(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169491
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自動体外式除細動器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61N1/39
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024159283
(22)【出願日】2024-09-13
(62)【分割の表示】P 2020104692の分割
【原出願日】2020-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 隆洋
(72)【発明者】
【氏名】岩井 史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直人
(72)【発明者】
【氏名】久野 良介
(72)【発明者】
【氏名】井川 容士
(57)【要約】
【課題】AEDのユーザビリティを維持しつつ、AEDの小型化及び/又は軽量化の観点からAEDに設けられるインジケータの個数を減らす。
【解決手段】AED1は、AED1に電力を供給するように構成されたバッテリー6と、AED1に関連する所定の情報及びバッテリー6の残量レベルを視覚的に通知するように構成されたインジケータ30と、前記残量レベルに応じて、インジケータ30の表示態様を変更するように構成されたインジケータ制御部20とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動体外式除細動器に電力を供給するように構成されたバッテリーと、
前記自動体外式除細動器に関連する所定の情報及び前記バッテリーの残量レベルを視覚的に通知するように構成されたインジケータと、
前記残量レベルに応じて、前記インジケータの表示態様を変更するように構成されたインジケータ制御部と、
を備え、
前記インジケータは、除細動用の電気ショックを被検者に与えるためのボタンに搭載されている、自動体外式除細動器。
【請求項2】
自動体外式除細動器に電力を供給するように構成されたバッテリーと、
前記自動体外式除細動器に関連する所定の情報及び前記バッテリーの残量レベルを視覚的に通知するように構成されたインジケータと、
前記残量レベルに応じて、前記インジケータの表示態様を変更するように構成されたインジケータ制御部と、
を備え、
前記インジケータは、複数の発光セグメントを有し、
前記複数の発光セグメントの各々は、少なくとも一つの発光素子を有し、
前記インジケータ制御部は、前記残量レベルに応じて、前記複数の発光セグメントの点消灯を制御するように構成され、
前記インジケータ制御部は、
前記自動体外式除細動器の電源が入った後であって、前記インジケータが前記残量レベルを視覚的に通知する前に、前記複数の発光セグメントの全てを点灯させるように構成されている、自動体外式除細動器。
【請求項3】
前記インジケータは、前記自動体外式除細動器の電源が入ったときに、前記残量レベルを視覚的に通知するように構成されている、
請求項1又は2に記載の自動体外式除細動器。
【請求項4】
前記所定の情報は、前記自動体外式除細動器が除細動用の電気ショックを被検者に与える準備ができたことを示す情報であって、
前記インジケータ制御部は、前記自動体外式除細動器が前記電気ショックを前記被検者に与える準備ができたときに、前記インジケータを点灯させるように構成されている、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の自動体外式除細動器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動体外式除細動器に関する。
【背景技術】
【0002】
心室細動によって突然の心停止を起こした患者の心臓に除細動用の強い電気ショックを与えることで患者の心臓の機能を回復させる自動体外式除細動器(以下、AEDという。)が、現在急速に普及している。AEDでは、電源としてバッテリーが搭載されている。AEDのバッテリーの残量レベルを管理するために、AEDにはバッテリーの残量レベルを表示するための専用のインジケータが設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、AEDの急速な普及に伴い、AEDの小型化及び軽量化が現在検討されている。この点において、AEDに設けられる情報通知のためのインジケータの個数を増やしてしまうと、AEDのユーザビリティは向上する一方で、AEDの大型化及び重量化の要因となってしまう。このように、AEDのユーザビリティを維持しつつ、AEDの小型化及び/又は軽量化の観点からAEDに設けられたインジケータの個数を減らすことを検討する余地がある。
【0005】
本開示は、AEDのユーザビリティを維持しつつ、AEDの小型化及び/又は軽量化の観点からAEDに設けられるインジケータの個数を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自動体外式除細動器は、
