(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169420
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】昇降システム
(51)【国際特許分類】
E04G 1/20 20060101AFI20241128BHJP
B66F 7/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E04G1/20 A
B66F7/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084992
(22)【出願日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2023086502
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506187821
【氏名又は名称】株式会社シミズ・ビルライフケア
(71)【出願人】
【識別番号】591182961
【氏名又は名称】日本仮設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】原 章博
(72)【発明者】
【氏名】町田 太郎
【テーマコード(参考)】
2E003
【Fターム(参考)】
2E003AA01
2E003AA02
2E003AB01
2E003AC01
2E003AC02
(57)【要約】
【課題】構造体への干渉等が生じない昇降システムを提供すること。
【解決手段】昇降システム1は、構造体の上下方向に沿って延びるマスト2と、当該マスト2に取り付けられて、当該マスト2に対し左右方向に延びて作業者Sが作業可能な作業用デッキ3と、を備え、作業用デッキ3には、当該作業用デッキ3を上下方向に昇降させるための駆動力を電力で発生させる駆動装置4と、当該駆動装置4に対して電力を供給するバッテリー5と、が配置されている。バッテリー5は、例えば駆動装置4に一番近い足場板311に配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体の上下方向に沿って延びる柱部材と、
当該柱部材に取り付けられて、当該柱部材に対し左右方向に延びて作業者が作業可能な作業用デッキと、
を備え、
前記作業用デッキには、
当該作業用デッキを上下方向に昇降させるための駆動力を電力で発生させる駆動装置と、
前記駆動装置に対して前記電力を供給するバッテリーと、
が配置されている、
昇降システム。
【請求項2】
前記バッテリーは、商用交流電源から充電可能な構成を有している、
請求項1に記載の昇降システム。
【請求項3】
前記作業用デッキは、前記駆動装置の前記駆動力を使用しない手法で当該作業用デッキを下降させる機構を有する、
請求項1に記載の昇降システム。
【請求項4】
前記バッテリーは、前記駆動装置の近傍に配置されている、
請求項1に記載の昇降システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物のような構造体の外装工事をする際には、例えば下記特許文献1に開示されたゴンドラを吊り下げて行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術を含めた従来の技術では、上述のようにゴンドラを用いていることから、足場が不安定になる作業を行っていた。
そこで、本願発明者は、従来技術のような吊り下げるタイプのものでなく、駆動力を電力で発生させる駆動装置によって足場を地上側から昇降させるようにして、安定性の確保を図った昇降式足場、即ち昇降システムの開発を進めることにした。
ところがこのような昇降システムにあっては、駆動装置に電力を供給するためのケーブルが地面まで垂れ下がるようになってしまい、例えば風が比較的強く吹いた場合には、ケーブルが風にあおられて構造体の外壁に当たったりする(干渉したりする)といった状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、構造体への干渉等が生じない昇降システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の昇降すシステムは、
構造体の上下方向に沿って延びる柱部材と、
当該柱部材に取り付けられて、当該柱部材に対し左右方向に延びて作業者が作業可能な作業用デッキと、
を備え、
前記作業用デッキには、
当該作業用デッキを上下方向に昇降させるための駆動力を電力で発生させる駆動装置と、
前記駆動装置に対して前記電力を供給するバッテリーと、
が配置されている、
というものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動装置に対して電力を供給するバッテリーが、駆動装置と共に作業用デッキに配置されていることから、ケーブルが不要で垂れ下がることはなく、その結果、構造体への干渉等をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の昇降システムの一実施形態を示す概略図である。
【
図2】
図1の昇降システムにおけるマスト及び作業用デッキの構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図2のマストの一部を示す拡大斜視図である。
【
図4】昇降機能として装着されたラックピニオンギアの拡大斜視図である。
【
図5】
図2の作業用デッキの一部を示す拡大斜視図である。
【
図6】マストがツインとなる昇降システムの例を示す正面図である。
【
図7】マストがシングルとなる昇降システムの例を示す正面図である。
【
図8】マストがツインとなる昇降システムの例を示す平面図である。
【
図9】マストがシングルとなる昇降システムの例を示す平面図である。
【
図11】昇降システムの電気的な経路(PLAN A)の一例を示す図である。
【
図12】昇降システムの電気的な経路(PLAN B)の一例を示す図である。
【
図13】昇降システムの電気的な経路(PLAN C)の一例を示す図である。
【
図14】昇降システムの電気的な経路(PLAN D)の一例を示す図である。
【
図15】比較例としてのケーブル式の昇降システムの概略図である。
【
図16】昇降システムに関し、本実施形態と
図15の比較例との比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
先ず、
図1を参照して本発明の昇降システムの概略を説明する。
図1は、本発明の昇降システムの一実施形態を示す概略図である。
【0011】
昇降システム1は、例えばマンションMのような建物(構造体)の外壁のメンテナンス、点検・改修工事等をする際に使用される昇降式の足場である。
上述の構造体としては、マンションMの他、ビルや煙突、橋梁、塔、タンク等、あらゆる形状のものが挙げられる。
マンションMの場合は、外壁のメンテナンス、点検・改修工事で昇降システム1を使用することができるのは勿論のこと、新築工事でも使用することができる。また、ビルでも同様に昇降システム1を使用することができる。
煙突の場合は、解体・改修工事に昇降システム1を使用することができる。
橋梁の場合は、補修工事に昇降システム1を使用することができる。
塔やタンクの場合は、これらを建設するための工事や内部工事に昇降システム1を使用することができる。
なお、商業施設の店舗を営業中のままで外壁のメンテナンス、点検・改修工事等をする際にも、当該昇降システム1を使用することができる。
【0012】
昇降システム1は、2本のマスト2と、作業用デッキ3とを備えて構成されている。
昇降システム1は、作業用デッキ3に後述する駆動装置4(
図2参照)と、バッテリー5(
図6乃至
図10参照)とが配置されている。
なお、
図1では、マスト2が2本(ツイン)の例を挙げているが、マスト2が1本(シングル)であってもよいものとする。
【0013】
2本のマスト2は、マンションMの上下方向(
図1のV1、V2で示す矢印の方向)に沿って延びる柱部材(柱状の構造のもの)であって、この2本のマスト2は、左右方向(
図1のV1、V2で示す矢印の方向に対して直交する所謂水平方向)に所定の間隔をあけて配置されている。
作業用デッキ3は、2本のマスト2に跨るように取り付けられている。
作業用デッキ3は、2本のマスト2に対し左右方向に延びる構造のものであって、作業者SがマンションMの外壁のメンテナンス、点検・改修工事で作業可能となるような構成を有している。
作業用デッキ3には、上述のように駆動装置4及びバッテリー5が配置されている他、当該作業用デッキ3を上下方向に昇降させるために操作される操作盤6(
図2参照)等も配置されている。
【0014】
昇降システム1は、後述する駆動装置4等によって作業用デッキ3が地上側から昇降するように構成されている。そのため、例えばゴンドラを吊り下げて作業するような場合と比べて、不安定な作業にならず、また、安全かつ便利になることから有用なシステム(昇降式足場)であるといえる。
また、昇降システム1は、マンションMの外壁への干渉等が生じないシステムであるともいえる(
図15を参照して後述する)。換言すれば、構造体への干渉等が生じない昇降システム1を提供することができる。
【0015】
次に、
図2乃至
図5を参照してマスト2及び作業用デッキ3等の構成について説明する。
図2は、
