薄膜110は、下方に垂れ下がっている(hangs downwards))。すなわち、フラップ112は、下方に湾曲し、且つ、第1の場所の下方にあり、それによって、自由エッジFE1_1、自由エッジFE2_1、自由エッジFE3_1、自由エッジFE4_1、自由エッジFE5_1、及び自由エッジFE6_1は、第3のモードM3において、ベースBSに向かって運動し/湾曲してもよい。
【0076】
図3図4、及び図7に示されているように、第3のモード/快適モードM3(図7)における通気口130Tのサイズは、第1のモード/閉じたモードM1(図3)における通気口130Tのサイズ(すなわち、ギャップ130Pの幅)よりも大きく、第2のモード/開いたモードM2(図4)における通気口130Tのサイズよりも小さい。すなわち、通気口130Tは、第3のモードM3においてわずかに開いている。"通気口130Tがわずかに開いている"状態では、スリット130の2つの対向する側壁の間の空間を通って第1の体積VL1と第2の体積VL2との間で少量の空気漏れが発生する場合がある。
【0077】
例えば、図7において、スリット130の2つの対向する側壁(すなわち、同じスリット130に関連する異なるフラップ112の2つの自由エッジ)は、部分的又は完全に、水平方向において互いに重なり合う(すなわち、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE1_2は、方向Yにおいて互いに重なり合う)。
【0078】
第1のモードM1又は第2のモードM2から第3のモード/快適モードM3への遷移の際に、フラップ112のすべて又はフラップ112のうちの一部は、下方向に運動して、フラップ112のすべてがそれらのフラップの第1の場所よりも下になるようにしてもよい。第3のモードM3から第1のモードM1又は第2のモードM2への遷移の際に、フラップ112のすべて又はフラップ112のうちの一部は、上方向に運動して、フラップ112のすべてがそれらのフラップの望ましい場所に到達するようにしてもよい。
【0079】
さらに、図3図4、及び図7に示されているように、第1のモードM1、第2のモードM2、第3のモードM3、及び2つのモードの間の遷移において、自由エッジFE1_1、自由エッジFE2_1、自由エッジFE3_1、自由エッジFE4_1、自由エッジFE5_1及び、自由エッジFE6_1は、通気デバイス100の中のいかなる他の構成要素とも物理的に接触しない。
【0080】
本発明の通気デバイス100及び音響変換を実行するように構成される音響トランスデューサを含むウェアラブルサウンドデバイスWSDに関して、その音響トランスデューサの周波数応答の低周波数ロールオフ(low frequency roll-off (LFRO))コーナー周波数(corner frequency)は、通気デバイス100のモードによって影響を受ける。LFROコーナー周波数は、通気口130Tの全体のサイズが増加するのに伴って増加する。したがって、第1のモードM1及び第3のモード/快適モードM3におけるLFROコーナー周波数は低く、第1のモードM1における低周波数のSPL低下及び第3のモードM3における低周波数のSPL低下は、はっきりとはわからず(not evident)、第2のモードM2におけるLFROコーナー周波数は、第1のモードM1及び第3のモードM3におけるLFROコーナー周波数よりも有意に高く、第2のモードM2における低周波数のSPL低下は、はっきりとしている(evident)。通気口130Tは、第3のモードM3においてわずかに開いているので、第3のモードM3におけるLFROコーナー周波数は、第1のモードM1におけるLFROコーナー周波数よりもわずかに高いということに留意するべきである。
【0081】
音響トランスデューサの周波数応答によれば、通気デバイス100の第1のモード/閉じたモードM1は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザが、全体的な可聴周波数範囲において(in whole audio frequency range)(高性能サウンド等の)高性能の音響変換(acoustic transformation with high performance)を体験するようにし、通気デバイス100の第2のモード/開いたモードM2は、閉塞効果を抑制し、通気デバイス100の第3のモード/快適モードM3は、第1のモードM1と第2のモードM2との間の効果が快適モードとして機能するようにさせる。
【0082】
アクチュエータ120は、少なくとも1つの適切な駆動信号を受信して、薄膜110を作動させ、そして、薄膜110がその薄膜110の場所を保ち又は変更するようにさせ、それにより、通気デバイス100のモードが保たれるようにさせ又は変更されるようにさせてもよい。図3図4、及び図7に示されているように、通気デバイス100は、アクチュエータ120が受信する駆動信号に基づいて、第1のモードM1、第2のモードM2、又は第3のモードM3に切り替えられてもよく、それによって、通気口130Tの各々のサイズは、アクチュエータ120に印加される駆動信号にしたがって調整される。薄膜110が複数のフラップ112に分割される場合には、アクチュエータ120の作動させる部分(actuating portions)は、同じ駆動信号を受信してもよく又は異なる駆動信号を受信してもよい。例えば、アクチュエータ120が圧電アクチュエータであるときに、駆動信号は、駆動電圧及び/又は2つの電極の間の駆動電圧差であってもよく、薄膜110の変位及び駆動信号は、線形の関係を有してもよい。
【0083】
以下の記載は、駆動信号を説明し、それらの駆動信号は、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120a及び第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bに印加される。第4のフラップ112dに配置される第4の作動させる部分120d及び第6のフラップ112fに配置される第6の作動させる部分120fに印加される駆動信号は、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aに印加される駆動信号と同じであってもよく、第3のフラップ112cに配置される第3の作動させる部分120c及び第5のフラップ112eに配置される第5の作動させる部分120eに印加される駆動信号は、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bに印加される駆動信号と同じであってもよく、したがって、これらの部分については重複して説明されない。
【0084】
図3に示されているように、第1のモード/閉じたモードM1において、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aは、駆動信号DV1_1を受信し、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bは、駆動信号DV2_1を受信する。第1のフラップ112a及び第2のフラップ112bは、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1にしたがって、第1の場所へと移動し又は第1の場所にあるように保たれて、通気口130Tを閉塞し又は密閉する(close or seal)。駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、要件に基づいて設計されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、これらには限定されないが、駆動信号DV1_1は、第1のしきい値を有する定電圧であってもよく、駆動信号DV2_1は、第2のしきい値を有する定電圧であってもよく、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、同じであってもよく又は実質的に同じであってもよい(すなわち、第1のしきい値は、第2のしきい値と同じであるか又は実質的に同じである)。例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、これらには限定されないが、15[V]であってもよい。
【0085】
図4に示されているように、第2のモード/開いたモードM2において、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aは、駆動信号DV1_2を受信し、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bは、駆動信号DV2_2を受信する。駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2にしたがって、自由エッジFE1_1は、第1の場所の上方向に運動し、自由エッジFE2_1は、第1の場所の下方向に運動して、通気口130Tを形成する。駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2は、要件に基づいて設計されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、駆動信号DV1_2は、第1のしきい値よりも大きな定電圧であってもよく、駆動信号DV2_2は、第2のしきい値よりも小さな定電圧であってもよく、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2は、異なっていてもよく、第2のモードM2における通気口130Tのサイズは、駆動信号DV1_2と駆動信号DV2_2との間の差に関連している。例えば、これらには限定されないが、駆動信号DV1_2は、30[V]であってもよく、駆動信号DV2_2は、0[V]であってもよい。