自動体外式除細動器に電力を供給するように構成されたバッテリーと、
前記自動体外式除細動器に関連する所定の情報及び前記バッテリーの残量レベルを視覚的に通知するように構成されたインジケータと、
前記残量レベルに応じて、前記インジケータの表示態様を変更するように構成されたインジケータ制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、AEDのユーザビリティを維持しつつ、AEDの小型化及び/又は軽量化の観点からAEDに設けられるインジケータの個数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係る自動体外式除細動器(以下、AED)の正面図である。
【
図3】ショックボタンに搭載されたインジケータを概略的に示す正面図である。
【
図4】バッテリーの残量レベルに応じてインジケータの表示態様が変更されることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0010】
最初に、
図1から
図3を参照して自動体外式除細動器1(以下、AED1)の構成について以下に説明する。
図1は、本実施形態に係るAED1の正面図である。
図2は、AED1の構成を示すブロック図である。
図3は、ショックボタン10cに搭載されたインジケータ30を概略的に示す正面図である。
【0011】
図2に示すように、AED1は、AED制御部2と、高電圧発生部3と、エネルギー蓄積部4と、バッテリー6と、バッテリー制御部5と、記憶部7と、外部通信部8とを備える。AED1は、ECG処理回路12と、音声出力部11と、操作部10と、インジケータ制御部20と、インジケータ30とをさらに備える。
【0012】
AED1は、心室細動により心停止を起こした患者の心臓の機能を回復させるために当該患者の心臓に電気ショックを与えるように構成された医療機器である。AED制御部2は、AED1に設けられた各構成部品を制御するように構成されている。AED制御部2は、例えば、プロセッサとメモリとを含むマイクロコントローラと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路とによって構成されている。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。
【0013】
高電圧発生部3は、除細動用の電気ショックを患者(被検者)に与えるための電気エネルギーをエネルギー蓄積部4に充電すると共に、エネルギー蓄積部4に蓄積された当該電気エネルギーを放電するように構成されている。エネルギー蓄積部4は、除細動用の電気ショックを患者に与えるための電気エネルギーを蓄積するように構成されており、例えば、複数の誘電体フィルムによって構成された高電圧のフィルムコンデンサであってもよい。
【0014】
バッテリー6は、AED1の各構成部品に電力を供給するように構成された電源として機能し、例えば、リチウム一次電池である。バッテリー制御部5は、バッテリー6の電圧をAED1の各構成部品に必要な電圧に変換するように構成された回路(例えば、スイッチングレギュレータ又はシリーズレギュレータ)を備える。また、バッテリー制御部5は、バッテリー6の残量レベルに関連する信号をAED制御部2に送信するように構成されている。この点において、バッテリー制御部5は、バッテリー6の残量レベルに関連する信号として、バッテリー6の電圧を示す信号、バッテリー6の電流値を示す信号又はバッテリー6のインピーダンスを示す信号をAED制御部2に送信してもよい。AED制御部2は、バッテリー制御部5から送信されたバッテリー6の残量レベルに関連する信号に基づいて、バッテリー6の残量レベル(0%から100%の間)を決定する。その後、AED制御部2は、バッテリー6の残量レベルを示す点灯制御信号をインジケータ制御部20に送信する。ここで、バッテリー6の残量がない場合、残量レベルは0%となる。バッテリー6が満充電の状態である場合、残量レベルは100%となる。なお、バッテリー6の残量レベルは、パーセンテージで表されるのではなく、例えば、5段階のレベルで表されても良い。
【0015】
記憶部7は、AED1を動作するための各種プログラムと、音声データと、患者の心電図データを保存するように構成されている。記憶部7は、例えば、フラッシュメモリやハードディスクにより構成されている。外部通信部8は、記憶部7に保存された各種データを外部装置に送信する又は外部装置からデータを受信するように構成されている。外部通信部8は、LANケーブル等の有線ケーブルのコネクタが挿入されるインターフェースであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWifi(登録商標)等の無線通信規格に対応した無線通信モジュールであってもよい。外部通信部8が無線通信モジュールである場合、外部通信部8は、送受信アンテナと、高周波回路と、信号処理回路とを有してもよい。
【0016】
