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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169405
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】紐用リール
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/00 20060101AFI20241128BHJP
   A43C 1/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A43C11/00
A43C1/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084246
(22)【出願日】2024-05-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-06
(31)【優先権主張番号】202310587912.2
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183851
【氏名又は名称】高笙工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】張博鈞
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050MA06
(57)【要約】
【課題】紐用リールを提供する。
【解決手段】紐用リールはベース、リール盤およびキャップを備える。ベースは底面、円筒部、格納空間および回転軸を有する。リール盤は回転接続孔を有する。キャップはリール盤に連結され、複数の歯部を有する。ベースの円筒部は一つ以上の歯部に対応する歯止めを有する。リール盤の回転接続孔がベースの回転軸に嵌合する際、キャップはベースに対して回転するとともにリール盤を連動させるか、押し下げ位置と引き上げ位置との間にベースに対して移動するとともにリール盤を連動させる。キャップが押し下げ位置に据えられる際、複数の歯部は歯止めに引っ掛かるため、リール盤はキャップの作動によって回転軸を中心に、単一方向に回転する。キャップが引き上げ位置に据えられる際、複数の歯部は歯止めから解放されるため、リール盤はキャップの作動によって自由に回転する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース、リール盤およびキャップを備え、
前記ベースは底面、円筒部、格納空間および回転軸を有し、前記円筒部は前記底面から上に伸びて形成され、一つ以上の歯止めを有し、前記格納空間は前記底面および前記円筒部から形成され、前記回転軸は前記底面かつ前記格納空間の中央から突起し、
前記リール盤は回転接続孔を有し、前記回転接続孔は前記回転軸に嵌合するため、前記リール盤は前記格納空間に回転可能に格納され、前記回転軸を中心に上下に移動することができ、
前記キャップは前記リール盤に連結されることで前記リール盤を連動させ、複数の歯部を有し、複数の前記歯部は一つ以上の前記歯止めに対応し、
前記キャップは押し下げ位置と引き上げ位置との間に前記ベースに対して移動するとともに前記リール盤を連動させ、
前記キャップが前記押し下げ位置に据えられる際、複数の前記歯部は一つ以上の前記歯止めに引っ掛かるため、前記リール盤は前記キャップの作動によって前記回転軸を中心に単一方向に回転し、
前記キャップが前記引き上げ位置に据えられる際、複数の前記歯部は一つ以上の前記歯止めから解放されるため、前記リール盤は前記キャップの作動によって自由に回転することを特徴とする紐用リール。
【請求項2】
前記リール盤の前記回転接続孔は断面が円形の下方回転接続部位および断面が非円形の上方回転接続部位を有し、前記下方回転接続部位は前記回転軸に回転可能に被って配置され、前記上方回転接続部位は前記下方回転接続部位に繋がり、
前記キャップは下方に突出した駆動軸を有し、前記駆動軸と前記上方回転接続部位とは形が相互に対応し、
前記駆動軸が前記上方回転接続部位に嵌合する際、前記キャップは前記ベースに対して回転するとともに前記リール盤を連動させたり、前記押し下げ位置と前記引き上げ位置との間に前記ベースに対して移動するとともに前記リール盤を連動させたりできることを特徴とする請求項1に記載の紐用リール。
【請求項3】