図1の昇降システムにおけるマスト及び作業用デッキの構成の一例を示す斜視図である。
また、
図3は、
図2のマストの一部を示す拡大斜視図である。
また、
図4は、昇降機能として装着されたラックピニオンギアの拡大斜視図である。
また、
図5は、
図2の作業用デッキの一部を示す拡大斜視図である。
なお、
図2は、マスト2が1本(シングル)となる昇降システム1の例で説明するものとする。
【0016】
図2において、マスト2は、上下方向(V1、V2で示す矢印の方向)に沿って延びる柱状の構造のものであって、脚部21と、マスト本体22と、トップマスト23とを備えて構成されている。
脚部21は、地面Gに設置される例えば4本足の支柱支えである。脚部21は、特に図示しないが、地面Gの上に敷かれた敷盤に設置されている。
なお、図中には見えていないが、脚部21には、移動用の車輪が設けられている、
【0017】
図2及び
図3において、マスト本体22は、正三角形の3つの角の位置に配置される3本の支柱221と、この3本の支柱221を夫々連結する複数の水平連結部材222と、複数の筋交い223とを備えて構成されている。
複数の水平連結部材222は、上下方向に所定間隔をあけて配置されている。複数の筋交い223は、上下方向に配置された水平連結部材222の間に夫々配置されている。
マスト本体22は、
図3に示すようなものを上下方向に複数連結することができ構造を有している(マスト本体22は、
図1に示すように、構造体の高さに合わせて上下方向に長いものになっている)。
マスト本体22には、昇降機能として装着されたラックギア41が固定されている。
【0018】
トップマスト23は、マスト本体22の直上に配置されている。トップマスト23は、マスト本体22と同様に3本の支柱と、複数の水平連結部材と、複数の筋交いとを備えて構成されている(符号省略)。
なお、トップマスト23には、ラックギア41が固定されていないものとする(ラックギア41は、トップマスト23まで延在しないようになっている。そのため作業用デッキ3が飛び出すことはない)。
【0019】
図2において、作業用デッキ3は、マスト2に取り付けられる構造のものであって、マスト2に対して左右方向に延びる足場となるように構成されている。
作業用デッキ3は、デッキ本体31と、複数の手摺32と、マスト囲い33と、駆動装置設置部34とを備えて構成されている。
【0020】
図2及び
図5において、デッキ本体31は、複数の足場板311と、当該デッキ本体31の強度を確保するための足場強度確保部(符号省略)とを備えて構成されている。
複数の足場板311の夫々は、作業者S(
図1参照)が作業するために乗ることができるような板状に形成されている。
足場強度確保部は、複数の足場板311を夫々受けるための複数の短手側受け部材312及び長手側受け部材313と、デッキ本体31の例えば最下位置に配置されてデッキ本体31の長手方向に延びる長手側支持部材314と、これらを繋いで三角形の形状にして強度を確保する複数の連結部材315とを備えて構成されている。
【0021】
複数の手摺32は、複数の足場板311に乗った作業者S(
図1参照)の安全を確保するために、当該複数の足場板311の周囲に配置されている。
複数の手摺32のうち所定のものには、後述する操作盤6と、トランス7とが夫々取り付けられている。
マスト囲い33は、作業用デッキ3の位置においてマスト2を囲むように取り付けられている。
マスト囲い33は、例えば作業者Sの身長を考慮した高さまで取り付けられている。
【0022】
駆動装置設置部34は、駆動装置4を設置するために設けられている。
駆動装置設置部34は、作業用デッキ3の長手方向(上述の左右方向)の中央位置に配置されている。また、駆動装置設置部34は、作業用デッキ3における複数の足場板311よりも下の位置に配置されている。
【0023】
図4において、ラックギア41は、上下方向に真っすぐのびる棒状のギアであって、駆動装置4(
図2参照)に備えられたピニオンギア42と噛み合うようになっている。
本実施形態のラックギア41は、この上部及び下部の適宜位置にリミッターが夫々設けられており、作業用デッキ3のマスト2に対する例えば飛び出し等を規制することができるようになっている。
【0024】
図2に戻り、駆動装置4は、作業用デッキ3を上下方向に昇降させるための駆動力を電力で発生させる装置であって、本実施形態では、上述のピニオンギア42を含んで構成されている。
なお、特に符号は付さないが、駆動装置4は、遠心ブレーキを備えているものとする。
遠心ブレーキは、急降下等、万が一の時でもブレーキが効いてピニオンギア42が回らないようにすることができるとうになっている(安全に停止することができる)。
