(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169524
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】充放電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241128BHJP
H04L 25/52 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H04L25/52 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160404
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2020169248の分割
【原出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】石橋 輝人
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】狩野 利晴
(72)【発明者】
【氏名】田口 秀樹
(57)【要約】
【課題】コストの上昇を招くことなく、簡単な構成で、より多くの電源を管理可能な充放電装置を提供する。
【解決手段】充放電可能な複数の二次電池にそれぞれ接続可能な複数の電源と、複数の電源をそれぞれ制御する複数の個別制御部との間で信号の送受信を行う充放電制御手段とを備え、充放電制御手段との信号の送受信により個別制御部で電源を制御して、各二次電池の充放電を行う充放電装置10であり、充放電制御手段に接続された通信網Aと、通信網Aに並列に接続され、信号の送受信を行う複数の信号伝送モジュール11と、各信号伝送モジュール11に接続された通信網Bと、通信網Bに並列に接続され、信号の送受信を行う複数の信号伝送モジュール12と、各信号伝送モジュール12に接続され、各個別制御部が並列に接続された通信網Cとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な複数の二次電池にそれぞれ接続可能な複数の電源と、該複数の電源をそれぞれ制御する複数の個別制御部との間で信号の送受信を行う充放電制御手段とを備え、該充放電制御手段との信号の送受信により前記個別制御部で前記電源を制御して、前記各二次電池の充放電を行う充放電装置において、
前記充放電制御手段に接続された通信網aと、
前記通信網aに接続され、信号の送受信を行う信号伝送モジュールaと、
前記信号伝送モジュールaに接続され、それぞれ前記個別制御部が並列に接続された複数の通信網bとを有することを特徴とする充放電装置。
【請求項2】
請求項1記載の充放電装置において、前記通信網aには、複数の前記信号伝送モジュールaが並列に接続されていることを特徴とする充放電装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の充放電装置において、前記通信網bは、前記信号伝送モジュールaが備える複数の接続ポートaにそれぞれ接続されていることを特徴とする充放電装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の充放電装置において、前記信号伝送モジュールaが備える複数の接続ポートaにはそれぞれ通信網cが接続され、前記通信網bは前記通信網cに、該通信網cに接続された信号の送受信を行う信号伝送モジュールcを介して接続されていることを特徴とする充放電装置。
【請求項5】
請求項4記載の充放電装置において、前記通信網cには、複数の前記信号伝送モジュールcが並列に接続されていることを特徴とする充放電装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の充放電装置において、前記充放電制御手段は前記通信網aがそれぞれ接続される複数の接続ポートを備え、該充放電制御手段に複数の前記通信網aが並列に接続されていることを特徴とする充放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池の充放電を行う充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車、その他の電気製品等において、リチウムイオン電池やニッケル水素電池を始めとする充放電可能な二次電池が広く使用されている。
この電池の製造においては、従来の充放電用電池と同様、製造した電池の充放電試験を行い、電池が所定の性能や特性を満たしているか否かを検査してから出荷している。