さらに第一止めねじを備え、
前記第一止めねじはヘッド部と、前記ヘッド部に連結されたねじ山部とを有し、
前記キャップの前記駆動軸は皿穴を有し、
前記第一止めねじが前記駆動軸の前記皿穴を貫通して前記回転軸に締め付けられる際、前記第一止めねじの前記ヘッド部は皿穴の中に位置し、
前記キャップが前記引き上げ位置に据えられる際、前記第一止めねじの前記ヘッド部は前記皿穴の底面に当接することを特徴とする請求項2に記載の紐用リール。
【請求項4】
さらに第二止めねじを備え、
前記第二止めねじは前記キャップと前記リール盤との間に締め付けられて前記キャップと前記リール盤をまとめて固定することを特徴とする請求項2に記載の紐用リール。
【請求項5】
前記リール盤は連結固定孔を有し、
前記キャップは前記駆動軸に間隔を置いたうえで下方に突出した補助駆動軸を有し、前記補助駆動軸は前記連結固定孔に嵌合し、
前記第二止めねじはヘッド部と、前記ヘッド部に連結されたねじ山部とを有し、
前記第二止めねじの前記ねじ山部は前記連結固定孔を貫通して前記キャップの前記補助駆動軸に締め付けられ、前記第二止めねじの前記ヘッド部は前記リール盤に当接することを特徴とする請求項4に記載の紐用リール。
【請求項6】
前記ベースの前記回転軸は外周面に第一環状溝および第二環状溝を有し、
前記リール盤の前記回転接続孔は壁面に環状係止部を有し、
前記キャップが前記押し下げ位置に据えられる際、前記環状係止部は前記第一環状溝に嵌まり込み、
前記キャップが前記引き上げ位置に据えられる際、前記環状係止部は前記第二環状溝に嵌まり込むことを特徴とする請求項1に記載の紐用リール。
【請求項7】
前記ベースにおいて、前記円筒部は相互に対応する第一穿孔および第二穿孔を有し、一つ以上の前記歯止めは相互に対応する第一歯止めおよび第二歯止めであり、前記第一歯止め、前記第二歯止め、前記第一穿孔および前記第二穿孔は前記回転軸に向かって間隔を置いて前記円筒部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の紐用リール。
【請求項8】
前記リール盤は底面、頂面および中間部を有し、前記中間部は前記頂面と前記底面との間に連結され、前記回転接続孔は前記底面、前記頂面および前記中間部を貫通することを特徴とする請求項1に記載の紐用リール。
【請求項9】
さらに弾性ユニットを備え、
前記弾性ユニットは二つの弾性当接部を有し、
前記リール盤は底面を有し、前記底面は第一部分、第二部分および連結部から構成され、前記第一部分および前記第二部分は相互に間隔を置いて配置され、前記連結部は前記第一部分および前記第二部分を連結し、
前記弾性ユニットの二つの前記弾性当接部は前記リール盤の前記連結部の両側に別々に当接し、
前記ベースの前記回転軸は外周面に第一環状溝および第二環状溝を有し、
前記キャップが前記押し下げ位置に据えられる際、前記弾性ユニットのそれぞれの前記弾性当接部は前記回転軸の前記第一環状溝に当接し、
前記キャップが前記引き上げ位置に据えられる際、前記弾性ユニットのそれぞれの前記弾性当接部は前記回転軸の前記第二環状溝に当接することを特徴とする請求項1に記載の紐用リール。
【請求項10】
前記リール盤はさらに格納溝を有し、前記格納溝は前記リール盤の前記底面の前記第一部分、前記第二部分および前記連結部の間に形成され、
前記弾性ユニットはさらに二つの前記弾性係止部の間に位置する円弧状部位を有し、前記円弧状部位は前記リール盤の前記格納溝に格納されるため、前記弾性ユニットは前記キャップの作動によって前記リール盤とともに前記回転軸に向かって上下に移動することができることを特徴とする請求項9に記載の紐用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールに関し、詳しくは構造および部品交換の簡易化が実現できる簡単紐用リールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
紐が付いている靴を履く時、靴の両側に紐を交差させて配列させ、紐の二つの先端部を結んで紐をしっかり縛れば靴のフィット感および履き心地を向上させることができる。しかし、靴を着脱する際、紐を解いたり結んだりする動きは未就学児または高齢者にとって難しいことである。
【0003】