この他、特に図示しないが、駆動装置4の駆動力を使用しない手法で当該作業用デッキ3を下降させる機構を有している(手動で降下させる機構があれば、例えば故障やバッテリー切れに対応することができる)。
【0025】
バッテリー5は、駆動装置4に対して電力を供給するためのものであって、駆動装置4が作業用デッキ3を上下方向に昇降させるための駆動力を発生させることのできる電力容量を有している。
バッテリー5は、本実施形態において、1台の駆動装置4に対して3つ備えられている。
具体的には、マスト2が1本(シングル)となる昇降システム1の例では、駆動装置4が1台になることから、この例ではバッテリー5が3つ備えられるようになっている(
図7参照)。
また、マスト2が2本(ツイン)となる昇降システム1の例では、駆動装置4が2台になることから、この例ではバッテリー5が6つ備えられるようになっている(
図6参照)。
なお、上述のようなバッテリー5の数は一例であるものとする。
【0026】
バッテリー5は、作業用デッキ3において、駆動装置4の近傍となるように配置されている(設置されている)。具体的に、バッテリー5は、駆動装置4に一番近い足場板311に配置されている(別な言い方をすれば、マスト2に一番近い足場板311に配置されている)。
バッテリー5は、配線の取り回しを短くするために、駆動装置4に一番近い足場板311に配置されている。
また、バッテリー5は、充電するため取り外した際に、作業用デッキ3での移動距離を短くするために、駆動装置4に一番近い足場板311に配置されている。
【0027】
バッテリー5は、本実施形態において、足場板311の上に載せられるように配置されている。
なお、バッテリー5の上述の配置は一例であって、例えば駆動装置4に一番近い足場板311に窪みを設け、その窪みの中に収容したり、例えば
図10の二点鎖線で示すように足場板311の下に配置したり、或いは例えば駆動装置設置部34で駆動装置4と一緒に配置したりしてもよいものとする。
【0028】
バッテリー5は、本実施形態において、駆動装置4に一番近い手摺32に寄せるように(手摺32に沿って並ぶように)配置されている(
図8及び
図9参照)。
バッテリー5は、足場板311で作業する作業者Sに邪魔にならないような位置に(作業性を確保する位置に)配置されている。
【0029】
作業用デッキ3には、操作盤6、トランス7、インバータ9、及び正弦フィルタ10も配置されている(設置されている)。
操作盤6は、作業用デッキ3の昇降等の操作を行うために所定の手摺32の上部に配置されている(作業者Sが操作し易ければ配置は特に限定されないものとする)。
トランス7は、操作盤6と同様に手摺32の上部に配置されている。
なお、インバータ9及び正弦フィルタ10の配置等については後述する。
【0030】
図2において、符号8は昇降階段を示している。この昇降階段8は、作業者Sが作業用デッキ3に乗ったり下りたりする際に使用されるものであって、階段及び手摺を有している(符号省略)。
昇降階段8は、作業用デッキ3が所定の位置まで降下した状態において使用されるようになっている。
【0031】
続いて、昇降システム1について、正面図、平面図、及び側面図を参照しながら説明する。
図6は、マストがツインとなる昇降システムの例を示す正面図である。
また、
図7は、マストがシングルとなる昇降システムの例を示す正面図である。
また、
図8は、マストがツインとなる昇降システムの例を示す平面図である。
また、
図9はマストがシングルとなる昇降システムの例を示す平面図である。
また、
図10は、
図6乃至
図9の作業用デッキの側面図である。
【0032】
なお、
図6乃至
図9の例の昇降システム1は、作業用デッキ3の左右方向の長さを便宜上短くした状態で示しているものとする(
図1に示すように、左右方向の長さは長くすることができるものとする)。
【0033】
図6及び
図8において、マスト2がツイン(2つ)となる例の昇降システム1では、例えば夫々のマスト2の左隣にバッテリー5が3つ並んで配置されている。
また、
図6及び
図8の昇降システム1では、例えば夫々のマスト2の右隣にインバータ9及び正弦フィルタ10が並んで配置されている(正弦フィルタ10の方がマスト2に近い配置になっている)。
なお、
図6及び
図8の昇降システム1では、作業用デッキ3が昇降する際の水平状態を自動で調整する水平調整装置が備えられているものとする(図示省略)。
【0034】
図7及び
図9において、マスト2がシングル(1つ)となる例の昇降システム1では、例えばマスト2の左隣にバッテリー5が3つ並んで配置されている。
また、
図7及び
図9の昇降システム1では、例えばマスト2の右隣にインバータ9及び正弦フィルタ10が並んで配置されている(正弦フィルタ10の方がマスト2に近い配置になっている)。
