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特開2024-169412マルチレートのバーストモード受信機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169412
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】マルチレートのバーストモード受信機
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/24 20220101AFI20241128BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20241128BHJP
   H04B 10/69 20130101ALI20241128BHJP
【FI】
H04L69/24
H04B10/272
H04B10/69
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024084611
(22)【出願日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】23175520
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルプラツェ,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル,ヤニク
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA65
5K102AH24
5K102AL08
5K102MA02
5K102MB13
5K102MB16
5K102MC21
5K102PH31
5K102PH49
5K102PH50
5K102RD04
5K102RD05
5K102RD26
5K102RD27
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】受動光ネットワークにおける光回線終端装置(OLT)内のバーストモード受信機を管理するための装置および方法提供する。
【解決手段】OLTは、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理(DSP)回路201~204によって、光ネットワークユニット(ONU)からの光バースト信号210を、復号済出力信号220に復号するバーストモード受信機111を備える。バーストモード受信機は、次の光バースト信号215のシンボルレート240を取得することと、先行する光バースト信号211内の価値のあるシンボルの受信と次の光バースト信号215内の価値のあるシンボルの受信との間のインターバルの間に、次の光バースト信号215のシンボルレート240に基づいて、1つ以上のDSP回路の構成可能処理速度230を調節すること234と、を行う手段205を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の光ネットワークユニット(131-134)ONUと受動光ネットワーク(100)において通信するように構成された、光回線終端装置(110)OLTであって、1つ以上のONUによって伝送される光バースト信号(210)が、それぞれのシンボルレートを有し、光回線終端装置が、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路(201、202、203、204)によって、ONUからの光バースト信号を復号済出力信号(220)に復号するように構成されるバーストモード受信機(111)を備え、光回線終端装置が
- 次の光バースト信号(215)のシンボルレート(240)を取得することと、
- 先行光バースト信号(211)内と次の光バースト信号(215)内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル(240)中に、1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度(230)を、次の光バースト信号(215)のシンボルレート(240)に基づいて調節することと(234)
を行うように構成された手段(205)を備える、光回線終端装置(110)OLT。
【請求項2】
インターバル(240)が、先行光バースト信号(211)と次の光バースト信号(215)との間のガードタイム(241)、および/または次の光バースト信号(215)内のプリアンブル(216)の一部(242)を含む、請求項1に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項3】
1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することが、1つ以上のデジタル信号処理回路のクロック周波数を調節すること(303)を含む、請求項1または2に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項4】
それぞれのデジタル信号処理回路(202)の構成可能処理速度を調節することが、それぞれのデジタル信号処理回路の1つ以上の並列回路インスタンス(202a、202b、202c)をイネーブルにすることおよび/またはディセーブルにすることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項5】
バーストモード受信機(111)が、信号(312)をダウンサンプリングするように構成された少なくとも1つのダウンサンプリング回路(311)をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項6】
バーストモード受信機(111)が、信号(402)をアップサンプリングするように構成された少なくとも1つのアップサンプリング回路(401)をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項7】
バーストモード受信機(111)が、信号(411)のレイテンシを調節するように構成された少なくとも1つのレイテンシ補償器回路(410)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項8】
レイテンシ補償器回路(410)が、先行光バースト信号(510)内と次の光バースト信号(520)内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、信号(220)内に1つ以上のダミーサンプル(554)を挿入すること、または1つ以上の非ペイロードサンプル(545)を信号(220)からドロップすることを行うようにさらに構成される、請求項7に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項9】
手段(205)が、次の光バースト信号のシンボルレート(240)に基づいて、少なくとも1つのダウンサンプリング回路(311)、少なくとも1つのアップサンプリング回路(401)、および/または少なくとも1つのレイテンシ補償器回路(410)を制御することを行うようにさらに構成される、請求項5から7のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項10】
アップサンプリング回路(401)が、信号(402)を所定のデータレートにアップサンプリングするようにさらに構成される、またはレイテンシ補償器回路(410)が、信号(411)のレイテンシを所定のレイテンシに調節するようにさらに構成される、請求項6または7に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項11】
1つ以上のデジタル信号処理回路が、アナログデジタル変換器(201)、クロックデータリカバリデバイス(202)、イコライザ(203)、および/または復号器(204)からなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項12】
手段(205)が、光バースト信号(211、215)のバーストタイミング情報(250)に基づいて、先行光バースト信号(211)内と次の光バースト信号(215)内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル(240)を決定することを行うようにさらに構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項13】
次の光バースト信号のシンボルレート(240)を取得することが、アップストリーム伝送スケジュールに基づいてシンボルレートを決定することをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の光回線終端装置OLT。
【請求項14】
- 次の光バースト信号(215)のシンボルレート(240)を取得することと、
- 先行光バースト信号(211)内と次の光バースト信号(215)内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル(240)中に、次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、光回線終端装置(110)OLT内の1つ以上のデジタル信号処理回路(201、202、203)の構成可能処理速度(230)を調節すること(234)と
を含み、
