(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169385
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自動車用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/22 20060101AFI20241128BHJP
A47C 27/14 20060101ALI20241128BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20241128BHJP
A47C 7/18 20060101ALI20241128BHJP
A47C 1/032 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B60N2/22
A47C27/14 C
A47C27/14 B
A47C7/62 Z
A47C7/18
A47C1/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083797
(22)【出願日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】102023000010572
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ドゥシーニ
(72)【発明者】
【氏名】パトリツィオ モルッツィ
(72)【発明者】
【氏名】エピファーニオ アルベルト ニコレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ トニ
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
3B099
【Fターム(参考)】
3B084CA03
3B084CA07
3B084CA09
3B084JA03
3B084JA06
3B087BD03
3B096AD07
3B099AA05
3B099BA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スポーツ使用中の収容性を最重要視し、同時に、乗員にとって高いレベルの快適性を保証し、かつ、乗員の広範囲の人体測定学上のパラメータに適応するように調整することのできる、シートを提供する。
【解決手段】背もたれ(6)、シートクッション(5)、及び、背もたれ(6)とシートクッション(5)との間の相対位置を調整できるように、背もたれ(6)とシートクッション(5)との間に介在する、第1の蛇腹部(23、24)を備える、自動車用のシート(4)が記載されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)用のシート(4)であって、
背もたれ(6)と、
シートクッション(5)と、
前記背もたれ(6)と前記シートクッション(5)との間に介在し、前記背もたれ(6)と前記シートクッション(5)との間の相対位置を調整することを可能にする、第1の蛇腹部(23、24)と、を備え、
前記シートクッション(5)が、互いに対向する第1の側面(16)及び第2の側面(17)を備え、
前記背もたれ(6)が、互いに対向する、前記第1の側面(16)の領域に配置された第3の側面(21)、及び、前記第2の側面(17)の領域に配置された第4の側面(22)を備え、
前記第1の蛇腹部(23、24)が、互いに対応する前記第1の側面(16)と前記第3の側面(21)との間に介在し、
前記第1の蛇腹部(23、24)が、発泡体で形成された部分(30)を更に備え、前記部分(30)は前記第1の側面(16)と前記第3の側面(21)との間に介在し、
第1の弾性要素(25、26)が、前記部分(30)を覆うことを特徴とする、シート(4)。
【請求項2】
前記第2の側面(17)と前記第4の側面(22)との間に介在する第2の蛇腹部(23、24)を備え、前記第1及び第2の各蛇腹部(23、24)とが、互いに対向していることを特徴とする、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記シートクッション(5、6)が第1及び第2の各クッション(9、10)を備え、
前記第1の蛇腹部(23、24)が、前記第1のクッション(9)と前記第2のクッション(10)との間に少なくとも部分的に介在し、前記第1のクッション(9)と前記第2のクッション(10)とを連続的に接続することを特徴とする、請求項1に記載のシート。
【請求項4】
前記第1の蛇腹部(23、24)が、前記シート(4)の表面(11)を画定する弾性要素(25、26)を備え、かつ、前記第2の蛇腹部(24)が、前記シート(4)の表面(11)を画定する弾性要素(26)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシート。
【請求項5】
前記弾性要素(25、26)が、前記第1のクッション(9)と前記第2のクッション(10)との間に延在し、前記第1のクッション(9)から前記第2のクッション(10)に方向付けられる方向にしたがって、伸縮され得ることを特徴とする、請求項4に記載のシート。
【請求項6】
前記部分(30)が、前記第1の側面(16)に固定された第1の付属物(40)と、前記第3の側面(21)に固定された第2の付属物(41)を備え、
前記第1の付属物(40)及び前記第2の付属物(41)が、前記発泡体を伴わない空洞(46)を画定することを特徴とする、請求項1に記載のシート。
【請求項7】
前記第1の弾性要素(25、26)が、弾性的に変形可能な布地で作製されていることを特徴とする、請求項1に記載のシート。