この充放電試験は、複数の二次電池を、厚さ方向に並べてトレイに収容した状態で、充放電装置の電源(充放電電源、電源装置)を、充放電プローブを介して各二次電池の端子(正極及び負極)にそれぞれ接続することで行われている。
【0003】
しかし、充放電装置の制御において差動信号伝送で通信する場合、1つの通信網に全ての電源を紐づけて形成するのは困難であり、セントラルコントローラ(CTRL)が管理するネットワークにより、多くの電源を紐付ける方が、コストの面でも有利となる。
そのため、複数の通信網を形成する技術として、例えば、特許文献1に開示の信号伝送モジュールは有効な手段である。この信号伝送モジュールは、第1の通信網と第2の通信網との間に接続され、この第1、第2の通信網の間で信号の伝送を行うように構成され、信号を受けるレシーバと受信した信号を送るドライバとを備えている。
【0004】
上記した特許文献1では、RS485(RS-485)という規格を採用している。この規格は、EIA(Electronic Industries Association:米国電子工業会)の通信規格であり、多くの工業用通信ネットワーク・プロトコルで採用されている。なお、RS485では、電気的仕様から1つの通信網に接続できるノードの数が32台と規定されているため、例えば、第1の通信網をRS485メイン通信網とし、第2の通信網をRS485サブ通信網とした場合、第2の通信網全体では最大992(32×31)台のノード(電源)を接続することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、充放電装置に特許文献1に開示の技術を適用しようとした場合、充放電装置では装置の構造上、電源をサブ通信網に、例えば、2~10個程度しか接続する必要はなく、必ずしも最大個数(31個)の電源を接続する訳ではないため、より多くの電源をネットワークに接続するためには、サブ通信網を拡張する必要があった。一方、サブ通信網に接続可能な電源の最大個数は31個に制限されるため、更なる拡張が困難であった。
このため、1台のセントラルコントローラで管理可能な電源の数が制限され、装置コストの上昇を招いていた。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、コストの上昇を招くことなく、簡単な構成で、より多くの電源を管理可能な充放電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う第1の発明に係る充放電装置は、充放電可能な複数の二次電池にそれぞれ接続可能な複数の電源と、該複数の電源をそれぞれ制御する複数の個別制御部との間で信号の送受信を行う充放電制御手段とを備え、該充放電制御手段との信号の送受信により前記個別制御部で前記電源を制御して、前記各二次電池の充放電を行う充放電装置において、
前記充放電制御手段に接続された通信網Aと、
前記通信網Aに並列に接続され、信号の送受信を行う複数の信号伝送モジュールAと、
前記各信号伝送モジュールAに接続された通信網Bと、
前記通信網Bに並列に接続され、信号の送受信を行う複数の信号伝送モジュールBと、
前記各信号伝送モジュールBに接続され、前記個別制御部が並列に接続された通信網Cとを有する。
【0009】
第1の発明に係る充放電装置において、前記充放電制御手段は前記通信網Aがそれぞれ接続される複数の接続ポートを備え、該充放電制御手段に複数の前記通信網Aが並列に接続されていることが好ましい。
【0010】
前記目的に沿う第2の発明に係る充放電装置は、充放電可能な複数の二次電池にそれぞれ接続可能な複数の電源と、該複数の電源をそれぞれ制御する複数の個別制御部との間で信号の送受信を行う充放電制御手段とを備え、該充放電制御手段との信号の送受信により前記個別制御部で前記電源を制御して、前記各二次電池の充放電を行う充放電装置において、
前記充放電制御手段に接続された通信網aと、
前記通信網aに接続され、信号の送受信を行う信号伝送モジュールaと、
前記信号伝送モジュールaに接続され、それぞれ前記個別制御部が並列に接続された複数の通信網bとを有する。
【0011】
第2の発明に係る充放電装置において、前記通信網aには、複数の前記信号伝送モジュールaが並列に接続されていることが好ましい。
【0012】
第2の発明に係る充放電装置において、前記通信網bは、前記信号伝送モジュールaが備える複数の接続ポートaにそれぞれ接続されていることが好ましい。
【0013】
第2の発明に係る充放電装置において、前記信号伝送モジュールaが備える複数の接続ポートaにはそれぞれ通信網cが接続され、前記通信網bは前記通信網cに、該通信網cに接続された信号の送受信を行う信号伝送モジュールcを介して接続されていることが好ましい。