OLTが受動光ネットワークにおいて1つ以上の光ネットワークユニット(131-134)ONUと通信するように構成され、1つ以上のONUによって伝送される光バースト信号(210)が、それぞれのシンボルレートを有し、バーストモード受信機が、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路によって、ONUからの光バースト信号を復号済出力信号(220)に復号するように構成される、方法。
【請求項15】
コンピュータ実装される方法であって、
- 次の光バースト信号のシンボルレートを取得することと、
- 先行光バースト信号(211)内と次の光バースト信号(215)内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル(240)中に、次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、光回線終端装置(110)OLT内の1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度(230)を調節すること(232、234)と
を含み、
OLTがポイントツーマルチポイント光ネットワークにおいて1つ以上の光ネットワークユニット(131-134)ONUと通信するように構成され、1つ以上のONUによって伝送される光バースト信号(210)が、それぞれのシンボルレートを有し、バーストモード受信機が、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路によって、ONUからの光バースト信号を復号済出力信号(220)に復号するように構成される、コンピュータ実装される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な例示の実施形態は、受動光ネットワークにおける光回線終端装置(optical line terminal)OLT内のバーストモード受信機を管理するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受動光ネットワークPONでは、ネットワーク側の少なくとも1つの光回線終端装置OLTが、ユーザ側の1つ以上の光ネットワークユニット(optical network unit)ONUに接続する。OLTによって受信されたアップストリームの光バースト信号は、通常、1つ以上のバーストモード受信機構成要素を備えるバーストモード受信機によって復号される。例えば、ITU-T G.9804規格に従った50G-PONなどの新しいPONシステムにおけるバーストモード受信機は、通常、デジタル信号処理機能、例えばイコライザを伴うより複雑なデジタルバーストモード受信機構成要素を備える。
【0003】
このような新しいPONシステムでは、ONUは複数の異なるシンボルレートでOLTに光バースト信号を伝送できるようにされ得る。換言すると、OLTによって受信される光バースト信号のシンボルレートは変化する可能性がある。したがって、シンボルレートの異なる光バースト信号の効率的な受信を可能にすることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の様々な実施形態に求められる保護範囲は、独立請求項によって定められる。本明細書において説明される実施形態および特徴のうち、独立請求項の範囲に含まれないものがある場合、それは本発明の様々な実施形態を理解するのに有用な例として解釈される。
【0005】
とりわけ、受動光ネットワークPON内の光回線終端装置OLTによる、シンボルレートの異なる光バースト信号の効率的な受信および復号を可能にすることが、本発明の実施形態の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本開示の第1の例示の態様によれば、受動光ネットワークにおいて1つ以上の光ネットワークユニットONUと通信するように構成された光回線終端装置OLTによって達成され;1つ以上のONUによって伝送される光バースト信号は、それぞれのシンボルレートを有し;光回線終端装置は、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路によって、ONUからの光バースト信号を復号済出力信号に復号するように構成されたバーストモード受信機を備える。光回線終端装置は、次の光バースト信号のシンボルレートを取得することと;先行光バースト信号内と次の光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することとを行うように構成された手段を備える。
【0007】
したがって、OLTによって受信される光バースト信号は、異なるシンボルレートを有することができる。ネットワーク内のそれぞれの1つ以上のONUは、それぞれの所定のシンボルレートで光バースト信号を伝送してもよく、すなわち、各ONUのシンボルレートは固定されていることができる。あるいは、ONUは異なるシンボルレートで光バースト信号を伝送することもできる。OLT内のバーストモード受信機は、光バースト信号を受信して復号し、それによって復号済出力信号を生成するように構成される。換言すると、バーストモード受信機は、光バースト信号を復号済出力信号へと、処理または変換する。この目的のために、バーストモード受信機は、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路を備える。デジタル信号処理回路とは、バーストモード受信機において、少なくとも1つのデジタル信号処理機能を含むバーストモード受信機構成要素を指し得る。デジタル信号処理回路の構成可能処理速度とは、入力サンプルがデジタル信号処理回路によって処理される速度、および/またはデジタル信号処理回路によって出力サンプルが生成される速度を指す。
【0008】
1つ以上のデジタル信号処理回路は、シーケンス、パイプライン、または組み合わせを形成するように相互接続され、それぞれの相互接続されたデジタル信号処理回路によって行われるそれぞれの処理が、光バースト信号の復号済出力信号への復号に寄与するようになる。換言すると、1つ以上のデジタル信号処理回路は、光バースト信号を復号済出力信号に復号するための処理データパスを形成する。そのため、それぞれのデジタル信号処理回路は、それぞれの構成可能処理速度で入力信号を出力信号へと処理する。デジタル信号処理回路の入力信号および/または出力信号は、デジタル信号である。バーストモード受信機は、光バースト信号を復号するためのデータパス内に、構成可能処理速度を伴わない1つ以上のバーストモード受信機構成要素、例えば固定された速度のアナログバーストモード受信機構成要素をさらに備えてもよい。
【0009】
次の光バースト信号は、OLTによって受信される時間的に次の光バースト信号、すなわち最初の後続光バースト信号である。先行光バースト信号は、OLTによって最後に受信された光バースト信号である。換言すると、先行光バースト信号と次の光バースト信号は時間的に連続している。
【0010】
光バースト信号内の価値のあるシンボルは、価値のあるバーストデータに関連付けられるシンボルである。価値のあるシンボルは、光バースト信号のペイロードに対応するシンボル、例えば、データ、誤り訂正データ、パリティデータ、制御データ、およびアイドルデータを含むことができる。加えて、価値のあるシンボルは、プリアンブル内のシンボルの一部、ヘッダ内のシンボルの一部、または光バースト信号のデリミタ内のシンボルをさらに含むことができる。価値があると考えられる光バースト信号内のシンボルの位置は、例えば、ネットワーク要件またはネットワークプロトコルに従って、予め決定されてもよいし、プロビジョニングされてもよい。
【0011】
次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、1つ以上のそれぞれのデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することにより、次の光バースト信号のシンボルレートに対してデジタル信号処理回路を最適化することができる。これには、デジタル信号処理回路が受信した光バースト信号に対して最適な処理速度で動作することができるため、バーストモード受信機、ひいてはOLTのエネルギー効率が改善されるという利点がある。換言すると、光バースト信号がデジタル信号処理回路によってオーバーサンプリングされて、無駄なエネルギーを消費することを回避できる。1つ以上のそれぞれのデジタル信号処理回路のそれぞれの構成可能処理速度が、リアルタイムで、すなわち入来光バースト信号同士の間で調節できることは、さらなる利点である。
【0012】
構成可能処理速度の調節に続く期間中、復号済出力信号内のビットは非有効であり得るので、連続する光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に1つ以上のそれぞれのデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することにより、この価値のあるシンボルが誤って復号されることを回避することがさらに可能となる。これには、構成可能処理速度間で切り替える際に、データ損失およびデータ改変が回避され得るという利点がある。
【0013】
例示の一実施形態によれば、インターバルは、先行光バースト信号と次の光バースト信号との間のガードタイム;および/または次の光バースト信号内のプリアンブルの一部を含むことができる。
【0014】
そのため、先行光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信と、次の光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信との間のインターバルは、連続する2つの光バースト信号間のガードタイムを含むことができる。ガードタイムは、連続する光バースト信号間の干渉に対して安全マージンを設ける期間である。したがって、ガードタイム中にOLTにより価値のあるバーストデータが受信されることはない。あるいは、または補完的に、光バースト信号内のプリアンブルの一部は、価値のあるバーストデータが実質的ない場合があり、例えば、プリアンブルの開始部分は、バーストモード受信機を調整するためのサンプルを含む場合がある。