図7及び
図9の昇降システム1では、マスト2の左隣にトランス7が、また、マスト2の右隣には、操作盤6が夫々配置されている。
【0035】
以上の昇降システム1は、
図9に示すようにバッテリー5が作業用デッキ3の端に配置されていることから、作業者S(
図1参照)にとってバッテリー5が邪魔にならず、作業動線を十分に確保することができている。
【0036】
続いて、
図11乃至
図14を参照して、昇降システム1で採用可能な電気的な経路について説明する。
図11は、昇降システムの電気的な経路(PLAN A)の一例を示す図である。
また、
図12は、昇降システムの電気的な経路(PLAN B)の一例を示す図である。
また、
図13は、昇降システムの電気的な経路(PLAN C)の一例を示す図である。
また、
図14は、昇降システムの電気的な経路(PLAN D)の一例を示す図である。
【0037】
図11に示すPLAN Aでは、単相100Vでバッテリー5を充電する、というような経路を採用している。
このような
図11に示す経路のPLAN Aでは、一般的に普及している所謂「コンセント」形状での運用が可能であるというメリットを有している。
また、PLAN Aでは、200V引き込み工事が不要であるというメリットを有している。
また、PLAN Aでは、接続コネクタなどの電気設備も汎用的な設備になり、安価であるというメリットを有している。
【0038】
図12に示すPLAN Bでは、単相200Vでバッテリー5を充電する、というような経路を採用している。
このような
図12に示す経路のPLAN Bでは、100Vと200Vの夫々で電気契約することにより、50kwh未満での契約が可能と見込むことができる。低圧電力契約とすることにより、管理費/設備費/電気使用量が安価になるというメリットを有している。
また、PLAN Bでは、単相200Vの引き込み工事が必要であるが、近年エアコン等で単相200V仕様が多くなってきている状況もあり、上記工事は比較的容易であるというメリットを有している。
また、PLAN Bでは、充電時間が100Vと比較すると(PLAN Aと比較すると)短時間であるというメリットを有している。
また、PLAN Bでは、充電時間の短縮により日中の消費電力のピークを低減させるため、夜間充電が可能であるというメリットを有している。
【0039】
図13に示すPLAN Cでは、3系統の電源を用いてバッテリー5を充電する、というような経路を採用している。
このような
図13に示す経路のPLAN Cでは、上述のPLAN Aと同様のメリットを有している。
また、PLAN Cでは、上述のPLAN Aと比較して充電時間の短縮が可能であるというメリットを有している。
【0040】
図14に示すPLAN Dでは、バッテリー5を2つ用意すると共に単相100Vでバッテリー5を充電する、というような経路を採用している。
このような
図14に示す経路のPLAN Dでは、上述のPLAN Aと同様のメリットを有している。
また、PLAN Dでは、2つのバッテリー5を差し替えながら使用することにより、毎日の使用に対応可能であるというメリットを有している。
【0041】
ここで、
図15を参照して、比較例としてのケーブル式の昇降システムについて説明する。
図15は、比較例としてのケーブル式の昇降システムの概略図である。
【0042】
図15において、比較例としての昇降システム101は、上述同様、マンションMのような建物の外壁のメンテナンス、点検・改修工事等をする際に使用する昇降式の足場である。
昇降システム101は、2本のマスト102と、作業用デッキ103とを備えて構成されている。
昇降システム101は、作業用デッキ103に駆動装置(
図2の駆動装置4が参考になる)が配置されている。
この駆動装置には、地上側からケーブルCAにより電力が供給されている。
ケーブルCAは、この一端が駆動装置に接続されており、他端は地上側に設置された図示しない電源(三相200Vの電源)に接続されている。
ケーブルCAは、駆動装置の駆動により作業用デッキ103が上昇すると、地面Gに設置されたケーブルポットCAPから引き出されるようになっている。
ケーブルCAは、作業用デッキ103が上昇することにより、作業用デッキ103から吊り下がったような状態になる(ピンと張った状態ではないため、風が吹くと揺れてしまうような吊り下がりになる)。
【0043】
このような比較例としての昇降システム101と、本実施形態の上述の昇降システム1とを比較すると、本実施形態の昇降システム1は、
図16に示すようなメリットを有している。
図16は、昇降システムに関し、本実施形態と
図15の比較例との比較結果を示す図である。
