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特開2024-169514情報コード読取システム、情報コード読取装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169514
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報コード読取システム、情報コード読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20241128BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20241128BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G06K7/14 039
G06K7/10 372
G06K7/14 017
G06K19/06 037
G06K19/06 131
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024159921
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2020063119の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】杉山 渉
(57)【要約】
【課題】不正な撮像による情報コードの複製を防止し得る構成を提供する。
【解決手段】情報コードCは、第1のセルCe1の明度Lr1が、第2のセルCe2の明度Lr2とマージン領域Cmの明度Lrmとの間であって、第1のセルCe1の明度Lr1と第2のセルCe2の明度Lr2と差が、第1のセルCe1の明度Lr1とマージン領域Cmの明度Lmとの差に対して十分に小さくなるように構成される。そして、情報コード読取装置30では、第1のセルCe1の明度Lp1と第2のセルCe2の明度Lp2との差が大きくなるように、撮像部33により撮像される情報コードCの撮像画像の色が補正され、この補正画像に対して情報コードCをデコードするためのデコード処理が行われる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のマージン領域に囲われるコード領域内に第1のセルと前記第1のセルに対して明度が異なる第2のセルとが複数配列されて構成される情報コードが表示される表示媒体と、
前記情報コードを光学的に読み取るための情報コード読取装置と、
を備える情報コード読取システムであって、
前記情報コードは、前記第1のセルの明度が、前記第2のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との間であって、前記コード領域の少なくとも一部を占める所定の範囲において、前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度と差が、前記第1のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との差に対して小さくなるように構成され、
前記情報コード読取装置は、
前記情報コードを撮像する撮像部と、
前記所定の範囲における前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度との差が大きくなるように、前記撮像部により撮像される撮像画像の色をガンマ補正する画像補正部と、
前記画像補正部によってガンマ補正された補正画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、
を備え、
前記表示媒体は、情報コードが印刷される紙媒体であることを特徴とする情報コード読取システム。
【請求項2】
前記所定の範囲は、前記コード領域に一致するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取システム。
【請求項3】
前記情報コードは、前記コード領域の検出に利用する位置検出パターンが前記コード領域内に配置されて構成され、
前記所定の範囲は、前記位置検出パターンを除くように設定されることを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取システム。
【請求項4】
前記所定のマージン領域が白色によって構成されるとともに前記第2のセルが黒色によって構成され、前記所定の範囲内の前記第1のセルが前記第2のセルの明度よりも僅かに高くなるような黒色に近い暗い色で構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報コード読取システム。
【請求項5】
前記所定のマージン領域が黒色によって構成されるとともに前記第2のセルが白色によって構成され、前記所定の範囲内の前記第1のセルが前記第2のセルの明度よりも僅かに低くなるような白色に近い明るい色で構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報コード読取システム。
【請求項6】
所定のマージン領域に囲われるコード領域内に第1のセルと前記第1のセルに対して明度が異なる第2のセルとが複数配列されて構成される情報コードを光学的に読み取る情報コード読取装置であって、
前記情報コードは、前記第1のセルの明度が、前記第2のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との間であって、前記コード領域の少なくとも一部を占める所定の範囲において、前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度と差が、前記第1のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との差に対して小さくなるように構成されて紙媒体に印刷され、
