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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169464
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】光軸調整用装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01S7/497
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158170
(22)【出願日】2024-09-12
(62)【分割の表示】P 2023088436の分割
【原出願日】2018-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】細井 研一郎
(57)【要約】
【課題】光軸調整を好適に実行可能な光軸調整用装置を提供する。
【解決手段】第2実施例に係る光軸調整用装置20Aは、調整対象となるライダユニット2の光軸の位置を示す罫書き線LNが描かれた台座7と、台座上において支持され、罫書き線LNが示す光軸に対して所定の位置関係で固定され、所定の曲率で湾曲した形状を有する曲面板8Rと、を有する。また、第2実施例に係る光軸調整方法は、計測を行うライダユニット2の理想の光軸に対する現在の光軸のずれを検出する制御方法であって、ライダユニット2の計測範囲Rg内の所定位置に置かれた光軸調整用装置20Aを計測した計測画像を取得する取得工程と、計測画像に基づいて、光軸のずれを検出する検出工程と、を有する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整対象となる測距装置の光軸の情報が示された台座と、
前記台座上において支持され、前記光軸の情報が示す光軸に対して所定の位置関係で固定され、所定の形状を有する板と、
を有する光軸調整用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器の光軸を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサのエイミング(光軸調整)に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両の前後軸線上の所定距離前方にエイミング冶具を設置し、エイミング冶具の基準反射体を検出することで上下方向のエイミングを行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-131434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に取り付けたセンサの検出結果を用いて自動運転やその他のADAS(Advanced Driver Assistance System)を行う場合、それぞれのセンサには高精度な検出精度が求められ、これらのセンサの取り付けは正確に行われる必要がある。そして、ある検出装置が所望の位置からずれて配置されてしまった場合には、当該検出装置の光軸方向が理想的な方向からずれてしまい、検出装置を含むシステム全体を最適な状態で稼働することができなくなる可能性がある。一方、特許文献1には、上下方向以外の方向におけるエイミングについては何ら開示されていない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、光軸調整を好適に実行可能な光軸調整用装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、光軸調整用装置であって、調整対象となる測距装置の光軸の情報が示された台座と、前記台座上において支持され、前記光軸の情報が示す光軸に対して所定の位置関係で固定され、所定の形状を有する板と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】光軸調整システムの概略構成である。
図2】光軸調整用装置の概略的な斜視図である。
図3】ライダユニットの光軸ずれの検出及び調整時におけるライダユニットと光軸調整用装置との位置関係を示したX-Z平面図である。
図4】ライダユニットの光軸ずれの検出及び調整時におけるライダユニットと光軸調整用装置との位置関係を示したX-Y平面図である。
図5】ライダユニットの構成例を示す。
図6】ライダユニットの光軸ずれを6個のパラメータにより表した図である。
図7】理想光源位置と実光源位置と光軸調整用装置との位置関係を示したX-Y平面図である。
図8】位置ずれの有無を表した計測画像を示す。
図9】姿勢ずれが発生したときの計測画像を示す。
図10】位置ずれ及び姿勢ずれの両方が発生したときの計測画像を示す。
図11】第1実施例における光軸ずれの検出及び調整に関するフローチャートである。
図12】第2実施例における光軸調整用装置の斜視図を示す。
図13】第2実施例における光軸調整用装置のX-Y平面図である。
図14】位置ずれの有無を表した計測画像を示す。
図15】姿勢ずれが発生したときの計測画像を示す。
図16】第2実施例における光軸ずれの検出及び調整に関するフローチャートである。
図17】変形例における理想計測画像の一例である。
図18】変形例における光軸調整用装置のX-Z平面における断面図を示す。
図19】変形例における台座のX-Y平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、光軸調整用装置は、調整対象となる測距装置の光軸の情報が示された台座と、前記台座上において支持され、前記光軸の情報が示す光軸に対して所定の位置関係で固定され、所定の曲率で湾曲した形状を有する板と、を有する。「光軸の情報」は、マークや図形などにより記されてもよく、文字により記されてもよい。光軸調整用装置は、このような構成を有することで、調整対象となる測距装置が台座に示された光軸の情報に従い設置された場合に、湾曲方向において等距離になるように板の被照射面が計測される。よって、この場合、光学機器の計測データに基づいて光軸ずれを好適に検出することが可能となる。
【0009】
上記光軸調整用装置の一態様では、前記板は、前記測距装置の走査方向に沿った断面が円弧状、又は球面状である。この態様により、光学調整用装置は、調整対象となる測距装置が台座に示された光軸の情報に従い設置された場合に、板の被照射面が好適に等距離となるように計測される。
【0010】
上記光軸調整用装置の他の一態様では、前記板は、前記測距装置に光軸ずれが生じていない時の前記測距装置の光源の位置を曲率中心とした形状を有する。この態様により、板の被照射面が測距装置の光源位置に対して等距離となり、測距装置が出力する計測データに基づく光軸ずれの有無の判定が容易となる。好適には、前記板の中心における接線は、前記光軸の情報が示す光軸と垂直になる位置関係であるとよい。
【0011】
上記光軸調整用装置の他の一態様では、前記台座には、前記光軸の情報として、前記光軸の水平面上の位置を示す線が記されている。この態様によれば、光軸調整を実行する際に必要な光軸調整用装置と測距装置との位置調整に必要な目安を作業者に好適に認識させることができる。
【0012】
上記光軸調整用装置の他の一態様では、光軸調整用装置は、前記板の傾き又は高さの少なくともいずれかを調整自在に支持する調整機構をさらに備える。この態様により、測距装置の光源の高さを考慮して板の高さ及び向きを適切に定めることができる。
【0013】
上記光軸調整用装置の他の一態様では、前記台座には、前記測距装置又は前記測距装置を搭載する車両までの距離を計測する際の基準位置を示す目印が記されている。この態様によれば、作業者は、上述の目印を参照することで、測距装置により光軸調整用装置を計測する際に、光軸調整用装置が測距装置に対して予め定められた所定の位置関係となるように、光軸調整用装置を正確に配置することが可能となる。