また、工事現場の関係者または競輪などの競技選手または参加者には、激しい運動または外部の物体との間に生じた摩擦に伴って紐の二つの先端部が緩くなることが原因で事故の可能性が高まるため、休憩以外の時間は靴の紐をしっかり締めていなければならない。しかし、休憩時間に足を十分に休ませるためにしっかり締めた靴の紐を緩めなければならない。言い換えれば、それらの状況に応じるために靴の紐を締めたり緩めたりできる装置が必要である。
【0004】
それに対し、従来の紐用リールは紐を締めたり緩めたりすることができるが、部品が多く構造が複雑であるため、組立作業が難しく、製品の生産性が低下するという問題がある。また故障の時にメンテナンスおよび部品の交換が難しいため、製品のメンテナンス性が低いという問題がある。つまり、従来の紐用リールには改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した問題に鑑み、部品および構造の簡易化が実現でき、メンテナンスおよび部品の交換が容易である紐用リールを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、紐用リールはベース、リール盤およびキャップを備える。ベースは底面、円筒部、格納空間および回転軸を有する。リール盤は回転接続孔を有する。キャップはリール盤に連結され、複数の歯部を有する。ベースの円筒部は一つ以上の歯部に対応する歯止めを有する。リール盤の回転接続孔がベースの回転軸に嵌合する際、キャップはベースに対して回転するとともにリール盤を連動させるか、押し下げ位置と引き上げ位置との間にベースに対して移動するとともにリール盤を連動させる。キャップが押し下げ位置に据えられる際、複数の歯部は歯止めに引っ掛かるため、リール盤はキャップの作動によって回転軸を中心に、単一方向に回転する。キャップが引き上げ位置に据えられる際、複数の歯部は歯止めから解放されるため、リール盤はキャップの作動によって自由に回転する。
【0007】
上述した構造特徴により、リール盤はキャップの作動によってベースに向かって押し下げ位置と引き上げ位置との間を移動したうえで紐を巻き取ったり、紐を放出したりすることができる。即ち本発明による紐用リールは従来の紐用リールが持つ紐を締めたり緩めたりする機能を果たすことができる。また本発明による紐用リールは部品および構造の簡易化が実現でき、メンテナンスおよび部品の交換が容易であるため、製品の生産性とメンテナンスの容易さを向上させることができる。
【0008】
比較的好ましい場合、リール盤の回転接続孔は断面が円形の下方回転接続部位および断面が非円形の上方回転接続部位を有する。下方回転接続部位は回転軸に被って回転可能に配置される。上方回転接続部位は下方回転接続部位に繋がる。キャップは下方に突出した駆動軸を有する。駆動軸と上方回転接続部位とは形が相互に対応する。駆動軸が上方回転接続部位に嵌合する際、キャップはベースに対して回転するとともにリール盤を連動させたり、押し下げ位置と引き上げ位置との間にベースに対して移動するとともにリール盤を連動させたりすることができる。詳しく言えば、回転接続孔の下方回転接続部位は回転軸に被さって配置される。駆動軸が回転接続孔の上方回転接続部位に嵌合する際、キャップはベースの回転軸に対して上下に移動したり回転したりしながら、リール盤を連動させることができる。
【0009】
比較的好ましい場合、キャップの駆動軸は皿穴を有する。紐用リールはさらに第一止めねじを備える。第一止めねじはヘッド部と、ヘッド部に連結されたねじ山部とを有する。第一止めねじが駆動軸の皿穴を貫通して回転軸に締め付けられる際、第一止めねじのヘッド部は皿穴に位置する。キャップが引き上げ位置に据えられる際、第一止めねじのヘッド部は皿穴の底面に当接することでキャップを最大の引き上げ位置に維持する。
【0010】
比較的好ましい場合、紐用リールはさらに第二止めねじを備える。第二止めねじはキャップとリール盤との間に締め付けられてキャップとリール盤をまとめて固定する。
【0011】
比較的好ましい場合、リール盤は連結固定孔を有する。キャップは駆動軸に間隔を置いて下方に突出した補助駆動軸を有する。補助駆動軸は連結固定孔に嵌合する。第二止めねじはヘッド部と、ヘッド部に連結されたねじ山部とを有する。第二止めねじのねじ山部は連結固定孔を貫通してキャップの補助駆動軸に締め付けられる。第二止めねじのヘッド部はリール盤に当接する。上述した構造特徴により、補助駆動軸と連結固定孔とが相互に嵌合すれば第二止めねじはキャップとリール盤をまとめて緊密に締結することができる。
【0012】