【0086】
加えて、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2の設計に起因して、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1の運動は、第1の位置に対して一時的に対称となる。例えば、これらには限定されないが、駆動信号DV1_2と第1のしきい値との間の差は、駆動信号DV2_2と第2のしきい値との間の差と同じであってもよい。
【0087】
図7に示されているように、第3のモード/快適モードM3において、第1のフラップ112aに配置される第1の作動させる部分120aは、駆動信号DV1_3を受信し、第2のフラップ112bに配置される第2の作動させる部分120bは、駆動信号DV2_3を受信する。駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3にしたがって、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1は、第1の場所よりも下方向に運動し、それによって、通気口130Tは、わずかに開放する。駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、要件に基づいて設計されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、これらには限定されないが、駆動信号DV1_3は、第1のしきい値よりも小さな定電圧であってもよく、駆動信号DV2_3は、第2のしきい値よりも小さな定電圧であってもよく、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、同じであってもよく又は実質的に同じであってもよい。例えば、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、これらには限定されないが、0[V]又は接地電圧であってもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の作動させる部分120a及び第2の作動させる部分120bは、これらには限定されないが、浮動していてもよい(may be floating)。
【0088】
これらのモードにおける駆動信号にしたがって、通気デバイス100は、第3のモード/快適モードM3において消費電力が最も低い。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第3のモードM3においては、アクチュエータ120には電圧は印加されない(すなわち、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、0[V]又は接地電圧であるか、或いは、アクチュエータ120は、浮動している(floating))。場合によっては、これらには限定されないが、通気デバイス100の電力消費を減少させるために、通気デバイス100は、通常、(例えば、快適モード等の)第3のモードM3となっていてもよく、必要である場合には、通気デバイス100は、第1のモード/閉じたモードM1又は第2のモード/開いたモードM2へと変更されてもよい(例えば、通気デバイス100は、高性能の音響変換のために第1のモードM1へと変更されてもよく、通気デバイス100は、閉塞効果を抑制するために第2のモードM2へと変更されてもよい)。
【0089】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の作動させる部分120aに印加される駆動信号及び第2の作動させる部分120bに印加される駆動信号は、接地電圧に対して単極性であってもよい(may be unipolar with respect to the ground voltage)。例えば、上記で言及されている駆動信号DV1_1、駆動信号DV1_2、駆動信号DV1_3、駆動信号DV2_1、駆動信号DV2_2、及び駆動信号DV2_3によれば、第1の作動させる部分120aに印加される駆動信号及び第2の作動させる部分120bに印加される駆動信号は、これらには限定されないが、0[V]から30[V]の範囲となっていてもよい。
【0090】
本発明においては、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、アクチュエータ120の絶縁破壊電圧(breakdown voltage)を超えず、これらには限定されないが、通気デバイス100の動作を安定させ、又は、通気デバイス100の歪みをより小さくする。
【0091】
図8を参照すると、図8は、本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。図8に示されているように、ウェアラブルサウンドデバイスWSDは、検知デバイス(sensing device)150及びその検知デバイス150に電気的に接続されるコントローラ(controller)160、音響トランスデューサ(acoustic transducer)及び(例えば、通気デバイス100のアクチュエータ120等の)通気デバイス100をさらに含んでもよい。図8において、構成要素SEDは、音響トランスデューサ及び通気デバイス100を含んで、図8を単純且つ明確にする。
【0092】
検知デバイス150は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの外側の任意の必要となる要因を検知し、それに対応して、検知結果を生成する、ように構成されてもよい。例えば、検知デバイス150は、これらには限定されないが、赤外線(IR)検知方法、光学検知方法、音響検知方法、超音響波検知方法、容量性検知方法、又は他の適切な検知方法を使用して、任意の必要となる要因を検知してもよい。
【0093】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気口130Tが形成されるか否かは、検知結果(sensing result)にしたがって決定される。通気口130Tは、検知結果が示す検知されている量が、第1の極性を有するある特定のしきい値と交差するときに形成され、通気口130Tは、検知されている量が、第1の極性とは反対の第2の極性を有するその特定のしきい値と交差するときに閉鎖される。例えば、これらには限定されないが、第1の極性は、小さな値から大きな値への極性であってもよく、第2の極性は、大きな値から小さな値への極性であってもよく、それによって、通気口130Tは、検知されている量が、その特定のしきい値よりも小さな値からその特定のしきい値よりも大きな値へと変化するときに形成され、通気口130Tは、検知されている量が、その特定のしきい値よりも大きい値からその特定のしきい値よりも小さな値へと変化するときに閉鎖される。
【0094】
さらに、複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知結果が示す検知されている量に単調に関連していてもよい(may be monotonically related to the sensed quantity)。すなわち、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている量が増加し又は減少するのに伴って増加し又は減少する。
【0095】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、動きセンサ(motion sensor)を含んでもよく、その動きセンサは、ユーザの身体運動(body motion)及び/又はウェアラブルサウンドデバイスWSDの動きを検出するように構成される。例えば、検知デバイス150は、歩行、ジョギング、会話、食事等の閉塞効果を引き起こす身体運動を検出してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知結果が示す検知されている量は、ユーザの身体運動及び/又はウェアラブルサウンドデバイスWSDの動きを表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている運動に相関付けられる(correlated to the motion sensed)。例えば、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、運動が増加するのに伴って増加する。