【実施例0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な第1及び第2実施例について説明する。
【0015】
[第1実施例]
(1)システム構成
図1は、第1実施例に係る光軸調整システム100の概略構成である。光軸調整システム100は、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging、または、Laser Illuminated Detection And Ranging)ユニット2の光軸ずれの検出及び調整を行うシステムであって、ライダユニット2を含む情報処理装置10と、光軸調整用装置20と、を備える。
【0016】
情報処理装置10は、入力部1と、ライダユニット2と、記憶部3と、表示部4と、制御部6と、を備える。制御部6と他の要素とは、所定の通信プロトコルに基づきデータ通信が可能に構成されている。
【0017】
入力部1は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、種々の入力を受け付ける。
【0018】
ライダユニット2は、車両に搭載され、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対して電磁波であるパルスレーザを出射することで、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を示す3次元の計測点群情報を生成する。図1では、ライダユニット2により計測可能な範囲である計測範囲「Rg」とライダユニット2の光軸「Ag」とが示されている。ここで、光軸Agは、ライダユニット2が水平方向及び垂直方向において基準とみなす(角度0度とみなす)方向に延伸し、計測範囲Rgの回転対象軸となる。以後では、光軸Agの延伸方向を「X軸方向」、水平方向においてX軸と垂直な方向を「Y軸方向」、X軸及びY軸に垂直な方向を「Z軸方向」とし、それぞれの正方向を図示のように定める。ライダユニット2は、光学機器及び測距装置の一例である。
【0019】
記憶部3は、制御部6が実行するプログラムや、制御部6が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。表示部4は、制御部6の制御に基づき表示を行うディスプレイなどである。制御部6は、プログラムを実行するCPUなどを含み、情報処理装置10の全体を制御する。制御部6は、車両を制御するECU(Electronic Control Unit)であってもよく、当該ECUに制御信号を送信する車載機のCPU等であってもよい。他の例では、制御部6は、ライダユニット2の一部として構成されてもよい。また、入力部1、記憶部3、表示部4、及び制御部6は、光軸ずれの検出及び調整を行うためにライダユニット2と接続されたパーソナルコンピュータなどの汎用端末であってもよい。
【0020】
光軸調整用装置20は、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整を行う際にライダユニット2により計測対象となる装置である。光軸調整用装置20は、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整時には、ライダユニット2に対して所定の位置関係となる計測範囲Rg内の位置に載置される。
【0021】
(2)光軸調整用装置の構成
まず、光軸調整用装置20の概略的な構成について、図1及び図2を参照して説明する。図2は、光軸調整用装置20の概略的な斜視図である。図1及び図2に示すように、光軸調整用装置20は、主に、台座7と、ライダユニット2の計測対象となる前方板(第1板)8及び後方板(第2板)9と、前方板8及び後方板9を固定する固定部材11と、高低角度調整機構13と、支持部材14と、を有する。
【0022】
台座7は、光軸調整用装置20の土台として機能し、罫書き線LNが描かれている。罫書き線LNは、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整時での光軸Axの水平面上における理想的な位置を示した線である。作業者は、この罫書き線LNを参考として、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整時におけるライダユニット2と光軸調整用装置20との相対位置を定める。
【0023】
支持部材14は、台座7に対して垂直に延伸し、前方板8及び後方板9を支持している。支持部材14と前方板8とは、高低角度調整機構13を介して接続している。高低角度調整機構13は、前方板8及び後方板9の高さ及び傾き角をそれぞれ調整自在に構成される。例えば、高低角度調整機構13は、支持部材14に対して所定長だけ支持部材14に沿って移動自在となっており、高低角度調整機構13の移動距離に応じて前方板8及び後方板9の高さが変動する。同様に、高低角度調整機構13は、ジョイントとしても機能し、例えばヒンジ型の構成を有することにより、Y軸回り(即ちピッチ方向)における前方板8の角度を調整自在となっている。
【0024】
前方板8は、ライダユニット2から後方板9に向けて出射されたレーザ光を通過させるための孔12を有している。また、前方板8は、4つの固定部材11を介して後方板9を支持している。ここで、前方板8と後方板9とは、平行となった状態で4つの固定部材11により相対位置が固定されており、前方板8が高低角度調整機構13により高さ又は角度が調整された場合には、それに伴って後方板9の高さ及び角度も変動する。
【0025】
次に、光軸調整用装置20の配置について、図3及び図4を参照して説明する。
【0026】
図3は、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整時におけるライダユニット2と光軸調整用装置20との位置関係を示したX-Z平面図である。
【0027】
図3に示すように、ライダユニット2は、典型的には車両に搭載され、ライダユニット2を搭載した車両は、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整を行う作業エリア内の所定位置(例えば前もって描かれた白線上に車両の前輪が揃う位置)に置かれる。ライダユニット2の車両内での設置位置及びライダユニット2の種別等は、車種ごとに異なるため、作業員は、対象となる車両の車種毎に指定された位置に光軸調整用装置20を配置する。この場合、例えば、作業員は、車種ごとに長さが異なる紐状部材の一端を光軸調整用装置20に固定して罫書き線LNに沿って伸ばした場合に、紐状部材の他端がライダユニット2の所定の位置(例えば事前に設けられた目印)に合うように光軸調整用装置20の位置調整(姿勢調整も含む)を行う。これにより、光軸調整用装置20は、対象となる車両の車種毎に指定された位置に配置される。なお、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整時には、計測範囲Rg内には、光軸調整用装置20以外の物が存在しないことが好ましい。
【0028】
図4(A)は、光軸調整時における理想光源位置31と、光軸調整用装置20との位置関係を示したX-Y平面図である。理想光源位置31は、光軸調整時において、光軸ずれが生じていない理想的な(即ち設置設計上の)ライダユニット2の光源位置である。なお、以後において、「光源位置」とは、光の出射方向が定められる起点となる位置を指し、ライダユニット2がレーザ光を振り分けるスキャナを備える場合には、当該スキャナの位置を指す。