【0015】
例示の一実施形態によれば、1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することは、1つ以上のデジタル信号処理回路のクロック周波数を調節することを含み得る。
【0016】
それぞれの1つ以上のデジタル信号処理回路には、それらをそれぞれのクロック周波数で動作させるクロック信号、すなわちデジタル信号処理回路にそれぞれのクロック周波数またはクロック速度で信号を処理させるクロック信号を適用することができる。換言すると、1つ以上のデジタル信号処理回路のデジタルクロックは、デジタル信号処理回路の構成可能処理速度を決定することができる。したがって、デジタル信号処理回路のクロック周波数を調節することにより、デジタル信号処理回路のそれぞれの構成可能処理速度を調節することができる。これは、それぞれの1つ以上のデジタル信号処理回路に適用されるクロック信号を、例えばクロックデバイザ(clock divisor)回路を用いて修正することによって達成することができる。
【0017】
例示の一実施形態によれば、それぞれのデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することは、それぞれのデジタル信号処理回路の1つ以上の並列回路インスタンスをイネーブルにすることおよび/またはディセーブルにすることを含み得る。
【0018】
換言すると、バーストモード受信機内のそれぞれのデジタル信号処理回路は、前記デジタル信号処理回路の1つ以上の並列回路インスタンスを含み得る。並列回路インスタンスは、公称クロック速度または周波数、すなわち固定された処理速度で動作することができる。したがって、信号データパスにおいてこれらの並列回路インスタンスをイネーブルにすることまたはディセーブルにすることにより、それぞれのデジタル信号処理回路の構成可能処理速度をそれぞれ増加または減少させることができ、つまりデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することができる。
【0019】
例示の一実施形態によれば、バーストモード受信機は、信号をダウンサンプリングするように構成された少なくとも1つのダウンサンプリング回路をさらに備える。
【0020】
したがって、少なくとも1つのダウンサンプリング回路は、光バースト信号を復号済出力信号に復号するためのバーストモード受信機の処理データパスに含まれ得る。ダウンサンプリングとは、あるサンプルレートのデジタル信号を、より低いサンプルレートのデジタル信号に変換することを指し得る。ダウンサンプリングされる信号は、先行する相互接続されたデジタル信号処理回路の出力信号であってもよい。これにより、信号のレートを後続のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度に合致させることができる。
【0021】
ダウンサンプリング回路は、例えば、固定された処理速度を有するバーストモード受信機構成要素に続いて、バーストモード受信機の処理データパス内に設けることができる。OLTの手段は、例えばダウンサンプリング回路をイネーブルにすること、ダウンサンプリング回路をディセーブルにすること、またはダウンサンプリング量を変調することによって、信号の所望のレートに従ってダウンサンプリング回路の制御を行うようにさらに構成されてもよい。換言すると、ダウンサンプリング回路は構成可能であってもよい。
【0022】
例示の一実施形態によれば、バーストモード受信機は、信号をアップサンプリングするように構成された少なくとも1つのアップサンプリング回路をさらに備える。
【0023】
したがって、少なくとも1つのアップサンプリング回路は、光バースト信号を復号済出力信号に復号するためのバーストモード受信機の処理データパスに含まれ得る。アップサンプリングとは、あるサンプルレートのデジタル信号を、より高いサンプルレートのデジタル信号に変換することを指し得る。アップサンプリングされる信号は、先行する相互接続されたデジタル信号処理回路の出力信号であってもよい。これにより、信号のレートを後続のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度に合致させることができる。
【0024】
アップサンプリング回路は、処理データパスまたはパイプラインの終端に設けられてもよく、それにより、バーストモード受信機に接続される、OLT内のさらなる回路、例えば、OLT内の上位レイヤ処理回路および/またはインターフェース回路のために、復号済出力信号を適切なレートにアップサンプリングすることができる。あるいは、または補完的に、アップサンプリング回路を、所定のサンプリングレートを有する入力信号を必要とするバーストモード受信機構成要素の前に設けてもよい。OLTの手段は、例えばアップサンプリング回路をイネーブルにすること、アップサンプリング回路をディセーブルにすること、またはアップサンプリング量を変調することによって、アップサンプリングされる信号の所望のレートに従ってアップサンプリング回路の制御を行うようにさらに構成されてもよい。換言すると、アップサンプリング回路は構成可能であってもよい。
【0025】
例示の一実施形態によれば、バーストモード受信機は、信号のレイテンシを調節するように構成された少なくとも1つのレイテンシ補償器回路をさらに備える。
【0026】
デジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節する際、デジタル信号処理回路のレイテンシまたは処理遅延が変化することがある。この目的のために、少なくとも1つのレイテンシ補償器回路が、バーストモード受信機の処理データパスに含まれてもよい。レイテンシ調節が適用される信号は、先行する相互接続されたデジタル信号処理回路の出力信号であってもよいし、先行する相互接続されたバーストモード受信機構成要素の出力信号であってもよい。レイテンシ補償器回路により、1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節する際、レイテンシの変化を補償することができる。
【0027】
少なくとも1つのレイテンシ補償器回路は、バーストモード受信機のエンドツーエンドレイテンシの変化をさらに補償することができる。バーストモード受信機のエンドツーエンドレイテンシとは、光バースト信号内のシンボルを復号済出力信号内の1つ以上のビットまたはサンプルに復号するための処理時間を指し得る。これには、バーストモード受信機のレイテンシまたは処理遅延が制御され得るという利点がある。これには、1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節する際、バーストモード受信機のレイテンシまたは処理遅延を時間的に実質的に安定させることができる、すなわち一定に保つことができるというさらなる利点がある。
【0028】
OLTの手段は、例えばレイテンシ補償器回路をイネーブルにすること、レイテンシ補償器回路をディセーブルにすること、またはレイテンシ調節の量を変調することによって、所望のレイテンシに従ってレイテンシ補償器回路の制御を行うようにさらに構成されてもよい。換言すると、レイテンシ補償器回路は構成可能であってもよい。
【0029】
例示の一実施形態によれば、レイテンシ補償器回路は、先行光バースト信号内と次の光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、信号内に1つ以上のダミーサンプルを挿入すること、または1つ以上の非ペイロードサンプルを信号からドロップすることを行うようにさらに構成されてもよい。
【0030】
ダミーサンプルおよび非ペイロードサンプルは、レイテンシ調節が行われる信号に応じて、例えばダミービットおよび非ペイロードビット;またはダミーシンボルおよび非ペイロードシンボルなど、任意のデータ単位とすることができる。ダミーサンプルを挿入すること、または非ペイロードサンプルをドロップすることによって、エンドツーエンドレイテンシの変化は、システムに大きな影響を与えることなく、例えば、バーストモード受信機に接続されているOLT内のさらなる回路に影響を与えることなく補償することができる。ダミーサンプルの挿入または非ペイロードサンプルのドロッピングは、価値のあるバーストデータが実質的に存在しないインターバル中に行われるため、レイテンシ調節時にデータ損失およびデータ改変が回避され得ることはさらなる利点である。
【0031】
例示の一実施形態によれば、手段は、次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、少なくとも1つのダウンサンプリング回路、少なくとも1つのアップサンプリング回路、および/または少なくとも1つのレイテンシ補償器回路を制御することを行うようにさらに構成されてもよい。
【0032】
例示の一実施形態によれば、光回線終端装置は、連続する光バースト信号間のガードタイムのスケジューリングを最小の長さで行うようにさらに構成されてもよく、復号済出力信号が、OLTによってサポートされる最高処理速度とOLTによってサポートされる最低処理速度との間の構成可能処理速度の調節に関連付けられるバーストモード受信機のエンドツーエンドレイテンシの変化を補償する少なくとも十分な非ペイロードビットを含むようになる。
【0033】
