(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169484
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20241128BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20241128BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20241128BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241128BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241128BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20241128BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20241128BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20241128BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20241128BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K31/7105
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/115 Z
C12N15/113 Z
C12N5/10
A61K48/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K31/712
A61K31/7125
A61K38/02
A61K31/7115
A61K9/127
C12N15/11 Z
A61K31/7105 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024159028
(22)【出願日】2024-09-13
(62)【分割の表示】P 2021504230の分割
【原出願日】2019-07-24
(31)【優先権主張番号】62/702,714
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,569
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/863,670
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アバク カーベジアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・マッカートニー プルギス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・ソフィー デ ブール
(72)【発明者】
【氏名】モラグ・ヘレン スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン シフエンテス-ロハス
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヨン ペク
(57)【要約】
【課題】環状ポリリボヌクレオチドの医薬組成物及び製剤並びにそれらの使用を提供すること。
【解決手段】一部の態様において、細胞中で標的を結合させる方法は、アプタマー配列を含み、アプタマー配列は、標的を結合させる二次構造を有する翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少なくとも5日後に検出可能な標的との複合体を形成することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年7月24日に出願された米国仮特許出願第62/702
,714号明細書;2019年3月25日に出願された同第62/823,569号明細
書;及び2019年6月19日に出願された同第62/863,670号明細書の優先権
及びそれらからの利益を主張し、それらのそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に
組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] ある環状ポリリボヌクレオチドは、ヒト組織及び細胞、例として、健常個体の
組織及び細胞中にユビキタスに存在する。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本明細書に記載の本発明は、環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物及びその
使用方法を含む。
[0004] 一部の態様において、細胞中で標的を結合させる方法は、アプタマー配列を含
み、アプタマー配列は、標的を結合させる二次構造を有する翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドを提供すること;及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不
能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少なくとも5日後に検出可能な標的との複合体を
形成することを含む。一部の実施形態において、標的は、核酸分子、小分子、タンパク質
、炭水化物、及び脂質からなる群から選択される。一部の実施形態において、標的は、遺
伝子調節タンパク質である。一部の実施形態において、遺伝子調節タンパク質は、転写因
子である。一部の実施形態において、核酸分子は、DNA分子又はRNA分子である。一
部の実施形態において、複合体は、遺伝子発現をモジュレートする。一部の実施形態にお
いて、複合体は、DNA分子の指向転写、DNA分子のエピジェネティックリモデリング
、又はDNA分子の分解をモジュレートする。一部の実施形態において、複合体は、標的
の分解、標的のトランスロケーション、又は標的シグナル伝達をモジュレートする。一部
の実施形態において、遺伝子発現は、疾患又は病態の病因と関連する。一部の実施形態に
おいて、複合体は、送達の少なくとも7、8、9、又は10日後に検出可能である。一部
の実施形態において、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少なくとも5日後に
存在する。一部の実施形態において、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少な
くとも6、7、8、9、又は10日後に存在する。一部の実施形態において、翻訳不能環
状ポリリボヌクレオチドは、非修飾翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドである。一部の実
施形態において、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、準二本鎖(quasi-double-stran
ded)二次構造を有する。一部の実施形態において、アプタマー配列は、標的を結合させ
る三次構造をさらに有する。一部の実施形態において、細胞は、真核細胞である。一部の
実施形態において、真核細胞は、ヒト細胞である。
【0004】
[0005] 一部の態様において、細胞中で転写因子を結合させる方法は、転写因子を結合
させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び翻
訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは
、転写因子との複合体を形成し、遺伝子発現をモジュレートすることを含む。
【0005】
[0006] 一部の態様において、細胞中で転写因子を隔離する方法は、転写因子を結合さ
せるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び翻訳
不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、
転写因子を結合させて細胞中で複合体を形成することにより転写因子を隔離することを含
む。一部の実施形態において、細胞生存率は、複合体の形成後に減少する。
【0006】
[0007] 一部の態様において、細胞毒性剤に対して細胞を感作させる方法は、転写因子
を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;
並びに細胞毒性剤及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状
ポリリボヌクレオチドは、細胞中で転写因子との複合体を形成し;それにより、翻訳不能
環状ポリリボヌクレオチドを欠く細胞と比較して細胞毒性剤に対して細胞を感作させるこ
とを含む。一部の実施形態において、細胞毒性剤に対する細胞の感作は、細胞毒性剤及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドの送達後に減少した細胞生存率をもたらす。一部の実
施形態において、減少した細胞生存率は、細胞毒性剤及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオ
チドの送達の少なくとも2日後に40%以上だけ減少する。
【0007】
[0008] 一部の態様において、細胞中で病原性タンパク質を結合させる方法は、病原性
タンパク質を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供
すること;及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリ
ボヌクレオチドは、病原性タンパク質の分解のために病原性タンパク質との複合体を形成
することを含む。
【0008】
[0009] 一部の態様において、細胞中でリボ核酸分子を結合させる方法は、リボ核酸分
子の配列に相補的な配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、リボ核酸分子との複合体を形成することを含む。
【0009】
[0010] 一部の態様において、細胞中でゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させる方法
は、ゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリ
ボヌクレオチドを提供すること;及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し
、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、ゲノムデオキシリボ核酸分子との複合体を形成
し、遺伝子発現をモジュレートすることを含む。
【0010】
[0011] 一部の態様において、細胞中で小分子を結合させる方法は、小分子を結合させ
るアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び翻訳不
能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、小
分子との複合体を形成し、細胞プロセスをモジュレートすることを含む。一部の実施形態
において、小分子は、900ダルトン以下の分子量を有する有機化合物であり、細胞プロ
セスをモジュレートする。一部の実施形態において、小分子は、薬物である。一部の実施
形態において、小分子は、フルオロフォアである。一部の実施形態において、小分子は、
代謝産物である。
【0011】
[0012] 一部の態様において、組成物は、アプタマー配列を含み、アプタマー配列は、
標的を結合させる二次構造を有する翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを含む。
[0013] 一部の態様において、医薬組成物は、アプタマー配列を含み、アプタマー配列
は、標的を結合させる二次構造を有する翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド;及び薬学的
に許容可能な担体又は賦形剤を含む。
【0012】
[0014] 一部の態様において、細胞は、本明細書に記載の翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドを含む。
[0015] 一部の態様において、治療が必要とされる対象を治療する方法は、本明細書に
記載の組成物又は本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む。
【0013】
[0016] 一部の態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の翻訳不能環状ポ
リリボヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドである。
[0017] 一部の態様において、方法は、本明細書に記載の翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドを産生する方法である。
【0014】
[0018] 一部の態様において、医薬組成物は、標的、例えば、RNA、DNA、タンパ
ク質、細胞の膜などを結合させる結合部位を含む環状ポリリボヌクレオチド;及び薬学的
に許容可能な担体又は賦形剤を含み;標的及び環状ポリリボヌクレオチドは、複合体を形
成し、標的は、マイクロRNAでない。一部の態様において、医薬組成物は、第1の標的
を結合させる第1の結合部位、及び第2の標的を結合させる第2の結合部位を含む環状ポ
リリボヌクレオチド;並びに薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含み;第1の結合部位
は、第2の結合部位と異なり、第1の標的及び第2の標的は、両方ともマイクロRNAで
ある。一部の実施形態において、結合部位は、アプタマー配列を含む。一部の実施形態に
おいて、第1の結合部位は、第1のアプタマー配列を含み、第2の結合部位は、第2のア
プタマー配列を含む。一部の実施形態において、アプタマー配列は、標的を結合させる二
次構造を有する。一部の実施形態において、第1のアプタマー配列は、第1の標的を結合
させる二次構造を有し、第2のアプタマー配列は、第2の標的を結合させる二次構造を有
する。一部の実施形態において、結合部位は、第1の結合部位であり、標的は、第1の標
的である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第2の標的に結合す
る第2の結合部位をさらに含む。一部の実施形態において、第1の標的は、第1の環状ポ
リリボヌクレオチド(circRNA)結合モチーフを含む。一部の実施形態において、
第2の標的は、第2の環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)結合モチーフを含む
。一部の実施形態において、第1の標的、第2の標的、及び環状ポリリボヌクレオチドは
、複合体を形成する。一部の実施形態において、第1及び第2の標的は、互いに相互作用
する。一部の実施形態において、複合体は、細胞プロセスをモジュレートする。一部の実
施形態において、第1及び第2の標的は同じであり、第1及び第2の結合部位は、第1の
標的及び第2の標的上の異なる結合部位を結合させる。一部の実施形態において、第1の
標的及び第2の標的は異なる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、
第3以上の標的を結合させる1つ以上の追加の結合部位をさらに含む。一部の実施形態に
おいて、1つ以上の標的は同じであり、1つ以上の追加の結合部位は、1つ以上の標的上
の異なる結合部位を結合させる。一部の実施形態において、複合体の形成は、細胞プロセ
スをモジュレートする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第1及
び第2の標的に接触した場合、第1又は第2の標的と関連する細胞プロセスをモジュレー
トする。一部の実施形態において、第1及び第2の標的は、複合体中で互いに相互作用す
る。一部の実施形態において、細胞プロセスは、疾患又は病態の病因と関連する。一部の
実施形態において、細胞プロセスは、環状ポリリボ核酸の翻訳と異なる。一部の実施形態
において、第1の標的は、デオキシリボ核酸(DNA)分子を含み、第2の標的は、タン
パク質を含む。一部の実施形態において、複合体は、DNA分子の指向転写、DNA分子
のエピジェネティックリモデリング、又はDNA分子の分解をモジュレートする。一部の
実施形態において、第1の標的は、第1のタンパク質を含み、第2の標的は、第2のタン
パク質を含む。一部の実施形態において、複合体は、第1のタンパク質の分解、第1のタ
ンパク質のトランスロケーション、若しくはシグナル伝達をモジュレートし、又は天然タ
ンパク質機能をモジュレートし、第1及び第2のタンパク質間の直接的な相互作用により
形成される複合体の形成を阻害し、若しくはモジュレートする。一部の実施形態において
、第1の標的又は第2の標的は、ユビキチンリガーゼである。一部の実施形態において、
第1の標的は、第1のリボ核酸(RNA)分子を含み、第2の標的は、第2のRNA分子
を含む。一部の実施形態において、複合体は、第1のRNA分子の分解をモジュレートす
る。一部の実施形態において、第1の標的は、タンパク質を含み、第2の標的は、RNA
分子を含む。一部の実施形態において、複合体は、タンパク質のトランスロケーションを
モジュレートし、又はタンパク質及びRNA分子間の直接的な相互作用により形成される
複合体の形成を阻害する。一部の実施形態において、第1の標的は、受容体であり、第2
の標的は、受容体の基質である。一部の実施形態において、複合体は、受容体の活性化を
阻害する。
【0015】
[0019] 一部の態様において、医薬組成物は、標的を結合させる結合部位を含む環状ポ
リリボヌクレオチド;及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含み;環状ポリリボヌク
レオチドは、翻訳不能又は翻訳欠損であり、標的は、マイクロRNAでない。一部の態様
において、医薬組成物は、標的を結合させる結合部位を含み、標的は、リボ核酸(RNA
)結合モチーフを含む環状ポリリボ核酸;及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含み
;環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳不能又は翻訳欠損であり、標的は、マイクロRNA
である。一部の実施形態において、結合部位は、標的を結合させる二次構造を有するアプ
タマー配列を含む。一部の実施形態において、標的は、DNA分子を含む。一部の実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、DNA分子の転写の干渉をモ
ジュレートする。一部の実施形態において、標的は、タンパク質を含む。一部の実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、タンパク質と他の分子との相互
作用をモジュレートする。一部の実施形態において、タンパク質は、受容体であり、環状
ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、受容体を活性化させる。一部の実施形態におい
て、タンパク質は、第1の酵素であり、環状ポリリボヌクレオチドは、第2の酵素に結合
する第2の結合部位をさらに含み、環状ポリリボヌクレオチドへの第1及び第2の酵素の
結合は、第1及び第2の酵素の酵素活性をモジュレートする。一部の実施形態において、
タンパク質は、ユビキチンリガーゼである。一部の実施形態において、標的は、メッセン
ジャーRNA(mRNA)分子を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドへの標的の結合は、mRNA分子の翻訳の干渉をモジュレートする。一部の実施形態
において、標的は、リボソームを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドへの標的の結合は、翻訳プロセスの干渉をモジュレートする。一部の実施形態におい
て、標的は、環状RNA分子を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチ
ドへの標的の結合は、環状RNA分子を隔離する。一部の実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドへの標的の結合は、マイクロRNA分子を隔離する。
【0016】
[0020] 一部の態様において、医薬組成物は、細胞の膜(例えば、細胞壁膜、細胞小器
官膜など)に結合する結合部位を含み、細胞の膜は、リボ核酸(RNA)結合モチーフを
含む環状ポリリボヌクレオチド;及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む。一部の
実施形態において、結合部位は、細胞の膜(例えば、細胞壁膜、細胞小器官膜など)を結
合させる二次構造を有するアプタマー配列を含む。一部の実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、第2の標的に結合する第2の結合部位をさらに含み、第2の標的は、
第2のRNA結合モチーフを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド
は、細胞の膜及び第2の標的に結合する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、第2の細胞標的に結合する第2の結合部位をさらに含み、環状ポリリボヌクレ
オチドへの細胞標的及び第2の細胞標的の結合は、細胞標的の立体構造変化を誘導し、そ
れにより細胞標的の下流のシグナル伝達を誘導する。一部の実施形態において、環状ポリ
リボヌクレオチドは、翻訳不能又は翻訳欠損である。一部の実施形態において、環状ポリ
リボヌクレオチドは、a)エンクリプトゲン(encryptogen);b)スプライシングエレ
メント;c)調節配列;d)複製配列;e)準二本鎖二次構造;f)準ヘリカル構造;及
びg)発現配列からなる群から選択される少なくとも1つの構造エレメントをさらに含む
。一部の実施形態において、準ヘリカル構造は、少なくとも1つの非二本鎖セグメントを
有する少なくとも1つの二本鎖RNAセグメントを含む。一部の実施形態において、準ヘ
リカル構造は、反復配列により結合している第1の配列及び第2の配列を含む。一部の実
施形態において、エンクリプトゲンは、スプライシングエレメントを含む。一部の実施形
態において、環状ポリリボ核酸は、少なくとも1つの修飾核酸を含む。一部の実施形態に
おいて、少なくとも1つの修飾核酸は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(
2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’
-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノ
エチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DM
AP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、2’
-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)、ロック核酸(LNA)、エチレン
核酸(ENA)、ぺプチド核酸(PNA)、1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸(
HNA)、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレ
オチド、及び2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトからなる群から選択される
。一部の実施形態において、エンクリプトゲンは、少なくとも1つの修飾核酸を含む。一
部の実施形態において、エンクリプトゲンは、タンパク質結合部位を含む。一部の実施形
態において、エンクリプトゲンは、免疫タンパク質結合部位を含む。一部の実施形態にお
いて、環状ポリリボ核酸は、RIG-I、TLR-3、TLR-7、TLR-8、MDA
-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、及びIFN-βの少なくとも1つの発現
、シグナリング、又は活性化により評価してエンクリプトゲンを欠く対応物よりも少なく
とも2倍低い免疫原性を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボ核酸は、約20
塩基から約20kbのサイズを有する。一部の実施形態において、環状ポリリボ核酸は、
線状ポリヌクレオチドの環状化を介して合成される。一部の実施形態において、環状ポリ
リボ核酸は、分解に実質的に抵抗性である。
【0017】
[0021] 一部の態様において、医薬組成物は、標的に結合する結合部位を含み、標的は
、リボ核酸(RNA)結合モチーフを含む環状ポリリボヌクレオチド;及び薬学的に許容
可能な担体又は賦形剤を含み、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌク
レオチド及び少なくとも約5、10、20、50、100、200、300、400、5
00、600、700、800、900、又は1000個の連続非修飾ヌクレオチドを含
む第1の部分を含む。一部の態様において、医薬組成物は、標的に結合する結合部位を含
み、標的は、リボ核酸(RNA)結合モチーフを含む環状ポリリボヌクレオチド;及び薬
学的に許容可能な担体又は賦形剤を含み、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つ
の修飾ヌクレオチド及び少なくとも約5、10、20、50、100、200、300、
400、500、600、700、800、900、又は1000個の連続ヌクレオチド
を含む第1の部分を含み、第1の部分は、シュードウリジンも5’-メチルシチジンも欠
く。一部の実施形態において、結合部位は、標的を結合させる二次構造を有するアプタマ
ー配列を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾
環状ポリリボヌクレオチドよりも低い免疫原性を有する。一部の実施形態において、環状
ポリリボヌクレオチドは、RIG-I、TLR-3、TLR-7、TLR-8、MDA-
5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、及びIFN-βからなる群の少なくとも1
つの発現又はシグナリング又は活性化により評価して、対応する非修飾環状ポリリボヌク
レオチドよりも少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2、2
.2、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5
、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0
、9.5、又は10.0倍低い免疫原性を有する。一部の実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドよりも長い半減期を有する
。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボ
ヌクレオチドよりも少なくとも約1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2、2.2
、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4
.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9
.5、又は10.0倍長い半減期を有する。一部の実施形態において、半減期は、環状ポ
リリボヌクレオチド又は対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドを細胞中に導入し、細
胞内部の導入された環状ポリリボヌクレオチド又は対応する環状ポリリボヌクレオチドの
レベルを測定することにより測定される。一部の実施形態において、少なくとも1つの修
飾ヌクレオチドは、N(6)メチルアデノシン(m6A)、5’-メチルシチジン、及び
シュードウリジンからなる群から選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つ
の修飾核酸は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2
’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-
アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DM
AOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチ
ルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、2’-O-N-メチルアセト
アミド(2’-O-NMA)、ロック核酸(LNA)、エチレン核酸(ENA)、ぺプチ
ド核酸(PNA)、1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、モルホリノ、
メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、及び2’-フル
オロN3-P5’-ホスホラミダイトからなる群から選択される。一部の実施形態におい
て、環状ポリリボヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも約10%、20%、30%、
40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%は、修飾ヌクレ
オチドである。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾ヌクレオ
チドからなる、タンパク質、DNA、RNA、又は細胞標的に結合する結合部位を含む。
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドからなる内
部リボソーム進入部位(IRES)を含む。一部の実施形態において、結合部位は、非修
飾ヌクレオチドからなる。一部の実施形態において、結合部位は、非修飾ヌクレオチドか
らなるIRESを含む。一部の実施形態において、第1の部分は、タンパク質、DNA、
RNA、細胞標的を結合させる結合部位を含む。一部の実施形態において、第1の部分は
、IRESを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の
発現配列を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発
現配列及びIRESを含み、環状ポリリボヌクレオチドは、IRES外部の5’-メチル
シチジン、シュードウリジン、又はそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、環
状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオ
チドよりも高い翻訳効率を有するように構成される。一部の実施形態において、環状ポリ
リボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドよ
りも少なくとも約0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.5、
1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8、又は3倍高い翻訳効率を有する。一部の
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、修飾ヌクレオチ
ドを含む第1の部分を有する対応する環状ポリリボヌクレオチドよりも高い翻訳効率を有
する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、1
0%超の修飾ヌクレオチドを含む第1の部分を有する対応する環状ポリリボヌクレオチド
よりも高い翻訳効率を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの1
つ以上の発現配列は、修飾ヌクレオチドを含む第1の部分を有する対応する環状ポリリボ
ヌクレオチドよりも少なくとも約1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2、2.2
、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4
.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9
.5、又は10.0倍高い翻訳効率を有する。一部の実施形態において、翻訳効率は、環
状ポリリボヌクレオチド若しくは対応する環状ポリリボヌクレオチドを含む細胞中で、又
はインビトロ翻訳系(例えば、ウサギ網状赤血球溶解物)中のいずれかで測定される。一
部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、開示される実施形態のいずれか1
つの環状ポリリボヌクレオチドである。
【0018】
[0022] 一部の態様において、治療の方法は、上記開示の実施形態のいずれか1つの医
薬組成物を、疾患又は病態を有する対象に投与することを含む。
[0023] 一部の態様において、医薬組成物を産生する方法は、開示の実施形態のいずれ
か1つの環状ポリリボヌクレオチドを生成することを含む。
【0019】
[0024] 一部の態様において、実施形態のいずれか1つの組成物は、担体、例えば、膜
又は脂質二重層中で配合される。
[0025] 一部の態様において、開示の実施形態のいずれか1つの環状ポリリボヌクレオ
チドを作製する方法は、環状ポリリボヌクレオチドとしての核酸配列を有する線状ポリリ
ボヌクレオチドを環状化させることを含む。
【0020】
[0026] 一部の態様において、遺伝子操作細胞は、開示の実施形態のいずれか1つの組
成物を含む。
参照による組み込み
[0027] 本明細書に挙げられる全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々
の刊行物、特許、又は特許出願が具体的且つ個別的に参照により組み込まれることが示さ
れるのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
[0028] 特許又は出願書類は、有色の少なくとも1つの図面を含有する。有色図面を有
する本特許又は特許出願刊行物のコピーは、請求及び必要な費用の支払い時に省庁により
提供される。本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面とともに精読される場
合により良好に理解される。本発明の説明の目的のため、図面において、目下例示の実施
形態が示される。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の正確な配置及び手
段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0029]
図1は、環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。
【
図2】[0030]
図2は、トランス-リボザイム環状ポリリボヌクレオチドの一例を説明する。
【
図3】[0031]
図3は、環状ポリリボヌクレオチドによるタンパク質発現の模式図を説明する。
【
図4】[0032]
図4は、脂質、例えば、膜のための環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。
【
図5A-B】[0033]
図5Aは、DNAのための環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。 [0034]
図5Bは、配列特異的DNA結合モチーフを有する環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。circRNAは、DNA二重鎖の主溝に結合して第3の鎖の配向に基づく平行又は逆平行三重鎖構造を形成し得る。例示的な平行三重鎖構造は、TA・U、CG・G及びCG・C(DNA DNA・RNA)を含む。例示的な逆平行三重鎖構造は、TA・A、TA・U及びCG・G(DNA DNA・RNA)を含む。
【
図5C-E】[0035]
図5Cは、転写因子結合及び/又はmRNA転写の干渉のためのDHFR遺伝子のエンハンサー領域に特異的なDNA結合モチーフを有する環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。 [0036]
図5Dは、転写因子結合及び/又はmRNA転写の干渉のためのMEG3遺伝子のエンハンサー領域に特異的なDNA結合モチーフを有する環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。 [0037]
図5Eは、転写因子結合及び/又はmRNA転写の干渉のためのEPS遺伝子のエンハンサー領域に特異的なDNA結合モチーフを有する環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。
【
図6】[0038]
図6は、RNAのための環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。
【
図7】[0039]
図7Aは、標的RNAを隔離し、及び/又は分解するための標的RNAのための環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。 [0040]
図7Bは、RNA及びRNAを標的化する酵素(例えば、RNAの分解を誘導するデキャッピング酵素)のための環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。 [0041]
図7Cは、(例えば、標的遺伝子翻訳をドライブするための)RNA、DNA及びタンパク質のための環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。
【
図8】[0042]
図8は、タンパク質(例えば、FUS/TDP43/ATXN2、PRPF8、GEMIN5、CUG BP1及びLIN28A)のための環状ポリリボヌクレオチド分子足場の一例を説明する。
【
図9A】[0043]
図9Aは、修飾環状RNAが細胞中でタンパク質翻訳機構を結合させることを示す。
【
図9B】
図9Bは、修飾環状RNAが細胞中でタンパク質翻訳機構を結合させることを示す。
【
図9C】
図9Cは、修飾環状RNAが細胞中でタンパク質翻訳機構を結合させることを示す。
【
図10A】[0044]
図10Aは、修飾環状RNAが、免疫関連遺伝子(MDA5、OAS、及びIFN-β発現)の活性化により評価して細胞中で非修飾環状RNAと比較して低減した免疫タンパク質への結合を有することを示す。
【
図10B】
図10Bは、修飾環状RNAが、免疫関連遺伝子(MDA5、OAS、及びIFN-β発現)の活性化により評価して細胞中で非修飾環状RNAと比較して低減した免疫タンパク質への結合を有することを示す。
【
図10C】
図10Cは、修飾環状RNAが、免疫関連遺伝子(MDA5、OAS、及びIFN-β発現)の活性化により評価して細胞中で非修飾環状RNAと比較して低減した免疫タンパク質への結合を有することを示す。
【
図11】[0045]
図11は、ハイブリッド修飾環状RNAが、RIG-I、MDA5、IFN-β、及びOAS発現により評価して細胞中で非修飾環状RNAと比較して低減した免疫原性を有することを示す。
【
図12】[0046]
図12は、環状RNAアプタマーが、線状アプタマーと比較して増加した細胞内送達及び小分子標的への向上した結合を示すことを実証する。
【
図13】[0047]
図13は、標的タンパク質への、タンパク質結合モチーフを含有する環状RNAの結合を説明する。
【
図14】[0048]
図14は、小分子-環状RNAコンジュゲートが、その小分子により標的化されるタンパク質に結合することを実証する。
【
図15】[0049]
図15は、環状RNA-小分子コンジュゲートと特異的生物活性タンパク質との相互作用を実証する。
【
図16】[0050]
図16は、例えば、酵素(Enz)及び標的基質(基質)との複合体を形成するための足場として作用し得、酵素による標的基質の修飾(M)を容易にする2つの結合部位を有するcircRNAを説明する。
【
図17】[0051]
図17は、スクランブル化結合アプタマー配列を有するRNAが、NF-kBのp50サブユニットに対する結合親和性を示さなかった一方、NF-kB結合アプタマー配列を有する線状及び環状RNAの両方がp50サブユニットに類似の親和性で結合したことを実証する電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)からの画像を示す。
【
図18】[0052]
図18は、NF-kB結合アプタマー配列を有する環状RNAによる処理が、その線状対応物と比較してA549細胞の細胞生存率の減少に導いたことを示す。
【
図19】[0053]
図19は、ドキソルビシン(dox)抵抗性A549肺癌細胞系において、線状RNA及びdoxによる同時処理が2日目に細胞生存率を減少させ、環状アプタマー及びdoxによる同時処理が1及び2日目の両方でより多い細胞死をもたらしたことを示す。
【
図20】[0054]
図20は、細胞中に送達され、ユビキチン系による分解のために細胞中で標的BRD4タンパク質をタグ化する例示的な環状RNAを示す模式図である。
【
図21】[0055]
図21は、サリドマイド及びJQ1小分子を含有する環状RNAが、細胞中でBRD4を分解し得たことを実証するウエスタンブロット画像及び定量チャートを示す。
【
図22】[0056]
図22は、HeLa細胞培養物への環状RNA(エンドレスアプタマー)又は線状RNA(線状アプタマー)の送達後の異なる時点においてTO-1ビオチンに結合した場合のアプタマー蛍光を示す。蛍光画像(上段)は、環状RNA(エンドレスアプタマー)又は線状RNA(線状アプタマー)の送達の6時間、1日、及び10日後にTO-1ビオチンに結合した場合のアプタマー蛍光を示す。グラフ(下段)は、環状RNA(エンドレスアプタマー)、線状RNA(線状アプタマー)、又はTO-1ビオチン単独(対照)の送達の6時間、1日、3日、5日、7日、10日、及び12日後のHeLa細胞培養物中の蛍光細胞の割合を示す。
【
図23】[0057]
図23は、HuRが、HuR RNA結合アプタマーモチーフを有する環状RNAを結合させ、ストレプトアビジンプルダウンが、結合アプタマーモチーフを有さない環状RNA、HuR RNA結合アプタマーモチーフを有する環状RNA、及びRNA結合アプタマーモチーフを有する環状RNAと比較してRNA結合アプタマーモチーフを有するRNAを生じさせたことを示す。
【
図24】[0058]
図24はHuRが、HuR DNA結合アプタマーモチーフを有する環状RNAを結合させ、ストレプトアビジンプルダウンが、結合アプタマーモチーフを有さない環状RNA、HuR DNA結合アプタマーモチーフを有する環状RNA、及びDNAを有する環状RNAと比較してDNA結合アプタマーモチーフを有するRNAを生じさせたことを示す。
【
図25】[0059]
図25は、1×HuR結合モチーフ、2×HuR結合モチーフ、及び3×HuR結合モチーフを有する環状RNAと比較して低い、HuR結合モチーフを有さない環状RNAからの分泌タンパク質発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0060] 本発明は、一般に、環状ポリリボヌクレオチドの医薬組成物及び製剤並びにそ
れらの使用に関する。
[0061] いくつかの態様が説明のための実施例用途を参照して以下に記載される。多数
の具体的な詳細、関係、及び方法が、本明細書に記載の特徴部の十分な理解を提供するた
めに記載されることを理解すべきである。しかしながら、当業者は、本明細書に記載の特
徴部を、具体的な詳細の1つ以上を用いずに、又は他の方法を用いて実施することができ
ることを容易に認識する。本明細書に記載の特徴部は、作用又はイベントの説明される順
序に限定されるものではなく、そのため、一部の作用は、異なる順序で、及び/又は他の
作用若しくはイベントと同時に生じ得る。さらに、本明細書に記載の特徴部に従う方法を
実行するために全ての説明される作用又はイベントが要求されるわけではない。
【0024】
[0062] 本明細書において使用される用語は、特定の場合を記載する目的のためのもの
にすぎず、限定するものではない。本明細書において使用される単数形「1つの(a)」
、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない
限り、複数形も含むものとする。さらに、用語「含む(including)」、「含む(include
s)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、又はそれら
の変形語が詳細な説明及び/又は特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される程度で、
そのような用語は用語「含む(comprising)」と同様の様式で包含的であるものとする。
【0025】
定義
[0063] 本明細書において使用される用語「circRNA」又は「環状RNA」又は
「環状ポリリボヌクレオチド」は、共有又は非共有結合を介して環状構造を形成するポリ
リボヌクレオチドを指す。
【0026】
[0064] 本明細書において使用される用語「エンクリプトゲン」は、免疫細胞による検
出の低減、回避、及び/若しくは忌避を補助し、且つ/又は環状ポリリボヌクレオチドに
対する免疫応答の誘導を低減させる環状ポリリボヌクレオチドの核酸配列を指す。
【0027】
[0065] 本明細書において使用される用語「発現配列」は、産物、例えば、ぺプチド若
しくはポリペプチドをコードする核酸配列、又は調節核酸を指す。
[0066] 本明細書において使用される用語「免疫タンパク質結合部位」は、免疫タンパ
ク質に結合し、非内因性のものとしての環状ポリリボヌクレオチドのマスキングを補助す
るヌクレオチド配列を指す。
【0028】
[0067] 本明細書において使用される用語「修飾リボヌクレオチド」は、糖、核酸塩基
、又はヌクレオシド間結合の少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドを指す。
[0068] 本明細書において使用される語句「準ヘリカル構造」は、環状ポリリボヌクレ
オチドの少なくとも一部がヘリカル構造にフォールドする、環状ポリリボヌクレオチドの
高次構造を指す。
【0029】
[0069] 本明細書において使用される語句「準二本鎖二次構造」は、環状ポリリボヌク
レオチドの少なくとも一部が二本鎖を作出する、環状ポリリボヌクレオチドの高次構造を
指す。
【0030】
[0070] 本明細書において使用される用語「調節配列」は、発現産物を改変する核酸配
列を指す。
[0071] 本明細書において使用される用語「反復ヌクレオチド配列」は、DNAのスト
レッチ内の又はゲノム全体にわたる反復核酸配列を指す。一部の実施形態において、反復
ヌクレオチド配列としては、ポリCA又はポリTG配列が挙げられる。一部の実施形態に
おいて、反復ヌクレオチド配列としては、イントロンのAluファミリー中の繰り返し配
列が挙げられる。
【0031】
[0072] 本明細書において使用される用語「複製エレメント」は、環状ポリリボヌクレ
オチドの複製に有用な、又はその転写を開始させる配列及び/又はモチーフを指す。
[0073] 本明細書において使用される用語「選択的翻訳配列」は、環状ポリリボヌクレ
オチド中の発現配列の翻訳を選択的に開始させ、又は活性化させる核酸配列を指す。
【0032】
[0074] 本明細書において使用される用語「選択的分解配列」は、環状ポリリボヌクレ
オチド中の発現配列の翻訳を開始させる核酸配列を指す。
[0075] 本明細書において使用される用語「スタッガー(stagger)配列」は、翻訳の
間にリボソームポージングを誘導するヌクレオチド配列を指す。一部の実施形態において
、スタッガー配列は、強力なα-ヘリカル傾向を有するアミノ酸の非保存的配列とその後
のコンセンサス配列-D(V/I)ExNPG P(xは、任意のアミノ酸である)であ
る。
【0033】
[0076] 本明細書において使用される用語「実質的に抵抗性」は、参照と比較して少な
くとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%又は99%の抵抗性を有するものである。
【0034】
[0077] 本明細書において使用される用語「複合体」は、互いについての親和性を有す
る少なくとも2つの部分(例えば、化学物質又は生化学物質)間の会合物を指す。例えば
、少なくとも2つの部分は、標的(例えば、タンパク質)及び環状RNA分子である。
【0035】
[0078] 「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用され、共有結合(例え
ば、アミド結合)により結合している2つ以上のアミノ酸のポリマーを指す。本明細書に
記載のポリペプチドとしては、全長タンパク質(例えば、完全にプロセシングされたタン
パク質)及びより短いアミノ酸配列(例えば、天然発生タンパク質の断片又は合成ポリペ
プチド断片)を挙げることができる。ポリペプチドは、天然発生アミノ酸(例えば、天然
に合成されるぺプチド中に共通して見出され、一文字略号A、R、N、C、D、Q、E、
G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVにより公知の20個のアミノ酸
のもの)及び非天然発生アミノ酸(例えば、天然で合成されるぺプチド中に共通して見出
される20個のアミノ酸のものでないアミノ酸、例として、合成アミノ酸、アミノ酸アナ
ログ、及びアミノ酸模倣体)を含み得る。
【0036】
[0079] 本明細書において使用される用語「結合部位」は、別の実体、例えば、化合物
、タンパク質、核酸などと相互作用する環状ポリリボヌクレオチドの領域を指す。結合部
位は、アプタマー配列を含み得る。
【0037】
[0080] 本明細書において使用される用語「結合部分」は、結合部位により結合され得
る標的の領域、例えば、領域、ドメイン、断片、エピトープ、又は核酸(例えば、RNA
、DNA、RNA-DNAハイブリッド)の一部、化合物、小分子(例えば、薬物)、ア
プタマー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、抗体、ウイルス、ウイルス粒子
、膜、多成分複合体、細胞小器官、細胞、他の細胞部分、それらの任意の断片、及びそれ
らの任意の組合せを指す。
【0038】
[0081] 本明細書において使用される用語「アプタマー配列」は、標的分子に特異的に
結合する非天然発生又は合成オリゴヌクレオチドを指す。典型的には、アプタマーは、2
0~250ヌクレオチドである。典型的には、アプタマーは、配列相同性ではなく二次構
造を介してその標的に結合する。
【0039】
[0082] 本明細書において使用される用語「小分子」は、900ダルトン以下の分子量
を有する有機化合物を指す。小分子は、細胞プロセスをモジュレートし得、又はフルオロ
フォアである。
【0040】
[0083] 本明細書において使用される用語「コンジュゲーション部分」は、コンジュゲ
ーションの方法における使用のための官能基を含む修飾ヌクレオチドを指す。
[0084] 本明細書において使用される用語「線状対応物」は、環状ポリリボヌクレオチ
ドと同じヌクレオチド配列及び核酸修飾を有し、2つのフリー末端を有するポリリボヌク
レオチド(すなわち、環状化ポリリボヌクレオチドの非環状化バージョン)を指す。一部