【0096】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、近接センサ(proximity sensor)を含んでもよく、その近接センサは、対象物(object)と近接センサとの間の距離を検知するように構成される。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知結果が示す検知されている量は、その対象物とその近接センサとの間の距離を表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている距離に相関付けられる。例えば、通気口130Tは、この距離があらかじめ定められている距離よりも小さいときに形成され、この距離が減少するのに伴って、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は増加する。例えば、ユーザが通気口130Tを形成することを望む場合に、そのユーザは、(例えば、手等の)任意の適切な対象物を使用して、ウェアラブルサウンドデバイスWSDに接近してもよく、その結果、近接センサがこの対象物を検知するようにさせて、それ対応して、その検知結果を生成し、それにより、通気口130Tを形成してもよい。
【0097】
加えて、それらのタップし又はタッチする運動は、また、閉塞効果を引き起こす場合があるので、近接センサは、さらに、ユーザが通気デバイス100を有するウェアラブルサウンドデバイスWSDを(予測可能に(predictably))タップし又はタッチするということを検出するための機能を有してもよい。
【0098】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、力センサ(force sensor)を含んでもよく、その力センサは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのその力センサに加えられる力を検知するように構成され、検知結果が示す検知されている量は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDを押す力を表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている力に相関付けられる。
【0099】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイス150は、随意的に、光センサ(light sensor)を含んでもよく、その光センサは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周辺光を検知するように構成され、検知結果が示す検知されている量は、光センサが検知する周辺光の輝度(luminance)を表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、検知されている周辺光の輝度に相関付けられる。
【0100】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、検知デバイスは、随意的に、マイクロフォン等の音響センサ(acoustic sensor)を含んでもよく、その音響センサは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの外側の音を検知するように構成される。例えば、検知結果が示す検知されている量は、これらには限定されないが、その音響センサが検知する音のSPLを表し、通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)は、音響センサが検知する音に相関付けられる。
【0101】
コントローラ160は、音響トランスデューサ及び通気デバイス100に印加される駆動信号を生成して、音響変換を実行するように音響トランスデューサを制御するとともに、通気デバイス100のモードを制御するように構成される。
【0102】
コントローラ160は、要件に基づいて設計されてもよく、コントローラ160は、任意の適切な構成要素を含んでもよい。例えば、図8において、コントローラ160は、アナログディジタル変換器(analog-to-digital converter (ADC))162、ディジタル信号処理(digital signal processing (DSP))ユニット164、ディジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter (DAC))166、任意の他の適切な構成要素、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、コントローラ160は、これらには限定されないが、集積回路であってもよい。
【0103】
コントローラ160は、通気デバイス100のアクチュエータ120に印加される(例えば、上記で言及されている駆動信号DV1_1、駆動信号DV1_2、駆動信号DV1_3、駆動信号DV2_1、駆動信号DV2_2、及び駆動信号DV2_3等の)駆動信号を生成して、通気デバイス100のモード及び通気口130Tのサイズ(又は、通気口130Tの合計のサイズ)を制御する。このようにして、コントローラ160は、通気デバイス100を制御して、閉塞効果を抑制するために通気口130Tを形成するか、又は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザに全体的な可聴周波数範囲において高い性能の音響変換を体験させるために、通気口130Tを閉鎖する。
【0104】
複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気デバイス100のアクチュエータ120に印加される駆動信号は、これらには限定されないが、検知結果にしたがって生成されてもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、通気口130Tのサイズは、検知結果が示す検知されている量に単調に関連してもよい(may be monotonically related to)ので、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、検知結果が示す検知されている量と単調な関係を有してもよい(may have a monotonic relationship)。
【0105】
検知デバイス150が動きセンサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、動きが増加するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。同様に、検知デバイス150が近接センサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、距離が減少する又は距離がしきい値を下回る値まで減少するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。同様に、検知デバイス150が力センサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、力が増加するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。同様に、検知デバイス150が光センサを含むときに、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、これらには限定されないが、周辺光の輝度が減少するのに伴って、増加してもよい(又は、減少してもよい)。
【0106】
図9を参照して、図9は、本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを図示している概略的な図である。図9に示されているウェアラブルサウンドデバイスWSDは、(例えば、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2等の)複数の音響トランスデューサ(a plurality of acoustic transducers)を含んでもよく、それらの複数の音響トランスデューサは、音響変換を実行するように構成される。すなわち、音響波(acoustic waves)は、それらの音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2によって発生させられ、通気デバイス100は、閉塞効果を抑制するために、通気口130Tを形成し又は閉鎖するように作動されるように構成される。図9に示されているように、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2が発生させる音響波は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBC(front chamber FBC)からウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道(ear canal)へと伝搬してもよい。
【0107】