例示の一実施形態によれば、アップサンプリング回路は、信号を所定のデータレートにアップサンプリングするようにさらに構成されてもよいし、またはレイテンシ補償器回路は、信号のレイテンシを所定のレイテンシに調節するようにさらに構成される。
【0034】
所定のデータレートまたはレイテンシは、アップサンプリングされた信号またはレイテンシ調節された信号を受信する回路または処理ブロック、例えばデータパス内の次のアナログバーストモード受信機構成要素、データパス内の次のデジタル信号処理回路、または上位レイヤ処理回路などのOLT内のさらなる回路、またはバーストモード受信機と上位レイヤ処理回路との間のインターフェース回路によって決定されてもよい。
【0035】
例示の一実施形態によれば、1つ以上のデジタル信号処理回路は、アナログデジタル変換器、クロックデータリカバリデバイス、イコライザ、および/または復号器からなる群から選択される。
【0036】
例示の一実施形態によれば、OLTの手段は、光バースト信号のバーストタイミング情報に基づいて、先行光バースト信号内と次の光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信間のインターバルを決定することを行うようにさらに構成されてもよい。
【0037】
バーストタイミング情報は、例えば、それぞれのONUがOLTに光バースト信号を伝送することを許可されるタイムスロットを含むアップストリーム伝送スケジュールであってもよい。
【0038】
例示の一実施形態によれば、次の光バースト信号のシンボルレートを取得することは、アップストリーム伝送スケジュールに基づいてシンボルレートを決定することをさらに含み得る。
【0039】
アップストリーム伝送スケジュールは、OLTによって決定されてもよい。OLTは、受動光ネットワーク内のそれぞれのONUによるアップストリーム伝送にシンボルレートを割り当てることができる。あるいは、または補完的に、OLTは、受信したアップストリーム伝送、すなわち光バースト信号を、アップストリーム伝送スケジュールの一部として、それぞれのONUに割り当てることができる。OLTは、それぞれのONUに割り当てられているシンボルレートを認識することができる。これにより、次の光バースト信号のシンボルレートを取得することができる。
【0040】
第2の例示の態様によれば、次の光バースト信号のシンボルレートを取得することと;先行光バースト信号内と次の光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、光回線終端装置OLT内の1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することとを含む方法が開示される。OLTは受動光ネットワークにおいて1つ以上の光ネットワークユニットONUと通信するように構成され;1つ以上のONUによって伝送される光バースト信号は、それぞれのシンボルレートを有し;バーストモード受信機は、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路によって、ONUからの光バースト信号を復号済出力信号に復号するように構成される。
【0041】
第3の例示の態様によれば、次の光バースト信号のシンボルレートを取得することと、先行光バースト信号内と次の光バースト信号内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、光回線終端装置OLT内の1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することとを含むコンピュータ実装される方法が開示される。OLTは受動光ネットワークにおいて1つ以上の光ネットワークユニットONUと通信するように構成され;1つ以上のONUによって伝送される光バースト信号は、それぞれのシンボルレートを有し;バーストモード受信機は、それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路によって、ONUからの光バースト信号を復号済出力信号に復号するように構成される。
【0042】
第4の例示の態様によれば、コンピュータプログラムがコンピュータ上で行われると第3の例示の態様によるステップを行うためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品が開示される。
【0043】
第5の例示の態様によれば、第3の例示の態様によるコンピュータ実装される方法を行うように構成されたデータ処理システムが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】例示の受動光ネットワークの概略ブロック図である。
図2】それぞれの構成可能処理速度で信号を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路によって、光バースト信号を復号済出力信号に復号するように構成されたバーストモード受信機の例示の実施形態の図である。
図3A】構成可能処理速度を調節することが、1つ以上のデジタル信号処理回路のクロック周波数を調節することを含む、OLT内のバーストモード受信機の例示の実施形態の図である。
図3B】信号をダウンサンプリングするように構成されたダウンサンプリング回路を備えるバーストモード受信機の例示の実施形態の図である。
図4A】信号をアップサンプリングするように構成されたアップサンプリング回路を備えるバーストモード受信機の例示の実施形態の図である。
図4B】構成可能処理速度を調節することが、1つ以上のデジタル信号処理回路の1つ以上の並列回路インスタンスをイネーブルにすることおよび/またはディセーブルにすることを含む、バーストモード受信機の例示の実施形態の図である。
図5A】バーストモード受信機内の1つ以上のデジタル信号処理回路の構成可能処理速度を調節することによる、バーストモード受信機のエンドツーエンドレイテンシの変化の一例の図である。
図5B】実施形態による、バーストモード受信機内のレイテンシ補償器回路によって行われるエンドツーエンドレイテンシ調節の一例の図である。
図6】本発明の実施形態における1つ以上のステップを行うための適切なコンピューティングシステムの例示の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、例示のポイントツーマルチポイント光ネットワーク100、特に受動光ネットワークPONの概略ブロック図を示す。光ネットワーク100は、光回線終端装置110OLTと、光分配ネットワークODN120を介して接続された複数の光ネットワークユニットONU131、132、133とを備える。この例では、OLT110は4つのONU131、132、133、134に接続されているが、OLT110はより少ないまたはより多くのエンドポイントに接続されていてもよい。ODN120は、光フィーダファイバ121と、1つ以上の受動光スプリッタ/マルチプレクサ123と、スプリッタ/マルチプレクサ123をそれぞれのONU131、132、133、134に接続する複数の光分配ファイバまたはドロップファイバ124、125、126、127とを備えるツリー構造を有する。そのダウンストリームでは、受動光スプリッタ/マルチプレクサ123は、OLT110から来る光信号を、接続されたONU131、132、133、134のためにより低い電力の光信号に分割し、アップストリーム方向では、受動光スプリッタ/マルチプレクサ123は、接続されたONU131、132、133、134から来る光信号を、OLT110向けのバースト信号に多重化する。
【0046】
受動光ネットワーク100は、ITU-T G.984規格に従うギガビット受動光ネットワークGPON、ITU-T G.987規格に従う10xギガビット受動光ネットワーク10G-PON、ITU-T G.9807規格に従う10G対称XGS-PON、ITU-T G.989規格に従う4チャネル10G対称NG-PON2、ITU-T G.9804規格に従う25GS-PON、50G-PON、または次世代受動光ネットワークNG-PONであってもよい。受動光ネットワーク100は、時分割多重化TDMまたは時間波長分割多重化TWDMを実行することができる。
【0047】
OLT110は、接続されたONU131、132、133、134によって伝送されたアップストリームの光バースト信号を受信して復号するように構成された、バーストモード受信機111をさらに備える。この目的のために、バーストモード受信機111は通常、バーストモード受信機構成要素を備える。バーストモード受信機構成要素は、アナログ回路および/またはデジタル回路とすることができる。バーストモード受信機構成要素は通常、各バーストモード受信機構成要素が光バースト信号の復号に寄与するように、シーケンスまたはパイプラインを形成するように相互接続される。したがって、バーストモード受信機111は復号済出力信号、すなわちデジタル信号を生成する。復号済出力信号は、例えば、ビット、シンボル、または対数尤度比値llrを含むことがある。この出力信号はさらに、復号されたバーストデータを利用または処理するように構成された、OLT110内の1つ以上の上位レイヤ回路に提供されてもよい。
【0048】
PON100内のONU131-134が複数の異なるシンボルレートでOLT110に光バースト信号を伝送できるようにすることが望ましい場合がある。したがって、OLT110、ひいてはバーストモード受信機111によって受信される光バースト信号のシンボルレートは変化する可能性がある。通常、バーストモード受信機111内のデジタルバーストモード受信機構成要素は、固定された処理速度で動作するように構成される。処理速度とは、入力サンプルがバーストモード受信機111内のそれぞれのバーストモード受信機構成要素によって処理される速度、および/または前記構成要素によって出力サンプルが生成される速度を指す。したがって、バーストモード受信機構成要素の処理速度は、バーストモード受信機111のスループット、すなわち復号済出力信号のサンプルレートを決定することができる。
