(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169493
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】移動体搭載送信装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241128BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024159458
(22)【出願日】2024-09-13
(62)【分割の表示】P 2023087301の分割
【原出願日】2012-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 裕昭
(57)【要約】
【課題】受信側の車両の運転者に確実に注意を喚起する。
【解決手段】車両Aにおける運転者によるハザードランプの操作が操作検知部101で検知される。この検知に連動して、表示制御部103の制御により、自動的に車両Aの停止・除去に係わる要因・目的情報が、地図画面MP1の表示画面に新たに生成された割り込みウィンドウWDにおいて選択可能にディスプレイ2に表示される。その表示から車両Aの運転者が選択を行うと、その選択された要因・目的情報が、位置情報と共に送受信部104を介し車両Bに送信される。選択操作された要因・目的情報に応じて、送受信部104による送信の停止タイミングが制御される。これにより、車両Bでは、ディスプレイ2に表示される車両Aの位置表示マークAを、点滅状態に変化させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画面を表示する表示手段と、
移動体が徐行又は停止する、もしくは徐行又は停止していることを周囲に示す操作手段の操作がなされたことを検知する操作検知手段と、
前記操作検知手段の検知に応じて、前記移動体の徐行の要因又は目的を示す複数の要因・目的情報、もしくは前記移動体の停止の要因又は目的を示す複数の要因・目的情報を、地図画面を表示していた前記表示手段に選択操作可能に表示する第1表示制御手段と、
前記複数の要因・目的情報のうち選択操作された要因・目的情報を、前記移動体の外部へ無線通信を介して送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする移動体搭載送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載され所定の情報を送信する移動体搭載送信装置及び上記移動体搭載送信装置で用いられる情報送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車々間通信を利用して、自車両と他車両とで情報送受信を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、車両(自車両)の走行中において、乗員の乗降や荷物の積み降ろし等の目的で意図的に停車したり、あるいは故障・燃料切れや渋滞等の要因が生じたときにやむを得ず徐行したり停車する場合がある。このような場合に、上記車々間通信を用いて、自車両から他車両に対し上記徐行又は停止の要因又は目的を表す情報を送信すれば、当該他車両に対し、注意を喚起することができる。
【0005】
しかしながら、このような情報送信を行うために、押しボタンを設置したりカーナビ画面上に操作部を設ける場合、その設置用のスペースが新たに必要となる。あるいは、適宜の操作によりカーナビ画面に上記情報送信用の操作部を呼び出す構成とすると、運転者の操作労力負担が増大するとともに、上記呼び出し操作を失念しないようにする労力負担も増大する。上記のような弊害の結果、上述のような、徐行又は停止の要因又は目的を表す情報を自車両側から他車両側へ送信する構成を実現困難な場合があった。この結果、他車両の運転者に対し確実に注意喚起することができなかった。
【0006】
また、上記のような徐行又は停止の要因又は目的を表す情報が自車両側から送信されたとき、当該情報を受信した他車両側においてどのようにして当該情報を処理して上記要因・目的を運転者に報知し、注意を喚起するか、についても、特に配慮されていなかった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、地図画面を表示する表示手段と、移動体が徐行又は停止する、もしくは徐行又は停止していることを周囲に示す操作手段の操作がなされたことを検知する操作検知手段と、前記操作検知手段の検知に応じて、前記移動体の徐行の要因又は目的を示す複数の要因・目的情報、もしくは前記移動体の停止の要因又は目的を示す複数の要因・目的情報を、地図画面を表示していた前記表示手段に選択操作可能に表示する第1表示制御手段と、前記複数の要因・目的情報のうち選択操作された要因・目的情報を、前記移動体の外部へ無線通信を介して送信する送信手段と、を備える。
【0009】
また上記課題を解決するために、請求項3記載の発明は、表示手段に地図画面を表示する表示工程と、移動体が徐行又は停止する、もしくは徐行又は停止していることを周囲に示す操作手段の操作がなされたことを検知する操作検知工程と、前記操作検知工程の検知に応じて、前記移動体の徐行の要因又は目的を示す複数の要因・目的情報、もしくは前記移動体の停止の要因又は目的を示す複数の要因・目的情報を、前記地図画面を表示していた前記表示手段に選択操作可能に表示する第1表示工程と、前記複数の要因・目的情報のうち選択操作された要因・目的情報を、前記移動体の外部へ無線通信を介して送信する送信工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の移動体搭載送信装置及び移動体搭載受信装置の一実施形態である車載装置を備えた複数の車両の一例を示す図である。
【
図2】車載装置を含む車両の電子系統のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】送信側の車両の車載装置が有する制御部の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】送信側の車両のディスプレイの表示内容の遷移を表す説明図である。
【
図5】受信側の車両の車載装置が有する制御部の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【
図6】受信側の車両のディスプレイの表示内容の遷移を表す説明図である。
【
図7】送信側である車両に搭載された車載装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図8】送信側である車両に搭載された車載装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図9】受信側である車両に搭載された車載装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図10】送信解除ボタンを設ける変形例における、ディスプレイの表示内容の遷移を表す説明図である。
【
図11】送信側の車両の車載装置が有する制御部の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【
図12】送信側である車両に搭載された車載装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図13】ハザードランプOFF操作まで要因・目的情報ボタンを継続表示する変形例における、ディスプレイの表示内容の遷移を表す説明図である。
【
図14】送信側である車両に搭載された車載装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図15】複数の要因・目的情報ボタンを切り替えて操作可能とする変形例における、ディスプレイの表示内容の遷移を表す説明図である。
【
図16】送信側である車両に搭載された車載装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<送信・受信を行う車両>
図1は、本発明の移動体搭載送信装置及び移動体搭載受信装置の一実施形態である車載装置を備えた複数の車両の一例を示す図である。
