(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169450
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】マルチポータル外科システム、カニューレ、及び関連技術
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20241128BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20241128BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20241128BHJP
A61F 2/44 20060101ALI20241128BHJP
A61F 2/46 20060101ALI20241128BHJP
A61M 29/00 20060101ALI20241128BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20241128BHJP
A61B 1/317 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/56
A61B17/94
A61F2/44
A61F2/46
A61M29/00
A61B1/018 515
A61B1/317
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024157312
(22)【出願日】2024-09-11
(62)【分割の表示】P 2022541192の分割
【原出願日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】16/565,403
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/687,520
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】321001849
【氏名又は名称】アンプリファイ サージカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】チェ アンディ ウォンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホ ドン-ファ
(72)【発明者】
【氏名】ロー ジェフリー
(57)【要約】
【課題】マルチポータル外科システム、カニューレ、及び関連技術を提供する。
【解決手段】被験者の脊椎を治療するためのマルチポータル方法は、被験者に沿う第1の入口に位置決めされた仮骨延長器具を使用して隣接椎骨を仮骨延長し、隣接椎骨間の椎間腔を拡大する段階を含む。椎間体融合インプラントは、拡大された椎間腔の中に送出することができる。椎体間融合インプラントは、内視鏡器具を使用して椎体間融合インプラントを内視鏡的に観察しながら隣接椎骨の椎体間に直接に位置決めすることができる。患者の脊椎は、インプラントを埋め込む前、埋め込み中、又は埋め込み後などに例えば脊椎、組織、器具、及びインプラントを観察するために内視鏡技術を使用して可視化することができる。可視化は、外科手順全体を通して医師を補助し、かつ患者の転帰を改善することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脊椎を治療するためのシステムであって、
器具カニューレと、
細長本体と、仮骨延長器ヘッドとを含む送出器具と、
を含み、
前記仮骨延長器ヘッドは、前記器具カニューレを通して送出可能であり、隣接椎骨を制御可能に仮骨延長するように構成されている共に、前記細長本体が前記器具カニューレを通って延びる間に、仮骨延長された隣接椎骨間の椎間腔への椎体間融合デバイスの送出のための送出経路を提供するように構成されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記器具カニューレを通して送出されて前記椎体間融合デバイスを展開するように構成された展開器具を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記送出器具は、
少なくとも1つのストップであって、該少なくとも1つのストップが前記隣接椎骨のうちの少なくとも1つの椎体と接触するように位置決めされている間に、前記仮骨延長器ヘッドが前記椎間腔の中に挿入可能である、前記少なくとも1つのストップと、
前記仮骨延長器ヘッドが前記隣接椎骨の端板に対して押し付けて前記椎間腔を拡大するように該仮骨延長器ヘッドの作動を制御する制御要素と、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記仮骨延長器ヘッドは、1又は2以上の膨張可能部材及び/又は楔デバイスを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
椎間板切除を実行するために前記器具カニューレを通して送出可能な1又は2以上の椎間板切除器具を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記送出器具に切り離し可能に結合可能なインタフェース要素を有する椎体間融合デバイスを更に含み、前記送出器具は、前記椎体間融合デバイスを第1の方向に拡張させると共に該第1の方向とは異なる第2の方向に拡張させるように作動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記送出器具が前記被験者に位置決めされている間に前記脊椎に沿って治療部位を内視鏡的に観察するためのアクセスを提供するために、第2のポートに位置決めされるように構成された内視鏡検査カニューレを更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記隣接椎骨の椎体間の組織を除去するように構成された1又は2以上の組織除去ツールを更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
内視鏡を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記細長本体を通して送出されるように構成された椎体間融合デバイスを更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記仮骨延長器ヘッドは、前記隣接椎骨間の椎間腔の中への挿入のために構成された送出状態から、前記椎体間融合インプラントが前記送出器具から該椎間腔の中に送出される間に前記仮骨延長された隣接椎骨を離れた状態に保持するように構成された拡張状態まで移動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記椎体間融合デバイスの回転可能接続インタフェースに切り離し可能に結合可能であり、該椎体間融合デバイスを前記隣接椎骨の隣接椎体間に直接に移動するために軸線方向に移動するドライバを更に含み、前記ドライバは、前記椎体間融合デバイスを圧壊構成から展開構成まで拡張するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記仮骨延長器ヘッドは、前記椎間腔の中に挿入可能な膨張可能部材を含み、該膨張可能部材は、該椎間腔での該膨張可能部材が膨脹される時に前記隣接椎体を押し離すように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記仮骨延長器ヘッドは、仮骨延長器アセンブリの長手軸線から離れるように展開位置に向けて移動可動な少なくとも1つのストップを含み、該展開位置での該少なくとも1つのストップは、該仮骨延長器ヘッドが前記椎体を仮骨延長する間に前記隣接椎体のうちの1つの側面と接触するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
請求項21から請求項54の方法のいずれか1つを実行するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
カニューレに位置決めされるように構成された細長本体と、
前記細長本体に結合され、かつ第1及び第2の椎体を仮骨延長するために送出状態から拡張状態まで移動可能な仮骨延長器アセンブリと、
を含み、
前記送出状態での前記仮骨延長器アセンブリは、前記第1及び第2の椎体間の椎間腔の中への挿入のために構成されると共に、前記拡張状態では、椎体間融合インプラントが該仮骨延長器アセンブリから該椎間腔の中に送出される間に該仮骨延長された第1及び第2の椎体を離れた状態に保持するように構成される、ことを特徴とする脊椎インプラント送出器具。
【請求項17】
前記椎体間融合デバイスの回転可能接続インタフェースに切り離し可能に結合可能であり、該椎体間融合デバイスを前記第1及び第2の椎体間に直接に移動するために軸線方向に移動するドライバを更に含み、前記ドライバは、前記椎体間融合デバイスを圧壊構成から展開構成まで拡張させるように構成される、ことを特徴とする請求項16に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項18】
前記仮骨延長器アセンブリは、該仮骨延長器アセンブリが前記拡張状態にある時に前記椎体間融合デバイスがそれを通って送出することができる送出間隙を定める第1の接触部材と第2の接触部材とを有する顎部を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項19】
前記仮骨延長器アセンブリは、前記椎間腔の中に挿入可能な膨張可能部材を含み、該膨張可能部材は、該椎間腔での該膨張可能部材が膨脹される時に前記第1及び第2の椎体を押し離すように構成される、ことを特徴とする請求項16に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項20】
前記仮骨延長器アセンブリは、該仮骨延長器アセンブリの長手軸線から離れるように展開位置に向けて移動可動な少なくとも1つのストップを含み、該展開位置での該少なくとも1つのストップは、該仮骨延長器アセンブリが前記第1及び第2の椎体を仮骨延長する間に該第1及び第2の椎体のうちの一方の側面と接触するように構成される、ことを特徴とする請求項16に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項21】
被験者の脊椎を治療するマルチポータル方法であって、
前記被験者に沿う第1の入口に位置決めされた仮骨延長器具を使用して隣接椎骨を仮骨延長し、該隣接椎骨間の椎間腔を拡大する段階と、
拡大された前記椎間腔の中に椎体間融合インプラントを送出する段階と、
前記被験者に沿う第2の入口に位置決めされた内視鏡器具を使用して、前記椎体間融合インプラントを内視鏡的に観察しながら、前記隣接椎骨の椎体間に直接に位置決めされた該椎体間融合インプラントを拡張する段階と、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
ドライバ器具を使用して前記椎体間融合インプラントを横方向及び垂直方向に拡張する段階と、
前記椎体間融合インプラントの前記横方向及び前記垂直方向拡張を前記内視鏡器具を通じて観察する段階と、
前記横方向及び前記垂直方向に拡張された前記椎体間融合インプラントから前記ドライバ器具を分離する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項23】
前記仮骨延長器具の遠位部分を通して前記椎体間融合インプラントを送出する段階と、
前記ドライバ器具が前記第1の入口に位置決めされた前記仮骨延長器具内に位置決めされている間に前記椎体間融合インプラントを拡張する段階と、
前記椎体間融合インプラントがロックされた拡張構成になった後で、該椎体間融合インプラントから前記ドライバ器具を分離する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項22に記載のマルチポータル方法。
【請求項24】
前記被験者の正中矢状面の同じ側に位置決めされた前記第1及び第2の入口を形成するために該被験者の組織を切開する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項22に記載のマルチポータル方法。
【請求項25】
前記被験者の正中矢状面の両側に位置決めされた前記第1及び第2の入口を形成するために該被験者の組織を切開する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項22に記載のマルチポータル方法。
【請求項26】
前記第1の入口に位置決めされたドライバ器具を使用して前記椎体間融合インプラントを横方向及び垂直方向に順番に拡張する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項27】
前記椎体間融合インプラントを拡張する段階は、
前記椎体間融合インプラントを水平方向に拡張する段階と、
前記椎体間融合インプラントを水平方向に拡張した後で、椎間板高さ回復を提供するために該椎体間融合インプラントを垂直方向に拡張する段階と、
を含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項28】
前記内視鏡観察に基づいて、拡張された前記椎間板融合インプラントの位置を確認する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項29】
前記内視鏡器具を使用して前記椎体間融合インプラントの画像データを取得する段階と、
前記椎体間融合インプラントが位置決め不良であるか否かを決定するために前記画像データを分析する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項30】
拡張された前記椎体間融合インプラントが位置決め不良であると決定することに応答して、該位置決め不良をユーザに通知する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項29に記載のマルチポータル方法。
【請求項31】
前記画像データの前記分析に基づいてユーザによって観察するための情報を提示する段階を更に含み、提示される前記情報が、前記椎体間融合インプラントを再位置決めするための情報又は該椎体間融合インプラントを圧壊するための情報のうちの少なくとも一方を含む、ことを特徴とする請求項29に記載のマルチポータル方法。
【請求項32】
前記第1の入口に第1のポートを位置決めする段階と、
前記第1のポートを通して前記仮骨延長器具を送出し、該仮骨延長器具の遠位端を前記椎間腔に向けて移動する段階と、
前記隣接椎骨を押し離すために前記仮骨延長器具の前記遠位端を拡張する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項33】
前記仮骨延長器具の少なくとも1つのストップを前記隣接椎骨のうちの少なくとも一方に隣接して位置決めする段階と、
前記少なくとも1つのストップが前記隣接椎骨のうちの少なくとも一つの椎体と接触するように位置決めされている間に、前記椎間腔の中に拡張器を挿入する段階と、
前記拡張器が前記隣接椎骨の端板に対して押し付け、それによって前記椎間腔を拡大するように該拡張器を展開する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項34】
前記拡張器は、1又は2以上の膨張可能ヘッド及び/又は楔デバイスを含む、ことを特徴とする請求項33に記載のマルチポータル方法。
【請求項35】
前記仮骨延長器具の管腔を通して拡大された前記椎間腔の中に圧壊構成にある前記椎体間融合インプラントを送出する段階と、
前記椎間腔にある前記椎体間融合インプラントを前記内視鏡器具を通じて観察した後で、該椎体間融合インプラントを前記圧壊構成から拡張構成まで移動させる段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項36】
前記椎体間融合インプラントを拡張する前に前記隣接椎骨間で椎間板切除を実行する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項37】
前記内視鏡器具を使用して埋め込み部位の第1の画像を取得する段階と、
拡大された前記椎間腔の中への前記椎体間融合インプラントの送出後に、前記内視鏡器具を使用して、前記埋め込み部位の第2の画像を取得する段階と、
前記第2の画像に示された拡張された前記椎体間融合インプラントの位置に基づいて、拡張された前記椎体間融合インプラントが展開位置に位置付けられるか否かを決定する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項38】
前記第1の画像と前記第2の画像を比較する段階と、
前記比較に基づいて拡張された前記椎体間融合インプラントの前記位置を決定する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項37に記載のマルチポータル方法。
【請求項39】
前記第1の画像と前記第2の画像を電子画面を通じて表示する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項37に記載のマルチポータル方法。
【請求項40】
前記内視鏡器具を使用して前記被験者の脊椎の1又は2以上の画像を取得する段階と、
前記1又は2以上の画像に基づいて前記椎体間融合インプラントに関する埋め込み情報を決定する段階と、を更に含み、
前記埋め込み情報が、
推奨椎体間融合インプラント、
前記椎体間融合インプラントに対する拡張設定値、又は
前記椎体間融合インプラントに対する推奨埋め込み位置、
のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項21に記載のマルチポータル方法。
【請求項41】
被験者の脊椎を治療するマルチポータル方法であって、
前記被験者に沿う第1のポータル部位に第1のカニューレを位置決めする段階と、
前記第1のカニューレを通って延びる仮骨延長器具を使用して、第1の椎体と第2の椎体を仮骨延長する段階と、