【0049】
一般的な固定された速度のデジタルバーストモード受信機構成要素でマルチレートの光バースト信号を受信することには、より低いレートの光バースト信号がオーバーサンプリングされるという問題がある。これには、光バースト信号がより低いレートを有するときでさえも、バーストモード受信機構成要素がフル処理速度で動作し続けるため、バーストモード受信機111のエネルギー効率が制限されるという問題がある。一部のバーストモード受信機構成要素は、所定レートの入力信号を必要とするものがあるため、マルチレートの光バースト信号を処理できないことがあり、これはさらなる問題である。加えて、例えば、ITU-T G.9804規格に従った50G-PONなどの新しいPONシステムにおけるバーストモード受信機は、通常、デジタル信号処理機能、例えばイコライザを伴うより複雑なデジタルバーストモード受信機構成要素を備える。デジタル信号処理機能を伴うこのようなデジタルバーストモード受信機構成要素は、デジタル信号処理(DSP)回路と称されることがある。DSP回路、すなわちデジタルバーストモード受信機構成要素を含むバーストモード受信機は、デジタルバーストモード受信機と称されることがある。
【0050】
したがって、異なるシンボルレートを有する光バースト信号のエネルギー効率的な受信および復号を可能にすることが望ましい。以下の説明では、エネルギー効率の高い方法でマルチレートの光バースト信号を受信して復号することができるバーストモード受信機を備える光回線終端装置OLTの例示の実施形態について説明する。
【0051】
図2は、1つ以上のアナログ回路200、およびOLT内でそれぞれの構成可能処理速度で信号210、207、208、209を処理する1つ以上のデジタル信号処理回路201、202、203、204によって、ONUから発信された光バースト信号210を復号済出力信号220に復号するように構成されたバーストモード受信機111の例示の実施形態を示す。光バースト信号210は、まず、回路200によって処理されて、光信号210を電圧または電流などのアナログ信号に変換することができる。回路200は、例えば、フォトダイオードとトランスインピーダンスアンプを備え得る。デジタル信号処理DSP回路201、202、203、204は、各DSP回路201、202、203、204によって行われるそれぞれの処理が、光バースト信号210の復号済出力信号220への復号に寄与するように相互接続されている。換言すると、DSP回路201、202、203、204は、光バースト信号210を復号済出力信号220に復号するための機能性ユニットのデータパスを形成する。
【0052】
それぞれのDSP回路201、202、203、204は、それぞれの構成可能処理速度で入力信号を出力信号に処理し、例えば、DSP回路202は入力信号207を出力信号208へと処理する。DSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度とは、DSP回路によって入力サンプルが処理される速度、および/または出力サンプルが生成される速度を指す。DSP回路201、202、203、204はシーケンスまたはパイプラインを形成するので、DSP回路の出力、例えばDSP回路201の出力信号207が、データパス内の次のDSP回路、例えば202の入力となり得ることは明らかであろう。
【0053】
DSP回路201、202、203、204は、例えば、アナログデジタル変換器201、クロックデータリカバリデバイス202、イコライザ203、および/または復号器204であってもよい。アナログ入力信号を受信するDSP回路、例えばアナログデジタル変換器201の構成可能処理速度は、アナログ入力信号はデジタルサンプルを含まないので、入力サンプルがDSP回路によって処理される速度にしたがって規定され得ないことは明らかであろう。バーストモード受信機111は、光バースト信号を復号するためのデータパス内に、構成可能処理速度を伴わない1つ以上のバーストモード受信機構成要素、例えば固定された速度のアナログバーストモード受信機構成要素をさらに備えていてもよい。
【0054】
バーストモード受信機111は、次の光バースト信号215のシンボルレート240を取得することを行うように構成された手段205をさらに備える。次の光バースト信号215は、OLTによって受信される時間的に次の光バースト信号、すなわち最初の後続光バースト信号である。次の光バースト信号215に先行する光バースト信号211は、先行光バースト信号211と称される。換言すると、先行光バースト信号211は、最後に受信された光バースト信号である。したがって、先行光バースト信号211と次の光バースト信号215は時間的に連続している。
【0055】
光バースト信号211、215は、プリアンブル212、216;デリミタ213、217;およびペイロード214、218を含み得る。デリミタ213、217は、ペイロード214、218の開始を示す。ペイロード214、218は、例えば、メッセージデータ、誤り訂正データ、パリティデータ、制御データ、およびアイドルデータを含み得る。光バースト信号211、215は、異なるシンボルレートを有することができる。例えば、バースト信号211は25Gの非ゼロ復帰NRZ信号であってもよい;またバースト信号215は50GのNRZ信号または100GのPAM4信号であってもよい。したがって、手段205は、OLT、すなわちバーストモード受信機111に到着すると予想される次の光バースト信号215のシンボルレート240を取得するように構成される。
【0056】
このシンボルレート240を取得することは、アップストリーム伝送スケジュールに基づいて、次の光バースト信号215のシンボルレートを決定することを含んでもよい。アップストリーム伝送スケジュールは、ネットワーク内のONUから発信されるスケジューリングされたアップストリーム伝送、すなわち光バースト信号にシンボルレートを割り当てることができる。アップストリーム伝送スケジュールは、通常、OLTによって、またはOLT内のスケジューラによって決定されるので、次の光バースト信号215のシンボルレート240は、このスケジュールから単純に決定され得る。あるいは、または補完的に、OLTは、受信した光バースト信号210の伝送機会を、それぞれのシンボルレートに関連付けられたそれぞれのONUに割り当てることができる。換言すると、OLTは、アップストリーム伝送スケジュールに基づいて、光バースト信号210を特定のONUに関連付けることができ、OLTは、このONUに割り当てられているシンボルレートを認識することができ、それにより、次の光バースト信号のシンボルレートを取得することができる。
【0057】
手段205は、先行光バースト信号211内と次の光バースト信号215内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル240中に、1つ以上のDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を、次の光バースト信号215のシンボルレート240に基づいて調節すること234を行うようにさらに構成される。
【0058】
光バースト信号211、215内の価値のあるシンボルは、価値のあるバーストデータ222、224、すなわち価値のある、または関連性のある復号済データに関連付けられるシンボルである。価値のあるシンボルは、光バースト信号のペイロード214、218およびデリミタ213、217に対応するシンボルを含むことができる。加えて、価値のあるシンボルは、プリアンブル216の一部242内に含まれてもよい。価値があると考えられるシンボルの位置は、例えば、ネットワーク要件またはネットワークプロトコルに従って、予め決定されてもよいし、プロビジョニングされてもよい。
【0059】
図2は、DSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度230の時間的な一例を図示しており、ここでは、次の光バースト信号215のシンボルレートは、先行光バースト信号211のシンボルレートよりも高い。構成可能処理速度230は、次の光バースト信号215のシンボルレート240に基づいて、タイムステップ234で、より低い構成可能処理速度233からより高い構成可能処理速度235に調節される。
【0060】
次の光バースト信号215のシンボルレート240に基づいて、1つ以上のそれぞれのDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節することにより、次の光バースト信号のシンボルレートに対してDSP回路を最適化することができる。これには、DSP回路が受信した光バースト信号210に対して改善された処理速度で動作することができるため、バーストモード受信機111、ひいてはOLTの電力消費が改善されるという利点がある。換言すると、光バースト信号210が1つ以上のDSP回路201、202、203、204によって過度に高いサンプリングレートで処理されて、無駄な電力を消費することを回避できる。DSP回路201、202、203、204のそれぞれの構成可能処理速度が、リアルタイムで、すなわち入来光バースト信号210同士の間で調節できることは、さらなる利点である。
【0061】