【請求項8】
車室(3)と、
請求項1に記載の、少なくとも1つのシート(4)と、
を備える、請求項1に記載の自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2023年5月25日に出願されたイタリア特許出願第102023000010572号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動車用シートに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車には、公知の方法で、対応するシートクッション、及び、対応する背もたれによってそれぞれ形成された、複数のシートが含まれる。
【0004】
剛性のカーボンモノコック構造で作製された、特にスポーツ用途向けの自動車に使用されるシートが知られている。
【0005】
こうしたシートでは、乗員を高いレベルで収容することが実現されるが、背もたれとシートクッションとの間の傾斜角を調整することはできない。
【0006】
自動車で通常使用され、通常の道路使用を目的とする、リクライニング可能なシートも知られている。こうしたシートでは、背もたれとシートクッションとの間の傾斜角を調整することができ、それによって、ユーザの様々な人体測定学上のパラメータに適合する。こうしたシートでは、満足できるレベルの快適性が実現されるが、最適なレベルで乗員を収容することは保証されない。
【0007】
当技術分野では、スポーツ使用中の収容性を最重要視し、同時に、乗員にとって高いレベルの快適性を保証し、かつ、乗員の広範囲の人体測定学上のパラメータに適応するように調整することのできる、シートを製造する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、前述した要求を満たすことができる、自動車用シートを製造することである。
【0009】
前述した目的は、請求項1に記載の自動車用シートに関する、本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明をより良く理解するために、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、以下に好適な実施形態の説明を行う。
【0011】
【
図1】明瞭にするために部品を取り除いた、本発明の規定に従って製造されたシートを備える、自動車の斜視図である。
【
図3】明瞭にするために部品を取り除いた、
図2のシートの、第1の詳細部の斜視図である。
【
図4】明瞭にするために部品を取り除いた、
図2のシートの、第2の詳細部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態の説明
【0013】
図1を参照すると、参照番号1は、車室3を画定する本体2を備える、自動車を示す。
【0014】
以下の説明において、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」といった表現は、自動車1が通常の前進移動を行っている状態を基準にして、使用されることが規定される。
【0015】
以下のことを定義することもできる。
・使用時に、水平、かつ自動車1の通常の前進方向に平行に配置される、自動車1と一体の長手方向軸線X。
・使用時に、水平、かつ軸線Xに直交して配置される、自動車1と一体の横方向軸線Y。
・使用時に軸線、X、Yに垂直かつ直交するように配置される、自動車1と一体の軸線Z。
【0016】
車室3には、複数の前部シート及び後部シート4が含まれる(
図2~4では、そのうちの1つのみを見ることができる)。
【0017】
以下の説明では、単一のシート4を参照するが、各シート4は互いに同様のものである。
【0018】
シート4には、以下のものが含まれる。
・ユーザが着座する、シートクッション5。
・ユーザが着座すると、その背中が載置される、背もたれ6。
【0019】
シート4は、リクライニング可能なタイプであり、すなわち、背もたれ6とシートクッション5との間の傾斜角度を調整することができる。
【0020】
より具体的には、シート4には、運転者による操作で、シートクッション5を基準に背もたれ6を回転させ、背もたれ6を所望の位置にブロックすることができる、制御装置19が含まれる。
【0021】
シートクッション5及び背もたれ6にはそれぞれ、以下のものが含まれる。
・それぞれのフレーム7、8。
・対応するフレーム7、8を覆う、それぞれのクッション9、10。
【0022】
クッション9、10には、互いに隣接するそれぞれの端縁12、13があり、この縁端によって、ユーザを支持するための共通の表面11が画定される。
【0023】
この端縁12、13は、主に軸線Yに、実質的に平行な方向に延在する。
【0024】
より詳細には、シートクッション5のクッション9には、以下のものが含まれる。
・ユーザが着座する、主要部分15。
・互いに対向し、その間に主要部分15が延在し、互いに対向するそれぞれの横方向で帯状に部分15を画定する、一対の側面16、17。
【0025】
側面16、17は、部分15の同一の部分から、片持ち状に突出している。
【0026】
同様に、背もたれ6のクッション10には、以下のものが含まれる。
・ユーザの背中が載置される、主要部分20。
・互いに対向し、その間に主要部分20が延在し、互いに対向するそれぞれの横方向で帯状に部分20を画定する、一対の側面21、22。
【0027】
側面21、22は、部分20の同一の部分から、片持ち状に突出している。
【0028】
側面16は、側面21の領域に配置される。
【0029】
側面17は、側面22の領域に配置される。