各々の音響トランスデューサが発生させる音響波の周波数範囲は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、音響トランスデューサのある1つの実施形態は、これらには限定されないが、(例えば、20[Hz]乃至20[kHz]の)人間の可聴周波数範囲(human audible frequency range)をカバーする周波数範囲を有する音響波を発生させてもよい。例えば、音響トランスデューサの他の実施形態は、これらには限定されないが、ある特定の周波数よりも高い周波数を有する音響波を発生させてもよく、それによって、この音響トランスデューサは、高周波数サウンドユニット(high frequency sound unit)(高音再生用のスピーカ(tweeter))であってもよい。例えば、音響トランスデューサの他の実施形態は、これらには限定されないが、ある特定の周波数よりも低い周波数を有する音響波を発生させてもよく、それによって、この音響トランスデューサは、低周波数サウンドユニット(low frequency sound unit)(低音再生用のスピーカ(woofer))であってもよい。その特定の周波数は、これらには限定されないが、(例えば、1.44[kHz]等の)800[Hz]乃至4[kHz]の範囲にある値であってもよいということに留意するべきである。高周波数サウンドユニット及び低周波数サウンドユニットの詳細は、この出願人が出願している米国特許出願第17/153,849を参照してもよいが、簡潔にするためにここでは説明されない。
【0108】
音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2は、同じであってもよく又は異なっていてもよい。例えば、これらには限定されないが、音響トランスデューサSPK1は、高周波数サウンドユニット(高音再生用のスピーカ(tweeter))であってもよく、音響トランスデューサSPK2は、低周波数サウンドユニット(低音再生用のスピーカ(woofer))であってもよい。
【0109】
図9に示されているウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBC(front chamber FBC)は、通気デバイス100が配置されている(図2に示されている)ハウジング構造HSSの中の第1の体積VL1に接続されてもよい。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBCは、ハウジング構造HSSの中の第1の体積VL1に直接的に接続されてもよく、又は、ウェアラブルサウンドデバイスのユーザの外耳道を通ってハウジング構造HSSの中の第1の体積VL1に接続されてもよい。また、図9に示されているウェアラブルサウンドデバイスWSDのバックチャンバBBC(back chamber BBC)は、通気デバイス100が配置されている(図2に示されている)ハウジング構造HSSの中の第2の体積VL2に接続されてもよい。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのバックチャンバBBCは、ハウジング構造HSSの中の第2の体積VL2に直接的に接続されてもよく、又は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲を通じてハウジング構造HSSの中の第2の体積VL2に接続されてもよい。
【0110】
検知デバイス150は、(例えば、マイクロフォン等の)音響センサを含んでもよく、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのフロントチャンバFBC及び/又はバックチャンバBBCの中に配置されてもよく、検知デバイス150は、閉塞イベント(occlusion event)を検出するように構成される。
【0111】
通気デバイス100、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2、及び、検知デバイス150は、コントローラ160に電気的に接続されてもよい。コントローラ160は、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2に音響駆動信号(acoustic driving signals)を印加してもよく、それによって、音響トランスデューサSPK1及び音響トランスデューサSPK2が発生させる音響波は、音響駆動信号に対応していてもよい。コントローラ160は、通気デバイス100に、検知デバイス150の検知結果に基づく駆動信号を印加して、通気口130Tを形成し又は閉鎖してもよい。例えば、コントローラ160は、これらには限定されないが、デバイスコントローラ168a及びデバイスドライバ168bを含んでもよい。例えば、デバイスコントローラ168aは、これらには限定されないが、検知デバイス150が生成する検知結果にしたがって、アクチュエータ120の複数の作動させる部分に印加される又は印加されるべき電圧を決定してもよい。
【0112】
以下の記載において、通気デバイス100の製造の方法の詳細が、さらに例示的に説明されるであろう。以下の製造方法においては、通気デバイス100のアクチュエータ120は、これらには限定されないが、例えば、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)を含んでもよいということに留意するべきである。通気デバイス100のアクチュエータ120は、任意の適切なタイプのアクチュエータを含んでもよい。
【0113】
以下の製造方法においては、形成プロセス(forming process)は、原子層蒸着(atomic layer deposition (ALD))プロセス、化学気相成長(chemical vapor deposition (CVD))プロセス、及び、他の適切なプロセス、又は、それらの組み合わせを含んでもよい。パターニングプロセス(patterning process)は、フォトリソグラフィ(photolithography)、エッチングプロセス(etching process)、他の適切なプロセス、又は、それらの組み合わせを含んでもよい。
【0114】
図10乃至図15を参照すると、図10乃至図15は、本発明のある1つの実施形態にしたがった通気デバイスの製造方法の複数の異なるステージにおける構成を図示している概略的な図である。この実施形態において、通気デバイス100は、これらには限定されないが、MEMSチップとなるように、少なくとも1つの半導体プロセスによって製造されてもよい。図10に示されているように、ウェハWF(wafer WF)が提供され、そのウェハWFは、第1の層WL1(first layer WL1)及び第2の層WL2(second layer WL2)を含んでもよく、ウェハWFは、随意的に、第1の層WL1と第2の層WL2との間に絶縁層WL3(insulating layer WL3)を含んでもよい。
【0115】
第1の層WL1、絶縁層WL3、及び第2の層WL2は、個々に、任意の適切な材料を含んでもよく、それによって、ウェハWFは、任意の適切なタイプとなっていてもよい。例えば、第1の層WL1及び第2の層WL2は、個々に、(例えば、単結晶シリコン(single crystalline silicon)又は多結晶シリコン(poly-crystalline silicon)等の)シリコン(silicon)、(例えば、炭化ケイ素(silicon carbide)、酸化シリコン(silicon oxide)等の)シリコン化合物(silicon compound)、ゲルマニウム(germanium)、ゲルマニウム化合物(germanium compound)、ガリウム(gallium)、(例えば、窒化ガリウム(gallium nitride)又は砒化ガリウム(gallium arsenide)等の)ガリウム化合物(gallium compound)、他の適切な材料、又は、それらの組み合わせを含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の層WL1は、これらには限定されないが、単結晶シリコンを含んでもよく、それによって、ウェハWFは、シリコンオンインシュレータ(silicon on insulator (SOI))ウェハであってもよい。例えば、絶縁層WL3は、これらには限定されないが、(例えば、二酸化シリコン(silicon dioxide)等の)酸化シリコン等の酸化物を含んでもよい。第1の層WL1、絶縁層WL3、及び第2の層WL2の厚さ(thicknesses)は、要件に基づいて個々に調整されてもよい。
【0116】
図10において、補償酸化物層CPS(compensation oxide layer CPS)は、随意的に、ウェハWFの上側に形成されてもよく、その上側(upper side)は、第2の層WL2と対向する第1の層WL1の上表面WL1aよりも上に存在し、それによって、第1の層WL1は、補償酸化物層CPSと第2の層WL2との間に存在する。補償酸化物層CPSの中に含まれる酸化物の材料及び補償酸化物層CPSの厚さは、要件に基づいて設計されてもよい。
【0117】
図10において、第1の導電層CT1(first conductive layer CT1)及び作動材料AM(actuating material AM)は、順番に、(第1の層WL1の上の)ウェハWFの上側に形成されてもよく、それによって、第1の導電層CT1は、作動材料AMと第1の層WL1との間に存在してもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の導電層CT1は、作動材料AMと接触していてもよい。