【0014】
第2の発明に係る充放電装置において、前記通信網cには、複数の前記信号伝送モジュールcが並列に接続されていることが好ましい。
【0015】
第2の発明に係る充放電装置において、前記充放電制御手段は前記通信網aがそれぞれ接続される複数の接続ポートを備え、該充放電制御手段に複数の前記通信網aが並列に接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る充放電装置は、充放電制御手段に接続された通信網Aに並列に接続され、信号の送受信を行う複数の信号伝送モジュールAと、各信号伝送モジュールAに接続された通信網Bに並列に接続され、信号の送受信を行う複数の信号伝送モジュールBと、各信号伝送モジュールBに接続され、個別制御部が並列に接続された通信網Cとを有する。これにより、例えば、通信網AをRS485メイン通信網とし、通信網BをRS485サブ通信網n(n:最大32)とし、通信網CをRS485サブ通信網n-m(m:最大31)とした場合、RS485サブ通信網nに接続可能な個別制御部(電源)の最大個数に制限されることなく、通信網を拡張できる。
第2の発明に係る充放電装置は、充放電制御手段に接続された通信網aに接続され、信号の送受信を行う信号伝送モジュールaと、この信号伝送モジュールaに接続され、それぞれ個別制御部が並列に接続された複数の通信網bとを有する。これにより、例えば、通信網aをRS485メイン通信網とし、通信網bをRS485サブ通信網とした場合、RS485メイン通信網に接続可能な個別制御部(電源)の最大個数に制限されることなく、通信網を拡張できる。
従って、コストの上昇を招くことなく、簡単な構成で、より多くの電源を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る充放電装置の通信網全体を示す説明図である。
【
図2】同充放電装置の通信網間に接続された信号伝送モジュールの内部構成を示す説明図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る充放電装置の通信網全体を示す説明図である。
【
図4】同充放電装置の通信網間に接続された信号伝送モジュールの内部構成を示す説明図である。
【
図5】変形例に係る信号伝送モジュールの内部構成を示す説明図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態に係る充放電装置の通信網全体を示す説明図である。
【
図7】本発明の第4の実施の形態に係る充放電装置の通信網全体を示す説明図である。
【
図8】本発明の第5の実施の形態に係る充放電装置の通信網全体を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る充放電装置10は、充放電可能な複数(本実施の形態では60個)の二次電池にそれぞれ接続可能な複数(本実施の形態では60個)の電源と、これらの電源をそれぞれ制御する複数(60個)のノード1~60のCTRL(個別制御部の一例)との間で信号の送受信を行う1つのセントラルCTRL(充放電制御手段の一例)とを備え、セントラルCTRLとの信号の送受信により各CTRLで電源を制御して、各二次電池の充放電を行う装置である。
以下、詳しく説明する。
【0019】
充放電装置10は、複数の二次電池が収容されたトレイを収納するための収容部が設けられた充放電棚(図示しない)を有している。この二次電池には、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等、種々あるが、充放電可能な電池であれば特に限定されるものではない。
収容部内であって、トレイに並べて配置された複数の二次電池の上方には、各二次電池の端子(正極と負極)に当接可能な対となる充放電プローブピン(コンタクトピン)が配置され、この充放電プローブピンが電源(充放電電源)に接続されている。
【0020】
使用にあっては、固定配置された充放電プローブピンに対し、二次電池が収容配置されたトレイを上昇させることで、又は、位置決めされたトレイに対し、充放電プローブピンを下降させることで、充放電プローブピンと二次電池の端子とを接触させ、複数の二次電池に、これに対応する電源がそれぞれ、電力線と電圧センシング線を介して接続される。
なお、電源は、ここでは、一つの二次電池に対して一つ使用されるものであるが、例えば、複数の二次電池に対して一つ使用することもできる。
【0021】