図1に示すように、進行方向(図示左側)に向かって先行の車両A(移動体に相当)は車載装置100を搭載し、後続の車両B(他の移動体に相当)は車載装置200を搭載している。車載装置100と車載装置200は、無線通信を介して互いに情報を送受信することが可能である。本実施形態では、車両Aが何らかの理由(詳細は後述)で停止又は徐行する場合、もしくは停止又は徐行している場合(以下、単に停止又は徐行している場合、と称して説明する)に、車両Aの車載装置100(移動体搭載送信装置に相当)が無線通信を介して車両Bの車載装置200(移動体搭載受信装置に相当)に対し、車両Bの運転者の注意を喚起するための情報(要因・目的情報。詳細は後述)を送信する場合を一例として説明する。なお、車載装置100を搭載した車両Aに対する、車載装置200を搭載した車両Bの位置関係は
図1に示す前方に限定されず、後方、左右側方、斜め方向、あるいは対向方向でもよく、また、車両Bは複数であってもよい。また、
図1では理解を容易とするために車両Aについて太線で示す。
【0013】
<各車両の電子系統>
図2は、車載装置100を含む車両Aの電子系統のハードウェア構成例を示すブロック図である。なお、車載装置200を含む車両Bの電子系統についても同様のハードウェア構成とすることができる。
【0014】
図2に示すように、車両Aは、車載装置100、ディスプレイ2、無線通信アンテナ3、車速センサ4、ブレーキスイッチ5、ウィンカースイッチ6A、車載カメラ7、GPS8、及びハザードスイッチ6Bを有している。車載装置100は、制御部10、グラフィックコントローラ13、及び無線通信制御部14を有している。
【0015】
制御部10は、CPU11及び記憶装置12を備えている。CPU11は、記憶装置12に記憶された所定のプログラム(後述の
図7、
図8、
図9、
図12、
図14、
図16の各フローの手順を実行する制御プログラムを含む)を実行することによって各種の処理を行うとともに、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、車載装置100全体を制御する機能を有する。
【0016】
記憶装置12は、ROM12a、RAM12b、及び記憶媒体12cを有する。ROM12aは、上記各種のプログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM12bは、CPU11が上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体12cは、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の情報記憶媒体である。
【0017】
なお、車両Bが搭載する車載装置200の制御部20も、上記制御部10と同様の機能の、CPU21及び記憶装置22(ROM22a、RAM22b、記憶媒体22cを含む)を備えている。
【0018】
グラフィックコントローラ13は、CPU11の制御によってビデオRAM(図示せず)などから画像データを取得し、後述する各種情報や指示情報を上記ディスプレイ2に表示させる機能を有する。ディスプレイ2は第1表示手段又は第2表示手段又は表示手段に相当し、この例ではタッチパネル装置として構成されている。タッチパネル装置における表示部は例えばLCDパネルなどで構成され、グラフィックコントローラ13から入力された画像信号に基づいて各種の情報画像を表示する。タッチパネル装置における操作部は、例えば運転者の指先等による接触を公知の手法で検出し、対応する検出信号をCPU11へと出力する。
【0019】
無線通信制御部14は、無線通信アンテナ3を介した無線通信により、車両Bとの情報の送受信を制御する機能を有する。無線通信アンテナ3は、車両Aの室外に取り付けられ、無線通信制御部14から入力された情報信号の発信と、車両Bから受信した情報信号の無線通信制御部14への出力を行う。
【0020】
車速センサ4は、車両Aの走行速度を検出する機能を有する。CPU11は、この車速センサ4の検出信号に基づき、その時点で車両Aがどのくらいの走行速度で走行しているかを認識できる。なお、車速センサ以外にも車両の路肩寄せや車線変更などを検出するためのジャイロセンサなどを加えてもよい。またブレーキスイッチ5は、車両Aのブレーキが所定量以上踏み込まれて作動状態に入っているか否か、つまり車両Aが制動操作による減速中の状態であるか否かを検出する機能を有する。またウィンカースイッチ6Aは、車両Aの右方向又は左方向いずれか一方のウィンカー操作の有無を検出する機能を有する。またハザードスイッチ6Bは、車両Aが停止又は徐行していることを周囲に示すために備えられたハザードランプを点滅させるためにON操作されているか、または消灯するためにOFF操作されているか、のハザードランプの操作を検出する機能を有する。なお、この例では、上記ハザードランプのON操作が、操作手段のON操作に相当しており、ハザードランプをON操作するための例えばハザードボタン(不図示)が、操作手段に相当している。つまり、ハザードボタンを運転者が押圧操作、又は接触操作することで、ハザードランプが点滅又は消灯することをハザードランプの操作と称し、ハザードスイッチ6Bはそのハザードランプの操作を検出する役割を担っている。
【0021】
車載カメラ7は、例えばCCD撮像素子などを利用して、車両Aからの撮像方向の風景画像を撮像し、対応する画像信号を車載装置100のCPU11へ出力する機能を有する。GPS8は、車両Aの現在地の測位を行い、緯度及び経度で表記した位置情報を取得するとともに、CPU11へ出力する機能を有する。
【0022】
<車両Aの車載装置の機能的構成等>
図3は、車両Aの車載装置100が有する制御部10のCPU11が記憶装置12に記憶された所定のプログラムを実行することによって発揮される制御部10の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0023】
図3に示すように、制御部10は、操作検知部101、表示制御部103、送受信部104、及び第1送信制御部105を備えている。
【0024】
操作検知部101は、操作検知手段に相当し、上記ハザードランプの操作を検知する機能を備える。詳細には、操作検知部101は、ハザード操作判定部101a及びハザード目的判定部101bを備えている。
【0025】
ハザード操作判定部101aはハザード操作判定手段に相当し、上記ハザードスイッチ6Bからの信号に基づき、ハザードランプがON操作されているか、OFF操作されているかを判定する。
【0026】
ハザード目的判定部はハザード目的判定手段に相当し、ハザード操作判定部101aにより検出されたハザードランプのON操作が、停止又は徐行する、もしくは停止又は徐行していることを周囲に示すための操作であるか否かを判定する。すなわち、もともとのハザードランプの設置目的である注意喚起のための使用以外にも一般に、例えば自車両の進路を他車両から譲ってもらったり等、走行時の便宜を図ってもらったときに、運転者が感謝の意味を込めてハザードランプをONして点滅させる場合がある。このON操作は、前述したような徐行又は停止していることを周囲に示す用途とは全く関係のないものである。そこで、ハザード操作判定部101aによりハザードランプがON操作されたと判定された場合、ハザード目的判定部101bが、当該ハザードランプのON操作が、停止又は徐行していることを周囲に示すためのものであるか否かを判定する。具体的には、ハザードランプがON操作された直後における、上記車速センサ4の検出結果に基づく走行速度の大小や左右方向を含めた加速度の増減、あるいは上記ウィンカースイッチ6Aの検出結果に基づくウィンカー操作の有無等により、停止又は徐行していることを周囲に示すためのものであるか、上記した感謝の意味を示すものであるか、を判定する。
【0027】
表示制御部は第1表示制御手段に相当し、操作検知部101の検知に応じて、車両Aが徐行又は停止している要因又は目的を示す要因・目的情報(詳細は後述)を、ディスプレイ2に選択操作可能に表示する機能を備える(後述の
図4等参照)。すなわち、一般に、車両の運転時に、例えば、故障・燃料切れや渋滞等の不可抗力の原因(以下適宜、「要因」と称する)で車両が停止・徐行せざるを得ない場合が生じたり、あるいは、乗員の乗降や荷物の積み降ろし等の際に運転者自らの意思による原因(以下適宜、「目的」と称する)で積極的に停止・徐行している場合がある。
【0028】
なお、ここに挙げた以外にもハザードランプによって周囲の車両に対して注意喚起をするべき要因や目的があればそれを含めてよい。たとえば、牽引されている車両のハザードランプがON操作されており、牽引車により低速走行している場合が一例として含まれる。この場合、牽引されている車両が一般的な徐行(直ちに停まれる速度での走行、例えば、時速10km未満での走行)より速い速度(例えば、時速10km以上時速30km未満)で走行していると想定されるが、本願はそのような場合も徐行として含める。