の実施形態において、線状対応物は、5’キャップをさらに含む。一部の実施形態におい
て、線状対応物は、ポリアデノシンテールをさらに含む。一部の実施形態において、線状
対応物は、3’UTRをさらに含む。一部の実施形態において、線状対応物は、5’UT
Rをさらに含む。
環状ポリリボヌクレオチド
[0085] 本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)は、共有又は
非共有結合を介して連続構造を形成するポリリボヌクレオチドである。
【0041】
[0086] 本明細書に記載の本発明は、合成circRNAを含む組成物及びその使用方
法を含む。環状構造に起因して、circRNAは、対応する線状RNAと比較して改善
された安定性、増加した半減期、低減した免疫原性、及び/又は改善された機能性(例え
ば、本明細書に記載の機能)を有し得る。一部の実施形態において、環状RNAは、細胞
への環状RNAの送達の少なくとも5日後に検出可能である。一部の実施形態において、
環状RNAは、細胞への環状RNAの送達の6日、7日、8日、9日、10日、11日、
12日、13日、14日、15日、又は16日後に検出可能である。環状RNAは、当技
術分野において公知の任意の技術を使用して検出することができる。
【0042】
[0087] 一部の実施形態において、circRNAは、環状アプタマーである。一実施
形態において、circRNAは、1つ以上の標的に結合する1つ以上の結合部位を含む
。一実施形態において、circRNAは、アプタマー配列を含む。一実施形態において
、circRNAは、DNA標的及びタンパク質標的の両方を結合させ、例えば、転写を
媒介する。別の実施形態において、circRNAは、タンパク質複合体を引き合わせ、
例えば、翻訳後修飾又はシグナル伝達を媒介する。別の実施形態において、circRN
Aは、2つ以上の異なる標的、例えば、タンパク質を結合させ、例えば、それらのタンパ
ク質を細胞質にシャトリングし、又は標的の1つ以上の分解を媒介する。
【0043】
[0088] 一部の実施形態において、circRNAは、DNA、RNA、及びタンパク
質の少なくとも1つを結合させ、それにより細胞プロセスを調節する(例えば、タンパク
質発現を変更し、遺伝子発現をモジュレートし、細胞シグナリングをモジュレートするな
ど)。一部の実施形態において、合成circRNAは、標的又は選択DNA、RNA若
しくはタンパク質の少なくとも1つの部分、例えば、結合部分との相互作用のための結合
部位を含み、それにより内因性対応物との結合において競合する。
【0044】
[0089] 一部の実施形態において、環状RNAは、細胞プロセスを調節する(例えば、
タンパク質発現を変更し、遺伝子発現をモジュレートし、細胞シグナリングをモジュレー
トするなど)複合体を形成する。一部の実施形態において、環状RNAは、標的(例えば
、転写因子)に結合することにより細胞毒性剤(例えば、化学療法剤)に対して細胞を感
作させ、低減した細胞生存率をもたらす。例えば、細胞毒性剤に対する細胞の感作は、細
胞毒性剤及び環状RNAの送達後に減少した細胞生存率をもたらす。一部の実施形態にお
いて、減少した細胞生存率は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、6
0%、70%、80%、又は90%、又はそれらの間の任意の割合だけ減少する。
【0045】
[0090] 一部の実施形態において、複合体は、細胞への環状RNAの送達の6日、7日
、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、又は16日後に検出
可能である。
【0046】
[0091] 一実施形態において、合成circRNAは、miRNAを結合させ、且つ/
又は隔離する。別の実施形態において、合成circRNAは、タンパク質を結合させ、
且つ/又は隔離する。別の実施形態において、合成circRNAは、mRNAを結合さ
せ、且つ/又は隔離する。別の実施形態において、合成circRNAは、リボソームを
結合させ、且つ/又は隔離する。別の実施形態において、合成circRNAは、cir
cRNAを結合させ、且つ/又は隔離する。別の実施形態において、合成circRNA
は、長鎖非コードRNA(lncRNA)又は任意の他の非コードRNA、例えば、mi
RNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA、長鎖非コードR
NA、shRNAを結合させ、且つ/又は隔離する。circRNAは、結合及び/又は
隔離部位の他、結合及び/又は隔離RNA及び/又はタンパク質の分解をもたらす分解エ
レメントを含み得る。
【0047】
[0092] 一実施形態において、circRNAは、lncRNA又はlncRNAの配
列を含み、例えば、circRNAは、天然発生非環状lncRNAの配列又はその断片
を含む。一実施形態において、lncRNA又はlncRNAの配列は、スペーサー配列
を用いて又は用いずに環状化されて合成circRNAを形成する。
【0048】
[0093] 一実施形態において、circRNAは、リボザイム活性を有する。一実施形
態において、circRNAは、リボザイムとして作用させ、病原性又は内因性RNA、
DNA、小分子又はタンパク質を開裂させるために使用することができる。一実施形態に
おいて、circRNAは、酵素活性を有する。一実施形態において、合成circRN
Aは、RNA(例えば、ウイルスRNA)を特異的に認識し、開裂し得る。別の実施形態
において、circRNAは、タンパク質を特異的に認識し、開裂し得る。別の実施形態
において、circRNAは、小分子を特異的に認識し、分解し得る。
【0049】
[0094] 一実施形態において、circRNAは、自己犠牲(immolating)又は自己開
裂又は開裂性circRNAである。一実施形態において、circRNAは、RNA、
例えば、miRNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA、長
鎖非コードRNA、shRNAを送達するために使用することができる。一実施形態にお
いて、合成circRNAは、(1)自己開裂性エレメント(例えば、ハンマーヘッド、
スプライシングエレメント)、(2)開裂リクルートメント部位(例えば、ADAR)、
(3)分解性リンカー(例えば、グリセロール)、(4)化学リンカー、及び/又は(5
)スペーサー配列により離隔されるマイクロRNAから構成される。別の実施形態におい
て、合成circRNAは、(1)自己開裂性エレメント(例えば、ハンマーヘッド、ス
プライシングエレメント)、(2)開裂リクルートメント部位(例えば、ADAR)、(
3)分解性リンカー(例えば、グリセロール)、(4)化学リンカー、及び/又は(5)
スペーサー配列により離隔されるsiRNAから構成される。
【0050】
[0095] 一実施形態において、circRNAは、転写/複製可能circRNAであ
る。このcircRNAは、任意のタイプのRNAをコードし得る。一実施形態において
、合成circRNAは、アンチセンスmiRNA及び転写エレメントを有する。一実施
形態において、転写後、線状機能miRNAがcircRNAから生成される。一実施形
態において、circRNAは、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドである。
【0051】
[0096] 一実施形態において、circRNAは、翻訳エレメントとの組合せにおける
上記特質の1つ以上を有する。
[0097] 一部の実施形態において、circRNAは、少なくとも1つの修飾ヌクレオ
チドを含む。一部の実施形態において、circRNAは、少なくとも10%、20%、
30%、40%、50%、60%、70%、又は80%の修飾ヌクレオチドを含む。一部
の実施形態において、circRNAは、実質的に全て(例えば、80%、85%、90
%、95%、97%、98%、若しくは99%超、又は約100%)の修飾ヌクレオチド
を含む。一部の実施形態において、circRNAは、修飾ヌクレオチド及び非修飾連続
ヌクレオチドの一部を含み、それはハイブリッド修飾circRNAと称することができ
る。非修飾連続ヌクレオチドの一部は、ハイブリッド修飾circRNA中のタンパク質
、DNA、RNA、又は細胞標的を結合させるように構成される非修飾結合部位であり得
る。非修飾連続ヌクレオチドの一部は、ハイブリッド修飾circRNA中の非修飾IR
ESであり得る。他の実施形態において、circRNAは修飾ヌクレオチドを欠き、そ
れは非修飾circRNAと称することができる。
【0052】
標的
[0098] circRNAは、標的のための、例えば、標的の結合部分のための少なくと
も1つの結合部位を含み得る。circRNAは、標的に結合する少なくとも1つのアプ
タマー配列を含み得る。一部の実施形態において、circRNAは、1つ以上の標的の
ための1つ以上の結合部位を含む。標的としては、限定されるものではないが、核酸(例
えば、RNA、DNA、RNA-DNAハイブリッド)、小分子(例えば、薬物、フルオ
ロフォア、代謝産物)、アプタマー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、抗体
、ウイルス、ウイルス粒子、膜、多成分複合体、細胞小器官、細胞、他の細胞部分、それ
らの任意の断片、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。(例えば、Fredriksson et a
l., (2002) Nat Biotech20: 473-77; Gullberg et al., (2004) PNAS, 101: 8420-24参
照)。例えば、標的は、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNA、二本鎖DNA、1
つ以上の二本鎖領域及び1つ以上の一本鎖領域を含むDNA又はRNA、RNA-DNA
ハイブリッド、小分子、アプタマー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、抗体
、抗体断片、抗体の混合物、ウイルス粒子、膜、多成分複合体、細胞、細胞部分、それら
の任意の断片、又はそれらの任意の組合せである。
【0053】
[0099] 一部の実施形態において、標的は、ポリペプチド、タンパク質、又はそれらの
任意の断片である。例えば、標的は、精製ポリペプチド、単離ポリペプチド、融合タグ化
ポリペプチド、細胞又はウイルス又はビリオンの膜に付着している又はそれを貫通するポ
リペプチド、細胞質タンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、キナーゼ、チロ
シンキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼ、ホスファターゼ、アロマターゼ、ホスホジ
エステラーゼ、シクラーゼ、ヘリカーゼ、プロテアーゼ、オキシドレダクターゼ、レダク
ターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、グリコシラーゼ
、細胞外マトリックスタンパク質、リガーゼ、ユビキチンリガーゼ、翻訳後修飾に影響を
与える任意のリガーゼ、イオントランスポーター、チャネル、細孔、アポトーシスタンパ
ク質、細胞接着タンパク質、病原性タンパク質、異常発現タンパク質、転写因子、転写調
節因子、翻訳タンパク質、エピジェネティック因子、エピジェネティック調節因子、クロ
マチン調節因子、シャペロン、分泌タンパク質、リガンド、ホルモン、サイトカイン、ケ
モカイン、核タンパク質、受容体、膜貫通受容体、受容体チロシンキナーゼ、Gタンパク
質共役受容体、成長因子受容体、核内受容体、ホルモン受容体、シグナル伝達因子、抗体
、膜タンパク質、内在性膜タンパク質、表在性膜タンパク質、細胞壁タンパク質、球状タ
ンパク質、繊維状タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、染色体タンパク質、癌原
遺伝子、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、それらの任意の断片、又はそれらの任意の組合せで
あり得る。一部の実施形態において、標的は、異種ポリペプチドである。一部の実施形態
において、標的は、分子技術、例えば、形質移入を使用して細胞中で過剰発現されるタン
パク質である。一部の実施形態において、標的は、組換えポリペプチドである。例えば、
標的は、細菌(例えば、大腸菌)、酵母、哺乳動物、又は昆虫細胞から産生される試料中
に存在する(例えば、生物体により過剰発現されるタンパク質)。一部の実施形態におい
て、標的は、突然変異、挿入、欠失、又は多型を有するポリペプチドである。一部の実施
形態において、標的は、細胞(例えば、健常細胞又は疾患若しくは病態と関連する細胞)
により天然に発現されるポリペプチドである。一部の実施形態において、標的は、生物体
を免疫化するため又は生物体中の免疫応答を生成するために、例えば、抗体産生に使用さ
れる抗原、例えば、ポリペプチドである。
【0054】
[0100] 一部の実施形態において、標的は、抗体である。抗体は、別の分子の特定の空
間及び極性組織に特異的に結合し得る。抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、又は
組換え抗体であり得、当技術分野において周知の技術、例えば、宿主の免疫化及び血清の
回収により(ポリクローナル)、又は連続継代性ハイブリッド細胞系を調製し、分泌タン
パク質を回収することにより(モノクローナル)、又は少なくとも天然抗体の特異的結合
に要求されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、若しくはその突然変異誘発バ
ージョンをクローニング及び発現させることにより調製することができる。天然発生抗体
は、ジスルフィド結合により相互連結される少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(
L)鎖を含むタンパク質であり得る。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖
定常領域から構成され得る。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2、及びCH
3を含み得る。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域を含み得る。
軽鎖定常領域は、1つのドメインCLを含み得る。VH及びVL領域は、フレームワーク
領域(FR)と称されるより保存された領域が散在する相補性決定領域(CDR)と称さ
れる超可変の領域にさらに下位分類することができる。それぞれのVH及びVLは、アミ
ノ末端からカルボキシ末端にかけて配置される3つのCDR及び4つのFRから以下の順
序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で構成され得
る。抗体の定常領域は、宿主組織又は因子、例として、免疫系の種々の細胞(例えば、エ
フェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)への免疫グロブリンの結合を媒
介し得る。抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、I
gA及びIgY)、クラス(例えば、lgG1、lgG2、lgG3、lgG4、lgA
1及びlgA2)、サブクラス又はそれらの改変バージョンのものであり得る。抗体とし
ては、完全免疫グロブリン又はその断片を挙げることができる。抗体断片は、結合部分、
例えば、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指し得る。さら
に、免疫グロブリン又はその断片の凝集体、ポリマー、及びコンジュゲートも、特定の分
子についての結合親和性が維持される限り含まれる。抗体断片の例としては、Fab断片
、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片;F(ab)2断片、ヒンジ領
域におけるジスルフィド架橋により結合している2つのFab断片を含む二価断片;VH
及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVL及びVHドメインからな
るFv断片;VHドメインからなる単一ドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al., (19
89) Nature 341:544-46);並びに単離CDR並びにVL及びVH領域が対合して一価分
子を形成する単鎖断片(scFv)(単鎖Fv(scFv)として公知;例えば、Bird e
t al., (1988)Science 242: 423-26;及びHuston et al., (1988) PNAS 85: 5879-83参
照)が挙げられる。したがって、抗体断片としては、Fab、F(ab)2、scFv、
Fv、dAbなどが挙げられる。2つのドメインVL及びVHは別個の遺伝子によりコー
ドされるが、それらは組換え法を使用して、それらを単一タンパク質鎖として作製するこ
とができる人工ぺプチドリンカーにより結合することができる。このような単鎖抗体は、
1つ以上の抗原結合部分を含む。抗体は、多価抗体、例えば、二価、三価、四価、五価、
六価、七価、又は八価抗体であり得る。抗体は、多重特異的抗体であり得る。例えば、二
重特異的、三重特異的、四重特異的、五重特異的、六重特異的、七重特異的、又は八重特
異的抗体を、例えば、任意の2つ以上の抗原結合剤(例えば、Fab、F(ab)2、s
cFv、Fv、IgG)の組合せを組換え結合することにより生成することができる。多
重特異的抗体は、2つ以上の標的、例えば、分解機構及び分解の標的基質、又はユビキチ
ンリガーゼ及びユビキチン化の基質を接近させるために使用することができる。これらの
抗体断片は、当業者に公知の慣用の技術を使用して得ることができ、断片は、インタクト
抗体と同じ様式で有益性についてスクリーニングすることができる。抗体は、ヒト、ヒト
化、キメラ、単離、イヌ、ネコ、ロバ、ヒツジ、任意の植物、動物、又は哺乳動物抗体で
あり得る。
【0055】
[0101] 一部の実施形態において、標的は、リボヌクレオチド及び/又はデオキシリボ
ヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、又はシトシン)のポリマー形態、例えば、
DNA又はRNA(例えば、mRNA)である。DNAとしては、線状DNA分子(例え
ば、制限断片)、ウイルス、プラスミド、及び染色体中で見出される二本鎖DNAが挙げ
られる。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド標的は、一本鎖、二本鎖、小分子干
渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(
tRNA)、染色体、遺伝子、非コードゲノム配列、ゲノムDNA(例えば、断片化ゲノ
ムDNA)、精製ポリヌクレオチド、単離ポリヌクレオチド、ハイブリダイズポリヌクレ
オチド、転写因子結合部位、ミトコンドリアDNA、リボソームRNA、真核生物ポリヌ
クレオチド、原核生物ポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、ライゲートポリヌクレ
オチド、組換えポリヌクレオチド、核酸アナログを含有するポリヌクレオチド、メチル化
ポリヌクレオチド、脱メチル化ポリヌクレオチド、それらの任意の断片、又はそれらの任
意の組合せが挙げられる。一部の実施形態において、標的は、組換えポリヌクレオチドで
ある。一部の実施形態において、標的は、異種ポリヌクレオチドである。例えば、標的は
、細菌(例えば、大腸菌)、酵母、哺乳動物、又は昆虫細胞から産生されるポリヌクレオ
チド(例えば、その生物体に対して異種のポリヌクレオチド)である。一部の実施形態に
おいて、標的は、突然変異、挿入、欠失、又は多型を有するポリヌクレオチドである。
【0056】
[0102] 一部の実施形態において、標的は、アプタマーである。アプタマーは、高い特
異性及び親和性で結合部分又は標的分子、例えば、タンパク質を結合させる単離核酸分子
である。アプタマーは、その所与の標的を特異的に結合するための化学的接触を提供する
、ある立体構造で保持される三次元構造である。アプタマーは核酸ベース分子であるが、
アプタマー及び他の核酸分子、例えば、遺伝子及びmRNA間には根本的な差異が存在す
る。後者の場合、核酸構造は、その線状塩基配列を介して情報をコードし、したがってこ
の配列は情報保存の機能に重要である。完全に対照的に、標的分子の特異的結合に基づく
アプタマー機能は、保存線状塩基配列(非コード配列)に完全に依存するわけではなく、
特定の二次/三次/四次構造に依存する。アプタマーが有し得る任意のコード潜在性は偶
発的であり、アプタマーのそのコグネイト標的への結合において役割を担うとは考えられ
ない。アプタマーは、あるタンパク質に結合する天然発生核酸配列から区別される。これ
らの天然発生核酸配列は、天然発生核酸の転写、翻訳、及び輸送に関与するタンパク質の
特殊サブグループ(例えば、核酸結合タンパク質)に結合する生物体のゲノム内に埋め込
まれた天然発生配列である。他方、アプタマーは、非天然発生核酸分子である。核酸結合
タンパク質を結合させるアプタマーを同定することができる一方、ほとんどの場合、その
ようなアプタマーは、天然で核酸結合タンパク質により認識される配列との配列同一性を
ほとんど有さず、又は有さない。より重要なことに、アプタマーは、実質的にあらゆるタ
ンパク質(核酸結合タンパク質だけでない)及びほぼあらゆる目的パートナー、例として
、小分子、炭水化物、ぺプチドなどを結合させ得る。ほとんどのパートナーについて、タ
ンパク質についても、それが結合する天然発生核酸配列は存在しない。このような配列を
有するパートナー、例えば、核酸結合タンパク質について、そのような配列は、タイトに
結合するアプタマーと比較して天然で使用される比較的低い結合親和性の結果としてアプ
タマーと異なる。アプタマーは、選択パートナーに特異的に結合し、パートナーの活性又
は結合相互作用を、例えば、結合を介してモジュレートし得、アプタマーは、そのパート
ナーが機能する能力を遮断し得る。パートナーへの特異的結合の機能的特性は、アプタマ
ーの固有の特性である。アプタマーは、6~35kDaであり得る。アプタマーは、20
~250ヌクレオチドであり得る。アプタマーは、マイクロモル濃度からナノモル濃度以
下の親和性でそのパートナーを結合させ得、密接に関連する標的を区別し得る(例えば、
アプタマーは、同じ遺伝子ファミリーからの関連タンパク質を選択的に結合し得る)。一
部の場合、アプタマーは、1つの分子にのみ結合する。一部の場合、アプタマーは、目的
分子のファミリーメンバーを結合させる。一部の場合、アプタマーは、複数の異なる分子
に結合する。アプタマーは、一般に見られる分子間相互作用、例えば、水素結合、静電相
補性、疎水性接触、及び立体排除を使用して特異的パートナーと結合し得る。アプタマー
は、治療薬及び診断薬としての使用のための多数の所望の特徴、例として、高い特異性及
び親和性、低い免疫原性、生物学的効力、並びに優れた薬物動態特性を有する。アプタマ
ーは、共有結合している相補性ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションから形成され
る分子ステム及びループ構造(例えば、ヘアピンループ構造)を含み得る。ステムは、ハ
イブリダイズポリヌクレオチドを含み、ループは、2つの相補性ポリヌクレオチドを共有
結合させる領域である。アプタマーは、アプタマー配列を含む線状リボ核酸(例えば、線
状アプタマー)又はアプタマー配列を含む環状ポリリボ核酸(例えば、環状アプタマー)
であり得る。
【0057】
[0103] 一部の実施形態において、標的は、小分子である。例えば、小分子は、大環状
分子、阻害剤、薬物、又は化合物であり得る。一部の実施形態において、小分子は、5つ
以下の水素結合供与体を含有する。一部の実施形態において、小分子は、10個以下の水
素結合受容体を含有する。一部の実施形態において、小分子は、500ダルトン以下の分
子量を有する。一部の実施形態において、小分子は、約180~500ダルトンの分子量
を有する。一部の実施形態において、小分子は、5以下のオクタノール/水分配係数lo
p Pを含有する。一部の実施形態において、小分子は、-0.4~5.6の分配係数l
og Pを有する。一部の実施形態において、小分子は、40~130のモル屈折率を有
する。一部の実施形態において、小分子は、約20~約70個の原子を含有する。一部の
実施形態において、小分子は、140オングストローム2以下の極性表面積を有する。
【0058】
[0104] 一部の実施形態において、標的、細胞である。例えば、標的は、インタクト細
胞、化合物(例えば、薬物)により処理された細胞、固定細胞、溶解細胞、又はそれらの
任意の組合せである。一部の実施形態において、標的は、単一細胞である。一部の実施形
態において、標的は、複数の細胞である。
【0059】
[0105] 一部の実施形態において、circRNAは、単一標的又は複数(例えば、2
つ以上)の標的に対する結合部位を含む。一実施形態において、単一circRNAは、
単一標的のための2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の異なる結合部位を含む
。一実施形態において、単一circRNAは、単一標的のための同じ結合部位の2、3
、4、5、6、7、8、9、10個以上を含む。一実施形態において、単一circRN
Aは、1つ以上の異なる標的のための2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の異
なる結合部位を含む。一実施形態において、2つ以上の標的は、試料、例えば、混合物又
は標的のライブラリー中に存在し、試料は、2つ以上の標的に結合する2つ以上の結合部
位を含むcircRNAを含む。
【0060】
[0106] 一部の実施形態において、単一標的又は複数(例えば、2つ以上)の標的は、
複数の結合部分を有する。一実施形態において、単一標的は、2、3、4、5、6、7、
8、9、10個以上の結合部分を有し得る。一実施形態において、2つ以上の標的は、試
料、例えば、混合物又は標的のライブラリー中に存在し、試料は、2つ以上の結合部分を
含む。一部の実施形態において、単一標的又は複数の標的は、複数の異なる結合部分を含
む。例えば、複数のものは、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15
、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500、1,0
00、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8
,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、1
4,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000
、20,000、25,000、又は30,000個の結合部分を含み得る。
【0061】
[0107] 標的は、少なくとも2つの異なる結合部分を含む複数の結合部分を含み得る。
例えば、結合部分は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13
、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、
80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、90
0、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,
000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,
000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、1
9,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000
、又は25,000個の異なる結合部分を含む複数の結合部分を含み得る。
結合部位及び結合部分
[0108] 一部の例において、circRNAは、1つの結合部位を含む。結合部位は、
アプタマー配列を含み得る。一部の例において、circRNAは、少なくとも2つの結
合部位を含む。例えば、circRNAは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上の結合部位を含み得
る。一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは、1つ以上の標的、又
は1つ以上の標的の1つ以上の結合部分を結合させる分子足場である。それぞれの標的は
、限定されるものではないが、異なる又は同じ核酸(例えば、RNA、DNA、RNA-
DNAハイブリッド)、小分子(例えば、薬物)、アプタマー、ポリペプチド、タンパク
質、脂質、炭水化物、抗体、ウイルス、ウイルス粒子、膜、多成分複合体、細胞、細胞部
分、それらの任意の断片、及びそれらの任意の組合せであり得る。一部の実施形態におい
て、1つ以上の結合部位は、同じ標的に結合する。一部の実施形態において、1つ以上の
結合部位は、同じ標的の1つ以上の結合部分に結合する。一部の実施形態において、1つ
以上の結合部位は、1つ以上の異なる標的に結合する。一部の実施形態において、1つ以
上の結合部位は、異なる標的の1つ以上の結合部分に結合する。一部の実施形態において
、circRNAは、1つ以上の標的への1つ以上の結合のための足場として作用する。
一部の実施形態において、circRNAは、1つ以上の標的の1つ以上の結合部分のた
めの足場として作用する。一部の実施形態において、circRNAは、1つ以上の1つ
以上の標的に特異的に結合することにより細胞プロセスをモジュレートする。一部の実施
形態において、circRNAは、1つ以上の標的の1つ以上の結合部分に特異的に結合
することにより細胞プロセスをモジュレートする。一部の実施形態において、circR
NAは、1つ以上の標的に特異的に結合することにより細胞プロセスをモジュレートする
。一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは、1つ以上の目的特異的
標的のための結合部位を含む。一部の実施形態において、circRNAは、複数の結合
部位又はそれぞれの目的標的のための結合部位の組合せを含む。一部の実施形態において
、circRNAは、複数の結合部位又はそれぞれの目的結合部分のための結合部位の組
合せを含む。例えば、circRNAは、ポリペプチド標的のための1つ以上の結合部位
を含み得る。一部の実施形態において、circRNAは、ポリヌクレオチド標的、例え
ば、DNA又はRNA、mRNA標的、rRNA標的、tRNA標的、又はゲノムDNA
標的のための1つ以上の結合部位を含む。
【0062】
[0109] 一部の例において、circRNAは、一本鎖DNAのための結合部位を含む
。一部の例において、circRNAは、二本鎖DNAのための結合部位を含む。一部の
例において、circRNAは、抗体のための結合部位を含む。一部の例において、ci
rcRNAは、ウイルス粒子のための結合部位を含む。一部の例において、circRN
Aは、小分子のための結合部位を含む。一部の例において、circRNAは、細胞中で
又は細胞上で結合する結合部位を含む。一部の例において、circRNAは、RNA-
DNAハイブリッドのための結合部位を含む。一部の例において、circRNAは、メ
チル化ポリヌクレオチドのための結合部位を含む。一部の例において、circRNAは
、非メチル化ポリヌクレオチドのための結合部位を含む。一部の例において、circR
NAは、アプタマーのための結合部位を含む。一部の例において、circRNAは、ポ
リペプチドのための結合部位を含む。一部の例において、circRNAは、ポリペプチ
ド、タンパク質、タンパク質断片、タグ化タンパク質、抗体、抗体断片、小分子、ウイル
ス粒子(例えば、膜貫通タンパク質を含むウイルス粒子)、又は細胞のための結合部位を
含む。一部の例において、circRNAは、一本鎖DNA上の結合部分のための結合部
位を含む。一部の例において、circRNAは、二本鎖DNA上の結合部分のための結
合部位を含む。一部の例において、circRNAは、抗体上の結合部分のための結合部
位を含む。一部の例において、circRNAは、ウイルス粒子上の結合部分のための結
合部位を含む。一部の例において、circRNAは、小分子上の結合部分のための結合
部位を含む。一部の例において、circRNAは、細胞中又は細胞上の結合部分のため
の結合部位を含む。一部の例において、circRNAは、RNA-DNAハイブリッド
上の結合部分のための結合部位を含む。一部の例において、circRNAは、メチル化
ポリヌクレオチド上の結合部分のための結合部位を含む。一部の例において、circR
NAは、非メチル化ポリヌクレオチド上の結合部分のための結合部位を含む。一部の例に
おいて、circRNAは、アプタマー上の結合部分のための結合部位を含む。一部の例
において、circRNAは、ポリペプチド上の結合部分のための結合部位を含む。一部
の例において、circRNAは、ポリペプチド、タンパク質、タンパク質断片、タグ化
タンパク質、抗体、抗体断片、小分子、ウイルス粒子(例えば、膜貫通タンパク質を含む
ウイルス粒子)、又は細胞上の結合部分のための結合部位を含む。
【0063】
[0110] 一部の例において、結合部位は、少なくとも2つのアミド結合を含む標的の一
部に結合する。一部の例において、結合部位は、ホスホジエステル結合を含む標的の一部
に結合しない。一部の例において、標的の一部は、DNAでもRNAでもない。一部の例
において、結合部分は、少なくとも2つのアミド結合を含む。一部の例において、結合部
分は、ホスホジエステル結合を含まない。一部の例において、結合部分は、DNAでもR
NAでもない。
【0064】
[0111] 本明細書に提供されるcircRNAは、複合体上の結合部分のための1つ以
上の結合部位を含み得る。本明細書に提供されるcircRNAは、複合体を形成するた
めの標的のための1つ以上の結合部位を含み得る。例えば、本明細書に提供されるcir
cRNAは、circRNA及び標的間の複合体を形成するための足場として作用し得る
。一部の実施形態において、circRNAは、単一標的との複合体を形成する。一部の
実施形態において、circRNAは、2つの標的との複合体を形成する。一部の実施形
態において、circRNAは、3つの標的との複合体を形成する。一部の実施形態にお
いて、circRNAは、4つの標的との複合体を形成する。一部の実施形態において、
circRNAは、5つ以上の標的との複合体を形成する。一部の実施形態において、c
ircRNAは、2つ以上の標的の複合体との複合体を形成する。一部の実施形態におい
て、circRNAは、3つ以上の標的の複合体との複合体を形成する。一部の実施形態
において、2つ以上のcircRNAは、単一標的との複合体を形成する。一部の実施形
態において、2つ以上のcircRNAは、2つ以上の標的との複合体を形成する。一部
の実施形態において、第1のcircRNAは、第1の標的の第1の結合部分及び第2の
標的の第2の異なる結合部分との複合体を形成する。一部の実施形態において、第1のc
ircRNAは、第1の標的の第1の結合部分との複合体を形成し、第2のcircRN
Aは、第2の標的の第2の結合部分との複合体を形成する。
【0065】
[0112] 一部の実施形態において、circRNAは、1つ以上の抗体-ポリペプチド
複合体、ポリペプチド-ポリペプチド複合体、ポリペプチド-DNA複合体、ポリペプチ
ド-RNA複合体、ポリペプチド-アプタマー複合体、ウイルス粒子-抗体複合体、ウイ
ルス粒子-ポリペプチド複合体、ウイルス粒子-DNA複合体、ウイルス粒子-RNA複
合体、ウイルス粒子-アプタマー複合体、細胞-抗体複合体、細胞-ポリペプチド複合体
、細胞-DNA複合体、細胞-RNA複合体、細胞-アプタマー複合体、小分子-ポリペ
プチド複合体、小分子-DNA複合体、小分子-アプタマー複合体、小分子-細胞複合体
、小分子-ウイルス粒子複合体、及びそれらの組合せのための結合部位を含み得る。
【0066】
[0113] 一部の実施形態において、circRNAは、1つ以上の抗体-ポリペプチド
複合体、ポリペプチド-ポリペプチド複合体、ポリペプチド-DNA複合体、ポリペプチ
ド-RNA複合体、ポリペプチド-アプタマー複合体、ウイルス粒子-抗体複合体、ウイ
ルス粒子-ポリペプチド複合体、ウイルス粒子-DNA複合体、ウイルス粒子-RNA複
合体、ウイルス粒子-アプタマー複合体、細胞-抗体複合体、細胞-ポリペプチド複合体
、細胞-DNA複合体、細胞-RNA複合体、細胞-アプタマー複合体、小分子-ポリペ
プチド複合体、小分子-DNA複合体、小分子-アプタマー複合体、小分子-細胞複合体
、小分子-ウイルス粒子複合体、及びそれらの組合せ上の1つ以上の結合部分のための結
合部位を含み得る。
【0067】
[0114] 一部の例において、結合部位は、ポリペプチド、タンパク質、又はそれらの断
片に結合する。一部の実施形態において、結合部位は、標的のポリペプチド、タンパク質
、又はそれらの断片のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。例えば
、結合部位は、単離ポリペプチド、細胞のポリペプチド、精製ポリペプチド、又は組換え
ポリペプチドのドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。例えば、結合
部位は、抗体又はその断片のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。
例えば、結合部位は、転写因子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合す
る。例えば、結合部位は、受容体のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合
する。例えば、結合部位は、膜貫通受容体のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一
部に結合する。結合部位は、単離、精製、及び/又は組換えポリペプチドのドメイン、断
片、エピトープ、領域、又は一部に結合し得る。結合部位は、被分析物の混合物(例えば
、溶解物)のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合し得る。例えば、結合
部位は、複数の細胞から又は単一細胞の溶解物からのドメイン、断片、エピトープ、領域
、又は一部に結合する。結合部位は、標的の結合部分に結合し得る。一部の例において、
結合部分は、ポリペプチド、タンパク質、又はそれらの断片上に存在する。一部の実施形
態において、結合部分は、ポリペプチド、タンパク質、又はそれらの断片のドメイン、断
片、エピトープ、領域、又は一部を含む。例えば、結合部分は、単離ポリペプチド、細胞
のポリペプチド、精製ポリペプチド、又は組換えポリペプチドのドメイン、断片、エピト
ープ、領域、又は一部を含む。例えば、結合部分は、抗体又はその断片のドメイン、断片
、エピトープ、領域、又は一部を含む。例えば、結合部分は、転写因子のドメイン、断片
、エピトープ、領域、又は一部を含む。例えば、結合部分は、受容体のドメイン、断片、
エピトープ、領域、又は一部を含む。例えば、結合部分は、膜貫通受容体のドメイン、断
片、エピトープ、領域、又は一部を含む。結合部分は、単離、精製、及び/又は組換えポ
リペプチドのドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し得、又はそれらを
含む。結合部分は、被分析物の混合物(例えば、溶解物)のドメイン、断片、エピトープ
、領域、又は一部上の結合部分、又はそれらを含む。例えば、結合部分は、複数の細胞か
ら又は単一細胞の溶解物からのドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し
、又はそれらを含む。
【0068】
[0115] 一部の例において、結合部位は、化合物(例えば、小分子)のドメイン、断片
、エピトープ、領域、又は一部に結合する。例えば、結合は、薬物のドメイン、断片、エ
ピトープ、領域、又は一部に結合する。例えば、結合部位は、化合物のドメイン、断片、
エピトープ、領域、又は一部に結合する。例えば、結合部分は、有機化合物のドメイン、
断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。一部の例において、結合部位は、900
ダルトン以下の分子量を有する小分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に
結合する。一部の例において、結合部位は、500ダルトン以上の分子量を有する小分子
のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。結合部位が結合する小分子
の一部は、例えば、天然発生又は合成分子のライブラリー、例として、コンビナトリアル
手段を介して産生される化合物のライブラリー、すなわち、化合物多様性コンビナトリア
ルライブラリーから得ることができる。コンビナトリアルライブラリー、並びにその産生
及びスクリーニングの方法は当技術分野において公知であり、開示が参照により本明細書
に組み込まれる米国特許第5,741,713号明細書;同第5,734,018号明細
書;同第5,731,423号明細書;同第5,721,099号明細書;同第5,70
8,153号明細書;同第5,698,673号明細書;同第5,688,997号明細
書;同第5,688,696号明細書;同第5,684,711号明細書;同第5,64
1,862号明細書;同第5,639,603号明細書;同第5,593,853号明細
書;同第5,574,656号明細書;同第5,571,698号明細書;同第5,56
5,324号明細書;同第5,549,974号明細書;同第5,545,568号明細
書;同第5,541,061号明細書;同第5,525,735号明細書;同第5,46
3,564号明細書;同第5,440,016号明細書;同第5,438,119号明細
書;同第5,223,409号明細書に記載されている。結合部位は、小分子の結合部分
に結合し得る。一部の例において、結合部分は、小分子のドメイン、断片、エピトープ、
領域、又は一部上に存在し、又はそれらを含む。例えば、結合部分は、薬物のドメイン、
断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又はそれらを含む。例えば、結合部分は
、化合物のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又はそれらを含む
。例えば、結合部分は、有機化合物のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に
存在し、又はそれらを含む。一部の例において、結合部分は、900ダルトン以下の分子
量を有する小分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又はそれ
らを含む。一部の例において、結合部分は、500ダルトン以上の分子量を有する小分子
のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又はそれらを含む。結合部
分は、例えば、天然発生又は合成分子のライブラリー、例として、コンビナトリアル手段
を介して産生される化合物のライブラリー、すなわち、化合物多様性コンビナトリアルラ
イブラリーから得ることができる。コンビナトリアルライブラリー、並びにその産生及び
スクリーニングの方法は当技術分野において公知であり、開示が参照により本明細書に組
み込まれる米国特許第5,741,713号明細書;同第5,734,018号明細書;
同第5,731,423号明細書;同第5,721,099号明細書;同第5,708,
153号明細書;同第5,698,673号明細書;同第5,688,997号明細書;
同第5,688,696号明細書;同第5,684,711号明細書;同第5,641,
862号明細書;同第5,639,603号明細書;同第5,593,853号明細書;
同第5,574,656号明細書;同第5,571,698号明細書;同第5,565,
324号明細書;同第5,549,974号明細書;同第5,545,568号明細書;
同第5,541,061号明細書;同第5,525,735号明細書;同第5,463,
564号明細書;同第5,440,016号明細書;同第5,438,119号明細書;
同第5,223,409号明細書に記載されている。
【0069】
[0116] 結合部位は、特異的結合ペア(例えば、リガンド)のメンバーのドメイン、断
片、エピトープ、領域、又は一部に結合し得る。結合部位は、一価(モノエピトープ)又
は多価(ポリエピトープ)のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合し得る
。結合部位は、標的の抗原性又はハプテン性部分に結合し得る。結合部位は、単一分子又
は少なくとも1つの共通するエピトープ若しくは決定基部位を共有する複数の分子のドメ
イン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合し得る。結合部位は、細胞(例えば、細
菌細胞、植物細胞、又は動物細胞)の一部分のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は
一部に結合し得る。結合部位は、天然環境(例えば、組織)、培養細胞、又は微生物(例
えば、細菌、真菌、原生動物又はウイルス)、又は溶解細胞中に存在する標的に結合し得
る。結合部位は、1つ以上の追加の結合部位を提供するために(例えば、化学的に)修飾
されている標的の一部、例えば、限定されるものではないが、色素(例えば、蛍光色素)
、ポリペプチド修飾部分、例えば、ホスフェート基、炭水化物基など、又はポリヌクレオ
チド修飾部分、例えば、メチル基に結合し得る。結合部位は、特異的結合ペアのメンバー
の結合部分に結合し得る。結合部分は、特異的結合ペア(例えば、リガンド)のメンバー
のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又はそれらを含み得る。結
合部分は、一価(モノエピトープ)又は多価(ポリエピトープ)のドメイン、断片、エピ
トープ、領域、又は一部上に存在し、又はそれらを含み得る。結合部分は、抗原性又はハ
プテン性であり得る。結合部分は、単一分子又は少なくとも1つの共通するエピトープ若
しくは決定基部位を共有する複数の分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部
上に存在し、又はそれらを含み得る。結合部分は、細胞(例えば、細菌細胞、植物細胞、
又は動物細胞)の一部分のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又
はそれらを含み得る。結合部分は、天然環境(例えば、組織)、培養細胞、又は微生物(
例えば、細菌、真菌、原生動物、又はウイルス)、又は溶解細胞中のいずれかに存在し得
る。結合部分は、1つ以上の追加の結合部位、例えば、限定されるものではないが、色素
(例えば、蛍光色素)、ポリペプチド修飾部分、例えば、リン酸基、炭水化物基など、又
はポリヌクレオチド修飾部分、例えば、メチル基を提供するために(例えば、化学的に)
修飾されていてよい。
【0070】
[0117] 一部の例において、結合部位は、宿主からの試料中で見出される分子のドメイ
ン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。結合部位は、宿主からの試料中で見
出される分子の結合部分に結合し得る。一部の例において、結合部分は、宿主からの試料
中で見出される分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又はそ
れらを含む。宿主からの試料としては、体液(例えば、尿、血液、血漿、血清、唾液、精
液、糞便、痰、脳脊髄液、涙液、粘液など)が挙げられる。試料は、直接試験することが
でき、又は結合部分をより容易に検出可能とするように前処理することができる。試料は
、生物又は死滅生物からのある量の物質を含む。試料は、天然、組換え、合成、又は非天
然発生であり得る。結合部位は、細胞から天然に又は組換えにより発現され、細胞溶解物
若しくは細胞培養培地、インビトロ翻訳試料、又は試料(例えば、細胞溶解物)からの免
疫沈降物中に存在する上記のいずれかに結合し得る。結合部分は、細胞から天然に又は組
換えにより発現され、細胞溶解物若しくは細胞培養培地、インビトロ翻訳試料、又は試料
(例えば、細胞溶解物)からの免疫沈降物中に存在する上記のいずれかであり得る。
【0071】
[0118] 一部の例において、結合部位は、無細胞系又はインビトロで発現される標的に
結合する。例えば、結合部位は、細胞抽出物中で標的に結合する。一部の例において、結
合部位は、DNAテンプレート、並びに転写及び翻訳のための試薬を有する細胞抽出物中
の標的に結合する。結合部位は、無細胞系又はインビトロで発現される標的の結合部分に
結合し得る。一部の例において、標的の結合部分は、無細胞系又はインビトロで発現され
る。例えば、標的の結合部分は、細胞抽出物中に存在する。一部の例において、標的の結
合部分は、DNAテンプレート、並びに転写及び翻訳のための試薬を有する細胞抽出物中
に存在する。使用することができる細胞抽出物の例示的な資源としては、小麦胚芽、大腸
菌、ウサギ網状赤血球、超耐熱性細菌、ハイブリドーマ、ゼノパス属(Xenopus)卵母細
胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)が挙げられる。標的ポリペプチド
を発現させるため(例えば、アレイ上で標的ポリペプチドを産生させるため)に使用する
ことができる例示的な無細胞法としては、タンパク質インサイチュアレイ(Protein in s
itu arrays)(PISA)、マルチプルスポッティング技術(Multiplespotting techni
que)(MIST)、自己集合mRNA翻訳、核酸プログラマブルタンパク質アレイ(Nuc
leic acidprogrammable protein array)(NAPPA)、ナノウェルNAPPA、DN
Aアレイ-タンパク質アレイ(DNA array to protein array)(DAPA)、メンブレン
フリー(membrane-free)DAPA、ナノウェルコピー化及びμIP-マイクロインタリ
オプリンティング、並びにpMAC-タンパク質マイクロアレイコピー化が挙げられる(
Kilb et al., Eng.Life Sci. 2014, 14, 352-364参照)。
【0072】
[0119] 一部の例において、結合部位は、DNAテンプレートからインサイチュで(例
えば、アレイの固体基板上で)合成される標的に結合する。結合部位は、インサイチュで
合成される標的の結合部分に結合し得る。一部の例において、標的の結合部分は、DNA
テンプレートからインサイチュで(例えば、アレイの固体基板上で)合成される。一部の
例において、複数の結合部分は、複数の対応するDNAテンプレートから並行又は単一反
応でインサイチュで合成される。インサイチュ標的ポリペプチド発現の例示的方法として
は、Stevens,Structure 8(9): R177-R185 (2000);Katzen et al., Trends Biotechnol.
23(3):150-6. (2005);He et al., Curr. Opin. Biotechnol. 19(1): 4-9. (2008);Ra
machandran etal., Science 305 (5680): 86-90. (2004);He et al., Nucleic Acids R
es. 29(15):E73-3 (2001);Angenendt et al., Mol. Cell Proteomics 5(9): 1658-66 (
2006);Tao etal, Nat Biotechnol 24(10): 1253-4 (2006);Angenendt et al., Anal.
