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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169399
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】濾過溶融材料の一体型圧力検知
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/77 20060101AFI20241128BHJP
   B29C 48/30 20190101ALI20241128BHJP
   B29C 48/69 20190101ALI20241128BHJP
   B29C 45/20 20060101ALI20241128BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B29C45/77
B29C48/30
B29C48/69
B29C45/20
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084057
(22)【出願日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】63/468,737
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514159601
【氏名又は名称】アイエムフラックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タイラ レイ レドモン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ルイス リッチー
【テーマコード(参考)】
4F206
4F207
【Fターム(参考)】
4F206AP03
4F206AR03
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP11
4F206JP14
4F206JQ51
4F206JQ90
4F207KA01
4F207KL38
4F207KL98
(57)【要約】
【課題】溶融ポリマー材料を使用した製品の生産において使用される製造機器の制御の精度を向上させる。
【解決手段】プラスチック射出成形システムなどの溶融材料処理制御システムには、濾過溶融材料と流体連通し、それによって、圧力センサが露出される溶融材料がムラ、不純物、未溶融プラスチックペレット、又は他の細片を含まないことを確実にする、溶融物圧力トランスデューサなどの圧力センサが提供されている。1つの実施形態では、フィルタは、直線エッジノズルフィルタであり、圧力センサは、直線エッジノズルフィルタの出口溝と流体連通して配設されている。別の実施形態では、フィルタは、円板形状の混入物フィルタであり、圧力センサは、フィルタの下流に配設されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融材料処理制御システムであって、
溶融材料源と、
ノズル本体であって、前記ノズル本体の下流端部にノズル先端部を有する、ノズル本体と、
前記溶融材料源と前記ノズル先端部との中間にあるフィルタと、
前記フィルタを通過した溶融材料だけを検知するように提供された圧力センサと、を備える、溶融材料処理制御システム。
【請求項2】
前記圧力センサが、前記フィルタの少なくとも1つの濾過アパーチャの下流に配設されている、請求項1に記載の溶融材料処理制御システム。
【請求項3】
前記フィルタが、前記ノズル本体のボアにおいて受容される直線エッジノズルフィルタである、請求項1に記載の溶融材料処理制御システム。
【請求項4】
前記圧力センサが、前記直線エッジノズルフィルタの出口溝と流体連通している、請求項3に記載の溶融材料処理制御システム。
【請求項5】
前記圧力センサが、溶融物圧力トランスデューサである、請求項3に記載の溶融材料処理制御システム。
【請求項6】
前記ノズル本体のワッシャシートに配設された位置決めワッシャを更に備え、前記位置決めワッシャが、前記直線エッジノズルフィルタの溝において受容される軸方向内向きタブを含み、前記直線エッジノズルフィルタが前記圧力センサに対して回転するのを抑制する、請求項3に記載の溶融材料処理制御システム。
【請求項7】
前記フィルタが、円板形状の混入物フィルタである、請求項1に記載の溶融材料処理制御システム。