ECG処理回路12は、患者に取り付けられた2つの除細動パッド13から出力された心電図信号を処理するように構成されている。例えば、ECG処理回路12は、2つの除細動パッド13のうち一方から出力された電位信号と他方の除細動パッド13から出力された電位信号とを差動増幅することで心電図データを生成する差動増幅器と、当該心電図データをデジタルデータに変換するAD変換器とを有してもよい。除細動パッド13は、AED1に着脱可能に取り付けられている。
【0017】
音声出力部11は、AED1の操作に関連する音声ガイダンスや警告音を出力するように構成されたスピーカである。操作部10は、操作者からの操作を受け付けるように構成されている。
図1に示すように、操作部10は、AED1の電源を入れるための電源ボタン10aと、AED1の使用が可能かどうかをチェックするためのチェックボタン10bと、患者に除細動用の電気ショックを与えるためのショックボタン10cとを含んでいる。
【0018】
インジケータ制御部20は、例えば、インジケータ30の点消灯を制御するように構成されたアナログ制御回路である。特に、インジケータ制御部20は、AED制御部2から送信された点灯制御信号に基づいて、インジケータ30の点消灯を制御するように構成されている。例えば、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルを示す点灯制御信号をAED制御部2から受信した上で、当該残量レベルに応じてインジケータ30の表示態様を変更するように構成されてもよい。また、インジケータ制御部20は、AED1が除細動用の電気ショックを患者(被検者)に与える準備ができたことを示す点灯制御信号をAED制御部2から受信した上で、当該点灯制御信号に基づいてインジケータ30を点灯するように構成されてもよい。この場合、インジケータ30は、AED1が除細動用の電気ショックを患者に与える準備ができたことを示す情報(所定の情報の一例)を視覚的に通知することができる。
【0019】
インジケータ30は、
図1に示すように、ショックボタン10cに搭載されている。換言すれば、ショックボタン10cの一部がインジケータ30によって構成されている。インジケータ30は、AED1が除細動用の電気ショックを患者に与える準備ができたときに、点灯するように構成されている。AED1の操作者は、インジケータ30の点灯を視認することで、AED1が患者に電気ショックを与える準備が整っていることを認識することができる。このため、操作者は、インジケータ30の点灯によって、ショックボタン10cを押すように促される。
【0020】
また、インジケータ30は、AED1の電源がONとなったときに、バッテリー6の残量レベルを外部に向けて視覚的に通知するように構成されている。この点において、インジケータ30は、バッテリー6の残量レベルに応じて表示態様を変更するように構成されている。
【0021】
図3に示すように、インジケータ30は、可視光を透過させる透明カバー32を有する。透明カバー32は、操作者が触れるショックボタン10cの表面を構成している。透明カバー32の表面には、発光素子33a~33dから出射された光を拡散させる微小な拡散ステップが形成されてもよい。インジケータ30は、その円周方向に沿って区画された4つの発光セグメントS1~S4を有している。この点において、発光セグメントS1~S4の各々は、インジケータ30の中心点Pを起点とした90°の角度領域を有している。発光セグメントS1は、2つの発光素子33aを備える。発光セグメントS2は、発光セグメントS1,S3に隣接しており、2つの発光素子33bを有する。発光セグメントS3は、発光セグメントS2,S4に隣接しており、2つの発光素子33cを有する。発光セグメントS4は、発光セグメントS1,S3に隣接しており、2つの発光素子33dを有する。発光素子33a~33dは、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子である。各発光素子33a~33dの点消灯は、インジケータ制御部20によって制御されている。
【0022】
(バッテリー残量レベルに応じたインジケータの表示態様)
次に、
図4を参照して、バッテリー6の残量レベルに応じたインジケータ30の表示態様の変化について以下に説明する。
図4は、バッテリー6の残量レベルに応じてインジケータ30の表示態様が変更されることを説明するための図である。以降の説明では、インジケータ制御部20は、AED1の電源がONとなった後であって且つバッテリー6の残量レベルを視覚的に通知する前に、AED制御部2からバッテリー6の残量レベルを示す点灯制御信号を受信するものとする。
【0023】
(バッテリー残量レベル:75%以上)
最初に、バッテリー6の残量レベルが75%以上の場合におけるインジケータ30の表示態様について説明する。
図4に示すように、電源ボタン10a(