Chem. 76(7):1844-9(2004);Kinpara et al., J. Biochem. 136(2): 149-54 (2004);Ta
kulapalli etal., J. Proteome Res. 11(8): 4382-91 (2012);He et al., Nat. Method
s 5(2): 175-7(2008);Chatterjee and J. LaBaer, Curr Opin Biotech 17(4): 334-336
(2006);Heand Wang, Biomol Eng 24(4): 375-80 (2007);及びHe and Taussig, J. Im
munol. Methods 274(1-2):265-70 (2003)に記載のものが挙げられる。
【0073】
[0120] 一部の例において、結合部位は、少なくとも6ヌクレオチド、例えば、少なく
とも8、9、10、12、15、20、25、30、40、50、又は100ヌクレオチ
ドのスパンを含む核酸標的に結合する。一部の例において、結合部位は、ヌクレオチドの
連続ストレッチを含むタンパク質標的に結合する。一部の例において、結合部位は、ヌク
レオチドの非連続ストレッチを含むタンパク質標的に結合する。一部の例において、結合
部位は、核酸配列中のヌクレオチドの突然変異又は機能的突然変異、例として、欠失、付
加、スワップ、又はトランケーションの部位を含む核酸標的に結合する。結合部位は、核
酸標的の結合部分に結合し得る。一部の例において、核酸標的の結合部分は、少なくとも
6ヌクレオチド、例えば、少なくとも8、9、10、12、15、20、25、30、4
0、50、又は100ヌクレオチドのスパンを含む。一部の例において、タンパク質標的
の結合部分は、ヌクレオチドの連続ストレッチを含む。一部の例において、タンパク質標
的の結合部分は、ヌクレオチドの非連続ストレッチを含む。一部の例において、核酸標的
の結合部分は、核酸配列中のヌクレオチドの突然変異又は機能的突然変異、例として、欠
失、付加、スワップ、又はトランケーションの部位を含む。
【0074】
[0121] 一部の例において、結合部位は、少なくとも6アミノ酸、例えば、少なくとも
8、9、10、12、15、20、25、30、40、50、又は100アミノ酸のスパ
ンを含むタンパク質標的に結合する。一部の例において、結合部位は、アミノ酸の連続ス
トレッチを含むタンパク質標的に結合する。一部の例において、結合部位は、アミノ酸の
非連続ストレッチを含むタンパク質標的に結合する。一部の例において、結合部位は、ポ
リペプチド配列中のアミノ酸の突然変異又は機能的突然変異、例として、欠失、付加、ス
ワップ、又はトランケーションの部位を含むタンパク質標的に結合する。結合部位は、タ
ンパク質標的の結合部分に結合し得る。一部の例において、タンパク質標的の結合部分は
、少なくとも6アミノ酸、例えば、少なくとも8、9、10、12、15、20、25、
30、40、50、又は100アミノ酸のスパンを含む。一部の例において、タンパク質
標的の結合部分は、アミノ酸の連続ストレッチを含む。一部の例において、タンパク質標
的の結合部分は、アミノ酸の非連続ストレッチを含む。一部の例において、タンパク質標
的の結合部分は、ポリペプチド配列中のアミノ酸の突然変異又は機能的突然変異、例とし
て、欠失、付加、スワップ、又はトランケーションの部位を含む。
【0075】
[0122] 一部の実施形態において、結合部位は、膜結合タンパク質のドメイン、断片、
エピトープ、領域、又は一部に結合する。結合部位は、膜結合タンパク質の結合部分に結
合し得る。一部の実施形態において、結合部分は、膜結合タンパク質のドメイン、断片、
エピトープ、領域、又は一部上に存在し、又はそれらを含む。例示的な膜結合タンパク質
としては、限定されるものではないが、GPCR(例えば、アドレナリン受容体、アンジ
オテンシン受容体、コレシストキニン受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ニュ
ーロテンシン受容体、ガラニン受容体、ドーパミン受容体、オピオイド受容体、エロトニ
ン(erotonin)受容体、ソマトスタチン受容体など)、イオンチャネル(例えば、ニコチ
ン性アセチルコリン受容体、ナトリウムチャネル、カリウムチャネルなど)、非興奮性及
び興奮性チャネル、受容体チロシンキナーゼ、受容体セリン/トレオニンキナーゼ、受容
体グアニル酸シクラーゼ、成長因子及びホルモン受容体(例えば、上皮成長因子(EGF
)受容体)などが挙げられる。結合部位は、膜結合タンパク質の突然変異体又は修飾バリ
アントのドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合し得る。結合部位は、膜結
合タンパク質の突然変異体又は修飾バリアントの結合部分に結合し得る。結合部分は、膜
結合タンパク質の突然変異体又は修飾バリアントのドメイン、断片、エピトープ、領域、
又は一部上にも存在し、又はそれらも含み得る。例えば、一部のGPCRの単一又は複数
の点突然変異は機能を保持し、疾患に関与する(例えば、Stadel et al., (1997) Trends
inPharmacological Review 18: 430-37参照)。
【0076】
[0123] 結合部位は、例えば、ユビキチンリガーゼのドメイン、断片、エピトープ、領
域、又は一部に結合する。結合部位は、例えば、ユビキチンアダプター、プロテアソーム
アダプター、又はプロテアソームタンパク質のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は
一部に結合する。結合部位は、例えば、エンドサイトーシス、食作用、リソソーム経路、
オートファジー経路、マクロオートファジー、マイクロオートファジー、シャペロン媒介
オートファジー、多胞体経路、又はそれらの組合せに関与するタンパク質のドメイン、断
片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。一部の例において、結合部位は、結合部分
に結合する。結合部分は、例えば、ユビキチンリガーゼのドメイン、断片、エピトープ、
領域、又は一部を含み得る。結合部分は、例えば、ユビキチンアダプター、プロテアソー
ムアダプター、又はプロテアソームタンパク質のドメイン、断片、エピトープ、領域、又
は一部を含み得る。結合部分は、例えば、エンドサイトーシス、食作用、リソソーム経路
、オートファジー経路、マクロオートファジー、マイクロオートファジー、シャペロン媒
介オートファジー、多胞体経路、又はそれらの組合せに関与するタンパク質のドメイン、
断片、エピトープ、領域、又は一部を含み得る。
【0077】
[0124] 結合部位は、例えば、疾患又は病態と関連するタンパク質のドメイン、断片、
エピトープ、領域、又は一部に結合する。結合部位は、例えば、癌原遺伝子のドメイン、
断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。結合部位は、例えば、癌遺伝子のドメイ
ン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。結合部位は、例えば、腫瘍抑制遺伝
子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結合する。結合部位は、例えば、炎
症遺伝子(例えば、サイトカイン)のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部に結
合する。結合部位は、結合部分に結合し得る。結合部分は、例えば、疾患又は病態と関連
するタンパク質のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部を含み得る。結合部分は
、例えば、癌原遺伝子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部を含み得る。結合
部分は、例えば、癌遺伝子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部を含み得る。
結合部分は、例えば、腫瘍抑制遺伝子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は一部を
含み得る。結合部分は、例えば、炎症遺伝子(例えば、サイトカイン)のドメイン、断片
、エピトープ、領域、又は一部を含み得る。
【0078】
[0125]
図1は、配列特異的RNA結合モチーフ、配列特異的DNA結合モチーフ、及
びタンパク質特異的結合モチーフを有する環状ポリリボヌクレオチドの一例を示す。一部
の実施形態において、circRNAは、他の細胞内分子の結合のための他の結合モチー
フを含み得る。circRNA用途の非限定的な例は、表1に列挙される。
【0079】
【0080】
RNA結合部位
[0126] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のRNA結
合部位を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内因性遺伝子及
び/又は外因性遺伝子の発現を改変するRNA結合部位を含む。一部の実施形態において
、RNA結合部位は、宿主遺伝子の発現をモジュレートする。RNA結合部位は、内因性
遺伝子(例えば、本明細書に記載のmiRNA、siRNA、mRNA、lncRNA、
RNA、DNA、アンチセンスRNA、gRNAについての配列)にハイブリダイズする
配列、外因性核酸、例えば、ウイルスDNA若しくはRNAにハイブリダイズする配列、
RNAにハイブリダイズする配列、遺伝子転写を干渉する配列、RNA翻訳を干渉する配
列、例えば、分解の標的化を介してRNAを安定化させ、若しくはRNAを脱安定化させ
る配列、又はDNA若しくはRNA結合因子をモジュレートする配列を含み得る。一部の
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、RNAに結合するアプタマー配列を含
む。アプタマー配列は、内因性遺伝子(例えば、本明細書に記載のmiRNA、siRN
A、mRNA、lncRNA、RNA、DNA、アンチセンスRNA、gRNAについて
の配列)に、外因性核酸、例えば、ウイルスDNA若しくはRNAに、RNAに、遺伝子
転写を干渉する配列に、RNA翻訳を干渉する配列に、例えば、分解の標的化を介してR
NAを安定化させ、若しくはRNAを脱安定化させる配列に、又はDNA若しくはRNA
結合因子をモジュレートする配列に結合し得る。アプタマー配列の二次構造は、RNAに
結合し得る。環状RNAは、アプタマー配列をRNAに結合することによりRNAとの複
合体を形成し得る。
【0081】
[0127] 一部の実施形態において、RNA結合部位は、tRNA、lncRNA、li
ncRNA、miRNA、rRNA、snRNA、マイクロRNA、siRNA、piR
NA、snoRNA、snRNA、exRNA、scaRNA、Y RNA、及びhnR
NA結合部位のものであり得る。RNA結合部位は、当業者に周知である。
【0082】
[0128] あるRNA結合部位は、RNA干渉(RNAi)の生物学的プロセスを介して
遺伝子発現を阻害し得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、典型
的には、15~50塩基対(例えば、約18~25塩基対)を有し、細胞内で発現される
標的遺伝子中のコード配列に同一(相補的)又はほぼ同一(実質的に相補的)の核酸塩基
配列を有するRNA又はRNA様構造を有するRNAi分子を含む。RNAi分子として
は、限定されるものではないが、短鎖干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsR
NA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、メロデュ
プレックス(meroduplex)、及びダイサー基質が挙げられる。
【0083】
[0129] 一部の実施形態において、RNA結合部位は、siRNA又はshRNAを含
む。siRNA及びshRNAは、内因性miRNA遺伝子のプロセシング経路における
中間体が類似する。一部の実施形態において、siRNAは、miRNAとして機能し得
、その逆も可能である。マイクロRNA、例えば、siRNAは、RISCを使用して標
的遺伝子を下方調節し得るが、siRNAとは異なり、ほとんどの動物miRNAは、m
RNAを開裂しない。その代わり、miRNAは、翻訳抑制又はポリA除去及びmRNA
分解を介してタンパク質アウトプットを低減させる。公知のmiRNA結合部位は、mR
NA3’-UTR内に存在し;miRNAは、miRNAの5’末端からのヌクレオチド
2~8とのほぼ完全な相補性を有する部位を標的化すると考えられる。この領域は、シー
ド領域として公知である。siRNA及びmiRNAは互換的であるため、外因性siR
NAは、siRNAとのシード相補性を有するmRNAを下方調節し得る。3’-UTR
内の複数の標的部位は、より強力な下方調節を与え得る。
【0084】
[0130] マイクロRNA(miRNA)は、核酸分子の3’-UTRに結合し、核酸分
子安定性を低減させることにより、又は翻訳を阻害することにより遺伝子発現を下方調節
する短鎖非コードRNAである。環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のmiRNA標
的配列、miRNA配列、又はmiRNAシードを含み得る。このような配列は、任意の
miRNAに対応し得る。
【0085】
[0131] miRNA配列は、「シード」領域、すなわち、配列がmiRNA標的配列と
のワトソン・クリック相補性を有する成熟miRNAの2~8位の領域中の配列を含む。
miRNAシードは、成熟miRNAの2~8又は2~7位を含み得る。一部の実施形態
において、miRNAシードは、7ヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチ
ド2~8)を含み得、対応するmiRNA標的中のシード相補的部位は、miRNA1位
と対向するアデニン(A)によりフランキングされている。一部の実施形態において、m
iRNAシードは、6ヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2~7)を
含み得、対応するmiRNA標的中のシード相補的部位は、1位におけるmiRNAと対
向するアデニン(A)によりフランキングされている。
【0086】
[0132] miRNAシードの塩基は、標的配列と実質的に相補的であり得る。miRN
A標的配列を環状ポリリボヌクレオチド中に遺伝子操作することにより、環状ポリリボヌ
クレオチドは宿主の免疫系を回避し、又はそれにより検出され得、モジュレートされた分
解、又はモジュレートされた翻訳を有する。このプロセスは、環状ポリリボヌクレオチド
送達時のオフターゲット効果の危険性を低減させ得る。
【0087】
[0133] 環状ポリリボヌクレオチドは、標的遺伝子の約5~約25個の連続ヌクレオチ
ドと同一のmiRNA配列を含み得る。一部の実施形態において、miRNA配列はmR
NAを標的化し、ジヌクレオチドAAから始まり、約30%~70%、約30%~60%
、約40%~60%、又は約45%~55%のGC含有率を含み、例えば、標準的なBL
AST検索により決定して、それを導入すべき哺乳動物のゲノム中の標的以外の任意のヌ
クレオチド配列との高い同一性の割合を有さない。
【0088】
[0134] 逆に、miRNA結合部位を環状ポリリボヌクレオチドから遺伝子操作により
排除(すなわち、除去)して特異的組織中のタンパク質発現をモジュレートすることがで
きる。複数の組織中の発現の調節は、1つ又はいくつかのmiRNA結合部位の導入又は
除去を介して達成することができる。
【0089】
[0135] miRNAがmRNAを調節し、それによりタンパク質発現を調節することが
公知の組織の例としては、限定されるものではないが、肝臓(miR-122)、筋肉(
miR-133、miR-206、miR-208)、内皮細胞(miR-17-92、
miR-126)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、miR-
16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、脂肪組織(le
t-7、miR-30c)、心臓(miR-ld、miR-149)、腎臓(miR-1
92、miR-194、miR-204)、及び肺上皮細胞(let-7、miR-13
3、miR-126)が挙げられる。miRNAは、複雑な生物学的プロセス、例えば、
血管新生も調節し得る(miR-132)。本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド
において、そのようなプロセスに関与するmiRNAのための結合部位を除去し、又は導
入して環状ポリリボヌクレオチドからの発現を生物学的に関連する細胞タイプに又は関連
する生物学的プロセスの状況に合わせることができる。一部の実施形態において、miR
NA結合部位は、例えば、例えば、miR-7を含む。
【0090】
[0136] 異なる細胞タイプにおけるmiRNAの発現パターンの理解を介して、本明細
書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、特異的細胞タイプ中で又は特異的生物学的条件
下でのみ、より標的化される発現のために遺伝子操作することができる。組織特異的mi
RNA結合部位の導入を介して、環状ポリリボヌクレオチドは、組織中又は生物学的条件
の状況における最適なタンパク質発現のために設計することができる。
【0091】
[0137] さらに、miRNAシード部位を環状ポリリボヌクレオチド中に取り込んで生
物学的改善をもたらすある細胞中の発現をモジュレートすることができる。この一例は、
miR-142部位の取り込みである。本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド中へ
のmiR-142部位の取り込みは、造血細胞中の発現をモジュレートし得るだけでなく
、環状ポリリボヌクレオチド中でコードされるタンパク質に対する免疫応答も低減させ、
又は停止させ得る。
【0092】
[0138] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのm
iRNA、例えば、2、3、4、5、6つ以上のものを含む。一部の実施形態において、
環状ポリリボヌクレオチドは、ヌクレオチド配列又は標的配列に相補的な配列のいずれか
1つとの少なくとも約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約
97%、約98%、約99%、又は100%のヌクレオチド配列同一性を有するmiRN
Aを含む。
【0093】
[0139] 公知のmiRNA配列のリストは、研究機関、例えば、WellcomeTrust Sange
r Institute,Penn Center for Bioinformatics, Memorial Sloan Kettering Cancer Cen
ter、及びEuropeanMolecule Biology Laboratoryにより維持されるデータベースに見出
すことができる。RNAi分子は、当技術分野において公知の技術により容易に設計し、
産生することができる。さらに、計算ツールを使用して有効且つ特異的な配列モチーフを
決定することができる。
【0094】
[0140] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、長鎖非コードRNA
を含む。長鎖非コードRNA(lncRNA)は、100ヌクレオチドよりも長い非タン
パク質コード転写産物を含む。より長い長さは、lncRNAを小分子調節RNA、例え
ば、miRNA、siRNA、及び他の短鎖RNAと区別する。一般に、lncRNAの
大多数(約78%)は、組織特異的であることを特徴とする。隣接タンパク質コード遺伝
子と逆方向で転写される多様なlncRNA(哺乳動物ゲノムにおける全lncRNAの
かなりの比率約20%を占める)は、隣接遺伝子の転写を調節し得る。
【0095】
[0141] RNA結合部位の長さは、約5~30ヌクレオチド、約10~30ヌクレオチ
ド、又は約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22
、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド以上であり得る。目的
標的に対するRNA結合部位の同一性の程度は、少なくとも75%、少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%であり得る。
【0096】
[0142] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の長鎖遺伝
子間非コードRNA(lincRNA)結合部位を含む。lincRNAは、長鎖非コー
ドRNAの大半を占める。lincRNAは、非コード転写産物であり、一部の実施形態
において、約200ヌクレオチド長超である。一部の実施形態において、lincRNA
は、タンパク質コード遺伝子と同様のエキソン-イントロン-エキソン構造を有するが、
オープンリーディングフレームを包含せず、タンパク質をコードしない。lincRNA
発現は、コード遺伝子と比較して顕著に組織特異的であり得る。lincRNAは、典型
的には、それらの隣接遺伝子と、隣接タンパク質コード遺伝子のペアのものと類似の程度
で同時発現される。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状化li
ncRNAを含む。
【0097】
[0143] 一部の実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドは
、1つ以上のlincRNA、例えば、FIRRE、LINC00969、PVT1、L
INC01608、JPX、LINC01572、LINC00355、C1orf13
2、C3orf35、RP11-734、LINC01608、CC-499B15.5
、CASC15、LINC00937、及びRP11-191を含む。
【0098】
[0144] 公知のlincRNA及びlncRNA配列のリストは、研究機関、例えば、
Institute ofGenomics and Integrative Biology, Diamantina Institute at the Unive
rsity ofQueensland, Ghent University、及びSun Yat-sen Universityにより維持され
るデータベースに見出すことができる。lincRNA及びlncRNA分子は、当技術
分野において公知の技術により容易に設計し、産生することができる。さらに、計算ツー
ルを使用して有効且つ特異的な配列モチーフを決定することができる。
【0099】
[0145] RNA結合部位は、内因性遺伝子又は遺伝子産物(例えば、mRNA)の全て
又は断片に実質的に相補的な、又は完全に相補的な配列を含み得る。相補的配列は、特異
的遺伝子の新たに生成される核内RNA転写産物の転写のためのmRNAへの成熟を防止
するためのイントロン及びエキソン間の境界における相補配列であり得る。相補的配列は
、遺伝子のためのmRNAとハイブリダイズすることによりその遺伝子に特異的であり、
その翻訳を防止し得る。RNA結合部位は、内因性遺伝子又は遺伝子産物、例えば、DN
A、RNA、又はそれらの誘導体若しくはハイブリッドの全て又は断片に対してアンチセ
ンス又は実質的にアンチセンスである配列を含み得る。
【0100】
[0146] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、典型的には、約5~
5000塩基対(特異的RNA構造に依存し、例えば、miRNA 5~30bp、ln
cRNA 200~500bp)のRNA又はRNA様構造を有するRNA結合部位を含
み、細胞内で発現される標的遺伝子中のコード配列と同一(相補的)又はほぼ同一(実質
的に相補的)の核酸塩基配列を有する。
【0101】
DNA結合部位
[0147] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、DNA結合部位、例
えば、ガイドRNA(gRNA)のための配列を含む。一部の実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、ガイドRNA又はgRNA配列に対する相補鎖を含む。gRNA
短鎖合成RNAは、不完全なエフェクター部分への結合に必要な「足場」配列及び使用者
により規定されるゲノム標的のための約20ヌクレオチドの標的化配列から構成される。
ガイドRNA配列は、17~24ヌクレオチド(例えば、19、20、又は21ヌクレオ
チド)の長さを有し得、標的化される核酸配列に相補的である。有効なガイドRNAの設
計において、カスタムgRNAジェネレータ及びアルゴリズムを使用することができる。
遺伝子編集は、キメラ「単一ガイドRNA」(「sgRNA」)、天然発生crRNA-
tracrRNA複合体を模倣し、tracrRNA(ヌクレアーゼ結合用)及び少なく
とも1つのcrRNA(ヌクレアーゼを編集のために標的化される配列にガイドするため
)の両方を含有する遺伝子操作(合成)単一RNA分子を使用して達成することができる
。化学修飾sgRNAは、ゲノム編集において有効であり得る。
【0102】
[0148] gRNAは、特異的DNA配列(例えば、遺伝子のプロモーター、エンハンサ
ー、サイレンサー、又はリプレッサーに隣接する又はその中の配列)を認識し得る。
[0149] 一部の実施形態において、gRNAは、遺伝子編集のためのCRISPR系の
一部分である。遺伝子編集のため、環状ポリリボヌクレオチドは、所望の標的DNA配列
に対応する1つ又は複数のガイドRNA配列を含むように設計することができる。gRN
A配列は、Cas9又はDNAを開裂する他のエキソヌクレアーゼとの相互作用のための
少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21
、22、23、24、25、26、27、28、29、30個以上のヌクレオチドを含み
得、例えば、Cpf1は、検出可能なDNA開裂のためにgRNA配列の少なくとも約1
6ヌクレオチドと相互作用する。
【0103】
[0150] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、DNAに結合し得る
アプタマー配列を含む。アプタマー配列の二次構造は、DNAに結合し得る。一部の実施
形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、DNAへのアプタマー配列の結合によりD
NAとの複合体を形成する。
【0104】
[0151] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、二重鎖DNA中の主
溝を結合させる配列を含む。このような1つの例において、環状ポリリボヌクレオチド及
び二重鎖DNAにより作出される三重鎖構造の特異性及び安定性は、二重鎖DNA中の古
典的ワトソン・クリック塩基対合において形成されるものと異なるフーグスティーン水素
結合を介して得られる。一例において、環状ポリリボヌクレオチドは、主溝を介して標的
二重鎖のプリンリッチ鎖に結合する。
【0105】
[0152] 一部の実施形態において、三重鎖形成は、標的二重鎖のプリンリッチ鎖に関す
る環状ポリリボヌクレオチドの配向により区別される2つのモチーフ中で生じる。一部の
例において、環状ポリリボヌクレオチド中のポリピリミジン配列ストレッチは、平行様式
で(すなわち、二重鎖のプリンリッチ鎖と同じ5’~3’配向で)フーグスティーン水素
結合を介して二重鎖DNAのポリプリン配列ストレッチに結合する一方、ポリプリンスト
レッチ(R)は、逆フーグスティーン水素結合を介して二重鎖のプリン鎖と逆平行様式で
結合する。逆平行において、プリンモチーフは、G:G-C、A:A-T、又はT:A-
Tのトリプレットを含む一方、平行において、ピリミジンモチーフは、C+:G-C又は
T:A-Tトリプレット(C+は、N3位上のプロトン化シトシンを表す)のカノニカル
トリプルを含む。環状ポリリボヌクレオチド中の逆平行GA及びGT配列は、中性pHに
おいて安定的な三重鎖を形成し得る一方、環状ポリリボヌクレオチド中の平行CT配列は
、酸性pHにおいて結合し得る。環状ポリリボヌクレオチド中のシトシン上のN3は、プ
ロトン化され得る。5-メチル-CによるCの置換は、5-メチル-Cがシトシンよりも
高いpKを有するため生理学的pHにおいて環状ポリリボヌクレオチド中のCT配列の結
合を許容し得る。プリン及びピリミジンモチーフの両方について、少なくとも10塩基対
の連続ホモプリン-ホモピリミジン配列ストレッチは、二重鎖DNAへの環状ポリリボヌ
クレオチド結合を補助する。それというのも、より短い三重鎖は生理学的条件下で不安定
であり得、配列の中断は三重鎖構造を脱安定化し得るためである。一部の実施形態におい
て、三重鎖形成のためのDNA二重鎖標的は、一方の鎖中の連続プリン塩基を含む。一部
の実施形態において、三重鎖形成のための標的は、DNA二重鎖の一方の鎖中のホモプリ
ン配列及び相補鎖中のホモピリミジン配列を含む。
【0106】
[0153] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドを含む三重鎖は、安定的
構造である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドを含む三重鎖は、増加
した半減期、例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40
%、45%、50%以上だけ増加した半減期、例えば、少なくとも1時間~約30日間、
又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4
日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13
日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21
日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29
日間、30日間、60日間以上又はそれらの間の任意の時間の持続を示す。
【0107】
タンパク質結合部位
[0154] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のタンパク
質結合部位を含む。一部の実施形態において、タンパク質結合部位は、アプタマー配列を
含む。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物、例えば、タンパ
ク質結合部位を欠く環状ポリリボヌクレオチド、例えば、線状RNAにより誘発される応
答と比較して宿主からの免疫応答を低減させるためのタンパク質結合部位を含む。
【0108】
[0155] 一部の実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドは
、タンパク質、例えば、リボソームを結合させるための1つ以上のタンパク質結合部位を
含む。タンパク質結合部位、例えば、リボソーム結合部位を環状ポリリボヌクレオチド中
に遺伝子操作することにより、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主の免疫系を回避し、又
はそれによる低減した検出を有し、モジュレートされた分解、又はモジュレートされた翻
訳を有し得る。
【0109】
[0156] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、宿主の免疫
系の構成成分から環状ポリリボヌクレオチドをマスキングするため、例えば、CTL応答
を回避するための少なくとも1つの免疫タンパク質結合部位を含む。一部の実施形態にお
いて、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、非内因性のものとしての環
状ポリリボヌクレオチドのマスキングを補助するヌクレオチド配列である。
【0110】
[0157] 線状RNAへのリボソームエンゲージメントの慣習的な機序は、RNAのキャ
ップ5’末端へのリボソーム結合を含む。5’末端からリボソームは開始コドンに移動し
、その時点で第1のぺプチド結合が形成される。本発明によれば、環状ポリリボヌクレオ
チドの内部開始(すなわち、キャップ非依存性)又は翻訳は、フリー末端もキャップ末端
も要求しない。むしろ、リボソームは非キャップ内部部位に結合し、それによりリボソー
ムは、開始コドンにおいてポリペプチド伸長を開始する。一部の実施形態において、環状
ポリリボヌクレオチドは、リボソーム結合部位、例えば、開始コドンを含む1つ以上のR
NA配列を含む。
【0111】
[0158] 一部の実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドは
、タンパク質に結合するタンパク質結合配列を含む。一部の実施形態において、タンパク
質結合配列は、環状ポリリボヌクレオチドを標的化し、又は特異的標的に局在化させる。
一部の実施形態において、タンパク質結合配列は、タンパク質のアルギニンリッチ領域を
特異的に結合する。
【0112】
[0159] 一部の実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドは
、標的タンパク質にそれぞれ結合する1つ以上のタンパク質結合部位を含み、例えば、2
つ以上のタンパク質を接近させるための足場として作用する。一部の実施形態において、
本明細書に開示される環状ポリヌクレオチドは、標的タンパク質にそれぞれ結合する2つ
のタンパク質結合部位を含み、それにより標的タンパク質を接近させる。一部の実施形態
において、本明細書に開示される環状ポリヌクレオチドは、標的タンパク質にそれぞれ結
合する3つのタンパク質結合部位を含み、それにより3つの標的タンパク質を接近させる
。一部の実施形態において、本明細書に開示される環状ポリヌクレオチドは、標的タンパ
ク質にそれぞれ結合する4つのタンパク質結合部位を含み、それぞれ4つの標的タンパク
質を接近させる。一部の実施形態において、本明細書に開示される環状ポリヌクレオチド
は、標的タンパク質にそれぞれ結合する5つ以上のタンパク質結合部位を含み、5つ以上
の標的タンパク質を接近させる。一部の実施形態において、標的タンパク質は同じである
。一部の実施形態において、標的タンパク質は異なる。一部の実施形態において、標的タ
ンパク質の接近は、タンパク質複合体の形成を促進する。例えば、本開示の環状ポリリボ
ヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個以上の標的タンパク
質を含む複合体の形成を促進するための足場として作用し得る。一部の実施形態において
、2つ以上の標的タンパク質の接近は、2つ以上の標的タンパク質の相互作用を促進する
。一部の実施形態において、2つ以上の標的タンパク質の接近は、酵素反応をモジュレー
トし、促進し、又は阻害する。一部の実施形態において、2つ以上の標的タンパク質の接
近は、シグナル伝達経路をモジュレートし、促進し、又は阻害する。
【0113】
[0160] 一部の実施形態において、タンパク質結合部位としては、限定されるものでは
ないが、タンパク質、例えば、ACIN1、AGO、APOBEC3F、APOBEC3
G、ATXN2、AUH、BCCIP、CAPRIN1、CELF2、CPSF1、CP
SF2、CPSF6、CPSF7、CSTF2、CSTF2T、CTCF、DDX21、
DDX3、DDX3X、DDX42、DGCR8、EIF3A、EIF4A3、EIF4
G2、ELAVL1、ELAVL3、FAM120A、FBL、FIP1L1、FKBP
4、FMR1、FUS、FXR1、FXR2、GNL3、GTF2F1、HNRNPA1
、HNRNPA2B1、HNRNPC、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPM、H
NRNPU、HNRNPUL1、IGF2BP1、IGF2BP2、IGF2BP3、I
LF3、KHDRBS1、LARP7、LIN28A、LIN28B、m6A、MBNL
2、METTL3、MOV10、MSI1、MSI2、NONO、NONO-、NOP5
8、NPM1、NUDT21、p53、PCBP2、POLR2A、PRPF8、PTB
P1、RBFOX1、RBFOX2、RBFOX3、RBM10、RBM22、RBM2
7、RBM47、RNPS1、SAFB2、SBDS、SF3A3、SF3B4、SIR
T7、SLBP、SLTM、SMNDC1、SND1、SRRM4、SRSF1、SRS
F3、SRSF7、SRSF9、TAF15、TARDBP、TIA1、TNRC6A、
TOP3B、TRA2A、TRA2B、U2AF1、U2AF2、UNK、UPF1、W
DR33、XRN2、YBX1、YTHDC1、YTHDF1、YTHDF2、YWHA
G、ZC3H7B、PDK1、AKT1、及びRNAを結合させる任意の他のタンパク質
に対する結合部位が挙げられる。
【0114】
[0161] 一部の実施形態において、タンパク質結合部位は、タンパク質に結合する核酸
配列、例えば、転写因子、エンハンサー、リプレッサー、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、
ヒストン、又はDNAを結合させる任意の他のタンパク質を結合させ得る配列である。一
部の実施形態において、タンパク質結合部位は、タンパク質に結合するアプタマー配列で
ある。一部の実施形態において、アプタマー配列の二次構造は、タンパク質を結合させる
。一部の実施形態において、環状RNAは、タンパク質へのアプタマー配列の結合により
タンパク質との複合体を形成する。
【0115】
[0162] 一部の実施形態において、環状RNAは、小分子又はその一部分にコンジュゲ
ートされ、小分子又はその一部分は、標的、例えば、タンパク質に結合する。小分子は、
修飾ヌクレオチドを介して、例えば、クリック化学により環状RNAにコンジュゲートさ
せることができる。タンパク質に結合し得る小分子の例としては、限定されるものではな
いが、4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)、AC220、アファチニブ、アミ
ノピラゾールアナログ、ARアンタゴニスト、BI-7273、ボスチニブ、セリチニブ
、クロロアルカン、ダサチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、HIF-1α-由来(R
)-ヒドロキシプロリン、HJB97、ヒドロキシプロリンベースリガンド、IACS-
7e、イブルチニブ、イブルチニブ誘導体、JQ1、ラパチニブ、LCL161誘導体、
レナリドミド、ヌトリン小分子、OTX015、PDE4阻害剤、ポマリドミド、rip
k2阻害剤、RN486、Sirt2阻害剤3b、SNS-032、Steel因子、T
BK1阻害剤、サリドマイド、サリドマイド誘導体、チアゾリジンジオンベースリガンド
、VH032誘導体、VHLリガンド2、VHL-1、VL-269、及びそれらの誘導
体が挙げられる。
【0116】
[0163] 一部の実施形態において、環状RNAは、2つ以上の小分子、例えば、2、3
、4、5、6、7、8,9、10個以上の小分子にコンジュゲートされる。一部の実施形
態において、環状RNAは、2つ以上の異なる小分子、例えば、2、3、4、5、6、7
、8、9、10個以上の異なる小分子にコンジュゲートされる。一部の実施形態において
、環状RNAにコンジュゲートされる2つ以上の小分子は、それらのそれぞれの標的タン
パク質をリクルートして接近させるように構成され、それは、標的タンパク質間の相互作
用、及び/又は他の分子及び細胞変化をもたらし得る。例えば、環状RNAは、JQ1及
びサリドマイドの両方、又はそれらの誘導体にコンジュゲートさせることができ、それは
したがってJQ1の標的タンパク質、例えば、BETファミリータンパク質、及びサリド
マイドの標的タンパク質、例えば、E3リガーゼをリクルートし得る。一部の例において
、JQ1及びサリドマイドとコンジュゲートされた環状RNAは、JQ1、又はその誘導
体を介してBETファミリータンパク質をリクルートし、サリドマイド又はその誘導体を
介してリクルートされるE3リガーゼによりユビキチンによりBETファミリータンパク
質をタグ化し、したがってタグ化されたBETファミリータンパク質の分解をもたらす。
【0117】
他の結合部位
[0164] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非RNA又は非DN
A標的に対する1つ以上の結合部位を含む。一部の実施形態において、結合部位は、小分
子、アプタマー、脂質、炭水化物、ウイルス粒子、膜、多成分複合体、細胞、細胞部分、
又はそれらの任意の断片の結合部位のものであり得る。一部の実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、脂質に対する1つ以上の結合部位を含む。一部の実施形態におい
て、環状ポリリボヌクレオチドは、炭水化物に対する1つ以上の結合部位を含む。一部の
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、炭水化物に対する1つ以上の結合部位
を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、膜に対する1つ以上の
結合部位を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、多成分複合体
、例えば、リボソーム、ヌクレオソーム、転写機構などに対する1つ以上の結合部位を含
む。
【0118】
[0165] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アプタマー配列を含
む。アプタマー配列は、本明細書に記載の任意の標的(例えば、核酸分子、小分子、タン
パク質、炭水化物、脂質など)に結合し得る。アプタマー配列は、標的を結合させ得る二
次構造を有する。一部の実施形態において、アプタマー配列は、標的を結合させ得る三次
構造を有する。一部の実施形態において、アプタマー配列は、標的を結合させ得る四次構
造を有する。環状ポリリボヌクレオチドは、アプタマー配列を介して標的に結合して複合
体を形成し得る。一部の実施形態において、複合体は、少なくとも5日間検出可能である
。一部の実施形態において、複合体は、少なくとも2日間、3日間、4日間、5日間、6
日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、
15日間、16日間検出可能である。
【0119】
隔離
[0166] 一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは、標的、例えば
、DNA、RNA、タンパク質、及び他の細胞構成成分を隔離して細胞プロセスを調節す
る。目的標的のための結合部位を有するcircRNAは、内因性結合パートナーと標的
の結合について競合し得る。一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNA
は、miRNAを隔離する。一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNA
は、mRNAを隔離する。一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは
、タンパク質を隔離する。一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは
、リボソームを隔離する。一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは
、他のcircRNAを隔離する。一部の実施形態において、本明細書に記載のcirc
RNAは、非コードRNA、lncRNA、miRNA、tRNA、rRNA、snoR
NA、ncRNA、siRNA、又はshRNAを隔離する。一部の実施形態において、
本明細書に記載のcircRNAは、circRNAに結合した隔離標的、例えば、DN
A、RNA、タンパク質、又は他の細胞構成成分を分解する分解エレメントを含む。ci
rcRNA隔離用途の非限定的な例を表2に列挙する。
【0120】
【0121】
[0167] 一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAを使用する方法の
いずれも、翻訳エレメントとの組合せであり得る。翻訳エレメントを含有する本明細書に
記載のcircRNAは、RNAをタンパク質に翻訳し得る。
図3は、配列特異的RNA
結合モチーフ、配列特異的DNA結合モチーフ、タンパク質特異的結合モチーフ(タンパ
ク質1)、及び調節RNAモチーフ(RNA1)を含有するcircRNAにより容易に
されるタンパク質発現の模式図を説明する。調節RNAモチーフは、RNA転写及びタン
パク質発現を開始させ得る。
【0122】
非翻訳領域
[0168] 一部の実施形態において、本明細書に開示されるcircRNAは、エンクリ
プトゲンを含み得る。一部の実施形態において、エンクリプトゲンは、非翻訳領域(UT
R)を含む。遺伝子のUTRは、転写され得るが翻訳され得ない。一部の実施形態におい
て、UTRは、本明細書に記載の発現配列の翻訳開始配列の上流に含めることができる。
一部の実施形態において、UTRは、本明細書に記載の発現配列の下流に含めることがで
きる。一部の例において、第1の発現配列についてのあるUTRは、第2の発現配列につ
いての別のUTRと同じであり、又はそれと連続的であり、又はそれと重複する。一部の
実施形態において、イントロンは、ヒトイントロンである。一部の実施形態において、イ
ントロンは、全長ヒトイントロン、例えば、ZKSCAN1である。
【0123】
[0169] 一部の実施形態において、エンクリプトゲンは、安定性を向上させる。一部の
実施形態において、UTRの調節フィーチャーをエンクリプトゲン中に含めて環状ポリリ
ボヌクレオチドの安定性を向上させることができる。
【0124】
[0170] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、中に埋め込まれたア
デノシン及びウリジンの1つ以上のストレッチを有するUTRを含む。AUリッチシグネ
チャーは、発現産物の回転速度を増加させ得る。
【0125】
[0171] UTR AUリッチエレメント(ARE)の導入、除去、又は修飾は、環状ポ
リリボヌクレオチドの安定性又は免疫原性をモジュレートするために有用であり得る。特
異的環状ポリリボヌクレオチドを遺伝子操作する場合、AREの1つ以上のコピーを導入
して環状ポリリボヌクレオチドを脱安定化させることができ、AREのコピーは、翻訳を
減少させ、及び/又は発現産物の産生を減少させ得る。同様に、AREを同定し、除去し
、又は突然変異させて細胞内安定性を増加させ、したがって翻訳及び得られるタンパク質
の産生を増加させることができる。
【0126】
[0172] 任意の遺伝子からのUTRは、環状ポリリボヌクレオチドのそれぞれのフラン
キング領域中に取り込むことができる。さらに、任意の公知の遺伝子の複数の野生型UT
Rを利用することができる。一部の実施形態において、野生型遺伝子のバリアントでない
人工UTRを使用することができる。これらのUTR又はそれらの一部は、それらが選択
された転写産物と同じ配向で配置することができ、又は配向若しくは局在を変更すること
ができる。したがって、5’-又は3’-UTRは、1つ以上の他の5’-又は3’-U
TRにより逆位化し、短縮させ、延長させ、又はキメラにすることができる。本明細書に
おいて使用される用語「変更」は、それがUTR配列に関する場合、UTRを参照配列に
対して何らかの手法で変化させたことを意味する。例えば、3’-又は5’-UTRは、
上記教示の配向若しくは局在の変化により野生型若しくは天然UTRに対して変更するこ
とができ、又は追加のヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドのスワッ
プ若しくは転移により変更することができる。「変更」UTR(3’であろうが5’であ
ろうが)を産生するこれらの変化のいずれも、バリアントUTRを含む。
【0127】
[0173] 一部の実施形態において、二重UTR、三重UTR、又は四重UTR、例えば
、5’-又は3’-UTRを使用することができる。本明細書において使用される「二重
」UTRは、同じUTRの2つのコピーが連続して又は実質的に連続してコードされるも
のである。例えば、二重β-グロビン3’-UTRを本発明の一部の実施形態において使
用することができる。
エンクリプトゲン
[0174] 本明細書に記載のとおり、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞の自然免疫応答
を低減させ、回避し、又は忌避するためのエンクリプトゲンを含み得る。一部の実施形態
において、本明細書に提供される環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物、例えば、記
載の環状ポリリボヌクレオチドに対応する線状ポリヌクレオチド又はエンクリプトゲンを
欠く環状ポリリボヌクレオチドにより誘発される応答と比較して宿主からの低減した免疫
応答をもたらす。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、エンクリプト
ゲンを欠く対応物よりも低い免疫原性を有する。
【0128】
[0175] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、哺乳動物、例えば、
ヒトにおいて非免疫原性である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは
、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞中で複製し得る。
【0129】
[0176] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、配列又は発現産物を
含む。
[0177] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも線状対応
物、例えば、線状発現配列、又は線状環状ポリリボヌクレオチドの半減期を有する。一部
の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状対応物のものと比べて増加した
半減期を有する。一部の実施形態において、半減期は、約5%、10%、15%、20%
、25%、30%、35%、40%、45%、50%以上だけ増加する。一部の実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1時間~約30日間、又は少なくと
も約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間
、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日
間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日
間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日
間、60日間以上又はそれらの間の任意の時間の、細胞中の半減期又は持続性を有する。
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、約10分間~約7日間、又は約1
時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、
11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、
19時間、20時間、21時間、22時間、24時間、36時間、48時間、60時間、
72時間、4日間、5日間、6日間、7日間、又はそれらの間の任意の時間以下の細胞中
の半減期又は持続を有する。
【0130】
[0178] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞機能を、例えば
、一過的に又は長期間モジュレートする。ある実施形態において、細胞機能は安定的に変
更され、例えば、モジュレーションは、少なくとも約1時間~約30日間、又は少なくと
も約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間
、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日
間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日
間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日
間、60日間以上又はそれらの間の任意の時間、持続する。ある実施形態において、細胞
機能は一過的に変更され、例えば、モジュレーションは、約30分間~約7日間以下、又
は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10
時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18
時間、19時間、20時間、21時間、22時間、24時間、36時間、48時間、60
時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間、又はそれらの間の任意の時間以下、
持続する。
【0131】
[0179] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20塩
基対、少なくとも約30塩基対、少なくとも約40塩基対、少なくとも約50塩基対、少
なくとも約75塩基対、少なくとも約100塩基対、少なくとも約200塩基対、少なく
とも約300塩基対、少なくとも約400塩基対、少なくとも約500塩基対、又は少な
くとも約1,000塩基対である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド
は、リボソームのための結合部位を収容するために十分なサイズのものであり得る。当業
者は、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、環状ポリリボヌクレオチドの産生及び
/又は環状ポリリボヌクレオチドを使用の技術的制約内で可能な限り大きくてよいことを
認識することができる。理論により拘束されるものではないが、RNAの複数のセグメン
トをDNAから産生し、それらの5’及び3’フリー末端をアニールしてRNAの「スト
リング」を産生し、1つの5’及び1つの3’フリー末端のみが残る場合にそれを最終的
に環状化させることができることが考えられる。一部の実施形態において、環状ポリリボ
ヌクレオチドの最大サイズは、RNAをパッケージングし、それを標的に送達する能力に
より限定され得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのサイズは、有
用なポリペプチドをコードするために十分な長さであり、したがって、約20,000塩
基対未満、約15,000塩基対未満、約10,000塩基対未満、約7,500塩基対
未満、又は約5,000塩基対未満、約4,000塩基対未満、約3,000塩基対未満
、約2,000塩基対未満、約1,000塩基対未満、約500塩基対未満、約400塩
基対未満、約300塩基対未満、約200塩基対未満、約100塩基対未満の長さが有用
であり得る。
【0132】
開裂配列
[0180] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの開
裂配列を含む。一部の実施形態において、開裂配列は、発現配列に隣接する。一部の実施
形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、自己犠牲circRNA又は開裂
性circRNA又は自己開裂circRNA中の開裂配列を含む。一部の実施形態にお
いて、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の開裂配列を含み、環状ポリリボヌクレオ
チドの複数の産物、例えば、miRNA、線状RNA、より小さい環状ポリリボヌクレオ
チドなどへの分離をもたらす。
【0133】
[0181] 一部の実施形態において、開裂配列は、リボザイムRNA配列を含む。リボザ
イム(リボ核酸酵素から、RNA酵素又は触媒RNAとも呼ばれる)は、化学反応を触媒
するRNA分子である。多くの天然リボザイムは、それら自体のホスホジエステル結合の
1つの加水分解、又は他のRNA中の結合の加水分解のいずれかを触媒するが、それらは
、リボソームのアミノトランスフェラーゼ活性を触媒することも見出されている。触媒R
NAは、インビトロ法により「進化」させることができる。上記考察のリボスイッチ活性
と同様に、リボザイム及びその反応産物は、遺伝子発現を調節し得る。一部の実施形態に
おいて、触媒RNA又はリボザイムは、バルク容量からの分子の化学的変換の目的のため
にリボザイムが細胞内で多くのコピーにおいて存在するようにより大きい非コードRNA
内に配置することができる。一部の実施形態において、アプタマー及びリボザイムは、両
方とも同じ非コードRNA中でコードさせることができる。
【0134】
自己犠牲配列
[0182] 一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは、自己犠牲ci
rcRNA又は開裂性circRNA又は自己開裂circRNAを含む。circRN
Aは、細胞構成成分、例として、例えば、RNA、lncRNA、lincRNA、mi
RNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA、又はshRNA
を送達し得る。一部の実施形態において、circRNAは、(i)自己開裂性エレメン
ト;(ii)開裂リクルートメント部位;(iii)分解性リンカー;(iv)化学リン
カー;及び/又は(v)スペーサー配列により離隔されるmiRNAを含む。一部の実施
形態において、circRNAは、(i)自己開裂性エレメント;(ii)開裂リクルー
トメント部位(例えば、ADAR);(iii)分解性リンカー(例えば、グリセロール
);(iv)化学リンカー;及び/又は(v)スペーサー配列により離隔されるsiRN
Aを含む。自己開裂性エレメントの非限定的な例としては、ハンマーヘッド、スプライシ
ングエレメント、ヘアピン、デルタ肝炎ウイルス(HDV)、バークドサテライト(Vark
ud Satellite)(VS)、及びglmSリボザイムが挙げられる。circRNA自己犠
牲用途の非限定的な例を表4に列挙する。
【0135】
【0136】
発現配列
ぺプチド又はポリペプチド
[0183] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ぺプチド又はポリペ
プチドをコードする配列を含む。
【0137】
[0184] ポリペプチドは、直鎖又は分枝であり得る。ポリペプチドは、約5~約400
0アミノ酸、約15~約3500アミノ酸、約20~約3000アミノ酸、約25~約2
500アミノ酸、約50~約2000アミノ酸、又はその間の任意の範囲の長さを有し得
る。一部の実施形態において、ポリペプチドは、約4000アミノ酸未満、約3500ア
ミノ酸未満、約3000アミノ酸未満、約2500アミノ酸未満、又は約2000アミノ
酸未満、約1500アミノ酸未満、約1000アミノ酸未満、約900アミノ酸未満、約
800アミノ酸未満、約700アミノ酸未満、約600アミノ酸未満、約500アミノ酸
未満、約400アミノ酸未満、約300アミノ酸未満、又はそれ以下の数未満の長さを有
し、有用であり得る。
【0138】
[0185] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、それぞれがポリペプ
チドをコードし得る1つ以上のRNA配列を含む。ポリペプチドは、かなりの量で産生す
ることができる。したがって、ポリペプチドは、産生させることができる任意のタンパク
質性分子であり得る。ポリペプチドは、細胞から分泌させ、又は細胞の細胞質、核若しく
は膜コンパートメントに局在化させることができるポリペプチドであり得る。
【0139】
[0186] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えば
、治療タンパク質をコードする配列を含む。治療タンパク質の一部の例としては、限定さ
れるものではないが、タンパク質置換物、タンパク質補給物、ワクチン接種物、抗原(例
えば、腫瘍抗原、ウイルス、及び細菌)、ホルモン、サイトカイン、抗体、免疫療法薬(
例えば、癌)、細胞リプログラミング/分化転換因子、転写因子、キメラ抗原受容体、ト
ランスポザーゼ又はヌクレアーゼ、免疫エフェクター(例えば、免疫応答/シグナルに対
する感受性に影響する)、調節デス受容体タンパク質(例えば、アポトーシス又は壊死の
誘導因子)、腫瘍の非溶解阻害剤(例えば、癌タンパク質の阻害剤)、エピジェネティッ
ク修飾剤、エピジェネティック酵素、転写因子、DNA又はタンパク質修飾酵素、DNA
インターカレート剤、排出ポンプ阻害剤、核内受容体アクチベーター又は阻害剤、プロテ
アソーム阻害剤、酵素についての競合阻害剤、タンパク質合成エフェクター又は阻害剤、
ヌクレアーゼ、タンパク質断片又はドメイン、リガンド又は受容体、及びCRISPR系
又はその構成成分が挙げられる。
【0140】
調節配列
[0187] 一部の実施形態において、調節配列は、プロモーターである。一部の実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接する少なくと
も1つのプロモーターを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、
それぞれの発現配列に隣接するプロモーターを含む。一部の実施形態において、プロモー
ターは、それぞれの発現配列の片側又は両側上に存在し、発現産物、例えば、ペプチド及
び又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0141】
[0188] 環状ポリリボヌクレオチドは、遺伝子によりコードされるRNAの発現をモジ
ュレートし得る。複数の遺伝子がある程度の互いとの配列相同性を共有し得るため、環状
ポリリボヌクレオチドは、十分な配列相同性を有する遺伝子のクラスを標的化するように
設計することができる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、異なる
遺伝子標的の間で共有され、又は特異的遺伝子標的について特有である配列との相補性を
有する配列を含有し得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、いく
つかの遺伝子間の相同性を有するRNA配列の保存領域を標的化し、それにより遺伝子フ
ァミリーのいくつかの遺伝子を標的化するように設計することができる。一部の実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、単一遺伝子の特異的RNA配列に特有である配
列を標的化するように設計することができる。
【0142】
[0189] 一部の実施形態において、発現配列は、5000bp未満(例えば、約500
0bp、4000bp、3000bp、2000bp、1000bp、900bp、80
0bp、700bp、600bp、500bp、400bp、300bp、200bp、
100bp、50bp、40bp、30bp、20bp、10bp未満、又はそれ以下)
未満の長さを有する。一部の実施形態において、発現配列は、独立して、又は追加して、
10bp超(例えば、少なくとも約10bp、20bp、30bp、40bp、50bp
、60bp、70bp、80bp、90bp、100bp、200bp、300bp、4
00bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1000k
b、1.1kb、1.2kb、1.3kb、1.4kb、1.5kb、1.6kb、1.
7kb、1.8kb、1.9kb、2kb、2.1kb、2.2kb、2.3kb、2.
4kb、2.5kb、2.6kb、2.7kb、2.8kb、2.9kb、3kb、3.