仮骨延長された前記第1及び第2の椎体間の椎間埋め込み部位に向けて椎体間融合インプラントを前記第1のカニューレを通じて移動する段階と、
前記被験者に沿う第2のポータル部位に位置決めされた内視鏡器具を使用して、前記椎間埋め込み部位の少なくとも一部分と前記椎体間融合インプラントの少なくとも一部分とを可視化する段階と、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項42】
前記第2のポータル部位に位置決めされた前記内視鏡器具を使用して、前記椎体間融合インプラントを内視鏡的に可視化しながら、該椎体間融合インプラントを拡張する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1及び第2のポータル部位は、斜め腰椎椎体間固定術、横方向腰椎椎体間固定術、後方腰椎椎体間固定術、経椎間孔腰椎椎体間固定術、又は前方腰椎椎体間固定術のうちの少なくとも1つを実行するように位置決めされる、ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項44】
骨関節固定を促進するように構成された骨移植材料を拡張された前記椎体間融合インプラントの中に挿入する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記第1及び第2の椎体間の椎間板腔を回復するための拡張過程の殆どを通して、前記椎体間融合インプラントの少なくとも一部分を可視化する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記椎間埋め込み部位で前記椎体間融合デバイスを拡張する前に、前記第1のカニューレと前記第2のカニューレを互いに結合する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項47】
被験者の脊椎を治療するマルチポータル内視鏡支援式方法であって、
前記被験者の脊椎にアクセスするための第1のポートを使用することによって、外科手順の少なくとも一部分を実行する段階と、
第2のポートを通じて位置決めされた内視鏡を使用して、前記外科手順の少なくとも一部分を可視化する段階であって、前記第1のポート及び前記第2のポートが、前記被験者の皮膚に沿って互いから離間している、前記可視化する段階と、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項48】
前記内視鏡は、該内視鏡を前記被験者から取り外すことなく椎体間融合デバイスを埋め込むことができるように、該被験者内に位置決めされる、ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記内視鏡は、前記脊椎が変更される前記外科手順の期間の殆どを通して前記第2のポートを通して位置決めされ、前記外科手順は、低侵襲性脊椎手術の一部である、ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記外科手順は、斜め腰椎椎体間固定手順、横方向腰椎椎体間固定手順、後方腰椎椎体間固定手順、経椎間孔腰椎椎体間固定手順、又は前方腰椎椎体間固定手順である、ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記外科手順の前記部分を実行するために前記被験者の中に前記第1のポートを通じて器具を順番に送出する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のポートを形成するために前記被験者の皮膚を切開する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のポートを通じて椎間板切除を実行する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記被験者の椎間板の少なくとも殆どを除去する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項55】
請求項21から請求項54の方法のいずれか1つを実行するように構成されたシステム。
【請求項56】
近位端と遠位端とを含む細長本体と、
前記細長本体の前記近位端から前記遠位端まで延びる複数の管腔であって、貫通する流体の流れを提供するように構成された第1の流体管腔と手術器具を通過させるように構成された作動管腔とを含む、前記複数の管腔と、
前記細長本体の前記遠位端に配置されてエネルギを放出するように構成された1又は2以上の組織-マッピングプローブと、
を含む、ことを特徴とするカニューレ。
【請求項57】
前記細長本体内にあり、かつ前記1又は2以上の組織-マッピングプローブに電気的に結合された少なくとも1つの送信ラインを更に含み、前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、前記作動管腔の遠位端の周りに位置決めされ、かつ前記手術器具が該作動管腔に位置決めされている間に神経組織を識別するために前記エネルギを放出するように構成される、ことを特徴とする請求項56に記載のカニューレ。
【請求項58】
前記複数の管腔は、貫通する流体の流れを提供するように構成された第2の流体管腔を更に含む、ことを特徴とする請求項56に記載のカニューレ。
【請求項59】
前記第1の流体管腔は、前記近位端から前記遠位端まで、手術部位の中への洗浄流体の流れを提供するように構成され、
前記第2の流体管腔は、前記手術部位から前記遠位端を通して前記近位端までの洗浄流体の流れを提供するように構成される、
ことを特徴とする請求項58に記載のカニューレ。
【請求項60】
前記カニューレの前記近位端は、手術洗浄液供給システムに結合されて、前記第1の流体管腔及び/又は前記第2の流体管腔を該手術洗浄液供給システムに流体的に結合するように構成される、ことを特徴とする請求項58に記載のカニューレ。
【請求項61】
前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、前記カニューレの前記遠位端の周りに周方向に離間している、ことを特徴とする請求項56に記載のカニューレ。
【請求項62】
前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、神経モニタ電極を含む、ことを特徴とする請求項56に記載のカニューレ。
【請求項63】
前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、前記細長本体に沿って延びる少なくとも1つの送信ラインと作動可能に結合される、ことを特徴とする請求項56に記載のカニューレ。
【請求項64】
前記少なくとも1つの送信ラインは、前記1又は2以上の組織-マッピングプローブからの出力に少なくとも部分的に基づいて組織を識別するようにプログラムされた組織-マッピングシステムと作動可能に接続可能である、ことを特徴とする請求項56に記載のカニューレ。
【請求項65】
前記少なくとも1つの送信ラインは、電気信号及び/又は光信号を送信するように構成される、ことを特徴とする請求項56に記載のカニューレ。
【請求項66】
被験者の脊椎を治療するマルチポータル方法であって、
貫通する洗浄流体の流れを提供するように構成された第1の流体管腔を含む第1のカニューレを、前記被験者に沿う第1のポータル部位に位置決めする段階と、
貫通する洗浄流体の流れを提供するように構成された第2の流体管腔を含む第2のカニューレを、前記被験者に沿う第2のポータル部位に位置決めする段階と、
前記第1のカニューレ及び/又は前記第2のカニューレに結合された少なくとも1つの組織-マッピングプローブを使用して、前記被験者内の組織の1又は2以上の場所をマップする段階と、
前記治療部位を通して洗浄流体を前記第1及び第2のカニューレを通じて循環させながら、該第1のカニューレを通して位置決めされた1又は2以上の器具を使用して、該治療部位から組織を除去する段階と、
インプラントを椎間埋め込み部位に向けて前記第1のカニューレを通じて移動する段階と、
前記第2のカニューレを通して挿入された内視鏡器具を使用して、前記椎間埋め込み部位の少なくとも一部分と前記インプラントの少なくとも一部分とを可視化する段階と、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項67】
組織の前記1又は2以上の場所をマップする段階は、前記少なくとも1つの組織-マッピングプローブで反応信号を受信する段階を含む、ことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
組織の前記1又は2以上の場所をマップする段階は、前記少なくとも1つの組織-マッピングプローブから刺激信号を送信する段階と、前記被験者内に配置されたセンサで反応信号を受信する段階とを含む、ことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記刺激信号は、電気信号、光信号、又は超音波信号である、ことを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記組織は、神経組織、骨、筋膜組織、及び/又は接続組織を含む、ことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項71】
拡張器が前記被験者内の作動空間の容積を増大するように、前記第1のカニューレを通じて前記治療部位に該拡張器を展開する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記拡張器は、更に、前記第2のカニューレを通って延びる前記内視鏡器具を使用して、前記治療部位と椎間埋め込み部位との可視化を可能にするように構成される、ことを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記拡張器は、少なくとも1つの組織-マッピングプローブがその上に各々配置された1又は2以上の可動結合セグメントを含む、ことを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項74】
ポートのセット、手術器具、器具カニューレ、及び撮像カニューレを含む滅菌万能バイポータル脊椎手術キットを使用して、バイポータル脊椎手順を実行する方法であって、
被験者に対して実行される前記バイポータル脊椎手順に基づいて前記ポートのセットから第1のポート及び第2のポートを選択する段階と、
前記第1のポート及び前記第2のポートを前記被験者の中に挿入する段階と、
前記器具カニューレを前記第1のポートに位置決めする段階と、
前記撮像カニューレを前記第2のポートに位置決めする段階と、
前記器具カニューレに位置決めされた前記手術器具のうちの少なくとも1つを使用して、前記撮像カニューレに位置決めされた撮像デバイスを使用して該手術器具のうちの該少なくとも1つを観察しながら、前記バイポータル脊椎手順の少なくとも一部分を実行する段階と、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項75】
前記バイポータル脊椎手順に基づいて前記手術器具のうちの前記少なくとも1つを選択する段階と、
前記キット内の前記手術器具の全てを利用することなく前記バイポータル脊椎手順を完了する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記バイポータル脊椎手順の段階を実行するために前記器具カニューレに前記手術器具を順番に挿入する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記手術器具は、減圧器具、仮骨延長器、骨鉗子、及びリーマーを含む、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記器具カニューレ及び/又は前記撮像カニューレに結合された1又は2以上のエネルギ放出要素を使用して、神経組織の場所をマップする段階と、
前記マッピングを使用して前記器具カニューレ及び/又は前記撮像カニューレを位置決めする段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記器具カニューレ及び前記撮像カニューレは、1又は2以上の洗浄装置に流体的に結合されるように構成される、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項80】
前記器具カニューレ又は前記撮像カニューレに結合され、かつ前記被験者の皮膚の下の組織を識別するように構成された1又は2以上の組織-マッピング要素を使用する段階を更に含む、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項81】
前記バイポータル脊椎手順は、脊椎減圧手順又は椎体間融合手順である、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項82】
前記手術器具のうちの1又は2以上の拡張器を前記被験者内に位置決めする段階と、
前記拡張器を非拡張構成から拡張構成まで移動し、それによって前記被験者内の作動空間を増大する段階と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項83】
マルチポータル脊椎外科技術のためのキットであって、
作動管腔、第1の流体管腔、第2の流体管腔、及び少なくとも1つのプローブを各々が含む複数のカニューレと、
前記複数のカニューレのうちの少なくとも1つを受け入れるサイズを各々が有する複数の手術ポートと、
を含む、ことを特徴とするキット。
【請求項84】
前記手術ポートは、被験者の皮膚及び筋膜を通って延びるように構成される、ことを特徴とする請求項83に記載のキット。
【請求項85】
滅菌万能脊椎手術キットである、ことを特徴とする請求項83に記載のキット。
【請求項86】
少なくとも1つの手術器具と、
前記複数のカニューレと前記複数のポートと少なくとも1つの手術器具とを保持するパッケージングと、
を更に含む、ことを特徴とする請求項83に記載のキット。
【請求項87】
前記少なくとも1つの手術器具は、仮骨延長器具、送出器具、外科用メス、ダイレータ、骨鉗子、減量器具、及び/又はリーマーを含む、ことを特徴とする請求項86に記載のキット。
【請求項88】
少なくとも1つの埋込可能デバイスを更に含む、ことを特徴とする請求項83に記載のキット。
【請求項89】
可視化器具を更に含む、ことを特徴とする請求項83に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、本明細書に引用によってその全体が組み込まれている2019年9月9日出願の米国特許出願第16/565、403号及び2019年11月18日出願の米国特許出願第16/687、520号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、概略的には医療システム、より具体的にはマルチポータル外科手順を実行するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
個人は、外傷、疾患、変性欠陥、又は長期間にわたる摩滅に起因して損傷又は変位した椎間板及び/又は椎体に悩まされることが多い。椎間板又は椎体に対するこの変位又は損傷の1つの結果は、慢性的な背部痛であると考えられる。椎間板又は椎体の損傷又は疾患を治療するための一般的な手順は、椎間板の部分的又は完全な除去を伴う場合がある。インプラント(一般的に椎体間スペーサと呼ばれる)は、椎間板が除去された場所に生成されたキャビティに挿入され、脊椎の高さを維持する及び/又は脊椎に対する安定性を回復させるのを補助することができる。椎間体スペーサは、脊椎の湾曲に対する前弯矯正を提供することもできる。一般的に使用されてきた椎体間スペーサの例は、典型的に骨及び/又は骨成長誘発材料で充填された固定寸法ケージである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第863、2594号明細書
【特許文献2】米国特許第930、8099号明細書
【特許文献3】米国特許第10、105、238号明細書
【特許文献4】米国特許第10、201、431号明細書
【特許文献5】米国特許出願第16/565、403号明細書
【特許文献6】米国特許出願第16/687、520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念ながら、椎体間スペーサを椎体間の意図する埋め込み部位に埋め込むことは困難である場合がある。これに加えて、従来の外科技術は、埋め込み部位又はその近くに有意な量の外傷を引き起こす可能性があり、これは、回復時間を有意に増大して患者の不快感をもたらす可能性がある。従って、改善された外科システム、可視化技術、及び/又は関連技術に対する必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の開示の実施形態によるマルチポータル外科システムの側面図である。
【
図2】椎体間融合手順を実行するための腰椎への外科的接近を示す概略上面図である。
【
図4】本発明の開示の実施形態により隣接椎骨間に位置決めされた組織除去デバイスと作動区域を可視化するように位置決めされた可視化デバイスとの側面図である。
【
図5】本発明の開示の実施形態により圧壊した拡張要素が椎間腔及び可視化デバイスに位置決めされた仮骨延長器具(distraction instrument)の側面図である。
【
図6】本発明の開示の実施形態により膨脹した拡張要素が椎体端板に接触した仮骨延長器具の側面図である。
【
図7】本発明の開示の実施形態による拡張要素を有する仮骨延長器具の側面図である。
【
図8】本発明の開示の実施形態により2つの椎骨間に位置決めされた器具の側面図である。
【
図9A】本発明の開示の実施形態により椎体間スペーサが椎骨間に位置決めされた被験者の脊椎の前方向からの図である。
【
図9B】本発明の開示の実施形態により椎体間スペーサが椎骨間に位置決めされた被験者の脊椎の前方向からの図である。
【
図9C】本発明の開示の実施形態により椎体間スペーサが椎骨間に位置決めされた被験者の脊椎の前方向からの図である。
【
図10A】圧壊構成にある椎体間スペーサの側面図である。