比較的好ましい場合、ベースの回転軸は外周面に第一環状溝および第二環状溝を有する。リール盤の回転接続孔は壁面に環状係止部を有する。キャップが押し下げ位置に据えられる際、環状係止部は第一環状溝に嵌まり込む。キャップが引き上げ位置に据えられる際、環状係止部は第二環状溝に嵌まり込む。つまり、キャップが押し下げ位置または引き上げ位置に据えられる際、環状係止部は第一環状溝または第二環状溝に嵌まり込むことで回転軸の固定位置にリール盤を移動させずロックすることができる。ベースの円筒部は相互に対応する第一穿孔および第二穿孔を有する。
【0013】
比較的好ましい場合、ベースにおいて、一つ以上の歯止めは相互に対応する第一歯止めおよび第二歯止めから構成される。第一歯止めおよび第二歯止めは回転軸に向かって間隔を置いて配置される。キャップの歯部がベースの第一歯止めおよび第二歯止めに引っ掛かる際、キャップは回転軸に対して単一方向に回転しながらリール盤を連動させる。
【0014】
比較的好ましい場合、リール盤は底面、頂面および中間部を有する。中間部は頂面と底面との間を連結する。回転接続孔は底面、頂面および中間部を貫通する。
【0015】
比較的好ましい場合、リール盤は底面を有する。底面は相互に間隔を置いて配置された第一部分および第二部分と、第一部分および第二部分を連結する連結部とを有する。紐用リールはさらに弾性ユニットを備える。弾性ユニットは二つの弾性当接部を有する。弾性ユニットの二つの弾性当接部はリール盤の連結部の両側に別々に当接する。ベースの回転軸は外周面に第一環状溝および第二環状溝を有する。キャップが押し下げ位置に据えられる際、弾性ユニットのそれぞれの弾性当接部は回転軸の第一環状溝に当接する。キャップが引き上げ位置に据えられる際、弾性ユニットのそれぞれの弾性当接部は回転軸の第二環状溝に当接する。上述した構造特徴により、キャップが押し下げ位置または引き上げ位置に据えられる際、それぞれの弾性当接部は第一環状溝または第二環状溝に当接すると同時に音を出すことによって回転軸の固定位置にリール盤が当接することをユーザーに知らせる。
【0016】
比較的好ましい場合、リール盤はさらに格納溝を有する。格納溝はリール盤の底面の第一部分、第二部分および連結部の間に形成される。弾性ユニットはさらに二つの弾性係止部の間に位置する円弧状部位を有する。弾性ユニットは円弧状部位がリール盤の格納溝に格納されるため、キャップの作動によってリール盤とともに回転軸に向かって上下に移動することができる。
【0017】
本発明による紐用リールの詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法は、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。また、以下の詳細な説明および本発明により提示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある人ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1施形態による紐用リールを示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による紐用リールを示す分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による紐用リールを別の角度から見た分解斜視図である。
図4a図1中の4-4線に沿った断面図、即ちキャップが押し下げ位置に据えられる状態を示す断面図である。
図4b図1中の4-4線に沿った断面図、即ちキャップが引き上げ位置に据えられたる状態を示す断面図である。
図5】本発明の第2施形態による紐用リールのリール盤および弾性ユニットを示す斜視図である。
図6a】本発明の第2施形態による紐用リールのキャップが押し下げ位置に据えられる状態を示す断面図である。
図6b】本発明の第2施形態による紐用リールのキャップが引き上げ位置に据えられる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による紐用リールを図面に基づいて説明する。なお、明細書において、本発明およびその応用範囲は材料および形、配置方式および部品の数に関わる記載、技術用語および方向性用語に限定されるものではない。上下、左右、頂部、底部、内側、外側などの方向性用語は通常使用する方向に基づいて表現される。
【0020】
(第1実施形態)