複数の電源はそれぞれ、1つのセントラルCTRL(例えば、制御パソコン)との間で信号の送受信を行うノード1~60(60台)のCTRL(コントローラ)で制御される。
セントラルCTRLには、充放電試験プログラムが記憶(格納)され、セントラルCTRLから送信される充放電試験プログラムの信号を、各CTRLが受信することで、各電源の制御が行われる。このとき、セントラルCTRLから全てのCTRLに情報を送り、要求を受けたCTRLはセントラルCTRLに返答を返す(即ち、セントラルCTRLとCTRLとの間の信号の送受信は、セントラルCTRLからCTRLへは1対複数で、CTRLからセントラルCTRLへは1対1で、行われる)。
なお、各電源では、ノード1~60のCTRLにより同じ充放電試験を遂行することが可能であるが、各電源ごとに異なる充放電試験を遂行することも可能である。
【0022】
図1、
図2に示すように、セントラルCTRLは、インタフェースとしてRS485DRポート(接続ポートの一例)を備えたコントローラを有しており、このコントローラ(RS485DRポート)にメイン通信網(通信網Aの一例)が接続されている。なお、
図1中の「RS485DR」の「DR」は、ドライバ/レシーバ(Driver/Receiver)の略である(他の図も同様)。
図1に示すように、メイン通信網には、2台の信号伝送モジュール(信号伝送モジュールAの一例)11が並列に接続されている。なお、メイン通信網に接続可能な信号伝送モジュール11の最大数は31台である。
【0023】
各信号伝送モジュール11には、サブ通信網n(通信網Bの一例:n=1、2)が接続され、このサブ通信網n(ここでは2本、最大31本)にそれぞれ、30台(最大31台)の信号伝送モジュール(信号伝送モジュールBの一例)12が並列に接続されている。信号伝送モジュール12には、それぞれサブ通信網n-m(通信網Cの一例)が接続され、1本のサブ通信網nに接続される信号伝送モジュール12の台数と同じ30本(最大31本)のサブ通信網n-m(m=1~30)にそれぞれ、2台のCTRLが並列に接続されている。なお、サブ通信網n-mに接続されるCTRLの台数は、充放電装置10の場合、多くても10台程度(例えば、15台以下)である。
【0024】
ここで、信号伝送モジュール11の内部構成について、
図2を参照しながら説明する(信号伝送モジュール12も同様)。
メイン通信網には、そのバス中の両端に終端抵抗13が接続されており、サブ通信網nにはそのバス中の両端に終端抵抗14が接続されている。
また、
図2において、メイン通信網の左側のラインをLMA、右側のラインをLMBとし、サブ通信網nの左側のラインをLSA、右側のラインをLSBとする。
【0025】
信号伝送モジュール11は、メイン通信網からの信号を受けるレシーバR1と、サブ通信網nからの信号を受けるレシーバR2と、サブ通信網nからレシーバR2を介して受信した信号をメイン通信網に送るドライバD1と、メイン通信網からレシーバR1を介して受信した信号をサブ通信網nに送るドライバD2と、レシーバR1、R2及びドライバD1、D2の動作状態を制御する伝送制御回路15とを備えている。
【0026】
この信号伝送モジュール11において、ドライバD1とレシーバR1とは第1のドライバ/レシーバ回路(RS485DR)16の構成要素とされ、ドライバD2とレシーバR2とは第2のドライバ/レシーバ回路(RS485DR)17の構成要素とされている。なお、レシーバR1、R2において、IN1は非反転入力端、IN2は反転入力端、SE1は反転制御入力端を示している。また、ドライバD1、D2において、OUT1は非反転出力端、OUT2は反転出力端、SE2は非反転制御入力端を示している。
【0027】
この信号伝送モジュール11において、伝送制御回路15はインバータINVを備え、インバータINVにはサブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求の有無を示す信号が入力されるものとなっている。この場合、サブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求がある時には論理レベル「1」の信号が入力され、サブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求がない時には論理レベル「0」の信号が入力される。なお、インバータINVは、このサブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求の有無を示す信号を反転して出力する。
【0028】
サブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求の有無を示す信号、即ち、インバータINVによって反転される前の送信要求の有無を示す信号は、制御信号ラインSL1を介してレシーバR1の反転制御入力端SE1及びドライバD1の非反転制御入力端SE2へ与えられるものとされている。
また、インバータINVによって反転された後の送信要求の有無を示す信号は、制御信号ラインSL2を介してレシーバR2の反転制御入力端SE1及びドライバD2の非反転制御入力端SE2へ与えられるものとされている。
【0029】
信号伝送モジュール11において、レシーバR1の非反転入力端IN1にはメイン通信網の左側のラインLMAに生じる信号が入力され、レシーバR1の反転入力端IN2にはメイン通信網の右側のラインLMBに生じる信号が入力される。
また、レシーバR2の非反転入力端IN1にはサブ通信網nの左側のラインLSAに生じる信号が入力され、レシーバR2の反転入力端IN2にはサブ通信網nの右側のラインLSBに生じる信号が入力される。
【0030】
ドライバD1の非反転出力端OUT1からは、このドライバD1からの非反転出力信号がメイン通信網の左側のラインLMAに出力され、ドライバD1の反転出力端OUT2からは、このドライバD1からの反転出力信号がメイン通信網LMの右側のラインLMBに出力される。
また、ドライバD2の非反転出力端OUT1からは、このドライバD2からの非反転出力信号がサブ通信網nの左側のラインLSAに出力され、ドライバD2の反転出力端OUT2からは、このドライバD2からの反転出力信号がサブ通信網nの右側のラインLSBに出力される。
【0031】
上記した構成において、サブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求がある場合は、以下のように動作する。
信号伝送モジュール11において、サブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求がある場合、インバータINVには論理レベル「1」の信号が入力される。このため、制御信号ラインSL1を介してレシーバR1の反転制御入力端SE1及びドライバD1の非反転制御入力端SE2に論理レベル「1」の信号が送られ、ドライバD1が動作状態、レシーバR1が非動作状態とされる。また、制御信号ラインSL2を介してレシーバR2の反転制御入力端SE1及びドライバD2の非反転制御入力端SE2に論理レベル「0」の信号が送られ、レシーバR2が動作状態、ドライバD2が非動作状態とされる。
【0032】
これにより、メイン通信網からサブ通信網nへ向かう信号の伝送経路が遮断され、サブ通信網nからメイン通信網へ向かう信号の伝送経路を通して、即ち、レシーバR2からドライバD1へ向かう信号の伝送経路を通して、サブ通信網nからの信号がメイン通信網へ送られる。
【0033】
また、サブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求がない場合は、以下のように動作する。
信号伝送モジュール11において、サブ通信網nからメイン通信網への信号の送信要求がない場合、インバータINVには論理レベル「0」の信号が入力される。このため、制御信号ラインSL1を介してレシーバR1の反転制御入力端SE1及びドライバD1の非反転制御入力端SE2に論理レベル「0」の信号が送られ、レシーバR1が動作状態、ドライバD1が非動作状態とされる。また、制御信号ラインSL2を介してレシーバR2の反転制御入力端SE1及びドライバD2の非反転制御入力端SE2に論理レベル「1」の信号が送られ、ドライバD2が動作状態、レシーバR2が非動作状態とされる。
【0034】
これにより、サブ通信網nからメイン通信網へ向かう信号の伝送経路が遮断され、メイン通信網からサブ通信網nへ向かう信号の伝送経路を通して、即ち、レシーバR1からドライバD2へ向かう信号の伝送経路を通して、メイン通信網からの信号がサブ通信網nに送られる。
【0035】
次に、
図3、
図4を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る充放電装置20について説明するが、前記した充放電装置10と同一部材については同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
充放電装置20は、前記した充放電装置10と同様、複数の二次電池が収容されたトレイを収納するための収容部が設けられた充放電棚を有し、この収容部内であって、トレイに並べて配置された複数の二次電池の上方には、各二次電池の端子(正極と負極)に当接可能な対となる充放電プローブピンが配置され、この充放電プローブピンが電源(充放電電源)に接続されている。