1kb、3.2kb、3.3kb、3.4kb、3.5kb、3.6kb、3.7kb、
3.8kb、3.9kb、4kb、4.1kb、4.2kb、4.3kb、4.4kb、
4.5kb、4.6kb、4.7kb、4.8kb、4.9kb、5kb以上)の長さを
有する。
【0143】
[0190] 一部の実施形態において、発現配列は、本明細書に記載の特徴部の1つ以上を
含み、例えば、1つ以上のぺプチド又はタンパク質をコードする配列、1つ以上の調節核
酸、1つ以上の非コードRNA、及び他の発現配列である。
【0144】
内部リボソーム進入部位(IRES)
[0191] 一部の実施形態において、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、内
部リボソーム進入部位(IRES)エレメントを含む。好適なIRESエレメントは、真
核生物リボソームにエンゲージし得るRNA配列を含有し得る。一部の実施形態において
、IRESエレメントは、少なくとも約50塩基対、少なくとも約100塩基対、少なく
とも約200塩基対、少なくとも約250塩基対、少なくとも約350塩基対、又は宇約
500塩基対である。一部の実施形態において、IRESエレメントは、生物体、例とし
て、限定されるものではないが、ウイルス、哺乳動物、及びショウジョウバエ属(Drosop
hila)のDNAに由来する。ウイルスDNAは、例えば、ピコルナウイルスcDNA、脳
心筋炎ウイルス(EMCV)cDNA、及びポリオウイルスcDNAに由来し得る。一部
の実施形態において、IRESエレメントが由来するショウジョウバエ属DNAとしては
、例えば、キイロショウジョウバエからのアンテナペディア遺伝子を挙げることができる
。
【0145】
[0192] 一部の実施形態において、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、少
なくとも1つ(例えば、2、3、4、5つ以上)の発現配列をフランキングする少なくと
も1つのIRESを含む。一部の実施形態において、IRESは、少なくとも1つ(例え
ば、2、3、4、5つ以上)の発現配列の両側をフランキングし得る。一部の実施形態に
おいて、環状ポリリボヌクレオチドは、それぞれの発現配列の片側又は両側上の1つ以上
のIRES配列を含み得、得られるぺプチド及び又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0146】
翻訳開始配列
[0193] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドはポリペプチドをコード
し、翻訳開始配列、例えば、開始コドンを含み得る。一部の実施形態において、翻訳開始
配列は、コザック又はシャイン・ダルガルノ配列を含む。一部の実施形態において、環状
ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含
む。一部の実施形態において、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、それぞれの発現
配列の片側又は両側上に存在し、発現産物の分離をもたらす。一部の実施形態において、
環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む
。
【0147】
[0194] 天然5’-UTRは、翻訳開始において役割を担うフィーチャーを担持し得る
。天然5’-UTRは、リボソームが多くの遺伝子の翻訳を開始させるプロセスに関与し
得るシグネチャー、例えば、コザック配列を保有し得る。コザック配列は、コンセンサス
CCR(A/G)CCAUGG(Rは、別の「G」が続く開始コドン(AUG)の3塩基
上流のプリン(アデニン又はグアニン)である)を有する。5’-UTRは、伸長因子結
合に関与する二次構造も形成し得る。
【0148】
[0195] 環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の開始コドン、例えば、限定されるも
のではないが、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも
6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少
なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少
なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少
なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、又
は60個超の開始コドンを含み得る。翻訳は、最初の開始コドン上で開始し、又は最初の
開始コドンの下流で開始し得る。
【0149】
[0196] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、最初の開始コドン、
例えば、AUGでないコドンにおいて開始し得る。環状ポリリボヌクレオチドの翻訳は、
代替的翻訳開始配列、例えば、限定されるものではないが、ACG、AGG、AAG、C
TG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUGにお
いて開始し得る。一部の実施形態において、翻訳は、選択的条件、例えば、ストレス誘導
条件下で代替的翻訳開始配列において開始する。非限定的な例として、環状ポリリボヌク
レオチドの翻訳は、代替的翻訳開始配列、例えば、ACGにおいて開始し得る。別の非限
定的な例として、環状ポリリボヌクレオチド翻訳は、代替的翻訳開始配列CTG/CUG
において開始し得る。さらに別の非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチド翻訳は
、代替的翻訳開始配列GTG/GUGにおいて開始し得る。さらに別の非限定的な例とし
て、環状ポリリボヌクレオチドは、リピート関連非AUG(RAN)配列、例えば、反復
RNAの短鎖ストレッチを含む代替的翻訳開始配列、例えば、CGG、GGGGCC、C
AG、CTGにおいて翻訳を開始させ得る。
【0150】
[0197] 翻訳を開始させるコドンをフランキングするヌクレオチドは、環状ポリリボヌ
クレオチドの翻訳効率、長さ及び/又は構造に影響を与え得る。翻訳を開始させるコドン
をフランキングするヌクレオチドのいずれかのマスキングを使用して環状ポリリボヌクレ
オチドの翻訳開始の位置、翻訳効率、長さ、及び/又は構造を変更することができる。
【0151】
[0198] 一部の実施形態において、マスキング剤は、開始コドン又は代替的開始コドン
付近で使用してコドンをマスキング又は隠蔽してマスキングされた開始コドン又は代替的
開始コドンにおける翻訳開始の確率を低減させることができる。マスキング剤の非限定的
な例としては、アンチセンスロック核酸(LNA)オリゴヌクレオチド及びエキソン-ジ
ャンクション複合体(EJC)が挙げられる。一部の実施形態において、マスキング剤を
使用して環状ポリリボヌクレオチドの開始コドンをマスキングして翻訳が代替的開始コド
ンにおいて開始する見込みを増加させることができる。
【0152】
[0199] 一部の実施形態において、翻訳は、選択的条件下で、例えば、限定されるもの
ではないが、GRSF-1の存在下のウイルス誘導選択で開始され、環状ポリリボヌクレ
オチドは、GRSF-1結合部位を含む。
【0153】
[0200] 一部の実施形態において、翻訳は、ロカグラートによる真核生物開始因子4A
(eIF4A)処理により開始される。翻訳は、43Sスキャニングを遮断することによ
り抑制し、未成熟の上流翻訳開始をもたらし、RocA-eIF4A標的配列を担持する
転写産物からのタンパク質発現を低減させることができる。
【0154】
終結配列
[0201] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列
を含み、それぞれの発現配列は、終結配列を有し得る。一部の実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結配列を欠き、その
結果、環状ポリリボヌクレオチドは継続的に翻訳される。終結配列の排除は、リボソーム
停滞又は脱離の欠落に起因してローリングサークル翻訳又は発現産物、例えば、ぺプチド
又はポリペプチドの継続的産生をもたらし得る。このような実施形態において、ローリン
グサークル翻訳は、それぞれの発現配列を介して継続的発現産物を産生する。
【0155】
[0202] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スタッガー配列を含
む。継続的発現産物、例えば、ぺプチド又はポリペプチドの産生を忌避する一方、ローリ
ングサークル翻訳を維持するため、スタッガー配列を含めて翻訳の間にリボソームポージ
ングを誘導することができる。スタッガー配列としては、2A様又はCHYSEL(シス
作用ヒドロラーゼエレメント)配列を挙げることができる。一部の実施形態において、ス
タッガーエレメントは、X1X2X3EX5NPGP(X1は、不存在又はG若しくはH
であり、X2は、不存在又はD若しくはGであり、X3は、D又はV又はI又はS又はM
であり、X5は、任意のアミノ酸である)であるC末端コンセンサス配列を有する配列を
コードする。一部の実施形態において、この配列は、強力なα-ヘリカル傾向を有するア
ミノ酸の非保存的配列とそれに続くコンセンサス配列-D(V/I)ExNPGP(x=
任意のアミノ酸)を含む。スタッガーエレメントの一部の非限定的な例としては、GDV
ESNPGP、GDIEENPGP、VEPNPGP、IETNPGP、GDIESNP
GP、GDVELNPGP、GDIETNPGP、GDVENPGP、GDVEENPG
P、GDVEQNPGP、IESNPGP、GDIELNPGP、HDIETNPGP、
HDVETNPGP、HDVEMNPGP、GDMESNPGP、GDVETNPGP、
GDIEQNPGP、及びDSEFNPGPが挙げられる。
【0156】
[0203] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列
の末端における終結配列を含む。一部の実施形態において、1つ以上の発現配列は、終結
配列を欠く。一般に、終結配列は、翻訳の終結をシグナリングするインフレームヌクレオ
チドトリプレット、例えば、UAA、UGA、UAGを含む。一部の実施形態において、
環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の終結配列は、フレームシフト終結配列、例えば
、限定されるものではないが、翻訳を終結させ得るオフフレーム又は-1及び+1シフト
リーディングフレーム(例えば、隠された終止)である。フレームシフト終結配列として
は、発現配列の第2及び第3のリーディングフレーム中に出現するヌクレオチドトリプル
TAA、TAG、及びTGAが挙げられる。フレームシフト終結配列は、細胞に有害であ
ることが多いmRNAのミスリードの防止において重要であり得る。
【0157】
[0204] 一部の実施形態において、本明細書に記載のスタッガー配列は、翻訳を終結さ
せ、及び/又は発現産物を本明細書に記載のコンセンサス配列のG及びP間で開裂し得る
。1つの非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳を終結させ、及び/又
は発現産物を開裂させるための少なくとも1つのスタッガー配列を含む。一部の実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接するスタッガ
ー配列を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、それぞれの発現
配列の後にスタッガー配列を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド
は、それぞれの発現配列の片側又は両側上に存在するスタッガー配列を含み、それぞれの
発現配列からの個々のぺプチド及び又はポリペプチドの翻訳をもたらす。
【0158】
ポリA配列
[0205] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。
一部の実施形態において、ポリA配列の長さは、10ヌクレオチド長超である。一部の実
施形態において、ポリA配列は、15ヌクレオチド長超(例えば、少なくとも又は約10
、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、
100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、
450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,20
0、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,
900、2,000、2,500、及び3,000ヌクレオチド超)である。一部の実施
形態において、ポリA配列は、約10~約3,000ヌクレオチド(例えば、30~50
、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,000、30
~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50~250、5
0~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~2,000、
50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、100~1,
000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、100~3,
000、500~750、500~1,000、500~1,500、500~2,00
0、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、1,000~
2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,500~2,00
0、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~3,000、2,
000~2,500、及び2,500~3,000)である。
【0159】
[0206] 一部の実施形態において、ポリA配列は、環状ポリリボヌクレオチド全体の長
さに対して設計される。設計は、コード領域の長さ、特定のフィーチャー若しくは領域(
例えば、第1の又はフランキング領域)の長さに基づき、又は環状ポリリボヌクレオチド
から発現される最終産物の長さに基づき得る。これに関して、ポリA配列は、環状ポリリ
ボヌクレオチド又はそのフィーチャーよりも10、20、30、40、50、60、70
、80、90、又は100%超長くてよい。ポリA配列は、環状ポリリボヌクレオチドの
一部として設計することもできる。これに関して、ポリA配列は、構築物の全長又は構築
物の全長からポリA配列を引いたものの10%、20%、30%、40%、50%、60
%、70%、80%、90%以上であり得る。さらに、ポリA結合タンパク質のための遺
伝子操作結合部位及び環状ポリリボヌクレオチドのコンジュゲーションは、発現を向上さ
せ得る。
【0160】
[0207] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA-Gカルテッ
トを含むように設計される。Gカルテットは、DNA及びRNA中の両方のGリッチ配列
により形成され得る4つのグアニンヌクレオチドの環式水素結合配列である。一部の実施
形態において、Gカルテットは、ポリA配列の末端において取り込むことができる。得ら
れる環状ポリリボヌクレオチド構築物は、安定性、タンパク質産生、及び/又は他のパラ
メータ、例として、半減期について種々の時点においてアッセイすることができる。一部
の実施形態において、ポリA-Gカルテットは、120ヌクレオチドのポリA配列を単独
で使用して見られるものの少なくとも75%と同等のタンパク質産生をもたらし得る。
【0161】
リボスイッチ
[0208] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のリボスイ
ッチを含む。
【0162】
[0209] リボスイッチは、小さい標的分子に直接結合し得、標的のその結合は、RNA
翻訳並びに発現産物の安定性及び活性に影響を与える環状ポリリボヌクレオチドの一部分
であり得る。したがって、リボスイッチを含む環状ポリリボヌクレオチドは、標的分子の
存在又は不存在に応じて環状ポリリボヌクレオチドの活性を調節し得る。一部の実施形態
において、リボスイッチは、別個の分子についてのアプタマー様親和性の領域である。非
コード核酸内に含まれる任意のアプタマーを、バルク容量からの分子の隔離のために使用
することができる。一部の実施形態において、「(リボ)スイッチ」活性は、イベントの
下流報告に使用することができる。
【0163】
[0210] 一部の実施形態において、リボスイッチは、転写終結、翻訳開始の阻害、mR
NA自己開裂、及び真核生物においてはスプライシング経路の変更により遺伝子発現をモ
ジュレートする。リボスイッチは、トリガー分子の結合又は除去を介して遺伝子発現を制
御し得る。したがって、リボスイッチを活性化させ、脱活性化させ、又は遮断する条件に
リボスイッチを含む環状ポリリボヌクレオチドを供することは、遺伝子発現を変更し得る
。例えば、遺伝子発現は、転写の終結又はRNAへのリボソーム結合の遮断の結果として
変更することができる。トリガー分子、又はそのアナログの結合は、リボスイッチの性質
に応じてRNA分子の発現を低減させ/防止し得、又はその発現を促進し/増加させ得る
。
【0164】
[0211] 一部の実施形態において、リボスイッチは、アデノシルコバラミン(ビタミン
B12の補酵素形態)を結合させてコバラミン及び類似の代謝産物の生合成及び輸送を調
節するコバラミンリボスイッチ(B12エレメントとも)である。
【0165】
[0212] 一部の実施形態において、リボスイッチは、サイクリックジ-GMPを結合さ
せて種々の遺伝子を調節するサイクリックジ-GMPリボスイッチである。サイクリック
ジ-GMPリボスイッチの2つの非構造関連クラス:サイクリックジ-GMP-I及びサ
イクリックジ-GMP-IIが存在する。
【0166】
[0213] 一部の実施形態において、リボスイッチは、フラビンモノヌクレオチド(FM
N)を結合させてリボフラビン生合成及び輸送を調節するFMNリボスイッチ(RFNエ
レメントとも)である。
【0167】
[0214] 一部の実施形態において、リボスイッチは、十分な濃度のグルコサミン-6-
リン酸が存在する場合にそれ自体開裂するglmSリボスイッチである。
[0215] 一部の実施形態において、リボスイッチは、グルタミンを結合させてグルタミ
ン及び窒素代謝に関与する遺伝子を調節するグルタミンリボスイッチである。グルタミン
リボスイッチは、不明機能の短鎖ぺプチドにも結合し得る。このようなリボスイッチは、
2つの構造関連クラス:glnA RNAモチーフ及び下流ぺプチドモチーフに収まる。
【0168】
[0216] 一部の実施形態において、リボスイッチは、グリシンを結合させてグリシン代
謝遺伝子を調節するグリシンリボスイッチである。これは、同じmRNA中の2つの隣接
アプタマードメインを含み、協調的結合を示す唯一の公知の天然RNAである。
【0169】
[0217] 一部の実施形態において、リボスイッチは、リジンを結合させてリジン生合成
、異化、及び輸送を調節するリジンリボスイッチ(L-ボックスとも)である。
[0218] 一部の実施形態において、リボスイッチは、プレキューオシンを結合させてこ
の前駆体のキューオシンへの合成又は輸送に関与する遺伝子を調節するpreQ1リボス
イッチである。preQ1リボスイッチの2つの異なるクラスは、preQ1-Iリボス
イッチ及びpreQ1-IIリボスイッチである。preQ1-Iリボスイッチの結合ド
メインは、天然発生リボスイッチの中で非常に小さい。ストレプトコッカス属(Streptoc
occus)及びラクトコッカス属(Lactococcus)のある種にのみ見出されるpreQ1-I
Iリボスイッチは、完全に異なる構造を有し、preQ1-Iリボスイッチよりも大きい
。
【0170】
[0219] 一部の実施形態において、リボスイッチは、プリンを結合させてプリン代謝及
び輸送を調節するプリンリボスイッチである。異なる形態のプリンリボスイッチは、グア
ニン又はアデニンを結合させる。グアニン又はアデニンのいずれかについての特異性は、
Y74位におけるリボスイッチ中の単一ピリミジンとのワトソン・クリック相互作用に依
存する。グアニンリボスイッチにおいて、単一ピリミジンは、シトシン(すなわち、C7
4)である。アデニンリボスイッチにおいて、単一ピリミジンは、ウラシル(すなわち、
U74)である。相同タイプのプリンリボスイッチは、デオキシグアノシンを結合させ得
るが、単一ヌクレオチド突然変異よりも有意な差を有する。
【0171】
[0220] 一部の実施形態において、リボスイッチは、S-アデノシルホモシステイン(
SAH)を結合させてメチル化反応においてS-アデノシルメチオニン(SAM)から産
生されるSAHの再循環に関与する遺伝子を調節するSAHリボスイッチである。
【0172】
[0221] 一部の実施形態において、リボスイッチは、S-アデノシルメチオニン(SA
M)を結合させてメチオニン及びSAMの生合成及び輸送を調節するSAMリボスイッチ
である。3つの区別されるSAMリボスイッチ:SAM-I(元々はS-ボックスと呼ば
れていた)、SAM-II、及びSMKボックスが存在する。SAM-Iは、細菌中に広
く存在する。SAM-IIは、α-、β-、及び少数のγ-プロテオバクテリアにのみ見
出される。SMKボックスリボスイッチは、ラクトバシルス目(Lactobacillales)に見
出される。これら3つのリボスイッチの変種は、明白な配列類似性も構造類似性も有さな
い。第4の変種SAM-IVは、SAM-Iのものと類似のリガンド結合コアを有するが
、区別される足場の状況で有すると考えられる。
【0173】
[0222] 一部の実施形態において、リボスイッチは、SAM及びSAHの両方に類似の
親和性で結合するSAM-SAHリボスイッチである。
[0223] 一部の実施形態において、リボスイッチは、テトラヒドロ葉酸を結合させて遺
伝子の合成及び輸送を調節するテトラヒドロ葉酸リボスイッチである。
【0174】
[0224] 一部の実施形態において、リボスイッチは、テオフィリン結合リボスイッチ又
はチミンピロリン酸結合リボスイッチである。
[0225] 一部の実施形態において、リボスイッチは、グルコサミン-6-リン酸を感知
するサーモアナエロバクター・テングコンジェンシス(Thermoanaerobacter tengcongens
is)からのglmS触媒リボスイッチである。
【0175】
[0226] 一部の実施形態において、リボスイッチは、チアミンピロリン酸(TPP)を
結合させてチアミン生合成及び輸送、並びに類似の代謝産物の輸送を調節するTPPリボ
スイッチ(Thi-ボックスとも)である。TPPリボスイッチは、真核生物に見出され
る。
【0176】
[0227] 一部の実施形態において、リボスイッチは、モリブデン補因子を結合させてこ
の補酵素、及びモリブデン又はその誘導体を補因子として使用する酵素の生合成及び輸送
に関与する遺伝子を調節するMocoリボスイッチである。
【0177】
[0228] 一部の実施形態において、リボスイッチは、ビブリオ・バルニフィカス(Vibr
io vulnificus)のアデニンデアミナーゼ(add)コード遺伝子の5’-UTRに見出
されるアデニン感知add-Aリボスイッチである。
【0178】
アプタザイム
[0229] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムを含む
。アプタザイムは、アプタマー領域がアロステリック制御エレメントとして使用され、触
媒RNA(下記の「リボザイム」)の領域に結合される条件付き発現のためのスイッチで
ある。一部の実施形態において、アプタザイムは、細胞タイプ特異的翻訳において活性で
ある。一部の実施形態において、アプタザイムは、細胞状態特異的翻訳下で、例えば、ウ
イルス感染細胞下、又はウイルス核酸若しくはウイルスタンパク質の存在下で活性である
。
【0179】
[0230] リボザイムは、化学反応を触媒するRNA分子である。多くの天然リボザイム
は、リボザイム自体のホスホジエステル結合の加水分解又は他のRNA中のホスホジエス
テル結合の加水分解を触媒し得る。天然リボザイムは、リボソームのアミノトランスフェ
ラーゼ活性も触媒し得る。触媒RNAは、インビトロ法により「進化」させることができ
る。リボザイム及びリボザイムの反応産物は、遺伝子発現を調節し得る。一部の実施形態
において、触媒RNA又はリボザイムは、バルク容量からの分子の化学的変換のためにリ
ボザイムが多くのコピーにおいて細胞内に存在するようにより大きい非コードRNA内に
配置することができる。一部の実施形態において、アプタマー及びリボザイムは、両方と
も、同じ非コードRNA中でコードさせることができる。
【0180】
[0231] リボザイムの非限定的な例としては、ハンマーヘッドリボザイム、VLリボザ
イム、リードザイム、及びヘアピンリボザイムが挙げられる。
[0232] 一部の実施形態において、アプタザイムは、RNA配列を開裂し得、リガンド
又はモジュレーターの結合の結果として調節することができるリボザイムである。リボザ
イムは、自己開裂リボザイムであり得る。したがって、これらのリボザイムは、リボザイ
ム及びアプタマーの特性を組み合わせ得る。
【0181】
[0233] 一部の実施形態において、アプタザイムは、本明細書に記載の環状ポリリボヌ
クレオチドの非翻訳領域中に含まれる。リガンド/モジュレーターの不存在下のアプタザ
イムは不活性であり、導入遺伝子の発現を許容し得る。発現は、リガンドの添加により停
止させ、又は下方調節することができる。特定のモジュレーターの存在に応答して下方調
節されるアプタザイムは、モジュレーターに応答する遺伝子発現の上方調節が望ましい制
御系において使用することができる。
【0182】
[0234] アプタザイムは、環状ポリリボヌクレオチド発現の自己調節のための系を発生
させるために使用することもできる。例えば、特定の小分子の合成における律速酵素であ
る本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドのタンパク質産物は、小分子の存在下で増
加した触媒活性を有するように選択されるアプタザイムを含むように改変して分子の合成
のための自己調節フィードバックループを提供することができる。或いは、アプタザイム
活性は、環状ポリリボヌクレオチドからのタンパク質産物、又は任意の他の細胞巨大分子
の選択される感知の蓄積であり得る。
【0183】
[0235] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アプタマー配列を含
み得る。アプタマーの非限定的な例としては、リゾチームを結合させるRNAアプタマー
、Toggle-25t(トロンビンに高い特異性及び親和性で結合する2’-フルオロ
ピリミジンヌクレオチドを含有するRNAアプタマー)、ヒト免疫不全ウイルストランス
作用応答エレメント(HIV TAR)を結合させるRNA-Tat、ヘミンを結合させ
るRNAアプタマー、インターフェロンγを結合させるRNAアプタマー、血管内皮成長
因子(VEGF)を結合させるRNAアプタマー、前立腺特異抗原(PSA)を結合させ
るRNAアプタマー、ドーパミンを結合させるRNAアプタマー、及び熱ショック因子1
(HSF1)を結合させるRNAアプタマーが挙げられる。
【0184】
[0236] 一部の実施形態において、本明細書に記載のcircRNAは、RNAの転写
及び複製に使用することができる。例えば、circRNAを使用して非コードRNA、
lncRNA、miRNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRN
A、又はshRNAをコードさせることができる。一部の実施形態において、circR
NAは、アンチセンスmiRNA及び転写エレメントを含み得る。転写後、このようなc
ircRNAは、機能的線状miRNAを産生し得る。circRNA発現及びモジュレ
ーション用途の非限定的な例を表5に列挙する。
【0185】
【0186】
複製エレメント
[0237] 環状ポリリボヌクレオチドは、複製に有用な配列及び/又はモチーフをコード
し得る。環状ポリリボヌクレオチドの複製は、相補環状ポリリボヌクレオチドを生成する
ことにより生じ得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、転写を開
始させるためのモチーフを含み、転写は内因性細胞機構(DNA依存性RNAポリメラー
ゼ)又は環状ポリリボヌクレオチドによりコードされるRNA依存性RNAポリメラーゼ
のいずれかによりドライブされる。ローリングサークル転写イベントの産物は、リボザイ
ムにより切断して単位長さにおける相補的又は伝播環状ポリリボヌクレオチドのいずれか
を生成することができる。リボザイムは、環状ポリリボヌクレオチド、その相補鎖により
、又はRNA配列によりトランスでコードさせることができる。一部の実施形態において
、コードされるリボザイムは、circRNA伝播を制御するためのリボザイムの活性を
調節する(阻害又は促進する)配列又はモチーフを含み得る。一部の実施形態において、
単位長さ配列は、細胞RNAリガーゼにより環状形態にライゲートさせることができる。
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己増幅を補助する複製エレメ
ントを含む。このような複製エレメントの例としては、HDV複製ドメイン並びに複製可
能環状RNAセンス及び/又はアンチセンスリボザイム、例えば、
アンチゲノム 5’-CGGGUCGGCAUGGCAUCUCCACCUCCUCGC
GGUCCGACCUGGGCAUCCGAAGGAGGACGCACGUCCACUC
GGAUGGCUAAGGGAGAGCCA-3’(配列番号1)、又は
ゲノム 5’-UGGCCGGCAUGGUCCCAGCCUCCUCGCUGGCGC
CGGCUGGGCAACAUUCCGAGGGGACCGUCCCCUCGGUAAU
GGCGAAUGGGACCCA-3’(配列番号2)が挙げられる。
【0187】
[0238] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複製を補助するため
の本明細書に記載の少なくとも1つの開裂配列を含む。環状ポリリボヌクレオチド内の開
裂配列は、環状ポリリボヌクレオチドから複製された長い転写産物を規定の長さに開裂し
得、続いてそれが環状化して環状ポリリボヌクレオチドに対する相補鎖を形成し得る。
【0188】
[0239] 別の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオ
チドから複製された長い転写産物を規定の長さに開裂するための少なくとも1つのリボザ
イム配列を含み、別のコードリボザイムは、リボザイム配列において転写産物を切断する
。環状化は、環状ポリリボヌクレオチドに対する相補鎖を形成する。
【0189】
[0240] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、エキソヌク
レアーゼによる分解に実質的に抵抗性である。
[0241] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で複製する。
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、約10%~20%、20%~3
0%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~7
5%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~9
9%、それらの間の任意の割合において細胞内で複製する。一部の実施形態において、環
状ポリリボヌクレオチドは細胞内で複製し、娘細胞に移される。一部の実施形態において
、細胞は、少なくとも1つの環状ポリリボヌクレオチドを娘細胞に少なくとも25%、5
0%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、又は99%の効率で移す。一
部の実施形態において、減数分裂を受ける細胞は、環状ポリリボヌクレオチドを娘細胞に
少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、又は9
9%の効率で移す。一部の実施形態において、減数分裂を受ける細胞は、環状ポリリボヌ
クレオチドを娘細胞に少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%、9
0%、95%、又は99%の効率で移す。
【0190】
[0242] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主細胞内で複製す
る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、哺乳動物細胞、例えば、ヒ
ト細胞中で複製し得る。
【0191】
[0243] 一部の実施形態において環状ポリリボヌクレオチドは宿主細胞中で複製する一
方、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主のゲノム中に、例えば、宿主の染色体とインテグ
レートしない。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、宿主の
染色体との無視可能な組換え頻度を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌク
レオチドは、例えば、約1.0cM/Mb、0.9cM/Mb、0.8cM/Mb、0.
7cM/Mb、0.6cM/Mb、0.5cM/Mb、0.4cM/Mb、0.3cM/
Mb、0.2cM/Mb、0.1cM/Mb未満、又はそれ以下の数未満の、例えば、宿
主の染色体との組換え頻度を有する。
【0192】
他の配列
[0244] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、別の核酸配列をさら
に含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、DNA、RNA、又は
人工核酸配列を含み得る。他の配列としては、限定されるものではないが、ゲノムDNA
、cDNA、又はtRNA、mRNA、rRNA、miRNA、gRNA、siRNA、
若しくは他のRNAi分子をコードする配列を挙げることができる。一部の実施形態にお
いて、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドと異なる遺伝子座又は同
じ遺伝子発現産物の遺伝子座を標的化するためのsiRNAをコードする配列を含む。一
部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドと異な
る遺伝子発現産物を標的化するためのsiRNAをコードする配列を含む。
【0193】
[0245] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTRを欠く
。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、3’-UTRを欠く。一部の
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠く。一部の実施形態に
おいて、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠く。一部の実施形態において、環状
ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠く。一部の実施形態において、環
状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性を欠く。一部の実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠く。一
部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠く。
【0194】
[0246] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列の1つ以
上:1つ以上のmiRNAをコードする配列、1つ以上の複製タンパク質をコードする配
列、外因性遺伝子をコードする配列、治療薬をコードする配列、調節配列(例えば、プロ
モーター、エンハンサー)、内因性遺伝子(siRNA、lncRNA、shRNA)を
標的化する1つ以上の調節配列をコードする配列、及び治療mRNA又はタンパク質をコ
ードする配列を含む。
【0195】
[0247] 他の配列は、約2~約5000nt、約10~約100nt、約50~約15
0nt、約100~約200nt、約150~約250nt、約200~約300nt、
約250~約350nt、約300~約500nt、約10~約1000nt、約50~
約1000nt、約100~約1000nt、約1000~約2000nt、約2000
~約3000nt、約3000~約4000nt、約4000~約5000nt、又はそ
れらの間の任意の範囲の長さを有し得る。
【0196】
[0248] 環状ポリリボヌクレオチドは、その環状化の結果として、それを線状RNAと
区別するある特徴を含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアー
ゼによる分解に対して線状RNAと比較して感受性でない。したがって、環状ポリリボヌ
クレオチドは、特にエキソヌクレアーゼの存在下でインキュベートされる場合、線状RN
Aよりも安定的である。線状RNAと比較して増加した環状ポリリボヌクレオチドの安定
性により、環状ポリリボヌクレオチドはポリペプチドを産生するための細胞形質転換試薬
としてより有用となり、線状RNAよりも容易に且つ長く貯蔵することができる。エキソ
ヌクレアーゼにより処理された環状ポリリボヌクレオチドの安定性は、RNA分解が生じ
たか否かを決定する当技術分野において標準的な方法を使用して(例えば、ゲル電気泳動
により)試験することができる。
【0197】
[0249] さらに、線状RNAと異なり、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌ
クレオチドがホスファターゼ、例えば、ウシ小腸ホスファターゼとインキュベートされる
場合、脱リン酸化に対して感受性でない。
【0198】
ヌクレオチドスペーサー配列
[0250] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スペーサー配列を含
む。
【0199】
[0251] スペーサーは、スペーサーの全長にわたり、又はスペーサーの少なくとも50
%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96
%、97%、98%又は99%の連続核酸残基にわたり、例えば、65%、60%、55
%、50%、55%、50%、45%、40%、39%、38%、37%、36%、35
%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25
%、24%、23%、22%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14
%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2
%又は1%未満の低いGC含有率を有する核酸分子であり得る。一部の実施形態において
、スペーサーは、二次構造を実質的に有さず、例えば、40kcal/mol未満、-3
9、-38、-37、-36、-35、-34、-33、-32、-31、-30、-2
9、-28、-27、-26、-25、-24、-23、-22、-20、-19、-1
8、-17、-16、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、
-7、-6、-5、-4、-3、-2又は-1kcal/mol未満である。スペーサー
は、核酸、例えば、DNA又はRNAを含み得る。
[0252] スペーサー配列は、RNA配列、好ましくは、分泌シグナルぺプチドを含むタ
ンパク質又はぺプチド配列をコードし得る。
【0200】
[0253] スペーサー配列は、非コードであり得る。スペーサーが非コード配列である場
合、開始コドンは隣接配列のコード配列中で提供することができる。一部の実施形態にお
いて、コード配列の最初の核酸残基は、開始コドン、例えば、AUGのA残基であり得る
ことが想定される。スペーサーがRNA又はタンパク質又はぺプチド配列をコードする場
合、開始コドンはスペーサー配列中で提供することができる。
【0201】
[0254] 一部の実施形態において、スペーサーは、本明細書に記載の別の配列に作動可
能に結合している。
【0202】
非核酸リンカー
[0255] 本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、非核酸リンカーも含み得る。
一部の実施形態において、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記
載の配列又はエレメントの1つ以上の間の非核酸リンカーを有する。一部の実施形態にお
いて、本明細書に記載の1つ以上の配列又はエレメントは、リンカーと結合している。非
核酸リンカーは、化学結合、例えば、1つ以上の共有結合又は非共有結合であり得る。一
部の実施形態において、非核酸リンカーは、ぺプチド又はタンパク質リンカーである。こ
のようなリンカーは、2~30アミノ酸、又はそれよりも長くてよい。リンカーとしては
、本明細書に記載のフレキシブル、剛直又は開裂性リンカーが挙げられる。
【0203】
[0256] 最も一般に使用されるフレキシブルリンカーは、主にGly及びSer残基の
ストレッチからなる配列を有する(「GS」リンカー)。フレキシブルリンカーは、ある
程度の移動又は相互作用を要求するドメインの結合に有用であり得、小さい非極性(例え
ば、Gly)又は極性(例えば、Ser又はThr)アミノ酸を含み得る。Ser又はT
hrの取り込みは、水分子との水素結合を形成することにより水溶液中のリンカーの安定
性も維持し、したがってリンカー及びタンパク質部分間の不所望な相互作用も低減させ得
る。
【0204】
[0257] 剛直リンカーは、ドメイン間の固定距離を保つため、及びそれらの独立した機
能を維持するために有用である。剛直リンカーは、融合物中の1つ以上の構成成分の安定
性又は生物活性を保存するためにドメインの空間的分離が重要である場合にも有用であり
得る。剛直リンカーは、αヘリックス構造又はProリッチ配列(XP)n(Xは、任意
のアミノ酸、好ましくは、Ala、Lys、又はGluを指す)を有し得る。
【0205】
[0258] 開裂性リンカーは、インビボでフリーの機能ドメインを放出し得る。一部の実
施形態において、リンカーは、規定の条件下で、例えば、還元試薬又はプロテアーゼの存
在下で開裂させることができる。インビボ開裂性リンカーは、ジスルフィド結合の可逆的
性質を利用し得る。一例としては、2つのCys残基間のトロンビン感受性配列(例えば
、PRS)が挙げられる。CPRSCのインビトロトロンビン処理はトロンビン感受性配
列の開裂をもたらす一方、可逆的ジスルフィド結合は、インタクトのままである。融合物
中のリンカーのインビボ開裂は、病理学的条件(例えば、癌又は炎症)下で規定の細胞又
は組織中でインビボで発現され、又はある細胞コンパートメント内で拘束されるプロテア
ーゼによっても実行され得る。多くのプロテアーゼの特異性は、拘束コンパートメント中
のリンカーのより緩慢な開裂を提供する。
【0206】
[0259] 結合分子の例としては、疎水性リンカー、例えば、負荷電スルホン酸基;脂質
、例えば、ポリ(-CH2-イピド(ipid)、例えば、ポリ(-CHe gポリエチ
レングリコール(PEG)基、その不飽和バリアント、そのヒドロキシル化バリアント、
そのアミド化又はそうでなければN含有バリアント、非炭素リンカー;炭水化物リンカー
;ホスホジエステルリンカー、又は2つ以上のポリペプチドを共有結合させ得る他の分子
が挙げられる。非共有リンカー、例えば、ポリペプチドが例えばポリペプチドの疎水性領
域又はポリペプチドの疎水性伸長部、例えばロイシン、イソロイシン、バリン、又はさら
にはアラニン、フェニルアラニン、又はさらにはチロシン、メチオニン、グリシン又は他
の疎水性残基リッチの一連の残基を介して結合している疎水性脂肪球も含まれる。ポリペ
プチドは、電荷ベース化学反応を使用してポリペプチドの正荷電部分が負電荷の別のポリ
ペプチド又は核酸に結合するように結合することができる。
【0207】
環状化
[0260] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、環化させ、又は
コンカテマー化させることができる。一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレ
オチドは、インビトロで配合及び/又は送達前に環化させることができる。一部の実施形
態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で環化させることができる。
【0208】
細胞外環状化
[0261] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、化学的方法を使
用して環化させ、又はコンカテマー化させて環状ポリリボヌクレオチドを形成する。一部
の化学的方法において、核酸(例えば、線状環状ポリリボヌクレオチド)の5’末端及び
3’末端は、一緒に接近した場合、分子の5’末端及び3’末端間の新たな共有結合を形
成し得る化学反応基を含む。5’末端は、NHSエステル反応基を含有し得、3’末端は
、3’アミノ末端化ヌクレオチドを含有し得、その結果、有機溶媒中で線状RNA分子の
3’末端上の3’-アミノ末端化ヌクレオチドは、5’-NHS-エステル部分上の求核
攻撃を受け、新たな5’又は3’-アミド結合を形成する。
【0209】
[0262] 一部の実施形態において、DNA又はRNAリガーゼを使用して5’-リン酸
化核酸分子(例えば、線状環状ポリリボヌクレオチド)を核酸(例えば、線状核酸)の3
’-ヒドロキシル基に酵素的に結合し、新たなホスホジエステル結合を形成することがで
きる。一例の反応において、線状環状ポリリボヌクレオチドを1~10単位のT4RNA
リガーゼと製造業者のプロトコルに従って37℃において1時間インキュベートする。ラ
イゲーション反応は、並列する5’及び3’領域の両方と塩基対合して酵素的ライゲーシ
ョン反応をアシストし得る線状核酸の存在下で生じ得る。
【0210】
[0263] 一部の実施形態において、DNA又はRNAリガーゼは、環状ポリリボヌクレ
オチドの合成において使用することができる。非限定的な例として、リガーゼは、cir
cリガーゼ又は環状リガーゼであり得る。
【0211】
[0264] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’又は3’末端
のいずれかは、リガーゼリボザイム配列をコードし得、その結果、インビトロ転写の間、
得られる線状環状ポリリボヌクレオチドは、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端を
線状環状ポリリボヌクレオチドの3’末端にライゲートし得る活性リボザイム配列を含む
。リガーゼリボザイムは、グループIイントロン、デルタ肝炎ウイルス、ヘアピンリボザ
イムに由来し得、又はSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの体系的進化(system
atic evolutionof ligands by exponential enrichment))により選択することができ
る。リボザイムリガーゼ反応は、0~37℃の温度において1~24時間要し得る。
【0212】
[0265] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つ
の非核酸部分を使用することにより環化させ、又はコンカテマー化させることができる。
一態様において、少なくとも1つの非核酸部分は、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’
末端付近及び/又は3’末端付近の領域又はフィーチャーと反応して線状環状ポリリボヌ
クレオチドを環化させ、又はコンカテマー化させ得る。別の態様において、少なくとも1
つの非核酸部分は、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端及び/又は3’末端中に局
在化させ、又はそれに若しくはその付近に結合することができる。企図される非核酸部分
は、同種又は異種であり得る。非限定的な例として、非核酸部分は、結合、例えば、疎水
性結合、イオン結合、生分解性結合及び/又は開裂性結合であり得る。別の非限定的な例
として、非核酸部分は、ライゲーション部分である。さらに別の非限定的な例として、非
核酸部分は、オリゴヌクレオチド又はぺプチド部分、例えば、本明細書に記載のアプタマ
ー又は非核酸リンカーであり得る。
【0213】
[0266] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、線状環状ポリリ
ボヌクレオチドの5’及び3’末端における、その付近の又はそれに結合している原子、
分子表面間の誘引を引き起こす非核酸部分に起因して環化させ、又はコンカテマー化させ
ることができる。非限定的な例として、1つ以上の線状環状ポリリボヌクレオチドは、分
子間力又は分子内力により環化させ、又はコンカテマー化させることができる。分子間力
の非限定的な例としては、双極子-双極子力、双極子誘起双極子力、誘起双極子-誘起双
極子力、ファンデルワールス力、及びロンドン分散力が挙げられる。分子内力の非限定的
な例としては、共有結合、金属結合、イオン結合、共鳴結合、アゴニスト結合、双極子結
合、コンジュゲーション、ハイパーコンジュゲーション及び反結合が挙げられる。
【0214】
[0267] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、5’末端付近及
び3’末端付近のリボザイムRNA配列を含み得る。リボザイムRNA配列は、配列がリ
ボザイムの残部に露出される場合、ぺプチドに共有結合し得る。一態様において、5’末
端及び3’末端付近のリボザイムRNA配列に共有結合しているぺプチドは互いに会合し
、線状環状ポリリボヌクレオチドの環化又はコンカテマー化を引き起こし得る。別の態様
において、5’末端及び3’末端付近のリボザイムRNA配列に共有結合しているぺプチ
ドは、当技術分野において公知の種々の方法を使用するライゲーション、例えば、限定さ
れるものではないが、タンパク質ライゲーションに供された後に線状一次構築物又は線状
mRNAの環化又はコンカテマー化を引き起こし得る。
【0215】
[0268] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、5’三
リン酸をRNA5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH)又はATPジホスホヒドロラー
ゼ(アピラーゼ)と接触させることにより5’一リン酸に変換される核酸の5’三リン酸
を含み得る。或いは、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’三リン酸の5’一リン酸への
変換は、(a)線状環状ポリリボヌクレオチドの5’ヌクレオチドをホスファターゼ(例
えば、南極ホスファターゼ、シュリンプアルカリホスファターゼ、又はウシ小腸ホスファ
ターゼ)と接触させて3つ全てのリン酸を除去すること;及び(b)ステップ(a)の後
の5’ヌクレオチドを、単一リン酸を付加するキナーゼ(例えば、ポリヌクレオチドキナ
ーゼ)と接触させることを含む2ステップ反応により生じ得る。
【0216】
スプライシングエレメント
[0269] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのス
プライシングエレメントを含む。一部の実施形態において、スプライシングエレメントは
、少なくとも1つの発現配列に隣接する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、それぞれの発現配列に隣接するスプライシングエレメントを含む。一部の実施
形態において、スプライシングエレメントは、それぞれの発現配列の片側又は両側上に存
在し、発現産物、例えば、ぺプチド及び又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0217】
[0270] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複製される場合にス
プライシングされる末端が一緒に結合する内部スプライシングエレメントを含む。一部の
例としては、スプライス部位配列及び短鎖逆位リピート(30~40nt)、例えば、A
luSq2、AluJr、及びAluSz、フランキングイントロン中の逆位配列、フラ
ンキングイントロン中のAluエレメント、及びバックスプライスイベントに近接するシ
ス配列エレメント中に見出されるモチーフ(サプタブル(suptable)4濃縮モチーフ)、
例えば、フランキングエキソンを有するバックスプライス部位の200bp前(上流)又
は後(下流)の配列を有する小型イントロン(<100nt)を挙げることができる。一
部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内部スプライシングエレメントと
して本明細書の他箇所に記載の少なくとも1つの反復ヌクレオチド配列を含む。このよう
な実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、イントロンのAluファミリーからのリ
ピート配列を含み得る。一部の実施形態において、スプライシング関連リボソーム結合タ
ンパク質は、環状ポリリボヌクレオチド生合成、例えば、マッスルブラインド及びクエイ
キング(Quaking)(QKI)スプライシング因子を調節し得る。
【0218】
[0271] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレ
オチドの頭尾結合をフランキングするカノニカルスプライス部位を含み得る。
[0272] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つの3-ヌクレオ
チドバルジによりフランキングされる4塩基対ステムを含むバルジ-ヘリックス-バルジ
モチーフを含み得る。開裂はバルジ領域中の部位において生じ、末端5’-ヒドロキシル
基及び2’,3’-サイクリックリン酸を有する特徴的な断片を生成する。環状化は、同
じ分子の2’,3’-サイクリックリン酸上への5’-OH基の求核攻撃により進行し、
3’,5’-ホスホジエステル架橋を形成する。
【0219】
[0273] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、HPRエレメントを
保有するマルチマーリピートRNA配列を含み得る。HPRは、2’,3’-サイクリッ
クリン酸及び5’-OH末端を含む。HPRエレメントは、線状環状ポリリボヌクレオチ
ドの5’末端及び3’末端を自己プロセシングし、それにより末端を一緒にライゲートす
る。
【0220】
[0274] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲーション
を媒介する配列を含み得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自
己ライゲートするためのHDV配列(例えば、HDV複製ドメイン保存配列、
GGCUCAUCUCGACAAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUA
CUCUUUUCUGUAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCA
AGUUCGAGCAUGAGCC(配列番号3)(Beeharry et al 2
004)又は
GGCUAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUACUCUUUUCUG
UAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCGAGCC(配列番号4
))を含み得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲー
トするためのループE配列(例えば、PSTVd中)を含み得る。別の実施形態において
、環状ポリリボヌクレオチドは、自己環状化イントロン、例えば、5’及び3’-スライ
スジャンクション、又は自己環状化触媒イントロン、例えば、グループI、グループII
又はグループIIIイントロンを含み得る。グループIイントロン自己スプライシング配
列の非限定的な例としては、T4バクテリオファージ遺伝子tdに由来する自己スプライ
シング逆順イントロン-エキソン配列、及びテトラヒメナ属(Tetrahymena)の介在配列
(IVS)rRNAを挙げることができる。
【0221】
他の環状化法
[0275] 一部の実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、個々のイントロ
ン内の又はフランキングイントロンにわたる反復又は非反復核酸配列のいずれかを含む相
補的配列を含み得る。反復核酸配列は、環状ポリリボヌクレオチドのセグメント内で生じ
る配列である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、反復核酸配列を
含む。一部の実施形態において、反復ヌクレオチド配列としては、ポリCA又はポリUG
配列が挙げられる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリ
ボヌクレオチドの別のセグメント中の相補的反復核酸配列にハイブリダイズする少なくと
も1つの反復核酸配列を含み、ハイブリダイズされたセグメントは内部二重鎖を形成する
。一部の実施形態において、2つの別個の環状ポリリボヌクレオチドからの反復核酸配列
及び相補的反復核酸配列は、ハイブリダイズして単一の環状化ポリリボヌクレオチドを生
成し、ハイブリダイズされたセグメントは内部二重鎖を形成する。一部の実施形態におい
て、相補的配列は、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’及び3’末端に見出される。一
部の実施形態において、相補的配列は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
2、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25
、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、
75、80、85、90、95、100個以上の対合ヌクレオチドを含む。
【0222】
修飾
[0276] 一部の態様において、本明細書に記載の本発明は、組成物並びに修飾環状ポリ
リボヌクレオチドを使用し、作製する方法、及び修飾環状ポリリボヌクレオチドを送達す
る方法を含む。用語「修飾ヌクレオチド」は、非修飾天然リボヌクレオチド、例えば、表
5の化学式により示される天然非修飾ヌクレオチドのアデノシン(A)、ウリジン(U)
、グアニニエ(guaninie)(G)、シチジン(C)、及び一リン酸の化学組成の1つ以上
の化学的修飾を有する任意のヌクレオチドアナログ又は誘導体を指し得る。修飾リボヌク
レオチドの化学的修飾は、リボヌクレオチドのいずれか1つ以上の官能基、例えば、糖、
核酸塩基、又はヌクレオシド間結合の(例えば、結合リン酸の/ホスホジエステル結合の
/ホスホジエステル骨格の)修飾であり得る。
【0223】
【0224】
[0277] 環状ポリリボヌクレオチドは、参照配列、特に親ポリリボヌクレオチドに関す
る1つ以上の置換、挿入及び/又は付加、欠失、並びに共有結合修飾を含み得、それは本
発明の範囲内に含まれる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ
以上の転写後修飾(例えば、キャッピング、開裂、ポリアデニル化、スプライシング、ポ
リA配列、メチル化、アシル化、リン酸化、リジン及びアルギニン残基のメチル化、アセ
チル化、並びにチオール基及びチロシン残基のニトロシル化など)を含む。環状ポリリボ
ヌクレオチドは、例えば、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合の(例えば、結合リン
酸の/ホスホジエステル結合の/ホスホジエステル骨格の)任意の有用な修飾を含み得る
。ピリミジン核酸塩基の1つ以上の原子は、場合により置換されているアミノ、場合によ
り置換されているチオール、場合により置換されているアルキル(例えば、メチル又はエ
チル)、又はハロ(例えば、クロロ又はフルオロ)により置き換えられ、又は置換されて
いてよい。ある実施形態において、修飾(例えば、1つ以上の修飾)は、糖及びヌクレオ
シド間結合のそれぞれに存在する。修飾は、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核
酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ぺプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LN
A)又はそれらのハイブリッド)へのリボ核酸(RNA)の修飾であり得る。追加の修飾
は、本明細書に記載される。
【0225】
[0278] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳効率を増加させ
るための少なくとも1つのN(6)メチルアデノシン(m6A)修飾を含む。
[0279] 一部の実施形態において、修飾としては、化学的又は細胞誘導修飾を挙げるこ
とができる。例えば、細胞内RNA修飾の一部の非限定的な例は、Lewis and Panにより
“RNAmodifications and structures cooperate to guide RNA-protein interactions”
from NatReviews Mol Cell Biol, 2017, 18: 202-210に記載されている。
【0226】
[0280] 別の実施形態において、「シュードウリジン」は、m1acp3Ψ(1-メチ
ル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジンを指す。別の実施形
態において、この用語は、m1Ψ(1-メチルシュードウリジン)を指す。別の実施形態
において、この用語は、Ψm(2’-O-メチルシュードウリジンを指す。別の実施形態
において、この用語は、m5D(5-メチルジヒドロウリジン)を指す。別の実施形態に
おいて、この用語は、m3Ψ(3-メチルシュードウリジン)を指す。別の実施形態にお
いて、この用語は、さらに修飾されないシュードウリジン部分を指す。別の実施形態にお
いて、この用語は、上記シュードウリジンいずれかの一リン酸、二リン酸、又は三リン酸
を指す。別の実施形態において、この用語は、当技術分野において公知の任意の他のシュ
ードウリジンを指す。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0227】
[0281] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのリボヌクレオチドの化
学的修飾は、免疫回避を向上させ得る。修飾としては、例えば、末端修飾、例えば、5’
末端修飾(リン酸化(モノ、ジ及びトリ)、コンジュゲーション、逆位結合など)、3’
末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆位結合など)、塩基修飾(例え
ば、安定化塩基、脱安定化塩基、又はパートナーの伸長レパートリーと塩基対合する塩基
による置き換え)、塩基の除去(非塩基ヌクレオチド)、又はコンジュゲート塩基が挙げ
られる。修飾リボヌクレオチド塩基としては、5-メチルシチジン及びシュードウリジン
も挙げることができる。一部の実施形態において、塩基修飾は、いくつかの機能的効果を
挙げると、環状ポリリボヌクレオチドの発現、免疫応答、安定性、細胞内局在化をモジュ
レートし得る。一部の実施形態において、修飾としては、バイオルソゴナル(bi-orthogo
nal)ヌクレオチド、例えば、非天然塩基が挙げられる。
【0228】
[0282] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの糖修飾(例えば、2’
位又は4’位におけるもの)又は1つ以上のリボヌクレオチドの糖の置き換えとしては、
骨格修飾と同様、ホスホジエステル結合の修飾又は置き換えが挙げられる。環状ポリリボ
ヌクレオチドの非限定的な例としては、修飾骨格又は非天然ヌクレオシド結合、例えば、
ホスホジエステル結合の修飾又は置き換えのものを有する環状ポリリボヌクレオチドが挙
げられる。修飾骨格を有する環状ポリリボヌクレオチドとしては、とりわけ、骨格中のリ
ン原子を有さないものが挙げられる。本出願の目的のため、及び当技術分野において時折
参照されるものとして、ヌクレオシド間結合中のリン原子を有さない修飾RNAも、オリ
ゴヌクレオシドとみなすことができる。特定の実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドは、そのヌクレオシド間骨格中のリン原子を有するリボヌクレオチドを含む。
【0229】
[0283] 修飾環状ポリリボヌクレオチド骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、
キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキ
ルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば、3’-アルキレ
ンホスホネート及びキラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホラミデート、例えば、
3’-アミノホスホラミデート及びアミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミ
デート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、並びにボラ
ノホスフェートであって、通常の3’-5’結合を有するもの、それらの2’-5’結合
アナログ、及びヌクレオシド単位の隣接ペアが3’-5’から5’-3’に又は2’-5
’から5’-2’に結合している逆の極性を有するものを挙げることができる。種々の塩
、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチ
ドは、負又は正に荷電していてよい。
【0230】
[0284] 環状ポリリボヌクレオチド中に取り込むことができる修飾ヌクレオチドは、ヌ
クレオシド間結合(例えば、リン酸骨格)上で修飾することができる。ここで、ポリヌク
レオチド骨格に関して、語句「リン酸」及び「ホスホジエステル」は、互換的に使用され
る。骨格リン酸基は、酸素原子の1つ以上を異なる置換基により置き換えることにより修
飾することができる。さらに、修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドは、非修飾リン酸部分
の本明細書に記載の別のヌクレオシド間結合による大規模な置き換えを含み得る。修飾リ
ン酸基の例としては、限定されるものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロセレネ
ート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホラ
ミデート、ホスホロジアミデート、アルキル又はアリールホスホネート、及びホスホトリ
エステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、硫黄により置き換えられている両方の
非結合酸素を有する。リン酸リンカーは、結合酸素の窒素(架橋ホスホラミデート)、硫
黄(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素(架橋メチレン-ホスホネート)による置き換
えにより修飾することもできる。
【0231】
[0285] α-チオ置換リン酸部分は、非天然ホスホロチオエート骨格結合を介してRN
A及びDNAポリマーに安定性を付与するために提供される。ホスホロチオエートDNA
及びRNAは、細胞環境中の増加したヌクレアーゼ抵抗性及び続いて長い半減期を有する
。環状ポリリボヌクレオチドに結合しているホスホロチオエートは、細胞自然免疫分子の
より弱い結合/活性化を介して自然免疫応答を低減させることが予測される。
【0232】
[0286] 一部の実施形態において、修飾ヌクレオシドとしては、α-チオ-ヌクレオシ
ド(例えば、5’-O-(l-チオホスフェート)-アデノシン、5’-O-(l-チオ
ホスフェート)-シチジン(α-チオ-シチジン)、5’-O-(l-チオホスフェート
)-グアノシン、5’-O-(l-チオホスフェート)-ウリジン、又は5’-O-(1
-チオホスフェート)-シュードウリジン)が挙げられる。他のヌクレオシド間結合とし
ては、リン原子を含有しないヌクレオシド間結合を挙げることができる。
【0233】
[0287] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の細胞毒性
ヌクレオシドを含み得る。例えば、細胞毒性ヌクレオシドは、環状ポリリボヌクレオチド
中に例えば、二官能修飾で取り込むことができる。細胞毒性ヌクレオシドとしては、限定
されるものではないが、アデノシンアラビノシド、5-アザシチジン、4’-チオ-アラ
シチジン、シクロペンテニルシトシン、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、シ
トシンアラビノシド、l-(2-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペント
フラノシル)-シトシン、デシタビン、5-フルオロウラシル、フルダラビン、フロクス
ウリジン、ゲムシタビン、テガフール及びウラシルの組合せ、テガフール((R,S)-
5-フルオロ-l-(テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(lH,3H
)-ジオン)、トロキサシタビン、テザシタビン、2’-デオキシ-2’-メチリデンシ
チジン(DMDC)、及び6-メルカプトプリンを挙げることができる。追加の例として
は、リン酸フルダラビン、N4-ベヘノイル-l-β-D-アラビノフラノシルシトシン
、N4-オクタデシル-1-β-D-アラビノフラノシルシトシン、N4-パルミトイル
-l-(2-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)シトシ
ン、及びP-4055(シタラビン5’-エライジン酸エステル)が挙げられる。
【0234】
[0288] 環状ポリリボヌクレオチドは、分子の全長に沿って均一に修飾することができ
る。例えば、ヌクレオチドの1つ以上又は全てのタイプ(例えば、天然発生ヌクレオチド
、プリン若しくはピリミジン、又はA、G、U、C、I、pUのいずれか1つ以上若しく
は全て)を環状ポリリボヌクレオチド中で、又はその所与の所定配列領域中で均一に修飾
することができる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、シュードウ
リジンを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ウイルスRNA
に対して内因性のものとして環状ポリリボヌクレオチドを特徴付ける免疫系を補助し得る
イノシンを含む。イノシンの取り込みは、改善されたRNA安定性/低減した分解も媒介
し得る。
【0235】
[0289] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中(又はその所与の配列
領域中)の全てのヌクレオチドが修飾されている。一部の実施形態において、修飾は、発
現を増大させ得るm6A;免疫応答を減衰し得るイノシン;RNA安定性、又は翻訳リー
ドスルー(終止コドン=コード可能性)を増加させ得るシュードウリジン、安定性を増加
させ得るm5C;及び細胞内トランスロケーション(例えば、核局在化)を補助する2,
2,7-トリメチルグアノシンを含み得る。
【0236】
[0290] 環状ポリリボヌクレオチド中の種々の位置に、異なる糖修飾、ヌクレオチド修
飾、及び/又はヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造)が存在し得る。当業者は、環状
ポリリボヌクレオチドの機能が実質的に減少しないように、ヌクレオチドアナログ又は他
の修飾を環状ポリリボヌクレオチドの任意の位置に局在させることができることを認識す
る。修飾は、非コード領域修飾でもあり得る。環状ポリリボヌクレオチドは、約1%~約
100%の修飾ヌクレオチド(全ヌクレオチド含有率に対し、又はヌクレオチドの1つ以
上のタイプ、すなわち、A、G、U、若しくはCのいずれか1つ以上に対する)又は任意
のその間の割合(例えば、1%~20%>、1%~25%、1%~50%、1%~60%
、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%
~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%
~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20
%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20
%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、5
0%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、
70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95
%、90%~100%、及び95%~100%)を含み得る。
【0237】
[0291] 一部の実施形態において、本明細書に提供される環状ポリリボヌクレオチドは
、修飾環状ポリリボヌクレオチドである。例えば、完全修飾環状ポリリボヌクレオチドは
、全ての又は実質的に全ての修飾アデノシン残基、全ての又は実質的に全ての修飾ウリジ
ン残基、全ての又は実質的に全ての修飾グアニン残基、全ての又は実質的に全ての修飾シ
チジン残基、又はそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態において、本明細書に提
供される環状ポリリボヌクレオチドは、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドであ
る。ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド
を有し得、連続非修飾ヌクレオチドの一部を有し得る。ハイブリッド修飾環状ポリリボヌ
クレオチドのこの非修飾部は、少なくとも約5、10、15、又は20個の連続非修飾ヌ
クレオチド、又はその間の任意数を有し得る。一部の実施形態において、ハイブリッド修
飾環状ポリリボヌクレオチドの非修飾部は、少なくとも約30、40、40、60、70
、80、90、100、110、120、130、140、150、160、180、2
00、220、250、280、300、320、350、380、400、420、4
50、500、550、600、650、700、750、800、850、900、又
は1000個の連続非修飾ヌクレオチド、又はその間の任意数を有する。一部の実施形態
において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7
、8、9、10個以上の非修飾部を有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾
環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
12、15、20、30、40、50、70、80、100、120、150、200、
250、300、400、500、600、700、800、900、1000個以上の
修飾ヌクレオチドを有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌ
クレオチドは、少なくとも1%、2%、5%、7%、8%、10%、12%、15%、1
8%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、6
5%、70%、80%、90%、95%、又は99%であるが100%未満の修飾されて
いるヌクレオチドを有する。一部の実施形態において、非修飾部は、結合部位を含む。一
部の実施形態において、非修飾部は、タンパク質、DNA、RNA、又は細胞標的を結合
させるように構成される結合部位を含む。一部の実施形態において、非修飾部は、IRE
Sを含む。
【0238】
[0292] 一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、対
応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドよりも低い免疫原性を有する。一部の実施形態に
おいて、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌ
クレオチドよりも少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2、
2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、4.2、4.