【
図10B】拡張構成にある椎体間スペーサの側面図である。
【
図11】本発明の開示の実施形態により脊椎手術を実行する方法を示す流れ図である。
【
図12】本発明の開示の実施形態により手術前、手術中、又は手術後の支援を提供するためのシステムを示す図である。
【
図13】本発明の開示の実施形態による手術キットの平面図である。
【
図14】本発明の開示の実施形態による組織-マッピングカニューレの斜視図である。
【
図14A】本発明の開示の実施形態により管腔と組織-マッピングプローブとを有する
図14のカニューレの遠位端の斜視図である。
【
図15】本発明の開示の一実施形態により複数の管腔と組織-マッピングプローブのアレイとを有するカニューレの遠位端の端面図である。
【
図16】本発明の開示の実施形態により突出した組織-マッピングプローブを有するカニューレの側面図である。
【
図17】本発明の開示の実施形態により手術洗浄流体を循環させて組織をマップするカニューレを有する外科システムの側面図である。
【
図18】本発明の開示の実施形態により組織-マッピングプローブを担持する展開可能な拡張器を有するカニューレの側面図である。
【
図19】拡張器が展開構成にある
図18のカニューレの拡大上面図である。
【
図20】本発明の開示の実施形態により循環型洗浄流れ及び/又は組織-マッピングを使用するマルチポータル脊椎手術を実行する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の開示は、医療システム及びデバイス及び関連の使用方法の様々な実施形態を説明するものである。外科システムの少なくとも一部の実施形態は、可視化機能を提供する。一連の器具は、ポータル部位を通じて送出されて組織を変更する(例えば、組織の成形、粉砕、分離、切断、減量、破壊、破砕、又は除去)、埋め込み部位を準備する、デバイスを埋め込む、又はその組合せなどに使用することができる。器具可視化は、医師が非ターゲット器官及び組織への外傷又は損傷を防止又は制限するのを補助することができる。内視鏡支援型手術では、デバイスは、低侵襲技術を使用して正確に埋め込まれ、転帰を改善して回復時間を短縮することができる。本発明の開示のそのような実施形態の完全な理解を提供するために、ある一定の詳細を以下の説明及び
図1~20に列挙する。例えば外科手順に多くの場合に関連付けられる公知の構造及びシステムを説明する他の詳細は、本発明の開示の様々な実施形態の説明を不要に不明瞭にしないように以下の説明では列挙しない。
【0008】
A.概要
少なくとも一部の実施形態は、マルチポータル外科システムに関する。この外科システムを使用して、椎間板又は椎体が損傷した又は変位した患者を治療することができる。外科システムを使用して固定デバイス又は拡張可能な椎体間デバイスを埋め込んで椎体を離間させる、脊椎の安定性を回復させる、前弯矯正を提供する、又はその組合せなどを実行することができる。脊椎融合手順では、椎体間デバイスは、単独で又は骨、骨成長誘発材料、又は固定デバイス(例えば、椎弓根スクリューシステム、固定ロッドなど)などと組み合わせて使用することができる。内視鏡技術を使用して患者の脊椎を可視化し、例えば、脊椎(例えば、椎骨の間隔、椎骨の配置など)、組織(例えば、椎間軟骨円板の損傷又は変位した部分、神経圧迫の一因になる組織など)、器具及びインプラントを埋め込み前、埋め込み中、又は埋め込み後などに見ることなどができる。可視化は、外科手順の全体を通して医師を補助し、患者の転帰を改善することができる。
【0009】
外科システムは、手術部位へのアクセスを提供することができる。埋め込み部位は、椎間板切除又は椎体間準備手順などを実行することによって準備することができる。1又は2以上のデバイス(例えば、インプラント、融合デバイスなど)を送出して患者の体内に配置することができる。一部の実施形態では、減圧手順を実施して神経組織に加わる圧力を最小にするか又は低減することができ、減圧手順は、狭窄の一因になる組織、神経組織を押す組織、又は椎間軟骨円板の膨隆セクションなどを除去する段階を含むことができる。例えば、減圧手順を実施して硬膜外腔を拡大し、脊髄圧迫を低減することができる。
【0010】
1つの手術方法は、患者に沿う第1のポータル部位で隣接椎骨間に仮骨延長器具(distraction instrument)を位置決めして椎間腔を拡大する段階を含む。組織除去デバイスを使用して、埋め込みのための拡大された椎間腔をクリアにして準備することができる。拡大された椎間腔に椎間体融合インプラントを送出することができる。拡張する椎間体融合インプラントは、患者に沿う第2の入口に位置決めされた内視鏡器具を使用して内視鏡的に観察される。内視鏡観察を使用して、拡張した椎間体融合インプラントが望ましい場所にあるか否かを評価し、骨移植材料を送出する段階又は骨の治癒を容易にして脊椎融合を容易にする他の段階を支援することができる。他の可視化技術を内視鏡観察と組み合わせて使用することができる。例えば、蛍光透視を内視鏡観察と組み合わせて使用することができる。
【0011】
一部の実施形態では、被験者を治療するためのマルチポータル内視鏡支援式方法は、第1のポータル部位を使用して外科手順の少なくとも一部分を実行する段階を含む。外科手順の少なくとも一部分は、第1のポータル部位から離間した第2のポータル部位を通じて位置決めされた内視鏡を使用する。その間隔は、脊椎に沿うか又は別の場所にあるかを問わず、治療部位の場所及びアクセス可能性に基づいて選択することができる。
【0012】
一部の実施形態では、被験者の脊椎を治療するためのマルチポータル方法は、被験者に沿う第1の入口に位置決めされた仮骨延長器具を使用して隣接椎骨を仮骨延長し、隣接椎骨間の椎間腔を拡大する段階を含む。拡大された椎間腔に椎体間融合インプラントを送出する。内視鏡器具を使用して内視鏡的に観察しながら、椎体間融合インプラントを隣接椎骨の椎体間に直接位置決めする。内視鏡器具は、被験者に沿う第2の入口に位置決めすることができる。第1及び第2の入口の位置は、埋め込み部位のアクセス可能性に基づいて選択することができる。
【0013】
更に別の実施形態では、被験者の脊椎を治療するためのマルチポータル方法は、被験者に沿う第1のポートに第1のカニューレを位置決めする段階を含む。第1のカニューレを通って延びることができる1又は2以上の仮骨延長器具を使用して、第1の椎体と第2の椎体が仮骨延長される(distracted)。椎体間融合インプラントは、仮骨延長された第1及び第2の椎体間の椎間埋め込み部位に向けて第1のカニューレを通して移動することができる。椎間埋め込み部位の少なくとも一部分と椎体間融合インプラントの少なくとも一部分は、被験者に沿う第2のポートに位置決めされた内視鏡器具を使用して可視化することができる。
【0014】
一部の実施形態では、脊椎インプラント送出器具は、カニューレに位置決めされるように構成された細長本体と、仮骨延長器アセンブリ(distractor assembly)とを含む。仮骨延長器アセンブリは、細長本体に結合され、かつ第1及び第2の椎体を仮骨延長するために送出状態から拡張状態まで移動可能とすることができる。ある一定の実施形態では、送出状態での仮骨延長器アセンブリは、第1及び第2の椎体間にある椎間腔の中への挿入に関して構成され、かつ拡張状態では椎体間融合インプラントが椎間腔の中に送出される間は仮骨延長された第1及び第2の椎体を離れた状態に保持するように構成される。
【0015】
更に別の実施形態では、脊椎インプラント送出器具は、カニューレに位置決めされるように構成された細長本体と、細長本体に結合された仮骨延長器アセンブリとを含む。仮骨延長器アセンブリは、第1及び第2の椎体を仮骨延長するために送出状態から拡張状態まで移動可能である。送出状態での仮骨延長器アセンブリは、椎間腔の中への挿入に関して構成され、かつ拡張状態で椎体間融合インプラントが送出される間は仮骨延長された第1及び第2の椎体を離れた状態に保持するように構成される。椎体間融合インプラントは、仮骨延長器アセンブリから椎間腔の中に送出することができる。一部の実施形態では、ドライバは、椎体間融合インプラントの回転可能接続インタフェースに切り離し可能に結合可能である。ドライバは、軸線方向に移動して椎体間融合インプラントを第1及び第2の椎体間で直接移動することができる。ドライバは、椎体間融合インプラントを圧壊構成から展開構成まで拡張するように構成される。仮骨延長器アセンブリは、それを通して椎体間融合インプラントを送出することができる送出間隙を定めるように作動可能な顎部を含むことができる。
【0016】
一部の実施形態では、被験者の脊椎を治療するためのマルチポータル方法は、複数のカニューレを被験者に挿入する段階を含む。カニューレを使用して組織を識別し、例えば、カニューレ/器具の配置を容易にする及び/又は組織(例えば、ターゲット組織、非ターゲット組織など)を識別するなどを実行することができる。カニューレを使用して、手術部位を通してかつその周囲に洗浄流体(例えば、生理食塩水、水など)を循環させることができる(例えば、連続的に又は断続的に)。組織-マッピング及び手術部位洗浄は、同時に又は順番に実行することができる。一部の実施形態では、新鮮な洗浄流体は、洗浄システムによって第1のカニューレを通して送出することができる。洗浄システムは、望ましい逆圧を発生させる1又は2以上のポンプを有することができる。洗浄流体を除去するために、別のカニューレは、任意的な真空を引いて洗浄流体及び不要な物質(例えば、血液、骨粉、弛んだ組織など)を被験者から吸い出すことができる。これに加えて、被験者内の加圧された洗浄流体は、止血作用を容易にする助けになることができる。カニューレを使用して、洗浄流体の望ましい流れを生成することができる。
【0017】
洗浄流体(例えば、被験者内への及び/又は被験者からの洗浄流体の流れ)をモニタして、例えば、可視化が容易にされる、臨床医にフィードバックを提供するなどを実行することができる。一部の実施形態では、内視鏡視認性に基づいて、洗浄流体は、定期的に循環させることができる。例えば、本発明のシステムが過剰な量の骨粉を検出した場合に、システムは、手術部位に洗浄流体を自動的に循環させて骨粉を除去することができる。一部の実施形態では、臨床医は、制御ペダル、ハンドコントローラなどを通して、洗浄流体を循環させるタイミングを制御することができる。有利なことに、カニューレは、流体管腔を作動管腔から離間させることができるので、作動管腔に位置付けられた器具と干渉することなく、洗浄流体の流量を増減させることができる。それにより、器具及び洗浄の独立した制御が可能になる。
【0018】
カニューレは、以下に限定されるものではないが、センサ(例えば、流量センサ)、流れ拡散器、流れ拡大器、バルブ(例えば、一方向性バルブ)、付属品(例えば、ホースに接続するための付属品)、コネクタ、及び他の流体的構成要素を含むことが可能である。例えば、カニューレの近位端は、洗浄システムの流体ラインに接続するための1又は2以上の付属品を有することができる。カニューレの遠位端は、望ましい方向に流れを向けるためのノズルを含むことができる。カニューレの構成は、望ましい循環に基づいて選択することができる。例えば、カニューレのすぐ遠位に位置決めされた組織に対する外傷を低減するか又は最小にするために、カニューレは、流体を非ターゲット組織から横方向に遠ざけるように構成された出口又はノズルを有することができる。カニューレは、真空カニューレに向けて洗浄流体の流れを向けることができる。カニューレはまた、機械式拡張器又は空気圧式拡張器などを含む1又は2以上の拡張器を有することができる。
【0019】
一部の実施形態では、カニューレを使用して得られた情報は、器具の誘導、外科手順の評価、又は手順が完了したか否かの確認などに使用することができる。組織識別プローブを有する実施形態では、カニューレを使用して、1又は2以上のタイプの組織を識別することができる。例えば、神経検出プローブを使用して神経組織を識別することができる。それにより、外科医は、神経組織への影響を最小にするか又は制限しながら手順を実行することができる。一部の自動検出の実施形態では、システムは、カニューレが非ターゲット組織に接触しているか又は隣接していることを自動的にユーザに通知することができる。外科医は、カニューレを安全な場所に保つことができる。一部の手順では、カニューレは、手術部位への経路、手術部位自体、又は他の望ましい場所をマップするのに使用される。
【0020】
外科医は、カニューレを手動で回転させて、カニューレの遠位端の周囲及びその近くにある組織をマップすることができる。他の実施形態では、カニューレは、区域をマップするために自動的に回転する遠位端を有することができる。そのようなカニューレは、1又は2以上のモータ又はアクチュエータなどを含むことができる。
【0021】
更に他の実施形態では、カニューレは、細長本体と、細長本体を通って延びる複数の管腔とを含む。管腔の1つは、手術器具がそれを通過するように構成された作動管腔とすることができる。管腔の別の1つは、手術部位との間で手術洗浄流体の流れを提供するように構成された流体管腔とすることができる。一部の実施形態では、カニューレは、洗浄流体の別の流れを提供するように構成された追加の流体管腔を有することができる。
【0022】
マルチポータル外科技術では、2つのカニューレを使用して洗浄流体を循環させることができる。一部の実施形態では、第1のカニューレの流体管腔は、洗浄流体供給システムに接続することができる。洗浄流体は、流体管腔を通って流れ、第1のカニューレの遠位端から出ることができる。洗浄流体は、手術部位に沿って流れることができる。洗浄流体は、手術部位から第2のカニューレの流体管腔を通して引き出すことができる。一部の実施形態では、第1及び/又は第2のカニューレは、2又は3以上の流体管腔を有することができる。追加の管腔は、流体供給システム又は流体戻りシステムのいずれかに接続することができる。このようにして、いずれのカニューレも、洗浄流体を供給するか又は戻すように構成することができる。更に別の実施形態では、カニューレは、洗浄流体を供給すると共に戻すように構成することができる。
【0023】
洗浄流体供給システムは、1又は2以上の流体供給リザーバ、ポンプ、流れモニタ、圧力モニタデバイス、又は流れ制御機構などを含むことができる。同様に、流体戻りシステムは、1又は2以上のポンプ、圧力モニタデバイス、流れ制御機構、又は戻り流体容器などを含むことができる。供給システムと戻りシステムは、洗浄流体制御システムの構成要素とすることができる。洗浄流体制御システムは、流れモニタ、圧力モニタなどのようなモニタを提供することができる。一部の実施形態では、制御システムは、外科手順に対する必要性に応じて、接続された流体管腔のいずれか1つを通して選択的に流体を供給してかつ戻すことができる。
【0024】
これに加えて、カニューレは、組織-マッピングプローブのような1又は2以上の検出器を含むことができる。検出器は、エネルギを出力して及び/又は受け入れて情報を取得し、組織(例えば、治療部位又はその付近の組織)を識別し、及び/又は治療をモニタするように構成することができる。一部の実施形態では、検出器は、例えば、筋電図検査法を使用して神経を識別するように構成された神経モニタ電極である。神経の場所をマップすることは、カニューレ、器具、又は他のデバイスの位置を誘導して神経組織の外傷を低減又は回避するのに有用である。検出器は、組織の場所を決定するようにプログラムされた組織-マッピングシステムに接続することができる。組織-マッピングシステムは、例えば、神経又は他の組織(例えば、ターゲット組織、非ターゲット組織など)への近接度を示す可聴音を含む組織の場所に関するフィードバックを提供することができる。他の実施形態では、組織-マッピングシステムは、組織の場所の視覚表示を提供することができる。視覚表示は、例えば、画像とすることができ、内視鏡又は光ファイバ観察システムなどのような可視化器具が提供する画像データ(例えば、静止画像、ビデオなど)の上に重ねられた組織場所の識別子とすることができる。
【0025】
更に別の実施形態では、カニューレは、展開可能な拡張器を含むことができる。拡張器は、空間又は作動容積を拡大するように構成することができ、それにより、視認性を容易にし、及び/又はカニューレへの又はカニューレからの洗浄流体の流れを容易にする。拡張器は、被験者内への挿入中にそのプロファイルを最小限にするための送出構成を有することができる。拡張器は、カニューレの遠位端に接続するか又はその一部とすることができるので、拡張器の本体は、カニューレ本体と接触する。他の実施形態では、拡張器は、コネクタ機構によってカニューレに接続され、かつ例えば展開前及び/又は展開中にカニューレ本体から離れる距離だけ拡張器を延長させるためにカニューレ本体と延長可能に係合される。更に他の実施形態では、拡張器は、カニューレの作動管腔の1つを通して送出されるように構成された個別のデバイスである。
【0026】
拡張器は、1又は2以上の組織-マッピングプローブを含むことができる。これらのプローブは、カニューレ本体に位置付けられた組織-マッピングプローブの代わりか又はそれらの追加とすることができる。プローブを使用して、カニューレの位置決め、拡張器の展開及び/又は位置決め、手術器具の挿入及び使用、及び/又は手順の評価(例えば、神経が損傷又は切断されたか否かを決定するために)を支援することができる。
【0027】
いくつかの図の全体を通して類似の数字が類似の要素を表し、かつ例示的実施形態を示す添付図面を参照して、本発明の開示の実施形態を以下でより完全に説明する。しかし、特許請求の範囲の実施形態は、多くの異なる形態に具現化することができ、本明細書に列挙する実施形態に限定されると解釈すべきではない。本明細書に列挙する例は、非限定的な例であり、他の可能な例の中の単なる例に過ぎない。
【0028】
B.マルチポータル外科システム
図1は、本発明の開示の実施形態によりヒト被験者の脊椎に沿って位置決めされた脊椎外科システム100(「システム100」)の側面図である。システム100は、器具アセンブリ130と可視化アセンブリ160を含むことができる。器具アセンブリ130は、外科手順の少なくとも一部分を実行するのに使用することができ、一方で可視化アセンブリ160は、可視化を提供する。器具アセンブリ130は、器具110とカニューレ120を含むことができる。ポートを使用して器具アセンブリ130及び/又は可視化アセンブリ160の挿入を容易にすることができる。例えば、可視化アセンブリ160は、内視鏡ポートに位置決めすることができ、器具アセンブリ130は、器具ポートに位置決めすることができる。