【0029】
図4(A)の例では、罫書き線LNの延長線に理想光源位置31が重なる。また、前方板8及び後方板9の横手方向は、罫書き線LNに対して垂直であり、前方板8及び後方板9の横手方向における中心は、XY平面視において罫書き線LN上に存在する。
【0030】
また、理想光源位置31から後方板9に向けて出射されるレーザ光は、前方板8により遮られることなく孔12を通過して後方板9に照射される。この場合、孔12の横手方向の長さを「Lah」、後方板9の横手方向の長さを「Lbh」、X-Y平面における理想光源位置31と前方板8との距離を「Dah」、X-Y平面における理想光源位置31と後方板9との距離を「Dbh」とすると、長さLbhは、以下の式(1)を満たす。
Lbh=(Lah/Dah)・Dbh (1)
【0031】
図4(B)は、理想光源位置31と、光軸調整用装置20との位置関係を示したX-Z平面図である。図4(B)に示すように、前方板8及び後方板9は、理想光源位置31を基準とする光軸Axに対してそれぞれ垂直となっており、孔12の縦方向の中心及び後方板9の縦方向の中心は、それぞれ光軸Ax上に存在している。
【0032】
また、理想光源位置31から後方板9に向けて出射されたレーザ光は、前方板8により遮られることなく孔12を通過して後方板9に照射される。この場合、孔12の縦方向の長さを「Lav」、後方板9の縦方向の長さを「Lbv」、X-Z平面における理想光源位置31と前方板8との距離を「Dav」、X-Z平面における理想光源位置31と後方板9との距離を「Dbv」とすると、長さLbvは、以下の式(2)を満たす。
Lbv=(Lav/Dav)・Dbv (2)
【0033】
このように、後方板9は、上述の式(1)、(2)を満たす横幅Lbh及び縦幅Lbvを有し、かつ、孔12と相似形状をなしている。この場合の孔12と後方板9と相似比は、「Dah:Dbh」(=Dav:Dbv)となる。これにより、理想光源位置31からレーザ光が出射された場合には、後方板9の全面にレーザ光が照射され、かつ、孔12を通過したレーザ光は全て後方板9に照射される。従って、この場合、後述するように、ライダユニット2は、前方板8と後方板9との間に隙間がない計測点群を得ることが可能となる。
【0034】
(3)ライダユニットの構成
図5は、ライダユニット2の構成例を示す。図5の例では、ライダユニット2は、光源などが収容されたライダ本体21と、ライダ本体21を保持する保持装置22と、を含む。
【0035】
ライダ本体21は、直方体の筐体を有し、筐体内には、レーザダイオードなどの光源部、走査部(スキャナ)、受光部、信号処理部などを有している。走査部は、照射方向を変えながら所定の水平角及び垂直角の範囲においてパルス状のレーザ光を出射し、かつ、照射したレーザ光の反射光(散乱光)を受光部へ導く。受光部は、光パルス出射後の所定期間内に反射光を受光することで生成したセグメントごとの受光強度に関する信号を、信号処理部へ出力する。信号処理部は、受光部が出力する信号に基づいて、光パルスが照射された物体の各点に対する距離及び角度(水平角・垂直角)の組を示した点群情報を出力する。なお、ライダ本体21は、水平方向の走査を行う複数の走査部を備え、これらの走査部が垂直方向に並べられた構成であってもよい。
【0036】
保持装置22は、十字型の溝25が設けられた土台部23と、把持部24とを有する。把持部24は、位置調整機構26と、支柱部27と、ヨー角調整機構28と、第1アーム29と、ロール角調整機構30と、ピッチ角調整機構31と、第2アーム32とを有する。
【0037】
位置調整機構26は、十字型の溝25に沿ってスライド自在であり、これによりライダ本体21のXY平面内での位置調整を行う。また、位置調整機構26は、高さ方向に支柱部27を伸縮又はスライド自在であり、これによりライダ本体21のZ軸方向での位置調整を行う。
【0038】
また、支柱部27の上部には、ライダ本体21を底面から支持するヨー角調整機構28が設けられている。ヨー角調整機構28は、Z軸方向に延びた支柱27を軸として回転することで、ライダ本体21をZ軸回り(即ちヨー方向)に回転させる。ヨー角調整機構28は、第1アーム29を介してロール角調整機構30を支持している。
【0039】
ロール角調整機構30は、ライダ本体21のレーザ出射面と反対の背面に設けられており、ライダ本体21を把持する第2アーム32と共に回転することで、ライダ本体21のロール角を調整自在となっている。ピッチ角調整機構31は、ライダ本体21の側面に設けられ、ライダ本体21を把持する第2アーム32と共に回転することで、ライダ本体21のピッチ角を調整自在となっている。
【0040】
例えば、位置調整機構26、ヨー角調整機構28、ロール角調整機構30、及びピッチ角調整機構31は、それぞれ制御部6と電気的に接続しており、制御部6から供給される制御信号に基づいてライダ本体21の位置・姿勢を調整する動作を行う。他の例では、位置調整機構26、ヨー角調整機構28、ロール角調整機構30、及びピッチ角調整機構31は、手動操作が可能であって、手動操作による操作量に応じてライダ本体21の位置・姿勢を調整する調整量が決定されるものであってもよい。
【0041】
図6は、ライダユニット2の光軸ずれを6個のパラメータ(dx、dy、dz、θ、φ、ψ)により表した図である。図6において、実光源位置32は、ずれが生じているライダユニット2の実際の光源位置を示している。ここでは、実光源位置32は、理想光源位置31に対し、X軸方向に「dx」、Y軸方向に「dy」、Z軸方向に「dz」だけずれている。また、ライダユニット2は、Y軸回り(即ちピッチ方向)において「θ」だけずれている。また、ライダユニット2は、X軸回り(即ちロール方向)において「φ」だけずれ、Z軸回り(即ちヨー方向)において「ψ」だけずれている。
【0042】
そして、図6に示された6軸のずれ量dx、dy、dz、θ、φ、ψは、図5に示した保持装置22を調整することで、いずれも0にすることが可能である。例えば、制御部6は、後述するライダユニット2の光軸ずれの検出処理によりずれ量dx、dy、dzを検出した場合には、検出したずれ量dx、dy、dzに応じた移動方向及び移動量を指定した制御信号を位置調整機構26に送信する。同様に、制御部6は、ピッチ方向のずれ量θを検出した場合には、検出したずれ量θに応じた制御信号をピッチ角調整機構31へ送信し、ロール方向のずれ量φを検出した場合には、検出したずれ量φに応じた制御信号をロール角調整機構30へ送信し、ヨー方向のずれ量ψを検出した場合には、検出したずれ量ψに応じた制御信号をヨー角調整機構28へ送信する。
【0043】
(4)光軸ずれの検出
次に、光軸ずれの検出方法について説明する。制御部6は、光軸調整用装置20が正しく設置された状態でライダユニット2が計測した計測点群に基づき描画した画像(「計測画像」とも呼ぶ。)に基づき、前方板8と後方板9の間の隙間及び計測画像中におけるこれらの表示範囲を特定することで、6軸のずれ量dx、dy、dz、θ、φ、ψをそれぞれ検出する。
【0044】
(4-1)位置ずれ検出
まず、各座標軸に沿ったずれ光軸ずれ(「位置ずれ」とも呼ぶ。)の検出方法について説明する。概略的には、第1実施例に係る制御部6は、計測画像内で前方板8と後方板9との間に隙間が生じている場合にライダユニット2の光軸の位置ずれが生じていると判断し、上述の隙間が無くなるようにセンサ本体21の位置調整を行う。
【0045】
図7は、理想光源位置31と実光源位置32と光軸調整用装置20との位置関係を示したX-Y平面図である。
【0046】