図1から図3に示すように、本発明の一実施形態による紐用リール1はベース10、リール盤20、キャップ40、キャップ50および二つの第二止めねじ60を備える。
【0021】
ベース10は型で一体成型され、底面11、円筒部12、格納空間13および回転軸14を有する。円筒部12は底面11から上に伸びて形成される。格納空間13は底面11および円筒部12に囲まれて形成される。回転軸14は底面11かつ格納空間13の中央から突起するように配置される。詳しく言えば、本実施形態において、回転軸14は外周面に第一環状溝141および第二環状溝142を有する。円筒部12は外周面に相互に対応する第一欠け口121および第二欠け口122、第一歯止め121aおよび第二歯止め122aを有する。第一歯止め121aは第一欠け口121の右側から外部に突出して形成される。第二歯止め122aは第二欠け口122の左側から外部から突出して形成される。円筒部12はさらに相互に対応する第一穿孔123および第二穿孔124を有する。第一歯止め121a、第二歯止め122a、第一穿孔123および第二穿孔124は回転軸14に向かうように円筒部12に間隔を置いて配置される。
【0022】
図2図3図4aおよび図4bに示すように、リール盤20は型で一体成型され、底面21、頂面22、中間部23および巻き取り溝24を有する。中間部23は頂面22と底面21を連結する。巻き取り溝24は底面21、頂面22および中間部23の間に形成される。詳しく言えば、リール盤20はさらに二つの穿孔221、222、回転接続孔25および連結固定孔26を有する。二つの穿孔221、222は頂面22に形成される。回転接続孔25および連結固定孔26は底面21頂面22および中間部23を貫通する。回転接続孔25は断面が円形の下方回転接続部位251および断面が方形の上方回転接続部位252を有する。下方回転接続部251は開口部の壁面に環状係止部251aを有する。上方回転接続部位252は下方回転接続部位251に繋がり、かつ頂面22から上に伸びて形成される。連結固定孔26は皿穴261および連結固定部位262を有する。皿穴261は凹んだ底面21の一部分からなる。連結固定部位262は頂面22から上に伸びて形成される。
【0023】
キャップ40は型で一体成型され、頂面41および環状壁面42を有する。環状壁面42は頂面41から下へ伸びて形成される。詳しく言えば、キャップ40はさらに駆動軸411および補助駆動軸412を有する。駆動軸411および補助駆動軸412は相互に間隔を置いて頂面41から下に突起して形成される。駆動軸411は皿穴411aを有する。皿穴411aは上から頂面41を貫通する。環状壁面42は複数の歯部421を有する。複数の歯部421はベース10の第一歯止め121aおよび第二歯止め122aに対応するように環状壁面42の内側面に環状に配置される。
【0024】
以上は本発明の第1実施形態による紐用リール1の構造についての説明である。続いて、紐用リール1の組立および使用方式について説明を進める。
【0025】
図2図3図4aおよび図4bに示すように、本発明による紐用リール1を使用する際、まず本発明による紐用リール1に紐30を取り付ける。紐30は金属線から製作されるが、これに限定されない。紐30は第一端部31、第二端部32および紐本体33を有する。紐本体33は第一端部31と第二端部32との間に位置する。
【0026】
本実施形態において、リール盤20はベース10の格納空間13に格納される。詳しく言えば、まずリール盤20の回転接続孔25の下方回転接続部位251とベース10の回転軸14とを相互に嵌合させる。続いて、紐30の第一端部31および第二端部32をベース10の円筒部12の第一穿孔123および第二穿孔124に別々に差し込んだ後、リール盤20の頂面22の穿孔221、222から紐30の第一端部31および第二端部32を引き出す。続いて、リール盤20の頂面22に紐30の第一端部31および第二端部32を結んで固定する。このとき紐30の紐本体33はベース10の円筒部12の第一穿孔123、第二穿孔124を貫通して一部分がベース10に露出し、別の一部分がリール盤20の巻き取り溝24に格納される。本実施形態において、紐30の第一端部31、第二端部312およびリール盤20の穿孔221、222の締結方式は上述に限定されず、結び方、面ファスナー、ボタンまた別の締結できる方式を使用してもよい。
【0027】
