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特開2024-169390車両の車輪の不均衡を識別するための装置及び方法、この装置を含む車両
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  • 特開-車両の車輪の不均衡を識別するための装置及び方法、この装置を含む車両 図1
  • 特開-車両の車輪の不均衡を識別するための装置及び方法、この装置を含む車両 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169390
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】車両の車輪の不均衡を識別するための装置及び方法、この装置を含む車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20241128BHJP
【FI】
B60L3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024084004
(22)【出願日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】10 2023 204 830.2
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ベンケンドーファー
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AB01
5H125CD02
5H125EE07
5H125EE09
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】車両(100)の車輪(104)の不均衡を識別するための装置(102)及び方法並びに当該装置を含む車両に関する。
【解決手段】本方法においては、車両(100)のステアリングシステム(106)の、ロータ(110)を有するモータ(108)のモータトルクが提供され、ロータ(110)のロータ位置が提供され、車輪(104)の不均衡が、モータトルク及びロータ位置に関連して識別される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の車輪(104)の不均衡を識別するための方法であって、
前記車両(100)のステアリングシステム(106)の、ロータ(110)を有するモータ(108)のモータトルクが提供され(200)、
前記ロータ(110)のロータ位置が提供され(202)、
前記車輪(104)の不均衡が、前記モータトルク及び前記ロータ位置に関連して識別される(208)、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記車輪(104)の車輪回転数の振幅が特定され(206)、
前記不均衡の振幅が特定され(206)、
前記車輪回転数の振幅が前記不均衡の振幅と相関している場合には、前記車輪(104)の前記不均衡が識別され(210)、前記車輪回転数の振幅が前記不均衡の振幅と相関していない場合には、前記車輪(104)の不均衡が識別されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車輪回転数の振幅が、前記車両(100)の少なくとも2つの車輪(104)に対して特定され(206)、前記車輪回転数の振幅が前記不均衡の振幅とより良好に相関する、前記車輪(104)のうちの車輪の前記不均衡が識別される(210)、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車輪回転数が、車輪回転周波数に関連してフィルタリングされ(204)、
前記車輪回転数の振幅が、前記車輪回転周波数によってフィルタリングされた前記車輪回転数に関連して特定される(206)、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記モータトルク及び/又は前記ロータ位置のスペクトルが、スペクトル分析によって、特に高速フーリエ変換を用いて、又は、そのためにトレーニングされた人工知能によって特定され(208)、目標スペクトルから前記スペクトルが偏差している場合には、前記不均衡が識別される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記車輪(104)の前記不均衡の振幅が閾値を超えているか否かが識別され(212)、前記不均衡の振幅が前記閾値を超えている場合には、前記車両の運転者に対する、前記不均衡を示すメッセージの表示が指示され(214)、前記不均衡の振幅が前記閾値を超えていない場合には、前記表示の指示は行われない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記不均衡が識別された前記車輪(104)が特定され(214)、前記メッセージの表示によって、前記不均衡が識別された前記車輪(104)が同定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記車輪(104)の前記不均衡の振幅が閾値を超えているか否かが識別され(212)、前記不均衡の振幅が前記閾値を超えている場合には、前記不均衡の振幅又は前記不均衡の振幅の推移を特徴付けるデータが送信され若しくは格納され(214)、又は、点検の予約のトリガとなるデータが送信され、前記不均衡の振幅が前記閾値を超えていない場合には、前記データは送信されない、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
車両(100)の車輪(104)の不均衡を識別するための装置(102)であって、
前記装置(102)は、前記車両のステアリングシステム(106)のモータ(108)のモータトルクを検出するように構成されており、
前記モータ(108)は、ロータ(110)を有しており、
前記装置(102)は、前記ロータ(110)のロータ位置を検出し、前記モータトルク及び前記ロータ位置に関連して前記車輪(104)の不均衡を識別するように構成されている、
ことを特徴とする装置(102)。
【請求項10】