光軸調整用装置20が正しく設置された状態では、図4(A)、(B)において説明したように、理想光源位置31は、罫書き線LNの延長線上に存在している。一方、図7の例では、ライダユニット2の実際の光源位置を示す実光源位置32は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれdx、dy、dzだけ理想光源位置31に対してずれが発生していることから、罫書き線LNの延長線上から外れている。そして、この場合、実光源位置32から出射されて孔12を通過したレーザ光の一部は、後方板9に入射しないため、計測画像上において前方板8と後方板9との間に隙間が生じることになる。図7の例では、実光源位置32が理想光源位置31に対してY軸負方向にずれていることから、計測画像上では、Y軸正方向側の後方板9の辺と前方板8との間に、計測点群がない隙間が生じることになる。
【0047】
図8(A)は、光軸ずれが生じていないライダユニット2が出力する点群情報に基づく計測画像を示し、図8(B)、(C)は、Y方向及びZ方向に光軸ずれが生じているライダユニット2が出力する点群情報に基づく計測画像を示す。ここで、図8(A)~(C)に示す計測画像の各画素は、ライダユニット2が計測した各計測点に対応し、計測画像内の各画素の位置は、対応する計測点の計測範囲Rgにおける垂直方向及び水平方向の位置(即ち垂直方向及び水平方向のレーザ出射角度)を示し、各画素の値は、ライダユニット2に対する距離を示している。また、ここでは、前方板8と後方板9のいずれも計測されない方向に対する画素は黒色により表され、前方板8と後方板9のいずれかが計測された方向に対する画素の中心は白色により表されている。なお、計測範囲Rgには、光軸調整用装置20以外の物体は存在しないものとする。
【0048】
光軸ずれが生じていないとき、即ち図4(A)、(B)に示す状態では、後方板9の全面にレーザ光が照射され、かつ、孔12を通過したレーザ光は全て後方板9に照射される。従って、この場合、計測画像には、図8(A)に示すように、前方板8と後方板9との間に計測点が存在しない空間(隙間)が生じない。なお、実際には、前方板8と後方板9はそれぞれ異なる距離が計測されるが、ここでは、説明の便宜上、前方板8と後方板9との計測点を同一画素値により示している。
【0049】
一方、X軸方向、Y軸方向又はZ軸方向の少なくともいずれかに光軸ずれが生じているときには、孔12を通過したレーザ光の一部が後方板9に照射されないため、前方板8と後方板9との間に計測点が存在しない空間(隙間)が生じる。図8(B)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸が左上(Y軸正方向かつZ軸正方向)にずれていることから、後方板9の底辺と前方板8との間及び後方板9のY軸負方向側の側辺と前方板8との間に、それぞれのずれ量に応じた幅の隙間がそれぞれ生じている。同様に、図8(C)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸が右下にずれていることから、後方板9の上辺と前方板8との間及び後方板9のY軸正方向側の側辺と前方板8との間に、それぞれのずれ量に応じた幅の隙間がそれぞれ生じている。なお、X軸正方向側にずれたときには、後方板9の四辺と前方板8との間にそれぞれ隙間が生じる。
【0050】
このように、X軸方向、Y軸方向又はZ軸方向の少なくともいずれかに光軸ずれが生じているときには、ずれの方向及びずれ量に応じて、前方板8と後方板9との間に計測点が存在しない空間(隙間)が生じる。
【0051】
以上を勘案し、制御部6は、計測画像における前方板8と後方板9との間に生じた隙間の位置及び幅に応じて、センサ本体21のX軸方向、Y軸方向、又は/及びZ軸方向における位置調整を行う。例えば、制御部6は、図5に示した位置調整機構26によりセンサ本体21の位置を移動させつつ、最新の計測画像を参照することで、計測画像における前方板8と後方板9との間の隙間が減少するように、位置調整機構26の制御を繰り返し行う。他の例では、制御部6は、後方板9の隙間の位置及び幅と、位置調整機構26によりセンサ本体21を移動させるべき移動方向及び移動量とを対応付けたマップ等を予め記憶しておく。そして、制御部6は、計測画像から検出した後方板9の隙間の位置及び幅から当該マップを参照することで、位置調整機構26によるセンサ本体21を移動させる移動方向及び移動量を決定する。
【0052】
なお、X軸負方向側に光軸がずれているときには、前方板8と後方板9の外周部分とが重なり、後方板9の四辺と前方板8との間に隙間が生じない場合がある。この場合、制御部6は、例えば、計測画像上において後方板9の各辺に隙間が生じていない場合であっても、センサ本体21をX軸正方向に移動させることで、計測画像上における前方板8と後方板9との間に意図的に隙間を形成する。その後、制御部6は、形成された隙間をなくすように位置調整機構26によるセンサ本体21の位置調整を行う。
【0053】
(4-2)姿勢ずれ検出
次に、光軸の各軸回りのずれ(単に「姿勢ずれ」とも呼ぶ。)の検出方法について説明する。概略的には、制御部6は、計測画像中に基準となる仮想的な枠(「画像内基準枠Fref」とも呼ぶ。)を設定し、当該画像内基準枠Frefと前方板8及び後方板9の計測画像内の表示領域の外枠(「実板外形」とも呼ぶ。)とのずれを、姿勢ずれとして検出する。
【0054】
図9(A)~(C)は、姿勢ずれが発生したときのライダユニット2が出力する点群情報に基づき生成した計測画像を示す。図9(A)~(C)では、それぞれ画像内基準枠Frefを明示している。ここで、画像内基準枠Frefは、光軸ずれが発生していない理想的な状態で前方板8が計測された場合の計測画像中における前方板8の外枠の位置を示している。
【0055】
図9(A)~(C)に示すように、光軸に姿勢ずれのみが生じている場合には、計測画像中には前方板8と後方板9との間の隙間は発生しないため、上述した位置ずれ検出で述べた方法によっては姿勢ずれを検出することができない。
【0056】
一方、図9(A)~(C)の例では、それぞれ姿勢ずれが生じたことにより、前方板8の外枠が画像内基準枠Frefに対してずれている。図9(A)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がピッチ方向(具体的には仰角が増加する方向)にずれていることから、そのずれ量(図6のずれ量θ)に応じて実板外形が台形状に歪み、かつ、画像内基準枠Frefよりも下にシフトしている。一方、図9(B)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がヨー方向(右方向)にずれていることから、そのずれ量(図6のずれ量ψ)に応じて実板外形が台形状に歪み、かつ、画像内基準枠Frefよりも左にシフトしている。また、図9(C)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がロール方向(時計回り)にずれていることから、そのずれ量(図6のずれ量φ)に応じて実板外形が傾いている。
【0057】
このように、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の少なくともいずれかの方向に光軸すれが生じているときには、そのずれの方向及びずれ量に応じて、画像内基準枠Frefと実板外形との形状、位置、大きさ等に違いが表れる。
【0058】