構成可能処理速度を調節することは、連続する光バースト信号211、215内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル240中に行われる。したがって、インターバル240中は価値のあるシンボルは到着せず、またはOLTによって受信されず、したがって、インターバル240と関連付けられる復号済出力信号220の一部には、図2の期間221および223によって示されるように、価値のあるバーストデータが実質的に存在しないことがある。
【0062】
構成可能処理速度を調節すること232、234に続く期間中、復号済出力信号220内のサンプルは非有効であり得るので、連続する光バースト信号211、215内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル240中に1つ以上のそれぞれのDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節することにより、この価値のあるシンボルが誤って復号されることを回避することが可能となる。これには、構成可能処理速度間で切り替える際に、データ損失およびデータ改変が回避され得るという利点がある。
【0063】
インターバル240は、先行光信号211と次の光信号215との間にガードタイム241を含むことができる。ガードタイム241は、OLTに到着する連続する光バースト信号211、215間の干渉に対して安全マージンを設ける期間である。したがって、ガードタイム241中にOLTにより価値のあるバーストデータが受信されることはない。あるいは、または補完的に、インターバル240は、次の光バースト信号215のプリアンブル216の一部を含むことがある。例えば、光バースト信号215のプリアンブル216の開始部分242は、バーストモード受信機111を調整するためのサンプル、すなわち、復号済出力信号220内のバーストデータが関連性がないか、または必要とされない価値のないシンボルを含み得る。
【0064】
手段205は、光バースト信号210のバーストタイミング情報250に基づいてインターバル240を決定することを行うようにさらに構成され得る。バーストタイミング情報250は、例えば、バーストの開始時間および持続時間であってもよく、このバーストタイミング情報は、OLTのアップストリーム伝送スケジュールに含められてもよい。バーストタイミング情報は、OLT内の別の回路、例えばスケジューラ、または外部回路によって提供される場合がある。これによって、データ損失することなく、構成可能処理速度の調節をいつ実行できるかを決定することができる。
【0065】
手段205は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備え得る。コンピュータプログラムコードは、メモリに含められてもよく、実施形態によれば、プロセッサによって行われると、手段205に、次の光バースト信号のシンボルレートに基づいて、1つ以上のDSP回路の構成可能処理速度の調節を行わせる。手段205は、例えば、コントローラ回路であってもよい。
【0066】
図3Aは、構成可能処理速度を調節することが、1つ以上のDSP回路201、202、203、204のクロック周波数を調節することを含む、OLT内のバーストモード受信機111の例示の実施形態を示す。DSP回路201、202、203、204には、それらをそれぞれのクロック周波数で動作させるクロック信号302、すなわちDSP回路にそれぞれのクロック周波数で信号を処理させるクロック信号302を適用することができる。換言すると、DSP回路201、202、203、204に適用されるクロック信号302は、それらの構成可能処理速度を決定し得る。したがって、DSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節することは、それぞれのDSP回路のそれぞれのクロック周波数を調節することを含み得る。
【0067】
これは、それぞれのDSP回路201、202、203、204に適用される303クロック信号302を、例えばクロックデバイザ回路301を用いて修正することによって達成することができる。換言すると、バーストモード受信機111は、DSP回路201、202、203、204のうちの1つ以上に適用されるクロック信号302を調節または修正するように構成されたクロックデバイザ回路301を備えることができる。手段205は、クロックデバイザ回路301の制御を行うように構成され得る。これは、次の光バースト信号を処理するための構成可能処理速度を含む制御信号305をクロックデバイザ回路301に与えることによって達成することができる。
【0068】
図3Aは、すべてのDSP回路201、202、203、204に適用されるクロック信号302が調節される例示の実施形態を示すが;調節されたクロック信号303が任意の数のDSP回路201、202、203、204にも適用され得ることは明らかであろう。例えば、図3Bは、調節されたクロック信号303がDSP回路202、203、および204にのみ適用される例示の実施形態を示す。修正されていないクロック信号302は、DSP回路201に適用され、固定された処理速度でこの回路を動作させることができる。
【0069】
このように、DSP回路201は固定された速度でサンプル312を出力する。他のDSP回路202、203、204がより低い構成可能処理速度で動作することを可能にするために、バーストモード受信機111は、少なくとも1つのダウンサンプリング回路311をさらに備えることができる。回路311は、信号312をダウンサンプリングするように、すなわち、あるサンプリングレートを有する信号312を、後続のDSP回路202、203、204の構成可能処理速度に合致する、より低いサンプリングレートを有する信号313に変換するように構成され得る。ダウンサンプリングされる信号312は、先行する相互接続されたDSP回路201の出力であってもよい。
【0070】
手段205は、DSP回路202、203、204の構成可能処理速度に基づいて、信号313の所望のレートに従ってダウンサンプリング回路311の制御を行うようにさらに構成され得る。これは、次の光バースト信号を処理するための構成可能処理速度を含む制御信号305をダウンサンプリング回路311に与えることによって達成することができる。ダウンサンプリング回路311は、例えば、ダウンサンプリング回路をイネーブルにすること、ダウンサンプリング回路をディセーブルにすること、またはダウンサンプリングの量を変調することによって制御することができる。換言すると、ダウンサンプリング回路311は構成可能であってもよい。
【0071】
図4Aは、少なくとも1つのアップサンプリング回路401を含む、OLT内のバーストモード受信機111の例示の実施形態を示す。アップサンプリング回路401は、信号402をアップサンプリングするように、すなわち、あるサンプリングレートを有する信号402を、より高いサンプリングレートを有する信号403に変換するように構成され得る。図4Aに示される例示の実施形態では、アップサンプリング回路は、処理データパスまたはパイプラインの終端に設けられる。これにより、バーストモード受信機111に接続される、OLT内のさらなる回路404のために、例えばOLT内の上位レイヤ処理回路および/またはインターフェース回路のために、信号402を適切なレートにアップサンプリングすることができる。あるいは、または補完的に、アップサンプリング回路401は、所定レートの入力信号を必要とするバーストモード受信機構成要素またはDSP回路の前、例えばDSP回路201とDSP回路202との間に設けられてもよい。換言すると、アップサンプリング回路は、アップサンプリングされた信号の受信側、例えば、さらなる回路404、バーストモード受信機構成要素、またはDSP回路に依存する所定のサンプリングレートに信号をアップサンプリングするように構成され得る。
【0072】
手段205は、信号403の所望のレートに従ってアップサンプリング回路401の制御を行うようにさらに構成され得る。これは、次の光バースト信号を処理するための構成可能処理速度を含む制御信号305をアップサンプリング回路401に与えることによって達成することができる。アップサンプリング回路401は、例えば、アップサンプリング回路をイネーブルにすること、アップサンプリング回路をディセーブルにすること、またはアップサンプリングの量を変調することによって制御することができる。換言すると、アップサンプリング回路401は構成可能であってもよい。
【0073】
アップサンプリング回路401は、信号を所定のサンプリングレートにアップサンプリングするようにさらに構成され得る。所定のサンプリングレートは、アップサンプリングされた信号403を受信する回路または処理ブロック、例えばデータパス内の次のバーストモード受信機構成要素、データパス内の次のDSP回路201、202、203、204、OLT内の上位レイヤ処理回路404、またはOLT内のバーストモード受信機と上位レイヤ処理回路との間のインターフェース回路404によって決定されてもよい。
【0074】
図4Bは、OLT内のバーストモード受信機111の例示の実施形態を示しており、ここでは、構成可能処理速度を調節することは、1つ以上のDSP回路201、202、203、204の1つ以上の並列回路インスタンス201a、201b、201c、202a、202b、202c、203a、203b、203c、204a、204b、204cをイネーブルにすることおよび/またはディセーブルにすることを含む。
【0075】
換言すると、バーストモード受信機111内のそれぞれのDSP回路201、202、203、204は、前記デジタル信号処理回路の1つ以上の並列回路インスタンスを含み得る。それぞれの並列回路インスタンス201a、201b、201c、202a、202b、202c、203a、203b、203c、204a、204b、204cは、公称クロック速度または周波数、すなわち固定された処理速度で動作することができる。したがって、信号データパスにおいてそれぞれのDSP回路の並列回路インスタンスをイネーブルにすることまたはディセーブルにすることにより、それぞれのデジタル信号処理回路の構成可能処理速度をそれぞれ増加または減少させることができる。つまりDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節することができる。