【0029】
このような場合には、例えば車両Aの運転者は、上記徐行又は停止していることを周囲に示すために、上記ハザードランプをON操作する。このハザードランプのON操作が、上記操作検知部101により検知される。そしてその検知に応じて、表示制御部103の制御により、ディスプレイ2に、上記徐行又は停止している上記要因又は上記目的を示す、要因・目的情報が、選択操作可能に表示される。
図4(a)及び
図4(b)にこのときのディスプレイ2の表示の一例を示す。
【0030】
図4(a)において、この例では、ディスプレイ2に表示工程にも相当する公知のカーナビゲーションシステムによる地図画面MP1が表示されている状態である。図示しないが、後述する
図6(a)と同様に送受信部104で受信した車両Bの位置情報に基づき、当該車両Bの位置を示す位置表示マークを表示するようにしても良い。上記ハザードランプのON操作が上記操作検知部101で検知されると、
図4(b)に示す表示へ移行する。すなわち、
図4(b)において、ディスプレイ2へ生成された割り込みウィンドウWDにおいて、上記要因・目的情報は、各要因・目的をそれぞれ表す要因・目的情報ボタン51~56として表示されている。要因・目的情報ボタン51~56は、この例では、乗員の乗降に対応した「乗降」ボタン51、荷物の積み下ろしに対応した「積み下ろし」ボタン52、配達作業中であることに対応した「配達」ボタン53、道路交通の渋滞に対応した「渋滞」ボタン54、車両の故障発生に対応した「故障」ボタン55、及び、車両の燃料切れに対応した「ガス欠」ボタン56、が含まれている。
【0031】
送受信部104(送信手段に相当)は、車両Bとの間で無線通信を介して情報の送受信を行う。送受信部104の主要な機能の1つは、上記のようにして車両Aのディスプレイ2に表示され運転者によって選択された要因・目的情報ボタン51~56に対応した要因・目的情報(停止又は徐行の要因又は目的が、上記した乗員の乗降、荷物の積み下ろし、配達作業、交通渋滞、車両故障、燃料切れ、のいずれであるかを表す情報)を、GPS8から取得した車両Aの位置情報とともに車両Bに送信することである。なお、送受信部104は、上記以外にも、車両Aが取得した適宜の各種情報(自車両や周囲の状況に関する情報、判断のための材料等)などについても車両Bに送信する。送受信部104からの車両Bへの情報送信は、この例では所定周期(例えば100msec)ごとに繰り返して行われる(後述の
図8も参照)。なお、要因・目的情報はハザードランプのON操作によって選択ができて送信されるものであるので、要因・目的情報を送信することはハザードランプのON操作が行われたことを示すものである。故にハザードランプのON操作が行われたことを示す情報を要因・目的情報とは別の情報として併せて送ってもよい。
【0032】
なお、送信先の車両Bは、上記の段落[0013]に記載した通り、車両Aに搭載された車載装置100と情報の送受信が可能な車載装置200を各々が搭載した複数の車両が想定される。その場合、複数の車両Bの中から、送信先の車両Bとして特に注意を喚起してほしい特定の車両に限定するようにしてもよい。送信先とする特定の車両Bを限定する手法は種々考えられるが、例えば車載カメラ7で後続の車両のナンバーを読み取り、当該ナンバーに基づき車両IDを特定して情報の送受信を行う方法がある。また、例えば各車両が車々間通信を行う車載装置を搭載していて、各車両が常時自己の車両IDや位置情報を含む車両情報を発信している場合には、受信した車両情報に含まれる位置情報から後続の車両の発信した車両情報を特定し、その車両IDに対して通信を行ってもよい。
【0033】
第1送信制御部105は第1送信制御手段に相当し、送受信部104を制御する。送受信部104は、第1送信制御部105の制御により、操作検知部101でハザードランプのON操作が検知されかつ上記ディスプレイ2での選択操作がなされたとき(ボタン51~56のいずれかが押されたとき)に上記要因・目的情報の送信を開始する。
図4(c)には、このときのディスプレイ2における表示の一例を示している。この例では、上記ボタン51~56が押されて上記要因・目的情報の送信が開始されると、ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDは消失する。送受信部104からの車両Bへの上記要因・目的情報送信は、この例では所定周期(例えば100msec)ごとに繰り返して行われる(後述の
図8も参照)。
【0034】
図3に戻り、そして、送受信部104は、操作検知部101でハザードランプのON操作が検知されなくなったこと(たとえば、ハザードランプのOFF操作が検知されたこと)に基づき、上記要因・目的情報の送信を停止する。このとき、この実施形態では、制御手段にも相当する第1送信制御部105の制御により、上記ウィンドウWDにおいて運転者が要因・目的情報ボタン51~56のうちいずれを選択したかによって送受信部104による要因・目的情報の停止タイミングが異なっている。
【0035】
すなわち、道路交通の渋滞(特定の要因・目的情報に相当)に対応した上記「渋滞」ボタン54が選択操作されたときには、操作検知部101でハザードランプの操作が検知されなくなり、かつ、上記道路交通の渋滞が解消あるいは終了したとき(具体的には例えば車速センサ4で検出される走行速度が所定値(例えば30km/h)以上となったとき)に、上記要因・目的情報(この例では道路交通の渋滞を表す)の送信が停止される(詳細は後述)。一方、上記以外の要因・目的情報に対応した「乗降」ボタン51、「積み下ろし」ボタン52、「配達」ボタン53、「故障」ボタン55、及び「ガス欠」ボタン56、が選択操作されたときには、操作検知部101でハザードランプの操作が検知されなくなったときに、上記要因・目的情報の送信が停止される。これには以下のような意義がある。
【0036】
例えば渋滞の発生時において、上記ハザードランプのON操作を行う場合、通常、ハザードランプのON操作により該ハザードランプが点滅した後しばらくしたら(たとえば後続車両のうちの1台が車両Aの後ろに付いたあとは、車両Aにとっての追突の危険が減じることから、渋滞が解消するより前に)ハザードランプのOFF操作により該ハザードランプを消灯する場合が多い。しかし車両Aの後ろに付いた車両(つまりその後の最後尾車両)が車々間通信のシステムを備えているとは限らず、さらに後ろから走行してくる車両にとっては、ハザードランプのOFF操作により車両Aのハザードランプが消灯したあとも渋滞が続いている間は引き続き注意喚起の情報を送信してもらえた方がその後の追突防止にも寄与する。また、ハザードランプのON操作が渋滞発生を要因とするものであることも併せて後続の車両に知らせることは、後続の車両にとっては、その情報は追突防止の注意喚起であるだけでなくその車両のある位置で渋滞が発生していることを示す情報提供にもなり有益である。これゆえ、渋滞が解消するまで要因・目的情報の送信を続けた方が後続や周囲の車両にとって有益である。そこで、本実施形態では、選択された要因・目的情報が渋滞発生であった場合には、ハザードランプのON操作が非検知状態となったことのみならず、さらに、その渋滞が解消されたことを検知すること、具体的にはたとえば車両Aの走行速度が所定値以上となったこと、を条件として、要因・目的情報の送信が停止される。なお、上記のような走行速度を条件とするのに代えて、例えば車両Aの上記車載カメラ7の撮影結果に基づき、公知の手法により渋滞が解消したと判定されたことを条件としてもよい。あるいは、公知の渋滞情報提供サービス等を利用してその場所の渋滞情報を取得して渋滞が解消したと判定されたことを条件としてもよい。また渋滞が長引いた場合、所定の時間で要因・目的情報の送信を停止するようにしても良い。
【0037】
なお、渋滞に限らずハザードランプの停止後も要因・目的情報の送信を続けた方がよい要因・目的についてはこのことを適用しても良い。たとえば道路工事用車両は工事現場に到着した際は一時的にハザードランプを点滅するが、工事に入った以降はハザードランプを消灯ことが考えられる。一方道路工事作業の要因・目的情報を送信することは周囲の車両にとってはその車両の在る場所で道路工事が行われていることを示す情報でもあり有益であるので、道路工事作業を選択した場合には、たとえば再び車両が走行を開始し所定距離を移動したことをもって要因・目的情報の送信を止めることとしてもよい。