5、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.
0、9.5、又は10.0倍低い免疫原性を有する。一部の実施形態において、本明細書
に記載の免疫原性は、RIG-I、TLR-3、TLR-7、TLR-8、MDA-5、
LGP-2、OAS、OASL、PKR、及びIFN-βの少なくとも1つの発現又はシ
グナリング又は活性化のレベルにより評価される。一部の実施形態において、ハイブリッ
ド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドよりも長
い半減期を有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチ
ドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドよりも少なくとも約1.1、1.2、1
.3、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3
.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7
.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.0倍長い半減期を有する。
一部の実施形態において、半減期は、環状ポリリボヌクレオチド又は対応する環状ポリリ
ボヌクレオチドを細胞中に導入し、細胞内部の導入された環状ポリリボヌクレオチド又は
対応する環状ポリリボヌクレオチドのレベルを測定することにより測定される。
【0239】
[0293] 一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、1
つ以上の発現配列を含む。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌク
レオチドの1つ以上の発現配列は、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドと類似する
又はそれよりも高い翻訳効率を有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状
ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチ
ドよりも少なくとも約0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.
5、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8、又は3倍高い翻訳効率を有する。一
部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配
列は、修飾ヌクレオチドを含む一部(例えば、一部は、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌ
クレオチドの非修飾部に対応する)を有する対応する環状ポリリボヌクレオチドよりも高
い翻訳効率を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の
発現配列は、10%超、又は少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70
%、80%、90%、又は100%の修飾ヌクレオチドを含む第1の一部を有する対応す
る環状ポリリボヌクレオチドよりも高い翻訳効率を有するように構成される。一部の実施
形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、修
飾ヌクレオチドを含む一部(例えば、一部は、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチ
ドの非修飾部に対応する)を有する対応する環状ポリリボヌクレオチドよりも少なくとも
約1.1、1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3
、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4.8、5.0、5.5
、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.0倍
高い翻訳効率を有する。本明細書に記載のとおり、一部の実施形態において、翻訳効率は
、環状ポリリボヌクレオチド若しくは対応する環状ポリリボヌクレオチドを含む細胞中で
、又はインビトロ翻訳系(例えば、ウサギ網状赤血球溶解物)中のいずれかで測定される
。
【0240】
[0294] 一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、非
修飾の、例えば、修飾ヌクレオチドを有さない結合部位を有する。一部の実施形態におい
て、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾の、例えば、修飾ヌクレオチ
ドを有さない、タンパク質、DNA、RNA、又は細胞標的に結合するように構成される
結合部位を有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチ
ドは、非修飾の、例えば、修飾ヌクレオチドを有さない内部リボソーム進入部位(IRE
S)を有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは
、修飾ヌクレオチドである結合部位中の10%以下のヌクレオチドを有する。一部の実施
形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである
、タンパク質、DNA、RNA、又は細胞標的に結合するように構成される結合部位中の
10%以下のヌクレオチドを有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポ
リリボヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである内部リボソーム進入部位(IRES)中
の10%以下のヌクレオチドを有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状
ポリリボヌクレオチドは、結合部位を除き全体にわたり修飾ヌクレオチドを有する。一部
の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、DN
A、RNA、又は細胞標的を結合させるように構成される結合部位を除き全体にわたり修
飾ヌクレオチドを有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌク
レオチドは、IRESエレメントを除き全体にわたり修飾ヌクレオチドを有する。他の実
施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、IRESエレメント及
び1つ以上の他の一部を除き全体にわたり修飾ヌクレオチドを有する。ある理論により拘
束されるものではないが、非修飾IRESエレメントはハイブリッド修飾環状ポリリボヌ
クレオチドを翻訳可能とし、それは例えば、いかなる修飾ヌクレオチドも有さない対応す
る環状ポリリボヌクレオチドと類似する又はそれよりも高い、1つ以上の発現配列につい
ての翻訳効率を有する。
【0241】
[0295] 一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、I
RESエレメント又はタンパク質、DNA、RNA、若しくは細胞標的を結合させるよう
に構成される結合部位を除き環状ポリリボヌクレオチドの全体にわたり修飾ヌクレオチド
、例えば、5’メチルシチジン及びシュードウリジンを有する。これらの場合、ハイブリ
ッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、5’メチルシチジン及びシュードウリジンを含ま
ない対応する環状ポリリボヌクレオチドと比較して高い又は低い免疫原性を有する。一部
の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環
状ポリリボヌクレオチドよりも少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.5、1.6、
1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、
4.2、4.5、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、
8.5、9.0、9.5、又は10.0倍低い免疫原性を有する。一部の実施形態におい
て、本明細書に記載の免疫原性は、RIG-I、TLR-3、TLR-7、TLR-8、
MDA-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、及びIFN-βの少なくとも1つ
の発現又はシグナリング又は活性化により評価される。一部の実施形態において、ハイブ
リッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチド、例
えば、5’メチルシチジン及びシュードウリジンを含まない対応する環状ポリリボヌクレ
オチドよりも長い半減期を有する。一部の実施形態において、ハイブリッド修飾環状ポリ
リボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドよりも少なくとも約1.
1、1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.
2、3.3、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4.8、5.0、5.5、6.
0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.0倍長い、
長い半減期を有する。一部の実施形態において、半減期は、環状ポリリボヌクレオチド又
は対応する環状ポリリボヌクレオチドを細胞中に導入し、細胞内部の導入された環状ポリ
リボヌクレオチド又は対応する環状ポリリボヌクレオチドのレベルを測定することにより
測定される。
【0242】
[0296] 一部の例において、本明細書に記載のハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオ
チドは、他の点では同じであるが完全に修飾されている対応する環状ポリリボヌクレオチ
ドと比較して類似する免疫原性を有する。例えば、IRESエレメントを除き全体にわた
り5’メチルシチジン及びシュードウリジンを有するハイブリッド修飾環状ポリリボヌク
レオチドは、他の点では同じであるが全体にわたり5’メチルシチジン及びシュードウリ
ジンを有し、非修飾シチジン及びウリジンを有さない対応する環状ポリリボヌクレオチド
と比較して類似する免疫原性又は低い免疫原性を有し得る。一部の実施形態において、I
RESエレメントを除き全体にわたり5’メチルシチジン及びシュードウリジンを有する
ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドは、他の点では同じであるが全体にわたり5
’メチルシチジン及びシュードウリジンを有し、非修飾シチジン及びウリジンを有さない
対応する環状ポリリボヌクレオチドの翻訳効率と類似する又はそれよりも高い翻訳効率を
有する。
【0243】
環状ポリリボヌクレオチドのコンジュゲーション
[0297] 本開示のcircRNAは、例えば、化合物(例えば、小分子)、抗体若しく
はその断片、ぺプチド、タンパク質、アプタマー、薬物、又はそれらの組合せにコンジュ
ゲートさせることができる。一部の実施形態において、小分子はcircRNAにコンジ
ュゲートされ、それにより小分子を含むcircRNAを生成することができる。
【0244】
[0298] 本開示のcircRNAは、コンジュゲーションを容易にするためのコンジュ
ゲーション部分を含み得る。コンジュゲーション部分は、例えば、環状ポリリボヌクレオ
チドの内部部位に、又は線状ポリヌクレオチドの5’末端、3’末端、若しくは内部部位
に取り込むことができる。コンジュゲーション部分は、化学的又は酵素的に取り込むこと
ができる。例えば、コンジュゲーション部分は、固相オリゴヌクレオチド合成の間に同時
転写的に(例えば、寛容性RNAポリメラーゼにより)又は転写後に(例えば、RNAメ
チルトランスフェラーゼにより)取り込むことができる。コンジュゲーション部分は、修
飾ヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ、例えば、ブロモデオキシウリジンであり得る
。コンジュゲーション部分は、反応基又は官能基、例えば、アジド基又はアルキン基を含
み得る。コンジュゲーション部分は、化学選択的反応を受け得る。コンジュゲーション部
分は、例えば、ジゴキシゲニン、2,4-ジニトロフェニル、ビオチン、アビジンを含む
ハプテン基であり得、又はアゾール、ニトロアリール化合物、ベンゾフラザン、トリテル
ペン、尿素、チオ尿素、ロテノン、オキサゾール、チアゾール、クマリン、シクロリグナ
ン、ヘテロビアリール化合物、アゾアリール化合物若しくはベンゾジアゼピンから選択す
ることができる。コンジュゲーション部分は、可逆的環状電子転位を受け得るジアリール
エテン光スイッチを含み得る。コンジュゲーション部分は、求核試薬、カルバニオン、及
び/又はα,β-不飽和カルボニル化合物を含み得る。
【0245】
[0299] circRNAは、化学反応を介して、例えば、クリック化学、シュタウディ
ンガーライゲーション、Pd触媒C-C結合形成(例えば、鈴木・宮浦反応)、マイケル
付加、オレフィンメタセシス、又は逆電子要請型ディールス・アルダーを使用してコンジ
ュゲートさせることができる。クリック化学は、適切な反応条件において互いに急速且つ
選択的に反応する(クリックする)官能基のペアを利用し得る。非限定的なクリック化学
反応としては、アジド-アルキン付加環化、銅触媒1,3-双極子アジド-アルキン付加
環化(CuAAC)、歪み促進型アジド-アルキンクリック化学反応(SPAAC)、及
びテトラジン-アルケンライゲーションが挙げられる。
【0246】
[0300] 官能化ヌクレオチドの非限定的な例としては、アジド修飾UTPアナログ、5
-アジドメチル-UTP、5-アジド-C3-UTP、5-アジド-PEG4-UTP、
5-エチニル-UTP、DBCO-PEG4-UTP、ビニル-UTP、8-アジド-A
TP、3’-アジド-2’,3’-ddATP、5-アジド-PEG4-CTP、5-D
BCO-PEG4-CTP、N6-アジドヘキシル-3’-dATP、5-DBCO-P
EG4-dCpG、及び5-アジドプロピル-UTPが挙げられる。一部の実施形態にお
いて、circRNAは、少なくとも1つの5-アジドメチル-UTP、5-アジド-C
3-UTP、5-アジド-PEG4-UTP、5-エチニル-UTP、DBCO-PEG
4-UTP、ビニル-UTP、8-アジド-ATP、5-アジド-PEG4-CTP、5
-DBCO-PEG4-CTP、又は5-アジドプロピル-UTPを含む。
【0247】
[0301] 選択単一修飾ヌクレオチド(例えば、2’位におけるアジドを含有する修飾A
、C、G、U、又はT)は、最適化条件下で(例えば、固相化学的合成を介して)部位特
異的に取り込むことができる。2’位におけるアジドを含有する複数のヌクレオチドは、
例えば、インビトロ転写反応の間にヌクレオチドを置換する(例えば、UTPを5-アジ
ド-C3-UTPについて置換する)ことにより取り込むことができる。
【0248】
[0302] circRNAコンジュゲートは、銅触媒クリック反応、例えば、アルキン官
能化小分子及びアジド官能化ポリリボ核酸の銅触媒1,3-双極子アジド-アルキン付加
環化(CuAAC)を使用して生成することができる。線状RNAは、小分子とコンジュ
ゲートさせることができる。例えば、線状RNAは、ポリ(A)ポリメラーゼによりアジ
ド誘導体化ヌクレオチドによりその3’末端において修飾することができる。アジドは、
銅触媒又は歪み促進型アジド-アルキンクリック反応を介して小分子にコンジュゲートさ
せることができ、線状RNAは、環状化させることができる。
【0249】
[0303] circRNAコンジュゲートは、シュタウディンガー反応を使用して生成す
ることができる。例えば、アジド官能化ヌクレオチドを含む環状RNAを、トリフェニル
ホスフィン-3,3’,3’’-トリスルホン酸(TPPTS)の存在下でアルキン官能
化小分子とコンジュゲートさせることができる。
【0250】
[0304] circRNAコンジュゲートは、鈴木・宮浦反応を使用して生成することが
できる。例えば、ハロゲン化ヌクレオチドアナログを含むcircRNAを、コグネイト
反応性パートナーの存在下で鈴木・宮浦反応に供することができる。例えば、5-ヨード
ウリジン三リン酸(IUTP)を含むcircRNAを、Pd(OAc)2及び2-アミ
ノピリミジン-4,6-ジオール(ADHP)又はジメチルアミノ置換ADHP(DMA
DHP)を有する触媒系中で使用して種々のボロン酸及びエステル基質の存在下でヨード
ウリジン標識circRNAを官能化することができる。別の例において、8-ブロモグ
アノシンを含むcircRNAを、Pd(OAc)2及び水溶性トリフェニルホスファン
-3,3’,3’’-トリスルホネートリガンドから構成される触媒系の存在下でアリー
ルボロン酸と反応させることができる。
【0251】
[0305] circRNAコンジュゲートは、マイケル付加を使用して、例えば、電子リ
ッチマイケル供与体とα,β-不飽和化合物(マイケル受容体)との反応を介して生成す
ることができる。
【0252】
構造
[0306] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、高次構造、例えば、
二次又は三次構造を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの相補的
セグメントは、それ自体、二本鎖セグメントにフォールドし、それはペア、例えば、A-
U及びC-G間の水素結合と一緒に保持される。一部の実施形態において、末端ループに
連結している二本鎖セグメントを有するステムとしても公知のヘリックスが、分子内で形
成される。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、準二本鎖二次構造を
有する少なくとも1つのセグメントを有する。一部の実施形態において、準二本鎖二次構
造を有するセグメントは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、2
6、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75
、80、85、90、95、100個以上の対合ヌクレオチドを有する。一部の実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、準二本鎖二次構造を有する1つ以上のセグメン
ト(例えば、2、3、4、5、6つ以上)を有する。一部の実施形態において、セグメン
トは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、
35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、1
00個以上のヌクレオチドだけ離隔している。
【0253】
[0307] 16個の考えられる塩基対合が存在するが、それらのうち、6つ(AU、GU
、GC、UA、UG、CG)が現実的な塩基対を形成し得る。残りはミスマッチと呼ばれ
、ヘリックス中で極めて低頻度で生じる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドの構造は、その機能に対する影響及び致命的結果なしでは容易に破壊され得ず、そ
れは二次構造を維持するための選択を提供する。一部の実施形態において、ステムの一次
構造(すなわち、それらのヌクレオチド配列)は依然として変動し得る一方、ヘリカル領
域を依然として維持する。塩基の性質は高次構造にはそれほど重要でなく、それらが二次
構造を保存する限り置換が可能である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドは、準ヘリカル構造を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド
は、準ヘリカル構造を有する少なくとも1つのセグメントを有する。一部の実施形態にお
いて、準ヘリカル構造を有するセグメントは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、2
3、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60
、65、70、75、80、85、90、95、100個以上のヌクレオチドを有する。
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、準ヘリカル構造を有する1つ以
上のセグメント(例えば、2、3、4、5、6つ以上)を有する。一部の実施形態におい
て、セグメントは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15
、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、
29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、9
0、95、100個以上のヌクレオチドだけ離隔している。一部の実施形態において、環
状ポリリボヌクレオチドは、Uリッチ又はAリッチ配列の少なくとも1つ又はそれらの組
合せを含む。一部の実施形態において、Uリッチ及び/又はAリッチ配列は、三重準ヘリ
ックス構造を産生するように配置される。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、二重準ヘリカル構造を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、二重準ヘリカル構造を有する1つ以上のセグメント(例えば、2、3、4、5
、6つ以上)を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、Cリッ
チ及び/又はGリッチ配列の少なくとも1つを含む。一部の実施形態において、Cリッチ
及び/又はGリッチ配列は、三重準ヘリックス構造を産生するように配置される。一部の
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、安定化を補助する分子内三重準ヘリッ
クス構造を有する。
【0254】
[0308] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、(例えば、ホスホジ
エステル結合により離隔している)2つの準ヘリカル構造を有し、その結果、それらの末
端塩基対はスタッキングし、準ヘリカル構造は同線状になり、「同軸的にスタッキングさ
れた」下位構造をもたらす。
【0255】
[0309] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのm
iRNA結合部位、少なくとも1つのlncRNA結合部位、及び/又は少なくとも1つ
のtRNAモチーフを有する。
【0256】
送達
[0310] 本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、送達担体を有する医薬組成物
中に含めることができる。
【0257】
[0311] 例えば、医薬賦形剤又は担体を含む本明細書に記載の医薬組成物を配合するこ
とができる。医薬担体は、膜、脂質二重層、及び/又はポリマー担体、例えば、リポソー
ム又は粒子、例えば、ナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子であり得、公知の方法によりそれ
が必要とされる対象(例えば、ヒト又は非ヒト農業動物若しくはドメスティックアニマル
、例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、家禽)に送達することができる。このような方法と
しては、限定されるものではないが、形質移入(例えば、脂質媒介、カチオン性ポリマー
、リン酸カルシウム);エレクトロポレーション又は膜破壊の他の方法(例えば、ヌクレ
オフェクション)、融合、及びウイルス送達(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス
、アデノウイルス、AAV)が挙げられる。
【0258】
[0312] 本発明はさらに、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを含む宿主又は
宿主細胞を対象とする。一部の実施形態において、宿主又は宿主細胞は、植物、昆虫、細
菌、真菌、脊椎動物、哺乳動物(例えば、ヒト)、又は他の生物体若しくは細胞である。
【0259】
[0313] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主中で非免疫原性
である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物、例えば、
記載の環状ポリリボヌクレオチドに対応する線状ポリヌクレオチド、非修飾環状ポリリボ
ヌクレオチド、又はエンクリプトゲンを欠く環状ポリリボヌクレオチドにより誘発される
応答と比較して宿主の免疫系による減少した応答を有し、又はその応答を産生し得ない。
一部の免疫応答としては、限定されるものではないが、体液性免疫応答(例えば、抗原特
異的抗体の産生)及び細胞媒介免疫応答(例えば、リンパ球増殖)が挙げられる。
【0260】
[0314] 一部の実施形態において、宿主又は宿主細胞を、環状ポリリボヌクレオチドと
接触させる(例えば、それに送達し、又は投与する)。一部の実施形態において、宿主は
、哺乳動物、例えば、ヒトである。宿主中の環状ポリリボヌクレオチド、発現産物、又は
その両方の量は、投与後の任意の時点において測定することができる。ある実施形態にお
いて、培養物中の宿主成長のタイムコースが決定される。環状ポリリボヌクレオチドの存
在下で成長が増加し、又は低減する場合、環状ポリリボヌクレオチド又は発現産物又はそ
の両方は、宿主の成長の増加又は低減において有効であると同定される。
【0261】
産生方法
[0315] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非天然発生であり、
組換えDNA技術又は化学的合成を使用して産生することができるデオキシリボ核酸配列
を含む。
【0262】
[0316] RNA環状物を産生するために使用されるDNA分子が天然発生の元の核酸配
列のDNA配列、その修飾バージョン、又は天然で通常見出されない合成ポリペプチド(
例えば、キメラ分子又は融合タンパク質)をコードするDNA配列を含み得ることは、本
発明の範囲内である。DNA分子は、種々の技術、例として、限定されるものではないが
、古典的突然変異誘発技術及び組換えDNA技術、例えば、部位特異的突然変異誘発、突
然変異を誘導するための核酸分子の化学的処理、核酸断片の制限酵素開裂、核酸断片のラ
イゲーション、核酸配列の選択領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及び/又は突
然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成及び核酸分子の混合物を「構築する」ため
の混合物群のライゲーション及びそれらの組合せを使用して修飾することができる。
【0263】
[0317] 環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、化学的合成及び酵素的合成により調製
することができる。一部の実施形態において、線状一次構築物又は線状mRNAを、環化
させ又はコンカテマー化させて本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを作出するこ
とができる。環化又はコンカテマー化の機序は、限定されるものではないが、化学的、酵
素的、又はリボザイム触媒方法などの方法を介して生じ得る。新たに形成される5’-又
は3’-結合は、分子内結合又は分子間結合であり得る。
【0264】
医薬組成物
[0318] 本発明は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤との組合せの組成物を含む。
医薬組成物は、場合により、1つ以上の追加の活性物質、例えば、治療及び/又は予防活
性物質を含み得る。本発明の医薬組成物は、無菌及び/又はパイロジェンフリーであり得
る。医薬剤の配合及び/又は製造における一般的な考察は、例えば、参照により本明細書
に組み込まれるRemington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippinco
tt Williams& Wilkins, 2005に見出すことができる。一態様において、本発明は、環状
ポリリボヌクレオチドを生成することを含む、本明細書に記載の医薬組成物を産生する方
法を含む。
【0265】
[0319] 本明細書に提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの投与に好適な医薬組
成物を対象とするが、そのような組成物は、一般に、任意の他の動物、例えば、非ヒト動
物及び非ヒト哺乳動物への投与に好適であることが当業者により理解される。医薬組成物
を種々の動物への投与に好適にするためのヒトへの投与に好適な医薬組成物の改変は十分
に理解されており、当技術分野において通常の技能を有する獣医薬理学者は、そのような
改変を設計し、及び/又は行うにしても単に通常の実験により実施することができる。医
薬組成物の投与が企図される対象としては、限定されるものではないが、ヒト及び/又は
他の霊長類;哺乳動物、例として、商業関連哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツ
ジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/又はラット;及び/又は鳥類、例として、商業関連鳥類
、例えば、家禽、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/又はシチメンチョウが挙げられる
。
【0266】
[0320] 本明細書に記載の医薬組成物の配合物は、薬理学分野において公知の又は今後
開発される任意の方法により調製することができる。一般に、このような調製法は、活性
成分を賦形剤及び/又は1つ以上の他の副成分と会合させ、次いで必要により及び/又は
所望により、生成物を分割し、成形し、及び/又は包装するステップを含む。
【0267】
[0321] 本明細書に記載の医薬組成物は、正確な投与量の単一投与に好適な単位剤形で
あり得る。単位剤形において、配合物は、適切な量の1つ以上の化合物を含有する単位用
量に分割される。単位投与量は、区別量の配合物を含有する包装の形態である。非限定的
な例は、包装された注射剤、バイアル、又はアンプルである。水性懸濁液組成物は、単回
用量の再封不可能容器中で包装することができる。複数回用量の再封可能容器は、例えば
、保存剤との組合せで、又はそれを用いずに使用することができる。注射用配合物は、単
位剤形で、例えば、アンプル中で、又は保存剤を有する複数回用量容器中で提供すること
ができる。
【0268】
[0322] 一態様において、本発明は、(a)標的、例えば、RNA、DNA、タンパク
質、細胞の膜などを結合させる結合部位を含む環状ポリリボヌクレオチド;及び(b)薬
学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物であって、標的及び環状ポリリボヌク
レオチドは、複合体を形成し、標的は、マイクロRNAでない医薬組成物を含む。
【0269】
[0323] 一部の実施形態において、結合部位は、第1の結合部位であり、標的は、第1
の標的である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第2の標的に結
合する第2の結合部位をさらに含む。
【0270】
[0324] 一態様において、本発明は、(a)(i)第1の標的を結合させる第1の結合
部位;及び(ii)第2の標的を結合させる第2の結合部位を含む環状ポリリボヌクレオ
チド;並びに(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物であって、第1
の結合部位は、第2の結合部位と異なり、第1の標的及び第2の標的は、マイクロRNA
である医薬組成物を含む。
【0271】
[0325] 一部の実施形態において、第1の標的は、第1の環状ポリリボヌクレオチド(
circRNA)結合モチーフを含む。一部の実施形態において、第2の標的は、第2の
環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)結合モチーフを含む。一部の実施形態にお
いて、第1の標的、第2の標的、及び環状ポリリボヌクレオチドは、複合体を形成する。
一部の実施形態において、第1の標的及び第2の標的は、互いに相互作用する。一部の実
施形態において、複合体は、細胞に接触させた場合、細胞プロセスをモジュレートする。
一部の実施形態において、複合体の形成は、細胞に接触させた場合、細胞プロセスをモジ
ュレートする。このような実施形態において、細胞プロセスは、疾患又は病態の病因と関
連する。
【0272】
[0326] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞に接触させた場
合、第1又は第2の標的と関連する細胞プロセスをモジュレートする。一部の実施形態に
おいて、第1及び第2の標的は、複合体中で互いに相互作用する。一部の実施形態におい
て、細胞プロセスは、疾患又は病態の病因と関連する。一部の実施形態において、細胞プ
ロセスは、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳と異なる。一部の実施形態において、第1の
標的は、デオキシリボ核酸(DNA)分子を含み、標的は、タンパク質を含む。一部の実
施形態において、複合体は、DNA分子の指向転写、DNA分子のエピジェネティックリ
モデリング、又はDNA分子の分解をモジュレートする。
【0273】
[0327] 一部の実施形態において、第1の標的は、第1のタンパク質を含み、第2の標
的は、第2のタンパク質を含む。このような実施形態において、複合体は、第1のタンパ
ク質の分解、第1のタンパク質のトランスロケーション、若しくはシグナル伝達をモジュ
レートし、又は第1及び第2のタンパク質間の直接的な相互作用により形成される複合体
の形成をモジュレートする(例えば、複合体の形成を阻害し、又は促進する)。
【0274】
[0328] 一部の実施形態において、第1の標的は、第1のリボ核酸(RNA)分子を含
み、第2の標的は、第2のRNA分子を含む。このような実施形態において、複合体は、
第1のRNA分子の分解をモジュレートし得る。
【0275】
[0329] 一部の実施形態において、標的は、タンパク質を含み、第2の標的は、RNA
分子を含む。このような実施形態において、複合体は、タンパク質のトランスロケーショ
ンをモジュレートし、又はタンパク質及びRNA分子間の直接的な相互作用により形成さ
れる複合体の形成を阻害する。
【0276】
[0330] 一部の実施形態において、第1の標的は、受容体であり、第2の標的は、受容
体の基質である。このような実施形態において、複合体は、受容体の活性化を阻害する。
本明細書において使用される「受容体」は、細胞外部からの化学的シグナルを受容するタ
ンパク質分子を指し得る。化学的シグナルとしては、限定されるものではないが、小分子
有機化合物(例えば、アミノ酸及びその誘導体、例えば、グルタミン酸、グリシン、γ酪
酸)、脂質、タンパク質又はポリペプチド、DNA及びRNA分子、並びにイオンを挙げ
ることができる。受容体は、細胞膜上、細胞質中、又は細胞核中に存在し得る。受容体に
結合する化学的シグナルは、一般に、受容体の「基質」と称することができる。化学的シ
グナルへの結合時、受容体は、1つ以上の細胞プロセス、例えば、シグナリング経路を開
始させることにより細胞応答の一部の形態を引き起こし得る。本明細書に提供される受容
体は、当業者が認識する任意のタイプ、例として、以下であり得る、(1)イオンチャネ
ル型受容体、これは、速い神経伝達物質、例えば、アセチルコリン(ニコチン性)及びG
ABAの標的であり得;それらの受容体の活性化は、膜を通るイオン移動の変化をもたら
す。これらは、それぞれのサブユニットが細胞外リガンド結合ドメイン及び膜貫通ドメイ
ンからなるという点でヘテロマー構造を有し得、そしてその膜貫通ドメインは4つの膜貫
通αヘリックスを含む。リガンド結合空隙は、サブユニット間の界面に局在し得る;(2
)Gタンパク質共役型受容体、これは、いくつかのホルモン及び遅い神経伝達物質、例え
ば、ドーパミン、代謝型グルタミン酸についての受容体を含み得る。これらは、7つの膜
貫通αヘリックスから構成され得る。αヘリックスを連結するループは、細胞外及び細胞
内ドメインを形成し得る;(3)キナーゼ結合及び関連受容体(又は受容体チロシンキナ
ーゼ)、これは、リガンド結合部位を含有する細胞外ドメイン及び酵素的機能を有するこ
とが多い細胞内ドメインから構成され得、単一の膜貫通αヘリックスにより結合している
。インスリン受容体は、このタイプの受容体の一例であり、インスリンは、その対応する
基質であり得る;(4)https://en.wikipedia.org/wiki/Nuclear_receptorの核内受容体
、これらは、核中、又は細胞質中に局在し、それらのリガンドと結合した後に核に移動し
得る。これらは、C末端リガンド結合領域、コアDNA結合ドメイン(DBD)及びAF
1(活性化機能1)領域を含有するN末端ドメインから構成され得る。ステロイド及び甲
状腺ホルモン受容体は、このような受容体の例であり、それらの対応する基質としては、
種々のステロイド及びホルモンを挙げることができる。
【0277】
[0331] 一態様において、本発明は、(a)標的を結合させる結合部位を含む環状ポリ
リボヌクレオチド;及び(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物であ
って、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳不能又は翻訳欠損であり、標的は、マイクロR
NAでない医薬組成物を含む。
【0278】
[0332] 一態様において、本発明は、(a)標的を結合させる結合部位を含み、標的は
、第1のリボ核酸(RNA)結合モチーフを含む環状ポリリボヌクレオチド;及び(b)
薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物であって、環状ポリリボヌクレオチ
ドは、翻訳不能又は翻訳欠損であり、標的は、マイクロRNAである医薬組成物を含む。
【0279】
[0333] このような実施形態において、標的は、DNA分子を含む。このような実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、DNA分子の転写の干渉をモ
ジュレートする。このような実施形態において、標的は、タンパク質を含む。このような
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、タンパク質と他の分子
との相互作用を阻害する。このような実施形態において、タンパク質は、受容体であり、
環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、受容体を活性化させる。このような実施形
態において、タンパク質は、第1の酵素であり、環状ポリリボヌクレオチドは、第2の酵
素に結合する第2の結合部位をさらに含み、環状ポリリボヌクレオチドへの第1及び第2
の酵素の結合は、第1及び第2の酵素の酵素活性をモジュレートする。このような実施形
態において、標的は、メッセンジャーRNA(mRNA)分子を含む。このような実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、mRNA分子の翻訳の干渉を
モジュレートする。このような実施形態において、標的は、リボソームを含む。このよう
な実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、翻訳プロセスの干渉
をモジュレートする。このような実施形態において、標的は、環状RNA分子を含む。こ
のような実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、環状RNA分
子を隔離する。このような実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合
は、標的を隔離する。
【0280】
[0334] 一態様において、本発明は、(a)標的細胞の細胞膜を結合させる結合部位を
含み、標的細胞の細胞膜は、第1のリボ核酸(RNA)結合モチーフを含む環状ポリリボ
ヌクレオチド;及び(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0281】
[0335] 一部の実施形態において、環状ポリリボ核酸は、第2の標的細胞の第2の膜を
結合させる第2の結合部位をさらに含み、第2の標的細胞の第2の細胞膜は、第2のRN
A結合モチーフを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、標的細
胞上の細胞膜及び第2の標的細胞の第2の細胞膜の両方に結合し、第1及び第2の標的細
胞の細胞融合がモジュレートされる。
【0282】
[0336] 一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第2の標的を結合さ
せる第2の結合部位をさらに含み、環状ポリリボヌクレオチドへの第1及び標的の両方の
結合は、第1の標的の立体構造変化を誘導し、それにより第1の細胞中で第1の標的の下
流のシグナル伝達を誘導する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、
翻訳不能又は翻訳欠損である。
【0283】
[0337] 一部の実施形態において、環状ポリリボ核酸は、a)エンクリプトゲン;b)
スプライシングエレメント;c)調節配列:d)複製配列;e)準二本鎖二次構造;及び
f)発現配列から選択される少なくとも1つの構造エレメントをさらに含む。このような
実施形態において、準ヘリカル構造は、少なくとも1つの非二本鎖セグメントを有する少
なくとも1つの二本鎖RNAセグメントを含む。このような実施形態において、準ヘリカ
ル構造は、反復配列、例えば、Aリッチ配列により結合している第1の配列及び第2の配
列を含む。一部の実施形態において、エンクリプトゲンは、スプライシングエレメントを
含む。
【0284】
[0338] 一部の実施形態において、環状ポリリボ核酸は、少なくとも1つの修飾核酸を
含む。このような実施形態において、少なくとも1つの修飾核酸は、2’-O-メチル、
2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デ
オキシ、T-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)
、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミ
ノプロピル(2’-O-DMAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’
-O-DMAEOE)、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)、ロッ
ク核酸(LNA)、エチレン核酸(ENA)、ぺプチド核酸(PNA)、1’,5’-ア
ンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、
チオールホスホネートヌクレオチド、及び2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイ
トからなる群から選択される。環状ポリリボヌクレオチドは、完全修飾環状ポリリボヌク
レオチドであり得る。一部の実施形態において、投与される環状ポリリボヌクレオチドは
、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドである。一部の実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド及び非修飾IRESを含む。
【0285】
[0339] 一部の実施形態において、エンクリプトゲンは、少なくとも1つの修飾核酸、
例えば、シュードウリジン及びN(6)メチルアデノシン(m6A)を含む。一部の実施
形態において、エンクリプトゲンは、タンパク質結合部位、例えば、リボ核酸結合タンパ
ク質を含む。一部の実施形態において、エンクリプトゲンは、例えば、CTL応答を回避
するための免疫タンパク質結合部位を含む。
【0286】
[0340] 一部の実施形態において、環状ポリリボ核酸は、RIG-I、TLR-3、T
LR-7、TLR-8、MDA-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、及びIF
N-βの少なくとも1つの発現又はシグナリング又は活性化により評価してエンクリプト
ゲンを欠く対応物よりも少なくとも2倍低い免疫原性を有する。一部の実施形態において
、環状ポリリボ核酸は、約20塩基~約20kbの範囲のサイズを有する。一部の実施形
態において、環状ポリリボ核酸は、線状ポリヌクレオチドの環状化を介して合成される。
一部の実施形態において、環状ポリリボ核酸は、分解に実質的に抵抗性である。
【0287】
用途
[0341] 本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、それが必要とされる細胞、組
織又は対象に投与し、例えば、細胞機能又は細胞プロセス、例えば、細胞、組織又は対象
において遺伝子発現をモジュレートすることができる。本発明はまた、細胞機能又は細胞
プロセス、例えば、遺伝子発現をモジュレートする方法であって、それが必要とされる細
胞、組織又は対象に本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを投与することを含む方
法を企図する。投与される環状ポリリボヌクレオチドは、修飾環状ポリリボヌクレオチド
であり得る。一部の実施形態において、投与される環状ポリリボヌクレオチドは、完全修
飾環状ポリリボヌクレオチドである。一部の実施形態において、投与される環状ポリリボ
ヌクレオチドは、ハイブリッド修飾環状ポリリボヌクレオチドである。他の実施形態にお
いて、投与される環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾環状ポリリボヌクレオチドである
。
【0288】
実施形態段落
[1](a)標的、例えば、RNA、DNA、タンパク質、細胞の膜などを結合させる
結合部位を含む環状ポリリボヌクレオチド;及び
(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物であって、
標的及び環状ポリリボヌクレオチドは、複合体を形成し、
標的は、マイクロRNAでない医薬組成物。
【0289】
[2](a)
(i)第1の標的を結合させる第1の結合部位、及び
(ii)第2の標的を結合させる第2の結合部位
を含む環状ポリリボヌクレオチド;並びに
(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物であって、
第1の結合部位は、第2の結合部位と異なり、
第1の標的及び第2の標的は、両方ともマイクロRNAである医薬組成物。
【0290】
[3]結合部位は、アプタマー配列を含む、段落[1]の医薬組成物。
[4]第1の結合部位は、第1のアプタマー配列を含み、第2の結合部位は、第2のア
プタマー配列を含む、段落[2]の医薬組成物。
【0291】
[5]アプタマー配列は、標的を結合させる二次構造を有する、項目[3]の医薬組
成物。
[6]第1のアプタマー配列は、第1の標的を結合させる二次構造を有し、第2のアプ
タマー配列は、第2の標的を結合させる二次構造を有する、項目[4]の医薬組成物。
【0292】
[7]結合部位は、第1の結合部位であり、標的は、第1の標的である、項目[1]
の医薬組成物。
[8]環状ポリリボヌクレオチドは、第2の標的に結合する第2の結合部位をさらに含
む、段落[3]、[5]、及び[7]のいずれか1つの医薬組成物。
【0293】
[9]第1の標的は、第1の環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)結合モチー
フを含む、段落[2]、[4]、[6]、[7]、及び[8]のいずれか1つの医薬組成
物。
【0294】
[10]第2の標的は、第2の環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)結合モチ
ーフを含む、段落[2]、[4]、[6]、及び[7]~[9]のいずれか1つの医薬組
成物。
【0295】
[11]第1の標的、第2の標的,及び環状ポリリボヌクレオチドは、複合体を形成す
る、段落[2]、[4]、[6]、及び[7]~[10]のいずれか1つの医薬組成物。
[12]第1及び第2の標的は、互いに相互作用する、段落[2]、[4]、[6]、
及び[7]~[11]のいずれか1つの医薬組成物。
【0296】
[13]複合体は、細胞プロセスをモジュレートする、段落[1]、[3]、[5]、
及び[7]~[12]のいずれか1つの医薬組成物。
[14]第1及び第2の標的は、同じであり、第1及び第2の結合部位は、第1の標的
及び第2の標的上の異なる結合部位を結合させる、段落[2]、[4]、[6]、及び[
7]~[13]のいずれか1つの医薬組成物。
【0297】
[15]第1の標的及び第2の標的は異なる、段落[2]、[4]、[6]、及び[7
]~[13]のいずれか1つの医薬組成物。
[16]環状ポリリボヌクレオチドは、第3以上の標的を結合させる1つ以上の追加の
結合部位をさらに含む、段落[2]、[4]、[6]、及び[7]~[15]のいずれか
1つの医薬組成物。
【0298】
[17]1つ以上の標的は同じであり、1つ以上の追加の結合部位は、1つ以上の標的
上の異なる結合部位を結合させる、段落[2]、[4]、[6]、及び[7]~[16]
のいずれか1つの医薬組成物。
【0299】
[18]複合体の形成は、細胞プロセスをモジュレートする、段落[1]、[3]、[
5]、及び[7]~[17]のいずれか1つの医薬組成物。
[19]環状ポリリボヌクレオチドは、第1及び第2の標的に接触させた場合、第1又
は第2の標的と関連する細胞プロセスをモジュレートする、段落[2]、[4]、[6]
、及び[7]~[18]のいずれか1つの医薬組成物。
【0300】
[20]第1及び第2の標的は、複合体中で互いに相互作用する、段落[2]、[4]
、[6]、及び[7]~[19]のいずれか1つの医薬組成物。
[21]細胞プロセスは、疾患又は病態の病因と関連する、段落[13]~[20]の
いずれか1つの医薬組成物。
【0301】
[22]細胞プロセスは、環状ポリリボ核酸の翻訳と異なる、段落[13]~[21]
のいずれか1つの医薬組成物。
[23]第1の標的は、デオキシリボ核酸(DNA)分子を含み、第2の標的は、タン
パク質を含む、段落[2]、[4]、[6]、及び[7]~[22]のいずれか1つの医
薬組成物。
【0302】
[24]複合体は、DNA分子の指向転写、DNA分子のエピジェネティックリモデリ
ング、又はDNA分子の分解をモジュレートする、段落[1]、[3]、[5]、及び[
7]~[23]のいずれか1つの医薬組成物。
【0303】
[25]第1の標的は、第1のタンパク質を含み、第2の標的は、第2のタンパク質を
含む、段落[2]、[4]、[6]、及び[7]~[24]のいずれか1つの医薬組成物
。
【0304】
[26]複合体は、第1のタンパク質の分解、第1のタンパク質のトランスロケーショ
ン、若しくはシグナル伝達をモジュレートし、又は天然タンパク質機能をモジュレートし
、第1及び第2のタンパク質間の直接的な相互作用により形成される複合体の形成を阻害
し、若しくはモジュレートする、段落[1]、[3]、[5]、及び[7]~[25]の
いずれか1つの医薬組成物。
【0305】
[27]第1の標的又は第2の標的は、ユビキチンリガーゼである、段落[2]、[4
]、[6]、及び[7]~[26]のいずれか1つの医薬組成物。