【0036】
複数の電源はそれぞれ、セントラルCTRL(充放電制御手段の一例)との間で信号の送受信を行うノード1~10(合計10台)のCTRL(コントローラ、個別制御部の一例)で制御される。
図3に示すように、セントラルCTRLに接続されたメイン通信網(通信網aの一例)には、2台の信号伝送モジュール(信号伝送モジュールaの一例)21、22が並列に接続されている。なお、メイン通信網に接続可能な信号伝送モジュール21、22の最大数は、合計で31台である。
信号伝送モジュール21、22にはそれぞれ、2本と3本のサブ通信網n(通信網bの一例:n=1~5)が接続され、各サブ通信網nに、2台のCTRLが並列に接続されている。なお、1本のサブ通信網nに接続されるCTRLの台数は、充放電装置20では多くても10台程度(例えば、15台以下)である。
【0037】
ここで、信号伝送モジュール21の内部構成について、
図4を参照しながら説明するが、基本構成は、前記した信号伝送モジュール11と略同様であるため、同一部材には同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
信号伝送モジュール21は、2本のサブ通信網n(n=1、2)を並列に接続するための2つの接続ポート(RS485DRポート:接続ポートa)を備えるものである。なお、信号伝送モジュール22は、3本のサブ通信網n(n=1、2)を並列に接続するための3つの接続ポート(RS485DRポート:接続ポートa)を備えるものであり、接続ポートの数が異なること以外は、信号伝送モジュール21と略同様の構成である。
【0038】
信号伝送モジュール21は、1つの第1のドライバ/レシーバ回路(RS485DR)16と、2つの第2のドライバ/レシーバ回路(RS485DR)17と、第1、第2のドライバ/レシーバ回路16、17の構成要素であるレシーバR1、R2及びドライバD1、D2の動作状態を制御する伝送制御回路23とを備えている。
伝送制御回路23は2つのインバータINV1、2を備え、インバータINV1にはサブ通信網1からメイン通信網への信号の送信要求の有無を示す信号が、インバータINV2にはサブ通信網2からメイン通信網への信号の送信要求の有無を示す信号が、それぞれ入力されるものとなっている。なお、インバータINV1、2はそれぞれ、このサブ通信網1、2からメイン通信網への信号の送信要求の有無を示す信号を反転して出力する。
【0039】
サブ通信網1、2からメイン通信網への信号の送信要求の有無を示す信号、即ち、インバータINV1、2によって反転される前の送信要求の有無を示す信号は、各制御信号ラインSL1を介してレシーバR1の反転制御入力端SE1及びドライバD1の非反転制御入力端SE2へ与えられるものとされている。
また、インバータINV1、2によって反転された後の送信要求の有無を示す信号は、各制御信号ラインSL2を介してレシーバR2の反転制御入力端SE1及びドライバD2の非反転制御入力端SE2へ与えられるものとされている。
【0040】
これにより、サブ通信網1又はサブ通信網2からメイン通信網への信号の送信要求がある場合は、レシーバR2からドライバD1へ向かう信号の伝送経路を通して、サブ通信網1又はサブ通信網2からの信号がメイン通信網へ送られる。
また、サブ通信網1又はサブ通信網2からメイン通信網への信号の送信要求がない場合は、レシーバR1からドライバD2へ向かう信号の伝送経路を通して、メイン通信網からの信号がサブ通信網1とサブ通信網2に同時に送られる。
【0041】
なお、上記した信号伝送モジュール21の代わりに、
図5に示す信号伝送モジュール(信号伝送モジュールaの一例)25を使用することもできる。この信号伝送モジュール25の基本構成は、前記した信号伝送モジュール11、21と略同様であるため、同一部材には同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
信号伝送モジュール25は、2本のサブ通信網n(n=1、2)を並列に接続するための2つの接続ポート(RS485DRポート:接続ポートa)を備えるものである。
【0042】
この信号伝送モジュール25は、1つの第1のドライバ/レシーバ回路(RS485DR)16aの構成要素であるドライバD1とレシーバR1とが、メイン通信網の個別のバスに接続され、この各バス中の両端に終端抵抗13が接続されている。
この
図5において、メイン通信網の一方のバスの左側のラインをLMA1、右側のラインをLMB1とし、他方のバスの左側のラインをLMA2、右側のラインをLMB2とする。
【0043】