【請求項8】
前記圧力センサが、前記円板形状の混入物フィルタの下流に配設されている、請求項7に記載の溶融材料処理制御システム。
【請求項9】
前記圧力センサが、溶融物圧力トランスデューサである、請求項7に記載の溶融材料処理制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、溶融ポリマー材料を使用した製品の生産において使用される製造機器の制御の精度を向上させることに関するものであり、より具体的には、濾過溶融物の圧力検知に対応した、射出成形システムなどの閉ループプラスチック処理制御システムのフィルタパックのための構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形システム及び他の閉ループプラスチック処理システムは、典型的には、ノズル及び金型キャビティの上流のバレルと関連付けられた液圧又はロードセルからのデータを使用する。射出成形において使用される溶融ポリマー材料及び他の材料の均質化を向上させ、かつ不純物を低減することにより、供給チャネル又は高温ランナーの詰まりを低減してゲートへの損傷を最小限に抑えるために、ノズルの直上流に直線エッジフィルタなどのフィルタを採用することが望ましい。
【0003】
PCS Company(Fraser,Michigan)から入手可能なF1又はF2直線エッジノズルフィルタなどの直線エッジフィルタは、略円筒形形状であり、その外面に沿って、複数の軸方向に延在する交互のフルート又は溝を有する。第1の組の交互のフルート又は溝は、フィルタの上流端部に開放されており、すなわち、フィルタの上流端部と直接連通している(又はフィルタの上流端部に開放された送り込みポートから入来する溶融物を受け取る)。この第1の組の溝は、後方ポート付き溝と称される。第2の組の交互のフルート又は溝は、フィルタの下流端部に開放されており、すなわち、フィルタの下流端部と直接連通している(又はフィルタの下流端部に開放された出口ポートに流れ込む)。この第2の組の溝は、前方ポート付き溝と称される。直線エッジフィルタは、射出成形システムのバレルと流体連通するノズル本体の相補的フィルタボアにおいて受容される。直線エッジフィルタは、位置決めワッシャによってフィルタレセプタクル内の所定の位置に固定され得、ノズルは、ねじ接続などによって、フィルタの下流に固定される。代替的に、ノズル先端部自体は、直線エッジフィルタをノズル本体のフィルタボア内に固定することができる。直線エッジフィルタの外径とノズル本体のフィルタレセプタクル領域の内壁との間の僅かな、例えば0.001インチ~0.01インチの隙間は、溶融物が第1の組の交互のフルートから第2の組の交互のフルートに移動することを可能にし、一方で、不連続性を最小限に抑え、かつ金型キャビティに導入される溶融物がノズルに進入する前に、フルートを分離している隔壁とノズル本体のフィルタボアの内壁との間の溶融物からの望ましくない凹凸、未溶融ペレット、又は細片を濾過する。
【0004】
射出成形機のノズルと併せて使用され得る別のタイプのフィルタは、EMI,Wickliffe,Ohioから入手可能なTramp Material Filter Nozzleのフィルタプレート(部品番号:U-TF)などの、円板形状の混入物フィルタプレートであり、これは、溶融物がノズルに到達するために通過しなければならない多数の小径(例えば、0.32インチ)フィルタプレート孔を採用している。
【0005】
どちらのタイプのフィルタシステムも、典型的に圧力検知が生じるバレル内の場所及び溶融物がノズルを通過するフィルタの下流の場所から、必然的にいくらかの圧力降下を導入する。この圧力降下は、射出成形機の所与のショットを制御するために行われる調整に基づく圧力測定値の精度に悪影響を及ぼし得る。更に、フィルタ内又は上に細片が蓄積すると、フィルタの上流と下流との圧力差が予測不可能な形で増加する傾向がある。濾過溶融材料に関する正確な圧力データを取得する方法を提供することが望ましい。また、かかる濾過溶融材料の正確な圧力データを得るために、ノズル本体と関連付けられ得る高感度な機器の完全性を危殆化せずに迅速なフィルタ交換を容易にする様式で、バレルから分解することが容易であるフィルタパックを提供することも望ましい。
【発明の概要】
【0006】