[28]第1の標的は、第1のリボ核酸(RNA)分子を含み、第2の標的は、第2の
RNA分子を含む、段落[2]、[4]、[6]、及び[7]~[27]のいずれか1つ
の医薬組成物。
【0306】
[29]複合体は、第1のRNA分子の分解をモジュレートする、段落[28]の医薬
組成物。
[30]第1の標的は、タンパク質を含み、第2の標的は、RNA分子を含む、段落[
2]、[4]、[6]、及び[7]~[29]のいずれか1つの医薬組成物。
【0307】
[31]複合体は、タンパク質のトランスロケーションをモジュレートし、又はタンパ
ク質及びRNA分子間の直接的な相互作用により形成される複合体の形成を阻害する、段
落[1]、[3]、[5]、及び[7]~[30]のいずれか1つの医薬組成物。
【0308】
[32]第1の標的は、受容体であり、第2の標的は、受容体の基質である、段落[2
]、[4]、[6]、及び[7]~[31]のいずれか1つの医薬組成物。
[33]複合体は、受容体の活性化を阻害する、段落[1]、[3]、[5]、及び[
7]~[32]のいずれか1つの医薬組成物。
【0309】
[34](a)標的を結合させる結合部位を含む環状ポリリボヌクレオチド;及び
(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物であって、
環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳不能又は翻訳欠損であり、標的は、マイクロRNAで
ない医薬組成物。
【0310】
[35](a)標的を結合させる結合部位を含み、標的は、リボ核酸(RNA)結合モ
チーフを含む環状ポリリボ核酸;及び
(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物であって、
環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳不能又は翻訳欠損であり、標的は、マイクロRNAで
ある医薬組成物。
【0311】
[36]結合部位は、標的を結合させる二次構造を有するアプタマー配列を含む、段落
[34]及び[35]のいずれか1つの医薬組成物。
[37]標的は、DNA分子を含む、段落[34]及び[36]のいずれか1つの医薬
組成物。
【0312】
[38]環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、DNA分子の転写の干渉をモジ
ュレートする、段落[34]~[37]のいずれか1つの医薬組成物。
[39]標的は、タンパク質を含む、段落[34]及び[36]~[38]のいずれか
1つの医薬組成物。
【0313】
[40]環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、タンパク質と他の分子との相互
作用をモジュレートする、段落[39]の医薬組成物。
[41]タンパク質は、受容体であり、環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、
受容体を活性化させる、段落[39]~[40]のいずれか1つの医薬組成物。
【0314】
[42]タンパク質は、第1の酵素であり、環状ポリリボヌクレオチドは、第2の酵素
に結合する第2の結合部位をさらに含み、環状ポリリボヌクレオチドへの第1及び第2の
酵素の結合は、第1及び第2の酵素の酵素活性をモジュレートする、段落[39]~[4
1]のいずれか1つの医薬組成物。
【0315】
[43]タンパク質は、ユビキチンリガーゼである、段落[39]及び[40]のいず
れか1つの医薬組成物。
[44]標的は、メッセンジャーRNA(mRNA)分子を含む、段落[34]、[3
6]、及び[38]のいずれか1つの医薬組成物。
【0316】
[45]環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、mRNA分子の翻訳の干渉をモ
ジュレートする、段落[44]の医薬組成物。
[46]標的は、リボソームを含む、段落[34]、[36]、[39]、及び[40
]のいずれか1つの医薬組成物。
【0317】
[47]環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、翻訳プロセスの干渉をモジュレ
ートする、段落[34]~[46]のいずれか1つの医薬組成物。
[48]標的は、環状RNA分子を含む、段落[34]、[36]、及び[38]のい
ずれか1つの医薬組成物。
【0318】
[49]環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、環状RNA分子を隔離する、段
落[48]の医薬組成物。
[50]環状ポリリボヌクレオチドへの標的の結合は、マイクロRNA分子を隔離する
、段落[35]、[36]、[38]、及び[47]のいずれか1つの医薬組成物。
【0319】
[51](a)細胞の膜(例えば、細胞壁膜、細胞小器官膜など)に結合する結合部位
を含み、細胞の膜は、リボ核酸(RNA)結合モチーフを含む環状ポリリボヌクレオチド
;及び
(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物。
【0320】
[52]結合部位は、細胞の膜(例えば、細胞壁膜、細胞小器官膜など)を結合させる
二次構造を有するアプタマー配列を含む、段落[51]の医薬組成物。
[53]環状ポリリボヌクレオチドは、第2の標的に結合する第2の結合部位をさらに
含み、第2の標的は、第2のRNA結合モチーフを含む、段落[51]及び[52]のい
ずれか1つの医薬組成物。
【0321】
[54]環状ポリリボヌクレオチドは、細胞の膜及び第2の標的に結合する、段落[5
3]の医薬組成物。
[55]環状ポリリボヌクレオチドは、第2の細胞標的に結合する第2の結合部位をさ
らに含み、環状ポリリボヌクレオチドへの細胞標的及び第2の細胞標的の結合は、細胞標
的の立体構造変化を誘導し、それにより細胞標的の下流のシグナル伝達を誘導する、段落
[51]~[54]のいずれか1つの医薬組成物。
【0322】
[56]環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳不能又は翻訳欠損である、段落[1]~[
55]のいずれか1つの医薬組成物。
[57]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)エンクリプトゲン;
b)スプライシングエレメント;
c)調節配列;
d)複製配列;
e)準二本鎖二次構造;
f)準ヘリカル構造;及び
g)発現配列
からなる群から選択される少なくとも1つの構造エレメントをさらに含む、段落[1]~
[56]のいずれか1つの医薬組成物。
【0323】
[58]準ヘリカル構造は、少なくとも1つの非二本鎖セグメントを有する少なくとも
1つの二本鎖RNAセグメントを含む、段落[57]の医薬組成物。
[59]準ヘリカル構造は、反復配列により結合している第1の配列及び第2の配列を
含む、段落[57]及び[58]のいずれか1つの医薬組成物。
【0324】
[60]エンクリプトゲンは、スプライシングエレメントを含む、段落[57]~[5
9]のいずれか1つの医薬組成物。
[61]環状ポリリボ核酸は、少なくとも1つの修飾核酸を含む、段落[1]~[60
]のいずれか1つの医薬組成物。
【0325】
[62]少なくとも1つの修飾核酸は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル
(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2
’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミ
ノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-D
MAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、2
’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)、ロック核酸(LNA)、エチレ
ン核酸(ENA)、ぺプチド核酸(PNA)、1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸
(HNA)、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌク
レオチド、及び2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトからなる群から選択され
る、段落[61]の医薬組成物。
【0326】
[63]エンクリプトゲンは、少なくとも1つの修飾核酸を含む、段落[57]~[6
2]のいずれか1つの医薬組成物。
[64]エンクリプトゲンは、タンパク質結合部位を含む、段落[57]~[63]の
いずれか1つの医薬組成物。
【0327】
[65]エンクリプトゲンは、免疫タンパク質結合部位を含む、段落[57]~[64
]のいずれか1つの医薬組成物。
[66]環状ポリリボ核酸は、RIG-I、TLR-3、TLR-7、TLR-8、M
DA-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、及びIFN-βの少なくとも1つの
発現、シグナリング又は活性化により評価してエンクリプトゲンを欠く対応物よりも少な
くとも2倍低い免疫原性を有する、段落[57]~[65]のいずれか1つの医薬組成物
。
【0328】
[67]環状ポリリボ核酸は、約20塩基~約20kbのサイズを有する、段落[1]
~[66]のいずれか1つの医薬組成物。
[68]環状ポリリボ核酸は、線状ポリヌクレオチドの環状化を介して合成される、段
落[1]~[67]のいずれか1つの医薬組成物。
【0329】
[69]環状ポリリボ核酸は、分解に実質的に抵抗性である、段落[1]~[68]の
いずれか1つの医薬組成物。
[70](a)標的に結合する結合部位を含み、標的は、リボ核酸(RNA)結合モチ
ーフを含む環状ポリリボヌクレオチド;及び
(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物であって、
環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド及び少なくとも約5、
10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800
、900、又は1000個の連続非修飾ヌクレオチドを含む第1の部分を含む医薬組成物
。
【0330】
[71](a)標的に結合する結合部位を含み、標的は、リボ核酸(RNA)結合モチ
ーフを含む環状ポリリボヌクレオチド;及び
(b)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物であって、
環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド及び少なくとも約5、
10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800
、900、又は1000個の連続ヌクレオチドを含む第1の部分を含み、第1の部分は、
シュードウリジンも5’-メチルシチジンも欠く医薬組成物。
【0331】
[72]結合部位は、標的を結合させる二次構造を有するアプタマー配列を含む、段落
[70]及び[71]のいずれか1つの医薬組成物。
[73]環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドより
も低い免疫原性を有する、段落[70]~[72]のいずれか1つの医薬組成物。
【0332】
[74]環状ポリリボヌクレオチドは、RIG-I、TLR-3、TLR-7、TLR
-8、MDA-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、及びIFN-βからなる群
の少なくとも1つの発現又はシグナリング又は活性化により評価して対応する非修飾環状
ポリリボヌクレオチドよりも少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.5、1.6、1
.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、4
.2、4.5、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8
.5、9.0、9.5、又は10.0倍低い免疫原性を有する、段落[70]~[72]
のいずれか1つの医薬組成物。
【0333】
[75]環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドより
も長い半減期を有する、段落[70]~[74]のいずれか1つの医薬組成物。
[76]環状ポリリボヌクレオチドは、対応する非修飾環状ポリリボヌクレオチドより
も少なくとも約1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8
、3、3.2、3.3、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4.8、5.0、5
.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.
0倍長い半減期を有する、段落[70]~[74]のいずれか1つの医薬組成物。
【0334】
[77]半減期は、環状ポリリボヌクレオチド又は対応する非修飾環状ポリリボヌクレ
オチドを細胞中に導入し、細胞内部の導入された環状ポリリボヌクレオチド又は対応する
環状ポリリボヌクレオチドのレベルを測定することにより測定される、段落[75]及び
[76]のいずれか1つの医薬組成物。
【0335】
[78]少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、N(6)メチルアデノシン(m6A)
、5’-メチルシチジン、及びシュードウリジンからなる群から選択される、段落[70
]~[77]のいずれか1つの医薬組成物。
【0336】
[79]少なくとも1つの修飾核酸は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル
(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、T-デオキシ-2
’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミ
ノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-D
MAP)、T-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、2
’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)、ロック核酸(LNA)、エチレ
ン核酸(ENA)、ぺプチド核酸(PNA)、1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸
(HNA)、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌク
レオチド、及び2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトからなる群から選択され
る、段落70~[77]のいずれか1つの医薬組成物。
【0337】
[80]環状ポリリボヌクレオチドのヌクレオチドの少なくとも約10%、20%、3
0%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%は、修飾
ヌクレオチドである、段落[70]~[79]のいずれか1つの医薬組成物。
【0338】
[81]環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドからなる、タンパク質、D
NA、RNA、又は細胞標的に結合する結合部位を含む、段落[70]~[80]のいず
れか1つの医薬組成物。
【0339】
[82]環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドからなる内部リボソーム進
入部位(IRES)を含む、段落[70]~[81]のいずれか1つの医薬組成物。
[83]修飾部位は、非修飾ヌクレオチドからなる、段落[70]~[80]のいずれ
か1つの医薬組成物。
【0340】
[84]結合部位は、非修飾ヌクレオチドからなるIRESを含む、段落[83]の医
薬組成物。
[85]第1の部分は、タンパク質、DNA、RNA、又は細胞標的を結合させる結合
部位を含む、段落[70]~[84]のいずれか1つの医薬組成物。
【0341】
[86]第1の部分は、IRESを含む、段落[70]~[85]のいずれか1つの医
薬組成物。
[87]環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含む、段落[70]~[
86]のいずれか1つの医薬組成物。
【0342】
[88]環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列及びIRESを含み、環状
ポリリボヌクレオチドは、IRES外部の5’-メチルシチジン、シュードウリジン、又
はそれらの組合せを含む、段落[82]~[87]のいずれか1つの医薬組成物。
【0343】
[89]環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、対応する非修飾環状ポリ
リボヌクレオチドよりも高い翻訳効率を有するように構成される、段落[70]~[88
]のいずれか1つの医薬組成物。
【0344】
[90]環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、対応する非修飾環状ポリ
リボヌクレオチドよりも少なくとも約0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2
、1.3、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8、又は3倍高い翻訳効
率を有する、段落[70]~[89]のいずれか1つの医薬組成物。
【0345】
[91]環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、修飾ヌクレオチドを含む
第1の部分を有する対応する環状ポリリボヌクレオチドよりも高い翻訳効率を有する、段
落[70]~[90]のいずれか1つの医薬組成物。
【0346】
[92]環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、10%超の修飾ヌクレオ
チドを含む第1の部分を有する対応する環状ポリリボヌクレオチドよりも高い翻訳効率を
有する、段落[70]~[90]のいずれか1つの医薬組成物。
【0347】
[93]環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の発現配列は、修飾ヌクレオチドを含む
第1の部分を有する対応する環状ポリリボヌクレオチドよりも少なくとも約1.2、1.
3、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.3、3.
5、3.8、4.0、4.2、4.5、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.
0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.0倍高い翻訳効率を有する、
段落[70]~[92]のいずれか1つの医薬組成物。
【0348】
[94]翻訳効率は、環状ポリリボヌクレオチド若しくは対応する環状ポリリボヌクレ
オチドを含む細胞中で、又はインビトロ翻訳系(例えば、ウサギ網状赤血球溶解物)中の
いずれかで測定される、段落[89]~[93]のいずれか1つの医薬組成物。
【0349】
[95]環状ポリリボヌクレオチドは、項目0~[69]のいずれか1つの環状ポリ
リボヌクレオチドである、段落[70]~[94]のいずれか1つの医薬組成物。
[96]治療する方法であって、段落[1]~[95]のいずれか1つの医薬組成物を
、疾患又は病態を有する対象に投与することを含む方法。
【0350】
[97]段落[1]~[95]のいずれか1つの環状ポリリボヌクレオチドを生成する
ことを含む、医薬組成物を産生する方法。
[98]担体、例えば、膜又は脂質二重層中で配合される、段落[1]~[95]のい
ずれか1つの環状ポリリボヌクレオチド。
【0351】
[99]環状ポリリボヌクレオチドとしての核酸配列を有する線状ポリリボヌクレオチ
ドを環状化させることを含む、段落[1]~[95]のいずれか1つの環状ポリリボヌク
レオチドを作製する方法。
【0352】
[100]項目[1]~[95]のいずれか1つの組成物を含む、遺伝子操作細胞。
[101]細胞中で標的を結合させる方法であって、
アプタマー配列を含み、アプタマー配列は、標的を結合させる二次構造を有する翻訳不能
環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、送達の少なくとも5日後に検出可能な標的との複合体を形成すること
を含む方法。
【0353】
[102]細胞中で標的を結合させる方法であって、
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、標的を結合させるアプタマー配列を含み、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送
達の少なくとも5日後に検出可能な標的との複合体を形成すること
を含む方法。
【0354】
[103]標的は、核酸分子、小分子、タンパク質、炭水化物、及び脂質からなる群か
ら選択される、段落[101]及び[102]のいずれか1つの方法。
[104]標的は、遺伝子調節タンパク質である、段落[101]~[103]のいず
れか1つの方法。
【0355】
[105]遺伝子調節タンパク質は、転写因子である、段落104の方法。
[106]核酸分子は、DNA分子又はRNA分子である、段落[103]の方法。
[107]複合体は、遺伝子発現をモジュレートする、段落[101]~[106]の
いずれか1つの方法。
【0356】
[108]複合体は、DNA分子の指向転写、DNA分子のエピジェネティックリモデ
リング、又はDNA分子の分解をモジュレートする、段落[101]~[107]のいず
れか1つの方法。
【0357】
[109]複合体は、標的の分解、標的のトランスロケーション、又は標的シグナル伝
達をモジュレートする、段落[101]~[108]のいずれか1つの方法。
[110]遺伝子発現は、疾患又は病態の病因と関連する、段落[107]~[109
]のいずれか1つの方法。
【0358】
[111]複合体は、送達の少なくとも7、8、9、又は10日後に検出可能である、
段落[101]~[110]のいずれか1つの方法。
[112]翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少なくとも5日後に存在する
、段落[101]~[111]のいずれか1つの方法。
【0359】
[113]翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少なくとも6、7、8、9、
又は10日後に存在する、段落[101]~[112]のいずれか1つの方法。
[114]翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドである、段落[101]~[113]のいずれか1つの方法。
【0360】
[115]翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、準二本鎖二次構造を有する、段落[
101]~[114]のいずれか1つの方法。
[116]アプタマー配列は、標的を結合させる三次構造をさらに有する、段落[10
1]~[115]のいずれか1つの方法。
【0361】
[117]細胞は、真核細胞である、段落[101]~[116]のいずれか1つの方
法。
[118]真核細胞は、ヒト細胞である、段落[117]のいずれか1つの方法。
【0362】
[119]細胞中で転写因子を結合させる方法であって、
転写因子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供す
ること;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、転写因子との複合体を形成し、遺伝子発現をモジュレートすること
を含む方法。
【0363】
[120]細胞中で転写因子を結合させる方法であって、
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、転写因子を結合させるアプタマー配列を含み、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは
、転写因子との複合体を形成し、遺伝子発現をモジュレートすること
を含む方法。
【0364】
[121]細胞中で転写因子を隔離する方法であって、
転写因子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供す
ること;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、転写因子を結合させて細胞中で複合体を形成することにより転写因子を隔離すること
を含む方法。
【0365】
[122]細胞中で転写因子を隔離する方法であって、
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、転写因子を結合させるアプタマー配列を含み、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは
、転写因子を結合させて複合体を形成することにより転写因子を隔離すること
を含む方法。
【0366】
[123]細胞生存率は、前記複合体の形成後に減少する、段落[121]及び[12
2]のいずれか1つの方法。
[124]細胞毒性剤に対して細胞を感作させる方法であって、
転写因子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供す
ること;及び
細胞毒性剤及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリ
ボヌクレオチドは、細胞中で転写因子との複合体を形成すること;
それにより翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを欠く細胞と比較して細胞毒性剤に対して
細胞を感作させること
を含む方法。
【0367】
[125]細胞毒性剤に対して細胞を感作させる方法であって、
細胞毒性剤及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリ
ボヌクレオチドは、転写因子を結合させるアプタマー配列を含み;翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、細胞中で転写因子との複合体を形成すること;
それにより翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを欠く細胞と比較して細胞毒性剤に対して
細胞を感作させること
を含む方法。
【0368】
[126]細胞毒性剤に対する細胞の感作は、細胞毒性剤及び翻訳不能環状ポリリボヌ
クレオチドの送達後に減少した細胞生存率をもたらす、段落[124]及び[125]の
いずれか1つの方法。
【0369】
[127]減少した細胞生存率は、細胞毒性剤及び翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
の送達の少なくとも2日後に40%以上だけ減少する、段落[126]の方法。
[128]細胞中で病原性タンパク質を結合させる方法であって、
病原性タンパク質を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
を提供すること;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、病原性タンパク質の分解のために病原性タンパク質との複合体を形成すること
を含む方法。
【0370】
[129]細胞中で病原性タンパク質を結合させる方法であって、
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、病原性タンパク質を結合させるアプタマー配列を含み;翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドは、病原性タンパク質の分解のために病原性タンパク質との複合体を形成すること
を含む方法。
【0371】
[130]細胞中でリボ核酸分子を結合させる方法であって、
リボ核酸分子の配列に相補的な配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供する
こと;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、細胞中でリボ核酸分子との複合体を形成すること
を含む方法。
【0372】
[131]細胞中でリボ核酸分子を結合させる方法であって、
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、リボ核酸分子を結合させるアプタマー配列を含み;翻訳不能環状ポリリボヌクレオチ
ドは、細胞中でリボ核酸分子との複合体を形成すること
を含む方法。
【0373】
[132]細胞中でゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させる方法であって、
ゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌ
クレオチドを提供すること;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、ゲノムデオキシリボ核酸分子との複合体を形成し、遺伝子発現をモジュレートするこ
と
を含む方法。
【0374】
[133]細胞中でゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させる方法であって、
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、ゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させるアプタマー配列を含み;翻訳不能環状ポリ
リボヌクレオチドは、ゲノムデオキシリボ核酸分子との複合体を形成し、遺伝子発現をモ
ジュレートすること
を含む方法。
【0375】
[134]細胞中で小分子を結合させる方法であって、
小分子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供する
こと;及び
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、小分子との複合体を形成し、細胞プロセス(例えば、タンパク質分解、細胞シグナリ
ング、遺伝子発現など)をモジュレートすること
を含む方法。
【0376】
[135]細胞中で小分子を結合させる方法であって、
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達し、翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド
は、小分子を結合させるアプタマー配列を含み;翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、
小分子との複合体を形成し、細胞プロセス(例えば、タンパク質分解、細胞シグナリング
、遺伝子発現など)をモジュレートすること
を含む方法。
【0377】
[136]小分子は、900ダルトン以下の分子量を有する有機化合物であり、細胞プ
ロセスをモジュレートする、段落[134]及び[135]のいずれか1つの方法。
[137]小分子は、薬物である、段落[134]~[136]のいずれか1つの方法
。
【0378】
[138]小分子は、フルオロフォアである、段落[134]及び[135]のいずれ
か1つの方法。
[139]小分子は、代謝産物である、段落[134]~[136]のいずれか1つの
方法。
【0379】
[140]アプタマー配列を含み、アプタマー配列は、標的を結合させる二次構造を有
する翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物。
[141]アプタマー配列を含み、アプタマー配列は、標的を結合させる二次構造を有
する翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド;及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む
医薬組成物。
【0380】
[142]段落[101]~[141]のいずれか1つの翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドを含む細胞。
[143]治療が必要とされる対象を治療する方法であって、段落[101]~[14
0]のいずれか1つの組成物又は段落[141]の医薬組成物を投与することを含む方法
。
【0381】
[144]段落[101]~[141]のいずれか1つの翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドをコードするポリヌクレオチド。
[145]段落[101]~[141]のいずれか1つの翻訳不能環状ポリリボヌクレ
オチドを産生する方法。
【0382】
[0342] 本明細書に引用される全ての参照文献及び刊行物は、参照により本明細書に組
み込まれる。
[0343] 以下の実施例は、例えば、モデルエレメントを使用して本発明の一部の実施形
態をさらに説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定するものではなく;それら
の例示的な性質により、当業者に公知の他の手順、方法、又は技術を代替的に使用するこ
とができることが理解される。
【実施例0383】
実施例1: DNAを結合させて遺伝子発現を調節する環状RNA
[0344] 本実施例は、遺伝子発現を調節するためにDNAに結合する環状RNAを記載
する。
【0384】
[0345] モデル標的遺伝子、この場合、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子
内の配列を含むように、非天然発生環状RNAを遺伝子操作する。全ての生物体において
見出されるとおり、DHFRは、細胞中のテトラヒドロ葉酸の量の調節において重要な役
割を担う。テトラヒドロ葉酸及びその誘導体は、細胞増殖及び細胞成長に重要なプリン及
びチミジル酸合成に不可欠である。DHFRは、核酸前駆体の合成において中心的役割を
担う。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAはDHFR遺伝子に結合してその転写
を抑制する。
【0385】
[0346] 環状RNAは、DHFR結合配列 5’-ACAAAUGGGGACGAGG
GGGGCGGGGCGGCC-3’(配列番号5)を含むように設計する。
[0347] 上記のDHFR結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼ
を使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをR
NA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFi
sher Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理
し、RNA精製系により再度精製する。
【0386】
[0348] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0387】
[0349]
図5Cに示されるとおり、DHFRゲノムDNAへの1つの環状RNA結合は
、いくつかの方法、例として、ゲノムDNAへの直接的なRNA結合を評価するCHAR
T-qPCR、DHFR転写産物特異的qPCR、並びに細胞増殖及び細胞成長アッセイ
を介して評価する。DHFR遺伝子への環状RNAの活性結合は、減少したDHFR転写
、プリン及びチミジル酸合成の減少、並びに減少した細胞増殖及び細胞成長をもたらすこ
とが予測される。
【0388】
実施例2: dsDNAを結合させて遺伝子発現を調節する環状RNA
[0350] 本実施例は、遺伝子発現を調節するためにdsDNAに結合する環状RNAを
記載する。
【0389】
[0351]
図5Dに示されるとおり、モデル標的遺伝子、この場合、トランスフォーミン
グ成長因子β(TGF-β)標的配列に結合する配列を含むように、非天然発生環状RN
Aを遺伝子操作する。TGF-βは、多くの細胞タイプにより分泌される。TGF-β受
容体への結合後、受容体はリン酸化し、シグナリングカスケードを活性化させ、それが様
々な下流の基質及び調節タンパク質の活性化をもたらす。以下の実施例は、転写を抑制す
るためにTGF-β標的遺伝子に結合する環状RNAを記載する。
【0390】
[0352] 環状RNAは、TGF-β標的結合配列 5’-CGGAGAGCAGAGA
GGGAGCG-3’(配列番号6)を含むように設計する。
[0353] TGF-β結合配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを
使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRN
A精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFis
her Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し
、RNA精製系により再度精製する。
【0391】
[0354] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0392】
[0355] dsDNAへの環状RNA結合は、三重鎖免疫捕捉アッセイを介して判定する
。ここで、ビオチン標識三重鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)ssRNA分子(対照
配列又は標的化配列 5’-CGGAGAGCAGAGAGGGAGCG-3’(配列番
号7)のいずれか)を使用して細胞内から又は細胞から単離された核から標的DNA配列
をプルダウンしてRNA-DNA三重構造の形成を評価する。ビオチン化標的化又は対照
TFOによりプルダウンされたDNAをシーケンシングしてRNA-dsDNAプルダウ
ン後に濃縮されたDNA配列を決定する。
【0393】
[0356] RNA-DNA結合を実証する代替法としては、CHART-qPCR及びゲ
ル移動度シフトアッセイが挙げられ、そこで標的化ssRNAオリゴ(5’-CGGAG
AGCAGAGAGGGAGCG-3’(配列番号7))は、標的dsDNAオリゴ(5
’-AGAGAGAGGGAGAGAG-3’(配列番号8)及び3’-TCTCTCT
CCCTCTCTC-5’(配列番号9))と相互作用するが、対照DNAオリゴと相互
作用しない。
【0394】
[0357] 標的RNA結合後に誘導される機能的変化の追加の評価としては、qPCRに
より測定されるTGF-β標的遺伝子、例として、TGFB2、TGFBR1及び/又は
SMAD2の変化が挙げられる。
【0395】
実施例3: DNAを結合させて遺伝子発現を調節する環状RNA
[0358] 本実施例は、転写因子結合を阻害するためにDNAに結合する環状RNAを記
載する。
【0396】
[0359] 標的配列に対する結合配列、ここでは、γグロビン転写因子結合配列を含むよ
うに、非天然発生環状RNAを遺伝子操作する。胎児ヘモグロビンは、子宮中での発達の
最後の7ヶ月の間のヒト胎児における主な酸素輸送タンパク質であり、新生児において生
後ほぼ6ヶ月まで持続する。胎児ヘモグロビンは、成人ヘモグロビンよりも大きい親和性
で酸素を結合させ、母体の血流からの酸素により良好に接近させて胎児を発達させる。新
生児において、胎児ヘモグロビンは、生後およそ6ヶ月までに成人ヘモグロビンによりほ
ぼ完全に置き換えられる。
【0397】
[0360] GATA-1は、-567Gγ/-566Aγ-グロビンGATAモチーフに
おいて結合するリプレッサー複合体GATA-1-FOG-1-Mi2bの構成要素であ
る。以下の実施例は、阻害転写因子/抑制複合体の結合を防止するために-567Gγ/
-566Aγ-グロビンGATAモチーフ(アクセッションファイルGI455025か
らのGenBank座標33992~33945及びアクセッションファイルGI455
025からのGenBank座標38772~38937、それぞれ)に結合する環状R
NAを記載する。
【0398】
[0361] 環状RNAは、阻害転写因子複合体GATA1、Mi2b又はFOG1が結合
する非欠失結合配列を含むように設計する。
[0362] 転写因子結合配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使
用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA
精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFish
er Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、
RNA精製系により再度精製する。
【0399】
[0363] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0400】
[0364] DNAへの環状RNA結合は、直接的DNA結合法、例えば、CHART-q
PCRを介して評価し、機能は、胎児ヘモグロビンの活性化及び発現などの方法を介して
評価する。γ-グロビン遺伝子上流の調節エレメントへの環状RNAの活性結合は、転写
因子BCL11A、又は他の阻害転写因子の競合阻害をもたらしてHbF転写を活性化さ
せることが予測される。HbFレベルの変化は、HPLC分析、フローサイトメトリー分
析、及び/又はqPCRを介して測定することができる。
【0401】
実施例4: DNA二重鎖を結合させる環状RNA
[0365] 本実施例は、DNA二重鎖に結合する環状RNAを記載する。
【0402】
[0366] 主溝に対するDNA結合配列を含むように、非天然発生環状RNAを遺伝子操
作することができる。短鎖(15-mer)RNAオリゴヌクレオチド(三重鎖形成オリ
ゴヌクレオチド(TFO))は、安定的な三重ヘリカルRNA:DNA複合体を形成し得
る。三重鎖構造の第3の鎖(すなわち、TFO)は、二重鎖DNAの主溝を通る経路に従
う。三重鎖構造の特異性及び安定性は、二重鎖DNA中の古典的ワトソン・クリック塩基
対合で形成されるものと異なるフーグスティーン水素結合を介して実現される。TFOは
、主溝を介して標的二重鎖のプリンリッチ鎖に結合する。
【0403】
[0367] 10~15塩基のポリプリン配列を有するDNAセグメントからT7RNAポ
リメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写された
RNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(The
rmoFisher Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に
従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0404】
[0368] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理により、スプリン
トライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単
離する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介
して評価する。
【0405】
[0369] DNAへの環状RNA結合は、直接的DNA結合法、例えば、ゲノムDNAへ
の直接的RNA結合を判定するCHART-qPCRを介して評価する。dsDNAへの
環状RNA結合を判定する代替法としては、三重鎖免疫捕捉アッセイ及びゲル移動度シフ
トアッセイが挙げられる。
【0406】
実施例5: RNA転写産物を結合させ、隔離する環状RNA
[0370] 本実施例は、RNA転写産物に結合し、それを隔離する環状RNAを記載する
。
【0407】
[0371] RNA転写産物のための1つ以上の新規結合配列を含むように、非天然発生環
状RNAを遺伝子操作する。伸長CGGトラクトを有するRNA分子は、環状RNA結合
のために標的化される。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離のためにR
NAのリピート領域に結合する。
【0408】
[0372] 環状RNAは、50~220個のFMR1伸長リピート5’-CGG-3’に
対する相補的配列を含むように設計する。
[0373] 50~220個のFMR1伸長リピートを有するDNAセグメントからT7R
NAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写
されたRNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(
ThermoFisher Scientific、EF0652)により製造業者の説
明書に従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0409】
[0374] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0410】
[0375] FMR1 mRNAへの環状RNA結合は、環状RNAに相補的な修飾オリゴ
ヌクレオチドを使用してFMR1 mRNAをプルダウンし、それを逆転写させ、qPC
R増幅させるオリゴヌクレオチドプルダウンqPCRアッセイにより判定する。結合は、
2つの蛍光オリゴ、FMR1 mRNAに特異的なもの及び環状RNAに相補的なものの
同時局在化並びにRNA FISHによる判定によっても評価する。
【0411】
実施例6: RNA転写産物を結合させ、隔離する環状RNA
[0376] 本実施例は、RNA転写産物に結合し、それを隔離する環状RNAを記載する
。
【0412】
[0377] RNA転写産物のための1つ以上の新規結合配列を含むように、非天然発生環
状RNAを遺伝子操作する。SCA8は、CTGの伸長リピートを利用する。CTGリピ
ートは、転写されるが翻訳されない遺伝子中で生じる。以下の実施例に示されるとおり、
環状RNAは、隔離のためにmRNAのリピート領域に結合する。
【0413】
[0378] 環状RNAは、50~120個のSCA8伸長リピート5’-CUG-3’に
対する相補的配列を含むように設計する。
[0379] 50~120個のSCA8伸長リピートを有するDNAセグメントからT7R
NAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写
されたRNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(
ThermoFisher Scientific、EF0652)により製造業者の説
明書に従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0414】
[0380] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0415】
[0381] SCA1 RNAへの環状RNA結合は、環状RNAに相補的な修飾オリゴヌ
クレオチドを使用してSCA8伸長リピートをプルダウンし、それを逆転写させ、qPC
R増幅させるオリゴヌクレオチドプルダウンqPCRアッセイにより判定する。RNA
FISHも使用して2つの蛍光オリゴ、SCA8 RNAに特異的なもの及び環状RNA
に相補的なものの同時局在化により結合を評価し、それをRNA FISHにより判定す
る。
【0416】
実施例7: RNA転写産物を結合させ、隔離する環状RNA
[0382] 本実施例は、RNA転写産物に結合し、それを隔離する環状RNAを記載する
。
【0417】
[0383] RNA転写産物のための1つ以上の新規結合配列を含むように、合成環状RN
Aを遺伝子操作する。ハンチンチン(HTT)遺伝子は、その野生型形態中で6~35個
のグルタミン残基のセグメントを含む。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、
隔離のためにmRNAのリピート領域に結合する。
【0418】
[0384] 環状RNAは、40~120個のHTT伸長リピート5’-CAG-3’に対
する相補的配列を含むように設計する。
[0385] 40~120個のHTT伸長リピートを有するDNAセグメントからT7RN
Aポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写さ
れたRNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(T
hermoFisher Scientific、EF0652)により製造業者の説明
書に従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0419】
[0386] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0420】
[0387] HTT RNAへの環状RNA結合を評価する1つの方法は、環状RNAに相
補的な修飾オリゴヌクレオチドを使用してHTT RNAをプルダウンし、それを逆転写
させ、qPCR増幅させるオリゴヌクレオチドプルダウンqPCRアッセイにより判定す
る。RNA FISHも使用して2つの蛍光オリゴ、HTTAに特異的なもの及び環状R
NAに相補的なものの同時局在化により結合を評価し、それをRNA FISHにより判
定する。
【0421】
実施例8: RNA転写産物及び酵素を結合させ、隔離する環状RNA
[0388] 本実施例は、RNA分解を補助するためにRNA転写産物及びタンパク質に同
時に結合し、それらを隔離する環状RNAを記載する。
【0422】
[0389] 転写産物分解を補助するための転写産物及びタンパク質のための1つ以上の新
規結合配列を含むように、非天然発生環状RNAを遺伝子操作する。アトロフィン-1タ
ンパク質はATN1によりコードされ、モデル系として使用される。コードされるタンパ
ク質は、セリンリピート、交互の酸性及び塩基性アミノ酸の領域、並びに可変グルタミン
リピートを含む。ATN1遺伝子は、CAGトリヌクレオチドリピートと呼ばれるDNA
のセグメントを有する。
【0423】
[0390] 真核細胞において、ほとんどのmRNAは、mRNA翻訳及び安定性に重要な
5’モノメチルグアノシンキャップ構造及び3’ポリ(A)テールを有する。5’キャッ
プ構造の除去(デキャッピング)は、5’末端からのmRNA本体の分解の前提条件であ
る。Dcp2タンパク質は、細胞中の主なmRNAデキャッピング酵素として同定されて
いる。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離のためにmRNAのリピート
領域に、及びmRNAのデキャッピングのためのDcp2タンパク質に結合する。
【0424】
[0391] 環状RNAは、40~120個のATN1伸長リピート5’-CAG-3’に
対する相補的配列及びDcp2による認識のためのRNAキャップ構造を含むように設計
する。
【0425】
[0392] 40~120個のATN1伸長リピート及びDcp2による認識のためのRN
Aキャップ構造を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用するインビ
トロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系(QI
AGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher Sci
entific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA精製系
により再度精製する。T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.