【0118】
第1の導電層CT1は、任意の適切な導電材料を含んでもよく、作動材料AMは、任意の適切な材料を含んでもよい。複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、これらには限定されないが、第1の導電層CT1は、金属を含んでもよく、作動材料AMは、圧電材料を含んでもよい。例えば、圧電材料は、これらには限定されないが、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)材料を含んでもよい。さらに、第1の導電層CT1及び作動材料AMの厚さは、要件に基づいて個々に調整されてもよい。
【0119】
その次に、図10において、順番に、作動材料AM、第1の導電層CT1、及び補償酸化物層CPSをパターニングしてもよい。
【0120】
図11に示されているように、分離絶縁層SIL(separating insulating layer SIL)は、作動材料AMの上に形成されてもよく、そして、パターニングされてもよい。その分離絶縁層SILの厚さ及びその分離絶縁層SILの材料は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、分離絶縁層SILの材料は、これらには限定されないが、酸化物(oxide)であってもよい。
【0121】
図11に示されているように、第2の導電層CT2(second conductive layer CT2)は、作動材料AM及び分離絶縁層SILの上に形成されてもよく、そして、その次に、第2の導電層CT2は、パターニングされてもよい。第2の導電層CT2の厚さ及び第2の導電層CT2の材料は、要件に基づいて設計されてもよい。例えば、第2の導電層CT2は、これらには限定されないが、金属を含んでもよい。例えば、第2の導電層CT2は、作動材料AMと接触してもよい。
【0122】
作動材料AM、第1の導電層CT1、及び第2の導電層CT2は、アクチュエータ120を構成するように、通気デバイス100のアクチュエータ120の中の複数の下位層(sub-layers)となっていてもよく、そのアクチュエータ120は、圧電アクチュエータ(piezoelectric actuator)を含み、その圧電アクチュエータは、2つの電極及びを2つの電極の間の作動材料AMを含む。
【0123】
図11において、分離絶縁層SILは、第2の導電層CT2の少なくとも一部から第1の導電層CT1の少なくとも一部を分離するように構成されてもよい。
【0124】
図12に示されているように、ウェハWFの第1の層WL1は、パターニングされて、トレンチラインTL(trench line TL)を形成してもよい。図12において、そのトレンチラインTLは、第1の層WL1を取り除いた部分となっている。すなわち、そのトレンチラインTLは、第1の層WL1の2つの部分の間に存在する。
【0125】
図13に示されているように、ウェハWFは、基板SB(substrate SB)及び接着層AL(adhering layer AL)の上に配置され、その接着層ALは、基板SBとウェハWFの第1の層WL1との間に接着される。図13において、アクチュエータ120は、ウェハWFと基板SBとの間に存在する。このステップのために、ウェハWFの第1の層WL1及びウェハWFの上側の構造(すなわち、ウェハWFの上表面WL1aよりも上方の構造)は、後続のステップの中で保護されてもよい。
【0126】
図14に示されているように、ウェハWFの第2の層WL2は、パターニングされて、そのパターニングされた第2の層WL2にアンカー構造140(anchor structure 140)を形成させ、アンカー構造140が固定する薄膜110を第1の層WL1に形成させてもよい。詳細には、ウェハWFの第2の層WL2は、第1の部分及び第2の部分を有してもよく、第2の層WL2の第1の部分は取り除かれてもよく、第2の層WL2の第2の部分はアンカー構造140を形成してもよい。第2の層WL2の第1の部分は取り除かれるので、第1の層WL1は、薄膜110を形成し、薄膜110は、方向Zにおいて、第2の層WL2のその取り除かれる第1の部分に対応する。例えば、第2の層WL2の第1の部分は、これらには限定されないが、深反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching (DRIE))プロセスによって取り除かれてもよい。薄膜110のフラップ112は、ウェハWFの第1の層WL1をパターニングしてトレンチラインTLを形成するときに決定されるということに留意するべきである。
【0127】
随意的に、図14において、これらには限定されないが、ウェハWFの絶縁層WL3が存在するので、ウェハWFの第2の層WL2をパターニングした後に、また、第2の層WL2の第1の部分に対応する絶縁層WL3の一部を取り除いて、第1の層WL1に薄膜110を形成させてもよい。
【0128】
さらに、図14において、第2の層WL2の第2の部分、第2の層WL2の第2の部分と重なる絶縁層WL3の部分、及び、第2の層WL2の第2の部分と重なる第1の層WL1の部分を組み合わせて、アンカー構造140として機能するようにしてもよい。
【0129】
図15に示されているように、適切なプロセスによって、基板SB及び接着層AL(adhering layer AL)を取り除いて、通気デバイス100の製造を完了する。例えば、これらには限定されないが、剥離プロセス(peel-off process)によって、基板SB及び接着層ALを除去してもよい。
【0130】
図15において、第2の層WL2の第1の部分を取り除いて、第1の層WL1の中に含まれる薄膜110を形成するので、トレンチラインTLのために、スリット130は、薄膜110の中に形成され、薄膜110を貫く。スリット130はトレンチラインTLにより形成されるので、トレンチラインTLの幅は、スリット130の要件に基づいて設計されてもよい。例えば、トレンチラインTLの幅は、これらには限定されないが、5[μm]以下であってもよく、3[μm]以下であってもよく、2[μm]以下であってもよく、又は、1[μm]乃至2[μm]の範囲の中にあってもよく、スリット130を望ましい幅としてもよい。
【0131】
本発明の通気デバイス、ウェアラブルサウンドデバイス、及び通気デバイスの製造方法は、上記の実施形態には限定されない。以下において、本発明の他の実施形態を説明する。以下の記載においては、比較を容易にするため、同じ構成要素には同じ符号を付して説明する。以下の説明は、それらの複数の実施形態の各々の間の相違点に関し、反復される部分は、重複して説明されない。
【0132】
図16及び図17を参照すると、図16は、本発明の第2の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している平面図の概略的な図であり、図17は、本発明の第2の実施形態にしたがって第2のモード/開いたモード及び第3のモード/快適モードとなっている通気デバイスの通気口の側面図の概略的な図であり、図17は、方向Yに沿った第1の通気口131Tの側面図を示すとともに、方向Xに沿った第2の通気口132Tの側面図を示す。図16に示されているように、この実施形態と第1の実施形態との間の相違点は、通気デバイス200のフラップ112の配列である。図16において、薄膜110は、これらには限定されないが、4つのフラップ112が2×2のアレイに配列されている。
【0133】
図16において、第1のアンカーエッジAE1(first anchor edge AE1)及び第4のアンカーエッジAE4(fourth anchor edge AE4)は、方向Xに平行であってもよく、第2のアンカーエッジAE2(second anchor edge AE2)及び第3のアンカーエッジAE3(third anchor edge AE3)は、方向Yに平行であってもよい(すなわち、第2のアンカーエッジAE2及び第3のアンカーエッジAE3は、第1のアンカーエッジAE1及び第4のアンカーエッジAE4に対して垂直であってもよい)。第1のフラップ112aにおいて、自由エッジFE1_1は、方向Yにおいて第1のアンカーエッジAE1とは反対にあり、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE1_3は、自由エッジFE1_1と第1のアンカーエッジAE1との間で方向Xにおいて互いに対向している。第2のフラップ112bにおいて、自由エッジFE2_1は、方向Xにおいて第2のアンカーエッジAE2とは反対にあり、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE2_3は、自由エッジFE2_1と第2のアンカーエッジAE2との間で方向Yにおいて互いに対向している。第3のフラップ112cにおいて、自由エッジFE3_1は、方向Xにおいて第3のアンカーエッジAE3とは反対にあり、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE3_3は、自由エッジFE3_1と第3のアンカーエッジAE3との間で方向Yにおいて互いに対向している。第4のフラップ112dにおいて、自由エッジFE4_1は、方向Yにおいて第4のアンカーエッジAE4とは反対にあり、自由エッジFE4_2及び自由エッジFE4_3は、自由エッジFE4_1と第4のアンカーエッジAE4との間で方向Xにおいて互いに対向している。