【0038】
<車両Bの車載装置の機能的構成等>
図5は、車両Bの車載装置200が有する制御部20のCPU21が記憶装置22に記憶された所定のプログラムを実行することによって発揮される制御部20の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0039】
図5に示すように、制御部20は、送受信部201及び表示制御部202を備えている。
【0040】
送受信部201は受信手段に相当し、車両Aとの間で無線通信を介して情報の送受信を行う。この送受信部201の主要な機能の1つは、車両Aより送信された上記要因・目的情報と該車両Aの位置情報とを受信することである。なお、前述の車両Aの送受信部104からの情報送信に対応し、この車両Bでの送受信部201での情報受信は、この例では所定周期(例えば100msec)ごとに繰り返して行われることとなる(後述の
図9も参照)。
【0041】
表示制御部202は第2表示制御手段に相当し、送受信部201により受信された上記位置情報に応じ、地図上における車両B(他の移動体に相当)の位置表示を、ディスプレイ2に表示する機能を備える。
図6(a)にこのときのディスプレイ2の表示の一例を示す。
【0042】
図6(a)において、この例では、ディスプレイ2に公知のカーナビゲーションシステムによる地図画面MP2が表示されている状態で、上記車両Aの位置情報が送受信部201で受信されると、図示のように、当該位置情報に対応して車両Aの位置表示マークMA(位置表示に相当)が地図画面MP2上に表示される。このとき併せて、車両BのGPS8により取得された位置情報に基づき、車両当該位置情報に対応して車両Bの位置表示マークMBも地図画面MP2上に表示される。
【0043】
図5に戻り、また上記表示制御部202は、ディスプレイ2を制御し、車両Aから上記位置情報と上記要因・目的情報との両方を受信しているときの車両Aの位置表示マークMAの表示態様を、車両Aから位置情報を受信し要因・目的情報を受信していないときの位置表示マークMAの表示態様と異なる表示態様となるように、制御する。
図6(b)はこのときのディスプレイ2の表示態様の違いを表している。すなわち、車両Aから位置情報が受信されている(要因・目的情報を受信されていない)ときは、
図6(a)に示すように位置表示マークMAは通常の点灯状態で表示される。これに対し、車両Aから位置情報とともに要因・目的情報も受信されるようになると、
図6(b)に示すように位置表示マークMAが(上記通常の点灯状態から)点滅表示へと移行する。なお、この例では、上記点滅表示に併せ、車両Bに備えられた図示しないスピーカから公知の手法によりガイド音声(例えば「前方の車両は、人の乗降のため停車中です」などの文言)が発せられる。このとき、車両Aから位置情報とともに要因・目的情報も受信されるようになった直後に1度(あるいは数回)のみガイド音声を発し、それ以降は音声報知は省略(表示のみ)するようにしてもよい。あるいは停車又は徐行中であることのみを音声で報知するようにし、要因・目的情報の内容は別途表示するようにしてもよい。また、点滅表示する位置表示マークMAのデザインを要因・目的に応じてそれぞれ識別の出来るデザインを用いるようにしてもよい。すなわちどの情報を音声で報知しどの情報を視覚的表示とするかは、種々の組合せを適宜に選択して設定すれば足りる。なお、本例では位置情報を取得した車両の位置表示マークMAをあらかじめ表示し、要因・目的情報の受信をもって表示の態様を変えるとしたが、要因・目的情報の受信をしないときは位置表示マークMAの表示はせず、要因・目的情報の受信をもって位置表示マークMAを表示することとしてもよい。
【0044】
<送信側の制御手順>
図7及び
図8は、上記手法を実現するために、送信側である車両Aに搭載された車載装置100のCPU11により実行される処理の手順例をそれぞれ示すフローチャートである。これら
図7のフロー及び
図8のフローは、CPU11によって同時並行にて行われる。このような同時並行処理は、例えば、コンピュータのOS等でしばしば行われる、「マルチタスク処理」と同様の公知の方式により1つのCPU11に行わせることができる。
【0045】
図7は、上記構成の車両Aの車載装置100のCPU11において実行される情報送信方法のうち、要因・目的情報ボタンの表示及び要因・目的情報の選択設定に係わるフローである。このフローは、例えば車両Aの車載装置100の電源が投入されたときに開始される。
【0046】
まず、ステップS105で、CPU11は、上記要因・目的情報の送信実行・不実行に係わるフラグFを0に初期化する。
【0047】
その後、ステップS110で、CPU11は、上記ハザード操作判定部101aの機能により、上記ハザードスイッチ6Bからの信号に基づき、ハザードランプがON操作されているか、OFF操作されているかを判定する。ハザードランプがOFF操作されている間はステップS110の判定が満たされず(S110:NO)ループ待機する。ハザードランプがON操作されるとステップS110の判定が満たされ(S110:YES)、ステップS115に移る。
【0048】
ステップS115では、CPU11は、上記表示制御部103の機能により、ハザード目的判定部101bの機能により、前述の手法により、ハザードランプのON操作が車両Aの停止又は徐行していることを周囲に示すためのものであるか(言い換えれば感謝の意味を示すものではないか)を判定する。ハザードランプのON操作が感謝の意味を示すものである場合はステップS115の判定が満たされず(S115:NO)処理を終了する。ハザードランプのON操作が停止又は徐行していることを周囲に示すためのものである場合はステップS115の判定が満たされ(S115:YES)、ステップS120に移る。なお、上記ステップS110及びステップS115が、操作検知工程に相当している。
【0049】
ステップS120では、CPU11は、予め定められた、徐行又は停止の要因又は目的を示す要因・目的情報にそれぞれ対応した、上記要因・目的情報ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDをディスプレイ2に一覧表示する(
図4(b)参照)。なお、上記ステップS120が、第1表示工程に相当している。その後、ステップS125に移る。
【0050】
ステップS125では、CPU11は、上記ディスプレイ2のタッチパネル装置からの検出信号に基づき、上記一覧表示された要因・目的情報ボタン51~56のうちいずれか1つが運転者により選択操作されたか否か、を判定する。いずれか1つのボタンが選択されるまではステップS125の判定が満たされず(S125:NO)、ステップS127へ移る。ステップS127ではCPU11は、所定時間が経過したかどうかを判定する。所定時間が経過しない間はステップS125に戻り、同様の手順を繰り返す。所定時間経過してもいずれかのボタンも選択されない場合はステップS127の判定が満たされ(S127:YES)、処理を終了する。いずれか1つのボタンが選択されるとステップS125の判定が満たされ(S125:YES)、ステップS130に移る。
【0051】
ステップS130では、CPU11は、上記ステップS125で選択操作された1つの要因・目的情報ボタン51等について、当該ボタンが選択された旨の設定を行う(後述の
図8のステップS330も参照)。ここでの設定は、選択操作された1つの要因・目的情報ボタン51等に基づいて車両Bに送信するための情報を生成する。または当該選択操作された1つの要因・目的情報ボタン51等に該当する情報を記憶装置12から読み出し、車両Bに送信する情報として設定する、ことを意味する。
【0052】
その後、ステップS135に移り、CPU11は、上記表示制御部103の機能により、上記ディスプレイ2に表示されていた、上記要因・目的情報ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDの表示を消失させる。
【0053】
そして、ステップS140で、CPU11は、上記フラグFを、要因・目的情報ボタン51等による選択が行われたことを表すF=1とする。その後、ステップS145に移る。
【0054】
ステップS145では、CPU11は、上記ハザード操作判定部101aの機能により、上記ハザードスイッチ6Bからの信号に基づき、ハザードランプがOFF操作されたか否かを判定する。ハザードランプがOFF操作されていなければステップS145の判定が満たされず(S145:NO)、ステップS140に戻って同様の手順を繰り返す。ハザードランプがOFF操作されるとステップS145の判定が満たされ(S145:YES)、ステップS150に移る。