以上を勘案し、制御部6は、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致していないときには姿勢ずれが生じていると判断し、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致するように、センサ本体21のピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の調整を行う。例えば、制御部6は、図5に示したヨー角調整機構28、ロール角調整機構30、ピッチ角調整機構31によりセンサ本体21の姿勢を変更させつつ、最新の計測画像を参照することで、計測画像における実板外形が画像内基準枠Frefに近似するように、ヨー角調整機構28、ロール角調整機構30、ピッチ角調整機構31の制御を繰り返し行う。他の例では、制御部6は、画像内基準枠Frefに対する実板外形のずれを表す複数の指標(例えば台形歪みの度合、台形歪みの方向、傾き角等)の指標値をそれぞれ公知の解析手法により算出し、算出した各指標の指標値に基づきヨー角調整機構28、ロール角調整機構30、ピッチ角調整機構31により調整すべき調整方向及び調整量を決定する。この場合、制御部6は、例えば、各指標の指標値の組み合わせごとに必要な調整方向及び調整量を定めたマップ等を予め記憶しておき、当該マップ等を参照して上述の調整方向及び調整量を決定する。
【0059】
図10(A)は、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がヨー方向(右方向)にずれ、かつ、左上方向に位置ずれが発生している場合に計測された計測点群に基づく計測画像を示す。また、図10(B)は、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がヨー方向(右方向)にずれ、かつ、右下方向に位置ずれが発生している場合に計測された計測点群に基づく計測画像を示す。
【0060】
図10(A)、(B)に示すように、光軸の位置ずれと姿勢ずれの両方が発生している場合には、前方板8と後方板9との隙間が発生すると共に、実板外形と画像内基準枠Frefとの不一致が生じる。よって、この場合、制御部6は、例えば、前方板8と後方板9との隙間が発生しないようにセンサ本体21の位置調整を行うと共に、実板外形と画像内基準枠Frefとが一致するようにセンサ本体21の姿勢調整を行う。このとき、制御部6は、例えば、前方板8と後方板9との隙間が発生せず、かつ、実板外形と画像内基準枠Frefとが一致した計測画像が得られるまで、前方板8と後方板9との隙間が発生しないようにセンサ本体21の位置調整を行う処理と、実板外形と画像内基準枠Frefとが一致するようにセンサ本体21の姿勢調整を行う処理とを交互に繰り返してもよい。
【0061】
(5)処理フロー
図11は、光軸ずれの検出及び調整に関するフローチャートである。
【0062】
まず、作業員は、ライダユニット2を搭載した車両を、光軸を調整するのに好適な作業エリア内の所定の位置に設置する(ステップS101)。そして、作業員は、光軸調整用装置20の台座7に描かれた罫書き線LNを参照し、車種ごとに予め指定された位置に光軸調整用装置20を配置する(ステップS102)。この場合、光軸調整用装置20は、ライダユニット2の光軸ずれが発生していない場合には、計測画像内で前方板8と後方板9との間の隙間が発生せず、かつ、前方板8及び後方板9の外形(実板外形)が画像内基準枠Frefと重なるような位置となるように配置される。
【0063】
そして、制御部6は、ステップS102の終了後、例えば、入力部1への光軸ずれの検出及び調整を開始する旨のユーザ入力などを検知することにより、光軸調整モードへ移行し、以下のステップS103~S115の処理を開始する。この場合、まず、制御部6は、ライダユニット2から計測データを取得する(ステップS103)。この場合、ライダユニット2の計測範囲Rgの所定位置には、光軸調整用装置20が設置されており、光軸調整用装置20の前方板8及び後方板9の計測点群を示す計測データがライダユニット2から制御部6へ供給される。そして、制御部6は、ステップS103で取得した計測データから計測画像を生成する(ステップS104)。
【0064】
次に、制御部6は、生成した計測画像を参照し、前方板8と後方板9との間の隙間が存在するか否か判定する(ステップS105)。そして、制御部6は、計測画像中において前方板8と後方板9との間に隙間が存在すると判定した場合(ステップS105;Yes)、前方板8と後方板9との隙間の位置及び幅等を分析する(ステップS106)。そして、制御部6は、ステップS106での分析結果に基づいて、センサ本体21のX座標の調整(ステップS107)、Y座標の調整(ステップS108)、又はZ座標の調整(ステップS109)の少なくともいずれかを実行する。この場合、制御部6は、最新の計測画像を参照しつつ上述の隙間が減少するようにステップS107-S109の調整を繰り返し行う制御を行ってもよく、ステップS106での分析結果に基づいて所定のマップを参照することでステップS107-S109での調整要否及び調整量を決定してもよく、入力部1へのユーザ入力に基づきステップS107-S109での調整要否及び調整量を決定してもよい。そして、制御部6は、計測画像中において前方板8と後方板9との間の隙間がなくなるまで、ステップS105~ステップS109の処理を必要に応じて繰り返し実行する。
【0065】
一方、制御部6は、計測画像中において前方板8と後方板9との間に隙間が存在しないと判断した場合(ステップS105;No)、ライダユニット2の位置調整を行う必要はないと判断し、計測画像中の仮想的な画像内基準枠Frefに対し、計測画像内での前方板8及び後方板9の外形である実板外形が合致するか否か判定する(ステップS110)。これにより、制御部6は、ライダユニット2の光軸の姿勢調整の要否を判定する。
【0066】
そして、制御部6は、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致していない場合(ステップS110;No)、画像内基準枠Frefと実板外形との差異を分析する(ステップS111)。そして、制御部6は、ステップS111での分析結果に基づいて、ヨー角調整機構28によるヨー角調整(ステップS112)、ピッチ角調整機構31によるピッチ角調整(ステップS113)、ロール角調整機構30によるロール角調整(ステップS114)の少なくともいずれかを実行する。この場合、制御部6は、最新の計測画像を参照しつつ、画像内基準枠Frefに実板外形が近づくようにステップS112-S114の調整を繰り返し行う制御を行ってもよく、ステップS111での分析結果に基づき所定のマップを参照してステップS112-S114での調整要否及び調整量を決定してもよく、入力部1へのユーザ入力に基づきステップS112-S114での調整要否及び調整量を決定してもよい。そして、制御部6は、計測画像中において画像内基準枠Frefと実板外形とが合致するまで、ステップS111~ステップS114の処理を必要に応じて繰り返し実行する。
【0067】
そして、制御部6は、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致したと判断した場合(ステップS110;Yes)、光軸調整が完了したか否か判定する(ステップS115)。例えば、制御部6は、最新の計測画像を参照し、前方板8と後方板9との間に隙間が存在せず、かつ、画像内基準枠Frefに実板外形が合致していると判断した場合、光軸調整が完了したと判断する。そして、制御部6は、光軸調整が完了したと判断した場合(ステップS115;Yes)、フローチャートの処理を終了する。これにより光軸調整モードを終了する。一方、制御部6は、光軸調整が完了していないと判断した場合(ステップS115;No)、ステップS105へ処理を戻す。
【0068】