【0134】
図16において、第1のスリット131は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2、及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1を定義してもよく、第2のスリット132は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3を定義してもよい。さらに、スリット130は、随意的に、薄膜110の周囲に形成される第3のスリット133、第4のスリット134、第5のスリット135、及び第6のスリット136を含んで、薄膜110の境界を定義してもよく、第3のスリット133は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3を定義してもよく、第4のスリット134は、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2を定義してもよく、第5のスリット135は、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3を定義してもよく、第6のスリット136は、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2を定義してもよい。
【0135】
このようにして、フラップ112の配列及びスリット130の配列によれば、図16において、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1及び自由エッジFE1_2は、それぞれ、第2のフラップ112b及び第3のフラップ112cに隣接し、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1及び自由エッジFE2_3は、それぞれ、第4のフラップ112d及び第1のフラップ112aに隣接し、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び自由エッジFE3_2は、それぞれ、第1のフラップ112a及び第4のフラップ112dに隣接し、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1及び自由エッジFE4_3は、それぞれ、第3のフラップ112c及び第2のフラップ112bに隣接する。
【0136】
第1の通気口131Tは、第1のスリット131により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1と第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3との間に、及び、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1との間に形成されてもよい。第2の通気口132Tは、第2のスリット132により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2と第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3との間に形成されてもよい。
【0137】
この実施形態の通気デバイス200のモード操作は、上記で言及されている第1の実施形態のモード操作と同じであり、反復される部分は重複しては説明されない。
【0138】
図16及び図17に示されているように、通気口130Tの側面形状は、上記で言及されている第1の実施形態とは異なる。例えば、図16及び図17に示されているように、(隣り合う2つのフラップ112が反対方向に向かって運動する)第2のモード/開いたモードM2において、これらには限定されないが、第1の通気口130Tは、五角形形状を有するように方向Zに形成され、第1の通気口131Tの上側エッジ(upper edge)は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されてもよく、第1の通気口131Tの2つの下側エッジ(lower edges)は、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2から形成されてもよい。例えば、図16及び図17に示されているように、第2のモード/開いたモードM2において、これらには限定されないが、第2の通気口132Tは、五角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3から形成されてもよく、第2の通気口132Tの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1から形成されてもよい。
【0139】
例えば、図16及び図17に示されているように、これらには限定されないが、(フラップ112のすべてが下に曲がる)第3のモード/快適モードM3において、第1の通気口132Tは、2つの三角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第1の通気口131Tの上側エッジは、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2から形成されてもよく、第1の通気口131Tの下側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されてもよい。例えば、図16及び図17に示されているように、これらには限定されないが、第3のモードM3において、第2の通気口132Tは、2つの三角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3から形成されてもよく、第2の通気口132Tの下側エッジは、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1から形成されてもよい。
【0140】
図18及び図19を参照して、図18は、本発明の第3の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図であり、図19は、本発明の第3の実施形態にしたがって第2のモード/開いたモードとなっている通気デバイスの通気口の側面図を図示している概略的な図であり、図19は、方向Yに沿った第1の通気口131Tの側面図を示すとともに、方向Xに沿った第2の通気口132Tの側面図を示す。図18に示されているように、この実施形態と第1の実施形態との間の相違点は、通気デバイス300のフラップ112の配列である。
【0141】
図18において、第1のアンカーエッジAE1及び第2のアンカーエッジAE2は、方向Xに平行であってもよく、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5、及び第6のアンカーエッジAE6は、方向Yに平行であってもよい(すなわち、第1のアンカーエッジAE1及び第2のアンカーエッジAE2は、第3のアンカーエッジAE3、第4のアンカーエッジAE4、第5のアンカーエッジAE5に対して垂直であってもよい)。第1のフラップ112aにおいて、自由エッジFE1_1は、方向Yにおいて第1のアンカーエッジAE1と対向し、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE1_3は、自由エッジFE1_1と第1のアンカーエッジAE1との間で方向Xにおいて互いに対向する。第2のフラップ112bにおいて、自由エッジFE2_1は、方向Yにおいて第2のアンカーエッジAE2と対向し、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE2_3は、自由エッジFE2_1と第2のアンカーエッジAE2との間で方向Xにおいて互いに対向する。第3のフラップ112cにおいて、自由エッジFE3_1は、方向Xにおいて第3のアンカーエッジAE3と対向し、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE3_3は、自由エッジFE3_1と第3のアンカーエッジAE3との間で方向Yにおいて互いに対向する。第4のフラップ112dにおいて、自由エッジFE4_1は、方向Xにおいて第4のアンカーエッジAE4と対向し、自由エッジFE4_2及び自由エッジFE4_3は、自由エッジFE4_1と第4のアンカーエッジAE4との間で方向Yにおいて互いに対向する。第5のフラップ112eにおいて、自由エッジFE5_1は、方向Xにおいて第5のアンカーエッジAE5と対向し、自由エッジFE5_2及び自由エッジFE5_3は、自由エッジFE5_1と第5のアンカーエッジAE5との間で方向Yにおいて互いに対向する。第6のフラップ112fにおいて、自由エッジFE6_1は、方向Xにおいて第6のアンカーエッジAE6と対向し、自由エッジFE6_2及び自由エッジFE6_3は、自由エッジFE6_1と第6のアンカーエッジAE6との間で方向Yにおいて互いに対向する。