【0055】
ステップS150では、CPU11は、上記第1送信制御部105の機能により、上記ステップS125で選択されたボタンが、上記「渋滞」ボタン54であったか否かを判定する。「乗降」ボタン51、「積み下ろし」ボタン52、「配達」ボタン53、「故障」ボタン55、「ガス欠」ボタン56が選択されていた場合にはステップS150の判定が満たされず(S150:NO)、後述のステップS165に移る。一方「渋滞」ボタン54が選択されていた場合にはステップS150の判定が満たされ(S150:YES)、ステップS155に移る。
【0056】
ステップS155では、CPU11は、上記第1送信制御部105の機能により、車速センサ4の検出結果に基づき車両Aの走行速度を取得する。その後、ステップS160に移る。
【0057】
ステップS160では、CPU11は、上記第1送信制御部105の機能により、上記ステップS155で取得された車両Aの走行速度が所定値(例えば30kh/m)以上であるか否かを判定する。走行速度が上記所定値未満である場合にはステップS160の判定が満たされず(S160:NO)、ステップS155に戻り同様の手順を繰り返す。走行速度が上記所定値以上である場合にはステップS160の判定が満たされ(S160:Yes)、ステップS165に移る。
【0058】
ステップS165では、CPU11は、上記フラグFの値を0に戻す。その後、このフローを終了する。
【0059】
図8は、上記構成の車両Aの車載装置100のCPU11において実行される情報送信方法のうち、上記要因・目的情報及び位置情報の送信に係わるフローである。このフローは、前述したように、例えば所定周期(例えば100msec)ごとに繰り返して行われる。
【0060】
まず、ステップS310で、CPU11は、GPS8からの検出信号に基づき、車両Aの現在の位置情報を取得する。その後、ステップS320に移る。
【0061】
ステップS320では、CPU11は、前述のフラグFが1となっているか、すなわちハザードランプがON操作されかつ上記要因・目的情報ボタン51~56が選択されているか否か、を判定する。
【0062】
ステップS320の判定が否の場合、すなわちF=0の場合には、ステップS320の判定が満たされず(S320:NO)、ステップS340に移る。ステップS340では、CPU11は、上記送受信部104の機能により、上記ステップS310で取得された位置情報(この場合は要因・目的情報が付加されていない)を車両Bへと送信し、このフローを終了する。
【0063】
F=1の場合、すなわちハザードランプがON操作されかつ上記要因・目的情報ボタン51~56が選択された場合には、ステップS320の判定が満たされ(S320:Yes)、ステップS330に移る。ステップS330では、CPU11は、ステップS310で取得された位置情報に対し、前述の
図7のステップS130で選択設定がなされた要因・目的情報ボタン51等に対応する要因・目的情報を付加する。そして、ステップS340で、CPU11は、上記送受信部104の機能により、上記位置情報と付加された要因・目的情報とを車両Bへ送信し、このフローを終了する。なお、上記ステップS340が、送信工程に相当している。
【0064】
<受信側の制御手順>
図9は、上記構成の車両Bの車載装置200のCPU21において実行される情報受信方法の処理の手順例を示すフローチャートである。なお、このフローは、例えば車両Bの車載装置200の電源が投入されたときに開始される。
【0065】
まずステップS210で、CPU21は、上記送受信部201の機能により、車両Aより送信された情報を受信したか否かを判定する。情報を受信するまではステップS210の判定が満たされず(S210:NO)ループ待機し、情報を受信したらステップS210の判定が満たされ(S210:YES)、ステップS220に移る。なお、上記ステップS210が、受信工程に相当している。
【0066】
ステップS220では、CPU21は、ステップS210で受信された情報に、車両Aの位置情報が含まれるか否かを判定する。車両Aの位置情報が含まれない場合はステップS220の判定が満たされず(S220:NO)、このフローを終了する。車両Aの位置情報が含まれていた場合はステップS220の判定が満たされ(S220:Yes)、ステップS230に移る。
【0067】
ステップS230では、CPU21は、上記表示制御部202の機能により、上記ディスプレイ2の地図画面MP2上に、上記ステップS210で受信された車両Aの位置情報に対応したマーク(上記位置表示マークMA)を表示する。その後、ステップS240に移る。
【0068】
ステップS240では、CPU21は、ステップS210で受信された情報に、車両Aの上記要因・目的情報が含まれるか否かを判定する。要因・目的情報が含まれない場合はステップS240の判定が満たされず(S240:NO)、上記ステップS230から実行開始された位置表示マークMAの(通常の)点灯表示を継続したまま、このフローを終了する。一方、要因・目的情報が含まれていた場合にはステップS140の判定が満たされ(S240:Yes)、ステップS250に移る。
【0069】
ステップS250では、CPU21は、受信した要因・目的情報に応じた情報を音声や表示等で再生し運転者に伝える。そして上記表示制御部202の機能により、上記ステップS230で地図画面MP2上に表示開始した、上記位置表示マークMAを点滅させて該当する車両を示す。また点滅が継続している間はその要因あるいは目的情報による停止又は徐行が継続されていることを示す。なお、上記ステップS230及びステップS250が、第2表示工程に相当している。その後、このフローを終了する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の車載装置100は、車両A(移動体に相当)に搭載され、車両B(他の移動体に相当)に無線通信を介して情報を送信する車載装置100(移動体搭載送信装置に相当)であって、搭載している車両Aが徐行又は停止する、もしくは徐行又は停止していることを周囲に示すハザードランプのON操作(操作手段の操作に相当)がなされたことを検知する操作検知部101(操作検知手段に相当)と、操作検知部101の検知に応じて、ハザードランプをON操作した具体的要因又は目的、すなわち搭載している車両Aの徐行の要因又は目的を示す要因・目的情報、もしくは搭載している車両Aの停止の要因又は目的を示す要因・目的情報を、ディスプレイ2(第1表示手段に相当)に選択操作可能に表示する表示制御部103(第1表示制御手段に相当)と、表示制御部103での表示に対応して選択操作された要因・目的情報を、車両Bに送信する送受信部104(送信手段に相当)と、を備える。
【0071】
上記構成によれば、車両Aにおける運転者によるハザードランプの操作に連動して自動的に要因・目的情報が選択可能にディスプレイ2に表示され、その表示から運転者が選択を行うだけで選択された要因・目的情報が車両Bに無線通信を用いて送信される。これにより、専用の押しボタンやカーナビ画面上の操作部を設ける場合のような専用設置スペースを不要とし、またカーナビ画面に操作部を呼び出す場合のような労力負担の増大を防止しつつ、従来のハザードランプの点灯のみでは具体的に伝えることができなかったハザードランプをON操作した具体的要因又は目的、すなわち徐行又は停止している要因又は目的を、容易かつ確実に車両Bへ知らせることができる。したがって、車両B側に確実に上記の要因・目的を報知することができる。この結果、車両Bの運転者に確実に注意を喚起することができる。
【0072】
また、上記構成によれば、車両Aにおける運転者によるハザードランプのON操作に連動して自動的に要因・目的情報が選択可能にディスプレイ2に表示され、その表示から運転者が選択を行うだけで選択された要因・目的情報が車両Bに無線通信を用いて送信される。これにより、従来のハザードランプの点灯を視認することでしか行えなかった注意喚起を視認ができない位置にいる車両に対しても行うことができる。そのようなやや離れている車両にとって要因・目的情報をハザードランプの点滅と共に知らせることができることはその相手の車両が停車や徐行している要因・目的を知ることでその状態がどのくらい継続するか、あるいは道路の路肩に存するかそれとも走行レーン上に存するかを予知する助けとなり、安全走行上有益である。