具体的には、システムのユーザと、システムを保有する保有会社とに分けてまとめた比較結果を示す図である。
【0044】
図16において、比較例の昇降システム101では、(1)「三相200Vの電気引き込み工事が必要」、「駆動装置は9台以上で3相電源の高圧受電」、「キュービクル費用や定期点検他のランニングコストが掛かる」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(1)の問題点を解消することができ、「単相100V、又は単相200Vを充電機まで引くだけ」、「駆動装置は16台まで低圧受電」、「キュービクル他の設備が不要」というようなメリットを有している。
【0045】
また、比較例の昇降システム101では、(2)「ケーブル自重が昇降機能力に影響する」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(2)の問題点を解消することができ、「バッテリー装置自重のみ」というようなメリットを有している。
【0046】
また、比較例の昇降システム101では、(3)「ケーブルが上下するので擦れたりして断線する可能性がある。また、交換頻度が多く、資材高騰の影響を大きく受ける」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(3)の問題点を解消することができ、「ケーブルは買い替えなし」というようなメリットを有している。
【0047】
また、比較例の昇降システム101では、(4)「断線した場合は工事停止による工程遅延」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(4)の問題点を解消することができ、「断線による工事遅延は心配なし」というようなメリットを有している。
【0048】
また、比較例の昇降システム101では、(5)「昇降中にケーブルが絡まないかを常時、監視」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(5)の問題点を解消することができ、「ケーブルの監視不要。心配なし。バッテリー装置を床上において万一のトラブル時にも安全に点検可能」というようなメリットを有している。
【0049】
また、比較例の昇降システム101では、(6)「ケーブルがバタついて補修後の構造体へ干渉する事例がある」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(6)の問題点を解消することができ、「心配なし」というようなメリットを有している。
【0050】
また、比較例の昇降システム101では、(7)「ケーブルジョイント部の浸水による漏電の可能性がある」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(7)の問題点を解消することができ、「ケーブルジョイント部の抜き差しが不要なのでIP性向上」というようなメリットを有している。
【0051】
また、比較例の昇降システム101では、(8)「運搬時に厳重な養生を要する」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(8)の問題点を解消することができ、「鉄箱なので心配なし」というようなメリットを有している。
【0052】
また、比較例の昇降システム101では、(9)「積み重ね不可で運搬コスト(容積)が大きい(約1m3/セットほど)」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(9)の問題点を解消することができ、「積み重ね可能」というようなメリットを有している。
【0053】
また、比較例の昇降システム101では、(10)「ケーブルポット(巻取り部)を現場で設置する箇所が制限される」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(10)の問題点を解消することができ、「心配なし」というようなメリットを有している。
【0054】
また、比較例の昇降システム101では、(11)「日中の電気消費量が大きい」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(11)の問題点を解消することができ、「夜間充電により日中の消費電力のピークを低減。夜間の余剰発電電力を使用することによるSDGsへの貢献」というようなメリットを有している。
【0055】
また、比較例の昇降システム101では、(12)「使用長に合わせた在庫管理であり種類が多い」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(12)の問題点を解消することができ、「簡略になり管理経費削減になる。ケーブル購入が不要」というようなメリットを有している。