図1参照)に対する操作者の操作を通じてAED1の電源がONになったときに、インジケータ30の動作確認のために、インジケータ30の発光セグメントS1~S4の全てが点灯した後に、発光セグメントS1~S4の全てが消灯する。次に、バッテリー6の残量レベルを操作者に通知するために、インジケータ制御部20は、第1段階において、発光セグメントS1(2つの発光素子33a)を点灯させる。次に、第2段階において、インジケータ制御部20は、発光セグメントS1に追加して発光セグメントS2(2つの発光素子33b)を点灯させる。第3段階において、インジケータ制御部20は、発光セグメントS1,S2に追加して発光セグメントS3(2つの発光素子33c)を点灯させる。第4段階において、インジケータ制御部20は、発光セグメントS1~S3に追加して発光セグメントS4(2つの発光素子33d)を点灯させる。最終段階において、インジケータ制御部20は、全ての発光セグメントS1~S4を消灯させる。このように、バッテリー6の残量レベルが75%以上の場合では、インジケータ制御部20は、4つの発光セグメントS1~S4を順次点灯させる。第1段階から最終段階までの期間は、例えば、1秒である。
【0024】
(バッテリー残量レベル:50%-75%)
次に、バッテリー6の残量レベルが50%以上75%未満の場合におけるインジケータ30の表示態様について説明する。
図4に示すように、AED1の電源がONになったときに、インジケータ30の動作確認のために、インジケータ30の発光セグメントS1~S4の全てが点灯した後に、発光セグメントS1~S4の全てが消灯する。次に、バッテリー6の残量レベルを操作者に通知するために、インジケータ制御部20は、第1段階において、発光セグメントS1を点灯させる。第2段階において、インジケータ制御部20は、発光セグメントS1に追加して発光セグメントS2を点灯させる。第3段階において、インジケータ制御部20は、発光セグメントS1,S2に追加して発光セグメントS3を点灯させる。最終段階において、インジケータ制御部20は、3つの発光セグメントS1~S3を消灯させる。このように、バッテリー6の残量レベルが50%以上75%未満の場合では、インジケータ制御部20は、3つの発光セグメントS1~S3を順次点灯させる。
【0025】
(バッテリー残量レベル:25%-50%)
次に、バッテリー6の残量レベルが25%以上50%未満の場合におけるインジケータ30の表示態様について説明する。
図4に示すように、AED1の電源がONになったときに、インジケータ30の動作確認のために、インジケータ30の発光セグメントS1~S4の全てが点灯した後に、発光セグメントS1~S4の全てが消灯する。次に、バッテリー6の残量レベルを操作者に通知するために、インジケータ制御部20は、第1段階において、発光セグメントS1を点灯させる。第2段階において、インジケータ制御部20は、発光セグメントS1に追加して発光セグメントS2を点灯させる。最終段階において、インジケータ制御部20は、2つの発光セグメントS1,S2を消灯させる。このように、バッテリー6の残量レベルが25%以上50%未満の場合では、インジケータ制御部20は、2つの発光セグメントS1,S2を順次点灯させる。
【0026】
(バッテリー残量レベル:5%-25%)
次に、バッテリー6の残量レベルが5%以上25%未満の場合におけるインジケータ30の表示態様について説明する。
図4に示すように、AED1の電源がONになったときに、インジケータ30の動作確認のために、インジケータ30の発光セグメントS1~S4の全てが点灯した後に、発光セグメントS1~S4の全てが消灯する。次に、バッテリー6の残量レベルを操作者に通知するために、インジケータ制御部20は、発光セグメントS1を点灯させた後に、発光セグメントS1を消灯させる。このように、バッテリー6の残量レベルが5%以上25%未満の場合では、インジケータ制御部20は、1つの発光セグメントS1のみを点灯させる。
【0027】
(バッテリー残量レベル:5%未満)
次に、バッテリー6の残量レベルが5%未満の場合におけるインジケータ30の表示態様について説明する。
図4に示すように、AED1の電源がONになったときに、インジケータ30の動作確認のために、インジケータ30の発光セグメントS1~S4の全てが点灯した後に、発光セグメントS1~S4の全てが消灯する。次に、バッテリー6の残量レベルを操作者に通知するために、インジケータ制御部20は、全ての発光セグメントS1~S4を点灯させない。このように、バッテリー6の残量レベルが5%未満の場合では、インジケータ制御部20は、全ての発光セグメントS1~S4を点灯させない。
【0028】
このように、本実施形態によれば、インジケータ30は、AED1が除細動用の電気ショックを患者に与える準備ができたことを示す情報及びバッテリー6の残量レベルを示す情報の両方を視覚的に通知するように構成されている。このように、バッテリー6の残量レベルのみを視覚的に通知する専用のインジケータをAED1に設ける必要がないため、AED1のユーザビリティを維持しつつ、AED1の小型化及び/又は軽量化の観点からAED1に設けられるインジケータ30の個数を減らすことが可能となる。また、AED1の電源がONとなったときに、バッテリー6の残量レベルがインジケータ30によって通知されるので、AED1の操作者はバッテリー6の残量レベルに気付きやすくなる。特に、操作者は、使用前にバッテリー6の残量レベルを把握できるので、より確実にAED1を使用することが出来る。
【0029】