また、信号伝送モジュール25は、上記した2つの接続ポートに設けられた2つの第2のドライバ/レシーバ回路(RS485DR)17aの構成要素であるドライバD2とレシーバR2とが、サブ通信網1、2がそれぞれ有する個別のバスに接続され、この各バス中の両端に終端抵抗14が接続されている。
この
図5において、サブ通信網nの一方のバスの左側のラインをLSA1、右側のラインをLSB1とし、他方のバスの左側のラインをLSA2、右側のラインをLSB2とする。
【0044】
レシーバR1の非反転入力端IN1には、メイン通信網の一方のバスの左側のラインLMA1に生じる信号が入力され、レシーバR1の反転入力端IN2には、上記したバスの右側のラインLMB1に生じる信号が入力される。
また、ドライバD1の非反転出力端OUT1からは、このドライバD1からの非反転出力信号が、メイン通信網の他方のバスの左側のラインLMA2に出力され、ドライバD1の反転出力端OUT2からは、このドライバD1からの反転出力信号が、上記したバスの右側のラインLMB2に出力される。
【0045】
レシーバR2の非反転入力端IN1には、サブ通信網nの一方のバスの左側のラインLSA1に生じる信号が入力され、レシーバR2の反転入力端IN2には、上記したバスの右側のラインLSB1に生じる信号が入力される。
また、ドライバD2の非反転出力端OUT1からは、このドライバD2からの非反転出力信号が、サブ通信網nの他方のバスの左側のラインLSA2に出力され、ドライバD2の反転出力端OUT2からは、このドライバD2からの反転出力信号が、上記したバスの右側のラインLSB2に出力される。
【0046】
信号伝送モジュール25は伝送制御回路26を備えている。
レシーバR1、R2及びドライバD1、D2の動作状態は制御されることなく、ドライバD1、D2は常に動作状態で、セントラルCTRLからの信号を、サブ通信網1とサブ通信網2に同時に送る。ここで、要求を受けたCTRLは、セントラルCTRLに返答を返す(返答を返すのは、該当するCTRLのみ)。
また、レシーバR1、R2も常に動作状態であるため、該当するCTRLからの信号が伝送制御回路26をスイッチし、セントラルCTRLに送る。
【0047】
図6を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る充放電装置30について説明するが、前記した充放電装置20と同一部材については同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
充放電装置30は、前記した充放電棚を有し、この充放電棚の収容部内であって、トレイに並べて配置された複数の二次電池の上方に、各二次電池の端子(正極と負極)に当接可能な対となる充放電プローブピンが配置され、この充放電プローブピンが電源(充放電電源)に接続されている。
【0048】
複数の電源はそれぞれ、セントラルCTRL(充放電制御手段の一例)との間で信号の送受信を行うノード1~180(合計180台)のCTRL(コントローラ、個別制御部の一例)で制御される。
図6に示すように、メイン通信網(通信網aの一例)には、30台の信号伝送モジュール(信号伝送モジュールaの一例)11a(信号伝送モジュール11と同様の構成)と、1台の信号伝送モジュール(信号伝送モジュールaの一例)21が、並列に接続されている。なお、メイン通信網に接続可能な信号伝送モジュール11a、21の最大数は、合計で31台である。
【0049】
30台の信号伝送モジュール11aにはそれぞれ、サブ通信網n(n=1、2、・・・、30、通信網bの一例)が接続され、各サブ通信網n(ここでは30本、信号伝送モジュール11a、21の最大数は、合計で31台)に、2台のCTRLが並列に接続されている(ノード1~60(合計60台))。
また、1台の信号伝送モジュール21の2つの接続ポート(RS485DRポート:接続ポートa)には、サブ通信網n(通信網cの一例:n=31、32)がそれぞれ接続され、各サブ通信網nに、30台(最大31台)の信号伝送モジュール(信号伝送モジュールcの一例)31が並列に接続されている。この信号伝送モジュール31は、前記した信号伝送モジュール11、12と同様の構成であり、各サブ通信網nに接続された信号伝送モジュール31には、サブ通信網n-m(通信網bの一例)が接続され、この30本のサブ通信網n-m(m=1~30)にそれぞれ、2台のCTRLが並列に接続されている。
【0050】
図7を参照しながら、本発明の第4の実施の形態に係る充放電装置40について説明するが、前記した充放電装置20、30と同一部材については同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