前記情報コードを撮像する撮像部と、
前記所定の範囲における前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度との差が大きくなるように、前記撮像部により撮像される撮像画像の色をガンマ補正する画像補正部と、
前記画像補正部によってガンマ補正された補正画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、
を備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード読取システム、情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、バーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードが様々な用途で使用されており、その使用目的も多様化しつつある。例えば、情報コードを決済に利用する用途もあり、このように情報コードを決済に利用する技術として、例えば、特許文献1に開示される済システムが知られている。この決済システムでは、店舗等での決済時に、ユーザにより、支払金額に応じた金額情報とユーザ情報とが可搬型通信端末に入力されると、この入力された情報が管理サーバに送信される。管理サーバでは、受け取った金額情報に応じてQRコードとして生成された食事券情報が可搬型通信端末に送信される。そして、ユーザにより、管理サーバから受信した食事券情報がQRコードとして表示された可搬型通信端末が提示され、店舗側では、提示されたQRコードが店舗側端末にて読み取られると、代金を請求するためにその食事券情報が管理サーバに送信される。これにより、店舗等での支払いをスムーズに行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-071799号公報
【特許文献2】特開2017-199423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、受信した情報コードを単に表示部に表示する構成では、その表示された情報コードが他の機器等にて撮像されてしまう虞がある。すなわち、携帯端末に表示された情報コードが他の機器等にて不正に撮像されることで複製されてしまうと、その撮像状況等によっては、複製された情報コードを利用した不正な処理、例えば、不正な決済処理がなされてしまう問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献2に開示される情報コード読取システムが知られている。この情報コード読取システムでは、情報コードの明色モジュール領域が反転領域とされ、暗色モジュール領域が非反転領域とされている。具体的には、明色モジュール領域が、赤外線反応インクを利用することで可視光の照射によって暗色の反射特性を示し赤外光の照射によって暗色から明色に反転する反転領域とされ、暗色モジュール領域が、通常のインクを利用する暗色の反射特性を示す非反転領域とされている。これにより、可視光が照射される通常の環境においては、暗色モジュール領域だけでなく明色モジュール領域までも暗色として視認される。また、コピー機等を利用した複写でも、情報コード全体が暗色として印刷されて、情報コードとして読み取れない印刷状態になる。その一方で、情報コード読取装置では、赤外光を照射した状態でその情報コードを撮像することで、暗色モジュール領域が暗色の領域として検出され、明色モジュール領域が明色の領域として検出されるので、その検出結果に基づいて情報コードを解読することができる。
【0006】
ところで、上述のように赤外線反応インクを利用して情報コードを生成するようなシステムでは、専用の印刷装置が必要となるために情報コードを表示する表示媒体の単価が高くなり、システムとしても低コスト化が困難になるという問題がある。また、赤外線反応インクを利用する必要があるため、例えば、画面表示するような情報コードでは上記技術を採用することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、不正な撮像による情報コードの複製を防止し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
所定のマージン領域(Cm)に囲われるコード領域(Ca)内に第1のセル(Ce1)と前記第1のセルに対して明度が異なる第2のセル(Ce2)とが複数配列されて構成される情報コード(C)が表示される表示媒体(20)と、
前記情報コードを光学的に読み取るための情報コード読取装置(30)と、
を備える情報コード読取システム(10)であって、
前記情報コードは、前記第1のセルの明度が、前記第2のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との間であって、前記コード領域の少なくとも一部を占める所定の範囲において、前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度と差が、前記第1のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との差に対して小さくなるように構成され、
前記情報コード読取装置は、
前記情報コードを撮像する撮像部(33)と、
前記所定の範囲における前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度との差が大きくなるように、前記撮像部により撮像される撮像画像の色をガンマ補正する画像補正部(31)と、