ベース10の格納空間13にリール盤20を格納した後、キャップ40とリール盤20をまとめて固定すればよい。詳しく言えば、キャップ40の駆動軸411とリール盤20回転接続孔25の上方回転接続部位252とは形が相互に対応する。キャップ40の補助駆動軸412とリール盤20の連結固定孔26の連結固定部位262とは形が相互に対応する。つまり、駆動軸411と上方回転接続部位252とを相互に嵌合させ、補助駆動軸412と連結固定部位262とを相互に嵌合させれば、リール盤20とキャップ40を結合させることができる。
【0028】
ベース10、リール盤20、紐30およびキャップ40を組み立てた後、第一止めねじ50および第二止めねじ60でベース10、リール盤20およびキャップ40をまとめて固定する。詳しく言えば、第一止めねじ50はヘッド部51と、ヘッド部51に連結されたねじ山部52とを有する。第二止めねじ60はヘッド部61と、ヘッド部61に連結されたねじ山部62とを有する。第一止めねじ50のねじ山部52がキャップ40の皿穴411aを貫通してベース10の回転軸14に締め付けられる際、第一止めねじ50のヘッド部51はキャップ40の皿穴411a内に位置する。第二止めねじ60のねじ山部62はリール盤20の連結固定孔26を貫通してキャップ40の補助駆動軸412に締め付けられる。第二止めねじ60のヘッド部61は連結固定孔26の皿穴261の底面に当接する。つまり、同軸上のベース10、リール盤20およびキャップ40を第一止めねじ50で締結し、キャップ40およびリール盤20を第二止めねじ40でまとめて固定することができる。
【0029】
紐用リール1の組立作業が完了した後、リール盤20はベース10の格納空間13に格納される。キャップ40はベース10の回転軸14に向かってリール盤20を回転させたり、押し下げ位置P1(図4a参照)と引き上げ位置P2(図4b参照)の間にリール盤20を移動させたりすることができる。詳しく言えば、キャップ40を押し下げ位置P1(図4a)まで押せば、キャップ40の歯部421はベース10の第一歯止め121aおよび第二歯止め122aに引っ掛かる。歯部421、第一歯止め121aおよび第二歯止め122aによってキャップ40は回転軸10に対してリール盤20を単一方向に旋転させることができる。それに対し、リール盤20はキャップ40の作動に降下し、環状係止部251aを回転軸14の第一環状溝141に当接させる。上述した構造特徴により、キャップ40が回転すれば、巻き取り溝24に紐30を巻き取る方向に向かってリール盤20を回転させることができる。歯部421が第一歯止め121aおよび第二歯止め122aに引っ掛かれば、キャップ40はリール盤20とともに逆方向に回転できず、巻き取り溝24内に紐30を巻き取って収容するため、巻き取り溝24から紐30を引き出すことができない。言い換えれば、紐用リール1を靴に使用する際、キャップ40を押し下げ位置P1(図4a)まで押し、続いてキャップ40を回せば靴紐(即ち紐30)は強く締め付けられ、緩まないように維持される。キャップ40が押し下げ位置P1に据えられる際、キャップ40の環状壁面42はベース10の円筒部12の第一穿孔123および第二穿孔124を完全に遮蔽することができないため、第一穿孔123および第二穿孔124からベース10に露出した紐30の紐本体33をリール盤20の巻き取り溝24内に巻き取って収容することができる。
【0030】
キャップ40が引き上げ位置P2(図4b参照)に据えられる際、キャップ40の歯部421はベース10の第一歯止め121aおよび第二歯止め122aから解放される。第一止めねじ50のヘッド部51は駆動軸411の皿穴411aの底面に当接することでキャップ40の引き上げ位置を限定する。リール盤20はキャップ40の作動によって上昇し、リール盤20の環状係止部251aを回転軸14の第二環状溝142に当接させて固定する。このとき歯部421は第一歯止め121aおよび第二歯止め122aから解放されるため、キャップ40はリール盤20を自由に回転させ、リール盤20の巻き取り溝24から紐30の紐本体33を引き出すことができる。つまり、紐用リール1を使用した靴の紐を緩めることができる。
【0031】
(第2実施形態)
図5図6aおよび図6bは本発明の第2実施形態による紐用リール2を示す模式図である。第1実施形態との違いは下記のとおりである。図6aに示すように、紐用リール2において、ベース10’の回転軸14’は外周面に第一環状溝141、第二環状溝142’および後押し部143’を有する。後押し部143’は第一環状溝141’と第二環状溝142’との間に配置される。第一環状溝141’および第二環状溝142’は後押し部143’より深い。