、M0202M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc
.、M0239S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理により
スプリントライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃
縮後に単離する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilen
t)を介して評価する。
【0426】
[0393] ATN1 RNAへの環状RNA結合を評価する1つの方法は、環状RNAに
相補的な修飾オリゴヌクレオチドを使用してATN1 RNAをプルダウンし、それを逆
転写させ、qPCR増幅させるオリゴヌクレオチドプルダウンqPCRアッセイにより判
定する。デキャッピング機能は、スプリントライゲーション及び定量的RT-PCRを組
み合わせるqSL-RT-PCR(Blewett, et al., RNA, 2011, Mar, 17(3): 535-543
)により判定する。
【0427】
実施例9: mRNA置き換えのための環状RNA
[0394] 本実施例は、標的mRNAに結合し、リボザイム開裂部位を作出する環状RN
Aを記載する。
【0428】
[0395] ピルビン酸キナーゼmRNAのM2アイソフォームに結合する配列を含むよう
に、非天然発生環状RNAを遺伝子操作する。以下の実施例に示されるとおり、環状RN
Aは、ピルビン酸キナーゼ(PK)の標的M2アイソフォームに結合し、その開裂をもた
らす。
【0429】
[0396] 環状RNAは、標的中でVSリボザイム開裂部位を生成するピルビン酸キナー
ゼのM2アイソフォームに相補的な配列を含むように設計する。環状RNAは、トランス
作用VSリボザイム開裂のための配列及びピルビン酸キナーゼのM1アイソフォームのた
めのコード配列をさらに含む。
【0430】
[0397] M2アイソフォーム相補的配列、VSリボザイム、及びM1コード配列を有す
るDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修
飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製
し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher Scientific、EF
0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0431】
[0398] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0432】
[0399] PK M2 mRNAへの環状RNA結合及び同時分解は、RT-PCRによ
り判定する。PK M1 mRNAの発現回復は、類似の様式で判定する。さらに、PK
M1及びPK M2タンパク質の発現をウエスタンブロッティングにより判定する。標
的RNA結合及び開裂後に誘導された機能的変化の証拠としては、細胞増殖アッセイが挙
げられる。
【0433】
実施例10: 標的化mRNA開裂のための環状RNA
[0400] 本実施例は、モデル標的mRNAに結合し、リボザイム開裂部位を作出する環
状RNAを記載する。
【0434】
[0401] SRSF1 mRNAに結合する配列を含むように、非天然発生環状RNAを
遺伝子操作する。以下の実施例は、標的SRSF1 mRNAに結合し、その開裂をもた
らす環状RNAを記載する。
【0435】
[0402] 環状RNAは、標的中のVSリボザイム開裂部位を生成するtSRSF1 m
RNAに相補的な配列を含むように設計する。環状RNAは、トランス作用VSリボザイ
ムのための配列及びピルビン酸キナーゼのM1アイソフォームのためのコード配列をさら
に含有する。他のトランス作用リボザイム、例えば、HDV、ハンマーヘッド、グループ
I、及び/又はグループIIを利用する。
【0436】
[0403] SRSF1相補的配列、VSリボザイムを有するDNAセグメントからT7R
NAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写
されたRNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(
ThermoFisher Scientific、EF0652)により製造業者の説
明書に従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0437】
[0404] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0438】
[0405] SRSF1 mRNAへの環状RNA結合及びその同時分解は、RT-PCR
により判定する。SRSF1タンパク質の発現は、ウエスタンブロッティングにより判定
する。標的RNA結合及び開裂後に誘導された変化についての追加の証拠としては、細胞
増殖アッセイが挙げられる。
【0439】
実施例11: 環状RNAを隔離する環状RNA
[0406] 本実施例は、環状RNAを結合させる環状RNAを記載する。
【0440】
[0407] 環状RNAは、ある細胞系中に存在し得る。1つのそのような例は、circ
-Dnmt1である。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、circ-Dnm
t1に結合する。
【0441】
[0408] 環状RNAは、そのRNA-タンパク質相互作用を阻害するためのcirc-
Dnmt1に対する相補的配列を含むように設計する。
[0409] 適切な配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用する
インビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系
(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher
Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA
精製系により再度精製する。
【0442】
[0410] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0443】
[0411] circ-Dnmt1への環状RNA結合を評価する1つの方法は、環状RN
Aの領域に相補的なビオチン化オリゴを使用する環状RNAのプルダウンとその後のRT
-PCRによるものである。さらに、電気泳動移動度シフトアッセイを使用して環状RN
A-circDnmt1複合体を可視化する。
【0444】
実施例12: 2つのmiRNAを隔離する環状RNA
[0412] 本実施例は、2つの別個のmiRNAを結合させる環状RNAを記載する。
【0445】
[0413] 環状RNAは、2つのモデルmiRNA、ここではmiR-9及びmiR-1
269に対する相補的配列を含むように設計する。
[0414] 適切な配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用する
インビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系
(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher
Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA
精製系により再度精製する。
【0446】
[0415] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0447】
[0416] miR-9及びmiR-1269への環状RNA結合を評価する1つの方法は
、環状RNAの領域に相補的なビオチン化オリゴを使用する環状RNAのプルダウンとそ
の後のRT-PCRによるものである。さらに、電気泳動移動度シフトアッセイを使用し
て環状RNA-miRNA-miRNA複合体を可視化する。
【0448】
実施例13: 少なくとも2つの個々のRNA転写産物を結合させ、隔離する環状RNA
[0417] 本実施例は、少なくとも2つのモデルRNA転写産物に結合し、それらを隔離
する環状RNAを記載する。
【0449】
[0418] RNA転写産物のための2つ以上の新規結合配列を含むように、合成環状RN
Aを遺伝子操作する。SCA8は、CTGの伸長リピートを利用する。FMR1遺伝子は
、CGG伸長部を含む。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離のためにR
NA転写産物のリピート領域に結合する。
【0450】
[0419] 以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、FMR1又はSCA8伸長リ
ピートのいずれかの隔離のためにRNAのリピート領域に結合する。
[0420] 環状RNAは、50~220個のFMR1伸長リピート5’-CGG-3’に
対する相補的配列及び50~120個のSCA8伸長リピート5’-CUG-3’に対す
る相補的配列を含むように設計する。
【0451】
[0421] 伸長リピートを有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用す
るインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製
系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher
Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RN
A精製系により再度精製する。
【0452】
[0422] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0453】
[0423] FMR1又はSCA1 mRNAへの環状RNA結合は、環状RNAに相補的
な修飾オリゴヌクレオチドを使用してFMR1又はSCA1 mRNAをプルダウンし、
それを逆転写させ、qPCR増幅させるオリゴヌクレオチドプルダウンqPCRアッセイ
により判定する。結合は、蛍光オリゴ、FMR1又はSCA1 mRNAに特異的なもの
及び環状RNAに相補的なものの同時局在化によっても評価し、蛍光はRNA FISH
により判定する。
【0454】
実施例14: タンパク質を結合させる環状RNA
[0424] 本実施例は、隔離のためにタンパク質に結合する環状RNAを記載する。
【0455】
[0425] TAR-DNA結合タンパク質-43(TDP-43)は、mRNAプロセシ
ング及び安定化に関与する多機能異種リボヌクレオタンパク質である。TDP-43は、
2つのRNA認識モチーフ(RRM)、核シャトリングを媒介する核局在化シグナル及び
核輸送配列、並びにTDP-43タンパク質相互作用及び機能に関与するC末端グリシン
リッチドメイン(GRD)を含む。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離
のためにTDP-43に結合する。
【0456】
[0426] 環状RNAは、TDP-43を競合結合し、その結合/下流機能を阻害するた
めのTDP-43RNA結合モチーフ:5’-(UG)nUA(UG)m-3’、5’-
GAGAGAGCGCGUGUGUGUGUGUGGUGGUGCAUA-3’(配列番
号10)又は(UG)6及びC末端グリシンリッチドメインのためのタンパク質結合配列
を含むように設計する。
【0457】
[0427] TDP-43RNAモチーフ及びC末端グリシンリッチドメインのためのタン
パク質結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用するインビト
ロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系(QIA
GEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher Scie
ntific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA精製系に
より再度精製する。
【0458】
[0428] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0459】
[0429] TDP-43への環状RNA結合は、インビトロでEMSA(RNA電気泳動
移動度シフトアッセイ)により判定する。TDP-43がcircRNAに結合している
場合、ゲル電気泳動の間の移動速度は、非結合環状RNAのものよりも緩慢である。さら
に、環状RNA特異的qPCRと連結させた抗TDP-43抗体を使用するRIP(RN
A免疫沈降)を使用して細胞抽出物中の転写産物結合を判定する。環状RNAが隔離のた
めにTDP-43に結合するか否かを評価するため、環状RNAにより処理された又はそ
れを有さない細胞中でTDP-43局在化を分析する。環状RNAがTDP-43を隔離
する場合、TDP-43局在化は細胞質中で留まることが予測される。さらに、TDP4
3において環状RNAによる隔離は、増加した生存率をもたらすことが予測される。
【0460】
実施例15: タンパク質を結合させる環状RNA
[0430] 本実施例は、隔離のためにタンパク質に結合する環状RNAを記載する。
【0461】
[0431] プレmRNAプロセシングスプライシング因子8は、ヒトにおいてPRPF8
遺伝子によりコードされ、U2及びU12依存性スプライソソームの両方の構成成分であ
るタンパク質であり、プレmRNAスプライシングプロセスにおける触媒ステップIIに
不可欠であることが見出されている。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔
離のためにPRPF8に結合する。
【0462】
[0432] 環状RNAは、PRPF8に競合結合し、その機能を阻害するためのPRPF
8RNA結合モチーフ 5’-AUUGCCUAUAGAACUUAUAACGAACA
UGGUUCUUGCCUUUUACCAGAACCAUCCGGGUGUUGUCUC
CAUAGA-3’(配列番号11)を含むように設計する。
【0463】
[0433] PRPF8結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使
用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA
精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFish
er Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、
RNA精製系により再度精製する。
【0464】
[0434] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0465】
[0435] PRPF8への環状RNA結合を評価する1つの方法は、EMSA(RNA電
気泳動移動度シフトアッセイ)である。PRPF8が環状RNAに結合している場合、ゲ
ル電気泳動の間の移動速度は、非結合環状RNAのものよりも緩慢である。さらに、環状
RNA特異的qPCRと連結させた抗PRPF8抗体を使用するRIP(RNA免疫沈降
)を使用して細胞抽出物中の転写産物結合を判定する。環状RNAがPRPF8を隔離し
、細胞機能を変更するか否かを評価するため、幹細胞表面マーカー、例えば、CD44+
/CD24+の発現を環状RNA送達後にFACSにより判定する。
【0466】
実施例16: タンパク質を結合させる環状RNA
[0436] 本実施例は、隔離のためにモデルタンパク質に結合する環状RNAを記載する
。
【0467】
[0437] ヒトLIN28Aホモログは、N末端低温ショックドメイン(CSD)及び2
つのC末端CysCysHisCys(CCHC)ジンクフィンガードメインを有するR
NA結合タンパク質(RBP)である。ヒトLIN28Aは、主に細胞質性であり、細胞
構成成分、例えば、リボソーム、P体、及びストレス顆粒と会合する。以下の実施例に示
されるとおり、環状RNAは、隔離のためにLIN28Aに結合する。
【0468】
[0438] 環状RNAは、preEM-let-7f配列、5’-GGGGUAGUGA
UUUUACCCUGGAGAU-3’(配列番号12)、及びLIN28Aを競合結合
するためのLIN28A GGAG結合モチーフを有するRNA配列を含むように設計す
る。
【0469】
[0439] LIN28A結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを
使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRN
A精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFis
her Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し
、RNA精製系により再度精製する。
【0470】
[0440] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0471】
[0441] LIN28Aへの環状RNA結合を評価する1つの方法は、EMSA(RNA
電気泳動移動度シフトアッセイ)である。LIN28Aが環状RNAに結合している場合
、ゲル電気泳動の間の移動速度は、非結合環状RNAのものよりも緩慢である。さらに、
環状RNA特異的qPCRと連結させた抗LIN28A抗体を使用するRIP(RNA免
疫沈降)を使用して細胞抽出物中の転写産物結合を判定し、LIN28A免疫蛍光と環状
RNA FISHとの組合せを使用して細胞中の同時局在化を判定する。環状RNAが隔
離のためにLIN28Aに結合し、細胞機能を変更したか否かを評価するため、環状RN
Aをヒト細胞中に送達する。環状RNA処理時、成熟LET-7gの発現レベルをq-R
T-PCRにより測定する。さらに、処理細胞の細胞成長をMTT法により測定する。
【0472】
実施例17: タンパク質を結合させる環状RNA
[0442] 本実施例は、隔離のためにモデルタンパク質に結合する環状RNAを記載する
。
【0473】
[0443] CUG結合タンパク質1(CUGBP1)は、代替的スプライシングのレベル
における遺伝子発現、mRNA分解、及び翻訳を調節する。転写後調節ネットワークは、
RNA結合タンパク質CUG結合タンパク質1(CUGBP1)を含み、それはCUGB
P及びELAV様ファミリーメンバー1(CELF1)とも称され、標的転写産物の3’
-UTR中に留まるGUリッチエレメント(GRE)に結合し、GRE含有転写産物の分
解を媒介する。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離のためにCUGBP
1に結合する。
【0474】
[0444] 環状RNAは、CUGBP1により認識され、CUGBP1に競合結合するU
GU(G/U)UGU(G/U)UGUを有する少なくとも1つのRNAモチーフを含む
ように設計する。
【0475】
[0445] CUGBP1結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを
使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRN
A精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFis
her Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し
、RNA精製系により再度精製する。
【0476】
[0446] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0477】
[0447] CUGBP1への環状RNA結合を評価する1つの方法は、EMSA(RNA
電気泳動移動度シフトアッセイ)である。CUGBP1が環状RNAに結合している場合
、ゲル電気泳動の間の移動速度は、非結合環状RNAのものよりも緩慢である。さらに、
環状RNA特異的qPCRと連結させた抗CUGP1抗体を使用するRIP(RNA免疫
沈降)を使用して細胞抽出物中の転写産物結合を判定し、CUGP1免疫蛍光と環状RN
A FISHとの組合せを使用して細胞中の同時局在化を判定する。環状RNAが隔離の
ためにCUGBP1に結合し、細胞機能を変更したか否かを評価するため、環状RNAを
細胞中に送達し、比色MTTアッセイを使用して細胞増殖を測定する。
【0478】
実施例18: タンパク質を結合させる環状RNA
[0448] 本実施例は、隔離のためにモデルタンパク質に結合する環状RNAを記載する
。
【0479】
[0449] Gemin5は、RNA結合タンパク質(RBP)であり、RBS1及びRB
S2ドメインからなる非カノニカル二分RNA結合部位を保有するC末端ドメインを有す
る主に細胞質性のタンパク質である。さら、Gemin5は、RNAポリメラーゼII転
写産物中に存在する7-メチルグアノシン(m7G)キャップに結合し、内部リボソーム
進入部位依存性翻訳を下方調節する。Gemin5は、プラットフォームとして作用する
ことによりリボソームへのその直接的結合を介して全タンパク質合成を制御し、区別され
るRNA-タンパク質ネットワークのためのハブを提供し得る。以下の実施例は、隔離の
ためにGEMIN5に結合する環状RNAを記載する。
【0480】
[0450] 環状RNAは、口蹄疫ウイルス(FMDV)IRES配列のドメイン5を含み
、GEMIN5を競合結合するように設計する。
[0451] GEMIN5結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを
使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRN
A精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFis
her Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し
、RNA精製系により再度精製する。
T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M0202M)又は
T4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M0239S)を
使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリントライゲーシ
ョン環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離する。RN
A品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介して評価する
。
【0481】
[0452] GEMIN5への環状RNA結合を評価する1つの方法は、EMSA(RNA
電気泳動移動度シフトアッセイ)である。GEMIN5が環状RNAに結合している場合
、ゲル電気泳動の間の移動速度は、非結合環状RNAのものよりも緩慢である。さらに、
環状RNA特異的qPCRと連結させた抗GEMIN5抗体を使用するRIP(RNA免
疫沈降)を使用して細胞抽出物中の転写産物結合を判定し、GEMIN5免疫蛍光と環状
RNA FISHとの組合せを使用して細胞中の同時局在化を判定する。環状RNAがG
EMIN5を隔離し、翻訳を変更するか否かを評価するため、環状RNAをインビトロ翻
訳アッセイに添加する。FMDV IRESを有するルシフェラーゼをコードする環状R
NAの翻訳をGEMIN5タンパク質の存在下又は不存在下で、環状RNAを用いて又は
用いずに測定する。GEMIN5タンパク質により媒介された翻訳に対するGEMIN5
隔離の効果は、発光リードアウトにより測定する。
【0482】
実施例19: 2つのタンパク質を結合させる環状RNA
[0453] 本実施例は、2つのモデルタンパク質に同時に結合する環状RNAを記載する
。
【0483】
[0454] E3ユビキチンリガーゼ、MDM2は、タンパク質、例えば、p53に結合し
、それをユビキチン化し、それらをプロテアソームによる分解のためにマーキングする。
以下の実施例は、
図16に説明されるとおり、p53のMDM2依存性ユビキチン化を向
上させるためにMDM2及びp53に同時に結合する環状RNAを記載する。
【0484】
[0455] 環状RNAは、MDM2及びp53を結合させるFOX3 RNAの配列を含
むように設計する。
[0456] 適切な配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用する
インビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系
(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher
Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA
精製系により再度精製する。
【0485】
[0457] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0486】
[0458] MDM2及びp53への環状RNA結合を評価する1つの方法は、それぞれの
RNA-タンパク質複合体を可視化するための電気泳動移動度シフトアッセイによるもの
、又は代替的に環状RNAの領域に相補的なビオチン化オリゴを使用する環状RNAのプ
ルダウンとその後の免疫ブロッティングによるものである。さらに、環状RNAの結合を
介するp53のMDM2ユビキチン化は、抗ユビキチン抗体を用いる免疫ブロッティング
を介して、又は質量分析によりアッセイする。
【0487】
実施例20: DNA及びタンパク質を結合させる環状RNA
[0459] 本実施例は、DNA及びモデルタンパク質、ここではCBP/p300に同時
に結合する環状RNAを記載する。
【0488】
[0460] CBP/p300タンパク質は、eRNAとの相互作用を介してエンハンサー
領域と会合する。CBP/p300によるRNA結合は順次、CBPのヒストンアセチル
トランスフェラーゼ(HAT)活性を向上させる。さらに、CBP及びp300は他のH
AT並びに転写因子及び転写機構の構成成分と会合する。
【0489】
[0461] 環状RNAは、eMdm2 eRNAのCBP/p300結合領域及び標的ゲ
ノム遺伝子座に相補的な領域を含むように設計する。
[0462] 適切な配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用する
インビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系
(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher
Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA
精製系により再度精製する。
【0490】
[0463] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0491】
[0464] CBP/p300及びDNAへの環状RNA結合を評価する1つの方法は、環
状RNAの領域に相補的なビオチン化オリゴを使用する環状RNAのプルダウンとその後
の免疫ブロット及びPCRである。さらに、電気泳動移動度シフトアッセイを使用して環
状RNA-タンパク質-DNA複合体を可視化する。抗H3K27acを用いるクロマチ
ン免疫沈降(ChIP)を実施して目的遺伝子座におけるヒストンアセチル化の変化を検
出し、環状RNA、CBP、及び目的ゲノム領域間の結合を検出する。さらに、サイレン
トゲノム遺伝子座からの発現の向上をqPCR、又はノザン/ウエスタンブロットを介し
てアッセイする。
【0492】
実施例21: ウイルスmRNA及びmiRNAを結合させる環状RNA
[0465] 本実施例は、ウイルスmRNA及びmiRNAに同時に結合する環状RNAを
記載する。
【0493】
[0466] 単純ヘルペスウイルス-1型(HSV-1)は、ウイルス転写を調節する複数
のmiRNAをコードする。HSV-1-miR-H27は、宿主転写調節因子Kelc
h様24(KLHL24)のmRNAを結合させてウイルス最初期及び初期遺伝子の転写
を誘導する。
【0494】
[0467] 環状RNAは、HSV-1 miR-H27及びKLHL24に対する相補的
配列を含むように設計する。
[0468] 適切な配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用する
インビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA精製系
(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFisher
Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、RNA
精製系により再度精製する。
【0495】
[0469] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0496】
[0470] 両方の転写産物への環状RNA結合を評価する1つの方法は、環状RNAの領
域に相補的なビオチン化オリゴを使用する環状RNAのプルダウンとその後のRT-PC
Rによるものである。さらに、電気泳動移動度シフトアッセイを使用して環状RNA-m
RNA-miRNA複合体を可視化することができる。
【0497】
実施例22: 脂質膜を結合させる環状RNA
[0471] 本実施例は、脂質膜に結合する環状RNAを記載する。
【0498】
[0472] 環状RNAは、脂質膜に特異的に結合するように設計することができる。以下
の実施例は、膜に結合する環状RNAを記載する。細胞膜の結合を媒介することにより、
環状RNAは、隣接細胞を互いに接近させ得る。
【0499】
[0473] 環状RNAは、膜に結合するように設計される少なくとも1つのRNAモチー
フ(本明細書に記載の配列)を含むように設計する:
GUGAUGGCGCCUACGUCGAAGAAAGGAGUCUCAAGGGAAG
GAGCGUAUAUGGUCGAUGAAUCGGUCAUGUCGUCAGGGU(
配列番号13);
GAGUCAUAGGACGCUCGCUCUUGCGACCAUGGGGCACGGG
GAGCCCACUGCAUGGAUCU AUCGUAU CAUAGUGCGGU(
配列番号14);
GUAGCUUCCAUGAGACUUGAUCGGGGUCAUGGCUCUAGGC
AUCGGAGAAGCUGACUAACU UGGUCACGUCGUACCUGGU
(配列番号15);
GGACGCGUACGAAGGGCUGAUAGGGCAGAGCUCCAACUAU
GCGUCCAGCUCGUGCAGUGGAUCGGGUCGUGCCUGGU(配列
番号16);及び
CUUUGUCGGCCGAACUCGCUGUUUAACUGCCCGGCGAGAU
CGCAGGGUGUUGUGCUAUU CGCGUGCCGUGUG(配列番号17
)。
【0500】
[0474] RNA脂質結合モチーフの1つ以上を含むDNAセグメントからT7RNAポ
リメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写された
RNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(The
rmoFisher Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に
従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0501】
[0475] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリントラ
イゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離す
る。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介して
評価する。
【0502】
[0476] 脂質膜への環状RNA結合を評価する1つの方法は、環状RNAとリポソーム
とのインキュベーションである。Sephacryl S-1000カラムを使用してリ
ポソームを分別する。全ての非結合RNAを廃棄する。結合した環状RNAをqPCR、
又はノザンブロッティングを介して評価する。
【0503】
実施例23: siRNA送達のための環状RNA
[0477] 本実施例は、いくつかのsiRNAを送達する環状RNAを記載する。
【0504】
[0478] モデル標的トランスサイレチン(TTR)mRNAに結合するsiRNA配列
を含むように、非天然発生環状RNAを遺伝子操作する。以下の実施例は、トランスサイ
レチンタンパク質翻訳を阻害するために標的TTR mRNAに結合する環状RNA由来
siRNAを記載する。
【0505】
[0479] 環状RNAは、トランスサイレチンmRNAに結合するTTR mRNA(例
えば、auggaauacu cuugguuactt)に相補的な配列を含み、このm
RNAの開裂をもたらすように設計する。
【0506】
[0480] TTR相補的配列を有するDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使
用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをRNA
精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFish
er Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理し、
RNA精製系により再度精製する。
【0507】
[0481] 環状RNAを生成するため、追加のフランキング相補的配列を用いて5’-リ
ン酸及び3’-OHを担持する2つのRNA末端を設計する。これらの相補的配列はハイ
ブリダイズし、ニック化環状物をもたらす。このニックは、T4DNAリガーゼにより閉
鎖される。環状RNA品質は、アガロース若しくはPAGEゲルにより、又は自動電気泳
動(Agilent)を介して評価する。
【0508】
[0482] TTR mRNAへの環状RNA結合は、環状物内の特異的配列に相補的なビ
オチン化オリゴを使用する環状RNAのプルダウンとその後のRT-PCRにより判定す
る。siRNA機能は、処理対非処理細胞においてRT-PCRによりTTR標的mRN
Aレベルを測定することにより判定する。TTRタンパク質の発現は、ウエスタンブロッ
ティングにより判定する。
【0509】
実施例24: 修飾ヌクレオチドを有する環状RNAを生成し、それはタンパク質に選択
的に結合した
[0483] 本実施例は、タンパク質結合を支持した修飾環状ポリリボヌクレオチドの生成
を実証する。さらに、本実施例は、免疫系モニタリングに関与するタンパク質と選択的に
相互作用したヌクレオチド修飾により遺伝子操作された環状RNAが、非修飾RNAと比
較して低減した免疫原性を有したことを実証する。
【0510】
[0484] 修飾ヌクレオチドの完全又は部分取り込みを含むように遺伝子操作された非天
然発生環状RNAを産生した。以下の実施例に示されるとおり、全長修飾線状RNA又は
修飾及び非修飾線状RNAのハイブリッドを環状化させ、nLuc発現の測定を介してタ
ンパク質足場形成を評価した。さらに、選択的修飾環状RNAは、非修飾環状RNAと比
較してBJ細胞中で免疫関連遺伝子(MDA5、OAS及びIFN-β発現のqPCR)
を活性化させるタンパク質との低減した相互作用を有した。
【0511】
[0485] WT EMCV Nluc終止スペーサーを有する環状RNAを生成した。修
飾置換のため、インビトロ転写反応の間に修飾ヌクレオチド、シュードウリジン及びメチ
ルシトシン又はm6Aを標準的非修飾ヌクレオチド、ウリジン及びシトシン又はアデノシ
ンにそれぞれ代えて付加した。WT EMCV IRESは、nLuc ORFから別個
に合成した。WT EMCV IRESは、修飾(完全修飾)又は非修飾ヌクレオチド(
ハイブリッド修飾)のいずれかを使用して合成した。対照的に、nLuc ORF配列は
、インビトロ転写反応の間に配列全体について修飾ヌクレオチド、シュードウリジン及び
メチルシトシン又はm6Aを標準的非修飾ヌクレオチド、ウリジン及びシトシン又はアデ
ノシンにそれぞれ代えて使用して合成した。修飾又は非修飾IRES及び修飾ORFの合
成後、T4DNAリガーゼを使用してこれら2つのオリゴヌクレオチドを一緒にライゲー
トした。
図9Aに示されるとおり、完全修飾(上段の構築物)又はハイブリッド修飾(下
段の構築物)環状RNAを生成した。
【0512】
[0486] タンパク質足場形成効率を測定するため、完全修飾又はハイブリッド修飾構築
物からのnLucの発現を測定した。0.1pmolの線状及び環状RNAをBJ線維芽
細胞中に6時間形質移入した後、nLuc発現を形質移入の6時間、24時間、48時間
及び72時間後に測定した。
【0513】
[0487]
図9B及び
図9Cに示されるとおり、完全修飾環状RNAは、タンパク質翻訳
アウトプットにより測定して、非修飾環状RNAと比較して大幅に低減したタンパク質結
合能を有した。対照的に、ハイブリッド修飾は、タンパク質、例えば、タンパク質翻訳機
構への同程度の又は増加した結合を実証した。
【0514】
[0488] タンパク質足場形成効率をさらに測定するため、完全修飾環状RNAを細胞中
に形質移入し、免疫タンパク質に対するタンパク質足場形成を測定した。自然免疫応答遺
伝子を活性化させる免疫タンパク質に対するタンパク質足場形成のレベルを、非修飾環状
RNA、又はシュードウリジン及びメチルシトシン若しくはm6A修飾のいずれかを有す
る完全修飾環状RNAにより形質移入されたBJ細胞においてモニタリングした。フェノ
ールベース抽出試薬(Invitrogen)を使用して総RNAを細胞から単離し、逆
転写に供してcDNAを生成した。色素ベース定量的PCRミックス(BioRad)を
使用して免疫関連遺伝子についてのqRT-PCR分析を実施した。
【0515】
[0489]
図10A~Cに示されるとおり、完全修飾環状RNA、シュードウリジン及び
メチルシトシン両方又はm6A完全修飾環状RNAにより形質移入されたBJ細胞からの
免疫関連遺伝子のqRT-PCRレベルは、非修飾環状RNA形質移入細胞と比較してM
DA5、OAS及びIFN-β発現の低減したレベルを示し、このことは、修飾環状RN
A及び免疫原性関連遺伝子を活性化させる免疫タンパク質間のタンパク質足場形成の低減
を示した。したがって、環状RNAの修飾は、非修飾環状RNAと比較してタンパク質足
場形成に対する影響を有した。選択的修飾はタンパク質翻訳機構の結合を可能とした一方
、完全修飾は、形質移入レシピエント細胞中で免疫原性関連遺伝子を活性化させるタンパ
ク質への結合を低減させた。
【0516】
実施例25: 修飾ヌクレオチドを有する環状RNAは免疫原性を低減させた
[0490] 本実施例は、タンパク質産物を産生した修飾環状ポリリボヌクレオチドの生成
を実証する。さらに、本実施例は、ヌクレオチド修飾により遺伝子操作された環状RNA
が非修飾RNAと比較して低減した免疫原性を有したことを実証する。
【0517】
[0491] 1つ以上の所望の特性を含むように遺伝子操作され、修飾ヌクレオチドの完全
又は部分取り込みを有する非天然発生環状RNAを産生した。以下の実施例に示されると
おり、全長修飾線状RNA又は修飾及び非修飾線状RNAのハイブリッドを環状化させ、
nLucの発現を評価した。さらに、修飾環状RNAは、非修飾環状RNAと比較してB
J細胞中の免疫関連遺伝子(MDA5、OAS及びIFN-β発現のqPCR)の低減し
た活性化を有することが示された。
【0518】
[0492] WT EMCV Nluc終止スペーサーを有する環状RNAを生成した。修
飾置換のため、インビトロ転写反応の間に修飾ヌクレオチド、シュードウリジン及びメチ
ルシトシン又はm6Aを標準的非修飾ヌクレオチド、ウリジン及びシトシン又はアデノシ
ンにそれぞれ代えて付加した。WT EMCV IRESは、nLuc ORFから別個
に合成した。WT EMCV IRESは、修飾(完全修飾)又は非修飾ヌクレオチド(
ハイブリッド修飾)のいずれかを使用して合成した。対照的に、nLuc ORF配列は
、インビトロ転写反応の間に配列全体について修飾ヌクレオチド、シュードウリジン及び
メチルシトシン又はm6Aを標準的非修飾ヌクレオチド、ウリジン及びシトシン又はアデ
ノシンにそれぞれ代えて使用して合成した。修飾又は非修飾IRES及び修飾ORFの合
成後、T4DNAリガーゼを使用してこれら2つのオリゴヌクレオチドを一緒にライゲー
トした。
図9に示されるとおり、ハイブリッド修飾環状RNAを生成した。
【0519】
[0493] 発現効率を測定するため、ハイブリッド修飾環状RNAを細胞中に形質移入し
、免疫タンパク質の発現を測定した。自然免疫応答遺伝子の発現レベルを、非修飾環状R
NA、又はシュードウリジン及びメチルシトシン若しくはm6A修飾のいずれかを有する
ハイブリッド修飾環状RNAにより形質移入されたBJ細胞においてモニタリングした。
フェノールベース抽出試薬(Invitrogen)を使用して総RNAを細胞から単離
し、逆転写に供してcDNAを生成した。色素ベース定量的PCRミックス(BioRa
d)を使用して免疫関連遺伝子についてのqRT-PCR分析を実施した。
【0520】
[0494]
図11に示されるとおり、ハイブリッド修飾環状RNA、シュードウリジン及
びメチルシトシンハイブリッド修飾環状RNAにより形質移入されたBJ細胞からの免疫
関連遺伝子のqRT-PCRレベルは、非修飾環状RNA形質移入細胞と比較してRIG
-I、MDA5、IFN-β及びOAS発現の低減したレベルを示し、このことは、免疫
原性関連遺伝子を活性化させるこのハイブリッド修飾環状RNAの免疫原性の低減を示し
た。
図24に示される完全修飾環状RNAとは異なり、m6Aハイブリッド修飾環状RN
Aは、非修飾環状RNA形質移入細胞と類似のRIG-I、MDA5、IFN-β及びO
AS発現のレベルを示した。したがって、非修飾環状RNAと比較した環状RNAの修飾
、及び修飾のレベルは、免疫原性関連遺伝子の活性化に対する影響を有した。
【0521】
実施例26: 環状RNAは小分子に結合した
[0495] 本実施例は、隔離/生物活性のために小分子を結合させる環状RNAを実証す
る。
【0522】
[0496] 線状マンゴーRNAアプタマーは、小分子、TO-1ビオチン色素により結合
された場合に蛍光を発する。以下の実施例に示されるとおり、環状マンゴーRNAは、隔
離/生物活性のためにチアゾールオレンジ誘導体、TO-1ビオチンに結合する。
【0523】
[0497] 環状RNAは、マンゴーRNA小分子結合アプタマー部位及び安定化ステム:
5’-AATAGCCG GUCUACGGCC AUACCACCCU GAACGC
GCCC GAUCUCGUCU GAUCUCGGAAGCUAAGCAGG GUC
GGGCCUG GUUAGUACUU GGAUGGGAGA CCGCCUGGGA
AUACCGGGUG CUGUAGGCGU CGACUUGCCA UGUGUAU
GUG GGUACGAAGGAAGGAUUGGU AUGUGGUAUA UUCG
UACCCA CAUACUCUGA UGAUCCUUCG GGAUCAUUCA
UGGCAA CGGCTATT-3’(配列番号18)、並びに環状化配列:5’-A
ATAGCCG-3’(配列番号19)及び5’-CGGCTATT-3’(配列番号2
0)を含むように設計した。
【0524】
[0498] マンゴーRNAモチーフ、ステム及び環状化配列を含むDNAセグメントから
T7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した
。転写されたRNAをRNAクリーンアップキット(New England Biol
abs、T2050)により精製し、RNA5’ホスホヒドロラーゼ(RppH、New
England Biolabs、M0356)により製造業者の説明書に従って処理
し、RNA精製カラムにより再度精製した。環状化配列に相補的なスプリントDNA及び
T4RNAリガーゼ2(New England Biolabs、M0239)を使用
してRppH処理RNAを環状化させた。環状RNAを尿素PAGE精製し、(0.5M
の酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTAを含有する緩衝液中で溶出させ
、エタノール沈殿させ、RNアーゼフリー水中で再懸濁させた。RNA品質は、尿素PA
GEにより又は自動電気泳動(Agilent)を介して評価する。
【0525】
[0499] TO-1ビオチンへの環状RNA結合は、インビトロで蛍光顕微鏡観察を使用
してBJ線維芽細胞において判定した。TO-1ビオチンがRNAに結合した場合、それ
はその蛍光を100倍超、向上させた。線状又は環状アプタマー(50nM)、及びRN
Aなし対照をBJ線維芽細胞培養物の培地に添加した。形質移入試薬lipofecta
mineを添加してRNA送達を確保した。培養物をTO-1ビオチンにより処理し、蛍
光を3及び6時間後に分析した。
図12に示されるとおり、増加した蛍光/安定性が3及
び6時間の両方において環状アプタマーから検出された。
【0526】
[0500] より効率的な送達及びより持続的な蛍光が、環状アプタマーについて観察され
た。
【0527】
実施例27: タンパク質を結合させた環状RNA
[0501] 本実施例は、隔離のためにタンパク質に結合する環状RNAを実証する。
【0528】
[0502] ヒト抗原受容体(HuR)は、病原性タンパク質であり得、例えば、それは癌
関連mRNA転写産物、例えば、癌原遺伝子、サイトカイン、成長因子、及び侵入因子に
ついてのmRNAを結合させ、安定化させることが公知である。HuRは、複数の癌表現
型を可能とすることにより中心的な腫瘍発生活性を有する。環状RNAによるHuRの隔
離は、複数の癌における腫瘍発生成長を減衰させ得る。以下の実施例に示されるとおり、
環状RNAは、隔離のためにHuRに結合し得る。
【0529】
[0503] 環状RNAは、HuRを競合結合し、その結合/下流機能を阻害するためのH
uR RNA結合アプタマーモチーフ:5’-UCAUAAUCAA UUUAUUAU
UUUCUUUUAUUUUA UUCACAUAAUUUUGUUUUU-3’(配列
番号21)、5’-AUUUUGUUUUUAA CAUUUC-3’(配列番号22)
、5’-UCAUAAUCAAUUUAUUAUUUUCUUUUAUUUUAUUCA
CAUAAUUUUGUUU UUAUUUUGUUUUUAACAUUUC-3’(配
列番号23)を含むように設計した。
【0530】
[0504] HuR RNAモチーフ及びタンパク質結合配列を含むDNAセグメントから
T7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した
。
【0531】
[0505] 転写されたRNAをMonarch RNAクリーンアップキット(New
England Biolabs、T2050)により精製し、RNA5’-ホスホヒド
ロラーゼ(RppH、New England Biolabs、M0356)により製
造業者の説明書に従って処理し、RNA精製カラムにより再度精製した。環状化配列に相
補的なスプリントDNA及びT4RNAリガーゼ2(New England Biol
abs、M0239)を使用してRppH処理RNAを環状化させた。環状RNAを尿素
PAGE精製し、(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTAを
含有する緩衝液中で溶出させ、エタノール沈殿させ、RNアーゼフリー水中で再懸濁させ
た。RNA品質は、尿素PAGEにより又は自動電気泳動(Agilent)を介して評
価した。
【0532】
[0506] HuRへの環状RNA結合は、インビトロでHuRについてのRNA免疫沈降
(RIP)により判定した。HuR RNA結合モチーフを含有する環状RNAはHuR
タンパク質を結合させた一方、HuR RNA結合モチーフを欠く環状RNAはバックグ
ラウンドを超える結合を示さなかった(
図13)。
【0533】
[0507] この結果は、治療目的の生体分子へのcircRNAの選択的結合を実証した
。
【0534】
実施例28: 小分子を有する環状RNAはタンパク質を結合させた
[0508] 本実施例は、小分子に結合している環状RNAが選択タンパク質を結合させ、
リクルートしたことを実証する。
【0535】
[0509] サリドマイド、臨床承認薬(Thalomid)は、細胞のタンパク質分解機
構のメンバー、E3ユビキチンリガーゼを会合させることが公知である。サリドマイドを
環状RNAに(例えば、クリック化学を介して)コンジュゲートさせることにより、サリ
ドマイドコンジュゲート環状RNAは、細胞の分解機構を(例えば、環状RNAによって
も標的化される)第2の疾患の原因となるタンパク質にリクルートし得る。以下の実施例
に示されるとおり、小分子を環状RNAにコンジュゲートさせてE3ユビキチンリガーゼ
、セレブロンを結合させた。
【0536】
[0510] 環状RNAは、目的細胞内タンパク質と相互作用することが公知のアルキン官
能化小分子のコンジュゲーションのための反応性ウリジン残基(例えば、5-アジド-C
3-UTP)を含むように設計した。
【0537】
[0511] T7RNAポリメラーゼ(Lucigen)を使用するインビトロ転写により
、線状RNAを合成した。全てのUTPをインビトロ転写反応において5-アジド-C3
-UTP(Jena Biosciences)により置換してアジド官能化RNAを生
成した。合成線状RNAをRNAクリーンアップキット(New England Bi
olabs)により精製し、RNA5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH、New E
ngland Biolabs)処理に供してピロリン酸を除去した。RppH処理線状
RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs)に
より精製した。
【0538】
[0512] 線状RNAをスプリントライゲーションにより生成した。RppH処理線状R
NA(100uM)及びスプリントDNA(200uM)を、75℃において5分間加熱
し、室温において20分間徐々に冷却することによりアニールした。ライゲーション反応
は、T4RNAリガーゼ2(0.2U/ul、New England Biolabs
)により37℃において4時間実施した。ライゲートされた混合物をエタノール沈殿によ
り精製した。環状RNAを単離するため、ライゲートされた混合物を4%の変性尿素PA
GE上で分離した。ゲル上のRNAをSYBR-green(Thermo Fishe
r)により染色し、トランスイルミネーター(Transilluminators)により可視化した。
環状RNAについての対応するRNAバンドを切断し、ゲルブレーカーチューブ(Ist
Engineering)により破砕した。環状RNAの溶出のため、環状RNAを有
する破砕ゲルを溶出緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、1mMのEDTA、0.1%の
SDS)と37℃において1時間インキュベートし、上清を慎重に回収した。残りの破砕
ゲル溶出物を別の溶出ラウンドに供し、合計3回繰り返した。環状RNAを有する溶出緩
衝液を0.45um酢酸セルロースフィルターに通して濾過してゲルデブリを除去し、環
状RNAをエタノール沈殿により精製/濃縮した。
【0539】
[0513] アルキン官能化サリドマイド(Jena Bioscience)を、アジド
官能化環状RNAに製造業者の説明書(Jena Bioscience)に基づくクリ
ック化学反応キットによる銅触媒アジド-アルキンクリック化学反応(CuAAC)を介
してコンジュゲートさせた。サリドマイドコンジュゲート環状RNAを、RNAクリーン
アップキット(New England Biolab)により精製した。
【0540】
[0514] サリドマイドコンジュゲート環状RNAの結合特性をGSTプルダウンを使用
して分析し、次いでRNA検出のためにqPCRを行った。GSTプルダウンアッセイの
ため、サリドマイドコンジュゲート環状RNA(2nM)を、サリドマイドと相互作用す
るGST-E3ユビキチンリガーゼのセレブロン(50nM)と、25mMのトリス-C
l(pH7.0)、100mMのNaCl、1mMのEDTA、0.5%のNP-40、
5%のグリセロールの存在下で室温において2時間インキュベートした。サリドマイドコ
ンジュゲーションなしのアジド官能化環状RNAを陰性対照として使用した。
【0541】
[0515] RNA-タンパク質混合物を、GSHアガロースビーズとさらに室温において
1時間インキュベートしてGST-GSH相互作用を評価した。結合緩衝液により3回洗
浄した後、GSHビーズに特異的に結合したRNAをTrizol(Thermo Fi
sher)により抽出した。抽出した環状RNAを逆転写させ、環状RNAに特異的なプ
ライマー(フォワード:TACGCCTGCAACTGTGTTGT(配列番号24)、
リバース:TCGATGATCTTGTCGTCGTC(配列番号25))を用いる定量
的RT-PCRにより検出した。
【0542】
[0516]
図14は、サリドマイド小分子にコンジュゲートしている環状RNAがGST
プルダウンアッセイにおいて高度に濃縮されたことを実証し、このことは、小分子を有す
る環状RNAが小分子を介して特異的タンパク質に結合したことを実証する。
【0543】
実施例29: 環状RNAは小分子を結合させた
[0517] 本実施例は、小分子に結合している環状RNAが二次タンパク質を特異的に結
合したことを実証する。
【0544】
[0518] 以下の実施例に示されるとおり、小分子を環状RNAにクリック反応させて二
次タンパク質、例えば、E3ユビキチンリガーゼ及び標的を特異的に結合させるための足
場を作出した。
【0545】
[0519] 環状RNAは、任意の下流機能性のためのアルキン官能化又はアジド官能化小
分子のコンジュゲーションのための反応性ウリジン残基(例えば、5-アジド-C3-U
TP又は5-エチル-UTP)を含むように設計した。
【0546】
[0520] T7RNAポリメラーゼ(Lucigen)を使用するインビトロ転写により
、線状RNAを合成した。全てのUTPをインビトロ転写反応において5-アジド-C3
-UTP又は5-エチルUTP(Jena Biosciences)により置換してア
ジド官能化又はアルキン官能化RNAをそれぞれ生成した。合成線状RNAをRNAクリ
ーンアップキット(New England Biolabs)により精製し、RNA5
’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH、New England Biolabs)処理
に供してピロリン酸を除去した。RppH処理線状RNAをRNAクリーンアップキット
(New England Biolabs)により精製した。
【0547】
[0521] 環状RNAをスプリントライゲーションにより生成した。RppH処理線状R
NA(100uM)及びスプリントDNA(200uM)を、75℃において5分間加熱
し、室温において20分間徐々に冷却することによりアニールした。ライゲーション反応
は、T4RNAリガーゼ2(0.2U/ul、New England Biolabs
)により37℃において4時間実施した。ライゲートされた混合物をエタノール沈殿によ
り精製した。
【0548】
[0522] 環状RNAを単離するため、ライゲートされた混合物を6%の変性尿素PAG
E上で分離した。ゲル上のRNAをSYBR-green(Thermo Fisher
)により染色し、トランスイルミネーター(Transilluminators)により可視化した。環
状RNAについての対応するRNAバンドを切断し、ゲルブレーカーチューブ(Ist
Engineering)により破砕した。環状RNAの溶出のため、環状RNAを有す
る破砕ゲルを溶出緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、1mMのEDTA、0.1%のS
DS)と37℃において1時間インキュベートし、上清を慎重に回収した。残りの破砕ゲ