前記画像補正部によってガンマ補正された補正画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部(31)と、
を備え、
前記表示媒体は、情報コードが印刷される紙媒体であることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、
所定のマージン領域(Cm)に囲われるコード領域(Ca)内に第1のセル(Ce1)と前記第1のセルに対して明度が異なる第2のセル(Ce2)とが複数配列されて構成される情報コード(C)を光学的に読み取る情報コード読取装置(30)であって、
前記情報コードは、前記第1のセルの明度が、前記第2のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との間であって、前記コード領域の少なくとも一部を占める所定の範囲において、前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度と差が、前記第1のセルの明度と前記所定のマージン領域の明度との差に対して小さくなるように構成されて紙媒体に印刷され、
前記情報コードを撮像する撮像部(33)と、
前記所定の範囲における前記第1のセルの明度と前記第2のセルの明度との差が大きくなるように、前記撮像部により撮像される撮像画像の色をガンマ補正する画像補正部(31)と、
前記画像補正部によってガンマ補正された補正画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部(31)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、情報コードは、第1のセルの明度が、第2のセルの明度と所定のマージン領域の明度との間であって、コード領域の少なくとも一部を占める所定の範囲において、第1のセルの明度と第2のセルの明度と差が、第1のセルの明度と所定のマージン領域の明度との差に対して小さくなるように構成される。そして、情報コード読取装置では、上記所定の範囲における第1のセルの明度と第2のセルの明度との差が大きくなるように、撮像部により撮像される情報コードの撮像画像の色が画像補正部によりガンマ補正され、この補正画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理がデコード部により行われる。
【0011】
これにより、通常のカメラで本願発明の情報コードを撮像すると、上記所定の範囲では、カメラの自動露出調整機能によって、第1のセル及び第2のセルと所定のマージン領域とが明らかに異なる色として撮像される一方で、第1のセルと第2のセルとが同じ色として撮像されることとなる。すなわち、通常のカメラで不正に上記情報コードを撮像しようとしても、上記所定の範囲内では単一色として撮像されるため、上記情報コードを読み取る可能に撮像できないので、不正な撮像による情報コードの複製を防止することができる。これに対して、本願発明の情報コード読取装置を利用して上記情報コードを撮像すると、上記所定の範囲では第1のセルの明度と第2のセルの明度との差が大きくなるようにガンマ補正されるので、この補正画像に対してデコード処理を行うことで、上記情報コードをデコードすることができる。
【0012】
請求項2の発明では、上記所定の範囲は、コード領域に一致するように設定される。これにより、コード領域全体が単一色として視認されやすくなるので、情報コードの存在自体を秘匿することができる。
【0013】
請求項3の発明では、上記所定の範囲は、コード領域の検出に利用する位置検出パターンを除くように設定される。これにより、情報コード読取装置を操作するユーザは、容易に視認される位置検出パターンを基準にコード領域の位置を把握できるので、情報コードに対して情報コード読取装置を向けやすくすることができる。
【0014】
請求項4の発明では、所定のマージン領域が白色によって構成されるとともに第2のセルが黒色によって構成され、所定の範囲内の第1のセルが第2のセルの明度よりも僅かに高くなるような黒色に近い暗い色で構成される。これにより、通常のカメラでは、所定のマージン領域が白色で撮像される一方で、上記所定の範囲内では黒一色で撮像されるため、不正な撮像による情報コードの複製を防止することができる。
【0015】
請求項5の発明では、所定のマージン領域が黒色によって構成されるとともに第2のセルが白色によって構成され、所定の範囲内の第1のセルが第2のセルの明度よりも僅かに低くなるような白色に近い明るい色で構成される。これにより、通常のカメラでは、所定のマージン領域が黒色で撮像される一方で、上記所定の範囲内では白一色で撮像されるため、不正な撮像による情報コードの複製を防止することができる。
【0016】
請求項6の発明では、請求項1と同様の効果を奏する情報コード読取装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る情報コード読取システムの概略構成を示す説明図である。
図2図1の携帯端末の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る情報コードを説明する説明図である。
図4】通常のカメラで図3に示す情報コードを撮像した撮像画像を説明する説明図である。
図5】通常のカメラで図3の情報コードを撮像した際の、撮像対象の明度の範囲と撮像画像での明度の範囲との関係を説明する説明図である。
図6図1の情報コード読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図7】情報コード読取装置の制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図8】第1実施形態における撮像対象の明度の範囲と補正画像での明度の範囲との関係を説明する説明図である。