溶融物圧力トランスデューサなどの圧力センサを、ノズルの上流であるが濾過障壁の下流の溶融ポリマー材料と密接して位置決めすることによって、ちょうど溶融ポリマー材料がノズルを通って、射出成形機などの閉ループプラスチック処理制御システムの1つ以上の金型キャビティに導入されようとしているときに、溶融ポリマー材料に関する優れた圧力データが得られ得る。そのように圧力センサを位置付けた際に、閉ループシステムの応答は、混入物若しくは細片の蓄積に起因するフィルタ流の状態の変化による検知されない圧力変化又は一時的な中断の結果として生じるエラーを伴わない、ノズルを通って1つ以上の金型キャビティに流れ込む実際のプラスチック材料の圧力の変化を示すデータに基づく。その結果、その優れた圧力データは、検知したフィルタの上流の液圧又はロードセルデータとノズルを通過する濾過溶融材料との間の圧力差を正確に考慮せずに制御することによるはみ出し及び他の悪影響を回避するために、射出成形機の制御を調整する際に使用され得る。
【0007】
本開示の第1の実施形態では、直線エッジフィルタの第2の組のフルート又は溝のうちの1つが、すなわち、フィルタの下流端部に開放されている(ノズルパックに固定されるノズルに最も近い)出口ポートと直接連通する交互のフルート又は溝のうちの1つが、溶融物圧力トランスデューサなどの圧力センサの先端部と直接流体連通するような配向で、直線エッジフィルタがノズル本体のフィルタボアに配設されるような様式で、ノズルパックが提供される。このようにして、圧力センサは、フィルタ障壁の下流の圧力を検知し、それによって、ちょうど溶融物がノズルに進入するときにリアルタイムで正確な圧力を取得するように位置決めされる。この場所に圧力センサを装着することによって、射出成形システムなどの閉ループプラスチック処理制御システムが、プラスチック圧力の変化に対して5ミリ秒未満(ms)の応答時間を維持することを可能にする。溶融物圧力トランスデューサは、直線エッジフィルタの清掃又は交換のためにノズル及び直線エッジフィルタを容易に取り外すことができるように装着される。
【0008】
代替の実施形態では、円板形状の混入物フィルタは、ノズル本体の上流の(バレルに面する)端部に固定されたエンドキャップアダプタの相補的ディスク受容フィルタボアに装着される。溶融物圧力トランスデューサは、円板形状の混入物フィルタの下流のノズル本体に進入する溶融物にその検知先端部が露出するように、エンドキャップアダプタに装着される。アセンブリは、溶融物圧力トランスデューサの装着を妨げずに、洗浄及びフィルタ交換のために、円板形状の混入物フィルタ及びエンドキャップアダプタの内部への容易なアクセスを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来の直線エッジノズルフィルタの右方頂部正面斜視図である。
図2】本開示の第1の実施形態による、直線エッジノズルフィルタの前方ポート付き溝又はフルートと流体連通するそのセンサ先端部とともに装着された溶融物圧力トランスデューサを有するノズル本体内に位置決めされた、図1の直線エッジノズルフィルタの組み合わせの部分的に分解した右方頂部背面斜視図である。
図3図2の直線エッジノズルフィルタ及びノズル本体の組み合わせの左方頂部正面斜視図である。
図4図1の直線エッジノズルフィルタを図2及び図3のノズル本体に対して所望の配向に固定するために提供された位置決めワッシャの左後方底面斜視図である。
図5図4の線5-5に沿って切断した、図4に例示される位置決めワッシャの断面図である。
図6図4に例示される位置決めワッシャの前方平面図である。
図7図1に例示される直線エッジノズルフィルタ及び図4に例示される位置決めワッシャの左後方上面分解図である。
図8図1に例示される直線エッジノズルフィルタ及び図4に例示される位置決めワッシャの左後方上面斜視図である。
図9図8の線9-9に沿って切断した、図1に例示される直線エッジノズルフィルタ及び図4に例示される位置決めワッシャの断面図である。
図10】直線エッジノズルフィルタの前方ポート付き溝又はフルートの上に位置決めされた溶融物圧力トランスデューサ取り付けアセンブリと組み合わせた、図1に例示される直線エッジノズルフィルタ及び図4に例示される位置決めワッシャの右前方上面斜視図である。
図11図1に例示される直線エッジノズルフィルタ、図4に例示される位置決めワッシャ、及び直線エッジノズルフィルタの前方ポート付き溝又はフルートの上に位置決めされた溶融物圧力トランスデューサ取り付けアセンブリの左後方頂部斜視図である。