【0073】
また、上記車載装置100で実行される情報送信方法は、車両A(移動体に相当)に搭載された車載装置100(移動体搭載送信装置に相当)に用いられる情報送信方法であって、搭載している車両Aが徐行又は停止する、もしくは徐行又は停止していることを周囲に示す操作がなされたことを検知するステップS110及びステップS115(操作検知工程に相当)と、上記検知に応じて、搭載している前記車両Aの徐行の要因又は目的を示す要因・目的情報、もしくは搭載している前記移動体の停止の要因又は目的を示す要因・目的情報を選択操作可能に表示するステップS120(第1表示工程に相当)と、上記選択操作可能な表示に対応して選択操作された要因・目的情報を、車両B(他の移動体に相当)に無線通信を介して送信するステップS340(送信工程に相当)と、を備える。
【0074】
本実施形態の情報送信方法が車両Aで用いられると、車両Aの運転者による、上記徐行又は停止することを周囲に示すためのハザードランプの操作が、ステップS115及びステップS120で検知される。そして、この検知に応じて、ステップS120において、上記徐行又は停止している上記要因又は上記目的を示す、要因・目的情報が、選択操作可能にディスプレイ2に表示される。運転者が、その表示された要因・目的情報の中から、実際の要因又は目的に合致したものを選択すると、その後のステップS340において、対応する要因・目的情報が車両Bへと送信される。
【0075】
以上のようにして、運転者による徐行又は停止への操作に連動して自動的に要因・目的情報が選択可能に表示され、その表示から運転者が選択を行うだけで選択された要因・目的情報が送信される。これにより、上記同様、車両B側に確実に上記の要因・目的を報知することができ、車両Bの運転者に確実に注意を喚起することができる。
【0076】
なお、上記では、操作検知部101(又は操作検知工程であるステップS110及びステップS115)において検知される、車両Aが徐行又は停止していることを周囲に示す操作手段の操作として、ハザードランプのON操作を検知する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち例えば、路肩側のウィンカーすなわち左ウィンカー(又は右ウィンカー)の操作をウィンカースイッチ6Aを介して検出し、さらに車速センサ4を介して車両Aが所定の低速又は停止状態となった場合には、これら一連の操作を上記「車両Aが徐行又は停止していることを周囲に示す操作手段の操作」として、検知するようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態の車載装置200は、車両B(移動体に相当)に搭載され、車両A(他の移動体に相当)より無線通信を介して情報を受信する車載装置200(移動体搭載受信装置に相当)であって、車両Aの位置情報、及び、当該車両Aが徐行又は停止している要因又は目的を示す要因・目的情報を、車両Aより受信可能な送受信部201(受信手段に相当)と、送受信部201により受信された位置情報に応じ、地図画面MP2(地図に相当)上における車両Aの位置表示マークMA(位置表示に相当)をディスプレイ2(第2表示手段に相当)に表示する表示制御部202(第2表示制御手段に相当)と、を備え、表示制御部202は、上記位置情報及び上記要因・目的情報を受信しているときの車両Aの位置表示の表示態様と、上記位置情報を受信し上記要因・目的情報を受信していないときの車両Aの位置表示の表示態様と、が互いに異なる表示態様となるようにディスプレイ2を制御する。
【0078】
本実施形態の車載装置200には、送受信部210が備えられている。この送受信部210では、車両Aから、当該車両Aの位置情報を含む情報が受信される。位置情報が受信されると、表示制御部202の制御に基づき、ディスプレイ2において、地図画面MP2上に当該車両Aの位置表示マークMAが表示される。
【0079】
車両Aが上記停止・徐行する場合には、上記徐行又は停止している上記要因又は上記目的を示す、要因・目的情報が当該車両Aから送信され、上記送受信部201において受信される。そして、第2表示制御手段の制御により、上記のように位置情報のみならず要因・目的情報も車両Aから受信された場合には、ディスプレイ2に表示される上記車両Aの位置表示マークAが、位置情報のみにより表示されていたときの表示態様とは異なる態様で、表示される(
図6(b)参照)。これにより、確実に上記要因・目的を車両Bの運転者に報知し、ハザードランプを点滅するのみの場合と比べて当該運転者により具体的に注意を喚起することができる。
【0080】
また、上記車載装置200で実行される情報受信方法は、車両B(移動体に相当)に搭載された車載装置200(移動体搭載受信装置に相当)に用いられる情報受信方法であって、車両A(他の移動体に相当)の位置情報、及び、車両Aが徐行又は停止している要因又は目的を示す要因・目的情報を、当該車両Aより受信するステップS210(受信工程に相当)と、受信された位置情報に応じ、地図画面MP2(地図に相当)上における車両Aの位置表示マークMA(位置表示に相当)を表示するステップS230及びステップS250(第2表示工程に相当)と、を備え、ステップS230及びステップS250では、位置情報及び要因・目的情報を受信しているときの車両Aの位置表示マークMAの表示態様と、位置情報を受信し要因・目的情報を受信していないときの車両Aの位置表示マークMAの表示態様と、が互いに異なる表示態様となるように位置表示マークMAを表示する。
【0081】
本実施形態の情報受信方法が車両Bで用いられると、ステップS210において、車両Aから、当該車両Aの位置情報を含む情報が受信される。位置情報が受信されると、ステップS230及びステップS250において、地図画面MP2上に当該車両Aの位置表示マークMAが表示される。一方、車両Aの運転時において上記車両Aが停止・徐行した場合には、上記徐行又は停止している上記要因又は上記目的を示す要因・目的情報が当該車両Aから送信され、それらの情報も上記ステップS210において受信される。そして、上記ステップS230及びステップS250においては、上記のように位置情報のみならず要因・目的情報が車両Aから受信された場合には、上記車両Aの位置表示マークMAが、位置情報のみにより表示されていたときの表示態様とは異なる態様で、表示される。これにより、確実に上記要因・目的を車両Bの運転者に報知し、当該運転者に注意を喚起することができる。
【0082】
また、上記車載装置100においては、操作検知部101によりハザードランプのON操作が検知されかつ表示制御部103の表示に対応して選択操作がなされたときに要因・目的情報の送信を開始し、上記操作検知部101により上記ハザードランプがOFF操作されたことに基づき上記要因・目的情報の送信を停止するように、送受信部104を制御する第1送信制御部105(第1送信制御手段に相当)を備える。
【0083】
これにより、車両Bに対し、車両Aが徐行又は停止している要因又は目的が解消したことを、別途の新たな操作を必要とせずに、容易かつ確実に知らせることができる。なお、上記要因・目的情報の送信が停止される(ステップS330において位置情報に対し要因・目的情報の付加がなされなくなる)とき、そのような要因・目的情報の送信停止(付加停止)がなされることを、事前に車両Aから車両Bへと予告通知するようにしてもよい。
【0084】
なお、送受信部104からの車両Bへの上記要因・目的情報送信は、この例では所定周期(例えば100msec)ごとに繰り返して行われるとしたが、上記ディスプレイ2での要因・目的情報の選択操作がなされたときにのみ1回あるいは所定の回数のみ送信するようにしてもよい。その場合、送受信部104は、操作検知部101でハザードランプの操作が検知されなくなったことに基づき、上記要因・目的が解消あるいは終了したという情報を送信するようにしてもよい。
また、上記要因・目的情報送信は車両Aの位置情報などとともに送信されるが、同一のIDを送信にもちいることで要因・目的情報送信を位置情報などの送信とは分けて送信してもよい。
【0085】
また、上記車載装置100においては、第1送信制御部105は、ディスプレイ2における表示に対応して特定の要因・目的を示す特定の要因・目的情報が選択操作されたときには、操作検知部101によりハザードランプのON操作が検知されなくなり、かつ、特定の要因又は目的が解消あるいは終了した場合、具体的には例えば車両Aの走行速度が所定値以上となった場合に、上記特定の要因・目的情報の送信を停止するように、送受信部104を制御する。