図9図3に示す情報コードの撮像画像を補正した補正画像を説明する説明図である。
図10】第1実施形態の変形例に係る情報コードを説明する説明図である。
図11】第2実施形態に係る情報コードを説明する説明図である。
図12】第2実施形態における撮像対象の明度の範囲と補正画像での明度の範囲との関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取システム、情報コード読取装置及び情報コードを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コード読取システム10は、不正な撮像による情報コードの複製を防止するためのシステムである。この情報コード読取システム10は、複製防止を要する情報コード(以下、単に、情報コードCともいう)が画面表示される表示媒体として機能する携帯端末20と、携帯端末20に画面表示された情報コードCを光学的に読み取る情報コード読取装置30とを備えている。
【0019】
まず、携帯端末20について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態に係る携帯端末20は、例えば、ユーザが所持するスマートフォン等の携帯型の情報処理端末に情報コードCを生成して表示するためのアプリケーションプログラム(以下、情報コード表示アプリともいう)がインストールされて構成されるものである。この携帯端末20は、主に、図2に示すように、CPU等からなる制御部21、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部22、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部23、タッチパネル式の表示部24、各種操作キーやタッチパネル等(図示略)によって構成される操作部25、外部機器と無線または有線にて通信可能な通信インタフェースとして構成される通信部26などを備えている。
【0020】
このように構成される携帯端末20では、情報コード読取装置30に読み取らせる情報コードCを表示部24の表示画面24aに表示する際に、上記情報コード表示アプリを起動することで、制御部21により情報コード表示処理が開始される。この情報コード表示処理では、情報コード読取装置30に読み取らせるべき個人情報や決済情報等の秘匿情報を記録したQRコード等が生成された後、通常のカメラで読み取り可能に撮像できないようにするために、このQRコード等の一部のセルの色を変えた情報コードCが表示画面24aに表示される。
【0021】
以下、携帯端末20にて画面表示される情報コードCについて、図3を参照して詳述する。
図3に示すように、携帯端末20の表示画面24aに画面表示される情報コードCは、いわゆるQRコードであって、四角環状に設けられる所定幅のマージン領域(以下、単に、マージン領域Cmともいう)に囲われるコード領域Ca内に明度が異なる2種類のセル(第1のセルCe1及び第2のセルCe2)が複数配列されて構成される。コード領域Caの三隅には、コード領域Caの検出に利用する位置検出パターンCfが、第1のセルCe1及び第2のセルCe2を利用して形成されるようにして配置される。
【0022】
本実施形態では、第1のセルCe1の明度が、第2のセルCe2の明度とマージン領域Cmの明度との間であって、コード領域Caの全範囲において、第1のセルCe1の明度と第2のセルCe2の明度と差が、第1のセルCe1の明度とマージン領域Cmの明度との差に対して十分に小さくなるように構成される。具体的には、マージン領域Cmが白色(例えば、256階調のグレースケールで「255」)によって構成されるとともに第2のセルCe2が黒色(例えば、256階調のグレースケールで「0」)によって構成され、第1のセルCe1が黒色に近い濃いグレー色(例えば、256階調のグレースケールで「10」)で構成される。なお、第1のセルCe1は、256階調のグレースケールで「10」となるように構成されることに限らず、通常のカメラの自動露出調整機能によって第2のセルCe2とほぼ同じ色と判断され得る値、例えば、256階調のグレースケールで「〇〇」~「〇〇」程度となるように構成されてもよい。なお、図3では、説明の便宜上、第1のセルCe1を第2のセルCe2と区別しやすい色で図示している。
【0023】
このように、本実施形態では、第2のセルCe2は、暗色系のセルとして機能し、第1のセルCe1は、明色系のセルとして機能するため、情報コードCを撮像した撮像画像から、第1のセルCe1を明色系のセルとして検出するとともに第2のセルCe2を暗色系のセルとして検出することで、情報コードCに記録される秘匿情報をデコードすることができる。
【0024】
その一方で、通常のカメラを用いて図3に示す情報コードCを撮像すると、コード領域Caでは、カメラの自動露出調整機能によって、図4に例示する撮像画像Pのように、コード領域Caが黒一色として撮像される。
【0025】
以下、通常のカメラでは、コード領域Caが黒一色として撮像されてしまう理由について説明する。
通常のカメラの自動露出調整機能では、撮像視野に白色(明度Lrm)のマージン領域Cmと黒色(明度Lr2)の第2のセルCe2とが入るために、図5に例示するように、撮像対象の明度の範囲が大きくなり、デコード用の撮像画像での明度の範囲もマージン領域Cmの明度Lpmと第2のセルCe2の明度Lp2とによって大きくなる。その一方で、第1のセルCe1の明度Lr1と第2のセルCe2の明度Lr2との差が小さいために、撮像画像での第1のセルCe1が占める範囲の明度Lp1と、撮像画像での第2のセルCe2が占める範囲の明度Lp2とがほぼ同じ値になる。
【0026】