【0030】
有利には、シート4には、背もたれ6とシートクッション5との間の相対位置を調整することができるように、背もたれ6とシートクッション5との間に介在する、一対の蛇腹部23、24が含まれる。
【0031】
蛇腹部23、24によって、特に、シート4がユーザの人体測定学上のパラメータに適合するように、背もたれ6とシートクッション5との間の傾斜角を調整することが可能となる。
【0032】
蛇腹部23は、側面16と21との間に介在し、蛇腹部24は、側面17と22との間に介在する。
【0033】
図3及び
図4を参照すると、各蛇腹部23、24には、以下のものが更に含まれる。
・発泡体で作製され、側面16と21との間、側面17と22との間にそれぞれ介在する、相対部分30。
・相対部分30を覆って配置され、シート4の表面11を部分的に画定する、相対弾性要素25、26。
【0034】
各部分30には、以下のものが更に含まれる(
図3及び
図4)。
・関連する側面16、21に固定された、付属物40及び41。
・関連する側面17、22に固定された、付属物40及び41。
【0035】
付属物40には、対応する側面16又は17に取り付けられた、対応する表面42があり、付属物41には、対応する側面21又は22に取り付けられた、対応する表面43がある。かつ、付属物40には、関連する表面42の反対側に、対応する表面44があり、付属物41には、関連する表面43の反対側に、対応する表面45がある。表面44、45は、互いに向かい合っている。
【0036】
表面42、43、44、45は、フレーム7から上方に向かって、先細になっている。
【0037】
付属物40、41は、発泡体又は他の弾性材料で作製される。
【0038】
付属物40、41によって、それらの間に、発泡体を含まず、対応する弾性要素25、26の伸延、伸張を可能にするのに適した、空洞46が画定される。
【0039】
より具体的には、弾性要素25によって、側面16、21が連続的に接続され、弾性要素26によって、側面17、22が連続的に接続される。
【0040】
弾性要素25は、側面16、21を接続する、それぞれの方向に応じて伸縮させることができ、かつ、弾性要素26は、側面17、22を接続する、それぞれの方向に応じて伸縮させることができる。
【0041】
特に、各弾性要素25、26には、側面16、21の間、及び、側面17、22の間のそれぞれで、互いに連続して進行する、複数の対応する波状部47が含まれる。
【0042】
あるいは、各弾性要素25、26は、波状部を伴わない滑らかなものであり、その材料の弾性特性によって、背もたれ6とシートクッション5との間の傾斜の変化によって起こる、変形に適応するものである。
【0043】
図示する事例の場合、弾性要素25、26は、布地で作製されている。
【0044】
図示する事例の場合、弾性要素25、26は、クッション9、クッション10と、同様の色である。
【0045】
あるいは、弾性要素25、26は、クッション9、10と、異なる色である。
【0046】
使用時に、運転者は、背もたれ6とシートクッション5との間の、所望の傾斜に対応する所望の位置に達するまで、シートクッション5を基準に背もたれ6を回転させ、続いて、背もたれ6を所望の位置でブロックするように、制御装置19でシート4を調整する。
【0047】
背もたれ6がシートクッション5を基準に傾斜している間、蛇腹部23の弾性要素25、及び蛇腹部24の弾性要素26は、背もたれ6がシートクッション5から離れるように移動されているか、シートクッション5に向かって移動されているかに応じて、それぞれの側面16、21との間、及び、17、22との間の連続性を維持しつつ、伸縮する。
【0048】
発泡体を伴わない空洞46によって、この伸延、伸張が可能となる。
【0049】
本発明を考察することによって、そこで得ることができる利点は明らかである。
【0050】
蛇腹部23、24は、背もたれ6とシートクッション5との間に介在しており、それによって、背もたれ6とシートクッション5との相対位置を、調整することができる。
【0051】
同時に、蛇腹部23、24によって、運転者を高いレベルで収容する能力がシート5に提供され、かつ、それぞれの弾性要素25、26によって、表面11の一部が画定され、シート4は運転者にとって大いに快適なものとなる。
【0052】
蛇腹部23は、クッション9、10の対応する側面16、21と連続し、蛇腹部24は、クッション9、10の対応する側面17、22と連続しており、かつ/又は、それらは布地で作製されている。このように、蛇腹部23、24によって、シート4の美的印象が変わることはなく、シート4によって提供される全体的な収容性が改善される。
【0053】
発泡体からなり、背もたれ6及びシートクッション5にそれぞれ固定された付属物40、41の間に介在する、各蛇腹部23、24の空洞46が存在することによって、背もたれ6とシートクッション5との間の相対移動に追従して、相対弾性要素25、26を容易に伸縮させることができる。
【0054】
付属物40、41によって、蛇腹部23の弾性要素25、蛇腹部24の弾性要素26のそれぞれが、効果的に支持される。
【0055】
それらが布地で作製され、シート4の表面11を部分的に画定するということによって、弾性要素25、26では、クッション9、10と同様の美的印象がもたらされる。
【0056】
最後に、特許請求の範囲によって規定される保護の範囲から逸脱することなく、本発明に従って製造されたシート4に、修正及び変形を加えることができることは明らかである。
【0057】
特に、シート4には、唯一の蛇腹部23、24、及び、唯一の対応する弾性要素25、26を含めることができる。
【外国語明細書】