【0086】
これにより、渋滞発生時のような場合にも対応することができ、さらに利便性を向上することができる。
【0087】
また、上記車載装置100においては、操作検知部101は、ハザードランプがON/OFF操作を検知する。具体的には、操作検知部101は、例えば、ハザードランプがON操作であるか否かを判定するハザード操作判定部101a(ハザード操作判定手段に相当)と、ハザード操作判定部101aにより検出されたハザードランプのON操作が、停止または徐行する、もしくは停止又は徐行していることを周囲に示すためのものであるか否かを判定するハザード目的判定部101b(ハザード目的判定手段に相当)と、を有する。
【0088】
これにより、走行時の便宜を図ってもらったとき等、運転者が感謝の意味を込めてハザードランプをONする場合については、上記操作検知部101によるハザードランプのON操作検知の対象外とすることができる。この結果、上記感謝目的のハザードランプON操作時にディスプレイ2において無駄に要因・目的情報が表示されるのを確実に防止することができ、さらに利便性を向上することができる。
【0089】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0090】
(1)要因・目的情報の送信解除ボタンを設ける場合
すなわち、(前述の
図4に対応する)
図10に示すように、上記実施形態と同様、本変形例においても、
図10(a)に示すディスプレイ2の表示状態から上記ハザードランプのON操作が検知されると、
図10(b)に示す要因・目的情報ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDの表示へ移行する。その後、運転者がいずれか1つの要因・目的情報ボタン51~56を選択操作すると、
図10(c)に示すように、対応する要因・目的情報の送信が開始されると共にボタン51~56を含む上記割り込みウィンドウWDが消失し、新たに上記要因・目的情報の送信を解除(停止)するための送信解除ボタン61が表示される。
【0091】
そして、本変形例では、前述のようにハザードランプがOFF操作された後に、上記送信解除ボタン61が運転者によって操作されたとき、
図10に示すように、上記要因・目的情報の送信が停止され、上記送信解除ボタン61も消失する。つまり、この場合では、ハザードランプがOFF操作された後も、送信解除ボタン61が操作されなければ、送受信部104からの車両Bへの上記要因・目的情報送信が例えば所定周期(例えば100msec)ごとに繰り返し、継続して行われることになる。
【0092】
図11は、本変形例において車両Aの車載装置100が有する制御部10の機能構成例を示す機能ブロック図である。
図11に示すように、制御部10には、
図3の第1送信制御部105に代えて、第2送信制御部106(第2送信制御手段に相当)が設けられている。この第2送信制御部106は、前述のようにハザードランプのON操作が検知されて表示される要因・目的情報ボタン51~56に対し運転者により選択操作がなされたときに、要因・目的情報の送信を開始し、上記送信解除ボタン61の操作がなされたときに上記要因・目的情報の送信を停止するように、上記送受信部104を制御する機能を備える。
【0093】
図12は、本変形例の車載装置100のCPU11により実行される情報送信方法のうち、要因・目的情報ボタンの表示及び要因・目的情報の選択設定に係わるフローであり、上記
図7に対応する。
図7と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0094】
図12において、このフローでは、
図7のステップS135に代えてステップS135Aが設けられ、また
図7のステップS150、ステップS155、ステップS160が省略されると共に新たにステップS162が設けられている。すなわち、上記
図7と同様のステップS105~ステップS125及びステップS127を経て、ステップS130においてステップS125の選択結果に対応した選択設定が行われると、新たに設けたステップS135Aに移る。
【0095】
ステップS135Aでは、CPU11は、上記表示制御部103の機能により、前述のステップS135と同様、上記ディスプレイ2に表示されていた上記要因・目的情報ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDの表示を消失させる。さらにCPU11は、上記表示制御部103の機能により、要因・目的情報の送信を停止させるための送信解除ボタン61を新たにディスプレイ2内に表示させる(
図10(c)参照)。その後のステップS140、ステップS145については
図7と同様であり、説明を省略する。
【0096】
ステップS145の後は、新たに設けたステップS162に移る。ステップS162では、CPU11は、上記ディスプレイ2の上記タッチパネル装置からの信号に基づき、上記ステップS135Aで表示された送信解除ボタン61が操作されたか否かを判定する。送信解除ボタン61が操作されない間はステップS162の判定が満たされず(S162:NO)ループ待機する。送信解除ボタン61が操作されるとステップS162の判定が満たされ(S162:YES)、ステップS165に移る。ステップS165は
図7と同様であり、説明を省略する。
【0097】
本変形例の車載装置100においては、操作検知部101によりハザードランプのON操作が検知されかつディスプレイ2の表示に対応して上記選択操作がなされたときに上記要因・目的情報の送信を開始し、上記要因・目的情報の送信停止操作がなされたときに上記要因・目的情報の送信を停止するように、送受信部104を制御する第2送信制御部106(第2送信制御手段に相当)を備える。これにより、送信解除ボタン61を用いて運転者による要因・目的情報の送信停止操作がなされたときに、要因・目的情報の送信が停止される。この結果、運転者の意思を確実に反映した形で、高い信頼性をもって上記要因・目的情報の送信停止を行うことができる。
【0098】
(2)ハザードOFF操作まで要因・目的情報ボタンを継続表示する場合
すなわち、上記
図4や
図10に対応する
図13に示すように、上記同様、本変形例においても、
図13(a)に示すディスプレイ2の表示状態から上記ハザードランプのON操作が検知されると、
図13(b)に示す要因・目的情報ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDの表示へ移行する。その後、運転者がいずれか1つの要因・目的情報ボタン51~56を選択操作すると対応する要因・目的情報の送信が開始される。このとき、本変形例では、ボタン51~56を含む上記割り込みウィンドウWDの表示はそのまま維持される。その後、前述のようにハザードランプがOFF操作されたことが検知されると、
図13(c)に示すように、上記要因・目的情報の送信が停止され、上記ボタン51~56を含む上記割り込みウィンドウWDも消失する。
【0099】
なお、ハザードランプがOFF操作されたときに上記ボタン51~56が消失するのではなく、要因・目的情報の送信が開始された後にボタン51~56の表示が維持されるとき、新たにボタン51~56の表示を解除するための「表示解除」ボタンを設けてもよい(図示省略)。この場合は、ハザードランプがOFF操作されたことが検知された後、運転者が上記「表示解除」ボタンを押すことによって、上記ボタン51~56を含む上記割り込みウィンドウWDが消失する。
【0100】
本変形例において車両Aの車載装置100が有する制御部10の機能構成は上記実施形態の
図3と同様である。
図14は、本変形例の車載装置100のCPU11により実行される情報送信方法のうち、要因・目的情報ボタンの表示及び要因・目的情報の選択設定に係わるフローであり、上記
図7及び
図12に対応する。
図7及び
図12と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0101】
図14において、このフローでは、
図7のステップS135、ステップS150、ステップS155、及びステップS160が省略されると共に、ステップS145とステップS165との間に新たにステップS157が設けられる。
【0102】
すなわち、上記
図7と同様のステップS105~ステップS125及びステップS127を経て、ステップS130においてステップS125の選択結果に対応した選択設定が行われると、上記