前記装置(102)は、前記車輪(104)の車輪回転数の振幅を検出し、前記不均衡の振幅を特定し、前記車輪回転数の振幅が前記不均衡の振幅と相関している場合には、前記車輪(104)の前記不均衡を識別し、前記車輪回転数の振幅が前記不均衡の振幅と相関していない場合には、前記車輪(104)の不均衡を識別しないように構成されている、請求項9に記載の装置(102)。
【請求項11】
前記装置は、請求項3乃至8のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか一項に記載の装置(102)を含むことを特徴とする車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行技術
本発明は、車両の車輪の不均衡を識別するための装置及び方法並びに当該装置を含む車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪の不均衡によって引き起こされる振動は、これまで運転者によって無意識的に又は意識的にしか知覚されてこなかった。したがって、運転者は、不均衡な車輪に起因し得る摩耗現象の識別を除いて、不均衡な車輪を識別する唯一の実体である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の開示
独立請求項に記載された方法、装置及び車両によって、不均衡が検出される。
【0004】
車両の車輪の不均衡を識別するための方法においては、車両のステアリングシステムのモータのモータトルクが提供され、ここで、モータは、ロータを有しており、ロータのロータ位置が提供され、車輪の不均衡が、モータトルク及びロータ位置に関連して識別されることが想定される。
【0005】
不均衡を有する車輪を識別するために、この方法においては、車輪の車輪回転数の振幅が特定され、不均衡の振幅が特定され、車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関している場合には、車輪の不均衡が識別され、車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関していない場合には、車輪の不均衡が識別されないことが想定され得る。
【0006】
車輪回転数の振幅が、好適には、車両の少なくとも2つの車輪に対して特定され、車輪回転数の振幅が不均衡の振幅とより良好に相関する、これらの車輪のうちの車輪の不均衡が識別される。
【0007】
変動をより良好に求めるために、たとえば車輪回転数が、好適には車輪回転周波数に関連してフィルタリングされ、車輪回転数の振幅が、車輪回転周波数によってフィルタリングされた車輪回転数に関連して特定される。
【0008】
一例においては、モータトルク及び/又はロータ位置のスペクトルが、ペクトル分析によって、特に高速フーリエ変換を用いて、又は、そのためにトレーニングされた人工知能によって特定され、目標スペクトルからスペクトルが偏差している場合には、不均衡が識別される。
【0009】
運転者に警告を出力するために、たとえば、車輪の不均衡の振幅が閾値を超えているか否かを識別し、不均衡の振幅が閾値を超えている場合には、車両の運転者に対する、不均衡を示すメッセージの表示が指示され、不均衡の振幅が閾値を超えていない場合には、表示の指示は行われない。
【0010】
保守すべき車輪に関する情報を出力するために、不均衡が識別された車輪が特定され、メッセージの表示によって、不均衡が識別された車輪が同定される。
【0011】
分析又は評価のために、たとえば、車輪の不均衡の振幅が閾値を超えているか否かが識別され、不均衡の振幅が閾値を超えている場合には、不均衡の振幅又は不均衡の振幅の推移を特徴付けるデータが送信され若しくは格納され、又は、点検の予約のトリガとなるデータが送信され、不均衡の振幅が閾値を超えていない場合には、このデータは送信されない。
【0012】
不均衡を識別するための装置は、車両のステアリングシステムのモータのモータトルクを検出するように構成されており、モータは、ロータを有しており、装置は、ロータのロータ位置を検出し、モータトルク及びロータ位置に関連して車輪の不均衡を識別するように構成されている。
【0013】
この装置は、車輪の車輪回転数の振幅を検出し、不均衡の振幅を特定し、車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関している場合には、車輪の不均衡を識別し、車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関していない場合には、車輪の不均衡を識別しないように構成されるものとし得る。
【0014】
この装置は、この方法におけるさらなるステップを実行するように構成されるものとしてよい。この装置は、この方法におけるステップの利点に相当する利点を有するものである。
【0015】
車両は、この装置を含み、かつ、この装置の利点に相当する利点を有するものである。
【0016】
さらなる有利な実施形態は、以下の説明及び図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両の車輪の不均衡を識別するための装置を備える車両を示す図である。
図2】車両の車輪の不均衡を識別するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、車両100が概略的に示されている。
【0019】
車両100は、車両の車輪の不均衡を識別するための装置102を含む。車両100は、この例においては4つの車輪104を含む。
【0020】
4つより多くの車輪104又は4つより少ない車輪104が設けられるものとすることができる。
【0021】
車両100は、ステアリングシステム106を含む。ステアリングシステム106は、車両を操舵するために1つの車輪104又は複数の車輪104を運動させるように構成されている。
【0022】
この例においては、ステアリングシステム106によって操舵可能な2つの車輪104が設けられている。
【0023】
ステアリングシステム106は、モータ108を含む。モータ108は、ロータ110を有する。モータ108は、操舵可能な1つの車輪104又は操舵可能な複数の車輪104を操舵するように構成されている。
【0024】
装置102は、モータ108のモータトルクを検出するように構成されている。装置102は、ロータ110のロータ位置を検出するように構成されている。
【0025】
装置102は、モータトルク及びロータ位置に関連した車輪104の不均衡を識別するように構成されている。
【0026】