また、本実施形態では、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルが大きくなるにつれて、所定期間の間(例えば1秒間)に順次点灯させる発光セグメントの個数を増大させるように構成されている。具体的には、残量レベルが75%以上の場合には、4つの発光セグメントが順次点灯する。残量レベルが50%以上75%未満の場合には、3つの発光セグメントが順次点灯する。残量レベルが25%以上50%未満の場合には、2つの発光セグメントが順次点灯する。残量レベルが5%以上25未満の場合には、1つの発光セグメントのみが点灯する。残量レベルが5%未満の場合には、発光セグメントが点灯しない。
【0030】
このように、AED1の操作者は、インジケータ30の円周方向に沿って順次点灯する発光セグメントS1~S4の個数を視認することで、バッテリー6の残量レベルを直感的に把握することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、インジケータ制御部20は、AED1の電源が入った後であって、インジケータ30がバッテリー6の残量レベルを視覚的に通知する前に、発光セグメントS1~S4の全てを点灯させている。このため、操作者は、発光セグメントS1~S4の全ての点灯を視認することで、各発光セグメントS1~S4が正常に動作していることを認識することができる。この点において、操作者は、発光セグメントS1~S4の全ての点灯を通じて、インジケータ30がバッテリー6の残量レベルを正しく通知することが可能であることを認識することができる。
【0032】
また、本実施形態では、インジケータ30がショックボタン10cに搭載されている。つまり、インジケータ30とショックボタン10cが一体的に構成されているため、AED1を小型化及び軽量化することが可能となる。さらに、操作者は、インジケータ30の点灯を通じて、ショックボタン10cを押すように誘導されるため、確実にショックボタン10cを押すことができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0034】
本実施形態では、インジケータ制御部20がバッテリー6の残量レベルに応じて発光セグメントを順次点灯させているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルに応じて、同時点灯させる発光セグメントの個数を変更してもよい。
【0035】
例えば、バッテリー6の残量レベルが75%以上の場合、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルを外部に向けて通知するために、4つの発光セグメントS1~S4を同時に点灯させた後に、4つの発光セグメントS1~S4を消灯させてもよい。バッテリー6の残量レベルが50%以上75%未満の場合、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルを外部に向けて通知するために、3つの発光セグメントS1~S3を同時に点灯させた後に、3つの発光セグメントS1~S3を消灯させてもよい。バッテリー6の残量レベルが25%以上50%未満の場合、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルを外部に向けて通知するために、2つの発光セグメントS1,S2を同時に点灯させた後に、2つの発光セグメントS1,S2を消灯させてもよい。
【0036】
また、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルが大きくなるにつれて、順次点灯させる発光セグメントの個数を増加させているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルが大きくなるにつれて、順次点灯させる発光セグメントの個数を減少させてもよい。
【0037】
この場合、残量レベルが75%以上の場合には、発光セグメントが点灯しない。残量レベルが50%以上75%未満の場合には、1つの発光セグメントが順次点灯する。残量レベルが25%以上50%未満の場合には、2つの発光セグメントが順次点灯する。残量レベルが5%以上25未満の場合には、3つの発光セグメントのみが点灯する。残量レベルが5%未満の場合には、4つの発光セグメントが順次点灯する。
【0038】
また、インジケータ制御部20は、各段階において、順次点灯させる発光セグメントの個数を増加させているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、インジケータ制御部20は、各段階において、順次点灯させる発光セグメントの個数を減少させてもよい。
【0039】
例えば、バッテリー6の残量レベルが75%以上の場合を例に挙げて説明する。この場合、第1段階において、全ての発光セグメントS1~S4が点灯する。次に、第2段階において、発光セグメントS1~S3が点灯する。第3段階において、発光セグメントS1,S2が点灯する。第4段階において、発光セグメントS1が点灯する。最終段階において、全ての発光セグメントが消灯する。
【0040】