【0032】
図5に示すように、紐用リール2において、リール盤20’は底面21’、頂面22’、中間部23’および巻き取り溝24’を有する。底面21’は第一部分211’、第二部分212’、連結部213’および格納溝214’を有する。第一部分211’および第二部分212’は相互に間隔を置いて配置される。連結部213’は第一部分211’および第二部分212’を連結する。格納溝214’は第一部分211’、第二部分212’および連結部213’の間に形成される。夕刊部23’は頂面22’および底面21’の第一部分211’を連結する。巻き取り溝24’は頂面22’、底面21’の第一部分211’および中間部23’の間に配置される。リール盤2の巻き取り溝24’に紐30(図3参照)を巻き取る方式は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0033】
第2実施形態において、紐用リール2はさらに弾性ユニット70を備える。弾性ユニット70は二つの弾性当接部71および円弧状部位72を有する。円弧状部位72は二つの弾性当接部71の間に形成される。組立作業を行う際、弾性ユニット70の二つの弾性当接部71は図6aに示すようにリール盤20’の連結部213’の両側に別々に当接する。弾性ユニット70の円弧状部位72はリール盤20’の格納溝214’に格納される。
【0034】
詳しく言えば、キャップ40を押し下げれば弾性ユニット70はキャップ40の作動によってリール盤20’とともに回転軸14’に向かって降下するため、弾性ユニット70の二つの弾性当接部71は回転軸14’の後押し部143’によって押し詰められ、弾性復元力を保持する。図6aに示すように、キャップ40が押し下げ位置P1に据えられる際、二つの弾性当接部71は回転軸14’の後押し部143’に押し詰められず、弾性復元力を解放した後、回転軸14’の第一環状溝141’に当接して位置を固定する。また二つの弾性当接部71は回転軸14’の第一環状溝141’に当接すると同時に音を出すことによって回転軸14’の固定位置にリール盤20’が当接することをユーザーに知らせる。またキャップ40が押し下げ位置P1に据えられる際、キャップ40によってリール盤20’を回転させながら紐30を巻き取る方法は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0035】
キャップ40が押し下げ位置P1(図6a参照)から引き上げ位置P2(図6b参照)まで移動すれば、弾性ユニット70はキャップ40の作動によってリール盤20’とともに回転軸14’に向かって上昇するため、弾性ユニット70の二つの弾性当接部71は回転軸14’の後押し部143’によって押し詰められ、弾性復元力を保持する。図6bに示すように、キャップ40が引き上げ位置P2に据えられる際、二つの弾性当接部71は回転軸14’の後押し部143’に押し詰められず、弾性復元力を解放した後、回転軸14’の第二環状溝142’に当接して位置を固定する。また二つの弾性当接部71は回転軸14’の第二環状溝142’に当接すると同時に音を出すことによって回転軸14’の別の固定位置にリール盤20’が当接することをユーザーに知らせる。またキャップ40が引き上げ位置P2に据えられる際、キャップ40によってリール盤20’を回転させながら紐30をリール盤20’から放出する方法は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0036】
上述をまとめてみると、本発明による紐用リール1を使用する際、キャップ40がリール盤20を連動させながら押し下げ位置P1まで移動すれば、リール盤20は回転軸14を中心に、単一方向に回転するため、紐30の紐本体33をリール盤20の巻き取り溝24内に巻き取って締めることができる。キャップ40がリール盤20を連動させながら引き上げ位置P2まで移動すれば、リール盤20の巻き取り溝24から紐30の紐本体33を引っ張って緩めることができる。本発明による紐用リール2を使用する際、キャップ40がリール盤20’を連動させながら押し下げ位置P1まで移動すれば、リール盤20’は回転軸14’を中心に、単一方向に回転するため、紐30の紐本体33をリール盤20’の巻き取り溝24’内に巻き取って締めることができる。キャップ40がリール盤20’を連動させながら引き上げ位置P2まで移動すれば、リール盤20’の巻き取り溝24’から紐30の紐本体33を引っ張って緩めることができる。上述した構造特徴により、紐30を強く締めたり緩めたりする機能を果たす、即ち本発明の目的を達成することができる。また本発明による紐用リール1、2は部品および構造の簡易化が実現でき、メンテナンスおよび部品の交換が容易であるため、製品の生産性とメンテナンスの容易さを向上させることができる。また本発明による紐用リール1、2は履物だけでなく、紐30を締めたり緩めたりすることが必要な物に適用できる。