図7のステップS135のような要因・目的情報ボタン51~56の表示消失を行うことなく(表示継続したままで)、ステップS140に移る。上記同様のステップS140でF=1とした後、ステップS145でハザードがOFF操作されたことが判定されたら、新たに設けたステップS157に移る。
【0103】
ステップS157では、CPU11は、上記
図7のステップS135と同様、上記表示制御部103の機能により、上記ディスプレイ2に表示されていた、上記要因・目的情報ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDの表示を消失させる。その後のステップS165は
図7と同様であり、説明を省略する。
【0104】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。さらに、本変形例では、要因・目的情報ボタン51~56を選択した後、要因・目的情報が送信されている間においてもそれら要因・目的情報ボタン41~56が継続して表示されている。これにより、車両Aの運転者は、自らがどのような選択をし、車両B(及び周囲に存在するその他の車両)に対し、自らの車両Aがどのような要因・目的で徐行・停止していると報知されているか、を視覚的に確認することができる。
【0105】
(3)複数の要因・目的情報ボタンを切り替えて操作可能とする場合
すなわち、上記
図4等と同様の
図15に示すように、本変形例においても、
図15(a)に示すディスプレイ2の表示状態から上記ハザードランプのON操作が検知されると、
図15(b)に示す要因・目的情報ボタン51~56を含む割り込みウィンドウWDの表示へ移行する。その後、運転者がいずれか1つの要因・目的情報ボタン51~56(この例では「乗降」ボタン)を選択操作すると対応する要因・目的情報の送信が開始される。このとき、本変形例においても、上記(2)の変形例と同様、ボタン51~56を含む上記割り込みウィンドウWDの表示はそのまま維持される。
【0106】
そこで、運転者が、上記選択した1つの要因・目的情報ボタン51等(この例では「乗降」ボタン)とは別の、いずれか1つの要因・目的情報ボタン51等(この例では「積み下ろし」ボタン52を選択操作すると、上記「乗降」に対応する要因・目的情報の送信に代えて、上記「積み下ろし」に対応する要因・目的情報の送信が開始される。
【0107】
その後、前述のようにハザードランプがOFF操作されたことが検知されることで、
図15(d)に示すように、上記「積み下ろし」に対応する要因・目的情報の送信が停止され、上記ボタン51~56を含む上記割り込みウィンドウWDも消失する。
【0108】
本変形例において車両Aの車載装置100が有する制御部10の機能構成は上記実施形態の
図3と同様である。
図16は、本変形例の車載装置100のCPU11により実行される情報送信方法のうち、要因・目的情報ボタンの表示及び要因・目的情報の選択設定に係わるフローであり、上記
図7、
図12、
図14に対応する。
図7、
図12、
図16と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0109】
図16において、このフローでは、
図14においてステップS145の判定が満たされないとき(S145:NO)、ステップS140に戻るのではなく、ステップS125に戻るようにした点と、ステップS125の判定が満たされないとき(S125:NO)、ステップS145へ移行するようにした点が異なる。
【0110】
すなわち、ステップS125においていずれのボタンも選択されない間はステップS125の判定が満たされず(S125:NO)、ステップS145に移る。そして、ステップS145において、ハザードランプがON操作のままで判定が満たされない場合(S145:NO)、ステップS125に戻る。これにより、ボタンが選択されずハザードランプがONである間は、ステップS125→ステップS145→ステップS125・・のように各手順が繰り返される。その後、いずれか1つのボタンが選択されると、(ハザードランプがONである間は)ステップS125→ステップS130→ステップS140→ステップS145→ステップS125・・のように各手順が繰り返される。この間、前述のようにして選択操作される要因・目的情報ボタン51~56が切り替わった場合、その切り替わりの都度、それに対応したボタン選択設定が、ステップS130において上書きして行われる。この結果、前述の
図8のステップS330において位置情報に付加される要因・目的情報が、上記ボタン操作に対応した新たな情報に切り替わる。
【0111】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。また、本変形例においては、例えば複数の目的(乗員乗降と荷物の積み下ろし)のために長時間の停止や徐行を行う場合に、各目的ごとに要因・目的情報ボタン51~56を切り替えて操作することで、車両Aの正確な状態を車両Bやその他の車両に放置することができる。
【0112】
(4)その他
以上においては、車両Aから要因・目的情報が(位置情報と共に)受信されたとき、位置表示マークMAを点滅させたが、これに限られない。すなわち、車両Aから位置情報のみが受信されているときの位置表示マークMAの表示態様と、異なる表示態様であれば足りる。また点滅等の異なる表示態様で表示させるときにおいて、位置情報マークMAの傍らに、要因・目的情報が何であるかを別途表示するようにしてもよい。あるいは要因・目的情報が何であるかに応じて位置情報マークMA自体の態様を種々変化させるようにしてもよい。
【0113】
以上においては、車両A、車両Bの具体的な車両種類については特に明記しなかったが、通常の乗用車以外に、貨物車両、工事車両、緊急車両、等、その他適宜の車両に適用してもよい。
【0114】
また、上記においては、停止・徐行の要因・目的として、「乗降」「積み下ろし」「配達」「渋滞」「故障」「ガス欠」を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば上記工事車両への適用の場合には、「工事中」という目的が設定されていてもよい。この場合には、上記「渋滞」と同様、ハザードランプのOFF操作のみならず、走行速度が一定の速度以上に達した後に要因・目的情報の送信を停止すればよい。あるいはハザードランプがOFF操作されても、停車あるいはエンジン停止を保っている間は要因・目的情報の送信を継続するようにしてもよい。さらには「工事中」の目的に対応して「工事中」ボタンが上記ディスプレイ2に設けられる場合、この「工事中」ボタンが押されたときのみ、前述の送信解除ボタン61が表示されるようにしてもよい。
【0115】
さらには、以上においては、ハザードランプのON操作等に連動してディスプレイ2の画面内に要因・目的情報ボタン51~56を表示したが、これにも限られない。例えば、車両Aの他の適宜の箇所、例えばカーオーディオ機器内やインナーパネル上にそれら要因・目的情報ボタン51~56を表示するようにしてもよい。その場合、インナーパネル上の当該表示箇所は、上記同様、タッチパネル方式として運転者による上記選択操作を検出できるようにすればよい。
【0116】
また、
図7、
図8、
図9、
図12、
図14、
図16等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0117】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0118】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0119】
2 ディスプレイ(第1表示手段、第2表示手段、表示手段に相当)
11 CPU
21 CPU
51~56 要因・目的情報ボタン
61 送信解除ボタン
100 車載装置(移動体搭載送信装置に相当)
101 操作検知部(操作検知手段に相当)
101a ハザード操作判定部(ハザード操作判定手段に相当)
101b ハザード目的判定部(ハザード目的判定手段に相当)
103 表示制御部(第1表示制御手段に相当)
104 送受信部(送信手段に相当)
105 第1送信制御部(第1送信制御手段、制御手段に相当)
106 第2送信制御部(第2送信制御手段に相当)
200 車載装置(移動体搭載受信装置に相当)
201 送受信部(受信手段に相当)
202 表示制御部(第2表示制御手段に相当)
A 車両(移動体;他の移動体に相当)
B 車両(他の移動体;移動体に相当)
MP1,MP2 地図画面