【0076】
例えば、DSP回路204の3つの並列回路インスタンス204a、204b、204cをすべてイネーブルにすると、DSP回路204は最大の構成可能処理速度で動作する。1つの並列回路インスタンス、例えば204aをディセーブルにすると、構成可能処理速度を3分の1低下させることができ、2つの並列回路インスタンス、例えば204aおよび204bをディセーブルにすると、構成可能処理速度を3分の2低下させることができる。
【0077】
バーストモード受信機111内の1つ以上のDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度は、図3Aおよび図3Bに関連して説明したようにクロック周波数を調節することによって調節することができること;ならびに受信機111内の他のDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度は、図4Bに関連して説明したように並列回路インスタンスをイネーブルにすることおよび/またはディセーブルにすることによって調節することができることは明らかであろう。DSP回路、例えば202の構成可能処理速度は、そのDSP回路のクロック周波数を調節することと、そのDSP回路の並列回路インスタンス202a、202b、202cをイネーブルにすることおよび/またはディセーブルにすることとの組み合わせによって調節され得ることがさらに明らかであろう。
【0078】
DSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節する際に、そのDSP回路201、202、203、204のレイテンシまたは処理遅延は変化することがある。例えば、構成可能処理速度を増加させることで、レイテンシを減少させることがある。したがって、バーストモード受信機111は、信号402、411のレイテンシを調節するように、すなわち信号402、411のレイテンシを増加および/または減少させるように構成された少なくとも1つのレイテンシ補償器回路401、410をさらに備えてもよい。これにより、1つ以上のDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節する際に、レイテンシの変化を補償することができる。図4Aの回路401は、アップサンプリング回路に代わる、またはアップサンプリング回路に追加的なレイテンシ補償器回路であってもよいことは明らかであろう。
【0079】
図4Aおよび図4Bに示される例示の実施形態では、レイテンシ補償器回路401、410は、バーストモード受信機111の処理データパスまたはパイプラインの終端に設けられる。これにより、1つ以上のDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節することに関連付けられるバーストモード受信機111のエンドツーエンドレイテンシの変化を補償することができる。デジタルバーストモード受信機111のエンドツーエンドレイテンシとは、光バースト信号210内のシンボルを復号済出力信号220内の1つ以上のビットに復号するための処理時間を指し得る。これには、バーストモード受信機111のレイテンシまたは処理遅延が制御され得るという利点がある。これには、1つ以上のDSP回路201、202、203、204の構成可能処理速度を調節する際に、バーストモード受信機111のレイテンシまたは処理遅延を時間的に実質的に安定させることができる、すなわち一定に保つことができるというさらなる利点がある。レイテンシ補償器回路401、410は、レイテンシ調節された信号の受信側、例えばさらなる回路404、またはDSP回路に基づいて、信号のレイテンシを所定のレイテンシに調節するようにさらに構成されてもよい。
【0080】
図5Aは、レイテンシ補償器回路なしでバーストモード受信機内の1つ以上のDSP回路の構成可能処理速度561、562、563を調節することによる、バーストモード受信機のエンドツーエンドレイテンシ551a、552a、553aの変化の一例を示す。タイムステップ571において、すなわち、先行光バースト信号510内と次の光バースト信号520内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、1つ以上のDSP回路の構成可能処理速度230は、処理速度561から処理速度562に低下し得る。結果として、レイテンシ551aからレイテンシ552aへのエンドツーエンドレイテンシの変化、すなわち処理遅延の増加がもたらされる。同様に、タイムステップ572において1つ以上のDSP回路の構成可能処理速度230を処理速度562から処理速度563に増加させることは、レイテンシ552aからレイテンシ553aへのエンドツーエンドレイテンシの変化、すなわち処理遅延の減少をもたらし得る。
【0081】
図5Bは、レイテンシ補償器回路410によって行われるレイテンシ調節の一例を示す。レイテンシ補償器回路は、先行光バースト信号510内と次の光バースト信号520内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、復号済出力信号220から1つ以上の非ペイロードサンプル543をドロップすること554を行うように構成されてもよい。非ペイロードサンプル543は、インターバルに関連付けられる復号済出力信号220の一部、すなわち部分543に含まれるサンプルまたはビットであってもよい。このようにすると、構成可能処理速度を調節する際に、エンドツーエンドレイテンシ551b、552bを維持することができる。これにより、システムに大きな影響を与えることなく、例えば、バーストモード受信機111に接続されているOLT内のさらなる回路に影響を与えることなく、エンドツーエンドレイテンシの変化が補償され得る。
【0082】
レイテンシ補償器回路410は、先行光バースト信号520内と次の光バースト信号530内の価値のあるシンボルの受信間のインターバル中に、復号済出力信号220内に1つ以上のダミーサンプル555を挿入することを行うようにさらに構成されてもよい。したがって、ダミーサンプル555は、インターバルに関連付けられる復号済出力信号220の一部、すなわち部分545に挿入されてもよい。このようにすると、構成可能処理速度を調節する際に、エンドツーエンドレイテンシ552b、553bを維持することができる。これにより、システムに大きな影響を与えることなく、例えば、バーストモード受信機111に接続されている、OLT内のダウンストリームの回路に影響を与えることなく、エンドツーエンドレイテンシの変化が補償され得る。
【0083】
ダミーサンプル554の挿入または非ペイロードサンプル555のドロッピングは、価値のあるシンボルないインターバル中に行われるため、レイテンシ調節時にデータ損失およびデータ改変が回避され得ることはさらなる利点である。
【0084】
OLTによってサポートされる最高処理速度と最低処理速度との間で1つ以上のDSP回路の構成可能処理速度を調節することで、バーストモード受信機のエンドツーエンドレイテンシに最大の変化が生じる場合がある。したがって、OLTは、連続する光バースト信号510、520間のガードタイム580のスケジューリングを最小の長さで行うようにさらに構成され得、復号済出力信号220が、OLTによってサポートされる最高処理速度とOLTによってサポートされる最低処理速度との間の構成可能処理速度の調節に関連付けられるバーストモード受信機のエンドツーエンドレイテンシの変化を補償する少なくとも十分な非ペイロードビット545を含むようになる。換言すると、ガードタイム580は、ガードタイム内ですべての必要なサンプルをドロップすることにより、エンドツーエンドレイテンシにおけるこの最大変化を補償できるようにスケジューリングされ得る。
【0085】
図4Bに戻ると、レイテンシ補償器回路410は、バーストモード受信機111の処理データパスまたはパイプライン内の別の位置、例えばDSP回路202と203との間にも設けられてもよいことが明らかであろう。
【0086】
したがって、レイテンシ補償器回路410によって挿入されるダミーサンプルは、レイテンシ調節が行われる信号に応じて、任意のデータ単位とすることができる。例えば、復号済出力信号220内にダミーサンプルを挿入するとき、復号済出力信号がビットを含むか、それともシンボルを含むかに応じて、ダミーサンプルをダミービットまたはダミーシンボルとすることができる。同様に、レイテンシ補償器回路410によってドロップされる非ペイロードサンプルは、レイテンシ調節が行われる信号に応じて、任意のデータ単位、例えば非ペイロードビット、または非ペイロードシンボルとすることができる。
【0087】
手段205は、例えばレイテンシ補償器回路をイネーブルにすること、レイテンシ補償器回路をディセーブルにすること、またはレイテンシ調節の量を変調することによって、所望の信号のレイテンシに従ってレイテンシ補償器回路410の制御を行うようにさらに構成され得る。換言すると、レイテンシ補償器回路は構成可能であってもよい。
【0088】