【0029】
一連の器具は、外科手順を実行するためにカニューレ120を通して送出することができる。一部の手順では、器具110は、例えば、器官又は組織の移動(例えば、神経組織の移動)、組織の除去(例えば、椎間板171の除去、狭窄の一因になる組織の除去など)、椎体の準備(例えば、椎骨端板の粗面化又は成形)などにより、埋め込み部位を準備するのに使用することができる。器具110は、取り外すことができ、カニューレ120を通して仮骨延長器具を送出することができる。仮骨延長器具は、隣接椎骨170、172を仮骨延長し、それによって椎間腔を拡大することができる。椎体間融合インプラントは、カニューレ120を通して、拡大された椎間腔の中に送出することができる。拡張可能な実施形態では、椎体間スペーサ又は融合インプラントを拡張させて椎骨端板と接触させることができる。手順中に、可視化アセンブリ160は、送出経路、器官、組織(例えば、神経組織)埋め込み部位、椎体間融合デバイス(例えば、送出前、送出中、及び/又は送出後)、器具、及び関連の他の区域又は特徴部の内視鏡観察を提供することができる。器具アセンブリ130及び可視化アセンブリ160に対するポータル部位の位置は、
図4と関連して説明するように、実行される手順と可視化アセンブリ160の光学特性(例えば、視野、ズーム機能など)とに基づいて選択することができる。
【0030】
図1を引き続き参照すると、可視化アセンブリ160は、可視化デバイス140とカニューレ150を含むことができる。カニューレ150は、可視化デバイス間で切り換える時に医師を補助することができる。一部の実施形態では、カニューレ150なしで可視化アセンブリ160を使用することができる。例えば、薄型光ファイバ内視鏡の形態の可視化デバイス140は、切開部又は内視鏡ポートなどを通して直接に位置決めされる。可視化デバイス140は、以下に限定されるものではないが、直接見るために又はディスプレイ162を通して見るためにファイバ光学系(例えば、光ファイバ)、レンズ、撮像デバイス、作動管腔、又は光源制御器などを有する1又は2以上の内視鏡を含むことができる。一部の実施形態では、可視化デバイス140は、手術部位を洗浄するために流体が流れる管腔を含むことができる。例えば、可視化デバイス140を通して生理食塩水又は別の適切な液体をポンピングし、組織(例えば、弛んだ組織、骨粉など)又は可視化を損なう他の材料を除去することができる。可視化デバイス140は体腔を照らし、高解像度のビデオ可視化を可能にすることができる。光ファイバの近位端の近くに又は近位端に位置付けられた光源(例えば、レーザ、発光ダイオードなど)を使用して遠位端に光を透過させ、照明光を提供することができる。それにより、外科医は、被験者の身体の中に安全にナビゲートされ、特定の身体解剖学的構造を照らして椎骨間隔、椎骨構造、神経、骨の蓄積(例えば、神経を刺激し、押圧して神経圧迫の一因になる場合がある蓄積)などを見ることができる。一部の実施形態では、視覚及び照明のための可視化光学系は、可視化デバイス140の遠位先端内に含まれる。可視化デバイス140の構成及び機能は、望ましい視野、観察解像度、又はパン/ズーム機能などに基づいて選択することができる。
【0031】
図2は、ヒト被験者の腰椎に沿った概略上面図であり、
図1のシステム100に適する椎体間融合手順を実行するための例示的技術を例示している。
図3は、
図2の腰椎の等角投影図である。
図2及び3を参照すると、手術器具は、前方腰椎椎体間固定術(ALIF)経路210、斜め腰椎椎体間固定術(OLIF)経路220、横方向又は極横方向腰椎椎体間固定術(LLIF又はXLIF)経路230、経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF)経路240、及び後方腰椎椎体間固定術(PLIF)経路250を含む様々な経路を通して送出することができる。例示的TLIF及びPLIFの手順は、
図4~6と関連して説明する。
【0032】
引き続き
図2及び3を参照すると、椎体間融合デバイスの数及び構成は、実施する融合手順に基づいて選択することができる。TLIF手順の一例では、経椎間孔経路240を使用して椎間腔に単一の小型拡張可能又は拡張不能椎体間スペーサを埋め込むことができる。PLIF手順の一例では、2つの椎体間スペーサを後方経路250に沿って送出し、椎間腔に埋め込むことができる。2つの椎体間スペーサは、協働して椎体を望ましい間隔に保つことができ、TLIFスペーサよりも大きい場合がある。これに加えて、複数の椎体間スペーサは、異なる高さで支持を与えることにより、前弯矯正を提供することができる。LLIF手順の一例では、単一の比較的大きい椎体間スペーサを横方向経路230に沿って送出して埋め込み、非対称な支持を提供することができる。ALIF手順の一例では、非対称椎体間スペーサを前方経路210に沿って送出し、脊椎のその部分での脊柱前弯と整合する支持を提供することができる。横方向接近、経椎間孔接近、及び前方技術を使用して頸椎、胸椎などにアクセスすることができる。器具の数、器具の構成、インプラント、及び外科技術は、治療される病状に基づいて選択することができる。
【0033】
図4は、本発明の開示の実施形態によりTLIF又はPLIF手順を実行するように位置決めされた器具アセンブリ130の詳細な側面図である。器具アセンブリ130は、ポート472を通って延びることができ、可視化アセンブリ160は、ポート474を通って延びることができる。図示の器具アセンブリ130は、被験者の皮膚460を通り、皮下組織462を通り、かつ棘上靭帯464に隣接して又はそれを通って延びることができる。可視化アセンブリ160は、脊柱を見るのに適する視野213を有し、例えば、経椎間孔接近、後方接近、又は横方向接近を使用して位置決めすることができる。図示の可視化アセンブリ160は、椎間板430と器具110の組織除去先端470とを見ることができるように位置決めされ、これらは、それぞれ椎骨440、444の棘突起450、454の間に示されている。内視鏡観察に加えて又はそれに代えて、蛍光透視、MR撮像、CT撮像、直接可視化、又は他の可視化技術を使用することができる。
【0034】
組織除去先端470は、前方向に前進させて椎間板430、又は椎間板430(又は他の椎間板)から膨隆した組織、骨(例えば、薄片、外側凹部、下関節面を含む関節面など)、骨棘(例えば、変形性関節症に関連付けられた骨棘)、肥厚靭帯の組織、脊椎腫瘍、変位組織(例えば、脊椎外傷によって変位した組織)、又は脊椎神経圧迫を引き起こす又はその一因になる可能な組織を含むがこれらに限定されない他の不要な組織を除去することができる。器具110と共に他の器具(例えば、骨鉗子、デバルカ、スクレーパ、リーマー、ダイレータなど)を使用して1又は2以上の拡張手順、減圧手順、椎間板切除、顕微鏡下椎間板切除、椎弓切開、又はその組合せを実行することができる。狭窄を治療する手順では、器具110を使用して中心管狭窄、外側凹部狭窄、及び/又は他の型の狭窄に関連付けられた組織を除去することができる。一部の減圧手順では、器具110は、例えば、骨を除去し、椎骨440、444の一方又は両方から黄色靱帯を分離し、黄色靱帯を切断又は減量し、弛んだ組織を除去し、椎間板430の少なくとも一部分を除去するのに使用される組織除去デバイスとすることができる。各段は、異なる器具を使用して実施することができる。器具は、以下に限定されるものではないが、脊椎神経圧迫(例えば、脊髄圧迫又は脊椎神経根圧迫など)、椎間板ヘルニア、骨粗鬆症、狭窄症、又は他の疾患又は状態を治療するように選択することができる。
【0035】
器具110と可視化デバイス140は、異なる経路に沿って位置決めすることができる。例えば、器具110を後方経路に沿って位置決めすることができるのに対して、可視化デバイス140は、経椎間孔又は斜め経路に沿って位置決めすることができる。ポート472、474は、異なる上下位置に位置決めされ、ポート472は、組織除去デバイス110の長手軸線が被験者の横断面とほぼ平行な平面内にあるように治療部位の真後ろに位置決めされる。可視化デバイス140は、以下に限定されるものではないが、器具110が組織を除去する間に(例えば、椎骨440、444から骨又は椎間板430から組織)、黄色靭帯、脊髄、脊髄から分岐する神経、靭帯、椎骨440、444、椎間板430、又は関連の他のあらゆる特徴又は解剖学的構造を撮像するのに適する光ファイバ480を含む内視鏡器具とすることができる。
【0036】
図5は、本発明の開示の実施形態により椎間板が除去された後で2つの椎骨間に圧壊した拡張要素を位置決めした仮骨延長器具の側面図である。仮骨延長器具510は、カニューレ120内に位置決めされ、位置決め器又はストップ530、534と、部分的に拡張した状態に示すが隣接椎骨440、444を押し離すように構成された拡張器又は仮骨延長器ヘッド560(「拡張器560」)とを有する。拡張器560及び位置決め器530、534の拡張は、可視化デバイス140を使用して内視鏡的に見ることができる。
【0037】
位置決め器530、534は、椎間腔570に挿入可能な拡張器560の位置決めを補助するように構成される。例えば、位置決め器530は、椎体441の下椎切痕550に接触することができ、位置決め器534は、椎体445の上椎切痕ノッチ554に接触することができる。細長部材540は、拡張器560を望ましい場所に位置決めするために延長又は収縮することができるのに対して、位置決め器530、534は、椎体441、445に対して比較的静止したままとすることができる。この過程の全体を通して、可視化デバイス140を使用して位置決め器530、534、細長部材540、及び/又は拡張器560を見ることができる。医師は、拡張前、拡張中、及び拡張後に解剖学的特徴部に対する拡張器560の状態を確認することができる。それにより、拡張器560は脊柱の望ましい区域に確実に接触する。拡張器560を展開して隣接椎骨440、444の端板を押し込み、それによって椎間腔570を拡大させることができる。
【0038】
位置決め器530、534は、スパイク、突起、又は他の移動抑制要素を含むことができる。一部の実施形態では、係止部又は突起は、細長部材540に直接に接続させることができ、端板と係合するように展開することができる。位置決め器の構成、数、及び位置は、脊柱に対する望ましい位置決めに基づいて選択することができる。
【0039】
細長部材540は、拡張器560に接続することができ、かつ流体が流れる1又は2以上の管腔を有するロッドとすることができる。細長部材540を通して流体(例えば、生理食塩水、ガス、又は別の適切な流体)をポンピングし、拡張器560を膨脹させることができる。蛍光透視の場合に、流体は造影剤を含むことができる。拡張器560は、1又は2以上の膨張可能部材、バルーン、機械式拡張器、又は楔デバイスなどを含むことができるがこれらに限定されない。矢印は、多くの可能な拡張方向のうちの1つを示し、拡張器560の拡張方向は、2方向拡張に限定されない。
【0040】
仮骨延長器具510はまた、椎体間融合インプラントを送出し、ドライバ器具として機能することができる。仮骨延長器具510は、椎体間融合インプラントに接続可能なシャフトを有することができる。シャフトを回転させて椎体間融合インプラントを展開することができる。これにより引用によって組み込まれてこの出願の一部を構成する米国特許第863、2594号明細書、米国特許第930、8099号明細書、米国特許第10、105、238号明細書、及び米国特許第10、201、431号明細書は、仮骨延長器具510に組み込むことができるドライバ構成要素を開示している。
【0041】
図6は、膨脹した拡張要素560が椎体441、445を離れた状態に保持する仮骨延長器具510の側面図である。拡張器560の拡張レベルを増加又は低減して端板に加えられる圧力をそれぞれ増加又は低減することができる。拡張器560は、組織を粗面化する、擦り剥く、削り取る、又は他に影響を与えることができる1又は2以上の粗面、スパイク、突出部、又は他の特徴部を含むことができる。一部の実施形態では、拡張器560は、埋め込まれたデバイスの移動を制限するか又は実質的に阻止する助けになるように、対向する椎骨端板面を粗面化するのに使用することができる複数の突出したスパイクを有する。拡張器560は、圧壊して取り外すことができる。別の拡張器を既に拡張した椎間腔570に挿入して更に椎骨440、444を仮骨延長することができる。このようにして、望ましい分離量が達成されるまで、制御された方法で順番に椎骨を仮骨延長することができる。
【0042】
椎体間融合インプラントが仮骨延長器具510を通して椎間腔570に送出される間、拡張器560は、仮骨延長された2つの椎体441、445を離れた状態に保持することができる。展開された拡張器560に隣接して椎体間融合インプラントを位置決めすることができ、拡張器は、例えば、椎体間融合インプラントを展開した後で取り外すことができる。
【0043】
器具の構成は、少なくとも部分的にポータル部位から治療部位までの距離に基づいて選択することができる。外科手順は、実行される段階に基づいて選択することができる。例えば、TLIF及びPLIF手術は、脊椎の後方区域に沿って組織が除去される減圧手順を含むことができ、そのような減圧手順が実行されないALIF手術とは対照的である。
図4~6に関連して説明したシステム及び技術を修正して非脊椎手順を含む他のタイプの手順を実行することができる。
【0044】
図7は、本発明の開示の実施形態により拡張要素を有する仮骨延長器具700の側面図である。器具700は、制御要素710、712、細長本体720、位置決め器730、740、及び拡張器アセンブリ758を含むことができる。制御要素710、712を作動させて位置決め器730、740及び/又は拡張器アセンブリ758を展開することができる。例えば、ユーザは、制御要素710、712を手動で回転させてそれぞれの位置決め器730、740を独立に展開することができる。例えば、制御要素710を使用して、位置決め器730、740を非展開位置732、742(破線で図示)及び器具700の長手軸線743から離れるようにかつ図示の外向き展開位置に向けて回転させることができる。
【0045】
仮骨延長器具700は、
図5及び6に関連して上述したものと類似の方式で使用することができる。例えば、展開された位置決め器730、740は、隣接椎骨に寄り掛かることができる。拡張器アセンブリ758は、椎骨を仮骨延長するのに適する望ましい場所に位置決め可能な拡張器又は仮骨延長器ヘッド760(「拡張器760」)を有する。拡張器アセンブリ758は、流体ライン751に流体結合した細長本体750を含むことができる。拡張器760を細長本体750の遠位端に取り付けて流体が流体ライン751を通り、細長本体750を通り、かつ拡張器760の中にポンピングされるようにすることができる。
【0046】
図8は、本発明の開示の実施形態により隣接椎骨を仮骨延長するように位置決めされた器具800の側面図である。
図4~7に関連して説明した器具の説明は、特に示さない限り、器具800に等しく適用される。
【0047】
器具800は、アクセスデバイス又はカニューレ810と仮骨延長アセンブリ828を含むことができる。カニューレ810は、それを通して仮骨延長アセンブリ828を送出することができるアクセスデバイスとして機能することができる。仮骨延長アセンブリ828は、脊柱との非外傷性接触に関して構成された位置決め器830、834を含むことができる。位置決め器830、834は、膨張可能部材(例えば、膨張可能バルーン)、機械式拡張型部材、又は他のタイプの要素とすることができる。位置決め器830、834は、椎体、横突起、又は棘突起などと接触するように構成することができる。仮骨延長アセンブリ828は、拡張器850と細長本体852とを有する拡張式アセンブリ848を更に含むことができる。図示の拡張器850は、圧壊して萎んだ構成又は状態にある。拡張器850は、
図5及び6に関連して説明した拡張器560と類似の方式で拡張/膨張させることができる。可視化デバイスを使用して仮骨延長過程の前、間、及び/又は後に拡張器850、位置決め器830、834、又は器具の他の特徴部を見ることができる。一部の実施形態では、仮骨延長アセンブリ828は顎部として機能することができ、その場合に、位置決め器830、834を使用して送出間隙を把持する又は定めることができる。これに加えて又はこれに代えて、位置決め器830、834を間隙(例えば、キャビティ)に挿入し、次に離れるように移動して間隙を拡げることができる。
【0048】
図9A~9Cは、本発明の開示の実施形態により2つの椎骨間の椎体間スペーサ910を被験者の前方から見た前面図である。
図9Bでは、椎体間スペーサ910は、横方向に拡張した構成にある。
図9Cでは、椎体間スペーサ910は、横方向及び垂直方向に拡張した構成にある。一般的に、圧壊構成にある椎体間スペーサ910を椎間腔に送出することができる。内視鏡的にこの椎体間融合インプラントの位置を見た後で、インプラントを圧壊構成(
図9A及び10A)から拡張構成(
図9C及び10B)まで移動することができる。拡張(例えば、横方向拡張、垂直方向拡張、又はその組合せなど)は、内視鏡器具を使用して見ることができる。椎体間スペーサ910は、以下に限定されるものではないが、インプラント又は椎体間融合インプラントなどとすることができる。椎体間スペーサ910の作動の詳細は、以下で詳細に議論する。
【0049】
ここで
図9Aを参照すると、椎間板は椎間腔907から除去されている。
図1~7のカニューレ120又は
図8のカニューレ810のようなカニューレを通して椎体間スペーサ910を送出し、圧壊された椎体間スペーサ910をそれぞれ椎骨440、444の端板912、914の間に直接に位置決めすることができる。圧壊された椎体間スペーサ910の位置は、内視鏡観察によって確認することができる。椎体間スペーサ910が望ましくない位置にある場合に、椎体間スペーサ910を別の位置まで移動することができる。ここでもまた、内視鏡観察を使用して椎体間スペーサ910の最終位置を確認することができる。