図12】ノズル先端部、フィルタキャップ、ノズル本体、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの分解図である。
図13-1】明確にするためにノズル本体の一部分を取り除いた、ノズル本体の相補的フィルタ受容ボアに装着された、図1に例示される直線エッジノズルフィルタの斜視断面図である。
図13-2】明確にするためにノズル本体の一部分を取り除いた、ノズル本体の相補的フィルタ受容ボアに装着された、図1に例示される直線エッジノズルフィルタの斜視断面図である。
図14図12の線14-14に沿って切断した、ノズル本体、溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリ、直線エッジノズルフィルタ、及び位置決めワッシャの断面図である。
図15】明確にするためにノズル本体の一部分を取り除いた、ノズル先端部、フィルタキャップ、ノズル本体、直線エッジノズルフィルタ、位置決めワッシャ、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの右前方上面斜視図である。
図16】ノズル先端部、フィルタキャップ、直線エッジノズルフィルタ、位置決めワッシャ、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの右前方上面斜視図である。
図17】明確にするためにノズル本体の一部分を取り除いた、ノズル先端部、フィルタキャップ、ノズル本体、直線エッジノズルフィルタ、位置決めワッシャ、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの左後方上面斜視図である。
図18】ノズル先端部、フィルタキャップ、ノズル本体、直線エッジノズルフィルタ、位置決めワッシャ、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの部分分解図である。
図19】直線エッジノズルフィルタ及び位置決めワッシャがその中にほぼ完全に着座した状態の、ノズルボア及びワッシャシートを有するノズル本体の内部を例示する部分破断断面図である。
図20】円板形状の混入物フィルタの斜視図である。
図21】本開示の第2の実施形態による、ノズル先端部、ノズル本体、エンドキャップアダプタ、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの右前方斜視図である。
図22図21のノズル先端部、ノズル本体、エンドキャップアダプタ、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの分解図である。
図23】エンドキャップアダプタと組み合わせた図20の円板形状の混入物フィルタ、及び図21の溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの背面図である。
図24】ノズル先端部、ノズル本体、エンドキャップアダプタ、円板形状の混入物フィルタ、及び溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリの切断平面及び内部を単に例示の目的で透過させた状態の、図23の線24-24に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、従来の直線エッジノズルフィルタ10が例示されている。直線エッジノズルフィルタ10は、後方(上流に面する)開放端部又はポート14及び反対側の閉鎖(下流)端部16が各々に提供された、本明細書では入口溝12と称され得る、第1の複数のフルート又は溝12を特徴とする。直線エッジノズルフィルタ10は、前方(下流に面する)開放端部又はポート20及び反対側の閉鎖(上流)端部22が各々に提供された、本明細書では出口溝18と称され得る、第2の複数のフルート又は溝18を更に特徴とする。第1の複数の入口溝12及び第2の複数の出口溝18は、互いに交互しており、溝12、18の各々は、フィルタ壁24によってその隣接する溝18、12から分離されている。フィルタ壁24の各々の頂部とノズル本体のフィルタ受容ボア25の内径との間の隙間C(図13-1、図13-2を参照されたい)は、0.005インチ~0.050インチの範囲であり、また一例として、0.005インチ、0.010インチ、0.015インチ、0.020インチ、0.025インチ、0.030インチ、0.035インチ、0.040インチ、0.045インチ、又は0.050インチであり得、濾過スリットとしての役割を果たし、濾過スリットよりも大きい、直線エッジノズルフィルタ10の上流のバレルから導入された溶融物中の任意の粒子状物質、細片、未溶融ペレット、又はムラが、後方ポート付きの又は上流に開放された第1の複数の溝12のうちのいずれかから、前方ポート付きの下流に開放された第2の複数の溝18のうちのいずれかに入り込むことを防止する。