【0037】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0038】
1、2:紐用リール
10、10’:ベース
11:底面
12:円筒部
121:第一欠け口
121a:第一歯止め
122:第二欠け口
122a:第二歯止め
123:第一穿孔
124:第二穿孔
13:格納空間
14、14’:回転軸
141、141’:第一環状溝
142、142’:第二環状溝
143’:後押し部、
20、20’:リール盤
21、21’:底面
211’:第一部分
212’:第二部分
213’:連結部
214’:格納溝
22、22’:頂面
221、222:穿孔
23、23’:中間部
24、24’:巻き取り溝
25:回転接続孔
251:下方回転接続部位
251a:環状係止部
252:下方回転接続部位
26:連結固定孔
261:皿穴
262:連結固定部位
30:紐
31:第一端部
32:第二端部
33:紐本体
40:キャップ
41:頂面
411:駆動軸
411a:皿穴
412:補助駆動軸
42:環状壁面
421:歯部
50:第一止めねじ
51:ヘッド部
52:ねじ山部
60:第二止めねじ
61:ヘッド部
62:ねじ山部
70:弾性ユニット
71:弾性当接部
72:円弧状部位
P1:押し下げ位置
P2:引き上げ位置
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース、リール盤キャップおよび弾性ユニットを備え、
前記ベースは底面、円筒部、格納空間および回転軸を有し、前記円筒部は前記底面から上に伸びて形成され、一つ以上の歯止めを有し、前記格納空間は前記底面および前記円筒部から形成され、前記回転軸は前記底面かつ前記格納空間の中央から突起し、
前記リール盤は回転接続孔を有し、前記回転接続孔は前記回転軸に嵌合するため、前記リール盤は前記格納空間に回転可能に格納され、前記回転軸を中心に上下に移動することができ、
前記キャップは前記リール盤に連結されることで前記リール盤を連動させ、複数の歯部を有し、複数の前記歯部は一つ以上の前記歯止めに対応し、
前記キャップは押し下げ位置と引き上げ位置との間に前記ベースに対して移動するとともに前記リール盤を連動させ、
前記キャップが前記押し下げ位置に据えられる際、複数の前記歯部は一つ以上の前記歯止めに引っ掛かるため、前記リール盤は前記キャップの作動によって前記回転軸を中心に単一方向に回転し、
前記キャップが前記引き上げ位置に据えられる際、複数の前記歯部は一つ以上の前記歯止めから解放されるため、前記リール盤は前記キャップの作動によって自由に回転し、
前記弾性ユニットは前記リール盤に配置され、二つの弾性当接部を有し、
前記ベースの前記回転軸は外周面に第一環状溝および第二環状溝を有し、
前記キャップが前記押し下げ位置に据えられる際、前記弾性ユニットのそれぞれの前記弾性当接部は前記回転軸の前記第一環状溝に当接し、
前記キャップが前記引き上げ位置に据えられる際、前記弾性ユニットのそれぞれの前記弾性当接部は前記回転軸の前記第二環状溝に当接することを特徴とする紐用リール。
【請求項2】
記リール盤は底面を有し、前記底面は第一部分、第二部分および連結部から構成され、前記第一部分および前記第二部分は相互に間隔を置いて配置され、前記連結部は前記第一部分および前記第二部分を連結し、
前記弾性ユニットの二つの前記弾性当接部は前記リール盤の前記連結部の両側に別々に当接することを特徴とする請求項1に記載の紐用リール。
【請求項3】
前記リール盤はさらに格納溝を有し、前記格納溝は前記リール盤の前記底面の前記第一部分、前記第二部分および前記連結部の間に形成され、
前記弾性ユニットはさらに二つの前記弾性当接部の間に位置する円弧状部位を有し、前記円弧状部位は前記リール盤の前記格納溝に格納されるため、前記弾性ユニットは前記キャップの作動によって前記リール盤とともに前記回転軸に向かって上下に移動することができることを特徴とする請求項に記載の紐用リール。