このため、第1のセルCe1及び第2のセルCe2とマージン領域Cmとが明らかに異なる色として撮像される一方で、第1のセルCe1と第2のセルCe2とが同じ黒色として撮像される。すなわち、通常のカメラで不正に情報コードCを撮像しようとしても、コード領域Caが単一色として撮像されるため、情報コードCを読み取る可能に撮像できなくすることができる。
【0027】
次に、上述のように構成される情報コードCを光学的に読み取るための情報コード読取装置30について、図1及び図6を参照して詳述する。
本実施形態に係る情報コード読取装置30は、QRコード等情報コードや文字情報を光学的に読み取る装置であって、情報コードの読取結果を利用して所定のサービスを提供する店舗等に設置されている。この情報コード読取装置30は、図6に示すように、CPUからなる制御部31、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部32、撮像部33、液晶表示器などからなる表示部34、LEDなどからなる発光部35、各種操作キー(図示略)によって構成される操作部36、上位端末等の外部機器と有線通信或いは無線通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部37などを備えている。
【0028】
撮像部33は、C-MOSやCCD等の固体撮像素子を二次元に配列したエリアセンサを備えるカメラとして構成されるもので、制御部31により制御された状態で、撮像面上に結像された情報コード等の被写体の光学像を電気信号(画像信号)に変換して画像データを取得するように機能する。
【0029】
図1に示すように、情報コード読取装置30の外郭を構成するケース38の上面には、情報コード等がかざされる略矩形状の読取口39が設けられており、撮像部33は、読取口39にかざされた情報コード等からの反射光を受光して撮像するようにケース38内に収容されている。
【0030】
上述のように構成される情報コード読取装置30の記憶部32には、本発明に係る情報コードCを読み取るための読取処理に関するアプリケーションプログラムが制御部31により実行可能に予め格納されており、このアプリケーションプログラムが実行されることで、光学的に読み取った情報コードCに記録される所定の情報を利用した処理が実行される。
【0031】
次に、上述のように構成される情報コード読取装置30の制御部31において、図3に例示する情報コードCを撮像して読み取る際に実行される読取処理を例に、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
操作部36に対する所定の操作に応じて制御部31により読取処理が開始されると、図7のステップS101に示す撮像処理がなされ、撮像部33により情報コードC等が撮像可能な状態になる。
【0033】
続いて、ステップS103に示す画像補正処理がなされ、撮像画像における第1のセルCe1の明度Lp1と第2のセルCe2の明度Lp2との差が大きくなるように、撮像画像の色が補正される。具体的には、本実施形態では、図8に例示するように、撮像部33からの画像データが、明度Lp1と明度Lp2との差が大きくなるようにガンマ補正される。これにより、図9に例示する撮像画像Pのように、撮像画像上で濃いグレー色となっている第1のセルCe1の色が、第2のセルCe2の黒色と明確に区別できる程度まで明るく補正される。なお、ステップS103に示す画像補正処理を行う制御部31は、「画像補正部」の一例に相当し得る。
【0034】
上述のように撮像画像が補正されると、ステップS105に示すデコード処理にて、上記補正画像に対して情報コードCをデコードするための処理がなされる。そして、このデコード処理が成功すると(S107でYes)、このデコード結果が通信部37を介して上位端末に出力されて(S109)、本読取処理が終了する。一方、デコード処理が失敗すると(S107でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。なお、上記ステップS105に示すデコード処理を行う制御部31は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、情報コードCは、第1のセルCe1の明度Lr1が、第2のセルCe2の明度Lr2とマージン領域Cmの明度Lrmとの間であって、第1のセルCe1の明度Lr1と第2のセルCe2の明度Lr2と差が、第1のセルCe1の明度Lr1とマージン領域Cmの明度Lmとの差に対して十分に小さくなるように構成される。そして、情報コード読取装置30では、第1のセルCe1の明度Lp1と第2のセルCe2の明度Lp2との差が大きくなるように、撮像部33により撮像される情報コードCの撮像画像の色が補正され、この補正画像に対して情報コードCをデコードするためのデコード処理が行われる。
【0036】
これにより、通常のカメラで情報コードCを撮像すると、カメラの自動露出調整機能によって、第1のセルCe1及び第2のセルCe2とマージン領域Cmとが明らかに異なる色として撮像される一方で、第1のセルCe1と第2のセルCe2とが同じ色として撮像されることとなる。すなわち、通常のカメラで不正に情報コードCを撮像しようとしても、コード領域Caが単一色として撮像されるため、情報コードCを読み取る可能に撮像できないので、不正な撮像による情報コードCの複製を防止することができる。これに対して、情報コード読取装置30を利用して情報コードCを撮像すると、第1のセルCe1の明度Lp1と第2のセルCe2の明度Lp2との差が大きくなるように補正されるので、この補正画像に対してデコード処理を行うことで、情報コードCをデコードすることができる。
【0037】