【0056】
また、比較例の昇降システム101では、(13)「経年劣化により数年ごとにケーブルの買い替えが必要」というような問題点を有している。
これに対し本実施形態の昇降システム1では、(13)の問題点を解消することができ、「ケーブルは買い替えなし。ケーブル購入不要なのでSDGsに貢献」というようなメリットを有している。
【0057】
従って、従来方式と比較すると、本実施形態の昇降システム1によれば、ユーザも機材保有会社もランニングコストや管理費を大きく削減できる。
また、本実施形態の昇降システム1によれば、作業用デッキ3に駆動装置4とバッテリー5とが配置されていることから、ケーブルが不要で垂れ下がることはなく、その結果、構造体への干渉等をなくすことができる。
【0058】
ここまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0059】
上述の実施形態では、特に説明していなかったが、カメラや風速計等の情報がサーバに送信されて、作業環境がモニタリングされているものとする。なお、バッテリー5の残量監視も行われているものとする。
【0060】
以上をまとめると、本発明が適用される昇降システムは、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される昇降システム(例えば
図1及び
図2、
図6乃至
図10の昇降システム1)は、
構造体(例えば
図1のマンションM等)の上下方向(
図1のV1、V2で示す矢印の方向)に沿って延びる柱部材(例えば
図2のマスト2)と、
当該柱部材に取り付けられて、当該柱部材に対し左右方向(
図1のV1、V2で示す矢印に直交する方向)に延びて作業者(例えば
図1の作業者S)が作業可能な作業用デッキ(例えば
図2の作業用デッキ3)と、
を備え、
前記作業用デッキには、
当該作業用デッキを上下方向に昇降させるための駆動力を電力で発生させる駆動装置(例えば
図2の駆動装置4)と、
前記駆動装置に対して前記電力を供給するバッテリー(例えば
図6乃至
図10のバッテリー5)と、
が配置されている、
とすれば足りる。
【0061】
このように、本発明が適用される昇降システムによれば、駆動装置に対して電力を供給するバッテリーが、駆動装置と共に作業用デッキに配置されていることから、ケーブルが不要で垂れ下がることはなく、その結果、構造体への干渉等をなくすことができる。
また、本発明が適用される昇降システムによれば、
図16を参照しながら説明したような様々なメリットを有することができる。
【0062】
また、本発明が適用される昇降システムによれば、
前記バッテリーは、商用交流電源(例えば
図11の単相100V)から充電可能(例えば
図11の充電器による充電)な構成を有している、
ことが好ましい。
このように、商用交流電源から充電可能な構成を有しているバッテリーを採用することにより、例えばコスト低減を図ることができる。
【0063】
また、本発明が適用される昇降システムによれば、
前記作業用デッキは、前記駆動装置の前記駆動力を使用しない手法(特に図示しないが上述の手動で降下させる機構)で当該作業用デッキを下降させる機構を有する、
ことが好ましい。
このように、駆動装置の駆動力を使用しない手法で作業用デッキを下降させる機構を有していることから、例えば故障やバッテリー切れに対応することができる。
【0064】
また、本発明が適用される昇降システムによれば、
前記バッテリーは、前記駆動装置の近傍(例えば
図6に示すような、駆動装置4に一番近い足場板311への配置)に配置されている、
ことが好ましい。
このように、駆動装置の近傍にバッテリーが配置されていることにより、配線の取り回しを短くしたり、充電するためにバッテリーを取り外した際に、作業用デッキでの移動距離を短くしたりすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・昇降システム
2・・・マスト
3・・・作業用デッキ
4・・・駆動装置
5・・・バッテリー
6・・・操作盤
7・・・トランス
8・・・昇降階段
9・・・インバータ
10・・・正弦フィルタ
21・・・脚部
22・・・マスト本体
23・・・トップマスト
31・・・デッキ本体
32・・・手摺
33・・・マスト囲い
34・・・駆動装置設置部
41・・・ラックギア
42・・・ピニオンギア
221・・・支柱
222・・・水平連結部材
223・・・筋交い
311・・・足場板
312・・・短手側受け部材
313・・・長手側受け部材
314・・・長手側支持部材
315・・・連結部材
G・・・地面
M・・・マンション
S・・・作業者
CA・・・ケーブル