以上説明したように、第1実施例に係る光軸調整用装置20は、調整対象となるライダユニット2の目標となる光軸の情報である罫書き線LNが示された台座7と、台座7上において支持され、所定形状の孔12が設けられた前方板8と、前方板8と平行かつライダユニット2に対して前方板8の後方に設けられ、孔12と相似形状となる後方板9と、を備える。また、第1実施例に係る光軸調整方法は、計測を行うライダユニット2の理想の光軸に対する現在の光軸のずれを検出する制御方法であって、ライダユニット2の計測範囲Rg内の所定位置に置かれた光軸調整用装置20を計測した計測画像を取得する取得工程と、計測画像に基づいて、光軸のずれを検出する検出工程と、を有する。上記の光軸調整用装置20を用いて上述の制御方法を実行することで、ライダユニット2の理想の光軸に対する現在の光軸のずれを的確に検出することができる。
【0069】
[第2実施例]
第2実施例では、光軸の調整対象が測距装置であることを鑑み、光軸ずれがない状態において略全面を等距離により計測可能な板を備える光軸調整用装置20を用いる点で第1実施例と異なる。情報処理装置10の構成等は、第1実施例と同一であるため、適宜これらの説明を省略する。
【0070】
(1)光軸調整用装置の構成
図12は、第2実施例における光軸調整用装置20Aの斜視図を示す。図12に示すように、光軸調整用装置20Aは、罫書き線LNが描かれた台座7上に、曲面形状を有する曲面板8Rが高低角度調整機構13により支持されている。曲面板8Rは、光軸ずれが生じていないライダユニット2に対して光軸調整用装置20Aが正しく設置された状態において、ライダユニット2のレーザ光の水平方向の走査方向に沿って一定の曲率により湾曲している。
【0071】
図13(A)は、光軸調整用装置20AのX-Y平面図である。図13(A)に示すように、曲面板8Rの被照射面は、X-Y平面視において曲率が一定の円弧形状となっている。また、曲面板8Rの被照射面のY軸方向(即ち曲面板8Rが湾曲する方向)における中心の接線(破線40参照)は、罫書き線LNと垂直となる。
【0072】
また、図13(A)には、罫書き線LNの延長線上に、理想光源位置31が示されており、理想光源位置31は、曲面板8Rの被照射面がなす円弧の曲率中心(被照射面の接触円の中心)と一致している。従って、理想光源位置31から出射されて曲面板8Rに到達するレーザ光の光路長は、曲面板8R上の被照射点の位置によらずに一定となる。よって、図13(A)において曲面板8Rの左側に入射する光の光路長「LL」と、曲面板8Rの中央に入射する光の光路長「LC」と、曲面板8Rの右側に入射する光の光路長「LR」は、それぞれ等しい値(LL=LC=LR)となる。
【0073】
図13(B)は、光軸ずれが生じたライダユニット2の実光源位置32と光軸調整用装置20との位置関係を示したX-Y平面図である。図13(B)に示すように、ライダユニット2の実際の光源は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれずれ量dx、dy、dzが発生している。この場合、実光源位置32は、罫書き線LNの延長線上から外れており、曲面板8Rの被照射面がなす円弧の曲率中心と一致していない。そして、この場合、曲面板8Rの左側に入射する光の光路長LLと、曲面板8Rの中央に入射する光の光路長LCと、曲面板8Rの右側に入射する光の光路長LRは、それぞれ異なる値(LL>LC>LR)となる。
【0074】
なお、第2実施例では、好適には、ライダユニット2は、水平方向(Y軸方向)にのみ走査を行う複数の光源(スキャナ)が垂直方向(Z軸方向)に並べられた構成を有することが好ましい。このようなライダユニット2では、それぞれの光源(スキャナ)は垂直方向に走査を行わないため、垂直方向においても曲面板8Rの被照射面の計測距離が均一となる。
【0075】
(2)光軸ずれの検出
まず、第2実施例における光軸の位置ずれの検出方法について説明する。概略的には、第2実施例に係る制御部6は、計測画像の曲面板8Rを表す各画素の画素値が均一でない場合にライダユニット2の光軸の位置ずれが生じていると判断し、画素値が均一となるようにセンサ本体21の位置調整を行う。
【0076】
図14(A)は、光軸ずれが生じていないライダユニット2が出力する点群データに基づく計測画像を示し、図14(B)、(C)は、Y方向に光軸ずれが生じたライダユニット2が出力する点群データに基づく計測画像を示す。ここで、図14(A)~(C)に示す計測画像の各画素は、ライダユニット2が計測した各計測点に対応しており、計測画像内の各画素の位置は、対応する計測点の計測範囲Rgにおける垂直方向及び水平方向の位置を示し、各画素の値は、対応する計測点の距離を示している。ここでは、各画素は、計測されるべき理想的な距離の場合に黄色、黄色の画素よりも距離が短い場合に赤色、黄色の画素よりも距離が長い場合に緑色となるように色分けされている。
【0077】
ここで、光軸ずれが生じていないとき、即ち図13(A)に示す状態では、後方板9の被照射面の全ての計測点において等しい距離が計測される。よって、この場合、計測画像には、図14(A)に示すように、均一の画素値を有する画素からなる曲面板8Rの領域が表示される。
【0078】
一方、図13(B)に示す状態のようにライダユニット2に光軸ずれが生じている場合、後方板9の被照射面の計測点の位置によって異なる距離が計測される。例えば、図14(B)の例では、Y軸正方向側(左側)に光軸ずれが発生したことから、Y軸正方向側の曲面板8Rの被照射面の各計測点の距離が短くなり、Y軸負方向側の曲面板8Rの被照射面の各計測点の距離が長くなっている。一方、図14(C)の例では、Y軸負方向側(右側)に光軸ずれが発生したことから、Y軸負方向側の曲面板8Rの被照射面の各計測点の距離が短くなり、Y軸正方向側の曲面板8Rの被照射面の各計測点の距離が長くなっている。なお、X軸方向に光軸ずれが発生した場合には、曲面板8Rの被照射面の各計測点の距離は、全体として、計測されるべき理想的な距離とはずれ量に応じて離れていく。具体的には、X軸方向のずれ量が多いほど、曲面板8Rを表す計測画像内の各画素は、赤又は緑に近づく。従って、この場合、制御部6は、例えば、計測されるべき理想的な距離の情報を予め記憶しておき、当該情報が示す距離と計測画像内の各画素の画素値に相当する距離とを比較することで、X軸方向のずれを検出することができる。
【0079】
なお、水平方向にのみ走査を行う複数の光源が垂直方向に並べられた構成を有するライダユニット2において、Z軸方向にのみ光軸ずれが発生した場合には、計測画像内の曲面板8Rを表す各画素の画素値は均一となるため、上述の方法ではZ軸方向の光軸ずれの検出及び調整を行うことはできない。よって、制御部6は、この場合、以下に述べる姿勢ずれの検出方法によりZ軸方向の光軸ずれの検出及び調整を行うとよい。
【0080】
次に、光軸の姿勢ずれの検出方法について説明する。
【0081】
第2実施例では、制御部6は、第1実施例における姿勢ずれ検出方法と同様、計測画像中に基準となる仮想的な画像内基準枠Frefを設定し、当該画像内基準枠Frefと計測画像内の曲面板8Rの表示領域の外形である実板外形とのずれを、姿勢ずれとして検出する。
【0082】
図15(A)~(C)は、姿勢ずれが発生したライダユニット2が出力する点群情報に基づき生成した計測画像を示す。図15(A)~(C)では、それぞれ画像内基準枠Frefを明示している。ここで、画像内基準枠Frefは、光軸ずれが発生していない理想的な状態で曲面板8Rが計測された場合の計測画像中における曲面板8Rの外枠の位置を示している。
【0083】
図15(A)~(C)に示すように、光軸に姿勢ずれのみが生じている場合には、計測画像中の曲面板8Rを表す各画素は同一の画素値を示すため、上述した位置ずれ検出で述べた方法によっては姿勢ずれを検出することができない。
【0084】