特に、情報コードCが表示される表示媒体は、情報コードCを画面表示可能な表示装置として機能する携帯端末20であるため、画面表示されるような情報コードCであっても、不正な撮像による情報コードCの複製を防止することができる。
【0038】
なお、情報コードCは、上述したようにコード領域Ca内にて明色系セルとなる全ての第1のセルCe1が第2のセルCe2の明度との差を小さくするように構成されることに限らず、一部の第1のセルCe1のみが第2のセルCe2の明度との差を小さくするように構成されてもよい。すなわち、情報コードCは、コード領域Caの少なくとも一部を占める所定の範囲において、第1のセルCe1の明度Lr1と第2のセルCe2の明度Lr2と差が、第1のセルCe1の明度Lr1とマージン領域Cmの明度Lrmとの差に対して十分に小さくなるように構成されてもよい。なお、情報コードCが誤り訂正機能を有する場合には、上記所定の範囲は、誤り訂正可能な範囲を超えるように設定される。
【0039】
例えば、本実施形態の変形例として、図10に例示する情報コードCのように、上記所定の範囲は、コード領域Caの検出に利用する位置検出パターンCfを除くように設定されてもよい。このような構成では、情報コード読取装置30を操作するユーザは、容易に視認される位置検出パターンCfを基準にコード領域Caの位置を把握できるので、情報コードCに対して情報コード読取装置30を向けやすくすることができる。
【0040】
その一方で、上述した図3に示すように、上記所定の範囲がコード領域Caに一致するように設定されることで、コード領域Ca全体が単一色として視認されやすくなるので、情報コードCの存在自体を秘匿することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に係る情報コード読取システム、情報コード読取装置及び情報コードについて、図11及び図12を参照して説明する。
本第2実施形態では、図11に示すように、情報コードCのマージン領域Cmが黒色によって構成されるとともに第2のセルCe2が白色によって構成され、第1のセルCe1が白色に近い色(例えば、256階調のグレースケールで「245」)で構成される点が、上記第1実施形態と主に異なる。なお、図11では、説明の便宜上、第1のセルCe1を第2のセルCe2と区別しやすい色で図示している。
【0042】
このため、上記ステップS103に示す画像補正処理では、図12に例示するように、撮像部33からの画像データが、明度Lp1と明度Lp2との差が大きくなるようにガンマ補正される。これにより、撮像画像上で白色に近い色となっている第1のセルCe1の色が、第2のセルCe2の白色と明確に区別できる程度まで暗く補正される。
【0043】
これにより、通常のカメラで図11の情報コードCを撮像した場合には、第1のセルCe1の明度Lr1と第2のセルCe2の明度Lr2との差が小さいために、撮像画像での第1のセルCe1が占める範囲の明度と、撮像画像での第2のセルCe2が占める範囲の明度とがほぼ同じ値になる。このため、マージン領域Cmが黒色で撮像される一方で、コード領域Caが白一色で撮像されるため、不正な撮像による情報コードCの複製を防止することができる。これに対して、情報コード読取装置30を利用して情報コードCを撮像すると、図12からわかるように、第1のセルCe1の明度Lp1と第2のセルCe2の明度Lp2との差が大きくなるように補正されるので、この補正画像に対してデコード処理を行うことで、情報コードCをデコードすることができる。
【0044】
なお、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、情報コードCは、コード領域Caの少なくとも一部を占める所定の範囲において、第1のセルCe1の明度Lr1と第2のセルCe2の明度Lr2と差が、第1のセルCe1の明度Lr1とマージン領域Cmの明度Lrmとの差に対して十分に小さくなるように構成されてもよい。
【0045】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る情報コードCは、携帯端末20のような表示装置にて画面表示されることに限らず、他の表示媒体、例えば、紙媒体に印刷されて表示されてもよい。
【0046】
(2)上記第1実施形態に係る情報コードCは、マージン領域Cmが白色となるように構成されることに限らず、白色に近い明るい色に構成されればよい。また、上記第1実施形態に係る情報コードCは、第2のセルCe2が黒色となるように構成されることに限らず、第1のセルCe1の明度よりも僅かに低くなるような黒色に近い暗い色に構成されればよい。
【0047】
(3)上記第2実施形態に係る情報コードCは、マージン領域Cmが黒色となるように構成されることに限らず、黒色に近い暗い色に構成されればよい。また、上記第2実施形態に係る情報コードCは、第2のセルCe2が白色となるように構成されることに限らず、第1のセルCe1の明度よりも僅かに高くなるような白色に近い明るい色に構成されればよい。
【0048】
(4)本発明に係る情報コードCは、QRコードとして構成されることに限らず、他のコード種別の情報コード、例えば、バーコードやデータマトリックスコード、マキシコード等として構成されてもよい
【符号の説明】
【0049】
10…情報コード読取システム
20…携帯端末(表示媒体,表示装置)
30…情報コード読取装置
31…制御部(画像補正部,デコード部)
33…撮像部
C…情報コード
Ca…コード領域
Ce1…第1のセル
Ce2…第2のセル
Cf…位置検出パターン
Cm…マージン領域
図1
図2
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図10
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図12