装置102は、各車輪104の車輪回転数の振幅を検出するように構成されている。
【0027】
装置102は、不均衡の振幅を特定するように構成されている。
【0028】
装置102は、車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関している場合には、車輪104の不均衡を識別するように構成されている。
【0029】
装置102は、車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関していない場合には、車輪104の不均衡を識別しないように構成されている。
【0030】
装置102は、後続の、不均衡を識別するための方法におけるさらなるステップを実行するように構成されるものとしてよい。
【0031】
装置102は、この方法を実施するように構成されている計算装置112を含むものである。
【0032】
装置102は、運転者に対するメッセージを表示するように構成されているディスプレイ114を含むものとしてよい。
【0033】
装置102は、データを格納するように構成されているメモリ116を有するものとしてよい。
【0034】
装置102は、特に、車両100外の受信機にデータを送るように構成されている送信機118を含むものとしてよい。
【0035】
この方法においては、不均衡の振幅に基づいて、すなわち、ステアリングシステム106のモータ108のロータ110の特に高解像度のロータ位置と組み合わせられて車輪回転数に基づいて計算される不均衡の大きさの振幅に基づいて、状態、すなわち、車輪・タイヤ組合せの際の不均衡の存在又は正しく均衡の取れた車輪・タイヤ組合せの存在が推論される。
【0036】
この方法は、ノイズの振幅に基づいて、車両100の動作中のノイズの周波数スペクトルを求めることができる。
【0037】
この方法は、ステップ200を含む。
【0038】
ステップ200において、車両100のステアリングシステム106のモータ108のモータトルクが提供される。
【0039】
この方法は、ステップ202を含む。
【0040】
ステップ202において、ロータ110のロータ位置が提供される。
【0041】
この方法は、ステップ204を含む。
【0042】
ステップ204において、監視されている車輪104の車輪回転数が特定される。
【0043】
各車輪104の車輪回転数は、この例においては、車輪の車輪回転周波数に関連してフィルタリングされる。
【0044】
この方法は、ステップ206を含む。
【0045】
ステップ206において、各車輪104の車輪回転数の振幅及び不均衡の振幅が特定される。各車輪回転数の振幅は、この例においては、各車輪104の、車輪回転周波数によってフィルタリングされた車輪回転数に関連して特定される。
【0046】
この例においては、車両の少なくとも2つの車輪104に対する車輪回転数の振幅が特定される。
【0047】
この方法は、ステップ208を含む。
【0048】
ステップ208において、不均衡が存在するか否かが検査される。
【0049】
不均衡は、モータトルク及びロータ位置に関連して識別される。
【0050】
この例においては、モータトルクのスペクトルは、スペクトル分析によって、特に高速フーリエ変換を用いて、又は、そのためにトレーニングされた人工知能によって特定される。
【0051】
この例においては、ロータ位置のスペクトルは、スペクトル分析によって、特に高速フーリエ変換を用いて、又は、そのためにトレーニングされた人工知能によって、特定される。
【0052】
不均衡は、この例においては、モータトルクのスペクトルが、モータトルクに対する目標スペクトルから偏差している場合に識別される。
【0053】
不均衡は、この例においては、ロータ位置のスペクトルが、ロータ位置に対する目標スペクトルから偏差している場合に識別される。
【0054】
不均衡が識別された場合には、ステップ210が実行される。不均衡が識別されない場合には、ステップ200が実行される。
【0055】
ステップ210において、この例においては、監視されている車輪104のうちの1つの車輪の不均衡は、この車輪104の車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関している場合には、識別される。この車輪104の車輪回転数の振幅が不均衡の振幅と相関していない場合には、この車輪104の不均衡は識別されない。
【0056】
この例においては、車輪回転数の振幅が、不均衡の振幅とより良好に相関している、監視されている車輪104のうちの車輪の不均衡が識別される。
【0057】
続いて、ステップ212が実行される。
【0058】
ステップ212において、車輪104の不均衡の振幅が閾値を超えているか否かが識別される。不均衡の振幅が閾値を超えている場合には、ステップ214が実行される。
【0059】
不均衡の振幅が閾値を超えていない場合には、ステップ200が実行される。
【0060】
ステップ214において、この例においては、アクションがトリガされる。
【0061】
たとえば、不均衡を示す、車両の運転者に対するメッセージの表示が指示される。
【0062】
不均衡が識別された車輪104が特定されることが想定され得る。メッセージの表示によって、不均衡が識別された車輪が同定されることが想定され得る。
【0063】
たとえば、不均衡の振幅又は不均衡の振幅の推移を特徴付けるデータが送られる又は格納される。たとえば、点検の予約のトリガとなるデータが送られる。
【0064】
データはたとえばメモリ116に格納される。データは、たとえば送信機118によって送られる。
【0065】
続いて、ステップ200が実行される。
【0066】
装置100は、複数の制御装置、特に走行ダイナミックの制御のための第1の制御装置と、ステアリングシステム106の制御のための第2の制御装置とを含むことが想定され得る。装置は、監視されている車輪ごとに、各車輪104の車輪回転数を検出するように構成されている回転数センサを含むことが想定され得る。装置は、監視されている車輪ごとに、個別車輪駆動装置のロータ位置信号を使用するように構成されていることが想定され得る。
【0067】
たとえば、第1の制御装置は、回転数センサに接続されており、車輪回転数を提供するように構成されている。
【0068】
第2の制御装置は、たとえば、モータ108を駆動制御し、モータトルク及びロータ位置を提供するように構成されている。
図1
図2
【外国語明細書】