【0011】
図1の(可能な溶融物流路を表す)矢印付き二点鎖線で示されるように、溶融物は、直線エッジノズルフィルタ10の上流方向から、第1の複数の溝12に入り込み、次いで、ノズル本体26のフィルタ受容ボア25の内径とフィルタ壁24の頂部との間の隙間によって画定された濾過スリット(図13-1、図13-2を参照されたい)を通過し、そして、第2の複数の溝18に入り込み、次いで、直線エッジノズルフィルタ10の前端部の開放端部又はポート20を通って、直線エッジノズルフィルタ10の下流端部から自由に出て行く。
【0012】
図2は、ノズル本体26の相補的フィルタ受容ボア内で受容された直線エッジノズルフィルタ10を例示する。ノズル先端部28は、フィルタキャップ30内で受容され、当該フィルタキャップは、ノズル本体26の下流端部内でねじ式に受容することができ、開放端部又はポート20を直線エッジノズルフィルタ10に、したがって、第2の複数の溝18の前端部に配置して、ノズル先端部28と流体連通する。直線エッジノズルフィルタ10の適切な配向を確実にするために、図3図18に例示されるように、位置決めワッシャ32が提供されている。位置決めワッシャ32は、その外周に沿った少なくとも1つの非円形(例えば、平坦な)領域34と、直線エッジノズルフィルタ10の溝12、18を補完するジオメトリを有する軸方向内向きタブの36と、を有する。例えば、溝12、18の各々(又は少なくとも1つ)は、弧状でベル形状の断面を有し得、位置決めワッシャ32の内向きのタブ36には、入口溝12のうちの1つなどの溝の1つに嵌合し、それによって、直線エッジノズルフィルタ10が位置決めワッシャ32に対して回転するのを阻止する、平坦なベル形状の断面が提供されている。
【0013】
こうして、直線エッジノズルフィルタ10が位置決めワッシャ32に対して回転するのを抑制することによって、保護用溶融物圧力トランスデューサシュラウド42又はハウジング保護具を含み得る、溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリに固定された溶融物圧力トランスデューサ40などの圧力センサは、出口溝18の関連する1つを通って流れる溶融物と流体連通するその位置を維持することができる。
【0014】
その中に提供された溶融物圧力センサ40が出口溝18の溶融物圧力を検知するよう位置決めされるように溶融物圧力トランスデューサ装着アセンブリを位置決めすることによって、すなわち、溶融物がフィルタ壁24と直線エッジノズルフィルタ10が固定されたフィルタボアの内壁との間の濾過スリットを通過した後に、センサによって伝送されるデータが、濾過溶融物の実際の溶融物圧力を示すことが確実になる。濾過スリットの下流で濾過溶融物の圧力を検知することは、閉ループプラスチック処理制御システムにおいて使用される圧力センサ応答を安定させる役割を果たす。その際に、閉ループシステムの応答は、混入物又は細片の蓄積に起因するフィルタ流の状態の変化による圧力の変化又は一時的な中断を伴わずに、成形用キャビティに流れ込むプラスチック材料の圧力変化に基づく。濾過スリットの後ろに圧力センサを位置付けることによって、プラスチックの圧力の変化に対して、5ms(ミリ秒)以下の制御システムアプリケーションの応答時間を達成し、維持することが可能である。
【0015】
溶融物がノズルに進入する直前に、濾過スリットの下流で溶融物圧力をリアルタイムで検知する能力に加えて、本開示の構成は、メンテナンスの容易性を好都合に促進する。例えば、この第1の実施形態によれば、ノズル先端部28及びフィルタキャップ30は、高感度な溶融物圧力トランスデューサ40を分解することを必要とせずに、又は別様に妨げずに、ノズル本体26から係合解除され得、直線エッジノズルフィルタ10を、フィルタキャップ30を受容するねじ付き開放部を通して、ノズル本体26の下流端部から引き抜くことを可能にする。閉鎖下流端部16及び開放後方(上流に面する)端部又はポート14を有する直線エッジノズルフィルタ10の入口溝12のうちの1つの中に着座する非円形領域34に対する場所に位置決めワッシャ32の軸方向内向きのタブ36を提供する利益は、(開放ポート14が、位置決めワッシャ32のタブ36のジオメトリを空けるのに十分な寸法であれば)直線エッジノズルフィルタ10を、位置決めワッシャ32を取り外すことさえ必要とせずに、ノズル本体26から取り外すことができることである。