また、インジケータ制御部20は、各段階において、点灯させるべき発光セグメントの位置を変更してもよい。
【0041】
例えば、バッテリー6の残量レベルが75%以上の場合を例に挙げて説明する。この場合、第1段階において、発光セグメントS1が点灯した後に消灯する。次に、第2段階において、発光セグメントS2が点灯した後に消灯する。第3段階において、発光セグメントS3が点灯した後に消灯する。第4段階において、発光セグメントS4が点灯した後に消灯する。最終段階において、全ての発光セグメントが消灯する。このように、各段階において、点灯する発光セグメントの位置が変更されてもよい。
【0042】
また、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルに応じて、インジケータ30の表示態様の一例として、順次点灯すべき発光セグメントS1~S4の個数(即ち、インジケータ30の点灯領域)を変更しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0043】
例えば、インジケータ制御部20は、バッテリー6の残量レベルに応じて、インジケータ30の表示態様として、インジケータ30の点灯時間、明るさ、点滅回数又は点灯色等を変更してもよい。具体的に、バッテリー6の残量レベルが大きくなるにつれて、電源ON後のインジケータ30の点灯時間が長くなってもよい。また、バッテリー6の残量レベルが大きくなるにつれて、インジケータ30から出射される光が明るくなってもよい。さらに、バッテリー6の残量レベルが大きくなるにつれて、インジケータ30の点滅回数が増加してもよい。また、バッテリー6の残量レベルに応じてインジケータ30は異なる色の光を外部に出射してもよい。この場合、各発光セグメントS1~S4に3つの発光素子(赤色LED、青色LED、緑色LED)が配置されてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、インジケータ30は、AED1の電源がONになったときに、バッテリー6の残量レベルを視覚的に通知しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、インジケータ30は、所定の時間間隔(例えば、1時間)毎にバッテリー6の残量レベルを視覚的に通知してもよい。また、インジケータ30は、チェックボタン10bが操作者によって操作されたときに、バッテリー6の残量レベルを視覚的に通知してもよい。さらには、AED1の電源がOFFとなったとき又はバッテリー6がAED1に装着されたときに、インジケータ30は、バッテリー6の残量レベルを視覚的に通知してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、インジケータ30はショックボタン10cに搭載されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、インジケータ30は、電源ボタン10a又はチェックボタン10bに搭載されてもよい。この場合、インジケータ30の透明カバーが電源ボタンの表面又はチェックボタンの表面を構成する。また図示しないこの他のインジケータ(例えば任意のエラーを通知するためのインジケータ)に上記のバッテリー残量通知の仕組みを取り入れても良い。
【0046】
例えば、インジケータ30がチェックボタン10bに搭載される場合には、インジケータ30は、AED1がセルフチェックを実行中であることを示す情報及びバッテリー6の残量レベルの両方を視覚的に通知することができる。特に、インジケータ30の各発光セグメントが点滅することで、AED1がセルフチェックを実行中であることを示す情報(所定の情報の一例)が外部に向けて提示される。
【0047】
また、本実施形態では、各発光セグメントに2つの発光素子が設けられているが、各発光セグメントに設けられる発光素子の個数は特に限定されるものではない。例えば、各発光セグメントには1つの発光素子又は3以上の発光素子が設けられてもよい。また、インジケータ30は、4つの発光セグメントS1~S4に分割されているが、分割される発光セグメントの個数も特に限定されるものではない。さらに、本実施形態では、バッテリー6の残量レベルが5つのレベルにより区分されているが、バッテリー6の残量レベルの区分数は特に限定されるものではない。例えば、バッテリー6の残量レベルは、6以上のレベルによって区分されていてもよい。例えば、バッテリー6の残量レベルが10個のレベルにより区分されている場合には、操作者は、バッテリー6の残量レベルを10%刻みで把握することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1:AED(自動体外式除細動器)
2:AED制御部
3:高電圧発生部
4:エネルギー蓄積部
5:バッテリー制御部
6:バッテリー
7:記憶部
8:外部通信部
10:操作部
10a:電源ボタン
10b:チェックボタン
10c:ショックボタン
11:音声出力部
12:ECG処理回路
13:除細動パッド
20:インジケータ制御部
30:インジケータ
32:透明カバー
33a,33b,33c,33d:発光素子