【0050】
図9Bは、内視鏡観察下で横方向に拡張させた後の椎体間スペーサ910を示している。有利なことに、拡張過程によって椎体間スペーサ910の不要な変位が生じた場合に、ユーザは椎体間スペーサ910を再位置決めすることができる。
【0051】
図9Cは、それぞれ椎骨440、444の端板912、914に対して垂直方向に拡張させた後の椎体間スペーサ910を示している。完全に拡張させた後に、椎体間スペーサ910をロックして圧潰を防止することができる。任意的な材料を椎間腔907に送出して融合を促進する又は容易にすることができる。例えば、材料は、椎間体スペーサ910に接続された送出器具920(
図10A)を通して椎間腔907に送出することができる。材料は、骨、骨成長誘発材料、セメント、又は他の適切な材料とすることができる。骨成長誘発材料は、骨の関節固定を容易にするように構成することができる。一部の手順では、この材料は、送出器具又はドライバ器具の通路を通して送出される。他の手順では、別の器具を通して材料を送出することができる。一部の手順では、複数の椎体間スペーサが椎間腔907に埋め込まれる。送出器具の詳細は、
図10A及び10Bに関連して説明する。
【0052】
図10Aを参照すると、椎体間スペーサ910及び送出器具920は、カニューレ930を使用して又は使用せずにポート922を通して送出することができる。器具920は、ハンドルアセンブリ931、細長本体932、及びコネクタ934を含むことができる。ハンドルアセンブリ931は、グリップ950と、椎体間スペーサ910の作動を制御して椎体間スペーサ910からの切り離しを制御するように作動可能な1又は2以上の制御要素940とを含むことができる。一部の実施形態では、制御要素940は、1又は2以上のダイヤル、レバー、トリガ、又は他の可動要素を含むことができる。細長本体932は、ハンドル950に接続されてコネクタ934まで延びる。細長本体932は、ドライバ器具として機能することができ、椎体間スペーサ910を作動させるのに使用される1又は2以上のロッド、シャフト、又は他の要素を含むことが可能である。一部の実施形態では、ドライバ器具は、送出器具920を通して挿入され、椎体間スペーサ910と係合する。ドライバ器具を回転させて椎体間スペーサ910を徐々にかつ制御可能に展開することができる。コネクタ934の特徴、構成、及び機能は、椎体間スペーサ910の構成に基づいて選択することができる。
【0053】
図10Bは、送出器具920が椎体間スペーサ910の接続特徴部又は接続インタフェース916(「接続特徴部916」)から分離された後の拡張された椎体間スペーサ910の側面図である。拡張された椎体間スペーサ910は、拡張構成にロックすることができる。椎体間スペーサ910を再位置決めするために、送出器具920を椎体間スペーサ910に再接続し、椎体間スペーサ910をアンロックして圧壊させるように作動させることができる。送出器具920を使用して、圧壊された椎体間スペーサ910を移動することができる。
【0054】
送出器具920は、椎体間スペーサに切り離し可能に結合するための1又は2以上の遠位接続要素又は特徴部を含むことができる。接続要素は、椎体間スペーサ910の相補的な多角形凹部又は特徴部によって受け入れられる多角形接続部(例えば、六角形突起)とすることができる。他の接続部を使用して送出器具920を椎体間スペーサ910に切り離し可能に結合することができる。これにより引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第863、2594号明細書、米国特許第930、8099号明細書、米国特許第10、105、238号明細書、及び米国特許第10、201、431号明細書は、送出器具、椎体間スペーサ、及び接続特徴部と、送出器具の作動及び椎体間スペーサの展開の方法とを開示している。送出器具920は、送出器具とすることができ、かつ米国特許第863、2594号明細書、米国特許第930、8099号明細書、米国特許第10、105、238号明細書、及び米国特許第10、201、431号明細書に開示された特徴を含む。他のタイプの埋込可能デバイス及び送出器具を利用することができる。インプラント及び対応する送出器具の構成は、実行される手順に基づいて選択することができる。
【0055】
図11は、本発明の開示の実施形態により被験者を治療する方法を示す流れ図である。ブロック1002では、第1及び第2のポータル部位(すなわち、入口)を生成するために被験者の組織に切開を実行することができる。一部の実施形態では、第1及び第2の入口は、被験者の正中矢状面の同じ側に位置決めすることができる。他の実施形態では、第1及び第2の入口は、被験者の正中矢状面の反対側に位置決めすることができる。更に他の実施形態では、被験者の正中矢状面に沿って切開を実行する場合がある。
【0056】
各入口にポートを位置付けることができる。ポートのサイズは、切開のサイズ及びポータル部位の組織特性に基づいて選択することができる。例えば、ポートの管状本体は、被験者の皮膚、筋膜、及び筋肉を通って延びるのに足る長さとすることができる。ポートのアクセス開口部は、器具をポートに挿通することができる程に大きくすることができ、それにより、組織の断裂を防止又は抑制することができる。器具は、ポートを利用することなく切開部を通して患者の体内に送出することができる。そのような器具は、切開部周辺の組織の断裂を制限又は抑制するために比較的小さい直径を有することができる。一部の手順では、ポートは、一部の切開部に設置することができ、器具は、他の切開部にポートなしで設置することができる。医師は、利用する器具及び切開部の位置に基づいてポートを設置するか否かを決定することができる。
【0057】
ブロック1004では、例えば、設置されたポートを通して仮骨延長器具を挿入することにより、仮骨延長器具を第1のポータル部位に位置決めすることができる。一部の手順では、カニューレをポートに位置決めすることができ、カニューレの管腔を通して仮骨延長器具を送出することができる。他の実施形態では、仮骨延長器具は、カニューレを利用せずにポートに直接に挿入することができる。仮骨延長器具及びカニューレの利用については、
図5~8に関連して説明する。
【0058】
ブロック1006では、ポートを通して可視化デバイスを送出することにより、可視化デバイスを第2のポータル部位に位置決めすることができる。可視化デバイスは、カニューレを使用して又は使用せずに設置することができる。カニューレ及びポートの利用については、
図1~7に関連して説明する。一部の実施形態では、可視化デバイスは、小切開の形態のポータル部位を通じて送出可能な薄型光ファイバ可視化システムとすることができる。これらの手順では、可視化デバイスの直径が小さいので、カニューレを使用されない場合がある。脊椎が変更される外科手順期間の大部分にわたって、可視化デバイスを同じポータル部位に保つことができる。例えば、器具が被験者に位置決めされている手術期間の少なくとも80%又は90%にわたって可視化デバイスを単一ポータル部位に位置決めすることができる。内視鏡を被験者から取り外すことなく椎体間融合デバイスを埋め込むことができるように、可視化デバイスを被験者の体内に位置決めすることができる。それにより、手術時間全体を短縮することができる。
【0059】
ステアリング可能な可視化デバイスを使用して、解剖学的特徴部周辺のナビゲーションを容易にすることができる。ステアリング可能な可視化デバイスは、光ファイバスコープ又は他にアクセスすることができない部位の内部を可視化するのに適する1又は2以上の照明要素(例えば、照明のための光ファイバ)又は撮像要素(例えば、撮像のための電荷結合要素)を有する可撓性又は剛性の器具を含むことができる。一部の実施形態では、可視化デバイスは、約2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、又は10mm以下の外径と、約15cm、20cm、30cm、又は40cm以下の長さを有するロッド-レンズ内視鏡とすることができる。同じく、このデバイスは、コネクタ(例えば、電気コネクタ、流体コネクタなど)、アクセスポート(例えば、管腔(例えば、器具が通過することができる管腔)に接続されたアクセスポート)などを有することができる。角度付きレンズを有する実施形態では、可視化器具は、光源に向けて約15度、30度、又は45度のレンズ角度を有することができる。他の角度付きレンズの実施形態では、可視化器具は、光源から離れる方向の角度を有する約15度、30度、又は45度レンズを有することができる。レンズの角度は、見るべき区域に基づいて選択することができる。一部の後方又は横方向脊椎手順では、0度レンズは、神経根、脊髄、及び椎間腔の観察に適する広角の視野を提供することができる。光源に向く角度を有する30度又は45度レンズ内視鏡を使用して、例えば、正中矢状面に向く角度を有する視界を提供し、例えば、棘突起、脊髄、椎間腔の中心区域などを見ることができる。光源から離れる方向に角度を有する30度又は45度レンズの内視鏡を使用して、神経孔での神経根、椎間腔の側部区域のような横方向特徴部又は脊椎に向けて角度を有する視野を提供することができる。
【0060】
一部の手順では、複数の可視化器具が利用される。一手順では、複数の可視化器具が同じポート内に位置決めされ、そのポートは、内視鏡器具間の相対移動を許容するのに足る大きさである。他の手順では、内視鏡器具は、離間したポートに位置決めされる。両側観察を提供するために、第1のポートと第1の内視鏡器具を被験者の正中矢状面の一方の側に位置決めし、他方のポートと内視鏡器具を正中矢状面の反対側に位置決めすることができる。単一手順に使用される複数の可視化器具は、異なる観察特性を有することができる。
【0061】
被験者の脊椎の画像を使用して椎体間融合インプラントに関する埋め込み情報を決定することができる。埋め込み情報は、推奨される椎体間融合インプラント、椎体間融合インプラントの拡張設定、及び/又は椎体間融合インプラントの推奨埋め込み位置を含むことができるがこれらに限定されない。ユーザには、椎体間融合インプラントを再位置決めするための情報又は椎体間融合インプラントを圧壊するための情報を含む画像データの分析に基づいて観察のための情報を提示することができる。ブロック1008では、第1の入口に位置決めされた組織除去デバイスを使用して椎間腔から組織を除去することができる。ブロック1010では、仮骨延長器具を使用して隣接椎骨を仮骨延長し、隣接椎骨間の椎間腔を拡大することができる。ブロック1012では、拡大した椎間腔に椎体間融合インプラントのような椎体間スペーサを送出することができる。椎体間融合インプラントは、仮骨延長器具の管腔を通して圧壊構成で送出することができる。ブロック1014では、椎体間融合インプラントは、第1の入口に位置決めされた仮骨延長器具内にドライバ器具を位置決めする間に及びブロック1016で内視鏡的に観察する間に横方向及び垂直方向に拡張させることができる。椎体間融合インプラントの横方向及び垂直方向の拡張は、順番に実行することができる。例えば、椎体間融合インプラントを水平方向に拡張させた後に、椎体間融合インプラントを垂直方向に拡張させて椎間板高さの回復を提供することができる。
【0062】
ブロック1016では、画像データは、内視鏡器具で取得することができる。画像データは、ビデオ、静止画像、又は他の画像データとすることができる。拡張された椎体間融合インプラントの位置を確認するために、拡張前、拡張中、及び/又は拡張後に画像データを取得して内視鏡による可視化で分析し、医師が手順を視覚的に評価することができるようにすることによって手術の有効性を高めることができる。例えば、埋め込み部位の第1の画像を内視鏡器具で取得することができる。埋め込み部位の第2の画像は、椎体間融合インプラントの送出後に内視鏡器具を使用して取得することができる。画像データを分析して第2の画像に示す拡張された椎体間融合インプラントの位置に基づいて、拡張された椎体間融合インプラントが展開位置に位置付けられたか否かを決定することができる。
【0063】
一部の実施形態では、第1の画像と第2の画像を比較して拡張された椎体間融合インプラントの位置を決定することができる。椎体間融合インプラントが位置決め不良である場合に、ユーザに位置決め不良を通知することができる。この通知は、可聴警告、視覚警告(例えば、
図1のディスプレイ162に表示される警告)を通じた又は他の適切な通知手段によるものとすることができる。ブロック1018では、ドライバ器具は、
図10Bに関連して上述したように、ロックされた拡張された椎体間融合インプラントから分離することができる。埋め込まれた椎体間融合インプラントを可視化してインプラントの適切な位置決め及び展開を確認することができる。追加の手順を実行する場合に、可視化を使用することができる。追加の手順は、骨又は成長促進材料などを椎間腔に送出することを含むことができるがこれらに限定されない。可視化はまた、椎弓根スクリュー又は棘突起間スペーサなどを伴う固定手順のような他の手順を観察するのに使用することができる。
【0064】
図11の方法は、本明細書に開示する様々なシステムを使用して実行することができる。治療の柔軟性を提供するために、必要に応じて追加の器具及び段階を実行することができる。例えば、減圧手順は、ブロック1010で隣接椎骨を仮骨延長する前に又は後に実行することができる。減圧手順中に可視化を使用して、ターゲット組織を視覚的に識別すると共に、非ターゲット組織(例えば、神経組織)が外傷を受けていないことを保証することができる。本方法を椎体間融合インプラントの埋め込みに関連して説明するが、本方法は、他のデバイスを展開して埋め込むために実行することもできる。例えば、本方法を使用して可動結合可能椎間板を埋め込むことができる。これに加えて、マルチポータルシステムを使用して、剛性又は固定式の椎体間融合デバイスを埋め込むことができる。
図11の方法での行為及び段階は、例えば、斜め腰椎椎体間固定手順、外側腰椎椎体間固定手順、後方腰椎椎体間固定手順、経椎間孔腰椎椎体間固定手順、又は前方腰椎椎体間固定手順を実行するためにインプラントの特徴に基づいて修正することができる。
【0065】
図12は、本発明の開示の実施形態により手術支援を提供するためのシステム1110を示している。システム1110は、画像データの表示、画像データの分析、外科手順での段階の提案、又はインプラントの分析などによって手術を改善することができる。システム1110は、例えば、手術支援システム1164を使用して手術を改善するハードウエア構成要素を含むことができる。様々な態様では、手術支援システム1164は、患者情報を格納し、画像データを取得し、情報/データを分析して結果を取得し、その結果を使用してユーザにフィードバックを提供することができる。手術支援システム1164は、入力デバイス1120からの静止画像又はビデオを分析して手順のためのインプラントを提案することができる。例えば、手術支援システム1164は、インプラントの数、サイズ、及び構成、及び外科手順を推奨することができる。推奨に基づいて、手術支援システム1164は、これに加えて手術器具、手術計画、及び他の情報を提案することができる。手術計画は、(1)手術段階、(2)ポートの数、サイズ、及び/又は位置、及び/又は(3)外科的接近を含むことができる。例えば、手術支援システム1164は、提案する被験者の皮膚に沿った挿入点、外科手順(例えば、PLIF、ALIF、LLIFなど)、アクセス経路などを用いて画像(例えば、X線画像、静止画像、ビデオなど)に注釈を付けることができる。手順中に、手術支援システム1164は、外科医に警告又は他のフィードバックを提供することができる。
【0066】
システム1110は、プロセッサ1145(例えば、CPU、GPU、HPUなど)に入力を与えてそれにアクションを通知する1又は2以上の入力デバイス1120を含むことができる。アクションは、入力デバイスから受信した信号を解釈し、通信プロトコルを使用してプロセッサ1145に情報を伝達するハードウエアコントローラによって仲介することができる。プロセッサ1145を使用して画像データのようなデータを分析し、取得した画像に示される拡張された椎体間融合インプラントの位置に基づいて、拡張された椎体間融合インプラントが展開位置に位置付けられたか否かを決定することができる。
【0067】
入力デバイス1120は、例えば、
図1~6に関連して説明した可視化デバイス140のような可視化デバイス、内視鏡器具、撮像デバイス(例えば、カメラ)、CRT機械、又はX線機械などを含むことができる。可視化により、一部の外科的実施形態では、外科医は、椎体、椎骨間隔、損傷/変位した組織、椎間板(膨隆部分を含む)、不要な軟骨の存在(例えば、軟骨の蓄積)、骨、又は神経根圧迫及び正常な身体機能に対する損傷を引き起こしている組織を目視して確かめることができる。この不要な物質の情報は、画像データをコンピュータのデータベースに格納し、かつ参照及び記録のために直ちにカラー画像(例えば、写真)に印刷することにより、文書化して記録することができる。医師は、この情報を使用して手術計画の少なくとも一部分を策定することができる。
【0068】
これに加えて又はこれに代えて、入力デバイス1120は、マウス、キーボード、タッチ画面、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイクロフォン、又は他のユーザ入力デバイスを含むことができる。例えば、マウスを使用して、可視化デバイスが取り込んだ画像データを選択又は操作することができる。キーボードを使用して、画像データに注釈を付けることができる。入力デバイスの数及び構成は、医師に基づいて選択することができる。
【0069】
プロセッサ1145は、単一処理ユニット、又は1つのデバイス内にあるか又は複数のデバイスにわたって分散された複数の処理ユニットとすることができる。プロセッサ1145は、例えば、PCIバス又はSCSIバスのようなバスを使用して他のハードウエアデバイスに接続することができる。プロセッサ1145は、ディスプレイ1130のようなデバイスに対するハードウエアコントローラと通信することができる。ディスプレイ1130を使用して画像データを表示することができる。例えば、ディスプレイ1130は、有線又は無線接続を通して1又は2以上の可視化デバイスに接続させることができる(