【0016】
しかしながら、それでも溶融物圧力トランスデューサ40を妨げずに、位置決めワッシャ32及び直線エッジノズルフィルタ10の両方を取り外すことが望ましい場合は、ノズル本体26内の位置決めワッシャ32とワッシャシート44との間に1つ以上のベルビルワッシャ型ばねなどの1つ以上のばねを提供することができる。
【0017】
図20図24を参照すると、円板形状の混入物フィルタ110が例示されている。円板形状の混入物フィルタ110には、円板形状の混入物フィルタ110の軸方向長さを通って延在する細長い孔の形態の、多数の濾過アパーチャ112が提供されている。ノズル本体126には、その下流端部にノズル先端部128が提供されている。ノズル本体126の上流端部には、エンドキャップアダプタ150が提供されている。エンドキャップアダプタ150には、保護用溶融物圧力トランスデューサシュラウド142が提供され得、その中では、ノズル先端部128に向かう方向にノズル本体126のボア152に浸入する溶融物と流体連通し、かつ円板形状の混入物フィルタ110の下流となるような様式でセンサ先端部を装着するように、溶融物圧力トランスデューサ140が受容される。エンドキャップアダプタ150には、射出成形機の被加熱バレル(図示せず)などのプラスチック処理制御システムにおいて溶融物源と流体連通する中央ボア154が提供され得る。上述の実施形態と同様の様式では、溶融物は、源から、エンドキャップアダプタ150の中央ボア154を通って、円板形状の混入物フィルタ110の上流側に進入し、直径が0.005インチ~0.050インチの範囲であり、また一例として、0.005インチ、0.010インチ、0.015インチ、0.020インチ、0.025インチ、0.030インチ、0.035インチ、0.040インチ、0.045インチ、又は0.050インチであり得る濾過アパーチャ112の直径よりも大きい、濾過物中の任意の粒子状物質、未溶融ペレット、細片、又はムラを除いて、濾過アパーチャ112を通過する。
【0018】
本明細書に開示された構成によれば、溶融物が円板形状の混入物フィルタ110の下流側から出た後に、溶融物が、ノズル先端部128への途中で、エンドキャップアダプタ150からノズル本体126のボア152に入り込むときに、溶融物は、溶融物圧力トランスデューサ140などの圧力センサと直接流体連通する。こうして、円板形状の混入物フィルタ110の下流に圧力センサを提供することによって、未濾過溶融物と密に接触するか、又は例えばバレルのロードセル測定値に基づくプロキシ圧力測定値を提供する従来の圧力センサ(かかるプロキシセンサ又はバレル内のロードセルが直接的又は間接的に接触する未濾過溶融物中の不純物及びムラの悪影響を受ける)と比較して、検知される圧力応答が安定することが見出される。
【0019】
同じく上述の実施形態のように、この第2の実施形態の構成は、下流側から円板形状の混入物フィルタ110への容易なアクセスを提供するように、ノズル本体126をエンドキャップアダプタ150から接続解除することを可能にし、円板形状の混入物フィルタ110を、溶融物圧力トランスデューサ140の装着を妨げずに、洗浄又は交換のために、エンドキャップアダプタ150内のフィルタ受容シートから取り外すことを可能にするという点で、メンテナンスの容易性を促進する。新しい又は洗浄された円板形状の混入物フィルタ110が設置されると、次いで、ノズル本体126及びエンドキャップアダプタ150を再接続することができ、溶融物圧力トランスデューサ140は、円板形状の混入物フィルタ110の下流側の溶融物と直接連通するように、容易に位置決めされる。
【0020】
本明細書で様々な実施形態を説明してきたが、それでも本開示及び添付の特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされる修正が行われ得ることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13-1】
図13-2】
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24