一方、図15(A)~(C)の例では、それぞれ姿勢ずれが生じたことにより、曲面板8Rの外枠である実板外形が画像内基準枠Frefに対してずれている。図15(A)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がピッチ方向(具体的には仰角が増加する方向)にずれていることから、そのずれ量(図6のずれ量θ)に応じて実板外形が台形状に歪み、かつ、画像内基準枠Frefよりも下にシフトしている。一方、図15(B)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がヨー方向(右方向)にずれていることから、そのずれ量(図6のずれ量ψ)に応じて実板外形が台形状に歪み、かつ、画像内基準枠Frefよりも左にシフトしている。また、図15(C)の例では、目標とする光軸に対して実際のライダユニット2の光軸がロール方向(時計回り)にずれていることから、そのずれ量(図6のずれ量φ)に応じて実板外形が傾いている。
【0085】
このように、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の少なくともいずれかの方向に光軸すれが生じているときには、そのずれの方向及びずれ量に応じて、画像内基準枠Frefと実板外形との形状、位置、大きさ等に違いが表れる。従って、制御部6は、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致していないときには姿勢ずれが生じていると判断し、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致するように、センサ本体21のピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の調整を行う。
【0086】
なお、Z軸方向に光軸ずれが発生した場合においても、実板外形は、画像内基準枠Frefに対して上下に変動するため、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致しない。よって、制御部6は、画像内基準枠Frefと実板外形とが上下にずれている場合には、Z軸方向に光軸ずれが生じていると判断し、画像内基準枠Frefと実板外形とが合致するように、センサ本体21のZ軸方向の調整を行うとよい。
【0087】
(3)処理フロー
図16は、光軸ずれの検出及び調整に関するフローチャートである。なお、ステップS201~ステップS204の処理は、図11のステップS101~S104と同一であるため、その説明を省略する。
【0088】
制御部6は、ステップS204で計測画像の生成後、計測画像内の曲面板8Rの各計測点の距離(即ち曲面板8Rを表す各画素の画素値)が均一であるか否か判定する(ステップS205)。例えば、制御部6は、計測画像内の曲面板8Rの各画素の画素値の分散が所定値以下である場合、計測画像内の曲面板8Rの各計測点での距離が均一であると判定する。
【0089】
そして、制御部6は、計測画像内の曲面板8Rの各計測点の距離が均一である場合(ステップS205;Yes)、ステップS210へ処理を進める。一方、制御部6は、計測画像内の曲面板8Rの各計測点の距離が均一ではない場合(ステップS205;No)、計測画像内の曲面板8Rの各計測点の距離の分布を分析する(ステップS206)。そして、制御部6は、ステップS206での分析結果に基づいて、センサ本体21のX座標の調整(ステップS207)又はY座標の調整(ステップS208)の少なくともいずれかを実行する。この場合、制御部6は、最新の計測画像を参照しつつ、各計測点の距離の分布が均一に近づくようにステップS207とステップS208の調整を行う制御を繰り返し行ってもよく、ステップS206での分析結果に基づいて所定のマップを参照することでステップS207とステップS208での調整要否及び調整量を決定してもよく、入力部1へのユーザ入力に基づきステップS207とステップS208での調整要否及び調整量を決定してもよい。そして、制御部6は、計測画像中において曲面板8Rの各計測点での距離が均一になるまで、ステップS206~ステップS208の処理を必要に応じて繰り返し実行する。
【0090】
ステップS210では、制御部6は、計測画像中の仮想的な画像内基準枠Frefに計測画像内での曲面板8Rの外形である実板外形が合致するか否か判定する(ステップS210)。これにより、制御部6は、ライダユニット2の光軸の姿勢調整及びZ軸方向の位置調整の要否を判定する。
【0091】
そして、制御部6は、画像内基準枠Frefに実板外形が合致していない場合(ステップS210;No)、画像内基準枠Frefと実板外形との差異を分析する(ステップS211)。そして、制御部6は、ステップS211での分析結果等に基づいて、ヨー角調整機構28によるヨー角調整(ステップS212)、ピッチ角調整機構31によるピッチ角調整(ステップS213)、ロール角調整機構30によるロール角調整(ステップS214)、位置調整機構26によるZ座標調整(ステップS215)の少なくともいずれかを実行する。そして、制御部6は、計測画像中において画像内基準枠Frefと実板外形とが合致するまで、ステップS211~ステップS215の処理を必要に応じて繰り返し実行する。
【0092】
そして、制御部6は、光軸調整が完了したか否か判定する(ステップS216)。そして、制御部6は、光軸調整が完了したと判断した場合(ステップS216;Yes)、フローチャートの処理を終了する。これにより光軸調整モードを終了する。一方、制御部6は、光軸調整が完了していないと判断した場合(ステップS216;No)、ステップS205へ処理を戻す。
【0093】
以上説明したように、第2実施例に係る光軸調整用装置20Aは、調整対象となるライダユニット2の光軸の位置を示す罫書き線LNが描かれた台座7と、台座上において支持され、罫書き線LNが示す光軸に対して所定の位置関係で固定され、所定の曲率で湾曲した形状を有する曲面板8Rと、を有する。また、第2実施例に係る光軸調整方法は、計測を行うライダユニット2の理想の光軸に対する現在の光軸のずれを検出する制御方法であって、ライダユニット2の計測範囲Rg内の所定位置に置かれた光軸調整用装置20Aを計測した計測画像を取得する取得工程と、計測画像に基づいて、光軸のずれを検出する検出工程と、を有する。上記の光軸調整用装置20Aを用いて上述の制御方法を実行することで、ライダユニット2の理想の光軸に対する現在の光軸のずれを的確に検出することができる。
【0094】
[変形例]
次に、上述の第1及び第2実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0095】
(変形例1)
制御部6は、ライダユニット2の光軸の位置ずれ又は姿勢ずれを検出した場合に、保持装置22を制御することでセンサ本体21の位置及び姿勢を調整した。これに代えて、制御部6は、ライダユニット2に位置及び姿勢の調整機構が備わっていない場合などでは、検出した位置ずれ及び姿勢ずれを考慮してライダユニット2が出力する点群情報を補正してもよい。
【0096】
一般的に、ライダユニット2が出力する点群情報は、ライダユニット2の位置及び姿勢を基準としたローカル座標系(ライダ座標系)により表されていることから、所定の座標変換式を用いて、車両の位置及び姿勢を基準とした座標系(車両座標系)に変換する必要がある。この座標変換式は、一般的に、車両に対するセンサ本体21の相対的な位置及び姿勢に依存し、この位置及び姿勢を表す6個(X座標、Y座標、Z座標、ヨー角、ピッチ角、ロール角)のパラメータに基づき一意に定められる。
【0097】
以上を勘案し、制御部6は、ライダユニット2が出力する点群情報を車両座標系に変換する場合には、ずれが生じていない状態でのセンサ本体21の車両に対する相対的な位置及び姿勢の6個のパラメータの情報を予め記憶しておき、当該パラメータに第1又は第2実施例で検出した6軸のずれ量を加算する。そして、制御部6は、加算後の6個のパラメータに基づき上述の座標変換式を決定し、決定した座標変換式に基づき、ライダユニット2が出力する点群情報を車両座標系の点群情報に変換する。