図1は有線接続を示す)
図1のディスプレイ162に対応することができる。ディスプレイ1130は、ユーザによって観察するための情報を提示することができる。図示の情報は、提案されたインプラント情報、提案された手術器具、デバイスを埋め込むための情報、椎体間融合インプラントを再位置決めするための情報、又は椎体間融合インプラントを圧壊するための情報などを含むことができる。これらの情報は、画像又はビデオの上に重ねるか又は画像又はビデオの中に挿入することができる。一部の実施形態では、情報は注釈とすることができる。
【0070】
ディスプレイ1130は、図形及び文字による視覚的フィードバックをユーザに提供することができる。一部の実施では、ディスプレイ1130は、入力デバイスがタッチ画面である時又は視線方向モニタシステムを含む時のようにディスプレイの一部として入力デバイスを含む。一部の実施では、ディスプレイは、入力デバイスとは別である。表示デバイスの例は、LCD表示画面、発光ダイオード(LED)表示画面、投影型ディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実型ディスプレイ(ヘッドアップ式表示デバイス又はヘッドマウント式デバイスなど)等々である。ディスプレイ1130は、高精細度視覚化を提供することができる。
【0071】
ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイスのような他のI/Oデバイス1140もプロセッサに接続することができる。他のI/Oデバイス1140は、MRI機械、X線機械などのような直接に接続された医療機器からの情報に対する入力ポートも含めることができる。他のI/Oデバイス1140は、更に、ネットワーク上で又は例えばデータベースに格納された以前に取り込まれたデータからのような他のソースからこれらのタイプの装置からのデータを受信するための入力ポートを含むことができる。
【0072】
システム1110はまた、ネットワークノードを使用して無線又は有線ベースで通信可能な通信デバイスを含むことができる。通信デバイスは、例えば、TCP/IPプロトコルを使用してネットワーク上で別のデバイス又はサーバと通信することができる。システム1110は、通信デバイスを利用して複数のネットワークデバイスにわたって作動を分散させることができる。
【0073】
プロセッサ1145は、デバイス内にあるか又は複数のデバイスに分散されたメモリ1150にアクセスすることができる。メモリは、揮発性及び不揮発性ストレージのための様々なハードウエアデバイスの1又は2以上を含み、読取専用メモリと書込可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読取専用メモリ(ROM)、及びフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気ストレージデバイス、テープドライブ、デバイスバッファのような書込可能不揮発性メモリを含むことができる。メモリは、土台になるハードウエアから切り離された伝播信号ではなく、従って、メモリは非一時的である。メモリ1150は、オペレーティングシステム1162、手術支援システム1164、及び他のアプリケーションプログラム1166のようなプログラム及びソフトウエアを格納するプログラムメモリ1160を含むことができる。メモリ1150はまた、例えば、埋め込み部位情報(例えば、レベル情報、インプラント展開情報など)、手術計画データ、ユーザオプション又はプリファレンス、画像データなどを入れることができるデータメモリ1170を含むことができ、これらのデータは、プログラムメモリ1160に又はシステム1110のあらゆる要素に提供することが可能である。
【0074】
一部の実施は、多くの他のコンピュータシステム、環境、又は構成で作動可能である。本発明の技術と共に使用するのに適するコンピュータシステム、環境、及び/又は構成の例は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、手持ち式又はラップトップデバイス、携帯電話、ウェアラブル電子機器、タブレットデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、プログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、又は上記システム又はデバイスのいずれかを含む分散型コンピュータ環境などを含むことができるがこれらに限定されない。
【0075】
以上の詳細説明では、ブロック図、流れ図、及び/又は実施例を使用することにより、デバイス及び/又は過程の様々な実施形態を明らかにした。そのようなブロック図、流れ図、及び/又は実施例が1又は2以上の機能及び/又は作動を含む限り、そのようなブロック図、流れ図、又は実施例内での各機能及び/又は作動は、広範なハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、又は実質的にそれらのあらゆる組合せによって個別に及び/又はまとめて実施することができることは当業者には理解されるであろう。一実施形態では、本明細書に説明する主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の統合フォーマットによって実施することができる。しかし、本明細書に開示する実施形態の一部の態様は、全体的又は部分的に1又は2以上のコンピュータ上で稼働する1又は2以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1又は2以上のコンピュータシステム上で稼働する1又は2以上のプログラムとして)、1又は2以上のプロセッサ上で稼働する1又は2以上のプログラムとして(例えば、1又は2以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1又は2以上のプログラムとして)、ファームウエアとして又は実質的にそれらのあらゆる組合せとして等しく集積回路に実施することができること及び回路の設計及び/又はソフトウエア及び/又はファームウエアのためのコード記述が本発明の開示に照らして十分に当業者の技能範囲に入ることは当業者によって認識されるであろう。これに加えて、当業者は、本明細書に説明する主題の機構が様々な形態のプログラム製品として流通可能であること及び本明細書に説明する主題の例示的実施形態が実際に流通を実行するのに使用される特定タイプの信号担持媒体に関わらず適用されることを認めるであろう。信号担持媒体の例は以下を含むがこれらに限定されない:フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD、DVD、デジタルテープ、コンピュータメモリのような記録可能型媒体、及びデジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)のような送信型媒体。
【0076】
C.手術キット
図13は、
図1~11、14~16、及び18~19に関連して説明した構成要素を含む手術キット1200の上面図である。キット1200は、カニューレ120、150及びポートのセット1210を含むことができる。医師は、ポータル部位の場所と利用する器具とに基づいて適切なポートを選択することができる。例示的実施形態では、セット1210は、4つのポートを含む。より多い又は少ない数のポートを提供することができ、かつ同じか又は異なるサイズとすることができる。キット1200は、カニューレ(例えば、カニューレ120、150、1400)を互いに結合するためのコネクタ(例えば、剛性コネクタ)を含むことができる。カニューレは、椎体間融合デバイスを椎間埋め込み部位で拡張させる前に互いに結合することができる。
【0077】
キット1200は、複数の減圧器具を更に含むことができる。図示の実施形態では、キット1200は、減量器具1220及びリーマー1222を含む。減圧器具を利用する場合に、医師は、大開口部1232を有するポート1230を選択することができる。キット1200はまた、外科用メス、ダイレータ、骨鉗子、洗浄カニューレ、組織検出又はマッピングカニューレ、拡張器、又は他の手術器具を含むことができる。例えば、キット1200は、可視化デバイス140、仮骨延長器具510、送出又は展開器具920、及び埋込可能デバイス1238を含むことができる。キットの構成及び構成要素は、実行する手順に基づいて選択することができる。キットの例示的構成要素は、
図14~20に関連して説明する。組織-マッピング性能を有するバイポータルキットは、組織検出カニューレを有することができ、一方で洗浄機能を有するバイポータルキットは、洗浄液貫入カニューレを有するカニューレを有することができる。バイポータルキットは、組織-マッピングと洗浄の両方に関して構成されたカニューレを有することができる。これに加えて、キットの構成要素の1又は2以上は、使い捨てとすることができ、全て又は一部は、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、又は他の生体適合性滅菌可能材料から作ることができる。
【0078】
一部の実施形態では、キット1200は、異なる手順を実行するための滅菌万能バイポータル脊椎手術キットである。一部のバイポータル手順では、第1のポート及び第2のポートは、被験者の解剖学的構造と実行する手順とに基づいてセット1210から選択することができる。第1及び第2のポートは、被験者の切開部に挿入することができる。器具カニューレ(例えば、カニューレ120、カニューレ150、カニューレ1400)は、第1のポートに挿入することができる。別のカニューレは、第2のポートに挿入することができる。器具カニューレ内に位置決めされた器具(例えば、減量器具1220、リーマー1222など)を使用して手順の少なくとも一部分を実行することができ、一方で撮像カニューレ内に位置決めされた撮像デバイスによって可視化が提供される。
【0079】
手術器具は、実行されるバイポータル脊椎手順に基づいて選択することができる。キット内の手術器具の全てを利用して又は全ては利用せずにバイポータル脊椎手順の段階の1つ、複数、又は全ての段階を完了するために器具を使用することができる。万能脊椎手術キットはまた、椎体間手順、減圧手順、固定手順、又はその組合せに対する器具を有することができる。器具を器具カニューレに順次挿入して手術段階を実行することができる。器具の各々は、器具カニューレ内に適合するように構成することができ、それにより、同じカニューレを手順全体に使用することが可能になる。他の手順では、複数のカニューレは、同じポート内に順次位置決めすることができる。ポートは、カニューレの挿入、取り外し、又は位置決めによって生じる組織の断裂を低減又は排除することができる。
【0080】
一部の実施形態では、手術専用キット1200は、特定タイプの手順を実行するように構成することができる。医師は、実行する手順に基づいて手術専用キット1200を選択することができる。
【0081】
一部の手順では、組織の場所は、器具カニューレ及び/又は撮像カニューレに接続された1又は2以上のエネルギ放出要素を使用してマップすることができる。エネルギ放出要素は、被験者の皮下組織を識別するように構成された組織-マッピング要素とすることができる。マッピング情報を使用して器具、撮像デバイス、又はカニューレなどを位置決めすることができる。有利なことに、マッピングは、被験者に追加の器具を導入することなく実行することができ、それにより、手順の複雑さ又は合併症のリスクなどが低減される。関連の組織は、神経組織、接続組織、又は解剖学的特徴(例えば、神経根、神経枝など)などとすることができる。例えば、マッピングを使用して、椎孔から出る神経根の場所、脊髄神経節、又は脊髄神経などを識別することができる。
【0082】
カニューレは、1又は2以上の洗浄装置に流体結合されるように構成することができる。流体結合は、以下に限定されるものではないが、1又は2以上の付属品、コネクタ、ホース、又は導管などを使用して達成することができる。洗浄装置は、1又は2以上の流体制御システム、ポンプ、真空又は吸引デバイス、導管、センサ(例えば、流量センサ、流体圧力センサ、血液センサなど)、コントローラ、又はその組合せを含むことができる。
【0083】
キット1200は、キット構成要素の一部であるか又はキット構成要素に結合可能である1又は2以上の拡張器を含むことができる。拡張器は、非拡張構成から拡張構成まで移動することができ、それによって被験者体内の作動空間が増大する。拡張器は、機械式拡張器、空気圧式拡張器、又は自己拡張式拡張器などとすることができる。
【0084】
図14は、本発明の開示の実施形態によるカニューレ1400の斜視図である。カニューレ1400は、
図1、4~6、10A、及び13に関連して上述したカニューレ120、150、810、930と類似の方式で使用することができる。カニューレ1400は、遠位端1401と、近位端1402と、遠位端1401から近位端1402まで延びる複数の管腔を有する細長本体1404とを含むことができる。管腔を使用して手術部位へ器具を送出する、被験者に流体を送出する、又は被験者から流体を除去するなどを実行することができる。それによって手術部位の洗浄が可能になる一方、器具は作動管腔1408を通して手術部位にアクセスすることができる。作動管腔1408は、手術器具(例えば、仮骨延長器具、減圧器具など)、可視化器具、埋込可能なデバイス、又は外科手順中に使用する他の器具を受け入れるように構成することができる。作動管腔1408の直径は、約2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、又は10mm以下とすることができ、カニューレ1400の外径は、約3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、又は12mm以下とすることができる。他のカニューレ寸法は、アクセス経路、器具の寸法、及び実行する手順に基づいて選択することができる。
【0085】
図14A及び14Bは、それぞれ本発明の開示の実施形態による遠位端1401及び近位端1402の斜視図である。
図14Cは、
図14Aに示すカニューレの長手断面図である。ここで
図14Aを参照すると、遠位端1401は、第1の遠位開口部1414、第2の遠位開口部1416、及び作動管腔開口部1418を含むことができる。第1及び第2の開口部1414、1416は、作動管腔開口部1418の両側に位置決めされ、それを通る流体流れを可能にすることができる。それにより、流体流れを作動管腔1408の両側で保つことができる。流体流れに対する開口部の構成、数、及び位置は、望ましい流体流れに基づいて選択することができる。例えば、開口部及び対応する管腔の数を増大して被験者体内の洗浄流体の流量を増大することができる。
【0086】
ここで
図14Bを参照すると、近位端1402は、第1の近位開口部1446と第2の近位開口部1448を含むことができる。
図14Cに示すように、第1の流体管腔1441は、遠位開口部1414と近位開口部1446の間を延び、第2の流体管腔1412は、遠位開口部1416と近位開口部1448の間を延びる。管腔の直径及び構成は、実行する手順に基づいて選択することができる。管腔1408、1410、1412の構成は、例えば、円形、楕円形、又は多角形(丸みを帯びた多角形を含む)とすることができる。これに加えて、管腔の断面形状は、例えば、円形管腔がカニューレ1400の遠位端1401で矩形開口で終端する場合に、管腔の長さに沿って変えることができる。
【0087】
図14Cを参照すると、作動管腔1408を細長本体1404内で実質的に中心に配置し、その遠位開口部1409が相応に遠位端1401の面で中心に位置付けられるようにすることができ、又はその構成に応じて本体1404の側に向けてオフセットすることができる。同様に、流体管腔1410、1412は、それらの遠位開口部1414、1416が図示とは別の位置に位置付けられるように、カニューレ本体1404内に位置決めすることができる。例えば、管腔1410、1412をカニューレ本体1404の同じ側に互いに隣接して設置し、近位開口を流体制御システムに結合するのを補助することができる。これに加えて、様々な実施形態により、開口部1406、1414、1416、1446、1448のいずれも、カニューレ本体1404の外面1413に沿って位置付けることができる。
【0088】
図14Cを引き続き参照すると、流体管腔1410、1412は、一部の実施形態により、手術洗浄流体があらゆる方向に流れることを可能にするように構成することができる。例えば、第1の流体管腔1410は、近位端1402に接続されたサプライから遠位端1401への洗浄流体流れを可能にするように構成することができ、一方で第2の流体管腔1412は、遠位端1401から近位端1402への洗浄流体流れを可能にするように構成することができる。様々な配置では、両方の管腔1410、1412を使用して同じ方向に流体を流すことができ、一方の管腔だけが流体を流すように構成することができる一方で他方の管腔は閉じられる、蓋をされる、塞がれる、又は他に流体を流すのに使用されず、又はいずれの管腔も流体を流すようには構成することができず、両方とも閉じられる、蓋をされる、塞がれる、又は他に流体を流すのに使用することができない。
【0089】
カニューレ1400は、1又は2以上の組織-マッピングプローブを有することができる。
図14Aを再び参照すると、組織-マッピングプローブ1420は、治療部位で組織の場所を識別するために有用なエネルギ(例えば、電気エネルギ、無線周波数エネルギ、電磁エネルギ、超音波エネルギ、音響エネルギなど)を出力するように構成することができる。エネルギの様々な組織との相互作用は、様々な技術を使用して測定可能な応答を提供することができる。例えば、組織-マッピングプローブ1420は、筋電図検査(EMG)技術と共に使用される神経モニタ電極とすることができる。例えば、電極1420が放出する電気信号は、近くの神経を脱分極させ、EMGシステムで検出可能な神経支配された筋肉の反応を引き起こすことができる。他の技術は、超音波検査法、蛍光透視法、ドップラー撮像法、及び光学撮像法を含むがこれらに限定されない。組織-マッピングプローブ1420の構成は、神経組織、硬膜、骨組織、靭帯、黄色靭帯を含む様々な組織、骨移植材料、及び組織辺縁、組織界面のような関連の区域を位置付けるのに適するとすることができる。