ル溶出物を別の溶出ラウンドに供し、合計3回繰り返した。環状RNAを有する溶出緩衝
液を0.45um酢酸セルロースフィルターに通して濾過してゲルデブリを除去し、環状
RNAをエタノール沈殿により精製/濃縮した。
【0549】
[0523] アルキン官能化Alexa Fluor488色素又はアジド官能化Alex
a Fluor488色素(Jena Bioscience)を、アジド官能化環状R
NAに製造業者の説明書(Jena Bioscience)に基づくクリック化学反応
キットによる銅触媒アジド-アルキンクリック化学反応(CuAAC)を介してコンジュ
ゲートさせた。Alexa Fluor488色素コンジュゲート環状RNAを、RNA
クリーンアップキット(New England Biolab)により精製した。
【0550】
[0524] 色素コンジュゲーションは、環状RNAを6%の変性尿素PAGE上で分離す
ることによりモニタリングした。Alexa Fluore色素非コンジュゲート及びコ
ンジュゲート環状RNAを比較のために並行してゲル上で分離した。ゲル上のRNAから
の蛍光を、iBright Imaging System(Invitrogen)に
よりモニタリングした。蛍光をモニタリングした後、ゲルをSYBR safeにより染
色し、ゲル上のRNAをiBright Imaging System(Invitr
ogen)により可視化した。
【0551】
[0525] 小分子Alexa Fluor488を含有する環状RNAは、蛍光を発する
ことが示され、このことは、環状RNAが機能的小分子を含有し得ることを実証した。
[0526]
図15に説明されるとおり、サリドマイド小分子にコンジュゲートしている環
状RNAは、蛍光により検出されるとおり区別されるPCR産物を産生し、このことは、
小分子にコンジュゲートしている環状RNAが二次タンパク質と特異的に相互作用したこ
とを実証した。
【0552】
実施例30: 2つの異なる小分子を結合させる環状RNA
[0527] 本実施例は、小分子に結合している環状RNAによりリクルートされる2つの
異なる選択タンパク質を記載する。
【0553】
[0528] サリドマイド、臨床承認薬(Thalomid)は、細胞のタンパク質分解機
構のメンバー、E3ユビキチンリガーゼのセレブロンと会合することが公知である。サリ
ドマイドを環状RNAに(例えば、クリック化学を介して)コンジュゲートさせることに
より、サリドマイドコンジュゲート環状RNAは、細胞の分解機構を(例えば、環状RN
Aによっても標的化される)第2の疾患の原因となるタンパク質にリクルートし得る。以
下の実施例に示されるとおり、2つの小分子(サリドマイド及びJQ1)を(1)隣接タ
ンパク質のユビキチン化及び後続の分解のためにE3ユビキチンリガーゼのセレブロン、
及び(2)BETファミリータンパク質を結合させる小分子阻害剤であるJQ1を介して
BETファミリータンパク質を結合させるために小分子を環状RNAにコンジュゲートさ
せる。
【0554】
[0529] 環状RNAは、目的細胞内タンパク質と相互作用することが公知のアルキン官
能化小分子のコンジュゲーションのための反応性ウリジン残基(例えば、5-アジド-C
3-UTP)を含むように設計する。
【0555】
[0530] T7RNAポリメラーゼ(Lucigen)を使用するインビトロ転写により
、線状RNAを合成する。全てのUTPをインビトロ転写反応において5-アジド-C3
-UTP(Jena Biosciences)により置換してアジド官能化RNAを生
成する。合成線状RNAをRNAクリーンアップキット(New England Bi
olabs)により精製し、RNA5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH、New E
ngland Biolabs)処理に供してピロリン酸を除去する。RppH処理線状
RNAをRNAクリーンアップキット(New England Biolabs)によ
り精製する。
【0556】
[0531] 環状RNAをスプリントライゲーションにより生成する。RppH処理線状R
NA(100uM)及びスプリントDNA(200uM)を、75℃において5分間加熱
し、室温において20分間徐々に冷却することによりアニールする。ライゲーション反応
は、T4RNAリガーゼ2(0.2U/ul、New England Biolabs
)により37℃において4時間実施する。ライゲートされた混合物をエタノール沈殿によ
り精製する。環状RNAを単離するため、ライゲートされた混合物を4%の変性尿素PA
GE上で分離する。ゲル上のRNAをSYBR-green(Thermo Fishe
r)により染色し、トランスイルミネーター(Transilluminators)に
より可視化する。環状RNAについての対応するRNAバンドを切断し、ゲルブレーカー
チューブ(Ist Engineering)により破砕する。環状RNAの溶出のため
、環状RNAを有する破砕ゲルを溶出緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、1mMのED
TA、0.1%のSDS)と37℃において1時間インキュベートし、上清を慎重に回収
する。残りの破砕ゲル溶出物を別の溶出ラウンドに供し、合計3回繰り返す。環状RNA
を有する溶出緩衝液を0.45um酢酸セルロースフィルターに通して濾過してゲルデブ
リを除去し、環状RNAをエタノール沈殿により精製/濃縮する。
【0557】
[0532] アルキン官能化サリドマイド及びアルキン官能化JQ1(Jena Bios
cience)を、アジド官能化環状RNAに製造業者の説明書(Jena Biosc
ience)に基づくクリック化学反応キットによる銅触媒アジド-アルキンクリック化
学反応(CuAAC)を介してコンジュゲートさせる。比較のため、3つの異なる種類の
小分子コンジュゲート環状RNAを生成する:JQ及びサリドマイドの両方、サリドマイ
ドのみ、及びJQ1のみを有するRNA。小分子コンジュゲート環状RNAをRNAクリ
ーンアップキット(New England Biolab)により精製する。
【0558】
[0533] E3ユビキチンリガーゼCRBN及びBETファミリータンパク質への小分子
コンジュゲート環状RNA結合を、GSTプルダウンを使用して分析する。GST-CR
BN(Abcam)及びBETファミリータンパク質の1つ、ブロモドメイン含有タンパ
ク質4(BRD4、BPSBiosciences)をこの実験に使用する。GSTプル
ダウンアッセイのため、サリドマイド及びJQ1コンジュゲート環状RNA(2nM)を
、GST-CRBN及びBRD4(それぞれ50nM)と、25mMのトリス-Cl(p
H7.0)、100mMのNaCl、1mMのEDTA、0.5%のNP-40、5%の
グリセロールの存在下で室温において2時間インキュベートする。コンジュゲーションな
しのアジド官能化環状RNA、サリドマイドコンジュゲートRNA、及びJQ1コンジュ
ゲートRNAを陰性対照として使用する。RNA-タンパク質混合物をGSHアガロース
ビーズとさらにインキュベートして室温において1時間GST-GSH相互作用させる。
結合緩衝液により3回洗浄した後、ビーズを2つの等量部分に分離する。タンパク質結合
をモニタリングするため、ビーズの一方の部分をLammli Sample Buff
er(Bio-Rad)の存在下で煮沸し、BRD4抗体(BRD4タンパク質検出用)
及びGST抗体(GST-CRBN検出用)を用いるウエスタンブロットに供する。RN
Aリクルートメントをモニタリングするため、ビーズ上のRNAをTrizol(The
rmo Fisher)により抽出し、抽出した環状RNAを逆転写させ、RNAの環状
形態に特異的なプライマー(フォワード:TACGCCTGCAACTGTGTTGT(
配列番号24)、リバース:TCGATGATCTTGTCGTCGTC(配列番号25
))を用いる定量的RT-PCRにより検出する。
【0559】
[0534] サリドマイド及びJQ1小分子を含有する環状RNAは、GSTプルダウンに
おいてCRBN及びBETドメインタンパク質BRD4の両方について高度に濃縮される
ことが予測され、このことは、環状RNAは小分子を含有し得るだけでなく、それはこの
小分子コンジュゲートを使用して2つの特異的タンパク質に結合して選択タンパク質を分
解し得ることを実証する。
【0560】
実施例31: 炭水化物を結合させる環状RNA
[0535] 本実施例は、炭水化物に結合する環状RNAを記載する。
【0561】
[0536] シアリルルイスXは、膜タンパク質の四糖グリココンジュゲートである。これ
は、細胞接着の間にセレクチンタンパク質についてのリガンドとして作用する。以下の実
施例に示されるとおり、環状RNAは、細胞接着を阻害するためにシアリルルイスXに結
合する。
【0562】
[0537] 遺伝子操作環状RNAは、シアリルルイスX結合配列(例えば、5’-CCG
UAAUACGACUCACUAUAGGGGAGCUCGGUACCGAAUUCAA
GGUACUCUGUGCUUGUCGAUGUGUAUUGAUGGCACUUUCG
AGUCAACGAGUUGACAGAACAAGUAGUCAAGCUUUGCAGA
GAGGAUCCUU-3’(配列番号26))を含むように設計する。
【0563】
[0538] シアリルルイスX結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラー
ゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAを
RNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoF
isher Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処
理し、RNA精製系により再度精製する。T4DNAリガーゼ(New England
Bio,Inc.、M0202M)又はT4RNAリガーゼ2(New Englan
d Bio,Inc.、M0239S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプ
リントの処理によりスプリントライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNア
ーゼR処理による濃縮後に単離する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気
泳動(Agilent)を介して評価する。
【0564】
[0539] シアリルルイスXへの環状RNA結合を評価する1つの方法は、シアリルルイ
スX媒介細胞接着を測定することである。E-セレクチンはシアリルルイスXを認識し、
前骨髄球性白血病細胞系HL60の表面は、特にTNF-a処理後にシアリルルイスXリ
ッチである。組換え可溶性E-セレクチン(Calbiochem)をマイクロタイター
プレート(250ng/ウェル)にpH9.2の0.05MのNaHCO3(10μg/
ml)中で添加し、4℃において一晩インキュベートする。次いで、シアリルルイスX結
合部位を有する又は有さない環状RNA(10μg/mL)をインキュベートする。TN
F-α活性化(10ng/ml、20時間)HL60ヒト前骨髄球性白血病細胞をプレー
ト上で室温において30分間インキュベートし、洗浄し、接着細胞の数を測定する。
【0565】
実施例32: ウイルスを結合させる環状RNA
[0540] 本実施例は、ウイルスに結合する環状RNAを記載する。
【0566】
[0541] インフルエンザウイルスは、ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(
NA)を含む2つの膜糖タンパク質構成成分を有する。HA及びNAのそれぞれ約900
及び300個のコピーが、それぞれのウイルス粒子の表面上で発現される。以下の実施例
に示されるとおり、遺伝子操作環状RNAは、ウイルス結合のためにヘマグルチニンに結
合するように設計する。
【0567】
[0542] 環状RNAは、インフルエンザウイルスの表面に結合させるためのヘマグルチ
ニン結合部位(例えば、5’-GGGAGAAUUCCGACCAGAAGGGUUAG
CAGUCGGCAUGCGGUACAGACAGACCUUUCCUCUCUCCUU
CCUCUUCU-3’(配列番号27))を含むように設計する。
【0568】
[0543] ヘマグルチニン結合配列を含むDNAセグメントからT7RNAポリメラーゼ
を使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写されたRNAをR
NA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(ThermoFi
sher Scientific、EF0652)により製造業者の説明書に従って処理
し、RNA精製系により再度精製する。T4DNAリガーゼ(New England
Bio,Inc.、M0202M)又はT4RNAリガーゼ2(New England
Bio,Inc.、M0239S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリ
ントの処理によりスプリントライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアー
ゼR処理による濃縮後に単離する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳
動(Agilent)を介して評価する。
【0569】
[0544] ヘマグルチニンへの環状RNA結合を評価する1つの方法は、HA誘導膜融合
に対するRNAアプタマーの阻害効果である。ヘマグルチニンが環状RNAに結合してい
る場合、膜融合は非結合環状RNAのものよりも低頻度で生じる。
【0570】
[0545] HA誘導膜融合は、蛍光標識ウイルス及びヒト赤血球(RBC)ゴースト膜を
使用することにより試験する。A/Panama/2007/1999(H3N2)のウ
イルス膜を蛍光脂質プローブ、オクタデシルローダミンB(R18;Molecular
Probes)により標識する。
【0571】
[0546] 融合阻害アッセイのため、環状RNA(0.5又は5mM)と混合したH3N
2ウイルス(0.05~0.1mgの総タンパク質/ml)を金属チャンバー中で載せた
カバースリップ上のゴースト膜に添加する。ゴースト膜とのウイルス融合時、ウイルス及
びゴースト膜間の脂質混合は、R18の蛍光脱消光を誘導する。
【0572】
実施例33: 細胞を結合させる環状RNA
[0547] 本実施例は、標的細胞タイプに結合する環状RNAを記載する。
【0573】
[0548] 本実施例において、遺伝子操作環状RNAは、上記の方法の1つを介して設計
する。環状RNA及び線状RNAは、マンゴーアプタマー、安定化ステム、及び非コード
領域:トランスフェリンアプタマー(例えば、GGGGGAUCAAUCCAAGGGA
CCCGGAAACGCUCCCUUACACCCC(配列番号28))を含むように設
計する。このアプタマー領域はトランスフェリン受容体を結合させ、その受容体を発現す
る細胞にRNAを結合させる。トランスフェリン受容体は、種々の細胞タイプ、例として
、赤血球及び一部の癌細胞上で発現される。陰性対照として、RNAはアプタマー領域を
含まないように設計する。
【0574】
[0549] HeLa細胞は、トランスフェリン受容体を発現することが公知の子宮頸癌細
胞である。HeLa細胞を標準的条件(10%のFBSを有するDMEM中、37℃にお
いて5%のCO2下)下で成長させる。細胞を定期的に継代して指数的成長を維持する。
TO-1ビオチンへの環状RNA結合は、インビトロでHeLa細胞において蛍光顕微鏡
観察を使用して判定する。TO-1ビオチンがRNAに結合している場合、それはその蛍
光を100倍超、向上させる。アプタマーを有する又は有さない環状RNA(50nM)
、及びRNAなし対照をHeLa培養物の培地に添加する。脂質ベース形質移入試薬(T
hermo Fisher Scientific)を添加してRNA送達を確保する。
培養物をTO-1ビオチンにより処理し、蛍光を3及び6時間後に分析する。
【0575】
実施例34: アプタマーを結合させる環状RNA
[0550] 本実施例は、アプタマーに結合する環状RNAを記載する。
【0576】
[0551] 遺伝子操作環状RNAは、RNAアプタマーのための1つ以上の新規結合配列
を含むように設計する。RNAアプタマーは、相補性を介して環状RNA結合のために標
的化される。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離のためにLIN28A
結合アプタマー配列に相補的に結合する。
【0577】
[0552] 環状RNAは、LIN28A結合アプタマー配列5’-GGGGUAGUGA
UUUUACCCUGGAGAU-3’(配列番号12)に対する相補的配列を含むよう
に設計する。
【0578】
[0553] 相補的LIN28A結合アプタマー配列を有するDNAセグメントからT7R
NAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成する。転写
されたRNAをRNA精製系(QIAGEN)により精製し、アルカリホスファターゼ(
ThermoFisher Scientific、EF0652)により製造業者の説
明書に従って処理し、RNA精製系により再度精製する。
【0579】
[0554] T4DNAリガーゼ(New England Bio,Inc.、M020
2M)又はT4RNAリガーゼ2(New England Bio,Inc.、M02
39S)を使用する転写された線状RNA及びDNAスプリントの処理によりスプリント
ライゲーション環状RNAを生成し、環状RNAをRNアーゼR処理による濃縮後に単離
する。RNA品質は、アガロースゲルにより又は自動電気泳動(Agilent)を介し
て評価する。
【0580】
[0555] LIN28A結合アプタマーへの環状RNA結合は、環状RNAに相補的な修
飾オリゴヌクレオチドを使用してLIN28A結合アプタマーをプルダウンし、それを逆
転写させ、qPCR増幅させるオリゴヌクレオチドプルダウンqPCRアッセイにより判
定する。
【0581】
実施例35: 環状RNAは転写因子を結合させた
[0556] 本実施例は、隔離のためにタンパク質に結合した環状RNAを実証する。NF
-kBは、転写を活性化させ、生存経路を誘導する転写因子のファミリーである。以下の
実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離のためにNF-kBに結合した。
【0582】
[0557] 環状RNAは、NF-kBを競合結合させ、その結合/下流機能を阻害するた
めにNF-kB RNA結合アプタマーモチーフ:5’-aaaaaaaaaaGATC
TTGAAACTGTTTTAAGGTTGGCCGATCTTaaaaaa-3’(配
列番号29)を含むように設計した。ポリ(A)ストレッチを内部結合モチーフに付加し
て(1)ライゲーションに適切なRNAオリゴを作製し、アプタマーの二次構造を維持し
た。正確なフォールディングは、RNAfold WebServerを使用して確認し
た。対照として、スクランブル化RNA配列を使用した(aaaaaaaTTCTCCG
AACGTGTCACGTTTCAAGAGAACGTGACACGTTCGGAGAA
aaaaaa(配列番号30))。このスクランブル化RNA配列は、Mi et al., Mol T
her. 2008 Jan;16(1): 66-73に記載のとおりアプタマーと類似の3D構造にフォールド
するが、いかなるタンパク質も標的化しない。
【0583】
[0558] 市販の販売業者(IDT)により5’一リン酸基及び3’ヒドロキシル基を用
いてNF-kB結合アプタマーモチーフを有するRNAを合成した。RNAリガーゼ1(
New England Biolabs、M0204S)を使用してRNAオリゴをラ
イゲートした。RNアーゼRを製造業者の説明書(Lucigen、RNR07250)
に従って使用して残留線状RNAを試料から除去した。さらに、15%の尿素PAGEゲ
ルから環状RNAを抽出することにより環状mRNAを精製した。環状RNAをゲルから
0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTAを含有する緩衝液中で
溶出させた。溶出物をスピンカラム(New England Biolabs、T20
30S)に通してランさせることにより、ゲル抽出からの残留ゲルデブリ又は塩を除去し
た。RNAをRNA貯蔵緩衝液(1mMのクエン酸ナトリウム、Thermo Fish
er、AM7000)中に溶出させ、RNA品質を尿素PAGEにより又は自動ゲルキャ
ピラリー電気泳動(Agilent)を介して評価した。
【0584】
[0559] 電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を実施してNF-kBに対する環
状RNA結合親和性を評価した。1pモルの線状又は環状RNAを、RNA濃度に対して
変動濃度(すなわち、0、0.1、1、10pモルのタンパク質)における組換えNF-
kB p50サブユニット(Caymen Chemical、10009818)と、
緩衝化反応物(20mMのトリス-HCl、pH8.0、50mMのNaCl、1mMの
MgCl2)中で室温において20分間インキュベートした。試料を6%のTBE尿素ゲ
ルに200Vにおいて25分間ランさせた。ゲルをSybrGold(Thermo S
cientific、S11494)により染色し、青色E-ゲルイメージングシステム
(Thermo Scientific、4466612)によりイメージングした。
【0585】
[0560]
図17に実証されるとおり、スクランブル化結合アプタマー配列を有するRN
Aは、NF-kBのp50サブユニットに対する結合親和性を示さなかった。NF-kB
結合アプタマー配列の線状及び環状バージョンの両方が、p50サブユニットに類似の親
和性で結合した。
【0586】
[0561] NF-kBへの環状RNA結合は、インビトロでNF-kBについてのEMS
Aにより判定した。NF-kBは、NF-kB RNA結合アプタマーモチーフを含有す
る環状RNAを選択的に結合させた。この結果は、目的生体分子が環状RNA中の配列に
より選択的に結合されることを実証した。
【0587】
実施例36: 環状RNAは標的タンパク質を隔離し、機能を阻害した
[0562] 本実施例は、環状RNAが細胞中でタンパク質に結合し、この隔離は機能の阻
害をもたらすことを実証する。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは隔離のため
にNF-kBに結合し、細胞中でNF-kBにより活性される生存の阻害をもたらす。
【0588】
[0563] 環状、線状、及び線状スクランブル化RNAを上記のとおり設計し、合成した
。
[0564] 非小細胞肺癌(NSCLC)細胞系A549におけるNF-kB機能を、NF
-kB結合アプタマー配列を有する環状RNAの送達後に、MTTアッセイ(Therm
o Scientific、V13154)により細胞生存率を測定することにより決定
した。簡潔に述べると、A549細胞を1pモルの線状、線状スクランブル化、又は環状
RNAにより脂質形質移入試薬(Thermo Scientific、LMRNA00
3)との複合体化後に形質移入した。生存率は、製造業者の説明書に従って実施されるM
TTアッセイにより測定した。
【0589】
[0565]
図18に実証されるとおり、線状RNAにより処理された細胞は、1日目にお
ける生存率の変化を実証せず、2日目における生存率のわずかな減少を実証した(1日目
における101%の生存率、及び2日目における97%)。対照的に、環状RNAにより
処理された細胞は、1日目における生存率の測定可能な減少及び2日目までのより大きい
増加を実証した(1日目における89%及び2日目における86%)。
【0590】
[0566] まとめると、結果は、環状RNAが細胞中でNF-kBを結合させ、生存経路
のNF-kB活性化を阻害することを実証した。
【0591】
実施例37: 環状RNAはタンパク質を結合させ、隔離して化学療法薬感作に影響を与
えた
[0567] 本実施例は、環状RNAが細胞中で標的タンパク質に結合し、標的タンパク質
のシグナリング経路の阻害をもたらすことを実証する。以下の実施例に示されるとおり、
環状RNAは化学療法抵抗性細胞中でNF-kBを隔離し、NF-kBのシグナリングを
阻害し、それにより化学療法薬に対して細胞を再感作させた。
【0592】
[0568] 線状、線状スクランブル化、及び環状RNAを上記のとおり設計し、合成した
。
[0569] 化学療法抵抗性非小細胞肺癌(NSCLC)細胞系A549におけるNF-k
B隔離の効果を、NF-kBを標的化する環状RNAの送達及び化学療法剤への曝露後に
決定した。細胞生存率をMTTアッセイ(Thermo Scientific、V13
154)により測定した。簡潔に述べると、A549細胞を1pモルのスクランブル化線
状対照、線状、又は環状RNAにより脂質形質移入試薬(Thermo Scienti
fic、LMRNA003)との複合体化後に形質移入した。形質移入の24時間後の細
胞を、5uMのドキソルビシンによりさらに18時間処理した。生存率を、製造業者の説
明書に従って実施されるMTTアッセイにより測定した。ドキソルビシン処理を形質移入
の48及び72時間後に繰り返した。
【0593】
[0570]
図19に実証されるとおり、スクランブル化線状RNA(対照)によるドキソ
ルビシン処理は、1日目におけるdox抵抗性A549肺癌細胞系における細胞生存率に
影響を与えなかった。ドキソルビシンと線状RNAとの同時処理は、2日目における細胞
生存率を減少させた(78%の生存率)。対照的に、環状アプタマーとの同時処理は、1
及び2日目の両方においてより多い細胞死をもたらした(1日目における79%の生存率
及び2日目における73%の生存率)。
【0594】
[0571] まとめると、結果は、環状RNAが細胞中でNF-kBを結合させ、NF-k
B生存シグナリングを阻害し、それにより化学療法薬、ドキソルビシンに対する細胞の感
受性を増加させることを実証した。
【0595】
実施例38: 環状RNAは分解のために標的タンパク質をタグ化した
[0572] 本実施例は、小分子に結合している環状RNAが2つの異なる選択タンパク質
をリクルートし、それにより分解のために標的タンパク質をタグ化したことを実証する。
【0596】
[0573] サリドマイド、臨床承認薬(Revlimid)は、細胞のタンパク質分解機
構のメンバー、E3ユビキチンリガーゼと会合することが公知である。サリドマイドを環
状RNAに(例えば、クリック化学を介して)コンジュゲートさせることにより、サリド
マイドコンジュゲート環状RNAは、細胞の分解機構を(例えば、環状RNAによっても
標的化される)第2の疾患惹起タンパク質にリクルートし得る。
図20は、細胞中に送達
され、ユビキチン系による分解のために細胞中で標的BRD4タンパク質をタグ化する例
示的環状RNAを示す模式図である。以下の実施例に示されるとおり、2つの小分子(サ
リドマイド及びJQ1)を(1)隣接タンパク質のユビキチン化及び後続の分解のために
E3ユビキチンリガーゼのセレブロン、及び(2)BETファミリータンパク質を結合さ
せる小分子阻害剤であるJQ1を介してBETファミリータンパク質を結合させるために
小分子を環状RNAにコンジュゲートさせた。
【0597】
[0574] 環状RNAは、目的細胞内タンパク質と相互作用することが公知のアルキン官
能化小分子のコンジュゲーションのための複数の(49残基)反応性ウリジン残基(例え
ば、5-アジド-C3-UTP)を含むように設計した。
【0598】
[0575] T7RNAポリメラーゼ(Lucigen)を使用するインビトロ転写により
、線状RNAを合成した。全てのUTPをインビトロ転写反応において5-アジド-C3
-UTP(Jena Biosciences)により置換してアジド官能化RNAを生
成した。合成線状RNAをRNAクリーンアップキット(New England Bi
olabs)により精製し、RNA5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH、New E
ngland Biolabs)処理に供してピロリン酸を除去した。RppH処理線状
RNAをRNAクリーンアップキット(New England Biolabs)によ
り精製した。
【0599】
[0576] 環状RNAをスプリントライゲーションにより生成した。RppH処理線状R
NA(100uM)及びスプリントDNA(200uM)を、75℃において5分間加熱
し、室温において20分間徐々に冷却することによりアニールした。ライゲーション反応
は、T4RNAリガーゼ2(0.2U/ul、New England Biolabs
)により37℃において4時間実施した。ライゲートされた混合物をエタノール沈殿によ
り精製した。環状RNAを単離するため、ライゲートされた混合物を4%の変性尿素PA
GE上で分離した。ゲル上のRNAをSYBR-green(Thermo Fishe
r)により染色し、トランスイルミネーター(Transilluminators)により可視化した。
環状RNAについての対応するRNAバンドを切断し、ゲルブレーカーチューブ(Ist
Engineering)により破砕した。環状RNAの溶出のため、環状RNAを有
する破砕ゲルを溶出緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、1mMのEDTA、0.1%の
SDS)と37℃において1時間インキュベートし、上清を慎重に回収した。残りの破砕
ゲルを別の溶出ラウンドに供し、合計3回繰り返した。環状RNAを有する溶出緩衝液を
0.45μm酢酸セルロースフィルターに通して濾過してゲルデブリを除去し、環状RN
Aをエタノール沈殿により精製/濃縮した。
【0600】
[0577] アルキン官能化サリドマイド及び/又はJQ1(チエノトリアゾロジアゼピン
、Jena Bioscience)を、アジド官能化環状RNAに製造業者の説明書(
Jena Bioscience)に基づくクリック化学反応キットによる銅触媒アジド
-アルキンクリック化学反応(CuAAC)を介してコンジュゲートさせた。比較のため
、3つの異なる種類の小分子を環状RNA:JQ及びサリドマイドの両方、サリドマイド
のみ、及びJQ1のみを有するRNAにコンジュゲートさせた。小分子コンジュゲート環
状RNAをRNAクリーンアップキット(New England Biolab)によ
り精製した。
【0601】
[0578] 次いで、脂質形質移入試薬(Invitrogen)を製造業者の説明書に従
って使用することにより、これらの異なるRNAをHEK293T細胞中に形質移入して
標的タンパク質の分解をモニタリングした。1pモルのそれぞれのRNAを使用してHE
K293T細胞を形質移入し、細胞を12ウェルプレート中にプレーティングした(最終
2nM)。JQ1及びサリドマイドの両方にコンジュゲートさせた環状RNAの場合、3
pモルのRNAをHEK293T細胞中に形質移入してBRD4分解に対する異なる濃度
の環状RNAの効果を検査した(最終6nM)。陽性対照として、JQ1及びサリドマイ
ドの両方を有し、CRBNリクルートメントを介して細胞中でBRD4タンパク質を分解
することが公知のPROTAC dBET1(Tocris Biosciences)
を使用した(2uM、10uMの濃度)。陰性対照については、担体のみ及びコンジュゲ
ーションなしの環状RNAを使用した。24時間の形質移入後、プレート上にRIPA緩
衝液を直接添加することにより細胞を回収した。
【0602】
[0579] E3ユビキチンリガーゼCRBNへの小分子コンジュゲート環状RNA結合及
びBETファミリータンパク質分解能は、ウエスタンブロットを使用して分析した。簡潔
に述べると、12ugのタンパク質を4%~12%の勾配ビス・トリスゲル(Therm
o Fisher Scientific)上で分解し、ブロット転写システム(The
rmo Fisher Scientific)を使用してニトロセルロース膜に転写し
た。ウサギ抗BRD4抗体(Abcam)を使用してBRD4タンパク質を検出し、ウサ
ギ抗αチューブリン抗体(Abcam)を使用してローディング対照としてαチューブリ
ンを検出した。BRD4及びαチューブリンのタンパク質バンドからの化学発光シグナル
を、Fcイメージングシステム(LI-COR)によりモニタリングした。
【0603】
[0580] BRD4タンパク質レベル及びローディング対照としてのαチューブリンは、
ImageJを使用するデンシメトリーも使用して測定した。
[0581]
図21に示されるとおり、サリドマイド及びJQ1小分子を含有する環状RN
Aは、BRD4の正規化レベルにより実証されるとおりBRD4を分解し得た。この結果
は、小分子を有する環状RNAが小分子コンジュゲートを使用して2つの特異的タンパク
質に結合して標的タンパク質を分解することを実証した。
【0604】
実施例39: 環状RNAはその線状対応物よりも長く小分子を結合させた
[0582] 本実施例は、隔離/生物活性のために小分子を結合させる環状RNAを実施す
る。以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、その線状対応物よりも安定的である
。
【0605】
[0583] 線状マンゴーRNAアプタマーは、小分子、TO-1ビオチン色素により結合
されている場合、蛍光を発する。以下の実施例に示されるとおり、環状マンゴーRNAは
、隔離/生物活性のためにチアゾールオレンジ誘導体、TO-1ビオチンに結合した。
【0606】
[0584] 環状RNAは、マンゴーRNA小分子結合部位及び安定化ステム:5’-AA
TAGCCG GUCUACGGCC AUACCACCCU GAACGCGCCC
GAUCUCGUCU GAUCUCGGAAGCUAAGCAGG GUCGGGCC
UG GUUAGUACUU GGAUGGGAGA CCGCCUGGGAAUACC
GGGUG CUGUAGGCGU CGACUUGCCA UGUGUAUGUG G
GUACGAAGGAAGGAUUGGU AUGUGGUAUA UUCGUACCC
A CAUACUCUGA UGAUCCUUCG GGAUCAUUCA UGGCA
A CGGCTATT-3’(配列番号18)、並びに環状化配列5’-AATAGCC
G-3’(配列番号19)及び5’-CGGCTATT-3’(配列番号20)を含むよ
うに設計した。
【0607】
[0585] マンゴーRNAモチーフ、ステム及び環状化配列を含むDNAセグメントから
T7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した
。転写されたRNAをRNAクリーンアップキット(New England Biol
abs、T2050)により精製し、RNA5’-ホスホヒドロラーゼ(RppH、Ne
w England Biolabs、M0356)により製造業者の説明書に従って処
理し、RNA精製カラムにより再度精製した。環状化配列に相補的なスプリントDNA及
びT4RNAリガーゼ2(New England Biolabs、M0239)を使
用してRppH処理RNAを環状化させた。環状RNAを尿素PAGE精製し、(0.5
Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTAを含有する緩衝液中で溶出さ
せ、エタノール沈殿させ、RNアーゼフリー水中で再懸濁させた。RNA品質は、尿素P
AGEにより又は自動電気泳動(Agilent)を介して評価した。
【0608】
[0586] TO-1ビオチンへの環状RNA結合は、インビトロで蛍光顕微鏡観察を使用
してHeLa細胞において判定した。TO-1ビオチンがRNAに結合した場合、それは
その蛍光を100倍超、向上させた。線状又は環状アプタマー(50nM)、及びRNA
なし対照をBJ線維芽細胞培養物の培地に添加した。形質移入試薬lipofectam
ineを添加してRNA送達を確保した。培養物をTO-1ビオチンにより処理し、蛍光
を6時間及び1~12日目に分析した。
図22に示されるとおり、増加した蛍光/安定性
が環状アプタマーから検出され、培養物中で少なくとも10日間、蛍光が検出された。
【0609】
実施例40: 環状RNAはタンパク質及びRNAを結合させた
[0587] 本実施例は、隔離のためにタンパク質及びRNAに結合する環状RNAを実証
する。
【0610】
[0588] ヒト抗原受容体(HuR)は、病原性タンパク質であり得、例えば、それは癌
関連mRNA転写産物、例えば、癌原遺伝子、サイトカイン、成長因子、及び侵入因子に
ついてのmRNAを結合させ、安定化させることが公知である。HuRは、複数の癌表現
型を可能とすることにより中心的な腫瘍発生活性を有する。環状RNAによるHuRの隔
離は、複数の癌における腫瘍発生成長を減衰させ得る。
【0611】
[0589] RNAは細胞代謝において重要な役割を担い、RNA分子は複数の転写後プロ
セス、例えば、スプライシング、編集、修飾、翻訳、及び分解を受ける。
[0590] 以下の実施例に示されるとおり、環状RNAは、隔離のためにHuR及びRN
Aに結合する。
【0612】
[0591] 環状RNAは、HuRを競合結合させ、その結合/下流機能を阻害するための
HuR RNA結合アプタマーモチーフ:5’-UCAUAAUCAA UUUAUUA
UUUUCUUUUAUUUUAUUCACAUAAUUUUGUUUUU-3’(配列
番号31)及びRNA結合モチーフ:5’-CGA GAC GCT ACG GAC
TTA AAA TCC GTT GAC-3’(配列番号32)を含むように設計した
。
【0613】
[0592] HuR RNAモチーフ及びタンパク質結合配列を含むDNAセグメントから
T7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した
。
【0614】
[0593] 環状RNAは、HuRを競合結合させ、その結合/下流機能を阻害するための
HuR RNA結合アプタマーモチーフ:5’-UCAUAAUCAA UUUAUUA
UUUUCUUUUAUUUUAUUCACAUAAUUUUGUUUUU-3’(配列
番号31)及びRNA結合アプタマーモチーフ:5’-CGA GAC GCT ACG
GAC TTA AAA TCC GTT GAC-3’(配列番号32)を含むよう
に設計した。
【0615】
[0594] HuR RNAモチーフ及びタンパク質結合配列を含むDNAセグメントから
T7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した
。
【0616】
[0595] 転写されたRNAをRNAクリーンアップキット(New England
Biolabs、T2050)により精製し、RNA5’-ホスホヒドロラーゼ(Rpp
H,New England Biolabs、M0356)により製造業者の説明書に
従って処理し、RNA精製カラムにより再度精製した。環状化配列に相補的なスプリント
DNA及びT4RNAリガーゼ2(New England Biolabs、M023
9)を使用してRppH処理RNAを環状化させた。環状RNAを尿素PAGE精製し、
(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTAを含有する緩衝液中
で溶出させ、エタノール沈殿させ、RNアーゼフリー水中で再懸濁させた。RNA品質は
、尿素PAGEにより又は自動電気泳動(Agilent)を介して評価した。
【0617】
[0596] HuR及びRNAへの環状RNA結合は、インビトロでHuR免疫沈降(IP
)及びビオチンRNAプルダウンアッセイの組合せとその後のqPCRにより判定した。
Gタンパク質抗HuR抗体に結合しているHuRタンパク質を環状RNAとインキュベー
トし、洗浄し、低pHにおいて溶出させた。結合材料をビオチン化RNAとインキュベー
トし、洗浄し、ストレプトアビジン・ダイナビーズによりプルダウンした。
【0618】
[0597]
図23に示されるとおり、HuRは、HuR RNA結合アプタマーモチーフ
を有する環状RNAを結合させ、ストレプトアビジンプルダウンは、RNA結合アプタマ
ーモチーフを有するRNAを生じさせた。したがって、2つのHuR及びRNA結合モチ
ーフが存在した場合、結合が観察された。この結果は、目的生体分子が選択的に結合され
ることを実証した。
【0619】
実施例41: 環状RNAはタンパク質及びDNAを結合させた
[0598] 本実施例は、隔離のためにタンパク質及びDNAに結合する環状RNAを実証
する。
【0620】
[0599] タンパク質及びRNAによるDNA結合は、様々な細胞プロセス、すなわち、
転写において肝要な役割を担う。
[0600] ヒト抗原受容体(HuR)は、mRNA運命において中心的役割を担い、中心
的な細胞機能を有するmRNA標的の転写後調節において重要な役割を担い、それにより
病因において重要なタンパク質となる。これは癌関連mRNA転写産物を結合させ、安定
化させることが公知であり、したがってHuRは複数の癌表現型を可能とすることにより
中心的な腫瘍発生活性を有する。
【0621】
[0601] 環状RNAの標的化及びそれとのそれらの接触の競合を使用してそれらの相互
作用をモジュレートし、疾患及び非疾患プロセスにおいてアウトカムを制御することがで
きた。
【0622】
[0602] 環状RNAは、DNA結合アプタマーモチーフ:5’-CGA GAC GC
T ACG GAC TTA AAA TCC GTT GAC-3’(配列番号32)
RNAを有するように設計した。
【0623】
[0603] DNAセグメントからT7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写によ
り、非修飾線状RNAを合成した。転写されたRNAをRNAクリーンアップキット(N
ew England Biolabs、T2050)により精製し、RNA5’-ホス
ホヒドロラーゼ(RppH、New England Biolabs,M0356)に
より製造業者の説明書に従って処理し、RNA精製カラムにより再度精製した。環状化配
列に相補的なスプリントDNA及びT4RNAリガーゼ2(New England B
iolabs、M0239)を使用してRppH処理RNAを環状化させた。環状RNA
を尿素PAGE精製し、(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのED
TAを含有する緩衝液中で溶出させ、エタノール沈殿させ、RNアーゼフリー水中で再懸
濁させた。RNA品質は、尿素PAGEにより評価した。
【0624】
[0604] DNA及びHuRへの環状RNA結合は、インビトロでHuR免疫沈降(IP
)及びビオチン化DNAプルダウンアッセイの組合せとその後のRT-qPCRにより判
定した。DNA結合モチーフ又はHuRモチーフを欠く環状RNAを、特異性対照として
使用した。ビオチン化DNAは、DNA結合アプタマーモチーフを有する環状RNAを結
合させた。
【0625】
[0605] Gタンパク質抗HuRビーズに結合しているHuRタンパク質を環状RNAと
インキュベートし、洗浄し、低pHにおいて溶出させた。結合材料をビオチン化DNAと
インキュベートし、洗浄し、ストレプトアビジン・ダイナビーズによりプルダウンした。
図24に示されるとおり、HuRは、HuR DNA結合アプタマーモチーフを有する環
状RNAを結合させ、ストレプトアビジンプルダウンは、DNA結合アプタマーモチーフ
を有するRNAを生じさせた。したがって、2つのHuR及びDNA結合アプタマーモチ
ーフが存在した場合、結合が観察された。この結果は、目的のタンパク質及びDNA分子
が同じ環状構築物に選択的に結合されることを実証した。
【0626】
実施例42: 環状RNAはタンパク質を翻訳し、その翻訳に影響を与える異なるタンパ
ク質に結合した
[0606] 本実施例は、タンパク質をコードし、環状RNA翻訳において効果を有する異
なるタンパク質を結合する環状RNAを実証する。
【0627】
[0607] ヒト抗原受容体(HuR)はmRNA運命において中心的な役割を担い、中心
的な細胞機能を有するmRNA標的の転写後調節において重要な役割を担う。したがって
、HuRを使用してRNA発現を制御することは、翻訳されるタンパク質投与量の制御を
提供することができる。
【0628】
[0608] 以下の実施例に示されるとおり、非天然発生環状RNAは、ガウシア属(Gaus
sia)ルシフェラーゼ(GLuc)、生物学的に活性な分泌タンパク質をコードし、Hu
Rを結合させてGLuc翻訳を調節するように遺伝子操作した。この環状RNAは、IR
ES、ガウシア属ルシフェラーゼをコードするORF、IRES-ORFをフランキング
する2つのスペーサーエレメント及びHuRを結合させるための1×、2×又は3×Hu
R結合アプタマーモチーフ:5’-UCA UAA UCA AUU UAU UAU
UUU CUU UUA UUU UAU UCA CAU AAU UUU GUU
UUU-3’(配列番号33)、5’-AUU UUG UUU UUA ACA UU
UC-3’(配列番号34)、5’-UCA UAA UCA AUU UAU UAU
UUU CUU UUA UUU UAU UCA CAU AAU UUU GUU
UUU AUU UUG UUU UUA ACA UUU C-3’(配列番号35
)を含んだ。
【0629】
[0609] HuR RNAモチーフ及びタンパク質結合配列を含むDNAセグメントから
T7RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した
。
【0630】
[0610] 転写されたRNAをRNAクリーンアップキット(New England
Biolabs、T2050)により精製し、RNA5’-ホスホヒドロラーゼ(Rpp
H,New England Biolabs、M0356)により製造業者の説明書に
従って処理し、RNA精製カラムにより再度精製した。環状化配列に相補的なスプリント
DNA及びT4RNAリガーゼ2(New England Biolabs、M023
9)を使用してRppH処理RNAを環状化させた。環状RNAを尿素PAGE精製し、
(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTAを含有する緩衝液中
で溶出させ、エタノール沈殿させ、RNアーゼフリー水中で再懸濁させた。RNA品質は
、尿素PAGEにより又は自動電気泳動(Agilent)を介して評価した。
【0631】
[0611] HuRへの環状RNA結合は、上記のとおりインビトロRNAプルダウンアッ
セイにより決定した。
[0612] HuR結合の効果及び細胞中の環状RNAタンパク質発現に対するその効果を
判定するため、5×103個のHeLa細胞を脂質ベース形質移入試薬(Invitro
gen)及び2nMの環状RNAにより良好に逆形質移入した。ガウシア属ルシフェラー
ゼ活性を細胞培養上清において96時間まで毎日モニタリングし、発現の尺度としてガウ
シア属ルシフェラーゼアッセイキットを製造業者の説明書に従って使用した。
【0632】
[0613]
図25は、HuR結合アプタマー部位を有する環状RNAからのより低い分泌
タンパク質発現を示す。さらに、GLuc発現レベルは、環状RNA中のHuR結合アプ
タマーモチーフの数により変化した。本実施例は、遺伝子操作環状RNAからの翻訳のレ
ベルが追加のタンパク質結合アプタマーにより影響を受けたことを実証する。
【0633】
[0614] 本開示の好ましい実施形態を示し、本明細書に記載した一方、当業者には、そ
のような実施形態が例としてのみ提供されることが明らかである。多数のバリエーション
、変更、及び置換が目下、本開示から逸脱せずに当業者に想到される。本明細書に記載の
実施形態の種々の代替例を本開示の実施において用いることができることを理解すべきで
ある。以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を規定すること並びにそれらの特許請求の
範囲の範囲内の方法及び構造及びそれらの均等物がそれにより包含されることが意図され
る。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] 細胞中で標的を結合させる方法であって、
アプタマー配列を含み、前記アプタマー配列は、前記標的を結合させる二次構造を有する
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び
前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、送達の少なくとも5日後に検出可能な前記標的との複合体を形成するこ
と
を含む方法。
[項目2] 前記標的は、核酸分子、小分子、タンパク質、炭水化物、及び脂質からなる
群から選択される、項目1に記載の方法。
[項目3] 前記標的は、遺伝子調節タンパク質である、項目1に記載の方法。
[項目4] 前記遺伝子調節タンパク質は、転写因子である、項目3に記載の方法。
[項目5] 前記核酸分子は、DNA分子又はRNA分子である、項目2に記載の方法。
[項目6] 前記複合体は、遺伝子発現をモジュレートする、項目1に記載の方法。
[項目7] 前記複合体は、DNA分子の指向転写、DNA分子のエピジェネティックリ
モデリング、又はDNA分子の分解をモジュレートする、項目1に記載の方法。
[項目8] 前記複合体は、前記標的の分解、前記標的のトランスロケーション、又は標
的シグナル伝達をモジュレートする、項目1に記載の方法。
[項目9] 前記遺伝子発現は、疾患又は病態の病因と関連する、項目6に記載の方法。
[項目10] 前記複合体は、送達の少なくとも7、8、9、又は10日後に検出可能で
ある、項目1に記載の方法。
[項目11] 前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少なくとも5日後に存
在する、項目1に記載の方法。
[項目12] 前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、送達の少なくとも6、7、8
、9、又は10日後に存在する、項目1に記載の方法。
[項目13] 前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、非修飾翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドである、項目1に記載の方法。
[項目14] 前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、準二本鎖二次構造を有する、
項目1に記載の方法。
[項目15] 前記アプタマー配列は、前記標的を結合させる三次構造をさらに有する、
項目1に記載の方法。
[項目16] 前記細胞は、真核細胞である、項目1に記載の方法。
[項目17] 前記真核細胞は、ヒト細胞である、項目16に記載の方法。
[項目18] 細胞中で転写因子を結合させる方法であって、
前記転写因子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提
供すること;及び
前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、前記転写因子との複合体を形成し、遺伝子発現をモジュレートすること
を含む方法。
[項目19] 細胞中で転写因子を隔離する方法であって、
前記転写因子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提
供すること;及び
前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、前記転写因子を結合させて前記細胞中で複合体を形成することにより前
記転写因子を隔離すること
を含む方法。
[項目20] 細胞生存率は、前記複合体の形成後に減少する、項目19に記載の方法。
[項目21] 細胞毒性剤に対して細胞を感作させる方法であって、
転写因子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供す
ること;並びに
前記細胞毒性剤及び前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻
訳不能環状ポリリボヌクレオチドは、前記細胞中で前記転写因子との複合体を形成するこ
と
を含み;
それにより、前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを欠く細胞と比較して前記細胞毒性
剤に対して前記細胞を感作させる方法。
[項目22] 前記細胞毒性剤に対する前記細胞の前記感作は、前記細胞毒性剤及び前記
翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドの前記送達後に減少した細胞生存率をもたらす、項目
21に記載の方法。
[項目23] 前記減少した細胞生存率は、前記細胞毒性剤及び前記翻訳不能環状ポリリ
ボヌクレオチドの前記送達の少なくとも2日後に40%以上だけ減少する、項目22に記
載の方法。
[項目24] 細胞中で病原性タンパク質を結合させる方法であって、
前記病原性タンパク質を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオ
チドを提供すること;及び
前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、前記病原性タンパク質の分解のために前記病原性タンパク質との複合体
を形成すること
を含む方法。
[項目25] 細胞中でリボ核酸分子を結合させる方法であって、
前記リボ核酸分子の配列に相補的な配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供
すること;及び
前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、前記リボ核酸分子との複合体を形成すること
を含む方法。
[項目26] 細胞中でゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させる方法であって、
前記ゲノムデオキシリボ核酸分子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリ
ボヌクレオチドを提供すること;及び
前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、前記ゲノムデオキシリボ核酸分子との複合体を形成し、遺伝子発現をモ
ジュレートすること
を含む方法。
[項目27] 細胞中で小分子を結合させる方法であって、
前記小分子を結合させるアプタマー配列を含む翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを提供
すること;及び
前記翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に送達し、前記翻訳不能環状ポリリボ
ヌクレオチドは、前記小分子との複合体を形成し、細胞プロセスをモジュレートすること
を含む方法。
[項目28] 前記小分子は、900ダルトン以下の分子量を有する有機化合物であり、
細胞プロセスをモジュレートする、項目27に記載の方法。
[項目29] 前記小分子は、薬物である、項目27に記載の方法。
[項目30] 前記小分子は、フルオロフォアである、項目27に記載の方法。
[項目31] 前記小分子は、代謝産物である、項目27に記載の方法。
[項目32] アプタマー配列を含み、前記アプタマー配列は、標的を結合させる二次構
造を有する翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物。
[項目33] アプタマー配列を含み、前記アプタマー配列は、標的を結合させる二次構
造を有する翻訳不能環状ポリリボヌクレオチド;及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤
を含む医薬組成物。
[項目34] 項目32に記載の翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを含む細胞。
[項目35] 治療が必要とされる対象を治療する方法であって、項目32に記載の組成
物又は項目33に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
[項目36] 項目32に記載の翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドをコードするポリヌ
クレオチド。
[項目37] 項目32に記載の翻訳不能環状ポリリボヌクレオチドを産生する方法。