【0142】
第1のスリット131は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3を定義してもよい。第2のスリット132は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1を定義してもよい。第3のスリット133は、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1を定義してもよい。さらに、スリット130は、随意的に、薄膜110の周囲に形成される第4のスリット134、第5のスリット135、第6のスリット136、及び第7のスリット137を含んで、薄膜110の境界を定義してもよく、第4のスリット134は、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_3を定義してもよく、第5のスリット135は、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_3を定義してもよく、第6のスリット136は、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_2を定義してもよく、第7のスリット137は、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_2を定義してもよい。
【0143】
このようにして、フラップ112の配列及びスリット130の配列によれば、図18において、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、自由エッジFE1_2、及び自由エッジFE1_3は、それぞれ、第2のフラップ112b、第3のフラップ112c、及び第5のフラップ112eに隣接してもよく、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、自由エッジFE2_2、及び自由エッジFE2_3は、それぞれ、第1のフラップ112a、第4のフラップ112d、及び第6のフラップ112fに隣接してもよく、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び自由エッジFE3_2は、それぞれ、第1のフラップ112a及び第4のフラップ112dに隣接してもよく、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1及び自由エッジFE4_2は、それぞれ、第2のフラップ112b及び第3のフラップ112cに隣接してもよく、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1及び自由エッジFE5_3は、それぞれ、第1のフラップ112a及び第6のフラップ112fに隣接してもよく、第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1及び自由エッジFE6_3は、それぞれ、第2のフラップ112b及び第5のフラップ112eにそれぞれ隣接してもよい。
【0144】
第1の通気口131Tは、第1のスリット131により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1と第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1との間に、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2との間に、及び、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3との間に形成されてもよい。第2の通気口132Tは、第2のスリット132により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2と第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2と第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1との間に形成されてもよい。第3の通気口133Tは、第3のスリット133により、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3と第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1との間に、及び、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3と第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1との間に形成されてもよい。
【0145】
この実施形態の通気デバイス300のモード操作は、上記で言及されている第1の実施形態のモード操作と同じであってもよく、したがって、反復する部分は、重複しては説明されない。
【0146】
図18及び図19に示されているように、通気口130Tの側面形状は、上記で言及されている第1の実施形態とは異なる。例えば、図18及び図19に示されているように、これらには限定されないが、(2つの隣接するフラップ112が反対の方向に向かって運動する)第2のモード/開いたモードM2において、第1の通気口131Tは、六角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第1の通気口131Tの3つの上側エッジ(upper edges)は、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_1、第4のフラップ112dの自由エッジFE4_2、及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_3から形成されてもよく、第1の通気口131Tの3つの下側エッジ(lower edges)は、それぞれ、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_1、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_2、及び第5のフラップ112eの自由エッジFE5_3から形成されていてもよい。例えば、図18及び図19に示されているように、これらには限定されないが、第2のモードM2において、第2の通気口132Tは、六角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されてもよく、第2の通気口132Tの2つの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2及び第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1から形成されてもよい。例えば、これらには限定されないが、第2のモードM2において、第3の通気口133Tは、第2の通気口132Tと同様であってもよく、それによって、第3の通気口133Tは、六角形形状を有するように方向Zに形成されてもよく、第3の通気口133Tの2つの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3及び第6のフラップ112fの自由エッジFE6_1から形成されてもよく、第3の通気口133Tの2つの下側エッジは、第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3及び第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1から形成されてもよい。
【0147】
例えば、(フラップ112のすべてが下に曲がる)第3のモード/快適モードM3において、第2の通気口132Tは、これらには限定されないが、(図17に示されている第3のモードM3における第2の通気口132Tと同様に)2つの三角形を有するように方向Zに形成されてもよく、第2の通気口132Tの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_2及び第2のフラップ112bの自由エッジFE2_2から形成されてもよく、第2の通気口132Tの下側エッジは、それぞれ、第3のフラップ112cの自由エッジFE3_1及び第4のフラップ112dの自由エッジFE4_1から形成されていてもよい。例えば、第3のモードM3において、第3の通気口133Tは、これらには限定されないが、(図17に示されている第3のモードM3における第2の通気口132Tと同様に)2つの三角形を有するように方向Zに形成されてもよく、第3の通気口133Tの上側エッジは、それぞれ、第1のフラップ112aの自由エッジFE1_3及び第2のフラップ112bの自由エッジFE2_3から形成されてもよく、第3の通気口133Tの下側エッジは、それぞれ、第5のフラップ112eの自由エッジFE5_1及び第5のフラップ112eの自由エッジFE6_1から形成されてもよい。
【0148】