【0090】
組織-マッピングプローブ1420の配置は、組織-マッピング技術を支援するように選択することができる。例えば、
図14Aに示すように配置された離間プローブ1420は、方向情報を提供することができる。関連の組織は、カニューレ上で遠く離れて位置決めされた他のプローブからのエネルギ出力よりも、近くのプローブからのエネルギ出力により強く反応することができる。組織-マッピングプローブ1420はまた、エネルギを順番に又は別の適切なパターンで放出するように構成することができるので、特定の組織-マッピングプローブに関連付けられた各方向にある組織を同じシーケンス又はパターンで探ることができる。それにより、組織-マッピングプローブ1420の位置を調節することなく、組織-マッピングを実行することができる。例えば、カニューレ1400の遠位端1401が神経根の上に位置決めされた場合に、組織-マッピングプローブ1420を使用して神経根の存在、及び神経根のサイズ、神経根の向き、又は神経根の深さなどのような追加情報を検出することができる。有利なことに、神経組織と物理的に接触して傷つけることなくマッピングを実行することができる。神経マッピングは、脊柱の周りのかつ隣接する脊髄神経を位置付けるために実行することができる。
【0091】
図14A及び14Cを参照すると、組織-マッピングプローブ1420に結合された送信ライン1430は、遠位端1401から近位端1402まで延びることができる。送信ライン1430は、以下に限定されるものではないが、1又は2以上のワイヤ、光ファイバなどを含むことができ、かつ本体1404の側壁内に位置付けることができる。送信ライン1430は、様々なタイプのデジタル信号及びアナログ信号を含むエネルギ、電気信号、及び/又は光信号を送信するように構成することができる。一部の実施形態では、送信ライン1430は、1つの組織-マッピングプローブへエネルギを送信すると共に別の組織-マッピングプローブから受信した信号を送信するように構成することができる。ここで
図14B及び14Cを参照すると、送信ライン1430は、近位端1402でインタフェース1440に接続することができる。インタフェース1440は、以下に限定されるものではないが、組織-マッピングシステムへの接続点を提供する1又は2以上のプラグ、コネクタ、又は他の構成要素を含むことができる。
【0092】
図15は、カニューレ1500の前面立面図である。
図14~14Cのカニューレ1400に関する説明は、他に示さない限り、カニューレ1500にも等しく適用される。カニューレ1500は、組織-マッピングプローブを遠位端1501の遠位面1502の周りに周方向に配置した組織-マッピングアレイ1520を有することができる。数の増加した
図15の組織-マッピングプローブにより、組織-マッピングに対する方向分解能の増大を提供することができる。これに加えて、異なるプローブは、異なるタイプのエネルギを放出するように構成することができる。他のプローブは、戻り信号を受信するように構成することもできる。
【0093】
組織-マッピングアレイ1520は、神経モニタ電極1522、超音波変換器1524、及び光音響センサ1526を含むことができる。組織-マッピングの複数のモダリティの配置は、組織位置付け及び可視化を改善することができる。神経モニタ電極1522は、挿入中に神経と接触しないようにカニューレの位置決めを支援することができ、一方で超音波エミッタ及び光音響センサは、様々な組織及び組織界面の場所に関連する情報を提供することができる。組織-マッピングプローブの数(例えば、5、6、8、10など)、位置、及び構成は、実行されるマッピングに基づいて選択することができる。例えば、電極の数を増大してより高分解能のマッピングを提供することができる。一部の実施形態では、いくつかのプローブは、遠位端の側面の周りに配列することができるが、他のプローブは、遠位面1502上に配列される。プローブは、カニューレ本体の外面1503と面一であるか又はカニューレ本体内へ僅かに凹むことができる。他の実施形態では、プローブは、面1503を超えて延びることができる。
【0094】
図16は、本発明の開示の特定の実施形態による組織-マッピングプローブを含むカニューレの側面図である。
図14~14Cのカニューレ1400及び
図15のカニューレに関する説明は、他に示さない限り、カニューレ1600にも等しく適用される。組織-マッピングプローブ1620は、カニューレ本体1604の遠位端1631から遠位に延びる。組織-マッピングプローブ1620が本体1640から延びる距離dは、作動管腔1624の管腔開口部1622(破線に示す)に対する望ましいクリアランスに基づいて選択することができる。そのようなプローブの突出は、カニューレの誘導式挿入中にEMGのような技術を支援することができ、その際、プローブはカニューレの本体を誘導し、カニューレが組織に接触する前に組織の場所を決定することができる。一部の実施形態では、遠位端1631は、カニューレ1600の長手軸線1636に対して一般的に傾斜された遠位面1632を有することができる。例えば、図示の面1632は、器具に対する横方向クリアランスを設けるために長手軸線1636に対して非直交である場合がある。プローブ1620が組織1640(破線に示す)に隣接又は接触している場合に、矢印1644で示すように、器具を作動管腔へ横方向に容易に押し出すことができる。有利なことに、プローブ1620は物理的に組織に接触して組織1640と作動器具の間隔を維持することを補助することができる。プローブ1620の構成及び位置は、望ましいマッピング及び組織相互作用に基づいて選択することができる。例えば、プローブ1620は、組織上を非侵襲的に摺動するように構成された鈍い又は丸みを帯びた先端1641を有することができる。他の実施形態では、先端1641は、組織を突き刺すために尖った又は比較的鋭いものとすることができる。一部の手順では、穿刺プローブ1620を組織内に挿入して露出した組織面の下にある組織をマップすることができる。
【0095】
図17は、本発明の開示の実施形態による手順を実行するように位置決めされたカニューレ1720、1721の詳細な側面図である。カニューレ1720、1721は、それぞれのポート472、474に位置決めされ、被験者の皮膚460を通り、かつ皮下組織462を通って延びることができる。カニューレ1720、1721は、それらの遠位端が治療部位1750(全体的に破線で識別される)に隣接するか又はそこに至るようにそれぞれのポート472、474を通して挿入することができる。挿入は、送信ライン1744を通して組織-マッピングシステム1740と作動可能に結合された組織-マッピングプローブ1724によって誘導することができる。カニューレ1720は、
図16に関連して説明したカニューレ1600の特徴を有することができる。
【0096】
カニューレ1720、1721は、それぞれ、手術洗浄流体を治療部位1750に循環させるように構成された流体管腔1725、1726を有する。流体管腔1726は、流体供給システム1760に流体接続させることができる。流体管腔1725は、カニューレ1720の近位端にある流体戻りシステム1770に流体接続させることができる。一部の実施形態では、流体供給システム1760及び流体戻りシステム1770は、一体型流体制御システムの要素である。システム1760、1770は、システム1110に関連して説明した構成要素及び特徴を含むことができる。
【0097】
循環する流体流れは、流体供給システム1760及び/又は流体戻りシステム1770によって制御してモニタすることができる。器具アセンブリ130と可視化器具140が、カニューレ1720、1722の作動管腔1706、1708内にそれぞれ位置決めされている間、流れは存在することができる。洗浄流体は、治療部位1750での視認性を改善し、手順中の流体圧力及び流量に関する改善された制御を提供することができる。様々な実施形態では、カニューレ1720、1722は、
図14A~C、15、及び16に関連して議論したカニューレ1400、1500、及び1600に関して上述したように及びカニューレ1800に関して以下に説明するように構成することができる。
【0098】
組織-マッピングプローブ1724は、器具アセンブリ130と可視化器具140がそれぞれカニューレ1720、1722内に位置決めされている間、治療部位1750付近の組織をマップするのに使用することができる。このようにして、一部の実施形態により、医師は、外科手順の進行に従って治療部位1750の付近又は治療部位にある組織の場所に関して定期的又は継続的な更新を受け入れることができる。組織-マッピングシステム1740は、
図12に関連して上述したように、手術支援を提供するためのシステム1110の要素とすることができる。組織-マッピングシステム1740は、以下に限定されるものではないが、1又は2以上のディスプレイ、コンピュータ、コンピュータデバイス、プロセッサ、ディスプレイ、又はその組合せを含むことができる。組織の場所に関する情報(例えば、組織-マッピングプローブ1724が出力したエネルギによって決定された組織場所情報)及び/又は治療部位1750の可視化に関する情報(例えば、可視化器具140を通して得られた可視化情報)は、処理され、組み合わされ、かつ手術を改善するために医師に提示することができる。一部の実施形態では、組織-マッピングシステム1740は、治療部位1750での組織場所の可視化を提供し、この可視化を可視化器具から得られた画像データ(例えば、静止画像、ビデオなど)の上に重ねることができる。
図17の手順では、本明細書で説明した他のカニューレ、ポート、又は構成要素を使用することができる。
【0099】
図18は、本発明の開示の実施形態によるカニューレ1800の側面図である。
図19は、カニューレ本体1801を破線に示したカニューレ1800の上面図である。カニューレ1800は、カニューレ1800の細長本体1801の遠位端1803に接続された拡張器又はスペーサ1810(「拡張器1810」)を含むことができる。拡張器1810は、収納構成(
図18に示すような)と展開構成(
図19に示すような)を有することができる。拡張器1810は、可動カプラ1811を通じて遠位端1803(
図18)に対して平行移動することができる。可動カプラ1811は、
図18の矢印1813で示すように遠位端1803から離れるように移動することができる。一部の手順では、カプラ1811は、細長本体1801の側壁内に摺動可能に配置されるので、医師は、拡張器1810を手動で遠位に押し込むことができる。他の実施形態では、カプラ1811は、細長本体1801に固定的に結合される。例えば、カプラ1811は、細長本体1801と一体形成された又は細長本体1801に結合されたロッドとすることができる。更に別の実施形態では、カプラ1811は、遠位端1803に回転可能に結合することができる。それにより、スペーサ1810は細長本体1801に対して回転することができる。例えば、拡張器1810は、カプラ1811の長手軸線1811の周りに回転することができる。結合配置の構成は、拡張器1810の望ましい可動性に基づいて選択することができる。
【0100】
拡張器1810は、リング状又は螺旋構成と拡張構成の間を移動可能な可動結合可能本体を有することができる。
図18は、螺旋構成にある拡張器1810を示している。可動結合セグメントは、ジョイント又はピボットを通じて接続され、
図19の拡張構成に向けて移動することができる。拡張器1810の本体のセグメント化セクションは、以下に限定されるものではないが、1又は2以上のヒンジ、ジョイント、又はリビングヒンジなどを含むことができるジョイント1823(
図19に識別されるもの)によって接続することができる。拡張器1810は、組織-マッピング要素、接触センサ、アンカー、又は組織と係合する又は接触するための他の特徴部を含むことができる。一部の実施形態では、拡張器1810は、スペーサ1810の更に別の拡張を可能にするために1又は2以上の展開可能なアーム又はタインを含むことができる。展開された状態で、拡張器は、被験者内の治療部位に作動容積を生成することができる。
【0101】
他の実施形態では、拡張器は、治療部位の付近又は治療部位に増大した作動容積を提供するために、拡張可能な円錐、漏斗、又は他の適切な形状とすることができる。拡張器は、展開構成にある時に拡張器で部分的に囲まれた容積の可視化を可能にする。例えば、カニューレ1800に近い第2のカニューレ内に位置決めされた可視化器具は、拡張器1810の囲まれていない側を覗くことにより、スペーサの内部区域を可視化することができる。一部の実施形態では、拡張器1810は、部分的に囲まれた区域の可視化を可能にするために開口、窓、又は他の開口部を有することができる。
【0102】
拡張器1810は、セグメントの外面に位置決めされた組織-マッピングプローブ1824を有することができる。組織-マッピングプローブ1824は、
図14A~16に関連して上述した組織-マッピングプローブ1420、1520、1620と同様にエネルギを出力するように構成することができる。組織-マッピングプローブ1824は、カニューレ1800の遠位端に位置決めされた組織-マッピングプローブ1822(
図18)に追加されたものとすることができる。組織-マッピングプローブ1824は、拡張器1810の展開を補助し、拡張器1810の位置付け及び方向付けを補助し、フィードバックを与えて神経組織又は他の組織と接触しないようにすることができる。
【0103】
図20は、本発明の開示の実施形態により被験者を治療する方法2000を示す流れ図である。ブロック2002では、被験者の組織を切開し、その切開の位置にポートを位置付ける。ブロック2002は、
図11に関連して上述したブロック1002と同様とすることができる。ブロック2004では、第1のカニューレを被験者の組織内で第1の場所にあるポートに位置決めすることができる。器具、例えば、仮骨延長器具は、カニューレの作動管腔を通して挿入することができる。仮骨延長器具及びカニューレの利用については、
図5~8に関連して議論している。カニューレの様々な追加の実施形態は、
図14A~16及び
図18~19に関連して議論している。
【0104】
ブロック2006では、第2のポータル部位に位置決めされた第2のカニューレを通して可視化デバイスを挿入することができる。第2のポータル部位での可視化デバイスの利用については、可視化デバイスを第2のポータル部位にある第2のカニューレと共に使用することができる実施形態に関して
図11に関連して上記に議論している。
【0105】
任意的なブロック2008では、スペーサを治療部位に展開することができる。拡張器は、治療部位での作動容積を拡大し、洗浄流体流れを改善し、可視化を改善し、及び/又は組織-マッピングを支援することができる。例えば、拡張器は、視認性を高める及び/又は手術位置に接近することができ、かつ拡張構成を維持するように構成することができる。拡張器は、カニューレ本体と係合可能かつ係合解除可能とすることができる。拡張器の展開については、
図18及び19に関連して上記に議論している。
【0106】
ブロック2010では、第1及び/又は第2のカニューレ上の組織-マッピングプローブを使用して被験者内の治療部位又はその付近にある組織の場所を決定することができる。組織-マッピングプローブ及び組織-マッピングシステムは、
図14A~19に関連して上記に議論している。一部の実施形態では、組織-マッピングシステムは、内視鏡器具によって提供される画像データに加えて情報を提供することができる。この情報を可視化画像データと組み合わせて、被験者内の組織場所に関する画像オーバーレイ又は他の表示を提供することができる。組織-マッピング情報は、追加の手順が実行される場合に使用することができる。
【0107】
ブロック2012では、第1及び第2のカニューレを通して洗浄流体を治療部位に循環させることができる。第1のカニューレの流体管腔を流体供給システムに流体接続し、制御された圧力又は流量で流体を供給することができる。第2のカニューレの流体管腔を流体戻りシステムに流体接続して治療部位から流体を戻すことができる。展開された拡張器は、治療部位での作動容積の制御された境界を提供することにより、流体流れを制御するのを支援することができる。一部の実施形態により、第1及び第2のカニューレは、流体制御システムに接続することができる追加の流体管腔を有することができる。次に、流体制御システムは、洗浄流体を供給するか又は戻すように流体管腔を構成するのに使用することができる。従って、第1のカニューレは、例えば、洗浄流体を供給するように構成された流体管腔と洗浄流体を戻すように構成された流体管腔との両方を有することができ、一方で第2のカニューレは、洗浄流体を戻すように構成された流体管腔と、洗浄流体を供給も戻すこともしないように構成された流体管腔を有することができる。
【0108】
手順2013では、ブロック2014~2020は、治療部位から組織を除去する段階、椎体間融合インプラントをインプラント部位に移動する段階、インプラントを拡張する段階、及び拡張を可視化する段階を含む様々な段階を説明する。これらの段階は、
図11に関連して上述したブロック1008~1016での段階と同様である。段階は、削除される及び異なる順序で実行することができる。
【0109】
本明細書で議論した構成要素は、混合かつ適合させて望ましい機能性を提供することができる。例えば、
図1及び13に関連して説明したカニューレ及び器具は、組織拡張器、組織-マッピング要素、可視化デバイス、又は望ましい機能性を提供する他の特徴を含むことができる。構成要素は、器具及びカニューレに一体化することができ、又は別々の構成要素とすることができる。例えば、
図18及び19に関連して説明した拡張器1810は、クランプ、ピンコネクタ、又は他の適切な接続配置を使用して本明細書で議論した他のカニューレに結合することができる。それにより、拡張器1810を広範な異なるタイプのカニューレに結合することができる。これに加えて、器具、カニューレ、及び拡張器の遠位区域は、組織傷害を低減するか又は抑制するために非侵襲的な設計を有することができる。一例として、