図6は、光回線終端装置において1つ以上のバーストモード受信機構成要素の調整を管理するための方法の実施形態を実現できるようにする適切なコンピューティングシステム600を示す。コンピューティングシステム600は、一般に、適切な汎用コンピュータとして形成され得、バス610、プロセッサ602、ローカルメモリ604、1つ以上の任意選択的な入力インターフェース614、1つ以上の任意選択的な出力インターフェース616、通信インターフェース612、記憶要素インターフェース606、および1つ以上の記憶要素608を備える。バス610は、コンピューティングシステム600の構成要素間の通信を可能にする1つ以上の導体を備え得る。プロセッサ602は、プログラム命令を解釈して実行する、任意のタイプの従来型のプロセッサまたはマイクロプロセッサを含むことができる。ローカルメモリ604は、プロセッサ602による実行のための情報および命令を記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)もしくは他のタイプの動的記憶デバイザ、および/またはプロセッサ602による使用のための静的情報および命令を記憶する読み出し専用メモリ(ROM)もしくは他のタイプの静的記憶デバイザを含み得る。入力インターフェース614は、キーボード620、マウス630、ペン、音声認識および/またはバイオメトリックメカニズム、カメラなど、操作者またはユーザがコンピューティングデバイス600に情報を入力することを可能にする1つ以上の従来型のメカニズムを備え得る。出力インターフェース616は、ディスプレイ640など、操作者またはユーザに情報を出力する1つ以上の従来型のメカニズムを備え得る。通信インターフェース612は、コンピューティングシステム500が他のデバイスおよび/またはシステム、例えば1つ以上のDSP回路201、202、203、204と通信することを可能にする、例えば1つ以上のイーサネットインターフェースなどの任意のトランシーバのようなメカニズムを備え得る。コンピューティングシステム600の通信インターフェース612は、ローカルエリアネットワーク(LAN)または例えばインターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)によって、そのような別のコンピューティングシステムに接続され得る。記憶要素インターフェース606は、バス610を1つ以上のローカルディスク、例えばシリアルナンバーアドバンストテクノロジーアタッチメント(Serial Advanced Technology Attachment)(SATA)ディスクドライブなどの1つ以上の記憶要素608に接続するための、例えばSATAインターフェースまたはスモールコンピュータシステムインターフェース(Small Computer System Interface)(SCSI)などの記憶インターフェースを備え、これらの記憶要素608へのデータの書込み、および/またはこれらの記憶要素608からのデータの読取りを制御することができる。上記の記憶要素608はローカルディスクとして説明されているが、一般に、リムーバブル磁気ディスク、CDまたはDVD、-ROMディスクなどの光記憶媒体、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリカードなど、任意の他の適切なコンピュータ可読媒体が使用され得る。したがって、コンピューティングシステム600は、図2によって示される実施形態におけるコントローラ回路205に対応し得る。
【0089】
本出願で用いられる場合、用語「回路」は、以下の1つ以上、またはそのすべてを指す場合がある:
(a)単なるアナログ回路および/またはデジタル回路における実装形態など、ハードウェアのみの回路実装
(b)次のようなハードウェア回路とソフトウェアとの組み合わせ(該当する場合):
(i)アナログおよび/またはデジタルのハードウェア回路と、ソフトウェア/ファームウェアとの組み合わせ
(ii)携帯電話またはサーバなどの装置に様々な機能を行わせるために協働する、ソフトウェアを伴うハードウェアプロセッサの任意の部分(デジタル信号プロセッサを含む)、ソフトウェア、およびメモリ
(c)動作にソフトウェア(例えば、ファームウェア)を必要とするが、動作に必要でないときにはそのソフトウェアが存在しなくてもよい、マイクロプロセッサまたはマイクロプロセッサの一部などのハードウェア回路および/またはプロセッサ。
【0090】
この回路の定義は、特許請求の範囲を含む本出願におけるこの用語のすべての使用に適用される。さらなる例では、本出願で使用される場合、回路という用語は、単にハードウェア回路もしくはプロセッサ(または複数のプロセッサ)、またはハードウェア回路もしくはプロセッサの一部と、それ(またはそれら)に付随するソフトウェアおよび/もしくはファームウェアの実装形態もカバーする。回路という用語は、例えば、また特定の請求項要素に該当する場合、モバイルデバイスのためのベースバンド集積回路またはプロセッサ集積回路、あるいはサーバ、セルラネットワークデバイス、または他のコンピューティングデバイスもしくはネットワークデバイス内の類似の集積回路もカバーする。
【0091】
本発明は、具体的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明が前述の例示的な実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明がその範囲から逸脱することなく様々な変更形態および修正形態で具現化され得ることは当業者には明らかであろう。したがって、本実施形態は、すべての点で例示的であり、制限的ではないと考えられ、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、それ故、特許請求の範囲の意味および等価物の範囲内に入るすべての変更は、そこに包含されることが意図される。換言すると、基礎的な基本原理の範囲内にあり、それらの本質的な属性が本特許出願において特許請求される、あらゆるすべての修正形態、変形形態、または等価物をカバーすることが意図されている。
【0092】
本特許出願の読者には、「含む、備える(comprising)」または「含む、備える(comprises)」という語句は、他の要素またはステップを排除するものではないこと、「1つの、ある(a)」または「1つの、ある(an)」という語句は、複数のものを排除するものではないこと、およびコンピュータシステム、プロセッサ、または他の統合ユニットなどの単一の要素は、特許請求の範囲で述べられるいくつかの手段の機能性を果たし得ることが、さらに理解されるであろう。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、それぞれの関係する請求項を限定するものとして解釈されるものではない。「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」、「a」、「b」、「c」などの用語は、本明細書または特許請求の範囲において使用されるとき、類似の要素またはステップを区別するために導入されるものであり、必ずしも連続的な順序または時系列的な順序を説明するものではない。同様に、「上部(top)」、「下部(bottom)」、「上(over)」、「下(under)」などの用語は、説明の目的で導入されるものであり、必ずしも相対的な位置を示すものではない。すなわち、このように使用される用語は、適当な状況下では互いに交換可能であり、本発明の実施形態は、他のシーケンス、または上記に記載または図示されたものとは異なる方向で、本発明により動作可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0093】
100 受動光ネットワーク
110 光回線終端装置OLT
111 バーストモード受信機
120 光分配ネットワークODN
121 光フィーダファイバ
123 受動光スプリッタ/マルチプレクサ
124、125、126、127 光分配ファイバまたはドロップファイバ
131、132、133、134 光ネットワークユニットONU
200 アナログ回路
201a、201b、201c、202a、202b、202c、203a、203b、203c、204a、204b、204c 並列回路インスタンス
205 手段
207 入力信号
208 出力信号
209、312、402 信号
210 光バースト信号
211、510 先行光バースト信号
212、216 プリアンブル
213、217 デリミタ
214、218 ペイロード
215、520 次の光バースト信号
220 復号済出力信号
221、223 期間
222、224 価値のあるバーストデータ
230 構成可能処理速度
232 調節すること
233 低い構成可能処理速度
234 調節すること、タイムステップ
235 高い構成可能処理速度
241、580 ガードタイム
242 プリアンブルの一部
250 バーストタイミング情報
301 クロックデバイザ回路
302 クロック信号
303 クロック周波数を調節すること
305 制御信号
311 ダウンサンプリング回路
313 より低いサンプリングレートを有する信号
401 アップサンプリング回路、レイテンシ補償器回路
403 より高いサンプリングレートを有する信号
404 さらなる回路、上位レイヤ処理回路、インターフェース回路
410 レイテンシ補償器回路
411 信号
543 非ペイロードサンプル
545 非ペイロードビット
551a、552a、553a、551b、552b、553b エンドツーエンドレイテンシ
561、562、563 構成可能処理速度
571、572 タイムステップ
600 コンピューティングシステム
602 プロセッサ
604 ローカルメモリ
606 記憶要素インターフェース
608 記憶要素
610 バス
612 通信インターフェース
614 入力インターフェース
616 出力インターフェース
620 キーボード
630 マウス
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】