図20を参照して、図20は、本発明の第4の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している上面図の概略的な図である。図20に示されているように、この実施形態と第1の実施形態との間の相違点は、通気デバイス400の第1のスリット131の設計である。図20において、第1のスリット131は、鋸刃形状のスリット(saw-shaped slit)/ジグザグ形状のスリット(zigzagging slit)であり、それによって、自由エッジFE1_1及び自由エッジFE2_1は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジであり、自由エッジFE3_1及び自由エッジFE4_1は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジであり、自由エッジFE5_1及び自由エッジFE6_1は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジである。
【0149】
図20に示されているように、スリット130のジグザグ形状のパターンは、鋸刃形状のパターンであってもよく、それによって、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジは、(例えば、直線形状のエッジ、曲線形状のエッジ等の)少なくとも1つの適切なサブエッジ(sub-edge)を有する複数のユニットを含む。例えば、それらのユニットは、これらには限定されないが、直線形状のベベルエッジ(straight bevel edges)である2つの接続されるサブエッジを有してもよい。
【0150】
それらの自由エッジは、(第1のスリット131が鋸刃形状のスリットである)鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジであるので、第1の通気口131Tの長さは、強化されて(the length of the first vent 131T is enhanced)、第1の通気口131Tを通過する空気流を増加させ(enhance the airflow)、第1の通気口131Tの音響抵抗を減少させる。
【0151】
この実施形態の通気デバイス400の製造方法において、トレンチラインTLは、(例えば、図12に示されているステップにおいて)鋸刃形状又はジグザグ形状となるように形成されて、関連するスリット130が鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなるようにさせる。例えば、この実施形態において、第1のスリット131に対応するトレンチラインTLは、鋸刃形状となるように形成されて、第1のスリット131が鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなるようにさせる。
【0152】
図21を参照して、図21は、本発明の第5の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している平面図の概略的な図である。図21に示されているように、この実施形態と第4の実施形態との間の相違点は、通気デバイス500の他のスリット130の設計である。第2のスリット132は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっており、それによって、自由エッジFE1_2及び自由エッジFE3_3は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなり、自由エッジFE2_2及び自由エッジFE4_3は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。第3のスリット133は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっており、それによって、自由エッジFE1_3及び自由エッジFE5_2は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなり、自由エッジFE2_3及び自由エッジFE6_2は、互いに対応する鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。
【0153】
随意的に、第4のスリット134は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっていてもよく、それによって、自由エッジFE3_2及び自由エッジFE4_2は、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。随意的に、第5のスリット135は、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットとなっていてもよく、それによって、自由エッジFE5_3及び自由エッジFE6_3は、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジとなる。
【0154】
したがって、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジの数が増加するので、通気口130Tの長さはさらに強化されて(the lengths of the vents 130T are further enhanced)、通気口130Tを通過する空気流を増加させ(enhance the airflow)、通気口130Tの音響抵抗を減少させる。
【0155】
図22を参照して、図22は、本発明の第6の実施形態にしたがった通気デバイスを図示している平面図の概略的な図である。図22に示されているように、この実施形態と第4の実施形態との間の相違点は、通気デバイス600の鋸刃形状のエッジの複数の単位の設計である。図22において、スリット130のジグザグ形状のパターンは、これらには限定されないが、台形形状のパターンであってもよく、それによって、鋸刃形状のエッジ/ジグザグ形状のエッジの単位は、3つの接続されているサブエッジ(sub-edges)を有し、2つのサブエッジは、直線形状のベベルエッジ(straight bevel edges)であってもよく、2つの直線形状のベベルエッジの間に接続される1つのサブエッジは、直線形状の水平エッジ(straight horizontal edge)であってもよい。
【0156】
上記によれば、少なくとも1つの鋸刃形状のスリットは、上記で言及されている通気デバイス100、200、300のうちの1つの中で使用されて、変形の実施形態を形成してもよく、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリット130の数は、要件に基づいて設計されてもよく、鋸刃形状のスリット/ジグザグ形状のスリットの単位は、要件に基づいて設計されてもよい。
【0157】
ジグザグ形状のスリットは、鋸刃形状となっている又は鋸刃形状のパターンを有することには限定されないということに留意するべきである。薄膜に形成されるスリットは、(図22の)台形形状のパターン、(図23の)矩形形状のパターン、(図24の)正弦パターン、(図24と同様の)多項式パターン、歯のパターン、又は他の適切なパターンを有してもよく、それらのパターンは、すべて、本発明の範囲の中にある。多項式パターンは、スリットのセグメントが(実質的に)多項式関数に一致するように、スリットを形成するように薄膜をパターン化するということを意味する。
【0158】
より一般的には、薄膜に形成されるスリットのセグメントが、その薄膜においてジグザグ形状となっている(それによって、その薄膜に形成される通気口に対応する音響抵抗が、直線形状のスリットと比較して減少する)限り、そのスリットは、本発明の範囲の中にある。さらに、スリット130は、ある方向に向かって延びていると考えられてもよい。例えば、第1のスリット131は、方向Xに向かって延びていると考えられてもよく、第2のスリット132は、方向Yに向かって延びていると考えられてもよい。図21乃至図24に示されている第1のスリット131及び第2のスリット132は、薄膜110においてジグザグ形状になっており、且つ、(それぞれ)方向X及び方向Yに向かって延びていると考えられてもよい。本発明において、ジグザグ形状のパターンを有するスリットのセグメントは、(1) スリットのセグメントが直線形状のパターンを含まない、又は、(2) スリットの方向が(空間領域/次元において)どれだけ頻繁に変更されるかにかかわらず、スリットのセグメントが、前後に方向を変更する/変化させる、ということを指してもよい。
【0159】
要約すると、本発明は、第1のフラップの運動に対して反対方向に向かって運動する第3のフラップを利用して、第2の通気口の通気開口部を広げ、その結果、音響抵抗を減少させる。さらに、本発明は、ジグザグ形状のスリットを利用して、スリット長を長くし、その結果、音響抵抗を減少させる。
【0160】
当業者は、本発明の教示を維持しながら、デバイス及び方法の数多くの修正及び変更を行うことが可能であるということを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付されている特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。