図18及び19の拡張器1810は、組織に沿って摺動するのを支援するように丸みを帯びた遠位区域を有することができ、それにより、組織傷害を抑制する又は防止する。他の実施形態では、拡張器及びカニューレは、組織の切断、擦り剥き、又は別の作動を容易にするために比較的鋭いエッジを有することができる。キットは、組織が器具及びカニューレによってどのように影響を受けるか又は受けないかをユーザが選択することができるように侵襲的な器具と非侵襲的な器具の両方を有することができる。管腔はカニューレ内にあるが、別のチューブは、カニューレに結合可能とすることができる。例えば、骨粉除去チューブは、カニューレに切り離し可能に結合するためのコネクタ又はクランプを含むことができる。
【0110】
本発明の技術の実施形態に関する上述の詳細説明は、包括的であること又は上記に開示した形態通りに本発明の技術を限定することを意図していない。本発明の技術の特定の実施形態及び本発明の技術に関する実施例を例示目的で上述したが、当業者が認識するように本発明の技術の範囲内で様々な同等な修正が可能である。例えば、段階は、所与の順序で提示したが、代替実施形態では、異なる順序で段階を実行することができる。様々なシステム、方法、及び器具に由来する特徴は、これにより引用によって組み込まれてこの出願の一部とされる米国特許第863、2594号明細書、米国特許第930、8099号明細書、米国特許第10、105、238号明細書、米国特許第10、201、431号明細書、米国特許出願第16/565、403号明細書、及び米国特許出願第16/687、520号明細書に開示する特徴と組み合わせることができる。インプラントの変形が考えられている。例えば、椎体間スペーサ910(
図9A~9C)は、椎間板高さの範囲を覆う異なる全高を含むことができる。他の例では、椎体間スペーサ910は、異なる前弯角及び/又は後弯角を含むことができる。更に他の例では、椎体間スペーサ910は、安定性及び/又は位置シフトに対する抵力を与える骨接触面上のスパイク又は突起のような他のパターン又は特徴部を含むことができる。インプラントは、金属、ポリマー、セラミック、複合材、又は他の生体適合性滅菌可能材料から作ることができる。異なる材料は、本明細書で単一部品として説明するものに組み合わせることができる。手術キットは、例えば、
図1~11、
図14~16、及び
図18~19に関連して議論した構成要素を含むことができる。キットは、カニューレ、ポート、流体構成要素、組織-マッピング要素、拡張器、又はこれらの組合せなどを含むことができる。
【0111】
本明細書に開示するシステム、構成要素、及び器具は、使い捨て又は再利用可能とすることができる。例えば、ポート、器具、又はカニューレは、相互汚染を防止するために使い捨てとすることができる。本明細書に使用する時に器具、ツール、又は遠位先端又はヘッドのようなシステム又は構成要素(又は構成要素の組合せ)に適用される場合の用語「使い捨て」は、幅広い用語であり、一般的には、以下に限定されるものではないが、そのようなシステム又は構成要素が有限回使用され、その後に廃棄されることを意味する。一部の使い捨て構成要素は、一度だけ使用され、その後に廃棄される。他の実施形態では、構成要素及び器具は非使い捨てであり、何回も使用することができる。一部のキットでは、相互汚染を防止するために全ての構成要素を使い捨てとすることができる。一部の他のキットでは、構成要素(例えば、構成要素の全て又は一部)は再利用可能とすることができる。
【0112】
状況が許す限り、単数形又は複数形の用語は、それぞれ複数形又は単数形の用語も包含することができる。これに加えて、2又は3以上の品目のリストに関して単語「又は」が他の品目とは排他的な単一品目だけを意味するように明示的に限定されない限り、そのようなリストでの「又は」の使用は、(a)リスト内のいずれかの単一品目、(b)リスト内の品目の全て、又は(c)リスト内の品目のあらゆる組合せを包含するものと解釈しなければならない。これに加えて、用語「含む」は、少なくとも列挙された特徴を含むことを意味するために全体を通して使用され、従って、より大きい数の同じ特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴は排除されない。同じく、特定の実施形態を例示目的で本明細書に説明したが、本発明の技術から逸脱することなく様々な修正を実行することができることは認められるであろう。これに加えて、本発明の技術のある一定の実施形態に関連付けられた利点は、それらの実施形態の関連で説明したが、他の実施形態もそのような利点を示す場合があり、本発明の技術の範囲に入るために全ての実施形態が必ずしもそのような利点を示す必要はない。従って、本発明の開示及び関連技術は、本明細書に明示的に示されない又は説明されない他の実施形態を包含することができる。
【符号の説明】
【0113】
100 脊椎外科システム
120、150 カニューレ
130、160 器具アセンブリ
140 可視化デバイス
171 椎間板
【手続補正書】
【提出日】2024-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレに位置決めされるように構成された細長本体と、
前記細長本体に結合され、かつ第1及び第2の椎体を仮骨延長するために送出状態から拡張状態まで移動可能な仮骨延長器アセンブリと、
を含み、
前記送出状態での前記仮骨延長器アセンブリは、前記第1及び第2の椎体間の椎間腔の中への挿入のために構成されると共に、前記拡張状態では、椎体間融合インプラントが該仮骨延長器アセンブリから該椎間腔の中に送出される間に該仮骨延長された第1及び第2の椎体を離れた状態に保持するように構成される、ことを特徴とする脊椎インプラント送出器具。
【請求項2】
前記椎体間融合デバイスの回転可能接続インタフェースに切り離し可能に結合可能であり、該椎体間融合デバイスを前記第1及び第2の椎体間に直接に移動するために軸線方向に移動するドライバを更に含み、前記ドライバは、前記椎体間融合デバイスを圧壊構成から展開構成まで拡張させるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項3】
前記仮骨延長器アセンブリは、該仮骨延長器アセンブリが前記拡張状態にある時に前記椎体間融合デバイスがそれを通って送出することができる送出間隙を定める第1の接触部材と第2の接触部材とを有する顎部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項4】
前記仮骨延長器アセンブリは、前記椎間腔の中に挿入可能な膨張可能部材を含み、該膨張可能部材は、該椎間腔での該膨張可能部材が膨脹される時に前記第1及び第2の椎体を押し離すように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項5】
前記仮骨延長器アセンブリは、該仮骨延長器アセンブリの長手軸線から離れるように展開位置に向けて移動可動な少なくとも1つのストップを含み、該展開位置での該少なくとも1つのストップは、該仮骨延長器アセンブリが前記第1及び第2の椎体を仮骨延長する間に該第1及び第2の椎体のうちの一方の側面と接触するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の脊椎インプラント送出器具。
【請求項6】
近位端と遠位端とを含む細長本体と、
前記細長本体の前記近位端から前記遠位端まで延びる複数の管腔であって、貫通する流体の流れを提供するように構成された第1の流体管腔と手術器具を通過させるように構成された作動管腔とを含む、前記複数の管腔と、
前記細長本体の前記遠位端に配置されてエネルギを放出するように構成された1又は2以上の組織-マッピングプローブと、
を含む、ことを特徴とするカニューレ。
【請求項7】
前記細長本体内にあり、かつ前記1又は2以上の組織-マッピングプローブに電気的に結合された少なくとも1つの送信ラインを更に含み、前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、前記作動管腔の遠位端の周りに位置決めされ、かつ前記手術器具が該作動管腔に位置決めされている間に神経組織を識別するために前記エネルギを放出するように構成される、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項8】
前記複数の管腔は、貫通する流体の流れを提供するように構成された第2の流体管腔を更に含む、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項9】
前記第1の流体管腔は、前記近位端から前記遠位端まで、手術部位の中への洗浄流体の流れを提供するように構成され、
前記第2の流体管腔は、前記手術部位から前記遠位端を通して前記近位端までの洗浄流体の流れを提供するように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のカニューレ。
【請求項10】
前記カニューレの前記近位端は、手術洗浄液供給システムに結合されて、前記第1の流体管腔及び/又は前記第2の流体管腔を該手術洗浄液供給システムに流体的に結合するように構成される、ことを特徴とする請求項8に記載のカニューレ。
【請求項11】
前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、前記カニューレの前記遠位端の周りに周方向に離間している、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項12】
前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、神経モニタ電極を含む、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項13】
前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、前記細長本体に沿って延びる少なくとも1つの送信ラインと作動可能に結合される、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの送信ラインは、前記1又は2以上の組織-マッピングプローブからの出力に少なくとも部分的に基づいて組織を識別するようにプログラムされた組織-マッピングシステムと作動可能に接続可能である、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの送信ラインは、電気信号及び/又は光信号を送信するように構成される、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項16】
前記1又は2以上の組織-マッピングプローブは、前記細長本体の前記遠位端に配置され、前記作動管腔の周りに周方向に離間された複数の組織-マッピングプローブを含み、前記組織マッピングプローブのそれぞれは、電極を含み、エネルギを放出して組織を検出するように構成され、それにより、前記複数の組織-マッピングプローブが、検出された前記組織についての追加情報を取得する、ことを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項17】
マルチポータル脊椎外科技術のためのキットであって、
作動管腔、第1の流体管腔、第2の流体管腔、及び少なくとも1つのプローブを各々が含む複数のカニューレと、
前記複数のカニューレのうちの少なくとも1つを受け入れるサイズを各々が有する複数の手術ポートと、
を含む、ことを特徴とするキット。
【請求項18】
前記手術ポートは、被験者の皮膚及び筋膜を通って延びるように構成される、ことを特徴とする請求項17に記載のキット。
【請求項19】
滅菌万能脊椎手術キットである、ことを特徴とする請求項17に記載のキット。
【請求項20】
少なくとも1つの手術器具と、
前記複数のカニューレと前記複数のポートと少なくとも1つの手術器具とを保持するパッケージングと、
を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載のキット。
【請求項21】
前記少なくとも1つの手術器具は、仮骨延長器具、送出器具、外科用メス、ダイレータ、骨鉗子、減量器具、及び/又はリーマーを含む、ことを特徴とする請求項20に記載のキット。
【請求項22】
少なくとも1つの埋込可能デバイスを更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載のキット。
【請求項23】
可視化器具を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載のキット。
【請求項24】
マルチポータル脊椎外科技術のためのキット(1200)であって、
少なくとも1つの手術器具(110)を内部に受け入れるように構成された第1の作動管腔を含む第1のカニューレ(120)を備える器具アセンブリ(130)と、
少なくとも1つの可視化器具(140)及び第2のカニューレ(150)を備える可視化アセンブリ(160)であって、前記少なくとも1つの可視化器具(140)が、被験者の手術部位を洗浄するために流体が流れる管腔を含み、前記第2のカニューレ(150)は、少なくとも1つの可視化器具(140)を内部に受け入れるように構成された第2の作動管腔を含む、前記可視化アセンブリ(160)と、
前記第1及び第2のカニューレが前記手術部位を通して且つその周囲に洗浄流体を循環するように使用されると共に、前記少なくとも1つの可視化器具が内視鏡観察を提供している間に、前記第1のカニューレ(120)又は前記第2のカニューレ(150)のうちの少なくとも1つを受け入れ、且つ、前記被験者の皮膚及び筋膜を通って延びるようなサイズを各々が有する、異なるサイズの複数の手術ポート(1210)と、
を有する、ことを特徴とするキット(1200)。
【請求項25】
前記キットは、滅菌万能脊椎手術キットである、ことを特徴とする請求項24に記載のキット(1200)。
【請求項26】
前記少なくとも1つの手術器具(110)と、
前記第1及び第2のカニューレ(120、150)と、前記複数の手術ポート(1210)と、前記少なくとも1つの手術器具(110)とを保持するパッケージングと、
を更に有する、ことを特徴とする請求項24に記載のキット(1200)。
【請求項27】
前記少なくとも1つの手術器具(110)は、仮骨延長器具、送出器具、外科用メス、ダイレータ、骨鉗子、減量器具、及び/又はリーマーを含む、ことを特徴とする請求項26に記載のキット(1200)。
【請求項28】
前記少なくとも1つの手術器具(110)及び少なくとも1つの椎体間スペーサ(910)を更に有し、前記少なくとも1つの手術器具(110)は、圧壊構成と拡張構成との間で、前記少なくとも1つの椎体間スペーサ(910)の拡張を駆動するように構成された送出器具(920)を備える、ことを特徴とする請求項24に記載のキット(1200)。
【請求項29】
前記拡張構成は、横方向に拡張された構成であり、前記少なくとも1つの椎体間スペーサ(910)は、横方向および垂直方向に拡張された構成に移行可能であるように更に構成される、ことを特徴とする請求項28に記載のキット(1200)。
【請求項30】
前記圧壊構成において、前記少なくとも1つの椎体間スペーサ(910)は、前記第1のカニューレ(120)を介して送出可能であるように構成される、ことを特徴とする請求項28に記載のキット(1200)。
【請求項31】
前記可視化器具(140)を更に有し、前記少なくとも1つの可視化器具(140)は、前記少なくとも1つの椎体間スペーサ(910)をその拡張中に可視化するように構成される、ことを特徴とする請求項30に記載のキット(1200)。
【請求項32】
前記キット(1200)は、前記少なくとも1つの手術器具(110)及び前記少なくとも1つの可視化器具(140)を更に有し、
前記少なくとも1つの手術器具(110)は、被験者の椎間腔から組織を除去するための器具を備え、
前記少なくとも1つの可視化器具(140)は、前記椎間腔において前記組織及び他の組織を可視化するように構成された内視鏡観察器具を備え、
前記複数の手術ポート(1210)は、前記器具アセンブリ(130)を受け入れるように構成された器具ポートと、前記可視化アセンブリ(160)を受け入れるように構成された内視鏡ポートとを備え、
前記器具ポート及び前記内視鏡ポートは、前記被検体の正中矢状面の同じ側に位置決めされ、互いに離間されるように構成される、
ことを特徴とする請求項24に記載のキット(1200)。
【請求項33】
組織を除去するための前記器具は、2つの隣接する椎骨間において前記椎間腔への経椎間孔経路を画定するために、前記被験者の関節面及び周囲組織の少なくとも一部を除去するように構成される、ことを特徴とする請求項32に記載のキット(1200)。
【請求項34】
前記キット(1200)は、前記少なくとも1つの手術器具(110)及び前記少なくとも1つの可視化器具(140)を更に有し、
前記少なくとも1つの手術器具(110)は、被験者の2つの椎体間に少なくとも1つの椎体間デバイスを位置決めし、前記椎体間デバイスの横方向及び/又は垂直方向の拡張を駆動するように構成された送出器具を備え、
前記少なくとも1つの可視化器具(140)は、前記少なくとも1つの椎体間デバイスの拡張中に、前記少なくとも1つの椎体間デバイスを可視化するように構成された内視鏡観察器具を備える、
ことを特徴とする請求項24に記載のキット(1200)。
【請求項35】
前記第1のカニューレ(120)と前記第2のカニューレ(150)を互いに連結するように構成されたコネクタを更に有する、ことを特徴とする請求項24に記載のキット(1200)。
【請求項36】
前記第1のカニューレ(120)は、前記第1の作動管腔から離間され、手術洗浄流体があらゆる方向に流れることを可能にするように構成された1又は2以上の流体管腔を更に備える、ことを特徴とする請求項24に記載のキット(1200)。
【請求項37】
前記第1の作業管腔及び前記1又は2以上の流体管腔の各々が、前記第1のカニューレの遠位端と前記第1のカニューレの近位端との間に延びる、ことを特徴とする請求項36に記載のキット(1200)。