充放電装置40は、前記した充放電棚を有し、この充放電棚の収容部内であって、トレイに並べて配置された複数の二次電池の上方に、各二次電池の端子(正極と負極)に当接可能な対となる充放電プローブピンが配置され、この充放電プローブピンが電源(充放電電源)に接続されている。
【0051】
複数の電源はそれぞれ、セントラルCTRL(充放電制御手段の一例)との間で信号の送受信を行う複数のノード1~186(合計186台)のCTRL(コントローラ、個別制御部の一例)で制御される。
図7に示すように、メイン通信網(通信網aの一例)には、1台の信号伝送モジュール22が接続されている。この信号伝送モジュール22は、前記したように、3本のサブ通信網n(通信網cの一例:n=1~3)を並列に接続するための3つの接続ポート(RS485DRポート:接続ポートa)を備えるものである。
【0052】
信号伝送モジュール22に接続された3本のサブ通信網nにはそれぞれ、31台の信号伝送モジュール31が並列に接続され、各サブ通信網nに接続された信号伝送モジュール31にはサブ通信網n-m(通信網bの一例:m=1~31)が接続され、この31本のサブ通信網n-mにそれぞれ、2台のCTRLが並列に接続されている。
【0053】
図8を参照しながら、本発明の第5の実施の形態に係る充放電装置50について説明するが、前記した充放電装置20、30と同一部材については同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
充放電装置50は、前記した充放電棚を有し、この充放電棚の収容部内であって、トレイに並べて配置された複数の二次電池の上方に、各二次電池の端子(正極と負極)に当接可能な対となる充放電プローブピンが配置され、この充放電プローブピンが電源(充放電電源)に接続されている。
【0054】
複数の電源はそれぞれ、セントラルCTRL(充放電制御手段の一例)との間で信号の送受信を行うノード1~300(300台)以上のCTRL(コントローラ、個別制御部の一例)で制御される。
図8に示すように、セントラルCTRLは、2本のメイン通信網(通信網aの一例)を並列に接続するための2つの接続ポート(RS485DRポート:接続ポートa)を備えるものである。一方(
図8の左側)の接続ポートに接続されたメイン通信網には、複数の信号伝送モジュール21が直列に接続され、他方(
図8の右側)の接続ポートに接続されたメイン通信網には、10台の信号伝送モジュール11a(信号伝送モジュールaの一例)が並列に接続されている。
【0055】
各信号伝送モジュール21は、2つの接続ポート(RS485DRポート:接続ポートa)を備えるものであり、一方(
図8の左側)の接続ポートにはセントラルCTRLに接続されたメイン通信網が接続され、他方(
図8の右側)の接続ポートには、10台の信号伝送モジュール(信号伝送モジュールcの一例)31が並列に接続されたサブ通信網cn(通信網cの一例:n=1、2、・・・)が接続されている。
なお、上記した信号伝送モジュール11a、31には、サブ通信網n-m(通信網bの一例:n=1、2・・・、m=1~10)が接続され、この各サブ通信網n-mにそれぞれ、10台のCTRLが並列に接続されている(ノード1~300以上)。
【0056】
従って、本発明の充放電装置により、コストの上昇を招くことなく、簡単な構成で、より多くの電源を管理できる。
【0057】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の充放電装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記第1の実施の形態に係る充放電装置においては、1つの接続ポートを備えた充放電制御手段を使用した場合について説明したが、複数(例えば、2又は3)の接続ポートを備えた充放電制御手段を使用することもでき、この場合、充放電制御手段に複数の通信網Aを並列に接続できる。
【符号の説明】
【0058】
10:充放電装置、11:信号伝送モジュール(信号伝送モジュールA)、11a:信号伝送モジュール(信号伝送モジュールa)、12:信号伝送モジュール(信号伝送モジュールB)、13、14:終端抵抗、15:伝送制御回路、16、16a、17、17a:ドライバ/レシーバ回路、20:充放電装置、21、22:信号伝送モジュール(信号伝送モジュールa)、23:伝送制御回路、25:信号伝送モジュール(信号伝送モジュールa)、26:伝送制御回路、30:充放電装置、31:信号伝送モジュール(信号伝送モジュールc)、40:充放電装置、50:充放電装置