【0098】
この態様によれば、制御部6は、ライダユニット2の光軸の位置ずれ又は姿勢ずれを許容しつつ、ライダユニット2が出力する点群情報を車両座標系の点群情報に的確に変換し、障害物検知や位置推定のためのランドマーク検知などの種々の処理に好適に用いることができる。
【0099】
(変形例2)
第1実施例において、光軸調整用装置20が正しく設置された状態で光軸ずれが生じていないライダユニット2が計測した計測画像(「理想計測画像」とも呼ぶ。)では、図8(A)に示されるように、前方板8の孔12に隙間なく重なるように後方板9が表示されていた。これに代えて、理想計測画像において、前方板8と後方板9との間に意図的な隙間が設けられてもよい。
【0100】
図17は、本変形例における理想計測画像の一例である。図17の例では、後方板9は、横幅Lbh、縦幅Lbvを有する図4の後方板9よりも横幅及び縦幅共に短く設計されていることにより、理想計測画像上には、前方板8の四辺それぞれに対し、後方板9と所定画素分だけ隙間が発生している。
【0101】
この場合、制御部6は、図17に示す理想計測画像における前方板8の各辺と後方板9との隙間の幅(例えば画素数)の情報を予め記憶しておき、ライダユニット2の光軸ずれの検出及び調整において計測画像を取得した場合に、当該計測画像中における前方板8の各辺と後方板9との隙間の幅を算出し、予め記憶した情報が示す幅と差異があるか否か判定する。そして、制御部6は、算出した前方板8の各辺と後方板9との隙間の幅が予め記憶した情報が示す幅と差異がない場合、位置ずれが生じていないと判断する。一方、制御部6は、算出した前方板8の各辺と後方板9との隙間の幅が予め記憶した情報が示す幅と差異がある場合、当該差異が無くなるようにセンサ本体21の位置調整を行う。
【0102】
この態様によれば、理想計測画像においては前方板8と後方板9とが重ならないため、仮にX軸負方向側に光軸がずれているときであっても、後方板9の四辺と前方板8との間に隙間が生じないことによる光軸ずれの検出漏れを好適に抑制することができる。
【0103】
(変形例3)
第2実施例は、水平方向(Y軸方向)と垂直方向(Z軸方向)の両方を行うように構成されたライダユニット2に対しても適用してよい。
【0104】
このようなライダユニット2の場合、曲面板8Rには水平方向のみ湾曲しているため、理想計測画像における曲面板8Rの画素の画素値は、縦方向の位置によって異なる値となる。この場合、例えば、制御部6は、図16のステップS205~ステップS208の位置ずれ調整処理において、計測画像の縦方向の中央に位置する所定行分の各画素の画素値のみを抽出し、これらの画素値が計測されるべき理想的な距離を示す均一な画素値であるか否か判定する。これによっても、X軸方向及びY軸方向の位置ずれを好適に検出し、位置ずれの調整を行うことができる。
【0105】
(変形例4)
第2実施例における曲面板8Rは、水平方向に加えて垂直方向に所定の曲率により湾曲してもよい。
【0106】
図18は、本変形例における光軸調整用装置20BのX-Z平面における断面図を示す。図18の例では、曲面板8RBの被照射面は、垂直方向及び水平方向に湾曲した球面形状を有している。そして、曲面板8RBの被照射面の曲率中心は、理想光源位置31と一致している。
【0107】
この態様によれば、水平方向(Y軸方向)と垂直方向(Z軸方向)の両方を行うように構成されたライダユニット2の光軸ずれの検出を行う場合に、理想計測画像内の曲面板8RBの各画素が均一の距離を示す画素値となる。よって、制御部6は、図18に示す光軸調整用装置20Bを用いることで、取得した計測画像に基づき位置ずれの検出を行う際に、位置ずれの有無を、計測画像内の曲面板8RBの各画素の画素値の均一性により判定すればよい。
【0108】
なお、第2実施例では、Z軸方向に光軸ずれが発生した場合には、計測画像内の曲面板8Rを表す各画素の画素値は均一となるため、画素値の均一性に基づいたZ軸方向の光軸ずれの検出及び調整を行うことはできかった。しかしながら、本変形例の光軸調整用装置20Bを用いた場合には、Z軸方向に光軸ずれが発生したときに、計測画像内の曲面板8RBを表す各画素の画素値は縦方向に不均一となる。よって、本変形例によれば、制御部6は、Z軸方向の光軸ずれの検出及び調整についても、計測画像内の曲面板8RBの各画素の画素値の均一性に基づき好適に実行することができる。
【0109】
(変形例5)
台座7に描かれた罫書き線LNは、台座7に貼り付けられたシールに描かれてもよい。この場合、例えば、シールには、罫書き線LNと同様の線が描かれ、台座7の所定位置に貼り付けられる。
【0110】
(変形例6)
第1実施例において、光軸ずれの検出及び調整を行う対象は、ライダユニット2などの測距装置に限定されず、光軸ずれの検出及び調整を行う必要がある任意の光学機器であってもよい。例えば、車両に搭載されるカメラの光軸ずれの検出及び調整を第1実施例に基づき実行してもよい。この場合、カメラは、例えば、図5に示すライダユニット2と同様、制御部6の制御信号に基づいて位置及び姿勢を調整自在な保持装置22により保持され、図11に示すフローチャートに基づいて位置及び姿勢の調整処理が実行される。
【0111】
(変形例7)
第1実施例の光軸調整用装置20及び第2実施例の光軸調整用装置20Aに用いられる台座7には、罫書き線LNに加えて、光軸調整用装置20、20Aを設置する際に車両又はライダユニット2との距離の基準となる目印が設けられてもよい。
【0112】
図19(A)は、本変形例における台座7AのX-Y平面図である。図19(A)に示す台座7Aには、罫書き線LNに直交する線分70が描かれている。この場合、作業員は、紐状部材などを用いて、線分70から車両又はライダユニット2の所定の位置までの罫書き線LNに沿った距離が車種ごとに予め定められた所定距離となるように、光軸調整用装置20、20Aの位置調整を行う。これにより、作業員は、光軸調整用装置20、20Aを、対象となる車両の車種毎に指定された位置に的確に配置することが可能となる。
【0113】
図19(B)は、本変形例における台座7BのX-Y平面図である。図19(B)に示す台座7Bには、罫書き線LN上の所定位置にマーク71が描かれている。この場合、作業員は、マーク71から車両又はライダユニット2の所定の位置までの罫書き線LNに沿った距離が車種ごとに予め定められた所定距離となるように、光軸調整用装置20、20Aの位置調整を行う。図19(C)は、本変形例における台座7CのX-Y平面図である。図19(C)に示す台座7Cには、台座7Cの前端73(車両側手前の端)が基準となることを明示した矢印72が設けられている。この場合、作業員は、前端73から車両又はライダユニット2の所定の位置までの罫書き線LNに沿った距離が車種ごとに予め定められた所定距離となるように、光軸調整用装置20、20Aの位置調整を行う。
【0114】
このように、本変形例によれば、作業員は、光軸調整用装置20、20Aを設置する際に車両又はライダユニット2との距離の基準となる目印に基づき、光軸調整用装置20、20Aを、対象となる車両の車種毎に指定された位置に的確に配置することが可能となる。
【符号の説明】
【0115】
1 入力部
2 ライダユニット
3 記憶部
4 表示部
6 制御部
10 情報処理装置
20 光軸調整用装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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図17
図18
図19